(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シャフトの基端部側に排水ポートを備えたコネクターが接続しており、冷却水が前記排水ルーメンを通じて前記排水ポートから排水されることを特徴とする請求項1のホットバルーンカテーテル。
前記排水ポートには、流路の開閉手段が配設されており、前記排水ポートから排出される冷却水の流量を調整可能とされていることを特徴とする請求項2のホットバルーンカテーテル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような従来のホットバルーンカテーテル場合、バルーン内に供給された冷却水をシャフトの先端付近に設けられた小孔(排水ポート)を介して外部に排出している。このため、冷却水の排水量の調整が必ずしも容易でなく、これに伴って、バルーンの圧力(バルーンの径)を調整することが難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、バルーンの冷却のための冷却水の排水量の調整およびバルーンの圧力(バルーンの径)の調整が容易なホットバルーンカテーテルを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のホットバルーンカテーテルは、上記の課題を解決するため、
長尺かつ管状のシャフトと、
前記シャフトの内側に挿通された長尺なインナーチューブと、
前記シャフトの先端側に配設され、かつ、前方側がインナーチューブに被覆固定された弾性バルーンと、
前記弾性バルーンの内部に位置するインナーチューブに配設された加熱手段と、
前記シャフトと前記インナーチューブとの間に形成された冷却水の送液路と、
前記インナーチューブの長手方向に沿って前記送液路内に配設され、かつ、先端部が前記弾性バルーンの内部に位置する管状の排水ルーメンと、
を備え、
前記送液路を通じて前記弾性バルーンの内部に供給された冷却液が前記排水ルーメンの先端部からその内部に流入し、排出されることを特徴としている。
【0009】
このホットバルーンカテーテルでは、前記シャフトの基端部側に排水ポートを備えたコネクターが接続しており、冷却水が前記排水ルーメンを通じて前記排水ポートから排水されることが好ましい。
【0010】
このホットバルーンカテーテルでは、前記排水ポートには、流路の開閉手段が配設されており、前記排水ポートから排出される冷却水の流量を調整可能とされていることがより好ましい。
【0011】
このホットバルーンカテーテルでは、前記インナーチューブには内部と連通する排水孔が形成されており、前記排水ルーメンの後端部は前記排水孔付近に位置しており、前記排水ルーメンに流入した冷却水が前記排水孔を通じて外部に排水されることが好ましい。
【0012】
このホットバルーンカテーテルでは、前記シャフトの基端部側に、前記シャフト内にニードルワイヤーを導入可能なニードルワイヤーポートを備えたコネクターが接続しており、
前記ニードルワイヤーポートには、前記インナーチューブの外面を長手方向に沿って延びる導入チューブが接続しており、
前記導入チューブの先端部は前記排水ルーメンの後端部と対向しており、
前記導入チューブの先端部から導出されたニードルワイヤーの先端部が、前記排水ルーメンの後端部に挿入されることで、前記排水ルーメンから前記排水孔へ排出される冷却水の流量を調整可能とされていることがより好ましい。
【0013】
このホットバルーンカテーテルでは、前記インナーチューブの外面には、前記排水ルーメンの後端部と前記排水孔とを外側から覆う圧力遮断チューブが配設されていることがされに好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のホットバルーンカテーテルによれば、冷却水の排水量の調整およびバルーンの圧力(バルーンの径)の調整を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のホットバルーンカテーテルの第1実施形態について、図面とともに説明する。
図1は、本発明のホットバルーンカテーテルの第1実施形態を例示した概要図である。
図2は、
図1に示したホットバルーンカテーテルにおける弾性バルーン付近の内部の状態を示した説明図である。
【0017】
ホットバルーンカテーテル1は、シャフト2、インナーチューブ3、弾性バルーン4、加熱手段5、送液路Lおよび排水ルーメン6を備えている。さらに、シャフト2の基端側には、ストレインリリーフSを介してコネクターCが接続している。コネクターCは、ガイドワイヤーポートP1と、排水ポートP2と、バルーンポートP3と、コイル端子Fを備えている。
