(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1油圧アクチュエータは、前記収縮時に作動油を前記戻り油として排出可能な第1ポートと、前記伸長時に作動油を前記戻り油として排出可能な第2ポートとを有し、
前記第1接続油路は、前記第1制御弁と前記第2ポートとを接続し、
前記第2接続油路は、前記第1制御弁と前記第1ポートとを接続し、
前記第2内部油路に作動油の流量を低減する絞り部が設けられている請求項3に記載の作業機の油圧システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る作業機の油圧システム及びこの油圧システムを備えた作業機の好適な実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
まず、作業機から説明する。
図4は、本発明に係る作業機の側面図を示している。
図4では、作業機の一例として、スキッドステアローダを示している。但し、本発明に係る作業機はスキッドステローダに限定されず、例えば、コンパクトトラックローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
【0015】
作業機1は、機体(車体)2と、キャビン3と、作業装置4と、走行装置5A、5Bとを備えている。
機体2上にはキャビン3が搭載されている。キャビン3内の後部には運転席8が設けられている。本発明の実施形態において、作業機1の運転席8に着座した運転者の前側(
図4の左側)を前方、運転者の後側(
図4の右側)を後方、運転者の左側(
図4の手前側)を左方、運転者の右側(
図4の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2から離れる方向である。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2に近づく方向である。
【0016】
キャビン3は、機体2に搭載されている。作業装置4は、作業を行う装置で、機体2に装備されている。走行装置5Aは、機体2を走行させる装置であって、機体2の左側に設けられている。走行装置5Bは、機体2を走行させる装置であって、機体2の右側に設けられている。機体2内の後部には原動機7が設けられている。原動機7は、ディーゼルエンジン(エンジン)である。なお、原動機7は、エンジンに限定されず、電動モータ等であってもよい。
【0017】
運転席8の左側には、走行レバー9Lが設けられている。運転席8の右側には、走行レバー9Rが設けられている。左側の走行レバー9Lは、左側の走行装置5Aを操作するものであり、右側の走行レバー9Rは、右側の走行装置5Bを操作するものである。
作業装置4は、ブーム10と、バケット11と、リフトリンク12と、制御リンク13と、ブームシリンダ14と、バケットシリンダ17とを有する。ブーム10は、機体2の側方に設けられている。バケット11は、ブーム10の先端(前端)に設けられている。リフトリンク12及び制御リンク13は、ブーム10の基部(後部)を支持する。ブームシリンダ14は、ブーム10を上又は下に駆動する。
【0018】
詳しくは、リフトリンク12、制御リンク13及びブームシリンダ14は、機体2の側方に設けられている。リフトリンク12の上部は、ブーム10の基部の上部に枢支されている。リフトリンク12の下部は、機体2の後部の側部に枢支されている。制御リンク13は、リフトリンク12の前方に配置されている。制御リンク13の一端は、ブーム10の基部の下部に枢支され、他端が機体2に枢支されている。
【0019】
ブームシリンダ14は、ブーム10を昇降する油圧シリンダである。ブームシリンダ14の上部は、ブーム10の基部の前部に枢支されている。ブームシリンダ14の下部は、機体2の後部の側部に枢支されている。ブームシリンダ14を伸縮すれば、リフトリンク12及び制御リンク13によってブーム10が上下に揺動する。バケットシリンダ17は、バケット11を揺動する油圧シリンダである。バケットシリンダ17は、バケット11の左部と左のブームとの間を連結すると共に、バケット11の右部と右のブームとの間を連結する。なお、ブーム10の先端(前部)には、バケット11の代わりに、油圧圧砕機,油圧ブレーカ,アングルブルーム,オーガー,パレットフォーク,スイーパー,モア,スノウブロア等の予備アタッチメントが装着可能とされている。
