(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィールドデバイス識別情報を前記プロセス制御ループに含まれる複数の前記他のデバイスに含まれる各々のデバイスに分配することが、前記フィールドデバイスにおいて
行われるコミッショニングアクションの完了に応じて、前記フィールドデバイス識別情報を第2のデバイスに自動的に分配することを含み、
前記第2のデバイスは、前記プロセス制御ループに含まれる前記複数の他のデバイスに含まれる、請求項1に記載の方法。
前記フィールドデバイスが、I/O割り当て状態に変更されたことを検出することであって、前記フィールドデバイスの前記I/O割り当て状態が、前記フィールドデバイスが前記I/Oデバイスを介して通信するように割り当てられていることを示す、検出することと、
前記検出に基づいて、前記プロセスプラントの前記フィールド環境に記憶した前記フィールドデバイスの前記識別情報を、前記プロセスプラントのバックエンド環境に記憶した前記フィールドデバイスの対応する識別情報と同期させることと、をさらに含む、請求項2または3に記載の方法。
複数のフィールドデバイスをコミッショニングするために、前記プロセス制御プラントの前記フィールド環境内に配置され、かつユーザによって動作されるフィールドコミッショニングツールから前記フィールドデバイス識別情報を受信することをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
前記フィールドデバイス識別情報を前記プロセス制御ループに含まれる前記複数の他のデバイスの各々のデバイスに分配することが、前記プロセスプラントの前記フィールド環境が前記プロセスプラントのバックエンド環境から通信的に切断されている間に、前記フィールドデバイス識別情報を前記プロセス制御ループに含まれる前記複数の他のデバイスの各々のデバイスに分配することを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
前記フィールドデバイスが、スマートフィールドデバイスであり、前記フィールドデバイス識別情報を前記コンポーネントの前記メモリに記憶することが、前記フィールドデバイス識別情報を前記スマートフィールドデバイスのメモリに記憶することを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
前記フィールドデバイス識別情報を前記プロセス制御ループに含まれる前記複数の他のデバイスに含まれる各々のデバイスに分配することが、前記フィールドデバイス識別情報を前記プロセス制御ループに含まれる前記複数の他のデバイスに含まれる少なくとも一つのデバイスにプッシュすることを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
前記フィールドデバイス識別情報を前記プロセス制御ループに含まれる前記複数の他のデバイスに含まれる各々のデバイスに分配することが、前記プロセス制御ループに含まれる前記複数の他のデバイスに含まれる少なくとも一つのデバイスによって開始される前記フィールドデバイス識別情報を各々プルすることに応答することを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
前記フィールドデバイス識別情報を記憶することが、前記フィールドデバイスを識別するシステムタグを記憶することを含み、前記システムタグが、構文解析規則に基づいて、前記フィールドデバイスを一意的に識別するソースタグから自動的に導出されるものであり、前記構文解析規則は、前記ソースタグに適用されて前記システムタグを導出する修正を定義する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
前記フィールドデバイスの前記システムタグを記憶することが、前記フィールドデバイスのデバイスタグまたはデバイス信号タグのうちの1つを記憶することを含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
前記フィールドデバイス識別情報を前記コンポーネントの前記メモリから前記プロセス制御ループに含まれる前記複数の他のデバイスに含まれる第2のデバイスに前記分配することが、
前記フィールドデバイスと前記第2のデバイスとの間の前記通信的な接続を確立することと、前記フィールドデバイスにより実行されるコミッショニング動作が完了することと、のうち少なくとも一つによってトリガーされる、請求項16に記載のシステム。
前記フィールドデバイス識別情報を前記コンポーネントの前記メモリから前記プロセス制御ループの前記複数の他のデバイスに前記分配することが、前記フィールドデバイス識別情報を前記コンポーネントの前記メモリから前記プロセス制御ループの前記複数の他のデバイスに各々プッシュすることを含む、請求項16〜19のいずれか一項に記載のシステム。
前記フィールドデバイス識別情報を前記コンポーネントの前記メモリから前記プロセス制御ループの前記複数の他のデバイスに前記分配することが、前記フィールドデバイス識別情報を前記コンポーネントの前記メモリから前記プロセス制御ループの前記複数の他のデバイスに各々プルすることを含む、請求項16〜20のいずれか一項に記載のシステム。
前記フィールドデバイス識別情報が、前記フィールドデバイスがそれぞれのコントローラから通信的に切断されている間に、前記コンポーネントの前記メモリから前記プロセス制御ループの前記複数の他のデバイスに分配される、請求項16〜21のいずれか一項に記載のシステム。
前記フィールドデバイス識別情報が、ユーザによって動作されるフィールドコミッショニングツールまたは資産管理システムのうちの少なくとも1つによって、前記コンポーネ
ントの前記メモリに記憶される、請求項16〜22のいずれか一項に記載のシステム。
前記フィールドデバイス識別情報が、前記フィールドデバイスに対応するシステムタグであり、前記システムタグが、前記フィールドデバイスを一意的に識別するソースタグから自動的に導出される、請求項16〜25のいずれか一項に記載のシステム。
前記システムタグが、前記ソースタグの総文字数よりも少ない総文字数を有し、前記ソースタグが、前記フィールドデバイスを一意的に識別するHARTロングタグである、請求項26に記載のシステム。
前記システムタグが、前記ソースタグの総文字数よりも多い総文字数を有し、前記ソースタグが、前記フィールドデバイスを一意的に識別するHARTショートタグである、請求項26に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上で論じたように、オンラインであるときに、リアルタイムで1つ以上の工業プロセスを制御するように動作するプロセスプラント、プロセス制御システム、またはプロセス制御環境は、本明細書で説明される新規なスマートコミッショニング技術、システム、装置、コンポーネント、デバイス、及び/または方法のうちの1つ以上を利用してコミッショニングすることができる。プロセスプラントは、オンラインでコミッショニングされ、動作するとき、プロセス制御システムと協調して物理的機能を行って、プロセスプラント内で実行する1つ以上のプロセスを制御する、1つ以上の有線もしくは無線プロセス制御デバイス、コンポーネント、または要素を含む。プロセスプラント及び/またはプロセス制御システムは、例えば、1つ以上の有線通信ネットワーク及び1つ以上の無線通信ネットワークを含み得る。加えて、プロセスプラントまたは制御システムは、連続データベース、バッチデータベース、資産管理データベース、ヒストリアンデータベース、及び他のタイプのデータベース等の、集中データベースを含み得る。
【0021】
例示のために、
図1は、本明細書で説明されるスマートコミッショニング技術のうちの任意の1つ以上を使用することによって少なくともその一部分がコミッショニングされた、例示的なプロセスプラント、プロセス制御システム、またはプロセス制御環境5のブロック図である。プロセスプラント5は、フィールドデバイスによって作成されたプロセス測定値を示す信号を受信し、この情報を処理して制御ルーチンを実装し、そして、有線または無線プロセス制御通信リンクまたはネットワークを通じて他のフィールドデバイスに送信されてプラント5内のプロセスの動作を制御する制御信号を生成する、1つ以上のプロセスコントローラを含む。典型的に、少なくとも1つのフィールドデバイスは、物理的機能(例えば、弁の開閉、温度の上昇または下降、測定値の取得、状態の感知等)を行って、プロセスの動作を制御する。いくつかのタイプのフィールドデバイスは、I/Oデバイスを使用することによってコントローラと通信する。プロセスコントローラ、フィールドデバイス、及びI/Oデバイスは、有線または無線とすることができ、任意の数及び組み合わせの有線及び無線プロセスコントローラ、フィールドデバイス、及びI/Oデバイスを、プロセスプラント環境またはシステム5に含むことができる。
【0022】
例えば、
図1は、入力/出力(I/O)カード26及び28を介して、有線フィールドデバイス15〜22に通信的に接続され、また、無線ゲートウェイ35及びプロセス制御データハイウェイまたはバックボーン10を介して、無線フィールドデバイス40〜46に通信的に接続される、プロセスコントローラ11を図示する。プロセス制御データハイウェイ10は、1つ以上の有線及び/または無線通信リンクを含むことができ、また、例えばイーサネットプロトコル等の、任意の所望のまたは適切なまたは通信プロトコルを使用して実装することができる。いくつかの構成において(図示せず)、コントローラ11は、1つ以上の通信プロトコル、例えば、Wi−Fiまたは他のIEEE802.11に準拠する無線ローカルエリアネットワークプロトコル、モバイル通信プロトコル(例えば、WiMAX、LTE、もしくは他のITU−R対応プロトコル)、Bluetooth(登録商標)、HART(登録商標)、WirelessHART(登録商標)、Pro
fibus、FOUNDATION(登録商標)フィールドバス等をサポートする、任意の数の他の有線または無線通信リンクの使用等によって、バックボーン10以外の1つ以上の通信ネットワークを使用して無線ゲートウェイ35に通信的に接続される。
【0023】
コントローラ11は、一例として、Emerson Process Managementによって販売されている、DeltaV(商標)コントローラとすることができ、フィールドデバイス15〜22及び40〜46のうちの少なくともいくつかを使用して、バッチプロセスまたは連続プロセスを実施するように動作させることができる。一実施形態において、プロセス制御データハイウェイ10に通信的に接続されることに加えて、コントローラ11はまた、例えば標準的な4〜20mAデバイス、I/Oカード26、28、及び/またはFOUNDATION(登録商標)フィールドバスプロトコル、HART(登録商標)プロトコル、WirelessHART(登録商標)プロトコル等の任意のスマート通信プロトコルと関連付けられる、任意の所望のハードウェア及びソフトウェアを使用して、フィールドデバイス15〜22及び40〜46のうちの少なくともいくつかにも通信的に接続される。
図1において、コントローラ11、フィールドデバイス15〜22及びI/Oカード26、28は有線デバイスであり、フィールドデバイス40〜46は、無線フィールドデバイスである。当然ながら、有線フィールドデバイス15〜22及び無線フィールドデバイス40〜46は、将来開発される任意の規格またはプロトコルを含む、任意の有線または無線プロトコル等の、任意の他の所望の規格(複数可)またはプロトコルに準拠させることができる。
【0024】
図1のプロセスコントローラ11は、1つ以上のプロセス制御ルーチン38(例えば、メモリ32内に記憶される)を実装または監督するプロセッサ30を含む。プロセッサ30は、フィールドデバイス15〜22及び40〜46と、ならびにコントローラ11に通信的に接続される他のノードと通信するように構成される。本明細書で説明される任意の制御ルーチンまたはモジュールは、所望に応じて、その一部が異なるコントローラまたは他のデバイスによって実装または実行され得ることに留意されたい。同様に、プロセス制御システム5内に実装される、本明細書で説明される制御ルーチンまたはモジュール38は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア等を含む、任意の形態をとり得る。制御ルーチンは、オブジェクト指向プログラミング、ラダー論理、シーケンシャルファンクションチャート、ファンクションブロックダイアグラムを使用すること、または任意の他のソフトウェアプログラミング言語もしくは設計パラダイムを使用すること等によって、任意の所望のソフトウェアの形式で実装することができる。制御ルーチン38は、ランダムアクセスメモリ(RAM)またはリードオンリーメモリ(ROM)等の、任意の所望のタイプのメモリ32に記憶することができる。同様に、制御ルーチン38は、例えば1つ以上のEPROM、EEPROM、特定用途向け集積回路(ASIC)、または任意の他のハードウェアもしくはファームウェア要素にハードコードすることができる。したがって、コントローラ11は、任意の所望の様態で制御ストラテジまたは制御ルーチンを実装するように構成することができる。
【0025】
コントローラ11は、一般に機能ブロックと称されるものを使用して制御ストラテジを実装し、各機能ブロックは、全体的な制御ルーチンのオブジェクトまたは他の部分(例えば、サブルーチン)であり、また、(リンクと呼ばれる通信を介して)他の機能ブロックと共に動作して、プロセス制御システム5内でプロセス制御ループを実施する。制御ベースの機能ブロックは、典型的に、伝送器、センサ、もしくは他のプロセスパラメータ測定デバイスと関連付けられるもの等の入力機能、PID、ファジー論理等の制御を行う制御ルーチンと関連付けられるもの等の制御機能、または弁等のいくつかのデバイスの動作を制御して、プロセス制御システム5内のいくつかの物理的機能を行う出力機能、のうちの1つを行う。当然ながら、ハイブリッド及び他のタイプの機能ブロックが存在する。機能ブロックは、コントローラ11に記憶され、それによって実行することができ、これは典
型的に、これらの機能ブロックが、標準的な4〜20mAデバイス、及びHART(登録商標)デバイス等のあるタイプのスマートフィールドデバイスに使用されるときに、または該デバイスと関連付けられるときに当てはまり、または機能ブロックは、フィールドデバイス自体に記憶され、それによって実装することができ、これは、FOUNDATION(登録商標)フィールドバスデバイスの場合に当てはまり得る。コントローラ11は、1つ以上の制御ループを実装することができ、機能ブロックのうちの1つ以上を実行することによって行われる、1つ以上の制御ルーチン38を含むことができる。
【0026】
有線フィールドデバイス15〜22は、センサ、弁、伝送器、ポジショナ等の任意のタイプのデバイスとすることができ、一方で、I/Oカード26及び28は、任意の所望の通信またはコントローラプロトコルに準拠する、任意のタイプのI/Oデバイスとすることができる。
図1において、フィールドデバイス15〜18は、アナログ回線または複合アナログ/デジタル回線を通じてI/Oカード26に通信する、標準的な4〜20mAデバイスまたはHART(登録商標)デバイスであり、一方で、フィールドデバイス19〜22は、FOUNDATION(登録商標)フィールドバス通信プロトコルを使用して、デジタルバスを通じてI/Oカード28に通信する、FOUNDATION(登録商標)フィールドバスフィールドデバイス等のスマートデバイスである。しかし、いくつかの実施形態において、有線フィールドデバイス15、16、及び18〜21のうちの少なくともいくつか、ならびに/またはI/Oカード26、28のうちの少なくともいくつかは、追加的または代替的に、プロセス制御データハイウェイ10を使用して、及び/または他の好適な制御システムプロトコル(例えば、Profibus、DeviceNet、Foundationフィールドバス、ControlNet、Modbus、HART等)を使用することによって、コントローラ11と通信する。
【0027】
図1において、無線フィールドデバイス40〜46は、WirelessHART(登録商標)プロトコル等の無線プロトコルを使用して、無線プロセス制御通信ネットワーク70を介して通信する。そのような無線フィールドデバイス40〜46は、1つ以上の他のデバイスと、または(例えば、この無線プロトコルまたは別の無線プロトコルを使用して)同じく無線で通信するように構成される、無線ネットワーク70のノードと直接通信することができる。無線で通信するように構成されていない1つ以上の他のノードと通信するために、無線フィールドデバイス40〜46は、プロセス制御データハイウェイ10または別のプロセス制御通信ネットワークに接続される無線ゲートウェイ35を利用することができる。無線ゲートウェイ35は、無線通信ネットワーク70の様々な無線デバイス40〜58へのアクセスを提供する。具体的には、無線ゲートウェイ35は、無線デバイス40〜58と、有線デバイス11〜28と、及び/またはプロセス制御プラント5の他のノードもしくはデバイスとの間の通信可能な結合を提供する。例えば、無線ゲートウェイ35は、プロセス制御データハイウェイ10を使用することによって、及び/またはプロセスプラント5の1つ以上の他の通信ネットワークを使用することによって、通信可能な結合を提供することができる。
【0028】
有線フィールドデバイス15〜22と同様に、無線ネットワーク70の無線フィールドデバイス40〜46は、プロセスプラント5内で物理的制御機能を、例えば弁の開閉またはプロセスパラメータの測定値の取得を行う。しかしながら、無線フィールドデバイス40〜46は、ネットワーク70の無線プロトコルを使用して通信するように構成される。したがって、無線ネットワーク70の無線フィールドデバイス40〜46、無線ゲートウェイ35、及び他の無線ノード52〜58は、無線通信パケットの生産者かつ消費者である。
【0029】
プロセスプラント5のいくつかの構成において、無線ネットワーク70は、非無線デバイスを含む。例えば、
図1において、
図1のフィールドデバイス48は、レガシーである
4〜20mAデバイスであり、フィールドデバイス50は、有線HART(登録商標)デバイスである。ネットワーク70内で通信するために、フィールドデバイス48及び50は、無線アダプタ52a、52bを介して、無線通信ネットワーク70に接続される。無線アダプタ52a、52bは、WirelessHART等の無線プロトコルをサポートし、また、Foundation(登録商標)フィールドバス、PROFIBUS、DeviceNet等の他の通信プロトコルもサポートすることができる。加えて、いくつかの構成において、無線ネットワーク70は、1つ以上のネットワークアクセスポイント55a、55bを含み、これらは、無線ゲートウェイ35と有線通信する別個の物理的デバイスとすることができ、または一体型デバイスとして無線ゲートウェイ35を備えることができる。無線ネットワーク70はまた、無線通信ネットワーク70内の一方の無線デバイスからもう一方の無線デバイスにパケットを転送するために、1つ以上のルータ58も含むことができる。
図1において、無線デバイス40〜46及び52〜58は、無線通信ネットワーク70の無線リンク60を通じて、及び/またはプロセス制御データハイウェイ10を介して、互いに及び無線ゲートウェイ35と通信する。
【0030】
図1において、プロセス制御システム5は、データハイウェイ10に通信的に接続される、1つ以上のオペレータワークステーション71を含む。オペレータワークステーション71を介して、オペレータは、プロセスプラント5のランタイム動作を確認し、監視することができ、ならびに任意の診断アクション、補正アクション、保守アクション、及び/または必要とされ得る他のアクションを行うことができる。オペレータワークステーション71の少なくともいくつかは、プラント5内の、またはその近くの様々な保護された領域に位置付けることができ、いくつかの状況では、オペレータワークステーション71の少なくともいくつかは、遠隔に位置付けることができるが、それでも、プラント5と通信可能な接続状態である。オペレータワークステーション71は、有線または無線のコンピューティングデバイスとすることができる。
【0031】
例示的なプロセス制御システム5は、構成アプリケーション72a及び構成データベース72bを含むようにさらに図示され、その各々はまた、データハイウェイ10に通信的に接続される。上で論じたように、構成アプリケーション72aの様々な事例は、1つ以上のコンピューティングデバイス(図示せず)上で実行して、ユーザが、データハイウェイ10を介して、プロセス制御モジュールを作成または変更し、これらのモジュールをコントローラ11にダウンロードすることを可能にし、ならびに、ユーザが、オペレータがプロセス制御ルーチン内のデータを確認し、データ設定を変更することができるオペレータインターフェースを作成または変更することを可能にする。構成データベース72bは、作成した(例えば、構成した)モジュール及び/またはオペレータインターフェースを記憶する。一般に、構成アプリケーション72a及び構成データベース72bは、集中化され、プロセス制御システム5に対する一体的な論理的外観を有するが、構成アプリケーション72aの複数の事例は、プロセス制御システム5内で同時に実行することができ、構成データベース72bは、複数の物理的データ記憶デバイスにわたって実装することができる。故に、構成アプリケーション72a、構成データベース72b、及びそれらへのユーザインターフェース(図示せず)は、制御及び/または表示モジュールのための構成または開発システム72を備える。典型的に、必ずしもそうではないが、構成システム72のユーザインターフェースは、プラント5がリアルタイムで動作しているかどうかにかかわらず、構成システム72のユーザインターフェースが構成及び開発エンジニアによって利用されるので、オペレータワークステーション71と異なるのに対して、オペレータワークステーション71は、プロセスプラント5のリアルタイムの動作中(本明細書では、互換的にプロセスプラント5の「ランタイム」動作とも称される)に、オペレータによって利用される。
【0032】
例示的なプロセス制御システム5は、データヒストリアンアプリケーション73a及び
データヒストリアンデータベース73bを含み、その各々はまた、データハイウェイ10に通信的に接続される。データヒストリアンアプリケーション73aは、データハイウェイ10にわたって提供されるデータの一部または全部を収集するように、及び長期記憶のために、データをヒストリアンデータベース73bにおいて履歴化または記憶するように動作する。構成アプリケーション72a及び構成データベース72bと同様に、データヒストリアンアプリケーション73a及びヒストリアンデータベース73bは、集中化され、プロセス制御システム5に対して一体的な論理的外観を有するが、データヒストリアンアプリケーション73aの複数の事例は、プロセス制御システム5内で同時に実行することができ、データヒストリアン73bは、複数の物理的データ記憶デバイスにわたって実装することができる。
【0033】
いくつかの構成において、プロセス制御システム5は、Wi−Fiまたは他のIEEE802.11に準拠する無線ローカルエリアネットワークプロトコル、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)もしくは他のITU−R(International Telecommunication Union
Radio communication Sector)互換のプロトコル等のモバイル通信プロトコル、近距離無線通信(NFC)及びBluetooth等の短波長無線通信、または他の無線通信プロトコルといった、他の無線プロトコルを使用して他のデバイスと通信する、1つ以上の他の無線アクセスポイント74を含む。典型的に、そのような無線アクセスポイント74は、ハンドヘルドまたは他のポータブルコンピューティングデバイス(例えば、ユーザインターフェースデバイス75)が、無線ネットワーク70と異なり、かつ無線ネットワーク70と異なる無線プロトコルをサポートする、それぞれの無線プロセス制御通信ネットワークを通じた通信を可能にする。例えば、無線またはポータブルユーザインターフェースデバイス75は、プロセスプラント5内のオペレータによって利用される、モバイルワークステーションまたは診断試験設備(例えば、オペレータワークステーション71の一事例)とすることができる。いくつかのシナリオにおいて、ポータブルコンピューティングデバイスに加えて、1つ以上のプロセス制御デバイス(例えば、コントローラ11、フィールドデバイス15〜22、または無線デバイス35、40〜58)もまた、アクセスポイント74によってサポートされる無線プロトコルを使用して通信する。
【0034】
いくつかの構成においては、プロセス制御システム5は、直近のプロセス制御システム5の外部にあるシステムへの1つ以上のゲートウェイ76、78を含む。典型的に、このようなシステムは、プロセス制御システム5によって生成または運用される情報の需要者または供給者である。例えば、プロセス制御プラント5は、直近のプロセスプラント5と別のプロセスプラントとを通信的に接続するために、ゲートウェイノード76を含むことができる。加えて、または代替的に、プロセス制御プラント5は、直近のプロセスプラント5を、実験室システム(例えば、実験室情報管理システムまたはLIMS)、オペレータラウンドデータベース、マテリアルハンドリングシステム、保守管理システム、製品在庫制御システム、生産スケジューリングシステム、気象データシステム、出荷及び取扱システム、包装システム、インターネット、別のプロバイダのプロセス制御システム、または他の外部システム等の、外部のパブリックシステムまたはプライベートシステムと通信的に接続するために、ゲートウェイノード78を含むことができる。
【0035】
図1は、プロセスプラント5内に含まれる、有限数のフィールドデバイス15〜22及び40〜46、無線ゲートウェイ35、無線アダプタ52、アクセスポイント55、ルータ58、ならびに無線プロセス制御通信ネットワーク70を伴う、単一のコントローラ11を図示するだけであるが、これは、例示的かつ非限定的な実施形態に過ぎないことに留意されたい。任意の数のコントローラ11を、プロセス制御プラントまたはシステム5に
含むことができ、コントローラ11のいずれかが、任意の数の有線または無線デバイス及びネットワーク15〜22、40〜46、35、52、55、58、及び70と通信して、プラント5内のプロセスを制御することができる。
【0036】
さらに、
図1のプロセスプラントまたは制御システム5は、データハイウェイ10によって通信的に接続される、フィールド環境122(例えば、「プロセスプラントフロア122」)及びバックエンド環境125を含むことに留意されたい。
図1に示されるように、フィールド環境122は、その中に配置され、設置され、相互接続されて、ランタイム中にプロセスを制御する、物理的コンポーネント(例えば、プロセス制御デバイス、ネットワーク、ネットワーク要素等)を含む。例えば、コントローラ11、I/Oカード26、28、フィールドデバイス15〜22、ならびに他のデバイス及びネットワークコンポーネント40〜46、35、52、55、58、及び70は、プロセスプラント5のフィールド環境122内に位置付けられ、配置され、または別様には含まれる。全般的に言えば、プロセスプラント5のフィールド環境122において、原材料は、該フィールド環境内に配置される物理的コンポーネントを使用して受容され、処理されて、1つ以上の製品を生成する。
【0037】
プロセスプラント5のバックエンド環境125は、フィールド環境122の苛酷な状態及び材料から遮蔽及び/または保護される、コンピューティングデバイス、オペレータワークステーション、データベース、またはデータバンク等の様々なコンポーネントを含む。
図1を参照すると、バックエンド環境125は、例えば、オペレータワークステーション71、制御モジュール及び他の実行可能モジュールのための構成または開発システム72、データヒストリアンシステム73、ならびに/またはプロセスプラント5のランタイム動作をサポートする他の集中管理システム、コンピューティングデバイス、及び/もしくは機能を含む。いくつかの構成において、プロセスプラント5のバックエンド環境125内に含まれる様々なコンピューティングデバイス、データベース、ならびに他のコンポーネント及び装置は、異なる物理的な場所に物理的に位置付けることができ、このうちのいくつかをプロセスプラント5に対してローカルとすることができ、また、このうちのいくつかを遠隔とすることができる。
【0038】
図2Aは、スマートまたはインテリジェントフィールドデバイス102aが含まれ、また、本明細書で説明されるスマートコミッショニング技術のうちの任意の1つ以上を使用してコミッショニングされ得る、例示的な制御ループ100aの例示的なアーキテクチャを表すブロック図を含む。一般に、本明細書で使用するときに、「スマート」または「インテリジェント」フィールドデバイスは、1つ以上のプロセッサ及び1つ以上のメモリを一体的に含む、フィールドデバイスである。一方で、本明細書で使用するときに、「ダム(dumb)」または「レガシー」フィールドデバイスは、オンボードプロセッサ(複数可)及び/またはオンボードメモリを含まない。
【0039】
ループ100aは、プロセスプラントのランタイム動作中にその中のプロセスを制御する際に利用されるように、プロセスプラントの中に一体化する、または組み込むことができる。例えば、ループ100aは、プロセスプラント5のフィールド環境122内に設置または配置することができる。
【0040】
図2Aに示される例示的なプロセス制御ループ100a内で、スマートまたはインテリジェントフィールドデバイス102aは、電子マーシャリングデバイスまたはコンポーネント110a(例えば、Emerson Process Managementによって提供される特徴付けモジュール(CHARacterization ModuleまたはCHARM))に(例えば、有線または無線方式で)通信的に接続される。電子マーシャリングコンポーネント110aは、I/O端子ブロック105aに通信的に接続され
(112a)、これが次に、I/Oカード108aに通信的に接続される。I/Oカード108aは、コントローラ120aに通信的に接続され(118a)、これが次に、プロセスプラント5のバックエンド環境125に通信的に接続される(121a)。プロセスプラント5のオンライン動作中に、プロセスコントローラ120aは、スマートフィールドデバイス102aによって生成される信号のデジタル値を受信し、受信した値で動作して、プラント5内のプロセスを制御し、及び/または信号を送信して、フィールドデバイス102aの動作を変更させる。加えて、コントローラ120aは、通信可能な接続121aを介して、バックエンド環境125に情報を送信し、そこから情報を受信することができる。
【0041】
図2Aにおいて、電子マーシャリングコンポーネント110a、I/O端子ブロック105a、及びI/Oカード108aは、(I/Oキャビネット等の)キャビネットまたはハウジング115a内に一緒に位置付けられるように表され、該キャビネットは、バス、バックプレーン、または他の適切な相互接続機構を介して、キャビネット115a内に収容した電子マーシャリングコンポーネント110a、I/O端子ブロック105a、及びI/Oカード108a、ならびに/または他のコンポーネントを電気的に相互接続する。当然ながら、
図2Aに表されるような、キャビネット115a内のCHARM110a、I/O端子ブロック105a、及びI/Oカード108aの筐体は、数多くの可能なハウジング構成のうちの1つに過ぎない。
【0042】
特に電子マーシャリングコンポーネント110aに関して、
図2Bは、
図2Aに示される電子マーシャリングコンポーネント110aをサポートする例示的な電子マーシャリングブロックまたは装置140の側面図を図示し、したがって、同時に
図2Aを参照して下で論じられる。
図2Bにおいて、電子マーシャリングブロックまたは装置140は、(例えば、
図2Aに示される、有線または無線接続118aを介して)プロセスコントローラ120aを接続することができる1つ以上のCHARM I/Oカード(CIOC)145をサポートする、CHARMキャリア142を含む。加えて、電子マーシャリングブロックまたは装置140は、CHARMキャリア142に(したがって、CHARM I/Oカード145に)通信的に接続し、複数の個別に構成可能なチャネルをサポートする、1つ以上のCHARMベースプレート148を含む。各チャネルは、専用のCHARM端子ブロック150に対応し、該CHARM端子ブロックでは、CHARM110aを確実に受容し、電気的に接続することができ、それによって、コントローラ120aによってフィールドデバイス102a及びコントローラ120aを電子的にマーシャリングする。例えば、I/O端子ブロック105aは、CHARM端子ブロック150であり、該CHARM端子ブロックでは、CHARM110aが受容され、I/Oカード108aは、CHARM端子ブロック150に対応し、コントローラ120aが接続される(118a)、CIOC145である。
図2Bはまた、それぞれのCHARM端子ブロック150によって受容されており、また、プロセスプラント5のフィールド環境122内の他のそれぞれのデバイス(図示せず)に接続され得る、他のCHARM152も示す。
【0043】
以下、
図2Aを参照すると、
図2Aは、例示的なプロセス制御ループ100bの例示的なアーキテクチャを表すブロック図をさらに含み、該アーキテクチャには、スマート/インテリジェントフィールドデバイス102bが含まれるが、ループ100aとは異なり、ループ100bは、いかなる電子マーシャリングコンポーネントも排除し、代わりに、直接マーシャリングなどのレガシーマーシャリング技術を利用する。具体的には、スマートフィールドデバイス102bは、(例えば、有線または無線様態で)I/O端子ブロック105bに通信的に接続され、次に、プロセスコントローラ120bへの特定の直接マーシャリングされた接続118bを有するI/Oカード108bに接続される。I/O端子ブロック105b、I/Oカード108b、及び/または他のコンポーネントは、例えばI/Oマーシャリングキャビネット115bに収容または含まれ、接続118bは、バス
、バックプレーン、または他の適切な相互接続機構(
図2Aに図示せず)を通して実現される。この様態で、ループ100bは、プロセスプラント5のフィールド環境122内に設置または配置し、例えばコントローラ120bを介して、バックエンド環境125に通信的に接続121bすることができる。プロセスプラント5のオンライン動作中に、I/Oカード108bがプロセスコントローラ120bと通信的に接続118bされているときに、プロセスコントローラ120bは、スマートフィールドデバイス102bによって生成された信号のデジタル値を受信し、受信した値で動作して、プラント5内のプロセスを制御し、及び/または信号を送信して、フィールドデバイス102bの動作を変更させる。加えて、コントローラ120bは、通信的な接続121bを介して、バックエンド環境125に情報を送信し、そこから情報を受信することができる。
【0044】
