特許第6961552号(P6961552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961552情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法、および情報提供プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961552
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法、および情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   G01C21/34
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-154256(P2018-154256)
(22)【出願日】2018年8月20日
(65)【公開番号】特開2020-30062(P2020-30062A)
(43)【公開日】2020年2月27日
【審査請求日】2020年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽田野 真由美
(72)【発明者】
【氏名】坪内 孝太
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 晃輔
【審査官】 小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−073981(JP,A)
【文献】 特開2012−233725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36、23/00−25/00
G08G 1/00−99/00
G09B 23/00−29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路案内を行うナビゲーションプログラムによって提供されるサービスに対するユーザの行動情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得される前記行動情報に基づいて、前記サービスに対する前記ユーザの従順度を判定する判定部と、
前記判定部によって判定される前記従順度に応じた情報を前記ユーザへ提供する提供部と
を備え
前記判定部は、
前記経路案内された経路が前記ユーザにとって走行が不得意な経路である場合に、前記ユーザが前記経路案内に従わなくても前記従順度を低下させない
ことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記取得部は、
前記サービスに対する前記ユーザ以外の他ユーザの行動情報をさらに取得し、
前記判定部は、
前記他ユーザの行動情報に基づいて、前記従順度を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記他ユーザの行動情報に基づいて、前記他ユーザが前記経路案内に従ったか否かを判定し、判定結果から前記従順度を判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記他ユーザが前記経路案内に従っていて、前記ユーザが前記経路案内に従っていなかった場合、前記ユーザが前記経路案内に従わなかったのか、従えなかったのかを判定し、判定結果から前記従順度を判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記取得部は、
前記ユーザによる前記ナビゲーションプログラムの利用時間帯を取得し、
前記判定部は、
前記取得部によって取得される前記利用時間帯に応じて前記従順度を判定する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記判定部は、
前記取得部によって取得される利用時間帯が所定の条件を満たす時間帯である場合、前記ユーザが前記経路案内に従わなくても前記従順度を低下させない
ことを特徴とする請求項5に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記取得部は、
前記ユーザによって前記経路案内の目的地として設定される場所を取得し、
前記判定部は、
前記取得部によって取得される場所に応じて前記従順度を判定する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記判定部は、
前記取得部によって取得される場所が所定の条件を満たす場所である場合、前記ユーザが前記経路案内に従わなくても前記従順度を低下させない
ことを特徴とする請求項7に記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記取得部は、
前記経路案内が行われる経路の渋滞情報を取得し、
前記提供部は、
前記ユーザの前記従順度が所定の閾値以上である場合に、前記取得部によって取得される渋滞情報に基づいて、渋滞区間を迂回する経路の情報を前記ユーザへ提供する
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の情報提供装置。
【請求項10】
前記取得部は、
前記経路案内が行われる経路の渋滞情報を取得し、
前記提供部は、
前記ユーザの前記従順度が所定の閾値以上である場合に、前記取得部によって取得される渋滞情報に基づいて、渋滞が発生しやすい区間を特定し、特定した前記区間を迂回する経路の情報を前記ユーザへ提供する
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の情報提供装置。
【請求項11】
前記取得部は、
前記経路案内が行われる経路の渋滞情報を取得し、
前記提供部は、
前記ユーザの前記従順度が所定の閾値以上である場合に、前記取得部によって取得される渋滞情報に基づいて、渋滞区間へ誘導する経路の情報を前記ユーザへ提供する
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の情報提供装置。
【請求項12】
前記取得部は、
