【文献】
H. Khaleghi Bizaki(他1名),Power Loading by Minimizing the Average Symbol Error Rate on MIMO THP Systems,The 9th International Conference on Advanced Communication Technology,IEEE,2007年02月14日,pp.1323-1326
【文献】
Jaspreet Singh(他1名),On the Feasibility of Codebook-Based Beamforming in Millimeter Wave Systems With Multiple Antenna Arrays,IEEE Transactions on Wireless Communications,IEEE,2015年01月12日,VOL.14,NO.5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送信側相関性パラメータは、送信側相関性行列であり、前記固有パラメータは、前記送信側相関性行列の最大固有値に対応する固有ベクトル、および/または、前記送信側相関性行列の次大固有値に対応する固有ベクトルである、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
前記スケジューリングモジュールは、前記ビーム選択情報に基づいて、前記UEで選択されたアンテナサブアレイを決定し、スケジューリングバランス原則と前記UEで選択されたアンテナサブアレイとに基づいて前記UEをグループ分けして、各アンテナサブアレイそれぞれに対応するスケジューリング対象UEグループを得、各スケジューリング対象UEグループ毎に、該スケジューリング対象UEグループに対応するアンテナサブアレイによってデータを伝送するスケジューリングユーザを決定する、ことを特徴とする請求項7に記載の基地局。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の目的、解決手段、およびメリットをさらに明確にするために、以下、図面を参照しながら、実施例を挙げて、本願をさらに詳しく説明する。
【0012】
図1は、本願の一部の実施例におけるマルチアンテナ伝送方法のフローの模式図である。この方法は、基地局に適用される。
図1に示すように、この方法は、以下のステップを含む。
【0013】
ステップ101で、アンテナアレイを少なくとも2つのアンテナサブアレイに分割する。
【0014】
本願の一部の実施例では、アンテナサブアレイの分割方法は、複数あるが、アンテナアレイの構成およびアンテナアレイ素子の偏波方向の少なくとも一方に基づいて、アンテナアレイを分割することを含む。例えば、アンテナアレイの構成に基づいて、均一な分割または非均一な分割を行ってもよい。あるいは、アンテナアレイ素子の偏波方向に基づいて、同様な偏波方向を有するアンテナアレイ素子を1つのアンテナサブアレイとして分割する。あるいは、アンテナアレイ素子の偏波方向も考慮して、アンテナアレイに対して均一な分割または非均一な分割を行う。ここで、各アンテナサブアレイそれぞれに含まれるアンテナアレイ素子の数は、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0015】
2次元アンテナアレイを例として、
図2aは、本願の一実施例におけるアンテナサブアレイの分割の模式図である。ここで、アンテナアレイ210は、4つのアンテナサブアレイ211、212、213、214に均一に分割されている。各アンテナサブアレイは、規則的な四角形アンテナアレイであり、それぞれ4つのアンテナアレイ素子を含む。
【0016】
図2bは、本願の他の実施例におけるアンテナサブアレイの分割の模式図である。ここで、横方向にアンテナアレイ210を4つのアンテナサブアレイ221、222、223、224に均一に分割している。各アンテナサブアレイは、規則的な横方向帯状のアンテナアレイであり、それぞれ4つのアンテナアレイ素子を含む。
【0017】
図2cは、本願の別の実施例におけるアンテナサブアレイの分割の模式図である。ここで、縦方向にアンテナアレイ210を4つのアンテナサブアレイ231、232、233、234に均一に分割している。各アンテナサブアレイは、規則的な縦方向帯状のアンテナアレイであり、それぞれ4つのアンテナアレイ素子を含む。