図2Cは、レガシーフィールドデバイス102cが含まれるプロセス制御ループ100cの例示的なアーキテクチャを表すブロック図である。例示的なプロセス制御ループ100a及び100bのように、プロセス制御ループ100cは、本明細書で説明されるスマートコミッショニング技術のうちの任意の1つ以上を使用してコミッショニングすることができる。加えて、上で論じたように、レガシーフィールドデバイス102cは、該当する場合があったとしても、最小のローカルメモリ及び/または処理能力を含む。ループ100cは、プロセスプラント5のランタイム動作中にその中のプロセスを制御する際に利用されるように、
図1のプロセスプラント5などのプロセスプラントの中に一体化する、または組み込むことができる。例えば、ループ100cは、プロセスプラント5のフィールド環境122内に設置または配置することができる。
【0045】
図2Cにおいて、レガシーデバイス102cは、(例えば、有線または無線様態で)電子マーシャリングデバイスまたはコンポーネント110c(例えば、CHARM)に通信的に接続される。電子マーシャリングコンポーネント110cは、I/O端子ブロック105cに通信的に接続され(112c)、これが次に、I/Oカード108cに通信的に接続される。I/Oカード108cは、コントローラ120cに通信的に接続され118c、次に、プロセスプラント5のバックエンド環境125に通信的に接続される(121c)。このように、I/O端子ブロック105cは、CHARM端子ブロック(
図2Bに表されるCHARM端子ブロック150のうちの1つ)とすることができ、I/Oカード108cは、CIOC(例えば、
図2Bに表されるCIOC145のうちの1つ)とすることができる。
【0046】
図2Cにおいて、電子マーシャリングコンポーネント110c、I/O端子ブロック105c、及びI/Oカード108cは、キャビネットまたは筐体115c(I/Oキャビネットなど)内に位置付けられるように表され、該キャビネットまたは筐体は、バス、バックプレーン、または他の適切な相互接続機構を介して、電子マーシャリングコンポーネント110c、I/O端子ブロック105c、及びI/Oカード108c、ならびに/またはキャビネット115c内に収容した他のコンポーネントを電気的に相互接続する。このように、プロセスプラント5のオンライン動作中に、コントローラ120cは、レガシーフィールドデバイス102cによって生成された信号の値を受信し、受信した値で動作して、プラント5内のプロセスを制御し、及び/または信号を送信して、フィールドデバイス102cの動作を変更させる。加えて、コントローラ120cは、例えばデータハイウェイ10を介して、プロセスプラント5のバックエンド環境125と通信的に接続される(121c)。
【0047】
図2Cはまた、例示的なプロセス制御ループ100dの例示的なアーキテクチャを表すブロック図も含み、該アーキテクチャには、レガシーデバイス102dが含まれるが、ループ100cとは異なり、ループ100dは、いかなる電子マーシャリングコンポーネントも排除し、代わりに、直接マーシャリングなどのレガシーマーシャリング技術を利用す
る。
図2Cにおいて、レガシーフィールドデバイス102dは、(例えば、有線または無線様態で)I/O端子ブロック105dに通信的に接続され、次に、プロセスコントローラ120dへの特定の直接マーシャリングされた接続118dを有するI/Oカード108dに接続され、コントローラ120dは、例えばデータハイウェイ10を介して、プロセスプラント5のバックエンド環境125に通信的に接続される(121d)。I/O端子ブロック105d、I/Oカード108d、及び/または他のコンポーネントは、
図2Cに示される例示的な配設で表されるように、I/Oキャビネット115dに収容または含まれる。プロセスプラント5のオンライン動作中に、I/Oカード108cがプロセスコントローラ120cと通信的に接続されているときに(118c)、プロセスコントローラ120cは、レガシーフィールドデバイス102dによって生成された信号の値を受信し、受信した値で動作して、プラント5内のプロセスを制御し、及び/または信号を送信して、フィールドデバイス102dの動作を変更させる。加えて、コントローラ120dは、例えばデータハイウェイ10を介して、プロセスプラント5のバックエンド環境125と通信的に接続される(121d)。
【0048】
図2A及び2Cはそれぞれ、プロセスプラント5のバックエンド環境125内に配置され、また、コミッショニングする目的で使用される、集中データベースまたはデータストア128をさらに例示する。集中データベース128は、とりわけ、プロセスプラントフロアまたはフィールド環境122に実装されるように計画または所望される様々なデバイスまたはコンポーネント及びそれらの相互接続を特に識別及び/またはアドレス指定する、データ及び他の情報を記憶する。このコミッショニングデータのうちのいくつかは、フィールド環境122内のデバイス及びループをコミッショニングする際に使用するために、該フィールド環境内のコンポーネントに提供することができ、このデータのうちのいくつかは、例えば、プロセスプラント5の実動作中に、フィールド環境122と連動して動作する制御モジュール及び/またはオペレータインターフェースモジュールの設計、開発、及び準備のために、バックエンド環境125において利用することができる。一実施例では、承認された制御モジュールが、プロセスコントローラ120にダウンロードされ、よって、実動作中に実行されたときに、プロセスコントローラ120は、その常駐制御モジュールに従って動作して、そのループ100内の他のコンポーネントとの間で(また、いくつかの事例では、他のプロセスコントローラとの間で)信号を送信及び受信し、それによって、プロセスプラント5内のプロセスの少なくとも一部分を制御する。
【0049】
したがって、バックエンド環境125及びフィールド環境122において知られ、かつ利用されるデータは、同期され、かつ首尾一貫していなければならない。例えば、プロセスプラント5内で、フィールドデバイス102は、フィールド環境122及びバックエンド環境125の両方において、同じ特定のデバイスタグ(例えば、
図2A及び2Cに例示されるタグST−A、ST−B、ST−C、及びST−D)によって一意的に識別される。同様に、フィールドデバイス102によって生成または受信された信号は、プラント5のフィールド環境122及びバックエンド環境125の両方において、同じ特定のデバイス信号タグ(図示せず)によって一意的に識別される。さらに、プロセスループ100に含まれる様々なコンポーネントの所望または計画された関連付けは、フィールド環境122とバックエンド環境125との間で同期され、かつ整合していなければならない。例えば、バックエンド環境125において、データベース128は、デバイスタグSTによって識別されたフィールドデバイス102が特定のI/Oカード108及び/もしくは特定のI/O端子ブロックまたはチャネル105を介して通信するように指定されたこと、特定のI/Oカード108が特定のコントローラ120と通信するように指定されたこと、などを示す情報を記憶する。バックエンド環境125において論理的に知られているこの一組の関連付け及び相互接続は、フィールド環境122に物理的に実装されなければならない。したがって、プロセスプラントのコミッショニング中には、フィールド環境122内の様々なデバイス、コンポーネント、及び接続の物理的動作が試験されるだけでなく、
名前付け、関連付け、相互接続、及び他のコミッショニングデータもまた、フィールド環境122とバックエンド環境125との間の整合性及び首尾一貫性について検証される。
【0050】
上で論じたように、従来のコミッショニング技術は、フィールド環境122においてコミッショニングを任意の有意な様態で開始することができるようになる前に、フィールド環境122内に配置された様々なコンポーネントの名前または識別情報、ならびに該コンポーネントの他のコンポーネントとの関連付け及び相互接続を、バックエンド環境125において定義する必要がある。すなわち、従来のコミッショニング技術は、最初に、様々なフィールドコンポーネントの名前、関連付け、及び相互接続をバックエンド環境125において構成または定義し、次いで、フィールド環境122のコンポーネントをコミッショニングする際に使用するため、そのようなコミッショニングデータをフィールド環境122において利用できるようにするために、プロセス制御システム5内の確立された通信経路を介して、フィールド環境122にダウンロードまたは別様には伝送する必要がある。例えば、従来のコミッショニング技術を使用すると、フィールド環境122において1つ以上のコミッショニングアクションまたはアクティビティを行う際にコミッショニングデータを利用できるように、コミッショニングデータ(構成及び定義を含む)は、典型的に、データハイウェイ10を介して、バックエンド環境125から、コントローラ120及びI/Oデバイス108に、またいくつかの事例では、フィールド環境122内のフィールドデバイス102に伝送される。
【0051】
一方で、プロセス制御システム及び/またはプラントのスマートコミッショニングは、フィールド環境122においてコミッショニングアクティビティを開始する前に、バックエンド環境125において構成及び定義の大部分を完了しておく必要はない。代わりに、本明細書で説明されるスマートコミッショニング技術は、プロセスプラントのバックエンド環境125において行われている機能的/論理的設計及びエンジニアリングの進捗とは独立に、プロセスプラント5のフィールド環境122において、物理的設計、設置、エンジニアリング、及びコミッショニングを開始し、行うことを可能にする。例えば、フィールド環境122がプロセスプラント5のバックエンド環境125に通信的に接続される前に、例えば、フィールド環境122及びバックエンド環境125が通信的に接続されている間に、及び/またはフィールド環境122内に設置されたループ100(またはその一部分)がバックエンド環境125から通信的に切断されている間に、様々なコミッショニングアクティビティまたはアクションを、プロセスプラント5のフィールド環境122において行うことができる。例えば、プロセス制御システムまたはプラント5が、特定のI/Oカード108及び/またはI/Oチャネルへのフィールドデバイス102の指定に関する知識を有する前に、コミッショニングアクティビティ及びアクションの一部分の少なくともいくつかを、フィールド環境122において行うことができる。加えて、または代替的に、様々なコンポーネントがプロセス制御ループ100の他のコンポーネントから切断されている間に、及び/または様々なコンポーネントがループ100の他のコンポーネントにまだ割り当てられていない間に、様々なコミッショニングアクティビティまたはアクションをプロセス制御ループ100の様々なコンポーネントに対して形成することができる。故に、スマートコミッショニングは、コミッショニングプロセスの少なくともいくつかの部分をローカルに、自動的に、分配的に、及び/または並行して行うことを可能にし、よって、プラントまたはシステム5に全体として組み込まれる、または統合される前に、プロセスプラント5のデバイス、コンポーネント、及び他の一部分を、部分的に、さらには全体的にコミッショニングすることができ、それによって、従来のコミッショニング技術と比較して、プロセスプラントをコミッショニングするために必要とされる時間、人員、及びコストが大幅に低減される。
【0052】
プロセスプラントまたはプロセス制御システム5をスマートにコミッショニングするための様々な態様、装置、システム、コンポーネント、デバイス、方法、及び技術の説明を
続ける。スマートコミッショニング技術は、
図1、
図2A、2B、及び2Cを同時に参照して下で説明するが、これは、単に読み取りを容易にするためのものであり、限定を目的とするものではない。実際に、当業者は、本明細書で説明されるスマートコミッショニング技術のうちの少なくともいくつかを、スタンドアロンのデバイスに適用することができ、及び/またはその間にプロセスプラントの一部分がコミッショニングされていないシナリオにおいて、そのような一部分に適用することができることを認識するであろう。
【0054】
スマートコミッショニングの鍵となる態様は、コミッショニング中に使用するための、フィールド環境内のコンポーネントの論理的識別子の独立した可用性である。そのような論理的識別子の例としては、その各々が特定の計器、コントローラ、弁、または他の物理的フィールドデバイスを表すデバイスタグ(Device Tag:DT)、及びその各々が特定のデバイスによって受信または生成され、また典型的に、フィールドデバイスによって利用される特定のパラメータに対応する特定の信号を表すデバイス信号タグ(Device Signal Tag:DST)が挙げられる。いくつかのデバイスについて、デバイス信号タグは、デバイスのデバイスタグと、そのデバイスによって受信または生成された固有の信号の識別子、例えば、制御モジュールによって参照される固有のパラメータの識別子との組み合わせを含む。いくつかのデバイス、典型的には、レガシーまたはダム(dumb)デバイスについて、デバイスタグは、物理的デバイス、及びデバイスによって生成された信号の両方を表す。全般的に言えば、デバイスの論理的識別子は、デバイスを一意的に識別するために、フィールド環境122及びバックエンド環境125の両方において、プロセスプラント5によって使用される。
【0055】
いずれにしても、上で論じたように、従来のコミッショニングプロシージャは、最初に、例えば機能の設計及びエンジニアリング段階中に、プロセスプラントのバックエンド環境125においてデバイスのそのような論理的識別子及び信号を定義し、続いて、フィールド環境122内に配置された物理的デバイス及び設備をコミッショニングする際に使用するために、該フィールド環境に提供することが必要とされる。しかし、スマートコミッショニングによれば、そのような論理的識別子は、フィールド環境122及びバックエンド環境125において独立かつ非同期的に導出及び/または取得され、よって、論理的識別子は、例えば必要に応じて、及び必要なときに、ローカルコミッショニングアクティビティ及びアクションで使用するために、それぞれのローカル環境122、125において容易に利用することができる。重要なことに、論理的識別子は、コミッショニングプロセスのかなり早い時期にフィールド環境122において使用するために利用することができ、それによって、フィールド環境122におけるコミッショニングアクティビティの開始及び進捗の、バックエンド環境125におけるコミッショニングアクティビティの進捗への依存を少なくする。
【0056】
一般に、特定のデバイス102を表す論理的識別子は、フィールド環境122がローカルに利用することができるデバイス102の物理的または他のソース識別子から論理的識別子をそれぞれ導出することによって、フィールド環境122において独立に、かつローカルに導出される。同様であるが別途に、バックエンド環境125において、特定のデバイス102を表す論理的識別子は、バックエンド環境125がローカルに利用することができるデバイス102のソース識別子から独立に、かつローカルに導出される。一実施例において、デバイス102の論理的識別子は、物理デバイス102の一意の識別子であるソース識別子から導出される。全般的に言えば、ローカルに利用することができるデバイス102の物理的または他の識別子は、本明細書において「ソース識別子」または「ソースタグ」と称され、システム識別子またはタグから導出されるデバイス102の論理的識別子は、本明細書において「システム識別子」または「システムタグ」と称される。
【0057】
典型的に、必ずしもそうではないが、システム識別子またはタグが導出されるデバイス102のソース識別子またはタグは、論理的識別子の総文字数とは異なる総文字数を有し、また、任意の所望のフォーマットとすることができる。識別子タグの文字は、ソースであるかシステムであるかにかかわらず、一般に、ダッシュまたは他の非英数字を散在させることができる英数字を含む。一実施形態において、システム識別子またはタグの所望のフォーマットは、ユーザによって指示または選択される。
【0058】
いくつかの事例において、デバイス102のソースタグに含まれる文字の総数は、デバイス102のシステムタグに含まれる総文字数よりも多い。例えば、デバイス102のソースタグが、デバイス102を識別する32文字のHARTロングタグなどの物理的識別子であるときに、デバイス102の導出されたシステムタグは、デバイス102を一意的に識別するために、8文字のHARTショートタグ(例えば、初期のHARTプロトコル仕様及びリビジョン6より前のリビジョンによって定義される、8文字のショートタグ)などの短縮タグ、またはプロセス制御システム5及びその制御論理によって利用される16文字のホストタグとすることができる。
【0059】
いくつかの事例において、デバイス102のソースタグに含まれる総文字数は、デバイス102のシステムタグに含まれる総文字数よりも少ない。例えば、デバイス102のソースタグが、初期のHARTプロトコル仕様及びリビジョン6より前のリビジョンによって定義される、8文字のHARTショートタグであるときに、デバイス102の導出されたシステムタグは、プロセス制御システム5によって利用される16文字のホストタグとすることができ、または導出されたシステムタグは、先頭に付加されるか、追加されるか、または別様に追加的な文字を含むように修正された、8文字のHARTショートタグとすることができる。
【0060】
本明細書で説明される、例示的であるが非限定的な実施例において、デバイス102のソースタグは、「ロングタグ(LT)」と称され、デバイスのシステムタグは、デバイス102の「短縮タグ(ST)」と称される。図面の参照を容易にするために、特定のデバイスのロングタグは、「LT−x」によって参照され、特定のデバイスの短縮タグは、「ST−x」によって参照され、ここで、xは、特定の例示されたフィールドデバイス102a、102b、102c、または102dを示す。加えて、読み取りを容易にするために、ロングタグは、一般に、「LT」と称され、短縮タグは、一般に、「ST」と称される。
【0061】
デバイス102のロングタグ(LT)は、例えば、モデル及びシリアル番号、バーコード、HART、WirelessHART、またはHART−IPプロトコルに従う識別子(例えば、32文字のHARTロングタグ)、別の工業プロトコルに従う識別子、またはローカルに利用することができる他の適切な識別子とすることができる。フィールドデバイス102の長いタグLTの特定の文字は、例えば、プロセスフロー図(PFD)ならびに/または配管及び計装図(P&ID)を生成している間に、または別様にはプロセスプラントを計画している間に、その製造業者によって指定することができ、またはプロセスプラント5の提供者によって推測的に指定することができる。ロングタグは、例えば、Emerson Process Managementによって提供される資産管理ソフトウェア(Asset Management Software:AMS)スイートなどの資産管理システム、または他のインベントリ及び設置システム132によって、ローカル環境122、125にそれぞれ提供される。いくつかのインテリジェントまたはスマートフィールドデバイス(例えば、フィールドデバイス102a、102b)について、それぞれのロングタグLTは、フィールドデバイス102をコミッショニングする前に、物理的なフィールドデバイス102のメモリに予めプロビジョニングされるか、または
予め記憶される。例えば、
図2Aは、デバイス102bのロングタグLT−Bが、例えば、工場において、フィールドサイトに到着した時点で、設置を行っている間などに、物理的なフィールドデバイス102bのメモリに予めプロビジョニングされるか、または記憶されていることを表す。
【0062】
フィールドデバイス102を示すシステムタグ(この例示的な実施例では、短縮タグSTによって表される)を生成または判定することは、タグ構文解析デバイス、コンポーネント、または装置200によって行うことができ、その例示的なブロック図は、
図3Aに例示される。タグ構文解析装置200は、入力202を含み、該入力を介して、デバイス102のソースタグ(この例示的な実施例では、ロングタグLTによって表される)が受信または取得される。入力202は、リンク205を介して、ロングタグLTの送信側に通信的に接続される。リンク205は、任意の所望の実現形態、例えば、有線リンク、(例えば、長距離、短距離、ニアフィールドとすることができる)無線リンク、ネットワークリンク、ファンクションコールもしくは他のタイプのソフトウェア実装リンク、またはいくつかの他の適切なリンクとすることができ、該リンクを介して、デバイス102のロングタグLTが受信される。一実施例において、ロングタグLTは、通信リンクを介して、別のデバイスから、またはデータストアから取得される。別の実施例において、タグ構文解析装置200は、ローカルデータベースにアクセスすることによってロングタグLTを取得する。
【0063】
いくつかの実現形態(図示せず)において、ロングタグLTは、光インターフェースを介して、タグ構文解析装置200の入力202において取得される。例示的な構成において、タグ構文解析装置200は、ロングタグLTのラベル、バーコード、画像、QRコード(クイックレスポンスコード)、または他の二次元表現から、ロングタグLTをスキャンする、読み取る、または別様に光学的に取得する光インターフェースを含む。タグ構文解析装置200は、取得した画像からロングタグLTの特定の文字を自動的に判定または取得するために、画像及び/または光プロセッサをさらに含む。
【0064】
図3Aに示されるように、タグ構文解析装置200は、入力202を介して受信したロングタグLTに対して動作する、タグ構文解析部208を含む。タグ構文解析部208は、(i)1つ以上の有形の不揮発性メモリに記憶され、1つ以上のプロセッサによって実行することができる一組のコンピュータ実行可能命令、(ii)実行可能ファームウェア命令、及び/または(iii)実行可能ハードウェア命令を備えることができる。タグ構文解析装置200はまた、一組の構文解析規則210も含み、該構文解析規則は、タグ構文解析部208がアクセスすることができ、また、フィールドデバイス102のロングタグLTの一組の文字に基づいて、フィールドデバイス102の短縮タグSTの一組の文字をどのように抽出する、選択する、導出する、または別様に判定するのかを定義または示す。例えば、ロングタグLTが、表記法またはフォーマットAABB−CCCCxxxyyyD−zzEに従う場合、一組の構文解析規則210は、対応する短縮タグSTが表記法またはフォーマットCCCCxxxyyyD−zzEに従うことを示すことができる。一組の構文解析規則210は、タグのトランケーション、様々な連続もしくは不連続文字の削除、数値演算による数字の組み合わせもしくは操作などに対応する規則などの、タグの長さを短縮する任意のタイプの規則を含むことができる。
【0065】
この例示的な実施例では、ソースタグが、ロングタグ(LT)として実装され、導出されたシステムタグが、短縮タグ(ST)として実装されているが、これは、数多くの可能な実施形態のうちの1つに過ぎないことに留意されたい。他の例示的なシナリオにおいて、導出したシステムタグの長さが、ソースタグの長さよりも長かったときなどに、構文解析規則210は、それでも、ソースタグの一組の文字に基づいて、システムタグの一組の文字をどのように判定または導出するのかを定義または示す。例えば、構文解析規則21
0は、システムタグを生成するために、ソースタグの文字内で先頭に加えられる、末尾に加えられる、及び/または散在される追加的な文字を含むことができる。全般的に言えば、構文解析規則210は、デバイス102のそれぞれのシステムタグを生成または導出するために、デバイス102のソースタグに適用される修正を定義または示す。実際には、異なるタイプの構文解析規則210を定義し、異なるソースタグが基づく異なるフォーマット及び/または通信プロトコルに適用することができる。さらに、構文解析規則210のうちの少なくともいくつかは、所望に応じて、異なるプロセス制御システムプロバイダ全体にわたって、異なるプラント場所全体にわたって、異なるタイプのコンポーネントもしくはデバイス全体にわたって、及び/または他の基準に基づいて異なり得る。実際には、いくつかの実現形態において、構文解析ルール210の少なくともいくつかは、構成または修正することができる。
【0066】
以下、例示的な実施例に戻ると、タグ構文解析装置200はまた、出力212も含み、該出力を介して、導出または判定した短縮タグSTがフィールドデバイス102などの別の装置またはデバイスに提供され、及び/または記憶するために1つ以上のローカルもしくはリモートメモリに提供される。出力212は、リンク205または異なるリンクとすることができるリンク215を介して、受信者装置またはデバイスに通信的に接続することができる。リンク215は、任意の所望の実現形態、例えば、有線リンク、無線リンク、ネットワークリンク、ファンクションコールもしくは他のタイプのソフトウェア実装リンク、または他の適切なリンクとすることができる。
【0067】
フィールド環境122において、タグ構文解析装置200のインスタンスは、該フィールド環境内の任意の1つ以上の場所に配置することができる。例えば、タグ構文解析装置200は、AMSまたは他の資産システム132に、及び/または1つ以上のフィールドコミッショニングツール135a、135bに含むことができる。フィールドコミッショニングツール135は、AMSシステム132の一部とすることができ、またはスタンドアロンのフィールドコミッショニングデバイスまたはツールとすることができる。全般的に言えば、例えば、フィールドコミッショニングツール135は、ラップトップコンピュータ(例えば、参照番号135a)、タブレットまたはハンドヘルドスマートデバイス(例えば、参照番号135b)、またはフィールド環境122に至る、例えばフィールド環境122のステージング領域及び/または設置領域に至る、他のポータブルコンピューティングデバイスである。オペレータは、コミッショニングツール135を利用し、(例えば、有線及び/または無線接続を介して)目標のデバイスまたはコンポーネント(例えば、フィールドデバイス102、I/O端子ブロック105、I/Oカード108、CHARM110、コントローラ120など)に一時的に接続して、接続したコンポーネントで1つ以上のコミッショニングアクティビティを行う。
【0068】
いくつかの配設において、タグ構文解析装置200のインスタンスは、キャビネット115に、またはフィールド環境122に配置された別のキャビネットに含まれる。例えば、タグ構文解析装置200は、I/O端子ブロック105、I/Oカード108、電子マーシャリング装置140、コントローラ120に、またはフィールド環境122内のキャビネットに収容したいくつかの他のデバイスもしくは装置に含むことができる。
【0069】
しかしながら、タグ構文解析装置200は、単一デバイスまたは装置に実装する必要はない。例えば、一組の構文解析規則210を、キャビネット115内に収容したメモリに記憶することができ、一方で、タグ構文解析部208は、フィールドコミッショニングツール/ポータブルデバイス135に含まれる。代替的に、タグ構文解析部208を、キャビネット115内に収容したメモリに記憶することができ、一組の構文解析規則210を、フィールドコミッショニングツール/ポータブルデバイス135に記憶することができる。別の実施形態において、構文解析規則210は、タグ構文解析部208にアクセスで
きるリモートな場所(例えば、リモートデータバンク、クラウド)に記憶することができる。多数のデバイス及び/または装置全体にわたってタグ構文解析装置200の一部分を分配することによって、どの構文解析規則をどのタイプのソースタグに適用するかに関する柔軟性が可能になる。
【0070】
さらに、フィールド環境122は、タグ構文解析装置200の多数のインスタンスを含むことができる。一実施例において、多数のフィールドコミッショニングツールまたはデバイス135は、各々がタグ構文解析装置200のそれぞれのインスタンスを含む。加えて、または代替的に、資産管理システム132は、タグ構文解析装置200のそれぞれのインスタンスを含むことができる。実際に、フィールド環境122内に設置されたいくつかのインテリジェントフィールドデバイス102及び/または他のコンポーネントは、各々がそれぞれのオンボードタグ構文解析装置200を含むことができる。
【0071】
同様に、バックエンド環境125では、タグ構文解析デバイス、コンポーネント、または装置200のインスタンスを、該バックエンド環境内の任意の1つ以上の場所に配置することができる。一実施例では、タグ構文解析装置200のそれぞれのインスタンスが、1つ以上のバックエンドコミッショニングツール138a、138bに含まれる。一般に、バックエンドコミッショニングツール138は、ラップトップもしくはデスクトップコンピュータ(例えば、参照番号138a)、タブレットもしくはハンドヘルドスマートデバイス(例えば、参照番号138b)、またはバックエンド環境125内に配置された他のポータブルまたは固定コンピューティングデバイスである。バックエンドコミッショニングツール138のうちの少なくともいくつかは、スタンドアロンのバックエンドコミッショニングデバイスまたはツールとすることができる。加えて、または代替的に、バックエンドコミッショニングツール138のうちの少なくともいくつかは、AMSもしくは他の資産システム132の一部とすることができ、及び/またはバックエンドコミッショニングツール138のうちの少なくともいくつかは、制御モジュールもしくは機能エンジニアリング開発システム、集中管理システム、集中オペレータインターフェースシステムなどの、他の集中バックエンドシステムの一部とすることができる。
【0072】
一組の構文解析規則210の全てのインスタンスは、プロセスプラント5全体にわたって整合していることに留意されたい。具体的には、一組の構文解析ルール210(及びその任意の一部分)は、プロセスプラント5のフィールド環境122及びバックエンド環境125全体にわたって、ならびにプロセスプラントをコミッショニングするために利用されるコミッショニングツール135、138全体にわたって、また、プラント5のための一組の構文解析ルール210が配置された任意の他の場所において整合している。しかしながら、タグ構文解析装置200の異なるインスタンスは、異なる目標のデバイスまたはコンポーネントのための、例えば効率的な目的で、構文解析規則210の異なるサブセットを含むことができる。
【0073】
図3Bは、
図3Aのタグ構文解析装置200によって、または任意の他の適切な装置によって少なくとも部分的に行うことができるタグ構文解析の例示的な方法230を表す。一実施形態において、タグ構文解析装置200のタグ構文解析部208は、方法230またはその一部分を行う。典型的に、必ずしもそうではないが、方法230の少なくとも一部分は、プロセスプラント5のフィールド環境122において行われる。
【0074】
ブロック232で、方法230は、プロセスプラント5内の物理的なフィールドデバイス102を一意的に識別するソース識別子またはタグを取得すること(232)を含む。ソース識別子またはタグのフォーマット(例えば、英数文字、ダッシュ、ドットなどの他のタイプの文字、文字の順序及び数など)は、HART、WirelessHART、もしくはHART−IP通信プロトコル、またはいくつかの他の工業プロセスプロトコル等
の、特定のプロセス通信プロトコルに従うことができる。代替的に、ソースタグは、モデル/シリアル番号、バーコード、QRコードなどの、いくつかの他の適切なフォーマットをとることができる。
【0075】
フィールドデバイス102のソース識別子またはタグは、1つ以上のフィールドコミッショニングデバイス135によって、及び/またはプロセスプラント5のフィールド環境122内に配置された資産管理または他のシステム132によって取得することができる(232)。いくつかのデバイスについて、ソースタグは、フィールドデバイス102自体によって取得することができる232。一実施例において、ソースタグは、インテリジェントフィールドデバイス102a、102bのメモリから取得される。別の実施例において、ソースタグは、資産管理または他のインベントリ/設置システム132から取得される。さらに別の実施例において、ソースタグは、フィールドコミッショニングデバイス135によって、例えば、ファイルを読み出すことによって、または通信インターフェースを介してソースタグを受信することによって取得される。いくつかの状況において、フィールドデバイス102のソースタグは、フィールドコミッショニングデバイス135のインターフェースによって、例えば、ニアフィールドもしくは短距離通信インターフェース(例えば、NFC、RFIDなど)によって、またはスキャナもしくはカメラ等の光インターフェースによって取得される。例えば、フィールドコミッショニングデバイス135は、ラベル、バーコード、画像、QRコード、またはフィールドデバイス102のソースタグの他の表現をスキャンし、読み取り、または別様に光学的に取得し230、フィールドコミッショニングデバイス135は、画像処理及び/または他の適切な技術を使用することによって、フィールドデバイス102のソースタグに含まれる文字を自動的に判定する。
【0076】
ソースタグのフォーマット(英数文字、ダッシュ、ドットなどの他のタイプの文字、文字の順序及び数など)は、HART、WirelessHART、もしくはHART−IP通信プロトコル、またはいくつかの他の工業プロセスプロトコル等の、特定のプロセス通信プロトコルに従うことができる。代替的に、ソースタグは、モデル/シリアル番号、バーコードなどの、いくつかの他の適切なフォーマットとすることができる。フィールドデバイス102のソースタグは、フィールドデバイス102が、電力遮断、電力投入、I/O割り当て解除、I/O割り当て、切断、接続、及び/または同類のこと等の、いくつかの状態のうちのいずれかである間に取得する(232)ことができる。フィールドデバイス102の様々な状態に関する議論は、本開示の他の節において説明される。
【0077】
ブロック235で、方法230は、フィールドデバイス102を示す取得したソースタグ及び一組の構文解析ルール210に基づいて、フィールドデバイス102に対応する1つ以上のシステムタグを判定または導出することを含む。例えば、ブロック235で、フィールドデバイス102と関連付けられたデバイスタグまたは1つ以上のデバイス信号タグが判定または導出される。典型的に、システムタグの総文字数は、ソースタグの総文字数とは異なり、そのため、一組の構文解析ルール210は、トランケーション、様々な文字の削除、様々な文字の追加、ソースタグに含まれる数字の組み合わせ及び/もしくは操作、ならびに/またはソースタグの長さを修正するための別の技術を示す。故に、ブロック235で、システムタグの文字が、ソースタグの文字から導出または判定される。
【0078】
いくつかの実施形態(図示せず)において、方法230は、デバイス102のソースタグ、デバイス102のシステムタグ、及び/または一組の構文解析規則210に基づいて、プロセスループ100と関連付けられた他のタグまたは識別子を判定または導出することを含む。一実施例において、プロセスプラント5内のプロセスループ100を識別する制御タグは、デバイス102のソースタグ、デバイス102のシステムタグ、及び/または一組の構文解析規則210に基づいて判定または導出される。
【0079】
いくつかの実施形態(同じく図示せず)において、方法230は、一組の構文解析規則210を定義すること、構成すること、及び/または別様には修正することを含む。例えば、構文解析規則210は、追加的なデバイスまたはデバイスタイプ102、プロセスプラント5の異なる部分、異なるプラントの場所、異なるコミッショニングデバイス135に対して、または別様には所望に応じて、定義する、構成する、及び/または修正することができる。
