特許第6961515号(P6961515)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961515
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】ブース用の円弧状ドア装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/42 20060101AFI20211025BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20211025BHJP
   E05F 5/00 20170101ALI20211025BHJP
【FI】
   E06B3/42
   E05D15/06 119
   E05F5/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-34452(P2018-34452)
(22)【出願日】2018年2月28日
(65)【公開番号】特開2019-148137(P2019-148137A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2020年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】中川 昌美
(72)【発明者】
【氏名】松原 可菜子
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−020602(JP,A)
【文献】 特開2006−307468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 13/00
E05D 15/06
E05F 5/00−5/02
E05F 5/10
E06B 1/12
E06B 3/04−3/46
E06B 3/50−3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブース前部に配される戸先側、戸尻側の両前面パネル体のあいだに形成される出入り口を開閉するためのブース用の円弧状ドア装置であって、
該円弧状ドア装置は、出入り口をスライド移動して開閉する円弧状の戸体と、出入り口の上部からブース内上部に至るよう配され、前記戸体を吊持する状態で前記円弧状戸体の開閉スライド移動を円弧軌跡を描く状態で案内する円弧状の吊りレールとを備え、
閉鎖した戸体の戸先側端縁部が当接して受けるため設けられる戸当りを、上端縁部が吊りレールに支持され、下端縁部が躯体側に支持されたものにすると共に、戸当りには、戸体の円弧軌跡を横切っていて閉鎖戸体の戸先側端縁部が当接する戸当り面が設けられたもので構成していることを特徴とするブース用の円弧状ドア装置。
【請求項2】
戸当り面は、戸尻側がブース奥側に傾斜するよう設けられていることを特徴とする請求項1記載のブース用の円弧状ドア装置。
【請求項3】
閉鎖戸体の戸先側端縁部と戸先側前面パネル体の戸尻側端縁部とのあいだの隙間を通してのブース内への視認が、戸体の戸先側端縁部が戸当り面に当接することで遮蔽されることを特徴とする請求項1または2記載のブース用の円弧状ドア装置。
【請求項4】
戸当りは、前側辺部と、奥側辺部と、前側および奥側の両辺部の戸尻側端縁部同士を連結する連結辺部とを備えた中空状に形成され、連結辺部に戸当り面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のブース用の円弧状ドア装置。
【請求項5】
連結辺部には、戸体に設けた施錠具の錠受け体が戸当り面よりもブース奥側に位置する状態で設けられていることを特徴とする請求項4記載のブース用の円弧状ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレブースやシャワーブース等の仕切られた(区画された)ブース(部屋)の出入り口に建て付けられるブース用の円弧状ドア装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、トイレブース等の仕切られたブースの出入り口に建て付けられるドア装置として円弧状の戸体を円弧軌跡に沿って左右方向にスライド移動させることで出入り口の開閉をするようにした所謂円弧状ドア装置が提唱されている。このような円弧状ドア装置は、出入り口を開放したときに戸体をブース室内に引き入れた状態にできることから、通常の左右スライド式のドア装置の場合に比して、出入り口の左右幅を広く確保しながらブースの左右幅を小さいものにできる、という利点がある。そしてこの場合に、左右直線状に移動するスライド式のドア装置では、閉鎖時の戸体の負荷を戸先側端縁部に設けた戸当りで受止めることになるが、このためには、戸当りの強度を、受止め負荷に十分耐え得るものにしなければならないが、このことは円弧状ドア装置の戸体においても同様である。
このため円弧状ドア装置において、戸体がブース構成部材である前面パネルと側面パネルとのコーナー部を円弧軌跡に沿って左右スライド移動する構成のものである場合、全閉時の戸先側端縁部の移動方向を、前面パネル体の左右パネル面方向と平行状(同じ方向、接線方向)にすることで、戸体の戸先側端縁部の戸当り角度を直角状にして受けることができる(例えば特許文献1参照。)。