【0020】
走行装置5A,5Bは、本実施形態では前輪5F及び後輪5Rを有する車輪型の走行装置5A,5Bが採用されている。なお、走行装置5A,5Bとしてクローラ型(セミクローラ型を含む)の走行装置5A,5Bを採用してもよい。
次に、スキッドステアローダ1に設けられた作業系油圧回路(作業系油圧システム)について説明する。
【0021】
作業系油圧システムは、ブーム10、バケット11、予備アタッチメント等を作動させるシステムであって、
図1に示すように、複数の制御弁20と、作業系の油圧ポンプ(第1油圧ポンプ)P1を備えている。また、第1油圧ポンプP1とは異なる第2油圧ポンプP2を備えている。
第1油圧ポンプP1は、原動機7の動力によって作動するポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第1油圧ポンプP1は、タンク(作動油タンク)15に貯留された作動油を吐出可能である。第2油圧ポンプP2は、原動機7の動力によって作動するポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第2油圧ポンプP2は、タンク(作動油タンク)15に貯留された作動油を吐出可能である。なお、第2油圧ポンプP2は、油圧システムにおいて、信号用の作動油、制御用の作動油を吐出する。信号用の作動油及び制御用の作動油のことをパイロット油という。
【0022】
複数の制御弁20は、作業機1に設けられた様々な油圧アクチュエータを制御する弁である。油圧アクチュエータとは、作動油によって作動する装置で、油圧シリンダ、油圧モータ等である。この実施形態では、複数の制御弁20は、ブーム制御弁20A、バケット制御弁20B、予備制御弁20Cである。
ブーム制御弁20Aは、ブーム10を作動する油圧アクチュエータ(ブームシリンダ)14を制御する弁である。ブーム制御弁20Aは、直動スプール形3位置切換弁である。ブーム制御弁20Aは、中立位置20a3、中立位置20a3とは異なる第1位置20a1、中立位置20a3及び第1位置20a1とは異なる第2位置20a2に切り換わる。ブーム制御弁20Aにおいて、中立位置20a3、第1位置20a1、第2位置20a2の切換は、操作部材の操作によりスプールを動かすことによって行う。なお、ブーム制御弁20Aの切換は、操作部材を手動操作することによってスプールを直接移動させることにより行っているが、スプールを油圧操作(パイロットバルブによる油圧操作、比例弁による油圧操作)で移動させてもよいし、電気操作(ソレノイドを励磁することによる電気操作)で移動させてもよいし、その他の方法で移動させてもよい。
【0023】
ブーム制御弁20Aと、第1油圧ポンプP1とは吐出油路27により接続されている。吐出油路27であって、ブーム制御弁20Aと第1油圧ポンプP1との間の区間には、作動油タンク15に繋がる排出油路24aが接続されている。排出油路24aの中途部にリリーフ弁(メインリリーフ弁)25が設けられている。第1油圧ポンプP1から吐出した作動油は、吐出油路27を通過してブーム制御弁20Aに供給される。また、ブーム制御弁20Aと、ブームシリンダ14とは、油路21で接続されている。
【0024】
詳しくは、ブームシリンダ14は、筒体14aと、筒体14aに移動自在に設けられたロッド14bと、ロッド14bに設けられたピストン14cとを備えている。筒体14aの基端部(ロッド14b側とは反対側)には、作動油を給排する第1ポート14dが設けられている。筒体14aの先端(ロッド14b側)には、作動油を給排する第2ポート14eが設けられている。
【0025】
油路21は、ブーム制御弁20Aの第1ポート31とブームシリンダ14の第1ポート14dとを接続する第1接続油路21aと、ブーム制御弁20Aの第2ポート32とブームシリンダ14の第2ポート14eとを接続する第2接続油路21bとを有している。
