(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1開口部を流れる前記第1粉末の単位面積当たりの流量と、前記第2開口部を流れる前記第2粉末の単位面積当たりの流量とが同一となるように調整されている請求項1に記載の積層造形装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、3次元造形のPBF方式では、複数種類の材質の粉末を積層する場合、1種類の材質の粉末を積層する場合と異なり、時間や手間がかかる。
【0006】
例えば、上記の特許文献1では、1層を積層するとき、異なる材質の粉末を複数回に分けて敷設、すなわち、1回目のストロークで第1の粉末を供給し、2回目のストロークで第2の粉末を供給する。そのため、1層の粉末を敷設するのに2ストローク以上のノズル移動を要することから、積層にかかる時間が長くなり生産性が低い。
【0007】
また、上記の特許文献2及び3で開示されているようなDED方式では、レーザーを照射した位置に異種材料の粉末を同時に噴射できることが知られている。しかし、DED方式は、PBF方式に比べて形状精度が低いため、精密部品の造形に適用できない。
【0008】
本開示は、基板上に平面的に複数の粉末を敷設する場合において、積層にかかる時間を短縮し生産性を向上させることが可能な積層造形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示の積層造形装置は以下の手段を採用する。
すなわち、本開示の一態様に係る積層造形装置は、粉末状の材料が載置可能な基板と、一方向に長い幅の第1開口部が形成され、前記第1開口部から前記基板に対して粉末状材料である第1粉末を供給する第1粉末供給部と、前記第1開口部よりも短い幅の第2開口部が形成され、前記第2開口部から前記基板に対して粉末状材料である第2粉末を供給する第2粉末供給部と、前記第2開口部に接続され、前記第1開口部の一部を閉鎖可能な閉止部と、前記第1粉末供給部を前記第1開口部の幅方向に対して垂直な第1方向に移動させる第1駆動部と、前記第2粉末供給部及び前記閉止部を前記第1開口部の幅方向に対して平行な第2方向に移動させる第2駆動部とを備える。
【0010】
この構成によれば、第1粉末供給部は、一方向に長い幅の第1開口部が形成されることから、第1粉末供給部によって、粉末状材料である第1粉末が基板に対して一方向に長い幅で供給され、第2粉末供給部は、第1開口部よりも短い幅の第2開口部が形成されることから、第2粉末供給部によって、粉末状材料である第2粉末が基板に対して第1開口部よりも短い幅で供給される。また、閉止部は、第2粉末供給部に接続された閉止部によって、第1開口部の一部が閉鎖可能となっている。なお、閉止部は、例えば、開口部に隣接して設けられ、第2開口部とほぼ同一の幅を有する。
【0011】
第1駆動部によって、第1粉末供給部が第1開口部の幅方向に対して垂直な第1方向に移動することで、基板上の全面にわたって、第1粉末が敷設可能である。第2駆動部によって、第2粉末供給部及び閉止部は第1開口部の幅方向に対して平行な第2方向に移動する。したがって、第1粉末供給部が第1方向に移動しつつ、第2粉末供給部が第2方向に移動することによって、第2粉末が線状に敷設される。このとき、第2開口部に隣接する第1開口部の一部が、閉止部によって閉鎖されることから、第2粉末が供給される位置には第1粉末が供給されず、第2粉末のみが供給される。よって、第1粉末供給部が第1方向に移動するとき、第1粉末と第2粉末の1層分を同時に敷設することができる。
【0012】
上記態様において、前記第1開口部を流れる前記第1粉末の単位面積当たりの流量と、前記第2開口部を流れる前記第2粉末の単位面積当たりの流量とが同一となるように調整されることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、第1開口部から供給される第1粉末と、第2開口部から供給される第2粉末とが単位面積当たりでほぼ同量に基板上に敷設されることから、材料に関わらず1層分の厚さをほぼ同一にすることができる。
【0014】
上記態様において、所定位置に設置され、前記第1粉末が貯留される第1貯留部と、所定位置に設置され、前記第2粉末が貯留される第2貯留部とを更に備えてもよく、前記第1粉末供給部及び前記第2粉末供給部が、所定の供給位置に移動したとき、前記第1貯留部から前記第1粉末供給部へ前記第1粉末が供給され、前記第2貯留部から前記第2粉末供給部へ前記第2粉末が供給されてもよい。
