特許第6961454号(P6961454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 6961454-電池パック 図000003
  • 6961454-電池パック 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961454
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20211025BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20211025BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20211025BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20211025BHJP
【FI】
   H01M50/204 401E
   H01M50/342 101
   H01M50/209
   H01M50/213
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-201140(P2017-201140)
(22)【出願日】2017年10月17日
(65)【公開番号】特開2019-75303(P2019-75303A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】荘田 隆博
【審査官】 宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−223491(JP,A)
【文献】 特開2007−027011(JP,A)
【文献】 特開2010−015954(JP,A)
【文献】 特開2009−289668(JP,A)
【文献】 特開2014−049427(JP,A)
【文献】 特開2014−022151(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2018−0113802(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20−50/298
H01M 50/30−50/392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部空間の一部に収容される絶縁性の液体と、
前記内部空間に収容され、かつ可燃性ガスを排出するガス排出弁を有する複数個の電池と、を備え、
各前記電池は、前記ガス排出弁が鉛直方向下側に位置した状態で、前記内部空間に収容され、
前記絶縁性の液体は、液面が前記ガス排出弁よりも鉛直方向上側に位置する、
ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記絶縁性の液体は、液面が各前記電池の正極端子よりも鉛直方向上側に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記正極端子は、鉛直方向下側に位置する、ことを特徴とする請求項2に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電気車両(EV)、ハイブリッド車両(HEV)、プラグインハイブリッド車両(PHEV)等の車両は、駆動源であるモータを駆動する電力を供給する電源として、例えば電池パックが搭載されている。電池パックは、複数個の電池(二次電池)が収容されており、各電池が直列および/又は並列に電気的に接続されている。
【0003】
各電池では、過充電、加熱、外部からの荷重による内部短絡などにより電池の内部の圧力が異常に上昇した場合、電池の内部の可燃性ガスを排出するガス排出弁が形成されている。また、電池パックの内部に送風機を配置し、電池パックの内部の空気を一方的に外部へ放出することで、各電池のガス排出弁から排出される可燃性ガスを電池パックの外部へ放出する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4544192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の電池パックでは、電池パックの内部に存在する酸素と各電池のガス排出弁から排出される可燃性ガスとが電池パックの内部で混合するため、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電池パックの内部空間において、酸素と可燃性ガスとの混合を抑制することで電池パックの耐久性を維持することができる電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為、本発明の電池パックは、筐体と、前記筐体の内部空間の一部に収容される絶縁性の液体と、前記内部空間に収容され、かつ可燃性ガスを排出するガス排出弁を有する複数個の電池と、を備え、各前記電池は、前記ガス排出弁が鉛直方向下側に位置した状態で、前記内部空間に収容され、前記絶縁性の液体は、液面が前記ガス排出弁よりも鉛直方向上側に位置する、ことを特徴としている。
【0008】
ここで、前記絶縁性の液体は、液面が各前記電池の正極端子よりも鉛直方向上側に位置することが望ましい。
【0009】
