(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水溶性ポリビニルアルコールと、グリセロール、ソルビトール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む可塑剤ブレンドとの混合物を含む水溶性フィルムであって、 (i)前記可塑剤ブレンドが、少なくとも25PHRで30PHR以下の範囲の量で存在するか、または
(ii)前記可塑剤ブレンドが、少なくとも20PHRの量で存在し、かつ個々の成分が、
6.0PHR<グリセロール<13.5PHR、
1.0PHR<ソルビトール<5.0PHR、及び
10.0PHR<2−メチル−1,3−プロパンジオール<15.0PHRであり、
(a)前記水溶性ポリビニルアルコールが、6モル%〜10モル%の範囲内のカルボキシルペンダント基変性度、10.5cP〜22.5cPの範囲内の粘度、及び80%〜99%の範囲内の加水分解度を有する、マレイン酸変性ポリビニルアルコールコポリマーを含み、かつ/または
(b)前記水溶性ポリビニルアルコールが、4.0モル%〜6モル%の変性度、10cP〜30cPの粘度、及び90.0%〜99.8%の加水分解度を有する、アクリル酸メチル変性ポリビニルアルコールコポリマー樹脂を含み、
前記混合物が、放出調節剤及びブロッキング防止充填剤をさらに含み、前記ブロッキング防止充填剤が、3〜11ミクロンの範囲内の中央粒径を有する、未処理の合成非晶質SiO2粒子を含む、水溶性フィルム。
水溶性ポリビニルアルコールと、グリセロール、ソルビトール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む可塑剤ブレンドとの混合物を含む水溶性フィルムであって、 前記可塑剤ブレンドが、少なくとも25PHRの量で存在し、かつ個々の成分が、
5.0PHR<グリセロール<11.3PHR、
1.25PHR<ソルビトール<7.5PHR、及び
12.5PHR<2−メチル−1,3−プロパンジオール<18.8PHRであり、
(a)前記水溶性ポリビニルアルコールが、6モル%〜10モル%の範囲内のカルボキシルペンダント基変性度、10.5cP〜22.5cPの範囲内の粘度、及び80%〜99%の範囲内の加水分解度を有する、マレイン酸変性ポリビニルアルコールコポリマーを含み、かつ/または
(b)前記水溶性ポリビニルアルコールが、4.0モル%〜6モル%の変性度、10cP〜30cPの粘度、及び90.0%〜99.8%の加水分解度を有する、アクリル酸メチル変性ポリビニルアルコールコポリマー樹脂を含み、
前記混合物が、放出調節剤及びブロッキング防止充填剤をさらに含み、前記ブロッキング防止充填剤が、3〜11ミクロンの範囲内の中央粒径を有する、未処理の合成非晶質SiO2粒子を含む、水溶性フィルム。
水溶性ポリビニルアルコールと、グリセロール、ソルビトール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む可塑剤ブレンドとの混合物を含む水溶性フィルムであって、 前記可塑剤ブレンドが、少なくとも30PHRの量で存在し、かつ個々の成分が、
6.0PHR<グリセロール<13.5PHR、
1.5PHR<ソルビトール<9.0PHR、及び
15PHR<2−メチル−1,3−プロパンジオール<22.5PHRであり、
(a)前記水溶性ポリビニルアルコールが、6モル%〜10モル%の範囲内のカルボキシルペンダント基変性度、10.5cP〜22.5cPの範囲内の粘度、及び80%〜99%の範囲内の加水分解度を有する、マレイン酸変性ポリビニルアルコールコポリマーを含み、かつ/または
(b)前記水溶性ポリビニルアルコールが、4.0モル%〜6モル%の変性度、10cP〜30cPの粘度、及び90.0%〜99.8%の加水分解度を有する、アクリル酸メチル変性ポリビニルアルコールコポリマー樹脂を含み、
前記混合物が、放出調節剤及びブロッキング防止充填剤をさらに含み、前記ブロッキング防止充填剤が、3〜11ミクロンの範囲内の中央粒径を有する、未処理の合成非晶質SiO2粒子を含む、水溶性フィルム。
水溶性ポリビニルアルコールと、グリセロール、ソルビトール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む可塑剤ブレンドとの混合物を含む水溶性フィルムであって、 前記可塑剤ブレンドが、少なくとも30PHRの量で存在し、かつ個々の成分が、
7.6PHR<グリセロール<11.8PHR、
2.2PHR<ソルビトール<7.3PHR、及び
15PHR<2−メチル−1,3−プロパンジオール<18.5PHRであり、
(a)前記水溶性ポリビニルアルコールが、6モル%〜10モル%の範囲内のカルボキシルペンダント基変性度、10.5cP〜22.5cPの範囲内の粘度、及び80%〜99%の範囲内の加水分解度を有する、マレイン酸変性ポリビニルアルコールコポリマーを含み、かつ/または
(b)前記水溶性ポリビニルアルコールが、4.0モル%〜6モル%の変性度、10cP〜30cPの粘度、及び90.0%〜99.8%の加水分解度を有する、アクリル酸メチル変性ポリビニルアルコールコポリマー樹脂を含み、
前記混合物が、放出調節剤及びブロッキング防止充填剤をさらに含み、前記ブロッキング防止充填剤が、3〜11ミクロンの範囲内の中央粒径を有する、未処理の合成非晶質SiO2粒子を含む、水溶性フィルム。
前記ポリビニルアルコールが、6モル%〜10モル%の範囲内のカルボキシルペンダント基変性度、10.5cP〜22.5cPの範囲内の粘度、及び80%〜99%の範囲内の加水分解度を有する、マレイン酸変性ポリビニルアルコールコポリマーである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
前記放出調節剤が、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、前述のうちのいずれかの直鎖または分岐鎖形、前述のうちのいずれかの飽和または非飽和形、前述のうちのいずれかの置換または非置換形、からなる群から選択される1つ以上の化合物を含む、請求項11〜8のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
前記放出調節剤が、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、前述のうちのいずれかの直鎖または分岐鎖形、前述のうちのいずれかの飽和または非飽和形、前述のうちのいずれかの置換または非置換形、からなる群から選択される1つ以上の化合物を含む、請求項21〜25のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
本明細書で使用される「含む(Comprising)」は、様々な区画、成分、または段階が本開示を実施する際に相まって利用され得ることを意味する。したがって、「含む」という用語は、より限定的な用語「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」を包含する。本組成物は、本明細書に記載される必要とされ、かつ任意の要素のいずれを含み得、本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなり得る。
【0017】
本明細書に使用される「液体」には、ペースト、液体、ゲル、発泡体、及びムースが含まれる。液体の限定されない例としては、軽質または重質の液状洗剤組成物、布地増強剤、硬表面洗浄用組成物、洗濯及び食器洗いによく用いられるゲル洗剤、漂白及び洗濯用添加剤、シャンプー、ボディーソープ、ならびに他のパーソナルケア用組成物が含まれる。気体(例えば懸濁気泡、または固体、例えば粒子)が、液体内部に含まれ得る。例えば、洗濯ケア用の軽質または重質の液状洗剤組成物が、特に企図される。
【0018】
別に指定されない限り、百分率、部、比率のすべては、本開示のフィルム組成物の総乾燥質量またはパケット内容組成物の総重量に基づき、かつ測定はすべて、約25℃で行われた。別の指定のない限り、列挙された成分に関連する質量はすべて、活性レベルに基づくものであるため、市販の材料に含まれている可能性のある担体または副産物を含まない。
【0019】
本明細書に記載されるすべての範囲は、すべての可能なサブセットの範囲及びそのようなサブセットの範囲の任意の組み合わせを含む。初期値とは、別に指定されない限り、範囲は、記述された終点を含まれる。様々な範囲の値が提供される場合には、その範囲の上限と下限との間に入るそれぞれの値、及びその記述された範囲における任意の他の記述された値または間に入る値が、本開示に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は独立して、そのより小さな範囲に含まれてもよく、これらはまた、記述された範囲内のあらゆる明確に除外される限界値に従って、本開示内に包含される。記述された範囲が、一方または両方の限界値を含む場合、それらの含まれる限界値のいずれかまたは両方を除く範囲もまた、本開示の一部であることが企図される。
【0020】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に対して厳密に制限されると理解されない。それよりむしろ、特に指定されない限り、そのような寸法のそれぞれは、列挙した値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図される。例えば、「40mm」と開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0021】
本明細書に記載されるパウチは、水溶性フィルムを含む。水溶性フィルム、水溶性フィルムを含むパウチ、パウチと共に含まれる組成物(すなわち、「パウチ組成物」)、パウチ用の包装、及びパウチを利用する洗浄プロセスを、以下の本明細書に記載する。
【0022】
本明細書で使用するとき、パケット(複数可)及びパウチ(複数可)は、置き換え可能と考えなければならない。ある特定の実施形態では、パケット(複数可)及びパウチ(複数可)という用語は、それぞれ、フィルムを用いて作製された容器、及び好ましくはその中に材料を入れて密封した、例えば測定された用量の送達システムのような形の密封容器を指すために用いられる。密封パウチは、ヒートシール、溶媒接着、及び接着密封(例えば、水溶性接着剤を用いて)等のプロセス及び特徴を含む、任意の好適な方法で作製することができる。
【0023】
本明細書で使用するとき、特に指定されない限り、「重量%(wt.%)」及び「重量%(wt%)」という用語は、全フィルムの「乾燥」(非水)重量部(該当する場合)またはパウチ内に封入された全組成物の重量部(該当する場合)における、特定された要素の組成を指すことを意図する。本明細書で使用するとき、特に指定のない限り、「PHR」という用語は、水溶性フィルム内の水溶性ポリマー(または樹脂;PVOHまたはそうでなければ)の百部当たりの、同定された要素の組成の部数を指すことを意図する。
【0024】
以下に記載されるとき、本明細書に記載されるフィルムは、驚くほど、(1)以下に記載される液体放出試験(Liquid Release Test)によって測定される、液体成分を含有するパウチを調製するために使用したとき、許容される液体放出特性、(2)溶解チャンバ試験(Dissolution Chamber Test)を特徴とする、非常に低い残留性能、及び(3)以下に記載される摩擦係数試験(Coefficient of Friction Test)によって測定される、比較的低い摩擦係数(COF)を特徴とする自動化装置を用いたパウチに変換される卓越した能力(変換可能性)、の組み合わせを提供する。
【0025】
フィルムは、水溶性ポリビニルアルコール(PVOH)コポリマー樹脂、可塑剤、放出調節剤、ブロッキング防止充填剤、及び任意の成分を含む。
【0026】
フィルムは、溶媒キャスト法によって作製され得る。フィルムは、熱成形、及び例えば、容器の外面周辺のフィルム層の溶媒密封または熱密封を含む、任意に好適なプロセスによって容器(パウチ)を形成するために使用することができる。パウチは、例えば、バルク水に送達される材料を投与するために使用され得る。
【0027】
フィルム、パウチ、及び関連する作製方法、及びその使用は、特に指定されない限り、(実施例及び図面に示されるものを含む)以下にさらに記載されるさらなる任意の要素、特性、及びステップのうちのいずれかの組み合わせを含む、実施形態を含むことが企図される。
【0028】
水溶性フィルム
本明細書に記載されるフィルム及び関連パウチは、可塑化された、溶媒キャスト法の水溶性フィルムを含む。一態様では、水溶性フィルムは、PVOHコポリマーを任意に含む1つ以上のPVOHポリマーを含むPVOH樹脂を全体で少なくとも約50重量%を含む。フィルムは、任意に好適な厚さを有し得、約76ミクロン(μm)のフィルム厚さは、典型的かつ具体的に企図される。企図される他の値及び範囲は、約5〜約200μmの範囲内、または約20〜約100μmの範囲内、または約40〜約90μm、または約50〜80μm、または約または約60〜65μm、例えば、65μm、76μm、または88μmの値を含む。
【0029】
PVOH樹脂
本明細書に記載されるフィルムは、フィルムのPVOH樹脂内容物を作製するために1つ以上のポリビニルアルコール(PVOH)ポリマーを含み、PVOHコポリマー樹脂を含むことができる。
【0030】
ポリビニルアルコールは、通常加水分解または鹸化と呼ばれるポリ酢酸ビニルのアルコール分解により一般に調製される合成樹脂である。実質的にすべてのアセテート基がアルコール基に変換された、完全に加水分解されたPVOHは、強力に水素結合された、高結晶性ポリマーであり、約140°F(約60℃)よりも高温の温水にのみ溶解する。PVOHポリマーが部分的に加水分解される、ポリ酢酸ビニルの加水分解後に十分な数のアセテート基が残存することが許容される場合、次いで、ポリマーは、より弱く水素結合され、それほど結晶性が高くなく、概して、約50°F(約10℃)未満の冷水に溶解する。したがって、部分的に加水分解されたポリマーは、PVOHコポリマーであるが、一般に、PVOHと称される、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマーである。
【0031】
具体的には、PVOH樹脂は、アニオン性モノマー単位、ビニルアルコールモノマー単位、及び任意に酢酸ビニルモノマー単位を含む、部分的にまたは完全に加水分解されたPVOHコポリマーを含むだろう。様々な実施形態では、アニオン性モノマーは、酢酸ビニル、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メチルアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルアクリレート、上記のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、もしくは他のアルカリ金属塩)、上記のエステル(例えば、メチル、エチル、もしくは他のC
1−C
4もしくはC
6アルキルエステル)、ならびにそれらの組み合わせ(例えば、複数の種類のアニオン性モノマーもしくは等価形態の同じアニオン性モノマー)のうちの1つ以上であり得る。例えば、アニオン性モノマーとしては、1つ以上のメチルプロパンスルホン酸アクリルアミド(例えば、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メチルアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)及びそれらのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)が挙げられる。同様に、アニオン性モノマーとしては、マレイン酸モノメチル及びそのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)のうちの1つ以上が挙げられる。
【0032】
ある種の実施形態では、PVOHは、カルボキシル基によって変性されたコポリマーである。別の態様では、PVOHは、ジカルボキシル型モノマーで変性され得る。一部類の実施形態では、カルボニルのα炭素は、不飽和結合(例えば、マレイン酸、フマル酸)に接触される。別の部類のこれらの実施形態では、カルボニルのα炭素は、メチル分岐と不飽和結合(例えば、シトラコン酸、メサコン酸)に接触される。別の部類のこれらの実施形態では、カルボニルのβ炭素は、不飽和結合(例えば、イタコン酸、グルタコン酸シス、グルタコン酸トランス)に接触される。アルキルカルボキシル基を提供するモノマーが企図される。マレイン酸タイプ(例えば、マレイン酸モノメチルを含むマレイン酸ジアルキル)コモノマーは、具体的に企図される。
【0033】
PVOH樹脂におけるアニオン性官能基の含有量は、1〜10モル%、または1.5%〜8%、または2〜6%、または1%〜4%の範囲内、例えば、2%、3%、4%、5%、6%、7%、または8%であり得る。
【0034】
別の態様では、共重合により導入されたペンダント基の数は、1%〜20%、または1.5%〜8%、または2%〜12%、または2%〜10%の範囲内、または少なくとも2.5%、または少なくとも3%、または少なくとも3.5%、例えば、2%、3%、6%、または8%であり得る。
【0035】
フィルム内のPVOHコポリマーの量は、フィルムの総重量に基づいて約55〜約95重量%、または約60%〜90%、または約65%〜約85%の範囲内であり得る。2つの液体可塑剤が使用される場合、様々な範囲の約75%〜約80%のPVOHコポリマーが、具体的には、例えば、76%、77%、または78%企図される。2つの液体可塑剤が使用される場合、様々な範囲の約65%〜約75%のPVOHコポリマーが、具体的には、例えば、67%、68%、69%、70%、71%、または72%企図される。
【0036】
フィルムの総PVOH樹脂含量は、少なくとも80%、84%、または85%、及び最高でも約99.7%、98%、96%、または80%、例えば、約84%〜約90%、または85%〜88%の範囲内、または86.5%、または85%〜99.7%、約88%〜98%、または90%〜96%の範囲内、例えば、91%、92%、93%、94%、95%、または96%の、加水分解度(D.H.またはDH)を有し得る。本明細書で使用するとき、加水分解度は、ビニルアルコール単位に変換された酢酸ビニル単位のモル百分率として表される。
【0037】
粘度
PVOHポリマーの粘度(μ)は、英国規格EN ISO 15023−2:2006別紙E Brookfield試験法に記載される、新たに作製した溶液をULアダプタ付きのBrookfield LV型粘度計を使用して測定することにより決定される。20℃の4% ポリビニルアルコール水溶液の粘度を表示することが国際的慣行である。本明細書にセンチポアズ(cP)で指定するすべての粘度は、特に指定されない限り、20℃の4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を指すと理解されるべきである。同様に、ある樹脂が特定の粘度を有する(または有さない)と記載されている場合は、特に指定されない限り、指定された粘度が、対応する分子量分布を本質的に有する樹脂の平均粘度であることを意図する。
【0038】
PVOH樹脂は、少なくとも約10cP、12cP、13cP、13.5cP、14cP、15cP、16cP、または17cP、及び最高でも約30cP、28cP、27cP、26cP、24cP、22cP、20cP、19cP、18cP、または17.5cP、例えば、約13cP〜約27cP、または約13.5cP〜約20cP、または約18cP〜約22cP、または約14cP〜約19cP、または約16cP〜約18cP、または約17cP〜約16cPの範囲内、例えば、23cP、または20cP、または16.5cPの平均粘度を有し得る。PVOH樹脂の粘度がPVOH樹脂の重量平均分子量
に相関することは当技術分野では公知であり、粘度はしばしば
の代わりに使用される。
【0039】
他の水溶性ポリマー
PVOHコポリマーフィルムに加えて使用するための他の水溶性ポリマーは、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマー、場合によってはPVOHホモポリマーと称される、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラギーナン、及びデンプンを含むが、これらに限定されない水溶性天然ポリマー、加工デンプン、エトキシル化デンプン、及びヒドロキシプロピル化デンプンを含むがこれらに限定されない水溶性ポリマー誘導体、上記のコポリマー、ならびに上記のうちの任意の組み合わせ、を含み得るが、これらに限定されない。さらに他の水溶性ポリマーは、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、及びそれらの塩、セルロース、セルロースエーテル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸、及びそれらの塩、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びそれらの塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、及び上記のうちの任意の組み合わせ、を含み得る。そのような水溶性ポリマーは、PVOHまたはそうでなければ、様々な源から市販されている。
