(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プロピレンのホモポリマー、またはプロピレンとエチレンおよび/もしくは4から10個のC原子のα−オレフィンとのコポリマーのポリマーの製造のためのプロセスであって、少なくとも1つのループおよび/または少なくとも1つの気相リアクタを含むプロセスにおける、請求項1に記載の固体触媒粒子の使用。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、修飾触媒を得るためのビニルモノマーの重合が行われる媒体において、その触媒はプロピレン重合プロセスにも供給される。これまでに用いられていた媒体は油または高粘度炭化水素媒体であり、これは修飾触媒が調製後直接重合リアクタに供給される場合には適切である。しかし、修飾触媒を使用する前に貯蔵または輸送することが望ましい場合、これまでに用いられていた油または高粘度媒体における修飾触媒の輸送は適さないことが明らかになった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
よって本発明の目的は、容易に貯蔵および/または輸送でき、かつ高いアイソタクチック性、結晶化温度、および曲げ係数のポリプロピレンを生成できる、核形成ポリプロピレンの調製のための修飾触媒を提供することである。
【0006】
本発明の知見は、低沸点媒体中で修飾触媒の調製を行うことで、プロセス後に低沸点媒体を修飾触媒から簡単に分離でき、よって乾燥固体粒子の形態の修飾触媒が与えられるというものである。こうして得られた触媒は、乾燥触媒粒子として貯蔵および運搬され得る。加えて、前記乾燥触媒粒子を用いることによって得られたポリプロピレンのアイソタクチック性、結晶化温度、および曲げ係数は、先行技術に記載されるとおりに油または高粘度媒体中で調製および提供された修飾触媒と比べて改善されることが見出された。
【0007】
したがって、本発明は固体触媒粒子に向けられたものであり、この固体触媒粒子は
(a)IUPACの第4族から第6族の遷移金属の化合物(TC)、第2族金属化合物(MC:metal compound)、および内部供与体(ID:internal donor)を含むチーグラー・ナッタ触媒(ZN−C:Ziegler−Natta catalyst)と、
(b)共触媒(Co:co−catalyst)と、
(c)任意には外部供与体(ED:external donor)と、
(d)式(I)のビニルモノマー単位を含むポリマー核形成剤とを含み、
CH
2=CH−CHR
1R
2 (I)、
ここでR
1およびR
2は、それらが付着される炭素原子とともに、任意には置換された飽和または不飽和または芳香族の環または縮合環系を形成し、この環または縮合環部分は4から20個の炭素原子を含有し、好ましくは5〜12員の飽和または不飽和または芳香族の環または縮合環系であり、
ここで前記固体触媒粒子は液体媒体に溶解も懸濁もされていない。
【0008】
前段落に対して付加的または代替的に、R
1およびR
2は独立に、直鎖または分岐鎖C1〜C20アルキル、C4〜C20シクロアルキル、またはC4〜C20芳香環の基を表す。好ましくはR
1およびR
2は、それらが付着されるC原子とともに、5員もしくは6員の飽和もしくは不飽和もしくは芳香族の環を形成するか、または独立に1から4個の炭素原子を含む低級アルキル基を表す。
【0009】
本発明に従って用いられるポリマー核形成剤の調製に対して好ましいビニルモノマーは特にビニルシクロアルカン、特にビニルシクロヘキサン(VCH:vinyl cyclohexane)、ビニルシクロペンタン、およびビニル−2−メチルシクロヘキサン、3−メチル−1−ブテン、3−エチル−1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、またはそれらの混合物である。
【0010】
ポリマー核形成剤が、ポリビニルアルカンまたはポリビニルシクロアルカン、特にポリビニルシクロヘキサン(polyVCH:polyvinylcyclohexane)、ポリビニルシクロペンタン、ポリビニル−2−メチルシクロヘキサン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−エチル−1−ヘキセン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリスチレン、ポリ−p−メチル−スチレン、ポリビニルノルボルナン、またはそれらの混合物の群より選択されることが特に好ましい。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、IUPACの第4族から第6族の遷移金属の化合物(TC)は、第4族および第5族化合物、特に酸化度4を有するチタン化合物からなる群より選択される。
【0012】
第2族金属化合物(MC)は、マグネシウム化合物であることが特に好ましい。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、ビニルモノマー単位を含むポリマー核形成剤は、IUPACの第4族から第6族の遷移金属の化合物(TC)、第2族金属化合物(MC)、および内部供与体(ID)を含むチーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)と、共触媒(Co)と、任意には外部供与体(ED)との存在下で得られる。
【0014】
本発明において用いられる共触媒(Co)は、第13族金属の有機金属化合物である。好ましくは、共触媒(Co)はAl−トリアルキル、Al−アルキルハライド、Al−アルコキシド、Al−アルコキシハライド、およびAl−ハライドからなる群より選択される。特に、共触媒はトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロリド、もしくはアルキルアルミニウムジクロリド、またはそれらの混合物より選択され、ここでアルキルはC1〜C4アルキルである。1つの特定の実施形態において、共触媒(Co)はトリエチルアルミニウム(TEAL:triethylaluminium)である。
【0015】
好適な内部電子供与体は、特に(ジ)カルボン酸の1,3−ジエーテルおよび(ジ)エステル、たとえばフタレート、マロネート、マレエート、置換マレエート、ベンゾエート、グルタレート、シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、およびスクシネートなど、またはそれらの誘導体である。
【0016】
チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)において典型的に、Tiの量は1〜6wt%、Mgの量は10〜25wt%、内部供与体の量は5〜40wt%である。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、内部供与体(ID)は式(II)のジアルキルフタレートであり、
【0018】
【化1】
【0019】
ここでR
1’およびR
2’は、独立にC
2〜C
18アルキルである。
【0020】
内部電子供与体(ID)とは、固体触媒成分の部分である、すなわち触媒成分の合成の際に加えられる供与体化合物を意味するものと理解される。内部電子供与体および内部供与体という用語は本出願において同じ意味を有し、これらの用語は互いに交換可能である。
【0021】
