(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961589
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】側枝に対するステントストラットの検出
(51)【国際特許分類】
A61B 1/313 20060101AFI20211025BHJP
A61F 2/07 20130101ALI20211025BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20211025BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
A61B1/313 510
A61F2/07
A61B1/00 526
A61B1/045 614
A61B1/045 618
【請求項の数】18
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-525788(P2018-525788)
(86)(22)【出願日】2016年11月16日
(65)【公表番号】特表2018-536481(P2018-536481A)
(43)【公表日】2018年12月13日
(86)【国際出願番号】US2016062213
(87)【国際公開番号】WO2017087477
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2019年8月20日
(31)【優先権主張番号】62/257,185
(32)【優先日】2015年11月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/975,462
(32)【優先日】2015年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509128672
【氏名又は名称】ライトラボ・イメージング・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】アンブワニ,ソナル
【審査官】
大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0237958(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0257087(US,A1)
【文献】
Ancong Wang et al.,Automatic stent strut detection in intravascular optical coherence tomographic pullback runs,The international journal of cardiovascular imaging,2012年05月23日,vol.29, no.1,pp29-38
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管の表示においてステントストラットを検出するためのシステムの作動方法であって、前記システムはコンピューティングデバイスを有し、前記方法は:
前記コンピューティングデバイスが、血管内診断システムによってアクセス可能なメモリに、走査線の第1のグループを含む血管内データを格納するステップと;
前記コンピューティングデバイスが、前記走査線の第1のグループにおける影領域を検出するステップであって、各前記影領域は、1つ又は複数の側枝に対応する、ステップと;
前記コンピューティングデバイスが、前記影領域を使用して前記側枝を検出するステップと;
前記コンピューティングデバイスが、検出された前記側枝に対応する走査線の第2のグループを識別するステップと;
前記コンピューティングデバイスが、前記走査線の第2グループにおける各前記走査線のピーク強度を決定するステップと;
前記コンピューティングデバイスが、前記走査線の第2グループの前記各走査線を複数のサンプルに分割するステップと;
前記コンピューティングデバイスが、前記複数のサンプルに分割された前記各走査線についての最大強度に基づいて強度閾値を決定するステップと;
前記コンピューティングデバイスが、前記強度閾値より大きい強度を有するサンプルの数を決定するステップと;
前記サンプルの数が閾値T以下であるとき、前記コンピューティングデバイスが、側枝にストラットを含むとして候補走査線を識別するステップと;
前記コンピューティングデバイスが、側枝及びその中に配置されたストラットを含む前記候補走査線を検証するステップと;を含む、
方法。
【請求項2】
前記検証するステップは、前記候補走査線の各々が偽陽性であるかどうかを決定するステップを含む
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検証するステップは、相関係数を使用して、候補ステントストラット画像データをモデルステントストラット画像データと比較するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記相関係数は線形相関係数である、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記候補走査線の各々が偽陽性であるかどうかを決定するステップは、検出された候補ステントストラット画像データをモデルステントストラット画像データと比較するステップを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記コンピューティングデバイスが、モデルストラットに対して検証する前に、隣接する隣接走査線をクラスタリングするステップをさらに含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記コンピューティングデバイスが、検出された前記ストラットのリストに検証されたストラットを追加するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記強度閾値より大きい強度を有する前記サンプルの数が候補ストラットについての前記閾値Tより大きい場合、前記コンピューティングデバイスが、前記候補ストラット又は前記候補ストラットを含む前記走査線を破棄する、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コンピューティングデバイスが、各前記側枝に対する開始フレーム及び終了フレームを決定するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
血管の表示におけるステントストラットを検出するための自動プロセッサベースのシステムであって、前記システムは:
1つ又は複数のメモリデバイスと;
前記メモリデバイスと通信するコンピューティングデバイスと;を有し、