【0040】
可塑剤
可塑剤は、グリセロール、ジグリセロール、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、400MWまでのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ソルビトール、2−メチル−1,3−プロパンジオール(例えば、MP Diol(登録商標))、エタノールアミン、及びそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、またはそれらの組み合わせから選択され得る。ある種の実施形態では、可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む。別の種の実施形態では、可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、及びトリメチロールプロパンを含む。可塑剤の総量は、全フィルム重量に基づいて、約10重量%〜約45重量%、または約重量%〜約45重量%、または約15重量%〜約35重量%、または約20重量%〜約30重量%の範囲内、例えば、約25重量%であり得る。
【0041】
例えば、グリセロール、ソルビトール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオールの組み合わせで、可塑剤の総量は、約10重量%〜約40重量%、または約15重量%〜約45重量%、または約20重量%〜約30重量%、または約22重量%〜約28重量%の範囲内、例えば、25重量%であり得る。これらの範囲は、概して、可塑剤のうちの2つ(グリセロール及び2−メチル−1,3−プロパンジオール)が室温で液体であり、1つ(ソルビトール)が室温で固体であるため、より低い。任意に、グリセロールは、約2重量%〜約25重量%、または3重量%〜約20重量%、または約4重量%〜約14重量%、または約6重量%〜約12重量%、例えば約9重量%の量で使用され得る。任意に、ソルビトールは、約0.1重量%〜約20重量%、または約0.5重量%〜約15重量%、または約1重量%〜約10重量%、または約2重量%〜約6重量%、例えば約3.3重量%の量で使用され得る。任意に、2−メチル−1,3−プロパンジオールは、約5重量%〜約30重量%、または約10重量%〜約22.5重量%、または約12重量%〜約18重量%、例えば、16重量%の量で使用され得る。
【0042】
別の態様では、可塑剤の量は、PHRにおいて特徴付けられ得る。それ故に、例えば、グリセロール、ソルビトール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオール(MPD)の組み合わせで、可塑剤の総量は、例えば、少なくとも20PHR、または少なくとも25PHRであり得る。可塑剤の総量は、例えば、最高でも40PHRまたは45PHRであり得る。可塑剤の総量は、例えば、20〜40PHR、または25〜40PHR、または25〜35PHR、または25〜30PHRであり得る。可塑剤の総量は、30PHRであり得る。
【0043】
ある種の実施形態では、個々の成分は、6.0PHR<グリセロール<13.5PHR、1.0PHR<ソルビトール<5.0PHR、及び10.0PHR<MPD<15.0PHRであり、かつ任意に、可塑剤の総量が、20PHRまたは少なくとも20PHRであることを特徴とし得る。これらの特徴及び20PHRの総可塑剤を有する実施形態は、(1)10%における弾性率<80N/mm
2、(2)DC(5分)残留<35重量%、(3)引裂強度>1000g/ミル、(4)引張強度>35MPa、(5)修正された溶解時間
3ミル<80秒、及び(6)静的COF<1を含む、好ましい範囲の物理的特徴を示し得る。
【0044】
別の種の実施形態では、個々の成分は、5.0PHR<グリセロール<11.3PHR、1.25PHR<ソルビトール<7.5PHR、及び12.5PHR<MPD<18.8PHRであり、かつ任意に、可塑剤の総量が、25PHRまたは少なくとも25PHRであることを特徴とし得る。これらの特徴及び25PHRの総可塑剤を有する実施形態は、(1)10%における弾性率<90N/mm
2、(2)DC(5分)残留<45重量%、(3)引裂強度>1000g/ミル、(4)引張強度>35MPa、(5)修正された溶解時間
3ミル<90秒、及び(6)静的COF<1を含む、好ましい範囲の物理的特徴を示し得る。
【0045】
別の種の実施形態では、個々の成分は、6.0PHR<グリセロール<13.5PHR、1.5PHR<ソルビトール<9.0PHR、及び15PHR<MPD<22.5PHRであり、かつ任意に、可塑剤の総量が、30PHRまたは少なくとも30PHRであることを特徴とし得る。これらの特徴及び30PHRの総可塑剤を有する実施形態は、(1)10%における弾性率<80N/mm
2、(2)DC(5分)残留<35重量%、(3)引裂強度>1000g/ミル、(4)引張強度>35MPa、(5)修正された溶解時間
3ミル<80秒、及び(6)静的COF<1を含む、好ましい範囲の物理的特徴を示し得る。
【0046】
別の種の実施形態では、個々の成分は、7.6PHR<グリセロール<11.8PHR、2.2PHR<ソルビトール<7.3PHR、及び15PHR<MPD<18.5PHRであり、かつ任意に、可塑剤の総量が、30PHRまたは少なくとも30PHRであることを特徴とし得る。これらの特徴及び30PHRの総可塑剤を有する実施形態は、(1)10%における弾性率<80N/mm
2、(2)DC(5分)残留<35重量%、(3)引裂強度>1700g/ミル、(4)引張強度>35MPa、(5)修正された溶解時間
3ミル<80秒、及び(6)静的COF<1を含む、好ましい範囲の物理的特徴を示し得る。
【0047】
それ故に、別の企図された実施形態では、フィルムは、本明細書に記載されるグリセロール、ソルビトール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む可塑剤ブレンド、ならびにカルボキシルペンダント基の、6モル%〜10モル%、または7モル%〜9モル%の範囲内の変性度、10.5cP〜22.5cP、または12.5cP〜約22.5cP、または15.0cP〜約20.0cPの範囲内の粘度、及び約80%〜99%または85%〜95%の範囲内の加水分解度を有するマレイン酸ポリビニルアルコールコポリマーを含み、これは、例えば、本明細書に記載されるPVOH−6と一致する。この種のフィルムは、DC(5分)残留及び修正された溶解時間の特徴の好ましい組み合わせを示した。以下の実施例2を参照のこと。
【0048】
フィルムは、本明細書に記載されるグリセロール、ソルビトール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む可塑剤ブレンド、ならびに約4.0〜約6.0、または約4.5〜5.5の変性度、約10cP〜30cP、または約15cP〜約25cP、または約17cP〜約23cPの粘度、及び約98〜約99.8、または99〜約99.8の加水分解度を有するアクリル酸メチルポリビニルアルコールコポリマー樹脂を含み得、これは、例えば、本明細書に記載されるPVOH−4と一致する。この種のフィルムは、DC(5分)残留及び修正された溶解時間の特徴の好ましい組み合わせを示した。以下の実施例2を参照のこと。
【0049】
別例では、グリセロール、ソルビトール、及びトリメチロールプロパンの組み合わせの中で、可塑剤の総量は、約25重量%〜約50重量%、または約30重量%〜約45重量%、または約35重量%〜約45重量%、または約40重量%〜約45重量%、例えば、42重量%の範囲内であり得る。これらの範囲は、概して、可塑剤のうちの2つ(ソルビトール及びTMP)(グリセロール)が室温であり、1つ(グリセロール)が液体であるため、より高い。任意に、グリセロールは、約5重量%〜約40重量%、または10重量%〜約35重量%、または約15重量%〜約30重量%、例えば、約20重量%の量で使用することができる。任意に、ソルビトールは、約1重量%〜約20重量%、または約3重量%〜約20重量%、または約5重量%〜約15重量%、例えば、10重量%の量で使用することができる。任意に、トリメチロールプロパンは、約1重量%〜約25重量%、または約2重量%〜約20重量%、または約5重量%〜約15重量%、例えば、約10重量%の量で使用することができる。
【0050】
別の態様では、可塑剤の量は、PHRにおいて特徴付けられ得る。それ故に、例えば、グリセロール、ソルビトール、及びトリメチロールプロパン(TMP)の組み合わせで、可塑剤の総量は、例えば、少なくとも30PHR、または少なくとも35PHRであり得る。可塑剤の総量は、例えば、最大で40PHRまたは45PHRまたは50PHRであり得る。可塑剤の総量は、例えば、30〜50PHR、約32.5PH〜約42.5PHR、または35〜45PHR、または35〜40PHRの範囲内、または30PHR超及び45PHR未満、または40PHR〜50PHRであり得る。可塑剤の総量は、37.5PHRであり得る。
【0051】
ある種の実施形態では、個々の成分は、19.5PHR<グリセロール<22.5PHR、6.7PHR<ソルビトール<11.7PHR、及び6.3PHR<TMP<9.5PHRであり、かつ任意に、可塑剤の総量が、37.5PHRまたは少なくとも37.5PHRであることを特徴とし得る。これらの特徴及び37.5PHRの総可塑剤を有する実施形態は、(1)10%における弾性率<30N/mm
2、(2)DC(5分)残留<50重量%、(3)引裂強度>1000g/ミル、(4)引張強度>35MPa、(5)修正された溶解時間
3ミル<100秒、及び(6)静的COF<1を含む、好ましい範囲の物理的特徴を示し得る。
【0052】
別の種の実施形態では、個々の成分は、19.5PHR<グリセロール<22.5PHR、7.6PHR<ソルビトール<11.7PHR、及び6.3PHR<TMP<7.5PHRであり、かつ任意に、可塑剤の総量が、37.5PHRまたは少なくとも37.5PHRであることを特徴とし得る。これらの特徴及び37.5PHRの総可塑剤を有する実施形態は、(1)10%における弾性率<30N/mm
2、(2)DC(5分)残留<50重量%、(3)引裂強度>1000g/ミル、(4)引張強度>35MPa、(5)修正された溶解時間
3ミル<95秒、及び(6)静的COF<1を含む、好ましい範囲の物理的特徴を示し得る。
【0053】
別の種の実施形態では、個々の成分は、22.5PHR<グリセロール<23.3PHR、10.3PHR<ソルビトール<15PHR、及び7.5PHR<TMP<10.2PHRであり、かつ任意に、可塑剤の総量が、45PHRまたは40〜50PHRであることを特徴とし得る。これらの特徴及び45PHRの総可塑剤を有する実施形態は、(1)10%における弾性率<30N/mm
2、(2)DC(5分)残留<50重量%、(3)引裂強度>1000g/ミル、(4)引張強度>35MPa、(5)修正された溶解時間
3ミル<100秒、及び(6)静的COF<1を含む、好ましい範囲の物理的特徴を示し得る。
【0054】
別の種の実施形態では、個々の成分は、22.5PHR<グリセロール<23.3PHR、13.0PHR<ソルビトール<15PHR、及び7.5PHR<TMP<9.0PHRであり、かつ任意に、可塑剤の総量が、45PHRまたは40〜50PHRであることを特徴とし得る。これらの特徴及び45PHRの総可塑剤を有する実施形態は、(1)10%における弾性率<30N/mm
2、(2)DC(5分)残留<50重量%、(3)引裂強度>1000g/ミル、(4)引張強度>35MPa、(5)修正された溶解時間
3ミル<95秒、及び(6)静的COF<1を含む、好ましい範囲の物理的特徴を示し得る。
【0055】
本明細書に記載される実施例の可塑剤レベルと一致する可塑剤レベルは、具体的には、本明細書に記載されるいくつかの他の成分を有するフィルム製剤に対する代表的なレベル、ならびに範囲に対して様々な上限及び下限の両方が企図される。具体的な量の可塑剤は、水溶性フィルムの所望のフィルム柔軟性及び変換特性を含む、本明細書に記載される因子に基づいて特定の実施形態において選択され得る。可塑剤の低レベルで、フィルムは、脆弱になり、プロセスには困難であるか、または遮断する傾向があり得る。可塑剤の上昇レベルで、フィルムは、柔らかすぎて、脆弱、または所望の使用のために処理するのが困難になる場合がある。
【0056】
可塑剤は、その材料をより柔らかく、より柔軟にする(ポリマーのガラス転移温度を低下させることによって)、及び処理することを容易にする、材料(通常、樹脂またはエラストマー)に添加する液体、固体、または半固体である。ポリマーは、代替として、ポリマーまたはモノマーを化学的に変性することによって、内部に可塑化し得る。加えて、または別の方法では、ポリマーは、好適な可塑剤の添加によって、外部に可塑化し得る。本明細書に記載されるフィルムにおける可塑剤の組み合わせは、第1の可塑剤としてグリセロール、第2の可塑剤として糖アルコール、ならびに第1の可塑剤及び第2の可塑剤と異なる第3の可塑剤としてポリオールを含む。ある種の実施形態では、水溶性フィルムは、第1、第2、及び第3の可塑剤以外の可塑剤(例えば、他の可塑剤が完全に存在しない、または約1未満のPHRの他の可塑剤、または約0.5未満のPHRの他の可塑剤、または約0.2未満のPHRの他の可塑剤)が実質的に存在しないであろう。他の実施形態では、水溶性フィルムは、第1、第2、及び第3の可塑剤以外のさらなる可塑剤(例えば、糖アルコール、ポリオール、またはそうでなければ)を含み得る。糖アルコール可塑剤は、例えば、イソマルト、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリトリトール、アドニトール、ズルシトール、ペンタエリトリトール、またはマンニトールであり得る。特定の態様では、糖アルコール可塑剤は、ソルビトール、またはイソマルト等のソルビトールを含有する可塑剤であり得る。ポリオール可塑剤は、例えば、ジグリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、400MWまでのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、またはポリエーテルポリオールであり得る。特定の態様では、ポリオール可塑剤は、プロピレングリコール、または1,3プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、例えば、トリメチロールプロパンであり得る。一部類の実施形態では、水溶性フィルムは、ポリビニルアルコール(PVOH)ポリマー、ならびに第1の可塑剤としてグリセロール、第2の可塑剤としてソルビトール、及び第3の可塑剤として2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む可塑剤ブレンドを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、水溶性フィルムは、概して、室温及び/または一般的用法、保存、もしくは輸送温度で固体である少なくとも1つの可塑剤(例えば、第2の可塑剤、第3の可塑剤として、またはそうでなければ)、例えば、約10℃もしくは20℃〜約30℃、40℃、もしくは50℃の範囲内の固体であり、かつ/またはそのような範囲を上回る融点(例えば、鋳造等の一般的なフィルム形成プロセスを下回るが、一般的用法、保存、もしくは輸送温度を上回る融点)を有する可塑剤を含み得る。そのような固体可塑剤の例は、ソルビトール(95℃の融点)及びトリメチロールプロパン(58℃の融点)を含む。加えてまたは代替として、水溶性フィルムは、概して、室温及び/または一般的用法、保存、もしくは輸送温度で液体であり、例えば、約10℃もしくは20℃〜約30℃、40℃、もしくは50℃の範囲内の液体であり、かつ/またはそのような範囲を下回る融点を有する、少なくとも1つの可塑剤(例えば、第2の可塑剤、第3の可塑剤として、またはそうでなければ)を含み得る。
【0058】
ブロッキング防止充填剤
SiO
2は、転換可能性のための低COFを提供するのに役立ち、任意に、それは、残留の低下に役立つ。
【0059】
ブロッキング防止充填剤(例えばSiO
2)の濃度が0に達する場合に、傾向は、増加するのにブロッキング力(ロール上のあるフィルム層をもう一方の層から分離する力である)のためであろう。最低レベルのブロッキング防止充填剤(例えばSiO
2)が企図され、ある濃度を超えて、ブロッキング力の任意にさらなる低下がブロッキング防止充填剤(例えばSiO
2)によって提供される場合、制限されよう。換言であれば、さらなるレベルを有するブロッキング力の低下は、概して、
図1に示される、「逆S字形状」であろう。
【0060】
ブロッキング防止充填剤(例えばSiO
2)は、少なくとも0.1PHR、または少なくとも0.5PHR、または少なくとも1PHR、または約0.1〜3.0PHR、または約0.3〜約2.0PHR、または約0.4〜1.0PHR、または約0.5〜約0.9PHR、または約0.5〜約2PHR、または約0.5〜約1.5PHR、または0.1〜1.2PHR、または0.1〜2.7PHRの範囲内で、例えば、0.5PHR、0.6PHR、0.7PHR、0.8PHR、または0.9PHRの量でフィルム中に存在し得る。特定の理論によって拘束されることを決して意図するものではないが、0.5PHRのブロッキング防止充填剤(例えばSiO
2)によって提供されるブロッキングの低下が、線形ではない、例えば、0.5〜1.0のブロッキングの減少が、1.0〜1.5の減少よりも高い減少であろう。ブロッキング防止充填剤(例えばSiO
2)レベルが十分に高くなる場合のある時点で、一緒に粒子を結合するのに十分なPVOH樹脂がないであろうことを理解するのは容易である。そのような高レベルで、フィルムが、水に対してさらに限定された曝露の際に、その含量を非常に迅速に放出するであろうことを理解するのは容易である。負荷レベルがその点に達するよりずっと前に、結果として生じるフィルムの引張特性は、包装フィルムとしてその使用のために許容できないレベルまで低下するであろう。より高い濃度のブロッキング防止充填剤(例えばSiO
2)は、ある時点で、主にブロッキング防止剤としてまたは単独で役立つというよりもむしろ、フィルムに対して溶解する傾向を増加させるであろう。下述のように、放出調節剤(例えば、ステアリン酸)と対照的に、ブロッキング防止充填剤(例えばSiO
2)にフィルムの表面に移行させることを期待する理由がない。したがって、ブロッキング防止充填剤(例えばSiO
2)の添加はまた、より高濃度で、洗濯プロセスにおける残留の低下の好ましい利点を提供するが、液体放出試験によって測定されるように、パウチとして使用したときに、放出時間における好ましくない効果も有し得る。
【0061】
二酸化ケイ素/シリカに加えて、炭酸カルシウム及びタルクは、ブロッキング防止/充填剤としての使用のために企図される。ブロッキング防止/充填剤のために好適な中央粒径は、約3または約4ミクロン〜約11ミクロン、または約4〜約8ミクロン、または約5〜約6ミクロンの範囲内、例えば、5、6、7、8、もしくは8ミクロンの中央粒径を含む。好適なSiO
2は、水溶液系で用いるのに設計された未処理の合成非晶質シリカである。ブロッキング防止剤及び充填剤としてポリビニルアルコールフィルムで用いるための当該技術分野で知られているさらなる薬剤は、デンプン、加工デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶性セルロース、金属酸化物、及び雲母を含む。
【0062】
放出調節剤
いかなる特定の理論にも拘束されることを意図するものではないが、ステアリン酸は、以下の理由:(a)PVOH樹脂及び添加剤の流延溶液を作製するために使用される水の沸点を下回る融点を有し、そのために、約90℃を下回る融点を有する酸が特に好ましい、(b)それが効果的にブロッキングの低減及びCOFの低減に役立つ「ワックス状」物質であり得るように十分長いアルキル鎖を有する、(C)水溶性フィルムが、例えば、パウチを作製するフィルム変換器への、次いで、フィルム変換器から最終製品として消費者への、輸送及び保管中に経験するような典型的な高温(例えば、より典型的には高くとも50℃または40℃であるが、極端な状況では70℃もの高温、を優に上回る十分に高い融点を有する、のうちの1つ以上のために、放出調節剤として有効に作用すると考えられ、したがって、約50℃超または約60℃超または約70℃超の融点を有する酸が企図される。それ故に、約50℃〜約90℃、または約60℃〜約90℃、または約70℃〜約90℃の範囲内の融点を有する蝋酸が、企図される。
