【文献】
古閑 楠人ほか,局所濃淡構造解析を用いた3次元腹部造影CT像からの胆道自動抽出手法,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,第113巻、第62号,第55-60頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各位置の前記管幅推定は、それぞれの位置における前記少なくとも1つのセグメント化された管状胆道構造の断面向きを決定することと、前記決定された断面向きで前記少なくとも1つのセグメント化された管状胆道構造の管幅推定を決定することとにより計算される、請求項1に記載の方法。
当該方法は、前記管幅推定データに少なくとも1つのパターン検出ウィンドウを適用することにより前記少なくとも1つのセグメント化された管状構造内の変化のパターンを検出するステップを含む、請求項1に記載の方法。
前記管状強調は、前記医療撮像スキャンデータの前記ボリューム内の各ボクセルについて、管状構造を球状構造から区別する第1のメトリック及び管状構造を板状構造から区別する第2のメトリックを計算することと、それぞれのボクセルの前記第1のメトリック、前記第2のメトリック、及びスキャン強度値に少なくとも部分的に基づき前記それぞれのボクセルの管性尺度を計算することとを含む、請求項1に記載の方法。
少なくとも1つの処理デバイスは、それぞれの位置における前記少なくとも1つのセグメント化された管状胆道構造の断面向きを決定することと、前記決定された断面向きで前記少なくとも1つのセグメント化された管状胆道構造の管幅推定を決定することとにより、各位置の前記管幅推定を計算するように構成される、請求項13に記載の画像処理システム。
前記少なくとも1つの処理デバイスは、前記管幅推定データに少なくとも1つのパターン検出ウィンドウを適用することにより前記少なくとも1つのセグメント化された管状構造内の変化のパターンを検出するようにさらに構成される、請求項13に記載の画像処理システム。
前記少なくとも1つの処理デバイスは、識別された管状胆道構造から分岐するさらなる管状胆道構造を再帰的に識別して階層的胆樹構造を導出するように構成される、請求項17に記載の画像処理システム。
前記少なくとも1つの処理デバイスは、各々の識別された管状胆道構造の長さに沿って各位置の定量的構造パラメータの少なくとも1つのセットを計算するように構成される、請求項18に記載の画像処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明が添付図面を参照して説明され、ボリューメトリック(volumetric)医療撮像スキャンデータから胆樹構造の定量的データを生成する方法及び装置の例が示される。しかしながら、本発明は本明細書で説明され添付図面に示される特定の例に限定されないことが認識されるであろう。
【0033】
さらに、本発明の例示実施例は、大抵の部分について、当業者に知られる電子コンポーネント及び回路を使用して実現され得るため、詳細は、本発明の基本概念の理解及び認識のため、かつ本発明の教示を分かりにくくし又は本発明の教示からそらせることがないように、以下に示されるとおり必要と考えられるより詳細には説明されない。
【0034】
次に
図2を参照し、ボリューメトリック医療撮像スキャンデータから胆樹構造の定量的データを生成する方法の少なくとも一部の例の簡略フローチャート200が示される。方法は210で開始して220に進み、220でボリューメトリックスキャンデータがロードされ、ボリューメトリックデータは、患者の肝臓の少なくとも一部を含むボリュームを表す。
図2に示される例において、ボリューメトリックスキャンデータは、磁気共鳴撮像モダリティを介して取得された撮像スキャンデータを含み、詳細には、磁気共鳴胆管膵管造影(MRCP)撮像スキャンデータを含む。ロードされたボリューメトリックスキャンデータにより定義される少なくとも1つのボリュームのセグメント化が、ボリューム内の管状胆道構造を識別するために230で実行される。次いで、識別された管状胆道構造のパラメトリックモデリングが、識別された管状胆道構造の定量的構造パラメータを生成するために240で実行される。
【0035】
パラメトリックモデリングによって生成され得る定量的構造パラメータのタイプの考えられる例には、
‐ セグメント化された管状胆道構造の1つ以上の中心線位置、
‐ セグメント化された管状胆道構造の長さに沿った1つ以上の位置におけるセグメント化された管状胆道構造の中心線向き、
‐ 胆道構造の長さに沿った1つ以上の位置におけるセグメント化された管状胆道構造の半径値、
‐ 胆道構造の長さに沿った1つ以上の位置におけるセグメント化された管状胆道構造の直径値、
‐ 胆道構造の長さに沿った1つ以上の位置におけるセグメント化された管状胆道構造の断面向き、
‐ 胆道構造の長さに沿った1つ以上の位置におけるセグメント化された管状胆道構造の断面プロファイル(形状)、
‐ 胆道構造の長さに沿った1つ以上の位置におけるセグメント化された管状胆道構造の分岐ポイントの存在の指標、及び
‐ 胆道構造の長さに沿った1つ以上の位置におけるセグメント化された管状胆道構造の分岐ポイントの向き
が含まれる。
【0036】
特に本発明のいくつかの例示的な実施例について、以下でより詳細に説明されるように、方法は、各々の識別された管状胆道構造の長さに沿って複数の位置で上記の定量的構造パラメータを決定するステップを含んでもよい。
【0037】
識別された管状胆道構造の定量的構造パラメータを生成し、次いで250で、生成された定量的構造パラメータを含む定量的胆樹データが例えばデータベース又は他のデータ記憶デバイスに出力され、方法は260で終了する。
【0038】
有利なことに、例えば磁気共鳴撮像モダリティを介して取得されたボリューメトリックスキャンデータから生成された定量的構造パラメータを含む上記の定量的胆樹データを生成することにより、医師は、患者の胆樹に関する強調された情報を提供され、これは、医師が患者の胆樹の病理をより正確に判断し、詳細には狭窄及び拡張の存在などの胆樹のトポロジ的及び構造的特徴をより正確に判断することを可能にする。このように、本発明の実施例は、医師が肝臓病を検出することを可能にする改善された非侵襲的診断技術、より一般には胆樹の正確な判断を医師に提供する改善された非侵襲的診断技術を提供する。
【0039】
次に、本発明の例示的な実施例がより詳細に説明される。一般にはデジタル画像の、医療スキャン画像のセグメント化は、画像内の対象及び境界を識別し、画像内の各ピクセル/ボクセルにラベルを割り当て、それにより特定の特性を共有するピクセルが同じラベルを割り当てられる、良く知られた処理である。画像セグメント化の最も簡素な方法は「閾値処理(thresholding)」と呼ばれ、グレースケールデジタル画像データが、各ピクセル/ボクセルのグレースケールデータの閾値に対する比較に基づきバイナリ画像データに変換される。
【0040】
しかしながら、胆管は、肝臓の排出システムとして動作する小さい管である。肝内管は、1mm〜3mmの間の直径範囲を典型的に有し、肝外胆管は、4mm〜8mmの間の直径範囲を典型的に有する。結果として、より小さい胆管は、しばしば、小さすぎて上記の標準のセグメント化技術を使用して識別できない。
【0041】
したがって、本発明のいくつかの例示的な実施例において、処理されていない医療スキャンデータに対して管状強調を実行してボリューメトリック医療撮像スキャンデータ内の胆管などの管状構造の識別を改善することが提案される。管状強調は、非管状構造の信号を抑制すると同時に見込みのある管状構造の信号を強調することを狙う。
【0042】
管状構造強調について、様々な既知の技術が存在する。いくつかの既知の技術は、固定スケールで作用し、向きのセットに適用される有限差分作用素(finite difference operators)の非線形結合を使用する。これらの固定スケール解析技術は、患者の肝臓内のさまざまなサイズの胆管を識別するときのように、ある範囲のサイズの管状構造が識別される必要がある場合、問題になる。管状構造強調の様々なマルチスケール手法が提案されており、