【0080】
いずれにしても、ブロック238で、方法230は、フィールドデバイス102のシステムタグ(及び随意に、ブロック235で自動的に導出または判定した任意の他の情報)を、プロセスプラント5のフィールド環境122内に配置された1つ以上のメモリに記憶することを含む。例えば、フィールドデバイス102がインテリジェントフィールドデバイスであるときに、システムタグは、フィールドデバイス102の内部メモリに記憶することができる。システムタグは、加えて、または代替的に、I/O端子ブロック105、I/Oカード108、電子マーシャリングブロックまたは装置、CHARM110などの電子マーシャリングコンポーネントなどの、プロセスループ122内の他のコンポーネントのメモリに記憶することができる。さらに加えて、または代替的に、フィールドデバイス102のシステムタグは、1つ以上のフィールドコミッショニングツール135、及び/または資産管理または他のシステム132に記憶することができる。
【0081】
ブロック240で、方法230は、記憶したフィールドデバイス102のシステムタグを利用して、プロセスプラント5のフィールド環境122内のフィールドデバイス102において、1つ以上のコミッショニングアクティビティまたはアクションを行うことを含む。典型的に、必ずしもそうではないが、フィールドデバイス102は、1つ以上のコミッショニングアクティビティまたはアクションが行われている間、I/O割り当て解除またはI/O切断状態である(さらには、方法230のブロック232〜238のうちの任意の1つ以上の実行中に、I/O割り当て解除状態である)。記憶したシステムタグを使用してフィールドデバイス102において行うことができるコミッショニングアクティビティまたはアクション(ブロック238)の例としては、フィールドデバイス102の電力投入及び電力遮断、試験信号の注入及びそれぞれの応答の検証、フィールドデバイス102を含むアズビルトI/Oリストの少なくとも一部分の自動生成、フィールドデバイス102を含むアズビルトループ図またはマップの少なくとも一部分の自動生成などが挙げられる。
【0082】
いくつかのシナリオにおいて、ブロック240は、フィールドデバイス102のシステムタグを利用して1つ以上のコミッショニングアクティビティまたはアクションを開始することを含む。例えば、フィールドデバイス102のシステムタグを使用した特定のコミッショニングアクションは、システムタグの導出(ブロック235)の完了時またはシステムタグの記憶(ブロック238)の完了時に自動的に開始される。いくつかのシナリオにおいて、ブロック238は、加えて、または代替的に、例えばフィールドデバイス102及び別のデバイスの両方が関係する別のコミッショニングアクションにおいて使用するために、フィールドデバイス102のシステムタグを、プロセスプラント5のフィールド環境122内に配置された別のデバイスに提供することを含む。例えば、フィールドデバイス102のシステムタグは、それぞれのCHARM110に提供することができ、フィールドデバイス102及びCHARM110の両方を含む制御ループ100の一部分は、フィールドデバイス102のシステムタグを使用してコミッショニングすることができる。
【0084】
スマートコミッショニングの別の鍵となる態様は、プロセスプラント5のフィールド環境122における、フィールドデバイス102などのデバイスのI/O割り当て状態の可用性、及びそのI/O割り当て状態に基づいてデバイスを少なくとも部分的に構成する能力である。全般的に言えば、デバイス102のI/O割り当て状態は、デバイスが、特定のI/Oカードに、及びいくつかの事例では特定のI/Oチャネルに割り当てられているかどうか、または割り当てられるかどうかを示す。例えば、デバイス102は、特定の物理的I/Oアドレス及び/または特定のI/Oチャネルがフィールド環境122内のデバイス102にまだ指定されていないときに、I/O割り当て解除状態であるとみなされ、すなわち、特定のデバイス102の特定の物理的I/Oアドレス/チャネルへのマッピングは、フィールド環境122において利用できない。一方で、デバイス102は、特定の物理的I/Oアドレス(及び随意に、例えば有線デバイスの場合、特定のI/Oチャネル)がフィールド環境122内のデバイス102に指定されているときに、I/O割り当て状態であるとみなされ、該指定は、フィールド環境122内に設置された1つ以上のコンポーネントに記憶され、それによって、デバイス102と指定された特定のI/Oカード及び/または特定のI/Oチャンネルとの間のマッピングを利用できるようにする。フィールド環境122内のデバイスのI/O割り当て状態の可用性、及び割り当て解除されたデバイスを少なくとも部分的に構成する能力によって、従来のフィールドコミッショニング中に現在必要とされるような、特定のI/Oカード及び特定のI/Oチャンネルへの指定に対する待機を必要とすることなく、様々なデバイスがI/O割り当て解除状態である間に、様々なコミッショニングアクション及び/またはアクティビティを開始すること、行うこと、さらには完了することができる(122)。
【0085】
例示される
図2A〜2Cを参照すると、フィールドデバイス102b、102dのI/O割り当て状態は、フィールドデバイス102b、102dが、そのそれぞれのI/Oカード108に、及び/またはカード108のそのそれぞれのI/Oチャンネルに割り当てられた可動化を示す。電子的にマーシャリングされるフィールドデバイス102a、102cについて、フィールドデバイス102a、102cのI/O割り当て状態は、フィールドデバイス102a、102cが、そのそれぞれのCIOC145、CHARM端子ブロック150、及び/またはCIOCチャネルに割り当てられたかどうかを示す。しかし、一般に、本明細書での読み取りを容易にするために、デバイスの「I/O割り当て状態」、及び「I/O割り当て」、「I/O割り当て解除」などの関連する用語は、デバイスが、任意のタイプのI/Oカード及び/またはI/Oチャネル全体に指定されているかどうか、例えば、任意のレガシーまたはスマートI/Oカード、CIOC、WIOC(無線I/Oカード)、安全情報システム論理ソルバー(例えば、単体、複合、スマート論理ソルバー、CSLS(CHARMスマート論理ソルバー)など)、またはプロセス制御及び/もしくは安全情報システムにおいて使用して、デバイスに対応するI/O機能を行う任意の他の既知のタイプのカード/チャネルに割り当てられているかどうかを示す。そのため、読み取りを容易にするために、「I/Oカード」、「I/Oチャネル」、及び「I/Oノード」という用語は、一般に、任意のタイプのI/Oカード、I/Oチャネル、及びI/Oノードを指すために本明細書で使用される。
【0086】
デバイスコンテナまたはプレースホルダーは、フィールド環境122内のデバイス102のI/O割り当て状態の可用性、ならびにその特定のI/O接続がバックエンド環境125によってまだ定義または提供されていない間に、フィールド環境122内のデバイス102を少なくとも部分的に構成し、コミッショニングする能力を可能にする。全般的に言えば、デバイスコンテナまたはフィールドデバイス102のためのプレースホルダーは、下で説明するように、デバイス102のI/O抽象化構成を保持または記憶する。
【0087】
デバイスコンテナまたはプレースホルダーは、例えば、フィールド環境122において、構成することができる構成可能なオブジェクトとして(または別の適切な定義記憶表現
として)、それぞれのデバイスのためのコンテナまたはプレースホルダーの特定のインスタンスに実装される。デバイスコンテナまたはプレースホルダーは、フィールド環境122において、資産管理もしくは他のインベントリもしくは設置システム132によって、及び/またはフィールドコミッショニングデバイス135によって提供することができる。特定のスマートフィールドデバイス102c、102bについて、スマートフィールドデバイス102a、102bに対応するデバイスプレースホルダーまたはコンテナのそれぞれのインスタンスは、例えば、デバイス102がフィールド環境122に設置される前に、またはデバイス102がフィールド環境102内に設置された後に、デバイスのメモリに推測的に、またはデバイスのメモリへの転送により記憶することができる。
【0088】
デバイスコンテナまたはプレースホルダーオブジェクトは、デバイスのI/O割り当て状態を記憶するためのフィールドまたはプロパティを含む。デバイスコンテナまたはプレースホルダーオブジェクトは、デバイスの物理的なI/Oレイアウトが定義される前に様々なデバイス構成パラメータ値を記憶するための、追加的なフィールドまたはプロパティを含む。すなわち、I/O割り当て解除状態のデバイス102について、デバイス102の少なくとも部分的な、または抽象化構成を定義し、抽象化I/Oタイプ情報と共に、その対応するデバイスコンテナまたはプレースホルダーに記憶することができ、よって、デバイスの正確なI/O構成に関する知識を伴わずに、さらにはいくつかの事例において、デバイスの対応する物理的I/Oノードの存在さらには作成を伴わずに、デバイス102を少なくとも部分的に構成し、コミッショニングすることができる。さらに、デバイスコンテナまたはプレースホルダーオブジェクトは、多数のタイプのデバイスについて共通であり、また、対応する物理的デバイスの特定のタイプのI/Oとは独立である。全般的に言えば、デバイスコンテナまたはプレースホルダーオブジェクトの様々なプロパティは、公開プロパティとすることができ、及び/またはデバイスコンテナ/プレースホルダーオブジェクトの様々なプロパティは、隠されたプロパティとすることができる。
【0089】
図4Aは、プロセスプラント5のフィールド環境122において利用される例示的なデバイスコンテナまたはプレースホルダーオブジェクトテンプレート300を表す。デバイスコンテナまたはプレースホルダーオブジェクト300を使用すると、ユーザは、デバイスプレースホルダーオブジェクト300のインスタンスを作成して、I/O抽象化情報を使用してデバイス102をプロセス制御システム5に対して定義することができ、よって、例えば、デバイス102が関係する様々なコミッショニングアクションは、デバイス102がI/O割り当て解除状態である間に(すなわち、デバイス102が特定の物理的I/Oカード、I/Oチャネル、及び/またはI/Oノードに割り当てられる前に)行うことができる。例えば、ユーザは、デバイス102に対応する一組の一般プロパティ302の所望の値、例えば、名前、説明、ケーブリングID、典型的な配線図などを入力することによって、デバイス102のデバイスコンテナまたはプレースホルダーオブジェクト300のインスタンスを定義することを開始することができる。特にHARTデバイスについて、一般プロパティ302は、加えて、いくつか例を挙げれば、HARTの説明、HARTデバイスの定義、HARTロングタグ、名前付け参照タイプ、及び名前付け参照サブタイプなどの、HART固有のプロパティを含む。非HARTである他のタイプのデバイス(図示せず)について、デバイスのタイプに対応する他のプロパティは、オブジェクト300に含むことができる。一実施形態において、デバイスコンテナまたはプレースホルダーオブジェクト300は、例えば別の一般プロパティ302を公開することによって、または異なるタイプのデバイスプレースホルダーオブジェクト300をそれぞれベーシックプロセス制御システム(BPCS)または及び安全計装システム(SIS)デバイスに対応させることによって、オブジェクト300が、BPCSデバイスデバイスに対応するか、またはSISデバイスに対応するかを示す。
【0090】
デバイスプレースホルダーオブジェクト300はまた、接続経路プロパティ305も含
み、その値は、対応するデバイスが、I/O割り当て状態であるか、I/O割り当て解除状態であるかを示す。典型的に、必ずしもそうではないが、ユーザが対応するデバイスを構成することを望むデバイスプレースホルダーオブジェクト300のインスタンスの初期化に応じて、インスタンスの接続経路プロパティ305のデフォルト値が「I/O割り当て解除」に設定され、明示的なI/Oハードウェア接続が定義された後に、インスタンスの接続経路プロパティ305が「I/O割り当て」に変更される。いずれにしても、デバイス102の接続経路プロパティ302が「I/O割り当て解除」に設定されていることに基づいて、オブジェクト300の1つ以上の他のプロパティまたはフィールド(例えば、参照番号308〜338)は、ユーザがそれぞれの値をそこに入力してインスタンスをさらに定義または構成するように公開される。プロパティ308〜338のうちの少なくともいくつかは、「I/O抽象化」プロパティであり、すなわち、その値が、対象のデバイスの能力、特徴、及び/または挙動を示し、その値は、対象のデバイスに対する実際の指定された物理的I/O接続に基づいていない(また、該物理的I/O接続に関する知識を必要としない)。
【0091】
例えば、デバイスプレースホルダーオブジェクト300は、一組のI/O抽象化デバイス定義プロパティ308を含み、それを介して、ユーザは、I/O抽象化を使用して対象のデバイスを定義または構成することができる。I/O割り当て解除状態のデバイス102(例えば、接続経路プロパティ305によって示される)について、I/O抽象化デバイス定義308は、I/O抽象化インターフェースタイププロパティ310を含み、その値は、I/Oインターフェースのタイプまたはカテゴリを示すように定義または選択することができ、該I/Oインターフェースを介して、物理的デバイス102を物理的に接続することができる。I/O抽象化インターフェースタイププロパティ310の可能な値としては、例えば、「従来」(例えば、ダム(dumb)、非スマート、非HART、従来の、及び/またはレガシーデバイスの場合)、「HART」、「WirelessHART」、「SIS従来」、「SIS HART」などが挙げられる。
【0092】
オブジェクト300内のI/O抽象化インターフェースタイプ310を定義した後に、定義/ポピュレートされたI/O抽象化インターフェースタイプ310に対応する追加的なプロパティを公開して、ユーザがI/O抽象化デバイス定義308をさらに精緻化することを可能にする。例えば、「従来」、「SIS従来」、または「HART」の定義されたI/O抽象化インターフェースタイプ310について、I/O抽象化デバイスタイププロパティ312が公開される。全般的に言えば、I/O抽象化デバイスタイププロパティ312は、デバイス102のタイプまたはカテゴリを示し、それによって、デバイス102のI/O抽象化デバイス定義308をさらに精緻化する。可能なI/O抽象化デバイスタイプ312の例としては、電流入力、電流出力、離散入力、離散出力、パルス入力、連続パルス出力、熱電対入力、ミリボルト入力、RTD(抵抗温度検出器)入力、熱電対入力、電圧入力、24VDC電源、HARTアナログ入力、HART2状態DVC出力、WirelessHARTなどが挙げられる。
【0093】
しかし、いくつかのI/Oインターフェースデバイスタイプ310は、いかなるI/O抽象化デバイスタイプ312も公開しない結果になり得る(例えば、様々なプロパティが隠されたままであり得る)が、一方で、他のI/Oインターフェースデバイスタイプ310は、1つ、2つ、またはそれ以上のI/O抽象化デバイスタイプ312を公開する結果になり得る。特定のI/O抽象化インターフェースタイプ310の1つ以上のI/O抽象化デバイスタイプ312(該当する場合)へのマッピングまたは関連付けは、推測的に定義することができ、いくつかの事例では、修正することができる。
【0094】
オブジェクト300内のI/O抽象化デバイスタイプ312を定義した後に、いくつかのI/O抽象化デバイスタイプ312について、1つ以上のI/O抽象化デバイス特徴プ
ロパティ315を公開して、I/O抽象化デバイス定義308をさらに精緻化することができる。例えば、I/O抽象化デバイスタイプ312が「電流入力」と定義された場合は、対応する記述値、例えば「0〜20mA」、「4〜20mA」などを記憶するために、対応するI/O抽象化デバイス特徴315、例えば「デバイスサブタイプ」が公開される。別の例において、I/O抽象化デバイスタイプ312があるタイプのHARTデバイス(例えば、HARTアナログ入力、HART2状態DVC出力、WirelessHARTなど)であった場合は、それぞれのHART情報を定義308に記憶することができるように、デバイス102の「HART製造業者」、「HARTモデル」、及び「HARTリビジョン」などの、対応するI/O抽象化デバイス特徴315が公開される。いくつかのI/O抽象化デバイスタイプ312は、いかなるI/O抽象化デバイス特徴315も公開しない結果になり得るが、一方で、他のI/O抽象化デバイスタイプ312は、1つ、2つ、またはそれ以上のI/O抽象化デバイス特徴315を公開する結果になり得る。特定のI/O抽象化デバイスタイプ312の1つ以上のI/O抽象化デバイス特徴315(該当する場合)へのマッピングまたは関連付けは、推測的に定義することができ、いくつかの事例では、修正することができる。
【0095】
I/O抽象化デバイス定義308はまた、一組のI/O抽象化I/Oインターフェース構成プロパティ318も含み、それを介して、デバイス102のI/Oインターフェース構成が定義される。I/O抽象化I/Oインターフェース構成プロパティ318の可能なタイプ及びカテゴリ(及びいくつかの事例では、固有の値)は、少なくとも部分的に、定義されたI/Oデバイス定義308に基づく。
図4Aに示されるように、I/O抽象化I/Oインターフェース構成プロパティ318は、公開された様々なI/O構成パラメータプロパティ320及び/またはI/Oチャネルパラメータ322を含むことができる。
【0096】
例えば、構成または定義されたデバイス102のI/O抽象化デバイス定義308の定義されたプロパティ値310〜315に基づいて、構成または定義されたデバイス102と互換性があるI/Oハードウェア(例えば、CHARM、I/Oカードなど)のタイプが判定される。様々なデバイス定義値308と様々なタイプのI/Oハードウェアとの互換性は、推測的に定義することができ、また、いくつかの事例では、修正することができる。一実施形態において、デバイス定義値308とI/Oハードウェアのタイプとの間の互換性は、互換性マトリックスで、または他の適切なフォーマットで記憶される。加えて、デバイス102のI/O抽象化デバイス定義308と互換性がある、構成または定義された各タイプのI/Oハードウェアが、次に、一組のI/O抽象化I/O構成パラメータプロパティ320のそれぞれに対応する。故に、デバイス102についてその定義をさらに精緻化するために、一組のI/O抽象化I/O構成パラメータプロパティ320のそれぞれが、I/O抽象化I/Oインターフェース構成318に公開される。いくつかのアナログ、有線、または従来タイプのI/Oハードウェアについて、それぞれのI/O抽象化I/O構成パラメータプロパティ320は、デバイス102のI/O抽象化I/Oインターフェース構成318をさらに精緻化するために公開される、1つ以上のチャネルパラメータプロパティ322を含む。アナログ、有線、及び/または従来タイプではないI/Oハードウェア(例えば、デジタルまたはスマートI/Oハードウェアタイプ)について、チャネルパラメータプロパティ322は、排除される、例えば、公開されないか、または隠される。
【0097】
例示のために、デバイス102のI/O抽象化デバイス定義308が従来の電流入力4〜20mAのデバイスとして構成されると想定する。そのようなI/O抽象化デバイス定義308は、(例えば、互換性マッピングまたは関連付けに基づいて判定したときに)2つの特定のタイプのI/Oハードウェア、例えば、AI(アナログ入力)4〜20mA HART CHARM及びIS(本質安全)AI 4〜20mA HART CHARMと互換性がある。故に、構成及び/または定義するために、AI(アナログ入力)4〜2
0mA HART CHARM及びIS AI 4〜20mA HART CHARMの両方のそれぞれ一組のI/O抽象化I/O構成パラメータプロパティ320が、I/O抽象化I/Oインターフェース構成318に公開される。両方の互換性のあるタイプのI/Oハードウェアが従来のタイプのI/Oハードウェアであるので、互換性のあるタイプ(例えば、アンチエイリアシングフィルタ、アンダーレンジリミット、オーバーレンジリミット、NAMURリミット検出など)の各々に対応するそれぞれのチャネルプロパティ322が、デバイス102のI/O抽象化I/Oインターフェース構成318のさらなる精緻化のために公開される。
【0098】
1つ以上の特定のチャンネルプロパティ322の、1つ以上の特定のタイプのI/O抽象化I/O構成パラメータプロパティ320への、及び/または1つ以上の特定のタイプのI/Oハードウェア(したがって、それぞれの特定のI/O抽象化デバイス定義308)へのマッピングまたは関連付けは、推測的に定義することができ、また、修正することができる。同様に、アナログ、有線、及び/または従来のタイプではないI/Oハードウェア(例えば、デジタルまたはスマートI/Oハードウェアタイプ)について、1つ以上の特定のI/O抽象化I/Oインターフェース構成プロパティ318の、1つ以上の特定のタイプのI/Oハードウェア(したがって、特定のI/O抽象化デバイス定義308)へのマッピングまたは関連付けは、推測的に定義することができ、また、修正することができる。
【0099】
I/O抽象化デバイス定義308に含むことができる他のプロパティとしては、例示的なHARTデバイス警告プロパティ328、例示的なHARTデバイスアラームプロパティ330、自動ループ試験構成プロパティ332、及び/または他のI/O抽象化プロパティ335などの、デバイスプロトコル固有のプロパティが挙げられる。当然ながら、ファンデーションフィールドバスプロトコルデバイス、CANデバイス、Profibusデバイスなどの他のデバイスプロトコルは、そうしたプロトコルに従って構成することができる他の予め定義されたプロパティを有することができる。
図4Aに例示されるように、I/O抽象化デバイスタイプ312がHARTまたはWirelessHARTに設定されたときに定義するために、例示的なHARTデバイス警告プロパティ328及びHARTデバイスアラームプロパティ330が、公開される。全般的に言えば、HARTデバイス警告プロパティ328及びHARTデバイスアラームプロパティ330は、どのタイプのアラーム(該当する場合)を様々なタイプの警告に対して起動させるか、及び該アラームのそれぞれの挙動を定義する。アラームのタイプの例としては、勧告、障害、保守、通信切断、アラームなし、などが挙げられる。警告のタイプの例としては、例えば、フィールドデバイスの故障、構成の変更、プライマリ変数の限度超、CPU EEPROMの書き込み障害、及び/またはHARTデバイスに関する他の警告が挙げられる。自動ループ試験構成プロパティ332は、対象のデバイスが関係する自動ループ試験の、及びその様々な態様の値を定義する。例えば、自動ループ試験について生成される試験信号のタイプ及びレベルを示す値は、自動ループ試験構成プロパティ332に記憶することができる。当然ながら、I/O抽象化デバイス定義308の任意の他の所望のI/O抽象化プロパティ335を、定義または構成のために、追加的または代替的に公開することができる。加えて、(I/O抽象化となる、またはならない場合がある)オブジェクト300の任意の他のプロパティ338を、定義または構成のために、追加的または代替的に公開することができる。全般的に言えば、デバイス102について、そのデバイスコンテナオブジェクト300のインスタンスに記憶した特定の値302〜338は、少なくとも部分的にI/O抽象化した様態で特定のデバイス102を定義または構成する。
【0100】
一般に、従来デバイスは、その対応するI/O抽象化I/Oインターフェースタイプ310、I/O抽象化デバイスタイプ312、デバイスサブタイプ特徴315プロパティが提供されたとき、選択されたとき、または別様に定義されたときに、I/O抽象化情報を
使用して、十分に定義または構成されたものとみなされ、HARTデバイスは、そのI/O抽象化I/Oインターフェースタイプ310、I/O抽象化デバイスタイプ312、ならびにI/O抽象化デバイス特徴315の製造業者、モデル、及びリビジョンプロパティが提供されたとき、選択されたとき、または別様に定義されたときに、I/O抽象化情報を使用して、十分に定義または構成されたものとみなされる。
【0101】
さらに、いくつかの実現形態において、フィールドデバイス102のデバイスプレースホルダー300のインスタンスに保持または記憶したプロパティの値の少なくともいくつかは、メタデータとして記憶される。例えば、プロパティ値305〜308のうちの任意の1つ以上、及び1つ以上の一般プロパティ値302を、メタデータとして保持または記憶することができる。
【0102】
したがって、デバイスコンテナまたはプレースホルダーオブジェクト300は、デバイスの特定のI/Oカード、I/Oチャンネル、及び/またはI/Oノードがデバイス102に指定される前に、特定のデバイス102及びフィールド環境122を、I/O抽象化様態で構成することを可能にする。具体的には、デバイスプレースホルダーオブジェクト300は、フィールドデバイス102の特定の識別情報(例えば、デバイス102がHARTデバイスである場合の、その名前、そのロングタグ、そのHARTデバイス定義など)、及びデバイス102の様々な属性(参照番号308〜335、随意に、302及び338において選択されたプロパティ)を構成することを可能にし、これらのうちの少なくともいくつかは、I/O抽象化される。フィールドデバイス102の属性は、アンダーレンジ及び/またはオーバーレンジ限度のアラーム、警告、検出などの様々な条件が起こったときのデバイス102の記述属性ならびにデバイス102の挙動属性または挙動、ならびに他の挙動を含む。フィールドデバイス102の属性のうちの少なくともいくつかは、明示的な識別情報(例えば、タイプ310、312、318など)の代わりに、デバイス102に対応するそれぞれのカテゴリ、タイプ、または特徴を示し、したがって「I/O抽象化」である。さらに、デバイス102のデバイスプレースホルダーオブジェクトのインスタンスに保持または記憶したプロパティ値302〜338のうちの少なくともいくつかは、デバイス102を特定のI/Oカード、特定のI/Oチャネル、及び/または特定のI/Oノードに指定する時点で、または指定した後に、例えば、下の節で説明されるように、デバイスの接続経路プロパティ305が変更されて、デバイス102がI/O割り当て状態であることを示した後に、プロセス制御システム5を通して保存または実行される。
【0103】
明確にするために、デバイスコンテナまたはプレースホルダーオブジェクト300を構成することに関する上の議論は、ユーザが、資産管理システム132及び/またはフィールドコミッショニングツール135のユーザインターフェースなどのユーザインターフェースを介して、様々なプロパティ302〜338の所望の値を入力すること、構成すること、または別様に定義することを含む。しかしながら、少なくとも、I/O割り当て解除状態であるデバイスのデバイス定義308のI/O抽象化の性質のため、(例えば、公開されたプロパティについて、及び/または隠されたプロパティについて)所望のプロパティ値302〜338を、資産管理システム132において、(例えば、
図2A及び2Cに表されるように)フィールドコミッショニングツール135において、またはいくつかの他のコンピューティングデバイスにおいて実行する構成アプリケーション340によって、自動的に構成すること、定義すること、及びポピュレートすることができる。一実施例において、構成アプリケーション340は、1つ以上のファイル、データベース、またはデータストア342に記憶した情報に基づいて、プロパティ値302〜338のうちの少なくともいくつかを自動的にポピュレートする。データファイルまたはストア342のうちの少なくともいくつかは、構成アプリケーション340に対してローカルに(例えば、
図2A及び2Cに表されるように資産管理システム132に、フィールドコミッショニン
グルール135に、及び/またはいくつかの他のローカルデータストアに)配置することができる。加えて、または代替的に、1つ以上のファイルまたはデータベース342のうちの少なくともいくつかは、リモートに(例えば、リモートサーバ、データバンク、クラウドストレージなど(図示せず)に)配置することができ、また、構成アプリケーション340がリモートにアクセスすることができる。
【0104】
データストア342は、例えば、様々なI/O抽象化インターフェースタイプ310と様々なI/O抽象化デバイスタイプ312との間、様々なI/O抽象化デバイスタイプ312と様々なI/O抽象化デバイス特徴315との間、様々なI/O抽象化デバイス定義308と様々なタイプのI/Oハードウェアとの間、様々なタイプのI/Oハードウェアと様々なI/O抽象化I/Oインターフェース構成プロパティ318との間、様々なI/O抽象化デバイス定義308と様々なI/O抽象化I/O構成プロパティ318との間、様々なI/O抽象化I/O構成プロパティ318と様々なI/O抽象化構成パラメータプロパティ320との間、様々なI/O抽象化構成パラメータのプロパティ320と様々なチャネルパラメータプロパティ332との間などの、I/O抽象化情報の様々なマッピングまたは関連付けの指示または定義を記憶する。加えて、または代替的に、ファイルまたはデータベース342はまた、名前、説明、ケーブリングID、典型的な配線図、HARTロングタグ、HARTデバイス定義などの一般プロパティ302の値、及び/または他のデバイスプロパティ338の値も記憶することができる。ファイル、データベース、またはデータストア342は、任意の適切なフォーマット(例えば、互換性マトリックス、テーブル、参照データベースなど)で実装することができ、また、任意の数のデータ記憶デバイス全体にわたって実装することができる。
【0105】
故に、I/O割り当て解除状態であるデバイスのデバイス定義308のI/O抽象化の性質に基づいて、及びデータストア342のコンテンツを使用して、構成アプリケーション340は、多数のデバイスの、例えば1つ以上の共通のプロパティ値302〜338を共有する多数のデバイスのプロパティ値302〜338の少なくともいくつかを、バルク構成することができ、それによって、プロセスプラント5内の異なる領域全体にわたってデバイス構成を追跡する際の整合性、及びコミッショニング中の効率を促進する。
【0106】
以下、オブジェクト300の一般プロパティ302に含まれる名前プロパティを参照すると、名前プロパティは、デバイスタグ及びデバイス信号タグの名前付け及び名前空間規則などの、プロセス制御システム5内で利用される論理デバイス識別子が受けるものと同じ名前付け及び名前空間規則に従う。そのため、一実施形態において、名前プロパティは、デバイス102の短縮タグ(ST)を記憶し、これは、
図3A及び3Bに関して上で論じたように、例えばタグ構文解析装置200によって、デバイスのロングタグ(LT)から自動的に導出される。故に、いくつかの状況において、タグ構文解析装置200は、構成アプリケーション340から特定のデバイスのロングタグ(LT)を受信し、またはファイルもしくはデータベース342に直接アクセスして特定のデバイスのロングタグを読み出し、もしくは別様に取得し、次いで、取得したロングタグで動作して、例えば上で説明したような様態で、デバイスの短縮タグ(ST)を判定する。いくつかの状況において、タグ構文解析装置200は、ファイルまたはデータベース342から複数のデバイスロングタグ(LT)をバルク読み出しし、対応する複数の短縮タグ(ST)を生成し、そして、その後に構成アプリケーション340がアクセスして多数のデバイスのそれぞれの名前プロパティをポピュレートするために、生成した複数の短縮タグ(ST)を、ファイルまたはデータベース342のうちの1つ以上に記憶する。いくつかの状況では、ファイル342を読み出して、またはアクセスしてデバイスの短縮タグ(ST)を取得するのではなく、構成アプリケーション340が、タグ構文解析装置200からデバイスの短縮タグ(ST)を、デバイス基準で、またはバルクで受信する。
【0107】
構成アプリケーション340及びタグ構文解析部装置200は、別個のエンティティとして論じられているが、いくつかの実現形態において、構成アプリケーション300及びタグ構文解析部装置200は、少なくとも部分的に統合されたエンティティであることに留意されたい。例えば、タグ構文解析部装置200を構成アプリケーション340に含むことができ、またはタグ構文解析部208を構成アプリケーション340に含むことができる。
【0108】
図4Bは、プロセスプラントをコミッショニングする例示的な方法350を表し、該方法は、フィールド環境内に配置された資産管理システムもしくは他のシステム132によって、1つ以上のフィールドコミッショニングデバイス135によって、及び/またはプロセスプラント5のフィールド環境122内に配置された任意の他の適切な装置によって、少なくとも部分的に行うことができる。例示を容易にするためのものであるが、限定を目的とするものではなく、方法350は、
図1〜
図4Aを同時に参照して説明する。全般的に言えば、方法350の少なくとも一部分(及びいくつかの状況では、方法350の全体)は、プロセスプラント5のフィールド環境122内で、例えばフィールド環境122のステージング領域において、及び/またはフィールド環境122の設置領域において実行する。
【0109】
ブロック352で、方法350は、フィールドデバイス102のデバイスプレースホルダーオブジェクト300の様々なプロパティにポピュレートするためのデバイス102を記述する、一組の値を取得することを含む。プロセスプラント5のランタイム中に、フィールドデバイス102は、プロセスプラント5のフィールド環境122において物理的機能を行い、また、物理的機能に対応するデータを送信及び/または受信してプロセスプラント5内のプロセスを制御する。物理的機能に対応するデータは、I/Oデバイスに通信的に接続されるポートを介して、送信及び/または受信される。しかしながら、方法350の実行中に、フィールドデバイス102は、I/O割り当て解除状態であり、例えば、フィールドデバイス102は、いかなるI/Oデバイスを介しても通信するように指定されない(例えば、まだ指定されていない)。
【0110】
一組の値のうちの少なくともいくつかは、プロセスプラント5内のフィールドデバイス102を、例えばその名前、そのロングタグ、HARTデバイス定義(フィールドデバイス102がHARTデバイスである場合)などを特に識別する。加えて、一組の値のうちの少なくともいくつかは、それぞれ、フィールドデバイス102を記述する、それぞれのカテゴリのタイプを示す。例えば、一組の値は、1つ以上の値を含むことができ、該値の各々は、それぞれ、I/Oインターフェースタイプ310、デバイスタイプ312、デバイスタイプ315の特徴、I/O構成タイプ318、I/O構成タイプの1つ以上のプロパティ/パラメータ320、I/O構成タイプの1つ以上のチャネルパラメータ322、デバイス警告構成328、デバイスアラーム構成330、自動ループ試験構成332、またはフィールドデバイス102の記述属性の他のタイプまたはカテゴリ335、338を示す。
【0111】
