【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る空調用チャンバーは、建物内に設けられたグリッド天井の上方に設置される空調用チャンバーであって、
少なくとも一つの開口面を有する箱体状の本体
部と、
前記本体部に開設された複数のダクト連結口と、
前記開口面を気密状に閉塞可能な平板状の閉塞部材と、を備え、
前記本体
部の開口面の外周部分にフランジ状の周縁部を設け、
前記本体
部と、前記閉塞部材とを前記周縁部を介して接合する接合手段を設け、
前記接合手段は、前記周縁部と前記閉塞部材とを接合するクリップ部材、クランプ部材、接着剤若しくは粘着剤であり、
且つ、前記本体部は、下面に開口面を有する角錐台形状若しくは円錐台形状であり、複数の前記ダクト連結口は、角錐台形状若しくは円錐台形状をなす前記本体部の側面に開設
され、
前記本体部は当該本体部の内側に当該本体部と同形状をなす他の本体部を順次収容していくことができ、前記閉塞部材は当該閉塞部材と同形状をなす他の閉塞部材と互いに積層状に重ね合わせた状態とすることができることを特徴とする。
【0009】
このような構成とすれば、箱体状の本体部(若しくは平板状の本体部材)と、閉塞部材とが別部材となり、それぞれの部材の重量は一体構造の空調用チャンバーの総重量より軽くなるので、施工現場への搬入が容易となり、施工作業を容易化することができる。
【0010】
また、前記空調用チャンバーを構成する部材が、箱体状の本体部と平板状の閉塞部材との組み合わせである場合は、箱体状の本体部内に施工に必要な他の部材などを収容して搬送することが可能であるため、搬送中の占有スペースの削減を図ることができる。
【0011】
一方、前記空調用チャンバーを構成する部材が、平板状の本体部材と平板状の閉塞部材との組み合わせである場合は、それぞれ部材を積層状に重ね合わせて搬送可能であるため、搬送中の占有スペースを大幅に削減することができる。
【0012】
前記空調用チャンバーにおいては、前記本体部若しくは前記本体部材を組み立てて形成された本体部と、前記閉塞部材と、を接合する接合手段を設けることができる。
【0013】
このような構成とすれば、少なくとも二つの別部材(本体部若しくは本体部材を組み立てて形成した本体部と閉塞部材)を接合するだけで容易に空調用チャンバーを組み立てることができるので、作業場所が限定されない。また、別部材を接合するだけで容易に空調チャンバーを組み立てることができるので、作業効率が向上する。
【0014】
前記空調用チャンバーにおいては、前記接合手段として、クリップ部材、クランプ部材、接着剤若しくは粘着剤を使用することができる。
【0015】
このような構成とすれば、本体部若しくは本体部材を組み立てて形成した本体部と、閉塞部材とを容易に接合することができるので、組立作業を簡易化、迅速化することができ、作業場所も限定されない。
【0016】
クリップ部材やクランプ部材を使用した場合は、本体部と閉塞部材との間にパッキンやガスケットなどのシール部材を介在させ、本体部の一部をクリップ部材やクランプ部材で挟むだけで、容易に空調用チャンバーの組み立てができるので、組立作業を簡易化、迅速化することができ、作業場所も限定されない。
【0017】
接着剤や粘着剤を使用した場合、これらの接合手段はシール効果を有するので、本体部と閉塞部材との間に、別途、気密処理を施す必要がなくなり、施工時の作業効率が向上する。また、空調用チャンバーの周縁に、接合部材などの接合手段が現れないので、室内側から見た天井面の意匠性が阻害されない。
【0018】
前記空調用チャンバーにおいては、前記本体部若しくは前記本体部材を組み立てて形成された本体部の形状を、角錐台形状若しくは円錐台形状とすることができる。
【0019】
このような構成とすれば、箱体状をした本体部内に、他の本体部の一部を順次収容していくことにより、複数の本体部を重ね合わせた状態で搬送することが可能となるため、箱体状の本体部を搬送する際の占有スペースを削減することができる。また、本体部の表面積が減少するので、本体部を形成する材料を削減することができるほか、重量及び施工スペースも削減することができる。
【0020】
前記空調用チャンバーにおいては、前記本体部及び前記本体部材が、不燃性を有するダンボール材、グラスウール材若しくは発泡合成樹脂材を含むものとすることができる。
【0021】
このような構成とすれば、前記本体部及び前記本体部材が金属製である場合に比べ、軽量化を図ることができ、断熱性も向上する。
【0022】
前記空調用チャンバーにおいては、前記グリッド天井を構成する一つの格子領域内を前記空調用チャンバーが通過可能であって、
