特許第6961590号(P6961590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961590血管から閉塞性血塊を除去するための血塊回収装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961590
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】血管から閉塞性血塊を除去するための血塊回収装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   A61B17/22 528
【請求項の数】18
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2018-527175(P2018-527175)
(86)(22)【出願日】2016年11月23日
(65)【公表番号】特表2018-537183(P2018-537183A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】EP2016078595
(87)【国際公開番号】WO2017089424
(87)【国際公開日】20170601
【審査請求日】2019年11月22日
(31)【優先権主張番号】62/259,976
(32)【優先日】2015年11月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/952,202
(32)【優先日】2015年11月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/342,012
(32)【優先日】2016年5月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515248931
【氏名又は名称】ニューラヴィ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ベイル・デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ケーシー・ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】ギルバリー・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】オゴーマン・ジャクリーン
(72)【発明者】
【氏名】キング・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マッカードル・ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ファイー・ブライアン
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0143653(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0200608(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0224177(US,A1)
【文献】 特表2015−505250(JP,A)
【文献】 特表2014−525796(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0133990(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能な構造体と、細長い部材と、を備える、血塊を身体血管から除去するための血塊除去装置であって、
前記細長い部材が近位端と遠位端とを有し、前記細長い部材がその遠位端で前記拡張可能な構造体に接続されており、
前記拡張可能な構造体が、拘束された送達構成と、拡張された血塊係合展開構成と、少なくとも部分的に拘束された血塊挟持構成と、を有しており、
前記拡張可能な構造体の少なくとも一部が、前記血塊係合展開構成では血塊を係合するように、かつ、前記血塊係合展開構成から前記血塊挟持構成への移行時には血塊を挟持するように、構成されており、
前記拡張可能な構造体が、前記血塊係合展開構成から前記血塊挟持構成への移行時に血塊を挟持するように構成されている血塊挟持構造体を含み、
前記拡張可能な構造体が、主本体部分を含み、前記血塊挟持構造体の直径が、前記主本体部分の直径未満であり、
前記血塊挟持構造体が複数の血塊受容セルを含み、前記血塊受容セルはクラウン間に延在する支柱を含み、前記支柱は、前記血塊除去装置が、前記血塊係合展開構成から前記少なくとも部分的に拘束された血塊挟持構成に移行されるときに、前記血塊受容セル内に位置する血塊を挟持するように構成されており、
隣接する支柱が、前記支柱を接合している前記クラウンに向かって遠位に狭くなるチャネルを画定しており、
前記血塊除去装置が、前記主本体部分と前記血塊挟持構造体との間の移行部に放射線不透過性マーカーを備える、血塊除去装置。
【請求項2】
前記血塊挟持構造体が、前記拡張可能な構造体の近位端に位置する、請求項1に記載の血塊除去装置。
【請求項3】
前記血塊挟持構造体が実質的に管状である、請求項1又は2に記載の血塊除去装置。
【請求項4】
前記血塊挟持構造体が渦巻状形態である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の血塊除去装置。
【請求項5】
前記拡張可能な構造体が、管状であり、かつ、相互接続された支柱の網状構造体を含んでおり、
前記支柱の網状構造体が、拡張された状態で血塊と係合するように構成されており、
前記網状構造体は、前記拡張された状態において、前記網状構造体の少なくとも一部が血塊に相互貫入するように構成されており、
前記網状構造体は、前記網状構造体が前記血塊との相互貫入の状態のまま折り畳まれるときに、前記網状構造体の少なくとも一部が前記血塊の少なくとも一部を挟持するように、更に構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の血塊除去装置。
【請求項6】
前記網状構造体が前記血塊に相互貫入していると共に、前記網状構造体の少なくとも一部が前記血塊の少なくとも一部に対して挟持をもたらしている状態で、前記細長い部材が前記網状構造体を後退させるように構成されている、請求項5に記載の血塊除去装置。
【請求項7】
前記拡張可能な構造体が、少なくとも第1のセルと、少なくとも1つの第2のセルと、を含み、前記第1及び第2のセルのそれぞれが、折り畳まれた送達構成と展開された拡張構成とを含み、前記拡張構成では、それぞれのセルがオリフィスを更に含んでおり、前記拡張可能な構造体が、血塊に相互貫入するように構成されており、前記血塊の前記相互貫入が、前記第1のセルの少なくとも1つを介した、血塊の少なくとも一部の押し出しを含んでおり、前記第1及び第2のセルのうちの少なくともいくつかの前記オリフィスは、前記血塊本体の少なくとも一部が前記構造体に相互貫入できるように構成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の血塊除去装置。
【請求項8】
前記拡張可能な構造体が、前記血塊係合展開構成の内径よりも小さい内径を有する内腔の内部で展開されると、前記内腔の内部に外側径方向力を働かせるように構成されており、前記拡張可能な構造体が、前記拡張可能な構造体の長さに沿って、概ね正弦波のパターンで変化する外側径方向力を働かせるように構成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の血塊除去装置。
【請求項9】
前記概ね正弦波のパターンが波形パターンを含み、前記波形パターンの振幅が、前記血塊除去装置の前記長さに沿って概ね一貫している、請求項8に記載の血塊除去装置。
【請求項10】
前記概ね正弦波のパターンが波形パターンを含み、前記波形パターンの振幅が、前記血塊除去装置の前記長さに沿って減少し、前記血塊除去装置の近位端ではより高く、遠位端ではより低くなっている、請求項8に記載の血塊除去装置。
【請求項11】
前記拡張可能な構造体が複数の隣接するセグメントを含み、前記隣接するセグメントのそれぞれは、前記血塊係合展開構成の内径よりも小さい内径を有する内腔の内部で展開されると、前記内腔の内部に異なる外側径方向力を働かせるように構成されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の血塊除去装置。
【請求項12】
遠位の血塊断片保護区画を備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の血塊除去装置。
【請求項13】
前記拡張可能な構造体が、ニチノールなどの形状記憶材料で作ったものである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の血塊除去装置。
【請求項14】
前記主本体部分の直径の前記血塊挟持構造体の直径に対する比が、1.5:1〜4:1である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の血塊除去装置。
【請求項15】
前記主本体部分の直径の前記血塊挟持構造体の直径に対する比が、2:1〜3:1である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の血塊除去装置。
【請求項16】
前記主本体部分の長手方向軸線が、前記血塊挟持構造体の長手方向軸線と同一直線上にある、請求項1〜15のいずれか一項に記載の血塊除去装置。
【請求項17】
前記血塊挟持構造体の長手方向軸線が、前記主本体部分の長手方向軸線からオフセットされている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の血塊除去装置。
【請求項18】
前記血塊除去装置が、前記主本体部分を貫通して延在する長手方向軸線を有しており、前記血塊挟持構造体が、前記長手方向軸線の周りに渦巻状に延在する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の血塊除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管から急性遮断物を除去することを目的とした装置に関する。急性障害物としては、血塊、誤配置された装置、移動された装置、大きな塞栓などが挙げられ得る。
【背景技術】
【0002】
血栓塞栓症は、血栓の一部又はすべてが血管壁から剥離したときに発生する。この血塊(以降、塞栓と呼ぶ)はその後、血流の方向に運ばれる。慮血性発作は、脳の血管系内に血塊が留まった場合に結果として生じ得る。肺塞栓症は、血塊が静脈系で又は心臓の右側で発生し、肺動脈又はその支脈内に留まると、結果として生じ得る。血塊はまた、解放されずに塞栓の形状で発達し、血管を局所的に遮断し得る。この機序は、冠状動脈の遮断物の形成において一般的である。本発明は特に、急性虚血発作(AIS)に苦しむ患者の大脳動脈から、心筋梗塞(MI)に苦しむ患者の本来の血管又は移植血管から、肺塞栓症(PE)に苦しむ患者の肺動脈から、並びに血塊が閉塞を引き起こしている他の末梢動脈及び静脈から、血塊を除去するのに適している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明によれば、拡張可能な構造体及び細長い部材を備える、身体血管から血塊を除去するための血塊除去装置が提供され、細長い部材は近位端及び遠位端を有しており、細長い部材はその遠位端で拡張可能な構造体に接続されており、拡張可能な構造体は、拘束された送達構成、拡張された血塊係合展開構成、及び少なくとも部分的に拘束された血塊挟持構成を有しており、拡張可能な構造体の少なくとも一部は、拡張された展開構成では血塊を係合するように、展開構成から血塊挟持構成への移行時には血塊を挟持するように構成されている。
【0004】
一事例では、拡張可能な構造体は、展開構成から血塊挟持構成への移行時に血塊を挟持するように構成されている血塊挟持構造体を含む。
【0005】
一実施形態では、拡張可能な構造体は、主本体部分及び血塊挟持構造体を含み、血塊挟持構造体の直径は、主本体部分の直径未満である。血塊挟持構造体は、拡張可能な構造体の近位端に位置してもよい。
【0006】
一事例では、血塊挟持構造体は実質的に管状である。血塊挟持構造体は渦巻状形態であってもよい。
【0007】
一実施形態では、血塊挟持構造体は複数の血塊受容セルを含み、セルはクラウン間に延在する支柱を含み、支柱は、装置が、拡張された展開構成から少なくとも部分的に拘束された血塊挟持構成に移行されるときに、セル内に位置する血塊を挟持するように構成されている。
【0008】
一事例では、隣接する支柱は、支柱を接合しているクラウンに向かって遠位に狭くなるチャネルを画定する。
【0009】
隣接する支柱は、装置が血塊挟持構成に移行されると閉じるように構成されている狭くなった領域をその間に画定してもよい。
【0010】
一実施形態では、隣接するセルのクラウンは、装置の長手方向軸線に沿ってオフセットされている。隣接する支柱は、長さが異なっていてもよい。
【0011】
一事例では、セルは、近位向きのクラウンと遠位向きのクラウンとを有しており、近位向きのクラウンは、遠位向きのクラウンの直径よりも大きい直径を有する。
【0012】
一実施形態では、血塊挟持構造体の近位端の方にある血塊受容セルのサイズは、血塊挟持構造体の遠位端の方にあるセルよりも小さい。
【0013】
いくつかの事例では、隣接する支柱は、少なくとも1つの屈曲部又はうねり部を含み、屈曲部は、装置が血塊挟持構成に移行されるときに、隣接する支柱の屈曲部が相互に係合するように構成されている。支柱は、その長さに沿って複数の屈曲部を含んでいてもよい。