したがって、ブーム制御弁20Aを第1位置20a1にすれば、第1接続油路21aからブームシリンダ14の第1ポート14dに作動油を供給することができると共に、ブームシリンダ14の第2ポート14eから第2接続油路21bに作動油を排出することができる。これによって、ブームシリンダ14は伸長し、ブーム10は上昇する。ブーム制御弁20Aを第2位置20a2にすれば、第2接続油路21bからブームシリンダ14の第2ポート14eに作動油を供給することができると共に、ブームシリンダ14の第1ポート14dから第1接続油路21aに作動油を排出することができる。これによって、ブームシリンダ14は収縮し、ブーム10は下降する。
【0026】
バケット制御弁20Bは、バケット11を制御する油圧シリンダ(バケットシリンダ)17を制御する弁である。バケット制御弁20Bは、パイロット方式の直動スプール形3位置切換弁である。バケット制御弁20Bは、中立位置20b3、中立位置20b3とは異なる第1位置20b1、中立位置20b3及び第1位置20b1とは異なる第2位置20b2に切り換わる。バケット制御弁20Bにおいて、中立位置20b3、第1位置20b1及び第2位置20b2の切換は、操作部材の操作によりスプールを動かすことによって行う。なお、バケット制御弁20Bの切換は、操作部材を手動操作することによってスプールを直接移動させることにより行っているが、スプールを油圧操作(パイロットバルブによる油圧操作、比例弁による油圧操作)で移動させてもよいし、電気操作(ソレノイドを励磁することによる電気操作)で移動させてもよいし、その他の方法で移動させてもよい。
【0027】
バケット制御弁20Bと、バケットシリンダ17とは、油路22で接続されている。詳しくは、バケットシリンダ17は、筒体17aと、筒体17aに移動自在に設けられたロッド17bと、ロッド17bに設けられたピストン17cとを備えている。筒体17aの基端部(ロッド17b側とは反対側)には、作動油を給排する第1ポート17dが設けられている。筒体17aの先端(ロッド17b側)には、作動油を給排する第2ポート17eが設けられている。
【0028】
油路22は、バケット制御弁20Bの第1ポート35とバケットシリンダ17の第2ポート17eとを接続する第1接続油路22aと、バケット制御弁20Bの第2ポート36とバケットシリンダ17の第1ポート17dとを接続する第2供給路22bとを有している。
したがって、バケット制御弁20Bを第1位置20b1にすれば、第1接続油路22aからバケットシリンダ17の第2ポート17eに作動油を供給することができると共に、バケットシリンダ17の第1ポート17dから第2供給路22bに作動油を排出することができる。これによって、バケットシリンダ17は収縮し、バケット11はスクイ動作する。バケット制御弁20Bを第2位置20a2にすれば、第2供給路22bからバケットシリンダ17の第1ポート17dに作動油を供給することができると共に、バケットシリンダ17の第2ポート17eから第1接続油路22aに作動油を排出することができる。これによって、バケットシリンダ17は伸長し、ダンプ動作する。
【0029】
なお、第1接続油路22a及び第2接続油路22bには、排出油路24cが接続されていて、排出油路24cには、リリーフ弁38が設けられている。リリーフ弁38の設定圧は、例えば、メインリリーフ弁25の設定圧よりも高く設定されている。
予備制御弁20Cは、予備アタッチメントに装着された油圧アクチュエータ(油圧シリンダ、油圧モータ等)16を制御する弁である。予備制御弁20Cは、パイロット方式の直動スプール形3位置切換弁である。予備制御弁20Cは、中立位置20c3、中立位置20c3とは異なる第1位置20c1、中立位置20c3及び第1位置20c1とは異なる第2位置20c2に切り換わる。予備制御弁20Cにおいて、中立位置20c3、第1位置20c1及び第2位置20c2の切換は、パイロット油の圧力によってスプールを動かすことによって行う。予備制御弁20Cには、給排油路83a、83bを介して接続部材18が接続されている。接続部材18には、予備アタッチメントの油圧アクチュエータ16に接続された油路が接続される。
【0030】