ここで、前記正極端子は、鉛直方向下側に位置することが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電池パックは、絶縁性の液体でガス排出弁を覆うことで、筐体の内部空間に酸素が存在しても、筐体の絶縁性の液体中に可燃性ガスが存在することになり、酸素と可燃性ガスとの混合を抑制でき、電池パックの耐久性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態における円筒型の電池の斜視図である。
図2図2は、実施形態における電池パックの正面図である。
図3図3は、実施形態における角型の電池の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明における実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
[実施形態]
まず、実施形態における電池パックについて説明する。図1は、実施形態における円筒型の電池の斜視図である。図2は、実施形態における電池パックの正面図である。ここで、各図(図3も含む)のX方向は、実施形態における電池パックの幅方向である。Y方向は、実施形態における電池パックの奥行方向であり、幅方向と直交する方向である。Z方向は、実施形態における電池パックの鉛直方向であり、幅方向および奥行方向と直交する方向である。
【0014】
本実施形態における電池パック1は、図示しない車両、特に、電気車両(EV)、ハイブリッド車両(HEV)、プラグインハイブリッド車両(PHEV)等の、駆動源としてモータを用いる車両に搭載され、駆動源に電力を供給する電源となるものである。電池パック1は、図2に示すように、筐体2と、複数個の電池3と、絶縁性の液体4と、を含んで構成される。
【0015】
筐体2は、複数個の電池3および絶縁性の液体4を収容するものである。筐体2は、筐体2の外表面が車両外から取り込まれた外気等の外部の熱媒体と接触可能な場所に設けられている。本実施形態における筐体2は、内部空間21を有する箱型の形状に形成される。筐体2は、熱伝導性を有するものであり、例えば、鉄、銅、アルミニウム等により構成される。筐体2は、図1に示すように、蓋22により内部空間21が閉塞される。筐体2は、絶縁性の液体4が収容されることから、防水性が要求されるため、本実施形態では、筐体2と蓋22との間に防水構造が形成され、内部空間21が密閉される。なお、密閉された内部空間21には、酸素を含む空気23が存在している。
【0016】
複数個の電池3は、それぞれが充放電可能な二次電池であり、筐体2の内部空間21に収容され、筐体2に保持される。本実施形態における電池3は、図1および図2に示すように、軸方向に延在する円筒型のリチウムイオン電池で構成され、筐体2の内部空間21において幅方向(X方向)および奥行方向(Y方向)に配列される。複数個の電池3は、正極端子31と、負極端子32と、ガス排出弁33とを有する。正極端子31は、軸方向の両端部のうち、一方の端部に形成されている。負極端子32は、軸方向の両端部のうち、他方の端部に形成されている。本実施形態における各電池3は、軸方向を鉛直方向と平行に、正極端子31が鉛直方向下側となる状態で、筐体2の内部空間21に収容される。つまり、正極端子31は鉛直方向下側に位置し、負極端子32は鉛直方向上側に位置する。なお、各電池3は、隣接する他の電池3と、図示しないバスバーを介して電気的に接続される。例えば、一方の電池3の正極端子31はバスバーを介して他方の電池3の負極端子32と電気的に接続され、一方の電池3の負極端子32はバスバーを介して他方の電池3の正極端子31と電気的に接続される。バスバーと電気的に接続される正極端子31は、過充電、加熱、外部からの荷重により、例えば、正極端子31とバスバーとの間で放電が行われる可能性がある。
【0017】
ガス排出弁33は、過充電、加熱、外部からの荷重による内部短絡などにより電池3の内部の圧力が異常に上昇した場合において、電池3の内部に発生する可燃性ガスGを排出する排出弁である。本実施形態におけるガス排出弁33は、図1および図2に示すように、正極端子31の外周面において、周方向に複数形成されている。つまり、ガス排出弁33は、鉛直方向下側に位置する。ガス排出弁33は、電池3の内部の圧力に応じて、電池3と外部との連通遮断を調整する調整機構である。
【0018】
ここで、電池3は、過充電、加熱、外部からの荷重による内部短絡などにより内部の圧力が異常に上昇した場合において、内部に可燃性のガスである可燃性ガスGが発生することがある。電池3の内部に発生した可燃性ガスGは、ガス排出弁33が開弁すると、電池3の外部、すなわち筐体2の内部空間21に排出されることとなる。可燃性ガスGは、電池3を構成する材料によって変化するものであるが、リチウムイオン電池である場合、水素、一酸化炭素、メタン、エチレン、エタン、炭酸ジメチル(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)などである。
【0019】
