(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記工程(c)では、前記流動性スラリーのうち前記下地層の外形からはみ出した部分が前記内面にはじかれて前記下地層の上に集約された後、前記流動性スラリーが自己硬化する前に、前記成形型を傾斜させることにより前記流動性スラリーの厚みを傾斜面に応じて変化させたあと前記流動性スラリーを自己硬化させる、
請求項1に記載の複合成形体の製法。
前記工程(c)では、前記流動性スラリーのうち前記下地層の枠から外側にはみ出した部分が前記内面にはじかれて前記下地層の上に集約された後、前記流動性スラリーが自己硬化する前に、前記成形型を傾斜させることにより前記流動性スラリーの厚みを傾斜面に応じて変化させたあと前記流動性スラリーを自己硬化させる、
請求項2に記載の複合成形体の製法。
前記工程(a)では、前記下地層を形成する下地層スラリーとして、前記流動性スラリーに分散された前記所定粉末と同じ粉末が分散され、粘度が前記流動性スラリーよりも高いスラリーを用いる、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合成形体の製法。
前記流動性スラリー及び前記充填用スラリーは、反応剤とゲル化剤とを含み、前記反応剤と前記ゲル化剤とが固化反応を起こしてゲル化することにより自己硬化するスラリーである、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合成形体の製法。
前記工程(c)のあと前記工程(d)の前に、前記流動性スラリー及び前記充填用スラリーに含まれる粉末とは異なる粉末が分散された追加膜用スラリーを、前記薄膜成形体を覆い且つ前記薄膜成形体からはみ出すように塗布し、前記追加膜用スラリーのうち前記薄膜成形体からはみ出した部分が前記内面にはじかれて前記薄膜成形体の上に集約された後、前記追加膜用スラリーが硬化して前記薄膜成形体と一体になることにより前記内面に前記追加膜の付いた前記薄膜成形体が形成される工程(c’)を追加し、
前記工程(d)では、前記薄膜成形体は、前記追加膜の付いたものである、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合成形体の製法。
前記露出面の所定位置は、前記露出面の長手方向の長さを100%としたときに長手方向の一端から他端に向かって10%、30%、50%、70%、90%の長さの位置であり、前記縦断面は、前記露出面の長手方向と直交する面である、
請求項11に記載の複合成形体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フィルム上に導体ペーストをパターン形成する場合、パターン形成された導体ペーストは流動性を有しているため、時間経過に伴いエッジ(外形)形状が大きく乱れてしまうことがあった。そのため、最終的に得られた複合成形体において、表面に露出した導体成形体のエッジ形状が設計通りの形状にならないことがあった。こうした問題は、セラミック成形体に埋設される成形体が導体成形体の場合のみならず、導体以外の粉末を含有する成形体の場合でも同様に発生する。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、成形体本体の表面に露出した薄膜成形体のエッジ形状を設計通りの形状にすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の複合成形体の製法(以下「第1の製法」という)は、
(a)成形型の内面に、所定液体の濡れ性が前記内面よりも良好で且つ外形が所定形状である下地層を形成する工程と、
(b)前記所定液体に所定粉末が分散された自己硬化性の流動性スラリーを、前記下地層を覆い且つ前記下地層の外形からはみ出すように前記下地層よりも厚く塗布する工程と、(c)前記流動性スラリーのうち前記下地層の外形からはみ出した部分が前記内面にはじかれて前記下地層の上に集約された後、前記流動性スラリーが自己硬化して前記下地層と一体になることにより前記内面に薄膜成形体が形成される工程と、
(d)前記薄膜成形体が前記内面に形成された前記成形型の内部空間に、前記所定粉末とは異質な粉末が分散された自己硬化性の充填用スラリーを充填し該充填用スラリーが自己硬化して成形体本体になることにより、前記薄膜成形体が前記成形体本体に埋設された複合成形体を得る工程と、
を含むものである。
【0007】