【0015】
この構成によれば、所定位置に設置された第1貯留部に第1粉末が貯留され、所定位置に設置された第2貯留部に第2粉末が貯留されており、第1粉末供給部及び第2粉末供給部が、所定の供給位置に移動したとき、第1貯留部は第1粉末供給部へ第1粉末を供給し、第2貯留部は第2粉末供給部へ第2粉末を供給する。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、基板上に平面的に複数の粉末を敷設する場合において、積層にかかる時間を短縮し生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の一実施形態に係る積層造形装置1は、粉末床溶融結合(PBF)方式のAM(Additive Manufacturing)技術によって実現される。
【0019】
積層造形装置1は、粉末状の第1粉末21及び第2粉末22による層の形成と、レーザー光又は電子ビームの照射による第1粉末21及び第2粉末22の層の溶融及び凝固を繰り返すことで、3次元形状の造形物を作製する。
【0020】
第1粉末21と第2粉末22とは、粉末状の金属材料であり、互いに種類が異なる。種類が異なる粉末とは、材質及び/又は粒径が異なる粉末である。異種材料が同時に造形されることによって、3次元形状の造形物に対して別途表面加工や表面処理を施すことなく、表面を高機能化することができる。積層造形装置1によって、第1粉末21は、造形物の本体として造形され、第2粉末22は造形物の表面として造形される。
【0021】
従来、造形物の表面に機能を付与するには、めっき、蒸着、溶射、熱処理(浸炭、窒化)などが実施されていた。これに対して、第2粉末22としてステンレス(SUS)などの耐食性材料を用いることによって、造形物の表面に耐食性を付与できる。これにより、Niめっきや耐食材のライニング加工などの工程が不要になる。また、第2粉末22としてセラミックスなどの耐摩耗性材料を用いることによって、造形物の表面に耐摩耗性を付与することができる。これにより、Crめっき、溶射、又は、熱処理などの工程が不要になる。
【0022】
積層造形装置1は、
図1に示すように、処理槽2と、ステージ3と、第1粉末供給部4と、第2粉末供給部5と、第1駆動部6と、第2駆動部7と、光学部8と、制御部11などを有する。また、
図6〜
図8に示すように、積層造形装置1は、第1タンク9と、第2タンク10などを更に有する。
【0023】
本実施形態において、
図2に示すように、X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。
図2〜
図4に示すように、第1粉末供給部4の第1開口部12の幅方向をX軸方向とし、第1開口部12の幅方向に対する直交方向であるステージ3の奥行き(長さ)方向をY軸方向とし、第1粉末供給部4の高さ方向、すなわち積層方向をZ軸方向とする。
【0024】
図1に示すように、処理槽2は、例えば、上面が開口した直方体形状を有する。処理槽2の内部には水平面に対して平行なステージ3が配置され、ステージ3は、上面と底に相当する位置の下面との間を移動する。ステージ3の上方には、第1粉末供給部4が第1駆動部6によって移動可能に設置され、第2粉末供給部5が第2駆動部7によって移動可能に設置される。
図6〜
図8に示すように、処理槽2における上方の所定位置には、第1タンク9と第2タンク10が固定されている。
【0025】
ステージ3は、水平面に対して平行に配置され、例えば、四角形の板材である。処理槽2の内壁面14は、ステージ3に対して垂直な面であり、ステージ3の各辺に沿って、処理槽2の高さ方向、すなわち、Z軸に沿う方向に延びて設置される。各内壁面14によって、四角形の筒状の空間が形成される。
【0026】
ステージ3は、例えば、電動モータ又は油圧機構を駆動源とする伝達機構によって、内壁面14に沿ってZ軸方向に移動可能である。
【0027】
第1駆動部6は、例えば、電動モータ又は油圧機構を駆動源とする伝達機構を有し、制御部11から送信された信号に基づいて、第1粉末供給部4をY軸方向に移動させる。第1駆動部6によって、第1粉末供給部4は、ステージ3の一端3a側と、その一端3aに対向する他端3b側との間で移動する。
【0028】
第2駆動部7は、例えば、電動モータ又は油圧機構を駆動源とする伝達機構を有し、制御部11から送信された信号に基づいて、第2粉末供給部5をX軸方向に移動させる。第2駆動部7によって、第2粉末供給部5は、第1粉末供給部4の一端4a側と、その一端4aに対向する他端4b側との間で移動する。