【0014】
屈曲部は、支柱の遠位端の方に位置してもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、拡張可能な構造体は、ニチノールなどの形状記憶材料で作ったものである。
【0016】
いくつかの事例では、主本体部分の直径の血塊挟持構造体の直径に対する比は、1.5:1〜4:1であり、いくつかの事例では、2:1〜3:1である。
【0017】
装置は、主本体部分と血塊挟持構造体との間の移行部に放射線不透過性マーカーを含んでいてもよい。
【0018】
主本体部分の長手方向軸線は、血塊挟持構造体の長手方向軸線と同一直線上であってもよい。
【0019】
いくつかの事例では、血塊挟持構造体の長手方向軸線は、主本体部分の長手方向軸線からオフセットされている。
【0020】
一実施形態では、装置は、主本体部分を貫通して延在する長手方向軸線を有しており、血塊挟持構造体は、長手方向軸線の周りに渦巻状に延在する。
【0021】
本発明によれば、組織化した血塊を身体血管から除去するための血塊除去装置もまた提供され、装置は、拡張可能な管状構造体と細長い部材とを備えており、
細長い部材は近位端及び遠位端を含んでおり、
拡張可能な管状構造体は、相互接続された支柱の網状構造体を含んでおり、上記網状構造体は、拡張された状態で血塊と係合するように構成されており、
網状構造体は、拡張された状態において、網状構造体の少なくとも一部が血塊に相互貫入するように構成されており、
網状構造体は、網状構造体が血塊との相互貫入の状態から折り畳まれるときに、網状構造体の少なくとも一部が血塊の少なくとも一部を挟持するように更に構成されている。
【0022】
網状構造体が血塊に相互貫入していると共に、網状構造体の少なくとも一部が血塊の少なくとも一部に対して挟持をもたらしている状態で、細長い部材が網状構造体を後退させるように構成されている、上記の装置もまた提供される。
【0023】
本発明によれば、組織化した血塊を身体血管から除去するための血塊除去装置もまた提供され、装置は、拡張可能な管状構造体と細長い部材とを備えており、
細長い部材は近位端及び遠位端を含み、細長い部材はその遠位端で管状構造体に接続されており、
拡張可能な管状構造体は、展開されて組織化した血塊と接触状態になるときに、組織化した血塊に相互貫入するように構成されており、
拡張可能な管状構造体は、複数の、1つの端部のみで相互接続された第1及び第2の支柱部材を更に含んでおり、それぞれの支柱の対は拡張構成に付勢されたバネ要素を含み、少なくとも1つの第1のバネ要素は軟らかいバネ要素を含み、少なくとも1つの第2のバネ要素は管状構造体の折り畳みが非対称になるような硬いバネ要素を含んでおり、
構造体の非対称の折り畳みは、第1のバネ要素の少なくとも一部と相互貫入状態にある組織化した血塊の一部に対して挟持をもたらす。
【0024】
本発明によれば、血塊を身体血管から除去するための血塊除去装置もまた提供され、装置は、拡張可能な構造体と細長い部材とを備えており、
細長い部材は近位端及び遠位端を含み、細長い部材はその遠位端で拡張可能な構造体に接続されており、
拡張可能な構造体は、少なくとも第1のセル及び少なくとも1つの第2のセルを含んでおり、上記第1及び第2のセルのそれぞれは、折り畳まれた送達構成及び展開された拡張構成を含み、拡張構成では、それぞれのセルはオリフィスを更に含んでおり、
拡張可能な構造体は、血塊に相互貫入するように構成されており、上記血塊の相互貫入は、上記第1のセルの少なくとも1つを介した、血塊の少なくとも一部の押し出しを含んでおり、
その結果、少なくともいくつかのセルのオリフィスが、血塊本体の少なくとも一部が構造体に相互貫入することができるように構成されている。
【0025】
本発明によれば、血塊係合要素を備える、血管から閉塞性血塊を除去するための血塊回収装置もまた提供され、血塊係合要素は、拘束された送達構成及び拡張された展開構成を有しており、血塊係合要素は、拡張された展開構成のものよりも小さい内径を有する内腔の内部で展開されると、外側径方向力を働かせるように構成されており、上記外側径方向力は、血塊係合要素の長さに沿って概ね正弦波のパターンで変化する。
【0026】
概ね正弦波のパターンが波形パターンを含み、波形パターンの振幅が装置の長さに沿って概ね一貫している、上記の血塊回収装置もまた提供される。
【0027】
概ね正弦波のパターンが波形パターンを含み、波形パターンの振幅が装置の長さに沿って減少し、装置の近位端では高く、遠位端では低くなっている、上記の血塊回収装置もまた提供される。
【0028】
血塊係合要素が複数の隣接するセグメントを含み、少なくとも2つの隣接するセグメントの径方向力が互いに異なる、上記の血塊回収装置もまた提供される。
【0029】
遠位の血塊断片保護区画を備える、上記の任意の血塊回収装置もまた提供される。
【0030】
本発明によれば、血管から閉塞性血塊を除去する方法であって、
血塊係合区画を有する血塊回収装置を提供する工程であって、装置が、拘束された送達構成及び拡張された展開構成を有する、工程と、閉塞性血塊を横切ってマイクロカテーテルを前進させる工程と、
装置をマイクロカテーテルに装填し、マイクロカテーテルの遠位部分に前進させる工程と、
マイクロカテーテルを後退させて、装置を展開し、血塊係合区画を血塊と係合させる工程と、
マイクロカテーテルを再び前進させて、血塊係合区画の少なくとも一部を再被覆する工程と、
装置の少なくとも一部及び捕捉された血塊を回収カテーテル内に回収する工程と、を含む、方法が提供される。
【0031】
この方法の追加の変種も提供され、変種には、
回収カテーテルが中間カテーテルである、上記の方法、
回収カテーテルがバルーンガイドカテーテル、又はガイドカテーテル、又はシースである、上記の方法、
血塊係合区画の一部を再被覆する行為により、血塊の一部が血塊係合区画のセル内に挟持される、上記の方法、
血塊回収装置が血塊の少なくとも一部を挟持するように構成されている、上記の方法、
血塊内での装置の展開後に装置を近位に引く工程を含む、上記の方法、
展開後に装置を遠位に押すのを遅らせて、再被覆の前に血塊に更に埋め込む工程を含む、上記の方法、
回収カテーテル内に回収する前に、装置を近位に引いてより大きい血管に入れる工程を含む、上記の方法、が挙げられる。
【0032】
閉塞性血塊を血管セグメントから移動させ、除去する方法であって、
血塊回収装置を提供する工程であって、血塊回収装置が、モノリシック管状構造体と、細長い部材と、を備えており、モノリシック管状構造体が細長い部材の遠位端に位置し、モノリシック管状構造体が、最も拘束された送達構成、部分的に折り畳まれた挟持構成、及び血塊係合展開構成を有する、工程と、
血管セグメントの近位部分を通って患者の外部に延在する細長い部材を用いて、モノリシック管状構造体をその最も拘束された送達構成からその血塊係合展開構成に拡張することによって、閉塞性血塊をモノリシック管状構造体と係合する工程と、
モノリシック管状構造体を血塊係合展開構成から部分的に折り畳まれた挟持構成に部分的に折り畳んで、閉塞性血塊の少なくとも一部に対して挟持をもたらす工程と、
モノリシック管状構造体を部分的に折り畳まれた挟持構成で拘束する工程と、
拘束を維持しながらモノリシック管状構造体を後退させることによって、閉塞の部位から血塊を移動させ、同血塊を血管セグメントから除去する工程と、を含む、更なる方法が提供される。
【0033】
閉塞した血管を有し、閉塞が組織化した血塊を含んでいる、患者を処置する方法であって、
血塊回収装置及び除去カテーテルを提供する工程であって、血塊回収装置が、拡張可能な要素と、細長い部材と、を備えており、拡張可能な要素が細長い部材の遠位端に位置し、拡張可能な要素が、完全に折り畳まれた送達構成、完全に拡張された展開構成を有し、拡張可能な要素が血塊挟持下部構造体を含み、血塊挟持下部構造体は、拡張可能な要素が完全に拡張された構成から少なくとも部分的に折り畳まれると、血塊本体の少なくとも一部を挟持するように構成され、除去カテーテルがその遠位端に鍔部を含む、工程と、
マイクロカテーテルを介して血塊回収装置をその折り畳まれた構成で閉塞した血管に送達する工程と、
拡張可能な要素を展開して血塊の少なくとも一部と接触させる工程と、
細長い部材の位置を固定した状態に維持しながら、細長い部材に沿って除去カテーテルを前進させる工程と、
除去カテーテルの鍔部を拡張可能な要素と係合し、組織化した血塊の少なくとも一部を挟持するように挟持下部構造体を作用させる工程と、
鍔部と拡張可能な要素との間の係合を維持しながら、血管から除去カテーテル及び血塊回収装置を一緒に引き抜く工程と、
血塊回収装置、除去カテーテル、及び挟持された閉塞性血塊を患者から除去する工程と、を含む、方法もまた提供される。
【0034】
いくつかの実施形態では、装置の少なくとも一部及び捕捉された血塊を回収カテーテル内に回収する行為は、回収カテーテルを介して吸引する工程を含む。
【0035】
いくつかの事例では、血塊係合区画の一部を再被覆する行為により、血塊の一部が血塊係合区画のセル内に挟持される。
【0036】
いくつかの実施形態では、方法は、血塊内での装置の展開後に装置を近位に引く工程を含む。
【0037】
いくつかの事例では、方法は、展開後に装置を遠位に押すのを遅らせて、再被覆の前に血塊に更に埋め込む工程を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、方法は、回収カテーテル内に回収する前に、装置を近位に引いてより大きい血管に入れる工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明は、例示のみを目的として与えられた、そのいくつかの実施形態の以下の説明から、添付の図面を参照して、より明確に理解されるであろう。
図1a】本発明の血塊回収装置の使用方法を示す。
図1b】本発明の血塊回収装置の使用方法を示す。
図1c】本発明の血塊回収装置の使用方法を示す。
図1d】本発明の血塊回収装置の使用方法を示す。
図1e】本発明の血塊回収装置の使用方法を示す。
図2a図1a〜図1eに示した装置の追加の図である。
図2b図1a〜図1eに示した装置の追加の図である。
図2c図1a〜図1eに示した装置の追加の図である。
図3a】本発明の装置構成の等角図、及び長さに沿った径方向力分布のグラフを示す。
図3b】本発明の装置構成の等角図、及び長さに沿った径方向力分布のグラフを示す。
図3c】本発明の装置構成の等角図、及び長さに沿った径方向力分布のグラフを示す。
図3d】本発明の装置構成の等角図、及び長さに沿った径方向力分布のグラフを示す。
図4a】本発明の血塊回収装置のフラットな構成の使用方法を示す。
図4b】本発明の血塊回収装置のフラットな構成の使用方法を示す。
図4c】本発明の血塊回収装置のフラットな構成の使用方法を示す。
図4d】本発明の血塊回収装置のフラットな構成の使用方法を示す。
図4e】本発明の血塊回収装置のフラットな構成の使用方法を示す。
図5a】本発明の別の実施形態の一連の図である。
図5b】本発明の別の実施形態の一連の図である。
図5c】本発明の別の実施形態の一連の図である。
図5d】本発明の別の実施形態の一連の図である。
図6a】本発明の別の実施形態の一連の図である。
図6b】本発明の別の実施形態の一連の図である。
図6c】本発明の別の実施形態の一連の図である。
図6d】本発明の別の実施形態の一連の図である。
図7a】内側及び外側径方向構造からなる本発明の装置組立体を示す。
図7b】内側及び外側径方向構造からなる本発明の装置組立体を示す。
図7c】内側及び外側径方向構造からなる本発明の装置組立体を示す。
図7d】内側及び外側径方向構造からなる本発明の装置組立体を示す。
図7e】内側及び外側径方向構造からなる本発明の装置組立体を示す。
図8図7a〜図7dに示した装置の別の構成の側面図である。
図9】外側ケージの一部として形成された本発明の画像である。
図10図11に示す外側ケージと内側チャネルとを含む装置の組立体を例示する。
図11】内側チャネルの一部として形成された本発明の図である。
図12図11に示した内側チャネルと外側ケージとを含む装置の組立体を例示する。
図13】外側ケージセルが内側チャネルセルと整列している、本発明の別の実施形態を例示する。
図14a図13に示した外側ケージのセグメントを示す。
図14b図13に示した外側ケージのセグメントを示す。
図15図13に示した外側ケージのセグメントを、縮小した直径で示す。
図16図13に示した内側チャネルのセグメントを示す。
図17】内側及び外側の構成要素セグメントの位置合わせを示す。
図18】本発明のセルパターンの実施例を例示する。
図19】複数の構造体からなる本発明の実施形態を示す。
図20a】装置の長さ及びマンドレル上の中心線位置に沿って渦巻状になっている、本発明の血塊回収装置を示す。
図20b】装置の長さ及びマンドレル上の中心線位置に沿って渦巻状になっている、本発明の血塊回収装置を示す。
図21】フラットな中央区画を有する別の螺旋状血塊回収装置の図である。
図22】輪郭断面の中央区画を有する、本発明の別の螺旋状血塊回収装置を示す。
図23a】一連の渦巻状装置の中央部分の断面図を示す。
図23b】一連の渦巻状装置の中央部分の断面図を示す。
図23c】一連の渦巻状装置の中央部分の断面図を示す。
図24a】本発明の別の螺旋状血塊回収装置の図である。
図24b】本発明の別の螺旋状血塊回収装置の図である。
図25】複数の螺旋状構成要素から形成された装置を例示する。
図26】張力下で伸長することができる装置の実施形態を示す。
図27a】遠位の断片保護構造体を含む、本発明の実施形態を例示する。
図27b】遠位の断片保護構造体を含む、本発明の実施形態を例示する。
図28図27に例示した装置の使用方法を示す。