フィールドデバイス102に対応する一組の値のうちの少なくともいくつかは、1つ以上のソースから取得される(ブロック352)。例えば、フィールドデバイス102を記述する値のうちの少なくともいくつかは、ファイルもしくはデータストアから値を読み出すことによって、通信リンクを介して値を受信することによって、ユーザインターフェースを介して値を受信することによって、別のアプリケーションから値を受信することによって、及び/またはデータを取得する任意の他の既知の手段によって、取得することができる。しかし、重要なことに、フィールドデバイス102を記述する一組の値は、フィールドデバイス102が含まれるループ(またはその一部分)がプロセスプラント5のバックエンド環境125から通信的に切断されている間に取得される(ブロック352)。例
えば、制御ループ100を介した(例えば、フィールドデバイス102、指定されたI/Oカード、コントローラ120、及びバックエンドデータハイウェイまたはバックボーン10)を介した)フィールド環境122とバックエンド環境125との間の通信経路が、(まだ)設定または確立されていないときには、一組の値のうちのいずれも、プロセスプラント5のバックエンド環境125において利用される制御構成ツールまたはアプリケーションから取得することができない。
【0112】
フィールドデバイス102に対応する一組の値のうちのいくつかは、別の取得した値から自動的に導出することによって取得することができる(ブロック352)。例えば、デバイスのソースタグは、ソースから取得することができ、フィールドデバイス102のシステムタグは、取得したソースタグから自動的に導出することができる。
【0113】
ブロック355で、方法350は、フィールドデバイス102を記述する取得した値を使用して、フィールドデバイス102のデバイスプレースホルダーオブジェクト300のインスタンスを構成し、それによって、デバイス102のI/O抽象化構成を定義することをさらに含む。フィールドデバイス102のデバイスプレースホルダーオブジェクトのインスタンスを構成することは、オブジェクト300のそれぞれのフィールドまたはプロパティを、フィールドデバイス102を記述するそれぞれの値でポピュレートすることを含む。
【0114】
デバイスプレースホルダーオブジェクト300の全ての構成されたインスタンスが、同じ一組のプロパティを含むわけではないことに留意されたい。オブジェクト300に含まれる他のプロパティの1つ以上のポピュレートした値に基づいて、異なる一組のプロパティを公開することができる。そのため、フィールドデバイス102のデバイスプレースホルダーオブジェクト300のインスタンスを構成すること(ブロック355)は、いくつかのシナリオについて、オブジェクト300(
図4Bに示さず)の別のプロパティにポピュレートした値に基づいて、オブジェクト300の追加的なプロパティを公開することを含む。例えば、従来としてポピュレートされているI/O抽象化インターフェースタイププロパティ310に基づいて、I/O抽象化デバイスタイププロパティ312は、そのそれぞれのポピュレーションについて(例えば、電流入力、電流出力などに)公開される。他のプロパティの特定のポピュレートされた値に基づいた追加的なプロパティの特定の公開の関連付けは、例えば、関連付けまたはマッピングの指示を記憶するファイル、データベース、またはデータストア342に記憶することができる。さらに、新しく公開したプロパティの可能なポピュレーション値の範囲もまた、ファイル、データベース、またはデータストア342に記憶することができる。
【0115】
また、デバイスプレースホルダーオブジェクト300の構成したインスタンスは、様々なプロパティのI/O抽象化値(例えば、I/O抽象化インターフェースタイプ、I/O抽象化デバイスタイプなど)を含むが、構成したインスタンスは、他のプロパティの明示的な値を含むことができることにも留意されたい。例えば、アラーム限度を明示的な値に設定することができ、また、特定のI/O構成プロパティパラメータ値を明示的な値に設定することができる。
【0116】
ブロック358で、方法350は、フィールドデバイスがI/O割り当て解除状態である間に、フィールドデバイスにおいて1つ以上のコミッショニングアクションを開始することを含む。1つ以上のコミッショニングアクションは、フィールドデバイス102のI/O抽象化構成に基づいて開始される。一実施例において、フィールドデバイス102の構成したデバイスプレースホルダーオブジェクトのインスタンスに保持または記憶した値によって示されるように、フィールドデバイス102がI/O割り当て解除状態であることを検出すると、1つ以上の1つ以上のコミッショニングアクションが開始される(ブロ
ック358)。加えて、または代替的に、1つ以上のコミッショニングアクションは、フィールドデバイス102のI/O抽象化構成に記憶した情報またはデータのうちの少なくともいくつかを利用することができる。例えば、フィールドデバイス102の名前(それは、例えば、フィールドデバイス102に対応するデバイスタグまたはデバイス信号タグとすることができる)を利用して、設置したデバイス102の識別情報を検証し、試験信号を生成することができる。別の実施例において、HARTデバイス警告328及びHARTデバイスアラーム構成330にポピュレートした値は、警告及び/またはアラームに対する挙動またはフィールドデバイス102を定義し、これらの予想される挙動は、1つ以上のコミッショニングアクションによって識別され、試験され、及び/または検証される。
【0117】
随意のブロック360において、方法350は、デバイス102がI/O割り当て状態に変更され、したがって、フィールドデバイス102が特定のI/Oデバイス、特定のI/Oチャネル、及び/または特定のI/Oノードに指定されたことを示すことを検出または判定することを含む。デバイス102がI/O割り当て状態であることを検出したことに基づいて、1つ以上の他のコミッショニングアクションを開始することができ、これらの他のコミッショニングアクションは、フィールドデバイス102のI/O抽象化構成によって保持または記憶した情報またはデータのうちの少なくともいくつかを利用することができる。例えば、ループ100で行われる自動ループ試験は、フィールドデバイス102の自動ループ試験構成プロパティ332にポピュレートされ、プロセス制御ループ100の挙動を試験及び/または検証するためにフィールドデバイス102において生成される異なる信号レベルを示す値を利用することができる。
【0118】
いくつかの実施形態において、方法350は、場合によりユーザインターフェースから方法350の開始コマンドを受信することを除いて、いかなるユーザ入力も必要することなく、または使用することなく、全体として実行される。例えば、方法350を開始するユーザコマンドを受信すると、いかなるユーザ入力の介在も伴わずに、フィールドデバイス102のI/O抽象化構成が自動的に生成または定義され(例えば、ブロック352、355)、また、いかなるユーザ入力の介在も伴わずに、生成したデバイス102のI/O抽象化構成を利用する1つ以上のコミッショニングアクションが自動的に生成または定義される(例えば、ブロック358)。
【0119】
さらに、いくつかのシナリオにおいて、方法350は、異なるタイプのフィールドデバイス(例えば、センサ、弁、測定デバイスなど)を挙げることができる、複数のフィールドデバイス102に適用するように拡張される。例示的なシナリオにおいて、方法350のブロック355は、複数のフィールドデバイス102について(例えば、いかなるユーザ入力の介在も伴わずに、連続して、及び/または並行して)行われ、それによって、複数のフィールドデバイス102をI/O抽象化様態でバルク構成する。実際に、一実施形態において、方法350全体は、(場合によりユーザインターフェースから開始コマンドを受信することを除いて)いかなるユーザ入力も必要することなく、または使用することなく、複数のフィールドデバイスについて自動的に行われる。すなわち、複数のフィールドデバイスのI/O抽象化構成は、いかなるユーザ入力の介在も伴わずに、自動的に生成または定義され、生成したI/O抽象化構成を利用する1つ以上のコミッショニングアクションが、いかなるユーザ入力の介在も伴わずに、自動的に開始される。
【0120】
フィールド環境におけるデバイス情報の分配
【0121】
故に、デバイス102のI/O抽象化構成は、デバイス102がI/O割り当て解除状態である間に、及び/またはデバイス102を含むループ100がバックエンド環境125から通信的に切断されている間、様々なコミッショニングアクティビティにおいて使用
するために、フィールド環境122において利用することができる。フィールド環境122において、デバイス102のI/O抽象化構成に保持または含まれる情報のうちの少なくともいくつかを利用する1つまたはコミッショニングアクティビティは、例えば、デバイス102が最初に設置されたとき、デバイス102において通信的な接続が利用できるとき(例えば、デバイスのポートでワイヤを受容する、デバイスの102の無線トランシーバを起動させる、など)、デバイス102がCHARM110aに通信的に接続されたときなどに、デバイス102において行うことができる。例えば、デバイスのI/O抽象化構成を使用すると、デバイス102がI/O割り当て解除状態である場合であっても、デバイス102のI/O抽象化デバイス定義308に従う試験信号をデバイス102において入力して、その応答挙動を試験する。
【0122】
そのため、デバイス102のI/O抽象化構成は、フィールド環境122内の場所に記憶され、よって、フィールドコミッショニングツール135は、その場所に保持または記憶した情報に容易にアクセスすることができる。例えば、デバイス102のI/O抽象化構成の少なくとも一部分は、コミッショニングデバイス135に、資産管理システム132に、及び/またはコミッショニングデバイス135がアクセスできるいくつかの他のファイルもしくはデータストア342に、ローカルに記憶することができる。いくつかの実施形態では、デバイス102のI/O抽象化構成の全体が、コミッショニングデバイス135に、資産管理システム132に、及び/またはファイルもしくはデータストア342にローカルに記憶される。
【0123】
加えて、いくつかのシナリオにおいて、デバイス102のI/O抽象化構成に記憶した情報のうちの少なくともいくつかは、フィールドデバイス102と関連付けられた、かつフィールド環境122におけるランタイム動作のために設置された(及び/または設置することを意図する)1つ以上のコンポーネントに記憶するために分配されて、フィールドデバイス102が一部であるプロセス制御ループ100の他のコンポーネントなどの、工業プロセスの少なくとも一部分を制御する。デバイス102のI/O抽象化構成に保持または記憶した一組の情報のうち、全般的に言えば、少なくとも、フィールドデバイス102の名前プロパティ値、短縮タグ(ST)、または他の固有の識別情報などの、フィールドデバイス102の識別情報が、受信側コンポーネント(複数可)において分配され、記憶される。いくつかのデバイスについて、及び/またはいくつかの受信側コンポーネントについて、デバイス102のI/O抽象化構成に記憶または保持した追加的な情報もまた、受信側コンポーネントのメモリに分配され、記憶される。典型的に、フィールドデバイスのI/O抽象化構成の情報のうちの少なくともいくつかが分配される1つ以上のコンポーネントは、任意のユーザインターフェースデバイスを排除する(例えば、フィールドコミッショニングツール135、資産管理システム132のユーザインターフェース、及び他のユーザインターフェースデバイスを排除する)。
【0124】
代わりに、いくつかのコミッショニングシナリオにおいて、フィールドコミッショニングデバイス135及び/または資産管理システム132は、デバイス102のI/O抽象化構成に記憶した情報(例えば、デバイス102の名前、及び随意に、他の情報)のうちの少なくともいくつかを、プロセスプラント5のフィールド環境122内に配置された1つ以上の受信側コンポーネントにコピー、転送、または分配することができる。一実施例において、フィールドコミッショニングデバイス135及び/または資産管理システム132は、(人間の支援の有無にかかわらず)受信側コンポーネントとの有線または無線通信リンクまたは接続を確立し、そして、受信側コンポーネントのメモリに記憶するために確立した接続を介して、フィールドデバイス102のI/O抽象化構成の所望の情報を受信側コンポーネントにコピー、転送、または別様には分配する。
【0125】
所望のフィールドデバイス102のI/O抽象化構成情報の受信側コンポーネントへの
分配は、任意の適切な電子通信技術または技法を利用することができる。そのような適切な電子通信技術の一例は、短距離無線条件プロトコル、例えば、RFID(無線周波数識別)、Bluetooth、NFC(近距離無線通信)、または、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、本明細書と同時出願された「Method and System for Commissioning Process Control Hardware」という名称の米国特許出願第15/291,200号(代理人整理番号06005−593481)において説明されるような、他の短距離無線通信プロトコルである。しかしながら、異なる短距離無線技術を異なる状況で利用できることに留意されたい。例えば、受信側コンポーネントが(まだ)電力投入されていないときに、RFIDは、所望のフィールドデバイス102のデバイス構成情報を、ポータブルコミッショニングデバイス135または他のハンドヘルドデバイスから、受信側コンポーネントの外面またはいくつかの他の外側部分に取り付けられたメモリに転送するために使用することができ、一方で、受信側コンポーネントが電力投入されているときには、Bluetooth、Wi−Fi、または直接的な物理的ワイヤもしくはケーブルなどの別の技術を利用することができる。
【0126】
実際に、受信側コンポーネントが少なくとも部分的に電力投入され、内部メモリを含むときには、様々な無線及び/または有線技術を使用して、受信側コンポーネントに記憶するために、所望のフィールドデバイス102の構成情報を転送することができる。典型的に、これらの状況において、受信側コンポーネントは、受信側コンポーネントの有線または無線ポートを介して所望のデバイス102の構成情報を受信し、受信した情報を内部メモリに記憶するように構成された、ハードウェア、ソフトウェア、及び/またはファームウェアを含む。一実施例において、ポータブルコミッショニングデバイス135または他のハンドヘルドデバイスは、Bluetooth、NFC、または他の短距離無線プロトコルを利用して、フィールドデバイス102の所望のデバイス構成情報を、無線リンクを介して、受信側コンポーネントの無線ポートに伝送し、受信側コンポーネントは、受信した情報をその内部メモリに記憶させる。別の実施例では、ドングルまたは他の類似する有線通信インターフェースが、ポータブルコミッショニングデバイス135または他のハンドヘルドデバイスを、受信側コンポーネントのポートに確実かつ一時的に接続し、該ポートは、デバイス102の所望のI/O抽象化構成を、ポータブルコミッショニングデバイス135または他のハンドヘルドデバイスから、受信側コンポーネントに伝送し、そして、受信側コンポーネントは、受信した情報をその内部メモリに記憶させる。
【0127】
例示的なシナリオにおいて、フィールドデバイス102がスマートフィールドデバイス(例えば、フィールドデバイス102a、102b)などであるときに、フィールドデバイス102の構成情報の受信側コンポーネントは、フィールドデバイス102自体である。スマートフィールドデバイスについて、所望のデバイス構成情報は、その内部メモリに直接記憶される。レガシーフィールドデバイス(例えば、デバイス102c、102d)について、または所望に応じて、スマートフィールドデバイス102a、102bについて、フィールドデバイス102の所望の構成情報は、フィールドデバイス102に通信的に接続された(または接続されるべき)別のコンポーネントまたはデバイス(例えば、フィールドデバイス102がその一部であるプロセス制御ループ100に含まれるコンポーネント)のメモリに記憶され、それによって、構成情報をレガシーフィールドデバイス102のプロキシ場所に記憶する。一実施例において、フィールドデバイス102の構成情報は、フィールドデバイス102に物理的に接続されるが、CHARM端子ブロック150またはCIOC145にはまだプラグイン及び/または指定されていない、CHARM110aに分配され、記憶される。別の実施例において、フィールドデバイス102の構成情報は、CHARM110aとCHARM端子ブロック150のそのスロットとの間に配置されたCHARMエクステンダに分配され、記憶される。
【0128】
電子マーシャリングコンポーネント(例えばCHARMエクステンダ)のためのエクステンダの一実施例を
図5Aに示す。
図5Aは、フィールドデバイス102のCHARM110a、CHARMエクステンダ402、及びCHARM端子ブロック150を含む、例示的な分解
図400を例示する。全般的に言えば、CHARMエクステンダ402は、一方の端部においてCHARM110aに確実に取り付けることができ、もう一方の端部においてCHARM端子ブロック150のスロットに確実に取り付けることができる。例えば、
図5Aに例示されるように、CHARM110cは、CHARMエクステンダ402において確実に受容することができ、これを次に、CHARM端子ブロック150において確実に受容することができる。CHARM110a、CHARMエクステンダ402、及びCHARM端子ブロック150が互いに確実に取り付けられたときに、CHARMエクステンダ402を通したCHARM110aからCHARM端子ブロック150への信号経路が確立される。
【0129】
CHARMエクステンダ402は、デバイス102の構成情報(デバイスのシステムタグ及び/または他の所望の情報など)のうちの少なくともいくつかを記憶することができる、オンボードまたは内部メモリ405を含む。いくつかの構成において、CHARMエクステンダ402は、ソースからの(例えば、フィールドコミッショニングデバイス135及び/または資産管理システム132からの)デバイスの構成情報の読み出しまたは受信を可能にするためのプロセッサ408、及びメモリ405へのデバイスの構成情報の記憶装置を含む。いくつかの構成において、多数のCHARMエクステンダ402は、例えば、レガシーデバイス102の追加的なメモリストレージ能力を提供するために、または他の理由で、CHARM110aとその端子ブロック150との間に配置され、相互接続される。
【0130】
1つ以上の受信側コンポーネントのメモリに記憶するために、フィールドデバイス102の構成情報のうちの少なくともいくつかを分配することに関する上の議論は、受信側コンポーネントがフィールド環境122内に設置された後に行うが、他のシナリオにおいて、所望のフィールドデバイス102のデバイス構成情報は、受信側コンポーネントがフィールド122内に設置される前の任意のときに、受信側コンポーネントのメモリに記憶されることに留意されたい。例えば、所望のフィールドデバイス102の構成情報は、例えば工場において、受信側コンポーネントに予め構成される。別の実施例において、所望のフィールドデバイス102の構成情報は、フィールド環境122内に受信側コンポーネントを物理的に設置する前に、フィールド環境122のステージング領域の受信側コンポーネントのメモリにロードすることができる。
【0131】
さらに、所望のフィールドデバイス102の構成情報をフィールドデバイス102自体に、またはそのプロキシに分配することに加えて、フィールドデバイスの構成情報は、フィールドデバイス102と関連付けられた他のコンポーネントに(例えば、フィールドデバイス102と共にプロセスループ100内に含まれる他のコンポーネントに)記憶するように、自動的に分配することができる。該追加的な受信側コンポーネントへの自動分配は、1つ以上の他の条件によってトリガーすることができる。例えば、フィールドデバイスの構成情報の別のコンポーネントへの自動分配は、フィールドデバイス102と他のコンポーネントとの間に確立された接続の検出によってトリガーすることができ、及び/または自動分配は、フィールドデバイス102において行われる1つ以上のコミッショニングアクションの完了が成功した時点でトリガーすることができる。いくつかのコンポーネントへの自動分配は、フィールドデバイス102がI/O割り当て解除状態である間に生じさせることができ、他のコンポーネントへの他の自動分配は、フィールドデバイス102がI/O割り当て状態に移行した後に生じさせることができる。実際に、フィールドデバイス102のI/O割り当て状態への移行は、それ自体が、フィールドデバイスの構成情報の1つ以上のコンポーネントへの自動分配をトリガーすることができる。一般に、し
かし排他的ではなく、フィールドデバイスの構成情報の自動分配は、フィールド環境122内の上流方向において行われ、例えば、フィールドデバイス102により近いコンポーネントから、フィールドデバイス102からより遠く離れているがバックエンド環境125により近いコンポーネントに向かって分配される。
【0132】
上で論じた分配概念は、本開示のこれらの及び他の技術を利用する例示的なコミッショニングシナリオによって例示される。この例示的なシナリオにおいて、スマートフィールドデバイス102は、プロセスプラント5のフィールド環境122内に設置されているが、いかなる他のデバイスにもまだ接続されていない。フィールドオペレータは、ハンドヘルドフィールドコミッショニングツール135を利用して、資産管理システム132からデータを取得し、デバイスプレースホルダーオブジェクト300のインスタンスを構成し、それによって、スマートデバイス102のI/O抽象化構成を定義する。デバイス102のI/O抽象化構成は、デバイス102を示す短縮タグを含むが、短縮タグ(ST)は、資産管理システム132に記憶したロングタグ(LT)(例えば、デバイスのHARTタグ)から自動的に導出されている。この例示的なシナリオにおいて、デバイス102のI/O抽象化構成(またはそのコピー)は、フィールドデバイス102を含むプロセスプラント5の一部分のコミッショニング中に使用するために、フィールドコミッショニングデバイス135に記憶される。
【0133】
フィールドオペレータは、フィールドコミッショニングツール135、及びフィールドデバイス102のI/O抽象化デバイス構成に保持または記憶した情報のうちの少なくともいくつかを使用することによって、フィールドデバイス102において1つ以上のコミッショニングアクションを行う。例えば、オペレータは、コミッショニングデバイス135を利用して、デバイスのI/O抽象化構成情報に保持または記憶したデバイス識別情報を、物理的に設置したデバイス102に取り付けられたラベル(RFIDタグまたは貼着されたラベル)に記載された、または物理的に設置したデバイス102のケーブルに取り付けられたタグまたはラベルに提供された識別情報と比較/検証する。識別情報の検証の成功に応じて、フィールドコミッショニングツール135は、フィールドデバイス102の短縮タグ(ST)(及び随意に、他の情報)を、フィールドデバイス102の内部メモリにおけるオンボード記憶のために、フィールドデバイス102に分配する。分配は、フィールドコミッショニングツール135でのフィールドオペレータの手動コマンドによってトリガーすることができ、または分配は、自動的に、例えばフィールドデバイスの識別情報の検証の成功を検出した時点で、フィールドコミッショニングデバイス135またはフィールドデバイス102によって自動的にトリガーすることができる。
【0134】
加えて、1つ以上の他のコミッショニングアクティビティは、フィールドデバイス102がスタンドアロン(したがって、I/O割り当て解除)状態である間に、フィールドデバイス102において行って、デバイス102が予想通りに動作していること、例えば電力投入、電力遮断、リセット、ハード及びソフトリスタートなどを行っていることを検証する。これらのコミッショニングアクションまたはアクティビティのうちのいくつかは、フィールドコミッショニングデバイス135をフィールドデバイス102のポートに接続すること、及びシミュレーションしたコミッショニングデバイス135からの信号を、そのポートを介して送信して、フィールドデバイスの結果として生じた挙動を検証することを含むことができる。シミュレーションした信号は、フィールドコミッショニングデバイス135が利用できる、デバイス102のI/O抽象化構成に従うフォーマットとすることができる。
【0135】
例示的なシナリオをさらに続けると、初期ラウンドのコミッショニングアクション/アクティビティが、スタンドアロンのデバイス102に対して行われた後に、フィールドオペレータは、次いで、デバイス102を別のコンポーネント(例えば、デバイス102の
プロセス制御ループ100に含まれる別のコンポーネント)に接続し、2つの接続されたコンポーネントの組み合わせに対して1つ以上のコミッショニングアクションまたはアクティビティを行う。例えば、フィールドオペレータは、ワイヤまたはケーブルの一方の端部をスマートデバイス102のポートに接続し、ワイヤまたはケーブルのもう一方の端部をCHARM110aに接続し、それによって、スマートデバイス102をCHARM110aに接続する。したがって、CHARM110aが(通信経路の観点から)フィールドデバイス102よりもバックエンド環境125に近いので、CHARM110aは、デバイス102の「上流に」配置されているとみなされる。スマートデバイス102とCHARM110aとの接続の確立を検出した時点で、フィールドデバイス102の内部メモリに記憶したデバイス構成情報(例えば、デバイス102の短縮タグ(ST)及び随意に他の情報)のうちの少なくともいくつかが、例えば情報を上流のCHARM110aに自動的にプッシュすることによって、または上流のCHARM110aが情報をスマートフィールドデバイス102から自動的にプルすることによって、上流のCHARM110aの内部メモリに自動的に分配される。そのため、デバイスの構成情報は、現在、CHARM110a及びスマートデバイス102の両方において利用することができ、また、CHARM110a及びスマートデバイス102の両方が関係する1つ以上のコミッショニングアクション、ならびに他のコミッショニングアクションまたはアクティビティが行われている間、CHARM110a及びスマートデバイス102の両方がそれぞれ利用することができる。CHARM110a及びスマートデバイス102の両方が関係する例示的なコミッショニングアクティビティとしては、フォーマット、忠実性、信号強度などを検証するために、CHARM110aとスマートデバイス102との間で、デバイスの構成情報によって示されるフォーマットに従って信号またはメッセージを送信すること、及び/またはCHARM110aにおいてデバイスの構成情報に従ってシミュレーションしたCIOC信号を注入して、フィールドデバイス102の結果として生じた挙動を試験することが挙げられる。
【0136】
さらに、フィールドデバイス102の構成情報の自動上流分配、及び分配した構成情報のコミッショニングデバイスでの使用は、フィールドデバイス102がI/O割り当て解除状態である間、フィールド環境122がバックエンド環境125から通信的に切断されている間、及び/またはループ(またはその一部)100がバックエンド環境125から通信的に切断されている間にだけ生じさせる必要はない。例えば、例示的なシナリオを続けると、最初にスマートデバイス102に分配され、その後にCHARM110aに分配されたデバイス102の構成情報のコンテンツは、デバイス102の短縮タグ、ならびにCHARM110aがプラグイン/挿入されるバンク及びスロットを含む。CHARM110aがCHARM端子ブロック150にプラグインされると、フィールドデバイス102に対応し、CHARM110aに記憶した、記憶したバンク及びスロット情報を使用して、CHARM110aが正しい場所にプラグインされたことを検証することができる。加えて、CHARM110aをCHARM端子ブロック150にプラグインした時点で、フィールドデバイス102の構成情報(例えば、短縮タグ(ST)及び随意に他の情報)が、CHARMキャリア142のメモリに自動的に分配され、記憶される。例えば、フィールドデバイス102の構成情報は、CHARMキャリア142に対して自動的にプルまたはプッシュすることができ、CIOC145のコミッショニングは、CHARMキャリア142のメモリに記憶したフィールドデバイス102の構成情報を利用することができる。
【0137】
当然ながら、短縮タグなどのデバイス構成情報及び他の情報の分配はまた、フィールドデバイス102とのランタイム動作のために設置された(または設置されるべき)コンポーネントによって自動的に検知し、分配するのではなく、フィールド通信デバイス135から上流のコンポーネントに直接分配することもできる。例えば、フィールドオペレータは、フィールドコミッショニングデバイス135を利用して、例えばデバイス構成情報を
CHARM110a、CHARMエクステンダ402、及びフィールドデバイス102に分配するための上で論じた様態に類似する様態で、多数のフィールドデバイスの構成情報をCHARMキャリア142またはCIOC145のメモリにバルクロードすることができる。
【0138】
例示的なコミッショニングアクティビティ
【0139】
したがって、この議論を考慮すると、本明細書で説明される新規なスマートコミッショニング技術のうちの1つ以上の使用することによって、個々のフィールドデバイス、コンポーネント、及びプロセス制御ループの様々な部分を、それぞれが設置され、相互接続されたときにコミッショニングすることができる。加えて、本明細書で説明される新規なスマートコミッショニング技術は、ループ全体が設置され、コミッショニングされるのを待機することを必要とするのではなく、プロセス制御ループのデバイス、コンポーネント、及び一部分をそれぞれコミッショニングするときに、ループ関連のコミッショニングアクティビティの漸増的または区分的な実現形態を可能にする。
【0140】
例えば、アズビルトリスト、アズビルトループ図、アズビルトループマップ、及びアズビルトドキュメンテーションの一部分を、ループ100の個々のデバイス、コンポーネント、及び一部分がそれぞれコミッショニングされるときに、漸増的に生成することができる。従来のコミッショニングでは、専門のソフトウェアアプリケーションをプロセス制御システム5内に提供しなければならないので、及び典型的に、ループがコミッショニングされ、かつプロセスプラント5のバックエンド環境125に接続された後にだけ、アズビルトのリスト、図、マップ、及びドキュメンテーションを生成することができるので、アズビルトのリスト、図、マップ、及びドキュメンテーションを生成することは困難である(本明細書の読み取りを容易にするために、アズビルトリスト、アズビルトループ図、アズビルトループマップ、及びアズビルトドキュメンテーションは、一般に、「アズビルト情報」と称される。したがって、「アズビルト情報」と言う用語は、本明細書で使用されるときに、任意の数の個々の及び/または組み合わせた、アズビルトリスト、アズビルトループ図、アズビルトループマップ、及び/またはアズビルトドキュメンテーションを指す。)。
【0141】
しかし、スマートコミッショニングによって与えられるように、アズビルトループ情報の一部分をローカルかつ漸増的に生成することは、従来のコミッショニングの制限及び遅延を取り除く。代わりに、アズビルトループ情報は、ループ100がプロセスプラント5のバックエンド環境125から通信的に切断されている(該バックエンド環境にまだ通信的に接続されていない)間に、ローカルかつ漸増的に生成される。例えば、アズビルト情報の一部分は、フィールドデバイス102がI/O割り当て解除状態である間に、コントローラ120がI/Oキャビネット115に物理的に接続される前に、フィールドデバイス102が特定のI/Oカード108に指定される前に、及び/またはプロセスループ100またはプラント5をコミッショニングする他の類似する暫定的な状態である間に、ローカルに生成される。アズビルト情報のローカルな生成は、プロセスプラントがモジュール的に構築されるときに、例えば、プロセスプラントの様々な一部分が、プラントサイトにおいてまとめられてプロセスプラント5に全体として統合される前に、異なる物理的な場所で別々に構築されるときに、特定の有用性を有し、また、特定の利点を提供する。アズビルト情報のローカルな生成はまた、プロセスプラントのオンライン動作を途絶または遅延させることなく、新しいループをコミッショニングすることができるので、新しいループがオンラインプロセスプラントに加えられるときにも、特定の有用性を有し、また、特定の利点を提供する。一般に、アズビルト情報のローカルな生成は、所望に応じて、異なる物理的な場所でコミッショニングループを行うことを可能にし、したがって、プラントサイトにおいてシステム全体のコミッショニングを行うために必要とされる時間及び人
−時間を節減する。
【0142】
図5Bは、ループがプロセスプラント5のバックエンド環境125から通信的に切断されている(例えば、該バックエンド環境にまだ通信的に接続されていない)間に、アズビルトループ情報をローカルに生成するための例示的な方法420の流れ図である。例えば、方法420の少なくともいくつかの部分は、ループが、プロセスプラント5のフィールド環境122内に、またはオフサイトのステージング領域に構築され、コミッショニングされている間に実行することができる。方法420の少なくとも一部分は、一実施形態において、(
図5Cに関してより詳細に説明される)ローカルなアズビルトループ情報生成器によって行うことができ、方法420は、それ自体が議論を容易にするために下で説明され、限定を目的とするものではない。典型的に、必ずしもそうではないが、方法420は、例えば、フィールドコミッショニングデバイス135によって、及び/または資産管理システム132によって、プロセスプラント5のフィールド環境122において実行される。さらに、議論を容易にするためのものであり、限定を目的とするものではなく、方法420は、
図1〜
図5Aを同時に参照して下で説明する。
【0143】
ブロック422で、方法420は、例えば1つ以上のそれぞれのコミッショニングアクティビティの完了に基づいて、プロセス制御ループ100の第1の部分が検証された旨の指示を取得することを含む。例えば、ローカルなアズビルトループ情報生成器は、プロセス制御ループ100の第1の部分がフィールドコミッショニングツール135または資産管理システム132から検証された旨の指示を取得する(ブロック422)。
【0144】
方法420はまた、構築するときにプロセス制御ループの第1の部分をその中で示すまたは説明する、アズビルトI/Oリストの第1の部分を生成することも含む(ブロック425)。ブロック428で、生成したアズビルトI/Oリストの第1の部分が、例えば、フィールドコミッショニングツール135に、資産管理システム132に、アズビルト情報生成器がアクセスすることができる1つ以上のデータストア342に、及び/またはいくつかの他の適切なメモリまたはデータに記憶される。所望に応じて(ブロック430)、ブロック422〜428は、それぞれのコミッショニングアクションまたはアクティビティを介してその後の部分がそれぞれ検証されるときに、プロセス制御ループ100のその後の部分について繰り返すことができる。
【0145】
