特許第6961489号(P6961489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エヌエスエル コム リミテッドの特許一覧

特許6961489リモートアンテナをチューニングするためのシステム、デバイスおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961489
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】リモートアンテナをチューニングするためのシステム、デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 19/13 20060101AFI20211025BHJP
   H01Q 15/16 20060101ALI20211025BHJP
   H01Q 3/01 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   H01Q19/13
   H01Q15/16
   H01Q3/01
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-548528(P2017-548528)
(86)(22)【出願日】2015年12月3日
(65)【公表番号】特表2017-537582(P2017-537582A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】IL2015051176
(87)【国際公開番号】WO2016088126
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2018年11月13日
(31)【優先権主張番号】62/087,821
(32)【優先日】2014年12月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517196362
【氏名又は名称】エヌエスエル コム リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202577
【弁理士】
【氏名又は名称】林 浩
(72)【発明者】
【氏名】スピルタス ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】イザキ−タミール ラズ
(72)【発明者】
【氏名】ロックバーガー ダニエル
【審査官】 倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0266955(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第0219321(EP,A1)
【文献】 Gregory Washington, et. al.,Design, Modeling, and Optimization of Mechanically Reconfigurable Aperture Antennas,IEEE TRANSACTIONS ON ANTENNAS AND PROPAGATION,2002年08月07日,VOL. 50, NO. 5,pp.628-637
【文献】 William A. Imbriale,Distortion Compensation Techniques for Large Reflector Antennas,2001 IEEE AerospaceConference Proceedings,2001年03月17日,pp. 799-805
【文献】 PETER R. LAWSON, JUI LIN YEN,A Piecewise Deformable Subreflector for Compensation of Cassegrain Main Reflector Errors,IEEE TRANSACTIONS ON ANTENNAS AND PROPAGATION,1998年10月,VOL. 36, NO. 1,pp.1343-1450
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔からチューニング可能なアンテナアセンブリであって、
主反射鏡(101)と、
前記主反射鏡と関連付けられた副反射鏡(102)と、
前記主反射鏡(101)を照射している送信を前記副反射鏡(102)を介して受信するか、または前記主反射鏡(101)への送信を前記副反射鏡(102)を介して送信するように構成されるフィード(103)と、
制御ユニットと、
幾何学的測定デバイス(498)であって、前記幾何学的測定デバイス(498)から主反射鏡(101)の内面上の複数の選択点への距離を測定することにより前記主反射鏡(101)の表面を走査することが可能な、そして前記主反射鏡(101)の内面の幾何学的形状を表すデータ項目のセットをもたらすことが可能な、幾何学的測定デバイス(498)と、
を備え、
前記副反射鏡(102)は、
その外面にわたって配置されてその外面に取り付けられた複数のアクチュエータ(220)を備え、前記複数のアクチュエータ(220)の各々は、アクチュエータ位置の変化に応じて、前記副反射鏡を形成している材料を局所的に内側または外側へ押すことによって、そのアクチュエータに隣接した前記副反射鏡の表面を局所的に変形させるようになってい
前記アンテナアセンブリ(100)は、前記データ項目のセットに基づく前記副反射鏡のいくつかまたはすべての前記アクチュエータのための移動値を含む補正ベクトルを算出するように構成される、
アンテナアセンブリ。
【請求項2】
前記複数のアクチュエータは、前記副反射鏡の前記外面の選択エリアにわたって間隔を置いて配置された、請求項1に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項3】
前記アクチュエータの各々は、制御信号に応答してその位置を変化させるように構成された、請求項1に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項4】
記制御ユニットは、
コントローラと、
メモリユニットと、
非一時的記憶ユニットと、
入力/出力ユニットと、
を備える、請求項に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項5】
前記幾何学的測定デバイス(498)は、前記フィードに隣接して位置し、レンジ検出器から前記主反射鏡の内面上の選択点までの距離の値を走査し記録して、これらの値を前記非一時的記憶ユニットに記憶するようになっている前記レンジ検出器をさらに備える、請求項4に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項6】
前記複数のアクチュエータは、前記副反射鏡を2つの垂直面の少なくとも1つの内での角度移動で回転中心の周りに移動させるようになっている単一のアクチュエータを備える、請求項1に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項7】
前記単一のアクチュエータは、さらに、前記副反射鏡を前記2つの垂直面の交線と一致する直線軸に沿って前記主反射鏡に近付けるか、またはそれから遠ざけるようになっている、請求項に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項8】
前記単一のアクチュエータは、さらに、前記副反射鏡を前記直線軸の周りに回転させるようになっている、請求項に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項9】
主反射鏡、副反射鏡およびフィードを備えるアンテナアセンブリをチューニングするための方法であって、前記方法は、
幾何学的測定デバイス(498)から主反射鏡(101)の内面上の複数の選択点への距離を測定することにより前記主反射鏡(101)の表面を走査することが可能な幾何学的測定デバイス(498)によって、前記主反射鏡の初期変形マップを受信するステップと、
前記主反射鏡で定常的な送信を受信して、前記フィードで受信された信号を記録するステップと、