【0063】
また、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、前述のうちのいずれかの直鎖または分岐鎖形、前述のうちのいずれかの飽和または非飽和形、前述のうちのいずれかの置換または非置換形、具体的には、約50℃超もしくは約60℃超もしくは約70℃超、または約50℃〜約90℃、もしくは約60℃〜約90℃、もしくは約70℃〜約90℃の範囲内、及び前述のうちのいずれかの組み合わせの融点を有するものも、企図される。また、約50℃超もしくは約60℃超もしくは約70℃超、または約50℃〜約90℃、もしくは約60℃〜約90℃、もしくは約70℃〜約90℃の範囲内、及び前述のうちのいずれかの組み合わせの融点を有する脂肪酸塩も、企図される。また、約50℃超もしくは約60℃超もしくは約70℃超、または約50℃〜約90℃、もしくは約60℃〜約90℃、もしくは約70℃〜約90℃の範囲内、及び前述のうちのいずれかの組み合わせの融点を有する脂肪族アミンアセテート及び脂肪族アルコール、例えば、水素化獣脂アミンアセテートも、企図される。1つ以上の放出調節剤の組み合わせが、フィルムで用いるために企図される。
【0064】
具体的には、ドデカン酸(融点44℃)、トリデカン酸(融点45℃)、テトラデカン酸(融点54℃)、ペンタデカン酸(融点43℃)、ヘキサデカン酸(融点63℃)、ヘプタデカン酸(融点63℃)、オクタデカン/ステアリン酸(融点70℃)、ノナデカン酸(融点69℃)、エイコサン酸(融点77℃)、ヘンエイコサン酸(融点82℃)、ドコサン酸(融点81℃)、トリコサン酸(融点79℃)、テトラコサン酸(融点88℃)、ペンタコサン酸(融点84℃)、ヘキサコサン酸(融点88℃)、ヘプタコサン酸(融点82℃)、オクタコサン酸(融点90℃)、ノナコサン酸(融点90℃)、トリアコンタン酸(融点94℃)、エイコサン酸メチルエステル(融点46℃)、ヘンエイコサン酸メチルエステル(融点49℃)、ドコサン酸メチルエステル(融点54℃)、トリコサン酸メチルエステル(融点53℃)、テトラコサン酸メチルエステル(融点60℃)、ペンタコサン酸メチルエステル(融点61℃)、ヘキサコサン酸メチルエステル(融点64℃)、ヘプタコサン酸メチルエステル(融点64℃)、オクタコサン酸メチルエステル(融点67℃)、ノナコサン酸メチルエステル(融点69℃)、トリアコンタン酸(融点72℃)、及び具体的には、60℃〜80℃の範囲内の融点を有するもの、からなる群から選択される1つ以上の化合物が企図される。
【0065】
とりわけ、ステアリン酸は、水溶性ではないが、100℃以下で溶解し、フィルム転換可能性に対して低いCOF、液体放出試験によって測定されるように、パウチとして使用したときに、放出時間を増加させるための短期間の表面耐水性、及びブロッキング防止特徴を含むが、これらに限定されない、1つ以上の利点を提供するのに役立つように鋳造されるであろう水溶液中で溶解し、混合することが可能である。
【0066】
放出調節剤(例えばステアリン酸)は、任意に、ブロッキング防止機能を有し得る。これらの実施形態では、放出調節剤(例えばステアリン酸)の濃度が、0に達する場合、ブロッキング力は、増加する傾向があり、最小レベルの放出調節剤(例えばステアリン酸)が企図され、ある濃度を超えて、ブロッキング力の任意にさらなる低下が放出調節剤(例えばステアリン酸)によって提供される場合、制限されよう。これを、
図1中に図式的に示す。
【0067】
液体放出試験によって測定される放出時間に関しては、放出調節剤(例えばステアリン酸)の効果は、
図1の反対の傾向であることが企図される。つまり、低レベルの放出調節剤(例えばステアリン酸)で、液体放出試験によって測定される放出時間を増加させるいかなる効果もほとんどなく、次いで、閾値で、放出時間が、増加を開始し、次いで、安定するであろう。
【0068】
放出調節剤(例えばステアリン酸)における最適濃度は、いくつかの実施形態では、フィルムをパウチに変換させる方法に応じて異なり得る。フィルムがヒートシールを用いてパウチに変換される場合、パウチシールが溶媒シール(例えば、水シール)である場合よりも、さらに高い負荷の放出調節剤(例えばステアリン酸)に容易に耐容性を示し得る。これは、ヒートシールが溶解されたPVOHの融合から形成され、かつフィルム表面だけよりもフィルム特性のバルクによってさらに影響を受け、放出調節剤(例えばステアリン酸)が、いくつかの実施形態では、濃縮され得るためである。放出調節剤(例えばステアリン酸)が優先的に表面上にある場合、水は、ステアリン酸を溶解せず、したがって、PVOHは、良好なシールを形成するために、容易に可溶化しないであろう。特定の理論によって拘束されることを決して意図するものではないが、いくつかの放出調節剤、例えばステアリン酸を用いた、フィルムの空気側(フィルムの帯側と対照的に)は、放出調節剤においてより濃厚であろうと考えられる。この不均等性は、いくつかの実施形態では、フィルムの帯間の側面/表面でフィルムのより良好な密封において、有利であり得るが、空気側面/表面は、パウチの外側を形成し得、それ故に、バルク水に曝露され得、溶けにくい場合があり、液体放出試験によって測定されるように、放出時間性能を好都合に増加させ得るため、有利であり得る。
【0069】
概して、放出調節剤(例えばステアリン酸)は、少なくとも0.1PHR、もしくは少なくとも0.5PHR、もしくは少なくとも1PHR、または約0.1〜3.0PHR、もしくは約0.3〜約2.0PHR、もしくは約0.4〜1.0PHR、もしくは約0.5〜約0.9PHR、もしくは約1.0〜1.5PHR、もしくは約0.5〜約2PHR、もしくは約0.5〜約1.5PHR、もしくは0.1〜1.2PHRの範囲内、例えば、0.5PHR、0.6PHR、0.7PHR、0.8PHR、0.9PHR、1.0PHR、1.1PHR、1.2PHR、1.3PHR、1.4PHR、もしくは1.5PHRの量でフィルム内に存在し得る。
【0070】
当業者は、可塑剤レベルが増加する場合に、得られたフィルムの機械的特性が減少し、フィルムがより迅速に溶解するであろうことが容易に理解されよう。したがって、最適レベルの放出調節剤(例えばステアリン酸)が、いくつかの実施形態では、フィルム内の可塑剤濃度に関連することが企図される。より低レベルの可塑剤で、フィルムが、溶けにくく、その結果として、より低レベルの放出調節剤(例えば、ステアリン酸)は、フィルムが、液体放出試験によって測定されるように、放出時間の標的を最低30秒間満たすことが確実にすることを必要とされ得る。逆に、さらに可塑剤をフィルムに添加する場合、フィルムが、さらに容易に溶解する傾向があり、また、ブロッキング力が増加する傾向があり、その結果として、ブロッキング防止充填剤(例えば、SiO
2)及び放出調節剤(例えばステアリン酸)の両方のより高い負荷が、良好な性能を達成することが必要とされ得る。
【0071】
それ故に、例えば、放出調節剤(例えばステアリン酸)対全可塑剤の比率は、重量で、約1:20〜約1:40、または約1:28〜約1:40の範囲内、例えば、1:31、1:32、1:33、1:34、1:35、または1:36であり得る。別の種の実施形態では、この比率は、例えば、1:20〜1:36の範囲内であり得る。
【0072】
考慮されるフィルム製剤の別の態様は、放出調節剤(例えばステアリン酸)と組み合わせたブロッキング防止充填剤(例えばSiO
2)の全レベルである。具体的には、少なくとも0.2PHR、または少なくとも0.5PHR、少なくとも1PHR、及び少なくとも1.5PHR、最大4PHR、または4PHR未満、または3.5PHR未満、または3PHR未満、または2PHR未満、または1.5PHR以下、または最大3.5PHR、または最大3PHR、例えば、約1.0PHR〜約4PHR、または1.0PHR〜約3PHR、または約1.0PHR〜2.0PHRの範囲内の値が、企図される。少なくとも0.1PHR〜0.5PHR、または少なくとも0.1PHR、または少なくとも0.5のPHRの最低限の各成分もまた、企図される。1.5〜2.5PHRの最大限の各成分、例えば、1.5PHR、2.0PHR、または2.5PHRもまた、企図される。
【0073】
考慮されるフィルム製剤の別の態様は、放出調節剤(例えばステアリン酸)と組み合わせたブロッキング防止充填剤(例えばSiO
2)対総量の可塑剤の全レベルの比率である。具体的には、重量で、約1:5〜1:21または約1:12〜約1:21、または約1:15〜約1:18、例えば、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、または1:19の範囲内の比率が、企図される。別の種の実施形態では、放出調節剤(例えばステアリン酸)と組み合わせたブロッキング防止充填剤(例えばSiO
2)対総量の可塑剤の全レベルの比率が、1:14未満、または1:13未満、または1:8未満、または1:7未満、または1:6未満、例えば、1:5〜1:12、または1:5〜1:7の範囲内であり得る。
【0074】
考慮されるフィルム製剤の別の態様は、ブロッキング防止充填剤(例えばSiO
2)対放出調節剤(例えばステアリン酸)の全レベルの重量比である。具体的には、例えば、1:3〜3:1、または1:2〜2:1の範囲、または2:1未満、または1.5:1未満、または1:1、または1:1未満、または1:1.5、または1:2、または1:3が、企図される。
【0075】
補助フィルム成分
水溶性フィルムは、可塑剤相溶化剤、界面活性剤、滑沢剤、放出剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、脱粘着剤、泡止め剤(消泡剤)、層状ケイ酸型ナノクレイ等のナノ粒子(例えば、モンモリロナイトナトリウム)、漂白剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム等)、苦味剤(例えば、安息香酸デナトニウム、デナトニウムサッカリド、及び塩化デナトニウム等のデナトニウム塩;オクタ酢酸スクロース;キニン;ケルセチン及びナリンゲニン等のフラボノイド;ならびにクアシン及びブルシン等のクアソノイド)ならびに辛味(例えば、カプサイチン、ピペリン、イソチオシアン酸アリル、及びレシニフェラトキシン)等の嫌悪剤、ならびに他の機能性成分等であるが、これらに限定されない、他の助剤及び加工剤を、意図される目的に適した量で含有することができる。可塑剤を含む実施形態が好ましい。そのような薬剤の量は、個別または集合的に、最大約50重量%、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、4重量%、及び/または少なくとも0.01重量%、0.1重量%、1重量%、または5重量%であり得る。
【0076】
好適な界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性、及び双性イオン性の部類が含まれ得る。好適な界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三級アセチレングリコール、及びアルカノールアミド(非イオン性)、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩、及び四級化ポリオキシエチレン化アミン(カチオン性)、ならびにアミンオキシド、N−アルキルベタイン、及びスルホベタイン(双性イオン性)が含まれるが、これらに限定されない。他の公的な界面活性剤には、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、グリセロールとプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のラクチルエステル、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、レシチン、グリセロールとプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、及び脂肪酸のアセチル化エステル、ならびにこれらの組み合わせが含まれる。様々な実施形態では、水溶性フィルム中の界面活性剤の量は、約0.1重量%〜2.5重量%、任意に約1.0重量%〜2.0重量%の範囲内である。
【0077】
残留水分
水溶性フィルムは、カールフィッシャー滴定によって測定される、少なくとも4重量%、例えば、約4〜約10重量%の範囲内の残留含水量をさらに有し得る。
【0078】
冷水溶性
上述のように、本発明のフィルム及びそれから作製される物品は、具体的には、冷水溶解に適しており、したがって、冷水洗浄(例えば、約1℃〜約30℃、または約5℃〜約20℃)において利益をもたらす。
【0079】
残留
水溶性フィルムは、溶解チャンバ試験によって測定されるように、約48重量%またはそれ以下の残留値を特徴とする。別の精緻化では、水溶性フィルムは、溶解チャンバ試験によって測定されるように、48重量%未満(例えば、約10重量%、20重量%、30重量%、または35重量%〜約40重量%、または約40重量%〜約45重量%)の残留値を有する。
【0080】
溶解チャンバ試験
残留のための溶解チャンバ試験は、静止条件下で溶解するフィルムを測定し、拡散駆動される。溶解チャンバ試験の結果は、修正された溶解時間とあまり相関していない。修正された溶解時間は、動的応力(水を移動させる)下で溶解するフィルムに基づいている。溶解チャンバ試験は、それ故に、フィルムが、静的条件下、洗濯サイクル中の畳んだ織物間に閉じ込められた洗濯洗剤パウチとして、いかに溶解し得るかをさらに示す。
【0081】
溶解チャンバ(DC)試験による非溶解残留を特徴とするか、またはそれを試験される水溶性フィルムを、以下の材料を用いて、以下のように分析する。
1.ビーカー(4000ml)、
2.ステンレス鋼ワッシャ(3.5インチ(88.9mm)OD、1.875インチID(47.6mm)、厚さ0.125インチ(3.18mm))、
3.スチレン−ブタジエンゴム製ガスケット(3.375インチ(85.7mm)OD、1.91インチID(48.5mm)、厚さ0.125インチ(3.18mm))、
4.ステンレス鋼スクリーン(3.0インチ(76.2mm)OD、200×200メッシュ、0.0021インチ(0.053mm)ワイヤーOD、304SSステンレス鋼ワイヤークロス)、
5.温度計(0℃〜100℃、+/−1℃までの精度)、
6.切断用パンチ(直径1.5インチ(38.1mm))、
7.タイマー(最も近い秒までの精度)、
8.逆浸透(RO)水、
9.バインダークリップ(サイズ番号#5または等価物)、
10.アルミニウム製パン(2.0インチ(50.8mm)OD)、及び
11.超音波処理機。
【0082】
試験する各フィルムについて、切断用パンチを使用して、3つの試験片を、3.0±0.10ミル(または76.2±2.5μm)の厚さを有する選択された試験フィルムから切断する。連続プロセスによって作製されたフィルムウェブから切断される場合、試験片は、ウェブの横断方向に沿って(すなわち、機械方向に垂直に)等間隔のウェブエリアから切断されるべきである。次いで、以下の手順を使用して各試験片を分析する。
1.フィルム試験片の重さを量り、試験を通して試験片を追跡する。初期フィルム重量(F
o)を記録する。
2.各試験片について一組の2つの超音波処理した清潔な乾燥したスクリーンの重さを量り、試験を通してそれを追跡する。初期フィルム重量(合わせた2つのスクリーンについて、集合的に、S
o)を記録する。
3.2枚のスクリーンの中心の間でフィルム試験片を平らに挟み、続いて2つのゴム製ガスケット(スクリーンとワッシャとの間の各側に1つのガスケット)、そして次の2つのワッシャで挟むことによって、試験片溶解チャンバを組み立てる。
4.ワッシャ周辺で均等に離間した4つのバインダークリップで溶解チャンバアセンブリを固定し、これらのクリップはスクリーンから離して折り返す。
5.実験室の室温(72+/−3°F、22+/−2℃)の1,500mlのRO水でビーカーを満たし、室温を記録する。
6.5分の所定の浸漬時間にタイマーを設定する。
7.溶解チャンバアセンブリをビーカーの中に入れ、直ちにタイマーを開始し、約45度の入射角で水表面に溶解チャンバアセンブリを挿入する。この入射角は、チャンバからの気泡を除去するのに役立つ。溶解チャンバアセンブリは、試験片フィルムが底部から約10mmに水平に位置付けられるように、ビーカーの底部に静置する。溶解チャンバアセンブリの4つの折り返されたバインダークリップがビーカーの底部から約10mmのフィルムの隙間を維持するのに好適であるが、任意の他の同等の支持手段を用いてもよい。
8.5分の所定の経過所定の浸漬時間で、約45度の角度でビーカーから溶解チャンバアセンブリをゆっくり取り出す。
9.スクリーンからのいずれの液滴も捉えるように、アルミニウム製パン上で水平に溶解チャンバアセンブリを保持して、慎重にバインダークリップ、ワッシャ、及びガスケットを取り外す。挟まれたスクリーンをこじ開けないこと。
10.挟まれたスクリーン(すなわち、スクリーン/残留物が溶解しなかったフィルム/スクリーン)を、アルミニウム製パン上に置き、乾燥するまで100℃で30分間オーブンに入れる。
11.乾燥された一組の挟まれたスクリーンのセットを、その中のいずれの残留する溶解しなかったフィルムも含めて、計量する。測定し、この乾燥したスクリーン重量に、溶解チャンバアセンブリが初めにビーカーから取り出されたとき及び乾燥中に、パンの中に捉えられた、またそのパンから(例えば、こすることによって)回収された、いずれの乾燥したフィルム液滴も加える。最終の挟まれたスクリーン重量(乾燥したフィルム液滴を含む、集合的に、S
f)を記録する。
12.フィルム試験片に残留した残留の割合(%)(「DC残留」)を計算する:DC残留(%)=100*((S
f−S
o)/F
o)。
13.RO水の入ったビーカーの中に挟まれたスクリーンを約20分間浸すことによって、それらを洗浄する。次いで、それらを分解し、(スイッチを入れ、RO水で満たされた)超音波処理機中で最終のすすぎを、少なくとも5分間または残留物がスクリーン上に見えなくなるまで行う。
【0083】
別途明確に記載されない限り、本明細書に記載されるすべての結果は、5分間の溶解時間のDC残留時間を表し、すなわち、DC(5分)残留である。
【0084】
本開示による水溶性フィルムの好適な挙動は、DC試験によって測定される、約25重量%もしくはそれ以下、または約20重量%もしくはそれ以下のDC残留値によって示される。概して、激しい洗浄条件(例えば、水の少ない条件下(洗濯機の過剰負荷等のような)及び冷洗浄水条件下)後に洗浄物品に残っている残留フィルムの可能性を減らすために、より低いDC残留値が望ましい。様々な実施形態では、水溶性フィルムは、少なくとも1、2、3、4、5、10、もしくは12重量%及び/または最大約25、20、18、15、12、10、8、もしくは6重量%、(例えば、約2重量%〜約25重量%、または約2重量%〜約20重量%、または約3重量%〜約18重量%、または約4重量%〜約6重量%、または約5重量%〜約12重量%、または約7重量%〜約10重量%の範囲内)のDC残留値を有する。
【0085】
溶解及び崩壊試験(MSTM 205)
フィルムは、当該技術分野で周知される方法、MonoSol Test Method 205(MSTM 205)に基づく溶解時間及び崩壊時間を特徴とし得るか、またはそれらを試験され得る。例えば、米国特許第7,022,656号を参照のこと。
【0086】
装置及び材料:
1.600mLのビーカー
2.電磁撹拌器(Lablineモデル番号1250または等価物)
3.電磁撹拌棒(5cm)
4.温度計(0〜100℃±1℃)
5.テンプレート、ステンレス鋼(3.8cm×3.2cm)
6.タイマー(0〜300秒、最も近い秒までの精度)
7.Polaroid 35mmスライドマウント(または等価物)
8.MonoSol 35mmスライドマウントホルダー(または等価物)
9.蒸留水
【0087】
試験する各フィルムについて、ステンレス鋼テンプレートを使用して3つの試験片をフィルム試料から切断する(すなわち、3.8cm×3.2cmの試験片)。フィルムウェブから切断される場合、試験片は、ウェブの横断方向に沿って等間隔のウェブエリアから切断されるべきである。次いで、以下の手順を使用して各試験片を分析する。
1.各試験片を別々の35mmスライドマウント内にロックする。
2.ビーカーを500mLの蒸留水で満たす。温度計で水温を測定し、必要な場合は、温度を20℃(約68°F)に維持するように水を加熱または冷却する。
3.水柱の高さを記録する。電磁撹拌器をホルダーの基部上に置く。ビーカーを電磁撹拌器上に置き、電磁撹拌棒をビーカーに加え、撹拌器をオンにし、水柱の高さの約5分の1の渦が発達するまで撹拌速度を調節する。渦の奥行きを記録する。