好適な外部供与体(ED)は特定のシラン、エーテル、エステル、アミン、ケトン、複素環化合物、およびこれらの混合物を含む。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、外部供与体(ED)は以下のシランより選択される。
式(III)の化合物であって、
R
3nR
4mSi(OR
5)
4−n−m (III)、
ここでR
3、R
4およびR
5は同じであっても異なっていてもよく、かつ直鎖、分岐鎖または環式の脂肪族基または芳香族基を表し、nおよびmは0、1、2、または3であり、かつn+mの合計は3以下である、化合物、
または
式(IV)の化合物であって、
Si(OCH
2CH
3)
3(NR
3R
4) (IV)
ここでR
3およびR
4は同じであっても異なっていてもよく、かつ1から12個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環式の炭化水素基を表す、化合物、
または式(V)の化合物であって、
R
6R
7C(COMe)
2 (V)、
ここでR
6およびR
7は同じであっても異なっていてもよく、かつ分岐鎖の脂肪族基または環式基または芳香族基を表す、化合物。
【0023】
プロピレン(共)重合プロセスにおける外部電子供与体として、アルコキシシラン型化合物が典型的に用いられ、特許文献においてもそのように知られ記載されている。たとえば欧州特許第0250229号、国際公開第2006104297号、欧州特許第0773235号、欧州特許第0501741号、および欧州特許第0752431号は、プロピレンの重合において外部供与体として用いられる異なるアルコキシシランを開示している。
【0024】
外部電子供与体の好ましい例は、(tert−ブチル)
2Si(OCH
3)
2、(シクロヘキシル)(メチル)Si(OCH
3)
2、(フェニル)
2Si(OCH
3)
2、および(シクロペンチル)
2Si(OCH
3)
2より選択されるシランである。
【0025】
外部供与体および外部電子供与体は、本出願において同じ意味を有する。外部供与体は別個の成分として、重合プロセスおよび任意には触媒修飾ステップに加えられる。
【0026】
本発明は、上述の固体触媒粒子の調製のためのプロセスにも向けられており、このプロセスは、
i)式(I)のビニルモノマーを重合するステップであって、
CH
2=CH−CHR
1R
2 (I)
ここでR
1およびR
2は上記の定義に対応し、ビニルモノマー対触媒の重量比は0.1から5未満であり、
(a)IUPACの第4族から第6族の遷移金属の化合物(TC)、第2族金属化合物(MC)、および内部供与体(ID)を含むチーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)と、
(b)共触媒(Co)と、
(c)任意には外部供与体(ED)と、
(d)重合されたビニル化合物を本質的に溶解しない130℃未満の沸点を有する有機不活性溶剤(S:solvent)との存在下で重合する、ステップと、
ii)反応混合物中の未反応ビニルモノマーの濃度が1.5wt%未満になるまで、ビニルモノマーの重合反応を続けるステップと、
iii)溶剤(S)を除去して、乾燥固体粒子の形態の触媒を得るステップとを含む。
【0027】
ステップiii)において溶剤(S)を除去するとき、溶剤(S)に溶解している可能性のある未反応ビニルモノマーも除去されることとなる。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、溶剤(S)は非分岐鎖または分岐鎖のC
4からC
8アルカンより選択される。
【0029】
本発明は、たとえばプロピレンのホモポリマー、またはプロピレンとエチレンおよび/もしくは4から10個のC原子のα−オレフィンとのコポリマーなどのポリマーの製造のためのプロセス、好ましくは少なくとも1つのループおよび/または少なくとも1つの気相リアクタを含むプロセスにおける、上述の固体触媒粒子の使用にも向けられている。
【0030】
さらに本発明は、上述の固体触媒粒子の存在下で調製された、たとえばプロピレンのホモポリマー、またはプロピレンとエチレンおよび/もしくは4から10個のC原子のα−オレフィンとのコポリマーなどのポリオレフィンに向けられたものである。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、プロピレンホモポリマーであるポリオレフィンは、2100MPaよりも高いISO 178に従って測定された曲げ係数を有する。
【0032】
本発明の別の実施形態によれば、プロピレンホモポリマーであるポリオレフィンは、129℃よりも高い結晶化温度Tcを有する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下において、本発明をより詳細に説明する。
【0034】
固体触媒粒子
上記の概説のとおり、本発明は、ポリオレフィンの調製のための固体触媒粒子に向けられたものである。
【0035】
前記固体触媒粒子は、IUPACの第4族から第6族の遷移金属の化合物(TC)、第2族金属化合物(MC)、および内部供与体(ID)を含むチーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)と、共触媒(Co)と、任意には外部供与体(ED)と、ポリマー核形成剤とを含む。
【0036】
固体触媒粒子は、たとえば油またはたとえば油グリース混合物などの高粘度物質などの溶剤(S)または任意のその他の液体媒体に溶解も懸濁もされていない、乾燥固体粒子の形態で得られる。
【0037】
本発明によれば、「液体媒体」という用語は15〜70℃、より好ましくは17〜55℃、さらにより好ましくは20〜40℃の温度において液体の物質状態である化合物を表し、これは液体溶剤および油または高粘度の物質、たとえば油−グリース混合物などを含む(Roempp Chemielexikon,第9版,Georg Thieme Verlagを参照)。
【0038】
言い換えると、液体媒体は、本発明のプロセスにおいて反応媒体として用いられる溶剤(S)と、先行技術のプロセスにおいて典型的に用いられる油および高粘度媒体とを包含するものと理解される。
【0039】
本発明において用いられる溶剤(S)は不活性であり、これは溶剤(S)が固体触媒粒子または重合ビニル化合物を溶解しないことを意味する。
【0040】
本明細書において用いられる「乾燥固体粒子」という用語は、少量の溶剤(S)のみを含有してもよく、かつ検出可能な量のたとえば油またはたとえば油グリース混合物などの高粘度物質などの任意のその他の液体媒体を含まない固体粒子を表す。したがって、本発明の固体触媒粒子は15wt%未満の溶剤(S)、または好ましくは最大10wt%を含有する。粒子の多孔性のため、15wt%未満またはより好ましくは10wt%未満の溶剤(S)を含有する固体修飾触媒粒子は、乾燥粉末として取り扱われ得る。溶剤(S)は、粒子の内側にとどまる。
【0041】
したがって上で概説したとおり、本発明による固体触媒粒子は少量の残留溶剤を含有してもよいが、前記固体触媒粒子と任意の液体媒体とを含む均質または不均質な混合物というわけではない。本発明において用いられる液体媒体は、上で定義された溶剤(S)であり、すなわち130℃未満の沸点を有する有機不活性溶剤である。先行技術において用いられる液体媒体は、油またはたとえば油グリース混合物などの高粘度物質である。よって本発明によれば、固体乾燥触媒粒子は、本発明で用いられる溶剤(S)とも、任意の油とも、先行技術による任意の高粘度物質とも、任意のその他の液体媒体とも、溶液または懸濁物を形成しない。
