特許第6961557号(P6961557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961557物品姿勢変更装置および物品姿勢変更方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961557
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】物品姿勢変更装置および物品姿勢変更方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20211025BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20211025BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B25J15/06 A
   B25J15/08 C
   B25J13/00 Z
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-173511(P2018-173511)
(22)【出願日】2018年9月18日
(65)【公開番号】特開2020-44596(P2020-44596A)
(43)【公開日】2020年3月26日
【審査請求日】2020年6月25日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ロボット活用型市場化適用技術開発プロジェクト/ロボットのプラットフォーム化技術開発(ハードウェア)/汎用自律走行ロボットプラットフォームの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】山本 大介
(72)【発明者】
【氏名】園浦 隆史
(72)【発明者】
【氏名】大明 準治
(72)【発明者】
【氏名】小川 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳也
(72)【発明者】
【氏名】大津 裕司
(72)【発明者】
【氏名】奈良 康平
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】香月 理絵
(72)【発明者】
【氏名】澤 和秀
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−171018(JP,A)
【文献】 特開2012−171019(JP,A)
【文献】 特開2018−039088(JP,A)
【文献】 特開2017−177294(JP,A)
【文献】 特開2014−161965(JP,A)
【文献】 特開2011−200948(JP,A)
【文献】 特開2016−068164(JP,A)
【文献】 特開2018−094712(JP,A)
【文献】 特開2017−109271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
突出したタグを有する物品の前記タグを吸着により保持可能な第1エンドエフェクタと、
前記タグを間に挟んで保持可能な第2エンドエフェクタと、
前記第1エンドエフェクタを支持するとともに、少なくとも上下方向に沿って前記第1エンドエフェクタを移動可能な腕部と、
前記タグが挟んで保持されることが可能であるかを判断し、前記タグが挟んで保持されることが不可能であると判断した場合に、前記腕部と、前記第1エンドエフェクタと、を制御して、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除する制御部と、
を備える物品姿勢変更装置。
【請求項2】
前記腕部に設けられ、前記上下方向で規定される軸の軸回りに前記第1エンドエフェクタを回転させる回転機構を有する請求項1に記載の物品姿勢変更装置。
【請求項3】
突出したタグを有する物品の前記タグを間に挟んで保持可能な第2エンドエフェクタと、
前記第2エンドエフェクタを支持するとともに、少なくとも上下方向に沿って前記第2エンドエフェクタを移動可能な腕部と、
前記タグが挟んで保持されることが可能であるかを判断し、前記タグが挟んで保持されることが可能であると判断した場合に、前記腕部と、前記第2エンドエフェクタと、を制御して、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除する制御部と、
前記タグの姿勢に関する情報を取得する認識部と、
を備え
前記制御部は、前記タグの姿勢に関する情報から、前記タグが前記上下方向に沿う方向に延びているか、を判断し、
前記制御部は、前記タグが前記上下方向に沿う方向に延びていると判断した場合には、前記腕部と、前記第2エンドエフェクタと、を制御して、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて前記載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除する物品姿勢変更装置。
【請求項4】
前記第2エンドエフェクタは、
第1指部と、
前記第1指部に対向するとともに前記第1指部に近づいたり離れたり可能な第2指部と、
前記第1指部に対して自由回転可能に設けられ前記タグの一方の面に当接する第1パッドと、
前記第2指部に対して自由回転可能に設けられ前記タグの他方の面に当接する第2パッドと、
を有する請求項3に記載の物品姿勢変更装置。
【請求項5】
前記腕部に設けられ、前記上下方向で規定される軸の軸回りに前記第2エンドエフェクタを回転させる回転機構を備える請求項3又は請求項4に記載の物品姿勢変更装置。
【請求項6】
突出したタグを有する物品の前記タグを吸着により保持可能な第1エンドエフェクタと、
前記タグを間に挟んで保持可能な第2エンドエフェクタと、
前記第1エンドエフェクタおよび前記第2エンドエフェクタを支持するとともに、少なくとも上下方向に沿って前記第1エンドエフェクタおよび前記第2エンドエフェクタを移動可能な腕部と、
前記腕部と、前記第1エンドエフェクタおよび前記第2エンドエフェクタの少なくとも一方と、を制御して、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除する制御部と、
を備え、
前記第2エンドエフェクタは、前記第1エンドエフェクタを間に挟んで保持可能である物品姿勢変更装置。
【請求項7】
突出したタグを有する物品の前記タグを吸着により保持可能な第1エンドエフェクタと、
前記タグを間に挟んで保持可能な第2エンドエフェクタと、