図29】管状構成要素が螺旋状構成又は渦巻状構成で形成されている別の実施形態を例示する。
図30】使用中の図29の装置を例示する。
図31】血管分岐部の図である。
図32a】真っ直ぐな管状構成要素(図32a)及び螺旋状構成の管状構成要素(図32b)の血塊内での係合における違いを例示する。
図32b】真っ直ぐな管状構成要素(図32a)及び螺旋状構成の管状構成要素(図32b)の血塊内での係合における違いを例示する。
図33】血管分岐部に位置する血塊内で展開された螺旋状の管状構成要素の図である。
図34】さまざまな血塊タイプ(clot tyres)の移動及び保持に適した、本発明による別の装置の図である。
図35a図34の装置の外側ケージ構成要素(図35a)及び螺旋状構成要素(図35b)を例示する。
図35b図34の装置の外側ケージ構成要素(図35a)及び螺旋状構成要素(図35b)を例示する。
図36】内側螺旋状構成要素及び外側ケージを備える、本発明の別の装置の図である。
図37】近位区画が、マイクロカテーテルによって部分的に再被覆されたとき、血塊を挟持するように構成されている、本発明による別の装置を例示する。
図38】装置のさまざまな支柱パターンを例示する。
図39】装置のさまざまな支柱パターンを例示する。
図40】装置のさまざまな支柱パターンを例示する。
図41】装置のさまざまな支柱パターンを例示する。
図42】装置のさまざまな支柱パターンを例示する。
図43】装置のさまざまな支柱パターンを例示する。
図44a】血塊挟持を促進する支柱/クラウン構成を例示する。
図44b】血塊挟持を促進する支柱/クラウン構成を例示する。
図44c】血塊挟持を促進する支柱/クラウン構成を例示する。
図45】本発明の別の装置の輪郭及び外形の図である。
図46図45の矢印Aの方向から見たときの図45の装置の端面図である。
図47図45の装置に類似した形状の装置を追加の支柱及び接続の詳細と共に示す。
図48】外側シャフト並びに渦巻状区画及び本体区画の形状が例示されている、装置の別の実施形態を示す。
図49a図6a〜図6dの装置の部分平面図である。
図49b】使用中の図49aの装置を例示する。
図49c】使用中の図49aの装置を例示する。
図50a】マイクロカテーテルで再被覆される先行技術のステント回収器型装置を例示する。
図50b】マイクロカテーテルで再被覆される先行技術のステント回収器型装置を例示する。
図50c】マイクロカテーテルで再被覆される先行技術のステント回収器型装置を例示する。
図51a】血塊内で展開された、本発明の装置を示す。
図51b】血塊内で展開された、本発明の装置を示す。
図51c】血塊内で展開された、本発明の装置を示す。
図52a】先行技術のステント回収器型装置の支柱を拡張構成(図52a)及び収縮構成(図52b)で例示する。
図52b】先行技術のステント回収器型装置の支柱を拡張構成(図52a)及び収縮構成(図52b)で例示する。
図53】本発明の装置の支柱構成を示す。
図54a】本発明の装置の支柱構成を例示する。
図54b】本発明の装置の支柱構成を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
ここでは、本発明の具体的な実施形態が図面を参照して詳細に説明され、同一参照番号は、同一又は機能的に類似した要素を示す。「遠位」又は「近位」という用語は、以下の説明において治療医師に対して相対的な位置又は方向に関して使用される。「遠位」又は「遠位に」は、医師から離れた位置又は離れる方向である。「近位」又は「近位に」又は「近接した」は、医師に近い位置又は向かう方向である。
【0041】
大脳、冠状動脈、及び肺の血管にアクセスすることは、複数の市販の製品及び従来の手続工程を使用することを含む。ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、血管造影カテーテル及びマイクロカテーテルなどのアクセス製品は、他の場所に記載され、カテーテル処置室の手順で定常的に使用されるものである。以下の記述において、これらの製品及び方法は、本発明の装置及び方法と併せて用いられることが想定され、そのことを詳細に説明する必要はない。
【0042】
以下の詳細な記述は、単に例示的なものでしかなく、本発明又は本発明の適用及び使用を制限することを意図するものではない。本発明の記述は、多くの場合は頭蓋内動脈の処置との関連におけるものであるが、本発明はまた、前述のように他の身体通路においても使用され得る。
【0043】
開示された設計の拡張可能な部材は、望ましくは、強く変形された送達構成から解放されると、その形状を自動的に回復することができる材料から作製される。ニチノール又は類似の特性を有する合金などの超弾性材料が特に適している。材料は、ワイヤ又はストリップ又はシート又はチューブなどの多くの形態であってよい。特に適している製造プロセスは、ニチノールチューブをレーザ切断し、次いで、結果として生じた構造体をヒートセット及び電解研磨して、支柱及び接続要素の骨組みを作製することである。この骨組みは、本明細書に開示されているように多種多様な形状のいずれかにすることができ、また、合金元素(例えば、白金など)の添加によって又は他のさまざまなコーティング若しくはマーカーバンドによって、蛍光透視検査の下で可視化されてもよい。
【0044】
内容全体を参照によって本明細書に引用したものとする、出願者らの国際公開第2012/120490(A)号に記載されているように、血塊の圧縮は、血塊の特性を改変し、血塊がより硬くかつ「より粘着性の高い」ものになることによって、血塊を回収しにくいものにし得る。本発明の装置は、有意な表面領域にわたって血塊と係合し、それを血塊の最小限の圧縮で行うような方法で、血塊と血管壁との間で拡張することによって、血塊回収を容易にすることを意図している。装置は、最小血塊圧縮の領域が散在させられている、支柱の深い埋め込みと共に高圧縮のリングを有するように構築されているため、全体的な血塊圧縮は最小化される。血塊の一部は、低圧縮の領域内に突出することができ、カテーテルの先端部と装置のニチノール支柱との間に挟持されることができる。挟持は、カテーテルの先端部と装置上のクラウン又は支柱との間で血塊の一部が圧縮されるまで、マイクロカテーテル又は中間カテーテルを装置の上に進めることによって達成される。この挟持により、血塊に対して、特に、フィブリンが豊富な血塊に対して装置の把持力が増すので、血塊の除去は容易になる。これはまた、血塊も伸長させ得、移動させるプロセス中に血塊を血管壁から離れる方向に引くことによって、移動に要する力を減少させ得る。この挟持は、血塊の近位端を制御し、血塊が側枝血管にひっかかるのを防止することによって、アクセスガイドカテーテル又はシースへの回収時に血塊の保持を潜在的に改善する。
【0045】
本発明で詳述される、閉塞性血塊の挟持を容易にする装置設計は、装置の全長部分に、又はより典型的には装置の長さの近位30%〜50%に、組み込まれることができる。この挟持セグメントの直径は、閉塞性血塊の位置において標的血管の直径の30%〜150%に変化することができるが、中大脳動脈のための好ましい実施形態では、より典型的には、標的血管の直径の50%〜100%である。本発明では、マイクロカテーテル先端部と単一の管状構造体上の支柱若しくはクラウンとの間に血塊挟持をどのように発生させることができるか、又は、代替的に、カテーテル先端部と組立体の外側ケージ若しくは内側チャネル上の支柱との間に血塊をどのように挟持させることができるかを詳述する。
【0046】
本発明の内側チャネルはまた、血塊を横切って血液連通チャネルを形成するために、血塊の領域を圧縮する部分を含んでもよい。このようなチャネルは2つの重要な目的にかなう、すなわち、1)血塊を横切る圧力勾配を低減し、これにより、血塊を後退させるために打ち勝たなければならない力のうちの1つを小さくし、及び2)酸素を豊富に含んだ、栄養を運んでいる血液が、血塊の遠位の虚血領域に到達するための流路を提供する。
【0047】
本明細書に記載のすべての装置はまた、図7、8、9、10、11、及び12に例示されているものなど、遠位の断片捕捉部分を備えていてもよい。この部分は、理想的には、回収中に自由になり得る任意の血塊断片の遠位移動を防止するように、血塊の遠位に展開される。
【0048】
図1a〜図1eは、本発明の装置の使用方法を示している。ガイドワイヤ102及びマイクロカテーテル103は、血管系100内に挿入され、従来既知の技術を使用して閉塞性血塊101を横切って前進させられる。マイクロカテーテル103が閉塞性血塊101の遠位に位置付けられると、血塊回収装置110がマイクロカテーテルの中を前進できるように、ガイドワイヤ102は血管系100から取り出される。装置110は、装置の遠位先端部がマイクロカテーテル103の遠位端に到達するまで、折り畳まれた構成で前進させられる。マイクロカテーテルは、装置110の位置が維持されたまま後退させられて、血塊回収装置を、装置の遠位端が好ましくは血塊101の遠位に位置付けられる態様で、血塊101を横切って展開する(図1b)。装置110は、細長い近位シャフト部分111に接続された血塊係合部分112からなる。
【0049】
装置110は、近位端において又はその長さに沿って閉塞性血塊と係合するように拡張する。装置は、低レベルの足場を有し、かつ、血塊を圧縮しないが、血塊がこれらの低径方向力領域内に突出することができる、セグメントを有する。装置110は、所望により、血塊101内で一定期間インキュベートすることが可能であってもよい。装置を後退させる前に、マイクロカテーテルは、遠位に進められて、マイクロカテーテルの先端部と低径方向力領域に隣接する装置の支柱及びクラウンとの間に血塊の一部を挟持することができる。この挟持は、アクセスガイドカテーテル又はイントロデューサシースへの移動及び再保持を行う間、血塊の近位端の追加的な把持及び制御を提供する(図1e)。装置とマイクロカテーテルとの間の相対的な張力は、血塊への挟持が確実に維持されるように、移動及び後退中に使用者によって維持される。本発明で使用されるとき、マイクロカテーテル又は中間カテーテルを使用して血塊を挟持することは、追加の利点を与えるものとして記載されているが、必要ならば、本明細書に記載のすべての実施形態はまた、カテーテル挟持を使用せずに血塊を移動及び回収するために使用されてもよい。
【0050】
血管内の血流停止は、標準的な技術により、ガイドカテーテル上でバルーン(図示せず)を膨張させることによって利用されてもよい。図1eは、ガイドカテーテル104内への回収中に装置と係合されている血塊を例示している。血流閉塞、吸引、及び他の標準的な技術が、血塊回収プロセス中に使用されてよい。装置110は、挿入器具に再装填する前に、生理食塩水中ですすぎ、優しく洗浄されてよい。装置110は、必要ならば、マイクロカテーテルに再導入されて、閉塞性血塊の追加のセグメント内に再展開されてもよい。
【0051】
図2a〜図2cは、図1a〜図1eに例示した装置の一実施形態の近位端を示している。装置は、典型的には、ニチノールなどの「超弾性」特性を有する材料から形成されるものであり、チューブ又はフラットシートの原材料からレーザ切断及び拡張されることができる。装置130の自己拡張区画は、近位の細長いシャフト131に接続されている。本発明の装置は、血塊挟持をもたらし、装置130と血塊135との間に追加の把持を生成するように設計されている。装置130は、低足場及び低径方向力の領域132が散在させられている、良好な血塊埋め込みを提供するのに十分な径方向力を有する支柱134のリングからなるように、構築されている。支柱のリング間の長手方向距離は2mm〜8mmに変化し得るが、中大脳動脈内で使用するための好ましい実施形態では、長手方向間隔は3〜6mmである。
【0052】
支柱134は、血塊の足場の一部を埋め込み及び提供するが、低足場を有する領域132により、血塊136はこの領域内に突出することができる。所望により、典型的には1〜5分のインキュベーション時間後、マイクロカテーテル140(装置又は代替マイクロカテーテルを導入するために使用される)は、前進させて、マイクロカテーテルの先端部144と装置130の支柱及びクラウン142との間に突出血塊136を挟持することができる。支柱134は、これらの支柱の自由に拡張された直径が、閉塞性血塊の位置で標的血管の直径の30%〜150%に変化することができるとき、良好な埋め込みを達成するが、好ましい実施形態では、標的血管直径の50%〜100%である。示されている実施形態では、支柱134のリング間の接続支柱133は、径方向力及び足場を最小にするように、縮小した直径で、支柱の中央区画に向かって湾曲している。この特徴はまた、図3a及び図3bにおいても見ることができる。
【0053】
装置130に対するマイクロカテーテル140の更なる遠位の前進は、カテーテル先端部144と装置の支柱142との間の血塊141を更に圧縮し、血塊への挟持(図2c)及び捕捉された血塊セグメント136の固定が強化されるであろう。使用者は、この挟持を抵抗として感知し、マイクロカテーテルを前進させることをやめてもよく、又は、代替的に、使用者は、装置及びマイクロカテーテルを共に後退させる前に、マイクロカテーテルを装置の上に一定の距離(例えば、装置長さの30%〜50%)だけ前進させてもよい。装置130とマイクロカテーテル140との間の相対的な張力は、装置と血塊との間の挟持が低下することのないように維持される必要がある。装置130及びマイクロカテーテル140を共に後退させることにより、閉塞性血塊は、移動され後退させられてアクセスガイドカテーテル又はイントロデューサシース内に入り、患者から取り出されることができる。本発明は、高いフィブリン含量(典型的には40%を超えるフィブリン含量)を有する血塊、及び既知のステント回収器設計では移動させ回収することが困難であり、現在のところ、血管系から血塊を除去するために複数のパスを必要とし得る他の血塊の移動及び後退に特に適している。本発明はまた、マイクロカテーテル140について本明細書に記載されているのと同じ態様で中間カテーテルを前進させることによって血塊挟持をもたらしてもよい。
