特許第6961660号(P6961660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961660電気化学セルを動作させる方法及び電気化学セルを作製する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961660
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】電気化学セルを動作させる方法及び電気化学セルを作製する方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20211025BHJP
   H01M 12/06 20060101ALI20211025BHJP
   H01M 12/08 20060101ALI20211025BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20211025BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20211025BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20211025BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20211025BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20211025BHJP
   H01M 8/18 20060101ALI20211025BHJP
   H01M 8/1039 20160101ALI20211025BHJP
   H01M 8/1044 20160101ALI20211025BHJP
   H01M 8/1058 20160101ALI20211025BHJP
   H01M 8/1062 20160101ALI20211025BHJP
   H01G 11/52 20130101ALI20211025BHJP
   H01G 11/30 20130101ALI20211025BHJP
   H01M 50/409 20210101ALI20211025BHJP
【FI】
   H01M10/058
   H01M12/06 Z
   H01M12/08 K
   H01M10/0562
   H01M10/0565
   H01M10/04 Z
   H01M10/052
   H01M8/10
   H01M8/18
   H01M8/10 101
   H01M8/1039
   H01M8/1044
   H01M8/1058
   H01M8/1062
   H01G11/52
   H01G11/30
   H01M50/409
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】82
(21)【出願番号】特願2019-201691(P2019-201691)
(22)【出願日】2019年11月6日
(62)【分割の表示】特願2018-160745(P2018-160745)の分割
【原出願日】2013年1月10日
(65)【公開番号】特開2020-43081(P2020-43081A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2019年11月26日
(31)【優先権主張番号】61/622,371
(32)【優先日】2012年4月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/545,683
(32)【優先日】2012年7月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2012/046067
(32)【優先日】2012年7月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/677,306
(32)【優先日】2012年7月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/679,584
(32)【優先日】2012年8月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508032284
【氏名又は名称】カリフォルニア インスティチュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】ファルシッド ルーミー
【審査官】 儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−231962(JP,A)
【文献】 特開平06−168737(JP,A)
【文献】 特開昭62−291871(JP,A)
【文献】 特開昭63−155552(JP,A)
【文献】 特開2011−222215(JP,A)
【文献】 特開2005−259566(JP,A)
【文献】 特開2008−016193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/058
H01M 50/409
H01M 12/06
H01M 12/08
H01M 10/0562
H01M 10/0565
H01M 10/04
H01M 10/052
H01M 8/10
H01M 8/18
H01M 8/1039
H01M 8/1044
H01M 8/1058
H01M 8/1062
H01G 11/52
H01G 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セルを動作させる方法であって、
(a)正電極集電体と電子的に連通する正電極と、
負電極集電体と電子的に連通する負電極と、
前記正電極と前記負電極との間に位置決めした、イオン伝導・電子絶縁性のセパレータと、
前記正電極又は前記負電極と前記セパレータとの間に位置決めされ、外部集電極を通じて、前記正電極又は前記負電極と電子的に連通する、第1電子・イオン伝導層であって、前記外部集電極と電子的に連通する第1電子・イオン伝導層と、
前記正電極と前記負電極との間に位置決めした1つ又は複数の電解質であり、前記1つ又は複数の電解質は電荷担体を伝導可能である、電解質と、
を備える電気化学セルを準備することと、
(b)前記電気化学セルの動作の間、前記外部集電極と前記正電極集電体又は前記負電極集電体とを介して前記正電極又は前記負電極を還元又は酸化して、前記正電極と前記負電極との間のデンドライト形成を防止することと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記外部集電極と前記正電極集電体とを介して前記正電極を還元又は酸化することを含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記外部集電極と前記負電極集電体とを介して前記負電極を還元又は酸化することを含む、方法。
【請求項4】
電気化学セルを作製する方法であって、
(a)正電極集電体と電子的に連通する正電極を設けることと、
(b)負電極集電体と電子的に連通する負電極を設けることと、
(c)前記正電極と前記負電極との間に位置決めした、イオン伝導・電子絶縁性のセパレータを設けることと、
(d)前記正電極又は前記負電極と前記セパレータとの間に位置決めされ、外部集電極を通じて、前記正電極又は前記負電極と電子的に連通する、第1電子・イオン伝導層であって、前記外部集電極と電子的に連通する第1電子・イオン伝導層を設けることと、
(e)前記正電極と前記負電極との間に位置決めした1つ又は複数の電解質であり、前記1つ又は複数の電解質は電荷担体を伝導可能である、電解質を設けることと、
を含み、
前記電気化学セルは、当該電気化学セルの動作の間、前記外部集電極と前記正電極集電体又は前記負電極集電体とを介して前記正電極又は前記負電極を還元又は酸化して、前記正電極と前記負電極との間のデンドライト形成を防止するように構成されている、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記第1電子・イオン伝導層は、前記外部集電極と前記正電極集電体とを介して前記正電極還元又は酸化するように構成されている、方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法において、前記第1電子・イオン伝導層は、前記外部集電極と前記負電極集電体とを介して前記負電極を還元又は酸化するように構成されている、方法。
【請求項7】
請求項4に記載の方法において、前記第1電子・イオン伝導層は、電気化学的に活性な層である、方法。
【請求項8】
請求項4に記載の方法において、前記第1電子・イオン伝導層は、電気化学的に活性な材料を含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記第1電子・イオン伝導層は、電気化学的に活性な層である、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記第1電子・イオン伝導層は、電気化学的に活性な材料を含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記第1電子・イオン伝導層は、炭素系物質を含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、前記1つ又は複数の電解質の少なくとも1つは、固体電解質を含む、方法。
【請求項13】
請求項4に記載の方法において、前記電解質の少なくとも1つは、固体電解質を含む、方法。
【請求項14】
請求項4に記載の方法において、前記第1電子・イオン伝導層は、炭素系物質を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学システムの新規セパレータに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2011年7月11日付で出願された米国仮出願第61/506,489号、
2012年4月10日付で出願された米国仮出願第61/622,371号、及び201
1年7月11日に出願された米国仮出願第61/506,489号及び2012年4月1
0日に出願された米国仮出願第61/622,371号の利益及び優先権を主張する20
12年7月10日付で出願されたPCT国際出願第PCT/US12/46067号の利
益及び優先権を主張する2012年7月10日付けで出願された米国非仮特許出願第13
/545,683号の利益及び優先権を主張するものであり、また、本願は、2012年
4月10日付で出願された米国仮出願第61/622,371号、2012年7月30日
付で出願された米国仮出願第61/677,306号、及び2012年8月3日付で出願
された米国仮出願第61/679,584号の利益及び優先権を主張するものであり、上
記出願それぞれの全体を参照により本記載に矛盾しない範囲で本明細書に援用する。
【背景技術】
【0003】
過去数十年にわたり、電気化学蓄電・変換装置は革命的な進歩を遂げ、携帯用電子装置
、航空機及び宇宙機技術、乗用車、及び生体計測を含むさまざまな分野でのこれらのシス
テムの能力を広げてきた。最新の電気化学蓄電・変換装置は、広範囲の適用要件及び動作
環境との適合性を提供するよう特別に改変した設計及び性能属性を有する。例えば、植え
込み型医療装置用の非常に低い自己放電率及び高い放電信頼性を示す高エネルギー密度電
池から、広範囲の携帯用電子装置用の長い実行時間を提供する安価な軽量充電式電池、そ
して短期間に極めて高い放電率を提供することが可能な軍事及び航空宇宙用途用の高容量
電池にわたる、高度電気化学蓄電システムが開発されてきた。
【0004】
この多様な高度電子機械蓄電・変換システムの開発及び幅広い採用にもかかわらず、こ
れらのシステムの機能性を拡張するための研究を促進することにより、さらに広範囲の装
置用途を可能にする必要に迫られている。例えば、高出力携帯用電子製品に対する需要の
大きな伸びから、より高いエネルギー密度を提供する安全で軽量の一次電池及び二次電池
の開発が大きな関心を生んでいる。さらに、家庭用電化製品及び計器の分野における小型
化に対する需要が、高性能電池のサイズ、質量、及びフォームファクタを低減するための
新規設計及び材料戦略の研究を促進し続けている。さらに、電気自動車及び航空宇宙工学
の分野の継続的な発展も、有効範囲の動作環境で良好な装置性能を可能にする機械的に堅
牢な、高信頼性の、高エネルギー密度及び高パワー密度の電池の必要性を生んでいる。
【0005】
電気化学蓄電・変換技術における最近の多くの進歩は、電池コンポーネントの新たな材
料の発見及び組み込みに直接起因する。例えば、リチウム電池技術は、少なくとも一部は
これらのシステムの新規電極及び電解質材料の発見に起因して、急速な発展を続けている
。リチウム元素は、電気化学セルでのその使用を魅力的にする独特な特性の組み合わせを
有する。第1に、これは、周期表において最も軽い金属であり、原子質量6.94AMU
を有する。第2に、リチウムは、非常に低い電気化学酸化/還元電位(すなわち、NHE
(標準水素電極)に対して−3.045V)を有する。この独特な特性の組み合わせによ
り、リチウム系電気化学セルは非常に大きな比容量を有することができる。最新のリチウ
ムイオン二次電池は、優れた充放電特性をもたらし、したがって携帯電話及びポータブル
コンピュータ等の携帯用電子装置の電源としても幅広く採用されている。全体を参照によ
り本明細書に援用する特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び非特許文献1は、リチ
ウム電池システム及びリチウムイオン電池システムを対象としたものである。
【0006】
電極物質、電解質組成物、及び装置の幾何学的形状の進歩は、Li系電気化学システム
のさらなる開発を支援し続けている。例えば、2012年3月29日付けで公開された特
許文献4及び2012年3月15日付けで公開された特許文献5は、リチウム電池を含む
電気化学システムの3次元電極アレイ構造を開示している。
【0007】
実質的な進歩にもかかわらず、Li系電気化学システムの継続的な開発に関連して現実
的な課題が残る。例えば、重要な問題は、一次及び二次リチウム及びリチウムイオン電池
におけるデンドライト形成に関するものである。多くの電解質中でのLi析出はデンドラ
イト傾向が強く、それによりこれらのシステムには短絡、機械的破損、及び熱暴走を含む
問題が起こりやすいことが、概して知られている。デンドライト形成に関する安全上の懸
念が、目下、充電式システムにおける金属Liアノードの実装を妨げる障壁となっている
。特に二次電池に関連して、デンドライト形成に関連した安全性に取り組むために、非リ