4.スライドマウントの長い端部が水面に平行になるように、35mmスライドマウントを35mmスライドマウントホルダーの鰐口クリップ内に固定する。ホルダーの深さ調節器は、落下されたとき、クリップの端部が水面下0.6cmになるように据え付けられるべきである。フィルム表面が水の流れに対して垂直になるように、スライドマウントの短い側面のうちの一方はビーカーの側面の隣にあり、他方は撹拌棒の中心の直接上方に位置付けられるべきである。
5.1つの動作で、固定されたスライド及びクリップを水中に落下させ、タイマーを始動させる。崩壊は、フィルムが破断するときに発生する。すべての目に見えるフィルムがスライドマウントから放たれたら、未溶解のフィルム断片がないか溶液を監視しながら、スライドを水の外に引き揚げる。溶解は、すべてのフィルム断片がもはや目に見えなくなり、溶液が澄むときに発生する。
【0088】
結果には、以下のもの、すなわち、試料の完全な識別、個々の及び平均の崩壊時間及び溶解時間、ならびに試料を試験した際の水温が含まれるべきである。
【0089】
フィルム崩壊時間(I)及びフィルム溶解時間(I)は、それぞれ、方程式1及び方程式2において以下に示される指数関数アルゴリズムを用いて、標準または参照フィルム厚さに修正され得る。
I
修正された=I
測定された×(参照厚さ/実測厚さ)
1.93[1]
S
修正された=S
測定された×(参照厚さ/実測厚さ)
1.83[2]
【0090】
機械的特性
摩擦係数試験
摩擦係数法が互いに摺擦されている二片の材料の摩擦を試験し、一片をもう一方に移動させるために必要な力が測定される。スレッドを開始する力(静摩擦)及びスレッドが移動し続ける力(動摩擦)は両方とも、ASTM D1894「プラスチックフィルム及びシートの摩擦試験」を用いて、負荷セルによって測定される。
【0091】
この方法は、Instron(登録商標)摩擦係数試験固定モデル2810−005または同等物、
図2に示される代表的な図、ならびにInstron(登録商標)試験機モデル番号5543または同等物を使用する。
【0092】
試験装置は、摩擦固定治具10を含み、その上に摩擦スレッド12を置き、その上にフィルム試料14を固定する。スレッド12を、摩擦固定治具10を固定させる滑車22と係合するプルコード20を介して上部グリップ18に連結させる。下部連結部24は、試験固定治具をInstron(登録商標)試験機(図示せず)に固定させる。
【0093】
Instron(登録商標)方法によれば、Blue Hillプログラム:「The system:最大値について特定されたチャネルにおける開始値から最終値までのデータを検索し、最大値の割合によって上昇し、下降する第1のデータ点を決定し、第1のピークとしてこの点を割り当て、静摩擦係数を決定するために、方程式:静摩擦=第1のピーク/スレッド重量、を使用し、第1のピークから最終値までの領域の平均負荷を計算するために、方程式:平均負荷=エネルギー/伸長の変化、を使用し、動摩擦係数を決定するために、方程式:動摩擦=平均負荷/スレッド重量、を使用する」
【0094】
試験片は、試験領域を形成するために、スレッドについては、(5インチ×5インチの正方形(12.7cm×12.7cmの正方形)及び表面については、5インチ×8インチの長方形(12.7cm×20.3cm)の寸法を有する試料からなるものとする。フィルム厚さが静的COFに影響を及ぼさないであろうと考えられるが、このフィルムは、3.0±0.10ミル(または76.2±2.5μm)の厚さを有し得る。試料は、例えば、剃刀の刃及び適切な寸法のテンプレートを使用して切断することができる。適用する場合、試料は、長い寸法が鋳造フィルムの機械方向と平行になるように切断しなければならない。また、適用する場合、5インチ×5インチの試料の方向は、引っ張られるスレッドの方向が、フィルム試料の機械方向と平行になるように、試験において注意し、配向されなければならない。
【0095】
試験片は、75°F±5°F及び相対湿度35%±5%で、試験前の少なくとも8時間条件付けられるものとし、試験は、同じ温度及び相対湿度条件下で行われる。
【0096】
COF装置の取り付け手順
1.Instron(登録商標)摩擦試験係数固定モデル2810−005の下顎からクレビスピンを取り外し、取り出す。
2.上顎からクレビスピンを取り外し、取り出す。
3.Instron(登録商標)試験機モデル番号5543のベースアダプターに摩擦固定治具の下部連結部を置く。
4.それにクレビスピンを取り付ける。
5.上部クレビスピンにプルコードの一端のループを滑り込ませ、固定クリップと交換する。
6.試験機モデル番号5543を較正する
7.摩擦スレッドフック上にプルコードのもう一方の端にあるループを滑り込ませる。
8.滑車が自由に回転することができることを確認する
9.プルコードの緩みがなくなり、滑車周辺の溝に配向されるまでスレッドを移動させる。
10.スレッドが滑車に入り込むことなく、全長50mmの試験に沿って摩擦スレッドを引き込むのに十分な移動空間があるように、Instron(登録商標)摩擦試験係数固定モデル2810−005の移動クロスヘッド(上部ヘッド)を位置付ける。
11.クロスヘッドが移動している間、コードを指示されたように維持する。
12.Instron番号5543コントロールパネル上のJOGコントロールを使用して、摩擦スレッドの遠端が摩擦固定治具の裏面(動作軸と垂直な平面であり、滑車から最遠)を超えないように、伸長限度を設定する。伸長限度を設定するために、GLボタンを押す。これにより、摩擦スレッドが試験中に滑車と衝突することを防ぎ、対象となる試料の摩擦係数が適切に測定されることを確実にする。
13.これで、試験固定冶具の試験準備が整う。
【0097】
試験片設置の手順
1.適切な配向でアルミニウム摩擦固定治具上に表面試料を置く。
2.アルミニウム表面の縁部上に表面試料をピンと引っ張り、摩擦固定治具の底側に試料をテープで張る。
3.表面上のスレッドの結合を回避するために、連結部から最遠に摩擦固定治具の末端に沿ってテープを張ることは重要である。
4.材料が教示されたが、伸びていないことを確認する。
5.フィルムの機械方向が、スレッドが引っ張られるであろう方向と平行になるように、5×5インチの試料で摩擦スレッドを包む。
6.スレッドの上で重なる前縁にテープを張り、表面試料上に巻き付くであろう余分な材料がないことを確認する。
7.試料が測定される接触表面上に教示することを確実にするために、摩擦スレッド上の試料のもう一方の端にテープを張る。
8.スレッド上及び摩擦固定治具上の対象となる表面間にテープが入らないことを確認する。
9.摩擦表面上及び摩擦スレッド上の試料は、しわまたは膨らみがないことを教示されなければならず、これらは、COFを測定する際にエラーを引き起こすであろう。
10.試験される表面に接触する異物がないことを確認するためにスレッドを点検する。
11.スレッドをプリコードに取り付け、2つの試験片間にあらゆる不自然な結合が発生するのを防ぐために、摩擦テーブルに非常に軽く、静かにスレッドを置き、試験を速やかに開始する。
12.完全伸長で、スレッドが摩擦固定治具上に置かれた試料の上で完全に静置し、テープに接触せず、または摩擦固定治具の縁の上に突き出ていないことを確認する。
【0098】
COF試験の実施
1.要求された配向(例、空気側−空気側または帯側−帯側)当たり少なくとも3つの試験片を試験する。
2.空気側から帯側の試験の組み合わせについては、空気側の配向のフィルムは、アルミニウム試験表面上に置かれたフィルム試料でなければならず、試験のための帯側は、スレッド周辺に巻き付けられた材料を含まなければならない。
3.粉末または水分が試験の精度を損なう恐れがあるため、フィルム試料片を取り扱う際に、粉末が付いていない防湿手袋を着用すること。
4.例えば、テンプレートを使用して、上述のように試料を切断する。
5.滑車から最遠の摩擦固定治具の末端で第1の試料片で巻き付けられた摩擦スレッドを置く。
6.プルコードが引っ張られる教示を確認する。
7.試験スクリーンから摩擦係数試験と題された「COF.im ptf」を開く。
8.試験を開始するには、スクリーン上の開始ボタンをクリックする。
9.試験片試験の実行が完了したら、okをクリックし、摩擦スレッドを開始位置に戻し、摩擦スレッド及び固定治具上のフィルム試験片を変更する。試験を繰り返す。
【0099】
フィルムは、4.0以下、または2.0以下、または1.5以下、または1.25以下、または1.0以下、例えば、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、またはそれ以下の範囲内で静的COFを特徴とし得る。別の態様では、静的COFは、4.0未満、または約2.4未満、または2未満、または1未満であり得る。
【0100】
一態様では、フィルムは、0.45未満の静的COF、40〜60MPaの範囲内の引張強度、及び1000〜2100g/ミルまたは1150〜2100g/ミルの範囲内の引裂強度を有することを特徴とし得る。
【0101】
引張強度試験及び弾性率試験(ASTM D 882)
引張強度試験に基づく引張強度及び弾性率試験に基づく弾性率(または引張応力)を特徴とするか、またはそれらを試験されるフィルムを、以下のように分析する。手順には、ASTM D 882(「薄肉プラスチックの引張特性に関する標準試験法(Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting)」)または等価物に基づく引張強度の決定及び伸度10%における弾性率の決定が含まれる。フィルムデータの収集には、INSTRON(登録商標)引張試験装置(モデル5544引張試験機または等価物)が使用される。寸法安定性及び再現性を確保するように各々信頼性のある切断器具により切断された最低3つの試験片を、各測定について機械方向(MD)(該当する場合)で試験する。試験は、23±2.0℃及び35±5%の相対湿度という標準的な実験室雰囲気下で行う。引張強度または弾性率の決定のために、3.0±0.15ミル(または76.2±3.8μm)の厚さを有する単一フィルムシートの1インチ幅(2.54cm)の試料を調製する。次いで、35%の相対湿度環境への曝露を最小化しながら試験を進めるために、試料をINSTRON(登録商標)引張試験機に移動する。500Nのロードセルを備えた引張試験機をメーカーの取扱説明書に従って準備し、較正する。正しいグリップ及びフェースを取り付ける(ゴムでコーティングされ、幅25mmであるモデル番号2702−032のフェースまたは等価物を有するINSTRON(登録商標)グリップ)。試料を引張試験機内に装着し、分析して、10%における弾性率(すなわち、10%のフィルム伸長を達成するために必要とされる応力)及び引張強度(すなわち、フィルムを破壊するために必要とされる応力)を決定する。
【0102】
本開示によるフィルムの好適な挙動は、引張強度試験により測定するとき、少なくとも約20MPaの引張強度値により示される。一般に、より高い引張強度値は、フィルムがシールの限定的要素または最弱の要素である場合により強力なパウチシールに対応するため、望ましい。様々な実施形態では、フィルムは、少なくとも20MPaかつ/または最大約60MPa(例えば、約20、約30、約40、約50、もしくは約60MPa)の引張強度値を有する。
【0103】
本開示によるフィルムの好適な挙動は、弾性率試験により測定するとき、少なくとも約5N/mm
2の10%の値の弾性率により示される。一般に、より高い値の10%における弾性率は、より大きい剛性を有する、生産中に相互の上に負荷される際に変形及び相互粘着の可能性がより小さいパウチを提供することの観点からすれば、望ましい。様々な実施形態では、フィルムは、少なくとも約5N/mm
2かつ/または最大約80N/mm
2もしくは100N/mm
2(例えば、約5、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、または約100N/mm
2)の10%値の弾性率を有する。
【0104】
引裂強度
引裂強度(g/ミル、23℃で測定される)は、エルメンドルフ引裂試験機モデル番号40043または等価物を用いて評価され得る。この方法は、特定の長さのポリビニルアルコール(PVOH)フィルムを通して引裂を伝播することが必要である試料厚さの平均力(グラム/ミル)の決定を網羅する。フィルムにわたって引裂を伝播させるのに必要とされる力(グラム)は、正確に較正された振り子装置を使用して測定する。重力による作用により、振り子は、弧を描いて揺れ、予め切断されたスリットから試験片を引き裂く。試験片を片側のステーショナリーに保持し、もう一方の側を振り子に固定する。振り子の揺れのエネルギー損失が、はかり上の針によって示される。はかりの標示は、試験片を引き裂くのに必要とされる力の関数である。この方法は、PVOHフィルムの相対的引裂耐性を順位付けする際の値からなるものである。水溶性フィルムは、温度(75°F±5°F)(約24℃)及び相対湿度(35%±5%)で試験前に少なくとも8時間フィルム上に予め準備されたエルメンドルフ引裂試験機モデル番号#40043において評価され得る。
【0105】
様々な実施形態では、本明細書に記載されるフィルムは、例えば、少なくとも1000g/ミル、または少なくとも1150g/ミル、または少なくとも1700g/ミル、または1000〜2000g/ミル、または1150〜2000g/ミル、または1700〜2000g/ミルの範囲内の引裂強度を有するであろう。
【0106】
パウチ作製
単一区画試験パウチは、Cloud Packaging Equipment PVA Sample Making Machine #3657、及び
図3中に示される、4つのキャビティーを収容する試験カップキャビティーブロックを使用して作製することができる。
【0107】
フィルムを熱成形し、かつ試験パケットを作製するために使用される金型キャビティー形状は、内壁底部及び複数の直立した内部側壁によって画定される。上から見たとき、直立した内部側壁は、一般に長方形の形状を画定する。第1の対の直立した内部側壁は、2.489インチの距離で互いに分離され、第2の対の直立した内部側壁は、1.899インチの距離で互いに分離される。さらに、内壁底部と直立した内部側壁の各1つとの間の移行部は、0.375インチの曲率半径によって画定される。加えて、各直立した内部側壁と隣接する直立した内部側壁との間の移行部は、0.375インチの曲率半径を有するであろう。さらに、金型キャビティーは、0.375インチに相当する、金型の内壁底部と開口端との間の距離によって画定される奥行きを有するであろう。曲率半径は、金型が、概して長方形のパケット形状を形成する丸みを帯びた角と、フィルム表面下部への丸みを帯びた移行部とを有するフィルムパケットに与えることを可能にする。最終的には、キャビティーは、典型的な真空熱成形及びPVA Sample Making Machine #3657の操作に従って、フィルム上に真空を引き、フィルムを金型に引き込むために、底部表面に沿った穴が提供される。
【0108】
実際には、金型キャビティー(試験カップブロック)は、即座に複数のパウチを形成するために、同一の金型キャビティー形状を有する複数のキャビティーを含み得る。原則として、金型キャビティーは、実質的には、唯一の変数がキャビティー構造である異なる構造を試験するために、異なる金型キャビティー形状を有する複数のキャビティーを含み得る。ベースフィルムは、金型キャビティー中に熱形成される。各キャビティーは、35mlの試験溶液で充填し、次いで、同じタイプのフィルムを、蓋ストックフィルムとして使用される機械に供給される。PVA Sample Making Machine #3657の操作に従って、蓋ストックフィルムを、水ならびに充填されたキャビティー周辺に一緒にベース及び蓋フィルムを接着させる圧力を用いてベースフィルムに密閉し、密閉後に、充填されたパウチを、周囲のフィルムを切断することによって分割される。
【0109】
フィルムは、3.0±0.10ミル(または76.2±2.5μm)の厚さを有するであろう。形成及び密閉パラメータを以下に一覧にする。
【0110】
形成パラメータ:ヒーター温度−500°F;加熱時間−10秒;適用された真空は、−24.7Hgであった。
【0111】
密閉パラメータ:ウィックロール速度−60;水レベル−60;駆動ロール速度−57(これらはすべて、無単位設定点である);ウェブ駆動時間−13秒;水適応時間−6秒;引張時間−0.1秒;密閉時間−20秒;蓋密閉圧力−6.8バール。
【0112】
試験溶液
放出のためのパウチ試験の前にパウチに充填するための試験溶液(試料洗濯洗剤)を、以下の表1に記載する。本明細書の開示を考慮して、パウチを形成し、充填し、密封することは、十分当業者の手段の範囲内である。
【表1】
【0113】
液体放出試験
液体放出試験による遅延溶解性を特徴とするか、またはそれを試験される水溶性フィルム及び/またはパウチを、以下の材料を用いて、以下のように分析する。
・2Lのビーカー及び1.2リットルの脱イオン(DI)水
・試験されるべき水溶性パウチ(上述のように、パウチ作製及び試験溶液の説明を用いて作製される);フォルムは、3.0±0.10ミル(または76.2±2.5μm)の厚さを有し;パウチは、38℃で2週間前調整される。
・温度計
・ワイヤーケージ
・タイマー
【0114】
実験を行う前に、十分なDI水が実験を5回繰り返すことができることを確認し、ワイヤーケージ及びビーカーが清潔かつ乾燥していることを確認する。
【0115】
ワイヤーフレームケージは、鋭い縁部を持たないプラスチックコーティングされたワイヤーケージ(4インチ×3.5インチ×2.5インチ)または同等物である。ワイヤーのゲージは約1.25mmでなければならず、ワイヤーは、0.5インチ(1.27cm)の正方形の大きさの開口部を有さなければならない。試験パウチ30を備えたケージ28の例示的な画像を
図4に示す。
【0116】
試験用に設定するために、ケージ上のパウチを引っかくことなく、パウチが移動するための自由空間を確保しながら、ケージに水溶性パウチを注意深く置く。ワイヤーケージにパウチをしっかりと縛ってはならないが、確実に固定してケージから出ないようにすること。ケージ内のパウチの向きは、もしあればパウチの自然浮力が許容されるようなものでなければならない(すなわち、上部に浮上するであろうパウチの側は上部に向けて配置すべきである)。パウチが対称である場合、パウチの配向は一般的に重要ではないであろう。
【0117】
次に、2Lビーカーを1200ミリリットルの20℃のDI水で満たす。
【0118】
次に、密封したパウチを有するワイヤーフレームケージを水中に降ろす。ケージがビーカーの底から1インチ(2.54cm)であることを確認する。すべての面にパウチを必ず完全に浸すようにする。ケージが安定し、かつ移動しないことを確認し、パウチが水中に降ろされると直ちにタイマーを始動させる。ビーカー内の水に対するケージの位置は、例えば、ビーカーの上に固定されたクランプと、ケージの頂部に取り付けられたロッドとを用いることによって、任意の好適な手段によって調整し、維持することができる。クランプは、ロッドに係合してケージの位置を固定することができ、クランプ上の張力を下げてケージを水中に下げることができる。他の摩擦係合手段は、例えば、
図5に示すように(位置決めねじは図示せず)、位置決めねじを有するつばを、クランプの代わりに使用することができる。
図5は、ケージ10(図示せず)をビーカー30内に降下させるためのロッド50を保持するスタンド40上に載置されたビーカー30を示し、ロッド50は、例えば、摩擦によって、または、ロッド50に穴による係合(図示せず)によって、ロッド50を係合する位置決めねじ(図示せず)を有するつば60の使用によって固定した垂直位置を保持するのを可能にする。
【0119】
液体内容物の放出は、液中のパウチを出る液体の最初の視覚的証拠として定義される。
【0120】
タイマーを使用して、液体内容物が周囲の水(放出時間)に45秒の停止点で放出されるときに、記録する。
【0121】
合格または不合格のグレードは、各パウチに与えられるであろう。可溶性パウチがその液体を30秒以上保持した場合、合格のグレードが得られる。可溶性パウチがその液体を30秒以上保持しなかった場合、不合格のグレードが得られる。
【0122】
試験される各フィルムについて、新たなDI水及び新たな水溶性パウチでこのプロセスを5回繰り返す。
【0123】
別途報告されない限り、合計5つのパウチを、各フィルム試料タイプについて試験する。
【0124】
フィルムを作製する方法
上述のように、本開示は、ポリビニルアルコールのフィルム、具体的には、溶媒鋳造フィルムの製造に関する。PVOHの溶媒鋳造のためのプロセスは、当技術分野でよく知られている。例えば、フィルム形成プロセスにおいて、ポリビニルアルコール樹脂(複数可)及び二次添加剤は、溶媒、典型的には、水中に溶解され、表面上に計量され、実質的には、乾燥(または強制乾燥)させて、鋳造フィルムを形成し、次いで、得られた鋳造フィルムを、鋳造表面から取り外す。プロセスは、回分式で実施され得、連続プロセスにおいてさらに有効に実施される。
【0125】