【0054】
図3aは、装置の別の実施形態の等角図である。この構成では、装置の埋め込み区画は、セルのリング151からなる。この実施形態では、このリング151は、3つの円周方向セルからなる。円周方向リングにおけるセルの数は2〜5に変化することができるが、好ましい実施形態では、3つ又は4つのセルである。図2a〜図2cに示されている装置と同様に、埋め込みセル区画間の装置の部分152は、低径方向力及び低レベルの足場を有する。低レベルの足場は、この領域152における装置支柱と血塊との間の潜在的な表面接触領域を最小にすることによって達成される。この実施形態では、接続支柱153は、血塊との支柱の接触力及び接触領域を更に小さくするように、装置の中心線に向かって中間点で湾曲している。この小さい表面接触領域及び径方向力により、血塊は、装置が閉塞性血塊内で展開されているときに、装置のこの区画内に突出することができる。次いで、マイクロカテーテル又は中間カテーテルで装置を部分的に再被覆すると、この突出血塊をカテーテルの先端部とセルの埋め込みリングの近位支柱154との間に挟持することができる。
【0055】
図3bは、図3aに例示されている装置の側面図を、装置の長さに対してプロットされた対応する径方向力のグラフと共に示している。点線155及び157は、血塊に埋まっているセルのリングが、リング間の区画152と比べて大きい径方向力を有する様子を示している。点線156は、この区画の減少した径方向力を示している。
【0056】
図3cは、図3aの装置150に類似した本発明の3つの装置の、その自由に拡張された直径の50%未満の内腔内に拘束されたときの、外側径方向力プロファイルを例示している。3つすべてが前述の概ね正弦波のパターンを呈しているが、径方向力のピーク及びトラフの大きさ(又は振幅)は、これらの装置の長さに沿って変化している。プロファイル50は、装置の長さに沿ってテーパ状に上昇する径方向力プロファイルを表しており、第1のピーク51の径方向力は、後続のピーク52〜54の径方向力よりも小さい。プロファイル60は、装置の長さに沿ってテーパ状に下降する径方向力プロファイルを表しており、第1のピーク61の径方向力は、後続のピーク62〜64の径方向力よりも大きい。プロファイル70は、装置の長さに沿ってテーパ状に上昇し、次いで下降する、径方向力プロファイルを表しており、第1のピーク71の径方向力は第2のピーク72の径方向力よりも小さいが、最後のピーク74の径方向力は最後から2番目のピーク73の径方向力よりも小さい。
【0057】
図3dは、代わりに装置がその自由に拡張された直径の50%を超える(例えば80%の)内腔内に拘束された場合に、径方向力プロファイル70がどのように見え得るかを例示している。この場合、図示されている3つのピーク81、82、83の両側の領域において、装置がその拘束内腔に対して外側径方向力を全く働かせていないことが分かる。したがって、装置は、ピーク間の領域内では血塊に対して最小限の圧縮力を働かせながら、ピークの領域内では血塊に対する把持を維持しており、これは、血塊を後退させるのに必要な力を最小にするのに役立ち、ひいては血塊回収に成功する可能性が高まる。
【0058】
図3c及び図3dはまた、これら3つの異なる装置の支柱要素の径方向圧力も表している。径方向圧力は、装置から受ける単位面積当たりの力を指すという点において、径方向力とは異なる。したがって、2つの装置が所与の領域に対して同じ径方向力を有し、かつ、一方の装置がその所与の領域において他方よりも小さい支柱表面積を有する場合、支柱表面積が小さい方の装置はより高い径方向圧力を働かせる。これは、血塊把持のために非常に重要であり、なぜならば、径方向圧力は、支柱が自身を血塊物質内に埋め込むことを可能にするものであるからである。これは、スチレットヒールと象の足との間の違いにいくぶん似ている。すなわち、柔らかい砂の上に立っているとき、スチレットヒールは砂の中に深く沈むが、象の足はそれほど深く沈まないであろう。したがって、所与のレベルの径方向力に対し、装置の径方向圧力は、支柱表面積を小さくすることによって増加させることができ、支柱表面積を小さくすることは、支柱の幅又は支柱の数を減らすことによって行うことができる。
【0059】
血塊把持に対するこの増加させた径方向圧力の有効性は、血管の長手方向軸線に対する支柱の角度を最大化することによって、更に高めることができる。支柱の角度が大きいほど、支柱が血塊を通り過ぎずに把持する能力は高まる。理想的には、支柱は最適な把持のために血管軸線と90度の角度で接近するであろうが、複数の理由から、これを実際に達成することは困難であり得る。この主な理由の1つは、装置が、血塊の下で最初に展開されるとき、典型的には、その自由に拡張された直径のほんの一部までしか拡張されないことである。これは、装置が後退させられるとき、装置が大きい直径に拡張することができると有利であるからであり、それにより、装置がより大きい更に近位の血管内に後退させられたときに、装置は血塊への把持を維持し、かつ、血管壁と接触した状態であり続けることができる。本発明者らは、この問題に対する有効な解決策、すなわち、本開示の全体を通じてさまざまな図、例えば図7aなどで示されるような2段階の直径の装置を発見した。近位のより小さい直径は、確実な把持のために支柱を急勾配の開き角度で血塊内にしっかりと埋め込むために使用することができる一方、より大きい直径の遠位区画は、より大きい血管内へ後退させられるときに、血管壁と接触した状態であり続け、かつ、血塊の遠位移動を防ぐために、拡張することができる。この構成では、近位区画の支柱角度は、血管軸線に対して30度よりも大きく、又は好ましくは45度よりも大きく、又は更により好ましくは60度の大きさにすることができる。図7dは、この点をより詳細に例示している。
【0060】
図4a〜図4eは、フラットシートから形成された別の装置の実施形態を示している。図4aは、装置160の平面図を示しており、同装置は、この実施形態では、正弦波形状縁部165により画定され、横断支柱164により接続されている、2列のセル162から形成されている。装置は、近位シャフト161に接続されている。図4bは、血管170内に位置する閉塞性血塊174内で展開された装置160のアイソメトリックタイプの図を示している。明確にするために、血管170は切り欠き図で提供されている。マイクロカテーテル172は、近位シャフト上に位置付けられて示されており、マイクロカテーテルの先端部は、装置の血塊係合区画とシャフトとの間の接合部に位置している。血塊174が装置160と接触している場所では、血塊の部分171がセルを通って突出している。図4cは、血塊183及び装置182を含めて、血管180の断面図を示している。この図は、装置181のセルを通って突出している血塊を例示している。
【0061】
図4dは、マイクロカテーテル200が進められて、切り欠き血管204内で装置を部分的に再被覆すると、血塊がどのように挟持されるかを示している、装置206の近位端の拡大図である。血塊の突出部分210は、装置の支柱とマイクロカテーテル200との間に捕捉されている。図4eは、同時に後退させられている装置206及びマイクロカテーテル200を示しており、血塊の突出片211に対する挟持された把持により、血塊の本体205が血管204から移動させられている。
【0062】
図5a〜図5dは、本発明の装置の管状の代替実施形態を示している。図5a〜図5dは、装置230の側面図、端面図、平面図、及び等角図を示している。この装置は、長さに沿って、低径方向力セグメント232と共に埋め込み支柱の交互リング231を有する。好ましい実施形態は、血塊内への最適な埋め込みのために、径方向パターン内に4〜8本の支柱を含む。この実施形態における区画232内の接続支柱233は、最適な押し出し性により、装置が蛇行性の解剖学的構造を通って確実に送達されることができるように、真っ直ぐである。
【0063】
図6a〜図6dは、本発明の別の実施形態を示している。図6a〜図6dは、装置240の側面図、平面図、端面図、及び等角図を示している。この装置は、低径方向力セグメント242と共に埋め込みセルの交互リング241を有する。好ましい実施形態は、血塊内への最適な埋め込みのために、径方向パターン内に2〜4個のセルを含む。この実施形態において支柱のリングの代わりにセルのリングを使用することは、マイクロカテーテルが前進するにつれて、より近位の支柱のリング245がマイクロカテーテルによって包まれても、各セグメント内の遠位の支柱のリング244がより長く拡張された状態に留まるので、血塊挟持を改善し得る。これにより、血塊内の支柱埋め込みがより長く維持され、支柱とマイクロカテーテルとの間の血塊の挟持が改善される。
【0064】
図7a〜図7dは、外側ケージ及び内側構成要素の組立体からなる実施形態を例示している。この実施形態では、外側構成要素250の近位部256は、図1及び図2について記載されているのと同じ態様で血塊を挟持するように設計されており、血塊内に埋め込むためのセルの交互セグメント251、並びに低径方向力及び低足場のセグメント252を含む。外側構成要素のこの近位部256は、アクセスガイドカテーテル又はイントロデューサシース内への装置及び血塊の後退前に内頚動脈内のより大きい血管直径内に回収されるので、追加の血塊保持のための拡大された直径及びより大きいセル253を有する本体区画255に接合されている。本体区画255の直径の近位区画の直径に対する比は、1.5:1〜4:1に変化することができ、好ましい実施形態では、2:1〜3:1である。
【0065】
図7bは、組立体の内側構成要素260を示している。この構成要素は、本体区画262をシャフト(図示せず)に接続する細長い近位支柱261を含む。構成要素260はまた、断片保護構造体263及び遠位非外傷性先端部264も含む。図7cは、組立体270内で2つの構成要素がどのように整列されているかを示している。細長い近位支柱273は、外側ケージの近位部277の下に位置付けられており、その結果、低径方向力セグメント内への血塊突出部に対して最小限の制約が存在する。内側構成要素の本体区画274は、外側構成要素の本体区画271内に位置付けられており、血塊を横切る圧力勾配を壊し、血流の回復をもたらす、血流チャネルを提供する。遠位の断片保護構造体275は、開口端部272を有し、血塊断片及び塞栓の喪失からの保護を提供する、外側ケージの端部の内側に着座している。図7dは、この組立体270の等角図を示している。
【0066】
図7eは、血管259内の血塊258の内部に展開された装置250を示しており、図7aの血塊係合要素250のものなど、段付直径設計の重要な利点を例示している。近位区画256の支柱の相対的に高い径方向力及び径方向圧力により、同区画の支柱251は血塊内に深く埋まることができ、それにより、マイクロカテーテル(図示せず)の前進によって後でセル252内において挟持されることができる血塊隆起部257がもたらされる。加えて、近位区画256のより小さい自由に拡張された直径は、この区画の支柱251が、遠位区画255の支柱よりもはるかに急勾配の角度で傾斜していることを意味し、これにより、同支柱は、安定して後退するために、よりずっと効果的に血塊を把持することができる。図3d及び図3eに関連した説明には、これらの支柱角度の意義がより詳細に記載されている。
【0067】
図8は、内側構成要素285に接続された断片保護構造体283が、外側ケージ282の端部の遠位に位置付けられている、図7に示した組立体の別の構成280を示している。外側ケージの端部286と断片保護構造体283との間に間隙を設けることにより、とりわけ、装置が蛇行性血管内を後退させられるときに、断片保護性能が向上し得る。外側ケージが完全に回収されても、断片保護区域283は依然として完全に拡張されていて、保護を提供するであろうことから、装置がカテーテル内へ回収されるときもまた、有益であり得る。
【0068】
図9は、別の外側ケージ構成330の側面図であり、構成要素の近位部335は、カテーテルが遠位に進められると、図7に記載されるとおりに血塊を挟持するように設計されている。この構成では、構成要素330はまた、回収時の血塊保持のための本体区画332も含み、また遠位断片区域334も含む。図10は、図9に記載の外側ケージ342と内側チャネル344との組立体340を示している。この組立体340内の内側チャネル344は、近位区画341の下も含めて外側ケージ342の全長部分にわたり延在する。
【0069】
図11は、本体区画362と、血塊突出及び血塊挟持を促進するために埋め込みセルの交互セグメント361及び低足場領域363を含む近位区画364と、からなる内側構成要素360を示している。図12は、この内側チャネル設計373が、組立体370内でどのように外側ケージ372と統合され得るかを例示している。外側ケージ372は、内側構成要素の近位区画371と係合している血塊に対するあらゆる障害を最小限に抑えるために、延伸された近位支柱375を有する。
【0070】
図13は、外側ケージ402と内側チャネル408との組立体からなる、本発明の別の実施形態400を示している。これら2つの構成要素は、近位シャフト401及び遠位放射線不透過性先端部405に接続されている。この実施形態では、内側チャネル408は、低支柱密度又は足場の領域406に隣接する、血塊内に深く埋まるための支柱の交互リング407を有することによって、本明細書の他の場所に記載されるとおりに血塊挟持を容易にするように設計されている。この内側構成要素408が外側ケージ402の内部に位置付けられると、外側ケージの支柱は、内側チャネル408内の血塊の埋め込み及び突出を妨げる可能性がある。この問題を解消するために、外側ケージ402は、自由に拡張された内側チャネルと同じ直径まで外側ケージが部分的に拡張されたときに、外側ケージの支柱が内側チャネル408の支柱と揃うように設計されている。