【0018】
図3は、本願の他の実施例におけるアンテナサブアレイの分割の模式図である。ここで、アンテナアレイ300のアンテナアレイ素子の偏波方式は、垂直偏波と水平偏波との2つを含む。これらの2つの偏波方式に応じて、アンテナアレイ300を、それぞれ16個のアンテナアレイ素子が含まれるアンテナサブアレイ310および320に分割している。ここで、アンテナサブアレイ310のアンテナアレイ素子は、いずれも垂直偏波であり、アンテナサブアレイ320のアンテナアレイ素子は、いずれも水平偏波である。
【0019】
上述したアンテナサブアレイの分割方法は、例示に過ぎず、具体的に適用する際に、アンテナアレイを、異なる数のアンテナアレイ素子が含まれるアンテナサブアレイに分割してもよい。例えば、アンテナアレイ210に含まれる16個のアンテナアレイ素子を、それぞれ8つ、6つ、2つのアンテナアレイ素子が含まれるアンテナサブアレイに分割する。ここで、アンテナサブアレイの形状およびそれに含まれるアンテナアレイ素子の数は、形成されるビームの方向およびカバー範囲に影響を及ぼすことになる。
【0020】
ステップ102で、受信された、ユーザ端末(UE)から送信された第1の上り信号に基づいて、各アンテナサブアレイ毎の送信側相関性パラメータを推定する。
【0021】
本ステップにおいて、第1の上り信号は、上り参照信号、または他の上り信号、例えば、上りデータや制御信号であってもよい。送信側相関性パラメータは、異なる送信側の無線伝搬チャネル間の空間相関性を示すものである。例えば、送信側相関性パラメータは、送信側相関性行列と表されてもよい。
【0022】
上り参照信号を例として、基地局は、UEから送信された上り参照信号に基づいて、各アンテナサブアレイ毎の送信側相関性行列を推定することは、具体的に、上り参照信号から、アンテナアレイ全体の送信側相関性行列を算出し、全てのUEの送信側相関性行列を平均化して、等価の送信側相関性行列を得、該等価の送信側相関性行列の対角線におけるサブ行列を各アンテナサブアレイ毎の送信側相関性行列として決定する、ことを含む。
【0023】
一実施例では、第1の上り信号は、周期的なサウンディング参照信号(P−SRS)であり、k番目のユーザから送信されたP−SRSに基づいて、k番目のユーザの上りチャネル行列H
kが推定され、総ユーザ数がKであると仮定すると、等価の送信側相関性行列
は、
【数1】
となる。ここで、[ ]
Hは共役転置演算を表す。
【0024】
アンテナアレイ全体がL個のアンテナサブアレイに分割される場合、上記等価の送信側相関性行列
は、さらに、
【数2】
と表されてもよい。ここで、l番目のアンテナサブアレイの送信側相関性行列は、上記
の対角線におけるl番目のサブ行列R
ll(l=1,・・・,L)である。l番目のアンテナサブアレイにn個のアンテナアレイ素子が含まれる場合、R
llはn*nの正方行列である。
【0025】
ステップ103で、各アンテナサブアレイ毎に、送信側相関性パラメータに基づいて、下り参照信号に対してビームフォーミングを行い、ビームフォーミング後の下り参照信号(BRS:beamformed reference signal)を、該アンテナサブアレイによって、UEに送信する。
【0026】
本ステップにおいて、送信側相関性パラメータから、固有パラメータを算出し、固有パラメータに基づいて、下り参照信号に対してビームフォーミングを行って、BRSを得る。具体的には、送信側相関性パラメータが送信側相関性行列である場合、固有パラメータは、送信側相関性行列の最大固有値に対応する固有ベクトル、および/または、送信側相関性行列の次大固有値に対応する固有ベクトルであってもよい。
【0027】
例えば、各アンテナサブアレイl=1,・・・,Lについて、その対応する送信側相関性行列R
llは、固有値および固有ベクトルによって一意に表すことができる。
【数3】
のように、R
llに対して固有値分解(EVD)を行う。ここで、Σは固有値対角行列であり、Qは固有ベクトル行列であり、[ ]
−1は逆行列を求める演算を表す。R
llがフルランクである場合、Σ=diag(λ
1,λ
2,・・・,λ
n)は大きい順に並べられるn個の固有値λ
1,λ
2,・・・,λ
nを含み、固有値ベクトルQ={χ
1,χ
2,・・・,χ
n}は、相応のn個の固有ベクトルχ
1,χ
2,・・・,χ
nを含む。最大固有値λ
1に対応する固有ベクトルはχ
1であり、次大固有値λ