前記メモリデバイスは、前記コンピューティングデバイスに:
血管内診断システムによってアクセス可能なメモリに、走査線の第1のグループを含む血管内データを格納させ;
前記走査線の第1のグループにおける影領域を検出させ、各前記影領域は、1つ又は複数の側枝に対応し;
前記影領域を使用して側枝を検出させ;
検出された前記側枝に対応する走査線の第2のグループを識別させ;
前記走査線の第2グループにおける各前記走査線のピーク強度を決定させ;
前記走査線の第2グループの前記各走査線を複数のサンプルに分割させ;
前記複数のサンプルに分割された前記各走査線についての最大強度に基づいて強度閾値を決定させ;
前記強度閾値より大きい強度を有するサンプルの数を決定させ;
前記サンプルの数が閾値T以下であるとき、側枝にストラットを含むとして候補走査線を識別させ;
側枝及びその中に配置されたステントストラットを含む走査線を識別するよう前記候補走査線を検証させる;
ように前記コンピューティングデバイスによって実行可能な命令を含む、
システム。
【請求項11】
ステップを検証するための命令は、前記候補走査線の各々が偽陽性であるかどうかを決定するステップを含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
ステップを検証するための命令は、相関係数を使用して候補ステントストラット画像データをモデルステントストラット画像データと比較するステップを含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記相関係数は線形相関係数である、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記コンピューティングデバイスは、前記コンピューティングデバイスに、前記候補走査線の各々が偽陽性であるかどうかを判定させる命令をさらに含む、
請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記コンピューティングデバイスは、モデルストラットに対して検証する前に、前記コンピューティングデバイスに隣接する隣接走査線をクラスタリングさせるさらなる命令を含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記コンピューティングデバイスは、前記コンピューティングデバイスに、検出された前記ストラットのリストに検証されたストラットを追加させるさらなる命令を含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記コンピューティングデバイスはさらに、前記強度閾値より大きい強度を有する前記サンプルの数が候補ストラットについての前記閾値Tより大きい場合、前記コンピューティングデバイスに、前記候補ストラット又は前記候補ストラットを含む前記走査線を破棄させる命令をさらに含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記コンピューティングデバイスは、前記コンピューティングデバイスに各前記側枝の開始フレーム及び終了フレームを決定させるさらなる命令を含む、
請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年11月18日に出願された、米国仮特許出願第62/257,185号の優先権の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明はステント検出のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
インターベンショナル心臓専門医は、治療法を計画、導き、評価するために、カテーテル処置の間に様々な診断ツールを組み込んでいる。蛍光透視法は、一般に、血管の血管造影イメージングを行うために使用される。そのような血管イメージングは、バイパス手術又はステント留置のような介入中に血管疾患を診断、位置特定及び治療するために医師によって使用される。光干渉断層撮影(OCT)のような血管内イメージング技術はまた、所与の被検体の血管の状態に関する高解像度データを得るために、蛍光透視法の代わりに、又はそれと組み合わせて使用されることができる貴重なツールでもある。
【0004】
血管内光干渉断層撮影法は、冠状動脈壁の中を熟視する(peer into)とともに調査のための画像を生成するために光を用いるカテーテルベースのイメージングモダリティ(imaging modality)である。コヒーレント光、干渉法、マイクロオプティクスを利用して、OCTは、マイクロメータレベルの分解能で疾患のある血管内のビデオレート生体内トモグラフィを提供することができる。光ファイバプローブを使用して高分解能で表面化構造を観察することは、OCTを、内部組織及び臓器、並びにステントのような埋め込まれた医療デバイスの低侵襲イメージングに特に有用にする。
【0005】
ステントは、血管狭窄を治療するための普通のインターベンション(intervention)である。臨床医が、血管内処置における最適な結果を確実にするために、患者の血管の解剖学的構造に合わせてカスタマイズされた個人向けステント計画を開発することは重要である。ステント計画は、下流組織への正常な血流を回復させる意図で、ステントの長さ、直径、及びランディング(landing)ゾーンを選択することを含む。しかし、流れを制限する狭窄は、しばしば、血管側枝(vascular side branches)の近傍に存在する。側枝は、主血管の狭窄に対処することを意図したステントの展開中に、部分的に閉塞される又は「ジェイルされる(jailed)」ことがあり得る。側枝は血液を下流組織に運ぶために不可欠であるため、ジェイル(jailing)は望ましくない虚血性の影響を与え、また血栓症を引き起こす可能性がある。ジェイルの虚血性の影響は、複数の側枝が影響されるとき又は単一の側枝の閉塞した表面積が増加するときに、悪化する。
【0006】
金属ステント検出方法は、典型的には、個々のステントストラット(ステント支柱)(stent struts)を、ストラットによって血管壁に投じられた影を検出し、続いて検出された影内のストラットの位置を検出することによって検出する。しかしながら、ジェイルされた側枝上のストラットは、この方法によって検出することが困難である。走査線が側枝開口部に対して垂直であり得るので、側枝は画像に大きい影として現れる。結果として、側枝に重なるストラットの影を検出することは困難又は不可能である。その結果、ジェイルストラット(jailing struts)は、影ベースの検出方法によって、容易に見逃される。
【0007】
本開示は、ジェイルステントストラットの検出の向上の必要性に取り組んでいる。
【発明の概要】
【0008】