‐ Aylward S、「Intensity ridge and widths for tubular object segmentation and description」、A. A. Amini, F. L. Bookstein, D. C. Wilson編、Math. Meth.、Biomedical Image Analysis 1995: 131-138、
‐ Koller TMら、「Multiscale detection of curvilinear structures in 2D and 3D image data」、Proceedings of Fifth International Conference on Computer Visualization 1995: 864-869、
‐ Lorenz Cら、「Multi-scale line segmentation with automatic estimation of width, contrast and tangential direction in 2D and 3D medical images」、Lecture Notes in Computer Science 1997: 233-242 (“Lorenz”)、
‐ Gradshteyn, I. S. and Ryzhik, I. M.、「Hessian Determinants.」、§14.314 in Tables of Integrals, Series, and Products, 6th ed. San Diego, CA: Academic Press, p. 1069, 2000. (“Hessian”)、
‐ Sato Y, Nakajima S, Shiranga Nら、「Three-dimensional multi-scale line filter for segmentation and visualization of curvilinear structures in medical images」、Medical Image Analysis 1998;2(2): 143-168 (“Sato”)、及び
‐ Frangi AF, Niessen WJ, Vincken KL, Viergever MA、「Multiscale vessel enhancement filtering」、Medical Image Computing and Computer-Assisted Intervention (MICCAI) 1998;1496: 130-137 (“Frangi”)
に提案されているものが含まれる。
【0043】
しかしながら、管状構造強調のためのこれらの従来技術のマルチスケール手法は、その汎用的な意図された範囲のため、毎回正確な管状強調を達成するという観点で信頼できないことが証明されている。診断技術の重要な臨床要件は、使用される技術の正確さ及び再現性である。
【0044】
発明者は、管状構造強調のための上記のマルチスケール手法の信頼性及び正確さが、これらをより適用特有であるように適合させることにより改善され得ると認識している。本発明のいくつかの例示的な実施例に従い、Sato及びFrangiで概説されるヘシアンに基づく(Hessian based)マルチスケール管状構造強調技術の、適合されたバージョンを実現することが提案される。したがって、Hessian、Sato、及びFrangiで提案される、提案された管状構造強調技術は、本明細書において参照により援用される。
【0045】
マルチスケール手法は、胆道の解剖学的構造内のさまざまなサイズの胆管についてまかなうために使用される。胆管のサイズに関する先験的な解剖学的知識が、管状強調を適合させるために使用でき、詳細には、提案される管状構造強調方法内で採用される3Dガウシアンカーネルのサイズを選択することにおいて使用できる。
【0046】
管は、撮像の観点において3D構造又は3Dエッジである。Sato及びFrangiで概説されるように、エッジ強調(及び検出)の処理は、ガウシアンの一次及び二次導関数(first-order and second-order derivative)から導出できる。二次導関数の最大値は、元の信号の最大値に対応する。我々は3Dガウシアンに関心があるため、二次導関数は、3つの直交方向の各々における二重導関数(double derivatives)と、3つの中間方向の偏二重導関数(partial double derivatives)とを含む。
【0047】
二次導関数は、関数のすべての二次導関数を説明する正方対称行列として表現できる。この行列は、ヘシアン行列として知られる。スケールσにおけるガウシアンの二次導関数は、対応する範囲(−σ,+σ)の内部及び外部の領域間のコントラストを測定するプローブカーネルを生成する。画像の局所的な二次構造が分解され得る原理方向を抽出するために、二次導関数の固有値解析が使用されてよい。ヘシアン行列の固有値解析は、強度/コントラスト変動の原理モードを説明する。最大の固有値に対応する固有ベクトルが、二次導関数が最大(最大の強度変動)である方向、すなわち、管の断面の方向を表す。対応して、最小の固有値の固有ベクトルは、最小の強度変動の方向、すなわち、管の長さに沿った方向を表す。
【0048】
Frangiで説明されるように、管類似性条件及び尺度(measures)は、管状ジオメトリ及び固有値解析に関する情報を利用して導出できる。固有値(λ
1、λ
2、λ
3)は、その大きさの昇順で順序付けられる。
【数1】
【0049】
暗い背景に対して理想的な明るい管状構造を表す理想的条件は、
【数2】
【数3】
【数4】
である。
【0050】
上記の理想的条件を使用し、管状構造を他の形状から区別するメトリックが導出され得る。比率R
aを含む第1のメトリックが、
【数5】
により与えられ得る。
【0051】
比率R
aは、板状及び管状対象の間で区別する。この比率は、管状対象について1に近い値になり、板状対象についてはゼロに近い。
【0052】
比率R
bを含む第2のメトリックが、
【数6】
により定義され得る。
【0053】
比率R
bは、ブロブ状(blob-like)(球状)対象と管状対象との間で区別する。この比率は、球状対象について最大値になり、管状対象についてはゼロに近い。
【0054】
2つの比率はジオメトリ的であり、ゆえにグレーレベル不変であることに留意する。しかしながら、グレーレベル情報もまた、潜在的判別ファクタであり得る。例えば、胆管は、MRCP画像において非胆道構造と比較してかなり明るく見える。したがって、このグレーレベル特性の利点を生かす第3のメトリックSが使用されてもよく、Sは、
【数7】
により与えられる。
【0055】
暗い背景に対して明るく見える理想的管状構造は、以下の条件を満たすべきである。
(i)小さい値のR
b、
(ii)大きい値のR
a、及び
(iii)大きい値のS
【0056】
球状の、ブロブ状の構造については、高い値のR
bが得られる。しばしば、胆樹の分岐位置に局所的な球形があるため、これは有用な観察である。
【0057】
上記の3つのメトリック(R
b、R
a、S)は、特定のスケールσにおける「管性(tubeness)」を測定する合成メトリックに到達するように組み合わせでき、例えば、
【数8】
であり、α、β、cは、フィルタの感度を制御する定数である。
【0058】
式8で概説される管性尺度T
O(σ)は、さまざまな管サイズに対応する各スケール(σ)の各ボクセルについて計算される。特定のボクセルのフィルタの応答は、検出される管状構造のサイズに最も近くマッチするスケールで最大になる。各ボクセルの管性尺度は、ゆえに、
【数9】
として、最終的な管性尺度を取得するためにスケールにわたり統合され得る。
【0059】