チウムアノードとデンドライト形成に関連した問題をリアルタイムで監視可能な内部安全
システムとの開発を含む多くの戦略が追求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,852,446号明細書
【特許文献2】米国特許第6,306,540号明細書
【特許文献3】米国特許第6,489,055号明細書
【特許文献4】米国出願公開第2012/0077095号明細書
【特許文献5】国際特許出願公開第2012/034042号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「リチウム電池科学及び技術(Lithium Batteries Science and Technology)」Gholam-Abbas Nazri and Gianfranceo Pistoia編、Kluer Academic Publishers、2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記から概して認識されるように、リチウム系又はアルカリ系電池、フロー電池、スー
パーキャパシタ、及び燃料電池等の、一定範囲の用途に有用な電気化学特性を示すリチウ
ム系電気化学システムが目下必要とされている。具体的には、一次リチウム系電池及び二
次リチウム系電池の両方で良好な電気化学性能及び高い多用性を可能にするリチウム電気
化学システムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様では、本発明は、一定範囲の電気化学蓄電・変換用途に有用な電子特性、機械特
性、及び化学特性を提供する電気化学システム用のセパレータシステムを提供する。いく
つかの実施形態のセパレータシステムは、例えば、電気化学セルの壊損の防止に有用であ
り且つサイクル寿命及びエネルギー及び電力等の性能を高めるのに有用な、構造的、物理
的、及び静電的特質を提供する。一連の例は、リチウム系電池、アルカリ系電池、亜鉛系
電池、及び鉛系電池等の金属系電池におけるデンドライト形成を管理及び制御するセパレ
ータである。一実施形態では、例えば、本発明のセパレータシステムは、優れたイオン輸
送特性を支援すると同時にデンドライトが引き起こす機械的破損、電子的内部短絡及び/
又は熱暴走を防止するのに有効な障壁を提供する、多層で多孔質の幾何学的形状を有する
。別の一連の例は、複数の多孔質/有孔層と不透過性だがイオン選択性の導電膜とからな
る多層セパレータであり、多孔質層がデンドライト短絡故障及び/又は熱暴走等の内部短
絡故障を防止するのに有効な障壁を提供し、膜層がアノードに隣接した電解質をカソード
に隣接した電解質から分離するのに有効な障壁を提供して、電極及びそれらの表面及びそ
れらの電解質の汚染を防止することで、エネルギー、パワー、及びライフサイクル等のセ
ルの性能を高めることができる。これは、金属空気及びフロー電池及び半固体電池で特に
有用であり、いくつかの例は、リチウム−空気セル、リチウム水セル、及び亜鉛−空気セ
ルである。
【0012】
一実施形態では、本発明は、電気化学システム用のセパレータシステムであって、(i
)第1高機械強度層であり、第1高機械強度層を貫通して第1パターンで設けた複数の開
口を有する第1高機械強度層と、(ii)第2高機械強度層であり、第2高機械強度層を
貫通して第2パターンで設けた複数の開口を有し、第2パターンは、第1高機械強度層か
ら第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強
度層の開口との重なりが20%以下であるように第1パターンに対してオフセット配列を
有する第2高機械強度層とを備え、第1高機械強度層及び第2高機械強度層は、第1高機
械強度層及び第2高機械強度層に接触して設けた電解質のイオンを第1高機械強度層及び
第2高機械強度層を通して輸送可能であるように位置決めされる、セパレータシステムを
提供する。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層及び第2高機械強度層は、相互に
直接物理的に接触していない。この態様の実施形態では、第1高機械強度層から第2高機
械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強度層の開口
との重なりは、10%以下である。一実施形態では、例えば、本発明のセパレータシステ
ムは、第1高機械強度層と第2高機械強度層との間に、任意に第1高機械強度層又は第2
高機械強度層又はこれら両方に接触して設けた1つ又は複数の電解質をさらに備え、第1
高機械強度層及び第2高機械強度層は、イオン伝動性であり、電気化学システムの電解質
の輸送を任意に可能にする。
【0013】
一実施形態では、本発明は、電気化学システム用のセパレータシステムであって、(i
)第1高機械強度層であり、第1高機械強度層を貫通して第1パターンで設けた複数の開
口を有する第1高機械強度層と、(ii)第2高機械強度層であり、第2高機械強度層を
貫通して第2パターンで設けた複数の開口を有し、第2パターンは、第1高機械強度層か
ら第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強
度層の開口との重なりが20%以下であるように第1パターンに対してオフセット配列を
有する第2高機械強度層と、(iii)第3高機械強度層であり、第3高機械強度層を貫
通して第1パターンと同じ空間的開口配置を有する第3パターンで設けた複数の開口を有
する第3高機械強度層とを備え、第1高機械強度層、第2高機械強度層、及び第3高機械
強度層は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、及び第3高機械強度層に接触して設け
た電解質のイオンを第1高機械強度層、第2高機械強度層、及び第3高機械強度層を通し
て輸送可能であるように位置決めされるセパレータシステムを提供する。この態様の一実
施形態では、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高
機械強度層の開口と第2高機械強度層の開口との重なりは、10%以下である。この説明
を通して用いられる場合、「同じ空間的開口配置」は、2つ以上の高機械強度層の開口が
高機械強度層間に垂直に延びる軸に沿って配列されるようにしたこれらの位置を指す。一
実施形態では、例えば、「同じ空間的開口配置」は、2つ以上の高機械強度層の開口が高
機械強度層間に垂直に延びる軸に沿って90%以上重なるようにしたこれらの位置を指す
【0014】
一実施形態では、本発明は、電気化学システム用のセパレータシステムであって、(i
)第1高機械強度層であり、第1高機械強度層を貫通して第1パターンで設けた複数の開
口を有する第1高機械強度層と、(ii)第2高機械強度層であり、第2高機械強度層を
貫通して第2パターンで設けた複数の開口を有し、第2パターンは、第1高機械強度層か
ら第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強
度層の開口との重なりが20%以下であるように第1パターンに対してオフセット配列を
有する第2高機械強度層と、(iii)第3高機械強度層であり、第3高機械強度層を貫
通して第1パターンと同じ空間的開口配置を有する第3パターンで設けた複数の開口を有
する第3高機械強度層と、(iv)第4高機械強度層であり、第4高機械強度層を貫通し
て第2パターンと同じ空間的開口配置を有する第4パターンで設けた複数の開口を有する
第4高機械強度層とを備え、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及
び第4高機械強度層に接触して設けた電解質のイオンを第1高機械強度層、第2高機械強
度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層を通して輸送可能であるように位置決め
されるセパレータシステムを提供する。この態様の一実施形態では、第1高機械強度層か
ら第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強
度層の開口との重なりは、10%以下である。
【0015】
一実施形態では、本発明は、電気化学システム用のセパレータシステムであって、(i
)第1高機械強度層であり、第1高機械強度層を貫通して第1パターンで設けた複数の開
口を有する第1高機械強度層と、(ii)第2高機械強度層であり、第2高機械強度層を
貫通して第2パターンで設けた複数の開口を有し、第2パターンは、第1高機械強度層か
ら第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強
度層の開口との重なりが40%以下であるように第1パターンに対してオフセット配列を
有する第2高機械強度層と、(iii)第3高機械強度層であり、第3高機械強度層を貫
通して第3パターンで設けた複数の開口を有し、第3パターンは、第1層又は第2層から
第3層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と、第2高機械強度層の開口
と、第3高機械強度層の開口との重なりが20%以下であるように第1パターン及び第2
パターンに対してオフセット配列を有する第3高機械強度層とを備え、第1高機械強度層
、第2高機械強度層、及び第3高機械強度層は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、
及び第3高機械強度層に接触して設けた電解質のイオンを第1高機械強度層、第2高機械
強度層、及び第3高機械強度層を通して輸送可能であるように位置決めされるセパレータ
システムを提供する。この態様の一実施形態では、第1高機械強度層から第2高機械強度
層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強度層の開口との重
なりは、20%以下であり、第1高機械強度層又は第2高機械強度層から第3高機械強度
層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と、第2高機強度層の開口と、第
3高機械強度層の開口との重なりは、10%以下である。
【0016】
一実施形態では、本発明は、電気化学システム用のセパレータシステムであって、(i
)第1高機械強度層であり、第1高機械強度層を貫通して第1パターンで設けた複数の開
口を有する第1高機械強度層と、(ii)第2高機械強度層であり、第2高機械強度層を
貫通して第2パターンで設けた複数の開口を有し、第2パターンは、第1高機械強度層か
ら第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強
度層の開口との重なりが50%以下であるように第1パターンに対してオフセット配列を
有する第2高機械強度層と、(iii)第3高機械強度層であり、第3高機械強度層を貫
通して第3パターンで設けた複数の開口を有し、第3パターンは、第1高機械強度層又は
第2高機械強度層から第3高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の
開口と、第2高機械強度層の開口と、第3高機械強度層の開口との重なりが30%以下で
あるように第1パターン及び第2パターンに対してオフセット配列を有する第3高機械強
度層と、(iv)第4高機械強度層であり、第4高機械強度層を貫通して第4パターンで
設けた複数の開口を有し、第4パターンは、第1高機械強度層又は第2高機械強度層から
第4高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と、第2高機械強
度層の開口と、第3高機械強度層の開口と、第4高機械強度層の開口との重なりが20%
以下であるように第1パターン、第2パターン、及び第3パターンに対してオフセット配
列を有する第4高機械強度層とを備え、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機
械強度層、及び第4高機械強度層は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械
強度層、及び第4高機械強度層に接触して設けた電解質のイオンを第1高機械強度層、第
2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層を通して輸送可能であるよう
に位置決めされるセパレータシステムを提供する。この態様の一実施形態では、第1高機
械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第
2高機械強度層の開口との重なりは、30%以下であり、第1パターン及び第2パターン
に対するオフセット配列は、第1高機械強度層又は第2高機械強度層から第3高機械強度
層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と、第2高機強度層の開口と、第
3高機械強度層の開口との重なりが、20%以下であるようにし、第1パターン、第2パ
ターン、及び第3パターンに対してオフセット配列は、第1高機械強度層又は第2高機械
強度層から第4高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と、第
2高機強度層の開口と、第3高機械強度層の開口と、第4高機械強度層の開口との重なり
が、10%以下であるようにする。
【0017】
いくつかの実施形態では、例えば、第2高機械強度層を第1高機械強度層と第3高機械
強度層との間に設ける。いくつかの実施形態では、例えば、第1高機械強度層を第2高機
械強度層と第4高機械強度層との間に設けるか、又は第3高機械強度層を第2高機械強度
層と第4高機械強度層との間に設ける。一実施形態では、第1機械強度層及び第2機械強
度層を物理的に接触して設けないか、又は第1機械強度層、第2機械強度層、及び第3機
械強度層を物理的に接触させて設けないか、又は第1機械強度層、第2機械強度層、第3
機械強度層、及び第4機械強度層を物理的に接触して設けない。
【0018】
この態様のいくつかのセパレータは、例えば、電気化学システムにおけるデンドライト
形成を管理する多層構造を提供し、複数のセパレータ層(例えば、第1高機械強度層、第
2高機械強度層、第3高機械強度層、第4高機械強度層等)が、正電極と負電極との間の
デンドライト成長が動力学的及び/又は熱力学的に不利であるようなイオン伝導率を正電
極と負電極との間で確立するマイクロチャネル又はナノチャネル等の相補的な開口パター
ンを有する。この態様のいくつかのセパレータは、例えば、正電極と負電極との間のデン
ドライト成長をもたらす直接的な直線経路を防止する多層の幾何学的形状及び物理特性を
