特許第6961360号(P6961360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961360
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/401 20150101AFI20211025BHJP
【FI】
   H04B1/401
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-36481(P2017-36481)
(22)【出願日】2017年2月28日
(65)【公開番号】特開2018-142869(P2018-142869A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2020年1月8日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 俊一
(72)【発明者】
【氏名】涌井 健
(72)【発明者】
【氏名】西澤 孝一
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−015601(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/174907(WO,A1)
【文献】 特開2009−033945(JP,A)
【文献】 特表2015−524631(JP,A)
【文献】 特開2013−157458(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102857858(CN,A)
【文献】 特開2008−228391(JP,A)
【文献】 特開2000−196492(JP,A)
【文献】 特開平02−288623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/401
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のソーラパネルの出力から複数の電圧をそれぞれ検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した複数のソーラパネルのそれぞれから出力される電圧を並列にして制御信号として入力し、当該制御信号に基づいて前記検出手段を有する通信装置のモード又は設定を変更する制御手段と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記制御信号の入力パターンと前記通信装置のモード又は設定の変更内容との関係を規定したデータを備え、
前記制御手段は、前記データ及び入力する前記制御信号に基づいて前記通信装置のモード又は設定を変更することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記ソーラパネル出力を、前記通信装置を駆動する駆動電力に変換する第1電源部と、前記第1電源部と異なる第2電源部と、前記制御手段に供給する駆動電力が十分である場合に前記第1電源部を前記制御手段に接続し、前記制御手段に供給する駆動電力が不十分である場合に前記第2電源部を前記制御手段に接続する切換部とを備える電源部を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)と呼ばれる近距離通信技術を利用して、サービス情報などを定期的に発信するビーコン端末が知られている。また、太陽電池パネルが設けられている路側ビーコンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−120486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホスト機器と有線接続されていないビーコン端末では、データ書き換えなどの設定変更を行う際に、スイッチを使用するなどの何らかの方法でビーコン端末のモードを切り替える必要がある。ビーコン端末が手の届きにくい場所に設置されている場合、ビーコン端末のモード又は設定の切り替えを容易に実行できないという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、手の届きにくい場所に設置されていても容易にモード又は設定の変更が可能な通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、明細書に開示された通信装置は、複数のソーラパネルの出力から複数の電圧をそれぞれ検出する検出手段と、前記検出手段が検出した複数のソーラパネルのそれぞれから出力される電圧を並列にして制御信号として入力し、当該制御信号に基づいて前記検出手段を有する通信装置のモード又は設定を変更する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の通信装置によれば、ソーラパネルを用いてモードや設定の変更が可能で、手の届きにくい場所に設置されていても容易に設定変更ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係る通信装置の構成図である。