次いで、ボリューメトリック画像内のすべてのボクセルの最終的な管性尺度が、ボリューメトリック画像内の各ボクセルの対応する固有値、固有ベクトル、最大応答のスケール並びに最大応答のR
a及びR
b値と共に記録され得る。有意には、式9を使用して算出される最終的な管性尺度値は、小さいかすかな肝内管を含む胆管などの管状構造が生の捕捉されたスキャンデータと比較してボリューメトリック画像内でより容易に識別されることを可能にする。
【0060】
図3は、
図2のステップ230で実行され得るような、ボリューメトリックスキャンデータのセグメント化を実行して管状胆道構造を識別する例の簡略フローチャート300を示す。
図3に示される例において、方法は、上記で説明されたように、ボリューメトリック医療撮像スキャンデータに対して管状強調を実行してボリューメトリック医療撮像スキャンデータ内の各ボクセル管性尺度を導出するステップと、各ボクセルの管性尺度に基づき医療撮像スキャンデータのセグメント化を実行するステップとを含む。
【0061】
図3の方法は310で開始して315に進み、315で、例えば典型的な胆管幅を表すスケールの予め定義されたセットから、第1のスケールσが選択される。示される例において、選択されたスケールのヘシアンボリュームが次いで320で計算され、それにより、セグメント化されるべきボリューム内の各ボクセルの二次ガウシアン導関数のヘシアン行列が計算され、計算されたヘシアン行列はヘシアンボリュームを形成する。
【0062】
ヘシアンボリューム内の第1のボクセルが次いで325で選択され、選択されたボクセルのヘシアン行列内の二次ガウシアン導関数の固有ベクトルが計算される。次いで、管状構造を他の形状の構造から区別する行列が、選択されたボクセルについて計算される。特に、示された例について、板状及び管状構造の間で区別する第1のメトリックR
aが、例えば上記式5によって335で計算され、ブロブ状(球状)及び管状構造の間で区別する第2のメトリックR
bが、例えば上記式6によって340で計算される。示される例において、次いで、選択されたボクセルの信号強度(グレーレベル)を表す第3のメトリックSが、例えば上記式7によって345で計算される。次いで、選択されたスケールσ及び選択されたボクセルの管性尺度T
O(σ)が、計算されたメトリックを使用して、例えば式8を使用して350で計算される。
【0063】
次いで、選択されたボクセルが最後のボクセルであるかどうか、すなわち、選択されたスケールσの管性尺度がボリューム内のすべてのボクセルについて計算されたことが、355で決定される。現在選択されているボクセルが最後のボクセルでないと決定された場合、方法は360に進み、ボリューム内の次のボクセルが選択され、方法は330にループバックする。このように、方法は、選択されたスケールσの管性尺度がT
O(σ)がボリューム内の各ボクセルについて計算されるまでループする。
【0064】
管性尺度T
O(σ)が、選択されたスケールσについてボリューム内のすべてのボクセルについて計算されると、方法は365に進み、365で、選択されたスケールσが最後のスケールであるかどうか、すなわち、管性尺度がスケールの予め定義されたセット内のすべてのスケールについて計算されたことが決定される。現在選択されているスケールが最後のスケールでないと決定された場合、方法は370に進み、セット内の次のスケールが選択され、方法は320にループバックする。このように、方法は、すべてのスケールの管性尺度が計算されるまでループする。
【0065】
すべてのスケールの管性尺度が計算されると、方法は375に進み、375で、ボリューム内の各ボクセルについて、最終的な管性尺度が、スケールのセットについて計算された管性尺度のセットから、例えば上記式9を使用して導出され、式9では、あるボクセルの管性尺度のセットからの最大管性尺度が、そのボクセルの最終的な管性尺度として計算される。次いで、導出された最終的な管性尺度は、ボリューメトリック画像内の各ボクセルの対応する固有値、固有ベクトル、最大応答のスケール、及び最大応答のRa及びRbと共に記録される。
【0066】
ボリューム内の各ボクセルの最終的な管性尺度を導出し、380で、セグメント化が最終的な管性尺度に基づき実行される。
図3に示される例において、ボリューメトリック画像データのセグメント化は、最終的な管性尺度に閾値を適用して、どのボクセルが画像データ内の管状構造に対応するかを示すボリューム内のボクセルのバイナリ(すなわち、‘1’又は‘0’)値を生成することにより実行される。次いで、
図3の方法は385で終了する。
【0067】
図2を再度参照すると、230でボリューメトリックスキャンデータのセグメント化を実行し、次いで、識別された管状構造のパラメトリックモデリングが、識別された管状構造の定量的構造パラメータを生成するために実行される。本発明のいくつかの例示的な実施例に従い、上記のパラメトリックモデリングは、胆樹の階層的パラメトリック表現を計算することを含み、個々の胆管が選択され、それに対してメトリックが計算されることができる。このように、個々の胆管が識別され、定量化され得る。
【0068】
図4は、上記のパラメトリックモデリング処理の例の簡略フローチャート400を示す。方法は410で開始して420に進み、420で、モデリングされるべきセグメント化されたボリューム内の胆管構造の開始中心線ポイント(すなわち、胆管の始めにおける軸中心ポイント)が識別される。例えば、総胆管などの主要な胆管の場合、開始中心線ポイントはユーザ入力に基づき識別されてもよい。反対に、いくつかの例において、胆管構造の長さに沿って識別された分岐ポイント(以下でより詳細に説明される)が、「子」胆管構造の開始中心線ポイントとして使用されてもよい。開始中心線ポイントを識別し、次いで430で、胆道構造の終了中心線ポイントが、例えば、開始中心線ポイントのそれに最も近い「中央性(medialness)」値を有し、かつ開始中心線ポイントからのユークリッド距離を最大化する、セグメント化されたボリューム内のポイントを見つけることにより決定される。
【0069】
図5は、上記の胆道構造の終了中心線ポイントを見つける方法の例の簡略フローチャート500を示す。方法は510で開始して520に進み、520で、示される例では、開始中心線ポイントの中央性値が決定される。例えば、中央性マップが、セグメント化されたボリュームについて生成されてもよい。いくつかの例において、勾配ベクトルフロー(Gradient Vector Flow;GVF)場に基づく計算が、Bauer C, Bischof Hの「Extracting curve skeletons from gray value images for virtual endoscopy」、Lecture Notes in Computer Science 2008; 5128:393-402で概説されるように、中央性マップを生成するために実行されてもよく、上記は本明細書において参照により援用される。
【0070】
開始中心線ポイントの中央性値を決定し、方法は530に進み、530で、開始中心線ポイントの中央性値に最も近い中央性値を有するセグメント化されたボリューム内のモデリングされていないボクセルのセット(すなわち、セグメント化の間に管状構造に対応するものとしてラベル付けされたが、まだパラメトリックにモデリングされていないセグメント化されたボリュームの領域内に位置するボクセル)が識別される。例えば、開始中心線ポイントの中央性値から最大のずれの範囲内の中央性値を有するモデリングされていないボクセルのセットが識別されてもよい。ボクセルの中央性値は、ボクセルが胆道構造の中心線に対応する確率だけでなく、それぞれの胆道構造の断面属性(例えば、サイズ)をさらに示すため、胆道構造の中心線に対応するボクセルは、同様の中央性値を有する見込みがある。したがって、開始中心線ポイントの中央性値に最も近い中央性値を有するボクセルのセットを識別することにより、ボクセルの識別されたセットは、開始中心ポイントが関連する同じ胆道構造の中心線ポイントに対応する見込みがある。