前記経路案内が行われる経路の渋滞情報を取得し、
前記提供部は、
前記ユーザの前記従順度が所定の閾値以上である場合に、前記取得部によって取得される渋滞情報に基づいて、渋滞が発生しやすい区間を特定し、特定した前記区間へ誘導する経路の情報を前記ユーザへ提供する
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の情報提供装置。
【請求項13】
経路案内を行うナビゲーションプログラムによって提供されるサービスに対するユーザの行動情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得される前記行動情報に基づいて、前記サービスに対する前記ユーザの従順度を判定する判定部と
を備え
前記判定部は、
前記経路案内された経路が前記ユーザにとって走行が不得意な経路である場合に、前記ユーザが前記経路案内に従わなくても前記従順度を低下させない判定装置と、
前記判定装置の前記判定部によって判定される前記従順度に応じた情報を前記ユーザへ提供する提供部
を備える端末装置と
を含むことを特徴とする情報提供システム。
【請求項14】
コンピュータが実行する情報提供方法であって、
経路案内を行うナビゲーションプログラムによって提供されるサービスに対するユーザの行動情報を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得される前記行動情報に基づいて、前記サービスに対するユーザの従順度を判定する判定工程と、
前記判定工程によって判定される前記従順度に応じた情報を前記ユーザへ提供する提供工程と
を含み、
前記判定工程は、
前記経路案内された経路が前記ユーザにとって走行が不得意な経路である場合に、前記ユーザが前記経路案内に従わなくても前記従順度を低下させない
ことを特徴とする情報提供方法。
【請求項15】
経路案内を行うナビゲーションプログラムによって提供されるサービスに対するユーザの行動情報を取得する取得手順と、
前記取得手順によって取得される前記行動情報に基づいて、前記サービスに対するユーザの従順度を判定する判定手順と、
前記判定手順によって判定される前記従順度に応じた情報を前記ユーザへ提供する提供手順と
をコンピュータに実行させ
前記判定手順は、
前記経路案内された経路が前記ユーザにとって走行が不得意な経路である場合に、前記ユーザが前記経路案内に従わなくても前記従順度を低下させない
ことを特徴とする情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法、および情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザによって目的地が入力される場合に、現在地から目的地までの最短経路の情報を提供するナビゲーション装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−213765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ナビゲーション装置のユーザは、それぞれの気性、性格、および運転技量等の特性が異なるため、必ずしも現在地から目的地までの最短経路の情報を望まない場合がある。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、ナビゲーション装置のユーザへユーザの特性に応じた情報を提供することができる情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法、および情報提供プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る情報提供装置は、取得部と、判定部と、提供部とを備える。取得部は、経路案内を行うナビゲーションプログラムによって提供されるサービスに対するユーザの行動情報を取得する。判定部は、前記取得部によって取得される前記行動情報に基づいて、前記サービスに対する前記ユーザの従順度を判定する。提供部は、前記判定部によって判定される前記従順度に応じた情報を前記ユーザへ提供する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様に係る情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法、および情報提供プログラムは、ナビゲーション装置のユーザへユーザの特性に応じた情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る情報提供方法の概要を示す説明図である。
図2図2は、実施形態に係る情報提供装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係るユーザの行動情報の一例を示す説明図である。
図4図4は、実施形態に係るユーザの運転技能に応じた経路案内の一例を示す説明図である。
図5図5は、実施形態に係る情報提供装置の制御部が実行するメイン処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る情報提供装置の制御部が実行する従順度判定処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係る情報提供装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法、および情報提供プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
なお、この実施形態により本願に係る情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法、および情報提供プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。まず、図1を参照し、実施形態に係る情報提供方法の概要について説明する。
【0011】
〔1.情報提供方法の概要〕