有する障壁を提供し、これは、正電極と負電極との間のイオン輸送用の経路(単数又は複
数)のみがデンドライト成長にとって動力学的及び/又は熱力学的に不利な曲線軌道を必
要とする、多層構造を提供することによって得られる。いかなる理論に縛られずとも、デ
ンドライトに対する高強度層からの力によりデンドライト成長は減速又は停止する。電子
化学セルの各実施形態において、デンドライト成長が減速又は停止することによりセルの
性能は非常に向上する。一実施形態では、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高
機械強度層、及び/又は第4高機械強度層は、平面状であり、例えば相互に対して実質的
に平行な向きで設けられ、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及
び/又は第4高機械強度層の平面は、平行面に設けられる。一実施形態では、第1高機械
強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び/又は第4高機械強度層は、中空円
筒構造であり、例えば実質的に同心状の向きで設けられ、円筒形の第1層及び第2層の曲
面が、同心状の向きで設けられる。本明細書で用いられる場合、同心状の向きから垂直に
延びる軸は、中心軸に対して垂直であり中心軸から半径方向に延びる。
【0019】
本発明のいくつかのセパレータシステムの多層の幾何学的形状は、第1層から第2層ま
で垂直に延びる軸に沿った第1パターンの開口と第2パターンの開口との選択的な重なり
を提供するオフセット配列を提供する。本発明のこの態様は、有用なイオン輸送特性を利
用すると同時に、電気化学セルの正電極と負電極との間のデンドライト形成を防止するの
に有用である。いくつかの実施形態では、用語「オフセット」は、セパレータの1つの高
機械強度層の開口が、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸等の1
つの層から別の層まで延びる軸に沿った別の高機械強度層の開口の位置に対してオフセッ
トしている構成を指す。いくつかの実施形態では、用語「オフセット」は、第1高機械強
度層の開口が第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿って第2高
機械強度層の開口に完全には重畳可能でないように、第1高機械強度層の第1パターンの
開口が第2高機械強度層の第2パターンの開口の位置に対してオフセットするような、高
機械強度層の開口パターンの相対的構成を指す。一実施形態では、例えば、第1高機械強
度層及び第2高機械強度層は、ナノ多孔質及び/又は微多孔質であり、第1高機械強度層
の開口が第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿って第2高機械
強度層の開口に全く重畳可能でないように配列される。一実施形態では、例えば、第1高
機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パターン、第2パター
ン、第3パターン、及び第4パターンの2つ以上の開口の重なりは、10%以下であり、
場合によってはいくつかの用途で1%以下である。一実施形態では、例えば、第1高機械
強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パターン、第2パターン、
第3パターン、及び第4パターンの2つ以上の開口の重なりは、0%〜5%の範囲から選
択され、場合によってはいくつかの用途で0%〜1%の範囲から選択される。一実施形態
では、例えば、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1
パターン、第2パターン、第3パターン、及び第4パターンの2つ以上の開口の重なりは
、0に等しく、例えば正確に0に等しい。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層か
ら第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パターン、第2パターン、及び第3
パターンの開口の重なりは、10%以下である。一実施形態では、例えば、第1高機械強
度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パターン、第2パターン、及
び第3パターンの開口の重なりは、0%〜5%の範囲から選択される。一実施形態では、
例えば、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パター
ン、第2パターン、第3パターン、及び第4パターンの開口の重なりは、10%以下であ
る。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる
軸に沿った第1パターン、第2パターン、第3パターン、及び第4パターンの開口の重な
りは、0%〜5%の範囲から選択される。
【0020】
一実施形態では、例えば、第1パターン、第2パターン、第3パターン、及び第4パタ
ーンの2つ以上は、実質的に相補的なパターンを含む。一実施形態では、例えば、実質的
に相補的なパターンは、相互の実質的なネガ画像に対応する。本明細書で用いられる場合
、相補的なパターンは、高機械強度層の1つのパターンの開口と1つ又は複数の他のパタ
ーンの1つ又は複数の他の高機械強度層の開口との相対位置が、電気化学セルの正電極と
負電極との間のデンドライト成長を防止するよう選択される構成を指す。一実施形態では
、例えば、第1パターン及び第2パターンの実質的に相補的なパターンは、例えば、相互
のネガ画像であり、第1パターンの開口の位置が開口を有しない第2層の領域に対応する
。本発明の相補的なパターンの例として、第1層は、チェス盤の黒マスに相当する開口パ
ターンを特徴とし、第2層は、チェス盤の赤マスに相当する開口パターンを特徴とし得る
。本発明の相補的なパターンの例として、第1高機械強度層は、第1ピッチ及び開口間隔
を特徴とする第1周期開口パターンを有し、第2高機械強度層は、同じピッチ及び開口間
隔を特徴とするが第1パターンの開口の位置からオフセット又は平行移動した第2周期開
口パターンを有することで、第1高機械強度層の開口が第1高機械強度層及び第2高機械
強度層から垂直に延びる軸に沿って第2高機械強度層の開口に重畳可能でないようにする
【0021】
一実施形態では、3つ以上の高機械強度層を有するセパレータシステムは、同一のパタ
ーン(すなわち、非相補的パターン)を有するいくつかの高機械強度層を含み得るが、こ
れは、相補的なパターンを有する少なくとも1つの層が同一のパターンを有する高機械強
度層間に位置決めされる場合に限る。例えば、セパレータシステムは、パターンAを有す
る1つ又は複数の高機械強度層及びパターンBを有する1つ又は複数の高機械強度層を特
徴とすることができ、A及びBは、ABAの反復配列に従って配置された相補的なパター
ンであり、4つ以上の高機械強度層を含む多層系では、より長い配列、例えばABABA
Bが可能である。
【0022】
別の実施形態では、3つ以上の高機械強度層を有するセパレータシステムは、相補的な
パターンを有する高機械強度層のみを含み得る。例えば、セパレータシステムは、パター
ンAを有する1つ又は複数の高機械強度層、パターンBを有する1つ又は複数の高機械強
度層、及びパターンCを有する1つ又は複数の高機械強度層を特徴とすることができ、A
、B、及びCは、ABCの反復配列に従って配置されて他の2つのパターンとそれぞれが
相補的なパターンであり、4つ以上の高機械強度層を含む多層系ではより長い配列(例え
ば、ABCABC)及び変化をつけた配列(例えば、ABCBA、ABCA)が可能であ
る。
【0023】
別の態様では、本発明は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層の少なくとも1つの片側に設けた1つ又は複数の低イオン抵抗層を
さらに備えたセパレータシステムを提供する。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の
低イオン抵抗層のそれぞれが、例えば電気化学セルの電解質用のリザーバを提供する電解
質含有リザーバである。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層はそれ
ぞれ独立して、20Ωcm以下、好ましくはいくつかの実施形態では2Ωcm以下、
好ましくはいくつかの実施形態では1Ωcm以下のイオン抵抗を有する。一実施形態で
は、例えば、上記1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つは、第1高機械強度層
、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層の少なくとも2つの間に
設けた電解質用の空間を提供する圧力緩衝器である。
【0024】
一実施形態では、例えば、高機械強度層の少なくとも1つ及び1つ又は複数の低イオン
抵抗層の少なくとも1つは、高機械強度層及び1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくと
も1つに堆積させた堆積リザーバである。一実施形態では、例えば、高機械強度層及び1
つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つは、電気化学セルの電極に堆積させた堆積
層、例えば、電気化学セルの電解質に向いた正電極又は負電極の表面に直接堆積させた層
である。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つ、場
合によっては全部が、圧力、熱、又は化学的接着により、第1高機械強度層、第2高機械
強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれかの少なくとも片側に接着さ
れる。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つ、場合
によっては全部が、ポリマー樹脂により、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高
機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれかの少なくとも片側に接着される。一実施形
態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つ、場合によっては全部
が、微多孔質材料、織材、又は不織材を含む。
【0025】
一実施形態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つ、場合によ
っては全部が、セラミック若しくはガラス電解質、ポリマー電解質、又は別の固体電解質
を含む。一実施形態では、例えば、低イオン抵抗層は、ナフィオン又はZrO又はNA
SICON又はLISICON若しくはLIPON等のガラス電解質、又はPEO等のポ
リマー電解質を含む。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なく
とも1つ、場合によっては全部が、有孔セラミックセパレータ、多孔質セラミックセパレ
ータ、有孔ガラスセパレータ、多孔質ガラスセパレータ、又は有孔金属、又は有孔合金セ
パレータ、又は有孔ゴム、又はゴムメッシュ、又は金属メッシュ、又は合金メッシュを含
む。
【0026】
一実施形態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つは、リング
又は中央開口を有するフレーム、例えば、電気化学セルに機械的支持構造、電解質リザー
バ構造、及び/又はスペーサ構造を設けるリング又はフレーム構造を含む。一実施形態で
は、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、
第3高機械強度層、及び第4高機械強度層の少なくとも1つと接触した1つ又は複数のフ
レーム層を含む。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層を第1フレーム層と第2フ
レーム層との間に設け、第2高機械強度層を第3フレーム層と第4フレーム層との間に設
けるか、又は第1高機械強度層を第1フレーム層と第2フレーム層との間に設け、第2高
機械強度層を第2フレーム層と第3フレーム層との間に設ける。一実施形態では、例えば
、1つ又は複数の低イオン抵抗層は、電気化学セルの正電極及び/又は負電極等の電気化
学システムの電極の少なくとも1つと物理的に接触した1つ又は複数のフレーム層を含む
。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層は、第1層と第2層との間に
設けたスペーサを備え、スペーサは、第1層と第2層とを10nm〜1000μmの範囲
から選択される、場合によってはいくつかの用途で1μm〜1000μmの範囲から選択
される選択距離だけ分離する。一実施形態では、例えば、この態様のスペーサは、第1高
機械強度層と第2高機械強度層との間の選択距離を定めるリング、多孔質壁コンポーネン
トを有するフレーム構造、材料層、又は別個の材料要素配置を含む。
【0027】
一実施形態では、例えば、低イオン抵抗層のそれぞれ、場合によっては全部が独立して
、ポリマー、セラミック、木材、ガラス、鉱物、金属、合金、織材、不織材、セルロース
、木繊維、海綿体、又はそれらの組み合わせである。一実施形態では、例えば、1つ又は
複数の低イオン抵抗層はそれぞれ独立して、50%以上の、好ましくはいくつかの用途で
70%を超える、好ましくはいくつかの用途で90%を超える多孔度を有する。一実施形
態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層はそれぞれ独立して、50%〜95%の
範囲から選択される多孔度、好ましくはいくつかの用途で70%〜95%の範囲から選択
される多孔度を有する。
【0028】
一実施形態では、例えば、高機械強度層の1つの少なくとも片側は、濡れ性、例えば電
気化学セルの電解質に対する濡れ性を有する。一実施形態では、例えば、セパレータ構成
は、高機械強度層の濡れ性のある面が低イオン抵抗層を間に設けずに別の高機械強度層に
隣接して配置されることを特徴とする。一実施形態では、例えば、セパレータ構成は、高
機械強度層の濡れ性のある面が低イオン抵抗層を間に設けずに電極に隣接して配置される
ことを特徴とする。一実施形態では、例えば、セパレータは、別の低イオン抵抗層又は高
機械強度層に塗布した、又は電気化学システムの正電極又は負電極等の化学セルの電極に