したがって、予備制御弁20Cを第1位置20c1にすれば、給排油路83aから予備アタッチメントの油圧アクチュエータ16に作動油を供給することができる。予備制御弁20Cを第2位置20c2にすれば、給排油路83bから予備アタッチメントの油圧アクチュエータ16に作動油を供給することができる。このように、給排油路83a又は給排油路83bから油圧アクチュエータ16に作動油を供給することにより、当該油圧アクチュエータ16(予備アタッチメント)を作動させることができる。
【0031】
さて、油圧システムにおいては、シリーズ回路(シリーズ油路)が適用されている。シリーズ回路では、油圧アクチュエータから上流側の制御弁に戻った作動油が、下流側の制御弁に供給可能である。例えば、バケット制御弁20Bと、予備制御弁20Cとに着目すると、バケット制御弁20Bが上流側の制御弁であり、予備制御弁20Cが下流側の制御弁である。
【0032】
以下、上流側の制御弁を「第1制御弁」、下流側の制御弁を「第2制御弁」という。第1制御弁及び第2制御弁以外の制御弁であって第2制御弁の上流側に設けられた制御弁のことを「第3制御弁」という。
また、第1制御弁に対応する油圧アクチュエータのことを「第1油圧アクチュエータ」、第2制御弁に対応する油圧アクチュエータのことを「第2油圧アクチュエータ」、第3制御弁に対応する油圧アクチュエータのことを「第3油圧アクチュエータ」という。第1油圧アクチュエータから第1制御弁に戻る作動油である戻り油を、第2制御弁に供給する油路のことを、「第1油路」という。
【0033】
この実施形態では、バケット制御弁20Bが「第1制御弁」、予備制御弁20Cが「第2制御弁」、ブーム制御弁20Aが「第3制御弁」である。また、バケットシリンダ17が「第1油圧アクチュエータ」、予備アタッチメントの油圧アクチュエータ16が「第2油圧アクチュエータ」、ブームシリンダ14が「第3油圧アクチュエータ」である。
以下、第1制御弁、第2制御弁、第3制御弁について、詳しく説明する。
【0034】
第3制御弁20Aと第1油圧ポンプP1の吐出部とは、吐出油路27により接続されている。吐出油路27は中途部47aで分岐している。吐出油路27の分岐後の油路は、第3制御弁20Aの第1入力ポート46a及び第2入力ポート46bに接続されている。また、吐出油路27は、第3制御弁20Aの第3入力ポート46cに接続されている。したがって、第1油圧ポンプP1から吐出した作動油は、吐出油路27、第1入力ポート46a、第2入力ポート46b、第3入力ポート46cを通じて、第3制御弁20A内に供給することが可能である。第3制御弁20Aと第1制御弁20Bとは、中央油路51により接続されている。中央油路51は、第3制御弁20Aの第3出力ポート41cと、第1制御弁20Bの第3入力ポート42cとを接続している。
【0035】
さて、第3制御弁20Aを中立位置20a3にした場合、第3入力ポート46cと第3出力ポート41cとを結ぶ中央油路53cの連通によって、吐出油路27から第3制御弁20Aに供給された作動油である供給油は、当該第3制御弁20Aを通過して中央油路51に供給される。
第3制御弁20Aと第1制御弁20Bとは、中央油路51とは別に、戻り油路61により接続されている。戻り油路61は、第3油圧アクチュエータ14から第3制御弁20Aに戻る戻り油を、第3制御弁20Aを通過させて第1制御弁20Bに供給する油路である。説明の便宜上、戻り油路61のことを「第4油路」ということがある。
【0036】
戻り油路61は、第2接続油路21bと、内部油路61aと、外部油路61bとを有している。第2接続油路21bは、第3制御弁20Aの第2ポート32と、第3油圧アクチュエータ14の第2ポート14eとを接続する油路であって、第3油圧アクチュエータ14の第2ポート14eから排出された戻り油が流れる油路である。
第2接続油路21bは、排出油路24bに接続している。排出油路24bは、第2接続油路21bに接続する油路24b1と、第3制御弁20Aの第1排出ポート33a及び第2排出ポート33bに接続する油路24b2と、油路24b1及び油路24b2の合流部と作動油タンク15とを接続する油路24b3とを有している。油路24b1の中途部には、リリーフ弁37を設けている。リリーフ弁37の設定圧は、例えば、メインリリーフ弁25の設定圧よりも高く設定されている。