前記副反射鏡の外面上に配置されそこで前記副反射鏡の湾曲を、前記フィードで受信された前記信号が最大値に達するまで、前記副反射鏡を形成している材料を局所的に内側または外側へ押すことによって局所的に変形させるようになっているアクチュエータをアクティブ化し、前記アクチュエータを保持してその状況を記録するステップと、
前記副反射鏡上に配置された前記アクチュエータの各々について前のステップを順次繰り返すステップと、
前記アクチュエータの前記状況を表す値を最大の最大に対するアクチュエータ状況を示すセットで記憶装置に記憶するステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
主反射鏡、副反射鏡およびフィードを備えるアンテナアセンブリをチューニングするための方法であって、前記副反射鏡には、アクティブ化信号に応答して前記副反射鏡の湾曲を局所的に変形させるようになっている複数のアクチュエータが設けられ、前記方法は、
複数の送信センサを前記アンテナアセンブリの送信照射の目標エリアに配備するステップと、
前記アンテナアセンブリからの送信をアクティブ化するステップと、
前記複数のセンサの各々で送信電力のレベルをそれぞれのセンサの位置とともに測定して記録するステップと、
前記記録された値から実際のアンテナアセンブリ照射フットプリント・マップを抽出するステップと、
前記抽出された照射フットプリント・マップを所望のフットプリントと比較するステップと、
前記目標エリアにおける前記アンテナアセンブリによる前記照射の前記フットプリントが前記所望のフットプリントと一致するように、前記副反射鏡を形成している材料を局所的に内側または外側へ押すことによって、前記副反射鏡の前記湾曲を変形させるために、前記アクチュエータのうちの少なくともいくつかにアクティブ化信号を提供するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アンテナを使用中のデータ通信に対するより広いバンド幅の必要性が絶えず増大している。アンテナのディッシュは、展開問題およびロジスティクスに起因してサイズが幾重にも制限されるという事実による。例えば、アンテナが宇宙空間に配備されるときに、アンテナがそこから展開されることになる宇宙船に収容されるためには、所定の折り畳みサイズに折り畳まれる必要がある。より大きいアンテナ・サイズを達成するための1つの好ましい解決法は、展開可能なアンテナ反射鏡を用いることである。しかしながら、アンテナ反射鏡を折り畳むかまたは広げる多くのケースにおいて、および束縛されないいくつかのケースにおいてさえ、それらの折り畳まれてその後に展開された反射鏡は、変形されて不完全であり、結果として、不正確なアンテナ照射フットプリント、バンド幅の劣化などのような課題を生じる。
【背景技術】
【0002】
かかる課題は、アンテナの展開後に注意を要するが、しかし、いくつかのケースでは、アンテナのキャリブレーションおよび/または展開欠陥の補正のためにアンテナに到達することは、容易に、またはまったくできない。
【0003】
従って、展開されたアンテナの性能向上のために改善されたシステムおよび方法が長らく望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
遠隔からチューニング可能であり、主反射鏡、主反射鏡と関連付けられた副反射鏡、および主反射鏡を副反射鏡を介して照射しているか、または主反射鏡への送信を副反射鏡を介して送信するためのフィードを備える、アンテナアセンブリが呈示される。副反射鏡は、その外面にわたって配置されてその外面に取り付けられた複数のアクチュエータを備え、複数のアクチュエータの各々は、アクチュエータ位置の変化に応じてそのアクチュエータに隣接した副反射鏡の表面を局所的に変形させるようになっている。
【0005】
いくつかの実施形態において、アンテナアセンブリにおける複数のアクチュエータは、副反射鏡の外面の選択エリアにわたって互いに均等に間隔を置いて配置される。
【0006】
いくつかの追加の実施形態では、アンテナアセンブリにおける各々のアクチュエータは、制御信号に応答してその位置を変化させるように構成される。
【0007】
なおさらなる実施形態では、アンテナアセンブリは、制御ユニットをさらに備える。制御ユニットは、コントローラ、メモリユニット、非一時的記憶ユニットおよび入力/出力ユニットを備える。
【0008】
いくつかの実施形態において、アンテナアセンブリは、フィードに隣接して位置し、レンジ検出器から主反射鏡の内面上の選択点までの距離の値を走査し記録して、これらの値を非一時的記憶ユニットに記憶するようになっているレンジ検出器をさらに備える。
【0009】
アンテナアセンブリに用いるための副反射鏡が開示され、副反射鏡は、その外面にわたって配置されてその外面に取り付けられた複数のアクチュエータであって、複数のアクチュエータの各々がアクチュエータ位置の変化に応じてそのアクチュエータに隣接した副反射鏡の表面を局所的に変形させるようになっている複数のアクチュエータ、および複数のアクチュエータの各々の位置を制御するようになっている制御ユニットを備える。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、複数のアクチュエータは、副反射鏡において副反射鏡の外面の選択エリアにわたって互いに均等に間隔を置いて配置される。
【0011】
さらなる実施形態によれば、副反射鏡の制御ユニットは、コントローラ、メモリユニット、非一時的記憶ユニットおよび入力/出力ユニットを備える。
【0012】
なおさらなる実施形態によれば、非一時的記憶ユニットは、コントローラによって実行されたときに、入力/出力ユニットにアクチュエータへの制御信号を提供させるその上に記憶されたソフトウェアプログラムを有する。
【0013】
またさらなる実施形態によれば、副反射鏡は、非一時的記憶ユニットに記憶された反射鏡不完全性マップ(RIM:Reflector Imperfections Map)をさらに備える。
【0014】
なおさらなる実施形態によれば、アンテナアセンブリにおける複数のアクチュエータは、副反射鏡を2つの垂直面の少なくとも1つの内での角度移動で回転中心の周りに移動させるようになっている単一のアクチュエータを備える。単一のアクチュエータは、さらに、副反射鏡を2つの垂直面の交線と一致する直線軸に沿って主反射鏡に近付けるか、またはそれから遠ざけるようになっている。いくつかの実施形態によれば、単一のアクチュエータは、さらに、副反射鏡をその直線軸の周りに回転させるようになっている。
【0015】
主反射鏡、副反射鏡およびフィードを備えるアンテナアセンブリをチューニングするための方法が開示される。本方法は、主反射鏡の初期変形マップを受信するステップと、主反射鏡で定常的な送信を受信して、フィードで受信された信号を記録するステップと、副反射鏡の外面上に配置されそこで副反射鏡の湾曲をフィードで受信された信号が最大値に達するまで局所的に変形させるようになっているアクチュエータをアクティブ化し、アクチュエータを保持してその状況を記録するステップと、副反射鏡上に配置された各々のアクチュエータについて前のステップを順次繰り返すステップと、アクチュエータの状況を表す値を最大の最大に対するアクチュエータ状況を示すセットで記憶装置に記憶するステップと、を備える。
【0016】
アンテナアセンブリをチューニングするための方法が開示され、アンテナアセンブリは、主反射鏡、副反射鏡およびフィードを備え、副反射鏡には、アクティブ化信号に応答して副反射鏡の湾曲を局所的に変形させるようになっている複数のアクチュエータが設けられ、本方法は、複数の送信センサをアンテナアセンブリの送信照射(transmission illumination)の目標エリアに配備するステップと、アンテナアセンブリからの送信をアクティブ化するステップと、複数のセンサの各々で送信電力のレベルをそれぞれのセンサの位置とともに測定して記録するステップと、記録された値から実際のアンテナアセンブリ照射フットプリント・マップを抽出するステップと、抽出された照射フットプリント・マップを所望のフットプリントと比較するステップと、目標エリアにおけるアンテナアセンブリによる照射のフットプリントが所望のフットプリントと一致するように副反射鏡の湾曲を変形させるために、アクティブ化信号をアクチュエータのうちの少なくともいくつかに提供するステップとを備える。
