特許第6961376号(P6961376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961376
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20211025BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B05C5/00 101
   B05D1/26 Z
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-68926(P2017-68926)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-167241(P2018-167241A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2019年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 恵多
(72)【発明者】
【氏名】保科 貴彦
【審査官】 市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−211045(JP,A)
【文献】 実開昭54−067762(JP,U)
【文献】 特開平07−068206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00−3/18
7/00−9/08
B05C5/00−5/04
B05D1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを供給するディスペンサと、
前記ディスペンサと接続され、前記ディスペンサから供給される前記インクを吐出する吐出ノズルと、
前記吐出ノズルを移動させる駆動部と、
前記吐出ノズルを、鉛直方向を回転軸とした回転方向に回転させる回転駆動部と、
を含み、
前記吐出ノズルは、前記インクを吐出する吐出口が角部を有する形状であり、
前記角部は、前記駆動部により前記吐出ノズルの進行方向が第1方向から第2方向に変更される場合、第1方向の前方側かつ前記第2方向の後方側に設けられ、
前記回転駆動部は、前記角部が、第1方向の前方側かつ前記第2方向の後方側に設けられる向きに前記吐出ノズルを回転させ
前記回転駆動部は、前記吐出ノズルの所定の方向が前記吐出ノズルの進行方向となるように、前記吐出ノズルを回転させ、
前記吐出ノズルは、前記進行方向の後方側の部分が前記進行方向の前方側及び側方側の部分と比較して、前記吐出口を形成する吐出部の先端部分の面部の厚みが薄いことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記吐出口は、三角形または四角形であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
吐出口が角部を有する形状である吐出ノズルを駆動部により所定の方向に進行させながら、前記吐出ノズルによりディスペンサから供給されるインクを吐出することで印刷する第1印刷ステップと、
前記第1印刷ステップの後で、前記吐出ノズルを進行させる方向を第1方向から第2方向に変更し、かつ、回転駆動部で前記吐出ノズルを回転させ、前記角部が第1方向の前方側かつ第2方向の後方側となるように変更する進行方向変更ステップと、
前記吐出ノズルを前記駆動部により、前記進行方向変更ステップにより変更された方向に進行させながら、前記吐出ノズルにより前記ディスペンサから供給されるインクを吐出することで印刷する第2印刷ステップと、
を含み、
前記吐出ノズルは、前記進行方向の後方側の部分が前記進行方向の前方側及び側方側の部分と比較して、前記吐出口を形成する吐出部の先端部分の面部の厚みが薄いことを特徴とする印刷方法。
【請求項4】
前記吐出口は、三角形または四角形であることを特徴とする請求項に記載の印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドでは吐出が困難なインクを用いて印刷する方法として、ディスペンサを用いてインクを供給し、吐出ノズルよりインクを吐出して印刷する方法が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−147241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図11は、従来技術に係る印刷装置における吐出ノズル100の吐出部100a及び吐出口100bの概略構成を表す概略構成図である。図12は、従来技術に係る印刷装置を用いて印刷した印刷模様の一例である印刷模様P100の概略を表す概略図である。特許文献1を含む従来技術では、インクを吐出する吐出ノズル100は、図11に示すように、吐出部100aにおける吐出口100bが、円形状であった。このため、特許文献1を含む従来技術では、吐出口100bが円形状の吐出ノズル100を用いて、L字を描くように媒体Wを印刷することで、図12に示すような、L字の曲がり角の部分の外側に円弧部Rを有する印刷模様P100が形成される。このように、特許文献1を含む従来技術では、吐出ノズル100の吐出口100bが円形状であるために、シャープな曲がり角を描くことができず、円弧部Rが形成されてしまうという問題があった。すなわち、特許文献1を含む従来技術では、印刷がシャープにされず、不鮮明となってしまい、印刷品質が低下するという問題があった。
【0005】
また、特許文献1を含む従来技術では、ディスペンサを用いて印刷する場合、インクジェットヘッドでは吐出が困難なインク、すなわち、比較的粘度が高いインクを用いて印刷することが多いため、インクが媒体Wに染み込まれにくく、吐出ノズル100の吐出口100bの形状が、印刷模様P100の形状にはっきりと影響を及ぼしやすい。このため、ディスペンサを用いて印刷する場合、特に、印刷条件を調整することで円弧部Rを形成しないようにすることは困難であった。すなわち、ディスペンサを用いて印刷する場合、特に、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることは困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ディスペンサを用いて印刷する場合において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させた印刷装置及び印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の印刷装置は、インクを供給するディスペンサと、前記ディスペンサと接続され、前記ディスペンサから供給される前記インクを吐出する吐出ノズルと、前記吐出ノズルを移動させる駆動部と、を含み、前記吐出ノズルは、前記インクを吐出する吐出口が角部を有する形状であることを特徴とする。
【0008】
この構成において、前記角部は、前記駆動部により前記吐出ノズルの進行方向が第1方向から第2方向に変更される場合、第1方向の前方側かつ前記第2方向の後方側に設けられていることが好ましい。
【0009】
これらの構成において、前記吐出口は、三角形または四角形であることが好ましい。
【0010】
これらの構成において、前記吐出ノズルを、鉛直方向を回転軸とした回転方向に回転させる回転駆動部と、をさらに含むことが好ましい。
【0011】
回転駆動部を含む構成において、前記回転駆動部は、前記吐出ノズルの所定の方向が前記吐出ノズルの進行方向となるように、前記吐出ノズルを回転させることが好ましい。
【0012】
吐出ノズルの所定の方向が吐出ノズルの進行方向となるように吐出ノズルを回転させる構成において、前記吐出ノズルは、前記吐出口を形成する吐出部の先端部分の面積が小さいことが好ましい。あるいは、吐出ノズルの所定の方向が吐出ノズルの進行方向となるように吐出ノズルを回転させる構成において、前記吐出ノズルは、前記進行方向の後方側の部分が前記進行方向の前方側及び側方側の部分と比較して、前記吐出口を形成する吐出部の先端部分の面積が小さいことが好ましい。
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の印刷方法は、吐出口が角部を有する形状である吐出ノズルを駆動部により所定の方向に進行させながら、前記吐出ノズルによりディスペンサから供給されるインクを吐出することで印刷する第1印刷ステップと、前記第1印刷ステップの後で、前記吐出ノズルを進行させる方向を前記第1方向から前記第2方向に、前記角部が第1方向の前方側かつ第2方向の後方側となるように変更する進行方向変更ステップと、前記吐出ノズルを前記駆動部により、前記進行方向変更ステップにより変更された方向に進行させながら、前記吐出ノズルにより前記ディスペンサから供給されるインクを吐出することで印刷する第2印刷ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
この構成において、前記吐出口は、三角形または四角形であることが好ましい。
【0015】
これらの構成において、前記進行方向変更ステップでは、前記吐出ノズルを、鉛直方向を回転軸とした回転方向に回転させる回転駆動部により、前記吐出ノズルを進行させる方向の変更に応じて、前記吐出ノズルを回転させることが好ましい。
【0016】
回転駆動部により吐出ノズルをインクの吐出方向の回りに回転させる構成において、前記進行方向変更ステップでは、前記回転駆動部により、前記吐出ノズルの所定の方向が前記吐出ノズルの進行方向となるように、前記吐出ノズルを回転させることが好ましい。
【0017】
