【実施例】
【0035】
(実施例1)
本実施例は、3人のパネラー全てが強く認めるタバコなどによる悪臭がある乗用車(テスラ社製モデルS)内でエアコンを「中」で動作させることによる空気循環雰囲気下において、A剤とB剤との接触によるClO
2ガス(二酸化塩素ガス、以下同じ)の発生ならびに発生したClO
2ガスとC剤との接触によるClO
2ガスの消滅を行なったものである。
【0036】
1.ClO
2ガス発生消滅用キットの作製
A剤として25質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液10gと、B剤として10質量%の塩酸水溶液17gと、C剤として2.5質量%のエリソルビン酸ナトリウム水溶液300gと、を準備した。C剤を300gとしたのは、トリガー式噴霧器に入れて噴霧させるためであり、ClO
2ガスを消滅させてその濃度を0.1ppm以下にするのに必要なC剤の量は後述のように極めて少量であった。
【0037】
2.A剤とB剤との接触によるClO
2ガスの発生
底面が58mm×58mmで開口面が83mm×83mmで高さが30mmの逆正四角錐台形状のPET(ポリエチレンテレフタレート)製容器内で、A剤の全量とB剤の全量とを混合させることにより接触させてClO
2ガスを発生させた。A剤とB剤との混合により接触させた時からの経過時間と上記乗用車内のClO
2ガスの濃度を表1にまとめた。ClO
2ガスの濃度は、1.0ppm以上の濃度について北川式検知管を用いて測定し、1.0ppm未満の濃度についてはガステック低濃度検知管のNo.23MまたはNo.23Lを用いて測定した。ClO
2ガスの濃度測定は、上記乗用車内の気密性を確保した状態で上記の検知管の測定部を上記乗用車内に挿入することにより行った。
【0038】
3.発生したClO
2ガスとC剤との接触によるClO
2ガスの消滅
上記のA剤とB剤との混合により接触させた時から90分間経過時にClO
2ガス濃度を測定した後に、発生したClO
2ガスが残存している上記乗用車内から接触後のA剤およびB剤を取出すとともに、トリガー式噴霧器に入れたC剤を上記乗用車内で5回(全体で4.75g)噴霧した。上記のA剤とB剤との混合により接触させた時から95分間経過後(すなわちC剤の噴霧時から5分間経過後)における乗用車内のClO
2ガス濃度を表1に示した。表1に示すように、このときのClO
2ガスの濃度は、0.05ppmであり、米国の労働安全衛生局(OSHA)が設定する8時間暴露(PEL−TWA)における許容暴露濃度である0.1ppm以下であった。このとき、上記乗用車内のClO
2ガスによる刺激臭は、3人のパネラー全てがごくわずかに認めるが不快を感じない程度まで低減していた。また、このとき、乗用車内のタバコなどによる悪臭は、3人のパネラー全てが認めず、消失していた。なお、エアコンのドレイン臭についても、3人のパネラー全てが認めず、消失していた。
【0039】
【表1】
【0040】
(実施例2)
本実施例は、3人のパネラー全てが強く認めるタバコなどによる悪臭がある乗用車(トヨタ社製アクア)内でエアコンを「中(表示値24)」で動作させることによる空気循環雰囲気下において、A剤とB剤との接触によるClO
2ガスの発生ならびに発生したClO
2ガスとC剤との接触によるClO
2ガスの消滅を行なったものである。
【0041】
1.ClO
2ガス発生消滅用キットの作製
A剤として25質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液10gと、B剤として10質量%の塩酸水溶液17gと、C剤として2.5質量%のL−アスコルビン酸水溶液300gと、を準備した。ここで、C剤を300gとしたのは、トリガー式噴霧器に入れて噴霧させるためであり、ClO
2ガスを消滅させてその濃度を0.1ppm以下にするのに必要なC剤の量は後述のように極めて少量であった。
【0042】
2.A剤とB剤との接触によるClO
2ガスの発生
実施例1と同じ形状および大きさのPET製容器内で、A剤の全量とB剤の全量とを混合させることにより接触させてClO
2ガスを発生させた。A剤とB剤との混合により接触させた時からの経過時間と上記乗用車内のClO
2ガスの濃度を表2にまとめた。ClO