ポリビニルアルコールの連続フィルムの形成において、溶液の溶液を移動する鋳造表面、例えば連続的に移動する金属ドラムまたはベルト上に計量し、溶媒を実質的に液体から取り出し、それによって自己支持性の鋳造フィルムが形成され、次いで鋳造表面から得られた鋳造フィルムを剥ぎ取ることが、従来の実践である。
【0126】
任意に、水溶性フィルムは、一層または複数の同様の層からなる自立フィルムであり得る。
【0127】
パケット
本フィルムは、洗浄活性剤を含む洗濯組成物を含有し、それによりパウチを形成するパケットを作成するために有用である。洗浄活性剤は、粉体、ゲル、ペースト、液体、錠剤、またはそれらの任意の組み合わせのような任意の形態をとり得る。フィルムはまた、改善された湿式処理及び低温水残留が所望される任意の他の適用のためにも有用である。フィルムは、パウチ及び/またはパケットの少なくとも1つの側壁、任意にパウチ及び/またはパケット全体、好ましくは、少なくとも1つの側壁の外壁を形成する。
【0128】
本明細書に記載のフィルムは、同じフィルムから作製されるか、または他のポリマー材料のフィルムと組み合わせて作製される2つ以上の区画を有するパケットを作製するためにも使用されてもよい。さらなるフィルムは、例えば、当技術分野で公知の同じまたは異なるポリマー材料の注型成形、吹込成形、押出成形、または押出吹込成形により得ることができる。ある種の実施形態では、さらなるフィルムとしての使用に好適なポリマー、コポリマー、またはそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸またはペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタン等の天然ゴム、ならびにカラギーナンから選択される。例えば、ポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ならびにそれらの組み合わせから選択されるか、またはポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ならびにそれらの組み合わせから選択され得る。企図されたある種類の実施形態は、例えば、上述のPVOHコポリマーが、上述のように、少なくとも60%である、パケット材料におけるポリマーのレベルを特徴とする。
【0129】
本開示のパウチは、少なくとも1つの密封された区画を備え得る。そのため、パウチは、単一の区画または複数の区画を備え得る。水溶性パウチは、界面に封止された2層の水溶性ポリマーフィルムから、またはそれ自体の上に折り重ねられて密封された単一のフィルムによって形成され得る。フィルムのうちの1つまたはその両方とも、上述のPVOHフィルムを含む。フィルムは、水性環境への放出のための任意の所望の組成物を含む内部パウチ容器容積を画定する。組成物は、特に限定されず、例えば、以下に記載される様々な洗浄組成物のうちのいずれかを含む。複数の区画を含む実施形態では、各区画は、同一の及び/または異なる組成物を収容し得る。一方、組成物は、液体、固体、及びそれらの組み合わせ(例えば液体中に懸濁された固体)を含むが、これらには限定されない、任意の好適な形態をとり得る。いくつかの実施形態では、パウチは、第1、第2、及び第3の区画を備え、その各々は、異なる第1、第2、及び第3の組成物をそれぞれ収容する。液体洗剤が、具体的には、企図される。
【0130】
複数区画型パウチの区画は、同じまたは異なるサイズ(複数可)及び/または容積(複数可)の区画であってもよい。本複数区画型パウチの区画は、分離していても、または任意の好適な様式で結合されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の及び/もしくは第3のならびに/または後続の区画は、第1の区画に重ね合わせられる。一実施形態では、第3の区画は第2の区画に重ね合わせられてもよい一方、第2の区画はサンドイッチ構成において第1の区画に重ね合わせられる。あるいは、第2の区画及び第3の区画は、第1の区画に重ね合わせられてもよい。しかしながら、第1の区画、第2の区画、ならびに任意に第3の区画及び後続の区画は並設の関係において相互に取り付けられてもよいことも、同様に予想される。区画は一列に詰められてもよく、各区画は切込線により個別に分離可能である。故に、各区画は、例えば、区画からの組成物を用いて布地の前処理または後処理をするために、エンドユーザーにより列の残部から個別に剥ぎ取られ得る。いくつかの実施形態では、第1の区画は、例えば、タイヤリム構成、またはパウチインパウチ構成で、少なくとも第2の区画によって取り囲まれ得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、複数区画型パウチは、第1の大区画及び2つのより小さい区画からなる3つの区画を含む。第2及び第3のより小さい区画は、第1のより大きい区画に重ね合わせられている。区画のサイズ及び幾何構造は、この配置が達成可能なように選択される。区画の幾何構造は、同じであっても、異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、第2の区画及び任意に第3の区画は、各々、第1の区画と比べて異なる幾何構造及び形状を有する。これらの実施形態では、第2の区画及び任意に第3の区画は、第1の区画上の意匠内に配置される。設計は、装飾的でも、教育的でも、または例えば概念もしくは指示を図示するように図示的であってもよく、かつ/あるいは製品の原産地を表示するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の区画は、外周に沿ってシールされた2つの大きな面を有する最大の区画であり、第2の区画は、より小さく、第1の区画の1つの面の表面積の約75%未満または約50%未満をカバーする。第3の区画が存在する実施形態では、上記の構造は同じであってもよいが、第2の区画及び第3の区画は、第1の区画の1つの面の表面積の約60%未満、または約50%未満、または約45%未満をカバーする。
【0132】
本開示のパウチ及び/またはパケットは、1つ以上の異なるフィルムを含んでもよい。例えば、単一区画の実施形態では、パケットは、それ自身の上に折り重ねられ端部でシールされる1つの壁部から作製されてもよく、あるいは端部で共にシールされる2つの壁部から作製されてもよい。複数区画の実施形態では、パケットは、任意の所与のパケット区画が単一のフィルムまたは異なる組成物を有する複数のフィルムから作製された壁部を備え得るように、1つ以上のフィルムから作製されてもよい。一実施形態では、複数区画型パウチは、上外壁部、下外壁部、及び仕切り壁部の少なくとも3つの壁部を備える。上外壁部及び下外壁部は、略対向しており、パウチの外面を形成する。仕切り壁部は、パウチ内部にあり、密閉線に沿って略対向する外壁部に固定される。仕切り壁部は、複数区画型パウチの内部を少なくとも第1の区画と第2の区画とに分離する。
【0133】
パウチ及びパケットは、任意の好適な機器及び方法を使用して作製され得る。例えば、単一区画のパウチは、当技術分野で一般に知られている縦型充填技法、横型充填技法、または回転ドラム充填技法を使用して作製され得る。このようなプロセスは、連続的であっても、または間欠的であってもよい。フィルムは、その展性を増大させるために加湿及び/または加熱されてもよい。本方法は、フィルムを好適な型に引き入れるために真空の使用も伴ってもよい。ひとたびフィルムが面の水平部分上に来ると、フィルムの型の中への真空引きが、約0.2〜約5秒間、または約0.3〜約3、または約0.5〜約1.5秒間、適用され得る。この真空は、例えば、10mbar〜1000mbarの範囲内、または100mbar〜600mbarの範囲内の低圧を提供するようなものであってもよい。
【0134】
中でパケットが作製される型は、パウチの必要寸法に応じて任意の形状、長さ、幅、及び奥行きを有し得る。型は、望ましい場合、相互にサイズ及び形状も異なってもよい。例えば、最終製品のパウチの容積は約5ml〜約300ml、または約10〜150ml、または約20〜約100mlであることがあり、型のサイズはそれに応じて調節される。
【0135】
一実施形態では、パケットは、第1及び第2のシールされた区画を含む。第2の区画は、第1のシールされた区画と略重ね合わせの関係にあり、これにより第2のシールされた区画及び第1のシールされた区画はパウチ内部の仕切り壁部を共有する。
【0136】
一実施形態では、第1の区画及び第2の区画を含むパケットは、第3のシールされた区画をさらに含む。第3のシールされた区画は、第1のシールされた区画と略重ね合わせの関係にあり、これにより第3のシールされた区画及び第1のシールされた区画はパウチ内部の仕切り壁部を共有する。
【0137】
いくつかの実施形態では、第1の組成物及び第2の組成物は、組み合わせ:液体、液体;液体、粉体;粉体、粉体;粉体、液体、のうちの1つから選択される。
【0138】
いくつかの実施形態では、第1の組成物、第2の組成物、及び第3の組成物は、組み合わせ:固体、粉体、液体及び液体、液体、液体、のうちの1つから選択される。
【0139】
一実施形態では、単一の区画または複数のシールされた区画が、ある組成物を収容する。複数の区画は各々、同じ組成物を収容してもよく、または異なる組成物を収容してもよい。組成物は、液体、粉体、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0140】
一実施形態では、組成物は、液体の軽質または液体の重質の液状洗剤組成物、粉末状洗剤組成物、手洗い及び/または機械洗い用の食器洗い洗剤;硬表面洗浄用組成物、布地増強剤、洗濯によく用いられるゲル洗剤、漂白及び洗濯用添加剤、シャンプー、ならびにボディーソープの群から選択され得る。
【0141】
成形、密封、及び熱成形
上述のように、本明細書に記載されるフィルムは、熱成形が可能である。熱成形が可能なフィルムは、熱及び力の適用を通して成形され得るフィルムである。
【0142】
フィルムの熱成形は、フィルムを加熱し、(例えば、鋳型に)それを成形し、次いで、そのフィルムを冷却させるプロセスであり、こうすればフィルムは、その形状、例えば、その鋳型の形状を保持するであろう。熱は、任意の好適な手段を使用して印加され得る。例えば、フィルムは、それをある面上にフィードする前に、またはひとたびある面上に配された後に、該フィルムを加熱要素の下または高温空気の中を通過させることにより、直接加熱されてもよい。あるいは、フィルムは、例えばその面を加熱することにより、またはフィルム上に高温の部品を当てることにより、間接的に加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、フィルムは、赤外光を使用して加熱される。フィルムは、約50〜約150℃、約50〜約120℃、約60〜約130℃、約70〜約120℃、または約60〜約90℃の範囲内の温度に加熱され得る。熱成形は、鋳型にわたって熱的に軟化されたフィルムの手動ドレーピング、または鋳型に軟化したフィルムの圧力起因の成形(例えば、真空成形)、または成形及びトリミングステーションに正確に知られている温度を有する新たに押出しシートの自動高速指標付け、またはフィルムの自動配置、プラグ、及び/もしくは空気式伸張及び圧力成形、プロセスのうちの1つ以上によって行われ得る。
【0143】
あるいは、フィルムは、それをある面上にフィードする前に、またはひとたびある面上に配された後に、任意の好適な手段により、例えば湿潤剤(水、フィルム組成物の溶液、フィルム組成物のための可塑剤、または上記の任意の組み合わせを含む)をフィルム上に噴霧することにより直接的に、またはその面を湿潤化することもしくは湿潤部品をフィルムに当てることにより間接的に、湿潤化されてもよい。
【0144】
ひとたびフィルムが加熱及び/または湿潤化されると、フィルムは、好ましくは真空を使用して、適切な型に引き入れることができる。成形されたフィルムの充填は、任意の好適な手段を利用することにより達成され得る。いくつかの実施形態では、最も好ましい方法は、製品の形態及び必要とされる充填速度により左右される。いくつかの実施形態では、成形されたフィルムは、インライン充填技法により充填される。次いで、充填された開口しているパケットは、任意の好適な方法により、第2のフィルムを使用して閉鎖され、パウチを形成する。これは、水平位置にある間に、連続的な一定の動作で達成され得る。閉鎖は、開口しているパケットの上に第2のフィルム、好ましくは水溶性フィルムを連続的にフィードし、次いで、典型的には型の間の、したがってパケットの間のエリアにおいて、好ましくは第1のフィルム及び第2のフィルムを共にシールすることにより、達成され得る。
【0145】
パケット及び/またはその個々の区画をシールする任意の好適な方法が利用され得る。このような手段の非限定的な例としては、熱溶着、溶剤接着、溶剤シールまたは湿式シール、及びそれらの組み合わせが挙げられる。典型的に、シールを形成するエリアのみが熱または溶剤により処理される。熱または溶剤は、任意の方法により、典型的には閉鎖材料上に、かつ典型的にはシールを形成するエリア上のみに、適用され得る。溶剤シールもしくは湿式シール、または溶剤接着もしくは湿式接着が使用される場合、熱も印加されることが好ましいことがある。好ましい湿式または溶媒密封/接着方法としては、例えば溶剤を型の間のエリア上に、または閉鎖材料上に噴霧または印刷することによりこれらのエリア上に溶剤を選択的に塗布し、次いで、これらのエリアに圧力を印加してシールを形成することが挙げられる。例えば、上記のようなシールロール及びシールベルト(任意に熱も提供する)が使用され得る。
【0146】
次いで、形成されたパウチは、切断装置により切断され得る。切断は、任意の公知の方法を使用して達成され得る。切断も連続的な様式で、好ましくは定速で、かつ好ましくは水平位置にある間になされることが好ましいことがある。切断装置は、例えば、鋭利な部品、または高温の部品、またはレーザーであってもよく、後者の場合、高温の部品またはレーザーは、フィルム/シールエリアを「焼いて」通る。
【0147】
複数区画型パウチの異なる区画は、互いに並設スタイルで作製されてもよく、結果として得られる結合されたパウチは、切断により分離されても、されなくてもよい。あるいは、区画は、別々に作製されてもよい。
【0148】
いくつかの実施形態では、パウチは、a)第1の区画(上述の)を形成するステップ、b)ステップ(a)において形成されたいくつかまたはすべての閉鎖区画内に収納部を形成して、第1の区画上に略重ね合わせて第2の成形区画を形成するステップ、c)第3のフィルムによって第2の区画を充填し、閉鎖するステップ、d)第1、第2、及び第3のフィルムを密封するステップ、ならびにe)フィルムを切断して、複数区画型パウチを生成するステップ、を含むプロセスに従って作製され得る。ステップ(b)において形成された収納部は、ステップ(a)において調製された区画に真空を適用することによって達成され得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、第2及び/または第3の区画(複数可)は、欧州特許出願第08101442.5号またはWO2009/152031に記載されるように、別々のステップで作製され、次いで第1の区画と組み合わせられてもよい。
【0150】
いくつかの実施形態では、パウチは、a)任意に熱及び/または真空を使用して、第1の成形機上の第1のフィルムを使用して、第1の区画を形成するステップと、b)第1の区画を第1の組成物で充填するステップと、c)第2の成形機上に、任意に熱及び真空を使用して、第2のフィルムを変形させて、第2及び任意に第3の成形区画を作製するステップと、d)第2及び任意に第3の区画を充填するステップと、e)第3のフィルムを使用して第2のコンパートメント及び任意に第3のコンパートメントを密封するステップと、f)密封した第2及び任意に第3の区画を第1の区画に配置するステップと、g)第1、第2、及び任意に第3の区画を密封するステップと、h)多区画パウチを製造するためにフィルムを切断するステップと、を含むプロセスに従って作製され得る。
【0151】
第1及び第2の成形機は、上記のプロセスを行うために、それらの適性に基づいて選択されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の成形機は、好ましくは水平成形機であり、第2の成形機は、好ましくは回転ドラム成形機であり、好ましくは第1の成形機の上方に配置される。
【0152】
適切なフィードステーションの使用により、いくつかの異なる、もしくは全く異なる組成物及び/または異なる、もしくは全く異なる液体、ゲル、もしくはペースト組成物を組み込んだ複数区画型パウチを製造することも可能であろうことが理解されるべきである。
【0153】
いくつかの実施形態では、フィルム及び/またはパウチは、活性剤、潤滑剤、嫌悪剤、またはそれらの混合物等の好適な材料で噴霧または散布される。いくつかの実施形態では、フィルム及び/またはパウチは、例えばインク及び/または活性剤と共に印刷される。
【0154】
パウチの内容物
本発明の物品(例えば、パウチまたはパケットの形態で)は、様々な組成物、例えば家庭用ケア組成物を含み得る。複数区画型パウチは、それぞれの別個の区画内に同じ組成物または異なる組成物を含み得る。組成物は、水溶性フィルムの近位にある。組成物は、フィルムから約10cm未満、または約5cm未満、または約1cm未満であり得る。典型的には、組成物は、フィルムに隣接して、またはフィルムと接触している。フィルムは、その中に組成物を含むパウチまたは区画の形態であってもよい。
【0155】
上記のように、フィルム及びパウチは、交換可能な水素イオン、例えば、アミン−脂肪酸平衡及び/またはアミン−アニオン性界面活性剤酸平衡のような酸/塩基平衡を特徴とする組成物を有する材料を包装する(例えば直接接触させる)ために特に有利である。
【0156】
本開示のこの特徴は、互いに物理的に分離または分割された非相溶性成分(例えば、漂白剤及び酵素)を含む組成物を維持するために利用することができる。このような分割は、そのような成分の有用寿命を延ばし得るか、及び/または物理的不安定性を減少させ得ると考えられる。加えて、または代替として、このような分割は、欧州特許出願第09161692.0号に記載される、美的利点を提供することができる。
【0157】
有用な組成物(例えば、家庭用ケア組成物)の限定されない例としては、軽質または重質の液状洗剤組成物、硬表面洗浄用組成物、洗濯によく用いられる洗剤ゲル、漂白及び洗濯用添加剤、布地増強剤(布地柔軟剤等)、シャンプー、ボディーソープ、ならびに他のパーソナルケア用組成物が挙げられる。本パウチに用いる組成物は、液体、固体、または粉末の形態をとり得る。液体組成物は、固体を含み得る。固体は、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、もしくは1つ以上の真珠色化したボール、またはそれらの混合物のような粉末または凝集物を含み得る。このような固体要素は、洗浄または前処理、遅延、または逐次放出成分としての技術的利益を提供し得、加えて、または代替として、美的効果を提供し得る。
【0158】
本明細書に記載されるフィルムによってカプセル化された組成物は、製剤化した成分及び組成の目的のような因子に応じて任意の好適な粘度を有し得る。一実施形態では、組成物は、20s
-1の剪断速度及び20℃の温度で、100〜3,000cP、あるいは300〜2,000cP、あるいは500〜1,000cPの高剪断粘度値、ならびに1s
-1の剪断速度及び20℃の温度で、500〜100,000cP、あるいは1000〜10,000cP、あるいは1,300〜5,000cPの低剪断粘度値を有する。粘度を測定するための方法は、当技術分野で公知である。本発明によれば、粘度測定は、回転式レオメータ、例えばTA instruments AR550を使用して行われる。この器具は、等方性液体については約50〜60μmのギャップを有する40mmの2°または1°円錐型固定具、または液体を含有する粒子については1000μmのギャップを有する40mmの平板状の鋼板を含む。測定は、条件付けステップ、ピークホールド、及び連続ランプステップを含むフロー手順を用いて行われる。条件付けステップは、20℃の測定温度の設定、10s
-1の剪断速度での10秒の事前剪断、及び選択された温度での60秒の平衡を含む。ピークホールドは、0.05s
-1の剪断速度を20℃で3分間、10秒毎にサンプリングすることを含む。連続的なランプステップは、0.1〜1200s
-1の剪断速度で、20℃で3分間行い、完全なフロープロファイルを得る。
【0159】