吐出ノズルの所定の方向が吐出ノズルの進行方向となるように吐出ノズルを回転させる構成において、前記吐出ノズルは、前記吐出口を形成する吐出部の先端部分の面積が小さいことが好ましい。あるいは、吐出ノズルの所定の方向が吐出ノズルの進行方向となるように吐出ノズルを回転させる構成において、前記吐出ノズルは、前記進行方向の後方側の部分が前記進行方向の前方側及び側方側の部分と比較して、前記吐出口を形成する吐出部の先端部分の面積が小さいことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ディスペンサを用いて印刷する場合において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させた印刷装置及び印刷方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態1に係る印刷装置の概略構成を表す概略構成図である。
図2図2は、実施形態1に係る印刷装置における吐出ノズルの吐出部及び吐出口の概略構成を表す概略構成図である。
図3図3は、実施形態1に係る印刷方法の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態1に係る印刷装置を用いて印刷した印刷模様の一例の概略を表す概略図である。
図5図5は、実施形態1に係る印刷装置を用いて印刷した印刷模様の別の一例の概略を表す概略図である。
図6図6は、実施形態1に係る印刷装置を用いて印刷した印刷模様のさらに別の一例の概略を表す概略図である。
図7図7は、実施形態2に係る印刷装置のキャリッジの概略構成を表す概略構成図である。
図8図8は、実施形態3に係る印刷装置における吐出ノズルの吐出部及び吐出口の概略構成を表す概略構成図である。
図9図9は、実施形態3に係る印刷装置を用いて印刷した印刷模様の一例の概略を表す概略図である。
図10図10は、実施形態4に係る印刷装置を用いて印刷した印刷模様の別の一例の概略を表す概略図である。
図11図11は、従来技術に係る印刷装置における吐出ノズルの吐出部及び吐出口の概略構成を表す概略構成図である。
図12図12は、従来技術に係る印刷装置を用いて印刷した印刷模様の一例の概略を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0021】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る印刷装置10の概略構成を表す概略構成図である。印刷装置10は、図1に示すように、ディスペンサ12と、媒体保持部13と、三次元方向駆動部14と、キャリッジ16と、を含む。ディスペンサ12は、制御に応じて、高圧力で液体を押し出すことで、一定の容量の液体を供給する液体定量供給装置であり、印刷装置10に用いられるインクを供給する。
【0022】
ディスペンサ12によって供給されるインクは、いかなるインクでもよいが、紫外線が照射されて露光することで硬化度が変化する紫外線硬化型インクが例示される。ディスペンサ12によって供給されるインクは、インクジェットヘッドで供給することが困難な高粘度インク、例えば、粘度が20mPa・sより高いインクを用いることが好ましく、粘度が50mPa・s以上のインクを用いることがより好ましく、粘度が100mPa・s以上のインクを用いることがさらに好ましい。ディスペンサ12によって供給されるインクは、ディスペンサ12の機種や性能等に応じて、粘度の上限が決まる。
【0023】
また、ディスペンサ12によって供給されるインクは、フィラーを含んでもよい。フィラーは、一般的なインクジェットヘッドで供給することが困難なサイズのもの、例えば、一般的なインクジェットヘッドのノズルよりも大きなものが例示される。フィラーは、具体的には、直径が1mm以上のものが例示される。ここで、直径が1mm以上のフィラーを含むとは、設計上のサイズが1mm以上であるフィラーを含むことを指す。
【0024】
図1では、ディスペンサ12が1つのみ描かれているが、本発明はこれに限定されず、ディスペンサが複数設けられていてもよい。例えば、M(マゼンタ)、C(シアン)、Y(イエロー)、K(ブラック)のインクを別々に供給するディスペンサが設けられていてもよい。また、その他の色の組み合わせのインクを別々に供給するディスペンサが設けられていてもよい。
【0025】
フィラーは、具体的には、光沢性の粒子及び蛍光粒子が例示される。光沢性の粒子は、メタリック顔料及びパール顔料等が例示される。蛍光粒子は、インクに添加されることで、蓄光インクとするものである。また、フィラーの形状は、いかなる形状であってもよく、球状、多角形状、楕円状、リーフ状及び鱗片状等が例示される。
【0026】
媒体保持部13は、水平面方向、すなわち図1に示すXY平面方向に沿って延びる板状の部材である。媒体保持部13は、印刷装置10によって印刷される被印刷体としての媒体Wを、被印刷面を鉛直方向の上側、すなわち図1に示す+Z方向に向けて、+Z方向に向けられた面で保持する。媒体保持部13は、具体的には、媒体保持部13の鉛直方向の下側、すなわち図1に示す−Z方向から真空引きをして、媒体Wを−Z方向に吸着することで、媒体Wを吸着保持し、固定する形態が例示される。媒体保持部13は、この形態に限定されず、媒体Wを保持して固定する形態であれば、いかなる形態であってもよい。
【0027】
媒体保持部13に保持される媒体Wは、インクを浸透させやすい性質を持つために、高粘度インクで印刷されることが好ましいもの、例えば繊維製品が例示される。媒体Wは、繊維製品である場合、具体的には、スチレン製のボードに着せられて、糊をつけてのばされたTシャツ等の衣類が例示される。媒体Wは、この形態に限定されず、いかなる形態であってもよい。
【0028】
三次元方向駆動部14は、キャリッジ16を三次元方向に移動させる駆動部であり、副走査方向駆動部14xと、主走査方向駆動部14yと、鉛直方向駆動部14zと、回転駆動部14rと、を含む。回転駆動部14rは、キャリッジ16を、図1に示すZ軸に沿う方向の回りの回転方向rに回転可能に支持する。回転駆動部14rは、キャリッジ16を、回転方向rに回転させることができる。鉛直方向駆動部14zは、回転駆動部14rを、印刷装置10の鉛直方向、すなわち図1に示すZ軸方向に沿う方向に移動可能に支持する。鉛直方向駆動部14zは、回転駆動部14rを介して、キャリッジ16をZ軸方向に沿う方向に移動させることができる。主走査方向駆動部14yは、鉛直方向駆動部14zを、印刷装置10の主走査方向、すなわち図1に示すY軸方向に沿う方向に移動可能に支持する。主走査方向駆動部14yは、鉛直方向駆動部14z及び回転駆動部14rを介して、キャリッジ16をY軸方向に沿う方向に移動させることができる。副走査方向駆動部14xは、主走査方向駆動部14yを、印刷装置10の副走査方向、すなわち図1に示すX軸方向に沿う方向に移動可能に支持する。副走査方向駆動部14xは、主走査方向駆動部14y、鉛直方向駆動部14z及び回転駆動部14rを介して、キャリッジ16をX軸方向に沿う方向に移動させることができる。このように、三次元方向駆動部14は、キャリッジ16を、副走査方向、主走査方向及び鉛直方向の各方向に沿う方向に移動可能に支持し、鉛直方向を回転軸とした回転方向に回転可能に支持する。
【0029】
キャリッジ16は、紫外線照射器18と、吐出ノズル20と、を支持している。吐出ノズル20は、吐出部20aを有する。吐出部20aは、吐出口20bを有する。吐出部20aの吐出口20bは、媒体保持部13の+Z方向に向けられた面に対向して設けられている。吐出ノズル20は、供給路21によりディスペンサ12と接続されており、ディスペンサ12からインクの供給を受ける。吐出ノズル20は、ディスペンサ12から供給されたインクを、媒体保持部13に保持された媒体Wに向けて、鉛直方向下側に沿う方向に、すなわち図1に示す−Z軸方向に沿う方向に、吐出部20aの吐出口20bより吐出する。紫外線照射器18は、吐出ノズル20から吐出された紫外線硬化型インクに紫外線を照射することで、紫外線硬化型インクを硬化させ、媒体W上の印刷模様として固定化させる。
【0030】
紫外線照射器18及び吐出ノズル20は、キャリッジ16に支持されているため、互いの位置関係を変えることなく、キャリッジ16を介して、三次元方向駆動部14により、副走査方向、主走査方向及び鉛直方向の各方向に沿う方向に移動可能に支持され、鉛直方向に沿う方向の回りの回転方向に回転可能に支持されている。すなわち、三次元方向駆動部14は、キャリッジ16を介して、紫外線照射器18及び吐出ノズル20を、互いの位置関係を変えることなく、副走査方向、主走査方向及び鉛直方向に移動させる。また、三次元方向駆動部14は、キャリッジ16を介して、紫外線照射器18及び吐出ノズル20を、互いの位置関係を変えることなく、鉛直方向を回転軸とした回転方向に回転させて向きを変更させることができる。
【0031】
供給路21は、ディスペンサ12の鉛直方向下側と、吐出ノズル20の鉛直方向上側と、を接続する。供給路21は、ディスペンサ12から吐出ノズル20へのインクの供給を可能にする。供給路21は、分岐21aが設けられており、分岐21aには、循環路22が接続されている。循環路22は、供給路21に設けられた分岐21aと、ディスペンサ12の鉛直方向上側と、を接続する。循環路22は、分岐21aからディスペンサ12の鉛直方向上側にある入口へのインクの循環を可能にする。循環路22は、ディスペンサ12の周囲でインクの循環を可能にすることで、インクが凝集しやすい性質を持つ場合でも、インクの凝集を有効に抑制することができるため、印刷装置10による印刷品質の低下を抑制することができる。なお、供給路21及び循環路22は、途中に流量制御をするためのレギュレータ及びポンプ等が設けられても良い。
【0032】
図1では、吐出ノズル20が1つのみ描かれているが、本発明はこれに限定されず、ディスペンサの設けられている個数に応じて、吐出ノズルが複数設けられていてもよい。例えば、M(マゼンタ)、C(シアン)、Y(イエロー)、K(ブラック)のインクを別々に供給するディスペンサにそれぞれ接続された吐出ノズルが設けられていてもよい。また、その他の色の組み合わせのインクを別々に供給するディスペンサにそれぞれ接続された吐出ノズルが設けられていてもよい。
【0033】