本明細書には、血管側枝を閉塞又はジェイルするステントストラットを検出及び可視化するためのシステム及び方法が開示されている。本明細書に開示されたシステム及び方法は、まばらな(sparse)強度ピークについて側枝を分析することにより、ジェイルストラットを検出する。一実施形態では、まばらな強度ピークは、暗領域によって囲まれる走査線強度ピークを含む。まばらな強度ピークは、光干渉断層撮影(OCT)走査線上で識別されることができる。ピークは潜在的なストラットに対応し、暗領域は下にある側枝管腔に対応し、これは空隙(void)として現れる。潜在的なストラットピークを有する走査線は、分析されて、走査線がジェイルストラットと一致する強度プロファイルに適合するかどうかを決定する。一実施形態では、潜在的ストラットピークを有する連続走査線が分析されて、走査線がジェイルストラットと一致する強度プロファイルに適合するかどうかを決定する。
【0009】
一実施形態では、本明細書で説明するシステム及び方法は、側枝を識別し、側枝内の特定の位置における潜在的なストラットを識別する。一実施形態では、特定の位置はラインオフセットされる(line-offset)。システム及び関連する側枝検出又は他の関連するソフトウェアモジュールは、次に、その同じ位置にモデルストラットを作成することができる。
【0010】
部分的には、本開示は、血管の表示においてステントストラットを検出する方法に関する。この方法は、血管内診断システムによってアクセス可能なメモリに、走査線の第1のグループを含む血管内データを格納するステップと;血管内データの側枝を検出するステップと;検出された側枝の1つ又は複数の中の走査線の第2のグループを識別するステップと;走査線の第2グループにおける各走査線のピーク強度を決定するステップと;閾値T以下のピーク強度を有する第2グループにおける走査線の第3のグループを識別するステップであって、第3のグループは、ステントストラット画像データを含むことの候補である検出された側枝の1つ又は複数の走査線を含む、ステップと;ステントストラットデータを含む1つ又は複数の走査線を識別するように候補を検証するステップと;を含む。
【0011】
一実施形態では、検証するステップは、各候補がステントストラット画像データを含むことに対して偽陽性であるかどうかを決定するステップを含む。一実施形態では、検証するステップは、相関係数を使用して、候補ステントストラット画像データをモデルステントストラット画像データと比較するステップを含む。一実施形態では、相関係数は線形相関係数である。一実施形態では、各候補がステントストラット画像データを含むことに対して偽陽性であるかどうかを決定するステップは、検出された候補ステントストラット画像データをモデルステントストラット画像データと比較するステップを含む。
【0012】
一実施形態では、各走査線のピーク強度を決定するステップの後、この方法は、側枝の走査線をサンプルに分割するステップを含む。一実施形態では、この方法は、モデルストラットに対して検証する前に、隣接する隣接走査線をクラスタリングするステップをさらに含む。
【0013】
一実施形態では、本方法は、検出されたストラットのリストに検証されたストラットを追加するステップをさらに含む。一実施形態では、強度>線におけるピーク(peak-at-line)強度を有するサンプルの数が候補ストラットについての閾値Tより大きい場合、候補ストラット又は候補ストラットを含む走査線を破棄する。一実施形態では、本方法は、各側枝に対する開始フレーム及び終了フレームを決定するステップをさらに含む。
【0014】
部分的には、本開示は、血管の表示におけるステントストラットを検出するための自動プロセッサベースのシステムに関する。システムは、1つ又は複数のメモリデバイスと;メモリデバイスと通信するコンピューティングデバイスと;を有し、メモリデバイスは、コンピューティングデバイスに:血管内診断システムによってアクセス可能なメモリに、走査線の第1のグループを含む血管内データを格納させ;血管内データにおいて側枝を検出させ;検出された側枝のうちの1つ又は複数の中の走査線の第2のグループを識別させ;走査線の第2グループにおける各走査線のピーク強度を決定させ;ステントストラット画像データを含むことの候補である検出された側枝のうちの1つ又は複数の走査線を含む走査線の第3のグループを、閾値T以下のピーク強度を有する第2のグループにおいて識別させ;ステントストラットデータを含む1つ又は複数の走査線を識別するよう候補を検証させる;ようにコンピューティングデバイスによって実行可能な命令を含み、ステップを検証するための命令は、各候補がステントストラット画像データを含むことに対して偽陽性であるかどうかを決定するステップを含む。
【0015】
一実施形態では、本方法は、相関係数を使用して候補ステントストラット画像データをモデルステントストラット画像データと比較するステップを含む。一実施形態では、相関係数は線形相関係数である。一実施形態では、コンピューティングデバイスは、コンピューティングデバイスに、各候補がステントストラット画像データを含む偽陽性であるかどうかを判定させる命令が、検出された候補ステントストラット画像データをモデルステントストラット画像データと比較するステップをさらに含む。一実施形態では、各走査線のピーク強度を決定した後、コンピューティングデバイスは、コンピューティングデバイスに側枝の走査線をサンプルに分割させるさらなる命令を含む。
【0016】
一実施形態では、コンピューティングデバイスは、モデルストラットに対して検証する前に、コンピューティングデバイスに隣接する隣接走査線をクラスタリングさせるさらなる命令を含む。一実施形態では、コンピューティングデバイスは、コンピューティングデバイスに、検出されたストラットのリストに検証されたストラットを追加させるさらなる命令を含む。
【0017】
一実施形態では、強度>線におけるピーク強度を有するサンプルの数が候補ストラットについての閾値Tより大きい場合、候補ストラット又は候補ストラットを含む走査線を破棄する。一実施形態では、コンピューティングデバイスは、コンピューティングデバイスに各側枝の開始フレーム及び終了フレームを決定させるさらなる命令を含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面は、必ずしも縮尺通りではなく、その代わりに概して例示的な原理が強調されている。図面は、全ての態様において例示的であるとみなされるべきであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、その範囲は特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0019】
【
図1A】本開示の例示的な実施形態による、例示的な血管内データ収集システム及び関連する血管内データ収集プローブ並びに関連する画像処理、検出、及び他のソフトウェアコンポーネントである。
【0020】
【
