(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1または複数の架橋性モノマー(d)が、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルメタクリレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルアクリレート、ジシクロペンテニルエーテルアクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項2または3に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、式(I)で表されるアクリル酸のオリゴマーを使用する:
【0027】
【化4】
式中、nは1から10の整数(両端を含む。)である。
【0028】
より正確には、これらのオリゴマーは、nの値の関数として、異なる鎖長の式(I)の酸性化合物の混合物の形態であり、例えばアクリル酸二量体(3−(アクリロイルオキシ)プロピオン酸、n=1としても知られる。)、アクリル酸三量体(n=2)、アクリル酸四量体(n=3)などを含む。この混合物はまた、未反応のアクリル酸(n=0である式(I))を含有してもよい。
【0029】
オリゴマー種の混合物自体に関しては、混合物中のオリゴマー種の平均数に相当する平均オリゴマー化度によってこれを特徴付けることが可能である。この平均オリゴマー化度は、特に、混合物の酸価を測定することによって決定されてもよい。酸価(酸の当量/グラム単位のAN)は、電位差滴定アッセイによって決定されてもよい。平均オリゴマー化数Nは、式:
N=−1.443ln(AN)+3.7946
に従って酸価ANによって決定される。
【0030】
アクリルの酸オリゴマー種の混合物の平均オリゴマー化度は、二量体および三量体が豊富な画分から本質的に構成される生成物については0.1から10、例えば0.1から3、または例えばn>2である式(I)のオリゴマーを本質的に含有する生成物については3から10である。
【0031】
一実施形態によれば、混合物の各ポリマー種について、上記式(I)のnは1から10の整数であり、例えば1から6または1から4の整数である。
【0032】
他の説明では、使用される名前は次の通りである:
−ジ−AA:アクリル酸二量体、
−トリAA:アクリル酸三量体および
−オリゴ−AA:式(I)においてn>2であるオリゴマー種。
【0033】
式(I)で表されるアクリル酸のオリゴマーの混合物は、混合物の総重量に基づいて10ppmから2,000ppmの重合防止剤、例えば50ppmから2,000ppmまたは100ppmから1,000ppm、または200ppmから500ppmの重合防止剤を含有してもよい。
【0034】
本発明の方法においては、使用する前に、このオリゴマー混合物を溶媒、例えば水で希釈することが有用であり得る。ここで、混合物は水溶液の形態である。このアクリル酸のオリゴマー水溶液の濃度は変動し得る。例えば、この濃度は、20重量%から50重量%のオリゴマーで変動する。
【0035】
アクリル酸のこれらのオリゴマーは、塩基性または酸性触媒、水および重合防止剤の存在下、50℃から200℃の温度でアクリル酸から調製される。
【0036】
これらの反応条件下で、水の存在下でアクリル酸のオリゴマーの混合物を調製する方法により、高い収率、例えば20重量%超のジ−AA二量体およびトリ−AA三量体を効果的に得ることが可能となる。また、得られたオリゴマーの混合物中の誘導された化合物(例えば、3−HPA)の含有量を制限することも可能となる。さらに、この方法では重合防止剤の量を制限することが可能となり、これにより、オリゴマーが水性エマルジョン中で(共)重合され、例えばASEまたはHASEタイプのコポリマーを調製する方法での使用が容易になる。少量の水を塩基性または酸性触媒と組み合わせて存在させることにより、アクリル酸のオリゴマーの調製方法の過程で重合防止剤の消費を低減させることができることを実際に見出した。
【0037】
これらのオリゴマーを調製するために使用されるアクリル酸は、石油化学起源であっても、または少なくとも部分的に再生可能な起源であってもよい。
【0038】
オリゴマーを調製する方法の過程で、50℃から200℃、例えば80℃から140℃または90℃から120℃の温度が使用される。