2に対応する固有ベクトルはχ
2である。
【0028】
下り参照信号に対してビームフォーミングを行うための固有ベクトルは、1つまたは複数であってもよい。例えば、l番目のアンテナサブアレイにおいて、最大固有値λ
1に対応する固有ベクトルχ
1を使用して、下り参照信号s
RS,lに対してビームフォーミングを行う場合、得られるBRSはy
BRS,l=χ
1s
RS,lである。
【0029】
または、l番目のアンテナサブアレイにおいて、次大固有値λ
2に対応する固有ベクトルχ
2を使用して、下り参照信号s
RS,lに対してビームフォーミングを行う場合、得られるBRSはy
BRS,l=χ
2s
RS,lである。
【0030】
または、これらの2つの固有ベクトルχ
1およびχ
2を使用して、下り参照信号s
RS,lに対してビームフォーミングを行う場合、y
BRS,l=χ
1s
RS,lおよびy
BRS2,l=χ
2s
RS,lの2つのBRSを得、それぞれUEに送信する。または、得られる2つのBRSをy
BRS,l=χ
1s
RS,l+χ
2s
RS,lのように重ね合わせて、合わせたBRSをUEに送信してもよい。
【0031】
具体的に適用する際に、長期的な進化(LTE)システムの互換性を考慮すると、下り参照信号は、セル専用参照信号(CRS)またはチャネル状態指示参照信号(CSI−RS)であってもよい。
【0032】
L個のアンテナサブアレイで送信される複数のBRSは、時分割多重化(TDM)、周波数分割多重化(FDM)、符号分割多重化(CDM)、または循環シフト(CS)によって、時間周波数リソース上で多重化してもよい。
【0033】
上記
図1に示す実施例では、基地局によって、アンテナアレイを少なくとも2つのアンテナサブアレイに分割し、受信された、UEから送信された上り信号に基づいて、各アンテナサブアレイ毎の送信側相関性パラメータを推定し、各アンテナサブアレイ毎に、送信側相関性パラメータに基づいて、下り参照信号に対してビームフォーミングを行い、該アンテナサブアレイによって、BRSをUEに送信する。従来技術におけるアンテナアレイ全体に対してビームフォーミングを行うことに比べると、計算複雑度を低減させることができ、AASが用いられユーザが密集して分布するシナリオに適用可能であり、高い空間相関性があるシナリオに対して、性能および複雑度を両立させるマルチアンテナ伝送方式が提供されている。
【0034】
図4は、本願の他の実施例における基地局側がマルチアンテナ伝送を行う方法のフローの模式図である。
図4に示すように、
図1に示すステップに加えて、
図4は、以下のステップをさらに含む。
【0035】
ステップ104で、UEからフィードバックされたビーム選択情報を受信し、受信されたビーム選択情報に基づいてユーザをスケジューリングする。
【0036】
本ステップにおいて、ビーム選択情報は、UEで選択されたBRSに対応するビーム識別子、または、UEで選択されたアンテナサブアレイ識別子であってもよい。ここで、ビーム識別子はビームのインデックスであってもよく、アンテナサブアレイ識別子はアンテナサブアレイのインデックスであってもよい。
【0037】
具体的には、UEは、基地局側のL個のアンテナサブアレイで送信された複数のBRSを受信すると、その中から1つまたは複数のBRSを選択し、選択されたBRSに対応するビームのインデックスを決定する。UEが基地局側のアンテナサブアレイとビームとの対応関係を事前に知っている場合、UEは、該対応関係に基づいて、上記ビームのインデックスに対応するアンテナサブアレイのインデックスを決定し、該アンテナサブアレイのインデックスをビーム選択情報として基地局に送信してもよい。UEは、基地局側のアンテナサブアレイの具体的な情報を知らない場合、選択されたBRSに対応するビームのインデックスをビーム選択情報として基地局に送信する。
【0038】
基地局は、受信されたビーム選択情報に基づいて、UEで選択されたアンテナサブアレイを決定する。該ビーム選択情報がUEで選択されたBRSに対応するビームのインデックスである場合、基地局は、アンテナサブアレイとビームとの対応関係によって、UEで選択されたアンテナサブアレイがマッピングされることができる。該ビーム選択情報がUEで選択されたアンテナサブアレイのインデックスである場合、基地局は、直接にその中から、UEで選択されたアンテナサブアレイを決定することができる。
【0039】