洗濯物、洗濯添加剤、及び/または布地増強剤組成物を含むパウチでは、組成物は、以下の限定されない成分一覧のうちの1つ以上を含み得る:布地ケア有益剤;洗浄性酵素;付着助剤;レオロジー調整剤;ビルダー;漂白;漂白剤;漂白剤前駆体;漂白ブースター;漂白触媒;香水及び/または香料マイクロカプセル(例えばUS5,137,646を参照のこと);香水担持ゼオライト;デンプンカプセル化アコード;ポリグリセロールエステル;ホワイトニング剤;真珠光沢剤;酵素安定化系;アニオン性染料のための固定剤、アニオン性界面活性剤のための錯化剤、及びこれらの混合物を含む除去剤;光学的光沢剤または蛍光剤;防汚ポリマー及び/または土壌懸濁ポリマーを含むがこれらに限定されない、ポリマー;分散剤;消泡剤;非水性溶媒;脂肪酸;泡抑制剤、例えば、シリコーン泡抑制剤(米国公開第2003/0060390 A1号、段落65〜77を参照のこと);カチオン性デンプン(US2004/0204337 A1及びUS2007/0219111 A1を参照のこと);スカム分散剤(US2003/0126282 A1、段落89〜90を参照のこと);実質的な染料;色相染料(US2014/0162929A1を参照のこと);着色料;乳白剤;抗酸化物質;トルエンスルホネート、クメンスルホネート、及びナフタレンスルホネート等のハイドロトロープ;色斑;着色ビーズ、球、または押出品;粘土軟化剤;抗細菌剤。これらの成分のいずれか1つ以上は、欧州特許出願第09161692.0号、米国公開第2003/0139312A1号、及び米国特許出願第61/229,981号においてさらに記載されている。加えて、または代替として、組成物は、界面活性剤、第4級アンモニウム化合物、及び/または溶媒系を含み得る。第4級アンモニウム化合物は、布地柔軟剤等の布地増強剤組成物中に存在し、かつ構造NR
4+(式中、Rはアルキル基またはアリール基である)の正電荷を持つ多原子イオンである第4級アンモニウム陽イオンを含み得る。
【0160】
界面活性剤
洗剤組成物は、界面活性剤の約1重量%〜80重量%を含むことができる。界面活性剤は、第1の組成物の成分として特に好ましい。好ましくは、第1の組成物は、界面活性剤の約5重量%〜50重量%を含む。第2及び第3の組成物は、0.1〜99.9%のレベルで界面活性剤を含み得る。
【0161】
利用される洗浄性界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、双性イオン性、両性またはカチオン性の種類のものとすることができるか、またはこれらの種類の相溶性混合物を含むことができる。より好ましくは、界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性界面活性剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、組成物は、ベタイン界面活性剤を実質的に含まない。本明細書で有用な洗浄性界面活性剤は、米国特許第3,664,961号、同第3,919,678号、同第4,222,905号、及び同第4,239,659号において記載されている。アニオン性及び非イオン性界面活性剤が、好ましい。
【0162】
有用なアニオン性界面活性剤は、それ自体がいくつかの異なる種類のものであり得る。例えば、高級脂肪酸の水溶性塩、すなわち「石鹸」は、本明細書の組成物において有用なアニオン性界面活性剤である。これは、アルカリ金属石鹸、例えば、約8〜約24個の炭素原子、好ましくは約12〜約18個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム、及びアルキルアンモニウム塩を含む。石鹸は、脂肪分もしくは油分の直接的鹸化、または遊離脂肪酸の中和により作製され得る。特に有用なのは、ココヤシ油及び獣脂、すなわち、ナトリウムまたはカリウム獣脂及びココヤシ石鹸に由来する脂肪酸の混合物のナトリウム及びカリウム塩である。
【0163】
本発明での使用に好適なさらなる非石鹸アニオン性界面活性剤は、本明細書の水溶性塩を含みます、それらの分子構造中に約10〜約20個の炭素原子及びスルホン酸または硫酸エステル基を含有するアルキル基を有する有機硫酸反応生成物の、水溶性塩、好ましくはアルカリ金属、及びアンモニウム塩を含む。(アシル基のアルキル部分が、「アルキル」という用語において含まれる。)合成界面活性剤のこの基の例には、a)ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムアルキル硫酸塩、特に、獣脂またはココナッツ油のグリセリドを還元することによって生成されるもの等の高級アルコール(C
8〜C
18)を硫化することによって得られるもの、b)ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムアルキルポリエトキシレート硫酸塩、特に、アルキル基が10〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を含有し、かつポリエトキシレート鎖が1〜15個、好ましくは1〜6個のエトキシレート部分を含有するもの、c)アルキル基が直鎖または分岐鎖構造において約9〜約15個の炭素原子を含有するナトリウム及びカリウムアルキルベンゼン硫酸塩、例えば、米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号において記載されるもの、が含まれる。アルキル基の炭素原子の平均数が約11〜13である、線状直鎖アルキルベンゼン硫酸塩が、特に有益であり、これはC
11〜C
13LASと略記される。
【0164】
好ましい非イオン性界面活性剤は、式R
1(OC
2H
4)
nOH(式中、R
1がC
10〜C
16アルキル基またはC
8〜C
12アルキルフェニル基であり、nが3〜約80である)のものである。特に好ましいのは、1モル当たり約5〜約20モルのエチレンオキシドによるC
12〜C
15アルコールの縮合生成物、例えば、アルコール1モル当たり約6.5モルのエチレンオキシドと縮合したC
12〜C
13アルコールである。
【0165】
溶媒系
本組成物における溶媒系は、水単独または水と有機溶媒の混合物を含む溶媒系であり得る。好ましい有機溶媒は、1,2−プロパンジオール、エタノール、グリセロール、ジプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、及びそれらの混合物を含む。他の低級アルコール、C
1〜C
4アルカノールアミン、例えば、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミンも、使用することができる。溶媒系は、例えば、本開示の無水固体実施形態から存在し得ないが、より典型的には、約0.1%〜約98%、好ましくは少なくとも約1%〜約50%、さらに通常、約5%〜約25%の範囲内のレベルで存在する。典型的には、本組成物は、特に液体の形態であるとき、組成物の重量で、50%未満の水、好ましくは約0.1%〜約20%の水、またはより好ましくは約0.5%〜約15%、または約5%〜約12%の水を含む。
【0166】
本明細書の組成物は、概して、成分を一緒に混合することによって調製され得る。真珠光沢材料が使用される場合には、混合の後期段階で添加されるべきである。レオロジー変性剤が使用される場合、最初に予混合を形成することが好ましく、この中には、レオロジー変性剤が水の一部に分散され、任意に他の成分が、最終的に組成物を含むために使用される。この予混合は、それが構造化された液体を形成するような方法で形成される。次いで、この構造化された予混合に、添加され得るが、予混合は撹拌下であり、界面活性剤(複数可)及び本質的な洗濯補助物質は、水と一緒に、及びいかなる任意の洗剤組成物補助剤が使用され、添加され得る。
【0167】
有用な組成物のpHは、約2〜約12、約4〜約12、約5.5〜約9.5、約6〜約8.5、または約6.5〜約8.2であり得る。洗濯洗剤組成物は、約6〜約10、約6.5〜約8.5、約7〜約7.5、または約8〜約10のpHを有し得る。自動食器洗浄組成物は、約8〜約12のpHを有し得る。洗濯洗剤添加剤組成物は、約4〜約8のpHを有し得る。布地増強剤は、約2または4〜約8、または約2〜約4、または約2.5〜約3.5、または約2.7〜約3.3のpHを有し得る。
【0168】
洗剤のpHは、20±2℃で洗剤の10%水溶液(重量/体積)のpHとして定義され、固体及び粉末洗剤については、これは、20±2℃で洗剤の1%水溶液(重量/体積)のpHとして定義される。±0.01pH単位のpHを測定することができる任意のメーターが好適である。Orionメーター(Thermo Scientific,Clintinpark −Keppekouter,Ninovesteenweg 198,9320 Erembodegem −Aalst,Belgium)または同等物が、許容される機器である。pHメーターは、カロメルまたは銀/塩化銀を参照して、好適なガラス電極を備えなければならない。例は、Mettler DB 115を含む。この電極は、製造業者の推奨する電解質溶液中で保存されなければならない。
【0169】
洗剤の10%水溶液は、以下の手順に従って調製される。10±0.05グラムの試料は、±0.02グラムまで正確に測定することができるバランスで重み付けされる。試料を、100mLの容量フラスコに移し、精製水を含む体積まで希釈し(水の導電率が5μS/cm未満である限り、脱イオン及び/または蒸留水が好適である)、十分に混合する。約50mLの得られた溶液をビーカーに注ぎ、温度を20±2℃に調整し、pHをpHメーター製造業者の標準的な手順に従って測定される(また、pHアセンブリを設定し、較正するために製造業者の指示に従うことは重要である)。
【0170】
固体及び粉末洗剤については、洗剤の1%水溶液は、以下の手順に従って調製される。10±0.05グラムの試料は、±0.02グラムまで正確に測定することができるバランスで重み付けされる。試料を、1000mLの容量フラスコに移し、精製水を含む体積まで希釈し(水の導電率が5μS/cm未満である限り、脱イオン及び/または蒸留水が好適である)、十分に混合する。約50mLの得られた溶液をビーカーに注ぎ、温度を20±2℃に調整し、pHをpHメーター製造業者の標準的な手順に従って測定される(また、pHアセンブリを設定し、較正するために製造業者の指示に従うことは重要である)。
【0171】
漂白剤
無機及び有機漂白剤は、本明細書で使用するのに適した洗浄活性物質である。無機漂白剤は、過ホウ酸、過炭酸、過リン酸、過硫酸、及び過ケイ塩等の過水和塩を含む。無機過水和塩は、通常、アルカリ金属塩である。無機過水和塩は、さらに保護することなく結晶固体として含まれ得る。代替として、塩は、当該技術分野で公知のようにコーティングされ得る。
【0172】
アルカリ金属過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書に記載される洗剤組成物で用いるために好ましい過水和物である。過炭酸塩は、最も好ましくは、製品内安定性を提供するコーティングされた形態で製品に組み込まれる。製品の安定性を提供する好適なコーティング材料は、水溶性アルカリ金属硫酸塩及び炭酸塩の混合塩を含む。コーティングプロセス一緒にそのようなコーティングは、これまでに、GB1,466,799、及び米国特許第3,975,280号、同第4,075,116号、及び同第5,340,496号(それぞれ、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。混合塩コーティング材料対過炭酸塩の重量比は、1:99〜1:9、好ましくは1:49〜1:19の範囲内にある。好ましくは、混合塩は、一般式Na
2SO
4+n+Na
2CO
3(式中、nが、0.1〜3、好ましくは、0.3〜1.0、より好ましくは、0.2〜0.5である)を有する、硫酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムの混合塩である。製品の安定性を提供する他の適切なコーティング材料は、SiO
2:Na
2O比が1.8:1〜3.0:1、好ましくは、1.8:1〜2.4:1のケイ酸ナトリウム、及び/またはメタケイ酸ナトリウムを含み、好ましくは、ペルオキシモノ過硫酸カリウム等の無機過水和塩の重量で、SiO
2の2%〜10%、(通常、3%〜5%)のレベルで適用される。ケイ酸マグネシウム、ケイ酸及びホウ酸塩、ケイ酸及びホウ酸、ワックス、油、及び肪酸石鹸を含有する他のコーティングもまた、有利に使用することができる。
【0173】
有機漂白剤は、ジアシル及びテトラアシルペロキシドを含む有機ペルオキシ酸、特にジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸、及びジペルオキシヘキサデカン二酸である。過酸化ジベンゾイルは、本明細書において好ましい有機ペルオキシ酸である。ジアシルペルオキシド、特にジベンゾイルペルオキシドは、好ましくは、約0.1〜約100ミクロン、好ましくは、約0.5〜約30ミクロン、より好ましくは、約1〜約10ミクロンの重量平均直径を有する粒子の形態で存在し得る。好ましくは、粒子の少なくとも約25%〜100%、より好ましくは、少なくとも約50%、さらにより好ましくは、少なくとも約75%、最も好ましくは、少なくとも約90%は、10ミクロンより小さい、好ましくは、6ミクロンよりも小さい。
【0174】
他の有機漂白剤は、ペルオキシ酸を含み、特定の例は、アルキルペルオキシ酸及びアリールペルオキシ酸である。好ましい代表例は、(a)ペルオキシ安息香酸及びその環置換誘導体、例えばアルキルペルオキシ安息香酸だけではなく、ペルオキシ−α−ナフトエ酸及びモノペルフタル酸マグネシウム、(b)脂肪族または置換脂肪族ペルオキシ酸、例えばペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε−フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノペルオキシヘキサン酸(PAP)]、o−カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N−ノネニルアミドペルアジピン酸及びN−ノネニルアミド過コハク酸、ならびに(c)脂肪族及び芳香脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば、1,12−ジペルオキシカルボン酸、1,9−ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2−デシルジペルオキシブタン−1,4−二酸、N,N−テレフタロイルジ(6−アミノペルカプロン酸)である。
【0175】
漂白活性化剤は、60℃以下の温度での洗浄過程において漂白作用を増強する有機過酸前駆体を含むことができる。本明細書で用いるのに好適な漂白活性化剤としては、過加水分解条件(perhydrolysis condition)下で、好ましくは1〜10個の炭素原子、特に2〜4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸、及び/または任意に置換された過安息香酸をもたらす化合物が挙げられる。好適な物質は、指定された炭素原子数のO−アシル及び/もしくはN−アシル基ならびに/または任意に置換されたベンゾイル基を有する。選択には、ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5−ジアセチル−2,4−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N−アシルイミド、特にN−ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特にn−ノナノイル−またはイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n−もしくはイソ−NOBS)、無水カルボン酸、特に無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、二酢酸エチレングリコール、及び2,5−ジアセトキシ−2,5−ジヒドロフラン、及びさらにはトリエチルアセチルクエン酸塩(TEAC)が与えられる。
【0176】
本明細書における洗剤組成物で用いるのに好ましい漂白触媒としては、マンガントリアザシクロノナン及び関連する錯体(US4,246,612、US−A−5,227,084)、Co、Cu、Mn、及びFeビスピリジルアミンならびに関連する錯体(US5,114,611)、ならびにペンタミンアセテートコバルト(III)及び関連する錯体(US4,810,410)が挙げられる。本明細書で用いるのに好適な漂白触媒の完全な記載は、米国特許第6,599,871号(参照により本明細書に組み込まれる)において見出され得る。
【0177】
食器洗い用薬剤
自動食器洗い用洗剤で用いるために好ましい界面活性剤は、それ自体でまたは他の成分(例えば、泡抑制剤)と組み合わせて低発泡性である。本明細書で用いるために好ましいのは、非イオン性アルコキシル化界面活性剤を含む低い及び高い曇り点の非イオン性界面活性剤及びそれらの混合物(特に、C
6〜C
18第1級アルコール由来のエトキシレート)、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、Olin CorporationのPOLY−TERGENT(登録商標)SLF18)、エポキシキャップ化ポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、Olin CorporationのPOLY−TERGENT(登録商標)SLF18B−WO−A−94/22800を参照のこと)、エーテルキャップ化ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、及びブロックポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリマー化合物、例えば、BASF−Wyandotte Corp.(Wyandotte,Michigan)によるPLURONIC(登録商標)、REVERSED PLURONIC(登録商標)、及びTETRONIC(登録商標);両性界面活性剤、例えば、C
12〜C
20アルキルアミンオキシド(本明細書で用いるために好ましいアミンオキシドは、ラウリルジメチルアミンオキシド及びヘキサデシルジメチルアミンオキシドを含む)、ならびにMIRANOL(商標)C2M等のアルキルアンホカルボン酸(alkyl amphocarboxylic)界面活性剤;ならびにベタイン及びスルタイン等の両性イオン界面活性剤;ならびにそれらの混合物である。本明細書で用いるために好適な界面活性剤は、例えば、US−A−3,929,678、US−A−4,259,217、EP−A−0414 549、WO−A−93/08876、及びWO−A−93/08874において開示される。界面活性剤は、洗剤組成物の約0.2重量%〜約30重量%、より好ましくは、約0.5重量%〜約10重量%、最も好ましくは、約1重量%〜約5重量%のレベルで存在し得る。
【0178】
他の組成物及び添加剤
本明細書に記載される洗剤組成物で用いるのに好適なビルダーは、クエン酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、及びポリリン酸塩を含む水溶性ビルダー、例えば、トリポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム、ならびに混合ナトリウム及びカリウムトリポリリン酸塩を含む。
【0179】
本明細書に記載される洗剤組成物で用いるのに好適な酵素には、CAREZYME及びCELLUZYME(Novo Nordisk A/S)を含む細菌及び真菌セルラーゼ;ペルオキシダーゼ;AMANO−P(Amano Pharmaceutical Co.)、M1 LIPASE、及びLIPOMAX(Gist−Brocades)、ならびにLIPOLASE及びLIPOLASE ULTRA(Novo)を含むリパーゼ;クチナーゼ;ESPERASE、ALCALASE、DURAZYM、及びSAVINASE(Novo)、及びMAXATASE、MAXACAL、PROPERASE、及びMAXAPEM(Gist−Brocades)を含むプロテアーゼ;PURAFECT OX AM(Genencor)及びTERMAMYL、BAN、FUNGAMYL、DURAMYL、及びNATALASE(Novo)を含むα及びβアミラーゼ;ペクチナーゼ;ならびにそれらの混合物が含まれる。酵素は、典型的には、洗浄組成物の約0.0001重量%〜約2重量%の純粋な酵素の範囲内のレベルで、小球、顆粒、または共粒子(cogranulate)として本明細書に添加することができる。
【0180】