前記グリッド天井の上方に配置された前記空調用チャンバーが、
前記グリッド天井を構成するTバー材に対し、前記空調用チャンバーの一部を当接させた状態で載置可能とすることができる。
【0023】
このような構成とすれば、建物内の天井部分に格子状のグリッド天井を施工した後、空調用チャンバーの施工作業(例えば、グリッド天井の上方への運び込み作業、グリッド天井への取り付け作業など)を行うことが可能となるので、施工性が向上する。また、Tバー材に対し、係止手段を介さずに取り付け可能であるため、取り付け作業の容易化、作業効率の向上を図ることができる。さらに、係止手段なしで、Tバー材に載置するだけで施工可能であるため、空調用チャンバーをTバー材に固定するための係止金具などの部材が不要であり、軽量化を図ることができ、通常の天井施工と変わらない状態に仕上げることができる。
【0024】
前記空調用チャンバーにおいては、前記グリッド天井を構成する一つの格子領域内を前記空調用チャンバーが通過可能であって、
前記グリッド天井の上方に配置された前記空調用チャンバーが、
前記グリッド天井を構成するTバー材に対し、所定の係止手段を介して取り付け可能とすることもできる。
【0025】
このような構成とすれば、格子状のグリッド天井を施工した後、空調用チャンバーの施工(グリッド天井の上方への運び込み作業、グリッド天井への取り付け作業など)を行うことが可能となるので、施工性が向上する。また、Tバー材に対し、取り付け作業の容易化、取り付け状態の確実化、安定化を図ることができる。さらに、地震や振動などによって空調用チャンバーが設置場所から移動したり、離脱したりするのを防止することができる。
【0026】
前記空調用チャンバーにおいては、前記係止手段として、
前記Tバー材と前記空調用チャンバーの本体部との間に配置され、
前記空調用チャンバーを前記Tバー材に向かって押圧保持する弾性部材を使用することができる。
【0027】
このような構成とすれば、弾性部材の押圧力により空調用チャンバーをTバー材に密着させることができるので、確実に固定することができ、地震などの災害発生時に空調用チャンバーが落下するを防止することができる。また、Tバー材と空調用チャンバーの本体部との間に弾性部材を介させることにより、室内側から弾性部材が見えない状態となるので、天井面の意匠性を阻害することがない。
【0028】
前記空調用チャンバーにおいては、前記係止手段として、
前記本体部と前記閉塞部材との接合部の一部を把持した状態で、前記Tバー材に係合可能なクリップ部材若しくはクランプ部材を使用することもできる。
【0029】
このような構成とすれば、別々に運搬したチャンバー構成部材(本体部若しくは本体部材を組み立てて形成した本体部及び閉塞部材)をシール部材を介して接合し、本体部と閉塞部材との接合部の一部を挟むだけで、容易に空調用チャンバーの組立と、Tバー材への固定(把持)とを行うことができるので、施工性が良好となる。また、クリップ部材やクランプ部材で把持するだけで、空調用チャンバーを組立てることができるので、作業場所が限定されない。
【0030】
前記空調用チャンバーにおいては、前記閉塞部材の下面が、前記グリッド天井に配置される天井部材の下面と略同一平面若しくは略平行をなすように配置可能な構成とすることができる。
【0031】
このような構成とすれば、空調用チャンバーをグリッド天井に設置したとき、当該空調用チャンバーを構成する閉塞部材が天井部材としての機能を発揮することが可能となるので、天井部材の使用数を削減することができる。
【0032】
次に、
前記空調用チャンバー
の施工方法は、
少なくとも一つの開口面を有する箱体状の本体部若しくは前記本体部を展開した平板状の本体部材と、前記開口面を気密状に閉塞可能な平板状の閉塞部材と、を組み合わせて前記本体部に複数のダクト連結口を有する空調用チャンバーを形成する工程と、
建物内に設けられたグリッド天井を構成する一つの格子領域内を経由して前記空調用チャンバーを前記グリッド天井の上方に配置する工程と、
前記グリッド天井の上方に配置された前記空調用チャンバーを、
前記グリッド天井を構成するTバー材に前記空調用チャンバーの一部を当接させた状態で前記空調用チャンバーを前記Tバー材に載置する工程、若しくは、
前記グリッド天井を構成するTバー材若しくは前記Tバー材を吊り下げ状に保持する建物躯体に対して所定の係止手段を介して前記空調用チャンバーを取り付ける工程と、を備えたことを特徴とする。
【0033】
このような構成とすれば、建物内のグリッド天井に対して空調用チャンバーを施工する場合、施工用資材を保管したり、搬送したりする際の占有スペースの削減及び重量の分散化を図ることができ、施工作業を容易化することもできる。