【0017】
本発明のこれらの、追加的な、および/または他の態様および/または利点が以下の詳細な記載に示され、詳細な記載からおそらく推測可能であるか、および/または本発明の実施によって学習可能である。
【0018】
発明と見なされる本主題が本明細書の結論部分で特に指摘されて明確に請求される。しかしながら、本発明は、添付図面とともに読まれたときに、以下の詳細な記載への参照によって、その構成および動作の方法の両方、ならびに目的、特徴、および利点が最も良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】アンテナシステムの構成要素を示す。
図2A】アンテナシステムの要素に当たる送信波の伝搬経路を示す。
図2B】主反射鏡が完全なパラボラ反射鏡として形成されていないアンテナアセンブリの性能を概略的に示す。
図2C】本発明の実施形態による、その反射鏡の湾曲を動的に変化させるようになっている副反射鏡システムの概略斜視図である。
図2D】本発明の実施形態による、図2Cの副反射鏡システムが反射の方向に局所的に影響を与える方法を概略的に示す。
図2E】本発明の実施形態による、副反射鏡200の後側の一組のアクチュエータの配備を概略的に示す。
図2F】本発明の実施形態による、副反射鏡に局所的な変形を生じさせるためのアクチュエータの動作を概略的に示す。
図2G】本発明の実施形態による、副反射鏡に局所的な変形を生じさせるためのアクチュエータの動作を概略的に示す。
図3A】本発明の実施形態による、遠隔的に動作/制御通信チャネルがないアダプティブアンテナシステムを概略的に示す。
図3B】本発明の実施形態による、かかる通信チャネルがあるアダプティブアンテナシステムを概略的に示す。
図4A】本発明の実施形態による、目標エリア上のアンテナ照射のフットプリントの例を概略的に呈示する。
図4B】本発明の実施形態による、アンテナアセンブリの非修正フットプリントおよび修正フットプリントを概略的に呈示する。
図4C】本発明の実施形態による、主反射鏡の実際の湾曲をマッピングするためのレンジ検出器デバイスをもつアンテナアセンブリを概略的に呈示する。
図4D】本発明の実施形態による、性能パラメータを変化させるために遠隔的にチューニングすることが可能なアンテナアセンブリを概略的に呈示する。
図5】本発明の実施形態による、アンテナでの受信信号に基づいて主反射鏡の変形を補償するために副反射鏡のアクチュエータを操作するステップを呈示するフロー図である。
図6】本発明の実施形態による、副反射鏡のアクチュエータを操作するステップを呈示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
説明を簡潔かつ明解にするために、図中に示される要素が必ずしも縮尺通りに描かれなかったことが理解されよう。例えば、明確にするためにいくつかの要素の寸法が他の要素に対して誇張されることもある。さらにまた、適切と考えられるところでは、対応または類似する要素を示すために複数の図の間で参照数字が繰り返されることもある。
【0021】
以下の詳細な記載では、本発明の十分な理解を提供するために多くの具体的な詳細が示される。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細を伴わずに実施されてもよいことが当業者に理解されるであろう。他の事例では、本発明を曖昧にしないために、よく知られた方法、手順、および構成要素は詳細に記載されなかった。
【0022】
語句「少なくとも1つ」、「1つ以上」、ならびに「および/または」は、運用が連言的でも選言的でもある非限定的な表現である。例えば、表現「A、BおよびCのうちの少なくとも1つ」、「A、BまたはCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、およびCのうちの1つ以上」、「A、B、またはCのうちの1つ以上」ならびに「A、Bおよび/またはC」の各々は、Aだけ、Bだけ、Cだけ、AおよびBともに、AおよびCともに、BおよびCともに、あるいはA、BおよびCともにを意味する。用語「複数」は、以下では、任意の正整数(例えば、1、5、または10)を指す。
【0023】
用語「フットプリント」は、以下では、アンテナのトランスポンダが目標エリア(受信かまたは送信のいずれか)のカバレッジを提供して、それぞれ目標エリアで受信されるか、または目標エリアから送信される信号強度が十分である遠隔エリアを指す。
【0024】
用語「変形された」は、以下では、任意の欠陥、ミスアラインメントを指すか、あるいは正常、自然もしくは好ましい形状または形態を有さないことを指す。
【0025】
用語「アンテナアセンブリ・チューニング」は、以下では、アンテナの性能に影響を及ぼすために、例えば、その利得、その動作バンド幅、そのフットプリントなどに影響を及ぼすか、またはそれらを変化させるためにアンテナに対してとられる行動または手段を指す。
【0026】
本発明の実施形態は、この点で限定されないが、例えば、「処理」、「計算」、「算出」、「決定」、「確立」、「解析」「チェック」などのような用語を利用した考察は、コンピュータのレジスタおよび/またはメモリ内の物理的(例えば、電子的)量として表されたデータを、コンピュータのレジスタおよび/またはメモリ、あるいは、演算および/または処理を行うための命令を記憶しうる他の情報非一時的記憶媒体内の物理的量として同様に表された他のデータへ、操作および/または変換するコンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、または他の電子コンピューティングデバイスの演算(単数または複数)および/または処理(単数または複数)を参照してもよい。用語、セットは、本明細書に用いられるときに、1つ以上の項目を含んでもよい。明示的に述べられない限り、本明細書に記載される方法の実施形態は、特定の順序またはシーケンスには限定されない。加えて、記載される方法の実施形態またはそれらの要素のいくつかは、同時に、同じ時点で、または一斉に生じるか、または行うことができる。
【0027】
通常、図1に示されるように、アンテナアセンブリ100は、主反射鏡101およびフィードアセンブリを備えてもよい。フィードアセンブリは、副反射鏡102およびフィード要素103をさらに備えてもよい。遠隔位置から(図面では送信伝搬ラインによって概略的に示され、送信ラインとも表される)送信信号、ラインTRのような典型的に平行な放射ラインを受信するには、主反射鏡101の方へ送られた送信を主反射鏡が集中させる必要がある。主反射鏡101は、それが副反射鏡102を照射することになるように、入射する送信を反射して(送信ラインTR)、それらを副反射鏡102の方へ収束させることになろう。次には副反射鏡102がこれらの送信を反射して(送信ラインTR)、それらをなおさらにフィード要素103の方へ収束させることになろう。アンテナが送信しているときにも同様のことが行われる。フィード要素103が送信ビームを副反射鏡102の方へ放射して、次には副反射鏡102がそれらの信号をより広いビームで主反射鏡101の方へ反射し、次には主反射鏡101がそれらの信号を(理論的にはほぼ平行な送信ラインで)遠隔位置の方へ反射して収束させる。
【0028】
多くのケースで、アンテナアセンブリにおける主反射鏡は、そのサイズおよび利用可能な輸送手段に起因して、設置サイトへ輸送されるときに折り畳まれる必要があるので、オンサイトで展開される必要がある。折り畳まれた主アンテナが設置サイトに到達したときに、そのアンテナは、折り畳まれるかまたは取り外された位置から、展開されるかまたは組み立てられることになろう。輸送の困難さに起因して、および/または、展開および/または組み立て中に、主アンテナの物理的および/または電気的特性にいくらかの欠陥もしくは不完全性が生じるか、あるいは顕現することがある。それらの多くのケースで、展開が僻地または宇宙空間で発生するときなど、オンサイト補正、修正または交換用アンテナ反射鏡の注文は、まったく不可能でなくても、ほとんど不可能なことがある。結果として、欠陥のあるアンテナの性能が計画された性能に比べて劣化し、アンテナ利得の低下、送信/受信バンド幅の低下などを生じかねない。