前記第1エンドエフェクタおよび前記第2エンドエフェクタを支持するとともに、少なくとも上下方向に沿って前記第1エンドエフェクタおよび前記第2エンドエフェクタを移動可能な腕部と、
前記腕部と、前記第1エンドエフェクタおよび前記第2エンドエフェクタの少なくとも一方と、を制御して、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除する制御部と、
前記タグの姿勢に関する情報を取得する認識部と、
を備え、
前記制御部は、前記タグの姿勢に関する情報から、前記タグが前記上下方向に沿う方向に延びているか、あるいは前記タグが前記上下方向と交差する方向に延びているか、を判断し、
前記制御部は、前記タグが前記上下方向に沿う方向に延びていると判断した場合には、前記腕部と、前記第2エンドエフェクタと、を制御して、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて前記載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除し、
前記制御部は、前記タグが前記上下方向と交差する方向に延びていると判断した場合には、前記腕部と、前記第1エンドエフェクタと、を制御して、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて前記載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除する物品姿勢変更装置。
【請求項8】
前記第1エンドエフェクタが載置される載置部を備える請求項6または7に記載の物品姿勢変更装置。
【請求項9】
前記タグの1つの面には、前記認識部で認識可能なマーカが設けられる請求項7に記載の物品姿勢変更装置。
【請求項10】
前記腕部に設けられ、前記上下方向で規定される軸の軸回りに前記第2エンドエフェクタを回転させる回転機構を備える請求項6乃至9のいずれか1項に記載の物品姿勢変更装置。
【請求項11】
前記第2エンドエフェクタは、
第1指部と、
前記第1指部に対向するとともに前記第1指部に近づいたり離れたり可能な第2指部と、
前記第1指部に対して自由回転可能に設けられ前記タグの一方の面に当接する第1パッドと、
前記第2指部に対して自由回転可能に設けられ前記タグの他方の面に当接する第2パッドと、
を有する請求項6乃至10のいずれか1項に記載の物品姿勢変更装置。
【請求項12】
前記物品の位置情報を取得する第2認識部を前記載置面よりも下側に備える請求項1乃至11のいずれか1項に記載の物品姿勢変更装置。
【請求項13】
物品のタグが挟んで保持されることが前記タグを間に挟んで保持可能な第2エンドエフェクタにより可能であるか、が判断され、前記タグが挟んで保持されることが不可能であると判断された場合に、前記タグを吸着により保持可能な第1エンドエフェクタと、前記第1エンドエフェクタを支持するとともに少なくとも上下方向に沿って前記第1エンドエフェクタを移動可能な腕部と、により、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除する物品姿勢変更方法。
【請求項14】
物品のタグが挟んで保持されることが可能であるかが判断され、前記タグが挟んで保持されることが可能であると判断された場合に、前記タグを間に挟んで保持可能な第2エンドエフェクタと、前記第2エンドエフェクタを支持するとともに少なくとも上下方向に沿って前記第2エンドエフェクタを移動可能な腕部と、により、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除し、
前記タグの姿勢に関する情報を取得し、
前記タグの姿勢に関する情報から、前記タグが前記上下方向に沿う方向に延びているか、を判断し、
前記タグが前記上下方向に沿う方向に延びていると判断した場合には、前記腕部と、前記第2エンドエフェクタと、を制御して、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて前記載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除する物品姿勢変更方法。
【請求項15】
物品のタグを吸着により保持可能な第1エンドエフェクタおよび前記タグを間に挟んで保持可能な第2エンドエフェクタのいずれかと、前記第1エンドエフェクタおよび前記第2エンドエフェクタを支持するとともに少なくとも上下方向に沿って前記第1エンドエフェクタおよび前記第2エンドエフェクタを移動可能な腕部と、により、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除
前記第2エンドエフェクタは前記第1エンドエフェクタを間に挟んで保持可能である、物品姿勢変更方法。
【請求項16】
認識部により前記タグの姿勢に関する情報を取得し、
制御部により、前記タグの姿勢に関する情報から、前記タグが上下方向に沿う方向に延びているか、あるいは前記タグが前記上下方向と交差する方向に延びているか、を判断し、
前記タグが前記上下方向に沿う方向に延びていると判断された場合には、前記第1エンドエフェクタと前記腕部とにより、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて前記載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除し、
前記タグが前記上下方向と交差する方向に延びていると判断された場合には、前記第2エンドエフェクタと前記腕部とにより、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて前記載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除する請求項15に記載の物品姿勢変更方法。
【請求項17】
認識部により、前記載置面に置かれた前記物品の姿勢に関する情報を取得し、
前記制御部により、前記物品の姿勢に関する情報から、前記物品が所定の方位角で並んでいるか否かを判断し、
前記制御部により、前記物品が所定の方位角で並んでいないと判断された場合に、前記第2エンドエフェクタと、前記腕部と、前記上下方向で規定される軸の軸回りに前記第2エンドエフェクタを回転させる回転機構と、により、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて前記載置面から離間させて前記物品の方位角を前記所定の方位角に変更し、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除する請求項16に記載の物品姿勢変更方法。