方法420は、随意に、アズビルトI/Oリストの記憶した部分に基づいて、他のタイプのアズビルト情報を生成し、記憶することを含むことができる(ブロック432)。例えば、アズビルトI/Oリストのそれぞれの部分に対応するI/Oループ図またはマップの部分は、アズビルトI/Oリスト自体の各部分が生成され(425)、記憶され(428)たときに漸増的に、または記憶したアズビルトI/Oリストの多数の部分のバッチについて、生成し、記憶する(432)ことができる。同様に、アズビルトI/Oループ図またはマップのそれぞれの部分に対応するアズビルトI/Oドキュメンテーションの部分は、アズビルトI/O図またはマップの各部分が生成され、記憶されたときに漸増的に、または記憶したアズビルトI/O図またはマップの多数の部分のバッチについて、生成し、記憶する(432)ことができる。
【0146】
ブロック435で、方法420は、ローカルに生成したアズビルトI/O情報を、プロセス制御システム5のバックエンド環境125に提供することを含む。ローカルに生成したアズビルトI/O情報は、例えば手動及び/または外部のネットワーク転送を介して、ループ100がバックエンド環境125から通信的に切断されている間に、プロセス制御システム5のバックエンド環境125に提供することができる(ブロック435)。一実施例では、ループ100がバックエンド環境125から通信的に切断されている間に、ローカルに生成したアズビルトI/O情報が、フィールドコミッショニングツール135ま
たは資産管理システム132から、プロセスプラント5のバックエンド環境125に含まれる集中データベースまたはデータストア128にダウンロードされる。アズビルトI/O情報は、漸増的な様態で、例えばアズビルトI/O情報の各部分が生成されたときに、またはアズビルトI/O情報の多数の部分を含むバッチにおいて、バックエンド環境125に提供することができる(ブロック435)。
【0147】
別の実施例において、ローカルに生成したアズビルトI/O情報は、ループ100をプロセスプラント5のバックエンド環境125に接続した時点で、プロセス制御システム5に自動的に提供される(例えば、プロセス制御システム5のコントローラ120及び1つ以上の内部ランタイム通信ネットワークを介して自動的に提供される)。例えば、ループ100のバックエンド環境125への通信的な接続の確立を検出した時点で、フィールド環境122において生成し、記憶したアズビルトI/O情報の少なくとも一部分が、ループの通信的な接続を介して、バックエンド環境125に自動的に提供される。バックエンド環境125では、例えばオペレータワークステーション71を介して、プロセス制御システム5は、ループ100の部分を、ならびにループ100全体として試験、トラブルシューティング、及び視覚化するために、ローカルに生成したアズビルトI/Oループ情報を利用することができる。例えば、アズビルトループ図またはマップを利用して、ループ100全体を試験し、検証することができる。
【0148】
図5Cは、例示的なローカルアズビルトループ情報生成器450のブロック図を表す。一実施形態において、ローカルアズビルトループ情報生成器450は、ローカルループ情報生成デバイスまたは装置452に含まれるか、または実装され、該ローカルループ情報生成デバイスまたは装置は、I/Oキャビネット115内に収容したフィールドコミッショニングツール135、資産管理システム132、I/O端子ブロック105、I/Oカード108、及び/または任意の他のコンポーネントに、少なくとも部分的に収容または実装することができる。一実施例において、ローカルループ情報生成デバイスまたは装置452は、I/Oキャビネット115内に収容され、そのため、ローカルアズビルトループ情報生成器450は、参照番号455で示されるように、同じくキャビネット115内に収容されるループ100の他のコンポーネントに通信的に接続される。別の実施例において、ローカルループ情報生成デバイスまたは装置452は、フィールドコミッショニングツール/ポータブルデバイス135に少なくとも部分的に含まれるか、または実装され、結果的に、ローカルアズビルトループ情報生成器450は、参照番号455で示されるように、フィールド環境122内に配置されたフィールドデバイス102に、I/Oカード108に、及び/または任意の他のコンポーネントに(例えば有線及び/または無線の様態で)通信的に接続することができる。
【0149】
ローカルアズビルトループ情報生成器450は、(i)有形の不揮発性メモリに記憶され、プロセッサによって実行することができる一組のコンピュータ実行可能命令、(ii)実行可能ファームウェア命令、及び/または(iii)ループ100が設置され、コミッショニングされているフィールド環境122においてローカルに実行される実行可能ハードウェア命令を備えることができる。ローカルアズビルトループ情報生成器450を備える命令は、例えば、方法420の少なくとも一部分を行うように実行することができる。
【0150】
さらに、ローカルループ情報生成デバイスまたは装置452は、ローカルに生成したアズビルトループ情報が記憶され、ループ情報生成器450がアクセスすることができる、ループ情報記憶領域458を含むことができる。例えば、ループ情報記憶領域458は、フィールドデバイス102の内部メモリ、I/Oカード108、キャビネット115に常駐する他のメモリに含むことができる。加えて、または代替的に、ループ情報記憶領域458は、フィールドコミッショニングツール135の内部メモリ、資産管理システム12
3のメモリ、及び/またはデータストア342に含むことができる。
【0151】
図6は、プロセスプラント5をコミッショニングする例示的な方法460を表し、該方法は、フィールド環境内に配置された資産管理システムもしくは他のシステム132によって、1つ以上のフィールドコミッショニングデバイス135によって、プロセスプラント5のフィールド環境122内に配置された1つ以上のループコンポーネント102、105、108、110、120によって、ならびに/またはプロセスプラント5のフィールド環境122内に配置された任意の他の適切なコンポーネント、デバイス、及び/もしくは装置によって、少なくとも部分的に行うことができる。例示を容易にするためのものであるが、限定を目的とするものではなく、方法460は、
図1〜
図5Bを同時に参照して説明する。全般的に言えば、必ずしもそうではないが、方法460の少なくとも一部分(及びいくつかの状況では、方法460の全体)は、プロセスプラント5のフィールド環境122内で、例えばフィールド環境122のステージング領域において、及び/またはフィールド環境122の設置領域において実行する。
【0152】
ブロック462で、方法460は、フィールドデバイス102がI/O割り当て解除状態である間に、フィールドデバイス102の識別情報を取得することを含む。上で論じたように、フィールドデバイス102のI/O割り当て解除状態は、フィールドデバイス102が任意の特定のI/Oカード108に指定されていない(例えば、まだ指定されていない)ことを示す。フィールドデバイス102の識別情報は、典型的に(必ずしもそうではないが)、プロセスプラント5のフィールドデバイス102を識別するシステムタグを含む。システムタグは、例えば、フィールドデバイス102を示すデバイスタグまたはデバイス信号タグとすることができ、また、フィールドデバイス102のソースタグから自動的に導出したものとすることができる。
【0153】
一実施例において、フィールドデバイス102の識別情報を取得すること(ブロック462)は、例えば、プロセスプラント5のフィールド環境122内に配置されたフィールドコミッショニングツール135または資産管理システム132から、フィールドデバイス識別情報を受信することを含む。別の実施例において、フィールドデバイス102の識別情報を取得すること(ブロック462)は、フィールド環境122内に配置されたデータストア342にアクセスして、フィールドデバイス102の識別情報を取得することを含む。いくつかのシナリオにおいて、フィールドデバイス102に対応する追加的な情報は、フィールドデバイス102の識別情報と併せて取得される(ブロック462)。例えば、フィールドデバイス102に関連するCHARM110aに対応するキャビネット115のバンク及びスロット、フィールドデバイス102のI/O抽象化構成に含まれる選択した情報、及び/またはフィールドデバイス102に対応する他の情報は、フィールドデバイスの識別情報と併せて取得される(ブロック462)。
【0154】
ブロック465で、方法460は、フィールドデバイス102がI/O割り当て解除状態である間に、取得したフィールドデバイス102の識別情報を、フィールドデバイス102が一部であるプロセス制御ループ100のコンポーネントのメモリに記憶することを含む。随意に、ブロック465は、加えて、フィールドデバイスの識別情報と併せて取得した(ブロック462)、フィールドデバイス102に対応する任意の他の情報を記憶することを含む。
【0155】
フィールドデバイス102の識別情報が記憶される(ブロック465)コンポーネントは、フィールドデバイス102がスマートデバイスであり、かつオンボードメモリを含むときなどに、フィールドデバイス102自体とすることができる。非スマートフィールドデバイスについて、または所望に応じてスマートフィールドデバイスについて、コンポーネントは、CHARM110a、CHARMエクステンダ402、または同じくループ1
00に含まれるフィールドデバイス102の他の上流のコンポーネントなどの、フィールドデバイス102のプロキシとすることができる。
【0156】
ブロック468で、方法460は、記憶したフィールドデバイス102の識別情報(及びフィールドデバイスの識別情報と併せて記憶した任意の情報)を、プロセスプラント5のフィールド環境122内のフィールドデバイス102に通信的に接続され、フィールドデバイス102が一部であるループ100に含まれる第2のデバイスに分配することを含む。フィールドデバイス識別情報は、コンポーネントから第2のデバイスに分配され(468)、よって、分配されたフィールドデバイス識別情報は、フィールドデバイス102及び第2のデバイスの両方を含むプロセス制御ループ100の一部分をコミッショニングする際に使用することができる。典型的に、必ずしもそうではないが、第2のデバイスは、フィールドデバイス102の上流にあり、また、分配されたフィールドデバイス102の識別情報が書き込まれるか、または記憶されるオンボードメモリを含む。例えば、フィールドデバイスの識別情報が記憶される(ブロック465)コンポーネントがCHARMエクステンダ402であるときに、第2のデバイスは、CHARM端子ブロック150またはCHARMキャリア142とすることができる。
【0157】
いくつかのシナリオにおいて、フィールドデバイス102の識別情報を、該識別情報を記憶したコンポーネントから第2のデバイスに分配すること(ブロック468)は、フィールドデバイス102と第2のデバイスとの間の通信的な接続の確立を検出した時点で、記憶したフィールドデバイス識別情報を自動的に分配することを含む。例えば、スマートフィールドデバイス102とそのCHARM110aとの間に有線接続が確立されたことを検出した時点で、例えばフィールドデバイス識別情報をCHARM110aに自動的にプルすることによって、またはスマートフィールドデバイス102からフィールドデバイス識別情報を自動的にプッシュすることによって、フィールドデバイス102の識別情報が、スマートフィールドデバイス102からCHARM110aに自動的に分配される。
【0158】
いくつかのシナリオにおいて、フィールドデバイス102の識別情報を、該識別情報を記憶したコンポーネントから第2のデバイスに分配すること(ブロック468)は、フィールドデバイスにおいて行われるコミッショニングアクションが完了した時点で、記憶したフィールドデバイス識別情報を自動的に分配することを含む。例えば、スマートフィールドデバイス102において行われるコミッショニングアクションの完了の検出を受信した時点で(例えば、フィールドオペレータが、コミッショニングアクションの完了を電子的にサインオフする、またはフィールドコミッショニングツール135が、コミッショニングアクションの成功結果を自動的に記録する)、フィールドデバイス102の識別情報が、例えばフィールドデバイス識別情報をCHARM110aに対して自動的にプッシュまたはプルすることによって、スマートフィールドデバイス102からCHARM110aに自動的に分配される。
【0159】
随意のブロック470において、方法460は、第2のデバイスに記憶したフィールドデバイス102の識別情報(及びフィールドデバイスの識別情報と併せて記憶した任意の情報)を、プロセスプラント5のフィールド環境122内の第2のデバイスに通信的に接続された第3のデバイスに分配することを含む。典型的に、必ずしもそうではないが、フィールドデバイス102、第2のデバイス、及び第3のデバイスは、プロセス制御ループ100に含まれる。フィールドデバイス識別情報は、第2のデバイスから第3のデバイスに分配され(470)、よって、分配されたフィールドデバイス識別情報は、プロセス制御ループ100の別の一部分、例えばフィールドデバイス102、第2のデバイス、及び第3のデバイスを含むループ100の一部分をコミッショニングする際に使用することができる。典型的に、必ずしもそうではないが、第3のデバイスは、第2のデバイスの上流にあり、また、分配されたフィールドデバイス102の識別情報が書き込まれるか、また
は記憶されるオンボードメモリを含む。一実施例において、フィールドデバイス102の識別情報は、第2のデバイスと第3のデバイスとの間の通信的な接続の確立の第3の検出に応じて、第2のデバイスから第3のデバイスに自動的に分配することができる。別の実施例において、フィールドデバイス102の識別情報は、通信的に接続したフィールドデバイス102と第2のデバイスに対して行ったコミッショニングアクションの完了の指示を受信した時点で、第2のデバイスから第3のデバイスに自動的に分配される。
【0160】
随意のブロック472において、方法460は、フィールドデバイス102がI/O割り当て解除状態からI/O割り当て状態に変化したことを検出することを含み、ここで、I/O割り当て状態とは、フィールドデバイスが、特定のI/Oデバイス108を介して通信するように指定されていることを示す。フィールドデバイス102がI/O割り当て状態であることを検出した時点で、方法460のブロック472は、記憶したフィールドデバイス102の識別情報を、プロセスプラント5のバックエンド環境125に記憶したそれぞれのフィールドデバイス102の識別情報と同期させることを含む。例えば、フィールドデバイス102のそのそれぞれのコントローラ120への通信経路が、現在、指定された特定のI/Oデバイスを介しており、それによって、ループ100をバックエンド環境と通信的に接続するように定義されているので、フィールド環境122に記憶したフィールドデバイス102の識別情報を、該通信経路を介して、プロセスプラント5のバックエンド環境125に知られているフィールドデバイス102の識別情報と同期させることができる。同期中に不一致が発見された場合は、オペレータワークステーション71、コミッショニングツール135、138、及び/またはいくつかの他のオペレータインターフェースにおいて警告を生成し、提示することができる。加えて、または代替的に、不一致を緩和するステップを自動的にとることができる。同期化プロセスのこれらの及び他の態様は、後に続く本開示の節においてさらに詳細に説明される。
【0161】
加えて、上で述べたように、様々な構成及びコミッショニングアクティビティを、フィールドデバイス122において行う、上で説明したコミッショニングアクティビティの少なくともいくつかと同時に、または並行してバックエンドシステム125において開始し、行うことができる。このバックエンドシステム125の並行のコミッショニングは、例えば、フィールド設備がコントローラもしくは他のバックエンドシステムのデバイスに設置される、もしくは接続される前に、ならびに/またはI/Oカード及び/もしくはチャネルがフィールド設備をコントローラに接続し、バックエンド装置が指定される、構成される、もしくは割り当てられる前に、(最終的には、コントローラに、またはバックエンドシステムのコンピュータデバイスのうちの1つに実装される)制御ルーチン、通信ルーチン、シミュレーションルーチン、ユーザインターフェイスルーチンなどを開発し、試験することを可能にする。
【0162】
全般的に言えば、プラントのコミッショニングプロセス中に、プラントのオンライン動作中に走らせるまたは実行する様々なアプリケーション及びモジュールを、作成する、構成する、及びコミッショニングすることが必要である。そのようなアプリケーションまたはモジュールとしては、例えば、制御モジュール(例えば、プラントコントローラまたはフィールドデバイスに実装される制御ルーチン)、安全システムモジュール(例えば、プラントにおいて安全論理ソルバー内の安全システム機能またはSIS機能を実行する、安全システム論理モジュール)、制御及び安全アプリケーションインタフェース(バックエンド環境125内の様々なユーザインターフェースデバイスにおいて実行して、プラントの動作中に、制御及び安全オペレータを制御及び安全システムとインターフェースすることを可能にする)、通信モジュール(他のモジュール及びデバイスが、フィールド環境122内のデバイスと通信することを可能にする)、資産管理モジュール及びアプリケーション(保守人員が使用して、プラント内のフィールド設備と通信し、フィールド設備を追跡、修理し、また、いくつかの事例では制御する)、シミュレーションモジュール(シミ
ュレーション環境において、制御モジュール及びユーザインターフェースモジュールなどの様々な他のモジュール及びアプリケーションを実行して、これらのモジュールの動作の試験、ユーザの訓練などを行う)、データベースモジュール(プラント設備からデータを収集し、記憶する)、分析モジュール(プラントからのデータに対して解析を行う)、などが挙げられる。当然ながら、多くの他のタイプのモジュール、アプリケーション、及びユーザインターフェースプログラムを他の目的のために作成することができ、また、プラントのコミッショニング中に試験することができる。
【0163】
重要なことに、これらのモジュール、アプリケーション、ユーザインターフェースプログラムなどは、典型的に、プラント内の様々なフィールドデバイス及び他のフィールド設備と通信するが、そうするためには、一般に、特定のフィールドデバイスにどのように到達するのか(すなわち、フィールドデバイスと通信するために使用するI/O通信経路)を知るための十分な情報によって構成しなければならず、また、一般に、デバイス自体と互換性のある様態でフィールドデバイスと通信するようにプログラムしなければならない。すなわち、バックエンド環境125内のモジュール、アプリケーション、またはユーザインターフェースプログラムなどは、デバイスがプラントフィールド環境122内で接続されているときに、デバイスと適切に通信できるようにするために、デバイスのタイプ及びデバイスの能力(例えば、どのような通信または設計プロトコルがデバイスに準拠するか、どのような情報をデバイスから入手することができるか、どのようなアクションまたはデータ要求をデバイスに送信することができるか、どのような限度または範囲をデバイスが有するか、どのような信号をデバイスから入手することができるか、またはデバイスによって作成することができるか、など)を知っていなければならない。過去において、この構成及びコミッショニング情報は、プロセス制御システムにおいてデバイス(またはデバイスと関連付けられた特定の信号)を一意的に定義し、また、構成したI/Oネットワークを介して、モジュール、アプリケーション、またはプログラムがデバイスと通信することを可能にする、デバイスのシステムタグを使用して、モジュール、アプリケーション、ユーザインターフェースプログラムなどに提供されていた。加えて、通信経路は、デバイスのシステムタグと関連付けられており、この通信経路は、フィールドデバイスに到達するためにトラバースすることが必要であるプラントのI/Oネットワークを通して経路を定義していた。この通信経路情報は、典型的に、モジュール、アプリケーション、プログラムなどに記憶され、またはバックエンドシステム125の構成データベースに記憶され、デバイスのシステムタグに基づいて必要なときにモジュール、アプリケーションプログラムなどに提供されていた。モジュール、アプリケーション、またはユーザインターフェースプログラムは、次いで、デバイスのシステムタグ及び/または通信経路情報を使用して、設置し、割り当てたI/Oネットワークを介して、フィールドデバイスと通信していた。しかしながら、全般的に言えば、フィールド設備のシステムタグ及び/または通信経路情報は、フィールド設備がフィールド環境122内に接続され、I/Oネットワークが(例えば、プロセスコントローラを介して)フィールド設備をバックエンドシステム125に実際に接続するように構成されるまで、これらのモジュール、アプリケーション、及びユーザインターフェースプログラムが利用できなかった(利用できたとしても、通信には使用できなかった)。さらに、システムタグ及び/または通信経路情報は、フィールド設備が設置され、プラント内のI/Oネットワークのうちの特定の1つを介して割り当てられたときに、フィールド設備と通信するためにだけしか使用することができない。そのため、所望のまたは適切なフィールドデバイスと実際に通信するように適切に構成された、これらのモジュール、アプリケーション、及びプログラムを試験することができなかったので、バックエンドモジュール、アプリケーション、及びプログラムは、フィールド設備がプラントに接続され、かつI/Oネットワークが構成され、割り当てられる前に、適切な動作について完全に試験することができなかった。具体的には、これらのモジュール、アプリケーション、及びプログラムを試験して、これらのエンティティが正しいフィールドデバイスまたは他のフィールド設備と通信するように構成されたこと、該エンテ
ィティが特定のデバイスとどのように通信するのかに関して正しい構成情報を含んでいること、モジュール、アプリケーション、またはプログラムによって必要とされる情報または能力をデバイスが有しているかどうかを判定すること、などを確認することができなかった、または少なくとも極めて困難であった。このI/O接続要件は、それによって、コミッショニングの早期の段階中に、すなわち、I/Oネットワークが構成され、プラントのフィールドデバイスがI/Oネットワークの特定のカード及び/またはチャネルに割り当てられる前に、バックエンド環境125内で走らせる様々なモジュール、アプリケーション、及びプログラムを完全に開発し、試験することを困難にしていた。
【0164】
図7Aは、フィールド設備がプラント内の様々なI/Oネットワークカード及び/またはチャネルに接続される、及び/または割り当てられる前に、バックエンドシステムを(少なくとも部分的に)作成すること、試験すること、構成すること、及びコミッショニングすることを可能にするハードウェア及びソフトウェアエンティティを含む、例示的なバックエンドシステム700を例示する。バックエンドシステム700は、例えば
図1、
図2A、及び2C実施形態を含む、前の実施形態のバックエンドシステム125のうちのいずれかとして使用されることができる。いくつかの事例では、
図7A〜7Cにおいて、同じコンポーネントは、前の図と同じように番号付けされる。
【0165】
より具体的には、
図7Aに例示されるように、バックエンドシステム700は、制御システム710、資産管理システム(AMS)712、及びシミュレーションシステム714として表される、典型的な制御、保守、及びシミュレーションシステムを含むことができる。簡潔にするために単一のブロックとして例示される制御システム710は、
図1の様々な異なる処理デバイス、ユーザワークステーション、サーバ、及びデータベースなどの、同じまたは異なる制御システム処理デバイスにおいて記憶され、実行される、多くの異なる制御アプリケーション及びデータベースを含むことができる。より具体的には、制御システム710は、(
図7Aにモジュール710Bで例示される)様々な制御モジュールを作成し、ユーザインターフェースアプリケーション及び他の制御プログラムを制御するために使用することができる、1つ以上の制御システム設計アプリケーション710Aを含むことができる。最終的に1つ以上のプロセスコントローラまたは安全システム論理デバイスにおいて記憶し、実行することができる制御モジュール710Bは、制御論理を行って制御アクションを実装すること、安全システム論理を行って安全論理を実装することなどを行うことができる。ユーザインターフェースなどを有するワークステーションなどの1つ以上のバックエンドシステムコンピュータデバイスにおいて実行することができる制御ユーザインターフェースアプリケーションは、制御エンジニア、制御オペレータ、他の人員が、プラント内の様々な制御に基づくアクティビティを行うことを可能にすることができる。またさらに、制御アプリケーション710Aを使用して、プロセスプラントからデータを収集し、そのデータをデータベースに記憶するデータベースモジュール、プラントからのデータに対して解析を行う解析モジュールなどを作成することができる。作成されると、そのような制御モジュール、ルーチン、アプリケーション、及びプログラム710Bは、プロセスプラントのランタイム中に、制御システムのコントローラ、I/Oデバイス、フィールドデバイス、データベース、ユーザインターフェースデバイス、サーバ、処理デバイスなどのそれぞれにおいてダウンロードし、実行することができる。さらに、作成した制御モジュール(例えば、様々な相互接続した機能ブロックで構成することができる)、安全計装モジュール、ユーザインターフェースモジュール、通信モジュール、分析モジュール、データベースモジュールなどは、構成データベース716に記憶することができる。ある時点で、これらの制御モジュール、プログラム、インターフェースなどもまた、コミッショニングプロセス中に、プロセスコントローラ、ワークステーション、ユーザインターフェースデバイス、データベース、サーバなどの、様々なコンピュータ処理デバイスにダウンロードし、設置することができる。
【0166】
同様に、資産管理システム(AMS)712は、様々な保守システム作成及び構成アプリケーション712Aを含むことができ、該アプリケーションを使用して、保守システムオブジェクト、ユーザインターフェース、データベースオブジェクト、または他のアプリケーションもしくはモジュール712Bを作成し、これらは、プラント内の様々なデバイスにおいて記憶し、実行して、ユーザワークステーションデバイス、ハンドヘルドデバイス、ポータブルコンピューティングデバイスなどを含む、プラントにおける保守アクティビティを行うことができる。モジュール、オブジェクト、プログラム、及びアプリケーション712Bは、他の保守システムコンポーネントによって、またはそれと併せて走らせることができ、また、バックエンドシステムデバイス、プロセスプラント内で移動させることができるハンドヘルドまたはポータブルデバイスなどの、様々なプラットフォームまたはデバイス上で走らせることができる。さらに、これらのモジュール、アプリケーション、プログラム、インターフェースなどを使用して、プラントの制御システム及び安全計装システム内のデバイス上を含む、プロセスまたは工業プラント内のデバイス上で、任意の所望のまたは既知のタイプの保守アクティビティを行うことができる。
図7Aに例示されるように、AMSシステム712のコンポーネントは、プラントの動作中に、構成データデータベース716に接続することができ、該構成データベースに情報を記憶し、そこから情報を受信することができ、また、構成データベース716内のデータ、オブジェクト、または他の情報を更新または変更するように動作することができる。
【0167】
またさらに、
図7Aのバックエンド環境700は、様々なアプリケーション714Aを含むことができるシミュレーション及び試験システム714を含むように例示され、該アプリケーションを使用して、制御システム710内のアプリケーション710A及び712A、ならびにAMS712を使用して開発した、及び/または構成データベース716に記憶した、制御モジュール710B、安全モジュール710B、通信モジュール710B、資産管理システムモジュール712B、ユーザインターフェースアプリケーション710B及び712Bなどのそれぞれを試験することができる。いくつかの事例では、シミュレーションシステムアプリケーション714Aを使用して、オペレータ、ユーザ、保守人員などを訓練するために他のモジュール及びアプリケーション710B及び712Bのそれぞれを走らせるためのシミュレーション環境を作成することができる。いくつかの事例では、シミュレーションシステムアプリケーション714Aを使用して、プラント内の特定のタイプの問題、条件、アクション等をシミュレーションするシミュレーションシナリオまたはモジュール714Bを作成することができ、これらのモジュール714Bは、その動作中に、プラント内の様々なデバイスと通信することが必要であり得る。
【0168】
同様に、
図7Aに例示されるように、バックエンド環境700は、一組のデバイスプレースホルダーオブジェクト732を記憶する資産オブジェクトシステムデータベース730、及びプラントコミッショニング人員がプラント内でコミッショニングアクティビティを行うことを可能にまたは支援する、本明細書で説明されるコミッショニングアプリケーション等の、1つ以上の構成/コミッショニングアプリケーション738を含む。コミッショニングアプリケーション738は、
図1〜
図4に関して上で説明したミッショニングアプリケーション340またはコミッショニングデバイス138と同じまたは類似するものとすることができ、また、上で説明したように、これらのアプリケーションの様々な機能を行うことができる。しかしながら、この事例において、コミッショニングアプリケーションまたはデバイス738は、バックエンド環境700において動作して、バックエンド環境700内のデータ、ソフトウェア、モジュール、及びデバイスに対してコミッショニングアクティビティを行う。さらに、多くの事例において、アプリケーション738は、バックエンド環境700が(
図2A及び2Cの)フィールド環境122内のフィールド設備に通信的に接続される前に、及び/またはフィールド環境122内のフィールド設備をバックエンド環境700内のコントローラまたは他の設備に接続するI/Oネットワークが割り当てられる、または構成される前に動作させることができる。
【0169】
バックエンド環境700がフィールド設備に通信的に接続される前に、またはI/Oネットワークがバックエンド環境からフィールド設備への通信経路を提供するように構成される前に、コミッショニングアクティビティをバックエンド環境700のソフトウェハ及びハードウェアコンポーネントに対して行うことを可能にするために、バックエンド環境700は、
図7Aに例示されるように、制御システム710、AMS712、シミュレーションシステム714、コミッショニングアプリケーション738、ならびに構成データベース716に接続される、資産オブジェクトシステム730を含む。いくつかの事例において、資産オブジェクトシステム730は、構成データベース716の一部とすることができる。重要なことに、資産オブジェクトシステム730は、その中に様々なデバイスプレースホルダーオブジェクト732を記憶し、また一般に、フィールド環境内のフィールド設備の各部分(例えば、各フィールドデバイス)のためのそのようなデバイスプレースホルダーオブジェクト732を記憶する。フィールドデバイスまたはハードウェアの他の部分のためのデバイスプレースホルダーオブジェクト732は、一般に、デバイスタグ(DT)プレースホルダーオブジェクトとして示される。加えて、資産オブジェクトシステム730は、デバイスの異なる信号またはアドレス指定可能なパラメータ毎にデバイスプレースホルダーオブジェクトを記憶することができ、これらのデバイスプレースホルダーオブジェクト732は、一般に、デバイス信号タグ(DST)オブジェクトとして示される。DSTオブジェクト732は、デバイス信号タグがルートタグとして対応するデバイスのデバイスタグと同じデバイスタグを使用することができ、その中に追加的な、または他の情報が含まれる。したがって、DSTオブジェクトのデバイスタグは、例えば、信号が属するDTオブジェクトのデバイスタグとすることができ、追加的な信号タグ情報がそれに連結される。
【0170】
デバイスプレースホルダーオブジェクト732は、一般に、上の
図4Aに関して説明したデバイスプレースホルダーオブジェクト300と同じまたは類似し、全般的に言えば、デバイスプレースホルダーオブジェクト732は、上で説明したフィールド設備環境122において作成したように、同じデバイス(及び適切な場合には、デバイス信号)の各々について作成される。したがって、バックエンド環境700内のデバイスプレースホルダーオブジェクト732は、フィールド設備環境122内のデバイスプレースホルダーオブジェクト300について説明したものと同じフォーマット及び同じタイプの情報がその中に記憶される。しかしながら、資産オブジェクトシステム730内のデバイスプレースホルダーオブジェクト732は、フィールド設備デバイスプレースホルダーオブジェクト300とは別に作成され、また、バックエンド環境700に記憶されて、フィールド環境122がバックエンド環境700に通信的に接続される前に、ならびに/またはI/Oネットワークがフィールド設備をプラントのI/Oネットワーク内の特定のカード及び/もしくはチャネルに割り当てるように構成される前に、フィールド環境122内のフィールド設備またはフィールドデバイスのそれぞれを説明または定義することに留意されたい。さらに、所望される場合に、デバイスプレースホルダーオブジェクト732(またはそのインスタンス)は、定義、パラメータ、I/Oデバイスタイプなどであり得るI/OチャネルプロパティなどのI/O通信チャネル情報を記憶することができ、これを使用して、フィールドデバイスを、バックエンド環境700内のプロセスコントローラなどのバックエンド環境700に通信的に接続する。
【0171】
具体的には、構成及びコミッショニングアプリケーション738を使用して、
図4Aに関して上で説明した様態で、デバイスプレースホルダーオブジェクト732(そのうちの2つは、デバイスプレースホルダーオブジェクトDT732m及びDST732nとして例示される)を作成することができる。しかしながら、ここでも、コミッショニングアプリケーション738は、デバイスプレースホルダーオブジェクト732を作成することができ、また、例えばフィールド設備環境122内の下流のフィールドデバイス102及び
I/Oデバイス105、108に記憶される、
図4Aに関して説明したデバイスプレースホルダーオブジェクト300とは独立に、これらのオブジェクト732を資産オブジェクトデータベースまたはシステム730に保存することができることに留意されたい。当然ながら、コミッショニングアプリケーション738は、
図4Aに関して説明したものと同じ一組の構成規則、予め定義されたデータフォーマットなどを使用して、フィールド設備環境122について説明したものと本質的に同じ様態で、デバイスプレースホルダーオブジェクト732を作成することができる。
【0172】
したがって、例えば、コミッショニングアプリケーション738は、(例えば、構成データベース716などのデータベースからの)フィールドデバイスの各々のソースタグに関する情報を含む、様々な目的でプラントにおいて使用されるフィールドデバイス及び/または他のフィールド設備のリストを取得することができ、また、そのようなフィールドデバイスの各々について、及び/またはそのようなフィールドデバイスの各々の信号について、デバイスプレースホルダーオブジェクト732を作成することができる。いくつかの事例において、アプリケーション738は、そのようなデバイスの各々について、デバイスプレースホルダー732を自動的に作成することができ、他の事例において、ユーザは、フィールドデバイス及び他のフィールド設備について、デバイスプレースホルダーオブジェクト732を個々に作成することができる。これらの事例のいずれかにおいて、コミッショニングアプリケーション738は、例えば、(
