特許第6961501号(P6961501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961501
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】PCVバルブ
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/00 20060101AFI20211025BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   F01M13/00 J
   F16K27/02
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-7430(P2018-7430)
(22)【出願日】2018年1月19日
(65)【公開番号】特開2019-124213(P2019-124213A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2020年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 吉伸
【審査官】 小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−232634(JP,A)
【文献】 特開2004−351839(JP,A)
【文献】 特開2016−041963(JP,A)
【文献】 実開平05−056424(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/00
F16K 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流路が形成されている樹脂製の第1ケースと、
前記第1ケースのガス流路と連通するガス流路が形成されており、前記第1ケースと連結されている樹脂製の第2ケースと、
前記第1ケースと前記第2ケースの前記ガス流路と連通するガス流通孔が形成されており、前記第1ケースと前記第2ケースの間に配置されている金属製の弁座と、
前記第1ケースまたは前記第2ケースの前記ガス流路に配置されており、前記弁座の前記ガス流通孔と向かい合っている弁体と、を備えており、
前記第1ケースは、前記第1ケースと前記第2ケースが連結されている方向に向けて前記弁座を支持している支持部を備えており、
前記第2ケースは、前記第1ケースの前記支持部に支持されている前記弁座に向けて突出して前記弁座に当接している第1突出部と、前記第1突出部より前記ガス流路側の位置で前記弁座に向けて突出している第2突出部と、を備えており、
前記第1突出部の突出長さが、前記第2突出部の突出長さより長い、PCVバルブ。
【請求項2】
前記第2突出部は、前記ガス流路側の側面と、前記ガス流路と反対側の側面とを備えており、
前記第2突出部の前記ガス流路側の側面は、前記弁座に向かうにしたがって前記ガス流路と反対側に傾いている、請求項1に記載のPCVバルブ。
【請求項3】
前記第1突出部は、前記ガス流路側の側面と、前記ガス流路と反対側の側面とを備えており、
前記第1突出部の前記ガス流路と反対側の側面は、前記弁座に向かうにしたがって前記ガス流路側に傾いている、請求項1又は2に記載のPCVバルブ。
【請求項4】
前記第1突出部の前記ガス流路側の側面は、前記弁座の表面に対して略直交している、請求項3に記載のPCVバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、PCVバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはPCVバルブが開示されている。特許文献1のPCVバルブは、ガス流路が形成されている樹脂製の第1ケースと、第1ケースのガス流路と連通するガス流路が形成されており、第1ケースと連結されている樹脂製の第2ケースとを備えている。第1ケースと第2ケースは、溶着によって連結されている。また、特許文献1のPCVバルブは、第1ケースと第2ケースのガス流路と連通するガス流通孔が形成されており、第1ケースと第2ケースの間に配置されている金属製の弁座と、第2ケースのガス流路に配置されており、弁座のガス流通孔と向かい合っている弁体とを備えている。第1ケースは、第1ケースと第2ケースが連結されている方向に向けて弁座を支持している支持部を備えている。第2ケースは、第1ケースの支持部に支持されている弁座に向けて突出して弁座に当接している突出部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−232634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のPCVバルブでは、樹脂製の第1ケースと第2ケースが溶着によって連結されるときに、超音波振動溶着によって両者が連結されると考えられる。