2ガスの濃度は、1.0ppm以上の濃度について北川式検知管を用いて測定し、1.0ppm未満の濃度についてはガステック低濃度検知管のNo.23MまたはNo.23Lを用いて測定した。ClO
2ガスの濃度測定は、上記乗用車内の気密性を確保した状態で上記の検知管の測定部を上記乗用車内に挿入することにより行った。
【0043】
3.発生したClO
2ガスとC剤との接触によるClO
2ガスの消滅
上記のA剤とB剤との混合により接触させた時から90分間経過時にClO
2ガス濃度を測定した後に、発生したClO
2ガスが残存している上記乗用車内から接触後のA剤およびB剤を取出すとともに、トリガー式噴霧器に入れたC剤を上記乗用車内で5回(全体で4.75g)噴霧した。上記のA剤とB剤との混合により接触させた時から95分間経過後(すなわちC剤の噴霧時から5分間経過後)における上記乗用車内のClO
2ガス濃度を表2に示した。表2に示すように、このときのClO
2ガスの濃度は、0.05ppmであり、米国の労働安全衛生局(OSHA)が設定する8時間暴露(PEL−TWA)における許容暴露濃度である0.1ppm以下であった。このとき、上記乗用車内のClO
2ガスによる刺激臭は、3人のパネラー全てがごくわずかに認めるが不快を感じない程度まで低減していた。また、このとき、上記乗用車内のタバコなどによる悪臭は、3人のパネラー全てが認めず、消失していた。なお、エアコンのドレイン臭についても、3人のパネラー全てが認めず、消失していた。
【0044】
【表2】
【0045】
(実施例3)
本実施例は、3人のパネラー全てが強く認めるホルムアルデヒドによる悪臭がある6畳室(容量21.7m
3:2.93m×3.37m×2.2m)内において、A剤とB剤との接触によるClO
2ガスの発生ならびに発生したClO
2ガスとC剤との接触によるClO
2ガスの消滅を行なったものである。
【0046】
1.ClO
2ガス発生消滅用キットの作製
A剤として25質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液18gと、B剤として30質量%のクエン酸水溶液30gと、C剤として2.5質量%のエリソルビン酸ナトリウム水溶液300gと、を準備した。C剤を300gとしたのは、トリガー式噴霧器に入れて噴霧させるためであり、ClO
2ガスを消滅させてその濃度を0.1ppm以下にするのに必要なC剤の量は後述のように少量であった。
【0047】
2.A剤とB剤との接触によるClO
2ガスの発生
実施例1と同じ形状および大きさのPET製容器内で、A剤の全量とB剤の全量とを混合させることにより接触させてClO
2ガスを発生させた。A剤とB剤との混合により接触させた時からの経過時間と6畳室内のClO
2ガスの濃度を表3にまとめた。ClO
2ガスの濃度は、1.0ppm以上の濃度について北川式検知管を用いて測定し、1.0ppm未満の濃度についてはガステック低濃度検知管のNo.23MまたはNo.23Lを用いて測定した。
【0048】
3.発生したClO
2ガスとC剤との接触によるClO
2ガスの消滅
上記のA剤とB剤との混合により接触させた時から6.25時間経過後に、発生したClO
2ガスが残存している上記6畳室内から接触後のA剤およびB剤を取出すとともに、トリガー式噴霧器に入れたC剤を上記6畳室内で35回(全体で33.25g)噴霧した(C剤の1次噴霧という、以下同じ)。ここで、C剤の1次噴霧は以下の要領で行なった。上記6畳室内を、出入口ドアから奥に向かって、それぞれ同じ大きさの領域の表領域、中領域、および奥領域に分けて、奥領域の表側から奥側に向けて均一に広がるように15回それぞれ異なる場所で噴霧し、中領域の表側から奥側に向けて均一に広がるように10回それぞれ異なる場所で噴霧し、表領域の奥側から表側に向けて均一に広がるように10回それぞれ異なる場所で噴霧した。上記のA剤とB剤との混合により接触させた時から7.25時間経過後(すなわちC剤の1次噴霧時から1時間経過後)における上記6畳室内のClO
2ガス濃度は、表3に示すように、0.75ppmに低減した。
【0049】
次に、A剤とB剤との混合により接触させた時から7.5時間経過後に、上記C剤を上記6畳室内で10回(全体で9.5g)噴霧した(C剤の2次噴霧という、以下同じ)。ここで、C剤の2次噴霧は、上記奥領域の表側から奥側に向けて均一に広がるように4回それぞれ異なる場所で噴霧し、中領域の表側から奥側に向けて均一に広がるように3回それぞれ異なる場所で噴霧し、表領域の奥側から表側に向けて均一に広がるように3回それぞれ異なる場所で噴霧した。上記のA剤とB剤との混合により接触させた時から8.5時間経過後(すなわちC剤の2次噴霧時から1時間経過後)における上記6畳室内のClO