絶縁性の液体4は、絶縁性を有する液体である。絶縁性の液体4は、例えば、シリコンオイル、パラフィン、フッ素系不活性液体などである。絶縁性の液体4は、図2に示すように、筐体2の内部空間21の一部に収容される。つまり、内部空間21は、絶縁性の液体4により全てが充填されていない。絶縁性の液体4は、液面41が正極端子31およびガス排出弁33よりも鉛直方向上側に位置するように、内部空間21に収容される。つまり、正極端子31およびガス排出弁33は、絶縁性の液体4で覆われている。ここで、車両の走行時および停車時の道路状況、例えば、坂道を走行状態または坂道に停車状態にある車両に搭載される電池パック3は、水平方向に対して傾斜する。本実施形態における絶縁性の液体4は、車両の走行停車状態を考慮して、例えば、液面41が各電池3に対して傾斜しても、液面41が正極端子31およびガス排出弁33よりも鉛直方向上側に位置するように、内部空間21に対する絶縁性の液体4の収容量が設定されている。
【0020】
次に、本実施形態における電池パック1の組み立てについて説明する。まず、作業員は、蓋22が取り外された状態の筐体2の内部空間21に、複数個の電池3を収容する。このとき、正極端子31が鉛直方向下側となる状態、すなわち正極端子31が内部空間21を構成する底面と対向するように、複数個の電池3を内部空間21に収容し、筐体2に対して固定する。次に、作業員は、隣接する電池3間をバスバーにより電気的に接続する。次に、作業員は、絶縁性の液体4を筐体2の内部空間21の一部に収容する。次に、作業員は、筐体2に蓋22を取り付けて密閉にすることにより電池パック1を組み立てる。このとき、密閉された内部空間21には、酸素を含む空気23が存在する。次に、電池パック1を車両等に設置し、電池パック1と駆動源であるモータ等とを接続する図示しない電線を接続することで、モータ等に電力が供給される。
【0021】
以上のように、本実施形態における電池パック1は、ガス排出弁33を絶縁性の液体4で覆っている。従って、過充電、加熱、外部からの荷重による内部短絡などにより電池3の内部の圧力が異常に上昇することで、電池3の内部に発生した可燃性ガスGがガス排出弁33から電池3の外部に排出されても、排出箇所に絶縁性の液体4が充填されているため、可燃性ガスGは絶縁性の液体4中に存在することとなる。一方、可燃性ガスGによる出火の可能性を高める酸素は、内部空間21に存在するものの、絶縁性の液体4中に存在しない。つまり、可燃性ガスGが内部空間21に存在することがあっても、内部空間21の酸素とは、絶縁性の液体4により混合することが抑制される。これにより、酸素と可燃性ガスGとの混合に起因する電池パック1の耐久性の低下を抑制することができる。また、筐体2の内部空間21に対して複数個の電池3が収容された状態では、各電池3のガス排出弁33が鉛直方向下側に位置するので、ガス排出弁33が鉛直方向上側に位置する場合と比べ、内部空間21に対する液面41を鉛直方向下側とすることができる。つまり、本実施形態における電池パック1において、ガス排出弁33を覆う絶縁性の液体4の使用量を抑制することができ、絶縁性の液体4の熱膨張により、筐体2の内圧が上昇することを抑制でき、電池パック1の耐久性の低下を抑制することができる。
【0022】
また、本実施形態における電池パック1は、絶縁性の液体4により正極端子31が覆われている。従って、酸素と可燃性ガスGとの混合に起因する電池パック1の耐久性の低下の抑制のみならず、正極端子31からの放電に起因する電池パック1の耐久性の低下も抑制することができる。
【0023】
また、本実施形態における電池パック1は、筐体2の内部空間21に対して複数個の電池3が収容された状態では、各電池3のガス排出弁33および正極端子31が鉛直方向下側に位置するので、正極端子31を絶縁性の液体4で覆うとともに正極端子31が鉛直方向上側に位置する場合と比べ、内部空間21に対する液面41を鉛直方向下側とすることができる。つまり、本実施形態における電池パック1において、酸素と可燃性ガスGとの混合および正極端子31からの放電に起因する電池パック1の耐久性の低下の抑制のみならず、ガス排出弁33を覆う絶縁性の液体4の使用量を抑制することができ、絶縁性の液体4の熱膨張により、筐体2の内圧が上昇することを抑制でき、電池パック1の耐久性の低下を抑制することができる。
【0024】
上記実施形態における電池パック1は、電池3を円筒型のリチウムイオン電池としたが、これに限定されるものではない。図3は、実施形態における角型の電池の斜視図である。電池10は、角型のリチウムイオン電池であってもよい。この場合、電池10は、上下方向のうち、一方に正極端子101、負極端子102およびガス排出弁103が形成されている。各電池10は、上下方向を鉛直方向と平行に、正極端子101、負極端子102およびガス排出弁103が鉛直方向下側となる状態で、筐体2の内部空間21に収容される。つまり、正極端子101、負極端子102およびガス排出弁103は鉛直方向下側に位置する。ここで、絶縁性の液体4は、液面41が正極端子101、負極端子102およびガス排出弁103よりも鉛直方向上側に位置するように、内部空間21に収容される。
【0025】
また、上記実施形態における電池パック1では、電池3,10をリチウムイオン電池としたが、これに限定されるものではなく、可燃性ガスGが発生する可能性がある電池であればよく、例えばニッケル水素電池などであってもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 電池パック
2 筐体
21 内部空間
22 蓋
23 空気
3 電池
31 正極端子
32 負極端子
33 ガス排出弁
4 絶縁性の液体
41 液面
10 電池
101 正極端子
102 負極端子
103 ガス排出弁
G 可燃性ガス
図1
図2
図3