図3Aに関して上で説明した)ソースタグ−システムタグ変換アプリケーションまたはシステム200をコールすること、またはそこにアクセスすることができ、該システムは、(同じく
図3Aに関して上で説明した)一組の構文解析規則210を使用して、デバイスソースタグ(複数可)をデバイスシステムタグ(複数可)に変換する。コミッショニングアプリケーション738は、次いで、フィールドデバイスまたは他のフィールド設備のソースタグ及び/またはシステムタグのいずれかまたは両方を、特定のフィールドデバイス(DTオブジェクト)について、または特定のフィールドデバイス信号(DSTオブジェクト)について、デバイスプレースホルダーオブジェクト732に記憶することができる。一実施例として、コミッショニングアプリケーション738は、特定のプロセス制御デバイスの一意の識別子を取得することによって、特定のプロセス制御デバイスのデバイスソースタグを取得することができ、一意の識別子は、HART通信プロトコル、WirelessHART通信プロトコル、Foundationフィールドバス通信プロトコル、または別の工業通信プロトコルに従う。さらに、コミッショニングアプリケーション738は、プロセス制御デバイスの制御タグ、デバイスタグ、またはデバイス信号タグのうちの少なくとも1つを判定することによって、特定のプロセス制御デバイスを識別するシステムタグを判定することができ、及び/または上で説明したように、一組の構文解析規則に基づいて、システムタグを判定することができる。したがって、コミッショニングアプリケーション738は、ソースタグのトランケーション、ソースタグからの1つ以上の文字の削除、1つ以上の文字のソースタグへの追加、ソースタグに含まれる数字のうちの少なくともいくつかの組み合わせまたは操作、ソースタグの拡大もしくは縮小、またはソースタグをシステムタグに変換するための別の技術のうちの少なくとも1つに基づいて、システムタグを生成することができる。
【0173】
またさらに、コミッショニングアプリケーション738は、ユーザ、データベース(構成データベース716など)などから、フィールドデバイスに関するデバイスタイプ及び他のデバイス説明情報(例えば、
図4Aのフィールド308〜318のI/O抽象化デバイス定義情報、及び/または
図4Aのフィールド325〜338のデバイス構成及びプロパティ情報)を取得することができ、アプリケーション738は、この情報を使用して、プラントで使用されるフィールドデバイスまたは他のフィールド資産の各々について、デバイスプレースホルダーオブジェクト732の様々なフィールドをポピュレートすることができる。このプロセスの一部として、コミッショニングアプリケーション738を構成
すること、またはコミッショニングすることは、デバイスタイプまたはデバイスの他のより一般の情報に基づいて、各デバイスプレースホルダーオブジェクト732の様々な形態、サブフィールド、または可能なサブフィールドを定義する、予め定義されたI/O抽象化定義740にアクセスし、それによって、異なるデバイスプレースホルダーオブジェクト732の様々なフィールドまたはプロパティ、異なるデバイスプレースホルダーオブジェクト732の様々なフィールド/プロパティのコンテンツ、ならびにデバイスプレースホルダーオブジェクト732に関してなされる可能な構成及びコミッショニングアクティビティを定義することができる。いくつかの事例において、フィールドデバイスについてデバイスプレースホルダーオブジェクト732のインスタンスを構成することは、デバイスプレースホルダーオブジェクトの1つ以上の公開した、または隠されたプロパティのそれぞれの値を記憶することを含むことができ、それぞれの値は、フィールドデバイスを記述するそれぞれのカテゴリまたはタイプを示す。さらに、フィールドデバイスを記述するそれぞれのカテゴリまたはタイプを示すそれぞれの値を記憶することは、1つ以上の値を記憶することを含むことができ、1つ以上の値の各々は、それぞれ、例えば、I/Oインターフェースタイプ、デバイスタイプ、デバイスタイプの特徴、I/O構成タイプ、I/O構成パラメータタイプのプロパティ、またはI/O構成タイプのチャネルパラメータを示す。同様に、コミッショニングアプリケーション738または他のシステムは、フィールドデバイスのデバイスプレースホルダーオブジェクト732のインスタンスの第2のプロパティについて記憶した値に基づいて、フィールドデバイスのデバイスプレースホルダーオブジェクト732のインスタンスの第1のプロパティを公開すること、設定すること、構成すること、または記憶することができる。
【0174】
上で述べたように、デバイスプレースホルダーオブジェクト732はまた、関連付けられたI/Oチャネルについて(またはそれを定義する)、パラメータ、定義、タイプ、構成情報などのプロパティも記憶することができ、該I/Oチャネルを使用して、I/Oチャネルの場所(例えば、I/Oチャネルのデバイス及び通信経路)が知られる、または設定される前であっても、プラント内のI/Oネットワークを通して、関連付けられたフィールドデバイスを通信的に接続する。デバイスプレースホルダーオブジェクトに記憶したこのフィールドデバイスのI/Oチャネル情報は、このプレースホルダーオブジェクトを特定のI/Oチャネルに対して指定することなく、コミッショニングシステムに、デバイスプレースホルダーオブジェクト(またはそのインスタンス)を構成する、使用する、及び試験する能力を提供する。この構成情報はまた、コミッショニングシステムが、フィールドデバイスと通信するために作成された他のオブジェクトを試験することも可能にして、これらの他のオブジェクトが、適切なI/Oのチャネル、タイプ、デバイスなどを介してフィールドデバイスと通信するように適切に構成されることを確実にする。
【0175】
またさらに、コミッショニングアプリケーション738は、ユーザが、デバイスプレースホルダーオブジェクト732に基づいて、またはそれを使用して、バックエンド環境700内の様々な中間コミッショニングアクションをとることを可能にすることができる。具体的には、情報が、デバイスプレースホルダーオブジェクト732に記憶され、これらのオブジェクトが属するフィールドデバイスまたはフィールド資産のタイプ及び性質、ならびにフィールドデバイスに到達するために使用されるI/Oチャネルプロパティを定義するので、フィールド環境122内の実際のフィールドデバイスまたは他のフィールド資産のプロキシとしてこれらのデバイスプレースホルダーオブジェクト732を使用して、ますます多くのコミッショニングアクティビティ及び試験アクティビティを、バックエンド環境700内の他のオブジェクトに対して行うことができる。例えば、プラント内で使用される様々なフィールドデバイスが、様々なデバイスプレースホルダーオブジェクト732によって定義され、これらのデバイスプレースホルダーオブジェクト732が、関連付けられたフィールドデバイスがI/O割り当て解除状態であることを示すときに、制御システム710及び、具体的には、制御モジュール作成または試験アプリケーション71
0Aのうちの1つ以上は、例えばデバイスのシステムタグを使用して、(あたかも、デバイスプレースホルダーオブジェクト732が、プラント内の実際のフィールドデバイスであるかのように)これらのデバイスプレースホルダーオブジェクト732と接続または通信することができ、これらのアプリケーション710Aは、次いで、プラントの動作中にモジュール、アプリケーション、またはプログラムを接続するフィールドデバイスとの通信に関する適切な構成及び動作について、作成したモジュール、アプリケーション、及びプログラムの動作を試験することができる。したがって、1つの事例において、コミッショニングアプリケーションもしくはユニット738、またはそれらと関連付けられた実行エンジンもしくは通信インターフェースは、記憶したデバイスプレースホルダーオブジェクト732のうちの1つから取得され、本明細書においてデバイスプレースホルダーオブジェクト732のインスタンスとも称される、複数のフィールドデバイスのうちの1つの構成情報に基づいて、複数のフィールドデバイスのうちの1つに関して試験されている、モジュール、アプリケーション、プログラムなどによって開始された通信が適切であるかどうか(例えば、正しいフォーマット、構文、デバイス、または信号タグなどを有するか、実際にデバイスから入手できる情報を要求しているか、デバイスの能力の範囲内である、またはサポートされた通信であるメッセージであるか、適切なタイプのI/Oチャネルまたはデバイスを介して送信されるように構成されているか、など)を判定する。類似する様態で、保守及びシミュレーション作成アプリケーション712A及び714Aは、同じ様態でプレースホルダーオブジェクト732を使用して、様々なモジュール、オブジェクト、アプリケーション、及びプログラム712B及び714Bを作成すること、構成すること、及び試験することができる。
【0176】
したがって、プラント内のフィールドデバイスのうちの1つ以上に対して信号を送信する、または信号を受信することを必要とする、またはそれが関係する、作成したオブジェクト、モジュール、アプリケーション、及びプログラム710B、712B、714Bは、(フィールドデバイスのシステムタグを使用して、フィールドデバイスの固有の信号またはパラメータを指す)フィールドデバイスのシステムタグまたはデバイス信号タグを使用して、制御システム構成アプリケーション710Aにおいて、保守システム構成アプリケーション712Aにおいて、及びシミュレーションシステム作成アプリケーション714Bにおいて(典型的には)作成することができる。次いで、ユーザは、制御、保守、及びシミュレーションシステムアプリケーション710A、712A、714A、またはスタンドアロンのシミュレーションまたは構成アプリケーションを使用して、モジュール、オブジェクト、アプリケーション、及びプログラム710B、712B、714Bを構成し、実行することができ、これらは、実行中に、デバイスシステムタグ(及び/またはデバイスシステムタグに基づくデバイス信号タグ)をして、参照したデバイスまたはデバイス信号について、デバイスプレースホルダーオブジェクト732を資産オブジェクトシステム730に位置付ける。資産オブジェクトシステム730に記憶したデバイスプレースホルダーオブジェクト732がI/O割り当て解除状態であることを示したとき、制御システム710、保守システム712、シミュレーションシステム714、またはその他のシミュレーションもしくは試験エンジンは、実際のフィールドデバイスが、制御システムI/Oコミュニケーションネットワークを介して、バックエンドシステム700に接続されていないことを認識する。しかしながら、これらの事例において、デバイスプレースホルダーオブジェクト732は、それでも、呼び出しモジュール、アプリケーション、またはプログラムによって必要とされる、または参照されるデバイス(及び/またはI/Oネットワークを介してデバイスに到達するために必要とされるI/O経路またはチャネル)に関する情報を記憶することができ、よって、デバイスプレースホルダーオブジェクト732は、デバイスプレースホルダーオブジェクト732内に記憶した構成データに基づいて、応答を提供して、または応答を提供するために使用して、デバイスの動作または実際のデバイスの応答を模倣することができ、またはアドレッシングされているデバイスに関して記憶したデバイス及びI/Oチャネル情報に基づいて、呼び出しが適切に構成された
かどうかを示すことができる。他の事例において、デバイスプレースホルダーオブジェクト732からデバイスがI/O割り当て解除のデバイス状態であることを認識した時点で、例えば資産オブジェクトシステム730内の、コミッショニングアプリケーション738、制御アプリケーション710A、保守アプリケーション712A、シミュレーションアプリケーション714A、または別個の検索エンジンは、デバイスからのシミュレーションした応答を作成して、既知の信号を要求側オブジェクトに戻し、あたかもデバイスが、制御システムのI/Oネットワークを介して、実際にバックエンド環境700に接続されているかのように、要求側オブジェクトを試験し、シミュレーションすることを可能にすることができる。
【0177】
図7Bは、バスまたは通信ネットワーク760を介して共に相互接続された
図7Aの様々なバックエンド機能システムを有する、バックエンドシステム700を例示し、具体的には、通信バス760に接続された制御システム710、資産管理システム712、シミュレーションシステム、構成データベース716、構成/コミッショニングユーティリティアプリケーション738、及び資産オブジェクトシステムデータベース730を含み、該通信バスは、有線または無線イーサネット接続などの任意のタイプの通信ネットワークとすることができる。加えて、1つ以上のコントローラ762が、バス760に接続されているように例示される。コントローラ762は、
図7Bにおいて、I/Oネットワーク763を通して、様々なフィールドデバイスまたはフィールド資産764に接続されているように例示される。しかしながら、I/Oネットワーク763は、コミッショニングプロセス中にコントローラ762に接続することができず、またはI/Oネットワーク763をコントローラ762に接続することができる間にI/Oネットワーク763を構成または割り当てることができず、それは、コントローラ762が、(I/Oネットワーク763を通した、そのようなフィールドデバイス764への信号経路が、まだ確立されていない、または割り当てられていないので)I/Oネットワーク763を介して特定のフィールドデバイスまたはフィールド資産763にどのようにアクセスするかについていかなる理解または指示も有することができないことを意味するか、またはフィールドデバイス764がI/Oネットワーク763にまだ物理的に接続することができないので、コントローラ762が、構成した信号経路を介して、フィールドデバイスと通信することができないことを意味することに留意されたい。したがって、
図7BにはI/Oネットワーク763及びフィールドデバイス764が例示されているが、コミッショニングアクティビティのうちのいくつかがバックエンドシステム700において生じている間は、I/Oネットワーク763を実際にコントローラ762に接続することができず、及び/またはフィールドデバイス764のそれぞれをI/Oネットワーク763に接続することができない。
【0178】
加えて、
図7Bに例示されるように、様々なシステム710、712、及び714は、制御アプリケーションまたは制御モジュール作成アプリケーション710A、保守オブジェクトまたはインターフェース作成アプリケーション712A、及びシミュレーションシステムアプリケーション714Aなどの構成アプリケーションを含み、これらは、プラントのコミッショニング中に使用することができ、またはこれらを使用して、モジュール、オブジェクト、アプリケーション、及び/またはユーザインターフェースプログラム710B、712B、714Bのそれぞれを作成することができ、これらは、
図1に示されるもののいずれかなどの、バックエンドネットワーク700内の様々なコンピューティングデバイスのいずれかにダウンロードされ、潜在的に走らされ、またはこれらは、プラントがオンラインで動作しているとき、すなわち、プラントがコミッショニングされた後に、プラントの動作中に実行するために、コントローラ762(または図示しない、安全システム論理ソルバー)のうちの1つに提供することができる。さらに、デバイスプレースホルダーオブジェクト732を使用して、これらの他のタイプのオブジェクト、モジュール、プログラム、アプリケーションなども同様に試験することができる。またさらに、デバ
イスプレースホルダーオブジェクト732、特にその中に記憶した構成情報を使用することで、コミッショニングアプリケーション738などのコミッショニングシステムが、オブジェクト732の状態に基づいて、様々な異なるコミッショニングまたは構成アクションをとることを可能にすることができる。したがって、例えば、コミッショニングアプリケーション738は、最初に、1つ以上のモジュール、アプリケーション、プログラム、ユーザインターフェースなどを試験することを可能にすることができ、これらの試験に成功した場合には、これらのモジュール、アプリケーション、プログラム、ユーザインターフェースなどを、インスタンス化することを可能にすることができ、及び/またはプラントのオンライン動作中にこれらのモジュール、アプリケーション、プログラム、及びユーザインターフェースなどが実行される、様々なバックエンド環境のデバイスにダウンロードすることを可能にすることができる。そのようなインスタンス化を行って、モジュール、アプリケーション、プログラム、ユーザインターフェースなどが、通信の目的でフィールドデバイスのシステムタグを使用することを可能にすることができる。さらに、モジュール、アプリケーション、プログラム、ユーザインターフェースなどは、実行するために、バックエンド環境内のプロセスコントローラ、ワークステーション(関連付けられたユーザインターフェースを有する)、データベース、サーバ、または任意の他のコンピューティングデバイスにダウンロードすることができる。さらに、モジュール、アプリケーション、プログラム、及びユーザインターフェースなどのインスタンス化及びダウンロードなどの、これらのさらなるコミッショニング及び構成アクションを、コミッショニングアプリケーション738が実行されるワークステーション、異なるワークステーション、構成データベース716などの、バックエンド環境700内の任意の所望のコンピューティングデバイスにおいて、またはそこから行うことができる。さらに、理解されるように、これらのさらなるまたは追加的なコミッショニングアクションは、フィールドデバイスのデバイスプレースホルダーオブジェクト732が、フィールドデバイスがI/O割り当て解除のデバイス状態(フィールドデバイスがI/Oネットワークを介してバックエンド環境700に接続されていないことを意味する)であることを示すとき、またはI/Oネットワークが、フィールドデバイスへの通信経路を提供する様態で割り当てられていないことを示すとき、または接続したフィールドデバイスへの、割り当てたI/Oネットワークを介したそのような通信が可能である場合であっても、コミッショニングアクションを行う人員などのユーザが実際のフィールドデバイスとの通信を使用することが好ましくないことを示すときに行うことができる。
【0179】
理解されるように、資産オブジェクトシステムまたはデータベース730は、フィールドデバイス資産764の各々について、デバイスプレースホルダーオブジェクト732を記憶し、したがって、これらのプレースホルダーオブジェクトがI/O割り当て解除状態であるときに、これらのオブジェクトに関する構成情報を他のシステム710、712、714に提供する。資産オブジェクトシステムデータベース730、具体的にはデバイスプレースホルダーオブジェクトの使用は、フィールドデバイス764がI/Oネットワーク763を通して様々なコントローラ762に実際に接続される、または割り当てられる前に、プログラム710A、712A、714Aなどの他のアプリケーションが、オブジェクト、モジュール、アプリケーション、及びプログラム710B、712B、714Bに対する様々なコミッショニング及び試験アクティビティを完了することを可能にする。上で述べたように、構成アプリケーション738は、プロセスプラントで使用されるフィールド資産の全てまたは群について、スプレッドシートなどから、デバイスタイプ、デバイス名、ロングもしくはソースタグ、I/Oチャネル情報などの、フィールド資産に関する様々な情報を含む、ユーザ入力を個々に、または一群の入力を受信するように動作することができ、構成及びコミッショニングアプリケーション738は、次いで、様々なデバイスプレースホルダーオブジェクト732を作成し、及び/または様々な情報をその中に記入する。このプロセス中に、構成及びコミッショニングアプリケーション738は、上で説明したように、ソースタグ−システムタグ(また、ロングタグ−ショートタグとも呼
ばれる)変換器アプリケーション200、及び様々な変換規則210、ならびに様々なフィールドデバイスと関連付けられたI/O割り当てまたは抽象定義740を使用して、デバイスプレースホルダーオブジェクト732を作成する。
【0180】
デバイスプレースホルダーオブジェクト732が、例えば、デバイスタイプを判定すること、またはそれに基づくことができるデバイスシステムタグ、デバイスタイプ、及び様々なサブ情報(ユーザによって提供されるそのようなサブ情報を含む)などの情報によって、及び/またはフィールドデバイスと通信するために使用されるI/Oチャネルに関するI/Oチャネル情報によって、少なくともある程度構成されると、様々な他のアプリケーション710A、712A、714Aは、これらのデバイスプレースホルダーオブジェクト732を、実際のフィールドデバイスと、またはフィールドデバイス764内の信号と通信するためのプロキシとして使用することができる。したがって、デバイスプレースホルダーオブジェクト732は、実際のフィールドデバイス764のプロキシとしての役割を果たし、制御、保守、及びシミュレーションアプリケーション710A、712A、714Aなどの他のアプリケーションは、I/Oネットワーク763を介して実際のデバイスと通信しようとする代わりに、(システム、デバイス、またはデバイス信号タグを使用して)デバイスプレースホルダーオブジェクト732と通信することができる。この特徴は、フィールドデバイス764がI/Oネットワーク763を介して制御システムに接続され、割り当てられる前に、アプリケーション710A、712A、714Aが、それらのオンライン動作中に有する情報(すなわち、デバイスシステムタグ)だけを使用して、該アプリケーションによって作成したモジュールを試験して、試験、構成、シミュレーション、及び様々な他の通信アクティビティを行うことを可能にする。
【0181】
さらに、ますます多くの情報をデバイスプレースホルダーオブジェクト732内のフィールドデバイスに、またはそれに関して記憶するので、ますます多くの構成及びコミッショニングアクティビティをバックエンドシステム700において行うことができることに留意されたい。したがって、ある事例において、構成アプリケーション738は、デバイスプレースホルダーオブジェクトのそれぞれに情報を記入することができ、次いで、そうしたオブジェクトに対して他のアプリケーションがとる様々な異なる固有のコミッショニングまたは試験アクティビティを可能にすることができる。ますます多くの情報(例えば、I/Oチャネル情報、範囲、限度など)がデバイスプレースホルダーオブジェクトに記憶されるので、ますます多くのそのようなコミュニケーションアクティビティを可能にすること、または開始することができる。すなわち、固有のタイプの構成情報をデバイスプレースホルダーオブジェクト732に含むことは、ますます多くの固有のコミッショニングアクティビティを構成アプリケーション738によって開始することを可能にすることができる。さらに、いくつかの事例において、そのようなコミッショニングアクティビティは、1つ以上の制御モジュールもしくは他のアプリケーション、プログラム、ユーザインターフェースアプリケーションなどをインスタンス化すること、及び/またはインスタンス化したモジュール、プログラム、ユーザインターフェースアプリケーション、もしくは他のアプリケーションを、プラントの動作中にこれらのモジュール、プログラムなどを実行するプロセスコントローラ、ワークステーション、サーバ、または他のコンピューティングデバイスを処理することを含むことができる。
【0182】
バックエンドシステム700におけるコミッショニング及び試験アクティビティ中に、デバイスプレースホルダーオブジェクト732がバックエンドシステム700内の実際のフィールドデバイス764のプロキシとして作用するシステムまたは環境の1つの実施例が、
図7Cに関して例示される。より具体的には、
図7Cは、シミュレーションまたは試験システム770を例示し、該システムは、プラントのコミッショニング中に作成されている1つ以上の制御モジュール710Bの動作をシミュレーションまたは試験し、それによって、そうしたモジュールまたはオブジェクトがコントローラ762に(または制御モ
ジュールの試験を行う役割を果たすコントローラ762に接続される1つ以上のフィールドデバイス764に)ダウンロードされる前に、制御オブジェクトまたはモジュール710Bを試験することを可能にするために使用される、制御システム設計アプリケーション710Aのうちの1つと併せて動作させることができる。具体的には、
図7Cのシステム770は、通信リンクと相互接続した、一組の相互接続した機能ブロック772a、772b、772cで構成された制御モジュール710Bを実行し、試験するように例示され、制御モジュール710Bは、制御システム710の一部である。しかしながら、システム770はさらに、または代替的に、資産管理システム712及びシミュレーションシステム714などの、バックエンドシステム700内の他のシステムと関連付けられた他のモジュール、アプリケーション、プログラム、オブジェクトなどを実行し、試験することもできる。
【0183】
いずれにしても、システム770は、次に、制御モジュール710Bの機能ブロック772a〜772cの各々を実行し、通信リンクによって定義されるようにこれらの機能ブロック772a〜772c間の通信を提供する、実行エンジン780を含む。実行エンジン780は、アプリケーション710A、712A、714Aのうちのいずれか1つを実装するコンピュータ処理デバイスとすることができること、またはコミッショニングアプリケーション738を走らせる実行エンジン、コミッショニングの目的に設計された専用のシミュレーションまたは試験アプリケーション(シミュレーションアプリケーション714Aとは異なり得る)を走らせるプロセッサとすることができること、などに留意されたい。したがって、実行エンジン780は、制御システム710、資産管理システム712、シミュレーションシステム714などの一部とすることができ、または実行エンジン780は、プラントのフィールドデバイス764がプラント内のI/Oネットワークを介して接続または割り当てられる前にコミッショニングアプリケーション738によって呼び出されたときに、試験及びコミッショニングアクティビティを実装するように設計された、または試験することを専用とする、スタンドアロンのコンポーネントとすることができる。さらに、実行エンジン780は、実行エンジン780が資産オブジェクトシステムまたはデータベース730に通信的に結合されている限り、バックエンドシステム700内のどこか(任意の所望のコンピューティングデバイス)に実装することができる実行エンジン780がコミッショニングアプリケーション738と関連付けられている、またはそれによって実装されている場合、コミッショニングアプリケーション738は、例えば、制御モジュール710Bに対してコミッショニング試験を行って、構成したデバイス通信に関してこれらのモジュールの動作を試験することができる。この事例において、コミッショニングアプリケーション738は、これらのモジュールがコントローラ762のうちの1つにダウンロードされる前に、制御システム710(または他のシステム712、714)から、または構成データベース716から、試験される制御モジュール710B(または他のモジュール、アプリケーションなど、712A、714A)を取得することができる。
【0184】
いずれにしても、フィールドデバイスまたは他のフィールド資産との通信を必要とする特定の機能ブロック772の実行中に、実行エンジン780は、通信インターフェース782を呼び出して、または使用して、例えば(制御、保守、及びシミュレーションモジュールに共通である)フィールドデバイスのシステムタグを使用したフィールドデバイスとインターフェースする。この時点で、通信エンジン782は、フィールド環境内のフィールドデバイスに到達するために必要な通信経路(すなわち、I/Oネットワーク経路)を知らない。しかしながら、通信インターフェース782は、資産オブジェクトシステムデータベース730にアクセスし、試験されるモジュールによって提供されるフィールドデバイスのシステムタグまたはデバイス信号を使用して、特定のデバイスプレースホルダーオブジェクト732をフィールドデバイスの資産オブジェクトデータベース730に位置付ける。
【0185】
次に、通信インターフェース782は、デバイスプレースホルダーオブジェクト732から、関連付けられたフィールドデバイス(または他のフィールド資産)がI/O割り当て解除のデバイス状態であるか、I/O割り当てのデバイス状態であるかどうかを判定する。デバイスプレースホルダーオブジェクト732が、フィールドデバイスがI/O割り当てのデバイス状態である(フィールドデバイスへのI/O経路が構成され、指定されたことを意味する)ことを示す場合、通信インターフェース782は、デバイスプレースホルダーオブジェクトの他のフィールドから他の構成を取得することができる。具体的には、この事例において、インターフェース782は、要求することができ、デバイスプレースホルダーオブジェクト732は、デバイスに以前に割り当てられ、デバイスプレースホルダーオブジェクト732に記憶した、デバイスのI/O通信経路を返すことができ、通信インターフェース782は、この経路を使用して、フィールド環境内の実際のフィールドデバイスに対して信号を送信し、信号を受信し、すなわち、割り当てられたI/O通信経路を介してフィールドデバイスと通信する。いくつかの事例において、通信インターフェース782は、フィールドデバイスが取り付けられたI/Oネットワーク763に接続されたコントローラ762のうちの1つを介して、これらの通信を開始することができる。
【0186】
しかしながら、デバイスプレースホルダーオブジェクト732が、フィールドデバイスがI/O割り当て解除のデバイス状態であることを示す場合、通信インターフェース782は、デバイスの他の構成情報及び/またはデバイスのI/Oチャネルに再度アクセスして、要求された情報がデバイスプレースホルダーオブジェクト732に記憶されているかどうかを判定することができる。記憶されていた場合、通信インターフェース782は、所望のまたは必要な情報を取り出し、その情報を実行エンジン780に提供する。いくつかの事例において、デバイスプレースホルダーオブジェクト732は、デバイスタイプ、ソース(ロング)タグ、システム(ショート)タグ、デバイスの範囲、限度、能力などの、実際のフィールドデバイスと関連付けられた、またはそれを定義する構成情報を記憶することができる。要求された情報がデバイスプレースホルダーオブジェクト732に実際に記憶されている事例において、この情報は、あたかもそれがフィールドデバイス自体からのものであるかのように、デバイスプレースホルダーオブジェクト732から返すことができる。またさらに、いくつかの事例において、通信インターフェース782は、単に、制御モジュール710Bからの要求された通信が、プレースホルダーオブジェクト732と関連付けられたデバイスの適切なプロトコルもしくはデバイス構成、またはデバイスのI/Oチャネルに一致するかどうか、または準拠するかどうかを判定することができる。この判定は、コミッショニング人員が、デバイスプレースホルダーオブジェクト732内に記憶したデバイスタイプ、デバイス構成パラメータ、I/Oチャネル構成パラメータなどに基づいて、制御モジュール710Bが特定のデバイスと通信するように正しく構成されたかどうかを、判定することをさらに可能にする。
【0187】
しかしながら、要求されたデバイスデータ(またはデバイスパラメータ)がデバイスプレースホルダーオブジェクト732に記憶されていない(該要求されたデバイスデータがフィールドデバイスの実際の動作に基づいて、フィールドデバイスによって収集または生成された非構成データに関連し得る)他のインスタンスにおいて、通信インターフェース782は、フィールドデバイスのシミュレーションした応答を提供することができるシミュレーション応答ブロックまたはモジュール784にアクセスして、フィールドデバイスの動作をシミュレーションすることができる。シミュレーション応答ブロックまたはモジュール784は、コミッショニングプロセスに固有のものとすることができ、したがって、コミッショニングアプリケーション738の一部とすることができ、または所望に応じて、資産オブジェクトシステム730の一部として提供することができる。そのようなシミュレーションされた応答は、ユーザまたは試験システムによって提供することができ、
試験のために作成したシミュレーションファイルに記憶することができ、オンザフライで生成することができ、または他の様態で提供することができる。このシミュレーションされたデバイス応答(デバイス状態、デバイス測定、デバイスパラメータなどのシミュレーションされた値であり得る)は、この値があたかもフィールドデバイス自体に返された値または信号であるかのように、実行エンジン780に提供される。このシミュレーションされた応答は、それによって、予め定義されたデバイス応答に基づいて、制御モジュール710Bをさらに試験することを可能にする。全般的に言えば、シミュレーションブロック784は、デバイスプレースホルダーオブジェクト732を、スマートオブジェクトのように見せること、または実際のデバイス応答を要求元モジュールに提供すること(すなわち、モジュールを試験すること)ができるように出現させることができる。しかしながら、通常の事例において、通信インターフェース782は、単に、シミュレーションブロック784を使用して、試験だけを目的とするいくつかの既知の様態でデバイスプレースホルダーオブジェクトによって定義されるデバイスの動作を模倣する。さらに、通信アプリケーション738または資産オブジェクトシステム730の一部とすることができる通信インターフェース782は、実際のデバイスまたはデバイスに接続するI/Oチャネルによって必要とされたときに、適切なフォーマット、コンテキスト、構文、I/Oアドレス指定、または他のI/O固有のパラメータなどについて、デバイスプレースホルダー732に記憶した構成データに対して、実行エンジン780によって試験されるモジュールからの通信要求を試験して、この要求が実際のデバイスに送信され、送信されたデバイスに到達した場合に、実際のプラントにおいて、通信要求がその意図する目的で機能することを確実にすることができる。当然ながら、例えばデバイスプレースホルダーオブジェクトの構成データが制御モジュール710Bからの要求に一致していない、または準拠していないので、これらの通信のいずれかにエラーが存在した場合、通信インターフェース782または実行エンジン780は、試験される機能ブロックまたはモジュール内に構成または他のタイプのエラーまたは問題があることを示す、エラー指示を生成することができる。そのようなエラー指示は、試験システムまたはコミッショニングアプリケーション738と関連付けられたユーザインターフェースを介して、ユーザに提供することができる。
【0188】
別の実施形態において、コミッショニングシステム770は、これらの制御モジュールを、プラントの動作中にこれらのモジュールを実際に実装するプロセスコントローラ762または他のコンピューティングデバイスにダウンロードし、次いで、これらのモジュールをプロセスコントローラにおいて実行してモジュールを試験することによって、制御モジュールなどのモジュールを試験するように動作させることができる。この事例において、コントローラ762のプロセッサは、