印刷装置10は、また、図1に示すように、制御部24と、入力部26と、を含む。制御部24は、ディスペンサ12、三次元方向駆動部14及び紫外線照射器18を制御する。具体的には、制御部24は、ディスペンサ12において、インクを押し出す機構における駆動部分を制御することで、インクを供給するか否かを制御する。制御部24は、ディスペンサ12からインクを供給する場合、インクを押し出す圧力、及び、供給する液体量等を制御することで、吐出ノズル20から吐出するインクの吐出量、吐出のタイミング、吐出期間等を制御する。また、制御部24は、三次元方向駆動部14を制御することで、キャリッジ16の位置、向き、移動速度等を制御する。また、制御部24は、紫外線照射器18を制御することで、紫外線の照射をするか否かを制御する。制御部24は、紫外線を照射する場合、紫外線の照射強度、紫外線の照射のタイミング、照射期間等を制御する。また、制御部24は、供給路21及び循環路22において途中に流量制御をするためのレギュレータ及びポンプ等が設けられている場合、これらのレギュレータ及びポンプ等を制御する。
【0034】
制御部24は、記憶部と処理部とを含む。記憶部は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、処理部により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。具体的には、記憶部は、処理部に後述する本実施形態に係る印刷方法を実行させるためのプログラムを記憶する。また、記憶部は、処理部が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。処理部は、記憶部からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能を発揮する。具体的には、処理部は、記憶部に記憶されたプログラムを読み出して処理することで、本実施形態に係る印刷方法を実行するための制御部24として機能し、本実施形態に係る印刷方法を実行する。制御部24は、これらの各部の処理条件を記憶部に記憶させたり、制御部24に設けられた表示部に表示したりすることができる。制御部24は、コンピュータが例示される。
【0035】
制御部24は、ディスペンサ12からインクを供給させて媒体Wに印刷をする場合、鉛直方向駆動部14zを制御することで、吐出ノズル20の吐出口20bを媒体Wと接触させるか、または、吐出口20bを媒体Wと所定のクリアランス以下の間隔を有するまで接近させてから、ディスペンサ12を制御して、ディスペンサ12からインクを供給させて、印刷をする。制御部24は、ディスペンサ12からインクの供給を停止させて媒体Wに印刷をしない場合、ディスペンサ12を制御して、ディスペンサ12からインクの供給を停止させてから、鉛直方向駆動部14zを制御することで、吐出口20bを媒体Wと所定のクリアランス以上の間隔を有するまでに離間させることを可能にする。ここで、所定のクリアランスとは、吐出ノズル20の吐出口20bから媒体Wへ向けてインクを吐出した際に、インクが媒体Wの所望の場所に吐出される最大距離のことである。
【0036】
制御部24は、紫外線照射器18に対して吐出ノズル20が設けられている側が、キャリッジ16の進行方向、すなわち印刷装置10によって印刷する方向となるように、キャリッジ16の向き及び進行方向を制御する。このため、吐出ノズル20のすぐ後方を進行する紫外線照射器18は、吐出ノズル20の吐出口20bから吐出されたインクに対してすぐに紫外線を照射して、硬化させることができる。
【0037】
制御部24は、入力部26と有線又は無線等で接続されており、入力部26から入力される入力情報を受信し、この入力情報に応じて、上記したように各部を制御する。入力部26は、制御部24に有線又は無線等で接続されるPC、種々の端末等であり、インクの吐出制御量や紫外線の照射制御量等の設定に関する情報を入力情報として受け付ける。入力部26は、入力された入力情報を制御部24に送信する。
【0038】
入力部26が入力を受け付ける入力情報は、絵や柄等の印刷模様及び媒体Wに関する情報等が例示される。制御部24は、入力部26よりこの入力情報を取得すると、絵や柄等の印刷模様を、印刷の線及び書き順(ルート)に変換し、さらに、ディスペンサ12によるインクの供給の制御、吐出ノズル20の鉛直方向の昇降及びXY平面方向の移動の制御、及び紫外線照射器18の紫外線照射の制御等のシーケンスに変換する。
【0039】
図2は、実施形態1に係る印刷装置10における吐出ノズル20の吐出部20a及び吐出口20bの概略構成を表す概略構成図である。図2は、吐出ノズル20を−Z軸方向側から見た図、すなわち媒体保持部13の+Z方向に向けられた面の側から見た図である。吐出部20aは、インクが流れる流路であり、インクが流れる流路が、図2に示すように、面部20cと、面部20dと、面部20eと、面部20fと、を含む。面部20c、面部20d、面部20e及び面部20fは、いずれも長方形状の板部材であり、直方体状の吐出部20aの各側面を形成している。図2は、面部20c、面部20d、面部20e及び面部20fのうち、吐出部20aの先端側の端部となる辺、つまり、媒体保持部13の+Z方向に向けられた面(媒体保持部13の鉛直方向上側の面)に対向する辺を示している。
【0040】
吐出部20aに対して面部20eが配されている側に、紫外線照射器18が配されている。これにより、制御部24は、吐出ノズル20の所定の方向である面部20cの方向が吐出ノズルの進行方向となり、かつ、吐出ノズル20の面部20eの方向が吐出ノズルの進行方向の後方側の端部となるように、キャリッジ16を介して、吐出ノズル20を回転させることで、吐出ノズル20の向きを制御する。
【0041】
吐出部20aに含まれる面部20c、面部20d、面部20e及び面部20fは、いずれも、厚みが薄ければ薄いほど好ましい。すなわち、吐出ノズル20は、吐出部20aの流路を形成する構造物である先端部分の面積が小さければ小さいほど好ましい。この場合、キャリッジ16を介して吐出ノズル20を移動または回転させる際に、吐出ノズル20によって吐出されたインクを引きずる面積が低減されるため、インクを引きずることによって生じる印刷かすれに伴う印刷品質の低下を低減することができる。
【0042】
吐出ノズル20は、進行方向の後方側の端部となる面部、すなわち、紫外線照射器18が配されている側の面部20eの厚みが、薄ければ薄いほど好ましい。すなわち、吐出ノズル20は、進行方向の後方側となる部分の吐出部20aの先端部分の面積が小さければ小さいほど好ましい。例えば、吐出ノズル20は、進行方向の後方側の部分である面部20eが、進行方向の前方側の部分である面部20c及び進行方向の側方側の部分である面部20d及び面部20fと比較して、厚みが薄いことが好ましい。すなわち、吐出ノズル20は、進行方向の後方側の部分が進行方向の前方側及び側方側の部分と比較して、吐出部20aの先端部分の面積が小さいことが好ましい。この場合、吐出ノズル20によって吐出された直後のインクを引きずる面積が低減されるため、吐出された直後のインクを引きずることによって生じる印刷かすれに伴う印刷品質の低下を低減することができる。
【0043】
面部20c、面部20d、面部20e及び面部20fは、吐出部20aの先端部分において、図2に示すように、吐出口20bを形成する。すなわち、吐出部20aは、先端部分において、吐出口20bを形成する。吐出口20bは、図2に示すように、角部20gと、角部20hと、角部20iと、角部20jと、を有する四角形の形状である。角部20gは、面部20fと面部20cとによって形成されている。角部20hは、面部20cと面部20dとによって形成されている。角部20iは、面部20dと面部20eとによって形成されている。角部20jは、面部20eと面部20fとによって形成されている。
【0044】
吐出口20bは、角部20g、角部20h、角部20i及び角部20jを有する形状であるので、ディスペンサ12を用いて印刷する場合において、印刷模様に角部を形成することができるため、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。角部20g、角部20h、角部20i及び角部20jは、いずれも、各角部の角度以上の印刷模様の角部を形成することができる。
【0045】
吐出口20bは、三次元方向駆動部14により吐出ノズル20の進行方向が第1方向から第2方向に変更される場合、角部20g、角部20h、角部20i及び角部20jのうち少なくとも1つが、第1方向の前方側かつ第2方向の後方側に設けられていることが好ましい。この場合、ディスペンサ12を用いて印刷する場合において、第1方向の前方側かつ第2方向の後方側に設けられている角部により、印刷模様に角部を形成することができる。
【0046】
吐出口20bは、三角形または四角形であることが好ましく、本実施形態では四角形であるので、印刷する方向が複数の方向、具体的には4つの方向において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。また、吐出口20bは、角部20g、角部20h、角部20i及び角部20jが互いに等しくて直角であることが好ましく、すなわち、長方形または正方形の形状であることが好ましい。この場合、この吐出口20bを含む印刷装置10は、さらに上記した複数の方向のどの方向であるかに依らず、直角以上の角度の印刷模様の角部を形成できるので、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0047】
なお、特定の吐出口の角部のみを小さい角度とすることで、小さい角度の印刷模様の角部を形成することができる。
【0048】
印刷装置10は、ディスペンサ12を用いて印刷するため、上記のように比較的粘度が高いインクを用いて印刷することが多いので、インクが媒体Wに染み込まれにくく、吐出ノズル20の吐出口20bの形状が、印刷模様の形状にはっきりと影響を及ぼしやすい。そこで、印刷装置10は、以上のような構成を有するため、インクを吐出する吐出口20bが角部20g、角部20h、角部20i及び角部20jを有するので、角部20g、角部20h、角部20i及び角部20jにより印刷模様の角部を形成できる。これにより、印刷装置10は、ディスペンサ12を用いて印刷する場合において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0049】