【0039】
オリゴマーを調製する方法は、塩基性または酸性触媒を使用する。アクリル酸のオリゴマーを合成するための触媒は、酸性である場合、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、キシレンスルホン酸、硫酸およびこれらの触媒の少なくとも2つの混合物からなる群から選択される均質酸触媒であってもよい。代わりに、このアクリル酸のオリゴマーを合成するための酸触媒は、イオン交換樹脂および酸性ゼオライトからなる群から選択される不均一酸触媒であってもよい。
【0040】
オリゴマーを調製する方法は、水も使用する。一実施形態によれば、反応媒体は、この方法で使用されるアクリル酸の総重量に基づいて、0.01重量%から20重量%、例えばアクリル酸モノマーの総重量に基づいて0.1重量%から5重量%または0.5重量%から3重量%の量の水を含有する。
【0041】
また、オリゴマーを調製する方法は、少なくとも1つの重合防止剤を使用する。一実施形態によれば、反応媒体は、この方法で使用されるアクリル酸の総重量に基づいて少量の重合防止剤を含有する。用語「少量の重合防止剤」は、使用される重合防止剤の量が、アクリル酸モノマーの重量に基づいて10ppmから2,000ppm、例えば50ppmから2000ppmまたは100ppmから1000ppm、または200ppmから500ppmの重合防止剤であることを意味する。
【0042】
好ましくは、オリゴマーを調製するための方法において使用される重合防止剤の量は、反応生成物で測定されるものと同一であり、即ち重合防止剤はこの方法の過程で消費されない。
【0043】
重合防止剤は、フェノチアジン、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ヒンダードフェノール、例えばジ−tert−ブチル−パラ−クレゾール(BHT)、tert−ブチルヒドロキシアニソール(BHA)またはジ−tert−ブチルカテコール、パラ−フェニレンジアミン、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)、TEMPO誘導体(例えば、OH−TEMPO)およびこれらの防止剤の少なくとも2つの混合物からなる群から選択されてもよい。一実施形態によれば、2つの異なる防止剤が、オリゴマー、特に以下の組み合わせの調製方法の過程で使用される:
−含有量が10ppmから2000ppmまたは100ppmから1,000ppmの範囲である、フェノール系重合防止剤、例えばヒドロキノンまたはヒドロキノンモノメチルエーテル、
−含有量が1ppmから200ppm、例えば10ppmから60ppmの範囲である、TEMPOタイプまたはTEMPO誘導体の窒素系重合防止剤。
【0044】
アクリル酸の熱オリゴマー化反応は、重合防止剤がフェノール化合物である場合、酸素を枯渇させた空気の制御された注入を伴って行われる。
【0045】
熱反応時間は、一般に1時間から20時間である。
【0046】
アクリル酸のオリゴマーは、式(I)で表される:
【0047】
【化5】
この式ではnは1から10の整数(両端を含む。)である。
【0048】
オリゴマーの混合物はまた、10/99から99/1(オリゴマー/酸質量比として表される。)の範囲であってもよい質量比の遊離アクリル酸を含んでもよい。
【0049】
一実施形態によれば、アクリル酸のオリゴマーの混合物は、20/99から99/1(オリゴマー/酸質量比として表される。)の範囲であってもよい質量比の遊離アクリル酸を含む。
【0050】
一実施形態によれば、オリゴマーを調製する方法は、残留水および/またはアクリル酸を除去するために少なくとも1つの蒸留塔を使用する精製工程も含む。
【0051】
一実施形態によれば、本発明の文脈で使用されるアクリル酸のオリゴマーの混合物は以下を特徴とする:
−ジ−AAおよびトリ−AAの含有量は、混合物のオリゴマーの総重量に基づいて、20重量%超、例えば22重量%超または24重量%超であるおよび
−残留アクリル酸の含有量は、混合物のオリゴマーの総重量に基づいて、60重量%未満、例えば40重量%未満または20重量%未満または10重量%未満である。
【0052】
水性乳化ラジカル(共)重合方法
本発明は、式(I)で表されるアクリル酸のオリゴマーの少なくとも1つの混合物の水性乳化ラジカル(共)重合方法に関し:
【0053】
【化6】
この式ではnは1から10(両端を含む。)の整数であり、
このオリゴマーは、塩基性または酸性触媒、水および少なくとも1つの重合防止剤の存在下、50℃から200℃の温度でアクリル酸から調製される。
【0054】
本発明による乳化重合(または共重合)は、水性媒体中で行われる。必要であれば、アクリル酸のオリゴマーの混合物を本発明の方法で使用する前に希釈してもよい。従って、混合物は、水溶液の形態であってもよい。
【0055】
このような水性乳化(共)重合方法は、少なくとも1つの重合開始剤、少なくとも1つの界面活性剤および場合により少なくとも1つの連鎖移動剤を使用する。
【0056】
一実施形態によれば、重合開始剤は過硫酸塩、例えば過硫酸アンモニウムまたは過硫酸ナトリウムである。
【0057】
乳化ラジカル重合は、重合中に製造された鎖の分子質量を調節するために、少なくとも1つの界面活性剤および場合により少なくとも1つの連鎖移動剤の存在下で行われる。
【0058】
使用されてもよい界面活性剤としては以下を挙げることができる:
−アニオン性界面活性剤、例えば脂肪酸塩、アルキル硫酸塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、アルキルエーテル硫酸塩(例えば、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、アルキルベンゼン硫酸塩(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルリン酸塩またはスルホスクシネートジエステル塩、
−非イオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシエチレン脂肪酸エステル、
−カチオン性界面活性剤、例えば第四級アルキル−および/またはアリール−アンモニウムハライドおよび
−双性イオン性または両性界面活性剤、例えばベタイン基を含む界面活性剤。
【0059】
使用されてもよい連鎖移動剤としては、ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンまたはtert−ドデシルメルカプタンなどの少なくとも4個の炭素原子を含むメルカプタン化合物を挙げることができる。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、方法は、水性エマルジョン中で以下を共重合することを含む:
(a)式(I)のアクリル酸のオリゴマー:
【0061】
【化7】
この式ではnは1から10(両端を含む。)の整数である、
(b)重合性ビニル基を有する少なくとも1つの非イオン性疎水性モノマー、
(c)場合により、重合性ビニル基および少なくともC
10、好ましくはC
12−C
36の、場合によりオキシアルキル化される疎水性炭化水素鎖を有する、モノマー(b)とは異なる少なくとも1つのモノマー、
(d)場合により少なくとも1つの架橋性モノマー、ならびに
(e)場合により、モノマー(b)とは異なる、場合により非イオン性の少なくとも1つの他の追加のモノマー。
【0062】
一実施形態によれば、この1または複数の非イオン性疎水性モノマー(b)は、アクリル酸エステルから選択され、例えばC1−C8アルキルアクリレートまたはC1−C8アルキルメタクリレート、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびこれらの混合物から選択される。
【0063】
この1または複数の非イオン性疎水性モノマー(b)は、ポリマーを形成するモノマーの総重量に基づいて、45重量%から75重量%、特に48重量%から68重量%、より詳細には50重量%から64重量%に相当してもよい。
【0064】
一実施形態によれば、この1または複数のモノマー(c)は、式(II)を有する:
T−A−Z(II)
式中:
−Tは、モノマー(c)の共重合を可能にする重合性基を表す、
−Aは、以下で構成されるポリマー鎖を表す:
−式−CH
2CHR
1O−のアルキレンオキシドのm単位(式中、R
1は1から4個の炭素を含むアルキル基、例えばエチル基またはメチル基を表し、mは0から150で変動する。)、
−式−CH
2CHR
2O−のアルキレンオキシドのp単位(式中、R