【請求項18】
突出したタグを有する物品の前記タグを吸着により保持可能な第1エンドエフェクタと、
前記タグを間に挟んで保持可能な第2エンドエフェクタと、
前記第1エンドエフェクタおよび前記第2エンドエフェクタを支持するとともに、少なくとも上下方向に沿って前記第1エンドエフェクタおよび前記第2エンドエフェクタを移動可能な腕部と、
前記タグが挟んで保持されることが可能であるかを判断し、前記タグが挟んで保持されることが不可能であると判断した場合に前記腕部と前記第1エンドエフェクタを制御し、前記タグが挟んで保持されることが可能であるかを判断し、前記タグが挟んで保持されることが可能であると判断した場合に前記腕部と前記第2エンドエフェクタを制御して、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除する制御部と、
を備える物品姿勢変更装置。
【請求項19】
物品の突出したタグが挟んで保持されることが可能であるかが判断され、
記タグを吸着により保持可能な第1エンドエフェクタおよび前記タグを間に挟んで保持可能な第2エンドエフェクタのいずれかと、前記第1エンドエフェクタおよび前記第2エンドエフェクタを支持するとともに少なくとも上下方向に沿って前記第1エンドエフェクタおよび前記第2エンドエフェクタを移動可能な腕部と、により、
記タグが挟んで保持されることが不可能であると判断された場合に前記腕部と前記第1エンドエフェクタを制御し
前記タグが挟んで保持されることが可能であると判断された場合に前記腕部と前記第2エンドエフェクタを制御して、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除する物品姿勢変更方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、物品の姿勢を変更する物品姿勢変更装置および物品姿勢変更方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人手不足に伴い、コンビニやスーパーでは省力化が要求されている。特に商品陳列などの売場管理作業は店舗作業の2割程度を占めるとも言われており、その作業の自動化が望まれている。売場管理作業では、様々な姿勢で置かれた様々な物品を認識し、物品を正しい姿勢に並べ直す(フェイスアップする)ことが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−255191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、物品を正しい姿勢に並べ直すことが可能な物品姿勢変更装置および物品姿勢変更方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の物品姿勢変更装置は、突出したタグを有する物品の前記タグを吸着により保持可能な第1エンドエフェクタと、前記第1エンドエフェクタを支持するとともに、少なくとも上下方向に沿って前記第1エンドエフェクタを移動可能な腕部と、制御部と、を備える。前記制御部は、前記腕部と、前記第1エンドエフェクタと、を制御して、前記タグを保持することで前記物品を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により前記物品の角度を変え、前記物品を下方向に移動させて前記物品を前記載置面に置き、前記タグの保持を解除する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態の物品姿勢変更装置を示した斜視図である。
図2図2は、図1に示す物品姿勢変更装置を示した正面図である。
図3図3は、図1に示す物品姿勢変更装置の第1エンドエフェクタおよび第2エンドエフェクタを示す斜視図である。
図4図4は、図3に示す物品姿勢変更装置の第2エンドエフェクタのみを示す斜視図である。
図5図5は、図3に示す物品姿勢変更装置の第1エンドエフェクタのみを示す斜視図である。
図6図6は、実施形態の物品姿勢変更装置を用いた物品姿勢変更方法のフローチャートである。
図7図7(a)〜(d)は、実施形態の物品姿勢変更装置および物品姿勢変更方法で姿勢変更される物品の一例を示した斜視図である。
図8図8(a)〜(d)は、実施形態の物品姿勢変更装置および物品姿勢変更方法で姿勢変更される物品の一例を示した斜視図である。
図9図9(a)、(b)は、実施形態の物品姿勢変更装置および物品姿勢変更方法で姿勢変更される物品の一例を示した斜視図である。
図10図10(a)、(b)は、実施形態の物品姿勢変更装置および物品姿勢変更方法で姿勢変更される物品の一例を示した斜視図である。
図11図11は、第1エンドエフェクタで物品が吸着された状態を示した斜視図である。
図12図12は、第1エンドエフェクタおよび第2エンドエフェクタの近傍に第3識別部を設けた変形例を示した斜視図である。
図13図13は、変形例にかかる幅広の物品の一例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。実施形態の物品姿勢変更装置は、商店内で用いられ、商店の商品等の物品を正しい姿勢に並べ直す作業(フェイスアップ作業)を行うものである。実施形態の物品姿勢変更装置は、柔軟なフィルム状のタグ等、各種のタグが取り付けられている物品に対して、物品の姿勢にかかわらず、簡単な手法で当該物品を正しい姿勢に並べ直すことができる。全図を通して同一の構成要素に同一の参照符号を付して、重ねての説明を省略する。
【0008】
[第1実施形態]
第1の実施形態について図1から図8を参照して説明する。以下では、水平面内で通路の延びている方向をX軸方向と定義し、水平面内でX軸方向と直交する方向をY軸方向と定義し、鉛直方向をZ軸方向と定義して説明する。
【0009】
図1図3に示すように、物品姿勢変更装置11は、自走可能な台車12と、台車12上に固定された機台13と、機台13上に固定された腕部14(マニピュレータ部)と、腕部14に支持された第2エンドエフェクタ16と、第2エンドエフェクタ16の間に挟んで保持された第1エンドエフェクタ15と、制御部17と、第2エンドエフェクタ16から分離された第1エンドエフェクタ15等が載置される載置部18と、腕部14に設けられる回転機構21と、機台13に取り付けられた第1フレーム22と、第1フレーム22に固定された第1認識部23と、機台13に取り付けられた第2フレーム24と、第2フレーム24に固定された第2認識部25と、を備える。したがって、本実施形態の物品姿勢変更装置11は、根元から先端部に向けて、腕部14、第2エンドエフェクタ16、第1エンドエフェクタ15、の順に並んでいる。
