特許第6961637号(P6961637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961637
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】ロック機構
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20211025BHJP
   B60N 3/10 20060101ALI20211025BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20211025BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20211025BHJP
   E05B 83/28 20140101ALI20211025BHJP
   E05C 21/00 20060101ALI20211025BHJP
   E05C 1/16 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B60N2/90
   B60N3/10 A
   A47C7/54 D
   B60R7/04 S
   E05B83/28
   E05C21/00 A
   E05C1/16 A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-45095(P2019-45095)
(22)【出願日】2019年3月12日
(65)【公開番号】特開2020-147114(P2020-147114A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2020年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石塚 翔一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩介
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 利幸
【審査官】 井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−060385(JP,A)
【文献】 実開平04−052947(JP,U)
【文献】 特開2011−252321(JP,A)
【文献】 特開2018−096131(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0152887(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102014108659(DE,A1)
【文献】 特開2009−2143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − B60N 99/00
A47C 7/00 − A47C 7/74
B60R 3/00 − B60R 7/14
E05B 1/00 − E05B 85/28
E05C 21/00
E05C 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ばねに付勢され、傾斜面を有するロッドと、
第2ばねに付勢され、円弧面を有するピンを備えたストライカと、を備えており、
第1ばねの付勢力に抗してロッドを押し込むと、この押し込んだロッドの傾斜面がストライカのピンの円弧面を押し当てることで、この押し込む方向に対して直交する方向に第2ばねの付勢力に抗してストライカをスライドさせてロック状態からロック解除状態に切り替えるロック機構であって、
ロッドにおける傾斜面の先端側には、傾斜面に連続する第1平面と、第1平面に連続する第2平面と、が形成されており、
第1平面は、ピンの円弧の半径より大きな半径を有するR状に形成されており、
第2平面は、ストライカのスライド方向に直交するように形成されており、
ロック状態において、ピンの円弧面とロッドの第2平面とが第2ばねの付勢力によって押し当てられているロック機構。
【請求項2】
第1ばねに付勢され、円弧面を有するピンを備えたロッドと、
第2ばねに付勢され、傾斜面を有するストライカと、を備えており、
第1ばねの付勢力に抗してロッドを押し込むと、この押し込んだロッドのピンの円弧面がストライカの傾斜面を押し当てることで、この押し込む方向に対して直交する方向に第2ばねの付勢力に抗してストライカをスライドさせてロック状態からロック解除状態に切り替えるロック機構であって、
ストライカにおける傾斜面の先端側には、傾斜面に連続する第1平面と、第1平面に連続する第2平面と、が形成されており、
第1平面は、ピンの円弧の半径より大きな半径を有するR状に形成されており、
第2平面は、ピンのスライド方向に直交するように形成されており、