この製法によれば、成形体本体の表面に露出した薄膜成形体のエッジ形状を設計通りの形状にすることができる。すなわち、工程(a)において、まず成形型の内面に、下地層を形成する。下地層は比較的薄いため、下地層の外形を所定形状(設計通りの形状)に一致させやすい。流動性スラリーの濡れ性は、下地層の方が成形型の内面よりも良好である。そのため、工程(b)において、流動性スラリ−を、下地層を覆い且つ下地層の外形からはみ出すように下地層よりも厚く塗布すると、塗布後の流動性スラリーのうち下地層の外形からはみ出した部分は内面にはじかれて下地層の上に集約される。なお、はみ出した部分が下地層の上に集約されるとは、はみ出した部分が完全に下地層の上に乗っている場合のほか、はみ出した部分の大半が下地層の上に乗っているもののはみ出した部分のエッジが下地層の外側にわずかに(数百μm以下)出ている場合も含む(以下同じ)。その後、工程(c)において、流動性スラリーは自己硬化して下地層と一体になることにより、内面に薄膜成形体が形成される。このように、成形型の内面の濡れ性と下地層の濡れ性の違いを利用して下地層の上に流動性スラリーを集約させるため、薄膜成形体の外形は下地層の外形つまり設計通りの形状に一致しやすい。続いて、工程(d)において、薄膜成形体が内面に形成された成形型の内部空間に、流動性スラリーに含まれている所定粉末とは異質な粉末が分散された自己硬化性の充填用スラリーを充填する。この充填用スラリーが自己硬化して成形体本体になることにより、薄膜成形体が成形体本体に埋設された複合成形体が得られる。
【0008】
本発明の複合成形体の製法(以下「第2の製法」という)は、
(a)成形型の内面に、所定液体の濡れ性が前記内面よりも良好で且つ枠形状の下地層を形成する工程と、
(b)前記所定液体に所定粉末が分散された自己硬化性の流動性スラリーを、前記下地層及び前記内面のうち前記下地層の枠で囲まれた部分を覆い且つ前記下地層の枠から外側にはみ出すように前記下地層よりも厚く塗布する工程と、
(c)前記流動性スラリーのうち前記下地層の枠から外側にはみ出した部分が前記内面にはじかれて前記下地層の上に集約された後、前記流動性スラリーが自己硬化して前記下地層と一体になることにより前記内面に薄膜成形体が形成される工程と、
(d)前記薄膜成形体が前記内面に形成された前記成形型の内部空間に、前記所定粉末とは異質な粉末が分散された自己硬化性の充填用スラリーを充填し該充填用スラリーが自己硬化して成形体本体になることにより、前記薄膜成形体が前記成形体本体に埋設された複合成形体を得る工程と、
を含むものである。
【0009】
この製法によっても、成形体本体の表面に露出した薄膜成形体のエッジ形状を設計通りの形状にすることができる。すなわち、工程(a)において、まず成形型の内面に、枠形状の下地層を形成する。下地層は比較的薄いため、下地層の外形を所定形状(設計通りの形状)に一致させやすい。流動性スラリーの濡れ性は、下地層の方が成形型の内面よりも良好である。そのため、工程(b)において、流動性スラリ−を、下地層及び内面のうち下地層の枠で囲まれた部分を覆い且つ下地層の枠から外側にはみ出すように下地層よりも厚く塗布すると、塗布後の流動性スラリーのうち下地層の枠から外側にはみ出した部分は内面にはじかれて下地層の上に集約される。その後、工程(c)において、流動性スラリーは自己硬化して下地層と一体になることにより、内面に薄膜成形体が形成される。このように、成形型の内面の濡れ性と下地層の濡れ性の違いを利用して下地層の上に流動性スラリーを集約させるため、薄膜成形体の外形は下地層の外形つまり設計通りの形状に一致しやすい。続いて、工程(d)において、薄膜成形体が内面に形成された成形型の内部空間に、流動性スラリーに含まれている所定粉末とは異質な粉末が分散された自己硬化性の充填用スラリーを充填する。この充填用スラリーが自己硬化して成形体本体になることにより、薄膜成形体が成形体本体に埋設された複合成形体が得られる。
【0010】
本発明の複合成形体は、
所定粉末を含む薄膜成形体と、
前記所定粉末とは異質な粉末を含む成形体本体と、
を含む複合成形体であって、
前記薄膜成形体は、前記成形体本体から部分的に露出した状態で前記成形体本体に埋設され、露出面が前記成形体本体の表面と同一平面になっており、前記露出面から前記成形体本体の内部に向かって表面張力によって膨らんだ形状の凸面を有し、
前記露出面の所定位置で前記複合成形体を切断したときの縦断面を分解能1μm/ピクセル以下で撮影したSEM画像の100μm四方の視野において、前記成形体本体と前記薄膜成形体との境界線及び前記境界線を円弧に近似した基準線を求め、前記基準線と前記境界線との距離の最大値を求めたとき、前記距離の最大値が前記視野内の前記成形体本体に含まれる粒子の最大径と前記薄膜成形体に含まれる粒子の最大径のうち大きい方の5倍以下のものである。
【0011】
こうした複合成形体は、上述した本発明の製法によって製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1は複合成形体10の斜視図、
図2は
図1のA−A断面図(部分拡大図付き)である。以下の説明では、上下、左右、前後は
図1に示すとおりとする。
【0014】
複合成形体10は、
図1に示すように、成形体本体20と薄膜成形体30とを備えている。
【0015】