基地局がユーザをスケジューリングする方法は、決定された、UEで選択されたアンテナサブアレイに基づいて、UEをグループ分けして、各アンテナサブアレイそれぞれに対応するスケジューリング対象UEグループを得、次いで、各スケジューリング対象UEグループ毎に、該スケジューリング対象UEグループに対応するアンテナサブアレイによってデータを伝送するスケジューリングユーザを決定する、ことを含む。ここで、1つのスケジューリング対象UEグループには、1つまたは複数のUEが含まれる。
【0040】
一実施例では、ユーザのグループ分けを行う際に、単純にユーザのフィードバックに基づいてグループ分けしてもよい。即ち、同一のアンテナサブアレイのインデックスをフィードバックしたUEを、いかなる調整も行わずに、1つのスケジューリング対象UEグループに属させる。例えば、K個のUEがあり、L個のアンテナサブアレイに対して、UE1は、選択されたアンテナサブアレイのインデックスが1であることをフィードバックし、UE2は、選択されたアンテナサブアレイのインデックスが1および2であることをフィードバックし、UE3は、選択されたアンテナサブアレイのインデックスが1および3であることをフィードバックし、UE4は、選択されたアンテナサブアレイのインデックスが1であることをフィードバックし、UE5は、選択されたアンテナサブアレイのインデックスが1であることをフィードバックし、・・・、UEKは、選択されたアンテナサブアレイのインデックスがLであることをフィードバックしたと仮定する。
【0041】
そうすると、基地局は、表1に示す結果を得ることができる。ここで、インデックスが1であるアンテナサブアレイを選択したUEが5つあり、これらの5つのUEを1グループに属させる。例えば、現在、複数のユーザが1つの会議室で会議をしているなど、該アンテナサブアレイで形成されたビームのカバー範囲内にスケジューリングされるのを待っているユーザが多数あるような具体的なシナリオを考慮すると、これらのユーザは、同時に基地局へデータサービスを要求し、基地局は、これらのユーザで選択されたアンテナサブアレイのインデックスがいずれも1であることを決定した。
【表1】
【0042】
他の実施例では、基地局は、スケジューリングバランス原則に基づいて、UEをグループ分けしてもよい。即ち、全てのスケジューリング対象UEグループ内のUE数が比較的近くなるように、各アンテナサブアレイに割り当てられたスケジューリング対象UEの数をバランスさせる。例えば、表2に示すように、多数のUEからフィードバックされたアンテナサブアレイのインデックスが1である場合、基地局は、アンテナサブアレイ間で、同一グループに分けられたスケジューリング対象UEを適宜調整してもよい。例えば、ビームが近いアンテナサブアレイ間で調整して、複数のアンテナサブアレイを選択した若干のUEを1グループのみに残すことを考慮する。いかなる調整も行われない表1の結果と対比すると、表2に示すように、UE4およびUE5を、それぞれ、対応のインデックスが2および3であるスケジューリング対象UEグループに割り当て、対応のインデックスが1であるスケジューリング対象UEグループからUE3を削除し、UE3を、対応のインデックスが3であるスケジューリング対象UEグループのみに割り当てる。
【表2】
【0043】
UEが、選択されたアンテナサブアレイのインデックスを基地局へフィードバックすることに加えて、選択されたアンテナサブアレイで受信されたBRSのRSRPを合わせて基地局に送信する場合、基地局は、各UEで選択されたアンテナサブアレイでのRSRPを参考して、ユーザのグループ分けを行ってもよい。例えば、上記スケジューリングバランス原則では、各アンテナサブアレイに割り当てられたスケジューリング対象UEの数が比較的近くなるように、各スケジューリング対象UEグループに、RSRPがある閾値より高いUEのみを残すことを考慮する。
【0044】
各スケジューリング対象UEグループ毎に、基地局は、所定のスケジューリングメトリックに基づいて、その中から1つまたは複数のスケジューリングユーザを決定してもよい。ここで、スケジューリングメトリックは、UEスループットの幾何平均、プロポーショナルフェアネススケジューリングメトリック、改善されたプロポーショナルフェアネススケジューリングメトリックであってもよい。
【0045】