図2】(A)〜(C)は、ソーラパネルに入力される光と制御信号との関係を示す図である。
図3】光が照射されるソーラパネルと、光源の入力パターンと、制御信号の入力パターンと、通信装置1のモード又は設定の変更内容との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態に係る通信装置の構成図である。本実施の形態に係る通信装置1は、例えば、Bluetooth (登録商標)Low Energy(BLE)に準拠した無線通信を行うビーコン端末である。通信装置1は、ソーラパネル2〜4に接続されている。ソーラパネル2〜4は、通信装置1に内蔵されていてもよい。また、通信装置1に接続されている又は内蔵されているソーラパネルの台数は図1の例に限定されるものではない。
【0011】
通信装置1は、検出手段としての電圧検出部5と、電源手段としての電源部6と、ビーコン部7とを備えている。電圧検出部5は、DC/DCコンバータ11〜13を備えている。電圧検出部5のDC/DCコンバータの個数は、ソーラパネルの台数に応じて変更可能である。DC/DCコンバータ11〜13はソーラパネル2〜4にそれぞれ接続されており、ソーラパネル2〜4からの出力を所定の電圧に変換する(定電圧化)。各DC/DCコンバータ11〜13は、変換された電圧を駆動電源として電源部6に供給すると共に、制御信号としてビーコン部7に供給する。電圧検出部5は、DC/DCコンバータ11〜13に代えて、ソーラパネル2〜4からのエネルギーを電力に変換するエネルギーハーベスト電源を備えていてもよい。
【0012】
電源部6は、第1電源部としてのDC/DCコンバータ21と、切換部22と、第2電源部としての二次電池23とを備えている。尚、二次電池23は、コイン電池でもよいし、大容量キャパシタでもよい。DC/DCコンバータ21は切換部22を介して二次電池23に接続されている。また、DC/DCコンバータ21は、ダイオード8〜10を介してDC/DCコンバータ11〜13に接続されている。ダイオード8〜10は、電流が電源部6から電圧検出部5に流れることを防止する。
【0013】
DC/DCコンバータ21は、DC/DCコンバータ11〜13からの出力を集約し、集約された出力をビーコン部7の駆動電力に変換する。ここで、DC/DCコンバータ11〜13からの出力を集約する理由は、1つのソーラパネルから得られる出力では、ビーコン部7を駆動するのに不十分である場合があり、ビーコン部7に供給する駆動電力を十分な量に安定化させるためである。また、DC/DCコンバータ21は、ソーラパネル2〜4の少なくとも1つに光が照射され且つビーコン部7に供給する駆動電力が十分である場合に、ビーコン部7に駆動電力を供給すると共に二次電池23を充電する。
【0014】
二次電池23は、DC/DCコンバータ21からの電力を蓄積し充電すると共に、ソーラパネル2〜4に光が照射されない場合に、切換部22を介して駆動電力をビーコン部7に供給する。
【0015】
切換部22は、DC/DCコンバータ21の電圧レベルが二次電池23の電圧レベル以上である場合、即ち、ビーコン部7に供給する駆動電力が十分である場合は、DC/DCコンバータ21をビーコン部7及び二次電池23に接続し、DC/DCコンバータ21の電圧レベルが低くビーコン部7に供給する駆動電力が不十分である場合は、二次電池23をビーコン部7に接続する。
【0016】
ビーコン部7は、制御手段としてのマイコン31と、マイコン31にクロックを供給するタイマ32と、ビーコンを電波として出力する無線通信部(RF)33及びアンテナ34と、各種のデータを保存するEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)35とを備えている。
【0017】
マイコン31は、DC/DCコンバータ11〜13からの出力を制御信号としてそれぞれ入力する入力端子31a〜31cと、切換部22を介してDC/DCコンバータ21又は二次電池23から駆動電力を入力する入力端子31dと、無線通信部33に接続される入出力端子31eと、EEPROM35に接続される入出力端子31fと、タイマ32に接続される入力端子31gとを備えている。入力端子31a〜31cの個数はソーラパネルの台数に応じて変更可能である。EEPROM35は、制御信号の入力パターンと通信装置1のモード又は設定の変更内容との関係を規定したテーブルデータと、複数のアドバタイズデータとを備えている。マイコン31は、テーブルデータと制御信号の入力パターン(制御信号のハイ及びローの時間、入力位置又は入力順など)とに基づいて、通信装置1のモード又は設定を変更し、変更したモード又は設定をEEPROM35に保存する。マイコン31は、EEPROM35に保存されたモード又は設定に基づいて通信装置1の動作を制御する。