【0010】
第1認識部23は、一般的なデジタルカメラで構成されてもよい。第1認識部23は、物品姿勢変更装置11の上部に配置されており、上方から俯瞰するように、商店内の棚26および棚26上の物品27を画像として認識することができる。第1認識部23は、物品27の位置・姿勢に関する情報および物品27から突出したタグ28の位置・姿勢に関する情報を画像(静止画あるいは動画)として取得できる。
【0011】
第1認識部23は、距離を測定可能なステレオカメラで構成されてもよい。第1認識部23は、TOFカメラやRGBDカメラ等のセンシングカメラを用いて、形状情報を認識するために距離情報を認識可能としてもよい。また、第1認識部23は、LiDARと呼ばれる距離情報のみを取得できるセンサでもよい。或いは、第1認識部23は、これらのうち2以上を組み合わせて構成されてもよい。
【0012】
第2認識部25は、一般的なデジタルカメラで構成されてもよい。第2認識部25は、物品姿勢変更装置11の下部に配置されている。第2認識部25は、下方から、棚26上の物品27の位置・姿勢に関する情報を取得できる。第2認識部25は、距離を測定可能なステレオカメラで構成されてもよい。第2認識部25は、TOFカメラやRGBDカメラ等のセンシングカメラを用いて、形状情報を認識するために距離情報を認識可能としてもよい。また、第2認識部25は、LiDARと呼ばれる距離情報のみを取得できるセンサでもよい。或いは、第2認識部25は、これらのうち2以上を組み合わせて構成されてもよい。
【0013】
本実施形態では、商店内の棚26(載置面)は、ガラス板等の透明な板で構成されることが好ましい。なお、図2に示すように、物品27が載置される複数の棚26は、手前側(物品姿勢変更装置11が位置する通路29側)に引き出し可能であることが好ましい。
【0014】
台車12は、4個の車輪31と、4個の車輪31を回転駆動するモータと、2個の車輪31を回転して方向転換するためのステアリング機構と、を有する。車輪はメカナムホイールやオムニホイールと呼ばれる4個の特殊車輪を用い、4個の車輪を独立に回転駆動することでステアリング機構なしで全方向に移動可能な機構としてもよい。また2個の車輪と台車の姿勢を保持するための回転フリーのキャスターを備えて、2個の車輪を独立に回転駆動することで直進・旋回を可能とする2輪独立駆動方式でもよい。
【0015】
制御部17は、例えば、CPUと、ROMと、RAMと、各種のドライバと、これらを実装するとともにこれらを互いに電気的に接続するプリント配線板と、プリント配線板に接続された無線通信モジュールと、を有するが、これ以外に例えばハードディスクドライブ等の記憶装置を含んでいてもよい。なお、制御部17の全部又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。無線通信モジュールは、第1エンドエフェクタ15の通信回路43Aと無線通信することができる。
【0016】
記憶装置として、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、CD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM(登録商標)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いてもよい。
【0017】
図1図3に示すように、腕部14は、一般的な多関節の腕型ロボットである。腕部14は、少なくとも上下方向に沿って第1エンドエフェクタ15および第2エンドエフェクタ16を移動可能であるが、上下方向以外の横方向(左右方向)やそれ以外の方向にも移動可能である。腕部14は、複数の関節32と、関節32同士を接続するロッド33と、を有する。なお、本実施形態では、腕部14は、多関節ロボット(多関節マニピュレータ)で構成されているが、腕部14の構成としてこれに限定されるものではない。腕部14は、水平多関節(スカラ型)ロボットアームに、Z軸方向(上下方向)に進退可能な進退機構を付加した構造で構成されていてもよい。あるいは、腕部14は、X軸方向スライダ、Y軸方向スライダ、Z軸方向スライダを有する門型のロボットで構成されていてもよい。なお、本実施形態では、腕部14が一つで構成されているが、第2の腕部を有していてもよい。第2の腕部は、例えば、商店内の棚26を通路29側に引き出したり、元の位置に戻したりするために利用することができる。第2の腕部は、腕部14の構成と略同様であってもよい。
【0018】
回転機構21は、腕部14の一部として設けられているが、腕部14の先端側に腕部14とは独立して設けられていてもよい。図2に示すように、回転機構21は、上下方向で規定される軸(例えば、Z軸)の軸回りに第1エンドエフェクタ15および第2エンドエフェクタ16を回転できる。回転機構21は、回転軸21Aと、回転軸21A回りに第1エンドエフェクタ15および第2エンドエフェクタ16を回転させるモータ21Bと、を有する。
【0019】
図3図4に示すように、第2エンドエフェクタ16は、一対の可動式の指状の部材を有している。第2エンドエフェクタ16は、物品27のタグ28を間に挟んで保持可能である(図10参照)。すなわち、第2エンドエフェクタ16は、円柱形の基部34と、基部34から突出して設けられた第1指部35および第2指部36と、第1指部35に対して自由回転可能に設けられた第1パッド37と、第2指部36に対して自由回転可能に設けられた第2パッド38と、を有する。第1指部35および第2指部36は、基部34に対して、円柱形の基部34の中心軸方向にスライド移動可能である。このため、第1指部35および第2指部36は、互いに近づいたり離れたりすることが可能である。第1パッド37は、第1指部35の先端部に設けられており、物品27に直接当接する部分を構成する。第2パッド38は、第2指部36の先端部に設けられており、物品27に直接当接する部分を構成する。第1パッド37は、その第1軸部37Aを中心に自転することができ、第1指部35に対して自由回転可能である。第2パッド38は、その第2軸部38Aを中心に自転することができ、第2指部36に対して自由回転可能である。第1パッド37および第2パッド38は、弾性のある樹脂材料等によって形成されている。
【0020】
したがって、第2エンドエフェクタ16は、第1指部35(第1パッド37)と第2指部36(第2パッド38)との間に物品27のタグ28を挟んで保持する動作、すなわちピンチングをすることができる。第1パッド37および第2パッド38は、第1指部35および第2指部36に対して自由回転できるフリー回転機構40を構成する。