図1B】本開示の例示的な実施形態によるステント留置された血管の断面OCT画像である。
【0021】
【
図1C】本開示の例示的な実施形態による、斜めでないジェイルされた側枝を含むステント留置された血管の断面OCT画像である。
【0022】
【
図2】本開示の例示的な実施形態による、OCT画像データにおけるジェイルストラットを検出するためのプロセスフローチャートである。
【0023】
【
図3A】本開示の例示的な実施形態によるモデルストラットを示すグラフである。
【0024】
【
図3B】本開示の例示的な実施形態による真のストラットの検出を示すグラフである。
【0025】
【
図3C】本開示の例示的な実施形態による、血管管腔における偽陽性ストラットの検出を示すグラフである。
【0026】
【
図3D】本開示の例示的な実施形態による、血液中の偽陽性ストラットの検出を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、走査線及び走査線又は動脈に関して得られた他のデータを使用して生成された画像を含む血管内データを使用して、動脈の特徴を検出及び分析することを記載する。一実施形態において、血管内データは、動脈の側枝を遮断、閉じ込める(cage)、又はそうでなければ「ジェイル」する金属ステントストラットを検出するために分析及び変換される。血管内データは、例えば、関心のある血管の光干渉断層撮影(OCT)若しくは血管内超音波(IVUS)データ又は他の画像を含むことができる。血管内データは、各走査線に沿ったまばらな強度のピーク、すなわち、ほとんどの場合に大きい影として現れる側枝に対応する暗い領域によって囲まれるピークを識別するために分析されることができる。多くの場合、側枝は、2次元断面図における組織領域の開口として現れる。この結果として、側枝をジェイルするストラットによって投げかけられる影はない。
【0028】
一実施形態では、まばらなピークは、暗い背景に対する明るい信号の証拠があるかどうかを調べるために、走査線に沿った画像統計を分析することによって特徴付けられる。走査線が潜在的な金属ストラットの候補であるかどうかを調べるために、ライン測定閾値におけるナイーブ(naive)ピークとも呼ばれる閾値T又はT
s’が次に画像統計に適用される。連続走査線、又はその一部は、一実施形態では、それらが金属ストラットと一致する強度プロファイルに適合するかどうかを決定するために分析される。他の閾値及び指標(メトリック)(metrics)が、側枝関連走査線をフィルタリング及び選択して後続の検証の候補を識別するために使用されることができる。いくつかの実施例では、走査線識別後の更なる検証は不要である。
【0029】
図1Aは、動脈のような血管5、データ収集プローブ7並びに血管内データ収集及び処理システム10を示す高レベルの概略図である。システム10は、例えば、OCT、IVUS、又は他の血管内画像化システムを含むことができる。ステント12が血管5内に、側枝SBをジェイル又は塞ぐように配置されて示されている。システム10は、本明細書で説明するように、側枝検出、ピーク検出、エラー訂正、モデル比較、管腔検出、及び様々な他のプロセスを実行するのに適した様々なソフトウェアモジュールを含むことができる。システム10は、本明細書に記載される用途及びデータ収集のコヒーレンス及び帯域幅要件を満たす適切な光源を含むことができる。システム10は、超音波イメージングシステムを含むことができる。プローブ7は、1つ又は複数の光ファイバ15を有するカテーテル部分と、その中に配置されたプローブ先端部17とを有するカテーテル20を含むことができる。一実施形態では、プローブ先端部17はビームディレクタを含む。
【0030】
図示されるように、カテーテル20は、動脈管腔のような管腔11内に導入される。プローブ7は、光を管腔14の中に又はファイバ15の長手方向軸に垂直な方向に向けて案内する回転又は摺動可能なファイバ15を含むことができる。結果として、ファイバ15が回転するときにプローブの側部から案内される光の場合には、OCTデータが血管5の壁に対して収集される。血管5の壁は管腔境界を画定する。この管腔境界は、管腔検出ソフトウェアコンポーネントを用いてプローブ先端部17で収集された光信号から得られた距離測定値を用いて検出されることができる。側枝及びステントストラット及び他の特徴は、プローブによって動脈を通って引き戻される間に生成される走査線において識別されることができる。プローブ7は、一実施形態では超音波のような、OCTに加えて他のイメージングモダリティを含むことができる。
【0031】
図1Aに示すように、プローブ先端部17は、血管5のステント留置された領域に対して遠位にあるように、管腔11内に配置される。プローブ先端部17は、光を送り、例えば、ステント12、及び血管5の壁のような、物体から後方散乱光を受けるように構成される。プローブ先端部17及びデータ収集プローブ7の残り部分は、先端部が側枝SBに及ぶステント留置領域を通過するように管腔11を通って引っ張られる。
図1Bに示すように、プローブ7が血管内に挿入する前又は挿入後に示される。プローブ7は、OCTシステム10と光学的に通信する。光ファイバ15を介してプローブ7に接続するOCTシステム又はサブシステム10は、レーザのような光源、サンプルアーム及び基準アームを有する干渉計、様々な光路、クロック発生器、フォトダイオード、並びに他のOCTシステム構成要素を含むことができる。
【0032】
一実施形態では、平衡型フォトダイオードベースのシステムのような光受信器31が、プローブ7を出る光を受け取ることができる。コンピュータ、プロセッサ、ASIC若しくは他のデバイスのようなコンピューティングデバイス40は、OCTシステム10の一部であることができる又はOCTシステム10と電気的若しくは光学的に通信する別個のサブシステムとして含まれることができる。コンピューティングデバイス40は、メモリ、ストレージ、バス、並びに、以下に説明する側枝検出、ステントストラット候補の選択又は識別、ステントストラット検証、ステント画像データステント視覚化の相関及び比較、並びにプルバックデータ収集のために構成された画像データ処理段のようなデータ及びソフトウェア44を処理することに適した他の構成要素を含むことができる。一実施形態では、ソフトウェア44は、ジェイルされた側枝/ステント検出モジュールのような様々なモジュールを含むパイプラインを含むことができる。このモジュールは、本明細書で説明されるように、まばらなピーク検出モジュール、モデルストラット生成モジュール、偽陽性試験モジュールなどの様々な他のソフトウェアモジュールを含むことができる。
【0033】