【0029】
第1粉末供給部4は、例えば三角柱形状を有する容器15と、第1開口部12を開閉させる開閉板(図示せず。)などを有する。
【0030】
容器15は、三角柱形状を有する場合、三角柱の軸方向が水平面に対して平行に配置され、下部が狭く上部が広くなるように設置される。容器15の上面は、第1粉末21が第1タンク9から貯留されるように開口が形成されている。また、容器15の下面には、第1粉末21をステージ3に対して供給可能に第1開口部12が形成されている。第1開口部12は、X軸方向に沿って長い幅で形成される。容器15には、第1粉末21が収容され、第1粉末供給部4がステージ3の一端3a側と他端側3bの間で移動するときのステージ3の第1粉末21の往復分の量(ステージ3全面にわたって敷設される第1粉末21のほぼ2層分)が収容可能である。第1粉末21を敷設するときの往復分の量が収容可能である。
【0031】
第1粉末供給部4の開閉板は、第1開口部12を開いたり、閉じたりするように設けられる。ステージ3に対し第1粉末21を供給するとき、開閉板によって第1開口部12が開かれ、ステージ3に対する第1粉末21の供給を停止するとき、開閉板によって第1開口部12が閉じられる。
【0032】
第2粉末供給部5は、第1粉末供給部4に隣接して設置された筒状のノズル17と、第2開口部13を開閉させる開閉板(図示せず。)と、ノズル17と隣接され第1開口部12を閉止する閉止板19などを有する。
【0033】
ノズル17の下側先端には、第2粉末22をステージ3に対して供給可能に第2開口部13が形成されている。第2開口部13は、第1開口部12よりも短い幅で形成されている。ノズル17には、第2粉末22が収容され、第1粉末供給部4がステージ3の一端3a側と他端3b側の間で移動するときの第2粉末22の往復分の量が収容可能である。
【0034】
第2粉末供給部5の開閉板は、板状部材であり、第2開口部13を開いたり、閉じたりするように設けられる。ステージ3に対し第2粉末22を供給するとき、開閉板によって第2開口部13が開かれ、ステージ3に対する第2粉末22の供給を停止するとき、開閉板によって第2開口部13が閉じられる。
【0035】
閉止板19は、板状部材であり、
図3に示すように、第2開口部13に隣接して設けられ、第2開口部13と同時に移動する。また、閉止板19は、第2開口部13とほぼ同一の幅を有し、第1開口部12の一部を閉鎖可能に構成される。第2開口部13に隣接する第1開口部12の一部が、閉止板19によって閉鎖されることから、第2粉末22が供給される位置には第1粉末21が供給されず、第2粉末22のみが供給される。よって、第1粉末供給部4がY軸方向に移動するとき、第1粉末21と第2粉末22の1層分を同時に敷設することができる。
【0036】
なお、第1粉末21のみをステージ3に対して供給するときは、第2開口部13は開閉板によって閉じられつつ、第2開口部13と閉止板19は、第1開口部12を閉鎖しない位置に退避される。
【0037】
第2開口部13から供給される第2粉末22は、閉止板19によって第1開口部12からの第1粉末21が供給されない部分に供給されるように、第2開口部13からの第2粉末22の照射方向が設定されるとよい。
【0038】
第2粉末供給部5は、
図2〜
図4に示すように、2つ設置されることで、第1粉末供給部4がY軸方向に一端3a側から他端3b側へ(又は他端3b側から一端3a側へ)移動したとき、2本のノズル17によって、ステージ3上に1つの閉じた輪郭線を形成できる。これにより、レーザー光等を照射して第1粉末21及び第2粉末22を溶融、凝固した後、輪郭線の内側に第1粉末21によって形成される造形物の本体部と、輪郭線に沿って第2粉末22によって形成される造形物の表面部とを備え、本体部と表面部とが一体化された造形物が作製される。
なお、作製目的とする造形物の断面形状に応じて、設置される第2粉末供給部5の数は、2つに限定されず、例えば4つなどでもよい。
【0039】
第2粉末供給部5を駆動する第2駆動部7は、
図5に示すように、例えば、ノズル17を保持する保持部33と、保持部33を移動させるボールねじ機構34と、ボールねじ機構34を駆動するモータ35などを有する。なお、ノズル17の位置を制御できれば、第2駆動部7は、
図5に示す例に限定されず、他の構成であってもよい。
【0040】
第1開口部12及び第2開口部13について、第1開口部12を流れる第1粉末21の単位面積当たりの流量と、第2開口部13を流れる第2粉末22の単位面積当たりの流量とが同一となるように調整されていることが好ましい。流量の調整は、例えば、第1開口部12及び第2開口部13の開口面積比や、第1粉末21及び第2粉末22の粒径、形状などを変更することによって行われる。