【0037】
内部油路61aは、第3制御弁20Aに設けられ且つ第2接続油路21bに連通する油路である。詳しくは、内部油路61aは、第3制御弁20Aを第2位置20a2にした場合に、第3制御弁20Aの第2ポート32と第3制御弁20Aの第1出力ポート41aとを接続する油路である。
外部油路61bは、内部油路61aに連通し且つ第1制御弁20Bに接続する油路である。外部油路61bは、第3制御弁20Aの第1出力ポート41aと第1制御弁20Bの第1入力ポート42aとを接続し、且つ、第3制御弁20Aの第2出力ポート41bと第1制御弁20Bの第2入力ポート42bとを接続している。外部油路61bの中途部は、中央油路51に接続されている。言い換えれば、外部油路61bと中央油路51とは途中で合流している。外部油路61bにおいて、外部油路61bと中央油路51とが合流する合流部63と、第1制御弁20Bとの間には、逆止弁29aが設けられている。逆止弁29aは、合流部63から第1制御弁20Bに作動油が流れることを許容し、且つ、第1制御弁20Bから合流部63に作動油が流れることを阻止する。
【0038】
また、外部油路61bにおいて、合流部63と、第3制御弁20Aとの間には、逆止弁64が設けられている。逆止弁64は、第3制御弁20Aから合流部63に作動油が流れることを許容し、且つ、合流部63から第3制御弁20Aに作動油が流れることを阻止する。
第1制御弁20Bと第2制御弁20Cとは、中央油路(第2油路)72により接続されている。中央油路72は、第1制御弁20Bの第3出力ポート43cと、第2制御弁20Cの第3入力ポート44cとを接続している。したがって、第1制御弁20Bを中立位置20b3にした場合、第1制御弁20Bに供給された作動油である供給油は、第3入力ポート42cと第3出力ポート43cとを結ぶ中央油路73cを通って、第3出力ポート43cに接続された中央油路72に供給される。
【0039】
第1制御弁20Bと第2制御弁20Cとは、中央油路72とは別に、第1油路81により接続されている。第1油路81は、第1油圧アクチュエータ17から第1制御弁20Bに戻る戻り油を、第1制御弁20Bを通過させて第2制御弁20Cに供給する油路である。
第1油路81は、油路(第1接続油路)22aと、内部油路81aと、外部油路81bとを有している。第1接続油路22aは、第1制御弁20Bの第1ポート35と、第1油圧アクチュエータ17の第2ポート17eとを接続する油路であって、第2ポート17eから排出された戻り油が流れる油路である。
【0040】
なお、油路(第2接続油路)22bは、排出油路24bに接続している。排出油路24bは、第2接続油路22bに接続する油路24b4と、第1制御弁20Bの第1排出ポート34a及び第2排出ポート34bに接続する油路24b5と、油路24b4及び油路24b5の合流部と作動油タンク15とを接続する油路24b3とを有している。
内部油路81aは、第1制御弁20Bに設けられ且つ第1接続油路22aに連通する油路である。詳しくは、内部油路81aは、第1制御弁20Bを第2位置20b2にした場合に、第1制御弁20Bの第2ポート36と第1制御弁20Bの第1出力ポート43aとを接続する油路である。
【0041】
外部油路81bは、内部油路81aに連通し且つ第2制御弁20Cに接続する油路である。外部油路81bは、第1制御弁20Bの第1出力ポート43aと第2制御弁20Cの第1入力ポート44aとを接続し、且つ、第1制御弁20Bの第2出力ポート43bと第2制御弁20Cの第2入力ポート44bとを接続している。外部油路81bの中途部は、中央油路73cに接続されている。言い換えれば、外部油路81bと中央油路73cとは途中で合流している。外部油路81bにおいて、外部油路81bと中央油路73cとが合流する合流部93と、第2制御弁20Cとの間には、逆止弁29bが設けられている。逆止弁29bは、合流部93から第2制御弁20Cに作動油が流れることを許容し、且つ、第2制御弁20Cから合流部93に作動油が流れることを阻止する。
【0042】