塗布した、1つ又は複数の低イオン抵抗層又は高機械強度層を含む。
【0029】
別の態様では、本発明は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
第4高機械強度層、又は1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つの片側に設けた
、1つ又は複数の化学障壁層をさらに備えるセパレータを提供する。1つ又は複数の化学
障壁を有するセパレータは、正電極及び負電極を異なる電解質に接触して設けた電気化学
システムで有用であり、したがって化学障壁(単数又は複数)は、電荷担体の輸送を可能
にする電解質の輸送は防止する。かかる構成では、化学障壁は、電極を劣化から保護する
こと及び/又は電気化学セルの正電極及び負電極で異なる電解質の使用を可能にすること
に有用である。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の化学障壁層は独立して、1つ又
は複数の化学障壁層を通して電気化学セルの正電極又は負電極への望ましくない化学成分
の輸送を防止する。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の化学障壁層は、1つ又は複
数の化学障壁層を通して電気化学セルの正電極又は負電極への電解質溶媒の輸送を防止す
る。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の化学障壁層は、電気化学セルの電極の少な
くとも片側に配置した固体電解質又は固体ポリマー電解質を含む。一実施形態では、例え
ば、1つ又は複数の化学障壁層は、LISICON若しくはNASICONからの固体電
解質、又はポリエチレンオキシド(PEO)を含むポリマー電解質を含む。
【0030】
一実施形態では、例えば、セパレータシステムは、負電極及び正電極を有する電気化学
セルのコンポーネントであり、1つ又は複数の化学障壁層は、イオン伝導性保護膜を含み
、保護膜は、正電極と接触した第1電解質と負電極と接触した第2電解質との間の障壁を
提供し、イオン伝導性保護膜は、負電極と第1電解質との間の接触を防止する。一実施形
態では、例えば、負電極はリチウム金属電極であり、イオン伝導性保護膜は、リチウムイ
オン電荷担体を通し、リチウム金属電極と第1電解質との間の接触を防止する。
【0031】
一実施形態では、例えば、イオン伝導性保護膜は、ガラス質又は非晶質活性金属イオン
伝導体、セラミック活性金属イオン伝導体、及びガラスセラミック活性金属イオン伝導体
からなる群から選択される材料を含む。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の化学障
壁層は、保護膜の表面と正電極又は負電極との間に配置した固体ポリマー電解質をさらに
含む。一実施形態では、例えば、高機械強度層、1つ又は複数の低イオン抵抗層、及び1
つ又は複数の化学障壁層の少なくとも1つは、高機械強度層、1つ又は複数の低イオン抵
抗層、及び1つ又は複数の化学障壁層の少なくとも1つに堆積させた堆積層である。一実
施形態では、例えば、高機械強度層、1つ又は複数の低イオン抵抗層、及び1つ又は複数
の化学障壁層の少なくとも1つは、電気化学セルの電極に堆積させた堆積層である。一実
施形態では、例えば、セパレータは、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械
強度層、及び第4高機械強度層、1つ又は複数の化学障壁層の少なくとも2つの組み合わ
せを、低イオン抵抗層を一切伴わずに備える。
【0032】
一態様では、セパレータは、第3高機械強度層であり、第3高機械強度層を貫通して第
3パターンで設けた複数の開口を有する第3高機械強度層をさらに備え、第3高機械強度
層は、第1高機械強度層と第2高機械強度層との間に位置決めされ、第3パターンは、第
1高機械強度層又は第2高機械強度層から第3高機機械強度層まで垂直に延びる軸に沿っ
た第1パターン又は第2パターンの開口と第3パターンの開口との重なりが20%以下で
あるように、第1パターン又は第2パターンに対してオフセット配列を有する。一態様で
は、セパレータは、第4高機械強度層であり、第4高機械強度層を貫通して第4パターン
で設けた複数の開口を有する第4高機械強度層をさらに備え、第4高機械強度層は、第1
高機械強度層と第2高機械強度層との間に位置決めされ、第4パターンは、第1高機械強
度層又は第2高機械強度層から上記第4高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パ
ターン、第2パターン、又は第3パターンの開口と第4パターンの開口との重なりが20
%以下であるように、第1パターン、第2パターン、又は第3パターンに対してオフセッ
ト配列を有する。
【0033】
本発明の多層セパレータシステムの層は、特定の用途に有用な機械特性を提供するよう
構成され、多種多様な機構及び装置構成を介して取り付けられ得る。一実施形態では、例
えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、第4高機械強度層、低
イオン抵抗層、フレーム層、スペーサ、化学障壁層、又はそれらの組み合わせの少なくと
も一部、場合によっては全部が、圧力、加熱、接着剤塗布、化学接着材、プラズマ処理、
又はそれらの任意の組み合わせにより相互に少なくとも部分的に取り付けられる。一実施
形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、第4高機
械強度層、低イオン抵抗層、フレーム層、スペーサ、化学障壁層、又はそれらの組み合わ
せの少なくとも一部、場合によっては全部が、接着剤、エポキシ、セメント、PTFE、
固体電解質、ゲル電解質、ポリマー電解質、シリコーン接着剤、アクリル接着剤、シアノ
アクリレート、スタイキャスト1266、デルタボンド151、PVDF、PVA、LI
PON、LISICON、PE−PP−PVDF、テトラメチルアンモニウムヒドロキシ
ド五水和物(CHNOH・5HO、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、エピ
クロヒドリン及びエチレンオキシドP(ECH−co−EO)及びポリ(ビニルアルコー
ル)のコポリマー、ガラス繊維ポリマー電解質、硫化亜鉛、二酸化シリコン、カプトンテ
ープ、ポリエチレンオキシド又はポリプロピレノキシド、又はコポリマー、PVDF−c
o−HFP Bi、フッ素非含有バインダ又は芳香族バインダ、ポリアクリル酸リ
チウム、又はそれらの組み合わせにより相互に少なくとも部分的に取り付けられる。
【0034】
一実施形態では、本発明は、1つ又は複数の固体電解質層をさらに備えたセパレータシ
ステムを提供し、上記1つ又は複数の固体電解質層は、例えば水分子、CO、O、又
は空気が上記セパレータシステムを通して輸送されるのを防止し、LISICON又はN
ASICONを含む。
【0035】
一態様では、本発明のセパレータは、電気化学セルの電解質等の1つ又は複数の電解質
をさらに備え、これは、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、第4
高機械強度層、低イオン抵抗層、フレーム層、スペーサ、化学障壁層、又はそれらの任意
の組み合わせの少なくとも一部と任意に物理的に接触する。一実施形態では、例えば、セ
パレータシステムは、正電極及び負電極を有する電気化学セルのコンポーネントであり、
セパレータは、正電極と負電極との間に設けた電解質をさらに備え、電解質は、第1高機
械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれかと接
触する。一実施形態では、例えば、セパレータシステムは、正電極及び負電極を有する電
気化学セルのコンポーネントであり、セパレータは、正電極と負電極との間に設けた第1
電解質及び第2電解質をさらに備え、第1電解質は、第2電解質とは異なる組成を有し、
第1電解質は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機
械強度層のいずれかと接触し、第2電解質は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第
3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれかと接触し、その場合に、不透過性のイ
オン伝導層が間にあることにより、又は親水性若しくは疎水性の挙動又は密度等の異なる
化学的性質及び物理的性質により、第1電解質と第2電解質とは相互に混ざり合わない。
【0036】
第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層等の
セパレータシステムのコンポーネントの物理特性、化学特性、及び電子特性の選択は、高
い電気抵抗、高いイオン伝導率、及び有用な機械的特質の組み合わせ等、電気化学セルに
おける用途に有用な正味のセパレータ特性を提供するよう選択される。
【0037】
一実施形態では、例えば、第1開口パターンは、30%以上の、好ましくはいくつかの
用途で40%を超える第1高機械強度層の第1多孔度を提供し、且つ/又は第2開口パタ
ーンは、30%以上の、好ましくはいくつかの用途で40%を超える第2高機械強度層の
第2多孔度を提供する。一実施形態では、例えば、第1開口パターンは、30%以上の、
好ましくはいくつかの用途で40%を超える第1高機械強度層の第1多孔度を提供し、又
は第2開口パターンは、30%以上の、好ましくはいくつかの用途で40%を超える第2
高機械強度層の第2多孔度を提供し、又は第3開口パターンは、30%以上の、好ましく
はいくつかの用途で40%を超える第3高機械強度層の第3多孔度を提供し、又は第4開
口パターンは、30%以上の、好ましくはいくつかの用途で40%を超える第4高機械強
度層の第4多孔度を提供する。一実施形態では、例えば、第1開口パターンは、30%〜
70%、好ましくはいくつかの用途で40%〜70%の範囲から選択される第1高機械強
度層の多孔度を提供し、第2開口パターンは、30%〜70%、好ましくはいくつかの用
途で40%〜70%の範囲から選択される第2高機械強度層の多孔度を提供する。一実施
形態では、例えば、第1開口パターンは、30%〜70%、好ましくはいくつかの用途で
40%〜70%の範囲から選択される第1高機械強度層の多孔度を提供し、又は第2開口
パターンは、30%〜70%、好ましくはいくつかの用途で40%〜70%の範囲から選
択される第2高機械強度層の多孔度を提供し、又は第3開口パターンは、30%〜70%
、好ましくはいくつかの用途で40%〜70%の範囲から選択される第3高機械強度層の
多孔度を提供し、又は第4開口パターンは、30%〜70%、好ましくはいくつかの用途
で40%〜70%の範囲から選択される第4高機械強度層の多孔度を提供する。
【0038】
高機械強度層の開口の一定範囲の幾何学的形状、形状、向き、及びパターンが、本発明
のセパレータで有用である。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強
度層、第3高機械強度層、又は第4高機械強度層のいずれかの開口は独立して、円形、平
行四辺形、矩形、正方形、三角形、楕円形、四角形、五角形、六角形、及びそれらの任意
の組み合わせからなる群から選択される断面形状を有する。一実施形態では、例えば、高
機械強度層の開口は、20μm以上、場合によっていくつかの実施形態では50μm以上
、場合によってはいくつかの実施形態で200μm以上、場合によってはいくつかの実施
形態で500μm以上の少なくとも1つの横寸法(例えば、長さ、幅、直径等)を有する
。一実施形態では、例えば、高機械強度層の開口は、1μm〜1mm、場合によってはい
くつかの用途で200μm〜1mmの少なくとも1つの横寸法を有する。一実施形態では
、例えば、高機械強度層の開口は、200μm以下、場合によってはいくつかの用途で1
0μm以下、場合によってはいくつかの用途で1μm以下の少なくとも1つの横寸法を有
する。一実施形態では、例えば、第1パターン、第2パターン、第3パターン、又は第4
パターンのいずれかは独立して、対称開口パターン又は非対称開口パターンである。一実
施形態では、例えば、第1パターン、第2パターン、第3パターン、又は第4パターンの
いずれかは独立して、無作為ではない開口パターンを含む。
【0039】
一実施形態では、例えば、第1開口パターン、第2開口パターン、第3開口パターン、
又は第4開口パターンのいずれかは独立して、レーザ切断、リソグラフィ、エッチング、
鋳造、穿孔、成形、打ち抜き、パターニング、塗布、及びそれらの任意の組み合わせから
なる群から選択されるプロセスにより形成される。
【0040】
一実施形態では、第1高機械強度層、及び/又は第2高機械強度層、及び/又は第3高
機械強度層、及び/又は第4高機械強度層は、非導電性であり、例えば、これらの層の1
つ又は複数は、電気化学セル等の電気化学システムの正電極と負電極との間の直接電気接
触を防止するために電子絶縁性材料を含む。電子絶縁性の高機械強度層は、カプトン、ポ
リエステル、Al、ポリエチレン、ポリプロピレン、繊維状セルロース、及び/又
はPE及びPPコーティング等の電子絶縁体で塗布した金属層等の、一定範囲の電子絶縁
性材料を含み得る。一実施形態では、第1高機械強度層、及び/又は第2高機械強度層、
及び/又は第3高機械強度層、及び/又は第4高機械強度層の少なくとも1つは、例えば
導電性であり、これらの層の1つ又は複数は、電子絶縁性材料を含み、これらの層の1つ
又は複数は、導電性材料を含む。第1高機械強度層、及び/又は第2高機械強度層、及び
/又は第3高機械強度層、及び/又は第4高機械強度層は、形状記憶ポリマー等の形状記
憶特性を特徴とする材料、又は超弾性の特性を特徴とする材料を含む。
【0041】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層及び第2高機械強度層は、相互に完全に物
理的に接触せず、例えば、電解質にイオン輸送をさせるために第1高機械強度層と第2高
機械強度層との間に少なくともある程度の空間がある構成で設けられ、例えば、第1高機
械強度層及び第2高機械強度層がいくつかの点で物理的に取り付けられるがいくつかの他
の点では間に空間を有するように相互に接触した粗面を有することにより設けられる。一
実施形態では、第1高機械強度層及び第2高機械強度層は、物理的に接触しないか、又は
物理的に完全に接触しない。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層及び第2高機械
強度層の少なくとも一部は、20nm〜2mmの範囲から選択される距離だけ分離される