ステップ105で、各スケジューリングユーザへ下り制御シグナリングを送信することにより、各スケジューリングユーザから基地局へ第2の上り信号を送信することをトリガーし、第2の上り信号に基づいて各スケジューリングユーザ毎のデータをプリコーディングし、プリコーディングされたデータを各スケジューリングユーザに送信する。
【0046】
本ステップにおいて、第2の上り信号は、非周期的なサウンディング参照信号(A−SRS)のような上り参照信号であってもよい。送信される下り制御シグナリングには、スケジューリングユーザに対し上り参照信号の送信を指示するための指示ビットが付けられている。これにより、スケジューリングユーザから基地局へ上り参照信号を送信することをトリガーする。その後、基地局は、受信された上り参照信号に基づいてチャネル推定を行い、チャネル相互関係(channel reciprocity)原則に基づいて、アンテナアレイ全体の下りチャネル状態情報を推定する。
【0047】
本願では、アンテナアレイ全体が複数のアンテナサブアレイに分割され、アンテナサブアレイ間でチャネルの空間相関性が弱いので、アンテナサブアレイ間で線形プリコーディングアルゴリズムを使用してもよい。これにより、良い性能を得ることができる。また、アンテナサブアレイの内部では、高い空間相関性に適応するように、非線形プリコーディングアルゴリズムを使用する。即ち、2つのプリコーディング行列をそれぞれ算出し、カスケード方式でプリコーディングする。
【0048】
具体的には、全てのスケジューリングユーザの下りチャネル状態情報から、線形プリコーディング方法によって線形プリコーディング行列を算出し、これを第1のプリコーディング行列とする。次いで、推定された下りチャネル状態情報および線形プリコーディング行列から、非線形プリコーディング方法によって各スケジューリングユーザ毎の非線形プリコーディング行列を算出し、これを第2のプリコーディング行列とする。その後、線形プリコーディング行列と非線形プリコーディング行列とに基づいて、各スケジューリングユーザ毎のデータをプリコーディングする。
【0049】
例えば、線形プリコーディングは、ゼロフォーシング(ZF)またはブロック対角化(BD)アルゴリズムによって、全てのスケジューリングユーザの下りチャネル状態情報から、線形プリコーディング行列Pを得るようにしてもよい。次いで、アンテナサブアレイでの各スケジューリングユーザ毎に、線形プリコーディング行列Pと下りチャネル行列
との積
に対して、例えばTHPアルゴリズムによって非線形プリコーディングを行って、非線形プリコーディング行列V
kを得る。さらに、PおよびV
kに基づいて、全てのユーザデータを2回プリコーディングして、プリコーディングされたデータを得る。
【0050】
一実施例では、プリコーディングされたデータを送信する際に、アンテナアレイ全体で、プリコーディングされたデータを全てのスケジューリングユーザに同時に送信してもよい。他の実施例では、各アンテナサブアレイそれぞれが1つのスケジューリングユーザグループに対応し、各スケジューリングユーザグループそれぞれに複数のスケジューリングユーザが含まれる場合、異なる送信時間帯を設定し、各アンテナサブアレイ毎に1つの送信時間帯を指定し、その後、スケジューリングユーザに対応するアンテナサブアレイによって、指定された送信時間帯で、プリコーディングされたデータを送信し、即ち、アンテナサブアレイ間で時分割で送信するようにしてもよい。
【0051】
図4に示す実施例では、基地局は、UEからフィードバックされたビーム選択情報を受信し、受信されたビーム選択情報に基づいてユーザをスケジューリングし、各アンテナサブアレイ毎にスケジューリングユーザを決定することにより、異なるアンテナサブアレイに対応するスケジューリングユーザグループ間の空間相関性が弱くなり、同一のアンテナサブアレイに対応するスケジューリングユーザ間でのみ高い空間相関性を保持し、さらに、線形プリコーディングと非線形プリコーディングとを組み合わせた方式でカスケードプリコーディングを行うことにより、マルチユーザ多重化の利得を向上させ、セルスループットを増加させる。
【0052】
図5は、本願の一実施例におけるマルチアンテナ伝送方法のシグナリングやり取りの模式図である。図中には、基地局およびスケジューリング対象ユーザUE1,・・・,UEKが含まれる。
図5に示すように、この方法は、以下のステップを含む。
【0053】
ステップ501で、基地局は、アンテナアレイを少なくとも2つのアンテナサブアレイに分割する。
【0054】