【0029】
本発明の実施形態によるシステムおよび方法は、副反射鏡、例えば、副反射鏡102の反射表面の形状を適合させるかおよび/または操作することによって、主反射鏡の欠陥および不完全性を補償可能にすることができる。これは、アンテナ性能を実質的に欠陥のないアンテナの性能へ回復させて、主反射鏡の使用を、その欠陥および不完全性にも係わらず、継続することを可能にできる。
【0030】
完全な形状の主アンテナ反射鏡(すなわち、欠陥がない)を適切な形状の副反射鏡ならびに正確に位置する副反射鏡およびフィードとともに有するアンテナは、予測された方向から主アンテナ反射鏡に当たる送信が、適正方向(適正インバウンド送信方向とも表される)から主アンテナ反射鏡に当たる送信ラインごとに、副反射鏡の方へ、そして副反射鏡からフィードへ反射されることになろう。アンテナシステム100の要素に当たる送信波の伝搬経路を示す、図2Aが参照される。アンテナシステム100は、主反射鏡101、副反射鏡102およびフィードユニット103を備える。上記のように、主反射鏡101は、互いに平行に主反射鏡101に当たり入ってくる送信ライン、例えば、ライン201を副反射鏡102の方へ集中させるようになっている完全なパラボラ反射鏡として形成されてもよい。副反射鏡102は、主反射鏡101から来る送信ライン、例えば、送信ライン202を送信焦点に位置するフィード103の方へ集中させるようになっており、従って、主反射鏡101に当たる実質的にすべての送信エネルギーを受信するようになっている空間的に凹状の反射鏡として形成されてもよい。
【0031】
次に、主反射鏡101Aが完全なパラボラ(または他の完全な形状の反射鏡)として形成されず、形状または機械的欠陥および不完全性をもつアンテナアセンブリ100Aの性能を概略的に示す、図2Bが参照される。わかるように、主反射鏡101Aが欠陥を有する点204でこの反射鏡に当たる送信ライン201は、図2Aの副反射鏡102と同様の、副反射鏡102の方へ送信ライン203を反射する。しかしながら、点204における不完全性に起因して、反射された送信ラインは、フィード103へ向かうその反射送信ライン203Aが所望の方向からずれるように副反射鏡102に当たり、結果として、そのエネルギーのいくらかまたはすべてがフィード103を逸しかねない。一般に、主反射鏡103上の欠陥および不完全性は、アンテナアセンブリ100Aが送信を受信するときのフィードでの全送信エネルギーの減少、バンド幅を減少させるクロストーク、送信エネルギーおよびバンド幅を減少させる交差偏波などで表現できる。
【0032】
上記のように、アンテナアセンブリの主反射鏡、例えば、主反射鏡101は、輸送の衝撃または折り畳み位置からのオンサイト展開に起因する機械的欠陥、変形および他の機械的構成の不完全性により損なわれることがある。主反射鏡の不完全性は、例えば、宇宙空間で展開されるときに、反射鏡が経験する急峻で大きな温度変化に起因して、宇宙塵もしくは石礫に衝突されたことに起因して、または宇宙船の残骸からの打撃に起因しても生じうる。展開後のかかる主反射鏡の保守は、非常に難しいか、またはまったく不可能なこともある。
【0033】
アンテナアセンブリ、例えば、アンテナアセンブリ100または100Aの総合性能は、本発明の実施形態によれば、主反射鏡の不完全性を補償するために、副反射鏡、例えば、副反射鏡102の具体的な凹形状を操作することによって取り扱われてもよい。主反射鏡の不完全性が様々な方法で位置特定、測定、仮定または評価されてもよい。例えば、製造された主反射鏡の湾曲を測定し、ずれの位置およびずれの特質の記録をとることによって、計画された湾曲からのその湾曲のずれを見つけてマッピングするために、アンテナアセンブリの主反射鏡が製造後に測定されてもよい。別の実施形態によれば、折り畳まれて、設置位置へ輸送され、その後に展開されるようにされた主反射鏡に予想される不完全性は、折り畳まれて、輸送に特徴的な損傷を受け、その後に展開されてもよく、これらの動作のすべては、主反射鏡が生産されるところで局所的に発生してもよい。アンテナアセンブリが、例えば、宇宙空間で展開するようにされたケースでは、主反射鏡が非常に低い空気圧および無重量もシミュレートした施設内で展開されてもよい。主反射鏡が展開された後に、その不完全性が評価および/または測定されてもよい。例えば、反射鏡形状の必要な形状からのずれのマップが描かれてもよい。かかる不完全性マップが記録されて、デジタルに記憶されてもよい。このマップは、ずれが見つかった主反射鏡上の位置、およびずれの特質を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、このデジタルに記憶されて不完全性(反射鏡の凹面のその所望の形状からのずれ)のマップが反射鏡不完全性マップ(RIM)として定義されてもよい。いくつかの実施形態によれば、入ってくる送信のケースでは、フィードで測定されるアンテナアセンブリの総合性能が欠陥のない主反射鏡を有するアンテナアセンブリにできるだけ近くなるように、RIMのデータに基づいて、副反射鏡の凹面の形状に必要な変化が算出されてもよい。かかる性能は、受信された送信に対するアンテナアセンブリの最大利得が、完全な形状の主反射鏡を有するアンテナアセンブリによって受信されたであろう利得にできるだけ近いときに達成されてもよい。
【0034】
この必要条件は、本発明の実施形態によれば、フィードユニットで受信される送信の位相ずれができるだけ少ないか、および/または、受信される送信の交差偏波ができるだけ少ないできるだけ多くの送信電力をフィードユニットの方へ向けるように副反射鏡の凹形状を変形させることによって達成されてもよい。その湾曲を、例えば、主反射鏡における変形に対して必要とされる補正に従って変化させるようになっている、少なくとも1つの副反射鏡を備えるアンテナアセンブリは、アダプティブアンテナシステムと表されることがある。
【0035】
次に、本発明の実施形態による、その反射鏡の湾曲を動的に変化させるようになっている副反射鏡システム200の概略斜視図である、図2Cが参照される。副反射鏡200は、アンテナアセンブリ、例えば、アンテナアセンブリ100(図2Aおよび2B)の一部であってもよく、以下に記載されるように、アンテナアセンブリの性能をチューニングするために用いられてもよい。副反射鏡システム200は、算出された焦点215を有する副反射鏡ユニット210、および副反射鏡システム200の外面(凸面)上に取り付けられて、副反射鏡の面を形成する材料を内側(焦点215の側)または外側へ移動させることによって反射鏡の湾曲を局所的に変形させるようになっている複数のアクチュエータ(または操作要素)220を備えてもよい。アクチュエータ220は、副反射鏡210の湾曲を必要な方向および距離へ局所的に変形させることが可能な任意の適切なリニアアクチュエータであってもよい。典型的に、アクチュエータ220は、電気モータとモータの回転を直線移動へ変換する機械式変速機とを備えてもよい。この目的のために当技術分野で知られた他の手段を用いてもよいことが当業者には明らかであろう。かかる手段に必要とされるのは、制御信号を受信して、副反射鏡の湾曲を正しい量だけ局所的に変形させる、対応する機械的移動を行いうることである。
【0036】
次に、本発明の実施形態による、図2Cの副反射鏡システム200が反射の方向に局所的に影響を及ぼす方法を概略的に示す、図2Dが参照される。例えば、主反射鏡(例えば、主反射鏡101または101A)から来る送信ライン202は、アクチュエータ220Aに接触して位置し、その移動によって局所的に変形するようにされた、位置210Aで副反射鏡210に当たる。図2Dの例では、アクチュエータ220Aの移動が局所的な変形を生じさせて、到来する送信ライン202の反射された送信ライン202Bが副反射鏡システム200の焦点215からいくぶん離れた方へ向かうようにさせた。
【0037】