本明細書に記載される洗剤組成物で用いるのに好適な泡抑制剤は、低い曇り点を有する非イオン性界面活性剤を含む。本明細書で使用される「曇り点」は、温度が上昇するにつれて溶けにくくなる界面活性剤の結果である非イオン性界面活性剤の周知の特性であり、第二相の出現が観察される温度は、「曇り点」と称される。本明細書で使用する場合、「低い曇り点の」非イオン性界面活性剤は、30℃未満、好ましくは、約20℃未満、さらにより好ましくは、約10℃未満、最も好ましくは、約7.5℃未満の曇り点を有する非イオン性界面活性剤系成分として定義される。低い曇り点の非イオン性界面活性剤は、非イオン性アルコキシル化界面活性剤、特に、第1級アルコールに由来するエトキシレート、及びポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン(PO/EO/PO)逆ブロックポリマーを含むことができる。また、そのような低い曇り点の非イオン性界面活性剤は、例えば、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、BASF POLY−TERGENT SLF18)、及びエポキシキャップ化ポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、US−A−5,576,281において、例えば、上述のように、非イオン性のBASF POLY−TERGENT SLF18Bシリーズ)を含むことができる。
【0181】
本明細書に記載される洗剤組成物で用いるための他の好適な成分は、再付着防止、防汚、または他の洗浄特性を有する洗浄ポリマーを含む。本明細書で用いるための再付着防止ポリマーは、SOKALAN PA30、PA20、PA15、PA10、及びSOKALAN CP10(BASF GmbH)、ACUSOL 45N、480N、460N(Rohm and Haas)、アクリル酸/マレイン酸コポリマー、例えば、SOKALAN CP5、及びアクリル/メタアクリルコポリマーのようなアクリル酸含有ポリマーを含む。他の好適なポリマーは、アミン系ポリマー、例えば、アルコキシル化ポリアルキレンイミン(例えば、PEI600 EO20及び/またはエトキシスルフェート化ヘキサメチレンジアミンジメチルクワットquats)を含み、これは、任意に、四級化され得る。本明細書で用いるための防汚ポリマーは、アルキル及びヒドロキシアルキルセルロース(US−A−4,000,093)、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、及びそれらのコポリマー、ならびにエチレングリコール、プロピレングリコール、及びそれらの混合物のテレフタル酸エステルをベースとする非イオン性及びアニオン性ポリマーを含む。
【0182】
重金属イオン封鎖剤及び結晶成長阻害剤もまた、例えば、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、エチレンジホスホネート、ヒドロキシ−エチレン−1,1−ジホスホネート、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミノテトラセテート、エチレンジアミン−N,N’−ジサクシネートを、それらの塩及び遊離酸形態で、洗剤で用いるために好適である。
【0183】
腐食防止剤、例えば、有機銀コーティング剤(特に、Wintershall(Salzbergen,Germany)によって販売されているWINOG 70等のパラフィン)、窒素含有腐食防止剤化合物(例えば、ベンゾトリアゾール及びベンズイミダゾール−GB−A−1137741を参照のこと)及びMn(II)化合物、特に有機リガンドの有機配位子のMn(II)塩もまた、本明細書に記載される洗剤組成物で用いるために好適である。
【0184】
本明細書において洗剤組成物で用いるための他の好適な成分は、酵素安定化剤、例えば、カルシウムイオン、ホウ酸、及びプロピレングリコールを含む。
【0185】
好適なすすぎ添加剤は、当技術分野で公知である。典型的には、食器洗いのための商業的なすすぎ補助剤は、低発泡性脂肪アルコールポリエチレン/ポリプロピレングリコールエーテル、可溶化剤(例えば、クメンスルホネート)、有機酸(例えばクエン酸)、及び溶媒(例えばエタノール)の混合物である。そのようなすすぎ補助剤の機能は、その後の乾燥プロセス後に、水滴、筋、またはフィルムが残っていないように、薄いコヒーレントフィルムの形ですすぎ面から排出することができるような方法で、水の界面張力に影響を与えることである。欧州特許第0 197 434 B1号は、界面活性剤として混合エーテルを含むすすぎ補助剤を記載している。そのような布地柔軟剤等のリンス添加剤も、企図され、本明細書の開示に従ってフィルムへの封入に好適である。
【0186】
使用方法
本明細書に記載されるフィルム及び物品、ならびにその中に含有される組成物は、例えば、物質をフィルム、物品、及び/またはその中に含有される組成物と接触させることによって、物質、例えば、布地または硬質表面を処理するために使用され得る。接触ステップは、手動でまたは自動機械、例えば、自動(トップもしくはフロントローディング式)洗濯機または自動食器洗い機で起こり得る。接触ステップは、最高約80℃、または最高約60℃、または最高約40℃、または最高約30℃、または最高約20℃、または最高約15℃、または最高約10℃、または最高約5℃であり得る、水の存在下で起こり得る。上述のように、本発明のフィルム及びそれから作製される物品は、具体的には、冷水溶解に適しており、したがって、冷水洗浄(例えば、約1℃〜約30℃、または約5℃〜約20℃)において利益をもたらす。接触ステップは、フィルムが、良好な溶解特性を有し、フィルムを溶解及び/またはその中に含まれる内容物を放出するために水をあまり必要としないため、複数のすすぎサイクルまたは単一のすすぎサイクルであっても続き得る。
【0187】
本明細書に記載されるフィルムの特定の企図される態様の例(A1、A2等)は、以下に記載される。
【0188】
A1.水溶性ポリビニルアルコール、可塑剤、ブロッキング防止充填剤、及び放出調節剤の混合物を含む、水溶性フィルム。
【0189】
A2.ブロッキング防止充填剤が、未処理の合成非晶質シリカを含む、A1に記載の水溶性フィルム。
【0190】
A3.充填剤が、約3〜約11ミクロン、または約4〜約8ミクロンの範囲内の中央粒径を有する、A2に記載の水溶性フィルム。
【0191】
A4.放出調節剤が、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、前述のうちのいずれかの直鎖または分岐鎖形、前述のうちのいずれかの飽和または非飽和形、前述のうちのいずれかの置換または非置換形、からなる群から選択される1つ以上の化合物を含む、A1〜A3の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0192】
A5.放出調節剤が、脂肪酸、任意に、ステアリン酸を含む、A4に記載の水溶性フィルム。
【0193】
A6.放出調節剤が、約90℃以下の融点を有する、A1〜A5の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0194】
A7.放出調節剤が、約40℃以上、または50℃以上、または70℃以上の融点を有する、A6に記載の水溶性フィルム。
【0195】
A8.ブロッキング防止充填剤及び放出調節剤が、1:3〜3:1、もしくは1:2〜2:1の範囲内、または2:1未満、もしくは1.5:1未満、または1:1、または1:1未満、または1:1.5、または1:2、もしくは1:3の比率で存在する、A1〜A7の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0196】
A9.ブロッキング防止充填剤が、少なくとも0.1PHR、または少なくとも0.5PHR、または少なくとも1PHRの量で、または0.1〜3.0PHRの範囲内で、または0.1〜1.2PHRの範囲内で、または0.1〜2.7PHRの範囲内で、または0.5〜2PHRの範囲内で、または0.5〜1.5PHRの範囲内で存在する、A1〜A8の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0197】
A10.放出調節剤が、少なくとも0.1PHR、もしくは少なくとも0.5PHR、もしくは少なくとも1PHRの量で、または0.1〜3.0PHRの範囲内で、もしくは0.5〜2PHRの範囲内で、もしくは0.5〜1.5PHRの範囲内で、もしくは0.1〜0.5PHRの範囲内で存在する、A1〜A9の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0198】
A11.ブロッキング防止充填剤及び放出調節剤が、合わせて、4PHR未満、または3.5PHR未満、または2PHR未満、または1.5PHRもしくはそれ以下の量で存在する、A1〜A10の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0199】
A12.水溶性ポリビニルアルコール樹脂が、アニオン性基で変性されたポリビニルアルコールを含む、A1〜A11の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0200】
A13.アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含む、A12に記載の水溶性フィルム。
【0201】
A14.アニオン性基変性率が、1〜10モル%、または1.5〜8モル%の範囲内である、A13に記載の水溶性フィルム。
【0202】
A15.フィルムが、8未満、または約2.4未満、または1未満の静摩擦係数を有する、A1〜A14の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0203】
A16.フィルムが、少なくとも1000g/ミル、または少なくとも1150g/ミル、または1000〜2100g/ミルの範囲内で引裂強度を有する、A1〜A15の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0204】
A17.A1〜A16の態様のいずれか1つに記載のフィルムを含む、容器。
【0205】
A18.容器の中に液体洗剤をさらに含み、該容器が20℃のバルク水に浸漬されたとき、液体洗剤を少なくとも30秒間放出しない、A17に記載の容器。
【0206】
A19.水溶性ポリビニルアルコールと、グリセロール、ソルビトール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む可塑剤ブレンドとの混合物を含む水溶性フィルムであって、
(i)可塑剤ブレンドが、少なくとも25PHRの量で存在するか、または
(ii)可塑剤ブレンドが、少なくとも20PHRの量で存在し、かつ個々の成分が、
6.0PHR<グリセロール<13.5PHR、
1.0PHR<ソルビトール<5.0PHR、及び
10.0PHR<2−メチル−1,3−プロパンジオール<15.0PHRである、水溶性フィルム。
【0207】
A20.水溶性ポリビニルアルコール樹脂が、アニオン性基で変性されたポリビニルアルコールを含む、A19に記載のフィルム。
【0208】
A21.アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含む、A20に記載の水溶性フィルム。
【0209】
A22.アニオン性基変性率が、1〜10モル%、または1.5〜8モル%の範囲内である、A20またはA21に記載の水溶性フィルム。
【0210】
A23.可塑剤ブレンドが、最大約40重量%の量で存在する、前述のA19〜A22の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0211】
A24.(ii)可塑剤ブレンドが、少なくとも25PHRの量で存在し、かつ個々の成分が、
5.0PHR<グリセロール<11.3PHR、
1.25PHR<ソルビトール<7.5PHR、及び
12.5PHR<2−メチル−1,3−プロパンジオール<18.8PHRである、前述のA19〜A23の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0212】
A25.(ii)可塑剤ブレンドが、少なくとも30PHRの量で存在し、かつ個々の成分が、
6.0PHR<グリセロール<13.5PHR、
1.5PHR<ソルビトール<9.0PHR、及び
15PHR<2−メチル−1,3−プロパンジオール<22.5PHRである、前述のA19〜A24の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0213】
A26.(ii)可塑剤ブレンドが、少なくとも30PHRの量で存在し、かつ個々の成分が、
7.6PHR<グリセロール<11.8PHR、
2.2PHR<ソルビトール<7.3PHR、及び
15PHR<2−メチル−1,3−プロパンジオール<18.5PHRである、前述のA19〜A25の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0214】
A27.ポリビニルアルコールが、6モル%〜10モル%、または7モル%〜9モル%の範囲内のカルボキシルペンダント基変性度、及び10.5cP〜22.5cP、または12.5cP〜約22.5cP、または約15cP〜約20cPの範囲内の粘度、及び約80%〜99%または85%〜95%の範囲内の加水分解度を有する、マレイン酸ポリビニルアルコールコポリマーである、前述のA19〜A26の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0215】
A28.ポリビニルアルコールが、約4.0〜約6.0または約4.5〜5.5の変性度、約10cP〜30cP、または約15cP〜約25cP、または約17cP〜約23cPの粘度、及び約98.0〜約99.8または約99〜約99.8の加水分解度を有する、アクリル酸メチルポリビニルアルコールコポリマー樹脂である、前述のA19〜A26の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0216】
A29.A1〜A16の態様のいずれか1つをさらに特徴とする、前述のA19〜A28の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0217】
A30.前述のA19〜A29の態様のいずれか1つに記載のフィルムを含む、容器。
【0218】
A31.容器の中に液体洗剤をさらに含み、該容器が20℃のバルク水に浸漬されたとき、液体洗剤を少なくとも30秒間放出しない、A30に記載の容器。
【0219】
A32.水溶性ポリビニルアルコールと、グリセロール、ソルビトール、及びトリメチロールプロパンを含む可塑剤ブレンドとの混合物を含む、水溶性フィルムであって、
(i)可塑剤ブレンドが、30PHR超であり、45PHR未満の量で存在するか、または
(ii)可塑剤ブレンドが、約40PHR〜50PHRの量で存在し、かつ個々の成分が、
22.5PHR<グリセロール<23.3PHR、
10.3PHR<ソルビトール<15.0PHR、及び
7.5PHR<トリメチロールプロパン<10.2PHRである、水溶性フィルム。
【0220】
A33.可塑剤ブレンドが、約32.5PH〜約42.5PHRの範囲内の量で存在する、A32に記載の水溶性フィルム。
【0221】
A34.可塑剤ブレンドが、30PHR超であり、45PHR未満の量で存在し、かつ可塑剤ブレンドの個々の成分が、
19.5PHR<グリセロール<22.5PHR、
6.7PHR<ソルビトール<11.7PHR、及び
6.3PHR<トリメチロールプロパン<9.5PHRである、A33に記載の水溶性フィルム。
【0222】
A35.可塑剤ブレンドの個々の成分が、
19.5PHR<グリセロール<22.5PHR、
7.6PHR<ソルビトール<11.7PHR、及び
6.3PHR<トリメチロールプロパン<7.5PHRである、A34に記載の水溶性フィルム。
【0223】
A36.可塑剤ブレンドが、約40PHR〜50PHRの量で存在し、かつ個々の成分が、
22.5PHR<グリセロール<23.3PHR、
13.0PHR<ソルビトール<15.0PHR、及び
7.5PHR<トリメチロールプロパン<9PHRである、A32に記載の水溶性フィルム。
【0224】
A37.水溶性ポリビニルアルコール樹脂が、アニオン性基で変性されたポリビニルアルコールを含む、A32〜A36の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0225】
A38.アニオン性モノマーが、マレイン酸モノメチルを含む、A37に記載の水溶性フィルム。
【0226】
A39.アニオン性基変性率が、1〜10モル%、または1.5〜8モル%の範囲内である、A37またはA38に記載の水溶性フィルム。
【0227】
A40.A1〜A16の態様のいずれか1つをさらに特徴とする、前述のA32〜A39の態様のいずれか1つに記載の水溶性フィルム。
【0228】
A41.前述のA32〜A40の態様のいずれか1つに記載のフィルムを含む、容器。
【0229】
A42.容器の中に液体洗剤をさらに含み、該容器が20℃のバルク水に浸漬されたとき、液体洗剤を少なくとも30秒間放出しない、A41に記載の容器。
【実施例】
【0230】
以下の実施例は、例示のために提供され、本発明の範囲を限定することを意図されない。
【0231】
以下の実施例では、PVOH樹脂PVOH−1〜PVOH−6は、以下の表2に記載される特定を有する。
【表2】
【0232】
実施例1
実施例1−1〜1−9によるフィルムの説明は、ブロッキング防止充填剤及び放出調節剤の様々な範囲の濃度の例として表3中に提供される。実施例は、ある種のポリビニルアルコールコポリマー樹脂製剤において提供されるが、範囲は、本明細書の開示と一致する代替の製剤に適用できる。非樹脂成分は、PHRの単位において記載される。
【表3】
【0233】
PVOH水溶性フィルムの静的COFにおける驚くべき相乗的減少は、放出調節剤(これらの実施例において、ステアリン酸とブレンドされた化学的に調製された非晶質SiO
2粒子)と一緒にブロッキング防止充填剤のブレンドで観察された。化学的に調製された非晶質SiO
2粒子は、約6ミクロンの中央粒径を有し、表面処理をしなかった。同じ粒径を有する天然鉱物SiO
2産物が、静的COFにおいて同じ改善を得なかったことを見出した。
【0234】
単一区画用量のブロッキング防止充填剤及び放出調節剤(それぞれ、1−4及び1−2)を有するフィルムは、比較のために、ブロッキング防止充填剤または放出調節剤を有さないフィルムと一緒に、それらの静的COFについて試験した(フィルム1−1)。ブロッキング防止充填剤を有さない2PHRのフィルム(1−1)。いずれの成分も有さないフィルムは、8.91の静的COFを示し、2PHRのブロッキング防止充填剤を有するフィルムは、0.44の静的COFを有し、2PHRの放出調節剤を有するフィルムは、2.39の静的COFを有した。
【0235】
ブロッキング防止充填剤(この実施例では、SiO2)及び放出調節剤(この実施例では、ステアリン酸)のそれ自体による静的COFの寄与は、自然界の法則、及びSiO2については以下の方程式[3](式中、P
FFは、前者のフィルムの重量部であり、P
Si02は、この実施例では、SiO
2の重量部である)に示されるように、静的COFの減少への重量分率の寄与に基づいて計算され得る。
COF=P
FF×0.0819+P
SiO2×SiO2[3]
【0236】
この方法によって、SIO
2の寄与に対する係数が、3.875であることが見出された。同様に、静的COFの減少へのステアリン酸の寄与に対する係数が、2.90であることが見出された。
【0237】
したがって、自然界の法則に基づいて、静的COFの予測に対する方程式は、以下の方程式[4]のように記載され得る。
COF=P
FF×0.0819−3.875P
SiO2−2.90P
ステアリン酸[4]
【0238】
表4は、試験したフィルムにおけるブロッキング防止充填剤(この実施例では、SiO
2)及び放出調節剤(この実施例では、ステアリン酸)の混合設計の比率(PHR単位)、及び方程式[4]による予測された静的COFを示す。
【表4】
【0239】
表5は、試験したフィルムにおけるブロッキング防止充填剤(この実施例では、SiO
2)及び放出調節剤(この実施例では、ステアリン酸)の混合設計の比率(PHR単位)、及び予測値との比較のために、合計で最大2PHRの混合物の測定された静的COF値、ならびに1:1の混合物においてさらなる測定値が、ブロッキング防止充填剤及び放出調節剤の合計濃度が2PHR超であることを示す。
【表5】
【0240】
表4中の予測値と比較して、表5中の結果は、ブロッキング防止充填剤及び放出調節剤(この実施例では、化学的に調製された非晶質SiO
2及びステアリン酸)のブレンドを用いた水溶性フィルムの静的COFの驚くべき相乗的減少を示す。
【0241】
SiO
2及びステアリン酸の混合物における応答表面プロット(等高線プロット)は、MINITAB 17統計的分析ソフトウェア(Minitab,Inc.,State College,Pennsylvania,USA)を用いたデータに基づいてモデル化された。得られたプロットは、ここで
図6として提供され、フィルム内に静的COFの所望の低値を提供することができるブロッキング防止及び放出調節剤の混合物の領域を示す。
【0242】