ロック状態において、ピンの円弧面とストライカの第2平面とが第2ばねの付勢力によって押し当てられているロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック機構に関し、詳しくは、収納部の開口を開閉可能なリッド等のロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の後部座席の中央には、シートバックに対してヒンジを介して前倒しおよび後起こし可能なアームレストが設けられている。このアームレストは、主として、小物を収納可能な収納部を有するボックス本体と、このボックス本体の収納部の開口を開閉可能にヒンジを介して結合され着座者の肘を載せ可能なリッドとから構成されている。このアームレストには、ボックス本体の収納部の開口を閉状態にリッドをロック可能なロック機構が設けられている。このロック機構130は、例えば、特許文献1に示されるようなものが知られており、主として、ボックス本体110に固着されるベース140と、ベース140に対して左右方向にスライド可能に第1圧縮ばね170を介して組み付けられた左右一対のロッド150と、ベース140に対して前後方向にスライド可能に第2圧縮ばね180を介して組み付けられたストライカ160とから構成されている(図12参照)。
【0003】
そのため、ロック機構130のロック状態(ボックス本体110の収納部111の開口112が閉じるようにリッド120をロックした状態)において、例えば、第1圧縮ばね170の付勢力に抗して一方側のロッド150のノブ152を他方側に押し込むと(第1圧縮ばね170の付勢力に抗して左側または右側のロッド150のノブ152を右方向または左方向に押し込むと)、このノブ152と共に押し込まれるロッド150に形成されている傾斜面155がストライカ160に形成されている丸ピン163の外周面163aを押し当てる。したがって、第2圧縮ばね180の付勢力に抗してストライカ160が後方向にスライドするため、ストライカ160の係合突起162がリッド120の係合穴122から退行する(図13参照)。このようにして、ロック機構130をロック状態からロック解除状態(ボックス本体110の収納部111の開口112が開くようにリッド120をロック解除した状態)に切り替えることができる。なお、ロック機構130をロック解除状態に切り替えることができると、ボックス本体110の収納部111の開口112が開くようにリッド120を開けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報として、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2018−118586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、ロック機構130のストライカ160は、各部品(ベース140、左右一対のロッド150、ストライカ160)に生じるバラつき(誤差)を吸収するために、ロック機構130を目隠しする目隠しカバー116のクッション部材116bによってストライカ160自身を付勢する第2圧縮ばね180が撓んだ状態となるようにベース140に組み付けられている。そのため、ロック機構130のロック状態において、ロッド150の傾斜面155とストライカ160の丸ピン163の外周面163aとの間に隙sが生じていた(図14参照)。したがって、ロック機構130をロック状態からロック解除状態に切り替えるときに必要な操作荷重が2種類(初期操作荷重、実質操作荷重)生じている。初期操作荷重は、ノブ152を押し込み始めてからロッド150の傾斜面155がストライカ160の丸ピン163の外周面163aを押し当てるまでの間の操作荷重である。この初期操作荷重は、第1圧縮ばね170の付勢力に抗する荷重であれば良いため、比較的に軽いものである。一方、実質操作荷重は、ロッド150の傾斜面155がストライカ160の丸ピン163の外周面163aを押し当ててからの操作荷重である。この実質操作荷重は、第2圧縮ばね180の付勢力に抗する荷重となるため、比較的に重いものである。したがって、初期操作荷重から実質操作荷重への切り替えにおいて、急に、操作荷重の重さが変化することとなっていた(図15参照)。結果として、ロッド150の押し込み操作のフィーリングの悪化となっていた。
【0006】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、ロッドの押し込み操作によるロック状態からロック解除状態への切り替えにおいて、この押し込みのフィーリングを向上させることができるロック機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの特徴によると、ロック機構は、第1ばねに付勢され、傾斜面を有するロッドと、第2ばねに付勢され、円弧面を有するピンを備えたストライカとを備えている。このロック機構は、第1ばねの付勢力に抗してロッドを押し込むと、この押し込んだロッドの傾斜面がストライカのピンの円弧面を押し当てることで、この押し込む方向に対して直交する方向に第2ばねの付勢力に抗してストライカをスライドさせてロック状態からロック解除状態に切り替わる。ロッドにおける傾斜面の先端側には、傾斜面に連続する第1平面と、第1平面に連続する第2平面とが形成されている。第1平面は、ピンの円弧の半径より大きな半径を有するR状に形成されている。第2平面は、ストライカのスライド方向に直交するように形成されている。このロック機構は、ロック状態において、ピンの円弧面とロッドの第2平面とが第2ばねの付勢力によって押し当てられている。
【0008】