図7Cの実行エンジン780として動作することができる。しかしながら、通常はI/Oネットワーク763内のI/Oデバイスを介してフィールドデバイスに接続されるコントローラ762の出力は、コミッショニングアプリケーション738内などの、バックエンド環境700内の上流にある通信インターフェース782に(物理的または電子的に)接続することができる。典型的に、コントローラ762は、このシナリオにおいてベンチ試験を受けることができ、またはコントローラ762がプラントに設置されている場合、別個のシャント接続を、
図7Bのコントローラ762のフィールド側通信ポートからネットワーク760に、例えば、コミッショニングアプリケーション738を実行することができるハンドヘルドデバイスに提供することができる。したがって、この事例において、コントローラ762の通信ポートに面するシールド側は、バックエンド環境700にループバックさせて、通信インターフェース782に接続することができ、これは、コントローラ762の出力をとり、この出力を使用して、資産オブジェクトシステム730に記憶した適切なデバイスプレースホルダーオブジェクト732にアクセスする。次いで、インターフェース782は、上で説明したように(例えば、通信要求のシステムタグに基づいて)適切なデバイスプレースホルダーオブジェクト732を使用して、通信に対する構成、フォーマット、構文、I/Oチャネルプロパティ
などの試験を行うことができ、及び/またはシミュレーションオブジェクト784に係合して、シミュレーションしたデバイス応答を生成することができ、これは、あたかもこの応答がコントローラ762に接続された実際のフィールドデバイスからのものであるかのように、コントローラ762のフィールド側通信ポートに提供することができる。同様に、いくつかの構成エラーのため、通信にエラーまたは問題がある事例において、通信インターフェース782は、コミッショニングアプリケーション738に問題を知らせることができて、よって、ユーザにコミッショニングエラーを知らせることができる。当然ながら、他のタイプのモジュール、アプリケーション、プログラム、ユーザインターフェースなどを、バックエンド環境700内のワークステーション、データベース、サーバなどの他のコンピューティングデバイスにインスタンス化及びダウンロードし、また、同じ様態で試験することができる。
【0190】
デバイスプレースホルダーオブジェクト732が完全に記入または構成され(しかし、依然としてI/O割り当て解除のデバイス状態である)、他のコミッショニングアクティビティが行われたときに、例えば、アプリケーション710A、712A、714Aは、それらのデバイスプレースホルダーオブジェクト732を使用して、それらのモジュール、アプリケーション、オブジェクト、モデルなどのそれぞれを試験したときに、デバイスプレースホルダーオブジェクト732は、プラント内のフィールドデバイスの各々を一意的に定義するための十分な情報を含むことになる。次いで、コミッショニングプロセスの最終段階のうちの1つが、フィールドデバイス764及び他のフィールド設備をI/Oネットワーク763の特定の構成要素に割り当てる、または指定することによって、フィールド設備環境122内のフィールドデバイス764をバックエンドシステム700内のコントローラ762及び他の設備と結合させる。本明細書で「I/O結合」と称されるこの結合は、フィールドデバイス764がI/Oネットワークに物理的に接続された後に生じさせることができる。この結合プロセスの一部として、コミッショニングシステムは、(バックエンドシステム700において作成した)デバイスプレースホルダー732を、バックエンドシステム700内のコンポーネントが実際のフィールドデバイスと通信することを可能にするI/O通信経路を決定することに関係する実際のフィールドデバイスと一致させなければならず、逆もまた同じである。しかしながら、プラントネットワークのフィールド設備122側には、デバイスプレースホルダー300が、フィールドデバイス及び/またはフィールドデバイスと関連付けられた信号タグの各々について作成されていること、及びこれらのフィールド設備のデバイスプレースホルダーオブジェクト300が、I/Oネットワークデバイスのうちの1つの中、I/Oカードのうちの1つの中、フィールドデバイス自体の中などの、フィールド設備環境122の中の下流のどこかに記憶されることを覚えておくことが重要である。さらに、理論的には、コミッショニングアクティビティは、両側(バックエンド環境700及びフィールド設備環境122)のデバイスプレースホルダーオブジェクトを使用して、両側から行われているので、それぞれの対応する一対のプレースホルダーオブジェクト内の情報は、同じでなければならない(すなわち、特定のフィールドデバイスまたはフィールドデバイス信号について、2つのプレースホルダーオブジェクトに記憶した情報は、正確に互いに一致しなければならない)。換言すれば、フィールドデバイス自体に記憶した、及び場合によりフィールド環境内に作成したデバイスプレースホルダーオブジェクトに記憶したフィールドデバイス構成情報は、バックエンドシステム700内のデバイスプレースホルダーオブジェクト732内に記憶した構成情報に一致しなければならない。しかしながら、そのような条件は補償されておらず、よって、特定のフィールドデバイスまたはフィールドデバイス信号の2つのデバイスプレースホルダーオブジェクト(本明細書では、バックエンドデバイスプレースホルダーオブジェクト及びフィールド設備デバイスプレースホルダーオブジェクトと称される)の情報の間に不一致が存在する場合がある。プラントのバックエンドシステム700及びプラ
ントのフィールド環境122において別々に行われる様々なコミッショニングアクティビティが、異なるフィールドデバイス及びI/Oチャネル構成情報を使用して行われており、それが、動作上のエラーまたは問題につながり得るので、フィールドデバイスがI/Oネットワーク763に実際に結合され、その中に割り当てられたときに、この状況に対処する必要がある。
【0191】
図8は、プロセスプラントのコミッショニングを完了するために、I/O結合、例えばI/Oネットワーク763を通してフィールドデバイス764をコントローラ762及びバックエンドシステム700内の他のデバイスに結合させるシステム及び方法を例示する。全般的に言えば、結合ツール790は、
図7Bの通信ネットワーク760上のデバイス内などのバックエンドシステム700内のどこかに、及び/またはフィールドデバイス764のうちの1つ、I/Oネットワークデバイス763のうちの1つ、フィールドデバイス764のうちの1つもしくはI/Oネットワーク763内のI/Oネットワークデバイスのうちの1つに接続されたハンドヘルドもしくはポータブルデバイス791などの、フィールド設備環境内のどこかに記憶することができる。全般的に言えば、結合ツールまたはアプリケーションを使用して、プラントの、またはプラント内の特定のフィールドデバイスのコントローラ762への、及び
図2A及び2Cのバックエンドシステム125であり得る、バックエンドシステム700内の他のデバイスへの結合を開始するために使用することができる。
【0192】
より具体的には、
図8に例示されるように、バックエンドシステム700は、コンピュータ、データベースなどのそれぞれを含むことができ、
図7A〜7Cにおいて説明されるバックエンドシステム700内に記憶したブロック795として例示される。ブロック795内のデバイスは、様々なコントローラ762に接続され、これが次に、この時点で、割り当て解除されたI/Oネットワーク763を通して、フィールドデバイス764のそれぞれに接続される。具体的には、I/Oネットワーク763は、様々な標準的なI/Oデバイスもしくはカード及び端末、CHARMに基づくI/Oデバイスまたはモジュール、ならびに/または例えば
図2A及び2Cに関して例示し、説明した他のI/Oネットワークデバイスのいずれかを含むことができる。重要なことに、
図8に例示されるように、現在、フィールドデバイス764または他のフィールド資産の各々について、(構成したままの)フィールドデバイス自体に及び/もしくは各フィールドデバイスのデバイスプレースホルダーオブジェクトに記憶した構成情報、及び/またはプラント5のフィールド環境内に記憶したフィールドデバイスのデバイス信号、ならびにバックエンド環境700内のデバイスプレースホルダーオブジェクト732に記憶した構成情報を含む、二組の構成情報が存在する。具体的には、バックエンドシステム700において、資産オブジェクトデータベース730は、フィールドデバイス及び(より複雑なフィールドデバイスと関連付けられた)フィールド信号タグの各々について、デバイスプレースホルダーオブジェクト732BEを記憶し、一方で、フィールド設備122側において、(デバイスプレースホルダーとなる、またはならない場合がある)デバイス構成732FEは、フィールドデバイス及びフィールドデバイス信号の各々について、フィールドデバイス自体内に、またはI/Oネットワーク763のI/Oデバイス内のどこかに記憶される。留意されるように、バックエンドシステム700において作成されるデバイスプレースホルダーオブジェクトは、オブジェクト732BEと称され、フィールドデバイスについて作成され、フィールド設備環境122に記憶されるフィールドデバイス構成情報またはオブジェクトは、オブジェクト732FEと称される。
【0193】
I/O結合プロセス中に、結合アプリケーション790は、結合アクションを行って、I/Oネットワーク763を介して、バックエンドシステム700をフィールド設備764と結合させる。結合アプリケーション790は、バックエンドユーザインターフェースデバイス、コントローラ762、ネットワーク760に接続されたハンドヘルドデバイス
、またはコミッショニングアプリケーション738などの、バックエンドシステム700に接続されたデバイス内に実装することができ、または結合アプリケーション790は、フィールドデバイス764のうちの1つ、I/Oネットワーク763のI/Oネットワークデバイスのうちの1つ、またはフィールドデバイス764に、またはI/OカードもしくはI/Oネットワーク763の他の部分などのI/Oネットワーク763内のI/Oデバイスに接続することができるハンドヘルドもしくはポータブルデバイス791などの、フィールド設備環境内のデバイスに実装することができる。ポータブルで、典型的に着脱可能なこの接続は、
図8において破線で例示される。したがって、本明細書で説明される結合アクションは、フィールド設備122側またはバックエンド設備700側のいずれかから開始して、I/Oネットワーク763を通して、フィールド設備764のバックエンドシステム700への結合を行うことができる。
【0194】
さらに、結合アプリケーション790は、一度にプラントネットワーク全体について結合を行うことができ、または単一のデバイス、特定のI/Oカードもしくはネットワークに接続された一組のデバイス、特定のコントローラ762に接続された一組のデバイス、またはデバイスの任意の他の組み合わせなどの、プラントまたはプラントネットワークの限定された部分について結合を行うことができる。このアクションを行うために、結合アプリケーション790は、プラント内の全てのフィールドデバイスまたはフィールド設備のサブセットに対して生じる実際の結合を制限するために、ユーザまたはコミッショニング人員が、フィールドデバイス764及び/またはコントローラ762及び/またはI/Oネットワーク763内のI/Oデバイスのそれぞれに対して行う結合アクティビティを制限することを可能にする。これらの状況において既にネットワーク内に結合されている全ての他の影響を受けないフィールドデバイスを再結合させないようにするために、制限され、制御された結合は、例えば、新しいフィールドデバイス764が、既に結合された既存のI/Oネットワーク763に加えられるとき、新しいコントローラ762がプラントに加えられるとき、新しいもしくは異なるI/OデバイスがプラントのI/Oネットワーク763内の別のデバイスに加えられるとき、または置き換えられるときなどが好ましい。
【0195】
いずれにしても、結合中に、結合アプリケーション790は、フィールド設備側からバックエンドシステム700への上流に、またはバックエンドシステム700から(例えば、コントローラ762から)下流に接続されるデバイスを通して通信して、そのデバイスが接続されるデバイスを自動感知する。したがって、全般的に言えば、結合アプリケーション790は、第1のデバイスを検出することによって、I/Oネットワークを通して発見プロセスを行い、次いで、第1のデバイスに通信的に接続されたさらなるデバイスの各々を自動検出して、第1のデバイスを通したさらなるデバイスの各々の通信経路を判定し、そして、第1のデバイスに接続された全てのデバイスを見つけ出すまで、または結合アプリケーション790が結合しようとする特定のデバイスを見つけ出すまで、このプロセスを繰り返す。結合アプリケーション790は、任意の数のデバイスについてこの発見プロセスを繰り返すことができ、また、一方向または両方向に(例えば、コントローラ側からI/Oネットワークを通してフィールドデバイスまで下流に、またはフィールドデバイス側からI/Oネットワークを通してコントローラまで上流に)プロセスを行うことができる。さらに、この発見プロセスは、有線または無線デバイス接続、または両方を介して行うことができ、また、プラント内の接続したままのデバイス及びネットワークのデバイスまたは通信プロトコルの自動検出能力(プロトコル、コマンドなど)を使用することができる。
【0196】
具体的には、結合アプリケーション790がバックエンドシステム700から実装された場合、結合アプリケーション790は、
図8のコントローラ762Aを通して通信しようとし、そのコントローラ762Aに接続された全てのI/Oカードを自動感知すること
ができる。そのようなI/Oカードは、標準的なI/Oカードとすることができ、またはダムカードは、CHARM I/Oカードなどの構成可能なI/Oカードとすることができる(この通信は、
図8に概略的に例示されるように、有線I/Oネットワークまたは無線I/Oネットワークを介して行うことができる)。さらに、結合アプリケーション790は、これらのデバイスがコントローラ762Aに接続される、様々なポート、アドレスなどを含む、自動感知した、または検出したI/Oカードまたは他のI/O設備の各々を識別する「接続された」デバイスのリストを記憶する。その後に、結合アプリケーション790は、I/Oネットワーク763内の次のレベルのデバイスまで下って(または上って)、次のレベルのデバイスが接続され、また、これらのデバイスの各々及びそれらの構成したままの接続を自動感知することができる、特定のデバイス、ポート、アドレス、端子ブロックなどを検出することができる。したがって、特定のコントローラ762Aについて、結合アプリケーション790は、コントローラ762Aに接続された各I/Oカードを識別することができ、次いで、そうしたI/Oカードの各々の各端子ブロックに接続されたデバイスを自動感知することができる。スマートまたはCHARM I/Oカードの事例において、I/Oカードは、どのデバイスが、カードのどの端子に、またはカードの下のデバイスアドレスまたは信号経路に接続されているのかをコントローラ762Aに伝えることができる。例えば、
図1のシステムに例示されるような典型的なI/Oの事例において、結合アプリケーション790は、コントローラに、I/Oカードを通して通信させ、I/Oカードの特定のポートまたは端子ブロックを通した通信を提供させて、その端子ブロックに接続されたデバイスを自動感知することができる。その事例において、結合アプリケーション790は、フィールドデバイス、例えばI/OカードのI/Oポートの特定の端子ブロックに接続された他のフィールド資産を検出し、アプリケーション790は、次いで、フィールドデバイスに到達するために必要な信号経路を識別する。結合アプリケーション790は、次いで、フィールドデバイスと通信し、フィールドデバイスに、それ自体を識別し、その識別に関する情報を提供するように求める。他の事例において、結合アプリケーション790は、スマートまたはCHARM I/OカードなどのI/Oネットワークデバイスに到達することができ、これは、I/Oカードにおいてアプリケーション790に接続されるネットワークカード及び端子またはポートの下のデバイスの各々に関する情報を提供することができる。いずれにしても、アプリケーション790は、アプリケーション790が、I/O接続ポート、端子などを通して接続されたフィールドデバイスに関するいくつかの情報を見つけ出すレベルに達するまで、I/Oネットワーク要素及びサブ要素の各々のポート、端子、接続の各々を通して循環する。
【0197】
いくつかの事例において、結合アプリケーション790は、(I/Oデバイスに接続されたフィールドデバイスのフィールドデバイス構成情報、または実際のフィールドデバイス764に記憶した構成情報732FEを提供する、I/Oデバイスに記憶したデバイスプレースホルダーオブジェクト732FEなどの)1つ以上のフィールド側構成オブジェクトをその中に有するデバイスに到達したことを検出し、また、フィールドデバイスのシステムタグを、または構成オブジェクトもしくはファイルと関連付けられたフィールドデバイスの他の識別情報を要求する。フィールド設備側の構成オブジェクトまたは情報は、例えば資産のシステムタグによって、それらと関連付けられた、構成したままのフィールド資産を識別する。上で述べたように、フィールドデバイス構成情報は、フィールドデバイス自体に記憶することができ、または例えば実際のフィールドデバイスに記憶することができるフィールド設備のデバイスプレースホルダーオブジェクトに記憶することができ、またはI/OカードもしくはI/Oネットワーク内に記憶したデータベースに記憶することができる。いずれにしても、アプリケーション790が、デバイスプレースホルダーなどのそのようなフィールドデバイス構成情報を検出したときに、アプリケーション790は、データベース730に進んで、同じシステムタグまたはフィールドデバイスに対応する、対応するバックエンドシステムのデバイスプレースホルダーオブジェクトを見つけ出し、次いで、二組の構成情報に照合する。好ましい事例において、2つのデバイスプレ
ースホルダーオブジェクトは、正確に、少なくともより高いレベルで一致し、この時点で、結合アプリケーション790は、そのデバイスがバックエンドシステム700内のデバイスプレースホルダーオブジェクト732BEに(ならびにフィールドデバイス内、またはフィールド設備のデバイスプレースホルダーオブジェクト732FE内のフィールドデバイス構成情報に)到達するために必要なI/O経路接続情報を提供することができ、それによって、将来の両側からのそうしたデバイスとの直接通信を可能にする。加えて、この事例において、結合アプリケーション790は、フィールドデバイスのデバイスプレースホルダーオブジェクト(2つ存在する場合はどちらも)をI/O割り当てのデバイス状態に設定することができ、それは、実際のI/Oネットワーク接続経路情報が、デバイスプレースホルダーオブジェクト内に、またはフィールドデバイス構成自体内に記憶されていることを意味し、この通信経路情報は、デバイスプレースホルダーオブジェクトと通信する、またはデバイスプレースホルダーを使用してプラント内のI/Oネットワークを介して通信を行う、他のオブジェクト、モジュール、アプリケーション、及びプログラムに提供することができる。この通信経路情報はまた、構成データベース716に記憶し、システム710、712、714のモジュール、アプリケーション、プログラムなどの、プラント内の他のオブジェクトに提供することもできる。同様に、結合アプリケーション790が、プラントのフィールド設備側から開始される場合、結合アプリケーション790は、コントローラ762を見つけ出すまで、I/Oネットワーク763内のデバイスを通って上る。結合アプリケーション790は、次いで、コントローラ762をデータベース730と通信させて、結合が行われるデバイスと関連付けられたデバイスプレースホルダーオブジェクト732BEを見つけ出し、それによって、アプリケーション790が、フィールド設備側の各フィールドデバイスまたはフィールド資産について、二組のデバイス構成情報を検出し、比較することを可能にすることができる。
【0198】
当然ながら、いくつかの場合において、対応する一対の構成メモリ内の情報(例えば、フィールドデバイス及びバックエンドデバイスプレースホルダーオブジェクト732BEの2つのデバイスプレースホルダーオブジェクトまたは構成情報)は、同じでない場合があり、またはいくつかの様態において誤って構成される場合がある。その事例において、構成アプリケーション790は、規則またはポリシーデータベースを含み、これは、デバイスプレースホルダーオブジェクト732BE内の情報がプラントのフィールド設備側の対応するフィールドデバイスの構成情報に一致しないとき、すなわち、特定のデバイスまたはデバイス信号の二組の構成情報が異なるときに、アプリケーション790が結合を行うことを可能にする。いくつかの事例において、規則またはポリシーデータベース内の規則またはポリシーは、バックエンドデバイスプレースホルダーオブジェクト732BEが、正しい情報であること(またはマスターオブジェクトであること)を示し、また、バックエンド側のマスターデバイスプレースホルダーオブジェクトの情報が、フィールドデバイスに提供もしくは記憶されること、またはフィールドデバイスのフィールド設備デバイスプレースホルダーオブジェクト732FEに記憶されることを示すことができる。他の事例において、規則またはポリシーは、フィールドデバイス内またはプレースホルダーデバイスプレースホルダーオブジェクト732FE内の構成情報などの、フィールド設備デバイス構成情報が、制御またはマスターオブジェクトであることを示すことができ、次いで、結合アプリケーション790が、プラントのフィールド設備側に記憶したフィールド設備デバイス構成情報を、バックエンドシステムのデバイスプレースホルダーオブジェクト732BEにコピーする。しかしながら、いくつかの事例において、規則またはポリシーは、ユーザがコンフリクトに関与することを可能にまたは必要とし、また、ユーザがどちらの情報が実際に正しいのかを判定し、したがって、どの情報を、デバイスプレースホルダーオブジェクト732BE及びプラントのフィールド設備側内の構成フィールド内またはメモリ内の両方において使用するのかを判定することを必要とすることができる。そのような規則またはポリシーは、アラームまたは警告を、ユーザインターフェースを介して結合アプリケーション790から送信させることができ、ユーザに、二組のデバイス構
成オブジェクト間の情報が異なることを伝え、それによって、ユーザが、どちらの情報が両方の場所に記憶すべき正しい情報であるのかに関する判定を提供することを可能にする。当然ながら、他の規則またはポリシーを使用することができ、任意の特定のインスタンスにおいて使用される規則またはポリシーは、システム毎に構成可能とすることができる。したがって、結合アプリケーション790によって行われるコンフリクト解決プロシージャは、構成可能とすることができる。さらに、いくつかの事例において、一方の一組の構成情報の空のまたは構成されていないフィールドは、もう一方の一組内の構成情報に基づいて記入することができる。したがって、特定のデバイスプレースホルダーオブジェクト732BEがその中に構成フィールドのうちのいくつかの値を含んでいない場合、フィールドデバイスに、またはフィールドデバイスのプレースホルダーオブジェクト732FEに記憶した値は、バックエンドデバイスのプレースホルダーオブジェクト732BEの空のフィールドにコピーすることができる。当然ながら、構成情報は、バックエンドデバイスのプレースホルダーオブジェクト732BEから、フィールドデバイスの、またはフィールドデバイスと関連付けられたデバイスプレースホルダーオブジェクト732FEの構成メモリにコピーすることができる。
【0199】
したがって、フィールドデバイスのバックエンドデバイスプレースホルダーオブジェクトに記憶した情報と、プラントのフィールド設備側に記憶したフィールドデバイスの構成情報との間の検出した違いを調停することは、これらのメモリうちの第2の1つ、またはその様々なフィールドがその中にいかなる構成情報も記憶していないときに、これらの構成メモリのうちの第1の1つに記憶した構成情報を、これらのメモリのうちの第2の1つに記憶することを含むことができる。同様に、検出した違いを調停することは、これらの構成メモリの第1のフィールド内の情報が一致しないときに、バックエンド環境に記憶したフィールドデバイスのデバイスプレースホルダーオブジェクト732BEの第1の構成フィールドに記憶した構成情報を、フィールド環境に記憶したフィールドデバイスの構成メモリ(デバイスプレースホルダーオブジェクトなど)の第1の構成フィールドに自動的に記憶することを含むことができる。またさらに、検出した違いを調停することは、これらの構成メモリの第1のフィールド内の情報が一致していないときに、フィールド環境に記憶したフィールドデバイスの構成メモリの第1のフィールドに記憶した構成情報を、バックエンド環境に記憶したフィールドデバイスのデバイスプレースホルダーオブジェクト732BEの第1のフィールドに自動的に記憶することを含むことができる。加えて、構成情報間の検出した違いを調停することは、記憶した構成情報の違いが二組の構成情報間に存在する旨の、ユーザへのメッセージを生成することを含むことができ、また、ユーザが(結合システムのユーザインターフェースを介して)、二組の構成情報間の検出した違いをどのように解決するかの様態に関する情報を明示することを可能にすることができる。したがって、例えば、結合システムは、構成情報の検出した違いのコンフリクトをどのように解決するのかに関する一組の規則を記憶するメモリを含むことができ、結合システムは、ユーザが、どの1つまたは複数の規則を使用して、プラントの特定のフィールドデバイス、ユニット、領域などの構成情報の検出した違いのコンフリクトを解決するのかを構成することを可能にすることができる。いずれにしても、フィールドデバイスをプロセスコントローラに結合することは、フィールドデバイスのまたはフィールド環境内のデバイスプレースホルダーオブジェクト732FEのフィールドデバイス構成メモリの一方または両方に、及びバックエンド環境内のデバイスプレースホルダーオブジェクト732BEに、検出した通信経路を記憶することによって、フィールドデバイスと関連付けられた、検出した通信経路を構成メモリに記憶することを含むことができる。
【0200】
デバイスプレースホルダーオブジェクト情報のコンフリクトが解決され、特定のフィールドデバイスのデバイスプレースホルダーオブジェクトの両方が同じであるときに、I/Oネットワーク経路または通信経路情報は、フィールドデバイスのデバイスプレースホルダーオブジェクトの両方などにおいて、構成メモリの両方に記憶することができ、この経
路は、他のアプリケーション、プログラムなどに提供し、使用して、通信を行うことができる。さらに、結合アプリケーション790は、デバイスプレースホルダーオブジェクトのいずれかまたは両方(2つ存在する場合)を、I/O割り当てしたデバイス状態にすることができる。したがって、その後に、これらのデバイスプレースホルダーオブジェクトを使用して、プラントの、したがってI/Oネットワーク763を通した通信経路の動作中に、バックエンド環境700内のモジュール、アプリケーション、プログラムなどの他のエンティティに、これらのフィールドデバイスの各々の実際のI/O割り当てが使用されることを通知することができる。さらに、この情報は、構成データベース716に記憶することができる。この割り当て情報を、構成データベース716に、及びその情報を必要とするデバイスモジュール、システムなどの各々に記憶することは、ネットワークデバイスが、結合アプリケーション790によって検出及び構成される実際の割り当てたI/O信号経路を使用して、バックエンドからフィールド設備に、及びその逆も同様に、互いに実際に通信することを可能にする。さらに、この時点で、デバイスプレースホルダーオブジェクトは、I/O割り当てのデバイス状態に設定することができ、これは、フィールドデバイスがプラント内に実際に割り当てられたこと、したがって、判定したデバイス割り当て及び信号経路を使用して、通常の通信チャネルを介して、フィールド側とバックエンド側との間で通信を行うことができることを示す。いくつかの事例では、結合が生じた後に、デバイスプレースホルダーオブジェクトを破棄すること、消去すること、または単に使用しないことができる(すなわち、I/O割り当てのデバイス状態に設定したとき)。さらに、所望に応じて、結合アプリケーションまたはシステム790は、制御モジュールをプロセスコントローラにインスタンス化及び/またはダウンロードすることなどの、他の結合アクションをとって、フィールドデバイスをプロセスコントローラに結合することができ、制御モジュールは、制御モジュールの動作中に、フィールドデバイスと通信する。結合アプリケーションまたはシステム790はまた、または代わりに、結合したフィールドデバイスと通信する他のモジュール、アプリケーション、プログラム、ユーザインターフェースなどを、ワークステーション、サーバ、ハンドヘルドもしくはポータブルデバイスなどの、プラント内の他のコンピュータデバイスにインスタンス化及び/またはダウンロードすることができる。
【0202】
プロセス制御ループのコンポーネント及び部分が(例えば、本明細書で説明される技術などによって、異なる地理的な場所において)コミッショニングされた後に、プロセス制御ループ(複数可)を、「ループ試験」を行うことによって全体として試験することができる。本明細書で説明されるスマートコミッショニング技術は、自動ループ試験(本明細書において、「自動化されたループ試験」と称されることもある)自動ループ試験を行うことを含み、これは、従来のループ試験と異なり、バックエンド環境125内のオペレータがフィールド環境122内のオペレータと協調して、プロセス制御ループにおいて、様々な入力を注入すること、ならびに/または様々な条件及び/もしくは状態を生成することを必要としない。代わりに、以下の技術により、他のコミッショニングされたプロセス制御ループのうちのいくつかまたは全てのループ試験を行うために、単一のオペレータが単一の動作(例えば、自動ループ試験を開始する旨の指示を提供すること)を行うことができる。他の実現形態において、自動ループ試験は、さらに下で論じられるように、任意のオペレータがいかなるユーザ入力も提供することなく開始することができる。またさらに下で論じられるように、いくつかの実現形態において、自動ループ試験は、プロセス制御ループがコミッショニングされ、リアルタイム(いくつかの事例では、「ランタイム」または「オンライン」とも称される)で動作した後を含む、任意の適切なまたは所望のときに行うことができる。例えば、自動ループ試験は、所望に応じてプロセス制御ループを連続的に行うことを確実にするために、プロセス制御ループがランタイムで動作した後に、所望に応じて断続的に行うことができる。
【0203】
図9Aは、例示的なプロセス制御ループ800a〜800cを表し、そのうちの1つ以上を、本明細書で説明される自動ループ試験技術によって試験することができる。当然ながら、任意の適切な数のプロセス制御ループ800を、フィールド環境122に含むことができる。
図9Aに示されるように、プロセス制御ループ800a〜800cは、それぞれのフィールドデバイス802a〜802c、それぞれのI/Oデバイス804a〜804c、及びそれぞれのコントローラ806a〜806cを含む。本明細書の教示及び開示から認識されるように、様々な実現形態において、プロセス制御ループ800のうちの1つ以上は、
図2A及び2Cに示されるプロセス制御ループ100のうちの1つ以上であるか、またはそのコンポーネントを含む。様々な実現形態において、下で論じられるように、自動ループ試験技術は、例えば試験入力信号をフィールドデバイス802a〜802cに注入または供給することによって、フィールドデバイス802a〜802cを様々な試験状態で動作させること、及びコントローラ806a〜806cによって生成された、結果として生じた信号、及び/またはプロセス制御ループ800a〜800cの他の結果として生じた挙動に基づいて、プロセス制御ループ800a〜800cの各々が所望の及び/または予想した通りに動作しているかどうかを判定することを含む。
【0204】
フィールドデバイス802a〜802cの各々は、任意の適切なスマートまたはレガシーフィールドデバイスとすることができ、I/Oデバイス804a〜804cの各々は、上でさらに論じたように、レガシーI/Oカード、CIOC及びCHARM、WIOC、安全情報システム論理ソルバーなどの任意の適切な1つまたは複数のI/Oコンポーネントすること、またはそれを含むことができる。
図9Aに示されるように、プロセス制御ループ800a及びそのコンポーネントは、「ループA」、または「ループA」のコンポーネントと称される。「ループB」及び「ループC」は、同様に、それぞれ、プロセス制御ループ800b及び800c、及びそのコンポーネントと称する。したがって、例えば、
図9Aは、I/Oデバイス804aを「ループA I/Oデバイス」として例示する。
【0205】
図9Aはまた、バックエンド環境125内に配置され、試験自動ループに利用することができる、1つ以上のバックエンドコンピューティングデバイス808を例示する。読み取り易くするために、1つ以上のバックエンドコンピューティングデバイス808は、本明細書において、「バックエンドコンピューティングデバイス808」と単数形で称されることもあるが、任意の適切な数のバックエンドコンピューティングデバイス808を実装することができるものと理解されたい。様々な実施例において、下でさらに説明されるように、バックエンドコンピューティングデバイス808は、とりわけ、下で説明するように、フィールドデバイス802a〜802cをそれぞれの複数の試験状態で動作させることによって、及びプロセス制御ループ800a〜800cのそれぞれの結果として生じた挙動を評価することによって、自動ループ試験に利用される。
図9Aに示されるように、バックエンドコンピューティングデバイス808は、コントローラ806a〜806cを介して、各プロセス制御ループ800a〜800cに通信的に結合される。加えて、または代替的に、バックエンドコンピューティングデバイス808は、フィールドデバイス802a〜802cに直接通信的に結合させることができ(例示を簡単にするために
図9Aに示さず)、よって、バックエンドコンピューティングデバイス808は、本明細書で説明されるような自動ループ試験中に、フィールドデバイス802a〜802cを様々な試験状態で動作させる。バックエンドコンピューティングデバイス808の少なくとも一部分は、プラント5のバックエンド環境125内に配置され、本明細書で説明される自動ループ試験技術を行う際に使用するための、オペレータワークステーション(複数可)71、AMSシステム132、バックエンドコミッショニングツール138aまたは138bのうちの1つ以上(上で述べたように、AMSシステム132の一部とすることができる)、及び/または任意の他の適切なコンピューティングデバイスに含むこと、またはそれらによって実装することができる。
【0206】
図9Aに示されるように、バックエンド環境125はまた、バックエンドコンピューティングデバイス808に結合された1つ以上のバックエンドメモリ810も含む。