2ガス濃度は、表3に示すように、0.10ppmに低減し、米国の労働安全衛生局(OSHA)が設定する8時間暴露(PEL−TWA)における許容暴露濃度の上限である0.1ppmmまで低減した。
【0050】
さらに、A剤とB剤との混合により接触させた時から8.75時間経過後に、上記C剤を上記6畳室内でC剤を2回(全体で1.9g)噴霧した(C剤の3次噴霧という、以下同じ)。ここで、C剤の3次噴霧は以下の要領で行なった。上記6畳室内を、出入口ドアから奥に向かって、それぞれ同じ大きさの領域の表側領域および奥側領域に分けて、奥側領域の表側から奥側に向けて1回噴霧し、表側領域の奥側から表側に向けて1回噴霧した。上記のA剤とB剤との混合により接触させた時から9.0時間経過後(すなわちC剤の3次噴霧時から0.25時間経過後)における上記6畳室内のClO
2ガス濃度は、表3に示すように、0.05ppmに低減し、米国の労働安全衛生局(OSHA)が設定する8時間暴露(PEL−TWA)における許容暴露濃度である0.1ppm以下であった。このとき、上記6畳室内のClO
2ガスによる刺激臭は、3人のパネラーが全てがごくわずかに認めるが不快を感じない程度まで低減していた。また、このとき、上記6畳室内のホルムアルデヒドによる悪臭は、3人のパネラー全てが認めず、消失していた。なお、エアコンのドレイン臭についても、3人のパネラー全てが認めず、消失していた。
【0051】
【表3】
【0052】
(実施例4)
本実施例は、3人のパネラー全てが強く認めるホルムアルデヒドによる悪臭がある6畳室(容量21.7m
3:2.93m×3.37m×2.2m)内において、A剤とB剤との接触によるClO
2ガスの発生ならびに発生したClO
2ガスとC剤との接触によるClO
2ガスの消滅を行なったものである。
【0053】
1.ClO
2ガス発生消滅用キットの作製
A剤として25質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液18gと、B剤として30質量%のクエン酸水溶液30gと、C剤として3.0質量/体積%(w/v%とも表記する。100mLの水溶液中に3gの過酸化水素が存在する濃度をいう)の過酸化水素水溶液(健栄製薬社製オキシドール)300gと、を準備した。C剤を300gとしたのは、トリガー式噴霧器に入れて噴霧させるためであり、ClO
2ガスを消滅させてその濃度を0.1ppm以下にするのに必要なC剤の量は後述のように極めて少量であった。
【0054】
2.A剤とB剤との接触によるClO
2ガスの発生
実施例1と同じ形状および大きさのPET製容器内で、A剤の全量とB剤の全量とを混合させることにより接触させてClO
2ガスを発生させた。A剤とB剤との混合により接触させた時からの経過時間と6畳室内のClO
2ガスの濃度を表4にまとめた。ClO
2ガスの濃度は、1.0ppm以上の濃度について北川式検知管を用いて測定し、1.0ppm未満の濃度についてはガステック低濃度検知管のNo.23MまたはNo.23Lを用いて測定した。
【0055】
3.発生したClO
2ガスとC剤との接触によるClO
2ガスの消滅
上記のA剤とB剤との混合により接触させた時から6.33時間経過後に、発生したClO
2ガスが残存している上記6畳室内から接触後のA剤およびB剤を取出すとともに、トリガー式噴霧器に入れたC剤を上記6畳室内で35回(全体で25.9g)噴霧した(C剤の1次噴霧という、以下同じ)。ここで、C剤の1次噴霧は以下の要領で行なった。上記6畳室内を、出入口ドアから奥に向かって、それぞれ同じ大きさの領域の表領域、中領域、および奥領域に分けて、奥領域の表側から奥側に向けて均一に広がるように15回それぞれ異なる場所で噴霧し、中領域の表側から奥側に向けて均一に広がるように10回それぞれ異なる場所で噴霧し、表領域の奥側から表側に向けて均一に広がるように10回それぞれ異なる場所で噴霧した。上記のA剤とB剤との混合により接触させた時から7.35時間経過後(すなわちC剤の1次噴霧時から1.02時間経過後)における上記6畳室内のClO