しかしながら出入り口が、前記特許文献1のようにコーナー部でなく、左右に設けられた前面パネル体間に設けられたものである場合、戸体の移動方向は、戸先側の前面パネル体に対してブース内に引き込む(入り込む)方向の円弧軌跡になるため、単純に直線状にスライド移動するドア装置の戸当りをそのまま採用したときに、戸体の戸先側端縁部を好ましい戸当り角度で受け止めることができない。
そこで戸先側の前面パネル体と側面パネル体とのコーナー部を、隣接するブース側に向いた円弧状とし、該円弧状部位に戸当りを設けて閉鎖時の戸体を直角状に受けるようにしたものが提唱されている(例えば特許文献2参照。)が、このものはブースを構成するパネル体が円弧状という特殊な形状にしなければならないことになってブース自体の汎用性が欠ける等の問題がある。
これに対し、戸先側端縁部を、前面パネル体の戸尻側端部から突設した棒状の戸当り部材で受けるようにしたものが提唱されている(特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−94490号公報
【特許文献2】特開2016−20602号公報
【特許文献3】特開平11−71923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが前記特許文献3のものは、戸先側前面パネル体に設けた棒状の戸当りに対して戸体の戸先側端縁部が当接して受け止めるものであるため、戸当りの戸体の戸先側先端部に対する当接が線状になって安定性に欠け、確実な受け止め支持ができないだけでなく、戸当りに戸体が当接したときの衝撃力を、戸先側前面パネル体の戸当り取付け部位で受けることになり、この結果、該戸当り取付け部位に集中的な負荷が働くことになって、戸先側正面パネル体について、少なくとも該部位の強度アップが図られたものを採用する必要があって汎用性に欠けることになるという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、ブース前部に配される戸先側、戸尻側の両前面パネル体のあいだに形成される出入り口を開閉するためのブース用の円弧状ドア装置であって、該円弧状ドア装置は、出入り口をスライド移動して開閉する円弧状の戸体と、出入り口の上部からブース内上部に至るよう配され、前記戸体を吊持する状態で前記円弧状戸体の開閉スライド移動を円弧軌跡を描く状態で案内する円弧状の吊りレールとを備え、閉鎖した戸体の戸先側端縁部が当接して受けるため設けられる戸当りを、上端縁部が吊りレールに支持され、下端縁部が躯体側に支持されたものにすると共に、戸当りには、戸体の円弧軌跡を横切っていて閉鎖戸体の戸先側端縁部が当接する戸当り面が設けられたもので構成していることを特徴とするブース用の円弧状ドア装置である。
請求項2の発明は、戸当り面は、戸尻側がブース奥側に傾斜するよう設けられていることを特徴とする請求項1記載のブース用の円弧状ドア装置である。
請求項3の発明は、閉鎖戸体の戸先側端縁部と戸先側前面パネル体の戸尻側端縁部とのあいだの隙間を通してのブース内への視認が、戸体の戸先側端縁部が戸当り面に当接することで遮蔽されることを特徴とする請求項1または2記載のブース用の円弧状ドア装置である。
請求項4の発明は、戸当りは、前側辺部と、奥側辺部と、前側および奥側の両辺部の戸尻側端縁部同士を連結する連結辺部とを備えた中空状に形成され、連結辺部に戸当り面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のブース用の円弧状ドア装置である。
請求項5の発明は、連結辺部には、戸体に設けた施錠具の錠受け体が戸当り面よりもブース奥側に位置する状態で設けられていることを特徴とする請求項4記載のブース用の円弧状ドア装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、円弧状の戸体、吊りレールを備えたブース用の円弧状ドア装置において、戸体が閉鎖する際に戸体の戸先側端縁部が当接して受け止めるための戸当りが、上端縁部が吊りレールに支持され、下端縁部が躯体側に支持されることで強度的に強いものにでき、しかも戸体の円弧軌跡を横切る状態の広い面として設けられることができる戸当り面が閉鎖した戸体を受け止めることになって、安定した確実性のある戸当りが、殊更戸先側前面パネル体を補強することなくできることになる。
請求項2の発明とすることにより、戸当り面が、戸尻側がブース奥側に傾斜した状態になって戸体の円弧軌跡に対して強度的に有利な戸当り角度を有したものにでき、安定した戸体受止めができることになる。
請求項3の発明とすることにより、閉鎖戸体の戸先側端縁部と戸先側前面パネル体の戸尻側端縁部とのあいだにある隙間を通してのブース内への視認が、戸体の戸先側端縁部が戸当り面に当接することで遮蔽されるため、別途遮蔽部材を用いることなく、防犯性が優れたものになる。