2は1から4個の炭素を含むアルキル基、例えばエチル基またはメチル基を表し、pは0から150で変動する。)および
−エチレンオキシドのn単位(ここでnが0から150、または10もしくは15から150、または10もしくは15から100、または15から50、または15から30で変動する。)、
ここで式−CH
2CHR
1O−のアルキレンオキシド単位、式−CH
2CHR
2O−のアルキレンオキシド単位およびエチレンオキシド単位がブロック、交互またはランダムに配置される、ならびに
−Zは、例えばO、S、NまたはPのような1個または数個のヘテロ原子を場合により含む、少なくとも10個の炭素原子の多環式または環状、分枝状、線状、飽和または不飽和の脂肪鎖を表す。
【0065】
一実施形態によれば、1または複数のモノマー(c)は、ポリマーを形成するモノマーの総重量に基づいて0重量%から20重量%、例えば2重量%から15重量%または4重量%から10重量%に相当する。
【0066】
「脂肪鎖」という用語は、少なくとも10個の炭素原子、例えば12から36個の炭素原子を含み、場合により1個または数個のヘテロ原子、例えば、O、S、NまたはPを含む多環式または環状、分枝状、線状脂肪酸の脂肪族炭化水素鎖を意味する。
【0067】
一実施形態によれば、鎖Zは、16個の炭素原子を含む分枝鎖である。
【0068】
末端Tは、より詳細には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸またはクロトン酸エステルの群に属する重合性不飽和基を含有するラジカルを表す。末端Tは、特に、アクリレート、メタクリレート、アリル、ビニル、メタクリルウレタンおよびα,α−ジメチル−m−イソプロペニルベンジルウレタン基から選択されてもよい。
【0069】
一実施形態によれば、モノマー(c)は、以下の式(III)に対応する:
CH
2=C(R
1)−COO−A−Z(III)
式中:
−R
1はHまたはCH
3を表し、
−AおよびZは、上記式(II)と同じ定義を有する。
【0070】
特定の実施形態によれば、上記式(II)および(III)中のAは、15から150個のエチレンオキシド単位、特に15から50個のエチレンオキシド単位、特に15から30個のエチレンオキシド単位で構成されるポリマー鎖を表す。
【0071】
例として、モノマー(c)は、式(II)または(III)に対応してもよく、式中、AおよびZは以下のようになる:
−mおよびpは0であり、nは25であり、R
1はCH
3を表し、Zは、16個の炭素原子を含む分岐鎖、即ち2−ヘキシル−1−デシルであるか、
−mおよびpは0であり、nは25であり、R
1はCH
3を表し、Zは32個の炭素原子を含む分岐鎖であるか、
−mおよびpは0であり、nは25であり、R
1はCH
3を表し、Zは22個の炭素原子を含む線状鎖であるか、
−mおよびpは0であり、nは36であり、R
1はCH
3を表し、Zは20個の炭素原子を含む分岐鎖、即ち、2−オクチル−1−ドデシルであるか、または
−mおよびpは0であり、nは30であり、R
1はCH
3を表し、Zは12個の炭素原子を含むオキソ鎖である。
【0072】
一実施形態によれば、1または複数の架橋性モノマー(d)は、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルメタクリレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルアクリレート、ジシクロペンテニルエーテルアクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0073】
この実施形態によれば、1または複数の架橋性モノマー(d)は、ポリマーを形成するモノマーの総重量に基づいて、8重量%未満、例えば5重量%未満または2重量%未満に相当する。
【0074】
一実施形態によれば、水性乳化ラジカル重合方法は、1個または数個の追加のモノマー(e)を使用し、これは特に以下から選択されてもよい:
−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、
−式(e1)のモノマー:
【0075】
【化8】
式中:
R
a、R
bおよびR
cは、互いに独立してHまたはCH
3を表し、
nは1または2に等しい整数である、ならびに
−式(e2)のモノマー:
【0076】