印刷装置10は、三次元方向駆動部14により吐出ノズル20の進行方向が第1方向から第2方向に変更される場合、角部20g、角部20h、角部20i及び角部20jのうち少なくとも1つが、第1方向の前方側かつ第2方向の後方側に設けられているので、ディスペンサ12を用いて印刷する場合において、第1方向の前方側かつ第2方向の後方側に設けられている角部により、印刷模様に角部を形成することができる。
【0050】
印刷装置10は、吐出ノズル20の吐出口20bが四角形であり、四方向にそれぞれ角部20g、角部20h、角部20i及び角部20jを有しているため、いずれの角部によっても印刷模様の角部を形成できるので、印刷する方向が複数の方向において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0051】
印刷装置10は、吐出ノズル20を、鉛直方向を回転軸とした回転方向rに回転させる回転駆動部14rをさらに含むため、印刷模様の角部を形成するための吐出ノズル20の角部を任意の方向に配置することができるので、印刷する方向が任意の方向において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。印刷装置10は、さらに、吐出ノズル20の所定の方向である面部20cが吐出ノズル20の進行方向となるように、吐出ノズル20を回転させるため、印刷する形状が角部を含む場合でも、曲線部を含む場合でも、印刷する幅を一定にして印刷することができる。
【0052】
印刷装置10は、さらに、吐出ノズル20が、吐出口20bを形成する吐出部20aの先端部分の面積が小さいことが好ましい。あるいは、印刷装置10は、さらに、進行方向の後方側の部分が進行方向の前方側及び側方側の部分と比較して、吐出口20bを形成する吐出部20aの先端部分の面積が小さいことが好ましい。これらの場合、印刷装置10は、吐出ノズル20が、進行方向の後方側の面部20eにより、吐出されたインクを引きずる面積が低減されるため、インクを引きずることによって生じる印刷かすれに伴う印刷品質の低下を低減することができる。
【0053】
図3は、実施形態1に係る印刷方法の一例を示すフローチャートである。図4は、実施形態1に係る印刷装置10を用いて印刷した印刷模様の一例である印刷模様P1、印刷模様P2及び印刷模様P3の概略を表す概略図である。図3及び図4を用いて、実施形態1に係る印刷装置10の動作方法の一例として、印刷模様P1、印刷模様P2及び印刷模様P3を印刷する場合の印刷方法を説明する。実施形態1に係る印刷方法は、図3に示すように、第1印刷ステップ(ステップS12)と、進行方向変更ステップ(ステップS14)と、第2印刷ステップ(ステップS16)とを含む。
【0054】
図4に示す印刷模様は、媒体Wの一方の面である+Z方向に向けられた面に形成されたものであり、具体的には、印刷模様P1と、印刷模様P2と、印刷模様P3とを含み、L字状の形状を有する。印刷模様P1は、図4における縦方向に沿って延びる、吐出ノズル20の吐出口20bのうち面部20dと面部20fとの間の距離に相当する一定の幅を持った直線状の印刷線であり、L字の縦線の部分である。印刷模様P3は、図4における横方向に沿って延びる、印刷模様P1と同様の一定の幅を持った直線状の印刷線であり、L字の横線の部分である。印刷模様P2は、印刷模様P1と印刷模様P3とを接続しており、L字の曲がり角の部分であり、吐出ノズル20の吐出口20bに対応した四角形状となっている。印刷模様P2は、曲がり角の外側の部分に、角部Cを有する。角部Cは、シャープに、鮮明に、角が形成されている。そのため、角部Cを含むこの印刷模様は、印刷品質が高いものとなっている。角部Cは、例えば、シャープで鮮明な直角に形成されている。
【0055】
まず、制御部24は、回転駆動部14rを制御することで、吐出ノズル20の吐出口20bにおける面部20cを、吐出ノズル20の進行方向に、すなわち最初の印刷方向である+X方向に向ける。そして、制御部24は、鉛直方向駆動部14zを制御することで、吐出ノズル20の吐出口20bを媒体Wと接触させるか、または、吐出口20bを媒体Wと所定のクリアランス以下の間隔を有するまで接近させる。そして、制御部24は、副走査方向駆動部14xを制御して吐出ノズル20を+X方向に進行させながら、ディスペンサ12を制御して、ディスペンサ12からインクを供給させて、吐出ノズル20によりディスペンサ12から供給されるインクを媒体W上に吐出する。これに合わせて、制御部24は、紫外線照射器18を制御して、媒体W上に吐出されたインクを硬化させることで、X軸方向に延びる印刷模様P1及び印刷模様P2を形成する(ステップS12)。
【0056】
ステップS12の後、制御部24は、まず、ディスペンサ12を制御して、ディスペンサ12からのインクの供給を停止させる。そして、制御部24は、鉛直方向駆動部14zを制御することで、吐出ノズル20の吐出口20bを媒体Wと所定のクリアランス以上の間隔を有するまでに離間させる。そして、制御部24は、回転駆動部14rを制御することで、吐出ノズル20の吐出口20bにおける面部20cを、吐出ノズル20の次の進行方向に、すなわち次の印刷方向である+Y方向に向ける。また、制御部24は、吐出ノズル20の吐出口20bを、印刷模様P2に重ねるような位置に移動させる。そして、制御部24は、鉛直方向駆動部14zを制御することで、吐出ノズル20の吐出口20bを媒体Wと接触させるか、または、吐出口20bを媒体Wと所定のクリアランス以下の間隔を有するまで接近させる。これにより、ステップS12の直後に角部20gがあった位置に重ねられるようにして、吐出口20bにおける角部20jが配置される。このように、制御部24は、吐出口20bにおける角部20jが、第1方向である+X方向の前方側、かつ、第2方向である+Y方向の後方側となるように、吐出ノズル20を進行させる方向を変更する(ステップS14)。
【0057】
ステップS14の後、制御部24は、主走査方向駆動部14yを制御して吐出ノズル20を+Y方向に進行させながら、ディスペンサ12を制御して、ディスペンサ12からインクを供給させて、吐出ノズル20によりディスペンサ12から供給されるインクを媒体W上に吐出する。これに合わせて、制御部24は、紫外線照射器18を制御して、媒体W上に吐出されたインクを硬化させることで、印刷模様P2と接続された形で、Y軸方向に延びる印刷模様P3を形成する(ステップS16)。
【0058】
角部20g及び角部20jは直角であり、印刷模様P2の角部Cは直角であることから、印刷模様P2の角部Cは角部20g及び角部20jと等しいため、角部20g及び角部20jは印刷模様P2の角部Cを形成することができる。ステップS12の直後に角部Cの位置に角部20gが配置され、その角部Cの位置に重ねられるようにして、ステップS16の直前に、角部20jが配置されることで、角部20g及び角部20jにより、印刷模様P2の角部Cがシャープに、鮮明に、品質よく、形成される。
【0059】
実施形態1に係る印刷方法は、以上のような構成を有するため、吐出口20bにおける角部20gが、第1方向である+X方向の前方側、かつ、第2方向である+Y方向の後方側となるように、吐出ノズル20を進行させる方向を変更するため、吐出口20bにおける角部20gにより印刷模様P2の角部Cを形成できるので、ディスペンサ12を用いて印刷する場合において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0060】
実施形態1に係る印刷方法は、吐出ノズル20の吐出口20bが四角形であり、四方向にそれぞれ角部20g、角部20h、角部20i及び角部20jを有しているため、いずれの角部によっても印刷模様の角部を形成できるので、印刷する方向が複数の方向において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0061】
実施形態1に係る印刷方法は、吐出ノズル20を、鉛直方向を回転軸とした回転方向rに回転させる回転駆動部14rをさらに含むため、印刷模様の角部を形成するための吐出ノズル20の角部を任意の方向に配置することができるので、印刷する方向が任意の方向において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0062】
実施形態1に係る印刷方法は、ステップS14において、制御部24が、鉛直方向駆動部14zを制御することで、吐出ノズル20の吐出口20bを媒体Wと所定のクリアランス以上の間隔を有するまでに離間させてから、吐出ノズル20の進行方向を変更している。このため、実施形態1に係る印刷方法は、インクを引きずることによって生じる印刷かすれに伴う印刷品質の低下を低減することができる。
【0063】
実施形態1に係る印刷方法は、これに限定されず、ステップS14において、制御部24が、鉛直方向駆動部14zを制御することで、吐出ノズル20の吐出口20bを媒体Wと所定のクリアランス以上の間隔を有するまでに離間させる動作を省いてもよい。この場合でも、実施形態1に係る印刷方法は、吐出ノズル20が、吐出口20bを形成する吐出部20aの先端部分の面積が小さいため、あるいは、吐出ノズル20が、進行方向の後方側の部分が進行方向の前方側及び側方側の部分と比較して、吐出口20bを形成する吐出部20aの先端部分の面積が小さいため、インクを引きずることによって生じる印刷かすれに伴う印刷品質の低下を低減することができる。
【0064】
図5は、実施形態1に係る印刷装置10を用いて印刷した印刷模様の別の一例である印刷模様P4の概略を表す概略図である。図5を用いて、実施形態1に係る印刷装置10の動作方法の別の一例として、印刷模様P4を印刷する場合の印刷方法を説明する。
【0065】