一実施形態では、コンピューティングデバイス40は、側枝検出モジュール、管腔検出モジュール、ステント検出モジュール、ステントストラット検証モジュール、候補ステントストラット識別モジュール及び他のソフトウェアモジュールのようなソフトウェアモジュール又はプログラム44を含む又はそれにアクセスする。ソフトウェアモジュール又はプログラム44は、画像データ処理パイプライン又はそのコンポーネントモジュール及び1つ若しくは複数のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含むことができる。モジュールは、お互いのサブセットであることができ、さまざまな入力、出力、及びデータクラスを介して構成及び接続されることができる。
【0034】
例示的な画像処理パイプライン及びそのコンポーネントは、プログラム44の1つ又は複数を構成することができる。ソフトウェアモジュール又はプログラム44は、画像データを受け取り、そのような画像データを血管及びステントの2次元及び3次元ビューに変換し、管腔検出ソフトウェアモジュール、ピーク検出、ステント検出ソフトウェアモジュール、側枝検出ソフトウェアモジュール及びジェイルされた又はブロックされた側枝モジュールを含むことができる。本明細書に記載の画像データ処理パイプライン、そのコンポーネントソフトウェアモジュール並びに関連する方法及び方法のいずれかは、メモリに格納され、プロセッサ、デバイス、又は他の集積回路のような1つ又は複数のコンピューティングデバイスを使用して実行される。
【0035】
図1Aに示すように、ディスプレイ46はまた、収集された画像データを使用して生成された血管の断面図及び縦断面図のような情報47を示すためのシステム10の一部であることができる。そのOCT又はIVUS画像のようなステント及び側枝の表示は、ディスプレイ46を介してユーザに表示されることができる。側枝検出及びステント検出は、これらの特徴の表示及び表示された画像に含まれ得る識別標識による任意のコーディングまたはタグ付けに先立って実行される。このOCTベースの情報47は、1つ又は複数のグラフィックユーザインタフェース(複数可)(GUI)を使用して表示されることができる。
図1B及び1Cの画像は、GUI及び様々な入力デバイスを使用して表示及び対話することができる情報47の例である。
【0036】
さらに、この情報47は、限定ではなく、断面スキャンデータ、縦方向スキャン、直径グラフ、画像マスク、ステント、不完全密着(malapposition)の領域、管腔境界、並びにOCTシステム及びデータ収集プローブを使用して得られた血管又は基礎となる距離測定値の他の画像若しくは表現を含み得る。コンピューティングデバイス40はまた、(閾値及び測定された距離の比較に基づくような)ステントストラット及び不完全密着のレベル並びに、テキスト、矢印、色分け、強調表示、等高線、又は他の適切な人間若しくは機械可読表示のような他の血管特徴を識別するように構成された、1つ又は複数のメモリデバイス45に格納されることができる、ソフトウェア又はプログラム44も含むことができる。
【0037】
OCTデータがプローブで得られ、メモリに格納されると、それは、プルバック領域又はそのサブセットの長さに沿った血管の断面、縦方向及び/又は三次元ビューのような情報47を生成するように処理されることができる。これらのビューは、
図1B及び1Cに示され、本明細書で他に記載されているように、ユーザインタフェースの一部として示されることができる。
【0038】
図1Bは、血管内イメージングプローブ、この例ではOCTプローブを用いて得られたステント留置された血管の断面画像である。主血管11の管腔は、図示のように破線の楕円で区切られている。大きい側枝SBは斜めの角度で主血管に接合する。側枝管腔は、OCT画像データに暗い空隙として現れる。側枝開口部は、線SBa及びSBbによって画定される。線SBaはX字型の印が付され、線SBbはO字形の印が付されている。側枝14の側壁は、側枝が主血管と斜めの角度で接合するので、OCT画像において検出可能である。大きいストラットの影16もまた
図1Bの画像に示されている。
図1Bの断面画像における側枝SBは、一実施形態では、
図1Aに示す側枝SBに対応し得る。
【0039】
図1Bには、本発明に従って検出されたジェイルステントストラット18も見ることができる。側枝SBは、複数のジェイルストラット18によって閉塞される。これらのジェイルストラットは、ジェイルストラットが側枝空隙の上に重なるため、影ベースのストラット検出方法を使用して検出することができない。
【0040】
図1Bでは、影が側枝に対する斜めの離脱角のために枝の後壁に対して依然として見えるので、ストラットは、シャドー(影)法によって実際に検出される可能性がある。対照的に、
図1Cは、影検出ベースの技術を用いて検出可能でない可能性が高いストラットを含む。
図1Cでは、ストラットS9及びS11は、シャドー技術によって検出することが可能である(ただし保証されていない)が、S10は影が存在しないためシャドー技術によって検出不可能である。
【0041】
したがって、OCT画像データにおいてこれらのストラットに関連する影はない。しかしながら、本明細書に記載の検出方法を使用すると、これらのジェイルストラットは検出可能である。
図1Cは、OCTプローブ並びに血管内データ収集及び分析システムを使用して生成された血管内画像である。
【0042】
図1Cの画像は、側枝が主な枝から90°に近い角度で離れ、ストラットが図示されるように側枝及び他のものに対して検出される、斜めでない側枝の例を示す。ユーザインタフェース線L1及びL2は、血管内プローブから放射され、側枝の境界をつけて示されている。ステントストラットS1乃至S11が管腔境界の周りに示されている。ストラットS8、S9、S10及びS11は、図示のように側枝をジェイルしている。本明細書に記載される画像処理及び検証ステップは、図示された及びその他の側枝配向におけるこれらのタイプのジェイルストラットの検出の感度及び精度を高める。影のエッジは、E1及びE2によって示されている。
【0043】
一旦検出されると、ストラットは、ユーザインタフェース上に表示されることができ、このユーザインタフェースは、ステントストラットの正確な位置及び、ステントの配置を最適化し、副作用のリスクを低減するために調整が必要であるかどうかについて、重要な情報を臨床医に伝える。側枝の上のストラットの存在は治療のための重要なインプットであり、場合によっては、ジェイルされた側枝から生じる負の影響を緩和するために追加のインターベンションが実行されることができる。ユーザインタフェースは、断面画像、Lモード画像、Aライン画像、三次元レンダリング、又は検出されたストラットを視覚化するための任意の他の適切な表示フォーマットを含むことができる。
【0044】