また、外部油路81bにおいて、合流部93と、第1制御弁20Bとの間には、逆止弁94が設けられている。逆止弁94は、第1制御弁20Bから合流部93に作動油が流れることを許容し、且つ、合流部93から第1制御弁20Bに作動油が流れることを阻止する。
以上によれば、第1制御弁20Bを側方位置である第2位置20b2にした場合、第2入力ポート42bに供給油が供給され、供給油は第2接続油路22bを通って、第1油圧アクチュエータ17に供給される。一方、第1制御弁20Bを第2位置20b2にした場合、第1油圧アクチュエータ17の第2ポート17eから排出された戻り油は、第1油路81、即ち、第1接続油路22a、内部油路81a及び外部油路81bを通って、第2制御弁20Cに向けて流れる。
【0043】
さて、作業機の油圧システムは、
油路90を含んだ第3油路を備えている。第3油
路は、第1油路81を通って、第1制御弁20Bから第2制御弁20Cに向けて流れる戻り油を、再び第1制御弁20Bに戻す油路である。具体的には、第3油
路は、第1制御弁20Bの第1出力ポート43aから排出されて外部油路81bを流れる戻り油を、第1制御弁20Bの入力ポート(第1入力ポート42a、第2入力ポート42b)に戻す油路である。
【0044】
例えば
、油路90は、第1制御弁20Bが側方位置の1つである第2位置20b2である場合に、第1制御弁20Bの第3出力ポート43cと、第1制御弁20Bの第3入力ポート42cとを接続する油路である。言い換えれば、第1制御弁20Bの第2位置20b2である場合は
、油路90と第2油路72とが接続される
。油路90には、作動油の流量を低減する絞り部91を設けることが好ましい。
【0045】
以上によれば、第1制御弁20Bを側方位置である第2位置20b2にした場合、第2入力ポート42bに供給油が供給され、供給油は第2接続油路22bを通って、第1油圧アクチュエータ17に供給される。一方、第1制御弁20Bを第2位置20b2にした場合、第1油圧アクチュエータ17の第2ポート17eから排出された戻り油は、内部油路81a及び外部油路81bを通って、第2制御弁20Cに向けて流れる。
【0046】
戻り油が第1油路81を通り、且つ、予備制御弁20Cが第1位置20c1又は第2位置20c2に切り換わることにより、予備アタッチメントの油圧アクチュエータ16が作動している状況下において、当該油圧アクチュエータ16が外力によって動かなくなったり、当該油圧アクチュエータ16が油圧シリンダの場合に終端部(エンド)まで達して動かなくなったり、或いは、作動油が供給されなくなった場合等について考える。言い換えれば、戻り油が第1油路81を通り、且つ、予備制御弁20Cの第1入力ポート44aと第2入力ポート44bとに作動油が導入されない場合について考える。
【0047】
このような状況下において
、油路90が第1制御弁20B
の内部に設けられていない場合、第1油路81の戻り油は行き場が無いため、当該第1油路81に連通する第1油圧アクチュエータ17のボトム側の圧力が上昇する。第1油圧アクチュエータ17のボトム側の圧力が上昇した場合、当該第1油圧アクチュエータ17のロッド側の圧力も高くなる。第1油圧アクチュエータ17の内部において、ボトム側とロッド側との断面積を比べた場合、ボトム側の断面積がロッド側の断面積よりも大きい。その結果、第1油圧アクチュエータ17のボトム側の圧力上昇によって、当該第1油圧アクチュエータ17が伸長した場合は、ロッド側の圧力上昇は比較的大きくなる。例えば、第1油圧アクチュエータ17と第3油圧アクチュエータ14とを複合操作した場合に、上述したような状況が生じると、第1油圧アクチュエータ17の動作が遅くなる場合がある。
【0048】
一方、
第1制御弁20Bの内部に油路90がある場合において、予備制御弁20Cの第1入力ポート44aと第2入力ポート44bとに作動油が導入されないときは、第1油路81の戻り油は、合流部93を通って第2油路72に流れる。第2油路72に流れた戻り油は、合流部63を通って入力ポート(第1入力ポート42a、第2入力ポート42b)に戻る。これにより、第1油路81の戻り油が、第2油路72及