図5に示す印刷模様は、媒体Wの一方の面である+Z方向に向けられた面に形成されたものであり、具体的には、印刷模様P4を含み、緩やかな曲線部で構成されたS字状の形状を有する。印刷模様P4は、各部分の印刷幅d1、印刷幅d2、印刷幅d3、印刷幅d4及び印刷幅d5が、同じであり、吐出ノズル20の吐出口20bのうち面部20dと面部20fとの間の距離に相当する長さである。すなわち、印刷模様P4は、印刷幅が一定の緩やかな曲線部を含んでいる。
【0066】
まず、実施形態1に係る印刷方法の別の形態は、インクが吐出されるまでの手順については、ステップS12のインクが吐出されるまでの手順と同様である。具体的には、制御部24は、回転駆動部14rを制御することで、吐出ノズル20の吐出口20bにおける面部20cを、吐出ノズル20の進行方向に、すなわち最初の印刷方向である図5における左下やや下よりの方向に向ける。そして、制御部24は、鉛直方向駆動部14zを制御することで、吐出ノズル20の吐出口20bを媒体Wと接触させるか、または、吐出口20bを媒体Wと所定のクリアランス以下の間隔を有するまで接近させる。
【0067】
そして、実施形態1に係る印刷方法の別の形態は、インクが吐出される際の手順については、曲線部を含む印刷模様P4を形成するため、上記した曲線部を含まない印刷模様P1,印刷模様P2及び印刷模様P3を形成した実施形態1に係る印刷方法とは異なる。具体的には、制御部24は、回転駆動部14rを制御して吐出ノズル20の吐出口20bにおける面部20cを常に印刷模様P4に沿う方向に向けるようにして、副走査方向駆動部14x及び主走査方向駆動部14yを制御して吐出ノズル20を印刷模様P4に沿う方向に進行させながら、ディスペンサ12を制御して、ディスペンサ12からインクを供給させて、吐出ノズル20によりディスペンサ12から供給されるインクを媒体W上に吐出する。これに合わせて、制御部24は、紫外線照射器18を制御して、媒体W上に吐出されたインクを硬化させることで、緩やかな曲線部で構成されたS字状の印刷模様P4を形成する。
【0068】
実施形態1に係る印刷方法の別の形態は、吐出ノズル20を、鉛直方向を回転軸とした回転方向rに回転させる回転駆動部14rをさらに含み、加えて、吐出ノズル20の所定の方向である面部20cが吐出ノズル20の進行方向となるように、吐出ノズル20を回転させるため、印刷する形状が曲線部を含む場合でも、印刷する幅を一定にして印刷することができる。
【0069】
図6は、実施形態1に係る印刷装置10を用いて印刷した印刷模様のさらに別の一例である印刷模様P5の概略を表す概略図である。図6を用いて、実施形態1に係る印刷装置10の動作方法のさらに別の一例として、印刷模様P5を印刷する場合の印刷方法を説明する。
【0070】
図6に示す印刷模様は、媒体Wの一方の面である+Z方向に向けられた面に形成されたものであり、具体的には、印刷模様P5を含み、直線部、角部C1及び角部C2で構成された直線の線分を組み合わせたS字状の形状を有する。角部C1及び角部C2の角度は、それぞれ、角部20g、角部20h、角部20i及び角部20jの角度と等しいか、あるいはそれより大きい。印刷模様P5は、各部分の印刷幅d6、印刷幅d7、印刷幅d8、及び印刷幅d9が同じであり、吐出ノズル20の吐出口20bのうち面部20dと面部20fとの間の距離に相当する長さである。すなわち、印刷模様P5は、印刷幅が一定であり、角部を含んでいる。
【0071】
まず、実施形態1に係る印刷方法のさらに別の形態は、インクが吐出されるまでの手順については、ステップS12のインクが吐出されるまでの手順と同様である。具体的には、制御部24は、回転駆動部14rを制御することで、吐出ノズル20の吐出口20bにおける面部20cを、吐出ノズル20の進行方向に、すなわち最初の印刷方向である図6における左下やや下よりの方向に向ける。そして、制御部24は、鉛直方向駆動部14zを制御することで、吐出ノズル20の吐出口20bを媒体Wと接触させるか、または、吐出口20bを媒体Wと所定のクリアランス以下の間隔を有するまで接近させる。
【0072】
そして、実施形態1に係る印刷方法のさらに別の形態は、インクが吐出される際の手順については、一定の幅を持った直線状の部分と、その直線状の部分を繋ぎ合わせる曲がり角の部分と、からなる印刷模様P5を形成するため、上記した印刷模様P1,印刷模様P2及び印刷模様P3を形成した実施形態1に係る印刷方法と同様である。具体的には、まず、印刷模様P5のうち、角部C1までの印刷線を、ステップS12及びステップS16と同様の方法で形成する。次に、角部C1の所まで吐出ノズル20を進行させた後、ステップS14と同様の方法で、角部C2の所へ進行するように吐出ノズル20の進行方向を変更する。次に、印刷模様P5のうち、角部C1から角部C2までの印刷線を、ステップS12及びステップS16と同様の方法で形成する。次に、角部C2の所まで吐出ノズル20を進行させた後、ステップS14と同様の方法で、印刷の終了地点へ進行するように吐出ノズル20の進行方向を変更する。最後に、印刷模様P5のうち、角部C2から印刷の終了地点までの印刷線を、ステップS12及びステップS16と同様の方法で形成する。
【0073】
角部20g及び角部20jは、印刷模様P5の角部C1と等しいか、あるいはそれより小さいため、角部20g及び角部20jは印刷模様P5の角部C1を形成することができる。角部20h及び角部20iは、印刷模様P5の角部C2と等しいか、あるいはそれより小さいため、角部20h及び角部20iは印刷模様P5の角部C2を形成することができる。角部C1の所で吐出ノズル20の進行方向を変更する際、角部C1の位置に角部20gが配置され、印刷模様の角部と吐出ノズル20の角部の角度の差に応じて回転方向にずらした状態で、その位置に重ねられるようにして、角部20jが配置されることで、角部20g及び角部20jにより、印刷模様P5の角部C1がシャープに、鮮明に、品質よく、形成される。角部C2の所で吐出ノズル20の進行方向を変更する際、角部C2の位置に角部20hが配置され、その位置に重ねられるようにして、角部20iが配置されることで、角部20h及び角部20iにより、印刷模様P5の角部C2がシャープに、鮮明に、品質よく、形成される。
【0074】
実施形態1に係る印刷方法のさらに別の形態は、吐出ノズル20を、鉛直方向を回転軸とした回転方向rに回転させる回転駆動部14rをさらに含み、加えて、吐出ノズル20の所定の方向である面部20cが吐出ノズル20の進行方向となるように、吐出ノズル20を回転させるため、印刷する形状が角部を含む場合でも、印刷する幅を一定にして印刷することができる。
【0075】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る印刷装置のキャリッジ32の概略構成を表す概略構成図である。実施形態2に係る印刷装置は、実施形態1に係る印刷装置10において、回転駆動部14rが除去され、キャリッジ16に代えてキャリッジ32が設けられたものである。実施形態2の説明では、実施形態1の説明と同様の構成に実施形態1と同様の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0076】
実施形態2に係る印刷装置が含む三次元方向駆動部14は、キャリッジ32を三次元方向に移動させる駆動部であり、副走査方向駆動部14xと、主走査方向駆動部14yと、鉛直方向駆動部14zと、を含む。鉛直方向駆動部14zは、キャリッジ32を、印刷装置の鉛直方向、すなわち図7に示すZ軸方向に沿う方向に移動可能に支持する。鉛直方向駆動部14zは、キャリッジ32をZ軸方向に沿う方向に移動させることができる。主走査方向駆動部14yは、鉛直方向駆動部14zを、印刷装置の主走査方向、すなわち図7に示すY軸方向に沿う方向に移動可能に支持する。主走査方向駆動部14yは、鉛直方向駆動部14zを介して、キャリッジ32をY軸方向に沿う方向に移動させることができる。副走査方向駆動部14xは、主走査方向駆動部14yを、印刷装置の副走査方向、すなわち図7に示すX軸方向に沿う方向に移動可能に支持する。副走査方向駆動部14xは、主走査方向駆動部14y及び鉛直方向駆動部14zを介して、キャリッジ32をX軸方向に沿う方向に移動させることができる。このように、三次元方向駆動部14は、キャリッジ32を、副走査方向、主走査方向及び鉛直方向の各方向に沿う方向に移動可能に支持する。実施形態2に係る印刷装置が含む三次元方向駆動部14は、実施形態1に係る印刷装置10が含む三次元方向駆動部14とは異なり、回転駆動部14rを含まない。このため、三次元方向駆動部14は、キャリッジ32を、鉛直方向を回転軸とした回転方向に回転させることはできない。
【0077】
実施形態2に係る印刷装置が含むキャリッジ32は、図7に示すように、紫外線照射器34と、吐出ノズル20と、を支持している。紫外線照射器34は、紫外線照射器18と同様に、吐出ノズル20から吐出された紫外線硬化型インクに紫外線を照射することで、紫外線硬化型インクを硬化させ、媒体W状の印刷模様として固定化させる。紫外線照射器34は、紫外線照射器18とは異なり、吐出ノズル20の吐出部20aをXY平面内において取り囲むように、円周上に設けられている。このため、紫外線照射器34は、吐出ノズル20の進行方向に依らず、吐出ノズル20の吐出口20bから吐出されたインクに対してすぐに紫外線を照射して、硬化させることができる。
【0078】