【0071】
図14a及び図14bは、図13に例示した外側ケージのセグメント420を示している。セグメント420は、内側チャネルの自由に拡張された直径よりも大きいが、外側ケージの自由に拡張された直径よりも小さい直径まで拡張された状態で図14aに示されている。画像では支柱421の「ドッグレッグ」形状を見ることができ、この成形支柱は、周方向及び長さ方向に繰り返されてセル425を形成している。図14bは、より長いセグメント424に図の角度(A)で接続された短いセグメント423から支柱形状がどのように構成されているかを示している。この角度は、20°〜90°に変化することができ、好ましい実施形態では、30°〜60°である。支柱の短いセグメント423はまた、より長いセグメント424と比較して拡大された支柱幅を有してもよい。この構成では、短い支柱セグメント423は、より長い支柱セグメント424より高い拡張力を有しており、したがって、優先的な拡張を有することになり、クラウン426はクラウン427が拡張する前に開くであろう。これにより、外側ケージには、支柱423及びクラウン426が完全に拡張してから、支柱424及びクラウン427が拡張する、2段階の拡張プロセスがもたらされる。この2段階の拡張プロセスはまた、第1段階の拡張が完了したときに減少する径方向力プロファイルをもたらす。この支柱構成は、第1段階の拡張直径以上の直径を有するニチノールチューブからこの支柱プロファイルをレーザ切断することによって製造されることができる。代替的には、その部分をより小さいチューブからレーザ切断し、ヒートセット時に支柱をこの形状に拘束させることもできる。
【0072】
図15は、図14と同じ外側ケージセグメントを示している。しかしながら、この画像では、セグメント430は、自由に拡張された内側チャネルと同じ直径にある。これは、支柱432は完全に拡張されているが、支柱434はまだ折り畳まれた状態であるときの、第1段階の拡張工程の端部と同じ直径である。図16は、図14及び図15に例示した外側ケージセグメントと整列する内側チャネルのセグメントを示している。図13で論じたように、このセグメント440は、支柱のリング442と、低径方向力かつ低支柱密度の領域444と、を含む。
【0073】
図17は、内側チャネルセグメント453(図16に記載されている)の上に重なっている外側ケージセグメント452(図15に記載されている)を示している。この設計の利点は、図示されるように両セグメントの支柱が完全に揃っており、その結果、血塊に埋まっている支柱区画450に対して障害物が存在しないことである。同様に、セル領域451内に突出している血塊に対して障害物が存在せず、これにより、マイクロカテーテルが遠位に進められたときの挟持が容易になる。加えて、ガイドカテーテル又はシースに向かって装置が近位に後退させられたとき、血管直径が拡大しても、外側ケージは拡張し、血塊との接触を維持し続けることができる。
【0074】
図18は、血塊挟持に有益であるセルパターン470を示している。このパターン470は、管状又はフラットな装置構成に組み込まれることができる。血管系内で閉塞性血塊を横切って展開されると、大きいセル領域473内に血塊突出が起こる。好適なインキュベーション時間後、マイクロカテーテルは、近位側472から前進させられて、装置を部分的に再被覆することができる。マイクロカテーテルは、セル473内へ突出している血塊に接触すると、同セル内で遠位に移動して支柱471間の領域474に入るように血塊を強制する。捕捉された血塊をクラウン475に向かって導く、狭くなる支柱は、カテーテル先端部と装置との間の血塊に対して改善された挟持をもたらす。
【0075】
図19は、並列に接続された複数の管状構成要素の組立体470からなる、本発明の構成を例示している。示されている構成では、2つの構成要素472及び473は、支柱474によって近位端で接続され、続いて近位シャフト471に接続されている。ここに図示されている両構成要素472及び473は、図3及び図6に記載の実施形態と同様のものである。これらの構成要素の位置合わせは、この画像に示されているようにずれていてもよく、また構成要素は、長さに沿って互いに巻き付いていてもよい。3つ以上の構成要素はこの態様で共に接続されてよく、またそれぞれの構成要素は、異なる直径を有してよく、又は長さに沿ってテーパ形状であってよい。これらの構成要素の組立体は、マイクロカテーテル又は中間カテーテルで装置が部分的に再被覆されたときに、血塊の挟持及び把持を改善する潜在能力を有する。
【0076】
図20aは、管状構成要素480が、螺旋状又は渦巻状形状482に形成され、近位シャフト481に接続されている、装置の構成を示している。構成要素483の切断パターンは、図3及び図6に記載されているとおりに血塊の埋め込み及び把持を促進するように設計されている。しかしながら、この構成では、構成要素の中心線は、図20bに示されているような螺旋状軌道をなぞり、軌道491は円柱状マンドレル490の表面をなぞっている。
【0077】
図21に示す別の装置の実施形態では、フラットな装置500は、装置の中心線がまたこの事例でも螺旋状経路を形成するように形成されている。この装置は、必要な支柱パターン502をチューブからレーザ切断することによって、又はフラットシートをレーザ切断し、次いで、ヒーセットを行う前にフラット部を円柱の周囲に巻き付けることによって、形成され得る。したがって、装置は、円柱の周囲に幅の広いリボンを巻き付けるのと類似の形状を有する。この装置が閉塞性血塊を横切って展開されると、血塊は、低支柱密度の領域内に突出できるだけでなく、螺旋状コイルの中央内腔内にも突出することができる。装置後退時、これにより、血塊の把持性能及び移動性能を改善することができ、また、マイクロカテーテル又は中間カテーテルが血塊に接触するまで装置の上に遠位に進められたとき、血塊挟持を容易にすることもできる。示されている実施形態500は、装置の本体部506内でフラットな断面を有する。螺旋状の本体区画は、近位シャフト501と、遠位先端部504を有する遠位の断片保護構造体503と、に接続されている。図22は、本体セグメント522の湾曲又は輪郭断面形状を除いて図21に類似した別の装置の実施形態520を示している。図23a〜図23cは、本発明のこの構成において組み込まれ得るさまざまな断面形状の実施例を示している。図23aはフラットな断面531を示しており、図23bは「S」字形の断面532を示しており、図23cは湾曲断面533を示している。
【0078】
図24aは、図23cに示した断面に類似している湾曲断面を有する別の螺旋状構成の装置550を示している。レーザ切断された又はワイヤで形成された血塊係合区画553は、近位シャフト551に接続されている。マイクロカテーテルは、図1に記載されているように、この装置と共に使用されて、血塊を挟持し、血塊に対する改善された把持を生成することができる。マイクロ又は中間カテーテルは、装置の上に進められて血塊を挟持するとき、血管の中心線をなぞることができ、又は、代替的に、装置の中心線をなぞり、図24bに示すように螺旋状軌道をなぞることもできる。カテーテル561は、再被覆時に血管の中心線562をなぞると、螺旋状コイル内の内腔空間564内に良好な血塊の挟持を生成することができる。代替的には、カテーテル561は、図示されているように装置の中心線563をなぞると、切断パターンのセル560内に良好な血塊の挟持を生成することができる。図25は、二重螺旋型構造を形成するように2つの螺旋状構成要素583及び584から構築されている装置の実施形態580を示している。
【0079】
図26は、装置の近位部601が、必要ならば、図7に記載のものと同様に血塊挟持を容易にするように設計されている、本発明の別の実施形態600を例示している。本体区画604もまた、図7に記載のものと同様であるが、この実施形態では、近位区画と本体区画との間の接続部603は張力下で伸長することができる。これにより、装置によって移動させられている間の血塊の伸長が容易になる。血塊の近位端が装置の近位部601に挟持され拘束されると同時に、血塊の遠位端は本体区画604上に位置付けられることになる。装置が後退させられると、近位端601は、第1に血塊の近位端を引いて移動するようになる。血塊の遠位端が血管内で詰まっていると、装置の本体区画は静止し続け、コネクタ603が伸長するであろう。これはまた血塊も伸長させることになり、その結果、血塊を血管壁から剥がし、移動に要する力を減少させる。コネクタ603の張力が血塊の遠位区画の移動に要する力と等しくなると、血塊の残部は移動を開始することになる。この実施形態では、伸長コネクタ603はコイルバネから形成されているが、別の実施形態では、この伸長要素は外側ケージの切断パターンの一部を形成し得る。
【0080】
図27a及び図27bは、装置の別の実施形態を例示している。図27aは、自由に拡張された構成の装置700を示している。本発明のこの反復部分では、外側ケージの近位部701は、血塊埋め込み及び血塊突出を促進して血塊挟持を容易にするように構成されている。外側ケージの本体区画702は、装置が血管系内の屈曲部及び支脈を通り過ぎて後退させられるときに良好な血塊保持を保証するために、近位区画と比較して拡大された直径を有する。外側ケージは、放射線不透過性マーカー703が遠位クラウン上に図示されている開口遠位端を有する。この組立体内の内側構成要素は、断片保護構造体705を近位接合部708と接続しているワイヤ706からなる。自由に拡張された構成では、外側ケージの遠位支柱703と断片保護構造体の先端縁707との間に別個の間隙が存在する。この間隙は、1mm〜20mmに変化することができ、好ましい実施形態では5〜10mmの範囲になる。
【0081】
図27bは、この画像では装置750が閉塞性血塊の位置における標的血管の直径にあることを除いて、図27aと同じ装置を示している。この直径においては、断片保護構造体755の先端縁757は、外側ケージ752の内部、かつ、遠位クラウン753の近位に位置している。この外側ケージ752に対する断片保護構造体755の相対的な位置の変化は、外側ケージ752の自由に拡張された構成での長さと縮小された直径での長さとの差に起因する。小さい直径のときに断片保護構造体を外側ケージの内部に位置付けると、装置展開のために血塊の遠位に必要な空き空間が小さくなる。加えて、大きい血管内での装置後退時及びガイド又は中間カテーテル内への回収時に断片保護構造体755を外側ケージ752の遠位に位置付けると、断片保護の効果が向上する。
【0082】
図28は、図27に記載されている装置の実施形態の使用方法を示している。装置800は、標準的なインターベンション技術を使用して血塊803を横切って展開され、かつ、装置の遠位端802と断片保護構造体801とが血塊803の遠位に位置付けられるように位置付けられている。装置800はまた、細長い近位シャフト部分805に接続された血塊挟持部分804も含む。
【0083】
装置画像850は、マイクロカテーテル855が前進させられて血塊853と装置の近位部分854との間に挟持を生成した後の血管内の装置を示している。標的血管位置におけるこの直径のとき、遠位の断片保護構造体851は、一部が外側ケージ852の内部にある。
【0084】
装置画像900は、より大きい直径の血管内へ後退させられているときの装置を示している。血管の直径が大きくなると、外側ケージ901の直径もまた大きくなり、外側ケージの長さは短くなる。これにより、断片保護構造体の近位縁902と外側ケージの遠位端905との間に間隙が生まれる。これは、移動又は回収プロセス中に自由になった任意の断片又は塞栓904の捕捉を容易にする。血塊906は、依然としてマイクロカテーテルの遠位先端部907と装置908との間に挟持された状態を維持している。
【0085】
装置画像950もまた、回収プロセス中に血塊本体956から解放された血塊断片954及び953を捕捉するときの断片保護構造体951の有効性を例示している。
【0086】
図29に示す装置1000は、管状構成要素1001が、螺旋状又は渦巻状構成で形成され、近位シャフト1002に接続されている、図20a及び図20bに示した装置の別の実施形態である。この構成では、構成要素の中心線は、図20bに示されているようにテーパ形状又は円柱状マンドレルの表面をなぞる螺旋状軌道を形成する。管状構成要素の直径は、0.5〜8.0mmに変化することができ、好ましい実施形態では1.0〜4.0mmの範囲になる。螺旋軌道がなぞる円柱状マンドレルの直径は、1.0〜10.0mmに変化することができ、好ましい実施形態では2.0〜7.0mmの範囲になる。螺旋のピッチは、3.0〜30mmに変化することができ、好ましい実施形態では10.0mm〜20.0mmの範囲になる。
【0087】
この装置の螺旋状構成は、真っ直ぐな構成の場合よりも装置が血塊とよく係合するので、血塊移動に関して性能上の利点をもたらす。血塊はセル内により深く埋まり、装置の支柱間において血塊に対する装置の把持が改善する。これは、血管の表面から離れて血塊の本体内に装置の部分を位置付ける螺旋状形状に起因して起こる。これは、渦巻状装置1051が神経血管系の血管1050内で血塊1052内に展開されている、図30に示されている。ステント回収器を展開するための標準的な手順により、マイクロカテーテル1053の中を通して送達し、次いで同マイクロカテーテルを後退させることによって、装置1051は展開されている。一使用方法では、装置1051は、血塊1052を移動させ、同血塊をアクセスカテーテル1054内に回収するように、直接後退させることができる。手順中に吸引が利用されてもよく、またアクセスカテーテル54上でバルーン1055を膨張させることによって血流停止が提供されてもよい。代替的には、血塊内での装置1051の展開後、マイクロカテーテル1053は、本明細書の他の場所に記載されているように、装置1051を部分的に再被覆し、マイクロカテーテルの遠位先端部と装置1051の支柱及びクラウンとの間で血塊に対する挟持を生成するように、再び進ませることができる。次いで、装置、マイクロカテーテル、及び血塊を一体としてアクセスカテーテル内に後退させることができ、必要ならば、血流停止及び吸引を利用する。