【0018】
シャフト2は、長尺かつ管状であり、管腔臓器内に挿入可能な柔軟性を有している。具体的には、シャフト2の材料としては、例えば、耐熱性を有する各種樹脂などを例示することができる。
【0019】
インナーチューブ3は、シャフト2の内側に挿通されている。インナーチューブ3もシャフト2と同様の柔軟性を有している。具体的には、インナーチューブ3の材料としては、例えば、耐熱性を有する各種樹脂などを例示することができる。
【0020】
インナーチューブ3の先端には、先端チップTが設けられている。先端チップTからは、後述するガイドワイアーを導出することができ、ガイドワイアーを目的部位まで安定に進めることができる。先端チップTは、シャフト2よりも径小に形成されており、ガイドワイアーに沿って目的部位まで進めやすい形状に形成されている。また、例えば、先端チップTから放射線透視化のための造影剤を放出することで、血管の状況の確認を行うこともできる。
【0021】
弾性バルーン4は、例えば、ポリウレタンやPET(ポリエチレンテレフタラート)などの耐熱性に富む樹脂で薄膜状に形成されており、適度な弾性を有している。また、弾性バルーン4は、インナーチューブ3の長手方向に長い略円筒状であり、他の部位よりも径小な前方ネック部41と後方ネック部42が形成されている。シャフト2の先端側に後方ネック部42が接続しており、前方ネック部41がインナーチューブ3の先端の先端チップTに被覆固定されている。
【0022】
弾性バルーン4は、その内部に冷却水(例えば、冷却した生理食塩水またはブドウ糖液と造影剤の混合液)が充填されることによって、例えば略球形に膨らむように設計されている。
【0023】
加熱手段5は、弾性バルーン4の内部に位置するインナーチューブ3に配設されている。加熱手段5は、高周波通電用電極が好ましく、この実施形態では、高周波通電用電極が断熱チューブ51を介してインナーチューブ3にコイル状に巻回されて設けられている。高周波通電用電極は、コネクターCのコイル端子Fと接続している。また、例えば、高周波通電用電極は単極構造であってよく、シャフト2の外部に設けられた対極板との間で高周波通電を行なうように構成され、通電すると高周波通電用電極より高周波電界が周囲に放射されるように設計することができる。
【0024】
加熱手段5として高周波通電用電極が使用される場合は、シャフト2の外部に高周波発生器(図示していない)などを設けることができ、通電線によって、高周波通電用電極と高周波発生器とを電気的に接続することができる。高周波発生器は、通電線を通じて高周波通電用電極と対極板との間に電力である高周波エネルギーを供給して、液体で満たされた弾性バルーン4全体を加温することができる。
【0025】
また、弾性バルーン4の内部の加熱手段5の前後には電極D1、D2が固定されており、インピーダンスを測定することもできる。
【0026】
シャフト2とインナーチューブ3との間には送液路Lが形成されている。送液路Lには、バルーンポートP3から供給される冷却水を送り込むことができる。
【0027】
排水ルーメン6は、管状であり、インナーチューブ3の長手方向に沿って送液路L内に配設されている。排水ルーメン6の先端側は、加熱手段5および断熱チューブ51の内部を通じており、その先端部61は弾性バルーン4の内部の送液路Lに露出した状態で配置されている。また、排水ルーメン6の後端側は、コネクターCの内部を通じて排水ポートP2と接続している。
【0028】
ガイドワイヤーポートP1は、インナーチューブ3の内部と連通しており、ガイドワイヤーポートP1を通じて、インナーチューブ3の内部をガイドワイアー(図示していない)が挿通可能とされている。インナーチューブ3にガイドワイヤーを挿入することで、弾性バルーン4を標的部位に誘導することができる。また、例えば、ガイドワイヤーの径は、0.14〜0.18インチの範囲を例示することができる。
【0029】
バルーンポートP3は、送液路Lと連通しており、バルーンポートP3の端部には輸液手段(図示していない)を接続することができる。輸液手段は、例えば、冷却水を貯留する点滴ボトル、点滴ボトルに連通する輸液ポンプ、バルーンポートP3と接続する連絡管などを含むことができる。例えば、輸液ポンプを作動させ、点滴ボトルからの冷却水が輸液ポンプ、連絡管を通して送液路Lに圧送されることで、弾性バルーン4内を陽圧にすることができる。
【0030】