。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層又は第2高機械強度層の少なくとも一部は
、20nm〜2mmの範囲から選択される距離だけ第3高機械強度層又は第4高機械強度
層から分離される。
【0042】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
第4高機械強度層、1つ又は複数の低イオン抵抗層、及び1つ又は複数の化学障壁層のい
ずれか、場合によっては全部が独立して、10nm〜1mmの範囲で選択される、場合に
よってはいくつかの用途で1μm〜500μmの範囲で選択される、場合によってはいく
つかの用途で10nm〜50μmの範囲で選択される平均厚を有する。一実施形態では、
例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、第4高機械強度層、
1つ又は複数の低イオン抵抗層、及び1つ又は複数の化学障壁層のいずれか、場合によっ
ては全部が独立して、5μm〜1mmの範囲で選択される、場合によってはいくつかの用
途で25μm〜5mmの範囲で選択される、場合によってはいくつかの用途で100μm
〜2mmの範囲で選択される、場合によってはいくつかの用途で500μm〜1mmの範
囲で選択される平均厚を有する。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機
械強度層、第3高機械強度層、第4高機械強度層、1つ又は複数の低イオン抵抗層、及び
1つ又は複数の化学障壁層のいずれか、場合によっては全部が独立して、10nm〜2μ
mの範囲で選択される、又は2μm〜50μmの範囲で選択される平均厚を有する。
【0043】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、500MPa〜50
0GPaの範囲で選択されるヤング率を有する。一実施形態では、例えば、第1高機械強
度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれか、場合に
よっては全部が独立して、5MPa〜1000GPaの範囲で選択される降伏強度を有す
る。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層
、及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、0.005N〜1
0Nの範囲で選択される引裂強度、好ましくはいくつかの用途で0.01Nを超える引裂
強度を有する。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高
機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、10N
〜500Nの範囲で選択される初期引裂強度、好ましくはいくつかの用途で50Nを超え
る初期引裂強度を有する。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度
層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立し
て、50MPa〜2GPaの範囲で選択される引張強度を有する。一実施形態では、例え
ば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層の
いずれか、場合によっては全部が独立して、10Ncm〜1000Ncmの範囲で選択さ
れる衝撃強度を有する。
【0044】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、平行構成で設けた平
面層を含む。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機
械強度層、及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、同心状構
成で設けた中空円筒層を含む。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械
強度層、第3高機械強度層、第4高機械強度層、1つ又は複数の低イオン抵抗層、及び1
つ又は複数の化学障壁層のいずれか、場合によっては全部が、耐薬品性材料を含む。一実
施形態では、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、第4高機械強度
層、1つ又は複数の低イオン抵抗層、及び1つ又は複数の化学障壁層は独立して、それに
接触して設けた電解質と化学的に適合性があり、且つ/又は独立して、それに接触して設
けた電極と化学的に適合性がある。
【0045】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、100℃以上の融点
を有する材料を含む。一実施形態では、例えば、高機械強度層の少なくとも2つは、少な
くとも30℃の差を有する異なる溶融温度を有し、場合によっては、高機械強度層の溶融
温度の差は、層の1つを溶融させることにより電気化学セルの2つの電極間のイオン経路
が閉じる遮断機構を提供するか、又は代替的に、高機械強度層の溶融温度の差は、層の1
つを溶融させることにより電気化学セルの2つの電極間のイオン経路が閉じる遮断機構を
提供しない。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機
械強度層、及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、50pp
m/℃以下の熱膨張率を有する材料を含む。
【0046】
本発明のセパレータシステムの第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度
層、及び第4高機械強度層は、電気化学セルのタイプ等の特定の用途向けに選択された一
定範囲の材料を含み得る。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度
層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層は独立して、耐薬品性材料を含む。一実施
形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4
高機械強度層は独立して、熱的に安定な材料を含む。一実施形態では、例えば、第1高機
械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれか、場
合によっては全部が独立して、ポリマー、金属、合金、セラミック、木材、ガラス、半導
体、織材、及び不織材からなる群から選択される1つ又は複数の材料を含む。一実施形態
では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機
械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、50以上の誘電率を有する材料を
含む。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度
層、及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、導電材料を含む
。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、ゲル電解質、固体電
解質、及びポリマー電解質からなる群から選択される1つ又は複数の材料を含む。一実施
形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4
高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、ポリアクリル酸(PAA)、
架橋ポリエチレン(PEX、XLPE)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタ
レート(PET、PETE)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリ塩化ビニル(PV
C)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)
、ポリブチレン(PB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)
、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリテトラフルオロエチレン(PT
FE)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリエステル(PE)、アクリ
ロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)
、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスルホン(PES)、スチレン−アクリロニトリ
ル(SAN)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、スチレン無水マレイン酸(SMA)、P
VDF、PEO、LIPON、LISICON、ナフィオン、ZrO、NASICON
、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド五水和物(CHNOH・5HO、ポリ
(エチレンオキシド)(PEO)、エピクロヒドリン及びエチレンオキシドP(ECH−
co−EO)及びポリ(ビニルアルコール)のコポリマー、PEO−PVA−ガラス繊維
ポリマー電解質、硫化亜鉛、二酸化ケイ素、PVA及びPSA、PVA/V6/PSS、
PVAN6(PSS+PAA)、V6/PVA(PSS+PAA)、PVMPSS+PA
A(35%))/(PSS+PAA(35%))、(PSS+PAA(35%))/PV
A/(PSS+PAA(35%))、又は(PSS+PAA(35%))/(PVA(1
0%)+PSS(20%)対PVA))/(PSS+PAA(35%))ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、アクリルポリエチレン
グリコール、アクリルポリプロピレングリコール、アルキルポリブチレングリコール、そ
のコポリマー、PEO材料、又はPVA材料、及びそれらの組み合わせから選択される1
つ又は複数の材料を含む。
【0047】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層のいずれかの表面は、電解質に対する濡れ性を有する。一実施形態
では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機
械強度層のいずれかの表面に、電解質に対して濡れ性のあるコーティングを塗布する。一
実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び
第4高機械強度層のいずれかの表面の少なくとも一部に、任意に表面の10%未満を覆う
接着剤コーティングを塗布する。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機
械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれかの表面の少なくとも一部
に、5μm未満の厚さを有する接着剤コーティングを塗布する。一実施形態では、例えば
、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層のい
ずれかの少なくとも1つの表面は、1nm〜100nmの範囲から選択されるrms(二
乗平均)を特徴とする表面粗さ等の表面粗さを有し、第1高機械強度層、第2高機械強度
層、第3高機械強度層、又は第4高機械強度層の少なくとも一部の間に電解質用の空間を
提供する。一実施形態では、例えば、セパレータシステムは、正電極及び負電極を有する
電気化学セルにおけるコンポーネントであり、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第
3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれかの少なくとも1つの表面は、1nm〜
1000nmの範囲から選択されるrmsを特徴とする表面粗さ等の表面粗さを有し、第
1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、又は第4高機械強度層と電気化
学セルの正電極又は負電極との間に電解質用の空間を提供する。一実施形態では、例えば
、表面粗さは、高機械強度層の2つの少なくとも一部間に、又は高機械強度層の少なくと
も一部と正電極又は負電極との間に、5nm〜5マイクロメートルの範囲から選択される
距離を提供する。
【0048】
一態様では、本発明は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、第
4高機械強度層、低イオン抵抗層、フレーム層、スペーサ、化学障壁層の少なくともいく
つか、又はそれらの任意の組み合わせが、高い表面エネルギー、好ましくはいくつかの用
途で10mJ/m以上の表面エネルギーを有するセパレータシステムを提供する。一実
施形態では、例えば、これらのコンポーネントのいずれかの表面エネルギーは、電解質に
対する層の濡れ性を向上させる。一実施形態では、例えば、これらのコンポーネントのい
ずれかの表面エネルギーは、相互又は電気化学セルの電極に対する層の取り付けに役立つ
【0049】
一態様では、セパレータは、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層
、及び第4高機械強度層のいずれかに設けた1つ又は複数のコーティングをさらに備える
。一実施形態では、例えば、1つ又は複数のコーティングは独立して、1つ又は複数の非
導電性コーティングを含む。一実施形態では、例えば、1つ又は複数のコーティングは独
立して、1つ又は複数の疎水性コーティング及び/又は親水性コーティングを含む。一実
施形態では、例えば、1つ又は複数のコーティングは独立して、ポリエチレングリコール
を含む。一実施形態では、例えば、1つ又は複数のコーティングは、電気化学セルの正電
極から負電極への物質輸送を防止する。一実施形態では、例えば、1つ又は複数のコーテ
ィングは独立して、10nm〜2μmの範囲から選択される厚さを有する。一実施形態で
は、例えば、セパレータは、硫黄系カソードを有する電気化学セル用であり、1つ又は複
数のコーティングは、疎水性のポリスルフィドを弾いて電気化学セルの性能及びサイクル