【化9】
式中:
−R
a’、R
b’、R
c’およびR
d’は、互いに独立して、HまたはCH
3を表し、
−Xは、(C=O)または(CH
2)
rであり、r=0、1または2であり、
−(AO)は、エトキシル化単位EO、プロポキシル化単位POおよびブトキシル化単位BOの中から選択される、ブロック、交互またはランダムに配置されたアルコキシル化単位から構成されるポリアルコキシル化鎖を表し、
−qは0に等しいか、または1から150まで変化する整数を表す。
【0077】
非イオン性の疎水性モノマー、架橋性モノマー、重合性ビニル基を有するモノマー、および疎水性炭化水素鎖および場合によっては本発明のポリマーの非イオン性追加モノマーのそれぞれについて記載された様々な特定の実施形態を組み合わせてもよいことが理解される。
【0078】
1または複数の場合により非イオン性の追加のモノマー(e)は、本発明に従うコポリマーを形成するモノマーの総重量に基づいて、50重量%未満、特に40重量%未満、より詳細には1重量%から30重量%に相当し得る。
【0079】
アクリル酸のオリゴマーの少なくとも1つの混合物を含む会合性アクリル(コ)ポリマー
本発明はまた、先に記載したような、即ち式(I)で表されるアクリル酸のオリゴマーの少なくとも1つの混合物を含む、会合性アクリル(コ)ポリマーに関し:
【0080】
【化10】
この式ではnは1から10の整数(両端を含む。)であり、
このオリゴマーは、塩基性または酸性触媒、水および少なくとも1つの重合防止剤の存在下、50℃から200℃の温度でアクリル酸から調製される。
【0081】
用語「含む」は、この(コ)ポリマーが、続くモノマーの重合から生じることを意味する。
【0082】
好ましくは、本発明は、200ppmから500ppmの少なくとも1つの重合防止剤を含む、式(I)で表されるアクリル酸のオリゴマーの少なくとも1つの混合物を含む会合性アクリル(コ)ポリマーを提供する:
【0083】
【化11】
この式では、nは1から10の整数(両端を含む。)であり、このオリゴマーは、50℃から200℃の温度で、塩基触媒または酸触媒、水および少なくとも1つの重合防止剤の存在下、アクリル酸から調製される。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、(コ)ポリマーは以下を含む:
(a)式(I)のアクリル酸のオリゴマー:
【0085】
【化12】
この式では、nは1から10の整数(両端を含む。)である、
(b)重合性ビニル基を有する少なくとも1つの非イオン性疎水性モノマー、
(c)場合により、重合性ビニル基および少なくともC
10、好ましくはC
12−C
36の、場合によりオキシアルキル化される疎水性炭化水素鎖を有する、モノマー(b)とは異なるモノマー、
(d)場合により架橋性モノマーおよび
(e)場合により、モノマー(b)とは異なる、場合により非イオン性の別の追加のモノマー。
【0086】
本発明の好ましい実施形態によれば、このコポリマーは以下から構成される:
(a)200ppmから500ppmの少なくとも1つの重合防止剤を含む式(I)のアクリル酸のオリゴマーの少なくとも1つの混合物:
【0087】
【化13】
この式では、nは1から10の整数(両端を含む。)である、
(b)重合性ビニル基を有する非イオン性疎水性モノマーとしてのエチルアクリレート、
(c)場合により、重合性ビニル基および少なくともC
10、好ましくはC
12−C
36の、場合によりオキシアルキル化される疎水性炭化水素鎖を有する、モノマー(b)とは異なるモノマー。
【0088】
この実施形態の1つの変形例によれば、コポリマーは、モノマー(a)およびモノマー(b)の重合のみから生じる。言い換えれば、このコポリマーは、「アルカリ可溶性エマルジョン」タイプ、即ちASEである。
【0089】
この実施形態の別の変形例によれば、このコポリマーは以下からなる:
(a)1重量%から99重量%の式(I)のアクリル酸のオリゴマー:
【0090】
【化14】
この式では、nは1から10(両端を含む。)の整数である、
(b)1から99重量%の、重合性ビニル基を有する少なくとも1つの非イオン性疎水性モノマー、例えばアクリル酸エステルから選択されるか、または例えばC
1−C
8アルキルアクリレートおよびC
1−C