実施形態2に係る印刷装置は、以上のような構成を有するため、実施形態1に係る印刷装置10と同様に、インクを吐出する吐出口20bが角部20g、角部20h、角部20i及び角部20jを有するため、角部20g、角部20h、角部20i及び角部20jにより印刷模様の角部を形成できるので、ディスペンサ12を用いて印刷する場合において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。また、実施形態2に係る印刷装置は、三次元方向駆動部14により吐出ノズル20の進行方向が第1方向から第2方向に変更される場合、実施形態1に係る印刷装置10と同様に、角部20g、角部20h、角部20i及び角部20jのうち少なくとも1つが、第1方向の前方側かつ第2方向の後方側に設けられているので、ディスペンサ12を用いて印刷する場合において、第1方向の前方側かつ第2方向の後方側に設けられている角部により、印刷模様に角部を形成することができる。また、実施形態2に係る印刷装置は、実施形態1に係る印刷装置10と同様に、吐出ノズル20の吐出口20bが四角形であり、四方向にそれぞれ角部20g、角部20h、角部20i及び角部20jを有しているため、印刷する方向が複数の方向において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0079】
また、実施形態2に係る印刷装置は、実施形態1に係る印刷装置10と同様に、吐出ノズル20が、吐出口20bを形成する吐出部20aの先端部分の面積が小さいことが好ましく、この場合、吐出ノズル20が面部20c、面部20d、面部20e及び面部20fにより、吐出されたインクを引きずる面積が低減されるため、インクを引きずることによって生じる印刷かすれに伴う印刷品質の低下を低減することができる。
【0080】
実施形態1の説明に用いた図3及び図4を用いて、実施形態2に係る印刷装置の動作方法の一例として、図4に示す印刷模様P1、印刷模様P2及び印刷模様P3を印刷する場合の印刷方法を説明する。実施形態2に係る印刷方法は、実施形態1に係る印刷方法と同様に、図3に示すように、第1印刷ステップ(ステップS12)と、進行方向変更ステップ(ステップS14)と、第2印刷ステップ(ステップS16)とを含む。
【0081】
実施形態2に係るステップS12では、実施形態1に係るステップS12において、制御部24が回転駆動部14rを制御することで吐出ノズル20の向きを設定することに代えて、吐出ノズル20の向きが形成したい印刷模様P1の向きと一致するように媒体保持部13上に媒体Wを保持させることで、吐出ノズル20の向きを設定する。実施形態2に係るステップS12では、その後は、実施形態1のステップS12と同様の方法で、X軸方向に延びる、吐出ノズル20の吐出口20bのうち面部20dと面部20fとの間の距離に相当する幅の、印刷模様P1及び印刷模様P2を形成する(ステップS12)。
【0082】
実施形態2に係るステップS14は、実施形態1に係るステップS14とは異なり、制御部24が鉛直方向駆動部14zを制御することで吐出ノズル20を離間させることはせず、副走査方向駆動部14xを制御して吐出ノズル20を+X方向に進行させた状態から主走査方向駆動部14yを制御して吐出ノズル20を+Y方向に進行させる状態に切り替えることにより、吐出ノズル20を進行させる方向の変更が施される。このように、制御部24は、吐出口20bにおける角部20gが、第1方向である+X方向の前方側、かつ、第2方向である+Y方向の後方側となるように、吐出ノズル20を進行させる方向を変更する(ステップS14)。
【0083】
実施形態2に係るステップS16は、実施形態1のステップS16と同様の方法で、印刷模様P2と接続された形で、Y軸方向に延びる、吐出ノズル20の吐出口20bのうち面部20cと面部20eとの間の距離に相当する幅の、印刷模様P3を形成する(ステップS16)。
【0084】
ステップS12の直後に角部Cの位置に角部20gが配置され、ステップS16の直前にも、その角部Cの位置に角部20gが配置されることで、角部20gにより、印刷模様P2の角部Cがシャープに、鮮明に、品質よく、形成される。
【0085】
実施形態2に係る印刷方法は、以上のような構成を有するため、吐出口20bにおける角部20gが、第1方向である+X方向の前方側、かつ、第2方向である+Y方向の後方側となるように、吐出ノズル20を進行させる方向を変更するため、吐出口20bにおける角部20gにより印刷模様P2の角部Cを形成できるので、ディスペンサ12を用いて印刷する場合において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0086】
さらに、実施形態2に係る印刷方法は、実施形態1に係る印刷方法とは異なり、吐出口20bにおける1つの角部20gのみで、印刷模様P2における角部Cを形成することができるので、印刷模様において角部を形成したい方向にのみ、吐出口における角部があれば、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0087】
実施形態2に係る印刷方法は、実施形態1に係る印刷方法と同様に、吐出ノズル20の吐出口20bが四角形であり、四方向にそれぞれ角部20g、角部20h、角部20i及び角部20jを有しているため、いずれの角部によっても印刷模様の角部を形成できるので、印刷する方向が複数の方向において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0088】
また、実施形態2に係る印刷方法は、実施形態1に係る印刷方法とは異なり、ステップS14において、吐出ノズル20を離間させることなく、吐出ノズル20を回転させることなく、吐出ノズル20の進行方向を変更している。このため、実施形態2に係る印刷方法は、吐出ノズル20の回転に伴ってインクを引きずることがないので、インクを引きずることによって生じる印刷かすれに伴う印刷品質の低下をさらに低減できる。また、このため、実施形態2に係る印刷方法は、吐出ノズル20の離間及び接近によって生じる可能性があった、角部Cにおける位置ずれを防止することができる。
【0089】
また、実施形態2に係る印刷方法は、実施形態1に係る印刷方法と同様に、吐出ノズル20が、吐出口20bを形成する吐出部20aの先端部分の面積が小さいため、インクを引きずることによって生じる印刷かすれに伴う印刷品質の低下を低減することができる。
【0090】
なお、実施形態2に係る印刷装置は、図6に示すような印刷模様P5を形成しようとする場合、印刷模様P5における角部C1及び角部C2がいずれも直角であるならば、角部20gで角部C1を形成し、角部20iで角部C2を形成することで、印刷模様P5を形成することができる。
【0091】
[実施形態3]
図8は、実施形態3に係る印刷装置における吐出ノズル40の吐出部40a及び吐出口40bの概略構成を表す概略構成図である。図8は、図2と同様に、吐出ノズル40を−Z軸方向側から見た図、すなわち媒体保持部13の+Z方向に向けられた面の側から見た図である。実施形態3に係る印刷装置は、実施形態1に係る印刷装置10において、吐出ノズル20に代えて吐出ノズル40が設けられたものである。実施形態3の説明では、実施形態1の説明と同様の構成に実施形態1と同様の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0092】
実施形態3に係る印刷装置における吐出ノズル40は、紫外線照射器18とともに、キャリッジ16に支持されている。吐出ノズル40は、図8に示すように、吐出部40aを有する。吐出部40aは、吐出口40bを有する。吐出部40aの吐出口40bは、吐出ノズル20と同様に、媒体保持部13の+Z方向に向けられた面に対向して設けられている。吐出ノズル40は、吐出ノズル20と同様に、供給路21によりディスペンサ12と接続されており、ディスペンサ12からインクの供給を受ける。吐出ノズル40は、吐出ノズル20と同様に、ディスペンサ12から供給されたインクを、媒体保持部13に保持された媒体Wに向けて、鉛直方向下側に沿う方向に、すなわち図1に示す−Z軸方向に沿う方向に、吐出部40aの吐出口40bより吐出する。紫外線照射器18は、吐出ノズル40から吐出された紫外線硬化型インクに紫外線を照射することで、紫外線硬化型インクを硬化させ、媒体W状の印刷模様として固定化させる。
【0093】
紫外線照射器18及び吐出ノズル40は、キャリッジ16に支持されているため、互いの位置関係を変えることなく、キャリッジ16を介して、三次元方向駆動部14により、副走査方向、主走査方向及び鉛直方向の各方向に沿う方向に移動可能に支持され、鉛直方向を回転軸とした回転方向に回転可能に支持されている。すなわち、三次元方向駆動部14は、キャリッジ16を介して、紫外線照射器18及び吐出ノズル40を、互いの位置関係を変えることなく、副走査方向、主走査方向及び鉛直方向に移動させる。また、三次元方向駆動部14は、キャリッジ16を介して、紫外線照射器18及び吐出ノズル40を、互いの位置関係を変えることなく、鉛直方向を回転軸とした回転方向に回転させて向きを変更させることができる。
【0094】
吐出部40aは、インクが流れる流路であり、インクが流れる流路が、図8に示すように、面部40cと、面部40dと、面部40eと、を含む。面部40c、面部40d及び面部40eは、いずれも長方形状の板部材であり、三角柱状の吐出部40aの各側面を形成している。図8は、面部40c、面部40d及び面部40eのうち、吐出部40aの先端側の端部となる辺、つまり、媒体保持部13の+Z方向に向けられた面(媒体保持部13の鉛直方向上側の面)に対向する辺を示している。
【0095】
吐出部40aに対して面部40d及び面部40eが配されている側に、紫外線照射器18が配されている。これにより、制御部24は、吐出ノズル40の所定の方向である面部40cの方向が吐出ノズル40の進行方向となり、かつ、吐出ノズル40の面部40d及び面部40eの方向が吐出ノズル40の進行方向の後方側の端部となるように、キャリッジ16を介して、吐出ノズル40を回転させることで、吐出ノズル40の向きを制御する。
【0096】
吐出部40aに含まれる面部40c、面部40d及び面部40eは、いずれも、厚みが薄ければ薄いほど好ましい。すなわち、吐出ノズル40は、吐出部40aの流路を形成する構造物である先端部分の面積が小さければ小さいほど好ましい。この場合、キャリッジ16を介して吐出ノズル40を移動または回転させる際に、吐出ノズル40によって吐出されたインクを引きずる面積が低減されるため、インクを引きずることによって生じる印刷かすれに伴う印刷品質の低下を低減することができる。
【0097】