次に、本発明の実施形態による、副反射鏡200の後側の一組のアクチュエータの配備を概略的に示す図2E、ならびに、局所的な変形を生じさせて、アクチュエータ220Aの周りに境界線220B内に画定された対応する変形エリアをもたらすためのアクチュエータの動作を概略的に示す図2Fおよび2Gが参照される。図2Eは、副反射鏡システム200の副反射鏡210Aの後側のアクチュエータ220の配備のスキームを呈示する。アクチュエータ220は、図2Eの例によれば、副反射鏡210の中心点を通過する半径線に対応する同心線上の位置に、等しい角度、この例では22.5度の間隔を置いて、いくつかの同心配置で配備されてもよい。
【0038】
図2Fは、副反射鏡210における図2Eの線210Aに沿った断面、および副反射鏡210の湾曲に対するアクチュエータ220Aの動作の影響を概略的に示す。アクチュエータ220Aは、図2Eの例によれば、アクチュエータ220の配備スキームの中心円上および半径線210A上に位置する。アクチュエータ220Aのアクティブ化は、アクチュエータ210Aによって加えうる最大内側および外側局所変形を概略的に示す線210CH1および210CH2によって記載されるように副反射鏡210の湾曲を局所的に変形させてもよい。
【0039】
例えば、主反射鏡101Aのような主反射鏡から反射された送信ライン202の束が副反射鏡210の凹表面上の位置210Aに当たってもよい。副反射鏡210の湾曲がアクチュエータ220Aのアクティブ化によって変形されてもよい。線210CH1によって概略的に示されるように、アクチュエータ220Aがアクティブ化されて副反射鏡の表面を局所的に内側へ押したときに、副反射鏡210の表面の局所的な凸形状に起因して、反射された送信ライン202Cが局所的な分散バンドルを形成してもよい。線210CH2によって概略的に示されるように、アクチュエータ220Aがアクティブ化されて副反射鏡の表面を局所的に外側へ引いたときには、副反射鏡210の表面の局所的な凹形状に起因して、反射された送信ライン202Bが局所的な焦点215Aに局所的に収束する局所的な合流バンドルを形成してもよい。
【0040】
図2Gは、本発明の実施形態による、アクチュエータ220Aが加えうる局所的な変形の幾何学的寸法を概略的に記載する。アクチュエータ220Aは、点210A(図2Dも参照)で副反射鏡210の外面に取り付けられて、副反射鏡210を形成している材料を、それぞれ、最大内側および外側局所変化を指定する、線210CH1および210CH2によって記載されるように、局所的に内側または外側へ押すことによって、副反射鏡210の表面を局所的に変形させるようになっていてもよい。内外の局所的変化の範囲は、220ADと表され、対応する変形エリアは、境界線220Bによって画定される。当然のことながら、上記のような局所的な変形を可能にするために、副反射鏡210が様々な技術を用いて1つ以上の様々な材料から作られてもよく、これらの技術は、取り付けられたアクチュエータがこの点で反射鏡の面に垂直な方向に副反射鏡の表面を所望の変形の大きさ220ADまで局所的に変形させて、その一方で影響されるエリアを220Bの範囲内に維持することを可能にする。例えば、副反射鏡は、それぞれの主反射鏡の半径の5%〜20%の範囲である半径を有してもよい。副反射鏡は、フレキシブルな非導電性シート(例えば、プラスチックシート)に覆われるか、もしくは埋め込まれた、動作波長の10%より小さい孔を有する(例えば、金属でできた)薄い導電性メッシュ、または、フレキシブルな非導電性シート(例えば、プラスチックシート)に覆われた(例えば、金属でできた)薄い導電性シートから作られてもよく、この導電性の薄いシートは、凹形状を最初に受容して、アクチュエータ220によって与えられる所要の局所的な変化を許容するのに必要なフレキシビリティを与えるために、その中に作られた薄い切り込みを有してもよい。アクチュエータ220Aの有効移動範囲220ADは、±2cmの大きさを有してもよく、影響を受けるエリア220Bは、5cmの半径、または他の実施形態では、2つの隣接したアクチュエータ間の距離の2倍の半径を有してもよい。2つの隣接したアクチュエータ間の距離は、波長、主反射鏡のサイズによって、および具体的な実施形態のパラメータによって決定づけられる。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態において、アダプティブアンテナシステムは、いくつかの要素、例えば、反射鏡100または反射鏡のアレイのような、主反射鏡、フィードユニット103またはフィード要素103のアレイのような、フィード要素を備えるフィードアセンブリ、および副反射鏡102/200または副反射鏡102/200のアレイのような、副反射鏡を備えてもよい。システムは、さらに、コンピューティングデバイス(単数または複数)および随意的にフィードバックデバイス(単数または複数)を備えてもよい。かかるシステムは、その指定された位置に配備されてもよく、フィードバックデバイスは、アンテナが照射の目標とするか、または送信を受信するために向けられる遠隔位置に配備されてもよい。システムの副反射鏡は、例えば、上記のように、主反射鏡への照射またはそれからの照射を調節するためにさらに操作されるようになっていてもよい。
【0042】
遠隔フィードバックデバイスを伴わない主反射鏡変形の補正
アダプティブアンテナシステムは、宇宙空間に配備された衛星アンテナ、アクセスが難しい位置にある遠隔自動送信局などのように、遠隔位置において、あるいはアダプティブアンテナシステムへのアクセスがそこでは非常に難しく、費用がかかり、もしくは別様に不採算か、または不可能な位置において配備、設置および作動されてもよい。アダプティブアンテナシステムは、いくつかの実施形態によれば、オペレータを伴う少なくとも1つの送信チャネル、責任者、対応する専門家によってアクセス可能な計算設備などを有してもよい。
【0043】
次に、本発明の実施形態による、それぞれ、遠隔的に動作/制御通信チャネルがない、およびかかる通信チャネルがあるアダプティブアンテナシステムを概略的に示す、図3Aおよび3Bが参照される。図3Aのアダプティブアンテナシステム300は、アンテナシステム310で受信された信号をコンピューティングユニット320へ送り、または送信モードにあるときに、送信信号をコンピューティングユニット320からアンテナシステム310へ送ることを可能にするために、アンテナシステム310、ローカルコンピューティングユニット320および通信チャネル315を備える。受信モードにあるときには、アンテナシステム310が送信302を受信してもよく、この送信によって運ばれた信号がフィードユニット310Cで収集されてもよい。アンテナシステム310の副反射鏡310Bは、図2D〜2Gの副反射鏡システム200と同じかまたは同様であってもよく、アクチュエータのアレイは、制御信号を受信して副反射鏡310Bの表面を局所的に変形させるようになっている。アンテナシステム310の副反射鏡310Bのアクチュエータは、図面を曖昧にしないために示されないが、それでもなお明らかなのは、副反射鏡310Bの性能に対するそれらの動作およびそれらの効果が図2D〜2Gに関して副反射鏡200およびそのアクチュエータ220について先に記載された通りであるということである。副反射鏡310Bのアクチュエータは、本明細書では310BACTと表されることになろう。
【0044】
コンピューティングユニット320は、例えば、中央処理装置プロセッサ(CPU:central processing unit processor)、チップまたは任意の適切なコンピューティングもしくは計算デバイスであってもよいコントローラ324、オペレーティングシステム325、メモリ326、メモリに記憶された実行可能なコード、非一時的記憶装置327、および入力/出力デバイス322を含んでもよい。コントローラ324は、本明細書に記載される方法を実施するように、および/または様々なモジュール、ユニットなどとして実行または機能するように構成されてもよい。本明細書の実施形態によるシステムに1つより多いコンピューティングデバイス320が含まれてもよく、1つ以上のコンピューティングデバイス320がシステムの様々な構成要素として機能してもよい。例えば、メモリ326に記憶された実行可能なコードを実行することによって、コントローラ324がアンテナシステム310の主アンテナにおける変形または欠陥を補正する方法を実施するように構成されてもよい。