【0071】
モデリングされていないボクセルの識別されたセットから、開始中心線ポイントから最大のユークリッド距離を有するボクセルが、終了中心線ポイントが開始中心線ポイントから最も離れて位置する胆道構造内の中心線ポイントであると仮定して、540で選択される。次いで、選択されたボクセルに対応する位置が、胆管構造の終了中心線ポイントとして550で記録され、方法は560で終了する。
【0072】
図4を再度参照すると、胆管構造の開始及び終了中心線ポイントを識別し、方法は440に進み、440で、開始及び終了中心線ポイント間の胆管構造の中心線ポイントが定義され、その目的は、胆管の中心線輪郭(skeleton)を見つけることである。例えば、胆管構造の中心線ポイントは、開始中心線ポイントからインクリメンタルに開始し、終了中心線ポイントが到達されるまで胆道構造の連続的な中心線ポイントを決定することにより定義されてもよい。
【0073】
図6は、上記の胆管構造の中心線ポイントをインクリメンタルに定義する方法の簡略フローチャート600を示す。
図6の方法は、開始中心線ポイント及び終了中心線ポイントを接続する最適経路を見つけるための重み付けされた検索アルゴリズムに基づき、重み付けは、あるポイントから次に移動する「コスト」を示す。方法は605で開始して610に進み、610で、胆管構造の開始中心線ポイントが現在の中心ポイントとして設定される。次いで、現在の中心線ポイントの存立可能後続ポイント(Viable successor points)が615で識別される。例えば、現在の中心線ポイントに接続し(例えば、直接的に隣接し)、かつ定義された存立可能性基準を満たすポイントのみが、存立可能後続ポイントと見なされてもよい。ゆえに、存立可能後続ポイントは、3次元(ボリューメトリック)空間内の現在の中心線ポイントを直接囲む26個のポイントに限定されてもよい。現在の中心線ポイントを直接囲む26個のポイントから、存立可能後続ポイントが、例えば、
(i)セグメント化の一部である(すなわち、セグメント化されたボリューム内の識別された管状構造に対応する)
(ii)候補中心線としてすでに記録されていない
(iii)距離マップ閾値基準又はラプラシアンオブガウシアン(Laplacian of Gaussian)閾値基準を満たす
(iv)存立可能な向きである、等
のうち1つ以上の基準を満たすものとして識別されてもよい。
【0074】
距離マップ閾値基準に関して、距離マップは、セグメント化されたボリュームから計算されてもよく、各ボクセル値は、ボクセルの、識別された管状構造の表面からの距離を表す。識別された管状構造内にあるボクセルは負の値を割り当てられ、一方で、識別された管状構造の外部にあるボクセルは正の値を割り当てられる。ゆえに、識別された管状構造の中心線の近くにあるボクセルは高い負の値を割り当てられることになり、表面に向けて移動するとき、ボクセル値はゼロに向かう。管状構造の外側に移動するとき、値は正になり、管状構造の表面から離れるとき増加する。
【0075】
候補後続中心線ポイントの存立可能な向きに関して、予測向きベクトルが、例えば、現在の中心線ポイントの前の4つの中心線ポイントから現在の線ポイントまで計算されてもよい。このように、予測向きベクトルは、胆管構造の中心線の過去の向きを表し、胆管構造の長さに沿ってさまざまな曲率を有するにもかかわらず胆管構造の短いセクションは部分的に線形と考えられてもよいため、次の中心線ポイントの良好な予測器の役割を果たす。対応する候補向きベクトルが、現在の中心線ポイントから候補後続中心線ポイントまで計算されてもよい。次いで、候補後続中心線ポイントは、例えば、予測向きベクトル及び候補向きベクトルのベクトルドット積が正である場合、存立可能な向きを満たすと見なされてもよい。
【0076】
いくつかの例示的な実施例において、あまりに少ない(例えばゼロ)か又はあまりに多い存立可能後続中心線ポイントが識別された場合、適応的閾値が、検索基準を制約又は緩和するために使用されてもよい。例えば、上記の例示的な基準について、距離マップ閾値基準及び/又はラプラシアンオブガウシアン閾値基準が制約され、あるいは緩和されてもよい。例えば、厳しい距離マップ閾値基準で開始し、存立可能後続中心線ポイントが見つけられない場合、反復的に距離マップ閾値基準を緩和し、候補後続中心線ポイントを再評価する。距離マップ閾値が、どの存立可能後続中心線ポイントも識別することなく正の値に到達した場合、距離マップ閾値基準の代わりにラプラシアンオブガウシアン閾値基準に切り替える。厳しいラプラシアンオブガウシアン閾値基準で開始し、候補後続中心線ポイントを評価する。存立可能後続ポイントが見つけられない場合、反復的にラプラシアンオブガウシアンのスケールを低減し、候補後続中心線ポイントを再評価する。ラプラシアンオブガウシアンスケールが最小スケールに到達した後、存立可能後続中心線ポイントが見つけられない場合、後続中心線ポイントを見つけることの失敗を宣言する。
【0077】
図6を再度参照すると、存立可能後続中心線ポイントを識別し、方法は620に進み、620で、コスト関数が、存立可能後続中心線ポイントについて計算される。例えば、存立可能後続中心線ポイントのコスト関数は、
(i)開始ポイントコスト(SP
dist):存立可能後続中心線ポイント及び開始中心ポイントの間の距離
(ii)終了ポイントコスト(EP
dist):存立可能後続中心線ポイント及び終了中心ポイントの間の距離
(iii)管性ゲイン(T
o):存立可能後続中心線ポイントのボクセルの管性尺度T
o(例えば、式9参照)
(iv)中央性ゲイン(M
o):存立可能後続中心線ポイントのボクセルの中央性値
(v)予測向き固守(Adhering to predictive orientation)コスト(APO):1−予測向きベクトル及び候補向きベクトルのベクトルドット積
(vi)R
bコスト(R
b):存立可能後続中心線ポイントのボクセルのR
bメトリック値、及び
(vii)ラプラシアンオブガウシアン(LOG)コスト:存立可能後続中心線ポイントのLOG値
のうち1つ以上に基づき計算されてもよい。
【0078】
図6を再度参照すると、識別された存立可能後続中心線ポイントのコスト関数を計算し、625で、最も低い計算されたコストを有する存立可能後続中心線ポイントが選択され、胆管構造の予期的中心線ポイントのセットに追加される。次いで、選択されたポイントは、630で現在の中心線ポイントとして設定される。次いで、(新しい)現在の中心線ポイントが胆管構造の終了中心線ポイントであるかどうかが決定される。現在の中心線ポイントが胆管構造の終了中心線ポイントでない場合、方法は615にループバックする。しかしながら、現在の中心線ポイントが胆管構造の終了中心線ポイントである場合、
図6の方法は640に進み、640で、示される例では、胆管構造の予期的中心線ポイントのセットが「クリーニングされる(cleaned)」。
【0079】
このステップの目的は、可能な「ニアサイクル(near-cycles)」の予期的中心線ポイントのセットをクリーニングすることである。例えば、nポイント上流の記録された中心線ポイントに対して現在の記録された中心線ポイントの直接の接続性がある場合、「ニアサイクル」の存在はかなり見込みがあり、その場合、現在の記録された中心線ポイントと上流のn番目の中心線ポイントとの間の擬似的な記録された中心線ポイントは除去される必要がある。これは、記録された中心線ポイントをノードごとにトラバースすることにより達成される。例えば、各ノード(記録された中心線ポイント)について、
(i)4ノード先を見る
a.4番目のノードと現在のノードとの間の距離を計算する
b.距離が1.717ボクセル(3の平方根 − 各次元における、依然としてノードに接続されている1ボクセルのインクリメント)以下である場合、4番目のノードと現在のノードとの間のノードを除去する
(ii)3ノード先を見る
a.4番目のノードと現在のノードとの間の距離を計算する
