(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一対多(1つの親局(親機)と複数の子局(子機))のFDMA通信を行う構成において、子局(子機)の数が少ない場合は現実的に問題無いが、無人のセンサーを大量(数十〜100程度)に配置する用途を想定した場合、親局(親機)の構成が複雑になる可能性がある。
【0006】
同様の双方向通信はダウンリンクを、TDMA(時分割多元接続: Time Division Multiple Access)方式やCDMA(符号分割多元接続:Code Division Multiple Access)方式にすることでも実現可能だが、親局と子局の時刻の同期が必要となるなど、子局を簡易(小型・ローコスト・低消費電力)に製作するには不利である。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、一対多(1つの親局(親機)と複数の子局(子機))の無線通信システムまたは無線通信ネットワークにおいて、FDMA方式により子局の構成を簡易にするとともに、親局の受信系を1つで実現することが可能な技術を提供することにある。
【0008】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0010】
すなわち、FDMA方式の無線通信システムであって、少なくとも1つの親局と、複数の子局によりネットワークを構成する。前記親局から前記複数の子局への通信に、第1周波数を利用する。前記複数の子局から前記親局への通信に、前記第1周波数と異なる第2周波数帯域を利用する。前記複数の子局のおのおのは、前記第2周波数帯域のおのおの異なる周波数を割り当てられている。前記親局は、前記複数の子局から受信した周波数のRF信号を周波数コンバータにてIF信号に変換し、ADコンバータにて各子局に応じた周波数成分を抽出し、復調処理を行う。
【発明の効果】
【0011】
上記無線通信システムによれば、子局の構成を簡易にするとともに、親局の受信系を1つで実現することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態、および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0014】
<実施の形態>
図1は、実施の形態に係る無線通信システムで利用する周波数を説明するための図である。
【0015】
無線通信システムにおいて、ダウンリンク(なお、この明細書では、複数の子局(子機)2から親局(親機)1への通信をダウンリンクと呼ぶ)は、子局2毎に異なる周波数(f1、f2、f3、・・、fn)により送信する。子局2の周波数(f1、f2、f3、・・、fn)はすべて親局1の受信帯域内とする。
【0016】
また、無線通信システムにおいて、アップリンク(なお、この明細書では、親局1から複数の子局2への通信をアップリンクと呼ぶ)は、第1周波数である1つの周波数(fu)を用いて全ての子局2に同じ情報を送信(ブロードキャスト)する。子局2は、この周波数(fu)を受信してする。また、親局1から特定の子局2への送信の場合、特定の子局1は、自分宛ての情報のみを取得することもできる。
【0017】
子局2毎に異なる周波数(f1、f2、f3、・・、fn)は、UHF帯域(第2周波数帯域)から選択されており、各々の周波数(f1、f2、f3、・・、fn)の間隔は、たとえば、25kHzとされている。
【0018】
親局1から複数の子局2への通信に用いる周波数(fu)は、この例では、子局2毎に異なる周波数(f1、f2、f3、・・、fn)より、高い周波数に設定されている。なお、
図1に示されるように、親局1から複数の子局2への通信に用いる周波数は、子局2毎に異なる周波数(f1、f2、f3、・・、fn)より、低くい周波数(fu‘)に設定することも可能である。
【0019】
このような構成により、複数の子局2から親局1へまたは親局1から複数の子局2への周波数分割多元接続(FDMA:Frequency-Division Multiple Access)の通信を行う。
【0020】
図2は、実施の形態に係る無線通信システムを説明するための図である。
【0021】
親局1は、送受信アンテナ1aと送受信アンテナ1aに接続された送受信回路1bとを有する。親局1の送受信回路1bは、センタ局(ないしホストプロセッサ)30に接続されており、複数の子局(21、22、23、・・、2n)からの受信データを、センタ局30へ送信する。また、親局1は、センタ局30からの指令を、送受信回路1bを介して送受信アンテナ1aから、送信周波数fuを利用して、複数の子局(21、22、23、・・、2n)へ送信することが出来る。センタ局30は、複数の子局(21、22、23、・・、2n)からの受信データを解析ないし図形化するなどの機能を有する。