【0042】
したがって、本発明による固体触媒粒子は、上で定義された乾燥固体粒子として存在し、任意の油または高粘度物質を含有しない。上で概説したとおり、本発明による最終固体触媒粒子は乾燥固体粒子の形態で得られ、これは少量の溶剤(S)のみを含有してもよい。
【0043】
よって本発明による固体触媒粒子は、後で使用するために貯蔵および/または輸送され得る乾燥固体粒子である。
【0044】
本発明による固体触媒粒子は、チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)と、共触媒(Co)と、内部供与体(ID)と、ポリマー核形成剤と、任意には外部供与体(ED)とを含む。
【0045】
本明細書において定義されるチーグラー・ナッタ触媒は、ポリオレフィンの調製のための有機金属触媒であり、前記触媒は有機金属第2族化合物と、第4族から第6族金属の遷移金属化合物と、内部電子供与体とを含む。
【0046】
5〜100バール、特に20〜80バールの圧力と、40〜110℃、特に60〜100℃、たとえば50〜90℃などの温度とにおいて、プロピレンおよびコモノマーの重合および共重合を触媒できる、オレフィンの重合のための任意の立体特異性のチーグラー・ナッタ触媒が使用され得る。
【0047】
チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)は、好ましくはIUPACの第4族または第5族の遷移金属より選択される遷移金属化合物(TC:transition metal compound)を含有する。より好ましくは、前記遷移金属化合物(TC)は酸化度4を有するチタン化合物と、バナジウム化合物との群より選択され、四塩化チタンが特に好ましい。
【0048】
上で概説したとおり、チーグラー・ナッタ触媒は第2族金属化合物(MC)をさらに含む。好ましくは、第2族金属化合物(MC)はマグネシウム化合物、より好ましくはマグネシウムハライドである。前記マグネシウムハライドは、たとえば塩化マグネシウム、塩化マグネシウムと低級アルカノールとの化合物、および塩化マグネシウムのその他の誘導体の群より選択される。
【0049】
MgCl
2はそれ自体で用いられてもよいし、またはたとえばMgCl
2を含有する溶液もしくはスラリーによってシリカを吸収することによって、MgCl
2がシリカと組み合わされてもよい。使用される低級アルカノールは、好ましくはメタノールまたはエタノール、特にエタノールであってもよい。
【0050】
本プロセスにおいて有用な触媒は、マグネシウムハライド化合物と、四塩化チタンおよび内部供与体とを反応させて、支持された触媒をもたらすことによって調製され得る。内部電子供与体は、特に(ジ)カルボン酸の1,3−ジエーテルおよび(ジ)エステル、たとえばフタレート、マロネート、マレエート、置換マレエート、ベンゾエート、グルタレート、シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、およびスクシネートなど、またはそれらの誘導体より選択され得る。
【0051】
1つの好ましい触媒のタイプは、エステル交換された触媒、特にフタル酸またはその誘導体によってエステル交換された触媒を含む。エステル交換された触媒に用いられるフタル酸エステルのアルコキシ基は、少なくとも5つの炭素原子、好ましくは少なくとも8つの炭素原子を含む。よって、エステルとしてはたとえばプロピルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジ−ウンデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、またはジテトラデシルフタレートなどが用いられ得る。
【0052】
したがって、本発明による好ましい支持されたチーグラー・ナッタ触媒は、式(II)のジアルキルフタレートである内部供与体(ID)を含み、
【0054】
ここでR
1’およびR
2’は、独立にC
2〜C
18アルキル、好ましくはC
2からC
8アルキルである。
【0055】
フタル酸エステルの部分的または完全なエステル交換は、たとえばフタル酸エステル−低級アルコール対を選択することなどによって行われてもよく、この対が自発的に、またはプロ触媒組成を損なわない触媒の助けによって、上昇温度にて触媒をエステル交換する。110〜150℃、好ましくは120〜140℃の範囲内の温度にてエステル交換を行うことが好ましい。好適な支持されたチーグラー・ナッタ触媒の例は、たとえば欧州特許第491566号、欧州特許第591224号、および欧州特許第586390号などに記載されている。
【0056】
たとえばMgCl
2またはシリカなどの外部支持材料を用いなくても、固体チーグラー・ナッタ触媒を調製できる。こうしたタイプの触媒は、有機液体媒体中で第2族金属アルコキシ化合物の溶液と、内部電子供与体またはその前駆物質と、第4族から第6族の遷移金属の少なくとも1つの化合物とを接触させて固体触媒を得るステップを含む、一般的な手順によって調製され得る。
【0057】
よって、上記の一般的手順の一実施形態によれば、固体触媒は次のステップを含むプロセスによって調製され得る。
i)C
6〜C
10芳香族の液体を含む反応媒体中で、第2族金属アルコキシ化合物と電子供与体またはその前駆物質とを反応させることによって、第2族金属錯体の溶液を調製するステップ、
ii)前記第2族金属錯体と、第4族から第6族の遷移金属の少なくとも1つの化合物とを反応させるステップ、および
iii)固体触媒成分粒子を得るステップ。
【0058】
上記の一般的手順に従って、物理的条件、特に異なる接触ステップにおいて用いられる温度に依存して、沈降法またはエマルション−凝固法によって固体触媒成分を得ることができる。エマルションは、液体/液体2相系とも呼ばれる。
【0059】
触媒の化学は、選択された調製方法、すなわち前記沈降法またはエマルション−凝固法が用いられたかどうかに依存しない。
【0060】
沈降法においては、ステップi)の溶液と、ステップii)における少なくとも1つの遷移金属化合物との組み合わせを行い、全体の反応混合物を50℃より高く、より好ましくは55〜110℃の温度範囲、より好ましくは70〜100℃の範囲内に保って、ステップiii)における固体粒子の形態の触媒成分の完全な沈降を確実にする。
【0061】
エマルション−凝固法においては、ステップii)でステップi)の溶液を、典型的にはたとえば−10℃から50℃未満、好ましくは−5〜30℃などのより低い温度にて、少なくとも1つの遷移金属化合物に加える。エマルションの撹拌中の温度は、典型的に−10℃から40℃未満、好ましくは−5〜30℃に保たれる。エマルションの分散相の小滴が、活性触媒組成物を形成する。小滴の凝固(ステップiii))は、好適にはエマルションを70〜150℃、好ましくは80〜110℃の温度に加熱することによって行われる。
【0062】
よって、ステップi)のマグネシウムアルコキシ化合物は、マグネシウムジアルコキシド、ジアリールオキシマグネシウム、アルキルオキシマグネシウムハライド、アリールオキシマグネシウムハライド、アルキルマグネシウムアルコキシド、アリールマグネシウムアルコキシド、およびアルキルマグネシウムアリールオキシドからなる群より選択される。加えて、マグネシウムジハライドとマグネシウムジアルコキシドとの混合物が用いられ得る。