超音波振動溶着は、超音波による振動によって樹脂製の部材を溶融させて接着する技術である。この場合には、第1ケースと第2ケースが連結されるときに、超音波振動溶着によって、弁座に当接している樹脂製の第2ケースの突出部も同時に溶融することが考えられる。超音波振動溶着によって樹脂製の第2ケースの突出部が溶融すると、溶融によって生じた樹脂製の異物が第1ケースと第2ケースのガス流路に流入するおそれがある。そこで本明細書は、樹脂製の異物がガス流路に流入することを抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示するPCVバルブは、ガス流路が形成されている樹脂製の第1ケースと、前記第1ケースのガス流路と連通するガス流路が形成されており、前記第1ケースと連結されている樹脂製の第2ケースと、前記第1ケースと前記第2ケースの前記ガス流路と連通するガス流通孔が形成されており、前記第1ケースと前記第2ケースの間に配置されている金属製の弁座と、前記第1ケースまたは前記第2ケースの前記ガス流路に配置されており、前記弁座の前記ガス流通孔と向かい合っている弁体と、を備えている。前記第1ケースは、前記第1ケースと前記第2ケースが連結されている方向に向けて前記弁座を支持している支持部を備えている。前記第2ケースは、前記第1ケースの前記支持部に支持されている前記弁座に向けて突出して前記弁座に当接している第1突出部と、前記第1突出部より前記ガス流路側の位置で前記弁座に向けて突出している前記第2突出部と、を備えている。前記第1突出部の突出長さが、前記第2突出部の突出長さより長い。
【0006】
この構成によれば、第1ケースの支持部に支持されている弁座に第2ケースの第1突出部が当接しているので、第1ケースと第2ケースの間に配置されている弁座を確実に支持することができる。また、第2ケースが第2突出部を備えているので、弁座に当接している樹脂製の第2ケースの第1突出部に起因する異物が生じたとしても、その異物がガス流路に流入することを抑制することができる。例えば、第1ケースと第2ケースが連結されるときに、第1ケースと第2ケースが超音波振動溶着によって連結されると、その超音波振動溶着によって、弁座に当接している第2ケースの第1突出部の樹脂が溶融することがある。そうすると、第1突出部の溶融によって生じた樹脂製の異物がガス流路に流入するおそれが考えられる。しかしながら、上記の構成によれば、第2ケースが第2突出部を備えているので、樹脂製の異物が生じたとしても、その異物がガス流路に流入することが第2突出部によって規制される。これによって、樹脂製の異物がガス流路に流入することを抑制することができる。
【0007】
前記第2突出部は、前記ガス流路側の側面と、前記ガス流路と反対側の側面とを備えていてもよい。前記第2突出部の前記ガス流路側の側面は、前記弁座に向かうにしたがって前記ガス流路と反対側に傾いていてもよい。
【0008】
この構成によれば、第2ケースのガス流路を弁座に向かうにしたがって広くすることができる。そのため、ガスの流れをスムーズにすることができる。
【0009】
前記第1突出部は、前記ガス流路側の側面と、前記ガス流路と反対側の側面とを備えていてもよい。前記第1突出部の前記ガス流路と反対側の側面は、前記弁座に向かうにしたがって前記ガス流路側に傾いていてもよい。
【0010】
第1ケースと第2ケースの間に配置されている弁座では、ガス流路と反対側の位置において角部が面取りされていることがある。上記の構成によれば、第1突出部のガス流路と反対側の側面が弁座に向かうにしたがってガス流路側に傾いているので、第1突出部の先端部が弁座の面取りされた角部と向かい合うことを避けることができる。そのため、第2ケースの第1突出部を弁座に確実に当接させることができる。
【0011】
前記第1突出部の前記ガス流路側の側面は、前記弁座の表面に対して略直交していてもよい。
【0012】
この構成によれば、弁座に当接している第2ケースの第1突出部の樹脂が溶融して樹脂製の異物が生じたとしても、生じた異物が第1突出部のガス流路側の側面に沿って成長する。そのため、樹脂製の異物が生じたとしても、その異物がガス流路に流入することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例に係るPCVバルブの断面図である。
図2図1の要部IIの拡大図である。
図3図2の要部IIIの拡大図である。
図4】実施例に係るPCVバルブを用いた試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<PCVバルブの概要>