吐出ノズル40は、進行方向の後方側の端部となる面部、すなわち、紫外線照射器18が配されている側の面部40d及び面部40eの厚みが、薄ければ薄いほど好ましい。すなわち、吐出ノズル40は、進行方向の後方側となる部分の吐出部40aの先端部分の面積が小さければ小さいほど好ましい。例えば、吐出ノズル40は、進行方向の後方側の部分である面部40d及び面部40eが、進行方向の前方側の部分である面部40cと比較して、厚みが薄いことが好ましい。すなわち、吐出ノズル40は、進行方向の後方側の部分が進行方向の前方側及び側方側の部分と比較して、吐出部40aの先端部分の面積が小さいことが好ましい。この場合、吐出ノズル40によって吐出された直後のインクを引きずる面積が低減されるため、吐出された直後のインクを引きずることによって生じる印刷かすれに伴う印刷品質の低下を低減することができる。
【0098】
面部40c、面部40d及び面部40eは、吐出部40aの先端部分において、図8に示すように、吐出口40bを形成する。すなわち、吐出部40aは、先端部分において、吐出口40bを形成する。吐出口40bは、図8に示すように、角部40fと、角部40gと、角部40hと、を有する三角形の形状である。角部40fは、面部40eと面部40cとによって形成されている。角部40gは、面部40cと面部40dとによって形成されている。角部40hは、面部40dと面部40eとによって形成されている。
【0099】
吐出口40bは、角部40f、角部40g及び角部40hを有する形状であるので、ディスペンサ12を用いて印刷する場合において、印刷模様に角部を形成することができるため、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。角部40f、角部40g及び角部40hは、いずれも、各角部の角度以上の印刷模様の角部を形成することができる。
【0100】
吐出口40bは、三次元方向駆動部14により吐出ノズル40の進行方向が第1方向から第2方向に変更される場合、角部40f、角部40g及び角部40hのうち少なくとも1つが、第1方向の前方側かつ第2方向の後方側に設けられていることが好ましい。この場合、ディスペンサ12を用いて印刷する場合において、第1方向の前方側かつ第2方向の後方側に設けられている角部により、印刷模様に角部を形成することができる。
【0101】
吐出口40bは、三角形または四角形であることが好ましく、本実施形態では三角形であるので、印刷する方向が複数の方向、具体的には3つの方向において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。また、吐出口40bは、角部40f、角部40g及び角部40hが互いに等しくて60度であることが好ましく、すなわち、正三角形の形状であることが好ましい。この場合、この吐出口40bを含む印刷装置は、さらに上記した複数の方向のどの方向であるかに依らず、60度以上の角度の印刷模様の角部を形成できるので、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0102】
なお、特定の吐出口の角部のみを小さい角度とすることで、小さい角度の印刷模様の角部を形成することができる。
【0103】
実施形態3に係る印刷装置は、以上のような構成を有するため、インクを吐出する吐出口40bが角部40f、角部40g及び角部40hを有するので、角部40f、角部40g及び角部40hにより印刷模様の角部を形成できる。これにより、実施形態3に係る印刷装置は、ディスペンサ12を用いて印刷する場合において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0104】
実施形態3に係る印刷装置は、三次元方向駆動部14により吐出ノズル40の進行方向が第1方向から第2方向に変更される場合、角部40f、角部40g及び角部40hのうち少なくとも1つが、第1方向の前方側かつ第2方向の後方側に設けられているので、ディスペンサ12を用いて印刷する場合において、第1方向の前方側かつ第2方向の後方側に設けられている角部により、印刷模様に角部を形成することができる。
【0105】
実施形態3に係る印刷装置は、吐出ノズル40の吐出口40bが三角形であり、三方向にそれぞれ角部40f、角部40g及び角部40hを有しているため、いずれの角部によっても印刷模様の角部を形成できるので、印刷する方向が複数の方向において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0106】
実施形態3に係る印刷装置は、吐出ノズル40を、鉛直方向を回転軸とした回転方向rに回転させる回転駆動部14rをさらに含むため、印刷模様の角部を形成するための吐出ノズル40の角部を任意の方向に配置することができるので、印刷する方向が任意の方向において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。実施形態3に係る印刷装置は、さらに、吐出ノズル40の所定の方向である面部40cが吐出ノズル40の進行方向となるように、吐出ノズル40を回転させるため、印刷する形状が角部を含む場合でも、曲線部を含む場合でも、印刷する幅を一定にして印刷することができる。
【0107】
実施形態3に係る印刷装置は、さらに、吐出ノズル40が、吐出口40bを形成する吐出部40aの先端部分の面積が小さいことが好ましい。あるいは、実施形態3に係る印刷装置は、さらに、進行方向の後方側の部分が進行方向の前方側及び側方側の部分と比較して、吐出口40bを形成する吐出部40aの先端部分の面積が小さいことが好ましい。これらの場合、実施形態3に係る印刷装置は、吐出ノズル40が、進行方向の後方側の面部40d及び面部40eにより、吐出されたインクを引きずる面積が低減されるため、インクを引きずることによって生じる印刷かすれに伴う印刷品質の低下を低減することができる。
【0108】
図9は、実施形態3に係る印刷装置を用いて印刷した印刷模様の一例である印刷模様P11、印刷模様P12及び印刷模様P13の概略を表す概略図である。図9及び実施形態1の説明に用いた図3を用いて、実施形態3に係る印刷装置の動作方法の一例として、印刷模様P11、印刷模様P12及び印刷模様P13を印刷する場合の印刷方法を説明する。実施形態3に係る印刷方法は、実施形態1に係る印刷方法と同様に、図3に示すように、第1印刷ステップ(ステップS12)と、進行方向変更ステップ(ステップS14)と、第2印刷ステップ(ステップS16)とを含む。
【0109】
図9に示す印刷模様は、媒体Wの一方の面である+Z方向に向けられた面に形成されたものであり、具体的には、印刷模様P11と、印刷模様P12と、印刷模様P13とを含み、概ねL字状の形状を有する。印刷模様P11は、図9における縦方向に沿って延びる、吐出ノズル40の吐出口40bのうち面部40cと接する部分の距離に相当する一定の幅を持った概ね直線状の印刷線であり、L字の縦線の部分である。印刷模様P11は、−X側、すなわち図9における上側の端部が、吐出ノズル40の吐出口40bに対応した三角形状となっている。印刷模様P13は、図9における横方向に沿って延びる、印刷模様P11と同様の一定の幅を持った直線状の印刷線であり、L字の横線の部分である。印刷模様P12は、印刷模様P11と印刷模様P13とを接続しており、L字の曲がり角の部分にあり、吐出ノズル40の吐出口40bに対応した三角形状となっている。印刷模様P11は、曲がり角の外側の部分に、角部C11を有する。角部C11は、シャープに、鮮明に、角が形成されている。そのため、角部C11を含むこの印刷模様は、印刷品質が高いものとなっている。角部C11は、例えば、シャープで鮮明な直角に形成されている。
【0110】
まず、制御部24は、回転駆動部14rを制御することで、吐出ノズル40の吐出口40bにおける面部40cを、吐出ノズル40の進行方向に、すなわち最初の印刷方向である+X方向に向ける。そして、制御部24は、鉛直方向駆動部14zを制御することで、吐出ノズル40の吐出口40bを媒体Wと接触させるか、または、吐出口40bを媒体Wと所定のクリアランス以下の間隔を有するまで接近させる。そして、制御部24は、副走査方向駆動部14xを制御して吐出ノズル40を+X方向に進行させながら、ディスペンサ12を制御して、ディスペンサ12からインクを供給させて、吐出ノズル40によりディスペンサ12から供給されるインクを媒体W上に吐出する。これに合わせて、制御部24は、紫外線照射器18を制御して、媒体W上に吐出されたインクを硬化させることで、X軸方向に延びる、吐出ノズル40の吐出口40bのうち面部40cと接する部分の距離に相当する幅の、印刷模様P11及び印刷模様P12を形成する(ステップS12)。
【0111】
ステップS12の後、制御部24は、まず、ディスペンサ12を制御して、ディスペンサ12からのインクの供給を停止させる。そして、制御部24は、鉛直方向駆動部14zを制御することで、吐出ノズル40の吐出口40bを媒体Wと所定のクリアランス以上の間隔を有するまでに離間させる。そして、制御部24は、回転駆動部14rを制御することで、吐出ノズル40の吐出口40bにおける面部40cを、吐出ノズル40の次の進行方向に、すなわち次の印刷方向である+Y方向に向ける。また、制御部24は、吐出ノズル40の吐出口40bを、印刷模様P12に重ねるような位置に移動させる。そして、制御部24は、鉛直方向駆動部14zを制御することで、吐出ノズル40の吐出口40bを媒体Wと接触させるか、または、吐出口40bを媒体Wと所定のクリアランス以下の間隔を有するまで接近させる。このように、制御部24は、吐出口40bにおける角部40fが、第1方向である+X方向の前方側、かつ、第2方向である+Y方向の後方側となるように、吐出ノズル40を進行させる方向を変更する(ステップS14)。
【0112】