高レベルでは、本明細書に開示された方法は、暗い領域によって縁取られている(bordered)明るいスポットを検出することによって、OCT画像データにおいてジェイルストラットを検出する。ステントストラット、特にベアメタルステントストラットは、OCTイメージングに使用されるコヒーレント光を反映する。本明細書に記載される方法は、血管内画像において検出され得るステントストラットと共に使用されることができる。一実施形態では、ストラットは、例えばベアメタルストラット「BMS」のような金属ストラットである。しかし、血管組織、脂質プラーク、及び他の血管内の特徴もコヒーレントな光を反射するので、反射率だけに基づいてOCT画像のストラットを区別することは困難になる。さらに、上述のように、ジェイルストラットによって投げられた影は、側枝管腔の背景に対して検出可能ではない。この問題を解決するために、ライン測定でのナイーブピーク(NPLM)と呼ばれるアルゴリズムが、ジェイルストラットを検出するために提供される。
【0045】
図2は、OCT画像データにおけるジェイルストラットを検出するためのプロセスフローチャートである。ステントストラット閾値T又はNPLMアルゴリズム100は、ジェイルストラットのOCT走査線、又はA線がストラット位置において本質的にまばらなピークであるという観察に基づいている。すなわち、走査線は異なる強度で反射し、ストラットは側枝の暗い背景に対して明るく見える。好ましい実施形態では、カテーテルが検出プロセスを妨害する可能性があるため、カテーテルを超えた走査線のみが分析される。本発明の方法及びシステムは、本明細書に記載の1つ又は複数のステップを含むことができる。他に要求されない限り、ステップは任意の順序で実行され得る。NPLMしきい値の代わりに、又はそれに加えて、他のしきい値Tが使用されることができる。
【0046】
方法100の第1のステップ110は、プルバックデータの側枝に対応する各走査線についての線におけるピーク強度(すなわち、最大強度)を計算することである。側枝に対応する走査線は、イメージングプロセスの間に収集された元の生画像データ120及び側枝データ130から、抽出される。生画像データは、様々なタイプ及びフォーマットであり得る。例えば、生画像データは、走査線、8ビットデータ、16ビットデータ、32ビットデータ、及び他のデータフォーマットであることができる。元の生画像データ120は、OCT走査線を含む。側枝データ130は、OCTプルバックにおける側枝の位置を含む。米国特許第8,831,321号に記載されているような側枝を検出するための方法、システム及び装置が知られており、その内容はその全体が参照により援用される。
【0047】
ステップ140において、各側枝走査線は、複数の「サンプル」に分割され、その後、サンプルは輝度について分析される。一実施形態では、分析は、イメージングカテーテルを越え、(既知の場合)側枝口(side-branch ostium)を越える一定の深さまでの走査線の部分を使用する。
【0048】
ステップ150において、サンプルは、走査線に沿った画像統計(image statistic)上で所定の閾値を上回る強度を持つサンプルをカウントするために分析される。選択された画像統計上の閾値は、各走査線に対して変化することができる。例えば、閾値強度は、所与の走査線についての最大ピーク強度の関数であることができ、その走査線からのサンプルは、走査線特有のピーク強度と比較されることができる。代替的には、同じ閾値強度が、異なる走査線からのサンプルを分析するために使用されることができる。
【0049】
一実施形態では、閾値強度は走査線特有であり、走査線で検出されたピーク強度に対応し、所与の走査線からのサンプルは、その特定の走査線についての線におけるピーク強度の10%(すなわち、0.1×線におけるピーク)より大きい強度を有するサンプルの数を識別するようにスクリーニングされる。一実施形態では、線におけるピーク強度に比例する閾値に対して結果を制限するためのサンプルのスクリーニングは、その線上の最大ピークと同等の結果を生成する。一実施形態では、閾値は各走査線に対して変化する。一実施形態では、ピーク強度の測定値は、走査線から閾値をもたらす走査線まで変化する。
【0050】
ステップ160において、ステップ150で計算されたサンプル数が、経験的に決定された閾値、又はNPLM閾値と比較される。NPLM閾値は、OCT画像上に現れたストラットのブルーミングの上限に基づいている。一実施形態では、NPLM閾値は、イメージングシステムごとに設定される。閾値は、感度レベルを確立し、それに応じてストラット検出方法のパラメータを調整することによって経験的に設定されることができる。ステップ150で計算されたサンプルの数がNPLM閾値以下である場合、走査線は、潜在的なストラットが含まれているとしてフラグが立てられ、プロセスはステップ170に進む。
【0051】
上述したように、ジェイルストラットは、側枝の暗い背景に対する走査線におけるまばらなピークとして現れる。NPLM閾値は、強度ピーク(複数可)のシャープネス及び全体幅を確認するために走査線プロファイルをテストする。余りにも多くのサンプルが閾値を超える場合、「ノー」経路がステップ165に続き、走査線は、ジェイルストラットを含まない可能性があるとして破棄されるか、又は、ペナルティを科された(penalized)走査線が、フラグ付き走査線の連続ブロックの一部であることが明らかになるまで/そうでない限り、ペナルティを科される(すなわち、除外される)。
【0052】
ステップ170では、隣接するフラグ付き走査線が、連続したブロックにクラスタリングされる。ストラット領域は、NPLM閾値の下で認定された連続走査線の数として定義される。各ストラットについて、仮の最終的な位置(Aライン及びオフセットの点で)も決定される。
【0053】
ステップ180において、潜在的なストラット及びその位置を特定した後に、ストラットは、オプションで、それらが真陽性又は偽陽性であるかどうかを決定するために綿密に調べられることができる。様々な実施形態では、検出されたストラットの線プロファイルが、比較メトリックとして線形相関係数を使用して、検出された位置における「モデル」ストラットのプロファイルと比較される。モデルストラットプロファイルは、検出されたストラットと同じピーク強度を有し、検出されたストラットと同じ走査線上の位置に、鋭いピークとして生成される。相関係数は、2つのベクトル又は変数間の関連性又は類似性を測定する。ここで、相関係数は、
【数1】
として定義され、
ここで、γ
xyは測定値間の相関係数であり、
x及びyは測定値であり、xは検出された潜在的ストラットに対応し、yはモデルストラットに対応する。
μ
x及びμ
yはこれらの測定のそれぞれの平均であり、
σ
x及びσ
yはこれらの測定値のそれぞれの標準偏差である。
【0054】
相関係数が、複数のデータセット及び実験的な分析に基づいて決定された経験的に決定された閾値よりも大きい場合、検出されたストラットは真の陽性とみなされ、検出されたストラットのリストに追加される(ステップ190)。相関係数が経験的に決定された閾値よりも小さい場合、検出されたストラットはペナルティを科される又は捨てられる。