図9Aに例示される配設などのいくつかの配設において、1つ以上のバックエンドメモリ810は、コントローラ806a〜806cの各々に通信的に結合される。1つ以上のバックエンドメモリ810は、例えば、自動ループ試験において使用される試験状態を示す情報(例えば、本明細書で説明されるように、フィールドデバイス802aに供給される入力試験信号を示す情報)、自動ループ試験の結果(下でさらに説明される)、ならびに/または各入力試験信号、例えば生成された信号及びそれらの予想される値及び/または値範囲にそれぞれ対応する、プロセス制御ループ800aの許容可能な、及び/または予想された結果として生じた挙動を示す情報などを記憶する。一実現形態において、集中データベース128は、1つ以上のバックエンドメモリの少なくとも一部分を含む。
【0207】
自動ループ試験の実行をより詳細に参照すると、
図9Bは、プロセス制御プラント5のプロセス制御ループ800aなどのプロセス制御ループを自動的に試験する例示的な方法820を表す。いくつかの実現形態において、上で説明した1つ以上のコンピューティングデバイス(例えば、バックエンドコンピューティングデバイス808または他の適切なコンピューティングデバイスもしくはプロセッサ)は、方法820を、またはその少なくとも一部分を行う。
【0208】
ブロック822で、方法820は、プロセス制御ループ800aの自動試験が行われる旨の指示を受信することを含む。1つの実施例において、指示は、バックエンドコンピューティングデバイス808のユーザインターフェースまたは別のユーザインターフェースを介して受信される、任意の適切なユーザ入力である。別の実施例において、バックエンドコンピューティングデバイス808は、プロセス制御ループ800aの自動試験が任意のユーザ入力だけで行われる旨の指示を受信する。例えば、プロセス制御ループ800aの自動試験が行われる旨の指示は、フィールドデバイス802aがI/Oデバイス804a及び/またはI/Oデバイス804aの特定チャンネルを介して通信するように指定された時点で、別のデバイスまたはアプリケーション(例えば、本明細書で説明されるコンピューティングデバイスのうちの1つなどの、別のプロセッサまたは他の適切なデバイス)によって自動的に生成される。一実現形態において、バックエンドコンピューティングデバイス808は、次いで、プロセス制御ループ800aの自動試験が他のデバイスまたはアプリケーションから行われる旨の指示を受信する。
【0209】
方法820はまた、自動ループ試験が行われる旨の指示を受信することに応答して、任意のユーザ入力だけで、フィールドデバイス802aを複数の試験状態の各々で自動的に動作させる。より具体的には、ブロック825で、方法820は、フィールドデバイス802aの試験状態(例えば、フィールドデバイス802aの複数の試験状態のうちの第1の試験状態)の指示を取得することを含む。一実現形態において、試験状態の指示は、バックエンドコンピューティングデバイス808によって、1つ以上のバックエンドメモリ810から取得される。
【0210】
ブロック828で、方法820は、入力試験信号を(例えば、バックエンドコンピューティングデバイス808によって)フィールドデバイス802aに自動的に注入または供給して、フィールドデバイス802aを示された試験状態で動作させることを含む。例えば、いくつかの実現形態において、フィールドデバイス802aがHART(登録商標)フィールドデバイスであるときなどに、バックエンドコンピューティングデバイス808は、入力試験信号を供給するために、または供給される入力試験信号を示すために、HART(登録商標)通信プロトコルに従って、1つ以上のコマンドをフィールドデバイス802aに送信し、それによって、フィールドデバイス802aを示された試験状態で自動
的に動作させる。同様に、フィールドデバイス802aが別の工業プロトコルに従って動作するときに、バックエンドコンピューティングデバイス808は、フィールドデバイス802aの工業通信プロトコルに従って、1つ以上のコマンドをフィールドデバイス802aに送る。
【0211】
ブロック828に関して続けると、いくつかの実現形態において、入力試験信号は、パーセンテージ信号強度として表される信号強度(本明細書では、「信号レベル」とも称される)を有する、または示す信号である。単に1つの実施例として、入力試験信号は、(例えば、フィールドデバイス802aと、対応するI/Oデバイス804aとの間の全体にわたる)フィールドデバイス802aの全信号強度の0%、25%、50%、75%、または100%として表される信号強度を有する。そのため、一実現形態において、本明細書でさらに説明されるような方法820を行った結果としてフィールドデバイス802aにそれぞれが供給される、複数の入力試験信号は、フィールドデバイス802aにおける全信号強度の0%、25%、50%、75%、及び100%として表される信号強度を有する信号を含む。フィールドデバイス802aの全信号強度は、例えば、フィールドデバイス802aの通常動作中のフィールドデバイス802aにおける最大信号強度(例えば、センサにおける最大信号強度)、通常動作の最大信号強度を超えるフィールドデバイス802aにおける信号に対応する、所定の条件中のフィールドデバイス802aにおける最大信号強度、または任意の適切な信号強度である。
【0212】
ブロック828をさらに参照すると、いくつかの実現形態において、入力試験信号は、工学単位で表される信号強度を有する、または示す信号である。単に1つの実施例として、入力試験信号は、摂氏度、ポンド平方インチ(PSI)といった単位で、または任意の他の適切な工学単位で表される信号強度を有する。工学単位で表される信号強度を有する入力試験信号について、一実現形態において、バックエンドコンピューティングデバイス808のプロセス制御ループ800aへの(例えば、上で説明したように、フィールドデバイス802aへの)通信的な接続は、バックエンドコンピューティングデバイス808が、入力試験信号の1つ以上の指示を工学単位の1つ以上の指示に適切に変換またはフォーマットすることを可能にする。その結果、一実施例において、入力試験信号は、最大信号強度の特定のパーセンテージである信号強度を有し、特定のパーセンテージは、次に、示されたエンジニアリングユニットに対応する。様々な実現形態において、入力試験信号の信号強度が表される工学単位の指示(または複数の指示)は、ブロック825において示される試験状態でフィールドデバイス802aを動作させるように、プロセス制御ループ800aに通信される。
【0213】
ブロック830で、方法820は、ブロック825において指示された試験状態について、プロセス制御ループ800aの結果として生じた挙動が、試験状態に対応するフィールドデバイス802aの一組の予想される挙動に含まれるかどうかを判定する。一実現形態において、ブロック830に関して説明される判定は、1つ以上のバックエンドメモリ810に記憶した情報に基づく。様々な実施例において、(本明細書でさらに説明されるように)方法820を行っている間にフィールドデバイス802aを動作させる複数の試験状態のうちのそれぞれは、プロセス制御ループ800aの一組の予想される挙動のそれぞれに対応する。したがって、いくつかの実現形態では、複数の入力試験信号のそれぞれが、プロセス制御ループ800aのそれぞれ一組の予想される挙動のそれぞれ1つに対応することになる。全般的に言えば、一組の予想される挙動のそれぞれは、いくつかの事例において、単一の予想される挙動を含み、いくつかの事例では、代替的に、または組み合わせて生じると予想することができる2つ以上の予想される挙動を含む。
【0214】
例えば、一実現形態において、プロセス制御ループ800aの結果として生じた挙動は、フィールドデバイス802aに供給された入力試験信号に応答して、コントローラ80
6aによって生成されたそれぞれの信号を含むことができる。例えば、フィールドデバイス802aにおける最大動作信号強度の25%として表される信号強度を有する入力試験信号をフィールドデバイス802aに供給することで、コントローラ806aは、コントローラ806aによって提供される最大出力信号強度の25%である対応する信号を生成することになる。そのような場合に、コントローラ806aによって生成される信号は、ブロック825において示された試験状態に対応するそれぞれ一組の予想される挙動に含まれると判定され、ここで、ブロック825において示される試験状態は、最大信号強度の25%に対応する。
【0215】
加えて、または代替的に、プロセス制御ループ800aの結果として生じた挙動は、フィールドデバイス802aによって生成されたそれぞれの出力信号であるか、またはそれを含む(例えば、入力試験信号がフィールドデバイス802aに供給された結果、それによって、コントローラ806aに、I/Oデバイス804aによりフィールドデバイス802aに提供されるそれぞれの入力信号を生成させる)。
【0216】
ブロック830をさらに参照すると、様々な実現形態において、プロセス制御ループ800aのそれぞれの結果として生じた挙動は、(上で説明したように)コントローラ806aによって生成されたそれぞれの信号が予想される値(例えば、予想されるパーセンテージ信号強度)を有するときに、複数の試験状態のうちの1つに対応するそれぞれ一組の予想される挙動に含まれるとみなされる、予想される値の範囲内(例えば、コントローラ806a、バックエンドコンピューティングデバイス808、または他の適切なコンピューティングデバイスのオペレータによって予め定義された範囲内)である、及び/またはいくつかの他の予想される基準などを満たす、などである。加えて、または代替的に、別の実現形態において、プロセス制御ループ800aのそれぞれの結果として生じた挙動は、(上で説明したように)それぞれの入力試験信号の結果として、フィールドデバイス802aによって生成されたそれぞれの出力信号が予想される値を有するときに、複数の試験状態のうちの1つに対応するそれぞれ一組の予想される挙動に含まれるとみなされる、予想される値の範囲にある、いくつかの他の予想される基準などを満たす、などである。
【0217】
また、フィールドデバイス802aの単一の試験状態(例えば、ブロック825において示される試験状態)は、ループ800aの単一または多数の結果として生じた挙動をもたらし得ることにも留意されたい。同様に、フィールドデバイス802aの単一の試験状態に対応する予想される一組の挙動は、ループ800aの単一または多数の予想される挙動を含むことができる。
【0218】
ブロック832で、方法820は、プロセス制御ループ800aの自動ループ試験の結果、及び示される試験状態(すなわち、ブロック825において示される試験状態)を記憶することを含む。一実施例において、ブロック832において生成される自動ループ試験の結果は、1つ以上のバックエンドメモリ810に記憶される。様々な実施例において、ブロック832において生成される自動ループ試験の結果は、プロセス制御ループ800aの結果として生じた挙動が、ブロック825において示される試験状態に対応する一組の予想される挙動に含まれるかどうかの指示であるか、またはそれを含む。一実施例において、プロセス制御ループ800aの結果として生じた挙動が、一組の予想される挙動に含まれるとき、プロセス制御ループ800aの自動ループ試験の結果は、ブロック825において示される試験状態について、「成功」であること(例えば、プロセス制御ループ800aが適切に動作していること)を示す。それに応じて、一実施例において、プロセス制御ループ800aの結果として生じた挙動が、一組の予想される挙動に含まれないとき、自動ループ試験の結果は、ブロック825において示される試験状態について、「失敗」である(例えば、そのプロセス制御ループ800aが適切に動作していないこと)を示す。実際の出力データ(例えば、実際の出力値)もまた、所望に応じて、指示と共に
記憶することができる。
【0219】
ブロック835で、方法820は、プロセス制御ループ800aを別の試験状態で動作させるかどうかを(例えば、1つ以上のバックエンドメモリ810に記憶した指示を有する複数の試験状態のうちの任意の試験状態が、ブロック825〜832に関して説明したように実装されているかどうかを)判定することを含む。プロセス制御ループ800aを別の試験状態で動作させる場合は、ブロック825〜835を繰り返す。
【0220】
プロセス制御ループ800aを別の試験状態で動作させない(例えば、フィールドデバイス802aを、複数の試験状態のうちの全ての所望の試験状態で動作させたと判定される)場合は、ブロック838で、方法820は、(例えば、複数の所望の試験状態のうちの全てについて)プロセス制御ループ800aの自動ループ試験の結果を生成することを含む。例えば、自動ループ試験の結果は、(i)プロセス制御ループ800aのそれぞれの結果として生じた挙動が、第1の一組の試験状態のうちの試験状態に対応する1つ以上のそれぞれ一組の予想される挙動に含まれる、フィールドデバイス802aの試験状態の第1の一組の試験状態(例えば、複数の試験状態のうちの1つ以上)、及び/または(ii)プロセス制御ループ800aのそれぞれの結果として生じた挙動が、第2の一組の試験状態のうちの試験状態に対応する1つ以上のそれぞれ一組の予想される挙動に含まれない、フィールドデバイス802aの試験状態の第2の一組の試験状態(例えば、複数の試験状態のうちの1つ以上)を示す。本明細書の教示及び開示から、上で論じた第2の一組の試験状態は、自動ループ試験が「範囲外」または「失敗」を示す試験状態、例えば、それぞれの結果として生じた挙動(例えば、上で論じたような、コントローラ出力、フィールドデバイス出力など)が予想された通りではなかった試験状態を含むことが認識されるであろう。自動ループ試験の結果は、加えて、所望に応じて、各試験状態の出力データ(例えば、実際の出力値)を含むことができる。
【0221】
ブロック838の参照を続けると、一実施例において、自動ループ試験の結果は、自動ループ試験の結果を構成する情報(例えば、上で論じたような、第1及び/または第2の一組(複数可)の試験状態の指示)を、任意の適切なコンピューティングデバイスのユーザインターフェースを介して提示することができるように生成される。例えば、自動ループ試験の結果を構成する情報は、バックエンドコンピューティングデバイス808のうちの1つ以上のディスプレイ画面を介して、オペレータまたは他のユーザに提示される。加えて、または代替的に、自動ループ試験の結果は、プラント5と関連付けられた任意の所望のコンピューティングデバイス(オペレータワークステーション71またはバックエンドコミッショニングツール138など)に伝送することができ、及び/または1つ以上のメモリ810または集中データベース128などの、任意の所望のデータ記憶装置に記憶することができる。
【0222】
本明細書の教示及び開示から、様々な実現形態において、フィールドデバイス802aを、任意のユーザ入力だけで、複数の試験状態の各々で自動的に動作させることは、フィールドデバイス802aが複数の試験状態のうちの第1の試験状態での動作を完了した時点で、任意のユーザ入力だけで、ブロック825〜835を自動的に繰り返すことによって、その後の試験の状態の間で、フィールドデバイスを自動的に変化させることを含むことが認識されるであろう。例えば、バックエンドコンピューティングデバイス808は、ブロック835においてフィールドデバイス802aを動作させるためのいかなる追加的な試験状態も残っていないと判定されるまで、ブロック825〜835を繰り返す。一実現形態において、フィールドデバイス802aは、バックエンドコンピューティングデバイス808におけるユーザ入力に応答して、第1の試験状態で動作し、ユーザ入力は、プロセス制御ループ800aの自動試験が行われるバックエンドコンピューティングデバイス808への指示を提供する。しかしながら、上記の議論から理解されるように、フィー
ルドデバイス802aは、ユーザがフィールドデバイス802aにそのように指示することなく、その後に、他の試験状態の各々で動作するように自動的に移行する。
【0223】
上記の議論から、プロセス制御ループ800aについて、自動ループ試験を行い、自動ループ試験の結果を生成することができることがさらに認識されるであろう。プロセス制御ループ800aの自動ループ試験の説明、ならびにフィールドデバイス802a、I/Oデバイス804a、コントローラ806aが関係するアクションの説明はまた、または代替的に、プロセス制御プラント5の他のプロセス制御ループに適用することができることを認識されたい。例えば、
図9Aの参照を続けると、様々な実施例において、自動ループ試験は、プロセス制御ループ800b及び800cの各々をそれぞれ試験することをさらに含む。一実現形態において、プロセス制御ループ800b及び800cを試験することは、プロセス制御ループ800aを試験することと並行して行われる。当然ながら、様々な実現形態において、任意の適切な数のプロセス制御ループ(例えば、
図9Aに示されない追加的なプロセス制御ループを含む)が、他のプロセス制御ループの自動試験と並行して、逐次的に、または異なる時間に自動的に試験され、いくつかの実施例において、各プロセス制御ループは、それぞれのフィールドデバイスをそれぞれ複数の試験状態で動作させる任意のユーザ入力だけで、または(本明細書の別の場所で説明されるように)全く任意のユーザ入力だけで、自動的に試験される。
【0224】
プロセス制御ループ800a〜800cの同時の自動試験をより具体的に参照すると、
図9Cは、プロセス制御ループ800a〜800cなどの多数のプロセス制御ループを自動的に試験する例示的な方法850を表す。いくつかの実現形態において、上で説明した1つ以上のコンピューティングデバイス(例えば、バックエンドコンピューティングデバイス808または他の適切なコンピューティングデバイスもしくはプロセッサ)は、方法850を、または少なくともその一部分を行う。
【0225】
ブロック852で、方法850は、追加的なプロセス制御ループ(例えば、プロセス制御ループ800b)の自動試験を行う旨の指示を受信することを含む。1つの実施例において、指示は、バックエンドコンピューティングデバイス808のユーザインターフェースまたは別のユーザインターフェースを介して受信される、任意の適切なユーザ入力である。別の実施例において、バックエンドコンピューティングデバイス808は、全般的に言えば、(
図9Bに関して上で説明したような)自動ループ試験を行うことを指示するユーザ入力を受信するが、プロセス制御ループ800bの自動試験を行う旨の指示は、ユーザ入力だけで受信される。例えば、プロセス制御ループ800bの自動試験を行う旨の指示は、自動試験を行う任意の他のプロセス制御ループ(例えば、プロセス制御ループ800c)の指示と共に、1つ以上のバックエンドメモリ810に記憶することができる。プロセス制御ループ800bの自動試験を行う旨の記憶した指示は、ブロック822に関して説明したように自動ループ試験を行う旨の指示を受信することに応じて、またはそれと並行して受信することができる。
【0226】
ブロック855で、方法850は、(例えば、バックエンドコンピューティングデバイス808によって)追加的なプロセス制御ループ(例えば、フィールドデバイス802b)のそれぞれのフィールドデバイスを、
図9Bに関して説明した様態などで、それぞれ複数の試験状態で自動的に動作させることを含む。いくつかの実現形態において、複数の試験状態のそれぞれは、フィールドデバイス802aの複数の試験状態と比較して、異なる複数の試験状態である。したがって、そのような実現形態において、プロセス制御ループ800bのそれぞれ一組の予想される挙動もまた、プロセス制御ループ800aのそれぞれ一組の予想される挙動と異なり、そのため、プロセス制御ループ800a及び800bが試験に成功したときに、それらのそれぞれの結果として生じた挙動もまた、プロセス制御ループ800a及び800bの間で異なる。
【0227】
ブロック858で、方法850は、
図9Bに関して説明したプロセス制御ループ800aに関して説明したのと同じ様態で、または類似する様態で、追加的なプロセス制御ループ(例えば、プロセス制御ループ800b)について、それぞれの結果として生じた挙動が、予想される挙動である(例えば、それぞれ一組の予想される挙動に含まれる)かどうかを判定することを含む。
【0228】
ブロック860で、方法850は、プロセス制御ループ800aに関する試験状態の各々の自動ループ試験の結果が
図9Bに関して説明したように記憶されるのと同じ様態で、または類似する様態で、追加的なプロセス制御ループ(例えば、プロセス制御ループ800b)の自動ループ試験の結果を記憶することを含む。例えば、プロセス制御ループ800bの自動ループ試験の結果は、1つ以上のバックエンドメモリ810に記憶される。
【0229】
ブロック862で、方法850は、別のプロセス制御ループ(例えば、プロセス制御ループ800c)について、別の自動試験を行うかどうかを判定することを含む。1つの実施例において、別の自動試験を行うかどうかを判定することは、1つ以上のバックエンドメモリ810に記憶した1つ以上の指示に基づく。別の自動試験を行う場合は、ブロック855〜862を繰り返すことができる。
【0230】
別の自動試験を行わない(自動的に試験されることが所望されるプロセス制御プラント5の全てのプロセス制御ループが試験されている)と判定した場合は、ブロック865で、本方法は、プロセス制御ループ800aに対応する情報に加えて、プロセス制御ループ800b及び800cに対応する情報(例えば、それらの結果)を含む、自動ループ試験の結果を生成することを含むことができる。一実現形態において、プロセス制御ループ800a〜800cの自動ループ試験の結果を構成する情報は、バックエンドコンピューティングデバイス808のディスプレイ画面などの任意の適切なユーザインターフェースを介して提示される。加えて、または代替的に、ループ800a〜800cの自動ループ試験の結果は、プラント5と関連付けられた任意の所望のコンピューティングデバイス(オペレータワークステーション71またはバックエンドコミッショニングツール138など)に伝送することができ、及び/または1つ以上のメモリ810または集中データベース128などの、任意の所望のデータ記憶装置に記憶することができる。
【0231】
ブロック865の参照を続けると、一実現形態において、自動ループ試験の結果は、プロセス制御ループ800a〜800cのそれぞれについて、(i)それぞれの結果として生じた挙動が、第1の一組のそれぞれ複数の試験状態に対応する1つ以上のそれぞれ一組の予想される挙動に含まれる、第1の一組のそれぞれ複数の試験状態(例えば、それぞれ複数の試験状態の1つ以上の試験状態)、及び/または(ii)それぞれの結果として生じた挙動が、第2の一組のそれぞれ複数の試験状態に対応する1つ以上のそれぞれ一組の予想される挙動に含まれない、第2の一組のそれぞれ複数の試験状態を示す。
【0232】
図9Cは、プロセス制御ループ800b及び800cの自動ループ試験を行うかどうかを逐次的に判定するように例示しているが、本明細書の教示及び開示から、様々な実現形態において、そのようなループ試験を行うかどうか、及びその後の
図9Cに関して説明されるアクションを行うかどうかを判定することは、プロセス制御ループ800a〜800cの間で並行して実行されることが認識されることに留意されたい。すなわち、いくつかの実現形態において、自動ループ試験、及び自動ループ試験の結果の生成(ならびにいくつかの事例では、上で説明したように、自動ループ試験の結果を提供すること)は、多数のプロセス制御ループ(例えば、プロセス制御ループ800a〜800c)について、並行して行われる。
【0233】
さらに、自動ループ試験は、プロセスプラント5のバックエンド環境125内に配置されたバックエンドコンピューティングデバイス808及び1つ以上のバックエンドメモリ810に関して上で説明したが、いくつかのシナリオにおいて、自動ループ試験は、加えて、または代替的に、フィールド環境122内に配置されたコンピューティングデバイス870及びメモリ872を使用して行われる。具体的には、
図9Aにさらに示されるように、フィールド環境122は、1つ以上のフィールドメモリ872を含み、該フィールドメモリは、自動ループ試験において使用される試験状態を示す情報(例えば、本明細書で説明されるようにフィールドデバイス802aに供給される入力試験信号を示す情報)、自動ループ試験の結果、ならびに/または各入力試験信号にそれぞれ対応するプロセス制御ループ800aの許容可能な、及び/もしくは予想される結果として生じた挙動、例えば生成した信号及びそれらの予想される値及び/または値範囲などを示す情報を記憶する。様々な実現形態において、そのような情報は、1つ以上のバックエンドメモリ810に記憶する代わりに、またはそれに加えて、1つ以上のフィールドメモリ872に記憶される。一実現形態において、データファイルまたはストア342は、1つ以上のフィールドメモリ872の少なくとも一部分を含む。
【0234】
図9Aはまた、自動ループ試験に利用されているバックエンドコンピューティングデバイス808の代わりに、またはそれに加えて、自動ループ試験に利用することができる、フィールド環境122内に配置された1つ以上のフィールドコンピューティングデバイス870も表す(例えば、1つ以上のフィールドコンピューティングデバイス870は、バックエンドコンピューティングデバイス808によって行われる、本明細書の他の場所で説明されるアクションのうちの少なくともいくつかを行う)。1つ以上のフィールドコンピューティングデバイス870の少なくとも一部分は、フィールド環境122内に配置された、AMSシステム132、(上で述べたように、AMSシステム132の一部とすることができる)フィールドコミッショニングツール135aもしくは135bのうちの1つ以上、及び/または任意の他の適切なコンピューティングデバイス(複数可)に含むこと、または実装することができる。
図9Aに示されるように、1つ以上のフィールドコンピューティングデバイス870は、フィールドデバイス802a〜802cを介して、プロセス制御ループ800a〜800cの各々に通信的に結合され、よって、1つ以上のフィールドコンピューティングデバイス870は、本明細書で説明されるような自動ループ試験中に、フィールドデバイス802a〜802cを動作させることができる。同じく
図9Aに示されるように、1つ以上のフィールドコンピューティングデバイス870は、1つ以上のフィールドメモリ872に通信的に結合される。いくつかの構成において、フィールドデバイス802a〜802cを介して、プロセス制御ループ800a〜800cの各々に通信的に結合することに加えて、またはその代わりに、1つ以上のフィールドコンピューティングデバイス870は、コントローラ806a〜806c(例示を簡単にするために、
図9Aにはそのように示されない)を介して、プロセス制御ループ800a〜800cの各々に直接通信的に接続される。
【0235】
フィールド環境122におけるいくつかの実現形態において、自動ループ試験に利用されている1つ以上のフィールドコンピューティングデバイス870及び/または1つ以上のフィールドメモリ872の代わりに、またはそれに加えて、フィールドデバイス802a〜802cのうちの1つ以上は、自動ループ試験に利用される1つ以上のプロセッサ及び/または1つ以上のメモリを含む。例えば、
図9Aは、自動ループ試験をサポートするように(例えば、バックエンドコンピューティングデバイス808によって行われるように、本明細書の他の場所で説明されるアクションのうちの少なくともいくつかを行うように)構成される、プロセッサ874及びメモリ876を含むように、フィールドデバイス802aを表す。様々な実施例において、フィールドデバイス802aは、HART(登録商標)フィールドデバイスなどの、任意の適切なタイプのスマートフィールドデバイスである。加えて、または代替的に、様々な実施例において、(i)1つ以上のフィールド
メモリ872または(ii)メモリ876のうちの一方または両方は、自動ループ試験において使用される試験状態を示す情報、自動ループ試験の結果、ならびに/または各入力試験信号、例えば生成された信号及びそれらの予想される値及び/または値範囲にそれぞれ対応する、プロセス制御ループ800aの許容可能な、及び/または予想された結果として生じた挙動を示す情報などを記憶する。様々な実現形態において、そのような情報は、1つ以上のバックエンドメモリ810に記憶することに加えて、またはその代わりに、1つ以上のフィールドメモリ872及び/またはメモリ876に記憶される。
【0236】
故に、上で論じたように、自動ループ試験を行うことは、好都合に、バックエンド環境125内のオペレータがフィールド環境122内のオペレータと協調して、プロセス制御ループにおいて、様々な入力を注入(例えば、供給)すること、ならびに/または様々な条件及び/もしくは状態を生成することを必要としない。代わりに、いくつかの実現形態では、コミッショニングされたプロセス制御ループのうちのいくつかまたは全ての自動ループ試験を行うために、単一のオペレータが単一の動作(例えば、自動ループ試験(複数可)を開始する旨の指示を提供すること)を行う。他の実現形態において、自動ループ試験(複数可)は、上で論じたように、任意のオペレータがいかなるユーザ入力も提供することなく開始される。
【0238】
上で論じたように、本明細書で説明されるスマートコミッショニング技術は、プロセスプラント5をコミッショニングする時間、人員、及びコストを大幅に低減させる。
図10は、従来のコミッショニング技術902を使用することによって、及び本明細書で説明されるスマートコミッショニング技術905のうちの少なくともいくつかを使用することによって、例示的なフィールドデバイス(例えば、フィールドデバイス102)及び/またはフィールドデバイスが含まれる例示的なプロセス制御ループ(例えば、プロセス制御ループ100)をローカルにコミッショニングするために必要とされる、時間及びリソースを比較したチャート900を例示する。チャート900に示されるデータは、本明細書で説明されるスマートコミッショニング技術の開発及び実験的な試験中に収集した。
【0239】
図10で分かるように、典型的に、ユーザがフィールドデバイスをローカルにコミッショニングすることによって行われるタスク908a〜908gは、物理的なフィールドデバイスまで歩いて行くこと(参照場号908a)、物理的なフィールドデバイスが、予想されるデバイスであることを確認し、その配線接続を検証すること(参照番号908b)、例えばフィールドデバイスのメモリに記憶したデバイスタグを介して、フィールドデバイスの識別情報を検証し、デバイスタグを、プロセス制御システム、資産管理システム、安全システムなどのプロセスプラント5の他のシステムが利用できるようにすること(参照番号908c)、デバイスパラメータを構成すること(908d)、デバイスに対応する制御モジュールをダウンロードすること(参照番号908e)、デバイスのコミッショニング検査または試験を行うこと(参照番号908f)、及びフィールドデバイスを示すアズビルトループ情報を生成すること(参照番号908g)を含む。当然ながら、デバイスコミッショニング中に、
図10に示されるアクション908a〜908g以外の、よりも多い、よりも少ない、置き換えた、及び/または代替のコミッショニングアクションを行うことができる。
【0240】
同じく
図10で分かるように、従来のフィールドデバイスのコミッショニング902を行うために必要とされる人−時間における時間は、各コミッショニングアクション908a〜908gについて、チャート900に示され、従来のフィールドデバイスのコミッショニングの人−時間の累計は、2時間20分である。フィールドデバイスのスマートコミッショニング905に必要とされる人−時間における時間は、各コミッショニングアクシ
ョン908a〜908gについて、チャート900に示され、スマートコミッショニングの人−時間の累計は、僅か10分であり、これは、単一のフィールドデバイスを構成するために必要とされる人−時間を93%低減させる。プロセスプラントは、プラントを動作させ始める前にそれぞれコミッショニングしなければならない数百、数千、さらには数万のフィールドデバイスを含み得るので、人−時間の(したがって、財政的な)リソースの節約は、莫大である。さらに、スマートコミッショニング技術のうちの少なくともいくつかは、自動的に行われるので、該技術は、ユーザエラーに影響され難く、したがって、従来のコミッショニング技術よりも正確である。
【0241】
本明細書で説明されるスマートコミッショニング技術は、プロセス制御システム5に関して説明されるが、本明細書で説明されるスマートコミッショニング技術のうちの任意の1つ以上を、Emerson Process Managementによって提供されるDeltaV SIS(商標)製品等の、プロセス制御プラントのプロセス制御安全情報システムに同様に適用することができることに留意されたい。例えば、スタンドアロンのプロセス制御安全システムまたは統合型の制御及び安全システム(「ICSS」)は、本明細書で説明されるスマートコミッショニング技術のうちの任意の1つ以上を使用してコミッショニングすることができる。
【0242】
加えて、ソフトウェアに実装されたとき、本明細書で説明されるアプリケーション、サービス、及びエンジンのうちのいずれかは、磁気ディスク、レーザーディスク、固体メモリデバイス、分子メモリ記憶デバイス、他の記憶媒体、コンピュータまたはプロセッサのRAMまたはROM等の、任意の有形の非一時的なコンピュータ読み出し可能なメモリに記憶することができる。本明細書で開示される例示的なシステムは、他のコンポーネントの中でも特に、ハードウェア上で実行されるソフトウェア及び/またはファームウェアを含むように開示されるが、そのようなシステムは、単なる実例に過ぎないこと、及び限定するものとみなされるべきではないことに留意されたい。例えば、これらのハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアのコンポーネントのいずれかまたは全てを、ハードウェアだけに、ソフトウェアだけに、またはハードウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせに具現化できることが想定される。故に、本明細書で説明される例示的なシステムは、1つ以上のコンピュータデバイスのプロセッサ上で実行されるソフトウェアに実装されているように説明されるが、当業者は、提供される実施例がそのようなシステムを実装するための唯一の方法ではないことを容易に認識するであろう。
【0243】
したがって、本発明は、単に図示することを意図し、本発明を限定することを意図しない、特定の実施例を参照して説明されているが、当業者には、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示される実施形態に対して変更、追加、または削除が行われ得ることが明らかになるであろう。さらに、上述の本文は、多数の異なる実施形態の詳細な説明を示しているが、本特許の範囲は、本特許及びそれらの同等物の最後に示される特許請求の範囲の用語によって定義されることを理解されたい。あらゆる可能な実施形態を説明することは、不可能ではないにしても実用的ではないので、詳細な説明は、例示的なものに過ぎないと解釈されるべきであって、本発明のあらゆる可能な実施形態は説明するものではない。現在の技術または本特許の出願日以降に開発される技術のいずれかを使用して、多数の代替の実施形態を実施することができるが、それらは、依然として、特許請求の範囲及びそれらの全ての同等物の範囲内である。