b.距離が1.717ボクセル以下である場合、3番目のノードと現在のノードとの間のノードを除去する
(iii)2ノード先を見る
a.2番目のノードと現在のノードとの間の距離を計算する
b.距離が1.717ボクセル以下である場合、2番目のノードと現在のノードとの間のノードを除去する。
【0080】
図6を再度参照すると、胆管構造の予期的中心線ポイントのセットをクリーニングし、
図6の方法は645に進み、645で、示される例では、クリーニングされた中心線ポイントが中心合わせされ(centred)、中心合わせされた中心線ポイントが650で記録される。
【0081】
クリーニングされた中心線ポイントの中心合わせは、見つけられた(クリーニングされた)中心線ポイントにより定義された記録された中心線が、セグメント化された管状胆道構造に関して正確に中心合わせされることを確保するために実行される。例えば、これは、記録された中心線に沿ってポイントごとにトラバースすることにより達成されてもよく、各々の記録された中心線ポイントについて、
(i)現在の中心線ポイントを「アンカーノード」にする
(ii)後の中心線ポイントを「最適化ノード」にする
(iii)アンカーノードから最適化ノードへのベクトルを計算する
(iv)最適化ノードの近傍で、「より良好な」候補位置を検索し、該位置は
a.より高い中央性応答を有する(中央ボクセルである見込みがより高い)
b.アンカーノードからこの位置へのベクトルがアンカーノードから最適化ノードへのベクトルと同じ一般的方向である(一般的方向を維持する)
c.最適化ノードの次の接続ノードに接続される(接続性を維持する)
(v)これらの基準が満たされる場合、最適化ノードをより良好な候補位置で置換する
【0082】
図6を再度参照し、中心線ポイントを中心合わせし、記録し、
図6に示される方法は655で終了する。
【0083】
図6のフローチャートは、胆樹の単一の「分岐」が如何にして構築されているかを正確に説明する。しかしながら、実際、分岐に対する複数の可能な経路が構築されている状況がある。その場合、「終了中心」ポイントが到達されたときのみ、全体の「最適経路」が決定される。
【0084】
図4を再度参照し、開始及び終了中心線ポイント間の胆管構造の中心線ポイントを定義し、方法は450に進み、450で、管幅推定が、例えばステップ440で定義された各中心線ポイントに対応する、胆管構造の長さに沿って計算される。
【0085】
いくつかの例示的な実施例において、胆管構造の中心線ポイントに対応する管幅推定は、以下のように計算されてもよい。医療スキャンデータに対して管状強調を実行したときに取得される(
図3参照)、中心線ポイントに対応するボクセルの最大応答のスケールσが、管幅検索半径を定義するために使用されてもよい。いくつかの例において、各位置の管幅推定は、それぞれの位置における胆管構造の断面向きを決定し、決定された断面向きにおける胆管構造の管幅推定を決定することにより計算されてもよい。例えば、医療スキャンデータに対して管状強調を実行したときに計算される、中心線ポイントに対応するボクセルのヘシアン行列内の二次ガウシアン導関数の固有ベクトルが、管幅検索半径に等しい半径を有する断面検索エリアの向きを決定するために使用されてもよい。次いで、検索が、断面検索エリア内のセグメント化されたボリューム(すなわち、管状構造の一部を形成するものとしてラベル付けされたボクセル)のうち非ゼロのボクセルについて実行される。次いで、円形の断面エリアモデル
[外1]
が、見つけられた非ゼロのボクセル数に等しく設定され、半径rが計算される。次いで、中心線ポイントの管幅が、2*rで推定できる。
【0086】
胆管構造の各中心線ポイントの管幅推定を計算し、
図4の方法は460に進み、460で、胆管構造に沿った分岐ノードが識別される。
【0087】
図7は、
図4のステップ460で差し込まれ得るような、胆管構造に沿って分岐ノードを識別する方法の例の簡略フローチャート700を示す。
図7の方法は710で開始して720に進み、720で、現在の胆管構造が、セグメント化されたボリュームからマスクされる。上記の方法で現在の胆管構造をマスクすることは、現在の胆管構造から分岐するさらなる胆管構造の検出を容易にする。本発明のいくつかの例示的な実施例によれば、現在の胆管構造のマスキングは、胆管構造の各中心線ポイントについて以下を実行することにより達成されてもよい。
(i)現在の中心線ポイントを次の中心線ポイントに接続する、中心線向きベクトルを計算する
(ii)現在の中心線ポイントで推定された管幅の半分に等しい半径を有する検索近傍を形成する
(iii)検索近傍内の各ボクセル(候補位置)について、
a.現在の中心線ポイントから候補ボクセルへのベクトルを計算する
b.中心線向きベクトルとのベクトルドット積を計算する
c.計算されたドット積がゼロに近い場合(すなわち、中心線向きベクトルに対して直交面にある)、(バイナリの)セグメント化されたボリューム内の候補ボクセルをゼロに設定する(マスク)。
【0088】
図7を再度参照し、セグメント化されたボリュームから現在の胆管構造をマスクし、方法は730に進み、730で、現在の胆管構造の開始中心線ポイントが現在の中心線ポイントとして設定される。740で、現在の中心線ポイントの管幅推定が、例えば
図4の方法のステップ440で前に計算されたとおり決定される。次いで750で、環形(リング形状)検索領域が、現在の中心線ポイントの周りに、その管幅推定に基づき定義される。例えば、環形検索領域は、管幅推定に等しい内側半径と、管幅推定+Δ(Δは、予め定義された検索領域幅である)に等しい外側半径とにより定義されてもよい。医療スキャンデータに対して管状強調を実行したときに計算される、現在の中心線ポイントに対応するボクセルのヘシアン行列内の二次ガウシアン導関数の固有ベクトルが、環形検索領域の向きを決定するために使用されてもよい。次いで、分岐ノード位置が検索領域内で識別され、760で記録される。例えば、環形検索領域内の(マスクされた)セグメント化されたボリュームの非ゼロのボクセルが、分岐ポイントを識別するために使用されてもよい。このように、(マスクアウトされた)現在の胆管構造の長さに沿って外部にΔの深さの領域内に位置するセグメント化されたボリューム内の識別された管状構造に対応するポイントが識別され、記録される。
【0089】
現在の中心線ポイントの分岐ノードを識別し、記録し、方法は770に進み、770で、現在の中心線ポイントが現在の胆管構造の終了中心線ポイントであるかどうかが決定される。現在の中心線ポイントが現在の胆管構造の終了中心線ポイントでないと決定された場合、方法は780に進み、780で、現在の胆管構造の次の中心線ポイントが現在の中心線ポイントとして設定され、方法は740にループバックする。このように、方法は、現在の胆管構造のすべての中心線ポイントの分岐ノードを反復的に識別し、記録する。
【0090】
現在の胆管構造のすべての中心線ポイントの分岐ノードを識別し、記録し、方法は790で終了する。
【0091】
有意には、このように分岐ノードを識別することにより、子胆管構造の開始中心線ポイントが識別され、記録されてもよい。次いで、これらは、例えば
図5に示される方法によってそれぞれの子胆管構造の終了中心線ポイントを見つけるために使用されてもよい。次いで、子胆管構造の開始及び終了中心線ポイントは、例えば
図6の方法によってそれぞれの子胆管構造の残りの中心線ポイントを見つけるために使用されてもよく、子胆管構造の各中心線ポイントの管幅推定が、例えば上記で説明されたように計算されてもよい。次いで、子胆管構造の分岐ノードが例えば
図7の方法によって識別されて、孫胆管構造の分岐ノードを識別してもよい。
【0092】
したがって、
図4を再度参照すると、現在の胆管構造の分岐ノードを識別し、識別された分岐ノードは「子」胆管構造の開始中心線ポイントとして使用されてもよく、方法は、例えば
図4で破線で示されるように、それぞれの子胆管構造のパラメトリックモデリングの実行に対し、各々の識別された分岐ノードについて430にループバックしてもよい。