【0022】
子局21は、送受信アンテナ21aと送受信アンテナ21aに接続された送受信回路21bとを有する。子局21の送受信回路21bには、センサーやカメラなどの監視回路(ないし検出回路)S1が接続される。子局21は、監視回路ないし検出回路の監視データや検出データを、送受信回路21bを介して送受信アンテナ21aから、送信周波数f1を利用して、親局1へ送信する。
【0023】
子局22は、送受信アンテナ22aと送受信アンテナ22aに接続された送受信回路22bとを有する。子局22の送受信回路22bには、センサーやカメラなどの監視回路(ないし検出回路)S2が接続される。子局22は、監視回路(ないし検出回路)S2の監視データや検出データを、送受信回路22bを介して送受信アンテナ22aから、送信周波数f2を利用して、親局1へ送信する。
【0024】
以下、他の子局(23、2n)も同様に、送受信アンテナ(23a、2na)と送受信アンテナ(23a、2na)に接続された送受信回路(23b、2nb)とを有する。子局(23,2n)の送受信回路(23b、2nb)には、センサーやカメラなどの監視回路(ないし検出回路)(S3、Sn)が接続される。子局(23、2n)は、監視回路(ないし検出回路)(S3、Sn)の監視データや検出データを、送受信回路(23b、Snb)を介して送受信アンテナ(23a、2na)から、送信周波数(f3、fn)を利用して、親局1へ送信する。
【0025】
複数の子局(21、22、23、・・、2n)及び監視回路(ないし検出回路)(S1、S2、S3、・・、Sn)は、例えば、ある敷地内、やビル内に設けられて、人の動きを監視ないし検出するのに利用される。あるいは、たとえは、複数の子局(21、22、23、・・、2n)及び監視回路(ないし検出回路)(S1、S2、S3、・・、Sn)は、複数のドローン等の無人マルチコプタに設けられて、人の動き等の映像データを取得するのに利用される。
【0026】
これにより、子局を簡易(小型・ローコスト・低消費電力)に製作することが可能である。
【0027】
図3は、実施の形態に係る親局の受信回路の概念図である。
【0028】
親局1は、複数の子局から送信された周波数(f1、f2、f3、・・、fn)を受ける受信アンテナ1a1を有する。受信アンテナ1a1に接続された受信回路1b1は、プリセレクタ3、プリアンプ回路4及び受信回路5が設けられる。
【0029】
図4は、実施の形態に係る親局の送信回路の概念図である。
【0030】
親局1は、送信回路1b2と、送信回路1b2に接続された送信アンテナ1a2とを有する。送信回路1b2には、送信回路7、アンプ8及びフィルタ回路9が設けられる。送信アンテナ1a2は、周波数fuの送信信号を、複数の子局へ送信する。
【0031】
図5は、実施の形態に係る子局の受信回路の概念図である。
【0032】
ここでは、子局21を代表として説明する。子局21は、送信回路21b2と、送信回路21b2に接続された送信アンテナ21a2とを有する。送信回路21b2には、送信回路10、アンプ11及びフィルタ回路12が設けられる。送信アンテナ21a2は、周波数f1の送信信号を、親局1へ送信する。なお、他の子局(22、23、・・、2n)も同様に構成されるが、送信信号の周波数(f2、f3、・・、fn)は、子局(22、23、・・、2n)に応じて変更される。
【0033】
図6は、実施の形態に係る子局の送信回路の概念図である。
【0034】
ここでは、子局21を代表として説明する。子局21は、親局から送信された周波数(fu)を受ける受信アンテナ21a1を有する。受信アンテナ21a1に接続された受信回路21b1は、プリセレクタ13、プリアンプ回路14及び受信回路15が設けられる。
【0035】
図7は、実施の形態に係る親局の受信回路の概念的なブロック図である。
【0036】
親局の受信回路5は、周波数変換回路20と、サンプリング回路21と、信号処理回路22とを含む。周波数変換回路20は、プリアンプ回路4から供給される高周波信号(RF信号)を周波数コンバータにて、IF信号(中間周波数信号)に変換する。高周波信号(RF信号)は、前記複数の子局から受信した前記複数の子局の周波数(f1、f2、f3、・・、fn)の信号成分を含んでいる。中間周波数信号は、RF信号の周波数とベースバンド信号の周波数の間に設定した周波数とされる。
【0037】
IF信号は、サンプリング回路21のADコンバータにて、各子局に応じた周波数成分が抽出されて、信号処理回路22へ送られる。
【0038】
信号処理回路22は、複数のスライス受信回路SS1、SS2、・・、SSnを有する。第1スライス受信回路SS1は、数値制御発振回路NCO(f1)、ミキサ回路M1、レート変換回路、AGC回路及び復調回路を有する。スライス受信回路(SS2、・・、SSn)も、同様に、数値制御発振回路(NCO(f2)、・・、NCO(fn))、ミキサ回路(M2、・・、Mn)、レート変換回路、自動利得制御(AGC)回路及び復調回路を有する。