【0021】
第1エンドエフェクタ15は、自己完結型(独立型)の吸引装置で構成される。すなわち、第1エンドエフェクタ15は、物品姿勢変更装置11の本体側の、台車12、機台13、腕部14、第2エンドエフェクタ16、制御部17、第1認識部23、および第2認識部25、とは独立した小型の吸引機構を実現している。
【0022】
図5に示すように、第1エンドエフェクタ15は、物品27のタグ28を吸着により保持することができる。第1エンドエフェクタ15は、小型のポンプ41(真空ポンプ)と、ポンプ41に接続された吸引筒部42と、本体側の制御部17と通信する通信回路43Aを含む制御回路43と、ポンプ41および制御回路43に電力供給するバッテリ44と、これらを収納するケース45と、を有する。吸引筒部42の先端部は、ケース45の外側に突出している。制御回路43中の通信回路43Aは、物品姿勢変更装置11の制御部17とbluetooth等を利用して無線で通信できる。第1エンドエフェクタ15が使用されない際(第2エンドエフェクタ16を使用する際)には、第1エンドエフェクタ15は、載置部18上に適切な姿勢で載置される(図2参照)。この状態から、第1エンドエフェクタ15が再度使用される場合には、制御部17は、腕部14および第2エンドエフェクタ16を駆動して第2エンドエフェクタ16の間に第1エンドエフェクタ15を保持する。
【0023】
載置部18は、任意の形状の台やボックスで構成される。第2エンドエフェクタ16でピンチングを行う際に、載置部18には、第1エンドエフェクタ15を載置可能である。また、制御部17は、第1認識部23および第2認識部25によって得た画像情報中の、タグ28にあるマーカ46のIDなどから、消費期限(賞味期限)の切れた物品27を判別してもよい。制御部17は、腕部14および第1エンドエフェクタ15および第2エンドエフェクタ16を制御して、棚26から消費期限(賞味期限)の切れた物品27を載置部18に回収してもよい。
【0024】
図7図10に示すように、物品27(商品)は、本体27Aと、本体27Aから突出するように設けられたタグ28と、を有する。タグ28には、第1エンドエフェクタ15および第2エンドエフェクタ16で保持されるマーカ46(画像マーカ)を有する。マーカ46は、タグ28の前面28Aの中央部又は中央部付近に設けられることが好ましい。マーカ46は、QRコード(登録商標)(2次元バーコード)や、ARマーカ等の画像マーカで構成される。このようなマーカ46は、画像的な特徴を用いて、タグ28の位置・姿勢を把握するのに利用できるし、さらにはそのIDを認識可能なものであってもよい。マーカ46は、円形、四角形、その他、任意の形状をとることができる。また、タグ28が宣伝などを兼ねるものであれば、制御部17は、その宣伝内容の画像特徴を予め学習することで、それを用いて位置姿勢、物品IDなどを認識してもよい。マーカ46を人の目では分からないように特殊インクで印刷するなどしてもよい。マーカ46は、RFIDタグなどで構成されてもよく、RFIDタグの位置情報を利用して単独で、或いは、必要に応じて第1認識部23および第2認識部25で得られた画像情報と併用しつつ、物品27の位置・姿勢の推定に用いられてもよい。
【0025】
マーカ46は、第1エンドエフェクタ15および第2エンドエフェクタ16で把持される部分を構成することが好ましい。また、予めタグ28を含めた物品形状を、制御部17の記憶装置あるいは制御部17と無線で接続(通信)されるサーバに登録し、物品形状からタグ28の位置姿勢を認識してもよい。また物品形状からのタグ28の位置姿勢認識には、深層学習と言った学習技術、AI、その他を用いてもよい。
【0026】
続いて、図6図11を参照して、本実施形態の物品姿勢変更装置を用いた物品姿勢変更方法について説明する。この物品姿勢変更方法の対象となる物品はさまざまであり、それぞれ固有の形状を有する。例えば、図7の物品27は、サンドイッチおよびその包装フィルムであり、図8の物品27は、小物、生活雑貨、電子機器、電球、部品、その他およびその収納箱であり、図9の物品27は、歯磨き粉や洗顔用せっけん等の収納チューブであり、図10の物品27は、おにぎりおよびその収納フィルムである。
【0027】
最初にタグ位置姿勢認識工程(ステップS1)を実行する。物品27を含めて俯瞰する位置に固定された第1認識部23により、棚26(載置面)上の物品27の位置および姿勢、および、タグ28の位置および姿勢、の認識処理を行う。或いは、下方に配置された第2認識部25により、物品27の位置および姿勢、および、タグ28の位置および姿勢、の認識処理を行う。タグ位置姿勢認識工程(ステップS1)およびそれに続く以下の工程は、図示しない第2腕部によって棚26の引き出し操作を行ってから実施しても当然によい。
【0028】
複数物品27がある場合には、制御部17は、タグ28上のマーカ46のIDなどにより識別し、フェイスアップする物品27を抽出する。対象とする物品27について、正しい姿勢となっているかを判別する(ステップS2)。正しい姿勢は、物品種別によってさまざまであるが、その一例として、物品27の底面が下でタグ28が上下方向に立っている姿勢となる(図7(d)、図8(d)、図9(b)、図10(b)参照)。物品27ごとの正しい姿勢を制御部17の記憶装置あるいは制御部17に無線LAN等の通信ネットワークを通じて接続されたサーバに記憶しておき、必要に応じて読み出し可能としてもよい。
【0029】
正しい姿勢でない場合は、制御部17は、画像認識やその他方法によってタグ28の姿勢を検知することで、ピンチング可能か否かを判別する(ステップS3)。ピンチング可能な状態は、物品27が横倒しになっているがタグ28が上下方向に延びている姿勢などである(図7(a)、図8(a)、図10(a)参照)。すなわち、制御部17は、タグ28の姿勢に関する情報から、タグ28が上下方向に沿う方向に延びているか、あるいはタグ28が上下方向と交差する方向に延びているか、を判断する。
【0030】