実施例に係るPCVバルブ1について図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、実施例に係るPCVバルブ1は、第1ケース11と、第2ケース12と、弁座21と、弁体22とを備えている。実施例に係るPCVバルブ1は、ブローバイガスの流量を調整するためバルブである。ブローバイガスは、エンジンのクランクケース(図示省略)から流出するガスである。PCVバルブ1は、エンジンのクランクケースと吸気管(図示省略)との間に配置されており、クランクケースから流出して吸気管に流入するブローバイガスの流量を調整する。
【0015】
第1ケース11と第2ケース12は、樹脂製である。第1ケース11と第2ケース12は、並んで配置されており、互いに向かい合っている。第1ケース11と第2ケース12は、超音波振動溶着によって連結されている。超音波振動溶着は、超音波による振動によって樹脂製の部材を溶融させて接着する技術である。超音波振動溶着については、よく知られているので詳細な説明を省略する。
【0016】
第1ケース11には、第1ガス流路31が形成されている。第1ガス流路31は、第1ケース11の軸方向に延びている。この第1ガス流路31には、エンジンのクランクケースから流出したブローバイガスが流れる。また、第1ケース11は、連結部14を備えている。連結部14は、第1ケース11における第2ケース12側の位置に設けられている。第1ケース11の連結部14は、超音波振動溶着によって第2ケース12に連結されている。第1ケース11の連結部14は、溶着部45を備えている。溶着部45は、連結部14の内周面に形成されている。溶着部45が超音波振動溶着によって第2ケース12の外周面に溶着されている。
【0017】
また、第1ケース11の連結部14は、支持部41を備えている。支持部41は、第1ケース11の連結部14の内周面に形成されている段差によって形成されている。支持部41は、第2ケース12側を向く面として形成されている。この支持部41には、弁座21が配置されている。支持部41は、第1ケース11と第2ケース12が連結されている方向(Y方向)に向けて弁座21を支持している。支持部41は、第1ケース11の軸方向に沿って第2ケース12側に向けて弁座21を支持している。
【0018】
次に、弁座21と弁体22について説明する。弁座21と弁体22は、金属製である。弁座21は、第1ケース11と第2ケース12の間に配置されており、第1ケース11と第2ケース12によって挟まれている。弁座21は、環状に形成されている。弁座21の中央部には、ガス流通孔25が形成されている。ガス流通孔25は、第1ケース11に形成されている第1ガス流路31と、後述する第2ケース12に形成されている第2ガス流路32とに連通している。
【0019】
弁座21は、表面211と、裏面212と、側面213とを備えている。弁座21の表面211は、第2ケース12と向かい合っている。弁座21の裏面212は、第1ケース11と向かい合っている。弁座21の表面211と側面213との間の角部215は面取りされて丸みをおびている。
【0020】
弁体22は、第1ケース11の第1ガス流路31に配置されている。弁体22は、弁座21に対して着座又は離座する。弁体22は、弁座21のガス流通孔25と向かい合っている。弁体22は、弁座21のガス流通孔25を開閉する。弁体22が弁座21に着座した状態では、弁体22が弁座21のガス流通孔25に挿入されており、ガス流通孔25が閉鎖されている。弁体22が弁座21に離座した状態では、弁体22が弁座21のガス流通孔25から離間しており、ガス流通孔25が開放されている。弁体22によってガス流通孔25が開閉されることによって、ガス流通孔25を通過するブローバイガスの流量が調整される。
【0021】
次に、第2ケース12について説明する。第2ケース12には、第2ガス流路32が形成されている。第2ガス流路32は、第2ケース12の軸方向に延びている。第2ガス流路32は、第1ケース11の第1ガス流路31と連通している。第2ガス流路32には、エンジンのクランクケースから流出したブローバイガスが流れる。また、第2ケース12は、連結部16を備えている。連結部16は、第2ケース12における第1ケース11側の位置に設けられている。第2ケース12の連結部16は、超音波振動溶着によって第1ケース11の連結部14に連結されている。第2ケース12の連結部16は、溶着部46を備えている。溶着部46は、連結部16の外周面に形成されている。溶着部46が超音波振動溶着によって第1ケース11の連結部14の内周面に溶着されている。
【0022】
<当接部と第1突出部と第2突出部の詳細>