【0063】
沈降法またはエマルション−凝固法によって得られた固体粒子状生成物は、少なくとも1回、好ましくは少なくとも2回、最も好ましくは少なくとも3回、芳香族および/または脂肪族炭化水素で、好ましくはトルエン、ヘプタンもしくはペンタン、および/またはTiCl
4で洗浄されてもよい。加えて洗浄溶液は、付加的な量の使用される内部供与体および/または第13族金属の化合物、好ましくは式AlR
3−nX
nのアルミニウム化合物を含有してもよく、ここでRは1から20、好ましくは1から10個の炭素原子のアルキルおよび/またはアルコキシ基であり、Xはハロゲンであり、nは0、1、または2である。典型的なAl化合物は、トリエチルアルミニウムおよびジエチルアルミニウムクロリドを含む。アルミニウム化合物は、触媒合成の間に最終回収の前の任意のステップにおいて加えられてもよく、たとえばエマルション−凝固法において、アルミニウム化合物は、撹拌されたエマルションの分散相の小滴に加えられて接触されてもよい。
【0064】
最終的に得られるチーグラー・ナッタ触媒成分は、望ましくは一般的に5〜200μm、好ましくは10〜100μmの平均粒径範囲を有する粒子の形態である。
【0065】
エマルション−凝固法によって調製された固体触媒成分の粒子は、20g/m
2未満、より好ましくは10g/m
2未満、またはさらに検出限界の5g/m
2未満の表面積を有する。
【0066】
任意の外部担体材料を伴わない触媒およびその調製は、たとえば国際公開第2003/000757(A)号、国際公開第2003/000754(A)号、国際公開第2004/029112(A)号、または国際公開第2007/137853号などに開示されている。
【0067】
修飾された触媒、すなわち本発明による固体触媒粒子の形態であり、かつ本発明の方法によって調製された触媒は、上に示したとおりプロピレン重合プロセスに用いられる。前記触媒粒子は、従来から用いられる供給システムを用いて重合プロセスに供給されてもよく、たとえば触媒粒子は供給媒体中のスラリーにされて、触媒スラリーとしてプロセスに供給されてもよい。
【0068】
本発明の触媒粒子に加えて、典型的に上で定義された有機金属共触媒(Co)および任意には外部供与体(ED)が重合プロセスに供給される。
【0069】
外部供与体は、上で定義された外部供与体であってもよい。
【0070】
特に、外部供与体はジシクロペンチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−イソブチルジメトキシシラン、およびジ−t−ブチルジメトキシシランからなる群より選択される。
【0071】
共触媒(Co)として、有機アルミニウム化合物が用いられる。有機アルミニウム化合物は、好ましくはトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロリド、およびアルキルアルミニウムセスキクロリドからなる群より選択され、ここでアルキル基は1から4個のC原子、好ましくは1から2個のC原子を含有する。特に好ましい共触媒は、トリエチルアルミニウム(TEAL)である。
【0072】
チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)の次に、本発明による固体触媒粒子は、ポリマー核形成剤をさらに含む。
【0073】
こうしたポリマー核形成剤の好ましい例はビニルポリマー、たとえば式(I)のモノマーに由来するビニルポリマーなどであり、
CH
2=CH−CHR
1R
2 (I)
ここでR
1およびR
2は、上で定義されたとおりである。本発明に従って用いられるポリマー核形成剤の調製に対して好ましいビニルモノマーは特にビニルシクロアルカン、特にビニルシクロヘキサン(VCH)、ビニルシクロペンタン、およびビニル−2−メチルシクロヘキサン、3−メチル−1−ブテン、3−エチル−1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、またはそれらの混合物である。VCHは特に好ましいモノマーである。
【0074】
したがってポリマー核形成剤は、好ましくはポリビニルアルカンまたはポリビニルシクロアルカン、特にポリビニルシクロヘキサン(polyVCH)、ポリビニルシクロペンタン、ポリビニル−2−メチルシクロヘキサン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−エチル−1−ヘキセン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリスチレン、ポリ−p−メチル−スチレン、ポリビニルノルボルナン、またはそれらの混合物の群より選択される。
【0075】
ビニルモノマーを用いた核形成技術に関しては、国際出願である特許文献1、特許文献2、および特許文献3が参照される。
【0076】
したがって上述のとおり、ポリマー核形成剤は、IUPACの第4族から第6族の遷移金属の化合物(TC)、第2族金属化合物(MC)、および内部供与体(ID)を含むチーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)と、共触媒(Co)と、任意には外部供与体(ED)との存在下で得られることが好ましい。結果として得られる、チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)と、前記触媒の存在下で得られるポリマー核形成剤との混合物が、本発明の固体触媒粒子に相当する。言い換えると、チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)は、前記触媒の存在下での上述の式(I)のビニルモノマーの重合によって修飾される。
【0077】
本発明の固体触媒粒子を得るためのプロセスを、以下により詳細に説明する。
【0078】
固体触媒粒子の調製のためのプロセス
上で概説したとおり、本発明による固体触媒粒子は、チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)の存在下でのビニルモノマーの重合によって得られる。
【0079】
したがって、本発明のプロセスは、
i)式(I)のビニルモノマーを重合するステップであって、
CH
2=CH−CHR
1R
2 (I)
ここでR
1およびR
2は、上で概説されたとおりに定義され、
(a)IUPACの第4族から第6族の遷移金属の化合物(TC)、第2族金属化合物(MC)、および内部供与体(ID)を含むチーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)と、
(b)共触媒(Co)と、
(c)任意には外部供与体(ED)と、
(d)重合されたビニル化合物を本質的に溶解しない130℃未満の沸点を有する溶剤(S)との存在下で重合する、ステップと、
ii)反応混合物中の未反応ビニルモノマーの濃度が1.5wt%未満になるまで、ビニルモノマーの重合反応を続けるステップと、
iii)溶剤(S)を除去して、乾燥固体粒子の形態の触媒を得るステップとを含む。
【0080】
ステップiii)において溶剤(S)を除去するとき、溶剤に溶解した残りの未反応ビニルモノマーも溶剤とともに除去される。
【0081】