図1は、実施形態に係る情報提供方法の概要を示す説明図である。以下では、実施形態に係る情報提供装置1が、車両に搭載され、ユーザによって設定される目的地までの経路案内(ナビゲーション)を行うアプリケーションプログラムがインストールされたカーナビゲーション装置である場合を例に挙げて説明する。
【0012】
情報提供装置1は、例えば、ユーザによって図1左上図の目的地Gが設定される場合、現在地Stから目的地Gまでの最短経路R1をユーザへ提案し(ステップS1)、目的地Gまでの経路案内を行う。
【0013】
その後、情報提供装置1は、図1右上図に示すように、ユーザが目的地Gに到着した場合、ユーザが実際に走行した走行経路R2を行動情報として取得する(ステップS2)。このように、情報提供装置1は、経路案内を行うナビゲーションプログラムによって提供されるサービス(ここでは、目的地Gまでの経路案内サービス)に対するユーザの行動情報を取得する。
【0014】
その後、情報提供装置1は、取得した行動情報に基づいてサービスに対するユーザの従順度を判定する(ステップS3)。図1に示す例では、ユーザは、情報提供装置1による経路案内に従い、提案された最短経路R1と全く同じ走行経路R2を走行して目的地Gに到着した。情報提供装置1は、このようにユーザが経路案内に従った場合、ユーザの従順度を所定の閾値以上と判定する。
【0015】
そして、情報提供装置1は、次回、ユーザに経路案内を行う場合、ユーザに対して判定した従順度に応じた情報(ここでは、従順度が所定の閾値以上のユーザ用の情報)を提供する(ステップS4)。
【0016】
例えば、図1下図に示すように、ユーザによって、前回と同じ現在地Stで前回と同じ目的地Gが設定された場合に、前回提案した最短経路R1の一部で渋滞区間Rxが発生していることがある。
【0017】
かかる場合、情報提供装置1は、ユーザの従順度が所定の閾値以上であり、前回提案した最短経路R1とは異なる経路を提案してもユーザが経路案内に従う可能性が高いため、ユーザに少々遠回りをしてもらい渋滞区間Rxを迂回する経路R3を提案して経路案内を行う。
【0018】
これにより、情報提供装置1は、ユーザに渋滞を回避させることができるだけでなく、渋滞区間Rxへ向かう車両の台数を減少させることによって、渋滞区間Rxの渋滞を緩和させることもできる。
【0019】
また、情報提供装置1は、提案した経路案内に従わなかったユーザについても同様に従順度を判定し、次回の経路案内ではユーザの従順度に応じた情報を提供する。なお、経路案内に従わなかったユーザへ提供する情報の一例については、図4を参照して後述する。
【0020】
このように、情報提供装置1は、ナビゲーションに対する従順度(M度)判定をアプリの利用ログを用いて判定する。このとき、情報提供装置1は、例えば、ナビにどこまで従うかをアプリの利用ログを用いて、ドライバーの気性、性格、運転特性を判定する。
【0021】
そして、情報提供装置1は、判定した従順度からユーザの属性推定を行って、ナビゲーションやレコメンド等に利用することで、ユーザへユーザの特性に応じた情報を提供することができる。
【0022】
なお、ここでは、情報提供装置1は、従順度が所定の閾値以上であるユーザに対して渋滞区間Rxを迂回する経路R3を提案したが、従順度に応じて提案する経路を変えることができるため、あえて最適でない経路へユーザを誘導することもできる。
【0023】
例えば、情報提供装置1は、ユーザの従順度が所定の閾値以上である場合、渋滞区間Rxへ誘導する経路の情報をユーザへ提供することもできる。また、情報提供装置1は、ユーザの従順度が所定の閾値以上である場合、渋滞が発生しやすい区間を特定し、特定した区間へ誘導する経路の情報をユーザへ提供することもできる。
【0024】
〔2.情報提供装置の構成〕
次に、図2を参照し、実施形態に係る情報提供装置1の構成の一例について説明する。図2は、実施形態に係る情報提供装置1の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、情報提供装置1は、例えば、インターネット等の通信ネットワークNを介して複数台の他の車両C−1〜C−n、および道路情報提供サーバH等と無線通信可能に接続され、表示操作部2と、通信部3と、記憶部4と、制御部5とを備える。
【0025】
(表示操作部)
表示操作部2は、例えば、タッチパネル機能を備える液晶ディスプレイである。表示操作部2は、ユーザによる目的地の設定操作等を受け付ける場合に、設定される目的地を示す情報を制御部5へ出力する。また、表示操作部2は、制御部5から入力される現在地から目的地までの案内経路の画像を地図上に重畳して表示させる。
【0026】
(通信部)
通信部3は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部3は、通信ネットワークNを介して道路情報提供サーバHおよび複数の車両C−1〜C−nに搭載されたカーナビゲーション装置等と無線通信可能に接続される。
【0027】
(記憶部)
記憶部4は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。かかる記憶部4は、行動情報記憶部41および従順度記憶部42等を備える。
【0028】
(制御部)
制御部5は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。
【0029】
制御部5は、CPUがROMに記憶された各種プログラム(実施形態に係る情報提供プログラムの一例に相当)を、RAMを作業領域として使用して実行することにより機能する複数の処理部を備える。
【0030】
具体的には、制御部5は、GPS(Global Positioning System)部51と、取得部52と、判定部53と、提供部54とを備える。なお、制御部5が備えるGPS部51、取得部52、判定部53、および提供部54は、一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0031】
(GPS部)
GPS部51は、GPS衛星から受信する信号に基づいて情報提供装置1の現在位置を測位する処理部である。
【0032】
(取得部)