その際、制御部17は、タグ28上にあるマーカ46(画像マーカ)を判断に用いてもよい。この場合は、制御部17は、第2エンドエフェクタ16を制御して、第2エンドエフェクタ16の第1指部35(第1パッド37)および第2指部36(第2パッド38)の間にタグ28を把持する。その際には、物品27とさらに上段の棚26との間にはスペースがあるため、第2エンドエフェクタ16は上方向からタグ28にアクセスできる。図10(a)に示すように、制御部17は、腕部14を駆動して第2エンドエフェクタ16を物品27の上方に位置させた後、腕部14および第2エンドエフェクタ16を制御してピンチング:把持動作を行う(ステップS4)。次に制御部17は、物品27の立上げ動作を行う(ステップS5)。立上げ動作では、制御部17は、腕部14を制御して、第2エンドエフェクタ16を上方向に移動させ、物品27を持ち上げていく(特に、図10(a)参照)。物品27は、タグ28以外の部分に重量が集中している。このため、物品27を上方に持ち上げる際には、第2エンドエフェクタ16の第1パッド37および第2パッド38で保持された物品27の一部分に、物品27の自重によって下方に向かう回転力が作用する(図10(a)参照)。第1パッド37および第2パッド38は、第1指部35および第2指部36に対してフリー回転機構40を構成しているために、物品27は、円滑に下方に回動し、徐々に正しい姿勢となる。物品27が棚26(載置面)から離れ、物品27が正しい姿勢になったところで、再び物品27を棚26に置き、ピンチング立上げ動作が完了する(図10(b)参照)。同様に、図7(a)の状態の物品27も同様の作業で図7(d)の状態となり、図8(a)の状態の物品27も同様の作業で図8(d)の状態となる。
【0031】
次に、物品27が正しい位置、向き(方位角)を向いているかを判別する(ステップS6)。ここで正しい位置とは、棚26(載置面)上で通路29寄りの位置に物品27が載置されているか、或いは棚26上の通路29寄りの位置にすでに物品27が載置されている場合には、その物品27の直後に物品27が載置されていることをいう。正しい向き(方位角)とは、物品27の正面47が通路29に対して正対している(すなわち、物品27の正面47が棚26の縁のラインと並行に並んでいる)ことをいう。言い換えると、正しい向き(方位角)とは、物品27の正面の法線がY軸と平行になっている状態をいう。
【0032】
正しい位置・向き(方位角)である場合には、そのまま処理を完了する。正しい位置・向き(方位角)でない場合には、ピンチングによる位置・向き修正動作を行う(ステップS7)。このとき、制御部17は、第2エンドエフェクタ16で物品27のタグ28を把持し、腕部14を駆動して物品27を持ち上げて正しい位置に移動する。さらに制御部17は、第2エンドエフェクタ16で物品27を把持したまま、回転機構21を駆動して第2エンドエフェクタ16をZ軸(上下方向で規定される軸)回りに回転して物品27を正しい向き(方位角)に回転する。これによって、処理を完了する。実施形態のピンチングによる立上げ動作およびピンチングによる移動・回転動作によれば、水平方向への移動、およびZ軸回りの回転動作だけで済む。また、第1パッド37および第2パッド38で挟んだ面(ピンチング面)が、物品27の正面47と平行になっている(但し、図10の例のみピンチング面と物品27の正面とが直交している)。これらの要因によって、精度よくフェイスアップ作業をすることが可能となる。なお、このステップS7の作業は、ステップS5の作業で物品27を棚26(載置面)に置かずに、第2エンドエフェクタ16で物品27を吊り上げた状態のまま、行うことも当然にできる。そのようにすることでフェイスアップ作業にかかる時間をさらに短縮できる。
【0033】
一方、ステップS3において、タグ28が横方向(左右方向、上下方向と交差する方向)に延びている場合には、制御部17は、ピンチング可能でないと判断する(図7(b)、図7(c)、図8(b)、図8(c)、図9(a)参照)。この場合には、制御部17は、腕部14および第2エンドエフェクタ16を制御して、載置部18から第1エンドエフェクタ15をピックアップする。このとき、第1エンドエフェクタ15は、第2エンドエフェクタ16の第1指部35および第2指部36の間に挟まれて保持される。そして、制御部17は、無線通信によって第1エンドエフェクタ15を起動する。これによって、第1エンドエフェクタ15では、制御回路43がポンプ41を駆動して吸引筒部42で吸引力(負圧)を発生させる。本体側の制御部17は、腕部14を駆動して、第1エンドエフェクタ15の吸引筒部42の先端をタグ28に当接させ、吸引筒部42の先端にタグ28を吸着させる(ステップS8)。
【0034】
その際、タグ28上にあるマーカ46(画像マーカ)を用いると、より容易かつ精度よくタグ28の位置が検出される。またタグ28とさらに上段の棚26との間にはスペースがあり、第1エンドエフェクタ15が上方向からアクセス可能である。なお、タグ28は横方向(左右方向)に配置しているため、第1エンドエフェクタ15による吸着は容易である。制御部17は、タグ28の前面28Aか裏面28Bかを、タグ28上のマーカ46(画像マーカ)により識別してもよい。
【0035】
続いて、第1エンドエフェクタ15による立上げ動作を行う(ステップS9)。その際、図11に示すように、制御部17は、腕部14を駆動して第1エンドエフェクタ15を上方向に移動させ、物品27を持ち上げていく。物品27はタグ28よりも本体側が重い。またタグ28は、樹脂フィルム等、柔軟な素材で構成されることが多い。したがって、物品27の立上げ動作時には、タグ28の周囲には、物品27に自重による回転力が下向きに作用する。これによって、例えば、図7(a)の状態の物品27を立上げ動作すると、タグ28が下方に向けて撓んで、図11の状態となって物品27が正しい姿勢となる。物品27が棚26から離れ、物品27が正しい姿勢になったところで、制御部17は、腕部14を操作して再び物品27を降下させ棚26(載置面)上に載置する。物品27が棚26上に載置されたとき、制御部17は無線通信を介して第1エンドエフェクタ15による吸引を停止させる。以上で立上げ動作が完了する。
【0036】
引き続き、物品27が正しい位置、向き(方位角)を向いているかを判別する(ステップS10)。正しい位置・向き(方位角)である場合には、そのまま処理を完了する。正しい位置・向き(方位角)でない場合には、ピンチングによる位置・向き修正動作を行う。このとき、制御部17は、第1エンドエフェクタ15を載置部18に載置して、第2エンドエフェクタ16によって物品27を把持(ピンチング)する(ステップS11)。制御部17は、腕部14を駆動して物品を持ち上げて正しい位置に移動する(ステップS7)。さらに制御部17は、第2エンドエフェクタ16で物品27を把持したまま、回転機構21を駆動して第2エンドエフェクタ16をZ軸回りに回転して物品27を正しい向き(方位角)に回転する。これによって、処理を完了する(ステップS7)。
【0037】