【0088】
螺旋状又はコルク栓抜き状構成を有する装置内への血塊埋め込みの深さの増加は、扱いにくい血管ねじれ内及び、図31に示すような、分岐部の有効直径(D4)が、近位の血管の直径(D1)又は遠位の血管の直径(D2、D3)よりも大きい、血管分岐部内の血塊に対して挟持を得るのに特に有用である。これは、図32a及び図32bに更に例示されており、図32aは、血管1070内の血塊1072内に展開された真っ直ぐな管状構成要素1071を例示している。図32bは、管状構成要素1083(図32aの構成要素1071と同じ直径を有する)が螺旋状構成で形成されているときの、血塊1082内の改善された係合及び埋め込みを示している。螺旋状構成により、装置1083が血塊内で係合する深さが増加しており、また血塊と接触している装置の表面積も増加している。
【0089】
図33は、解剖学的血管1100の分岐部に位置する血塊1101内に展開された螺旋状の管状構成要素1102を示している。マイクロカテーテル1103は、血塊が装置に挟持されたことを示す移動抵抗を医師が感知するまで、装置1102を再被覆するように進ませることができる。次いで、装置と血塊との間の挟持を維持しながら、マイクロカテーテル1103、装置1102、及び血塊1101を同時に取り出すことができる。
【0090】
図29図33に示した螺旋状の管状構成要素は、特に、中程度から高いフィブリン含量を有する組織化した血塊など、血管から移動させ回収することが困難な血塊に対する挟持を生成することを得意とする。図34は、すべての血塊タイプの移動及び保持のために使用されることができる装置1200を示している。この装置1200は、前述のようにマイクロカテーテルで部分的に再被覆することによって血塊に対する挟持を生成するのに使用することができる螺旋状の管状構成要素1205を組み込んでいる。外側ケージ構成要素1201はまた、展開時に血塊と係合し、装置が中間カテーテル、ガイドカテーテル、又はシースへ近位に後退させられるときに、血塊の移動及び保持のための追加の把持も提供する。外側ケージ構成要素1201は、軟らかくて赤血球が豊富な血塊及びさまざまな要素を含む混成血塊を含めてすべての血塊タイプに対して移動及び保持能力を提供する。螺旋状構成要素1205はまた、外側ケージ1201の内側表面に追加の径方向力も提供し、展開時の血塊内での拡張を支援する。外側ケージ構成要素1201は、蛍光透視検査の下で構成要素の遠位端に印を付けるために、遠位の放射線不透過性マーカー1204を有する。放射線不透過性マーカー1204は、典型的には、白金、タングステン、金、又は類似の放射線不透過性元素から製造されたワイヤコイル、リベット、又はインサートからなるであろう。
【0091】
外側ケージ1201は、この構成では近位支柱1209によって近位シャフト1210に接続されている。この支柱1209は、螺旋状構成要素1205の挟持性能に対して最小限の影響を有しており、螺旋状チューブの近位区画1207の内部又は外部に位置付けられることができる。この装置との血塊に対する挟持を生成するために、装置の上にカテーテルを更に遠位に押すことへの抵抗を医師が感知するまで、マイクロカテーテル、診断カテーテル、又は中間カテーテルで装置を部分的に再被覆することができる。この時点で、医師は挟持に成功したことを知り、カテーテル及び装置は血塊と共に一体として取り出すことができる。抵抗が感知されない、すなわち、挟持が生成されない場合、装置1200は、標準的なステント回収器として回収されて、血塊をアクセスカテーテルに回収することができる。放射線不透過性マーカー1206は、蛍光透視検査の下で可視化することができ、装置を標準的なステント回収器として回収する、すなわち、決定的な抵抗(挟持)が感知されるまで又はマイクロカテーテル(図示せず)の先端部がマーカー1206と揃うまで装置をマイクロカテーテルで再被覆するときに関する医師への指標である。次いで、標準的な手順により装置を回収する。
【0092】
この装置1200はまた、血塊の移動及び回収中に生成され得る血塊断片又は塞栓を捕捉するために、断片保護特徴部1202も組み込んでいる。この構成では、断片保護特徴部1202は、螺旋状構成要素1205の一体部分であり、完全に拡張されているときは外側ケージ構成要素1201に対して遠位に位置付けられている。遠位放射線不透過性先端部1203は、断片保護特徴部1202の端部に接続されている。
【0093】
更に明確にするために、図34の装置組立体1200に示されている外側ケージ構成要素1201及び螺旋状構成要素1205は、図35a及び図35bに別個に例示されている。図35aの外側ケージ構成要素1250は、この構成では、内容全体を参照によって本明細書に引用したものとする、出願者らの国際公開第2014/139845(A)号に記載されているものと同様の中央区画構造を有する。遠位マーカー1252は、蛍光透視検査の下での可視化のためにこの区画の遠位クラウンに接続されており、放射線不透過性マーカー1253は、細長い近位支柱1254上に位置付けられている。放射線不透過性マーカー1253は、放射線不透過性材料のコイルから形成されることができ、適所に接着、溶接、又ははんだ付けされることができる。代替的には、放射線不透過性材料のリングから形成され、径方向にかしめられるか、又はフラットシートから形成され、支柱上にハトメで鋲締めされることができる。近位鍔部1255は、外側ケージ構成要素1250及び螺旋状チューブ構成要素1300(図35bに示されている)を装置の近位シャフト(図示せず)に組み付けるために使用されることができる。
【0094】
図35bは、図34の組立体1200に含まれている螺旋状構成要素1300を例示している。明確にするために、この画像では支柱の細部が構成要素1300の本体区画1302に沿って図示されていない。装置組立体に使用されている近位支柱1305及び近位鍔部1301は図示されている。断片保護区画1303及び遠位の放射線不透過性マーカー1304もまた図示されている。この構成では、本体区画1302は、その長さに沿って一定の直径を有するが、他の構成(図示せず)では、直径は長さに沿って増加又は減少してもよい。同様に他の構成では、螺旋の直径及びピッチは長さに沿って変化してもよく、又は構成要素は真っ直ぐの区画と螺旋状の区画の組み合わせを有してもよい。この構成要素は、挟持能力に加えて、展開時の血流の即時回復、血塊を横切る圧力勾配の破壊、対比血流及び遠位の可視化の促進、及び遠位の塞栓の吸引チャネルとして働くことなど、内側チャネル機能も提供する。装置1300の支柱及びクラウンのパターンは、近位部分が挟持能力を提供すると同時に、中央部分及び遠位部分がより密集した足場に形成されて内側チャネル機能を提供するように、本体区画1302の長さに沿って変化してもよい。
【0095】
本発明の別の実施形態が図36に示されている。この装置1400もまた、内側の螺旋状の管状構成要素1403及び外側ケージ1401の組立体である。この構成では、断片保護特徴部1406は、外側ケージ1401と一体になっている。外側ケージ1401及び螺旋状構成要素1403は、近位接合部1405で近位シャフト1404に接続されている。遠位放射線不透過性先端部1402は、この組立体では外側ケージ1401に接合されている。
【0096】
図37は、図7aに示した装置の別の実施形態を示している。この装置1450では、近位区画1451は、マイクロカテーテルによって部分的に再被覆されると血塊を挟持するように構成されている。前と同様に、近位支柱1456は大きい開き角度を有し、セルサイズは血塊突出を促進して、再被覆時のマイクロカテーテルと装置1450との間での挟持を容易にする。中央区画1452は、近位区画よりも大きい直径に拡張して、血管の屈曲部及び支脈を通り過ぎての血塊の後退中に血塊の把持及び保持を提供するように構成されている。近位1451及び中央区画1452は、異なる支柱長さ及び切断パターンを有し、したがって、異なる径方向力特性を有する。一実施形態では、近位区画1454の径方向力は、一定の展開直径(例えば1.0mm)では、中央区画1455の対応する径方向力よりも大きいが、別の実施形態では、同じ展開直径に対して中央区画1452の径方向力は近位区画1451の径方向力よりも大きい。
【0097】
図38は、本発明で詳述されている装置のうちのいずれかの挟持部分の典型的な支柱切断パターンを例示している。支柱1501は、血塊把持の改善を促進する、長手方向血管軸線に対して大きい開き角度を有しており、移動方向に対する支柱の角度が大きくなるほど、支柱が血塊を通り過ぎずに把持する能力は高まる。同様に、クラウン1502の内径は、血塊内で進行方向に対してほぼ垂直なクラウンの長さを最大化することによって、やはり血塊把持を改善するように、大きくされている。支柱コネクタ1503の長さは、装置内のセルのリングに低径方向力及び低支柱表面積をもたらして、これらのセル内への血塊の埋め込み及び突出を促進するように、合計セル面積1504を増加させる。装置がマイクロカテーテルで再被覆されると、突出血塊は、支柱1501に押し付けられてクラウン空間1505内に押し込められ、これにより、突出血塊を所定の位置に捕えて挟持する。
【0098】
装置切断パターンの別の実施形態が図39に示されている。この構成では、クラウン1551に隣接する支柱形状及び屈曲角度1553は、マイクロカテーテル1555による再被覆時に、共に近くに位置する隣接支柱1554が別の挟持点をもたらして、セル領域(図示せず)内へ突出している血塊の把持を支援するように、サイズが決定されている。
【0099】
図38に記載されているように、切断パターン内のクラウン内径が大きくなるほど、血管の長手方向軸線(及び血塊移動方向)に対してほぼ垂直なクラウンの部分が長くなり、血塊を移動させる能力が向上する。図40は、マイクロカテーテルの中を通して標的血管位置に送達するために装置が装填構成に包み込まれることを可能にしながら、クラウン直径が最大化されることができる、クラウン構成を示している。包み込まれた直径を最小化するために、折り畳まれた構成において、クラウンが、短いコネクタ、例えば1606の両側の空間に収まるように、クラウン1603、1604及び1605は長手方向軸線に沿ってオフセットされている。このクラウンのオフセットを生成するために、隣接する支柱1601及び1602は異なる長さを有する。
【0100】
図41は、装置の別の実施形態を示しており、切断パターンは、マイクロカテーテル1651による再被覆中にクラウン1653がその最大限の直径を維持するように構成されており、その結果、挟持をもたらすマイクロカテーテル先端部1654によって最大量の血塊がセル1655からクラウン空間1652内へと押し込まれることができる。図42は、切断パターンの実施形態を示しており、近位向きのクラウン1703は、図41に記載のものと同様であり、クラウン空間1701が血塊挟持の改善のために最大化される。この構成では、遠位向きのクラウンの直径1704は、血塊挟持にそのクラウンは必要ないので縮小され、縮小された直径は、隣接する支柱1702において再被覆力を小さくし、径方向力を大きくすることを容易にし得る。
【0101】
図43は、図42に詳述したように、血塊挟持の改善のために、近位向きのクラウン1721、1723が、遠位向きのクラウン1725よりも大きい直径を有する、装置の実施形態を示している。この装置の長手方向軸線に沿ったセルの交互リングは、異なる面積を有しており、セル1726は1720よりも大きい面積を有する。したがって、より多くの血塊がセル1726内へと埋まり、突出する可能性が高い。セル1726内に突出している血塊は、再被覆時にマイクロカテーテルによってクラウン1723に向かって押されることになる。再被覆が医師への良好な触覚フィードバックにより滑らかに行われるように、支柱1724の長さは、低径方向力セグメントから高径方向力セグメントへ進むときの「衝突」の感触を低減するように増加されている。加えて、支柱1722の長さは、クラウン1723を支持している支柱のリングにおける径方向力を増加させるように短縮されている。これにより、マイクロカテーテルによる再被覆中に、クラウン1723は拡張された状態をより長い期間にわたって維持し、その結果、挟持の有効性が高まる。
【0102】
図44a〜図44cは、支柱の長さに沿って血塊挟持を促進する支柱/クラウン構成を示している。図44aは、自由に拡張された構成での支柱1757及び1758を示している。支柱1758は、一連の屈曲部1751、1752及び1759をクラウン1753に近づく順で含むように製造されている。同様に、支柱1757は、一連の対応する屈曲部1754、1755及び1756を含んでいる。装置がマイクロカテーテル内に再被覆されると、装置の直径は減少し、支柱は共により近い位置に移動する。図44bは、直径が減少すると、支柱の屈曲部がかみ合い、点1808と1805との間、及び1804と1807との間などに挟持点をもたらすことを例示している。これは、図44cに示されているように、2本の支柱の間に埋め込まれている突出血塊を把持するのに役立つ。図44cでは、血塊1852の一部が、支柱間のセル内へ突出している。装置がマイクロカテーテル(図示せず)によって再被覆されると、支柱1850及び1851は共により近い位置に移動し、突出血塊1853に対する挟持が生成される。この血塊挟持により、血塊を移動させる能力の強化及びアクセスカテーテルへの安全な血塊回収と共に装置の効果が向上する。