式(I)のビニルモノマー、チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)、IUPACの第4族から第6族の遷移金属の化合物(TC)、第2族金属化合物(MC)、内部供与体(ID)、外部供与体(ED)、および共触媒(Co)の定義および好ましい実施形態に関しては、上に提供された情報が参照される。
【0082】
一般的に、オレフィン重合触媒の調製のための本発明によるプロセスは、修飾触媒を提供するために触媒の存在下でビニルモノマーを重合することによって触媒を修飾するステップを含み、このビニルモノマーの重合は低沸点溶剤中で行われ、この低沸点溶剤はその後、固体粒子の形態の本発明の触媒を得るために触媒から除去される。
【0083】
特に、チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)は最初に溶剤中のスラリーにされ、次いでビニルモノマーが加えられて70℃未満の上昇温度にて触媒の存在下で重合されて、チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)と、ビニルモノマーから得られたポリマー核形成剤とを含む修飾触媒が提供される。前記修飾触媒は、触媒と溶剤(S)とのスラリーとして得られる。よって、溶剤は触媒も得られたポリマー核形成剤も溶解しないことが必要とされる。その後、固体の乾燥触媒粒子の形態の修飾触媒を得るために溶剤が除去され、上で概説したとおり、この修飾触媒は少量の溶剤(S)のみを含有してもよく、たとえば油または油−グリース混合物などの任意のその他の液体媒体は含まない。
【0084】
こうして得られた乾燥触媒は、後で使用するために貯蔵されてもよく、次いで重合プロセスで使用するための供給媒体と再びスラリーにされてもよい。実際の重合ステップの前に予備重合ステップがあってもよく、すなわち供給媒体中にスラリーにされた乾燥触媒が予備重合ステップに供給されてもよく、そこで触媒はプロピレン(または別のl−オレフィン)と予備重合され、次いで、任意にはコモノマーを伴うプロピレンの重合を触媒するために、この予備重合された触媒組成物が用いられる。ここで予備重合とは、主要な重合ステップ(単数または複数)の前の、通常は連続的なプロセスステップを意味する。調製されるポリマーは、プロピレンホモポリマーと、プロピレンランダムコポリマーと、プロピレンブロックコポリマーとを含み、ここでコモノマーは、エチレンおよび/または4から10個のC原子のα−オレフィンより選択される。α−オレフィンは好ましくは4から8個のC原子のα−オレフィンであり、特に1−ブテンまたは1−ヘキセンである。
【0085】
本発明のプロセスのステップi)に従うチーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)の修飾のための好適な溶剤(S)は、ビニル化合物の重合後に乾燥固体触媒が得られるように容易に除去できる溶剤である。したがって、本発明のプロセスに適用される溶剤(S)は、典型的には130℃未満、より好ましくは100℃未満の沸点を有する低粘度溶剤である。いくつかの実施形態において、沸点は60℃未満、またはさらに40℃未満である。
【0086】
溶剤(S)は不活性有機溶剤であり、このプロセスの間に形成されるポリマー核形成剤を溶解しない。しかし、この溶剤はビニルモノマーを溶解する。この溶剤は、触媒粒子も溶解しない。
【0087】
好ましくは、本発明による溶剤(S)は非分岐鎖または分岐鎖のC
4からC
8アルカンより選択される。より好ましくは、溶剤(S)はC
5からC
7アルカン、すなわちペンタン、ヘキサン、およびヘプタンより選択される。
【0088】
ビニルモノマーの添加量と、触媒の量との好適な重量比は0.1から5.0、好ましくは0.1から3.0、より好ましくは0.2から2.0、特に約0.5から1.5である。
【0089】
さらに、ビニル化合物の重合による触媒修飾の反応時間は、反応混合物中の未反応のビニルモノマーの濃度が1.5wt%未満、好ましくは1.0wt%未満、より好ましくは0.5wt%未満となるように、ビニルモノマーの完全な反応を可能にするために十分であるべきである。反応混合物は溶剤および反応物を含み、好ましくはそれらからなる。
【0090】
一般的に、工業規模で動作しているときは、少なくとも30分間、好ましくは少なくとも1時間の重合時間が必要である。好ましくは重合時間は1〜50時間の範囲、好ましくは1〜30時間、たとえば1〜20時間などである。1〜10、または1〜5時間の範囲の重合時間も用いられ得る。修飾は10〜70℃、好ましくは35〜65℃の温度にて行われ得る。
【0091】
実際には、IUPACの第4族から第6族の遷移金属の化合物(TC)、第2族金属化合物(MC)、および内部供与体(ID)を含むチーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)と、共触媒(Co)と、任意には外部供与体(ED)とを、所望の順序で撹拌(バッチ)リアクタに供給することによって、触媒の修飾が行われる。任意の不純物を除去するために、最初に共触媒(Co)を供給することが好ましい。最初に触媒を加え、次いで任意には外部供与体とともに共触媒を加えることも可能である。
【0092】
次いで、ビニルモノマーを反応媒体に供給する。ビニルモノマー対触媒の重量比は、0.1から5未満の範囲である。すべて、または事実上すべてのビニルモノマーが反応するまで、ビニルモノマーを触媒と反応させる。上述のとおり、少なくとも30分間、好ましくは少なくとも1時間の重合時間とは工業規模における最低限を表し、通常の反応時間は1時間を超えるべきである。加えられるビニルモノマーの量が多くなると、より長い重合時間が必要である。
【0093】
反応後、乾燥固体粒子の形態の修飾触媒を得るために、溶剤(S)が除去される。溶剤を除去するとき、溶剤に溶解している可能性のある未反応ビニルモノマーも除去されることとなる。混合物からの溶剤の除去は、異なるやり方で達成され得る。固体粒子と液体とを含有する混合物から溶剤を除去するための工業的に周知の方法は、ろ過、遠心分離、液体サイクロンの使用、または単純に固体粒子を沈殿させて浸漬管によって液体を取り出すことによるものである。残りの数十パーセントの溶剤は、わずかな加熱と組み合わせた蒸発、または窒素によるフラッシングによって除去され得る。
【0094】
上で述べたことをまとめると、溶剤(S)中のチーグラー・ナッタ触媒の修飾のための1つの特に好ましい実施形態によれば、この修飾は
− 溶剤(S)に触媒を導入するステップと、
− 共触媒を加えるステップと、
− 撹拌される溶剤(S)に、0.2から2のビニルモノマー/触媒の重量比にてビニルモノマーを供給するステップと、
− 35〜65℃の温度にて前記触媒の存在下でビニルモノマーに重合反応を受けさせるステップと、
− 混合物中に1.0wt%未満、好ましくは0.5wt%未満の未反応ビニルモノマーの最大濃度が得られるまで、重合反応を続けるステップと、
− 溶剤を除去して、固体粒子の形態の修飾触媒を得るステップとを含む。
【0095】
本発明の第1の好ましい実施形態のビニルモノマーによる触媒の修飾の後、触媒をプロピレンおよび/またはその他のエチレンおよび/またはα−オレフィン(単数もしくは複数)との任意の予備重合に適用でき、その後に任意にはコモノマーとともにプロピレンの重合が行われる。
【0096】
使用
したがって本発明は、たとえばプロピレンのホモポリマー、またはプロピレンとエチレンおよび/もしくは4から10個のC原子のα−オレフィンとのコポリマーなどのポリマーの製造のためのプロセス、好ましくはプロピレン重合における、固体触媒粒子の使用にも向けられている。