【0055】
図3A−Dは、信号強度対ストラット位置をプロットする検証グラフである。
図3Aは、モデルストラットプロファイルを示すグラフである。X軸は、走査線に沿ったサンプルに対応する。Y軸はストラット強度に対応する。真のストラットプロファイルの形状は、典型的には、モデルストラットプロファイルと同じであり、したがって、モデルストラットとの高い相関性を持つ。
図3Bは、真のストラットの検出を示すグラフである。真の陽性のストラットのピーク形状は、モデルピークと類似している。
図3Cは、血管管腔で検出された偽陽性のストラットの検出を示すグラフである。
図3A及び3Bとは対照的に、
図3Cは、メインピークの右側に相当量の信号を示す。その結果、
図3Cに示されるプロファイルを伴って血管管腔で検出される潜在的ストラットは、モデルストラットに対して低い相関を有し、偽陽性として廃棄される。
図3Dは、管腔内の血液細胞によって引き起こされる別の偽陽性のストラットを示すグラフである。ここでもまた、モデルストラットに対する潜在的ストラットプロファイルの相関は、許容閾値を下回り、したがって、これも偽陽性として廃棄される。
【0056】
詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットの演算のアルゴリズム及び記号表現に関して提示される。これらのアルゴリズム記述及び表現は、コンピュータ及びソフトウェア関連の分野の当業者によって使用されることができる。一実施形態では、アルゴリズムは、ここでは、一般に、所望の結果につながる動作の自己無撞着シーケンス(self-consistent sequence)であると考えられる。本明細書に記載される方法ステップ又は別の方法として実行される動作は、物理量の物理的操作を必要とするものである。通常、必ずしも必要ではないが、これらの量は、格納、転送、結合、変換、比較、及びその他の操作が可能な電気信号又は磁気信号の形式をとる。
【0057】
本明細書で提示されるアルゴリズムおよびディスプレイは、本質的に、特定のコンピュータまたは他の装置に関連しない。様々な汎用システムが、本明細書の教示に従ってプログラムと共に使用されてもよく、または必要な方法ステップを実行するためにより特殊化された装置を構築することが好都合であることがわかるかもしれない。様々なこれらのシステムに必要な構造は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0058】
本発明の実施形態は、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、又は汎用コンピュータ)とともに使用するためのコンピュータプログラムロジック、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のPLD)、ディスクリートコンポーネント、集積回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))、又はそれらの任意の組み合わせを含む任意の他の手段を含むが、これに限定されない多くの異なる形態で実装され得る。本発明の典型的な実施形態では、OCTプローブ、FFRプローブ、血管造影システム、並びに他のイメージング及び被験者モニタリングデバイス及びプロセッサベースのシステムを使用して収集されるデータの処理の一部又は全部が、コンピュータ実行可能形式に変換され、コンピュータ可読媒体にそのように格納され、オペレーティングシステムの制御下でマイクロプロセッサによって実行されるコンピュータプログラム命令のセットとして実装される。したがって、例えば、プルバック又は共同位置合わせ(co-registration)要求の完了に基づくユーザインタフェース命令、検出ステップ及びトリガは、OCTデータの生成、ストラットの検出、ストラットの検証、検出された且つ検証されたストラットの表示、並びに上述の様々な及び他の特徴及び実施形態を使用して画像処理を実行することに適したプロセッサ理解可能命令に変換される。
【0059】
本明細書で先に説明した機能の全部又は一部を実装するコンピュータプログラムロジックは、ソースコード形式、コンピュータ実行可能形式、及び様々な中間形式(例えば、アセンブラ、コンパイラ、リンカ、又はロケータによって生成される形式)を含むが、決してこれらに限定されない、様々な形式で具体化され得る。ソースコードは、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティング環境で使用するための様々なプログラミング言語(例えば、オブジェクトコード、アセンブリ言語、又はFortran、C、C++、JAVA(登録商標)、若しくはHTMLのような高級言語)のいずれかで実装される一連のコンピュータプログラム命令を含み得る。ソースコードは、様々なデータ構造及び通信メッセージを定義し、使用し得る。ソースコードは、(例えば、インタプリタを介して)コンピュータ実行可能形式であってもよく、又はソースコードは(例えば、トランスレータ、アセンブラ、若しくはコンパイラを介して)コンピュータ実行可能形式に変換されてもよい。
【0060】
コンピュータプログラムは、半導体メモリデバイス(例えば、RAM、ROM、PROM、RRPROM、又はフラッシュプログラマブルRAM)、磁気メモリデバイス(例えば、ディスケット又は固定ディスク)、光学メモリデバイス(例えば、CD−ROM)、PCカード(例えば、PCMCIAカード)、あるいは他のメモリデバイスのような、有形の記憶媒体に恒久的又は一時的のいずれかの任意の形式(例えばソースコード形式、コンピュータ実行可能形式、又は中間形式)で固定され得る。コンピュータプログラムは、アナログ技術、デジタル技術、光学技術、無線技術(例えば、ブルートゥース(登録商標)、ネットワーキング技術、及びインターネットワーキング技術を含むが、決してこれらに限定されない様々な通信技術のいずれかを使用してコンピュータに送信可能である信号の任意の形式に固定され得る。コンピュータプログラムは、印刷された又は電子的な文書(シュリンクラップされたソフトウェアなど)を伴うリムーバブル記憶媒体として配布され得る、コンピュータシステム(例えば、システムROM又は固定ディスク上)にプリロードされ得る、あるいはサーバ若しくは通信システム(例えば、インターネット又はワールドワイドウェブ)を介した電子掲示板から配布され得る。
【0061】
本明細書で先に説明された機能の全部又は一部を実装するハードウェアロジック(プログラマブルロジックデバイスとともに使用するためのプログラマブルロジックを含む)は、従来の手動方法を使用して設計され得る、あるいは、コンピュータ支援設計(CAD)、ハードウェア記述言語(例えば、VHDL若しくはAHDL)、又はPLDプログラミング言語(例えば、PALASM、ABEL、若しくはCUPL)のような様々なツールを使用して電子的に設計され、取り込まれ、シミュレーションされ、あるいは文書化され得る。