8アルキルメタクリレートからなる群から選択されるモノマー。モノマーは、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0091】
本発明の別の実施形態によれば、コポリマーは以下を含む:
(a)式(I)のアクリル酸のオリゴマー:
【0092】
【化15】
この式では、nは1から10の整数(両端を含む。)である、
(b)重合性ビニル基を有する少なくとも1つの非イオン性疎水性モノマー、
(c)重合性ビニル基および少なくともC
10、好ましくはC
12−C
36の、場合によりオキシアルキル化される疎水性炭化水素鎖を有する、モノマー(b)とは異なる少なくとも1つのモノマー、
(d)場合により架橋性モノマー、ならびに
(e)場合により、モノマー(b)とは異なる、場合により非イオン性の別の追加モノマー。
【0093】
この実施形態によれば、このコポリマーはHASEタイプのものであり、即ち、会合性タイプのモノマーを含み、これが配合物中で使用される場合に会合性タイプの増粘を可能にする。
【0094】
本発明の方法で使用される種々のモノマーの定義および技術的特徴は、さらに、会合性アクリル(コ)ポリマーの定義に関して同様に再現され、組み合わせられてもよい。
【0095】
本発明による(コ)ポリマーおよびこれらを含有する配合物の使用
会合性アクリル(コ)ポリマーは、場合により着色した水性配合物の増粘剤として使用されてもよい。
【0096】
本発明の1つの主題はまた、先に記載した(コ)ポリマーを含有する場合により着色された水性配合物に関する。この水性配合物は、水性塗料、分散液、ワニス、紙コーティングカラー、化粧品配合物、洗剤配合物、繊維製品配合物、掘削泥水、石膏ボード用のジョイントコンパウンド配合物、セラミック用配合物、皮革用配合物、石膏配合物またはモルタル配合物のような水硬性結合剤用の配合物から選択されてもよい。
【実施例】
【0097】
[実施例1(本発明外)]
セミバッチ法によるHASEタイプポリマーの合成
セミバッチモードで製造されるポリマーを合成するためのプロトコルは以下の通りである:
252gの脱イオン水および3.5gのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を1L反応器に入れ、撹拌し、油浴を用いて加熱する。
【0098】
以下の成分を含むプレミックスをビーカー中で調製する:
−エチルアクリレート:179.9g、
−Sipomer(R)B−CEAアクリル酸のオリゴマー:82.3g、
−式(II)のモノマーMA(c)として記述されるマクロモノマー(式中、mおよびpが0であり、nが25であり、TがCH
2=C(CH
3)−COOを表し、Zが16個の炭素原子を含む分岐鎖、即ち2−ヘキシルデシルである。)43.8g、
−N−ドデシルメルカプタン:0.64g、
−脱イオン水:290.9gおよび
−SDS:3.5g。
【0099】
このプレミックスを撹拌してエマルジョンを形成する。
【0100】
0.55gの過硫酸アンモニウムおよび74.5gの水で構成される溶液を調製する。
【0101】
この重合開始剤の溶液を2時間かけて反応器に注入し、モノマープレミックスを2時間にわたって同時に注入する。
【0102】
次いで、18gの水を添加する。
【0103】
この混合物を再び86℃±2℃の温度で1時間加熱する。次いで0.27gの過硫酸アンモニウムおよび16gの脱イオン水を添加する。
【0104】
次いで、混合物を室温に冷却する。
【0105】
結果:重合の遅延、モノマーの蓄積、強い発熱
【0106】
[実施例2(本発明による)]
82.3gのSipomer(R)アクリル酸のオリゴマーが、以下の方法に従って調製された91.5gのアクリル酸のオリゴマーで置き換えられている事実を除いて、実施例1が同様に再現される。
【0107】
温度プローブを備え、凝縮器を取り付けた完全に撹拌された3つ口反応器に、以下を導入した:
−200gのアクリル酸、
−200ppmのヒドロキノンメチルエーテル(HQME)、
−1%の水および
−20%のAmberlyst A16樹脂。
【0108】
反応媒体を、空気散布しながら97℃で8時間撹拌した。
【0109】
8時間後、反応媒体は同量のHQMEを含む。
【0110】
得られたHASEタイプのコポリマーの特徴:
SC:30.1%
粒子直径(nm):350
残留AA:210ppm
残留EA:310ppm