【0103】
本発明の別の実施形態が図45に示されている。この図は、装置1900の輪郭及び外形を例示しているが、明確にするために、支柱パターンは図示していない。この実施形態では、装置1905の近位区画は、図29図33に記載されているように渦巻状構成に形成されている。この近位区画1905はまた、マイクロカテーテルによって部分的に再被覆されると血塊を挟持するように構成されている。前と同様に、支柱は血塊挟持を容易にする開き角度及びクラウンを有しており、セルサイズは血塊突出を促進して、再被覆時のマイクロカテーテルと装置との間の挟持を更に改善する。本体区画1901は、円柱状又は一定の形状で拡張して、血管の屈曲部及び支脈を通り過ぎての血塊の後退中に血塊の把持及び保持を提供するように構成されている。本体区画はまた、30〜100%の範囲の赤血球含量を有するより軟らかい血塊の把持及び保持に特に適しているが、とりわけ、50%を超える赤血球含量を有する血塊に適している。この構成では、装置は、より軟らかい又は不均質な血塊を本体区画1901によって把持及び保持しながら、マイクロカテーテルで近位区画1905の上に部分的に再被覆することにより、フィブリンが豊富な血塊を把持することによって、フィブリンが豊富な血塊及び赤血球が豊富な血塊を移動させ保持するのに効果的である。この図に示されている装置1900は、近位接合部1904で近位シャフト(図示せず)に接続されており、また断片保護区域1902を有する。近位渦巻状区画1905は、1906で本体区画1901に接続されている。この接続部は、中心に置かれて本体区画と同心であってもよく、又は、例えば本体区画の外側表面と整列して、偏心であってもよい。近位管状区画と本体区画との間のフレア形状区画1903は、保持及び断片保護の改善のために、血塊が本体区画内へ移動するのを容易にする大きいセル開口部を含むことができる。
【0104】
図46は、図45に例示した装置1900の、図示されている方向「A」から見たときの端面図を示している。この図では、渦巻の外側表面1951は、本体区画の直径1952(Φ「B」)より大きい直径(Φ「S」)を有する。他の実施形態(図示せず)では、渦巻の外径は、本体区画の直径以下であってもよい。渦巻の外径は、典型的には直径2.0〜8.0mmであり、好ましい実施形態では4.0〜6.0mmである。本体区画の直径は、1.0〜8.0mmに変化することができ、好ましい実施形態では3.0〜6.0mmである。本体区画は、この実施形態では円柱状構成で示されているが、この区画はまた、近位区画に対して異なるピッチ、管の直径、及び渦巻の直径で渦巻状又は曲線状の形状に形成されてもよい。
【0105】
図47に示す実施形態2000は、図45及び図46に例示した装置と同様の形状を有しており、支柱及び構造の細部が追加されている。この実施形態は、近位支柱2008を介して近位シャフト2007に接続されている状態で示されている。近位区画2001は渦巻状構成で形成されており、本体区画2002は円柱形状で形成されている。装置の遠位端は、円錐形状を形成して断片保護能力を提供する。放射線不透過性のコイル又はマーカー2003は、蛍光透視検査の下での可視化のために遠位先端部に追加されている。追加の放射線不透過性マーカー2005は、渦巻状区画から本体区画への移行部で又はその近くで装置に追加されている。このマーカー2005は、渦巻状区画2001の端部を強調するものであり、マイクロカテーテルによる再被覆を停止するための最適点を識別するために使用されることができる。この放射線不透過性マーカーはまた、赤血球が豊富な血塊に対して装置を血塊の近位面に揃えるために使用されてもよい。同様に、シャフト2007の遠位端上にある放射線不透過性コイル(図示せず)は、渦巻状挟持区画2001をフィブリンが豊富な血塊の近位面に揃えるために使用されることができる。近位渦巻状区画は、典型的には長さ5〜30mmであり、好ましい実施形態では、長さ8〜15mmである。追加の放射線不透過性マーカーは、渦巻状区画に沿って追加されて、マイクロカテーテルによる再被覆プロセスに対して更なる視覚的フィードバック及び明瞭性をもたらす。図47はまた、渦巻状チューブから本体区画への直径移行部にあるセル開口部2006も例示しており、このセル開口部は、血塊が本体区画2002の内部へ部分的に又は完全に入ることを促進するように設計されている。
【0106】
図48は、装置の別の実施形態2050を示しており、シャフト2052並びに渦巻状区画及び本体区画の外形2051のみが示されている。この実施形態では、渦巻状区画の端部2056を識別する放射線不透過性マーカー2055は、近位シャフト2052に対する延伸部2054上に取り付けられている。このシャフト延伸部2054は、渦巻状区画をシャフト2052に接続する近位接合部2053の遠位に続いている。
【0107】
図49aは、図6a〜図6dに既に詳述した実施形態2100の部分平面図を示しており、装置がマイクロカテーテルで再被覆されると、血塊が支柱2103及び2104に固定されることができるように、装置内への血塊突出を促進する、大きいセル領域2102を例示している。図49bでは、装置2122は、動脈血管2120内に位置する血塊2121内に展開された状態で示されている。装置2122は、近位シャフト2123に接続されている。装置の展開時、支柱及びセルのリング2125が血塊内に埋まると同時に、大きい開口セル区画2126の上に位置付けられた血塊区画2124は装置内へ突出する。大きい開口セル区画は、装置内への血塊突出を促進し、それにより、血塊の圧縮及びその結果生じる血管壁2120との摩擦の増加を最小化する。
【0108】
図49cは、血塊に対する把持を生成して血管系からの移動及び回収を容易にするために、血塊2141の突出区画2142がカテーテル先端部2145によってどのように支柱及びクラウンのリング2144に押し付けられるかを例示している。
【0109】
本明細書に開示されている本発明は、カテーテルで再被覆されるとき、血塊の把持及び挟持を生成するのに、既存のステント回収器技術よりも効果的かつ信頼性の高いものである。図50a〜図50cは、既存のステント回収器装置2200(先行技術)がマイクロカテーテルで再被覆されると何が起こるかを例示している。図50aは、血塊2201内に展開されたステント回収器2203を示している。支柱の埋め込みが血塊2201内で起こっており、一部の血塊が開口セル2203内へ突出している。典型的なステント回収器は、4〜6mmの範囲の外径を有しており、図50bに示されているように装置2224が再被覆されると、収縮し、血塊2220から離れる方向に引く。したがって、マイクロカテーテル2221が前進させられると、血塊2220内に埋め込まれていた支柱2223は血塊表面から離れる方向に引き、セル内の血塊突出部は失われ、それにより、マイクロカテーテルは完全に前進できるようになり、血塊の下で装置を再被覆する。図50cは、装置がカテーテル2240によって再被覆されるとき、支柱長さ2242及びクラウン開き角度2244が装置の再被覆角度2241をどのように決定付けるかを示している。垂直線からのこの角度2241が大きいほど、装置支柱は、再被覆時に血塊の表面から離れる方向に引く可能性が高くなる。長さ2245は、カテーテルが進められると装置直径が収縮し始める、カテーテル先端部からの距離である。再被覆角度が(垂直線から)増加すると、この長さは増加し、それにより、血塊との装置支柱の接触が減少する。
【0110】
既存のステント回収器技術の図50a〜図50cと比較して、図51a〜図51cは、血塊内に展開された本発明の実施形態を示している。図51aは、血塊2301内に展開された、本特許の別の場所に記載されているものと同様の、装置2300を例示している。支柱のリング2303は血塊内に埋まっており、血塊2302は大きい開口セル2305内へ突出している。図51bに示されているように装置がカテーテルで再被覆されるとき、カテーテル先端部が接近すると、装置の長さに沿った支柱長さ、クラウン構成、及び径方向力プロファイルにより、血塊内の支柱埋め込み及びセル内の血塊突出が維持される。したがって、血塊2322は、依然として再被覆プロセス中に装置セル内に突出しており、隣接する支柱2326及びクラウン2325に押し付けられ、それにより、所定の位置に挟持されている。クラウン2325はまた、再被覆プロセス中により長い期間にわたって血塊内に拡張されかつ埋め込まれている状態に留まるために、支柱のリング2324によっても支持されている。この性能特性は、図51cに示されている(垂直線からの)減少した再被覆角度、及び装置直径がカテーテル先端部のすぐ近くを除いて収縮していないことを示す有意に減少した長さ2345に反映されている。この特徴は、図3a〜図3dに前述したように装置の長さに沿って交互に高く低くなる径方向力プロファイルによって更に促進される。
【0111】
この装置の好ましい実施形態は、2〜3mmの外径を有し、再被覆プロセス中に典型的には4〜6mmに拡張する標準的なステント回収器よりも高いクラウン拡張角度を可能にするより短い支柱長さを容易にする。これは、図52a及び図52bに例示されており、図52aは4mmの外径を有する3セルの従来型ステント回収器の拡張された支柱2402を示しており、この支柱は2次元構成に展開されている。直径2mmに収縮したときのこの同じ装置が図52bに示されており、支柱長さ2423、及びクラウン開き角度が図52aの2401から図52bの2422にどのように減少したかを示している。比較として、本発明の支柱構成が図53に示されており、支柱の大きい拡張角度2442が、挟持を容易にする大きいクラウンID 2443を加えて例示されている。支柱埋め込み及び血塊係合を維持するために血塊を装置によって部分的に又は完全に血管壁に固定するのではなく、マイクロカテーテル先端部と装置のクラウン及び支柱との間に血塊を挟持することによって血塊の係合及び保持が提供されるので、この装置は直径2mmでも依然として効果的である。
【0112】
図54a及び54bに示されている支柱構成は、挟持を生成し、閉塞性血塊を移動させるのに役立つ追加の利点をもたらす。図54aの装置2504の支柱パターンは、2次元構成に展開された状態で示されている。装置2504がマイクロカテーテルで再被覆されると、外径が縮小し、ネックポイント2505が、反対側のネックポイント2501に向かって移動する。これは、マイクロカテーテルが前進し、血塊をクラウン2502に押し付け、それにより、血塊を固定し、挟持による把持を生成するときに、セル2503内に突出している血塊を把持し、血塊をこの位置に維持するのに役立つことができる。図54bは、挟持を容易にし、また屈曲部及び支脈を通り過ぎてアクセスカテーテルに後退させられるときに血塊の把持及び保持も強化するように、ネックポイント2553が共にどのように近づいて、マイクロカテーテル先端部2555とクラウン2551との間に位置付けられている血塊(図示せず)に対して追加の把持をもたらしているかを更に例示している。
【0113】
以上、本発明の具体的な実施形態を図示及び説明したが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなくさまざまな改変を行うことが可能である点は上記の説明より明らかであろう。例えば、本明細書に記載された実施形態は特定の機構を参照するが、本発明は、異なる機構の組み合わせを有する実施形態を含む。本発明は、記載されている特定の機構をすべては含んでいない実施形態も含む。
【0114】
本発明は本明細書においてこれまで述べてきた、構成体及び詳細が変化することのある、実施形態に限定されない。
【0115】
〔実施の態様〕
(1) 拡張可能な構造体と、細長い部材と、を備える、血塊を身体血管から除去するための血塊除去装置であって、
前記細長い部材が近位端と遠位端とを有し、前記細長い部材がその遠位端で前記拡張可能な構造体に接続されており、
前記拡張可能な構造体が、拘束された送達構成と、拡張された血塊係合展開構成と、少なくとも部分的に拘束された血塊挟持構成と、を有しており、
前記拡張可能な構造体の少なくとも一部が、前記拡張された展開構成では血塊を係合するように、かつ、前記展開構成から前記血塊挟持構成への移行時には血塊を挟持するように、構成されている、血塊除去装置。
(2) 前記拡張可能な構造体が、前記展開構成から前記血塊挟持構成への移行時に血塊を挟持するように構成されている血塊挟持構造体を含む、実施態様1に記載の血塊除去装置。
(3) 前記拡張可能な構造体が、主本体部分と、血塊挟持構造体と、を含み、前記血塊挟持構造体の直径が、前記主本体部分の直径未満である、実施態様2に記載の血塊除去装置。
(4) 前記血塊挟持構造体が、前記拡張可能な構造体の近位端に位置する、実施態様3に記載の血塊除去装置。
(5) 前記血塊挟持構造体が実質的に管状である、実施態様3又は4に記載の血塊除去装置。
【0116】
(6) 前記血塊挟持構造体が渦巻状形態である、実施態様3〜5のいずれかに記載の血塊除去装置。
(7) 前記拡張可能な構造体が、管状であり、かつ、相互接続された支柱の網状構造体を含んでおり、
前記支柱の網状構造体が、拡張された状態で血塊と係合するように構成されており、
前記網状構造体は、前記拡張された状態において、前記網状構造体の少なくとも一部が血塊に相互貫入するように構成されており、
前記網状構造体は、前記網状構造体が前記血塊との相互貫入の状態のまま折り畳まれるときに、前記網状構造体の少なくとも一部が前記血塊の少なくとも一部を挟持するように、更に構成されている、実施態様1〜6のいずれかに記載の血塊除去装置。