【0093】
識別された胆管構造のパラメトリックモデリングを実行し、
図4に示される方法は470に進み、470で、子胆管構造の中心線が、該子胆管構造が分岐する元の、そのそれぞれの親胆管構造内の中心線ポイントに戻されマージされる。このように、胆樹構造の中心線「輪郭」構造が形成できる。例えば、各々の識別された分岐(子)胆管構造について、
‐ 分岐胆管構造の第1の(親胆管構造に最も近い)中心線ポイントを分岐胆管構造のn番目に最も近い中心線ポイントに接続する局所的な向きベクトルを計算する
‐ 分岐胆管構造の第1の中心線ポイントに最も近い親胆管構造の中心線ポイントを識別する
‐ 親胆管構造の識別された最も近い中心線ポイントと、例えば、最も近い中心線ポイントの上流及び下流の10個の中心線ポイントとを含む、親中心線ポイントのセットを定義する
‐ 親中心線ポイントのセットの各々を分岐胆管構造の第1の中心線ポイントに接続する分岐向きベクトルを計算する、及び
‐ 分岐胆管構造の開始中心線ポイントとして、局所的な向きベクトルとそれぞれの分岐向きベクトルとの間のベクトルドット積が最も高い値を生じる親胆管構造の中心線ポイントを選択する。
【0094】
すべての分岐ノードを親胆管構造の中心線ポイントに戻してマージし、
図4の方法は480で終了する。
【0095】
したがって、再帰的処理が実現でき、それにより、フルの胆樹構造が、胆管から開始して、前述されかつ添付図面に示された様々な方法を使用してパラメトリックにモデリングでき、それにより、
1.各個々の胆管構造の定義された輪郭(中心線)
2.各胆管構造輪郭の各位置(中心線ポイント)における管幅推定
3.個々の胆管構造間の親子関係
4.各胆管構造輪郭上の分岐ポイントの位置及び向き
を含む、胆樹の完全な階層的パラメトリックモデルが生成できる。
【0096】
定量的胆樹データを含む胆樹の上記の階層的パラメトリックモデルを生成し、トポロジ的メトリックが、個々の胆管について計算されてもよい。例えば、狭窄、拡張、及び数珠様(beading)などの特定の構造的特性を示す胆樹内の変化のパターンの検出及び定量化が、取得された定量的胆樹データに基づき、特に管幅推定に基づき実行できると考えられる。
【0097】
図8は、胆管構造内の狭窄及び拡張を示す変化のパターンを検出及び定量化する方法の例の簡略フローチャート800を示す。
図8の方法は810で開始して820に進み、820で、定量的胆樹データがロードされる。関心のある胆管の管幅推定が、定量的胆樹データから830で抽出される。示される例において、抽出された管幅推定は、偽検出を生じさせる可能性があるノイズを管幅推定データから除去するために、840で平滑化される。例えば、ガウシアンカーネルが、例えば1のシグマで管幅推定に適用されてもよい。
【0098】
管幅推定データを平滑化し、方法は850に進み、850で、示される例では、狭窄(「V」)検出ウィンドウが、関心のある胆管内の狭窄を示す管幅データ内の変化のパターンを検出するために、平滑化された管幅推定データに適用される。例えば、推定された管幅W
kを有する胆管の長さに沿った任意のポイントP
kについて、狭窄は、以下の条件が真である場合に検出される。
【数10】
【0099】
次に、拡張(「Λ」)検出ウィンドウが、関心のある胆管内の拡張を示す管幅データ内の変化のパターンを検出するために、平滑化された管幅推定データに適用される。例えば、推定された管幅W
kを有する胆管の長さに沿った任意のポイントP
kについて、拡張は、以下の条件が真である場合に検出される:
【数11】
【0100】
数珠様もまた、例えば、狭窄及び拡張の検出されたシーケンスに基づき検出できる。次いで、狭窄及び拡張を示す管幅データ内の変化の検出されたパターンが、検出された狭窄及び拡張の定量的尺度を計算することにより、870で定量化される。例えば、各々の検出された狭窄/拡張ポイントP
kについて、最初、近傍の平均幅W_avgが
【数12】
として計算される。
【0101】
各々の検出された狭窄について、狭窄のパーセンテージが、
【数13】
として計算される。
【0102】
各々の検出された拡張について、拡張のパーセンテージが、
【数14】
として計算される。
【0103】
次いで、各々の検出された狭窄及び拡張についての位置及び定量的尺度を含む狭窄及び拡張データが880で記録され、方法は890で終了する。
【0104】
他のトポロジ的メトリックが、定量的胆樹データからさらに計算されてもよい。例えば、以下のトポロジ的蛇行性(tortuosity)メトリックのうち1つ以上が計算されてもよいと考えられる。
(i)距離メトリック(Distance metric;DM):(中心線ポイントから中心線ポイントに移動する)実際の中心線長さと、開始中心線ポイント及び終了中心線ポイント間の直線距離との間の比率
(ii)変曲カウントメトリック(Inflection count metric;ICM):3D曲線について、変曲ポイントが、総曲率の最小値を提示する部位として定義される。変曲ポイントを検出するために、
図9に示されるように、正接(T)、法線(N)、及び従法線(B)単位ベクトルを含むフレネ・セレ(Frenet-Serret)フレームが実現されてもよく、
a.Tは、曲線に接する単位ベクトルであり、動きの方向を向いている。
b.Nは、法線単位ベクトルであり、曲線の弧長パラメータに関するTの導関数を、その長さで除算したものである。
c.Bは、従法線単位ベクトルであり、T及びNのクロス積である。
(iii)角度合計メトリック(Sum of angles metric;SOAM):曲線に沿って総曲率を積分し、それを経路長で正規化することにより計算される。
【0105】
変曲カウントメトリックについて、分解計算が以下のとおり実行されてもよい。ポイントP
kにおける速度ベクトルVは、ポイントP
k-1及びP
k+1の間のベクトルにより近似できる。ポイントP
kにおける加速度ベクトルは、
【数15】
により与えられる。
【0106】
フレネの正接の軸Tは、正規化された速度ベクトルであり、
【数16】
により与えられる。
【0107】
フレネの法線の軸Nは、
【数17】
により与えられる正規化されたベクトルである。
【0108】
フレネの従法線の軸Bは、
【数18】
により与えられる正規化されたベクトルである。
【0109】
フレネフレーム分解の観点で、変曲ポイントは、フレームが曲線を通過するとき、法線(N)及び従法線(B)軸が180度近くまで向きを変えるところに定義される。結果として、ドット積の大きい極大値を識別することにより、3D変曲ポイントを検索することができる。
【数19】
ここで、ΔNは、ポイントP
k及びP
k-1に関連づけられた法線軸の差を表す。ゆえに、変曲ポイントで、ΔNの長さは、単位ベクトルNが180度回転するとき、2単位に近い。ゆえに、変曲ポイントを通る経路は、4.0に略等しいΔN・ΔNを生じ、一方で、他の位置の値は、10
-2から10
-8の範囲内である。ゆえに、ΔN・ΔN>1.0の場合、曲線上のポイントを変曲ポイントと呼ぶことができる。
【0110】
変曲カウントメトリックICMは、ゆえに、
【数20】
として定義できる。
【0111】
角度合計メトリックの計算は以下のとおりでもよい。任意のポイントP
kについて、ベクトルT1、T2、及びT3が
T1=P
k−P
k-1
T2=P
k+1−P
k
T3=P
k+2−P
k+1
として定義される。
【0112】
面内曲率が、ベクトルT1及びT2を使用することにより推定でき、ポイントP
kにおける面内角度(IP
k)が、
【数21】
により与えられる。
【0113】
ポイントP
kにおけるねじれが、その面法線がベクトルT1及びT2の正規化されたクロス積である接触面と、後の面の面法線との間の角度により表される。ちょうどフレネの法線及び従法線の軸が、これらが変曲ポイントを横断するときに方向を反転するように、2つの連続的な接触面の法線は、P
kとP
k+1とが変曲ポイントの対向側にあるとき、対向方向を向く。ポイントP