排水ポートP2は、送液路Lと連通しており、流路の開閉を制御可能な開閉手段Bが設けられている。開閉手段Bとしては、バルブなどを例示することができる。また、排水ポートP2には、温度センサー(図示していない)が設けられている。温度センサーによって排水された冷却水の温度を測定し、測定された冷却水(排水)の温度情報に基づいて、高周波通電用電極に供給する高周波電流のエネルギーや、冷却水の流量などを調整することができる。
【0031】
そして、例えば、高周波通電を行なうと、弾性バルーン4内部の高周波通電電極(加熱手段5)より高周波電界が均一に放射され、弾性バルーン4は狭窄部を加熱しながら拡張する。このような加温および拡張では、血管中膜の弾性繊維の伸展を良好にし、また、血栓やその他の脂質を可塑化させながら、弾性バルーン4を加圧膨張させて血管、膠原組織、アテロームなどを融解等させて狭窄部を拡張し、血流を改善させることができる。そして、送液路Lを通じて弾性バルーン4の内部に供給された冷却液が注入されると、弾性バルーン4は冷却される。その後、弾性バルーン4の内部の冷却液は、排水ルーメン6の先端部61からその内部に流入し、排水ルーメン6を通じてシャフト2の基端側へと運ばれ、排水ポートP2を通じて外部に排出される。排水ポートP2には、温度センサーが設けられているため、温度センサーによって排水された冷却水の温度を測定し、測定された冷却水の温度情報に基づいて、高周波通電用電極に供給する高周波電流のエネルギーや、冷却水の流量などを調整することができる。なお、排水ポートP2には、例えば、液体回収器などを適宜接続することができる。
【0032】
また、例えば、排水ポートP2の開閉手段Bを操作して排水ポートP2を閉鎖することで、連通する弾性バルーン4の内部の陽圧を高め、弾性バルーン4の拡張することができる。すなわち、開閉手段Bによって排水ポートP2の開閉状態を調整することで冷却水の排水量の調整することができるため、弾性バルーン4の内部の圧力を容易に調整することができる。
【0033】
本発明のホットバルーンカテーテルの第2実施形態について、図面とともに説明する。第1実施形態と共通する内容については、同一の符号を付し、以下では説明を一部省略する。
【0034】
図3は、本発明のホットバルーンカテーテルの第2実施形態を例示した概要図である。
【0035】
図4は、
図3に示したホットバルーンカテーテルにおける弾性バルーン付近の内部の状態を示した説明図である。
【0036】
ホットバルーンカテーテル1は、インナーチューブ3の外面に、内部と連通する排水孔31が形成されている。そして、インナーチューブ3の長手方向に沿って送液路L内に配設されている排水ルーメン6の後端部62は、排水孔31よりもやや先端側に位置している。
【0037】
また、インナーチューブ3の長手方向に沿って、2種類の金属線からなる熱電対Hが配設されている。熱電対Hの金属線は、高周波通電用電極の内側を通じて先端側に延びており、熱電対の接合点h1は、排水ルーメン6の先端部付近に位置している。熱電対Hの金属線は熱電対端子h2に接続している。
【0038】
送液路Lを通じて弾性バルーン4の内部に冷却水が供給されると、冷却水が排水ルーメン6の先端部61側から流入し、後端側62付近に位置する排水孔31を通じて、インナーチューブ3の内部(ガイドワイヤールーメン)に排水される。インナーチューブ3の内部に排水された冷却水は、インナーチューブ3の先端チップTの先端の開放端部32から放出することができる。
【0039】
また、このホットバルーンカテーテル1では、排水ルーメン6の後端部62および排水孔31を外側から覆う圧力遮断チューブ7が配設されている。このため、排水ルーメン6の後端部62から排水される冷却水が送液路Lに漏出することなく、確実にインナーチューブ3の排水孔31に排水される。
【0040】
ホットバルーンカテーテル1は、排水ルーメン6の長さなどを調整することで冷却水の排水量の調整を行うことができ、これによって弾性バルーン4の圧力を調整することができる。
【0041】
このホットバルーンカテーテル1においても、排水ルーメン6を通じて運ばれた冷却水が、インナーチューブ3の排水孔31から内部のガイドワイヤールーメンを介して外部に排出されるため、冷却水の流量および弾性バルーン4の内部の圧力を容易に調整することができる。
【0042】
本発明のホットバルーンカテーテルの第3実施形態について、図面とともに説明する。第1実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、以下では説明を一部省略する。
【0043】
図5は、本発明のホットバルーンカテーテルの第3実施形態を例示した概要図である。