寿命を向上させる。一実施形態では、疎水性又は親水性コーティングを、硫黄系カソード
Li電池に設ける。最新の硫黄系カソードLi電池の問題は、電気化学反応が電解質にお
いて分解し、したがって電解質を通して硫黄電極からLi電極への材料(媒介ポリスルフ
ィド)の通過に起因した著しい容量損失があり得ることである。この問題を防止するため
に、特定の実施形態のセパレータには、疎水性のポリスルフィドを弾くことで材料通過及
び容量損失を妨げるポリエチレングリコール材料(親水性)を塗布する。本発明の実施形
態におけるコーティングの使用は、いわば、例えばリチウム−空気及びリチウム水電気化
学セルにおけるセパレータの疎水性コーティングにより、Liアノードを水分から保護す
るのにも有用である。
【0050】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層のいずれかは独立して、Al、Ni、Cu、及びステンレス鋼から
なる群から任意に選択される金属層である。一実施形態では、例えば、コーティングは、
PTFE、PE、PP、PVC、又はポリイミドを任意に含む非導電性コーティングであ
る。
【0051】
本発明は、一定範囲の電気化学システムで有用なセパレータシステムを含む。一実施形
態では、例えば、本発明は、一次電気化学セル又は二次電気化学セル用のセパレータシス
テムを提供する。一実施形態では、例えば、本発明は、リチウム電池、アルカリ電池、亜
鉛電池、又は鉛蓄電池用のセパレータシステムを提供する。一実施形態では、例えば、本
発明は、リチウム金属−空気電池、リチウムイオン電池、リチウム空気電池、Fe−空気
電池、Al−空気電池、又は亜鉛−空気電池用のセパレータシステムを提供する。一実施
形態では、例えば、本発明は、燃料電池、フロー電池システム、半固体電池、3D電池、
ナノ電池、マイクロ電池、又は電気化学キャパシタ用のセパレータシステムを提供する。
【0052】
別の態様では、本発明は、(i)負電極と、(ii)正電極と、(iii)正電極と負
電極との間に設けた第1電解質と、(iv)電解質と接触して負電極と正電極との間に設
けた本発明のセパレータシステムとを備えた電気化学セルであって、セパレータシステム
は、電解質のイオンを正電極と負電極との間で輸送可能であるよう位置決めされる電気化
学セルを提供する。一態様では、セパレータシステムは、正電極と負電極との間の電気接
触を防止する。当業者には理解されるように、本明細書に記載のセパレータシステムのい
ずれを電気化学セル等の本発明の電気化学システムに用いてもよい。
【0053】
一実施形態では、例えば、セパレータシステムは、正電極及び負電極と物理的に接触し
て設けられる。一実施形態では、例えば、セパレータシステムは、正電極と負電極との間
に1×10−3S/cm以上の、場合によってはいくつかの用途で好ましくは1×10
S/cmを超えるイオン伝導率を提供する。一実施形態では、例えば、セパレータシス
テムは、正電極から負電極まで0.5Ωcm〜25Ωcmの範囲で選択される、好ま
しくはいくつかの用途で5Ωcm未満の正味イオン抵抗を提供する。
【0054】
一実施形態では、電気化学セルは、正電極と負電極との間に設けた化学障壁層をさらに
備え、電気化学セルは、正電極と負電極との間に設けた第2電解質をさらに備え、化学障
壁層は、第1電解質と第2電解質との混合を防止する。
【0055】
一実施形態では、例えば、高機械強度層のオフセット配列は、正電極と負電極との間に
直接的な直線経路を提供しない。一実施形態では、例えば、オフセット配列は、製造欠陥
、外的物体、又は、正電極又は負電極上のデンドライト形成による正電極と負電極との間
の電気接触を介した短絡を防止する。この態様の実施形態は、例えば、デンドライト形成
から生じる正電極から負電極への電気的短絡又は熱暴走問題を最小化又は防止するのに有
益である。この態様の実施形態は、例えば、サイクル充電強化及び/又は高い放電率性能
が可能な電気化学セルを提供するのに有用である。
【0056】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
第4高機械強度層、低イオン抵抗層、フレーム層、スペーサ、化学障壁層の少なくとも1
つ、又はそれらの任意の組み合わせは、圧力、加熱、接着剤塗布、化学接着材、プラズマ
処理により、又は1つの層若しくは電極への別の層の堆積又は塗布、若しくはそれらの任
意の組み合わせにより、正電極又は負電極に少なくとも部分的に取り付けられる。一実施
形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、第4高機
械強度層、低イオン抵抗層、フレーム層、スペーサ、化学障壁層の少なくとも1つ、又は
それらの任意の組み合わせは、接着剤、エポキシ、セメント、テフロンコーティング、固
体電解質、ゲル電解質、又はポリマー電解質により、正電極又は負電極に少なくとも部分
的に取り付けられる。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、
第3高機械強度層、第4高機械強度層、低イオン抵抗層、フレーム層、スペーサ、化学障
壁層の少なくとも1つ、又はそれらの任意の組み合わせは、正電極又は負電極の表面に堆
積させたコーティングを含む。
【0057】
一実施形態では、例えば、本発明は、少なくとも300サイクル、好ましくはいくつか
の用途で少なくとも500サイクルのサイクル容量を有する本セパレータシステムを組み
込んだ電気化学セルを提供する。一実施形態では、例えば、本発明は、C/5以上の放電
率で100mAh g−1以上の比容量を有する本セパレータシステムを組み込んだ電気
化学セルを提供する。
【0058】
本発明の電気化学セル及びセパレータシステムは、液体電解質、固体電解質、ゲル電解
質、非プロトン性電解質、水性電解質、及び非水電解質を含む、一定範囲の電解質と適合
性がある。一実施形態では、例えば、電解質は、固体電荷保持媒体又はゲル電極を含む。
一実施形態では、例えば、電解質は高分子媒体を含む。一実施形態では、例えば、電解質
は、ポリエチレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ
素含有コポリマー、ポリアクリロニトリル、及びそれらの任意の組み合わせを含む。
【0059】
一実施形態では、例えば、電解質は、1つ又は複数の非水溶媒中に少なくとも部分的に
溶解したアルカリ金属塩を含む。一実施形態では、例えば、電解質は、溶媒及び支持塩を
含み、溶媒は、有機カーボネート、エーテル、エステル、ホルメート、ラクトン、スルホ
ン、スルホラン、1,3−ジオキソラン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネー
ト、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ブチレ
ンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、フルオロプロ
ピレンカーボネート、y−ブチロラクトン、メチルジフルオロアセタート、エチルジフル
オロアセタート、ジメトキシエタン、ジグライム(bis(2−メトキシエチル)エーテ
ル)、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、2MeTHF、1,2−DME、又はより大
きなグライム類、スルホラン、ギ酸メチル、酢酸メチル、及びそれらの組み合わせからな
る群から選択され、支持塩は、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO
LiSOCF、LiN(CFSO、LiN(SO、それらの
任意の組み合わせからなる群から選択される。一実施形態では、例えば、電解質は、PV
dF、PVdF−HFPコポリマー、PAN、及びPEO、及びそれらの混合物から選択
されるゴルフィング剤、EC、PC、DEC、DMC、EMC、THE、2MeTHF、
1,2−DME、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される可塑剤、並びにLi
PF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiSOCF、LiN(CF
SO、及びLiN(SOからなる群から選択されるLi塩を含む。
【0060】
一態様では、本発明は、正電極を含む第1側に第1電解質と、負電極を含む第2側に第
2電解質とを有する電気化学セルを提供し、第1電解質は、第2電解質とは異なる組成を
有し、電気化学セルは、正電極と負電極との間に位置決めしたイオン伝導性保護膜を含む
1つ又は複数の化学障壁層をさらに備える。この態様の一実施形態では、第1電解質は水
性電解質であり、第2電解質は非プロトン性電解質である。この態様の一実施形態では、
第1電解質及び第2電解質の少なくとも一方は固体電解質である。
【0061】
本発明の電気化学セル及びセパレータシステムは、一定範囲の組成、フォームファクタ
、及び装置の幾何学的形状を有する電極と適合性がある。一実施形態では、例えば、負電
極、正電極、又は両方が、マイクロサイズ材料又はナノサイズ材料を含む。本明細書で用
いられる場合、ナノサイズは、1nm〜1000nmの範囲で選択される少なくとも1つ
の物理的寸法(例えば、長さ、高さ、幅、直径等)を有する粒子又は薄膜等の構造を指す
。本明細書で用いられる場合、マイクロサイズは、1μm〜1000μmの範囲で選択さ
れる少なくとも1つの物理的寸法(例えば、長さ、高さ、幅、直径等)を有する粒子又は
薄膜等の構造を指す。一実施形態では、例えば、負電極又は正電極は、活正電極粒子及び
伝導性粒子の混合物等の粉体の形態である。一実施形態では、例えば、負電極又は正電極
は薄膜の形態である。一実施形態では、例えば、本発明は、正電極又は負電極の少なくと
も一方が溶媒和リチウム又は溶媒和リチウム合金等の溶媒和金属の形態である、電気化学
セルを提供する。一実施形態では、例えば、本発明は、正電極又は負電極の少なくとも一
方が溶融金属の形態である電気化学セルを提供する。
【0062】
一実施形態では、例えば、本発明は、負電極が、リチウム、亜鉛、アルミニウム、ケイ
素、スズ、アンチモン、鉛、ゲルマニウム、マグネシウム、カドミウム、ビスマス、イン
ジウム、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル、鉄、ニッケル、マンガン、銅、
ナトリウム遷移金属リン酸塩、ナトリウム混合金属リン酸塩、Li/3Ti5/3O
、黒鉛、スズの合金、コバルト、炭素、LiVO、LiTi12、Li4/3T
i5/3O TiO、WO、及びMoOからなる群から選択される材料を含む、
電気化学セルを提供する。一実施形態では、例えば、本発明は、正電極が、黒鉛、LiC
oO_2NiO_8O、LiNiO、LiFePO、LiMnPO、LiCoP
、LiMn、LiCoO、LiNiO_5Mnl.5O、LiVPO
、酸化銀、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガン、AgO、Ag、Zn、Z
nO AgO、AgO、Ag、HgO、HgO、CuO、CdO、NiOOH
、Pb、PbO、LiFePO、Li(PO、V13、V
、Fe、Fe、MnO、LiCoO、LiNiO、LiMn
、LiVO、LiTi12、TiO、WO、及びMoOからなる群から
選択される材料を含む、電気化学セルを提供する。一実施形態では、例えば、本発明は、
正電極が、(i)LixCoO、LiNiO、LixMn、及びLiFeP
からなる群から選択されるリチウム化金属酸化物系カソードと、(ii)Ag
、Cu、V、V13、MnO、CuO、AgCrO、及
びMoOからなる群から選択され、xが0〜2の範囲である非リチウム化金属酸化物系
カソードと、(iii)FeS、TiS、FeS、及びCuSからなる群から選択さ
れるリチウム化金属酸化物系カソードと、(iv)硫黄元素、ポリスルフィド類、及びそ
れらの組み合わせからなる群から選択される活性硫黄カソードと、(v)水等の水性の電
気化学的に活性な成分、又は過酸化物、過酸化水素、O、SO、及びNO等の気体
状、液体状、及び固体状の酸化剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される水溶
性酸化剤を含む、PEO/炭素/金属酸化物型カソード構造であり、水溶性固体酸化剤は
、NaNO、KNO、NaSO、及びKSOからなる群から選択され、カソ
ード構造の導電性コンポーネントは、ニッケル等の多孔質触媒担体であり、上記カソード
構造の電気化学的に活性な材料は空気を含む、PEO/炭素/金属酸化物型カソード構造
と、からなる群から選択される材料を含む電気化学セルを提供する。
【0063】
本発明の電気化学セルは、一次電気化学セル及び二次電気化学セルを含む。一実施形態
では、例えば、本発明は、リチウム電池、アルカリ電池、亜鉛電池、鉛蓄電池、リチウム
金属−空気電池、リチウムイオン電池、リチウム空気電池、Fe−空気電池、Al−空気
電池、又は亜鉛−空気電池を含む電気化学セルを提供する。一実施形態では、例えば、本
発明は、燃料電池、フロー電池システム、半固体電池、3D電池、ナノ電池、マイクロ電
池、又は電気化学キャパシタを含む電気化学セルを提供する。一実施形態では、例えば、
本発明は、薄膜電池を含む電気化学セルを提供する。一実施形態では、例えば、本発明は
、アルカリ金属イオン電池である電気化学セルを提供する。
【0064】
一実施形態では、例えば、本発明は、1つ又は複数のリチウムイオン電気化学セル等の
1つ又は複数の電気化学セルを備えた電池パックを提供する。当業者には理解されるよう
に、本発明のセパレータシステム及び電気化学セルのいずれを本発明のアルカリ金属フロ
ー電池、スーパーキャパシタ、又は燃料電池に用いてもよい。
【0065】
一態様では、本発明は、アルカリ金属燃料電池であって、(i)固体アルカリ金属及び
溶媒中に溶解したアルカリ金属を燃料として含む再生可能なアノードと、(ii)固定の
電子伝導性コンポーネント、アルカリ金属のイオン用の電解質を含むイオン伝導性コンポ
ーネント、及び電池の動作環境から得られる流体酸化剤を含むカソード構造と、(iii
)アノード及びカソード構造間に設けた本発明のセパレータシステムとを備えた、アルカ
リ金属燃料電池を提供する。当業者には理解されるように、本明細書に記載のセパレータ
システムのいずれを本発明のアルカリ金属フロー電池、スーパーキャパシタ、又は燃料電
池に用いてもよい。
【0066】
一態様では、本発明は、電気化学セルを作製する方法であって、(i)負電極を設ける
ステップと、(ii)正電極を設けるステップと、(iii)正電極と負電極との間に電
解質を設けるステップと、(iv)正電極と負電極との間に位置決めしたセパレータシス