kにおけるねじれ角(TP
k)は、
【数22】
により与えられる。
【0114】
ポイントP
kにおける総角度(CP
k)が、
【数23】
により与えられる。
【0115】
角度合計メトリックは、
【数24】
として曲線の総蛇行性を計算する。
【0116】
3つのトポロジ的メトリック(DM、ICM、SOAM)の各々は、その使用法を有する。ICM及びSOAMは、さまざまな周波数の正弦波状曲線間を区別することができる。コイル状曲線について、SOAMは、さまざまな周波数のコイル間を区別することができる。さまざまな振幅の曲線について、DM及びICMが効果的に区別することができる。個々の胆管が、3つのメトリックを使用して蛇行性値を割り当てられてもよい。
【0117】
本発明のいくつかの例示的な実施例に従い、生成された定量的構造パラメータを含む定量的胆樹データが、例えば異なる撮像モダリティによって取得された、患者の他の医療撮像スキャンデータから導出されたデータと関連して使用されてもよい。例えば、磁気共鳴撮像において、T1緩和時間(長手方向磁化の回復のための時間)の正確な測定は、それが組織特性化及び病気検出を支援することが知られているため、患者の関心事である。特に、鉄補正T1値は、Banerjee R, Pavlides M, Tunnicliffe Eらの「Multiparametric magnetic resonance for non-invasive diagnosis of liver disease」、Hepatology 2014;60:69-77で説明されるように、肝臓の炎症及び線維症と極めて良く相関することが実証されており、上記は本明細書において参照により援用される。
【0118】
胆道狭窄(PSCのマーカ)は、炎症性及び閉塞性同心管周囲線維症(いわゆるオニオンスキン(onion skinning))を有する小さい、中くらいの、及び大きい胆管に対する進行性及び慢性の損傷の結果である。早期段階のPSCは、胆管の周りの増加した炎症性及び線維性応答により示されると考えられる。したがって、胆管の周りの炎症及び線維症を検出する能力は、早期段階のPSCを検出する極めて強力なツールを提供することになる。
【0119】
図10は、前述の様々な方法によって生成されたような、定量的構造パラメータを含む定量的胆樹データを利用して、胆道構造の近くの炎症及び線維症を検出する方法の例の簡略フローチャート1000を示す。方法は1010で開始して1020に進み、1020で、MRCPボリューメトリックスキャンデータ及びT1ボリューメトリックスキャンデータがロードされ、MRCP及びT1ボリューメトリックスキャンデータの各々は、患者の肝臓及び胆嚢を含むボリュームを表す。MRCPボリューメトリックスキャンデータは、MRCPデータから導出された胆樹構造を定義する定量的構造パラメータを含む定量的胆樹データを含む(あるいは、その他の方法で関連づけられる)。
【0120】
胆嚢は、先細の嚢のような形状、ほぼ西洋ナシ形状であり、その開放端は胆樹に開口している。解剖学的に、胆嚢は、3つのセクション:基底部(fundus)、体部(body)、及び頚部(neck)に分割される。基底部は、体部の前に面する丸みのある端部である。体部は、肝臓に接触し、胆嚢窩、肝臓の底部のくぼみにある。頚部は先細になり、胆嚢管、胆樹の一部に連続する。有意には、胆嚢は、MRCPデータ及びT1データの双方で明りょうに見える。MRCP及びT1の双方における胆嚢の識別/セグメント化は、T1ボリューム及びMRCPボリュームの位置合わせ(registration)を実行するための解剖学的目印の役割を果たす。
【0121】
したがって、次いで、MRCPデータのセグメント化が、MRCPボリューメトリックスキャンデータ内の胆嚢構造を識別するために1030で実行される。同様に、T1データのセグメント化が、T1ボリューメトリックスキャンデータ内の胆嚢構造を識別するために1040で実行される。次いで、1050で、位置合わせが、位置合わせ処理を「ガイドする」ためのセグメント化された胆嚢構造を使用してMRCPボリューメトリックスキャンデータとT1ボリューメトリックスキャンデータとの間で実行される。このように、セグメント化された胆嚢構造を使用することにより、MRCPボリューメトリックスキャンデータとT1ボリューメトリックスキャンデータとの間の信頼できかつ正確な位置合わせが達成できる。MRCPボリューメトリックスキャンデータをT1ボリューメトリックスキャンデータと位置合わせし、1060で、MRCPボリューメトリックスキャンデータから導出された胆樹構造が、MRCPボリューメトリックスキャンデータとT1ボリューメトリックスキャンデータとの間の位置合わせに基づき、T1ボリューメトリックスキャンデータにマッピングされる。次いで、1070で、炎症及び線維症検出が、T1ボリューメトリックスキャンデータを使用して胆樹構造の近くで実行され、1080で、胆樹構造の近くの検出された狭窄及び拡張が記録される。次いで、方法は1090で終了する。
【0122】
図11は、本発明の例に従い適合できる画像処理システム1100の例の簡略ブロック図を示す。システム1100は、様々な処理機能を実行するように構成された1つ以上の処理デバイス1110を含む。いくつかの例示的な実施例において、処理デバイス1110の1つ以上が、コンピュータプログラムコードを実行するように構成された1つ以上のプロセッサコアを含んでもよい。さらに/代替的に、処理デバイスの少なくとも1つが、当該デバイスに提供されるデータの予め定義された処理を実行するように構成されたハードウェア回路を含む特定用途向け集積回路(ASIC)デバイス又はハードウェアアクセラレータモジュールなどのハードウェア処理デバイスを含んでもよい。
【0123】
システム1100は、1つ以上のメモリ要素1120をさらに含む。メモリ要素1120は、例えば、ハードディスク、CD‐ROMデバイスなどの光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、読取専用メモリ、ROM、プログラム可能読取専用メモリ、PROM、消去可能プログラム可能読取専用メモリ、EPROM、電気的消去可能プログラム可能読取専用メモリ、EEPROM、及びフラッシュメモリ等などの、1つ以上の非一時的コンピュータプログラム製品を含んでもよい。メモリ要素1120は、さらに/代替的に、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュメモリ等などの、1つ以上の揮発メモリ要素を含んでもよい。
【0124】
簡潔さ及び理解の容易さのため、単一の処理デバイス1110及び単一のメモリ要素1120が以降で参照される。しかしながら、単一の処理デバイス1110又は単一のメモリ要素1120に対するこうした参照は、複数の処理デバイス1110及び複数のメモリ要素1120をそれぞれ包含するよう意図されることが認識されるであろう。
【0125】
メモリ要素1120はその内部に、処理デバイス1110により実行される実行可能コンピュータプログラムコードを記憶していてもよい。メモリ要素1120はその内部に、コンピュータプログラムコードを実行するときに処理デバイス1110によりアクセス及び/又は処理されるデータをさらに記憶していてもよい。
【0126】
図11に示されるシステム1100は、一般に1130で示される1つ以上の出力デバイスをさらに含む。上記出力デバイスは、例として、表示デバイス、プリンタデバイス、ネットワークインターフェースデバイス等を含んでもよい。
図11に示されるシステム1100は、一般に1140で示される1つ以上のユーザ入力デバイスをさらに含む。上記入力デバイスは、例として、キーボード、キーパッド、マウス、タッチスクリーン等を含んでもよい。
【0127】
本発明のいくつかの例に従い、処理デバイス1110は、例えば、添付図面を参照して前述された様々な方法に従う、ボリューメトリック医療撮像スキャンデータから胆樹構造の定量的データを生成するように構成される。したがって、処理デバイス1110は、