【0097】
ポリプロピレンの生成のための重合プロセスは、公知の方法を使用した、任意には不活性希釈剤の存在下の液相で動作するか、または気相で動作するか、または液体−気体混合技術による、連続的なプロセスまたはバッチプロセスであってもよい。
【0098】
重合プロセスは、たとえば気相重合、スラリー重合、溶液重合、またはそれらの組み合わせなどの単一段階または多段階の重合プロセスであってもよい。
【0099】
本発明の目的に対する「スラリーリアクタ」とは、バルクまたはスラリーにて動作し、かつその中で粒子状の形態のポリマーが形成する、たとえば連続もしくは単純バッチ撹拌タンクリアクタまたはループリアクタなどの任意のリアクタを示す。「バルク」とは、少なくとも60wt%のモノマーを含む反応媒体における重合を意味する。好ましい実施形態によれば、スラリーリアクタはバルクループリアクタを含む。「気相リアクタ」とは、任意の機械的に混合されるリアクタまたは流動床リアクタを意味する。好ましくは、気相リアクタは少なくとも0.2m/secのガス速度を有する機械的に撹拌される流動床リアクタを含む。
【0100】
ポリプロピレンは、たとえば1つまたは2つのスラリーバルクリアクタ、好ましくは1つまたは2つのループリアクタ(単数または複数)、あるいは1つまたは2つのループリアクタ(単数または複数)と、少なくとも1つの気相リアクタとの組み合わせなどにおいて作製され得る。それらのプロセスは、当業者に周知である。
【0101】
好ましくは、使用されるリアクタはループおよび気相リアクタの群より選択され、特にこのプロセスは少なくとも1つのループリアクタと、少なくとも1つの気相リアクタとを用いる。各タイプのいくつかのリアクタを用いることも可能であり、たとえば連続する1つのループリアクタおよび2つもしくは3つの気相リアクタ、または2つのループおよび1つの気相リアクタなどである。
【0102】
重合が1つまたは2つのループリアクタにおいて行われるとき、その重合は好ましくは20℃から100℃の範囲の温度の液体プロピレン混合物中で行われる。好ましくは、温度は60℃から80℃の範囲である。圧力は好ましくは5〜60バールである。可能なコモノマーが、任意のリアクタに供給され得る。ポリマー鎖の分子量およびそれによるポリプロピレンのメルトフローレートは、水素を添加することによって調節される。
【0103】
気相リアクタは通常の流動床リアクタであってもよいが、他のタイプの気相リアクタも使用され得る。流動床リアクタにおいて、その床は形成および成長するポリマー粒子と、ポリマーフラクションを伴うなおも活性の触媒とからなる。床は、たとえば粒子を流体として作用させるような流速のモノマーなどのガス状成分を導入することによって、流動状態に保たれる。流動ガスは、たとえば窒素などの不活性担体ガスおよび修飾因子としての水素も含有し得る。流動気相リアクタには機械的ミキサーが備えられ得る。
【0104】
使用される気相リアクタは、50〜110℃、好ましくは60〜90℃の温度範囲、および5〜40バールの反応圧力にて動作され得る。
【0105】
好適なプロセスは、特に国際公開第98/58976(A)号、欧州特許出願公開第887380(A)号、および国際公開第98/58977(A)号に開示されている。
【0106】
すべての重合ステップにおいて、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、およびそれらの類似物、ならびにそれらの混合物の群より選択されるコモノマーを用いることも可能である。
【0107】
プロピレンホモポリマーまたはコポリマーを生成するために用いられる実際の重合リアクタに加えて、重合構成は、たとえばプレリアクタおよび/またはポストリアクタなどのいくつかの付加的なリアクタをも含み得る。プレリアクタは、必要であれば、修飾触媒とプロピレンおよび/またはエチレンもしくはその他のl−オレフィンとを予備重合するための任意のリアクタを含む。
【0108】
ポストリアクタは、ポリマー生成物の特性を変更および改善するために用いられるリアクタを含む(以下を参照)。リアクタシステムのすべてのリアクタは、好ましくは連続して配置される。
【0109】
所望であれば、重合生成物を気相リアクタに供給し、そこで(共)重合反応によってゴム状コポリマーが提供されて、修飾重合生成物が生成されてもよい。この重合反応は、たとえば改善された衝撃強度などの特性を重合生成物に与えるだろう。エラストマーを提供するステップは、さまざまなやり方で行われ得る。よって、好ましくはエラストマーは、少なくともプロピレンとエチレンとを共重合してエラストマーにすることによって生成される。
【0110】
リアクタ(単数または複数)からのこの重合生成物、すなわちポリプロピレンの粉末、フラフ、球などの形態のいわゆるリアクタ粉末は通常、当該技術分野において、および/または他のポリマーとともに従来から用いられるたとえば添加剤、充填剤、および強化剤などの補助剤(adjutants)と溶融混合、調合およびペレット化される。よって、好適な添加剤は抗酸化剤、酸スカベンジャー、静電防止剤、難燃剤、光および熱安定剤、潤滑剤、任意には付加的な核形成剤、清澄剤、色素、およびカーボンブラックを含むその他の着色剤を含む。たとえばタルク、マイカ、およびケイ灰石などの充填剤も用いられ得る。
【0111】
本発明による重合ビニル化合物によって修飾された触媒を用いた結果として得られるリアクタ粉末においては、核形成剤として作用する重合ビニル化合物が粒子全体に非常に良好に分散しており、それによって溶融均質化PPポリマーの冷却中の高速かつ高度の核形成が誘導される。
【0112】
この良好な核形成効果はDSC分析によって、明らかに上昇した結晶化温度および増加した結晶化発熱ピークからみることができる。
【0113】
ポリマー
本発明はさらに、上述の固体触媒粒子の存在下で調製された、たとえばプロピレンのホモポリマー、またはプロピレンとエチレンおよび/もしくは4から10個のC原子のα−オレフィン、好ましくは4から8個のC原子のα−オレフィン、特に1−ブテンおよび1−ヘキセンとのコポリマーなどのポリオレフィンに向けられたものである。
【0114】
本発明の修飾触媒の存在下で得られるプロピレンポリマーは、核形成プロピレンポリマーである。
【0115】
「核形成プロピレンポリマー」は、増加しかつ制御された結晶化度と、対応する非修飾触媒によって生成された非核形成ポリマーよりも数度高い結晶化温度(Tc)とを有する。Tcは、対応する非核形成ポリマーの結晶化温度よりもたとえば少なくとも7℃高くてもよい。
【0116】
しかし、プロピレンポリマーは、プロピレンホモポリマーまたはプロピレンとエチレンとのコポリマーであることが好ましい。プロピレンコポリマーは、ランダムコポリマーおよび異相コポリマーの両方を含む。
【0117】
プロピレンポリマーまたはプロピレンコポリマーは、約0.0005〜0.05wt%(5〜500重量ppm)、好ましくは0.0005〜0.01wt%、特に0.001〜0.005wt%(10〜50重量ppm)(組成物の重量より算出)の、上述の重合ビニル化合物単位を含有する。
【0118】
本発明による重合ビニル化合物によって修飾された触媒によって生成されたプロピレンポリマーは、本質的に遊離(未反応)ビニルモノマーを含有すべきではない。このことは、ビニルモノマーが重合ステップにおいて本質的に完全に反応するべきであることを意味する。溶剤除去ステップの間に、残った未反応ビニルモノマーは溶剤とともに除去される。