【0039】
代表として、第1スライス受信回路SS1の動作を説明する。数値制御発振回路NCO(f1)及びミキサ回路M1は、以降のフィルタ処理を容易化するため、IF信号の周波数をベースバンド側の周波数へシフトとさせる動作を行う。レート変換回路は、以降のフィルタ処理を容易化するため、データ量を減らす動作を行う。自動利得制御(AGC)回路は、レート変換回路によるレート変換により増加したビット数を低減する動作を行うもので、次段の復調回路による復調処理の計算量を低減することが出来る。このようにして、第1スライス受信回路SS1の復調回路から子局21の周波数f1を利用して送信された信号の復調出力(f1復調出力)が得られる。
【0040】
他のスライス受信回路(SS2、・・、SSn)に関しても、上記同様な信号処理を行うことにより、各子局(22、・・、2n)の復調出力(f2、・・fn復調出力)を得ることが出来る。
【0041】
図7において、数値制御発振回路NCO(f1)、ミキサ回路M1およびレート変換回路は、例えば、プログラマブルロジックデバイス(FPGA:field-programmable gate array)を利用して構成できる。また、自動利得制御(AGC)回路及び復調回路は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:digital signal processor)によって構成することが出来る。
【0042】
スライス受信回路(SS2、・・、SSn)の数は、
図1および
図2で説明した無線通信システムにおいて、それに利用される子局の数に対応してその数を増やしたり、減らしたりすることが出来る。したがって、無駄のない親局の受信回路5を構成することが出来る。
【0043】
なお、この構成は、子局の数がそれほど多くない場合に有効な構成である。
【0044】
(変形例)
図8は、変形例に係る親局の受信回路の概念的なブロック図である。
図8は、
図7の変形例であり、その異なる部分を以下に説明する。
【0045】
すなわち、
図7では、サンプリング回路21の出力を信号処理回路22へ供給する構成とされているが、
図8では、サンプリング回路21の出力が、数値制御発振回路NCO23及びミキサ回路M11、及びレート変換回路25がさらに設けられている。レート変換回路25の出力が、配線L1を介して、複数のスライス受信回路SS1、SS2、・・、SSnのそれぞれに供給される。
【0046】
数値制御発振回路NCO23及びミキサ回路M11、及びレート変換回路25は、数値制御発振回路NCO23及びミキサ回路M11により、IF信号の周波数を所望の周波数へ低減させ、レート変換回路25により、データ量を低減させる。なお、数値制御発振回路NCO23及びミキサ回路M11による周波数の変換は、IF信号の周波数と、数値制御発振回路NCO(f1)及びミキサ回路M1によってシフトされる周波数の間の周波数とすることが出来る。
【0047】
数値制御発振回路NCO23及びミキサ回路M11、及びレート変換回路25は、例えば、プログラマブルロジックデバイス(FPGA:field-programmable gate array)を利用して構成できる。信号処理回路22は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:digital signal processor)によって構成することが出来る。
【0048】
図8において、信号処理回路22が回路基板(第1回路基板)で構成する。複数のスライス受信回路SS1、SS2、・・、SSnにおいて、例えば、2つのスライス受信回路を1つのドータボード等の第2回路基板で構成する。そして、回路基板(第1回路基板)に、第2回路基板を増設することで、複数のスライス受信回路SS1、SS2、・・、SSnの数を増減させるような構成をとることが出来る。したがって、複数の子局(21、22、23、・・、2n)にセンサーを大量(数十〜100程度)に配置する用途に適している。
【0049】
この場合、前述の様に、配線L1には、IF信号の周波数より低減された所望の周波数及び低減されたデータ量の信号が供給されるので、配線L1についての回路基板(第1回路基板)の設計が容易になる。
【0050】
この変形例によれば、複数のスライス受信回路SS1、SS2、・・、SSnに供給される信号の周波数及びデータ量が低減されるので、
図7と比較して、子局の数が多い場合に有効な構成である。
【0051】
なお、上記の実施形態の構成は一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが出来ることは言うまでもない。