成形体本体20は、直方体形状であり、薄膜成形体30が埋設されている。成形体本体20は、粉末を成形したものである。粉末としては、例えば、セラミック粉末、金属粉末又はそれらの混合物が挙げられる。セラミック粉末としては、例えば、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、窒化アルミニウム粉末、炭化珪素粉末などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。金属粉末としては、白金粉末、タングステン粉末、モリブデン粉末などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
薄膜成形体30は、成形体本体20の上面20aに1つ、前後方向に延びる形状に形成されている。但し、薄膜成形体30の数は1つに限定されるものではなく1つ以上であればよい。薄膜成形体30は、成形体本体20の表面(上面20a)に部分的に露出している。
【0017】
こうした薄膜成形体30は、
図2に示すように、下地層32と被覆層34とを有している。下地層32の厚みは1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましく、15〜40μmが更に好ましい。下地層32を平面視したときの形状(外形)は、設計通りの形状(ここでは長方形状)である。下地層32の一方の面は、露出面32aであり、成形体本体20の表面(上面20a)に露出すると共に成形体本体20の表面と同一平面に形成されている。下地層32のもう一方の面は、被覆層34によって被覆されている。被覆層34は、厚みが下地層32よりも厚く、平面視したときの形状が下地層32の外形と同じ長方形状である。被覆層34の厚みは100〜1000μmが好ましく、200〜500μmがより好ましく、250〜450μmが更に好ましい。また、
図2に示すように、被覆層34の縦断面をみたとき、被覆層34のうち下地層32と接する面とは反対側の面34aは、成形体本体20の表面から内部に向かって表面張力によって膨らんだ形状の凸面となっている。下地層32と被覆層34は、成形体本体20に含まれる粉末とは異質な粉末を成形したものである。このような粉末としては、例えば、セラミック粉末、金属粉末又はそれらの混合物が挙げられる。セラミック粉末や金属粉末の具体例は上述した通りである。
【0018】
ここで、露出面32aの所定位置で複合成形体10を切断したときの縦断面の部分拡大図を
図2の矩形内に示す。
図1に示すように、露出面32aの所定位置は、本実施形態では、露出面32aの長手方向の長さを100%としたときに長手方向の一端から他端に向かって10%、30%、50%、70%、90%の長さの位置P1〜P5である。縦断面は、露出面32aの長手方向と直交する線を含む面で上下方向に切断したときの断面である。
図2の縦断面の部分拡大図は、分解能1μm/ピクセル以下で撮影したSEM画像の100μm四方の視野を模式的に示したものである。この視野内で、成形体本体20と薄膜成形体30との境界線40及び境界線40を円弧に近似した基準線42を求め、基準線42と境界線40との距離の最大値dmaxを求める。この距離の最大値dmaxは、この視野内で成形体本体20に含まれるセラミック粉末の粒子の最大径と薄膜成形体30に含まれるセラミック粉末の粒子の最大径のうち大きい方の5倍以下である。なお、画像としては、このような基準線と境界線とを求められるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、反射電子像や2次電子像が挙げられる。また、
図2の部分拡大図では、距離の最大値dmaxの位置は、基準線42に対して境界線40が薄膜成形体30側に食い込んだ位置を例示したが、基準線42に対して境界線40が成形体本体20側に食い込んだ位置になることもある。
【0019】
なお、画像の分解能は、成形体本体20及び薄膜成形体30に含まれるセラミック粒子のD90の最大値に対して1/10以下に設定するのが好ましい。例えば、成形体本体20及び薄膜成形体30に含まれるセラミック粒子のD90の最大値が5μmの場合には、分解能を0.5μm/ピクセル以下に設定するのが好ましい。
【0020】
本実施形態の複合成形体10は、焼成することにより成形体本体20及び薄膜成形体30に含まれるセラミック粒子を焼結させた複合焼結体とすることができる。焼成は、常圧下で行ってもよいし、加圧下で行ってもよい。焼成雰囲気は、使用するセラミック粒子の種類などに応じて適宜設定すればよく、例えば酸化雰囲気(大気など)や非酸化雰囲気(窒素雰囲気やアルゴン雰囲気など)としてもよい。焼成温度は、使用するセラミック粒子の種類によって適宜設定すればよい。得られた複合焼結体は、例えば、回路基板、電子部品等の分野などに利用可能である。
【0021】
次に、本実施形態の複合成形体10の製法について、
図3〜
図9を用いて以下に説明する。この製法は本発明の第1の製法の一例である。
図3は成形型50の断面図、