ステップ502で、各UEは、基地局へ第1の上り信号を送信する。例えば、UE1,・・・,UEKは、それぞれ、基地局へ上り信号P−SRSを送信する。
【0055】
ステップ503で、基地局は、受信された、UEから送信された第1の上り信号に基づいて、各アンテナサブアレイ毎の送信側相関性行列を推定し、各アンテナサブアレイ毎に、送信側相関性行列から固有ベクトルを算出し、固有ベクトルに基づいて、下り参照信号に対してビームフォーミングを行って、BRSを得る。
【0056】
ステップ504で、基地局は、各アンテナサブアレイで、相応のBRSをUEに送信する。
【0057】
ステップ505で、UEは、受信されたBRSに基づいて、アンテナサブアレイを選択する。
【0058】
ステップ506で、UEは、基地局へビーム選択情報をフィードバックする。
【0059】
ステップ507で、基地局は、受信されたビーム選択情報に基づいて、ユーザをスケジューリングする。
【0060】
ステップ508で、基地局は、各スケジューリングユーザへ下り制御シグナリングを送信することにより、各スケジューリングユーザから基地局へ第2の上り信号を送信することをトリガーする。
【0061】
図5に示すように、UE1およびUEKがスケジューリングユーザであると仮定する。この場合、基地局は、UE1およびUEKから基地局へA−SRSを送信することをトリガーする。
【0062】
ステップ509で、各スケジューリングユーザは、基地局へ第2の上り信号を送信する。
【0063】
ステップ510で、基地局は、受信された第2の上り信号に基づいて、各スケジューリングユーザ毎のデータをカスケードプリコーディングする。
【0064】
ステップ511で、基地局は、プリコーディングされたデータを各スケジューリングユーザに送信する。
【0065】
一実施例では、プリコーディングされたデータを送信することに加えて、基地局は、復調参照信号(DMRS)に関するシグナリング設定情報を、UEのデータチャネルの関連復調に用いるように、同時にスケジューリングユーザへ送信してもよい。
【0066】
ステップ512で、各スケジューリングユーザは、受信された下りデータを検出して、その中から自局のデータを得る。
【0067】
図6は、本願の一実施例におけるUE側がマルチアンテナ伝送を行う方法のフローの模式図である。
図6に示すように、この方法は、以下のステップを含む。
【0068】
ステップ601で、基地局へ第1の上り信号を送信することにより、基地局が、受信された第1の上り信号に基づいて、各アンテナサブアレイ毎の送信側相関性パラメータを推定し、各アンテナサブアレイ毎に、送信側相関性パラメータに基づいて、下り参照信号に対してビームフォーミングを行い、ビームフォーミング後の下り参照信号BRSを、該アンテナサブアレイによって、ユーザ端末に送信するようにする。例えば、第1の上り信号はP−SRSである。
【0069】
ステップ602で、基地局からBRSを受信し、受信されたBRSに基づいてビームを選択して、ビーム選択情報を生成する。
【0070】
一実施例では、UEは、基地局側のL個のアンテナサブアレイで送信されたBRSを受信し、各BRSの参照信号受信電力(RSRP)を推定し、その中から1つまたは複数のBRSを選択し、例えば、RSRPが最大となるBRSを選択し、または、RSRPが最大となるBRSおよびRSRPが次大となるBRSを選択する。UEは、選択されたBRSの使用しているリソースに基づいて、これらのBRSに対応するビームを決定することができる。
【0071】
さらに、UEは、基地局側のアンテナサブアレイとビームとの対応関係を知っているか否かに応じて、異なるビーム選択情報を生成してもよい。具体的には、UEが上記対応関係を知ることができない場合、選択されたBRSに対応するビーム識別子をビーム選択情報として基地局にフィードバックする。UEは、上記対応関係を事前に知っている場合、上記対応関係に基づいて、アンテナサブアレイ識別子がビーム識別子からマッピングされ、該アンテナサブアレイ識別子をビーム選択情報として基地局にフィードバックしてもよい。
【0072】
他の実施例では、UEは、基地局へビーム選択情報をフィードバックすることに加えて、選択されたBRSのRSRPを合わせて基地局に送信してもよい。これにより、基地局は、UEで選択されたBRSのRSRPを参考して、ユーザのスケジューリングを行うことができる。
【0073】