第2ケース12は、当接部42を備えている。当接部42は、第1ケース11の支持部41に支持されている弁座21に向けて突出している。第2ケース12の当接部42と第1ケース11の支持部41との間に弁座21が配置されている。図3に示すように、当接部42の第1ケース11側の先端部には、第1突出部61と第2突出部62が設けられている。第1突出部61と第2突出部62は、弁座21の径方向に互いに向かい合っている。第2突出部62は、第1突出部61より第2ガス流路32側の位置に形成されている。第1突出部61は、第2突出部62より第2ガス流路32と反対側の位置に形成されている。第1突出部61と第2突出部62は、弁座21に向けて突出している。第1突出部61と第2突出部62は、第2ケース12の軸方向に沿って延びている。
【0023】
第1突出部61の突出長さL1(第1突出部61の基部611から先端部612までの長さ)は、第2突出部62の突出長さL2(第2突出部62の基部621から先端部622までの長さ)より長い。第1突出部61の先端部612は、弁座21の表面211に当接している。第2突出部62の先端部622は、弁座21の表面211から離間している。
【0024】
第1突出部61は、第2ガス流路32側の第1側面161と、第2ガス流路32と反対側の第2側面162とを備えている。第1突出部61の第1側面161と第2側面162は、当接部42から弁座21に向かって延びている。第1側面161は、弁座21の表面211に対して略直交している。第1側面161と弁座21の表面211とのなす角度θ1は、85°〜95°が好ましい。第2側面162は、弁座21の表面211に対して傾斜している。第2側面162は、弁座21に向かうにしたがって第2ガス流路32側に傾いている。第2側面162と弁座21の表面211とのなす角度θ2は、55°〜65°が好ましい。
【0025】
第2突出部62は、第2ガス流路32側の第1側面171と、第2ガス流路32と反対側の第2側面172とを備えている。第2突出部62の第1側面171と第2側面172は、当接部42から弁座21に向かって延びている。第1側面171は、弁座21の表面211に対して傾斜している。第1側面171は、弁座21に向かうにしたがって第2ガス流路32と反対側に傾いている。第1側面171と弁座21の表面211とのなす角度θ3は、40°〜50°が好ましい。第2側面172は、弁座21に表面211に対して略直交している。
【0026】
以上、実施例に係るPCVバルブ1について説明した。上記の説明から明らかなように、PCVバルブ1は、第1ガス流路31が形成されている樹脂製の第1ケース11と、第1ケース11の第1ガス流路31と連通する第2ガス流路32が形成されており、第1ケース11と連結されている樹脂製の第2ケース12とを備えている。また、PCVバルブ1は、第1ケース11と第2ケース12のガス流路31、32と連通するガス流通孔25が形成されており、第1ケース11と第2ケース12の間に配置されている金属製の弁座21と、第1ケース11の第1ガス流路31に配置されており、弁座21のガス流通孔25と向かい合っている弁体22とを備えている。第1ケース11は、第1ケース11と第2ケース12が連結されている方向に向けて弁座21を支持している支持部41を備えている。第2ケース12は、第1ケース11の支持部41に支持されている弁座21に向けて突出して弁座21に当接している第1突出部61と、第1突出部61より第2ガス流路32側の位置で弁座21に向けて突出している第2突出部62とを備えている。第1突出部61の突出長さL1は第2突出部62の突出長さL2より長い。
【0027】
この構成によれば、第1ケース11の支持部41が弁座21を支持しており、第2ケース12の第1突出部61が弁座21に当接しているので、第1ケース11と第2ケース12の間に配置されている弁座21を確実に支持することができる。第1ケース11と第2ケース12によって弁座21を強固に挟むことができる。また、第2ケース12の第1突出部61が弁座21に当接している構成では、弁座21に当接している第1突出部61の樹脂が溶融することがある。例えば、第1ケース11と第2ケース12が連結されるときに、第1ケース11と第2ケース12が超音波振動溶着によって連結されると、その超音波振動溶着によって第1突出部61の樹脂が溶融することがある。そうすると、第1突出部61の溶融によって生じた樹脂製の異物がガス流路(第1ガス流路31および/または第2ガス流路32)に流入する可能性が考えられる。しかしながら、上記の構成によれば、第2ケース12が第1突出部61だけでなく第2突出部62を備えているので、弁座21に当接している樹脂製の第2ケース12の第1突出部61に起因して異物が生じたとしても、その異物がガス流路31、32に流入することを第2突出部62によって規制することができる。弁座21が第1突出部61によって支持されることに起因して樹脂製の異物が生じたとしても、その異物の移動が第2突出部62によって制限される。そのため、樹脂製の異物がガス流路31、32に流入することを抑制することができる。