(8) 前記網状構造体が前記血塊に相互貫入していると共に、前記網状構造体の少なくとも一部が前記血塊の少なくとも一部に対して挟持をもたらしている状態で、前記細長い部材が前記網状構造体を後退させるように構成されている、実施態様7に記載の血塊除去装置。
(9) 前記拡張可能な構造体が、少なくとも第1のセルと、少なくとも1つの第2のセルと、を含み、前記第1及び第2のセルのそれぞれが、折り畳まれた送達構成と展開された拡張構成とを含み、前記拡張構成では、それぞれのセルがオリフィスを更に含んでおり、前記拡張可能な構造体が、血塊に相互貫入するように構成されており、前記血塊の前記相互貫入が、前記第1のセルの少なくとも1つを介した、血塊の少なくとも一部の押し出しを含んでおり、前記セルのうちの少なくともいくつかの前記オリフィスは、前記血塊本体の少なくとも一部が前記構造体に相互貫入できるように構成されている、実施態様1〜8のいずれかに記載の血塊除去装置。
(10) 前記血塊係合要素が、前記拡張された展開構成の内径よりも小さい内径を有する内腔の内部で展開されると、外側径方向力を働かせるように構成されており、前記血塊係合要素が、前記血塊係合要素の長さに沿って、例えば概ね正弦波のパターンで変化する外側径方向力を働かせるように構成されている、実施態様1〜9のいずれかに記載の血塊除去装置。
【0117】
(11) 前記概ね正弦波のパターンが波形パターンを含み、前記波形パターンの振幅が、前記装置の前記長さに沿って概ね一貫している、実施態様10に記載の血塊除去装置。
(12) 前記概ね正弦波のパターンが波形パターンを含み、前記波形パターンの振幅が、前記装置の前記長さに沿って減少し、前記装置の近位端ではより高く、遠位端ではより低くなっている、実施態様10に記載の血塊除去装置。
(13) 前記血塊係合要素が複数の隣接するセグメントを含み、前記セグメントは、少なくとも2つの隣接するセグメントから受ける前記径方向力が互いに異なるように構成されている、実施態様1〜12のいずれかに記載の血塊除去装置。
(14) 遠位の血塊断片保護区画を備える、実施態様1〜13のいずれかに記載の血塊除去装置。
(15) 前記血塊挟持構造体が複数の血塊受容セルを含み、セルはクラウン間に延在する支柱を含み、前記支柱は、前記装置が、前記拡張された展開構成から前記少なくとも部分的に拘束された血塊挟持構成に移行されるときに、前記セル内に位置する血塊を挟持するように構成されている、実施態様3〜14のいずれかに記載の血塊除去装置。
【0118】
(16) 隣接する支柱が、前記支柱を接合している前記クラウンに向かって遠位に狭くなるチャネルを画定する、実施態様15に記載の血塊除去装置。
(17) 隣接する支柱は、前記装置が前記血塊挟持構成に移行されると閉じるように構成されている狭くなった領域をその間に画定する、実施態様15に記載の血塊除去装置。
(18) 隣接するセルの前記クラウンが、前記装置の前記長手方向軸線に沿ってオフセットされている、実施態様15〜17のいずれかに記載の血塊除去装置。
(19) 隣接する支柱は長さが異なっている、実施態様18に記載の血塊除去装置。
(20) 前記セルが、近位向きのクラウンと遠位向きのクラウンとを有しており、前記近位向きのクラウンが、前記遠位向きのクラウンの直径よりも大きい直径を有する、実施態様15〜17のいずれかに記載の血塊除去装置。
【0119】
(21) 前記血塊挟持構造体の近位端の方にある血塊受容セルのサイズが、前記血塊挟持構造体の遠位端の方にあるセルよりも小さい、実施態様15〜20のいずれかに記載の血塊除去装置。
(22) 隣接する支柱又はうねり部が、少なくとも1つの屈曲部を含み、前記屈曲部は、前記装置が前記血塊挟持構成に移行されるときに、隣接する支柱の前記屈曲部が相互に係合するように構成されている、実施態様15〜21のいずれかに記載の血塊除去装置。
(23) 前記支柱が、その長さに沿って複数の屈曲部を含む、実施態様22に記載の血塊除去装置。
(24) 前記屈曲部が、前記支柱の遠位端の方に位置する、実施態様22又は23に記載の血塊除去装置。
(25) 前記拡張可能な構造体が、ニチノールなどの形状記憶材料で作ったものである、実施態様1〜24のいずれかに記載の血塊除去装置。
【0120】
(26) 前記主本体部分の直径の前記血塊挟持構造体の直径に対する比が、1.5:1〜4:1であり、いくつかの事例では、2:1〜3:1である、実施態様3〜25のいずれかに記載の血塊除去装置。
(27) 前記装置が、前記主本体部分と前記血塊挟持構造体との間の移行部に放射線不透過性マーカーを備える、実施態様3〜26のいずれかに記載の血塊除去装置。
(28) 前記主本体部分の長手方向軸線が、前記血塊挟持構造体の長手方向軸線と同一直線上にある、実施態様3〜27のいずれかに記載の血塊除去装置。
(29) 前記血塊挟持構造体の長手方向軸線が、前記主本体部分の長手方向軸線からオフセットされている、実施態様3〜27のいずれかに記載の血塊除去装置。
(30) 前記装置が、前記主本体部分を貫通して延在する長手方向軸線を有しており、前記血塊挟持構造体が、前記長手方向軸線の周りに渦巻状に延在する、実施態様3〜27のいずれかに記載の血塊除去装置。
【0121】
(31) 血塊を身体血管から除去するための血塊除去装置であって、前記装置は、
拡張可能な管状構造体と、細長い部材と、を備え、
前記細長い部材は、近位端と、遠位端と、を含み、
前記拡張可能な管状構造体は、相互接続された支柱の網状構造体を含み、
前記網状構造体は、拡張された状態で血塊と係合するように構成されており、
前記網状構造体は、前記拡張された血塊相互貫入状態において、前記網状構造体の少なくとも一部が血塊に相互貫入するように構成されており、
前記網状構造体は、前記網状構造体が前記血塊相互貫入状態から折り畳まれるときに、前記網状構造体の少なくとも一部が、血塊挟持状態で血塊の少なくとも一部を挟持するように構成されるよう、更に構成されている、血塊除去装置。
(32) 前記網状構造体が血塊相互貫入状態であり、かつ、前記網状構造体の少なくとも一部が血塊挟持状態で、前記細長い部材が、前記網状構造体を後退させるように構成されている、実施態様31に記載の血塊除去装置。
(33) 血塊を身体血管から除去するための血塊除去装置であって、前記装置は、
拡張可能な構造体と、細長い部材と、を備え、
前記細長い部材は近位端と遠位端とを含み、前記細長い部材はその遠位端で前記拡張可能な構造体に接続されており、
前記拡張可能な構造体は、少なくとも第1のセルと、少なくとも1つの第2のセルと、を含み、前記第1及び第2のセルのそれぞれは、折り畳まれた送達構成と、展開された拡張構成と、を含み、前記拡張構成では、それぞれのセルはオリフィスを更に含み、
前記拡張可能な構造体は、前記血塊に相互貫入するように構成されており、前記血塊の前記相互貫入は、前記第1のセルの少なくとも1つを介した、前記血塊の少なくとも一部の押し出しを含み、
その結果、前記セルのうちの少なくともいくつかの前記オリフィスは、前記血塊本体の少なくとも一部が前記構造体に相互貫入できるように構成されている、血塊除去装置。
(34) 血塊係合要素を備える、血管から閉塞性血塊を除去するための血塊回収装置であって、前記血塊係合要素は、拘束された送達構成と、拡張された展開構成と、を有し、前記血塊係合要素は、前記拡張された展開構成の内径よりも小さい内径を有する内腔の内部で展開されると、外側径方向力を働かせるように構成されており、前記外側径方向力は、前記血塊係合要素の長さに沿って概ね正弦波のパターンで変化する、血塊回収装置。
(35) 前記概ね正弦波のパターンが波形パターンを含み、前記波形パターンの振幅が、前記装置の前記長さに沿って概ね一貫している、実施態様34に記載の血塊回収装置。
【0122】
(36) 前記概ね正弦波のパターンが波形パターンを含み、前記波形パターンの振幅が、前記装置の前記長さに沿って減少し、前記装置の近位端ではより高く、遠位端ではより低くなっている、実施態様34に記載の血塊回収装置。
(37) 前記血塊係合要素が複数の隣接するセグメントを含み、少なくとも2つの隣接するセグメントの前記径方向力が互いに異なる、実施態様34〜36のいずれかに記載の血塊回収装置。
(38) 血管から閉塞性血塊を除去する方法であって、
血塊係合区画を有する血塊回収装置を提供する工程であって、前記装置が、拘束された送達構成と、拡張された展開構成と、を有する、工程と、
閉塞性血塊を横切ってマイクロカテーテルを前進させる工程と、
前記装置を前記マイクロカテーテルに装填し、前記装置を前記マイクロカテーテルの遠位部分に前進させる工程と、
前記マイクロカテーテルを後退させて、前記装置を展開し、前記血塊係合区画を前記血塊と係合させる工程と、
前記マイクロカテーテルを再び前進させて、前記血塊係合区画の少なくとも一部を再被覆する工程と、
前記装置の少なくとも一部及び捕捉された血塊を回収カテーテル内に回収する工程と、を含む、方法。
(39) 前記回収カテーテルが中間カテーテルである、実施態様38に記載の方法。
(40) 前記回収カテーテルが、バルーンガイドカテーテル、ガイドカテーテル、及びシースのうちの1つから選択される、実施態様38に記載の方法。
【0123】
(41) 前記装置の少なくとも一部及び捕捉された血塊を回収カテーテル内に回収する行為が、前記回収カテーテルを介して吸引する工程を含む、実施態様38〜40のいずれかに記載の方法。
(42) 前記血塊係合区画の一部を再被覆する行為により、前記血塊の一部が前記血塊係合区画のセル内に挟持される、実施態様38〜41のいずれかに記載の方法。
(43) 前記血塊回収装置が前記血塊の少なくとも一部を挟持するように構成されている、実施態様38〜42のいずれかに記載の方法。
(44) 前記血塊内での前記装置の展開後に前記装置を近位に引く工程を含む、実施態様38〜43のいずれかに記載の方法。
(45) 展開後に前記装置を遠位に押すのを遅らせて、再被覆の前に前記血塊に更に埋め込む工程を含む、実施態様38〜44のいずれかに記載の方法。
【0124】
(46) 回収カテーテル内に回収する前に、前記装置を近位に引いてより大きい血管に入れる工程を含む、実施態様38〜45のいずれかに記載の方法。
(47) 閉塞性血塊を血管セグメントから移動させ、除去する方法であって、
血塊回収装置を提供する工程であって、前記血塊回収装置が、モノリシック管状構造体と、細長い部材と、を備え、前記モノリシック管状構造体が前記細長い部材の遠位端に位置し、前記モノリシック管状構造体が、最も拘束された送達構成、部分的に折り畳まれた挟持構成、及び血塊係合展開構成を有する、工程と、
前記血管セグメントの近位部分を通って患者の外部に延在する前記細長い部材を用いて、前記モノリシック管状構造体をその最も拘束された送達構成からその血塊係合展開構成に拡張することによって、前記閉塞性血塊を前記モノリシック管状構造体と係合する工程と、
前記モノリシック管状構造体を前記血塊係合展開構成から前記部分的に折り畳まれた挟持構成に部分的に折り畳んで、前記閉塞性血塊の少なくとも一部に対して挟持をもたらす工程と、
前記モノリシック管状構造体を前記部分的に折り畳まれた挟持構成で拘束する工程と、
前記拘束を維持しながら前記モノリシック管状構造体を後退させることによって、閉塞の部位から前記血塊を移動させ、前記血塊を前記血管セグメントから除去する工程と、を含む、方法。
(48) 閉塞に組織化した血塊が含まれる、閉塞した血管を有する患者を処置する方法であって、
血塊回収装置及び除去カテーテルを提供する工程であって、前記血塊回収装置が、拡張可能な要素と、細長い部材と、を備え、前記拡張可能な要素が前記細長い部材の遠位端に位置し、前記拡張可能な要素が、完全に折り畳まれた送達構成、完全に拡張された展開構成を有し、前記拡張可能な要素が血塊挟持下部構造体を含み、前記血塊挟持下部構造体は、前記拡張可能な要素が前記完全に拡張された構成から少なくとも部分的に折り畳まれると、前記血塊本体の少なくとも一部を挟持するように構成されており、前記除去カテーテルがその遠位端に鍔部を含む、工程と、
マイクロカテーテルを介して前記血塊回収装置をその折り畳まれた構成で前記閉塞した血管に送達する工程と、
前記拡張可能な要素を展開して前記血塊の少なくとも一部と接触させる工程と、前記細長い部材の位置を固定した状態に維持しながら、前記細長い部材に沿って前記除去カテーテルを前進させる工程と、
前記除去カテーテルの前記鍔部を前記拡張可能な要素と係合し、前記組織化した血塊の少なくとも一部を挟持するように前記挟持下部構造体を作用させる工程と、
前記鍔部と前記拡張可能な要素との間の係合を維持しながら、前記血管から前記除去カテーテル及び前記血塊回収装置を一緒に引き抜く工程と、
前記血塊回収装置、前記除去カテーテル、及び前記挟持された閉塞性血塊を前記患者から除去する工程と、を含む、方法。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
図6c
図6d
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14a
図14b
図15
図16
図17
図18
図19
図20a
図20b
図21
図22
図23a
図23b
図23c
図24a
図24b
図25
図26
図27a
図27b
図28
図29
図30
図31
図32a
図32b
図33
図34
図35a
図35b
図36
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図39
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図43
図44a
図44b
図44c
図45
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図48
図49a
図49b
図49c
図50a-50c】
図51a
図51b
図51c
図52a-53】
図54a
図54b