び油路90を経由して、再び第1制御弁20Bに戻るため、第1油圧アクチュエータ17をスムーズに作動させることができる。
【0049】
つまり、第1油圧アクチュエータ17のロッド側の戻り油を、第1油圧アクチュエータ17のボトム側に戻すことができるため、第1油圧アクチュエータ17の伸長時の速度を向上させることができる。
特に、第1油圧アクチュエータ(バケットシリンダ)17と、第3油圧アクチュエータ(ブームシリンダ)14とを複合操作した場合、例えば、ブームシリンダ17を伸長し且つバケットシリンダ14を伸長した場合(ブーム14を上昇させながらバケットシリンダ14をダンプした場合)は、バケット11のダンプを迅速に行うことができる。
【0050】
なお、
図1に示すように、作業機の油圧システムは、内部油路61cから分岐した排出油路70を備えていてもよい。内部油路61cは、第3制御弁20Aが第1位置20a1である場合に第1ポート31と第2出力ポート41bとを接続する油路である。排出油路70は、第1制御弁20Aが第1位置20a1である場合、第1排出ポート33aに連通する油路である。排出油路70には、作動油の流量を低減する絞り部71が設けられている。絞り部71は、例えば、排出油路70の一部を他の部分よりも細くすることにより構成されている。言い換えれば、排出油路70において作動油が流れる部分の断面積を他の部分よりも小さくすることにより構成されている。
【0051】
したがって、排出油路70によって戻り油の一部を排出しているため、第3油圧アクチュエータ14をスムーズに作動させることができる。なお、絞り部71の構成は、前述した例に限定されない。
また、
図2に示すように、作業機の油圧システムは、圧力上昇部130を備えていてもよい。圧力上昇部130は、第1油路81の圧力を上昇させる部分である。言い換えれば、第1油路81に繋がる油路(中央油路75、中央油路72、油路24b3、油路24b7)の圧力を上昇させることで、第1油路81の圧力を上昇させる。中央油路75は、第2制御弁20Cに接続し且つ中央油路72に連通する油路である。中央油路75と油路24b3とは合流部76で合流している。油路24b7は、合流部76と作動油タンク15等を接続している。
【0052】
圧力上昇部130は、逆止弁19c、オイルクーラ28等である。なお、圧力上昇部130は、排出油路24bの圧力を上昇させるものであれば何でもよく、リリーフ弁、絞り部(絞り弁)、チョーク弁であってもよい。
詳しくは、逆止弁19cは、排出油路24bの油路24b7の中途部に接続している。逆止弁19cは、作動油が作動油タンク15に向けて流れることを許容し且つ作動油が中央油路75に向けて流れるのを阻止する弁である。逆止弁19cは差圧を設定する設定部材19c1を有している。設定部材19c1はスプリング等で構成されていて、作動油の流れを許容する方向と反対側(阻止する方向)から弁体を所定の付勢力で押すことによって差圧を生じさせる。逆止弁19cによれば、油路24b7において、当該逆止弁19cの入側から合流部76に至る上流側の作動油の圧力を上昇させることが可能である。
【0053】
したがって、第1制御弁20Bを第2位置20b2にした場合において、逆止弁19cによって、中央油路75及び中央油路72の作動油の圧力を上昇させることができるため、合流部93を介して中央油路72に繋がる第1油路81の全体の圧力を上昇させることができる。つまり、戻り油を流す第1油路81の圧力を上昇させることができるため、合流部93を介して中央油路72に作用する戻り油を
、油路90に流れ易くすることができる。
【0054】
オイルクーラ28は、排出油路24bの中途部に設けられている。排出油路24b3から排出された作動油はオイルクーラ28の流入ポート28aに流入する。オイルクーラ28の流入ポート28aとは異なる排出ポート28bは、作動油タンク15と接続されている。したがって、第1制御弁20Bを第2位置20b2にした場合において、逆止弁19cと同様にオイルクーラ28の場合も中央油路75及び中央油路72の作動油の圧力を上昇させることができる。その結果、合流部93を介して中央油路72に作用する戻り油が
、油路90に流れ易くなる