【0041】
これにより、第1開口部12から供給される第1粉末21と、第2開口部13から供給される第2粉末22とが単位面積当たりでほぼ同量にステージ3上に敷設されることから、材料に関わらず1層分の厚さをほぼ同一にすることができる。
【0042】
光学部8は、レーザ光を出射する光源と、レンズ類等の光学部品などを有する。
【0043】
第1タンク9は、
図6〜
図8に示すように、容器25と、供給口26と、開閉弁27などを有する。容器25は、処理槽2における上方の所定位置に設置され、第1粉末21が貯留される。容器25の下面には、第1粉末21を排出して第1粉末供給部4へ第1粉末21を供給する供給口26が形成される。開閉弁27は、供給口26を開いたり、閉じたりするように設けられる。第1粉末供給部4に対し第1粉末21を供給するとき、開閉弁27によって供給口26が開かれ、第1粉末供給部4に対する第1粉末21の供給を停止するとき、開閉弁27によって供給口26が閉じられる。
【0044】
第2タンク10は、
図6〜
図8に示すように、容器28と、供給口29と、開閉弁30などを有する。容器28は、処理槽2における上方の所定位置において、例えば第1タンク9に隣接して設置され、第2粉末22が貯留される。
【0045】
容器28の下面には、第2粉末22を排出して第2粉末供給部5へ第2粉末22を供給する供給口29が形成される。開閉弁30は、供給口29を開いたり、閉じたりするように設けられる。第2粉末供給部5に対し第2粉末22を供給するとき、開閉弁30によって供給口29が開かれ、第2粉末供給部5に対する第2粉末22の供給を停止するとき、開閉弁30によって供給口29が閉じられる。
【0046】
図6に示すように、第1粉末供給部4及び第2粉末供給部5が、所定の供給位置、例えばステージ3の一端3a側に移動されたとき、開閉弁27が開かれて、第1タンク9から第1粉末供給部4へ第1粉末21が供給される。また、ほぼ同時のタイミングで、開閉弁30が開かれて、第2タンク10から第2粉末供給部5へ第2粉末22が供給される。
【0047】
これにより、所定位置に設置された第1タンク9に第1粉末21が貯留され、所定位置に設置された第2タンク10に第2粉末22が貯留されており、第1粉末供給部4及び第2粉末供給部5が、所定の供給位置に移動したとき、第1タンク9は第1粉末供給部4へ第1粉末21を供給し、第2タンク10は第2粉末供給部5へ第2粉末22を供給する。第1粉末供給部4及び第2粉末供給部5に第1粉末21や第2粉末22を供給しないときは、開閉弁27及び開閉弁30を閉じた状態としておく。
【0048】
なお、第1タンク9及び第2タンク10は、それぞれ第1粉末供給部4又は第2粉末供給部5と同時に移動するように一体的に設置された構成も想定されうる。しかし、貯留される第1粉末21や第2粉末22の重量に鑑みると、第1タンク9及び第2タンク10は、第1粉末供給部4又は第2粉末供給部5と別体に設けられ、処理槽2に固定された構成とすることが望ましい。
【0049】
次に、
図6〜
図9を参照して、本実施形態に係る積層造形装置1の動作方法について説明する。
まず、造形物の形状情報を用意する(ステップS1)。すなわち、積層造形装置1の制御部11に、例えば外部のコンピュータから、作製目的とする造形物の3次元形状のデータが入力される。3次元データは、例えばCADのデータであるが、これに限らない。
【0050】
3次元データは、造形物の各部分を形成する材料についての情報を含む。3次元データは、造形物の第1粉末21によって形成される部分(以下「第1粉末領域31」という。)と、造形物の第2粉末22によって形成される部分(以下「第2粉末領域32」という。)の情報を含む。
【0051】
次に、制御部11は、取得した上記の3次元データを、複数の層にスライスして分割する。制御部11は、スライスされた3次元データから、複数の層に関する複数の2次元データを生成する。生成された複数の2次元データは、制御部11のメモリに記録される。生成された2次元データは、第1粉末21及び第2粉末22に対するレーザー光の入熱条件に関する入熱情報などを含む。
【0052】
そして、形状情報である2次元データに基づいて、第1粉末21及び第2粉末22からなる層を複数層形成していく(ステップS2)。
【0053】
初めに、