取得部52は、情報提供装置1が提供する目的地までの経路案内サービスに対するユーザの行動情報を取得し、行動情報記憶部41に記憶させる。ここで、図3を参照し、取得部52が行動情報記憶部41に記憶させる行動情報の一例について説明する。
【0033】
図3は、実施形態に係るユーザの行動情報の一例を示す説明図である。なお、図3には、一例として1回の経路案内でのユーザの行動情報を示しているが、行動情報記憶部41には、経路案内が行われる毎に、各経路案内でのユーザの行動情報が順次蓄積して記憶される。
【0034】
図3に示すように、行動情報には、出発地、目的地、利用時間帯、走行経路、経路案内に従わなかった区間、および経路特性等の情報が含まれる。出発地は、目的地が設定された時点の情報提供装置1の位置である。目的地は、ユーザによって設定された今回の行先の位置である。取得部52は、出発地および目的地の住所をGPS部51から取得して行動情報記憶部41に記憶させる。
【0035】
利用時間帯は、経路案内でユーザによってナビゲーションプログラムが利用された時間帯である。取得部52は、提供部54からユーザへ経路案内の情報等が提供された情報提供開始時刻から情報提供終了時刻までの時間帯を取得し、利用時間帯として行動情報記憶部41に記憶させる。
【0036】
走行経路は、ユーザが実際に車両を走行させた経路である。取得部52は、提供部54から取得する案内経路と、GPS部51から取得する情報提供装置1の移動経路とを比較し、両経路が一致しない場合、例えば、図2に示すように、走行経路として提案経路以外という情報を行動情報記憶部41に記憶させる。
【0037】
また、取得部52は、提供部54から取得する案内経路と、GPS部51から取得する情報提供装置1の移動経路とが一致する場合には、例えば、走行経路として提案経路という情報を行動情報記憶部41に記憶させる。
【0038】
経路案内に従わなかった区間は、案内経路中にユーザが経路案内に従わなかった区間である。取得部52は、提供部54から取得する案内経路と、GPS部51から取得する情報提供装置1の移動経路とを比較して経路案内に従わなかった区間を特定し、行動情報記憶部41に記憶させる。
【0039】
例えば、取得部52は、ユーザが案内経路を離脱し、A地点からB地点を経由してC地点に至る経路を走行した場合、例えば、図3に示すように、経路案内に従わなかった区間として、A地点→B地点→C地点という情報を行動情報記憶部41に記憶させる。
【0040】
経路特性は、今回の案内経路の特性を示す情報である。取得部52は、例えば、今回の案内経路に右折を案内する地点が比較的多い場合には、例えば、図3に示すように、右折回数多という情報を行動情報記憶部41に記憶させる。なお、経路特性には、右折回数多、以外にも、幅員狭、交通量多等、種々の特性がある。
【0041】
また、取得部52は、ユーザが経路案内に従わなかった場合、今回の案内経路に含まれる区間の経路を過去に案内されたことのある他ユーザが、その時に経路案内に従っていたか否かを示す情報を他の車両C−1〜C−nから取得する。
【0042】
かかる取得部52によって取得される情報提供装置1のユーザの行動情報、および他ユーザの行動情報は、判定部53によるユーザの従順度判定に使用される。図2へ戻り、判定部53について説明する。
【0043】
(判定部)
判定部53は、取得部52によって取得される情報提供装置1のユーザおよび他ユーザの行動情報に基づいて情報提供装置1のユーザの従順度を判定する。そして、判定部53は、判定結果に応じた従順度の高さを示す値(以下、単に「従順度」と記載する)を従順度記憶部42に記憶させる。
【0044】
ここでは、例えば、従順度の下限値を0とし、上限値を100とする。従順度は、値が大きいほど、従順度が高いものとする。また、従順度記憶部42には、従順度のデフォルト値として50が記憶されているものとする。判定部53は、経路案内を行う毎に、情報提供装置1のユーザおよび他ユーザの行動情報に基づき、従順度記憶部42に記憶されている従順度を更新する。
【0045】
具体的は、判定部53は、ユーザが経路案内に従った場合、従順度に所定の値を加算する。また、判定部53は、ユーザが経路案内に従わなかった場合、従わなかった原因が案内経路自体であったり、ユーザの気性、性格、および運転特性によるものであったりと様々であるため、状況によっては従順度を減算することも減算しないこともある。
【0046】
例えば、ユーザは、そもそも案内経路が誤っていた場合や、天災に伴う急な道路工事や通行止めがある場合には、経路案内に従順な性格であっても経路案内に従うことができない。また、ユーザは、殆どの案内経路には従っていても、所定時間帯や所定目的地の場合に限り、経路案内に従わない場合もある。
【0047】
例えば、ユーザは、通勤時間帯に情報提供装置1のナビゲーションアプリを利用する場合、情報提供装置1の提案経路よりも毎日ユーザが使用する経路の方が渋滞を回避できることを知っていれば、通勤時間帯だけは経路案内に従わないことがある。
【0048】
また、ユーザは、目的地として設定する場所がよく行く場所の場合、情報提供装置1の案内経路よりも、毎回ユーザが使用する経路の方が人ごみを回避できることを知っていれば、所定目的地の場合だけは経路案内に従わないことがある。
【0049】
また、ユーザは、情報提供装置1の案内経路が不得意経路の場合に限り、案内経路に従わない場合もある。例えば、ユーザは、運転初心者の場合、概して右折や幅員の狭い道路を含む経路の走行が苦手なものであるため、かかる案内経路の場合にだけ、経路案内に従わないことがある。
【0050】
このため、情報提供装置1は、上記した所定時間帯、所定目的地、および不得意経路等の状況でユーザが経路案内に従わなかったからといって従順度を減算してしまうと、基本的には経路案内に従順なユーザを経路案内に従順でないユーザと誤判定することになる。
【0051】
そこで、情報提供装置1は、ユーザが経路案内に従っていなかった場合、経路案内に従わなかったのか、それとも、従えなかったのかを判定し、判定結果からユーザの従順度を判定する。これにより、情報提供装置1は、ユーザの詳細な従順度を判定することができる。
【0052】