フィルム1−3〜1−9が、0.45未満の静的COF、40〜60MPaの範囲内の引張強度、及び1000〜2100g/ミルの範囲内の引裂強度によって説明される物理的特性の提供された組み合わせを示したことがさらに見出された。さらにまた、フィルム1−4〜1−9は、0.45未満の静的COF、40〜60MPaの範囲内の引張強度、及び1150〜2100g/ミルの範囲内の引裂強度によって説明される物理的特性の好ましい組み合わせを提供した。
【0243】
実施例2
実施例2−1〜2−6によるフィルムは、様々な範囲のPVOHコモノマータイプ及びペンダント基含有レベルの例として表6中に提供される。実施例は、様々な範囲にわたる樹脂のある種の添加製剤において提供されるが、様々な樹脂は、本明細書の開示と一致する代替の製剤に適用できる。非樹脂成分は、PHRの単位において記載される。
【表6】
【0244】
フィルム2−1〜2−6は、溶解チャンバ試験(5分)によって残留物について評価した。フィルム2−5(マレイン酸コポリマーBを含んだ、表2を参照のこと)は、他のタイプの樹脂で作製されたフィルムと比較して、残留物の驚くべき減少を示した。結果を下の表7中に示す。
【表7】
【0245】
残留物における溶解チャンバ試験の結果は、必ずしも修正された溶解時間と相関しない。溶解時間試験は、動的応力(水を移動する)下で溶解するフィルムを測定するが、溶解チャンバ試験は、静止条件下で溶解するフィルムを測定し、拡散駆動される。
図7は、フィルム2−5(マレイン酸コポリマーBに基づく)のみが、低い修正された溶解時間、及び溶解チャンバ試験に基づいて、同時に低い残留値の両方を有することを示す。溶解チャンバ試験方法に関連して上に説明されるように、この結果の組み合わせは、洗濯用途で遭遇し得るフィルム溶解の異なる実際の状態を代表するため、特に有用である。
【0246】
それ故に、別の企図された実施形態では、フィルムは、グリセロール、ソルビトール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む可塑剤ブレンド、ならびに6モル%〜10モル%、または7モル%〜9モル%の範囲内のカルボキシルペンダント基変性度、10.5cP〜22.5cP、または12.5cP〜約22.5cP、または約15.0cP〜約20.0cPの範囲内の粘度、及び約80%〜99%または85%〜95%の範囲内の加水分解度を有するマレイン酸ポリビニルアルコールコポリマーを含み、これは、例えば、本明細書に記載されるPVOH−6と一致する。
【0247】
様々な適用では、溶解時間は重要であり得るが、より高い残留(DC(5分)残留)における懸念ほど重要ではあり得ない。したがって、フィルム2−6において低いDC(5分)残留を有する中等度の速い溶解時間の組み合わせもまた、非常に好都合である。さらに、いくつかの状況では、例えば、溶解への初期耐性が所望され得るが、後に、静水中で容易かつさらに完全な溶解が望ましい、フィルム2−5よりもさらに望ましい場合がある。それ故に、別の企図された実施形態では、フィルムは、グリセロール、ソルビトール、及び2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む可塑剤ブレンド、ならびに約4.0モル%〜約6モル%、または約4.5モル%〜5.5モル%の変性度、及び約10cP〜30cP、または約15cP〜約25cP、または約17cP〜約23cPの範囲内の粘度、及び約98.0〜約99.8、または約99〜約99.8の範囲内の加水分解度を有するアクリル酸メチルポリビニルアルコールコポリマー樹脂を含み、これは、例えば、本明細書に記載されるPVOH−4と一致する。
【0248】
実施例3
実施例3−1〜3−21によるフィルムは、グリセロール、ソルビトール、及び少量のプロピレングリコールを含むTMPの組み合わせのための様々な範囲の可塑剤タイプ及び濃度の例として、表8及び表9中に提供される。実施例は、他の添加剤を含む、ある種のポリビニルアルコールコポリマー樹脂製剤において提供されるが、様々な可塑剤製剤は、本明細書の開示と一致する代替のフィルム製剤に適用できる。例えば、可塑剤レベルがアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーに適用できることが企図される。非樹脂成分は、PHRの単位において記載される。
【表8】
【表9】
【0249】
図8は、PHR(すなわち、20PHR、25PHR、及び30PHR)における可塑剤ブレンド(グリセロール/ソルビトール/MPD)の総量によって分類される、フィルム3−1〜3−21についての、10%における弾性率(N/mm
2)、引張強度(MPa)、DC(5分)残留(%)、引裂強度(g/ミル)、修正された溶解時間(3ミル、秒単位)、及び静的COFのプロットを示す。
【0250】
弾性率及び溶解は、可塑剤のレベルが増加するにつれて、連続的に減少する。引張強度、DC(5分)残留、及び引裂強度は、全PHR=20〜25及び30で減少し、次いで、基本的に平均する。対照的に、静的COFは、全PHR=20〜25及び30で増加するが、この可塑剤システムのすべてのレベルで、COFレベルは、1よりはるかに低いままであり、これは好ましい結果である。さらに、この可塑剤システムのすべてのレベルで、引裂強度は、高い。
【0251】
驚くべき結果は、このシステムでは、25超のPHRの可塑剤の全含量、溶解特徴(修正された溶解時間、ならびにある程度のDC(5分)残留)及び10%における弾性率は、引張強度及び引裂強度に悪影響を及ぼすことなく、可塑剤の含量を増加しつつ、低下し続けることができることである。
【0252】
これらの結果は、Multiple Simplex Design in Amountsを用いたDesign of Mixture Experiment設定を用いたMINITAB 17統計学的分析ソフトウェアを用いて、20PHR、25PHR、及び30PHRの全可塑剤ブレンド(グリセロール/ソルビトール/MPD、別称GSM)を設定して、さらに評価された。
【0253】
好ましい一連の物理的フィルム特性を得るために可塑剤の組み合わせ及びレベルの領域に提供されるMINITABソフトウェアにおけるモデルフィット:
(1)10%における弾性率<90N/mm
2、
(2)DC(5分)の残留<45重量%
(3)引裂強度>1000g/ミル
(4)引張強度>45MPa
(5)修正された溶解時間
3ミル<90秒、及び
(6)静的COF<1。
【0254】
ある種の実施形態では、好ましい組み合わせは、20PHRの全可塑剤ブレンド(GSM)及び以下の個々の成分(すべての部分PHR)によって説明される:
6.0<グリセロール<13.5
1.0<ソルビトール<5.0
10.0<MPD<15.0。
【0255】
別の種の実施形態では、好ましい組み合わせは、25PHRの全可塑剤ブレンド(GSM)及び以下の個々の成分(すべての部分PHR)によって説明される:
5.0<グリセロール<11.3
1.25<ソルビトール<7.5
12.5<MPD<18.8。
【0256】
別の種の実施形態では、好ましい組み合わせは、30PHRの全可塑剤ブレンド(GSM)及び以下の個々の成分(すべての部分PHR)によって説明される:
6.0<グリセロール<13.5
1.5<ソルビトール<9.0
15<MPD<22.5。
【0257】
また、さらに好ましい一連の物理的フィルム特性を得るために可塑剤の組み合わせ及びレベルの領域に提供されるMINITABソフトウェアにおけるモデルフィット:
(1)10%における弾性率<80N/mm
2、
(2)DC(5分)残留<35重量%
(3)引裂強度>1000g/ミル
(4)引張強度>35MPa
(5)修正された溶解時間
3ミル<80秒、及び
(6)静的COF<1。
【0258】
ある種のこの実施形態では、好ましい組み合わせは、30PHRの全可塑剤ブレンド(GSM)及び以下の個々の成分(すべての部分PHR)によって説明される:
6.0<グリセロール<13.5
1.5<ソルビトール<9.0
15.0<MPD<22.5。
【0259】
また、さらに好ましい一連の物理的フィルム特性を得るために可塑剤の組み合わせ及びレベルの領域に提供されるMINITABソフトウェアにおけるモデルフィット:
(1)10%における弾性率<80N/mm
2、
(2)DC(5分)残留<35重量%
(3)引裂強度>1700g/ミル
(4)引張強度>35MPa
(5)修正された溶解時間
3ミル<80秒、及び
(6)静的COF<1。
【0260】
ある種のこの実施形態では、好ましい組み合わせは、30PHRの全可塑剤ブレンド(GSM)及び以下の個々の成分(すべての部分PHR)によって説明される:
7.6<グリセロール<11.8.5
2.2<ソルビトール<7.3
15.0<MPD<18.5。
【0261】
実施例4
実施例4−1〜4−18によるフィルムは、グリセロール、ソルビトール、及び少量のプロピレングリコールを含むTMPの組み合わせのための様々な範囲の可塑剤タイプ及び濃度の例として、表10及び表11中に提供される。実施例は、他の添加剤を含む、ある種のポリビニルアルコールコポリマー樹脂製剤において提供されるが、様々な可塑剤製剤は、本明細書の開示と一致する代替のフィルム製剤に適用できる。例えば、可塑剤レベルがアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーに適用できることが企図される。非樹脂成分は、PHRの単位において記載される。
【表10】
【表11】
【0262】
図9は、PHR(すなわち、30PHR、37.5PHR、及び45PHR)における可塑剤ブレンド(グリエリン/ソルビトール/TMP、別称GST)の総量によって分類される、フィルム4−1〜4−18についての、10%における弾性率(N/mm
2)、引張強度(MPa)、DC(5分)残留(%)、引裂強度(g/ミル)、修正された溶解時間(3ミル、秒単位)、及び静的COFのプロットを示す。
【0263】
全体として、10%の値におけるより低い弾性率は、実施例3において、GSM可塑剤ブレンドを有する系統よりもこの系統において観察された。ある程度まで、可塑剤ブレンドのPHR負荷が、一連の実施例3において、最高30PHRに達するが、このセットは、30PHRで開始し、最高45PHRに達するため、これは、驚くべきことではない。10%におけるより低い弾性率は、深絞りキャビティーに対してより大きい熱成形性のために特に有益であり得る。
【0264】
図9は、10%における弾性率、引張強度、DC(5分)残留、及び引裂強度が、このタイプのブレンドにおいて相関性があることを明らかに示す。これらの4つすべてが、可塑剤ブレンドの総負荷のレベルの増加に伴って、これらの値が減少している。しかしながら、より高い引張強度及び引裂強度が好ましいが、対照的に、より低いDC(5分)及び10%における弾性率が好ましい。
【0265】
上述の4つの特性とは対照的に、修正された溶解時間及び静的COFが、総可塑剤ブレンド負荷の増加に伴って、平滑に増加も減少もしないことは注目に値する。具体的には、修正された溶解時間は、約30〜約37.5PHRの範囲で減少するが、約37.5〜約45.0PHRで安定するが、静的COFは、30.0及び37.5PHRの総負荷の相対的安定期で開始し、次いで、45.0PHRの負荷において劇的に増加する。
【0266】
結果は、可塑剤ブレンドにおいてTMPを用いて、フィルムの引張強度が比較的高く、総可塑剤の含量のより高い負荷を使用して、より良好な溶解特徴をもたらし、静的COFが劇的に増加するときの最大点(例えば、これらの実施例では、約45PHR)まで10%における弾性率を低下させることができる。約37.5PHRの範囲内の総可塑剤ブレンドGST負荷を有するフィルム製剤が、好ましくは、10%におけるより低い弾性率、好ましくは、より低いDC(5分)残留、好ましくは、より高い引裂強度、好ましくはより高い引張強度、好ましくはより低い修正された溶解時間、及び好ましくはより低い静的COFを示す場合に、特に好ましい。
【0267】
これらの結果は、量においてMultiple Simplex Designを用いてDesign of Mixture Experiment構成を用いるMINITAB 17統計学的分析ソフトウェアを用いて、全可塑剤ブレンド(GST)レベルを30PHR、37.5PHR、及び45PHRに設定して、さらに評価された。
【0268】
好ましい一連の物理的フィルム特性を得るために可塑剤の組み合わせ及びレベルの領域に提供されるMINITABソフトウェアにおけるモデルフィット:
(1)10%における弾性率<30N/mm
2、
(2)DC(5分)残留<50重量%
(3)引裂強度>1000g/ミル
(4)引張強度>35MPa
(5)修正された溶解時間
3ミル<100秒、及び
(6)静的COF<1。
【0269】
ある種の実施形態では、好ましい組み合わせは、37.5PHRの全可塑剤ブレンド(GST)及び以下の個々の成分(すべての部分PHR)によって説明記載される:
19.5<グリセロール<22.5
6.7<ソルビトール<11.7
6.3<TMP<9.5。
【0270】
別のある種の実施形態では、好ましい組み合わせは、45PHRの全可塑剤ブレンド(GST)及び以下の個々の成分(すべての部分PHR)によって説明される:
22.5<グリセロール<23.3
10.3<ソルビトール<15.0
7.5<TMP<10.2。
【0271】
さらに好ましい一連の物理的フィルム特性を得るために可塑剤の組み合わせ及びレベルの領域に提供されるMINITABソフトウェアにおけるモデルフィット:
(1)10%における弾性率<30N/mm
2、
(2)DC(5分)残留<50重量%
(3)引裂強度>1000g/ミル
(4)引張強度>35MPa
(5)修正された溶解時間
3ミル<95秒、及び
(6)静的COF<1。
【0272】
ある種のこの実施形態では、好ましい組み合わせは、37.5PHRの全可塑剤ブレンド(GST)及び以下の個々の成分(すべての部分PHR)によって説明される:
19.5<グリセロール<22.5
7.6<ソルビトール<11.7
6.3<TMP<7.5。
【0273】
別の種のこの実施形態では、好ましい組み合わせは、45PHRの全可塑剤ブレンド(GST)及び以下の個々の成分(すべての部分PHR)によって説明される:
22.5<グリセロール<23.3
13.0<ソルビトール<15.0
7.5<TMP<9.0。
実施例5
【0274】
実施例5−1〜5−3によるフィルムは、それぞれ、実施例3−11、3−11、及び4−8と同様のフィルム製剤における代替の樹脂製剤の例として表12中に提供される。非樹脂成分は、PHRの単位において記載される。
【表12】
【0275】
実施例6
実施例3及び4からのデータの比較は、DC(5分)残留が、TMP系統と比較して、MPD系統において低いことを示す。具体的には、同等の30PHRブレンド負荷レベルで、MPDの使用により、実質的には、改善されたDC(5分)残留値を得る。
【0276】
可塑剤ブレンド(GSMまたはGST)の一定したPHRレベルで、実施例3(MPD)フィルムにおけるDC(5分)残留性能と実施例4(TMP)フィルムとの比較は、MPDがTMPよりも優先して使用されたとき、DC(5分)残留の驚くべき改善を示す。驚くべきことには、グリセロール、ソルビトール、及びMPD DC(5分)残留値の組み合わせは、グリセロール、ソルビトール、及びTMP DC(5分)残留の組み合わせよりも27パーセンテージポイント低い(それぞれ、35対52)。
図10を参照のこと。
【0277】
図11、12、及び13に示されるように、DC(5分)残留におけるこの減少は、グリセロール、ソルビトール、及びMPDまたはTMPレベルとは無関係であるDC(5分)残留の結果を考慮して特に驚くべきことである。
【0278】
図11は、DC(5分)残留が、MPD及びTMPの例の両方のためのグリセロールレベルとは無関係であることを示す。
【0279】
図12は、DC(5分)残留が、MPD及びTMPの例の両方のためのソルビトールレベルとは無関係であることを示す。
【0280】
図13は、DC(5分)残留が、それぞれ、MPD及びTMPの例内でMPDまたはTMPレベルのいずれとも無関係であることを示す。
【0281】
いかなる特定の理論によっても拘束されることを意図するものではないが、MPD(分子量90)がTMP(分子量134)よりも分子量が低いため、観察された効果は、部分的であると考えられる。したがって、DC(5分)残留は、溶解については、PVOH樹脂への水のアクセスを与えて、より移動可能、かつより容易にあり得る。しかしながら、この移動性は、恐らくMPDで50%の増加がDC(5分)残留の削減に大きな効果を示し得ることが予想され得る場合のみの説明である可能性が低い。
図13では、15PHRのMPDで34%のDC(5分)残留と22.5PHRの36%との比較は、MPDレベルのみの増加が、GSMフィルムで示された、より低いDC(5分)残留値を促進しないことを示す。
【0282】
図14は、10%における弾性率に関しては、MPDまたはTMPの両方に添加した可塑剤ブレンドの量が多いほど、弾性率値が低くなることを示す。これは、予想され得る通りである。しかしながら、30PHRの同じ負荷で、MPD可塑化フィルムが、TMP可塑化フィルム(40)と比較して、より高い弾性率(52)を有することは注目に値する。これは、MPDが、水溶性フィルムを可塑化する際に、PHR当たり、あまり効果的ではないことを示す。したがって、MPDがすべての特性においてより効果的な可塑剤であるという説明は、GSMフィルムにおいて示された驚くほど低いDC(5分)残留値においては説明できない。したがって、GSM型フィルムによって示された優れたDC(5分)残留値が、特に驚くべきことである。
【0283】
実施例7
実施例3及び4におけるフィルムの静的COFが測定され、グリセロール+MPDまたはTMPの総量が、37.5PHR未満、または35PHR以下であるとき、1未満のCOFが、有利であったことが見出された。これらのフィルムにおいて、グリセロール+MPDまたはTMPの37.5PHRの合計で、静的COFは、急に約11に達した。
図15を参照のこと。
【0284】
いかなる特定の理論によっても拘束されることを意図するものではないが、GSM及びGSTブレンドの両方において、グリセロール+MPDまたはTMPの総レベルは、臨界の可溶性のような閾値を下回ると考えられる。したがって、特に、グリセロール+TMPレベルが約37.5PHRよりも大きいときに、PVOHポリマーは、「溶液」中のグリセロール及びTMPをもはや保持することができず、可塑剤のうちの1つまたはその他が、表面になり、静的COFの増加に反映して、粘着性フィルムを形成する。
【0285】
モデルは、データに適合し、
図16は、約1未満の静的COFを提供し得る、0.7PHRのブロッキング防止充填剤(例えば、SiO
2)及び0.7PHRの放出調節剤(例えばステアリン酸)を有するシステムにおいて、合計45PHR(GSTブレンド)の空間を示す。
【0286】
上記の説明は、理解の明瞭性のみのために与えられるものであり、本発明の範囲内の修正は当業者に明らかであろうため、いかなる不要な限定もそこから理解されるべきではない。
【0287】
本明細書及び続く特許請求の範囲を通じて、文脈が他の意味を必要としない限り、「含む(comprise)」という用語、ならびに「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」等の変形例は、記載の整数またはステップ、または整数もしくはステップの群を含むが、他の整数またはステップ、または整数もしくはステップの群を除外しないことを意味するものと理解されよう。
【0288】
本明細書を通じて、組成物が成分または材料を含むとして記載されている場合、該組成物は、特に記載がない限り、列挙された成分または材料の任意の組み合わせから本質的になるか、またはそれらからなることもできることが企図される。同様に、方法が特定のステップを含むとして記載されている場合、該方法は、特に記載がない限り、列挙されたステップの任意の組み合わせから本質的になるか、またはそれらからなることもできることが企図される。本明細書において例示的に開示した発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素またはステップの非存在下で、好適に実施され得る。
【0289】
本明細書に開示される方法及びこれらの個々のステップの実施は、手動で、及び/または電子装置の助けを借りてまたはそれによって提供される自動化で実施することができる。プロセスは、特定の実施形態に関して説明してきたが、当業者は、該方法に付随する行為を実施する他の手段が使用され得ることを容易に認識するであろう。例えば、種々のステップの順序は、特に記載がない限り、該方法の範囲または精神から逸脱することなく変更することができる。加えて、個々のステップの一部を、組み合わせること、省略すること、またはさらなるステップにさらに再分割することができる。
【0290】
本明細書で引用したすべての特許、刊行物、及び参考文献は、参照により完全に本明細書に組み込まれる。本開示と組み込まれた特許、刊行物、及び参考文献との間に矛盾がある場合は、本開示が支配すべきである。