【0028】
また、上記のPCVバルブ1では、第2ケース12の第2突出部62が、第2ガス流路32側の第1側面171と、第2ガス流路32と反対側の第2側面172とを備えている。第2突出部62の第1側面171は、弁座21に向かうにしたがって第2ガス流路32と反対側に傾いている。そのため、弁座21に向かうにしたがって第2ガス流路32を広くすることができ、ブローバイガスの流れをスムーズにすることができる。
【0029】
また、上記のPCVバルブ1では、第2ケース12の第1突出部61が、第2ガス流路32側の第1側面161と、第2ガス流路32と反対側の第2側面162とを備えている。第1突出部61の第2側面162は、弁座21に向かうにしたがって第2ガス流路32側に傾いている。これによって、第1突出部61の先端部612が弁座21の面取りされた角部215と向かい合うことを避けることができる。そのため、第1突出部61の先端部612が弁座21の表面211に確実に当接する。
【0030】
また、上記のPCVバルブ1では、第2ケース12の第1突出部61の第2ガス流路32側の第1側面161が弁座21の表面211に対して略直交している。この構成によれば、弁座21に当接している第2ケース12の第1突出部61の樹脂が溶融して樹脂製の異物が生じたとしても、その異物が第1突出部61の第1側面161に沿って成長する。そのため、樹脂製の異物が生じたとしても、その異物が第2ガス流路32に流入することを抑制することができる。
【0031】
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上述の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
<他の実施例>
上記の実施例では、第2ケース12の第2突出部62の第1側面171が弁座21に向かうにしたがって第2ガス流路32と反対側に傾いている構成であったが、他の実施例では、第2突出部62の第1側面171が弁座21の表面211に対して略直交している構成であってもよい。
【0033】
上記の実施例では、第2ケース12の第1突出部61の第2側面162が弁座21に向かうにしたがって第2ガス流路32側に傾いている構成であったが、他の実施例では、第1突出部61の第2側面162が弁座21の表面211に対して略直交している構成であってもよい。
【0034】
上記の実施例では、第2ケース12の第1突出部61の第1側面161が弁座21の表面211に対して略直交している構成であったが、他の実施例では、第1突出部61の第1側面161が弁座21の表面211に対して傾斜している構成であってもよい。
【0035】
上記の実施例では、第2ケース12の第2突出部62の先端部622が弁座21の表面211から離間していたが、他の実施例では、第2突出部62の先端部622が弁座21の表面211に当接していてもよい。
【0036】
上記の実施例では、第1ケース11の第1ガス流路31に弁体22が配置されていたが、他の実施例では、第2ケース12の第2ガス流路32に弁体22が配置されていてもよい。
【0037】
(試験例)
上記のPCVバルブ1を用いて試験を行った。試験で用いたPCVバルブ1では、第1突出部61の第2ガス流路32側の第1側面161が弁座21の表面211に対して略直交している構成とした。この構成によれば、図4に示すように、弁座21に当接している第1突出部61の樹脂が溶融して樹脂製の異物Xが生じたとしても、生じた異物Xが第1突出部61の第1側面161に沿って成長することが確認された。そのため、樹脂製の異物Xが生じたとしても、その異物Xが第2ガス流路32に流入することを抑制することが確認された。
【0038】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0039】
1 :PCVバルブ
11 :第1ケース
12 :第2ケース
14 :連結部
16 :連結部
21 :弁座
22 :弁体
25 :ガス流通孔
31 :第1ガス流路
32 :第2ガス流路
41 :支持部
42 :当接部
45 :溶着部
46 :溶着部
61 :第1突出部
62 :第2突出部
161 :第1側面
162 :第2側面
171 :第1側面
172 :第2側面
211 :表面
212 :裏面
213 :側面
215 :角部
611 :基部
612 :先端部
621 :基部
622 :先端部
図1
図2
図3
図4