。油路90を通過した戻り油は、第3入力ポート42cを通過した後、合流部63を通り、第1入力ポート42a及び第2入力ポート42bに導入される。
【0055】
図3は、上述した作業機の油圧システムの変形例を示している。この変形例では、ブーム制御弁20Aが「第1制御弁」、バケット制御弁20Bが「第2制御弁」、予備制御弁20Cが「第3制御弁」である。また、ブームシリンダ14が「第1油圧アクチュエータ」、バケットシリンダ17が「第2油圧アクチュエータ」、予備アタッチメントの油圧アクチュエータ16が「第3油圧アクチュエータ」である。また、変形例では、第1油路は、戻り油路61である。即ち、変形例の場合、戻り油(第1油路)61は、第2接続油路21bと、内部油路61cと、外部油路61bとを有している。第2油路は、中央油路51である。第3油路は、油路190を
含んでいる。
【0056】
油
路190は、戻り油(第1油路)61を通って、第1制御弁20Aから第2制御弁20Bに向けて流れる戻り油を、再び第1制御弁20Aに戻す油路である。具体的には、油路190は、第1制御弁20Aの第2出力ポート41bから排出されて外部油路61bを流れる戻り油を、第1制御弁20Aの入力ポート(第1入力ポート46a)に戻す油路である。
【0057】
例えば、油路190は、第1制御弁20Aが側方位置の1つである第1位置20a1である場合に、第1制御弁20Aの第3出力ポート41cと、第1制御弁20Aの第3入力ポート46cとを接続する油路である。言い換えれば、第1制御弁20Aの第1位置20a1である場合は、油路190と中央油路(第2油路)51とが接続される。油路190には、作動油の流量を低減する絞り部191を設けることが好ましい。
【0058】
以上によれば、第1制御弁20Aを側方位置である第1位置20a1にした場合、第1入力ポート46aに供給油が供給され、供給油は第1接続油路21aを通って、第1油圧アクチュエータ14に供給される。また、第1制御弁20Aを第1位置20a1にした場合、第1油圧アクチュエータ14の第2ポート14eから排出された戻り油は、戻り油路(第1油路)61、即ち、第2接続油路21b、内部油路61c及び外部油路61bを通って、第2制御弁20Bに向けて流れる。外部油路61bに流れた戻り油は、合流部63を通過した後、中央油路(第2油路)51に流れ、第3入力ポート41cに導入される。第3入力ポート41cに導入された戻り油は、油
路190に流れて、入力ポート(第1入力ポート46a)に戻る。入力ポート(第1入力ポート46a)に戻った戻り油は、吐出油路27を経由して第1入力ポート46a及び第2入力ポート46bに導入される。これにより、戻り油路(第1油路)61の戻り油が、中央油路(第2油路)51及び油
路190を経由して、再び第1制御弁20Aに戻るため、第1油圧アクチュエータ14をスムーズに作動させることができる。
【0059】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。第1制御弁及び第2制御弁は上述した実施形態に限定されず、作業機に設けられた制御弁であれば何でもよい
上述した実施形態では、作動油の排出は、作動油タンクにしていたが、その他の場所であってもよい。即ち、作動油を排出するための油路は、作動油タンク以外に接続されていてもよく、例えば、油圧ポンプの吸込部(作動油を吸い込む部分)に接続してもよいし、その他の個所に接続してもよい。
【0060】
上述した実施形態では、制御弁は、3位置切換弁であったが、切換の位置の数は限定されず、2位置切換弁であっても、4位置切換弁であっても、その他の切換弁であってもよい。上述した実施形態では、油圧ポンプは定容量ポンプであったが、例えば、斜板の変更によって吐出量が変化する可変容量ポンプであっても、その他の油圧ポンプであってもよい。
【0061】
また、第1油圧アクチュエータ、第2油圧アクチュエータ、第3油圧アクチュエータ、第1制御弁、第2制御弁、第3制御弁は、上述した実施形態に限定されず、作業機1に設けられるものであればよい。
また、上述したように、圧力上昇部130を備えた油圧システム(油圧回路)にあっては
、油路90、190は、複数の制御弁20のうち最下流の制御弁に設けてもよい。