医療撮像スキャンデータのボリュームのセグメント化を実行して医療撮像スキャンデータのボリューム内の管状胆道構造を識別し、
識別された管状胆道構造の長さに沿って各位置の定量的構造パラメータのセットを計算し、
識別された管状胆道構造の定量的構造パラメータのセットを含む定量的胆樹データを出力するように構成される。
【0128】
例えば、処理デバイス1110は、添付図面を参照して前述された様々な方法のステップの少なくともいくつかを実行するために、メモリ要素1120内に記憶されたコンピュータプログラムコードを実行するように構成されてもよい。
【0129】
図11に示されるように、画像処理システム1100は、少なくとも1つのデータ記憶デバイス1150に動作可能に結合されてもよく、処理デバイス1110は、データ記憶デバイス1150から撮像スキャンデータを取り出すことができ、処理デバイス1110は、セグメント化された管状胆道構造の定量的構造パラメータのセットを含む定量的胆樹データをデータ記憶デバイス1150に出力することができてもよい。定量的胆樹データを生成することにおいて画像処理システム1100により生成される様々な値、メトリック、尺度、及び他のデータもまた、集合的に又は別個に、データ記憶デバイス1150に出力され、データ記憶デバイス1150内に記憶されてもよく、上記データには、単に例として、
− ヘシアンボリューム
− 固有ベクトル
− R
a比率
− R
b比率
− 強度メトリックS
− 管状尺度(T
O/T
O(σ))
− スケール(σ)
− セグメント化された(2値化された)ボリューム
− 中心線ポイント
− 管幅推定
− 分岐ノード
− 中央性値
− 狭窄及び/又は拡張データ、及び
− 胆樹構造の近くの検出された炎症及び線維症
が含まれる。
【0130】
図12は、原発性硬化性胆管炎を有する患者の胆樹1200の3Dレンダリングされた定量的モデルを示す。分岐の直径が、MRCPスキャンのセグメント化及びその後の識別された管状構造のパラメトリックモデリングの後の、胆管の直径に対応する。
【0131】
上記で説明されたように、本発明は、画像処理システムなどのプログラム可能装置上で実行するとき本発明による方法のステップを実行し、又はプログラム可能装置が本発明によるデバイス又はシステムの機能を実行すること可能にするコード部分を少なくとも含む、画像処理システム上で実行するコンピュータプログラムで実現されてもよい。
【0132】
コンピュータプログラムは、特定のアプリケーションプログラム及び/又はオペレーティングシステムなどの命令のリストである。コンピュータプログラムは、例えば、サブルーチン、関数、プロシージャ、オブジェクトメソッド、オブジェクト実装、実行可能アプリケーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、オブジェクトコード、共有ライブラリ/ダイナミックロードライブラリ、及び/又はコンピュータシステムでの実行のために設計された他の命令シーケンスのうち1つ以上を含んでもよい。
【0133】
コンピュータプログラムは、有形の非一時的コンピュータ読取可能記憶媒体に内部的に記憶されてもよく、あるいはコンピュータ読取可能送信媒体を介してコンピュータシステムに送信されてもよい。コンピュータプログラムのすべて又はいくらかが、情報処理システムに永続的に、取外し可能に、又はリモートで結合されたコンピュータ読取可能媒体で提供されてもよい。有形の非一時的コンピュータ読取可能媒体は、限定でなく例えば、以下のうち任意数を含んでもよい:ディスク及びテープ記憶媒体を含む磁気記憶媒体;コンパクトディスク媒体(例えば、CD‐ROM、CD‐R等)及びデジタルビデオディスク記憶媒体などの光学記憶媒体;フラッシュメモリ、EEPROM、EPROM、ROMなどの半導体ベースのメモリユニットを含む不揮発メモリ記憶媒体;強磁性デジタルメモリ;MRAM;レジスタ、バッファ又はキャッシュ、メインメモリ、RAM等を含む揮発記憶媒体。
【0134】
コンピュータ処理は、実行(稼働)プログラム又はプログラムの部分、現在のプログラム値及びステート情報、並びに処理の実行を管理するためにオペレーティングシステムにより使用されるリソースを典型的に含む。オペレーティングシステム(OS)は、コンピュータのリソースの共有を管理し、これらリソースにアクセスするために使用されるインターフェースをプログラマに提供するソフトウェアである。オペレーティングシステムは、システムデータ及びユーザ入力を処理し、システムのユーザ及びプログラムに対するサービスとしてタスク及び内部システムリソースを割り振る及び管理することにより応答する。
【0135】
前述の本明細書において、本発明は、発明の実施例の特定の例を参照して説明された。しかしながら、別記の特許請求の範囲に記載されるとおり発明の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更がその中でなされることがあり、特許請求の範囲は上述された特定の例に限定されないことが明らかである。
【0136】
当業者は、論理ブロック間の境界が単に例示であり、代替的な実施例が論理ブロック又は回路要素をマージし、あるいは様々な論理ブロック及び回路要素に対して代わりの機能性分解を課してもよいことを認識するであろう。ゆえに、本明細書に示されるアーキテクチャは単に例示的であり、実際には同じ機能性を達成する多くの他のアーキテクチャが実現できることが理解されるべきである。
【0137】
同じ機能性を達成するコンポーネントの任意の配置が、所望の機能性が達成されるように効果的に「関連づけられる」。したがって、特定の機能性を達成するようにここで組み合わせられた任意の2つのコンポーネントは、アーキテクチャ又は中間コンポーネントにかかわらず、所望の機能性が達成されるように互い「に関連づけられた」ものとして見ることができる。同様に、そのように関連づけられた任意の2つのコンポーネントは、さらに、所望の機能性を達成するために互いに「動作可能に接続され」又は「動作可能に結合され」ているものと見られてもよい。
【0138】
さらに、当業者は、上述された動作間の境界が単に例示であると認識するであろう。複数の動作が組み合わせられて単一の動作としてもよく、単一の動作がさらなる動作に分散されてもよく、複数の動作が時間において少なくとも部分的に重なって実行されてもよい。さらに、代替的な実施例が特定の動作の複数のインスタンスを含んでもよく、動作の順序が様々な他の実施例において変更されてもよい。
【0139】
しかしながら、他の修正、変形、及び代替がさらに可能である。しがたって、本明細書及び図面は、限定的な意味でなく例示的な意味で考慮されるべきである。
【0140】
請求項において、丸括弧間に置かれたいかなる参照符号も請求項を限定するようには見なされないものとする。語「含む」は、請求項内に列挙された要素又はステップ以外の他の要素又はステップの存在を除外しない。さらに、語「一の(a、an)」は、本明細書で使用されるとき、1つ又は1つより多くとして定義される。また、請求項における「少なくとも1つ」及び「1つ以上」などの導入表現の使用は、同じ請求項が導入表現「1つ以上」又は「少なくとも1つ」と「一の」などの不定冠詞とを含むときでも、不定冠詞「一の」による別の請求項要素の導入部がこうした導入の請求項要素を含む特定の請求項を1つのみのこうした要素を含む発明に限定することを示すように見なされるべきではない。同じことが定冠詞の使用に当てはまる。別段示されない限り、「第1」及び「第2」などの用語は、こうした用語が説明する要素間を専ら区別するために使用される。ゆえに、これらの用語は、必ずしもこうした要素の時間的又は他の優先度づけを示すようには意図されない。特定の手段が相互に異なる請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが利益をもたらすよう使用できないことを示すわけではない。