請求項4の発明とすることにより、戸当りが、前側辺部と、奥側辺部と、前側辺部、奥側辺部の戸尻側端縁部同士を連結する連結辺部とを備えた中空状のもので形成されているため、強度的に強いものになってより安定した戸当りとすることができる。
請求項5の発明とすることにより、戸当り面が形成される連結辺部に施錠具の錠受け体が設けられるため、構造の簡略化が図れることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(A)(B)はトイレブースの正面図、側面図である。
図2】トイレブースの平面図である。
図3】トイレブースの戸体を省略した概略分解斜視図である。
図4】円弧状ドア装置の平面図である。
図5】(A)(B)は吊りローラ部位の正面図、吊りローラ部位の縦断面図である。
図6】戸当り部位の背面図である。
図7】戸体がない状態を示す戸先側部位の平面図である。
図8】戸体が閉鎖した状態を示す戸先側部位の平面図である。
図9】戸当りの平面図である。
図10】第二の実施の形態を示す戸当りの施錠部位を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はトイレブースであって、該トイレブース1は、左右に複数が隣接する状態で設けられたものであり、出入り口(開口)Eを構成すべく前面(正面)に左右間隙を存する状態で設けられる戸先側、戸尻側の前面パネル体2、3と、これら前面パネル体2、3が先端部(前端部)に設けられていてこれら前面パネル体2、3とトイレブース奥端の壁等の躯体面Wとのあいだを仕切る側面パネル体4とを備えることで平面視で矩形状に形成されていること等は何れも従来通りである。
尚、本実施の形態ではトイレブース1が左右に隣接されるものでありこの場合、隣接するトイレブース1間を仕切る側面パネル体4の先端部に設けられる中間の戸先側、戸尻側の前面パネル体2、3同士は左右に連続した一体もので構成され、端側の前面パネル体2、3は各別なもので構成されている。また、本実施の形態では、図2における左側のトイレブース1の左側面は、側面パネル4ではなく壁等の躯体面Wで形成されているが、これらの構成については必要において適宜実施できるものであることは言うまでもない。
【0009】
5は平面視で円弧形状をした戸体であって、該戸体5は、戸体5の左右上端縁部に設けたブラケット6aから上方に突出する状態でハンガーローラ(吊りローラ)6が設けられるが、該ハンガーローラ6が転動することで移動案内される吊りレール(ハンガーレール、案内レール)7は、前記戸体5の円弧形状に沿うよう円弧状をし、出入り口Eの上方とトイレブース1内に入り込む状態において左右方向一方(戸尻側)の側面パネル4の上端部とに亘るよう配設されている。因みに本実施の形態の吊りレール7は、戸先側前面パネル体2に設けたブラケット7a、戸尻側前面パネル体3に設けたブラケット7b、側面パネル体4(あるいは躯体面W)に設けた前後一対のブラケット7c、7dに止着されることで取付けられている。そして前記ハンガーローラ6が吊りレール7を水平方向に転動することにより、戸体5は左右方向にスライド移動して前記出入り口Eを閉鎖する閉鎖姿勢と、トイレブース1の戸尻側側面パネル体4側のトイレブース1内に入り込む状態になって出入り口Eを開放(開口)する開放姿勢とに変姿するようになっている。尚、Tはトイレブース1内に設けられる便器、Sは吊りレール6と戸体5とのあいだの前面側部位を塞ぐ塞ぎ板である。
さらに戸体5の戸先側端部、戸尻側端部にはそれぞれ戸体5用の端部材(エッジ部材)15、16が設けられ、これら端部材15、16にはゴム質弾性を有した緩衝材15a、16aがさらに設けられている。
【0010】
トイレブース1には、戸体5が閉鎖した際に戸体5の戸先側端縁部が当接して受ける戸当り8、戸体5の下端縁部に形成されたガイド溝(軌道)5aに嵌入(係合)して戸体5の振れ止めガイドをするため戸尻側前面パネル体3にブラケット9aを介して設けられるガイド体(ガイドローラ、振れ止めローラ)9、戸体5が全開するときの衝撃を緩衝するべく吊りレール7の戸尻側端部に設けられる緩衝部材10を備えている。尚、緩衝部材10は必要において戸先側に設けてもよいことは勿論である。
【0011】
前記戸当り8は、上下端部が躯体側である吊りレール7、床面Fに至る長さに設定され、後述するよう中空状になった内筒部に内嵌した有底(天)状の取付け具8aを介して吊りレール7、床面Fに固定することで取付けられるようになっている。尚、8bは取付け具8aを固定するためのビスである。
そして戸当り8は、戸先側前面パネル体2に対して戸尻側かつブース奥側に位置し、戸体5が開閉移動する円弧軌跡Xを径方向に横切るようにして戸体5よりも幅広の状態で配されているが、該戸当り8は、ブース前側に位置する前側辺部8cと、ブース奥側に位置する奥側辺部8dと、これら辺部8c、8dの戸尻側端縁部同士を連結する連結辺部8eとを備えて中空状に形成されるが、本実施の形態では、これら三辺部8c、8d、8eにより略三角形の中空状になっており、その中空筒内にはこれら三辺部8c、8d、8eに連結する状態で円筒状の内辺部8fが形成されている。そしてこの内辺部8fに前記取付け具8aが内嵌することになるが、該内嵌した取付け具8aは、本実施の形態では奥側辺部8dと連結辺部8eから螺入したビス8bによって戸当り8に対する回り止めがなされるように構成されている。