テムを設けるステップであり、セパレータシステムは、(i) 第1高機械強度層であり、
第1高機械強度層を貫通して第1パターンで設けた複数の開口を有する第1高機械強度層
と、(ii)第2高機械強度層であり、第2高機械強度層を貫通して第2パターンで設け
た複数の開口を有し、第2パターンは、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直
に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強度層の開口との重なりが20
%以下であるように第1パターンに対してオフセット配列を有する第2高機械強度層とを
備え、第1高機械強度層及び第2高機械強度層は、第1高機械強度層及び第2高機械強度
層に接触して設けた電解質のイオンを第1高機械強度層及び第2高機械強度層を通して輸
送可能であるように位置決めされる、セパレータシステムを設けるステップとを含む方法
を提供する。一実施形態では、セパレータシステムは、電解質と少なくとも部分的に物理
的に接触する。一実施形態では、本方法は、正電極と負電極との間にイオン伝導性化学障
壁を設けるステップをさらに含み、イオン伝導性化学障壁は、正電極と接触した第1電解
質を負電極と接触した第2電解質から分離し、第1電解質は第2電解質とは異なる組成を
有し、イオン伝導性化学障壁は、第1電解質と第2電解質との混合を防止する。当業者に
は概して理解されるように、本セパレータシステムと、本明細書に記載のコンポーネント
、材料、及び特性の特定の実施形態及び組み合わせの全てを含む本発明のシステムとのい
ずれを、本電気化学セルを作製する方法で用いてもよい。
【0067】
一態様では、本発明は、電流を発生させる方法であって、(i)電気化学セルを設ける
ステップであり、電気化学セルは、(1)第1高機械強度層であり、第1高機械強度層を
貫通して第1パターンで設けた複数の開口を有する第1高機械強度層と、(2)第2高機
械強度層であり、第2高機械強度層を貫通して第2パターンで設けた複数の開口を有し、
第2パターンは、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第
1高機械強度層の開口と第2高機械強度層の開口との重なりが20%以下であるように第
1パターンに対してオフセット配列を有する第2高機械強度層とを備え、第1高機械強度
層及び第2高機械強度層は、第1高機械強度層及び第2高機械強度層に接触して設けた電
解質のイオンを第1高機械強度層及び第2高機械強度層を通して輸送可能であるように位
置決めされる、電気化学セルを設けるステップと、(ii)電気化学セルを放電させるス
テップとを含む方法を提供する。一実施形態では、この態様の方法は、電気化学セルを充
電するステップをさらに含む。一実施形態では、この態様の方法は、電気化学セルを複数
の充電及び放電サイクルでサイクル充電するステップをさらに含む。当業者には概して理
解されるように、本セパレータシステムと、本明細書に記載のコンポーネント、材料、及
び特性の特定の実施形態及び組み合わせの全てを含む本発明のシステムとのいずれを、本
電流を発生させる方法で用いてもよい。
【0068】
別の態様では、電気化学セルであって、正電極と、負電極と、正電極と負電極との間に
位置決めした、イオン伝導・電子絶縁性のセパレータと、正電極とセパレータとの間に位
置決めされ、正電極と電気的に接続するか、又は、負電極とセパレータとの間に位置決め
され、負電極と電気的に接続する、第1電子・イオン伝導層と、正電極と負電極との間に
位置決めした1つ又は複数の電解質であり、1つ又は複数の電解質は電荷担体を伝導可能
であることを特徴とする、電解質と、を備える電気化学セルを提供する。
【0069】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、金属、合金、炭素系物質、半導体、電子伝導
性ポリマー、電子伝導性セラミックス、又はこれらの任意の組み合わせを含む。任意選択
で、第1電子・イオン伝導層は、金属又は合金メッシュ、金属又は合金有孔層、金属又は
合金コーティング、炭素コーティング、多孔質層、有孔層、メッシュ、発泡体、導電物質
の少なくとも部分的なコーティング、又はこれらの任意の組み合わせを含む。任意選択で
、第1電子・イオン伝導層は、Au、Al、Cu、Ti、Zn、Ag、ステンレス鋼、L
i、Sn、Si、Ni、スチール、タングステン、錫、鉛、コンスタンタン、水銀、ゲル
マニウム又は任意のそれらの合金類、グラファイト、カーボンブラック、グラフェン、カ
ーボンナノチューブ、コークス、Li合金類、Fe合金類、酸化インジウム錫(ITO)
、ランタンドープチタン酸ストロンチウム(SLT)、イットリウムドープチタン酸スト
ロンチウム(SYT)、ポリ(フルオレン)類、ポリフェニレン類、ポリピレン類、ポリ
アズレン類、ポリナフタレン類、ポリ(アセチレン)類、ポリ(p−フェニレンビニレン
)、ポリ(ピロール)類、ポリカルバゾール類、ポリインドール類、ポリアゼピン類、ポ
リアニリン類、ポリ(チオフェン)類、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、
ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリフルオレン系導電性高分子類、PAN、ポリ(
9,9−ジオクチルフルオレン−co−フルオレノン)、ポリ(9,9−ジオクチルフル
オレン−co−フルオレノン−co−メチルベンゾイックエステル)、ポリチオフェン、
ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルフォネ
ート)(PEDOT:PSS)、[(フェロセニル)アミドプロピル]ピロール、ピロー
ル、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフラン、SiO、ナピオン、
PVC又はそれらのドープした組成物又はそれらの混合物、又は、これらの任意の組み合
わせを含む。
【0070】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、30%以上、40%以上、50%以上、60%
以上、70%以上、80%以上、90%以上、30%〜90%の範囲、40%〜80%の
範囲、50%〜70%の範囲、又は50%〜90%の範囲、から選択される多孔度を有す
る、多孔質又は有孔材料を含む。
【0071】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、耐薬品性物質、耐熱性物質、機械的抵抗性物
質、又はこれらの任意の組み合わせを含む。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、セ
パレータ、正電極又は負電極の少なくとも1つの外面に堆積した薄膜構造を含む。任意選
択で、第1電子・イオン伝導層は、セパレータ、正電極又は負電極の少なくとも1つの外
面に塗布したコーティングを含む。
【0072】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、1S/cm以上、10S/cm以上、100
S/cm以上の電子伝導度を有する。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、10Ω・
cm以下、5Ω・cm以下、3Ω・cm以下、1Ω・cm以下、0.3Ω・cm
〜3Ω・cmの範囲、0.03Ω・cm〜3Ω・cmの範囲、0.1Ω・cm
〜10Ω・cmの範囲、0.3Ω・cm〜5Ω・cmの範囲、又は0.3Ω・cm
〜3Ω・cmの範囲、から選択される、イオン抵抗を有する。
【0073】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、100μm以下、50μm以下、25μm以
下、10μm以下、1μm以下、100nm以下、10nm〜100nmの範囲、10n
m〜10μmの範囲、又は50nm〜5μmの範囲、から選択される厚さを有する。
【0074】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、セパレータと物理的に接触して設けられる。
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、セパレータの外面の少なくとも10%と物理的
に接触する。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、正電極又は負電極と物理的に接触
する。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、正電極又は負電極の外面の少なくとも1
0%と物理的に接触する。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、正電極材料又は負電
極材料により少なくとも一部が被覆される。
【0075】
いくつかの実施形態において、第1電子・イオン伝導層は、負電極又は正電極の少なく
とも一部における電子伝導率を向上する。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、正電
極と正電極集電体との間に電子伝達のための付加的な経路を、負電極と負電極集電体との
間に電子伝達のための付加的な経路を、正電極に隣接するか又は正電極の内部に一様電場
を、又は負電極に隣接するか又は負電極の内部に一様電場を、又はこれらの提供された利
点の任意の組み合わせを、提供する。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、正電極又
は負電極と、電子を受け渡しするための予備経路を提供する。任意選択で、第1電子・イ
オン伝導層は、正電極又は負電極に隣接して又はその内部に均一な電界を提供することに
より、正電極又は負電極内においてイオンを均一に堆積させる。例示的な実施形態におい
て、第1電子・イオン伝導層は、正電極又は負電極上における又は各電極からのデンドラ
イト成長を防止する。
【0076】
特定の実施形態において、本態様の電気化学セルは、第2電子・イオン伝導層をさらに
備える。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は正電極と電気的に接触して位置決めされ
、第2電子・イオン伝導層は負電極と電気的に接触して位置決めされる。
【0077】
任意選択で、セパレータは、ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン
テレフタレート、カプトン、ポリエステル、ナフィオン、ZrO、ポリイミド、ポリテ
トロフルオロエチレン、ガラスセパレータ、不織布セパレータ、織布セパレータ、又はこ
れらの任意の組み合わせからなる微多孔層を含む。任意選択で、セパレータは、ポリマー
電解質、固体電解質、ゲル状電解質、ナフィオン、ZrO、PVDF、PEO、PMM
A、LISICON、NASICON、LIPON、NaPON、PE、PP、PET、
カプトン、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、セパレータは高機械強度層を含む。任意選択で、セパレ
ータは、第1高機械強度層であり、該第1高機械強度層を貫通して第1開口パターンで設
けた複数の開口を有する第1高機械強度層を含む。任意選択で、セパレータは、第1高機
械強度層の複数の開口の少なくとも一部に設けた第1イオン伝導・電子絶縁性材料をさら
に備える。
【0079】
いくつかの実施形態において、例えば、セパレータは、第1高機械強度層であり、該第
1高機械強度層を貫通して第1開口パターンで設けた複数の開口を有する第1高機械強度
層、及び、第2高機械強度層であり、該第2高機械強度層を貫通して第2開口パターンで
設けた複数の開口を有する第2高機械強度層を備え、第2開口パターンは、第1高機械強
度層から前記第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った前記第1高機械強度層の前記
開口と前記第2高機械強度層の前記開口との重なりが20%以下であるように前記第1開
口パターンに対してオフセット配列を有し、第1高機械強度層及び第2高機械強度層は、
第1高機械強度層及び第2高機械強度層に接触して設けた電解質のイオンを第1高機械強
度層及び第2高機械強度層を通して輸送可能であるように位置決めされる。
【0080】
任意選択で、セパレータは、第1電子・イオン伝導層の少なくとも1つの外面、正電極
の少なくとも1つの面、又は負電極の少なくとも1つの面に塗布したコーティングを備え
る。任意選択で、セパレータは、第1電子・イオン伝導層の少なくとも1つの外面、正電
極の少なくとも1つの面、又は負電極の少なくとも1つの面に堆積した薄膜を備える。任
意選択で、第1電子・イオン伝導層は、セパレータのコンポーネントである。任意選択で
、第1電子・イオン伝導層はセパレータ上のコーティングである。任意選択で、セパレー
タは500μm以下又は10nm〜200μmの範囲から選択される全厚を有する。
【0081】
任意選択で、正電極又は負電極はインターカレーションホスト材料を備える。任意選択
で、正電極又は負電極は、電気化学セルの充電中又は放電中に形状が変化する材料を含む
。任意選択で、正電極は、金属酸化物、硫黄、SO、リチウム塩化チオニル、MnO
、CF、CuO、V13、V、FeS、CuCl、I、HgO、カド
ミウム、臭素、水素系電極、酸素系電極、臭素、FeS、V、Ag、Ni、Pb、
PbO、炭素、LiCoO、LiFePO、LiMn、炭素系酸素カソード
、炭素系水カソード、アルカリ金属、アルカリ金属合金、一つ又は複数のCa、Mg、S
n、Ag、Zn、Bi、Al、Cd、Ga、Inを有する二価又は三価のアルカリ金属合
金、酸化亜鉛、Na、酸化鉛、リチウム、酸化リチウム、過酸化リチウム、チタン酸化リ
チウム、酸素活物質カソード、水活物質カソード、Na2/3[Fe1/2Mn1/2
、ヘキサシアノ鉄酸銅、ポリピロール、活性炭、グラフェン、グラファイト、ナノカ
ーボン、アンチモン、錫アンチモン合金、5%バナジウムドープしたリン酸鉄リチウム、
フルオロリン酸鉄リチウム、マンガンスピネル、リチウムニッケルマンガンコバルト、プ
ルプリン、リチウムプルプリン、酸化リチウムバナジウム、チタン酸リチウム、酸化コバ
ルト、リン酸鉄、二酸化チタン、ケイ素、アンチモン化銅、水溶性気体酸化剤、水溶性液
体酸化剤、水溶性固体酸化剤、又はこれらの任意の組み合わせを含む。任意選択で、負電
極は、Si、Li、Zn、ZnO、炭素、Na、Mg、Sn、Cd、Pb、PbO、L
TO、酸化バナジウム、アルカリ金属、アルカリ金属合金、一つ又は複数のCa、Mg、