また、情報提供装置1は、ユーザが経路案内に従わなかったのか、従えなかったのかの判断材料として、他ユーザが情報提供装置1のユーザと同様の経路案内をされた際の行動情報を使用する。これにより、情報提供装置1は、ユーザが経路案内に従わなかったのか、従えなかったのかを、より正確に判別することができる。
【0053】
具体的には、判定部53は、ユーザが経路案内に従わなかった場合、他ユーザの大半が経路案内に従っていないか否かを判定する。このとき、判定部53は、他ユーザの大半が経路案内に従っていなければ、案内経路が誤っておりユーザが経路案内に従いたくても従えなかった可能性があるので、ユーザの従順度を低下させない。
【0054】
また、判定部53は、ユーザが経路案内に従わなかったが、他ユーザの大半が経路案内に従っていた場合、所定時間帯、所定目的地、または不得意経路であったか否かを判定する。
【0055】
ここでの所定時間帯は、ユーザが情報提供装置1を頻繁に使用する所定の時間帯(例えば、通勤時間帯等)である。また、所定目的地は、ユーザが頻繁に設定する所定の目的地(例えば、よく訪れるイベント会場等)である。また、不得意経路は、ユーザが経路案内通りに走行することが容易でない走行経路(例えば、右折が多い経路等)である。
【0056】
そして、判定部53は、所定時間帯、所定目的地、または不得意経路であった場合、ユーザが従おうとすれば従うことができるが、特定の状況であるがゆえに例外的に従えなかった可能性があるので、ユーザの従順度を低下させない。
【0057】
これに対して、判定部53は、他ユーザの大半が経路案内に従っていて、所定時間帯、所定目的地、または不得意経路でないにもかかわらず、ユーザが経路案内に従わなかった場合には、経路案内に従順でないと判定してユーザの従順度から所定値を減算する。
【0058】
このように、判定部53は、ユーザの行動情報に加え、ユーザと同様の経路案内が行われた他ユーザの行動情報、さらには、時間帯やよく行く場所かどうか、などの情報も利用して従順度を判定する。これにより、判定部53は、ユーザの真の従順度を正確に判定することができる。
【0059】
(提供部)
提供部54は、ユーザによって経路案内の目的地が設定される場合に、現在地から目的地までの案内経路の情報を表示操作部2によって表示させてユーザへ提供する。このとき、提供部54は、ユーザの従順度に応じた情報をユーザ提供する。
【0060】
例えば、提供部54は、図1に示したように、以前、提案した最短経路R1と全く同じ走行経路R2を走行した従順度が所定の閾値以上のユーザに対しては、案内経路に渋滞区間Rxがある場合、少し遠回りとなるが渋滞区間Rxを迂回する案内経路の情報を提供する。
【0061】
また、判定部53は、最短経路R1と全く同じ走行経路R2を走行しなかったユーザであっても、従順度が例えば、上限値と下限値との中間値である50以上であれば、最短経路R1以外で、例えば、ユーザの運転技能に応じた別の案内経路の情報を提供することもできる。
【0062】
次に、図4を参照し、ユーザの運転技能に応じた経路案内の一例について説明する。図4は、実施形態に係るユーザの運転技能に応じた経路案内の一例を示す説明図である。
【0063】
情報提供装置1は、例えば、ユーザによって図4左上図の目的地Gが設定される場合、現在地Stから目的地Gまでの最短経路R1をユーザへ提案し(ステップS5)、目的地Gまでの経路案内を行う。ここでは、最短経路R1は、右折が2回ある右折回数多の経路特性をもつ案内経路であるとする。
【0064】
その後、情報提供装置1は、図4右上図に示すように、ユーザが目的地Gに到着した場合、ユーザが実際に走行した走行経路R4を行動情報として取得する(ステップS6)。このときの走行経路R4は、最短経路R1よりも距離が長いが、右折が1回である。
【0065】
続いて、情報提供装置1は、最短経路R1と走行経路R4と他ユーザの行動情報に基づいてユーザの従順度および特性を判定する(ステップS7)。ここで、過去に最短経路R1を提案された他ユーザの大半が最短経路R1を走行していたとする。
【0066】
これに対して、今回、ユーザは、情報提供装置1による経路案内に従わなかった。ただし、今回の最短経路R1が右折回数多の特性を持つ案内経路であり、ユーザの走行経路R4には、右折が1回しかない。このため、情報提供装置1は、ユーザを運転初心者(ユーザ特性の一例)と判定する。
【0067】
そして、情報提供装置1は、今回提案した最短経路R1をユーザの不得意経路と判定し、今回の案内ではユーザの従順度を減算せず、次回、ユーザに経路案内を行う場合に、ユーザの従順度および特性(運転技能)に応じた情報を提供する(ステップS8)。
【0068】
すなわち、情報提供装置1は、従順度が減算されていない比較的従順であり、且つ車両の運転に不慣れなユーザに対しては、以後、最短経路ではなく、運転初心者でも運転しやすい経路の情報を提供する。
【0069】
例えば、情報提供装置1は、図1下図に示すように、ユーザによって、前回と同じ現在地Stで前回と同じ目的地Gが設定された場合に、右折箇所を避け、1回の左折だけで目的地へ到着可能な案内経路R5の情報をユーザへ提供する。これにより、情報提供装置1は、ユーザの従順度および特性に応じた情報を提供することができる。
【0070】
〔3.情報提供装置の処理〕
次に、図5を参照し、実施形態に係る情報提供装置1の制御部5が実行する処理について説明する。図5は、実施形態に係る情報提供装置1の制御部5が実行するメイン処理の一例を示すフローチャートである。
【0071】
制御部5は、ユーザによって目的地が入力された場合に、図5に示すメイン処理を実行する。具体的には、図5に示すように、制御部5は、ユーザによって目的地が入力されると、まず、目的地までのユーザの従順度に応じた案内経路を決定する(ステップS101)。
【0072】
その後、制御部5は、目的地までの経路案内を行い(ステップS102)、ユーザの行動情報を行動情報記憶部41に記憶して(ステップS103、目的地に到着したか否かを判定する(ステップS104)。そして、制御部5は、目的地に到着していないと判定した場合(ステップS104,No)、処理をステップS102へ移す。
【0073】