【0012】
さらに戸当り8には閉鎖する戸体5の戸先側端縁部が当接して受けるための戸当り面(当接面部)8gが設けられるが、該戸当り面8gは、前記戸先側端部材15に設けた緩衝材15aが当接するよう連結辺部8eに前記円弧軌跡Xを径方向に向いて横切る状態で凹陥状に形成されている。この場合に連結辺部8eは、戸先側が前側で戸尻側がブース奥側に位置するよう傾斜しているものであるため、戸当り面8gについても同様に戸尻側がブース奥側に傾斜する(位置する)状態で受け止めるように設定され、これによって戸当り面8gに対して円弧軌跡Xのなす角度である戸当り角度θが直角若しくはこれに近い角度となるように設定されている。
【0013】
また、戸体5の戸先側端部のブース内外両側パネル面には把手13が設けられ、ブース室内側パネル面には施錠用操作具14が設けられるが、戸体5の閉鎖状態で施錠用操作具14を操作することにより、図示しない施錠体(施錠ロッド、ラッチ)が吊りレール7側に設けた施錠受け(図示せず)に突出係止し、これにより閉鎖姿勢の戸体5の施錠ができるようになっている。
【0014】
叙述の如く構成された本実施の形態において、戸体5は、共に円弧状をした吊りレール7に案内される状態で出入り口Eとトイレブース1の戸尻側部位に入り込んだ部位との間を左右スライド移動して出入り口Eの開閉をすることになるが、戸体5が閉鎖するとき、戸体5の戸先側端縁部は、戸先側前面パネル体2からは独立したものとなって受け止められることになるため、戸先側正面パネル体2に、戸体5の閉鎖時の衝撃が働くことはなく、戸先側正面パネル体2に該衝撃を受けるための補強をする必要がない。
【0015】
この場合において戸当り8は、上端縁部が吊りレール7に支持され、下端縁部が床面Fに支持されることになるから、戸先側前面パネル体2とは独立したものとして設けられることになって、施工性が向上するだけでなく、強度的に優れたものとしての取付けが独立してできることになる。しかもこの場合に、全閉するときの戸体5の戸先側端縁部は、戸体5の円弧軌跡Xを径方向に向いて横切るようにして設けられる戸当り面8gによって広い面としての当接受止めがなされることになって、安定した確実な戸当りができることになる。
【0016】
しかもこの場合に、戸当り面8gは、戸尻側がブース奥側に傾斜するよう設けられているから、該戸当り面8gを、戸体5の戸先側端縁部の円弧軌跡Xに対して強度的に有利な戸当り角度(直角又はこれに近い角度)θを有したものに設定できることになって、安定した戸体5の受止めができることになっている。
【0017】
また戸体5としては、閉鎖したときに戸体5の戸先側端縁部と戸先側前面パネル体2の戸尻側端縁部とのあいだに隙間を存し、この隙間を通してトイレブース1内を視認できる可能性があるが、この隙間は、戸体5の戸先側端縁部に設けた端部材15が戸体5の全長に亘って戸当り面8gに当接することで確実に遮蔽されることなって別途遮蔽部材で塞ぐ必要がないものでありながら防犯性が損なわれることがない。
【0018】
また戸当り8は、前側辺部8c、奥側辺部8dと、これら両辺部8c、8dの戸尻側端縁部同士を連結する連結辺部8eとを備えて中空状に形成されているため、戸体5を受ける戸当り8として必要な強度を確保できることになって、単に戸当り面8gを存した連結辺部8eに相当するものだけ形成した場合に比して強度的に有利なものとなる。
【0019】
尚、本発明は前記実施の形態のものに限定されないものであることは勿論であり、ブース前部に配される戸先側、戸尻側の両前面パネル体2、3のあいだに形成される出入り口Eを開閉するためのブース用の円弧状ドア装置において、出入り口Eをスライド移動して開閉する円弧状の戸体5と、出入り口Eの上部からブース内上部に至るよう配され、前記戸体を吊持する状態で戸体の開閉スライド移動の案内をする円弧状の吊りレール7とを備えたものにおいて、例えば、前記施錠操作具14の施錠体(施錠ロッド、ラッチ)14aに係止する施錠受けについては、吊りレール7側でなく、図10に示す第2の実施の形態のように、戸当り8の連結部8eの戸当り面8gよりもブース奥側に設けた施錠受け8hに係止する構成にしてもよく、これにより閉鎖姿勢の戸体5の施錠ができるようになっており、このようにした場合には、戸当り8が施錠受け8hの取付け部材として兼用化されるだけでなく、施工性の向上にも寄与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、トイレブースやシャワーブース等のブース用の円弧状ドア装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 トイレブース
2 戸先側前面パネル体
3 戸尻側前面パネル体
5 戸体
6 ハンガーローラ
7 吊りレール
8 戸当り
8c 前側辺部
8d 奥側辺部
8e 連結辺部
8g 戸当り面
8h 施錠受け
14 施錠用操作具
E 出入り口
F 床面
X 円弧軌跡
θ 戸当り角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10