【0045】
オペレーティングシステム325は、コンピューティングユニット320の動作を調整、スケジュール、仲裁、監督、制御または別様に管理する、例えば、ソフトウェアプログラムの実行をスケジュールするか、あるいはソフトウェアプログラムまたは他のモジュールもしくはユニットが通信することを可能することを伴う、タスクを行うように設計および/または構成された任意のコードセグメント(例えば、上記の実行可能なコードと同様のもの)であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。オペレーティングシステム325は、市販のオペレーティングシステム、特許で保護されたオペレーティングシステムか、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0046】
メモリ326は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、リードオンリメモリ(ROM:read only memory)、ダイナミックRAM(DRAM:Dynamic RAM)、シンクロナスDRAM(SD−RAM:Synchronous DRAM)、ダブルデータレート(DDR:double data rate)メモリチップ、フラッシュメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、キャッシュメモリ、バッファ、短期メモリユニット、長期メモリユニットまたは他の適切なメモリユニットもしくは記憶ユニットであってもよく、またはそれらを含んでもよい。メモリ120は、複数の、場合によっては異なるメモリユニットであってもよく、またはそれを含んでもよい。メモリ120は、コンピュータまたはプロセッサ非一時的可読媒体、またはコンピュータ非一時的記憶媒体、例えば、RAMであってもよい。
【0047】
実行可能なコードは、任意の実行可能なコード、例えば、アプリケーション、プログラム、プロセス、タスクまたはスクリプトであってもよい。実行可能なコードは、場合によってはオペレーティングシステム325の制御下でコントローラ324によって実行されてもよい。例えば、実行可能なコードは、本明細書に記載されるように、アンテナシステム310の主アンテナにおける欠陥を補償するためのプロセスを管理するアプリケーションであってもよい。本発明の実施形態によるシステムは、上記の実行可能なコードと同様の複数の実行可能なコードセグメントを含んでもよく、これらのコードセグメントがメモリ326に読み込まれて、コントローラ324に本明細書に記載される方法を実施させてもよい。
【0048】
本発明の実施形態によれば、アンテナ310によって受信された送信302がフィードユニット310Cで収集されてもよく、この送信によって運ばれた信号が通信チャネル315を介してコンピューティングユニット320へ提供されてもよい。送信302における信号は、いくつかの実施形態によれば、送信局での送信の電力を示すデータを運んでもよい。かかるデータが送信されたときに、そのデータがコンピューティングユニット320で抽出されて記憶されてもよい。他のケースでは、かかるデータが送信に含められなくともよい。送信局での送信の電力を示すデータが送信されないときには、フィード310Cにおける受信信号の電力のみに基づくプロセスがコンピューティングユニット320によって行われることになろう。一定の送信電力を有する送信320がアンテナシステム310で受信されると仮定して、フィード310Cにおいて収集された信号がコンピューティングユニット320へ通信される。
【0049】
アンテナシステム310の総合性能を示す情報がフィード310Cで受信された信号の電力以外に何もなければ、コンピューティングデバイス320が以下のプロセスを行ってもよい。信号がフィード310Cで受信されて、コンピューティングユニット320へ通信されたときに、信号の電力SIGP0が記録される。次のステップでは、アクチュエータのアレイ310BACTから第1のアクチュエータ310BACT1が選択されて、副反射鏡310Bの湾曲を局所的にわずかに変化させるためにコンピューティングシステム320が制御信号を送る。変化は、1/Nほどと小さくてもよく、ここでNは、アクチュエータ・アレイ310BACTからのアクチュエータによって行われてもよい個別ステップの数である。いくつかの実施形態において、かかるステップの値は、220AD/Nであってもよく、この値は、動作波長の1/100の一般的な必要条件に準拠すべきである。いくつかの実施形態において、Nの値は、50〜500の範囲内にあってもよい。いくつかの実施形態によれば、この変化(内または外向き)の最初の方向およびその大きさがランダムに選択されてもよい。他の実施形態では、これらの値は、前のかかるプロセス、ならびに前のこれらのプロセス中に加えられた変化の効果に基づいて算出されてもよい。他の実施形態では、これらの値は、コンピューティングユニット320のメモリユニットまたは記憶ユニットに予め記憶されてもよい反射鏡不完全性マップ(RIM)情報に基づいて算出されてもよい。
【0050】
フィード310Cで受信された信号の電力の変化が記憶されて、アクチュエータ310BACT1によって別の変化が行われ、受信信号の電力に対するその効果が再び記憶される。PMAX1と表される最大受信電力が達成されるまでこのプロセスが繰り返されてもよい。アクチュエータ310BACT1の位置が記録されて、PMAX1値と関連付けられる。
【0051】
1<m<Mの値のすべてのアクチュエータ310BACTmに対してこのプロセスが繰り返されてもよく、ここでMは、アクチュエータの数である。このプロセスが終わり、1<m<Mに対する最終値PMAXmが記録されると、この値のセットは、アンテナシステム310に対して更新された最大の最大(UMOM:updated max−of−max)と表される。アクチュエータの実際の順序が、外側の円に沿って1つずつ選択されて、次に内側の円で再スタートする(本明細書では巡回−外から中心へと表される)か、もしくは中心から外向きに開始する(本明細書では巡回−中心から外と表される)か、または半径線に沿って外から中心へ開始して、次に隣りの半径線を選ぶ(本明細書では半径線−外から中心へと表される)かもしくはその逆(半径線−中心から外へと表される)か、あるいは任意の他のスキームかどうかに係わらず、かかるスキームが、関連付けられた、結果として生じた受信信号電力とともに記憶されるであろうということに気付くであろう。従って、各々のスキームの性能が比較されてもよく、最大受信電力をもたらすスキームが選択されてもよい。
【0052】
アクチュエータ310BACTmのアクティブ化のスキームが算出または選択されるときに、いくつかの考慮事項が取り入れられてもよい。1つのかかる考慮事項は、位相がずれた送信ラインの影響である。
【0053】
送信波長がミリメートル範囲内かまたはそれ以下であり、主反射鏡の窪み変形が1ミリメートル以下の大きさのオーダの深さまたは突起を有するときに、主アンテナのこの欠陥エリアから反射された送信ラインは、フィードでは、例えば、主反射鏡上の欠陥のない位置から反射された大多数の受信された送信ラインに対して位相がずれて受信され、その後に、信号の総受信電力の減少をもたらすことがある。
【0054】
別の例では、主反射鏡上の欠陥位置から反射された送信ラインがアンテナシステムのフィードで受信された送信ラインのいくらかに交差偏波を生じさせて、その後にやはり信号の総受信電力の減少をもたらすことがある。
【0055】
いくつかの他の例では、両方の現象が同時に生じて、結果としてフィードにおける信号の総受信電力をなおさらに減少させることがある。
【0056】
