(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空気取入ハウジング(30)の前記外気取入口(31)は、前記分離筒(33)の前記外気通路部分(35)の流入口に面した第1領域(31A)と、この第1領域に対して前記分離筒(33)の本体部分(34)の周方向に隣接する第2領域(31B)と、を有しており、前記外気取入口の前記第2領域を介して前記空気取入ハウジング(30)に取り入れられた外気は、前記分離筒(33)の本体部分(34)の外側を通って前記スクロールハウジング(12)内に導入されるようになっており、
前記空気取入ハウジングの前記内気取入口(32)は、前記分離筒(33)の前記内気通路部分(36)の流入口に面した第1領域(32A)と、この第1領域に対して前記分離筒(33)の本体部分(34)の周方向に隣接する第2領域(32B)と、を有しており、前記内気取入口の前記第2領域を通過した内気は、前記分離筒の本体部分の外側を通って前記スクロールハウジング(12)内に導入されるようになっている
請求項1記載の送風ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して発明の実施形態について説明する。各図には、向きを示すために「前」、「後」、「右」、「左」、「上」、「下」を表記しており、車両が前進しているときの進行方向が「前」である。
【0010】
図1は、車両用空調装置5が搭載された車両1の概略図である。車両1は、車両を駆動するための内燃エンジン、電気モータ等の原動機が収容される原動機室2と、乗員を収容する車室3とを有する。原動機室2と車室3とは隔壁4により仕切られている。隔壁4に近接して隔壁4の車室3側に空調装置5が搭載されている。空調装置5は、インストルパネルおよびその下方空間により成る車室前方に設けられた機器領域6に収容されている。
【0011】
空調装置5は、送風ユニット10と、配風ユニット60とを備えている。送風ユニット10は、車両1の外側の空気(以下、「外気」と呼ぶ)及び/又は車室3内の空気(以下、「内気」と呼ぶ)を取り込み、これを配風ユニット60に送り出す。配風ユニット60は、送風ユニット10から送られてきた空気を調和(冷却、除湿、加熱等を意味する)し、調和された空気を車室3内の適当な位置に分配(配風)する。なお、配風ユニット60のうち空気調和機能を受け持つ部分を、配風ユニット60とは別個に形成されるとともに配風ユニット60に連結される空気調和ユニットとして構成してもよい。
【0012】
図2に示すように、送風ユニット10は、スクロールハウジング12と、スクロールハウジング12の左側に接続された空気取入ハウジング30とを有している。スクロールハウジング12及び空気取入ハウジング30は、樹脂射出成形技術により成形されている。スクロールハウジング12及び空気取入ハウジング30は、別々に成形した後に、ねじ締結により連結することができる。空気取入ハウジング30の一部がスクロールハウジング12と一体成形されていてもよいし、スクロールハウジング12の一部が空気取入ハウジング30と一体成形されていてもよい。
【0013】
スクロールハウジング12の内部空間には、羽根車14が収容されている。羽根車14は、モータ16により回転駆動される。羽根車14は、コーン部と呼ばれる空気転向要素15を有しており、この空気転向要素15がモータ16の回転軸160に接続されることで、羽根車14とモータ16とが連結される。モータ16の回転軸160は、左右方向(水平方向)に延びている。
【0014】
羽根車14は、周方向に並べられて周方向翼列を構成する複数の翼140を有している。各翼140は、回転軸160の軸方向(軸線Axの方向である左右方向を意味し、「軸方向(Ax)」とも記載する)において、モータ16に近い側にある第1軸方向部分141と、第1軸方向部分141よりもモータ16から遠い側にある第2軸方向部分142とを有している。
【0015】
スクロールハウジング12は、軸方向(Ax)左向きに開口する吸込口13と、羽根車14の概ね周方向(軸線Axを中心とする円周方向)に開口する吐出口17とを有している。吐出口17は、
図3及び
図5に表示されており、
図1では見えない。
【0016】
スクロールハウジング12内には仕切壁18が設けられている。仕切壁18は、スクロールハウジング12の内部空間のうちのスクロールハウジング12の内周面と羽根車14の外周面との間の領域、並びに吐出口17の内部空間を、軸方向(Ax)に分割して、第1空気流路19及び第2空気流路20を形成する。なお、
図5に示すように、吐出口17の最下流部分は、仕切壁18により仕切られているのではなく、2つのダクトに分岐している。
【0017】