図6は、
図5に示したホットバルーンカテーテルにおける弾性バルーン付近の内部の状態を示した説明図である。
図7は、
図6に示したニードルワイヤーの動作を例示した概要図である。なお、
図7では、簡略化するため、圧力遮断チューブの記載を省略している。
【0044】
ホットバルーンカテーテル1は、インナーチューブ3の外面に、内部のガイドワイヤールーメンと連通する排水孔31が形成されている。そして、インナーチューブ3の長手方向に沿って送液路L内に配設されている排水ルーメン6の後端部62は、排水孔31よりもやや先端側に位置している。
【0045】
送液路Lを通じて弾性バルーン4内部に冷却水が供給されると、冷却水が排水ルーメン6の先端部側から流入し、後端側付近に位置する排水孔31を通じて、インナーチューブ3の内部に排水される。インナーチューブ3の内部に排水された冷却水の一部は、インナーチューブ3の先端チップTの先端の開放端部32から放出することができる。
【0046】
また、このホットバルーンカテーテル1では、排水ルーメン6の後端部62付近から導入チューブ8の先端部81付近に亘って、排水ルーメン6の後端部62、排水孔31および導入チューブ8の先端部81を外側から覆う圧力遮断チューブ7が配設されている。このため、排水ルーメン6の後端部62から排水される冷却水が送液路Lに漏出することなく、確実にインナーチューブ3の排水孔31に排水される。
【0047】
さらに、ホットバルーンカテーテル1は、コネクターCにニードルワイヤーポートP4を備えている。ニードルワイヤーポートP4には、インナーチューブ3の外面を長手方向に沿って延びる導入チューブ8が接続しており、導入チューブ8の先端部81は排水ルーメン6の後端部62と近接し、対向している。ニードルワイヤー9の径は、排水ルーメン6の径と対応しているが、その先端部91付近は次第に径小となる先細り形状になっている。ニードルワイヤー9は、導入チューブ8内で前進・後退させることができる。
【0048】
図7(A)に例示したように、ニードルワイヤー9の先端部91が排水ルーメン6の後端部62より手前(基端部側)に位置している状態では、排水ルーメン6の後端部62は閉鎖されていない。この状態では、冷却水は、排水ルーメン6から排水溝31にスムーズに流れるため、弾性バルーン4の内部の圧力は低く維持されている。
【0049】
図7(B)に例示したように、ニードルワイヤーポートP4からニードルワイヤー9を前方に向かって押し込むように操作することで、ニードルワイヤー9を前進させることができる。これによって、ニードルワイヤー9の先端部81が排水ルーメン6の後端部62に挿入される。
【0050】
ニードルワイヤー9の先端部91の一部を排水ルーメン6の後端部62に挿入されることで、排水ルーメン6の後端部62の開放面積が減小した場合は、排水ルーメン6から排水孔31に排水される冷却水の流量を少なくすることができる。これによって、弾性バルーン4の内部の陽圧が高まるため、弾性バルーン4を拡張させることができる。
【0051】
さらに、
図7(C)に例示したように、例えば、ニードルワイヤー9を前進させて排水ルーメン6の後端部62に挿入して、後端部62の大部分が閉鎖された場合は、弾性バルーン4の内部の陽圧がさらに高まるため、より高圧での弾性バルーン4の拡張が可能になる。
【0052】
このように、ニードルワイヤー9を前後に操作することで、排水ルーメン6から排水孔31へ排出される冷却水の流量を調整することができる。
【0053】
このホットバルーンカテーテル1においても、冷却水が排水ルーメン6を通じて排水孔31から排水されるため、冷却水の流量の調整が容易であり、弾性バルーン4内部の圧力を容易に調整することができる。さらに、ニードルワイヤー9を操作することで、ニードルワイヤー9の先端部91が排水ルーメン6の後端部62に挿入されるため、より正確に排出される冷却水の流量を調整することができる。
【0054】
本発明のホットバルーンカテーテルは以上の実施形態に限定されることはない。例えば、加熱手段は、弾性バルーンの内部を加熱できれば特に限定されない。例えば、高周波通電用電極と高周波発生器の代わりに、超音波発熱体と超音波発生装置、レーザー発熱体とレーザー発生装置、ダイオード発熱体とダイオード電源供給装置、ニムロム線発熱体とニクロム線電源供給装置などを用いることもできる。また、インナーチューブ3の排水口の位置や大きさ、排水ルーメンの長さなども適宜設定することができる。
【0055】
本発明のホットバルーンカテーテルは以上の実施形態に何ら限定されるものではない。