ステップ603で、基地局へビーム選択情報をフィードバックすることにより、基地局が、受信されたビーム選択情報に基づいて、ユーザをスケジューリングするようにする。
【0074】
該UEがスケジューリングユーザである場合、さらに、ステップ604および605を実行する。
【0075】
ステップ604で、基地局から下り制御シグナリングを受信し、基地局へ第2の上り信号を送信することにより、基地局が、第2の上り信号に基づいて、各スケジューリングユーザ毎のデータをプリコーディングし、プリコーディングされたデータを各スケジューリングユーザに送信する。
【0076】
ステップ605で、基地局から、プリコーディングされたデータを受信して、データ検出を行う。
【0077】
図7は、本願の一実施例における基地局700の構成の模式図である。
図7に示すように、基地局700は、アンテナアレイを少なくとも2つのアンテナサブアレイに分割する分割モジュール710と、ユーザ端末(UE)から送信された第1の上り信号を受信する受信モジュール720と、受信モジュール720で受信された第1の上り信号に基づいて、分割モジュール710で分割された各アンテナサブアレイ毎の送信側相関性パラメータを推定する推定モジュール730と、各アンテナサブアレイ毎に、推定モジュール730で推定された送信側相関性パラメータに基づいて、下り参照信号に対してビームフォーミングを行って、ビームフォーミング後の下り参照信号を得るビームフォーミングモジュール740と、ビームフォーミングモジュール740で得られたビームフォーミング後の下り参照信号を、相応のアンテナサブアレイによって、UEに送信する送信モジュール750と、を備える。
【0078】
図8は、本願の他の実施例における基地局800の構成の模式図である。
図7に示すモジュールに加えて、基地局800は、スケジューリングモジュール760と、プリコーディングモジュール770と、をさらに備える。
【0079】
一実施例では、受信モジュール720は、さらに、UEからフィードバックされたビーム選択情報を受信する。これに応じて、スケジューリングモジュール760は、受信モジュール720で受信されたビーム選択情報に基づいて、ユーザをスケジューリングする。
【0080】
一実施例では、スケジューリングモジュール760は、ビーム選択情報に基づいて、UEで選択されたアンテナサブアレイを決定し、スケジューリングバランス原則とUEで選択されたアンテナサブアレイとに基づいてUEをグループ分けして、各アンテナサブアレイそれぞれに対応するスケジューリング対象UEグループを得、各スケジューリング対象UEグループ毎に、該スケジューリング対象UEグループに対応するアンテナサブアレイによってデータを伝送するスケジューリングユーザを決定する。
【0081】
一実施例では、送信モジュール750は、さらに、スケジューリングモジュール760で決定された各スケジューリングユーザへ下り制御シグナリングを送信することにより、各スケジューリングユーザから基地局へ第2の上り信号を送信することをトリガーする。受信モジュール720は、さらに、各スケジューリングユーザから送信された第2の上り信号を受信する。
【0082】
これに応じて、プリコーディングモジュール770は、受信モジュール720で受信された第2の上り信号に基づいて、スケジューリングモジュール760で決定された各スケジューリングユーザ毎のデータをプリコーディングする。送信モジュール750は、さらに、プリコーディングモジュール770で得られたプリコーディングされたデータを各スケジューリングユーザに送信する。
【0083】
一部の実施例では、プリコーディングモジュール770は、さらに、前記第2の上り信号に基づいて、各スケジューリングユーザ毎の下りチャネル状態情報を推定し、全てのスケジューリングユーザの下りチャネル情報から、第1のプリコーディング行列を算出し、各スケジューリングユーザ毎の下りチャネル状態情報および前記第1のプリコーディング行列から、各スケジューリングユーザ毎の第2のプリコーディング行列を算出し、前記第1のプリコーディング行列と前記第2のプリコーディング行列とに基づいて、各スケジューリングユーザ毎のデータをプリコーディングする。
【0084】
一部の実施例では、前記第1のプリコーディング行列は線形プリコーディング行列であり、前記第2のプリコーディング行列は非線形プリコーディング行列であり、前記プリコーディングモジュール770は、さらに、前記線形プリコーディング行列と前記非線形プリコーディング行列とに基づいて、各スケジューリングユーザ毎のデータを2回プリコーディングする。