図4は工程(a)の説明図(平面視)、
図5は
図4のB−B断面図、
図6は工程(b)の説明図(平面視)、
図7は
図6のC−C断面図、
図8は工程(c)の説明図(平面視)、
図9は
図8のD−D断面図、
図10は工程(d)の説明図である。
【0022】
工程(a)では、成形型50を構成する下型52の内面52aに、下地層32を形成する。
【0023】
成形型50は、金属製(例えばアルミニウム製とかジュラルミンなどのアルミニウム合金製)である。この成形型50は、
図3に示すように、下型52と上型54とを備え、内部に複合成形体10の外観と同じ直方体の空間を有している。また、成形型50は、外部から内部へスラリーを注入するための注入穴56と、内部から外部へ気体やスラリーを排出するための排出穴58とを備えている。下型52は上部が開口した箱形に形成され、上型54は下部が開口した箱形に形成されている。下型52の内面52aと上型54の内面54aには、離型剤の皮膜が形成されている。そのため、内面52a,54aは離型性を有している。離型剤としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フッ素化合物、シリコン化合物などが挙げられる。皮膜の形成方法としては、めっき、CVD、PVDなどが挙げられる。内面52a,54aと、後述する第2材料スラリー(流動性スラリーに相当)に含まれる液体との接触角は、55〜85°、好ましくは65〜75°である。
【0024】
下地層32は、第1材料スラリー(下地層形成スラリーに相当)を内面52aにスクリーン印刷することにより形成される。
図4及び
図5には、下型52の内面52aに、外形が長方形状の下地層32を形成したときの様子を示す。第1材料スラリーの粘度は、特に限定するものではないが、1×10
4〜1×10
6cP(せん断速度1sec
-1)が好ましく、1×10
5〜5×10
5cP(せん断速度1sec
-1)がより好ましい。下地層32の厚みは1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましく、15〜40μmが更に好ましい。下地層32は、平面視で長方形となるように形成される。この長方形は、予め設計図で設定した形状である。下地層32は、上述した粘度の第1材料スラリーを薄くスクリーン印刷することにより形成されるため、下地層32の外観は設計通りの形状に一致させやすい。
【0025】
第1材料スラリーは、所定粉末が分散されたスラリーであり、所定粉末のほかに反応剤とゲル化剤とを含むものを用いることができる。反応剤やゲル化剤は、スラリーに含まれていてもよいが、含まれていなくてもよい。第1材料スラリーには、溶媒を添加したり、分散助剤を添加したり、ゲル化を促進する触媒を添加したり、その他の添加剤(例えば造孔剤など)を添加したりしてもよい。
【0026】
所定粉末としては、セラミック粉末や金属粉末が挙げられる。これらの例示は既に述べたため、ここでは省略する。
【0027】
反応剤としては、ゲル化剤と反応して固化反応を起こすものを用いる。反応剤の具体例としては、多価アルコール(エチレングリコールのようなジオール類、グリセリンのようなトリオール類等)、多塩基酸(ジカルボン酸等)、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0028】
ゲル化剤としては、反応剤に含まれる反応性官能基と反応して固化反応を引き起こすものを用いる。こうしたゲル化剤としては、反応性が高いイソシアナート基(−N=C=O)及びイソチオシアナート基(−N=C=S)の少なくとも一方を有するゲル化剤を選択することが好ましい。ゲル化剤の具体的としては、例えば、MDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアナート)、TDI(トリレンジイソシアナート)、IPDI(イソホロンジイソシアナート)などが挙げられる。
【0029】
溶媒としては、多塩基酸エステル(グルタル酸ジメチル等)、多価アルコールの酸エステル(トリアセチン等)、脂肪族多価エステルなどの2以上のエステル基を有するエステル類などが挙げられる。
【0030】
分散助剤としては、粘度を低減する役割を果たすものを用いることが好ましい。こうした分散助剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリカルボン酸系共重合体、重合体のリン酸エステル塩化合物、酸基を含む重合体のアルキルアンモニウム塩化合物、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0031】
触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、ヘキサンジアミン、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノールなどが挙げられる。