図3の断面よりわかるように、空気取入ハウジング30は、軸線Axを中心とする全体として概ね円筒形の形状を有している。空気取入ハウジング30の側周面には、空気取入ハウジング30の内部空間に外気を取り込むための外気取入口31と、内気を取り込むための内気取入口32とが設けられている。
【0018】
スクロールハウジング12及び空気取入ハウジング30の内部には、分離筒33が設けられている。分離筒33は、全体として概ね円筒形の本体部分34と、本体部分34から分岐して半径方向(軸線Axを始点とする軸線Axに直交する方向)に延びる外気通路部分35及び内気通路部分36とを有している。本体部分34は、軸線Axを中心とする(幾何学用語としての)回転体として構成されている。
【0019】
好ましくは、外気通路部分35の上流端開口と内気通路部分36の上流端開口の周方向幅(軸線Axを中心とする円周方向に測定した幅)は、実質的に互いに等しい。また、好ましくは、外気通路部分35と内気通路部分36との間には、周方向隙間があり、この周方向隙間の幅は、外気通路部分35及び内気通路部分36の上流端開口の周方向幅と、実質的に等しい。また好ましくは、外気通路部分35と内気通路部分36とは、同一の軸方向(Ax)位置において本体部分34から分岐している。また好ましくは、外気通路部分35と内気通路部分36とは互いに実施的に同一の形状を有する。外気通路部分35と内気通路部分36の寸法及び位置について上述した様々な特徴は、後述する単一の切替ドア41によって流路の切り替えを行う上で有利である。
【0020】
分離筒33の本体部分34は、スクロールハウジング12の吸込口13を通って軸方向(Ax)に延びている。スクロールハウジング12内にある本体部分34の右側部分は、羽根車14の内部空間(複数の翼140からなる周方向翼列よりも半径方向内側の空間)に突入している。本体部分34の右端部は羽根車14の内部空間内においてフレア状に拡がる。本体部分34の右端部の縁は、回転軸の軸線Axに直交する方向に円形に形成され、各翼140の第1軸方向部分141と第2軸方向部分142との境界の近傍に位置している。
【0021】
このため、分離筒33の本体部分34の内側を通って流れてきた空気は、翼140の第1軸方向部分141を通過して、第1空気流路19に流入する。このとき空気転向要素15は、モータ16に向けて軸方向(Ax)に流れる空気流を半径方向外向きに転向する。一方、スクロールハウジング12の吸込口13のうちの分離筒33の本体部分34の外側の領域を通ってスクロールハウジング12に流入した空気は、本体部分34のフレア状の右端部の外表面により半径方向外向きに転向された後に、翼140の第2軸方向部分142を通過して、第2空気流路20に流入する。
【0022】
図3に示すように、空気取入ハウジング30の外気取入口31は、分離筒33の外気通路部分35の流入口(上流端開口)に面した第1領域31Aと、この第1領域31Aに対して分離筒33の本体部分34の周方向(これは軸線Axを中心とする円の周方向でもある)に隣接する第2領域31Bと、を有している。外気取入口31の第1領域31Aを介して空気取入ハウジング30に取り入れられた外気は、外気通路部分35及び分離筒33の本体部分34内を流れ、スクロールハウジング12に流入する。一方、外気取入口31の第2領域31Bを介して空気取入ハウジング30に取り入れられた外気は、空気取入ハウジング30内において分離筒33の外側を流れ、スクロールハウジング12の吸込口13のうちの分離筒33の本体部分34よりも外側の領域を通ってスクロールハウジング12に流入する。
【0023】
空気取入ハウジング30の内気取入口32は、分離筒33の内気通路部分36の流入口(上流端開口)に面した第1領域32Aと、この第1領域32Aに対して分離筒33の本体部分34の周方向に隣接する第2領域32Bと、を有している。内気取入口32の第1領域32Aを介して空気取入ハウジング30に取り入れられた内気は、内気通路部分36及び分離筒33の本体部分34内を流れ、スクロールハウジング12に流入する。一方、内気取入口32の第2領域32Bを介して空気取入ハウジング30に取り入れられた内気は、空気取入ハウジング30内において分離筒33の外側を流れ、スクロールハウジング12の吸込口13のうちの分離筒33の本体部分34よりも外側の領域を通ってスクロールハウジング12に流入する。
【0024】
図3に示すように、空気取入ハウジング30には、外気取入口31の第2領域31B、外気取入口31の第1領域31A、内気取入口32の第2領域32B、内気取入口32の第1領域32Aがこの順で反時計回り方向(空気取入ハウジング30を左側から見たときに、回転軸の軸線Axを中心として、左回りの方向)に並んでいる。これら各領域の周方向幅は、互いに実質的に同一である。これらの4つの領域(31A,31B,32A,32B)のうちの隣接する2つの領域を同時に閉鎖することができる流路切替装置40が設けられている。流路切替装置40は、例えば、ロータリ式の1つの切替ドア41で構成される。