【0018】
以上のように、通信装置1は、ソーラパネル2〜4からの出力を、ビーコン部7の駆動電力として使用すると共に通信装置1のモード又は設定を変更する制御信号として使用する。
【0019】
図2(A)〜(C)は、ソーラパネル2〜4に入射する光と制御信号との関係を示す図である。尚、ソーラパネルに入射する光と制御信号との関係は、図2の例に限定されるものではない。
【0020】
光源50は、例えば、太陽光、LEDライト又は蛍光灯などであり、光源の個数は1つに限らず、複数あってもよい(図2(C)参照)。
【0021】
光源50から閾値以上の照度の光がソーラパネルに照射されている間、DC/DCコンバータの出力はHIGHレベルになる。一方、照度が閾値未満である場合、DC/DCコンバータの出力はLOWレベルになる。
【0022】
例えば、図2(A)では、光源50から閾値以上の照度の光がソーラパネル4に照射されている間、HIGHレベルの制御信号が入力端子31cに入力される。ソーラパネル2,3には光が照射されていないため、LOWレベルの制御信号が入力端子31a及び31bに入力される。
【0023】
図2(B)では、1つの光源50から閾値以上の照度の光がソーラパネル3及び4に照射されている間、HIGHレベルの制御信号が入力端子31b及び31cに入力される。ソーラパネル2には光が照射されていないため、LOWレベルの制御信号が入力端子31aに入力される。
【0024】
図2(C)では、一方の光源50から閾値以上の照度の光がソーラパネル4に短時間照射され、同時に他方の光源50から閾値以上の照度の光がソーラパネル2に長時間照射されている。このとき、HIGHレベルの制御信号が入力端子31a及び31cに入力されるが、ソーラパネル2はソーラパネル4よりも光の照射時間が長いので、入力端子31aに入力される制御信号のHIGHレベルの期間が入力端子31cに入力される制御信号のHIGHレベルの期間よりも長くなる。ソーラパネル3には光が照射されていないため、LOWレベルの制御信号が入力端子31bに入力される。
【0025】
マイコン31は、入力端子31a〜31cに入力される制御信号のパターンを識別することにより、通信装置1のモード又は設定を変更する。
【0026】
ここで、通信装置1のモード又は設定について説明する。
【0027】
通信装置1は、例えば、無線通信部33がアドバタイズデータを常に送信する通常モードと、アドバタイズデータの送信間隔を広げて消費電力を低下させる低消費電力モードと、アドバタイズデータの送信を停止して少なくとも一部の構成要素を停止させるスリープモードと、通信装置1の設定を変更可能にする設定変更可能モードとを有する。
【0028】
通信装置1の設定は、例えば、アドバタイズデータの送信間隔及び送信タイミングの設定と、送信されるアドバタイズデータの種類の設定と、アドバタイズデータの送信出力レベルの設定とを有する。
【0029】
通信装置1のモード又は設定は、上述したモード又は上述した設定に限定されるものではなく、他のモード又は他の設定を有していてもよい。
【0030】
図3は、光が照射されるソーラパネルと、光源の入力パターンと、制御信号の入力パターンと、通信装置1のモード又は設定の変更内容との関係を示す図である。
【0031】
本実施の形態によるEEPROM35には、少なくとも図3の制御信号の入力パターンと通信装置1のモード又は設定の変更内容との関係を規定したテーブルデータが予め格納されているものとする。マイコン31は、制御信号の入力パターン及び図3のテーブルデータに基づいて通信装置1のモード又は設定を変更する。尚、テーブルデータは編集可能である。図3の光が照射されるソーラパネルと、光源の入力パターンと、制御信号の入力パターンと、通信装置1のモード又は設定の変更内容との関係、およびモードと変更内容は一例であり、図3の例に限定されるものではない。
【0032】
図3の(1)では、光源50を1秒間隔でオン/オフを交互に切り替える光のパターンを5回連続でソーラパネル2〜4のいずれか1つに照射している。この場合、入力端子31a〜31cのいずれかに1秒間隔でHIGHレベル及びLOWレベルが交互に切り替わる制御信号のパターンが5回連続で入力するので、マイコン31がテーブルデータを参照して、通信装置1のモードを設定変更可能モードに変更する。
【0033】