【0085】
図9は、本願の一実施例におけるユーザ端末900の構成の模式図である。
図9に示すように、ユーザ端末900は、アンテナアレイが少なくとも2つのアンテナサブアレイに分割された基地局へ第1の上り信号を送信することにより、基地局が、受信された第1の上り信号に基づいて、各アンテナサブアレイ毎の、異なる送信側の無線伝搬チャネル間の空間相関性を示す送信側相関性パラメータを推定し、各アンテナサブアレイ毎に、送信側相関性パラメータに基づいて、下り参照信号に対してビームフォーミングを行い、ビームフォーミング後の下り参照信号を、該アンテナサブアレイによって、ユーザ端末に送信するようにする送信モジュール910と、基地局からビームフォーミング後の下り参照信号を受信する受信モジュール920と、を備える。
【0086】
一実施例では、ユーザ端末900は、受信モジュール920で受信されたビームフォーミング後の下り参照信号に基づいて、ビームを選択して、ビーム選択情報を生成する選択モジュール930をさらに備える。
【0087】
これに応じて、送信モジュール910は、さらに、選択モジュール930で決定されたビーム選択情報を基地局へフィードバックすることにより、基地局が、ビーム選択情報に基づいてユーザをスケジューリングするようにし、ここで、前記基地局は、前記ビーム選択情報に基づいて、前記ユーザ端末で選択されたアンテナサブアレイを決定し、スケジューリングバランス原則と前記ユーザ端末で選択されたアンテナサブアレイとに基づいて前記ユーザ端末をグループ分けして、各アンテナサブアレイそれぞれに対応するスケジューリング対象ユーザ端末グループを得る。
【0088】
一部の実施例では、前記送信モジュール910は、さらに、前記基地局から送信された下り制御シグナリングに応じて、前記基地局へ第2の上り信号を送信し、ここで、前記基地局は、前記第2の上り信号から、第1のプリコーディング行列および第2のプリコーディング行列を得、前記第1のプリコーディング行列と前記第2のプリコーディング行列とに基づいて、前記ユーザ端末のデータを2回プリコーディングして、プリコーディングされたデータを得、前記受信モジュール920は、さらに、前記基地局から、前記プリコーディングされたデータを受信する。
【0089】
当業者であれば理解すべきものとして、本願の実施例のユーザ端末および基地局における各処理モジュールの機能は、前述した方法に関する実施例の関連説明を参照すると、理解することができ、本願の実施例のユーザ端末および基地局における各処理モジュールは、本願の実施例を実現するソフトウェアがユーザ端末および基地局で実行されることによって、実現することができる。
【0090】
本願で提供された幾つかの実施例では、理解すべきものとして、開示された機器および方法は、別の方式で実現してもよい。上記に説明した機器に関する実施例は、模式的なものにすぎない。例えば、前記モジュールの分割は、論理的な機能の分割にすぎず、実際に実現する際に、別の分割方式であってもよい。例えば、複数のモジュールまたはアセンブリを組み合わせたり、他のシステムに組み入れたりしてもよいし、一部の構成を無視したり、実行しなかったりしてもよい。また、示されまたは説明された各構成部分の互いの結合、または直接結合、または通信接続は、若干のインターフェースを介するものであってもよく、機器またはモジュールの間接結合または通信接続は、電気的、機械的、または他の形式であってもよい。
【0091】
当業者であれば理解できるように、上記方法に関する実施例を実現する全部または一部のステップは、プログラムによって関連のハードウェアに指令することにより行ってもよい。前述したプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。該プログラムを実行する際に、上記方法に関する実施例を含むステップが実行される。前述した記憶媒体は、モバイル記憶デバイス、読み取り専用メモリ(ROM:Read−Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、磁気ディスクや光ディスクなどの、プログラムコードを記憶できる各種の媒体を含む。
【0092】
上記は、本願の好ましい実施例にすぎず、本願の保護範囲を限定するものではない。本願の原則内で行われる種々の修正、均等置換え、改善などは全て本願の保護範囲内に含まれるべきである。