【0025】
切替ドア41は、分離筒33の本体部分34の周方向に旋回して、少なくとも下記の3つの位置をとることができる。
− 空気取入ハウジングの外気取入口31の第1領域31A及び第2領域31Bを開放するとともに内気取入口32の第1領域32A及び第2領域32Bを閉鎖する第1位置(
図7Aを参照)。
この第1位置では、外気取入口31の第1領域31Aを通過した外気AEが、分離筒33の本体部分34の内部に流入
し、外気取入口31の第2領域31Bを通過した外気AEが、吸込口13のうち分離筒33の本体部分34の外側に流入する。
− 空気取入ハウジング30の外気取入口31の第1領域31Aを閉鎖するとともに外気取入口の第2領域31Bを開放し、かつ、空気取入ハウジングの内気取入口32の第1領域32Aを開放するとともに内気取入口の第2領域32Bを閉鎖する第2位置(
図7Bを参照)。
この第2位置では、内気取入口32の第1領域32Aを通過した内気ARが、分離筒33の本体部分34の内部に流入
し、外気取入口31の第2領域31Bを通過した外気AEが、吸込口13のうち分離筒33の本体部分34の外側に流入する。
− 空気取入ハウジング30の外気取入口31の第1領域31A及び第2領域31Bを閉鎖するとともに内気取入口32の第1領域32A及び第2領
域32Bを開放する第3位置(
図7Cを参照)。
この第3位置では、内気取入口32の第1領域32Aを通過した内気ARが、分離筒33の本体部分34の内部に流入
し、内気取入口32の第2領域32Bを通過した外気
AEが、吸込口13のうち分離筒33の本体部分34の外側に流入する。
【0026】
切替ドア41が第1位置にあるとき、スクロールハウジング12の第1空気流路19及び第2空気流路20の両方に外気が供給される(外気モード)。切替ドア41が第2位置にあるとき、スクロールハウジング12の第1空気流路19に内気が供給され、第2空気流路20に外気が供給される(二層流モード)。切替ドア41が第3位置にあるとき、スクロールハウジング12の第1空気流路19及び第2空気流路20の両方に内気が供給される(内気モード)。
【0027】
次に、
図4を参照して、分離筒33及び切替ドア41の具体的な構造の一例について説明する。分離筒33は、例えば樹脂射出成形技術により別々に形成された2つの部品(第1部品、第2部品)から構成されている。第1部品は、分離筒33の本体部分34のうちのモータ16から遠い部分341と、外気通路部分35及び内気通路部分36とが一体成形された部品である。第2部品は本体部分34のうちのモータ16に近い部分342(フレア状部分を含む部分)からなる。部分342の端部には、当該端部の外径を小さくすることにより形成された縮径端部344が設けられている。
【0028】
切替ドア41も、例えば樹脂射出成形技術により別々に形成された2つの部品、すなわちモータ16から遠い第1部品411及びモータ16に近い第2部品412から構成されている。第1部品411は、前述した4つの領域(31A,31B,32A,32B)を開閉するための遮蔽部415と、遮蔽部415の旋回中心となる旋回軸413と、遮蔽部415と旋回軸413とを連結する扇形の連結部414と、を有している。
【0029】
第2部品412は、分離筒33の本体部分34の部分342の縮径端部344に嵌め込まれるリング状部分417と、扇形の連結部418と、を有している。連結部418には溝419が設けられ、この溝419に、遮蔽部415の自由端に設けられた突起416が嵌め込まれる。これにより、切替ドア41の第1部品411と第2部品412とが結合する。縮径端部344に嵌め込まれたリング状部分417は、切替ドア41を回転軸線回りに回転可能に支持する軸受けとしての役割を果たす。なお、
図2に概略的に示されるように、分離筒33の本体部分34の部分341のモータ16に近い側の端部は、本体部分34の部分342の縮径端部344内に嵌め込まれる。
【0030】
図2に示されるように、切替ドア41の旋回軸413は、空気取入ハウジング30に形成された貫通穴を通って空気取入ハウジング30の外側まで延びている。旋回軸413は、空気取入ハウジング30の外壁面に取り付けられたアクチュエータ42により回転させることができる。
【0031】
なお、分離筒33を所定位置に維持するために、分離筒33をスクロールハウジング12及び/又は空気取入ハウジング30に固定する必要がある。固定方法としては、例えば