【0062】
プログラマブルロジックは、半導体メモリデバイス(例えば、RAM、ROM、PROM、EEPROM、又はフラッシュプログラマブルRAM)、磁気メモリデバイス(例えば、ディスケット又は固定ディスク)、光学メモリデバイス(例えば、CD−ROM)、あるいは他のメモリデバイスのような、有形の記憶媒体に恒久的又は一時的のいずれかで固定され得る。プログラマブルロジックは、アナログ技術、デジタル技術、光学技術、無線技術(例えば、ブルートゥース(登録商標)、ネットワーキング技術、及びインターネットワーキング技術を含むが、決してこれらに限定されない様々な通信技術のいずれかを使用してコンピュータに送信可能である信号に固定され得る。プログラマブルロジックは、印刷文書又は電子文書(シュリンクラップソフトウェアなど)を伴うリムーバブル記憶媒体として配布され得る、コンピュータシステム(例えば、システムROM又は固定ディスク)に予めロードされ得る、あるいはサーバ又は通信システム(例えば、インターネット又はワールドワイドウェブ)上の電子掲示板から配布され得る。
【0063】
適切な処理モジュールの様々な例が以下により詳細に論じられる。本明細書で使用される場合、モジュールは、特定のデータ処理タスク又はデータ送信タスクを実行するのに適したソフトウェア、ハードウェア、又はファームウェアを指す。一実施形態では、モジュールは、命令、又は血管造影データ、OCTデータ、IVUSデータ、ピーク強度、適応閾値、及び本明細書に記載の関心のある他の情報のような様々なタイプのデータを受信、変換、ルーティング及び処理するのに適したソフトウェアルーチン、プログラム、又は他のメモリ常駐アプリケーションを指す。
【0064】
本明細書に記載されるコンピュータ及びコンピュータシステムは、データを取得、処理、格納及び/又は通信するのに使用されるソフトウェアアプリケーションを格納するためのメモリのような動作可能に関連付けられたコンピュータ可読媒体を含み得る。このようなメモリは、その動作可能に関連付けられたコンピュータ又はコンピュータシステムに関して、内部、外部、リモート又はローカルであり得ることが理解されることができる。
【0065】
メモリはまた、例えば、限定ではなく、ハードディスク、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、DVD(デジタルバーサタイルディスク)、CD(コンパクトディスク)、メモリスティック、フラッシュメモリ、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)、PROM(プログラマブルROM)、EEPROM(拡張消去可能なPROM)、及び/又は他の同様のコンピュータ可読媒体を含む、ソフトウェア又は他の命令を格納するための任意の手段を含み得る。
【0066】
概して、本明細書に記載の本発明の実施形態に関連して適用されるコンピュータ可読メモリ媒体は、プログラマブル装置によって実行される命令を格納することができる任意のメモリ媒体を含み得る。適用可能な場合には、本明細書に記載された方法ステップは、コンピュータ可読メモリ媒体又はメモリ媒体に記憶された命令として具体化又は実行され得る。これらの命令は、C++、C、Java(登録商標)のような様々なプログラミング言語、及び/又は本発明の実施形態による命令を作成するために適用され得る様々な他の種類のソフトウェアプログラミング言語で具体化されたソフトウェアであってもよい。
【0067】
本発明の態様、実施形態、特徴及び実施例は、全ての点で例示的であると見なされるべきであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、その範囲は特許請求の範囲によってのみ規定される。他の実施形態、修正及び使用法は、請求項に記載された発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者には明らかになるであろう。
【0068】
本出願における見出し及び段落の使用は、本発明を限定することを意味するものではない。各段落は、本発明の任意の態様、実施形態、又は特徴に適用することができる。
【0069】
出願全体を通じて、組成物が特定の成分を有する、含む、若しくは備えていると記載されている場合、又はプロセスが、特定のプロセスステップを有する、含む、若しくは備えていると記載されている場合、本教示の組成物は、列挙された成分から本質的になる、又はそれらからなり、本明細書の教示のプロセスもまた、列挙されたプロセスステップから本質的になる、又はそれらからなることが考えられる。
【0070】
出願において、要素又は構成要素が列挙された要素又は構成要素のリストに含まれる及び/又はそこから選択されると言われる場合、要素又は構成要素は、列挙された要素又は構成要素のいずれか1つであることができるとともに、列挙された要素又は構成要素の2以上からなるグループから選択されることができることが理解されるべきである。さらに、本明細書に記載された組成物、装置、又は方法の要素及び/又は特徴は、本明細書の明示的であろうと黙示的であろうと、本教示の精神及び範囲から逸脱することなく様々な方法で組み合わせられることができることが理解されるべきである。
【0071】
「含む」、「含む」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有する」、又は「有している」という用語の使用は、他に特に断らない限り、オープンエンド且つ非限定的であると一般に理解されるべきである。
【0072】
本明細書中の単数形の使用は、特に断らない限り、複数形(及びその逆も含む)を含む。さらに、単数形「1つの(“a”、“an”)」、及び「その(“the”)」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形を含む。加えて、用語「約」の使用が定量値の前にある場合、特に教示しない限り、本教示は特定の定量値自体も含む。本明細書で使用される場合、用語「約」は、公称値(nominal value)から±10%の変動を指す。
【0073】
本教示が動作可能なままである限り、特定の動作を実行するためのステップの順序又は順序は重要ではないことが理解されるべきである。さらに、2以上のステップ又はアクションが同時に実行されてもよい。
【0074】
値の範囲又はリストが提供される場合、値のその範囲又はリストの上限と下限との間に位置する各値は、個々に考慮され、あたかも各値が具体的に列挙されているかのように本発明に包含される。加えて、所与の範囲の上限及び下限の間並びにそれらを含むより小さい範囲が、考慮され、本発明に包含される。例示的な値又は範囲のリストは、所与の範囲の上限及び下限の間並びにそれらを含む他の値又は範囲の排除ではない。