そのため、ロック機構をロック状態からロック解除状態に切り替えるときに必要な操作荷重が3種類(初期操作荷重、以降操作荷重、実質操作荷重)生じている。初期操作荷重は、ロッドを押し込み始めてからロッドの第2平面がストライカのピンの円弧面を押し当てるまでの間の操作荷重である。この初期操作荷重は、第1ばねの付勢力に抗する荷重であれば良いため、比較的に軽いものである。また、移行操作荷重は、ロッドの傾斜面がストライカのピンの円弧面を押し当てるまでの間の操作荷重である。この移行操作荷重も、主として、第1ばねの付勢力に抗する荷重となるため、比較的に軽いものである。一方、実質操作荷重は、ロッドの傾斜面がストライカのピンの円弧面を押し当ててからの操作荷重である。この実質操作荷重は、第2ばねの付勢力に抗する荷重となるため、比較的に重いものである。したがって、初期操作荷重から実質操作荷重への切り替えにおいて、従来技術とは異なり、移行操作荷重を介するため、急に、操作荷重の重さが変化することがない。すなわち、初期操作荷重から実質操作荷重への切り替えにおいて、従来技術とは異なり、操作荷重の変化が滑らかとなる。結果として、ロッドの押し込み操作のフィーリングを向上させることができる。
【0009】
本開示の他の特徴によると、ロック機構は、第1ばねに付勢され、円弧面を有するピンを備えたロッドと、第2ばねに付勢され、傾斜面を有するストライカとを備えている。このロック機構は、第1ばねの付勢力に抗してロッドを押し込むと、この押し込んだロッドのピンの円弧面がストライカの傾斜面を押し当てることで、この押し込む方向に対して直交する方向に第2ばねの付勢力に抗してストライカをスライドさせてロック状態からロック解除状態に切り替わる。ストライカにおける傾斜面の先端側には、傾斜面に連続する第1平面と、第1平面に連続する第2平面とが形成されている。第1平面は、ピンの円弧の半径より大きな半径を有するR状に形成されている。第2平面は、ピンのスライド方向に直交するように形成されている。このロック機構は、ロック状態において、ピンの円弧面とストライカの第2平面とが第2ばねの付勢力によって押し当てられている。
【0010】
そのため、請求項1と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るアームレストの全体斜視図である。
図2図1において、ボックス本体の収納部の開口を開けた状態を示している。
図3図2において、ボックス本体の目隠しカバーを取り外した状態を示している。
図4図3のロック機構の拡大図である。
図5図4のロック機構の分解図である。
図6図4のロック機構の平面図である。
図7図6のロック機構の主要部の拡大図である(ロック機構のロック状態)。
図8図7に示す状態から、ノブを押し込んだ状態を示している。
図9図8に示す状態から、ノブを押し込んだ状態を示している。
図10図9に示す状態から、ノブを押し込んだ状態(ロック機構のロック解除状態)を示している。
図11】実施形態に係るノブの操作荷重を示す模式図である。
図12】従来技術に係るロック機構の平面図である。
図13図12において、ノブを押し込んだ状態(ロック機構のロック解除状態)を示している。
図14図12のロック機構の主要部の拡大図である。
図15】従来技術に係るノブの操作荷重を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜11を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、アームレスト1が後部座席の中央に設けられた自動車の向きを基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。
【0013】
まず、実施形態に係るアームレスト1の全体構成を説明する(図1参照)。このアームレスト1は、自動車の後部座席の中央において、シートバック(図示しない)に対してヒンジ3を介して前倒しおよび後起こし可能に設けられている。このアームレスト1は、主として、小物(図示しない)を収納可能な収納部11を後側に有するボックス本体10と、このボックス本体10の収納部11の開口12を開閉可能にヒンジ(図示しない)を介して結合され着座者の肘(図示しない)を載せ可能なリッド20とから構成されている(図2参照)。このボックス本体10の左右には、後述するロック機構30の左右のノブ52を押し込み操作するための操作孔13が形成されている。
【0014】
このボックス本体10の前側には、タッチパネル(図示しない)と、内部にドリンクホルダ(図示しない)を有するドリンク収容装置(図示しない)とが設けられている。このタッチパネルを操作することにより、車室内の空調装置(図示しない)を調節(エアコンのON−OFFの操作、温度の設定の操作等)できる。また、このドリンク収容装置のドリンクホルダにより、缶またはペットボトル等のドリンク容器(図示しない)を保持できる。
【0015】
また、このボックス本体10の中間領域(収納部とタッチパネルとの間)には、ロック状態(ボックス本体10の収納部11の開口12が閉じるようにリッド20をロックした状態)からロック解除状態(ボックス本体10の収納部11の開口12が開くようにリッド20をロック解除した状態)に切り替え可能なロック機構30が組み付けられている(図3参照)。このロック機構30は、主として、ボックス本体10に固着されるベース40と、左右一対のロッド50と、ストライカ60とから構成されている(図4〜6参照)。以下に、これらベース40とロッド50とストライカ60とを個別に説明する。
【0016】