図2に概略的に示すように、分離筒33の本体部分34の部分341に、そこから空気取入ハウジング30の壁体に向けて延びる1つまたは複数の連結部材345(一点鎖線で概略的に示す)を設け、この連結部材345の先端を空気取入ハウジング30の内壁面に固定することが考えられる。また、分離筒33の本体部分34の部分342に、そこからスクロールハウジング12の吸込口13の縁部まで延びる複数の連結部材346を設け、この連結部材346の先端をスクロールハウジング12の吸込口13の縁部に固定することが考えられる。なお、このような連結部材346は、吸込口13の円周方向に間隔を空けて3〜4個設けることが好ましい。こうすることにより、分離筒33を、複数の方向から固定することができ、車両の振動による位置のズレや破損を効果的に防止することができる。また、連結部材345、346は、空気が通流する領域に配置されるところ、間隔を空けて配置されることで、通気抵抗の上昇を抑制することができる。
【0032】
次に、
図3、
図5及び
図6を参照して、配風ユニット60について説明する。
図5では、図面の見やすさのため、送風ユニット10のうち、スクロールハウジング12の吸込口13よりもモータ16から遠い部分は除去されている。
【0033】
配風ユニット60は、スクロールハウジング12の第1空気流路19に接続された第1空気流路61と、スクロールハウジング12の第2空気流路20に接続された第2空気流路62とを有している。配風ユニット60の第1空気流路61と第2空気流路62は仕切壁64により仕切られている。冷却用熱交換器63(エバポレータ)が第1空気流路61及び第2空気流路62に介設されている。冷却用熱交換器63の下流側において、加熱用熱交換器66が、第1空気流路61の上半部及び第2空気流路62の下半部に介設されている。冷却用熱交換器63は、内部を冷媒が通過し、通流する空気を冷却する。加熱用熱交換器66は、内部を温水または冷媒が通過する形式のもの、あるいは電気発熱式のいずれかであって、空気を加熱する。
【0034】
冷却用熱交換器63と加熱用熱交換器66との間において、第1空気流路61及び第2空気流路62にはそれぞれ一つの温調ドア65が設けられている。各温調ドア65は、第1空気流路61及び第2空気流路62の各々において、冷却用熱交換器63を通過した空気の総量に対する加熱用熱交換器66を通過する空気の量の比率を調節する。
【0035】
配風ユニット60は、デフロスタ吹出口67、ベント
吹出口68及びフット吹出口69を有し、配風ユニット60に設けられた複数の吹出口開閉ドア70,71,72により調和空気の吹き出し先が調節される。
【0036】
図5及び
図6、特に
図6(A)に示されるように、スクロールハウジング12の第1空気流路19と配風ユニット60の第1空気流路61との接続領域は、スクロールハウジング12の第2空気流路20と配風ユニット60の第2空気流路62との接続領域に対して、左右方向に重ならず、かつ前後方向にも重ならないように、左右方向かつ前後方向にずらされている。これにより、相対的に右方にあるスクロールハウジング12の第1空気流路19から吐出された空気を相対的に下方にある配風ユニット60の第1空気流路61に流し、相対的に左方にあるスクロールハウジング12の第2空気流路20から吐出された空気を相対的に上方にある配風ユニット60の第2空気流路62に流すことができる。
【0037】
上記実施形態によれば、分離筒33を、スクロールハウジング12の吸込口13を通って軸方向(Ax)に延びる本体部分34と、本体部分34から分岐して半径方向外側に延びて、本体部分34を空気取入ハウジング30の外気取入口31及び内気取入口32にそれぞれ連通させる外気通路部分35及び内気通路部分36とから構成したため、送風ユニット10の軸方向サイズを小さく抑えることができる。このため、限られた空調装置搭載スペースを有効利用することができる。
【0038】
上記実施形態では、流路切替装置40として、ロータリ式の単一の切替ドア41を採用することにより、スクロールハウジング12の第1空気流路19及び第2空気流路20の各々に供給される空気を内気と外気との間で切り替えているので、部品点数ひいては送風ユニット10の製造コストの削減という効果が得られる。
【0039】
上記実施形態では、回転軸160の軸方向(Ax)が左右方向を向いていたが、これには限定されず、例えば上下方向を向いていてもよい。この場合、この変更に合わせて送風ユニット10と配風ユニット60との接続領域の構造が変更される。
【0040】
上記実施形態では、吸込口13がモータ16よりも左側で開口していたが、これには限定されず、吸込口13がモータよりも右側で開口していてもよい。この場合、この変更に合わせて送風ユニット10と配風ユニット60との構成が、左右で逆転するように構造が変更される。