ステップS14の後、制御部24は、主走査方向駆動部14yを制御して吐出ノズル40を+Y方向に進行させながら、ディスペンサ12を制御して、ディスペンサ12からインクを供給させて、吐出ノズル40によりディスペンサ12から供給されるインクを媒体W上に吐出する。これに合わせて、制御部24は、紫外線照射器18を制御して、媒体W上に吐出されたインクを硬化させることで、印刷模様P12と接続された形で、Y軸方向に延びる印刷模様P13を形成する(ステップS16)。
【0113】
角部40fは90度より小さい鋭角であり、印刷模様P11の角部C11は直角であることから、角部40fは印刷模様P11の角部C11より角度が小さいため、角部40fは印刷模様P11の角部C11を形成することができる。角部40fが+X方向に進行した軌跡により、印刷模様P11の角部C11がシャープに、鮮明に、品質よく、形成される。
【0114】
実施形態3に係る印刷方法は、以上のような構成を有するため、吐出口40bにおける角部40fが、第1方向である+X方向の前方側、かつ、第2方向である+Y方向の後方側となるように、吐出ノズル40を進行させる方向を変更するため、吐出口40bにおける角部40fにより印刷模様P11の角部C11を形成できるので、ディスペンサ12を用いて印刷する場合において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0115】
さらに、実施形態3に係る印刷方法は、吐出口40bにおける1つの角部40fのみで、印刷模様P11における角部C11を形成することができるので、印刷模様において角部を形成したい方向にのみ、吐出口における角部があれば、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0116】
実施形態3に係る印刷方法は、吐出ノズル40の吐出口40bが三角形であり、三方向にそれぞれ角部40f、角部40g及び角部40hを有しているため、いずれの角部によっても印刷模様の角部を形成できるので、印刷する方向が複数の方向において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0117】
実施形態3に係る印刷方法は、吐出ノズル40を、鉛直方向を回転軸とした回転方向rに回転させる回転駆動部14rをさらに含むため、印刷模様の角部を形成するための吐出ノズル40の角部を任意の方向に配置することができるので、印刷する方向が任意の方向において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0118】
実施形態3に係る印刷方法は、ステップS14において、制御部24が、鉛直方向駆動部14zを制御することで、吐出ノズル40の吐出口40bを媒体Wと所定のクリアランス以上の間隔を有するまでに離間させてから、吐出ノズル40の進行方向を変更している。このため、実施形態3に係る印刷方法は、インクを引きずることによって生じる印刷かすれに伴う印刷品質の低下を低減することができる。
【0119】
実施形態3に係る印刷方法は、これに限定されず、ステップS14において、制御部24が、鉛直方向駆動部14zを制御することで、吐出ノズル40の吐出口40bを媒体Wと所定のクリアランス以上の間隔を有するまでに離間させる動作を省いてもよい。この場合でも、実施形態3に係る印刷方法は、吐出ノズル40が、吐出口40bを形成する吐出部40aの先端部分の面積が小さいため、あるいは、吐出ノズル40が、進行方向の後方側の部分が進行方向の前方側及び側方側の部分と比較して、吐出口40bを形成する吐出部40aの先端部分の面積が小さいため、インクを引きずることによって生じる印刷かすれに伴う印刷品質の低下を低減することができる。
【0120】
[実施形態4]
実施形態4に係る印刷装置は、実施形態3に係る印刷装置において、回転駆動部14rが除去され、キャリッジ16に代えてキャリッジ32が設けられたものである。すなわち、実施形態4に係る印刷装置は、実施形態2と実施形態3とを組み合わせた印刷装置である。実施形態4の説明では、実施形態1から実施形態3の説明と同様の構成に、実施形態1から実施形態3と同様の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0121】
図10は、実施形態4に係る印刷装置を用いて印刷した印刷模様の別の一例である印刷模様P14、印刷模様P15及び印刷模様P16の概略を表す概略図である。図10及び実施形態1の説明に用いた図3を用いて、実施形態4に係る印刷装置の動作方法の一例として、印刷模様P14、印刷模様P15及び印刷模様P16を印刷する場合の印刷方法を説明する。実施形態4に係る印刷方法は、実施形態1に係る印刷方法と同様に、図3に示すように、第1印刷ステップ(ステップS12)と、進行方向変更ステップ(ステップS14)と、第2印刷ステップ(ステップS16)とを含む。
【0122】
実施形態4に係るステップS12では、実施形態3に係るステップS12において、制御部24が回転駆動部14rを制御することで吐出ノズル40の向きを設定することに代えて、吐出ノズル40の向きが形成したい印刷模様P14の向きと一致するように媒体保持部13上に媒体Wを保持させることで、吐出ノズル40の向きを設定する。実施形態2に係るステップS12では、その後は、実施形態3のステップS12と同様の方法で、X軸方向に延びる、吐出ノズル40の吐出口40bのうち面部40cと接する部分の距離に相当する幅の、印刷模様P14及び印刷模様P15を形成する(ステップS12)。
【0123】
実施形態4に係るステップS14は、実施形態3に係るステップS14とは異なり、制御部24が鉛直方向駆動部14zを制御することで吐出ノズル40を離間させることはせず、副走査方向駆動部14xを制御して吐出ノズル40を+X方向に進行させた状態から主走査方向駆動部14yを制御して吐出ノズル40を+Y方向に進行させる状態に切り替えることにより、吐出ノズル40を進行させる方向の変更が施される。このように、制御部24は、吐出口40bにおける角部40fが、第1方向である+X方向の前方側、かつ、第2方向である+Y方向の後方側となるように、吐出ノズル40を進行させる方向を変更する(ステップS14)。
【0124】
実施形態4に係るステップS16は、実施形態3のステップS16と同様の方法で、印刷模様P15と接続された形で、Y軸方向に延びる、吐出ノズル40の吐出口40bのうち面部40cと角部40hとの間の距離に相当する幅の、印刷模様P16を形成する(ステップS16)。
【0125】
角部40fは90度より小さい鋭角であり、印刷模様P14及び印刷模様P15の角部C12は直角であることから、角部40fは印刷模様P14及び印刷模様P15の角部C12より角度が小さいため、角部40fは印刷模様P14及び印刷模様P15の角部C12を形成することができる。角部40fが+X方向に進行した軌跡により、印刷模様P14及び印刷模様P15の角部C12がシャープに、鮮明に、品質よく、形成される。
【0126】
実施形態4に係る印刷方法は、以上のような構成を有するため、吐出口40bにおける角部40fが、第1方向である+X方向の前方側、かつ、第2方向である+Y方向の後方側となるように、吐出ノズル40を進行させる方向を変更するため、吐出口40bにおける角部40fにより印刷模様P14の角部C12を形成できるので、ディスペンサ12を用いて印刷する場合において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0127】
さらに、実施形態4に係る印刷方法は、実施形態3に係る印刷方法と同様に、吐出口40bにおける1つの角部40fのみで、印刷模様P14及び印刷模様P15における角部C12を形成することができるので、印刷模様において角部を形成したい方向にのみ、吐出口における角部があれば、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0128】
実施形態4に係る印刷方法は、実施形態3に係る印刷方法と同様に、吐出ノズル40の吐出口40bが三角形であり、三方向にそれぞれ角部40f、角部40g及び角部40hを有しているため、いずれの角部によっても印刷模様の角部を形成できるので、印刷する方向が複数の方向において、印刷をシャープにし、鮮明にして、印刷品質を向上させることができる。
【0129】
また、実施形態4に係る印刷方法は、実施形態3に係る印刷方法とは異なり、ステップS14において、吐出ノズル40を離間させることなく、吐出ノズル40を回転させることなく、吐出ノズル40の進行方向を変更している。このため、実施形態4に係る印刷方法は、吐出ノズル40の回転に伴ってインクを引きずることがないので、インクを引きずることによって生じる印刷かすれに伴う印刷品質の低下をさらに低減できる。また、このため、実施形態4に係る印刷方法は、吐出ノズル40の離間及び接近によって生じる可能性があった、角部C12を含む印刷模様P15における位置ずれを防止することができる。
【0130】
また、実施形態4に係る印刷方法は、実施形態3に係る印刷方法と同様に、吐出ノズル40が、吐出口40bを形成する吐出部40aの先端部分の面積が小さいため、インクを引きずることによって生じる印刷かすれに伴う印刷品質の低下を低減することができる。
【符号の説明】
【0131】
10 印刷装置
12 ディスペンサ
13 媒体保持部
14 三次元方向駆動部
14x 副走査方向駆動部
14y 主走査方向駆動部
14z 鉛直方向駆動部
14r 回転駆動部
16,32 キャリッジ
18,34 紫外線照射器
20,40,100 吐出ノズル
20a,40a,100a 吐出部
20b,40b,100b 吐出口
20c,20d,20e,20f,40c,40d,40e 面部
20g,20h,20i,20j,40f,40g,40h 角部
21 供給路
21a 分岐
22 循環路
24 制御部
26 入力部
C,C1,C2,C11,C12 角部
d1,d2,d3,d4,d5,d6,d7,d8,d9 印刷幅
P1,P2,P3,P4,P5,P11,P12,P13,P14,P15,P16,P100 印刷模様
R 円弧部
W 媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12