UMOM値に到達するための上記のプロセスの計画および/または実行は、より良い結果を受信するために、本明細書ではそれぞれMINOOPおよびMINCPと表される、各々の最小値を探索することによって位相ずれおよび交差偏波現象の影響を考慮に入れてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、主反射鏡における欠陥および不完全性の兆候の、アンテナアセンブリから受信された信号からの抽出と関連づけられた計算、ならびに、かかる欠陥を補償するためのアクチュエータへの制御信号の提供は、アンテナアセンブリが配備された位置から遠く離れて行われてもよい。アンテナアセンブリ310と同様のアンテナアセンブリ360、および通信アダプタ362を備えるアンテナ設備352を概略的に呈示する、図3Bが参照され、通信アダプタ362は、アンテナアセンブリ360のフィードから遠隔コンピューティングユニット370へ信号を転送し、かつ遠隔コンピューティングユニット370から信号を受信して、それらをアンテナアセンブリ360の副反射鏡のアクチュエータへ転送するようになっている。コンピューティングユニット370は、コンピューティングユニット320と同様に、コントローラ374、オペレーティングシステム375、メモリ376、メモリまたは記憶装置377に記憶された実行可能なコード、および入力/出力デバイス372を備えてもよい。通信チャネル375は、コンピューティングユニット370との間の通信を提供する。コンピューティングユニット370は、アンテナ設備352から必要なだけ遠隔に位置してもよい。例えば、アンテナ設備が宇宙空間に配備されてもよく、一方でコンピューティングユニット370が地上に位置してもよい。かかる配置は、コンピューティングユニット370の容易な保守運用に有益でありうるが、一方で図3Aの配置では、宇宙空間への配備であればかかる保守が容易ではない。
【0058】
遠隔フィードバックデバイスを用いた主反射鏡変形の補正および所望のフットプリント形成
遠隔的に配備されたアンテナが、例えば、地上の所望のフットプリントを確実に照射するようにするため、および/または、主反射鏡における欠陥および不完全性の位置を特定するために目標エリアにフィードバックデバイスが配備されてもよい。いくつかの1つ以上のフィードバックデバイスが利用されてもよい。本発明の実施形態による、目標エリア450上のアンテナ照射のフットプリント400の例を概略的に呈示する、図4Aが参照される。アンテナ、例えば、アンテナ310または360の放射フットプリントは、等放射強度線401、402および403によって呈示されてもよい。線401は、例えば、アンテナの放射が第1の強度、例えば60dBwである点の幾何学的位置を表してもよい。同様に、線402は、アンテナの放射が第2の強度、例えば58dBwである点の幾何学的位置を表してもよく、線403は、アンテナの放射が第3の強度、例えば56dBwである点の幾何学的位置を表してもよい。いくつかのフィードバックデバイスまたは放射センサ404が目標エリア400内に配置されてもよい。センサ404の配置の位置の選択は、センサから抽出されると期待される所望の情報を満たすように行われてもよい。一般に、センサ404の数および配備スキームは、選択された目標に関して最大の情報を提供するように行われることになろう。図4Aの例では、センサ404の位置がアンテナのフットプリントをその58dBwおよび56dBw強度線においてより正確に記述してもよい。センサ404から抽出された情報を目標エリア450におけるアンテナの実際の性能(AAP:antenna actual performance)のマップに編集してもよい。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、アンテナアセンブリの総合性能をその目標エリアで測定されるようなその実際の性能に基づいて較正すべく、その主反射鏡に欠陥を有するアンテナの実際の性能をマッピングするためにかかるマップAAPが用いられてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態による較正プロセスでは、遠隔的に配備されたアンテナが目標エリアを照射する(送信する)ように命令されてもよく、フィードバックデバイス404が受信された送信電力を測定してもよく、この情報が局所的なAAPに編集されてもよい。このマッピングが、測定されるアンテナがあるところに位置し目標エリア450を照射している、欠陥のないアンテナの算出されたフットプリントと比較されてもよい。この比較から、測定されたアンテナの主反射鏡における欠陥の位置および特質が算出されてもよい。この比較は、リモートアンテナに位置するコンピューティングユニットで行われてもよく、またはアンテナから遠く離れて位置するコンピューティングユニットで行われてもよい。これらの算出結果は、測定されたアンテナの副反射鏡のアクチュエータへ通信されることになる補正ベクトルに変換されてもよい。さらなる実施形態では、いくつかの照射フットプリント特性が測定されて、さらなる使用のために記録されてもよい。システムのコンピューティングデバイスが放射フットプリント情報を受信してもよく、さらに、例えば、フーリエ級数および変換ならびにナイキスト−シャノン標本化定理を用いて、主反射鏡における欠陥セクタをさらに計算し、決定して、位置を特定してもよい。
【0061】
さらなる実施形態によれば、測定されたアンテナの照射フットプリントがフットプリントの形状を成形するために用いられてもよい。例えば、アンテナの送信を必要とするユーザがいない位置へ送信エネルギーが向けられないことを確実にするため、または、認定ユーザがいる所に送信を限定して他の所にいる非認定ユーザへのこの送信を防止するためには、照射アンテナによって自然に形成されるフットプリントからずれるようにフットプリントを成形することが望ましいことがある。
【0062】
次に、本発明の実施形態による、非修正フットプリント410および修正フットプリント420を概略的に呈示する、図4Bが参照される。フットプリント410は、記録をとられた3つの等放射強度線416、414および412を備えてもよく、以下が当てはまる:Power416>Power414>Power412。所望の修正フットプリントがフットプリント420、ここでPower426>Power424>Power422であるときに、アンテナアセンブリのアクチュエータへ通信するために、所望のフットプリントの実際のフットプリントからのずれを変更命令のベクトルに変換してもよい。例えば、目標エリア480が実際のフットプリントの中心点410Aのまわりの複数のセクタへ分割されてもよく、所望のフットプリントの実際のフットプリントからのずれが中心点410Aから延びる半径線に沿って測定される地理的/角度ずれのセットによって表現されてもよい。例えば、「北向きに」延びる半径線に沿って、ずれ428Aは、実際のフットプリント線412と所望のフットプリント線422との間の局所的な差を示す。「南東向きに」延びる半径線に沿って、ずれ428Bは、実際のフットプリント線412と所望のフットプリント線422との間の局所的な差を示す。アンテナアセンブリの副反射鏡のいくつかまたはすべてのアクチュエータの位置を変化させてフットプリントを実際から所望のフットプリントへ修正するために、このようにずれ値のセットが算出されて、次に修正値のベクトルを作り出すために用いられてもよい。
【0063】
主反射鏡の幾何学的測定結果に基づく主反射鏡変形の補正