【0032】
工程(b)では、第2材料スラリー33を、下地層32を覆い且つ下地層32の外形からはみ出すように下地層32よりも厚くディスペンサ(図示せず)により塗布する。下地層32は、成形型50の内面52aと比べて、第2材料スラリ−33に含まれる液体との濡れ性が良好である。
図6及び
図7には、下型52の内面52aに形成された下地層32の上に第2材料スラリー33を塗布したときの様子を示す。第2材料スラリー33の粘度は、第1材料スラリーの粘度より低いことが好ましく、1〜1×10
3cP(せん断速度1sec
-1)が好ましく、1×10
2〜5×10
2cP(せん断速度1sec
-1)がより好ましい。第2材料スラリー33の塗布後の厚みは100〜1000μmが好ましく、200〜500μmがより好ましく、250〜450μmが更に好ましい。第2材料スラリー33は、第1材料スラリーと同種の粉末が分散されたスラリーであり、その粉末のほかに反応剤とゲル化剤とを含むものを用いることができる。第2材料スラリーには、溶媒を添加したり、分散助剤を添加したり、ゲル化を促進する触媒を添加したり、その他の添加剤(例えば造孔剤など)を添加したりしてもよい。反応剤、ゲル化剤、溶媒、分散助剤及び触媒の具体例については、上述したとおりである。
【0033】
工程(c)では、塗布後の第2材料スラリー33のうち下地層32の外形からはみ出した部分は、時間の経過に伴い、内面52aにはじかれて下地層32の上に集約された後、第2材料スラリー33が自己硬化して被覆層34となる。被覆層34は下地層32と一体になる。これにより、内面52aに、下地層32に被覆層34が積層した構造の薄膜成形体34が形成される。
図8及び
図9には、下型52の内面52aに薄膜成形体30が形成されたときの様子を示す。被覆層34の面34aは、表面張力によって膨らんだ形状の滑らかな凸面となる。このように、成形型50の内面52aの濡れ性と下地層32の濡れ性の違いを利用して下地層32の上に第2材料スラリー33を集約させるため、薄膜成形体30の外形は下地層32の外形つまり設計通りの形状に一致しやすい。
【0034】
工程(d)では、
図10に示すように、薄膜成形体30が内面52aに形成された成形型50の内部空間に、第3材料スラリー(充填用スラリーに相当)22を注入穴56から注入して充填する。第3材料スラリー22は、第1及び第2材料スラリーに含まれる粉末とは異質な粉末が分散された自己硬化性のスラリーである。第3材料スラリー22の粘度は、成形型50の内部空間に隙間なく充填可能な粘度であればよい。第3材料スラリー22は、粉末のほかに反応剤とゲル化剤とを含むものを用いることができる。第3材料スラリーには、溶媒を添加したり、分散助剤を添加したり、ゲル化を促進する触媒を添加したり、その他の添加剤(例えば造孔剤など)を添加したりしてもよい。反応剤、ゲル化剤、溶媒、分散助剤及び触媒の具体例については、上述したとおりである。成形型50の内部空間に充填された第3材料スラリー22は、時間の経過に伴い、自己硬化して成形体本体20になる。これにより、薄膜成形体30が成形体本体20に埋設された複合成形体10が得られる。その後、成形型50の下型52と上型54とを分離し、複合成形体10を成形型50から取り出す。
【0035】
以上説明した複合成形体10の製法によれば、成形体本体20の上面20aに露出した薄膜成形体30の露出面32aのエッジ形状を設計通りの形状にすることができる。
【0036】
また、下地層32は厚みが比較的薄い(例えば1〜100μm)ため、下地層32の外形を設計通りの形状に一致させやすい。塗布直後の第2材料スラリー33は厚みが比較的厚い(例えば100〜1000μm)ため、成形型50の内面52a,52bの濡れ性と下地層32の濡れ性の違いを利用して下地層32の上に第2材料スラリー33を集約させやすい。
【0037】
更に、下地層32を形成する第1材料スラリーとして、第2材料スラリー33に分散された粉末と同じ粉末が分散される。そのため、下地層32と被覆層34とは最終的に焼成した後は区別できないほど渾然一体になる。また、第1材料形性スラリーの粘度が第2材料スラリー33よりも高いため、下地層32の外形を設計通りの形状に一層一致させやすい。
【0038】
更にまた、内面52aは、第2材料スラリー33に含まれる液体の液滴を用いてθ/2法で測定したときの接触角が適切であるため、内面52aの濡れ性と下地層32の濡れ性の違いによって下地層32の上に第2材料スラリー33が一層集約しやすい。
【0039】
[第2実施形態]
図11は第2実施形態の複合成形体110の斜視図、
図12は
図11のE−E断面図である。複合成形体110は、成形体本体120と薄膜成形体130とを備えている。成形体本体120は、成形体本体20と同じであるため説明を省略する。薄膜成形体130は、矩形枠形状の下地層132と被覆層134とを有している。下地層132は、矩形枠形状である点を除き、下地層32と同じである。被覆層134は、下地層132の枠内に入り込んだ部分が外部に露出している点を除き、被覆層34と同じである。この複合成形体110において、成形体本体120の表面に露出した薄膜成形体130の露出面130a(下地層32の露出面と被覆層34の露出面とで構成される)のエッジ形状は設計通りの長方形状に形成されている。