また、制御部5は、目的地に到着したと判定した場合(ステップS104,Yes)、今回の案内経路に関するユーザおよび他ユーザの行動情報を取得し(ステップS105)、取得した行動情報に基づいて従順度判定処理を実行する(ステップS106)。
【0074】
なお、従順度判定処理の一例については、図7を参照して後述する。その後、制御部5は、従順度判定処理で判定されたユーザの従順度を記憶部4に記憶させ(ステップS107)、メイン処理を終了する。
【0075】
次に、図6を参照し、実施形態に係る情報提供装置1の制御部5が実行する従順度判定処理の一例について説明する。図6は、実施形態に係る情報提供装置1の制御部5が実行する従順度判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0076】
図6に示すように、制御部5は、従順度判定処理を開始すると、まず、ユーザの行動情報に基づいて、ユーザが経路案内に従ったか否かを判定する(ステップS201)。そして、制御部は、経路案内に従ったと判定した場合(ステップS201,Yes)、従順度記憶部42から読み出した従順度に所定の値を加算し(ステップS202)、処理をステップS203へ移す。
【0077】
また、制御部5は、経路案内に従わなかったと判定した場合(ステップS201,No)、他ユーザの大半が経路案内に従っていないか否かを判定する(ステップS204)。そして、制御部5は、他ユーザの大半が経路案内に従っていないと判定した場合(ステップS204,Yes)、案内経路を誤りと判定し(ステップS205)、処理をステップS206へ移す。
【0078】
また、制御部5は、他ユーザの大半が経路案内に従っていたと判定した場合(ステップS204,No)、所定時間帯、所定目的地、または不得意経路であったか否かを判定する(ステップS207)。
【0079】
なお、ここでの所定時間帯は、ユーザが情報提供装置1を頻繁に使用する所定の時間帯(例えば、通勤時間帯等)である。また、所定目的地は、ユーザが頻繁に設定する所定の目的地(例えば、よく訪れるイベント会場等)である。また、不得意経路は、ユーザが経路案内通りに走行することが容易でない走行経路(例えば、右折が多い経路等)である。
【0080】
そして、制御部5は、所定時間帯、所定目的地、または不得意経路であったと判定した場合(ステップS207,Yes)、ユーザが経路案内に従えなかったと判定し(ステップS208)、処理をステップS206へ処理を移す。
【0081】
ステップS206において、制御部5は、従順度記憶部42読み出した従順度を減算することなく、処理をステップS203へ移す。つまり、制御部5は、ユーザが今回の経路案内に従わなかったとしても、提案した案内経路が誤りであった場合には、従順度を非減算として、処理をステップS203へ移す。
【0082】
また、制御部5は、ユーザが今回の経路案内に従わなかったとしても、毎回従わないのではなく、所定時間帯、所定目的地、または不得意経路であった場合に限り、まれに経路案内に従わない場合は、従順度を非減算として、処理をステップS203へ移す。
【0083】
また、制御部5は、所定時間帯、所定目的地、または不得意経路でなかったと判定した場合(ステップS207,No)、ユーザが経路案内に従わなかったと判定し(ステップS209)、処理をステップS210へ処理を移す。
【0084】
ステップS210において、制御部5は、従順度記憶部33読み出した従順度から所定値を減算し、処理をステップS203へ移す。つまり、制御部5は、他ユーザの大半が今回の経路案内に従っており、所定時間帯、所定目的地、または不得意経路でないにもかかわらず、例えば、好みでない等の理由で経路案内に従わなかった場合には、従順度を減算して処理をステップS203へ移す。
【0085】
ステップS203において、制御部5は、ステップS202、ステップS206、または、ステップS210の処理結果に応じてユーザの従順度を決定する。その後、制御部5は、従順度判定処理を終了し、処理をメイン処理のステップS107へ移す。
【0086】
〔4.変形例〕
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0087】
上述した実施形態では、情報提供装置1がカーナビゲーション装置である場合を例に挙げて説明したが、情報提供装置1は、徒歩による目的地までの経路案内を行うナビゲーションプログラムがインストールされたスマートフォン等の携帯端末装置であってもよい。これにより、情報提供装置1は、徒歩移動での経路案内を望むユーザに対しても、ユーザの従順度に応じた徒歩での案内経路の情報を提供することができる。
【0088】
また、上述した実施形態では、情報提供装置1は、ユーザの行動情報および他ユーザの行動情報に基づいて、情報提供装置1のユーザの従順度を判定したが、他ユーザの行動情報を使用せず、ユーザの行動情報だけで従順度を判定することもできる。これにより、情報提供装置1は、処理負荷を低減しつつユーザの従順度に応じた情報をユーザへ提供することができる。
【0089】
また、上述した実施形態では、情報提供装置1は、ユーザへ目的地までの案内経路の情報を提供したが、これは一例である。実施形態に係る情報提供装置1は、従順度が所定の閾値以上のユーザについて、経路案内に従いやすいタイミングを特定し、そのタイミングで案内経路の情報に加え、例えば、経路案内画面に広告コンテンツ等、他の情報を表示してユーザへ提供することもできる。
【0090】
かかる場合、情報提供装置1は、従順度が所定の閾値以上のユーザほど、つまり、提供される広告コンテンツを閲覧してもらえる可能性が高いユーザほど頻繁に多くの広告コンテンツを提供する。これにより、情報提供装置1は、広告効果を増大させることができる。
【0091】
また、情報提供装置1は、案内経路の情報に加え、提供する案内にユーザが従いやすいタイミングで、レコメンド情報を表示してユーザへ提供することもできる。かかる場合、情報提供装置1は、ユーザの従順度が所定の閾値以上の場合には、例えば、目的地までの最短経路から若干外れても、近くにある人気店の前を通過する経路を提案しつつ、合わせて人気店のお勧め商品等の情報をユーザへ提供する。これにより、情報提供装置1は、レコメンド店舗の集客増員に寄与することができる。
【0092】