【0119】
本発明によって調製された触媒組成物の分析は、(溶剤および反応物を含む)反応混合物における未反応ビニルモノマーの量が1.5wt%未満、特に0.5wt%未満であることを示した。未反応ビニルモノマーは、溶剤に溶解している。乾燥触媒粒子を得るために溶剤が除去されるとき、未反応ビニルモノマーも除去される。上で定義したとおり、乾燥触媒粒子はなおもいくらかの溶剤を含有してもよい(15wt%未満)。このことは、反応混合物中の未反応ビニルモノマーの15wt%未満、好ましくは10wt%以下が最終触媒粒子に残り得ることを意味する。最終プロピレンポリマー中のビニルモノマーの量は、検出不可能である。
【0120】
本発明の修飾触媒、すなわち本発明の固体乾燥触媒粒子をプロピレン重合に用いるとき、核形成プロピレンホモポリマーの結晶化温度(Tc)は129℃より高い。さらに、結晶化度は50%を超えることが好ましい。
【0121】
さらに、本発明の修飾触媒の存在下で得られる核形成プロピレンホモポリマーは、かなり高い剛性を特徴とする。したがって、プロピレンポリマーは2100MPaより高く、好ましくは2150〜2300MPaの範囲の(実験パートに記載される方法を用いた)ISO 178に従って測定された曲げ係数を有する。
【0122】
本発明の修飾触媒の存在下で得られる核形成プロピレンホモポリマーの1つの特徴は、その低温キシレン可溶性成分(XCS:xylene cold solubles)の量が少ないこと、すなわち≦3.5wt%、より好ましくは0.5〜2.5wt%の範囲、さらにより好ましくは0.8〜1.5wt%の範囲であることである。
【0123】
さらに、本発明の修飾触媒の存在下で得られるたとえば核形成プロピレンホモポリマーなどのポリオレフィンは、高いアイソタクチック性を特徴とする。したがって、FTIRアイソタクチック性は102%より高いことが好ましく、より好ましくは少なくとも103%である。
【0124】
よって、本発明のプロピレンホモポリマーは、上記の特徴またはそれらの任意の組み合わせより選択される特性を有する。
【0125】
核形成プロピレンポリマーなどのポリオレフィンは、単峰形または二峰形のモル質量分布を有し得る。よって、重合プロセスの機器は、プロピレンホモポリマーまたはコポリマーを生成するための従来の設計の任意の重合リアクタを含み得る。
【0126】
以下において、実施例によって本発明をさらに示す。
【実施例】
【0127】
1.定義/測定方法
別様に定義しない限り、以下の用語の定義および判定方法は、上記の本発明の一般的説明および以下の実施例にも適用される。
【0128】
MFR
2(230℃)は、ISO 1133(230℃、2.16kg荷重)に従って測定する。
【0129】
低温キシレン可溶性成分フラクション(XCSwt%):低温キシレン可溶性成分(XCS)の含有量は、ISO 16152;第1版;2005−07−01に従って、25℃にて定める。
【0130】
DSC分析、融解温度(T
m)、結晶化温度(T
c)、および結晶化熱(H
c):5〜7mgのサンプルに対して、TAインスツルメント(Instrument)Q200示差走査熱量測定(DSC:differential scanning calorimetry)によって測定する。DSCはISO 11357/パート3/方法C2に従って、−30〜+225℃の温度範囲での10℃/minの走査速度による加熱/冷却/加熱サイクルにおいて実行する。冷却ステップから結晶化温度(T
c)および結晶化エンタルピー(H
c)を定め、一方で第2の加熱ステップから融解温度(T
m)を定める。完全に結晶のポリプロピレンに対するHm値を209J/gと仮定することによって、融解エンタルピーから結晶化度を算出する(Brandrup,J.,Immergut,E.H.,Eds.Polymer Handbook,3rd ed.Wiley,New York,1989;Chapter 3を参照)。
【0131】
曲げ係数:
Prism押出し機における溶融均質化の前に、ポリマー粉末を1500ppmのIrganox B215および500ppmのステアリン酸Caによって安定化した。Engel Es 80/25HLによって、ペレットを射出成形して60×60×2mmのプレートにした。このプレートから流れ方向にテストバー(10×50×2mm)を打ち抜いた。ISO178による3点屈曲において、テストバーの曲げ係数を定めた。
【0132】
FTIRアイソタクチック性:真空オーブン中で1時間焼き戻し、室温にて16〜20h静置したプレスPPフィルムからFTIRスペクトルを得る。
【0133】
I.I.は、D.BurfieldおよびP.Loi(J.Appl.Polym.Sci.1988,36,279)ならびにチッソ社(CHISSO Corp.)(欧州特許第277514(B1)号;1988)の研究に基づく、ポリプロピレンのアイソタクチック性の決定のための間接的方法である。これは998cm−1におけるアイソタクチック吸収帯の、973cm−1における基準帯に対する比率である。これは次の等式によって表すことができる。
I.I.=A998/A973
A998は、結晶領域における11〜12反復単位に対応し、
A973は、アモルファスおよび結晶鎖における5単位に対応し、
I.I.はNMRによるアイソタクチック性と直接比較できない。
【0134】
2.実施例
参照実施例:チーグラー・ナッタ触媒(ZN PP)の調製。
最初に、大気圧のリアクタ内で0.1モルのMgCl
2x3 EtOHを不活性条件下で250mlのデカンに懸濁した。この溶液を−15℃の温度まで冷却し、温度を前記レベルに維持しながら300mlの冷TiCl
4を加えた。次いで、スラリーの温度をゆっくりと20℃に上げた。この温度にて、0.02モルのジオクチルフタレート(DOP:dioctylphthalate)をスラリーに加えた。フタレートを加えた後に、90分間で温度を135℃まで上げ、スラリーを60分間静置した。次いで、さらに300mlのTiCl
4を加え、温度を135℃にて120分間保った。この後、触媒を液体からろ過し、80℃にて300mlのヘプタンで6回洗浄した。次いで、固体触媒成分をろ過して乾燥した。
【0135】
触媒およびその調製の概念は、たとえば欧州特許第491566号、欧州特許第591224号、および欧州特許第586390号などの特許公報に一般的に記載されている。
【0136】
実施例1
1a)ペンタンにおけるZN PP触媒のビニルシクロヘキサン修飾
300mlのペンタンと、4.15mlのトリエチルアルミニウム(TEAL)と、1.85mlのジシクロペンチルジメトキシシラン(Do)(CAS番号126990−35−0)とを1リットルのリアクタに加えた。20分後に、Ti含有量1.9wt%を有する参照実施例に従って調製したZN PP触媒を20g加えた。Al/TiおよびAl/Doのモル比は3.8であった。20gのビニルシクロヘキサン(VCH、CAS番号695−12−5)を室温にて1時間で加えた。50分間で温度を50℃に上げて、そこで2.3時間維持した後に室温に冷却した。
【0137】
リアクタから小さいサンプル(5〜10ml)を抜き出し、50μlのイソプロパノールと混合して反応を止めた。サンプル中の未反応VCHの量をガスクロマトグラフィー(GC:gas chromatography)によって分析して、0.42wt%であることを見出し、これはVCHの95.5%転換に相当する。
【0138】