【0040】
この複合成形体110についても、第1実施形態と同様の位置P1〜P5で切断したときの成形体本体120と薄膜成形体130との境界付近の拡大図は
図2の矩形内のようになる。すなわち、分解能1μm/ピクセル以下で撮影したSEM画像の100μm四方の視野内で、第1実施形態と同様にして境界線と基準線を求め、基準線と境界線との距離の最大値dmaxを求めたとき、dmaxはこの視野内で成形体本体120に含まれるセラミック粉末の粒子の最大径と薄膜成形体130に含まれるセラミック粉末の粒子の最大径のうち大きい方の5倍以下である。
【0041】
次に、本実施形態の複合成形体110の製法について、
図13〜
図19を用いて以下に説明する。この製法は本発明の第2の製法の一例である。ここでも、第1実施形態と同じ成形型50(
図3参照)を用いることとする。
図13は工程(a)の説明図(平面視)、
図14は
図13のF−F断面図、
図15は工程(b)の説明図(平面視)、
図16は
図15のG−G断面図、
図17は工程(c)の説明図(平面視)、
図18は
図17のH−H断面図、
図19は工程(d)の説明図である。
【0042】
工程(a)では、
図13及び
図14に示すように、成形型50を構成する下型52の内面52aに、矩形枠形状の下地層132を形成する。下地層132は、第1実施形態で用いた第1材料スラリー(下地層形成スラリーに相当)を内面52aにスクリーン印刷することにより形成される。下地層132の矩形枠形状は、予め設計図で設定した形状である。下地層132は、上述した粘度の第1材料スラリーを薄くスクリーン印刷することにより形成されるため、下地層132の枠形状は設計通りの形状に一致させやすい。
【0043】
工程(b)では、
図15及び
図16に示すように、第1実施形態で用いた第2材料スラリー33と同じ第2材料スラリー133を、下地層132及び内面52aのうち下地層132の枠で囲まれた部分を覆い且つ下地層132の枠から外側にはみ出すように下地層132よりも厚くディスペンサ(図示せず)により塗布する。下地層132は、成形型50の内面52aと比べて、第2材料スラリ−133に含まれる液体との濡れ性が良好である。
【0044】
工程(c)では、
図17及び
図18に示すように、塗布後の第2材料スラリー133のうち下地層132の枠から外側にはみ出した部分は、時間の経過に伴い、内面52aにはじかれて下地層132の上に集約された後、第2材料スラリー133が自己硬化して被覆層134となる。被覆層134は下地層132と一体になる。これにより、内面52aに、下地層132及び被覆層134からなる薄膜成形体130が形成される。被覆層134の面134aは、表面張力によって膨らんだ形状の滑らかな凸面となる。このように、成形型50の内面52aの濡れ性と下地層132の濡れ性の違いを利用して下地層132の枠から外側にはみ出した第2材料スラリー133を下地層132の上に集約させるため、薄膜成形体130の外形は下地層132の外形つまり設計通りの形状に一致しやすい。
【0045】
工程(d)では、
図19に示すように、薄膜成形体130が内面52aに形成された成形型50の内部空間に、第1実施形態で用いた第3材料スラリー(充填用スラリーに相当)22を注入穴56から注入して充填する。成形型50の内部空間に充填された第3材料スラリー22は、時間の経過に伴い、自己硬化して成形体本体120になる。これにより、薄膜成形体130が成形体本体120に埋設された複合成形体110が得られる。その後、成形型50の下型52と上型54とを分離し、複合成形体110を成形型50から取り出す。
【0046】
以上説明した複合成形体110の製法によれば、成形体本体120の上面に露出した薄膜成形体130の露出面130aのエッジ形状を設計通りの形状にすることができる。
【0047】
また、下地層132は厚みが比較的薄い(例えば1〜100μm)ため、下地層132の外形を設計通りの形状に一致させやすい。塗布直後の第2材料スラリー133は厚みが比較的厚い(例えば100〜1000μm)ため、成形型50の内面52aの濡れ性と下地層132の濡れ性の違いを利用して下地層132の上に第2材料スラリー133を集約させやすい。
【0048】
更に、下地層132を形成する第1材料スラリーとして、第2材料スラリー133に分散された粉末と同じ粉末が分散される。そのため、下地層132と被覆層134とは最終的に焼成した後は区別できないほど渾然一体になる。また、第1材料形性スラリーの粘度が第2材料スラリー133よりも高いため、下地層132の外形を設計通りの形状に一層一致させやすい。
【0049】