ところで、ステップS2において、すでに物品27が正しい姿勢になっている場合には、ステップS12において、物品27が正しい位置・向き(方位角)であるか否かを判断する。制御部17が、物品27の位置・向き(方位角)が、正しい位置・向き(方位角)であると判断した場合には、そのまま処理を完了する。物品27の位置・向き(方位角)が正しくないと判断された場合には、制御部17は、上記と同様にピンチングを行って(ステップS13)、物品27の位置・向き修正動作を行う(ステップS7)。このとき、制御部17は、第2エンドエフェクタ16で物品27を把持し、腕部14を駆動して物品27を持ち上げて正しい位置に移動する。さらに制御部17は、第2エンドエフェクタ16で物品27を把持したまま、回転機構21を駆動して第2エンドエフェクタ16をZ軸(上下方向で規定される軸)回りに回転して物品27を正しい向き(方位角)に回転する。これによって、処理を完了する。なお、物品27を第1エンドエフェクタ15および第2エンドエフェクタ16のいずれでも把持できない場合には、エラーとなる。その際、適切な方法で警報を発して周囲にいる人間への報知を行ってもよい。
【0038】
上記実施形態では、第1認識部23を物品姿勢変更装置11の上方に配置し、第2認識部25を物品姿勢変更装置11の下方に配置しているが、認識部の配置としてはこれに限られるものではない。図12に示す変形例のように、腕部14の途中に第3認識部51を設けてもよい。これによって、物品27の近くに認識部を設けることができ、さらに高精度に物品27の位置および姿勢、タグ28の位置および姿勢を認識できる。第3認識部51は、デジタルカメラ等、第1認識部23と同様の構成であってよい。
【0039】
また、図13に示す変形例のように、物品27は、タグ28よりも幅広であってもよい。また、図10に示す例のように、厳密にはタグ28とはいえない物品27の包装フィルムの一部或いは包装フィルムの突出した部分をタグ28として利用しても当然によい。なお、本実施形態では、第1エンドエフェクタ15および第2エンドエフェクタ16の両方が設けられているが、物品姿勢変更装置11が第1エンドエフェクタ15および第2エンドエフェクタ16のいずれか一方のみを有していても当然によい。物品姿勢変更装置11に第1エンドエフェクタ15のみを設ける場合には、腕部14に対して第1エンドエフェクタ15を固定的に設けることが好ましい。
【0040】
本実施形態によれば以下のことが言える。
【0041】
物品姿勢変更装置11は、突出したタグ28を有する物品27のタグ28を吸着により保持可能な第1エンドエフェクタ15と、第1エンドエフェクタ15を支持するとともに、少なくとも上下方向に沿って第1エンドエフェクタ15を移動可能な腕部14と、腕部14と、第1エンドエフェクタ15と、を制御して、タグ28を保持することで物品27を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により物品27の角度を変え、物品27を下方向に移動させて物品27を前記載置面に置き、タグ28の保持を解除する制御部17と、を備える。
【0042】
物品姿勢変更方法は、物品27のタグ28を吸着により保持可能な第1エンドエフェクタ15と、第1エンドエフェクタ15を支持するとともに少なくとも上下方向に沿って第1エンドエフェクタ15を移動可能な腕部14と、により、タグ28を保持することで物品27を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により物品27の角度を変え、物品27を下方向に移動させて物品27を前記載置面に置き、タグ28の保持を解除する。
【0043】
これらの構成によれば、吸着によって物品27の姿勢を変更できるために、物品27がタグ28を挟んで保持(ピンチング)することが困難な姿勢にある場合でも、これを吸着把持することができる。また、物品27の自重を利用して物品27を回転させることで、物品姿勢変更装置11の全体構成を簡略化することができ、例えば、物品27の斜めの吸着面に対して吸着パッドを斜め方向に当接させるなどといった複雑な作業をしないで済む。これによって複雑な動作計画のプログラムも不要となり、物品姿勢変更装置11の製造コストを低減できるとともに、作業を簡単かつ短時間に行うことができる。これによって、時間のかかるフェイスアップ作業を自動化することができ、店舗運営の効率化を図ることができる。
【0044】
物品姿勢変更装置11は、腕部14に設けられ、前記上下方向で規定される軸の軸回りに第1エンドエフェクタ15を回転させる回転機構21を有する。この構成によれば、物品27の向き(方位角)が正しい向きからずれていた場合でも、自動で物品27を正しい向き(方位角)に並べることができる。これによって、店舗管理作業を効率よく行うことができる。
【0045】
物品姿勢変更装置11は、突出したタグ28を有する物品27のタグ28を間に挟んで保持可能な第2エンドエフェクタ16と、第2エンドエフェクタ16を支持するとともに、少なくとも上下方向に沿って第2エンドエフェクタ16を移動可能な腕部14と、腕部14と、第2エンドエフェクタ16と、を制御して、タグ28を保持することで物品27を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により物品27の角度を変え、物品27を下方向に移動させて物品27を前記載置面に置き、タグ28の保持を解除する制御部17と、を備える。
【0046】
物品姿勢変更方法は、物品27のタグ28を間に挟んで保持可能な第2エンドエフェクタ16と、第2エンドエフェクタ16を支持するとともに少なくとも上下方向に沿って第2エンドエフェクタ16を移動可能な腕部14と、により、タグ28を保持することで物品27を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により物品27の角度を変え、物品27を下方向に移動させて物品27を載置面に置き、タグ28の保持を解除する。
【0047】
これらの構成によれば、第2エンドエフェクタ16によってタグ28を挟持可能な姿勢にある物品27について、さらに短時間で効率よく正しい姿勢に並べることができる。また、物品27の自重を利用して物品27を回転させることで、物品姿勢変更装置11の全体構成を簡略化することができる。
【0048】
第2エンドエフェクタ16は、第1指部35と、第1指部35に対向するとともに第1指部35に近づいたり離れたり可能な第2指部36と、第1指部35に対して自由回転可能に設けられタグ28の一方の面に当接する第1パッド37と、第2指部36に対して自由回転可能に設けられタグ28の他方の面に当接する第2パッド38と、を有する。
【0049】