図3の(2)では、光源50を5秒以上オンしてからオフに切り替える光のパターンをソーラパネル2に照射する。このとき、入力端子31aに5秒以上のHIGHレベルからLOWレベルに切り替わる制御信号のパターンが入力するので、テーブルデータに基づき、マイコン31がアドバタイズデータの送信間隔を1秒長くする。
【0034】
図3の(3)では、光源50を5秒以上オンしてからオフに切り替える光のパターンをソーラパネル4に照射する。この場合、入力端子31cにHIGHレベルが5秒以上続いてからLOWレベルに切り替わる制御信号のパターンが入力し、マイコン31は、テーブルデータを参照して、アドバタイズデータの送信間隔を1秒短くする。
【0035】
図3の(4)では、光源50を5秒以上オンしてからオフに切り替える光のパターンをソーラパネル2及び3に照射する。この時、入力端子31a及び31bにHIGHレベルが5秒以上続いた後LOWレベルに切り替わる制御信号のパターンが入力し、テーブルデータに基づいてマイコン31がアドバタイズデータの送信間隔を1秒にする。
【0036】
図3の(5)では、光源50を5秒以上オンしてからオフに切り替える光のパターンをソーラパネル3及び4に照射する。入力端子31b及び31cが5秒以上のHIGHレベルからLOWレベルに切り替わる制御信号のパターンが入力し、テーブルデータに基づきマイコン31がアドバタイズデータの送信間隔を3秒にする。
【0037】
図3の(6)では、光源50を1秒間オンしてからオフにする光のパターンをソーラパネル2→ソーラパネル3→ソーラパネル4の順番でソーラパネル2〜4に照射する。このとき、入力端子31a→入力端子31b→入力端子31cの順に1秒間のHIGHレベルからLOWレベルに切り替わる制御信号のパターンが入力し、マイコン31がテーブルデータに基づき通信装置1を低消費電力モードに変更する。
【0038】
図3の(7)では、光源50を3秒間オンしてから1秒間オフにする光のパターンをソーラパネル2→ソーラパネル3→ソーラパネル4の順番で照射する。この場合、入力端子31a→入力端子31b→入力端子31cの順に、3秒間のHIGHレベル信号から1秒間のLOWレベル信号に切り替わる制御信号のパターンが入力し、マイコン31が通信装置1をスリープモードに変更する。
【0039】
図3の(8)では、光源50を3秒間オンしてからオフにする光のパターンをソーラパネル2及び3→ソーラパネル3及び4の順番で照射する。この時、入力端子31a及び31b→入力端子31b及び31cの順に3秒間のHIGHレベル信号からLOWレベル信号に切り替わる制御信号のパターンが入力し、マイコン31がアドバタイズデータの送信出力レベルを変更する。アドバタイズデータの送信出力レベルを更に増加したい場合には、さらに3秒間オンしてからオフにする光のパターンをソーラパネル2及び3に照射する。この場合には、入力端子31a及び31bに3秒間のHIGHレベルからLOWレベルに切り替わる制御信号のパターンが入力する。一方、アドバタイズデータの送信出力レベルを減少したい場合には、光源50が3秒間オンしてからオフにする光のパターンをソーラパネル3及び4に照射する。この場合には、入力端子31b及び31cに3秒間のHIGHレベルからLOWレベルに切り替わる制御信号のパターンが入力する。
【0040】
図3の(9)では、光源50を3秒間オンしてからオフにする光のパターンをソーラパネル2→ソーラパネル3→ソーラパネル4の順番で照射する。すると、入力端子31a→入力端子31b→入力端子31cの順に3秒間のHIGHレベルからLOWレベルに切り替わる制御信号のパターンが入力するので、マイコン31がアドバタイズデータの種類を変更する。変更後のアドバタイズデータが所望のアドバタイズデータでない場合には、所望のアドバタイズデータに変更されるまで図3の(9)のパターンを照射してもよいし、又は変更後のアドバタイズデータを指定して切り替える処理を更に設けてもよい。
【0041】
このように、マイコン31は、テーブルデータに設定された制御信号の入力パターンと、マイコン31に入力する制御信号のパターンとに基づいて、通信装置1のモード又は設定を変更することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態によれば、所望のモード又は設定に対応する入力パターンの光を複数のソーラパネル2〜4に照射することで、通信装置1のモード又は設定を変更できる。よって、通信装置1が手の届きにくい場所に設置されていても、操作者は容易に通信装置1のモード又は設定を変更できる。
【0043】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 通信装置
2〜4 ソーラパネル
5 電圧検出部
7 ビーコン部
11〜13,21 DC/DCコンバータ
31 マイコン
33 無線通信部(RF)
35 EEPROM
図1
図2
図3