更にまた、内面52aは、第2材料スラリー133に含まれる液体の液滴を用いてθ/2法で測定したときの接触角が適切であるため、内面52aの濡れ性と下地層132の濡れ性の違いによって下地層132の上に第2材料スラリー133が一層集約しやすい。
【0050】
[その他の実施形態]
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0051】
例えば、上述した第1及び第2実施形態では、自己硬化性のスラリーとして、反応剤とゲル化剤とが固化反応を起こしてゲル化するスラリーを用いたが、特にこれに限定されるものではなく、加熱すると硬化する熱硬化性樹脂を含むスラリーを用いてもよいし、光照射すると硬化する光硬化性樹脂を含むスラリーを用いてもよい。
【0052】
上述した第1実施形態では、下地層32の設計上の外形形状を長方形としたが、特に長方形に限定されるものではなく、どのような形状でも構わない。例えば、折れ曲がった形状でもよいし、湾曲した形状でもよい。一例として、下地層32をU字形としてもよい。こうすれば、
図20に示すように、複合成形体10の薄膜成形体30の外形形状もU字形になる。また、第2実施形態では、下地層132の設計上の形状を矩形枠形状としたが、特に矩形枠形状に限定されるものではなく、どのような枠形状でも構わない。例えば、円形枠でもよいし、楕円形枠でもよいし、多角形枠でもよい。
【0053】
上述した第1実施形態では、複合成形体10の形状を直方体としたが、特に直方体に限定されるものではなく、どのような形状でも構わない。例えば、円柱や多角柱でもよい。第2実施形態の複合成形体110の形状についても同様である。
【0054】
上述した第1実施形態の工程(c)に、
図21に示す膜厚制御工程を加えてもよい。すなわち、第1実施形態の工程(c)において、塗布後の第2材料スラリー33のうち下地層32の外形からはみ出した部分が下型52の内面52aにはじかれて下地層32の上に集約された後、第2材料スラリー33が自己硬化する前に(
図21(a)参照)、成形型50を傾斜させることにより流動性スラリー33の厚みを傾斜面(傾斜した内面52a)に応じて変化させる(
図21(b)参照)。内面52aが傾斜すると、自己硬化前の流動性スラリー33は、下面が下地層32に付着したまま、表面が重力によって内面52aの傾斜面に沿って傾く。そのため、流動性スラリー33のうち傾斜面の下側は厚く、上側は薄くなる。この状態で流動性スラリー33が自己硬化して被覆層34になると、その被覆層34の厚みは一方向(
図21中、左方向)に沿って徐々に厚くなったものが得られる(
図21(c)参照)。こうすることにより、例えば被覆層34が金属粉末を含む場合、厚い部分と薄い部分とで電気特性(例えば電気抵抗)が異なるものが得られる。傾斜角θは流動性スラリーの粘性等に応じて適宜設定すればよく、例えば0.1〜0.5°の範囲で設定してもよい。一方、第2実施形態の工程(c)においても、第2材料スラリー133のうち下地層132の枠から外側にはみ出した部分が内面52aにはじかれて下地層132の上に集約された後、第2材料スラリー133が自己硬化する前に、成形型50を傾斜させることにより第2材料スラリー133の厚みを傾斜面に応じて変化させたあと第2材料スラリー133を自己硬化させてもよい。この場合も、第2材料スラリー133が自己硬化した後の被覆層134の厚みは一方向に沿って徐々に厚くなる。
【0055】
上述した第1実施形態において、工程(c)のあと工程(d)の前に、
図22に示す工程(c’)を加えてもよい。工程(c’)では、第2材料スラリー33及び第3材料スラリー22に含まれる粉末とは異なる粉末が分散された追加膜用スラリー35を、薄膜成形体30を覆い薄膜成形体30からはみ出すように塗布する(
図22(a)参照)。続いて、追加膜用スラリー35のうち薄膜成形体30からはみ出した部分が下型52の内面52aにはじかれて薄膜成形体30の上に集約された後、追加膜用スラリー35が硬化して薄膜成形体30と一体になるようにする(
図22(b)参照)。こうすることにより、追加膜36の付いた薄膜成形体30が内面52aに形成される。その後の工程(d)では、薄膜成形体30として追加膜36の付いたものを用いることになるが、上述した工程(d)と同様にして複合成形体を得ることができる。追加膜用スラリー35は、粉末のほかに反応剤とゲル化剤とを含んでいてもよく、更に、溶媒、分散助剤、ゲル化を促進する触媒、その他の添加剤(例えば造孔剤など)を含んでいてよい。反応剤等の具体例については既に述べたとおりである。追加膜用スラリー35は、ゲル化剤を含んでいてもよいし、ゲル化剤を含んでいなくてもよい。追加膜用スラリー35は、ゲル化剤を含んでいない場合、被覆層34に含まれる自己硬化成分を利用して硬化する。すなわち、被覆層34中の未反応のゲル化剤が追加膜用スラリー35に拡散するため、追加膜用スラリー35はその拡散してきたゲル化剤によってゲル化(硬化)する。また、追加膜用スラリー35は、ゲル化剤の一部を含み残りを含まないようにしてもよい。その場合、ゲル化剤の残りの成分は被覆層34から追加膜用スラリー35に拡散するため、追加膜用スラリー35はゲル化する。なお、薄膜成形体30に追加膜36を形成したあと、その上に更に1以上の追加膜を形成してもよい。また、こうした工程(c’)を、上述した第2実施形態の工程(c)のあと工程(d)の前に加えてもよい。