図6に示すように、第1粉末供給部4及び第2粉末供給部5を所定の供給位置、例えばステージ3の一端3a側に移動し、第1タンク9から第1粉末供給部4へ第1粉末21を供給し、第2タンク10から第2粉末供給部5へ第2粉末22を供給する。このとき、第1タンク9の開閉弁27が開かれ、第2タンク10の開閉弁30が開かれる。一方、第1粉末供給部4の第1開口部12は、開閉板によって閉じられ、第2粉末供給部5の第2開口部13は、開閉板によって閉じられている。
【0054】
そして、2次元データと、第1粉末供給部4及び第2粉末供給部5の現在位置情報に基づいて、
図7に示すように、第1粉末21及び第2粉末22をステージ3の一端3a側から他端3b側へかけて敷設していく。第1粉末供給部4は、開閉板によって第1開口部12が開口されて、ステージ3に対して第1粉末21を供給する。また、第2粉末供給部5は、開閉板によって第2開口部13が開口されて、ステージ3に対して第2粉末22を供給する。このとき、2次元データにおける第2粉末領域32に関する位置情報に基づいて、第2開口部13及び閉止板19の位置を調整する。
【0055】
第2粉末22は供給せずに、第1粉末21のみをステージ3に対して供給するときは、第2開口部13と閉止板19を、第1開口部12が閉鎖されない位置に退避しつつ、開閉板が第2開口部13を閉じる。
【0056】
図8に示すように、第1粉末供給部4と第2粉末供給部5が一端3a側から他端3b側へ1回移動することによって、第1粉末21及び第2粉末22による1層分の敷設が完了する。そして、1層分の敷設完了後、敷設厚さを均一にする作業を行ってもよい。このとき、敷設厚さを一定にするため、第1粉末21及び第2粉末22の表面において、ブレードを一端から他端へかけてスライドさせることによって、第1粉末21及び第2粉末22を均すのではなく、加振装置によって敷設厚さを一定にする。加振装置は、ステージ3へ振動を付与することによって、第1粉末21及び第2粉末22を振動させる。これにより、ブレードを用いる場合と異なり、粉末の表面がブレードによって引きずられないため、第1粉末21と第2粉末22の境界の位置精度が向上する。
【0057】
その後、第1粉末領域31及び第2粉末領域32に関するデータに基づいて、敷設された第1粉末21及び第2粉末22に対してレーザー光を照射し、1層分の第1粉末21及び第2粉末22を溶融しつつ、凝固させる(ステップS3)。このとき、第1粉末21及び第2粉末22に対する入熱情報に基づいて、第1粉末領域31と第2粉末領域32への入熱条件を変える。
【0058】
次に、第1粉末供給部4と第2粉末供給部5を一端3a側から他端3b側へ移動したときと同様に、2次元データに基づいて、第1粉末21及び第2粉末22をステージ3の他端3b側から一端3a側へかけて敷設していく。これにより、第1粉末供給部4と第2粉末供給部5が一端3a側と他端3b側の間で往復移動することによって、第1粉末21及び第2粉末22による2層分の敷設が完了する。そして、敷設された第1粉末21及び第2粉末22に対してレーザー光を照射し、1層分の第1粉末21及び第2粉末22を溶融しつつ、凝固させる。
【0059】
そして、動作開始時と同様に、第1粉末供給部4及び第2粉末供給部5を所定の供給位置へ移動し、第1タンク9から第1粉末供給部4へ第1粉末21を供給し、第2タンク10から第2粉末供給部5へ第2粉末22を供給する。このように、1往復ごとに第1粉末21及び第2粉末22の供給を行うことで、第1粉末供給部4の容器15、及び、第2粉末供給部5のノズル17は、敷設される第1粉末21又は第2粉末22の往復分の量が収容可能に形成されていればよい。
【0060】
以上の動作について、作製する造形物の所定の高さまで第1粉末21及び第2粉末22の敷設、溶融及び凝固を行い(ステップS2及びS3)、目的とする造形物が完成するまで繰り返される(ステップS4)。
【0061】
以上、本実施形態によれば、1層を積層するとき、異なる材質の粉末を複数回に分けて敷設、すなわち、1回目のストローク(ステージ3の一端側から他端側への移動)で第1粉末を供給し、2回目のストロークで第2粉末を供給する場合と異なり、1回のストロークで、第1粉末21と第2粉末22とが同時に供給される。すなわち、第1粉末供給部4の第1開口部12から第1粉末21が供給され、第2粉末22が供給される部分については、第1開口部12が閉止板19によって塞がれつつ、第2粉末供給部5の第2開口部13から第2粉末22が供給される。このように、1回のストロークで異なる材料を同時に敷設できることから、積層にかかる時間が短縮化し、生産性を向上させることができる。