まず、ベース40を説明する。ベース40の左側と右側とには、左右一対のロッド50を左右方向にスライド可能な第1案内溝41が形成されている。この第1案内溝41には、後述する第1圧縮ばね70を挿し込み可能な第1案内ピン42が形成されている。また、ベース40の前側には、ストライカ60を前後方向にスライド可能な第2案内溝43が形成されている。この第2案内溝43には、後述する第2圧縮ばね80を挿し込み可能な第3案内溝44が形成されている。このベース40は、例えば、剛性を有する合成樹脂によって一体的に成形されている。
【0017】
次に、ロッド50を説明する。ロッド50の一方51(外側)には、押し込み操作可能なノブ52が固着されている。また、ロッド50の他方53(内側)には、第1圧縮ばね70を挿し込み可能な案内溝54が形成されている。また、ロッド50の他方53(内側)には、左右方向に対して45°の角度を成す傾斜面55が形成されている。この傾斜面55の前側(先端側)には、傾斜面55に連続する第1平面56と、第1平面56に連続する第2平面57とが形成されている(図7参照)。
【0018】
この第1平面56は、後述するストライカ60の案内ピン61の円弧の半径より大きな半径を有するR状に(R平面を成すように)形成されている。また、この第2平面57は、ストライカ60のスライド方向(前後方向)に直交するように形成されている。このロッド50は、例えば、剛性を有する合成樹脂によって一体的に成形されている。
【0019】
最後に、ストライカ60を説明する。ストライカ60の後側には、第2圧縮ばね80を挿し込み可能な案内ピン61が形成されている。また、ストライカ60の前側には、後述するリッド20の前壁21に形成されている係合穴22に係合可能な係合突起62が形成されている。また、ストライカ60の左側と右側とには、左右一対の丸ピン63が形成されている。このストライカ60は、例えば、剛性を有する合成樹脂によって一体的に成形されている。
【0020】
そして、このベース40の左右の第1案内溝41には、左右一対のロッド50が組み付けられている。このとき、ベース40の第1案内ピン42とロッド50の案内溝54との間には、第1圧縮ばね70が挿し込まれている。また、このベース40の第2案内溝43には、ストライカ60が組み付けられている。このとき、ベース40の第3案内溝44とストライカ60の案内ピン61との間には、第2圧縮ばね80が挿し込まれている。ロック機構30は、このように構成されている。
【0021】
このように構成されているロック機構30は、上述したようにボックス本体10の中間領域に組み付けられている(図3参照)。そして、このロック機構30を覆うように目隠しカバー16がボックス本体10に組み付けられている。この目隠しカバー16には、ロック機構30のストライカ60の係合突起62を貫通させるための貫通孔16aが形成されている。
【0022】
また、この目隠しカバー16の内面には、クッション部材16bが設けられている。このクッション部材16bがロック機構30のストライカ60の前側を押し当てるため、ロック機構30のストライカ60は、従来技術と同様に、ストライカ60自身を付勢する第2圧縮ばね80が撓んだ状態となるようにベース40に組み付けられている。したがって、従来技術と同様に、ロック機構30の各部品(ベース40、左右一対のロッド50、ストライカ60)に生じるバラつき(誤差)を吸収できる。なお、図6〜7からも明らかなように、ロック機構30のロック状態では、左右一対のロッド50の第2平面57とストライカ60の左右の丸ピン63の外周面63aとが第2圧縮ばね80の付勢力によって押し当てられている。
【0023】
続いて、図7〜10を参照して、ロック機構30の動作(ロック機構30のロック状態からロック解除状態への切り替え動作と、ロック機構30のロック解除状態からロック状態への切り替え動作(戻す動作))を説明する。
【0024】
まず、ロック機構30のロック状態からロック解除状態への切り替え動作を説明する。なお、上述したように、ロック機構30のロック状態では、左右一対のロッド50の第2平面57とストライカ60の左右の丸ピン63の外周面63aとが第2圧縮ばね80の付勢力によって押し当てられている(図7参照)。
【0025】
はじめに、ロック機構30のロック状態(図7に示す状態)から、第1圧縮ばね70の付勢力に抗して、例えば、左側のロッド50のノブ52を右側に押し込む操作を行う。すると、このノブ52と共に押し込まれるロッド50に形成されている第2平面57がストライカ60に形成されている丸ピン63の外周面63aを押し当てる(図8〜9参照)。すなわち、ストライカ60の丸ピン63に対する押し当てが左側のロッド50の第2平面57から第1平面56に切り替わる。
【0026】
次に、図9に示す状態から、さらに、第1圧縮ばね70の付勢力に抗して左側のロッド50のノブ52を右側に押し込む操作を行う。すると、このノブ52と共に押し込まれるロッド50に形成されている傾斜面55がストライカ60に形成されている丸ピン63の外周面63aを押し当てる(図10参照)。すなわち、ストライカ60の丸ピン63に対する押し当てが左側のロッド50の第1平面56から傾斜面55に切り替わる。
【0027】
これにより、第2圧縮ばね80の付勢力に抗してストライカ60が後方向にスライドするため、ストライカ60の係合突起62がリッド20の係合穴22から退行する。このようにして、ロック機構30をロック状態からロック解除状態に切り替えることができる。したがって、ボックス本体10の収納部11の開口12が開くようにリッド20をロック解除した状態に切り替えることができる。