【実施例】
【0056】
以下に、本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0057】
[実施例1]
上述した実施形態の成形型50(
図3参照)を用意し、上述した実施形態の製法にしたがって、下記の第1〜第3材料スラリーを用いて複合成形体10(
図1参照)を作製した。
【0058】
第1材料スラリーとして、白金粉末を溶媒と分散助剤に分散させたスラリーを用いた。溶媒として、脂肪族多価エステルと多塩基酸エステルの混合物を17.5質量部、分散助剤として、ポリカルボン酸系共重合体を5質量部用いた。更に、エチレングリコールを0.8質量部添加した。白金粉末の添加量は、第1材料スラリーの密度が4.8g/cm
3となるように調整した。第1材料スラリーの粘度は、レオメータ(アントンパール社製のMCR302)を用いて22℃でコーンプレート(CP−25)でせん断速度依存性を測定したところ、2×10
5cP(せん断速度1sec
-1)であった。
【0059】
第2材料スラリーとして、白金粉末を溶媒とゲル化剤と反応剤と分散助剤に分散させたスラリーを用いた。溶媒として、脂肪族多価エステルと多塩基酸エステルの混合物を20.5質量部、ゲル化剤として、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを3.3質量部、反応剤として、エチレングリコール0.3質量部、分散助剤として、ポリカルボン酸系共重合体1.5質量部用いた。白金粉末の添加量は、第2材料スラリーの密度が4.1g/cm
3となるように調整した。第2材料スラリーの粘度は、第1材料スラリーと同様にして測定したところ、1×10
2cP(せん断速度1sec
-1)であった。
【0060】
第3材料スラリーとして、アルミナ粉末を溶媒とゲル化剤と反応剤と分散助剤と触媒に分散させたスラリーを用いた。溶媒として、脂肪族多価エステルと多塩基酸エステルの混合物を51質量部、ゲル化剤として、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを7.9質量部、反応剤として、エチレングリコール0.6質量部、分散助剤として、ポリカルボン酸系共重合体4質量部用いた。更に、ゲル化を促進する触媒として、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノールを0.1質量部添加した。アルミナ粉末の添加量は、第3材料スラリーの密度が4.0g/cm
3となるように調整した。第3材料スラリーの粘度は、第1材料スラリーと同様にして測定したところ、1×10
3cP(せん断速度1sec
-1)であった。
【0061】
まず、成形型50を用意した。成形型50の内面52a,52bにつき、第2材料スラリーに含まれる液体の液滴を用いてθ/2法で接触角を測定したところ、70°であった。この成形型50の内面52a,52bに、第1材料スラリーを用いて厚さが15μmの下地層32をスクリーン印刷により形成した。次に、第2材料スラリーを、下地層32を覆い且つ下地層32の外形からはみ出すように厚さが300μmとなるようにディスペンサ(図示せず)により塗布した。塗布後の第2材料スラリーのうち下地層32の外形からはみ出した部分は、時間の経過に伴い、内面52a,54aにはじかれて下地層32の上に集約された後、第2材料スラリー33が自己硬化して被覆層34となった。被覆層34は下地層32と一体になり、薄膜成形体34が形成された。次に、成形型50の内部空間に第3材料スラリーを充填した。第3材料スラリーは時間の経過に伴いゲル化して成形体本体20になった。これにより、複合成形体10を得た。
【0062】
図1に示すように、得られた複合成形体10のうちの1つの露出面32aの5つの位置P1〜P5で露出面32aの長手方向と直交する線を含む面で複合成形体10を切断し、その切断面のSEM写真(反射電子像)を撮影した。そのうちの1枚のSEM写真を
図23に示す。
図23の上段の写真は、分解能0.16μm/ピクセルで撮影した反射電子像の100μm四方の視野を示す。成形体本体と薄膜成形体との境界線及びその境界線を円弧に近似した基準線を求めた。このときの基準線と境界線との距離の最大値dmaxは、1.7μmであった。また、この視野内で成形体本体に含まれる粒子の最大径と薄膜成形体に含まれる粒子の最大径のうち大きい方の粒径Dmaxは5μmであった。そのため、dmax≦5Dmaxを満たしていた。他の4枚のSEM写真でもこれと同様の結果が得られた。