デカントすることによって、ペンタン/触媒/TEAL/供与体/polyVCH混合物中のペンタンの大部分を除去した。混合物中の残りのペンタンは、窒素によるフラッシングによって除去した。
【0139】
1b)プロピレン重合におけるVCH修飾ZN PP触媒の使用
5リットルのリアクタ中で、VCH修飾触媒による重合を行った。0.158mlのTEALと、0.027mlの供与体Doと、30mlのペンタンとを混合して5分間反応させた。混合物の半分をリアクタに加え、残り半分を23.4mgの乾燥VCH修飾触媒(=11.7mgの純粋な触媒)と混合した。10分後に混合物をリアクタに加えた。Al/Tiのモル比は250であり、Al/Doのモル比は10であった。550mmolの水素および1400グラムのプロピレンをリアクタに加え、混合しながら20分以内に温度を80℃に上げた。80℃にて1時間後、未反応のプロピレンを流し(flashing)出すことによって反応を止めた。重合活性は53kgPP/gcathであった。Prism押出し機におけるペレット化(palletisation)の前に、ポリマー粉末を500ppmのステアリン酸Caおよび1500ppmのIrganox B215によって安定化した。Engel ES 80/25HLにおいて、ペレットを射出成形してプレートにした。射出成形プレートから切り出したテストバーに対して、曲げ係数を測定した。剛性は2170MPaであり、その他のポリマー構造特性は表1に示している。
【0140】
実施例2
2a)ペンタンにおけるZN PP触媒のVCH修飾
反応温度が40℃であり、反応時間が2.8時間であったことを除き、実施例1aに従ってこの実施例におけるVCH修飾ステップを行った。混合物中の未反応VCHの量は0.38wt%であり、これはVCHの95.9%転換に相当する。
【0141】
2b)プロピレン重合におけるVCH修飾ZN PP触媒の使用
13.0mgというわずかに多い量の触媒を用いたことを除き、実施例1bに従って重合を行った。重合活性は55kgPP/gcathであり、剛性は2190MPaであった。その他のポリマー構造特性は表1に示している。
【0142】
実施例3
3a)ペンタンにおけるZN PP触媒のVCH修飾
反応時間が6時間であったことを除き、実施例1aに従ってこの実施例におけるVCH修飾ステップを行った。混合物中の未反応VCHの量は0.26wt%であり、これはVCHの97.2%転換に相当する。
【0143】
3b)プロピレン重合におけるVCH修飾ZN PP触媒の使用
13.2mgというわずかに多い量の触媒を用いたことを除き、実施例1bに従って重合を行った。重合活性は54kgPP/gcathであり、剛性は2210MPaであった。その他のポリマー構造特性は表1に示している。
【0144】
実施例4
4a)ペンタンにおけるZN PP触媒のVCH修飾
この実施例は、50℃における反応時間が6時間であり、かつ30gというより多い量の触媒および325mlのペンタンを用いてより高い触媒濃度を有する混合物を与えたことを除き、実施例1aに従って行った。混合物中の未反応VCHの量は0.045wt%であり、これはVCHの99.6%転換に相当する。
【0145】
4b)プロピレン重合におけるVCH修飾ZN PP触媒の使用
13.2mgというわずかに多い量の触媒を用いたことを除き、実施例1bに従って重合を行った。重合活性は62kgPP/gcathであり、剛性は2210MPaであった。その他のポリマー構造特性は表1に示している。
【0146】
比較実施例1(CE1:Comparative example 1)
C1a)油におけるZN PP触媒のVCH修飾
この比較実施例は実施例1aに従って行ったが、ただし媒体として油(Shell Ondinaオイル68)を114ml用い、触媒の量は40gであり、触媒のTi含有量は2.1wt%であり、Al/TiおよびAl/Doのモル比は3.0であり、VCH/触媒の重量比は0.8であり、反応温度は55℃であり、反応時間は20時間であった。反応後、粘度変更剤として38mlのワックス、すなわちウィトコ(Witco)のWhite Protopet 1SHを混合物に加えた。混合物中の未反応VCHの量は0.085wt%であり、これはVCHの99.4%転換に相当する。
【0147】
C1b)プロピレン重合におけるVCH修飾ZN PP触媒の使用
この比較実施例は、触媒の量が10.3mgであったことを除き、実施例1bに従って行った。重合活性は66kgPP/gcathであり、剛性は2080MPaであった。その他のポリマー構造特性は表1に示している。
【0148】
比較実施例2(CE2)
C2a)油におけるZN PP触媒のVCH修飾
この比較実施例は比較実施例C1aに従って行ったが、ただし触媒の量は18gであり、VCH/触媒の重量比は2.0であり、Al/TiおよびAl/Doのモル比は4.5であった。混合物中の未反応VCHの量は0.15wt%であり、これはVCHの99.2%転換に相当する。
【0149】
C2b)プロピレン重合におけるVCH修飾ZN PP触媒の使用
この比較実施例は、触媒の量が8.9mgであったことを除き、実施例1bに従って行った。重合活性は89kgPP/gcathであり、剛性は2030MPaであった。その他のポリマー構造特性は表1に示している。
【0150】
比較実施例3(CE3)
C3a)油におけるZN PP触媒のVCH修飾
この比較実施例は比較実施例C1aに従って行ったが、ただし触媒の量は18gであり、Al/TiおよびAl/Doのモル比は4.5であり、反応温度は65℃であった。混合物中の未反応VCHの量は0.034wt%であり、これはVCHの99.6%転換に相当する。
【0151】
C3b)プロピレン重合におけるVCH修飾ZN PP触媒の使用
この比較実施例は、触媒の量が9.0mgであったことを除き、実施例1bに従って行った。重合活性は66kgPP/gcathであり、剛性は2000MPaであった。その他のポリマー構造特性は表1に示している。
【0152】
比較実施例4(CE4)
C4a)油におけるZN PP触媒のVCH修飾
この比較実施例は比較実施例C1aに従って行ったが、ただし触媒の量は18gであり、Al/TiおよびAl/Doのモル比は4.5であり、VCH/触媒の重量比は2.0であり、反応温度は65℃であった。混合物中の未反応VCHの量は0.022wt%であり、これはVCHの99.9%転換に相当する。
【0153】
C4b)プロピレン重合におけるVCH修飾ZN PP触媒の使用
この比較実施例は、触媒の量が9.2mgであったことを除き、実施例1bに従って行った。重合活性は82kgPP/gcathであり、剛性は2090MPaであった。その他のポリマー構造特性は表1に示している。
【0154】
結晶化温度は、核剤がどれほど効率的かの良好な指標である。Tcrが高いことは核形成が効果的であり、かつ最終生成物の剛性が高いことを意味する。FTIRアイソタクチック性も、最終生成物の剛性に密接に関連している。アイソタクチック性が高いことは、剛性が高いことを意味する。表1から、VCH修飾をペンタンにおいて行うことは、Tcrを平均0.8℃、アイソタクチック性を平均1%高くすることが分かる。このTcrおよびアイソタクチック性の増加の効果は、平均150MPaの剛性の増加としてみられる。表1から、たとえ「油での調製」レシピ(=比較実施例)による最終生成物におけるpolyVCHの量を「ペンタンでの調製」(=実施例)よりも高い値に増加させても、比較実施例における剛性の方がなおも明らかに低いことが分かる。
【0155】
【表1】