【0028】
なお、ロック機構30をロック解除状態に切り替えることができると、ボックス本体10の収納部11の開口12が開くようにリッド20を開けることができる。また、左側のロッド50のノブ52の押し込み操作を解消すると、この左側のロッド50の押し込みも第1圧縮ばね70の復元力によって戻されるため、ストライカ60のスライドも第2圧縮ばね80の復元力によって戻される。
【0029】
次に、ロック機構30のロック解除状態からロック状態への切り替え動作を説明する。はじめに、リッド20を開けた状態(図2に示す状態)から、ボックス本体10の収納部11の開口12が閉じるようにリッド20を閉じる操作を行う。すると、ストライカ60の係合突起62がリッド20の前壁21を乗り越えて係合穴22に進出する。このようにして、ロック機構30をロック解除状態からロック状態に切り替えることができる。したがって、ボックス本体10の収納部11の開口12を閉じたリッド20をロックできる。
【0030】
本発明の実施形態に係るロック機構30は、上述したように構成されている。この構成によれば、ロッド50の傾斜面55の前側には、傾斜面55に連続する第1平面56と、第1平面56に連続する第2平面57とが形成されている。この第1平面56は、ストライカ60の案内ピン61の円弧の半径より大きな半径を有するR状に形成されている。また、この第2平面57は、ストライカ60のスライド方向に直交するように形成されている。そして、ロック機構30のロック状態において、左右一対のロッド50の第2平面57とストライカ60の左右の丸ピン63の外周面63aとが第2圧縮ばね80の付勢力によって押し当てられている。
【0031】
そのため、ロック機構30をロック状態からロック解除状態に切り替えるときに必要な操作荷重が3種類(初期操作荷重、以降操作荷重、実質操作荷重)生じている。初期操作荷重は、ノブ52を押し込み始めてからロッド50の第2平面57がストライカ60の丸ピン63の外周面63aを押し当てるまでの間の操作荷重である。この初期操作荷重は、第1圧縮ばね70の付勢力に抗する荷重であれば良いため、比較的に軽いものである。また、移行操作荷重は、ロッド50の傾斜面55がストライカ60の丸ピン63の外周面63aを押し当てるまでの間の操作荷重である。この移行操作荷重も、主として、第1圧縮ばね70の付勢力に抗する荷重となるため、比較的に軽いものである。
【0032】
一方、実質操作荷重は、ロッド50の傾斜面55がストライカ60の丸ピン63の外周面63aを押し当ててからの操作荷重である。この実質操作荷重は、第2圧縮ばね80の付勢力に抗する荷重となるため、比較的に重いものである。したがって、初期操作荷重から実質操作荷重への切り替えにおいて、従来技術とは異なり、移行操作荷重を介するため、急に、操作荷重の重さが変化することがない(図11参照)。すなわち、初期操作荷重から実質操作荷重への切り替えにおいて、従来技術とは異なり、操作荷重の変化が滑らかとなる。結果として、ロッド50の押し込み操作のフィーリングを向上させることができる。
【0033】
なお、本発明の実施形態に係るロック機構30にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜個所を変更して構成するようにしてもよい。ストライカ60において、丸ピン63でなく、一部に円弧面を有していれば、どのような形状のピンであっても構わない。また、ロッド50は、左右のいずれか一方でも構わない。
【0034】
また、ロッド50とストライカ60が逆の形態でも構わない。すなわち、ロック機構30は、例えば、「第1ばねに付勢され、円弧面を有するピンを備えたロッドと、第2ばねに付勢され、傾斜面を有するストライカと、を備えており、第1ばねの付勢力に抗してロッドを押し込むと、この押し込んだロッドのピンの円弧面がストライカの傾斜面を押し当てることで、この押し込む方向に対して直交する方向に第2ばねの付勢力に抗してストライカをスライドさせてロック状態からロック解除状態に切り替えるロック機構であって、ストライカにおける傾斜面の先端側には、傾斜面に連続する第1平面と、第1平面に連続する第2平面と、が形成されており、第1平面は、ピンの円弧の半径より大きな半径を有するR状に形成されており、第2平面は、ピンのスライド方向に直交するように形成されており、ロック状態において、ピンの円弧面とストライカの第2平面とが第2ばねの付勢力によって押し当てられているロック機構。」となる。その場合でも、実施形態と同様の作用効果を得ることができる。

【0035】
また、ロック機構30は、前後にスライド可能にボックス本体10の前端に設けられたノブと、左右にスライド(進退)可能にボックス本体10の左右に設けられた左右一対の閂ロッドとから構成されていても構わない。その場合、ノブ52を後側に押し込む操作をして、左右一対の閂ロッドをスライド(退行)させてロック機構30をロック解除できる。
【符号の説明】
【0036】
30 ロック機構
50 ロッド
55 傾斜面
56 第1平面
57 第2平面
60 ストライカ
63 丸ピン(ピン)
63a 外周面
70 第1圧縮ばね(第1ばね)
80 第2圧縮ばね(第2ばね)
図1
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