アンテナアセンブリの主反射鏡の形状を測定することが可能な幾何学的測定デバイスを用いて、遠隔的に配備されたアンテナアセンブリの主反射鏡の欠陥および不完全性がオンサイトで測定されてもよい。次に、主反射鏡492、副反射鏡494およびフィード496を備え、副反射鏡200(図2D〜2G)のものと同様の副反射鏡特性をもつ、アンテナアセンブリ100A(図2B)と同様または同等のアンテナアセンブリ490を概略的に呈示する、図4Cが参照される。アンテナアセンブリ490は、幾何学的測定デバイス498をさらに備え、このデバイスは、少なくとも測定デバイス498から主反射鏡492の内面上の任意の選択点への距離を測定することが可能である。測定デバイス498は、主反射鏡492の凹表面の選択エリアを手動で(すなわち、アンテナアセンブリ490の外部から受信された命令に応答して)、または自動的に(すなわち、アンテナアセンブリ490に記憶されるか、および/またはそこで局所的に算出された走査スキームおよび走査命令に従って)走査するように構成されてもよい。選択エリアは、主反射鏡492の内面の一部分であってもよく、またはそれに等しくてもよい。主反射鏡492の表面の走査および複数の走査点の距離の測定は、主反射鏡の内面の幾何学的形状を表すデータ項目のセットをもたらすことができる。主反射鏡の実際の形状の測定は、例えば、レーザ・レンジ検出器を備える測定デバイス498によって行われてもよく、レーザ・レンジ検出器は、所望の方向を狙って、レーザ・レンジ検出器が狙った点の検出器からの距離を受信するようになっている。レーザ・レンジ検出器は、測定されるすべての点に対して照準線が存在する、例えば、フィード496の隣/後ろの点に位置してもよい。レンジ検出は、主反射鏡492のすべての対象エリアを実質的にカバーする空間セクタ498B内に導くことができる、照準線498Aを有する方向制御型狭ビームレンジ検出器を用いて逐一行われてもよい。走査プロセスの終わりには、各マッピング点の基準点(例えば、デバイス498)からの距離に関して主反射鏡の内面の形状がマッピングされる。この情報に基づいて、主反射鏡の欠陥および不完全性が検出されて算出されてもよい。この段階で、先に説明されたように、副反射鏡のいくつかまたはすべてのアクチュエータの移動値を備える補正ベクトルが算出されてもよい。
【0064】
なおさらなる実施形態によれば、例えば、地上からのブロードキャストが宇宙空間に位置するアンテナによって受信されるときに、アンテナアセンブリに到達する干渉ブロードキャストの望ましくない影響を無くすか、または少なくとも実質的に最小限に抑えるために、副反射鏡、例えば、図2D〜2Gの副反射鏡200のアクチュエータがアクティブ化されてもよい。干渉ブロードキャストの特質/特性が検出されてもよく、干渉ブロードキャストの電力量がフィードに到達しないか、または少なくともその電力が実質的に最小限に抑えられるように、アクチュエータがアクティブ化されてもよい。アクチュエータの動作のスキームは、いずれか、例えば、図3A〜3Bに関して先に考察されたスキームのうちの1つであってもよい。
【0065】
アンテナアセンブリの性能パラメータのチューニング
本発明の実施形態によれば、アンテナアセンブリ性能のある一定の変化を達成するために、アンテナアセンブリの性能パラメータがチューニングまたは再チューニングされてもよい。次に、性能パラメータを変化させるために遠隔的にチューニングすることが可能なアンテナアセンブリ4000を概略的に呈示する、図4Dが参照される。アンテナアセンブリ4000は、主反射鏡4010、副反射鏡4100およびフィード4030を備える。副反射鏡4100は、副反射鏡のアンテナ4110に接続されたアクチュエータ4120を備えてもよい。アクチュエータ4120は、その方位および/または位置を基準フレームに対して変化させることによって、反射鏡4110を操作するようになっている。アクチュエータ4120は、反射鏡4110を基準軸S−Nに沿った変化の角度αのヨー移動、および基準軸N−Sに垂直な基準軸E−Wに沿った角度βのピッチ移動で2軸回転中心4120Aの周りに回転させるために、対応する制御信号に応答するようになっていてもよい。アクチュエータ4120は、さらに、反射鏡4110を基準軸Zに沿って動作移動範囲Z’内で移動させるようになっていてもよい。アクチュエータ4120は、さらに、反射鏡4110を回転軸4122の周りに角度θで回転させるようになっていてもよい。本発明の実施形態によれば、アクチュエータ4120は、反射鏡4110の位置および/または方位を基準フレームに対して先にリストされた変化のうちの1つ以上で変化させるように制御されてもよい。主反射鏡4010および/または副反射鏡アセンブリ4100のいずれにおける欠陥かに係わらず、アンテナアセンブリ4000の任意の静止位置において、単にアクチュエータ4120をアクティブ化して、副反射鏡4110の位置または方位のその自由度の1つ以上で変化させることによって、所定の波長の送信を伴うアンテナアセンブリ4000の性能を変化させてもよい。一実施形態においては、副反射鏡4110の位置をZ軸に沿って変化させて(副反射鏡を主反射鏡4010へ近付けるか、またはそれから遠ざけて)もよい。所定の波長でのある一定の目標エリアへの(からの)送信について、アンテナアセンブリ4000は、この変化のアクティブ化の前には焦点が合っていたと仮定して、副反射鏡4110の移動がアンテナアセンブリ4000の焦点ぼけを生じさせてもよい。リモートアンテナアセンブリからの送信の焦点ぼけは、おそらくはバンド幅の減少を代償として、アンテナアセンブリのカバレッジエリアを拡大する必要があるときに有用かつ望ましいことがある。他の実施形態では、アンテナアセンブリのカバレッジエリアをシフトさせる(すなわち、照射の方向を変化させる)ことが必要なこともある。これは、副反射鏡4110の方位をそのジンバル軸N−SおよびE−Wのうちの少なくとも1つの周りで変化させることによって達成されてもよい。別の実施形態では、ジンバル軸N−SおよびE−Wの周りのわずかな変化が、副反射鏡4100の方位の変化による主アンテナ4010における欠陥の補正に起因して、アンテナアセンブリ利得に変化をもたらすことがある。
【0066】
ある一定のスキームに従って副反射鏡のアクチュエータの位置を変化させることによって主反射鏡の変形を補償するためのプロセスは、図5に示されるように、以下の段階を備えてもよく、図5は、本発明の実施形態による、アンテナでの受信信号に基づいて主反射鏡の変形を補償するために副反射鏡のアクチュエータを操作するステップを呈示するフロー図である。ブロック502では、アンテナの製造後、配備前に測定される初期変形スキームが受信されてもよい。アンテナへ定常的な送信が提供されて、フィードで信号がキャラクタライズされて記録される(ブロック504)。繰り返しプロセスのために分子(numerator)nが1にセットされる(ブロック506)。受信信号が最大化されるまで副反射鏡の表面を局所的に変形させるためにn番目のアクチュエータがアクティブ化されて、アクチュエータがその位置のままにされる(ブロック508)。プロセス分子が1つ進められて(ブロック510)、すべてのN個のアクチュエータがこのプロセスに従ってアクティブ化されるまでプロセスが繰り返される。すべての関与するアクチュエータが設定された後、主反射鏡における欠陥を補償するために副反射鏡でなされた変化を表すチャートにアクチュエータの状況が記録される。
【0067】
地上のセンサで受信された送信に基づいて主反射鏡の変形を補償するため、または所望のアンテナ照射フットプリントを形成するためのプロセスは、図6に示されるように、以下の段階を備えてもよく、図6は、本発明の実施形態による、副反射鏡のアクチュエータを操作するステップを呈示するフロー図である。送信照射目標エリアにわたって複数の送信センサが配備される(ブロック602)。リモートアンテナアセンブリからの送信がアクティブ化されて、配備されたセンサの各々で受信された送信電力が記録される(ブロック604)。送信センサの測定結果に基づいて、実際のアンテナ性能および実際のフットプリントが抽出される(ブロック606)。実際のフットプリントが所望のフットプリントと比較されて、ずれの記録が算出される(ブロック608)。算出されたずれ値およびそれらの位置の記録に基づいて、実際のフットプリントを所望のフットプリントにできるだけ近付けるために、アクティブ化命令が副反射鏡のアクチュエータに与えられる(ブロック610)。留意すべきは、所望のフットプリントが、ある実施形態によれば、欠陥のない主反射鏡によって照射されたであろうフットプリントであってもよいが、なお別の実施形態によれば、所望のフットプリントが特別の形状をもつフットプリントであってもよいことである。
【0068】
本発明のある一定の特徴が本明細書に示され、記載されたが、多くの修正、置換、変更、および均等物を当業者は想起するであろう。それゆえに、理解すべきは、添付される特許請求の範囲が本発明の真の精神の範囲内にあるすべてのかかる修正および変更に及ぶことが意図されることである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6