2ガス濃度は、表4に示すように、1.40ppmに低減した。
【0056】
次に、A剤とB剤との混合により接触させた時から7.75時間経過後に、上記C剤を上記6畳室内で10回(全体で7.4g)噴霧した(C剤の2次噴霧という、以下同じ)。ここで、C剤の2次噴霧は、上記奥領域の表側から奥側に向けて均一に広がるように4回それぞれ異なる場所で噴霧し、中領域の表側から奥側に向けて均一に広がるように3回それぞれ異なる場所で噴霧し、表領域の奥側から表側に向けて均一に広がるように3回それぞれ異なる場所で噴霧した。上記のA剤とB剤との混合により接触させた時から8.85時間経過後(すなわちC剤の2次噴霧時から1.1時間経過後)における上記6畳室内のClO
2ガス濃度は、表4に示すように、0.55ppmに低減した。
【0057】
さらに、A剤とB剤との混合により接触させた時から9.0時間経過後に、上記C剤を上記6畳室内で10回(全体で7.4g)噴霧した(C剤の3次噴霧という、以下同じ)。ここで、C剤の3次噴霧は、記奥領域の表側から奥側に向けて均一に広がるように4回それぞれ異なる場所で噴霧し、中領域の表側から奥側に向けて均一に広がるように3回それぞれ異なる場所で噴霧し、表領域の奥側から表側に向けて均一に広がるように3回それぞれ異なる場所で噴霧した。上記のA剤とB剤との混合により接触させた時から10.0時間経過後(すなわちC剤の3次噴霧時から1.0時間経過後)における上記6畳室内のClO
2ガス濃度は、表4に示すように、0.23ppmに低減した。
【0058】
さらに、A剤とB剤との混合により接触させた時から10.05時間経過後に、上記C上記6畳室内でC剤を10回(全体で7.4g)噴霧した(C剤の4次噴霧という、以下同じ)。ここで、C剤の4次噴霧は、記奥領域の表側から奥側に向けて均一に広がるように4回それぞれ異なる場所で噴霧し、中領域の表側から奥側に向けて均一に広がるように3回それぞれ異なる場所で噴霧し、表領域の奥側から表側に向けて均一に広がるように3回それぞれ異なる場所で噴霧した。上記のA剤とB剤との混合により接触させた時から11.0時間経過後(すなわちC剤の4次噴霧時から0.95時間経過後)における上記6畳室内のClO
2ガス濃度は、表4に示すように、0.05ppmに低減し、米国の労働安全衛生局(OSHA)が設定する8時間暴露(PEL−TWA)における許容暴露濃度である0.1ppm以下であった。このとき、上記6畳室内のClO
2ガスによる刺激臭は、3人のパネラーが全てがごくわずかに認めるが不快を感じない程度まで低減していた。また、このとき、上記6畳室内のホルムアルデヒドによる悪臭は、3人のパネラー全てが認めず、消失していた。なお、エアコンのドレイン臭についても、3人のパネラー全てが認めず、消失していた。
【0059】
【表4】
【0060】
実施例1−4について表1−4のそれぞれに示すように、亜塩素酸塩を含むA剤と、ガス発生剤を含むB剤と、二酸化塩素還元剤を含むC剤と、で構成され、A剤とB剤とを接触させることによりClO
2ガスを発生させ、ClO
2ガスに、C剤を接触させることによりClO
2ガスを消滅させるClO
2ガス発生消滅用キット、ならびに、亜塩素酸塩を含むA剤とガス発生剤を含むB剤とを接触させることによりClO
2ガスを発生させるガス発生工程と、ClO
2ガスに二酸化塩素還元剤を含むC剤を接触させることによりClO
2ガスを消滅させるガス消滅工程と、を備えるClO
2ガスの発生消滅方法によれば、発生させたClO
2ガスを使用後に消滅させることにより、使用後のClO
2ガスによる刺激臭を低減できる。このため、ClO
2ガスの使用後は人の退避などの問題がなく、人が多く集まる室内および自動車内などであっても、花粉、塵、皮屑、真菌などのアレルギー誘発物質の処理、病原菌、ウイルス、有害化学物質(たとえば、タバコ煙、ホルムアルデヒド)などの有害物質の処理、環境浄化、脱臭、防カビおよび防腐などの処理にClO
2ガスを広く使用することができる。
【0061】
上記実施例1−4に示すように、発生したClO
2ガスにC剤を接触させることにより、ClO
2ガスを消滅させて、ClO
2ガスによる刺激臭を低減することができた。
【0062】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。