また、情報提供装置1は、案内経路の情報に加え、提供する案内にユーザが従いやすいタイミングで、ユーザに対してクラウドソーシングのタスクを依頼したり、タスクに対する報酬を低減したりすることもできる。このように、情報提供装置1によれば、カーナビゲーションの案内に対するユーザの従順度を、経路案内以外の情報提供に有効活用することができる。
【0093】
また、ユーザの従順度を判定する判定装置として図1に示す情報提供装置を機能させ、判定装置とは別の端末装置を情報提供装置として機能させて、ユーザの従順度に応じた情報をユーザへ提供する情報提供システムを構成することもできる。
【0094】
かかる構成の場合、判定装置は、例えば、図1に示す情報提供装置1と同様の構成を備えるカーナビゲーション装置によって実現される。また、端末装置は、例えば、カーナビゲーション装置のユーザが使用するスマートフォン、タブレット型端末、およびパーソナルコンピュータ等によって実現される。
【0095】
かかる情報提供システムでは、端末装置は、判定装置からユーザの従順度と、提供する情報にユーザが従いやすいタイミングとを取得する。そして、端末装置は、ユーザによって使用されているときに、提供する情報に対してユーザが従いやすいタイミングとなった場合に、ナビゲーションプログラムによって提供されるサービスに関連する情報以外の様々な情報をユーザへ提供する。
【0096】
例えば、端末装置は、従順度が所定の閾値以上のユーザが端末装置を使用してショッピングを行っている場合に、提供する情報に対してユーザが従いやすいタイミングになると、広告コンテンツやユーザが閲覧中の商品に関連するレコメンド情報等をユーザへ提供する。
【0097】
具体的には、端末装置は、ユーザが閲覧中の商品について、「この商品を購入した人は、こんな商品にも興味をもっています。」といったコメントと共に、商品購入者が興味を持っている複数の商品画像を表示させてユーザに情報提供を行う。
【0098】
また、端末装置は、例えば、従順度が所定の閾値以上のユーザが端末装置を使用しているときに、提供する情報にユーザが従いやすいタイミングになると、ユーザに対してクラウドソーシングのタスクを依頼する情報やタスクに対する報酬を低減する情報等を提供する。このとき、端末装置は、従順度が所定の閾値以上のユーザに対して従順度が所定の閾値未満のユーザよりも頻繁に多くの広告コンテンツやレコメンド情報等を提供する。
【0099】
このように、情報提供システムによれば、カーナビゲーションの案内に対するユーザの従順度を、広告コンテンツ等の情報提供に有効活用することができる。これにより、端末装置は、ナビゲーションプログラムによって提供されるサービスに関連する情報以外でユーザの従順度に応じた様々な情報を効果的にユーザへ提供することができる。
【0100】
〔5.効果〕
上述したように、実施形態に係る情報提供装置1は、取得部52と、判定部53と、提供部54とを備える。取得部52は、経路案内を行うナビゲーションプログラムによって提供されるサービスに対するユーザの行動情報を取得する。判定部53は、取得部52によって取得される行動情報に基づいて、サービスに対するユーザの従順度を判定する。提供部54は、判定部によって判定される従順度に応じた情報をユーザへ提供する。これにより、情報提供装置1は、ユーザの特性に応じた情報を提供することができる。
【0101】
また、取得部52は、サービスに対するユーザ以外の他ユーザの行動情報をさらに取得し、判定部53は、他ユーザの行動情報に基づいて、ユーザの従順度を判定する。これにより、情報提供装置1は、他ユーザの傾向を基に、ユーザのより正確な従順度を判定することができる。
【0102】
また、判定部53は、他ユーザの行動情報に基づいて、他ユーザが経路案内に従ったか否かを判定し、判定結果からユーザの従順度を判定する。これにより、情報提供装置1は、例えば、ユーザが経路案内に従わなかったとしても、他ユーザの大半が経路案内に従っていなければ、ユーザの従順度を所定の閾値未満ではないと判定することができる。
【0103】
また、判定部53は、他ユーザが経路案内に従っていて、ユーザが経路案内に従っていなかった場合、ユーザが経路案内に従わなかったのか、従えなかったのかを判定し、判定結果からユーザの従順度を判定する。これにより、情報提供装置1は、ユーザが経路案内に従いたいが従えなかったのであれば、ユーザの従順度が所定の閾値未満ではないと判定することができ、はなから従う気がなく従わなかったのであれば、従順度を所定の閾値未満と判定することができる。
【0104】
また、取得部52は、ユーザによるナビゲーションプログラムの利用時間帯を取得し、判定部53は、取得部52によって取得される利用時間帯に応じてユーザの従順度を判定する。これにより、情報提供装置1は、例えば、ユーザが常時、経路案内に従わないのか、所定の時間帯に限って経路案内に従わないのかによって、ユーザの従順度を正確に判定することができる。
【0105】
判定部53は、取得部52によって取得される利用時間帯が所定の条件を満たす時間帯である場合、ユーザが経路案内に従わなくても従順度を低下させない。これにより、情報提供装置1は、例えば、ユーザが通勤時間帯に限り経路案内に従わない場合、提案経路よりも毎日ユーザが使用する経路の方が適切である可能性があり、適切な経路選択するユーザの従順度が不適切に低くなることを防止することができる。
【0106】
また、取得部52は、ユーザによって経路案内の目的地として設定される場所を取得し、判定部53は、取得部によって取得される場所に応じて従順度を判定する。これにより、情報提供装置1は、例えば、ユーザが常時、経路案内に従わないのか、目的地が所定の場所である場合に限って経路案内に従わないのかによって、ユーザの従順度を正確に判定することができる。
【0107】
また、判定部53は、取得部52によって取得される場所が所定の条件を満たす場所である場合、ユーザが経路案内に従わなくても従順度を低下させない。これにより、情報提供装置1は、例えば、ユーザがよく行く場所に限り経路案内に従わない場合、提案経路よりも毎回ユーザが使用する経路の方が適切である可能性があり、適切な経路選択するユーザの従順度が不適切に低くなることを防止することができる。