この構成によれば、簡単な構造でタグ28を両側から挟んで保持する構造を実現できる。また、第1指部35、第2指部36、第1パッド37、第2パッド38によって自由回転機構が構成されるために、物品を持ち上げて物品27の自重で物品27の角度を変える際に、角度変更作業を円滑に行うことができる。
【0050】
物品姿勢変更装置11は、突出したタグ28を有する物品27のタグ28を吸着により保持可能な第1エンドエフェクタ15と、タグ28を間に挟んで保持可能な第2エンドエフェクタ16と、第1エンドエフェクタ15および第2エンドエフェクタ16を支持するとともに、少なくとも上下方向に沿って第1エンドエフェクタ15および第2エンドエフェクタ16を移動可能な腕部14と、腕部14と、第1エンドエフェクタ15および第2エンドエフェクタ16の少なくとも一方と、を制御して、タグ28を保持することで物品27を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により物品27の角度を変え、物品27を下方向に移動させて物品27を前記載置面に置き、タグ28の保持を解除する制御部17と、を備える。
【0051】
物品姿勢変更方法は、物品27のタグ28を吸着により保持可能な第1エンドエフェクタ15およびタグ28を間に挟んで保持可能な第2エンドエフェクタ16のいずれかと、第1エンドエフェクタ15および第2エンドエフェクタ16を支持するとともに少なくとも上下方向に沿って第1エンドエフェクタ15および第2エンドエフェクタ16を移動可能な腕部14と、により、タグ28を保持することで物品27を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により物品27の角度を変え、物品27を下方向に移動させて物品27を前記載置面に置き、タグ28の保持を解除する。
【0052】
これらの構成によれば、物品27のタグ28を間に挟んで保持できる場合には、そのようにして物品27の姿勢を正しくし、物品27のタグ28を吸着できる場合には、そのようにして物品27の姿勢を正しくすることができる。このため、物品27の姿勢に応じて適切な把持手法を選択することができ、把持不能でエラーとなる回数を低減して、ユーザフレンドリーかつ効率的な店舗管理を行うことができる。
【0053】
第2エンドエフェクタ16は、第1エンドエフェクタ15を間に挟んで保持可能である。この構成によれば、第1エンドエフェクタ15を適宜に着脱可能な構造を実現できるとともに、第2エンドエフェクタ16を支持する構造を第1エンドエフェクタ15で兼ねることができる。これによって、物品27の姿勢に応じてエンドエフェクタの種類を変更可能で、かつ、第2エンドエフェクタ16を支持・固定するための専用の部材を省略して部品点数を削減した物品姿勢変更装置11を実現できる。
【0054】
第1エンドエフェクタ15が載置される載置部を備える。この構成によれば、第1エンドエフェクタ15を分離して、第2エンドエフェクタ16で作業をする際に便利であり、作業時間を短縮することができる。また、必要に応じて第1エンドエフェクタ15をピックアップして再び第1エンドエフェクタ15で作業をする場合にも便利である。
【0055】
物品姿勢変更装置11は、タグ28の姿勢に関する情報を取得する認識部を備え、制御部17は、タグ28の姿勢に関する情報から、タグ28が前記上下方向に沿う方向に延びているか、あるいはタグ28が前記上下方向と交差する方向に延びているか、を判断し、制御部17は、タグ28が前記上下方向に沿う方向に延びていると判断した場合には、腕部14と、第2エンドエフェクタ16と、を制御して、タグ28を保持することで物品27を上方向に吊り上げて載置面から離間させて自重により物品27の角度を変え、物品27を下方向に移動させて物品27を前記載置面に置き、タグ28の保持を解除し、制御部17は、タグ28が前記上下方向と交差する方向に延びていると判断した場合には、腕部14と、第1エンドエフェクタ15と、を制御して、タグ28を保持することで物品27を上方向に吊り上げて載置面から離間させて物品27の角度を変え、物品27を下方向に移動させて物品27を前記載置面に置き、タグ28の保持を解除する。
【0056】
この構成によれば、物品27の姿勢に応じて制御部17が自動で適切な把持方法を選択することができ、エラーの発生回数を低減してユーザフレンドリー且つ効率的な店舗管理作業を行うことができる。
【0057】
タグ28の1つの面には、前記認識部で認識可能なマーカ46が設けられる。この構成によれば、マーカ46を利用して、タグ28の姿勢や物品種別の判別をより一層効率的に行うことができる。
【0058】
物品姿勢変更装置11は、物品27の位置情報を取得する第2認識部25を前記載置面よりも下側に備える。この構成によれば、物品27が載置される載置面が透明で構成される場合に、物品位置をさらに正確に把握することができる。これによって、効率的な店舗管理作業を行うことができる。
【0059】
物品姿勢変更方法は、認識部により、前記載置面に置かれた物品27の姿勢に関する情報を取得し、制御部17により、物品27の姿勢に関する情報から、物品27が所定の方位角で並んでいるか否かを判断し、制御部17により、物品27が所定の方位角で並んでいないと判断された場合に、第2エンドエフェクタ16と、腕部14と、前記上下方向で規定される軸の軸回りに第2エンドエフェクタ16を回転させる回転機構21と、により、タグ28を保持することで物品27を上方向に吊り上げて載置面から離間させて物品27の方位角を前記所定の方位角に変更し、物品27を下方向に移動させて物品27を前記載置面に置き、タグ28の保持を解除する。
【0060】
この構成によれば、物品27の向き(方位角)を機械によって自動的に調整することができる。これによって、店舗管理に要する作業時間を低減することができ、店舗管理を効率化することができる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。また、各実施形態及び変形例に記載された発明を適宜に組み合わせて一つの発明を実現することも当然にできる。
【符号の説明】
【0062】
11…物品姿勢変更装置、14…腕部、15…第1エンドエフェクタ、16…第2エンドエフェクタ、17…制御部、21…回転機構、23…第1認識部、25…第2認識部、26…棚、27…物品、28…タグ、35…第1指部、36…第2指部、37…第1パッド、38…第2パッド、46…マーカ、47…正面、51…第3認識部。
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