【0108】
また、判定部53は、経路案内された経路がユーザにとって走行が不得意な経路である場合に、ユーザが経路案内に従わなくても従順度を低下させない。これにより、情報提供装置1は、例えば、通常は経路案内に従っていて、不得意な案内経路の場合に限り、やむを得ず経路案内に従えなかった運転初心者のユーザの従順度が不適切に低くなることを防止することができる。
【0109】
また、取得部52は、経路案内が行われる経路の渋滞情報を取得し、提供部54は、ユーザの従順度が所定の閾値以上である場合に、取得部52によって取得される渋滞情報に基づいて、渋滞区間を迂回する経路の情報をユーザへ提供する。これにより、情報提供装置1は、ユーザに渋滞を回避させることができるだけでなく、発生している渋滞を緩和させることもできる。
【0110】
また、提供部54は、ユーザの従順度が所定の閾値以上である場合に、取得部52によって取得される渋滞情報に基づいて、渋滞が発生しやすい区間を特定し、特定した区間を迂回する経路の情報をユーザへ提供することもできる。これにより、情報提供装置1は、渋滞の発生を未然に防止することができる。
【0111】
また、取得部52は、経路案内が行われる経路の渋滞情報を取得し、提供部54は、ユーザの従順度が所定の閾値以上である場合に、取得部52によって取得される渋滞情報に基づいて、渋滞区間へ誘導する経路の情報を前記ユーザへ提供する。これにより、情報提供装置1は、例えば、渋滞区間を回避する迂回路で新たな渋滞が発生することを抑制することができる。
【0112】
また、提供部54は、ユーザの従順度が所定の閾値以上である場合に、取得部52によって取得される渋滞情報に基づいて、渋滞が発生しやすい区間を特定し、特定した前記区間へ誘導する経路の情報を前記ユーザへ提供する。これにより、情報提供装置1は、渋滞が発生しやすい区間を回避する迂回路で新たな渋滞が発生することを抑制することができる。
【0113】
また、実施形態に係る情報提供システムは、経路案内を行うナビゲーションプログラムによって提供されるサービスに対するユーザの行動情報を取得する取得部と、取得部によって取得される行動情報に基づいて、サービスに対するユーザの従順度を判定する判定部とを備える判定装置と、判定装置の判定部によって判定される従順度に応じた情報をユーザへ提供する提供部を備える端末装置とを含む。これにより、端末装置は、ナビゲーションプログラムによって提供されるサービスに関連する情報以外でユーザの従順度に応じた様々な情報を効果的にユーザへ提供することができる。
【0114】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報提供装置1は、例えば図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図7は、実施形態に係る情報提供装置1の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0115】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0116】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、インターネット等の通信ネットワークNを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを通信ネットワークNを介して他の機器へ送信する。
【0117】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイ、プリンタ等の出力装置、キーボード、マウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0118】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0119】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報提供装置1として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされた情報提供プログラムを実行することにより、制御部5の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から通信ネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0120】
〔7.その他〕
また、上記実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0121】
この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0122】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0123】
例えば、判定部53を情報提供装置1の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしてもよい。また、判定部53を別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク接続されて協働することで、上記の情報提供装置1の機能を実現するようにしてもよい。
【0124】
すなわち、情報提供装置1は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0125】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、判定部53は、判定手段や判定回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0126】
1 情報提供装置
2 表示操作部
3 通信部
4 記憶部
41 行動情報記憶部
42 従順度記憶部
5 制御部
51 GPS部
52 取得部
53 判定部
54 提供部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7