Sn、Ag、Zn、Bi、Al、Cd、Ga、Inを有する二価又は三価のアルカリ金属
合金、酸化亜鉛、Na、酸化鉛、リチウム、酸化リチウム、過酸化リチウム、チタン酸化
リチウム、酸素活物質カソード、水活物質カソード、Na2/3[Fe1/2Mn1/2
]O、ヘキサシアノ鉄酸銅、ポリピロール、活性炭、グラフェン、グラファイト、ナノ
カーボン、アンチモン、錫アンチモン合金、5%バナジウムドープしたリン酸鉄リチウム
、フルオロリン酸鉄リチウム、マンガンスピネル、リチウムニッケルマンガンコバルト、
プルプリン、リチウムプルプリン、酸化リチウムバナジウム、チタン酸リチウム、酸化コ
バルト、リン酸鉄、二酸化チタン、ケイ素、SO、リチウム塩化チオニル、MnO
CF、CuO、V13、V、FeS、CuCl、I、HgO、カドミ
ウム、臭素、水素系電極、酸素系電極、臭素、アンチモン化銅、又はこれらの任意の組み
合わせを含む。
【0082】
任意選択で、正電極は正極活物質を含み、第1電子・イオン伝導層は正極活物質と電気
的に接触して設けられる。任意選択で、正電極は正極活物質と電気的に接触した集電体を
さらに備える。任意選択で、負電極は負極活物質を含み、第1電子・イオン伝導層は負極
活物質と電気的に接触して設けられる。任意選択で、前記負電極は前記正極活物質と電気
的に接触した集電体をさらに備える。
【0083】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、例えば、還元及び/又は酸化用の外部集電極
を備える。任意選択で、前記第1電子・イオン伝導層は、前記正電極及び前記負電極の一
方を還元する。任意選択で、前記外部集電極は、金属−空気電池における酸素発生におい
て起こるように、前記正電極及び前記負電極の一方を酸化する。
【0084】
さまざまな実施形態において、電気化学セルは、二次電池、一次電池、フロー電池、燃
料電池又は半固体電池又は電気化学キャパシタ又は鉛蓄電池を含む。任意選択で、電気化
学セルは、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、亜鉛電池、空気リチウム電池、空気
亜鉛電池、空気アルミニウム電池、空気鉄電池、リチウム−水電池、シリコン系電池、ナ
トリウム電池、マグネシウム電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウムイオン電池、ア
ルカリ電池又は鉛蓄電池又はリードック・フロー電池又は燃料電池又は電気化学キャパシ
タを含む。任意選択で、電気化学セルは、シリコン系アノード、リチウムアノード、金属
酸化物電極、硫黄系カソード、炭素系酸素カソード、及び炭素系水カソードのうちの1つ
又は複数を含むリチウム電池を備える。
【0085】
別の態様において、電気化学セルであって、正電極と、負電極と、正電極と負電極との
間に位置決めしたイオン伝導・電子絶縁性のセパレータと、正電極とセパレータとの間に
位置決めした第1電解質と、負電極とセパレータとの間に位置決めした第2電解質と、を
備える電気化学セルにおいて、セパレータは、第1高機械強度層であり、該第1高機械強
度層を貫通して第1開口パターンで設けた複数の開口を有する第1高機械強度層と、第1
高機械強度層の前記複数の開口の少なくとも一部に設けた第1イオン伝導・電子絶縁性材
料と、を備え、第1及び第2電解質は電荷担体を伝導可能である、電気化学セルを提供す
る。
【0086】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、固体電解質、ゲル状電解質、ポリマ
ー電解質、ナフィオン(Nafion)、ZrO、LISICON、NASICON、
PEO、Li10GeP12、LIPON、PVDF、LiN、LiP、LiI
、LiBr、LiCl、LiF、リチウムイミド、KOH、NaOH、酸化物ペロブスカ
イト、La0.5、Li0.5TiO、チオ(Thio−)LISICON、Li3.
25Ge0.250.75、ガラスセラミックス類、Li11、ガラス状
物質類、LiS−SiS−LiPO、窒化リチウム、ポリエチレンオキシド、ド
ープしたLiN、LiS−SiS−LiPO、LIPON、Li14Zn(G
eO、Li−β−アルミナ、Li3.6Si0.60.4、LiS−P
、PEO−LiClO、LiN(CFSO/(CHCHO)、Na
PON、SiO、アルミナ、シリカガラス、セラミックス類、ガラスセラミックス類、
水安定ポリマー類、ガラス質金属イオン伝導体類、非結晶金属イオン伝導体類、セラミッ
ク活性金属イオン伝導体類、イオン伝導性セラミックス、イオン伝導性固溶体、イオン伝
導性ガラス、固体リチウムイオン伝導体、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0087】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、前記セパレータを体積で10%以上
、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%
以上含む。任意選択で、、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、セパレータの表面積の1
0%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上
、80%以上を占める。
【0088】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は0.01μm〜2000μmの範囲か
ら選択される平均厚を有する。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は0.00
5mm〜0.05mmの範囲から選択される平均厚を有する。
【0089】
いくつかの実施形態において、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は1%未満の平均多孔
度を有し、又は非多孔質である。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は0%〜
5%の範囲から選択される平均多孔度を有する。好ましくは、第1イオン伝導・電子絶縁
性材料は、ピンホール、割れ、穴、又はこれらの任意の組み合わせを実質的に含まない。
好ましくは、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は欠陥を実質的に含まない。任意選択で、
第1イオン伝導・電子絶縁性材料はドープされる。
【0090】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は10−5S/cm以上、10−4S/
cm以上、10−4S/cm以上、10−3S/cm以上、10−2S/cm以上、10
−1S/cm以上、10S/cm以上、10−7S/cm〜100S/cmの範囲、10
−5S/cm〜10S/cmの範囲、10−3S/cm〜1S/cmの範囲、から選択さ
れるイオン伝導率を有する。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、電気化学
セルの動作温度において、10−7S/cm〜100S/cmの範囲から選択される、イ
オン伝導率を有する。
【0091】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、湿式処理、乾式処理、機械加工、熱
堆積、塗布、及びこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される方法を用いて複数
の開口内に提供される。
【0092】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、第1高機械強度層を第1イオン伝導
・電子絶縁性材料内に圧入することにより複数の開口内に提供され、それにより第1イオ
ン伝導・電子絶縁性材料は第1高機械強度層の複数の開口内に提供される。任意選択で、
第1高機械強度層の第1イオン伝導・電子絶縁性材料内への圧入は、第1イオン伝導・電
子絶縁性材料を生成する際に行う。任意選択で、第1高機械強度層の前記第1イオン伝導
・電子絶縁性材料内への圧入は、400℃以上又は500℃以上の温度において行う。
【0093】
任意選択で、第1高機械強度層は、メッシュ又は発泡体を含む。任意選択で、メッシュ
又は発泡体は、金属、Ni、ステンレス鋼、錫、Al、Cu、合金、ガラス、ポリマー、
カプトン、PE、PP、PET、PTFE、PVDF、SiO、セラミックス、酸化ア
ルミニウム、炭素、グラファイト、ナノカーボン、又はこれらの任意の組み合わせを含む
【0094】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、第1高機械強度層の複数の開口の実
質的に全てに提供される。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、第1高機械
強度層の複数の開口の全てを満たす。
【0095】
任意選択で、第1高機械強度層は電子絶縁性材料を含む。任意選択で、第1高機械強度
層は、カプトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(
メチルメタクリレート)、非導電性材料で被覆した合金、ポリマー、ガラス、酸化アルミ
ニウム、酸化シリコン、酸化チタン、及びこれらの任意の組み合わせを含む。任意選択で
、第1高機械強度層は、ポリアクリル酸(PAA)、架橋ポリエチレン(PEX、XLP
E)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PETE)、ポリ
フェニルエーテル(PPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVD
C)、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン(PB)、ポリブチ
レンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリカーボ
ネート(PC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスチレン(PS)、ポ
リウレタン(PU)、ポリエステル(PE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(A
BS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリオキシメチレン(POM)、
ポリスルホン(PES)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、エチレン酢酸ビニル
(EVA)、スチレン無水マレイン酸(SMA)、PVDF、PEO、LIPON、LI
SICON、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド五水和物(CHNOH・5H
O、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、エピクロヒドリン及びエチレンオキシドP
(ECH−co−EO)及びポリ(ビニルアルコール)のコポリマー、PEO−PVA−
ガラス繊維ポリマー電解質、硫化亜鉛、二酸化ケイ素、PVA及びPSA、PVA/V6
/PSS、PVAN6(PSS+PAA);V6/PVA(PSS+PAA);PVMP
SS+PAA(35%))/(PSS+PAA(35%));(PSS+PAA(35%
))/PVA/(PSS+PAA(35%));又は(PSS+PAA(35%))/(
PVA(10%)+PSS(20%)対PVA))/(PSS+PAA(35%))ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、PEDOT:PSS、SiO、窒化
リチウム、NaPON、PVC、グラスファイバーマット、ポリブチレングリコール、ア
ルキルポリエチレングリコール、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリブチ
レングリコール、そのコポリマー、PEO材料、又はPVA材料、及びそれらの任意の組
み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の材料を含む。
【0096】
任意選択で、第1開口パターンは、30%以上、50%以上、70%以上、30%〜9
0%の範囲、30%〜70%の範囲、又は40%〜60%の範囲、から選択される、前記
高機械強度層の第1多孔度を提供する。任意選択で、第1高機械強度層は0.01μm〜
2000μmの範囲から選択される平均厚を有する。任意選択で、第1高機械強度層は0
.005mm〜0.05mmの範囲から選択される平均厚を有する。
【0097】
任意選択で、本態様の電気化学セルは、正電極と前記セパレータとの間に位置決めされ
正電極と電気的に接触するか、又は、負電極と前記セパレータとの間に位置決めされ負電
極と電気的に接触する、第1電子・イオン伝導層をさらに備える。任意選択で、本態様の
電気化学セルは、負電極と前記セパレータとの間に位置決めされ負電極と電気的に接触す
るか、又は、正電極と前記セパレータとの間に位置決めされ正電極と電気的に接触する第
2電子・イオン伝導層をさらに備える。
【0098】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は前記セパレータのコンポーネントである。任意
選択で、第1電子・イオン伝導層は、セパレータと物理的に接触、及び/又は電子的に接
触して設けられる。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、前記セパレータ上のコーテ
ィングを含む。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、正電極又は負電極と物理的に接
触、及び/又は電子的に接触して設けられる。任意選択で、電子・イオン伝導層は、外部
集電極を備える。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、前記正電極又は前記負電極上
のコーティングを含む。任意選択で、電子・イオン伝導層は、前記正電極及び前記負電極
の一方を還元する。任意選択で、外部集電極は前記正電極及び前記負電極の一方を酸化す
る。
【0099】
任意選択で、正電極又は負電極はインターカレーションホスト材料を備える。任意選択
で、正電極又は負電極は、電気化学セルの充電中又は放電中に形状が変化する材料を含む
。任意選択で、正電極は正極活物質及び該正極活物質に電気的に接触した集電体を備える
。任意選択で、負電極は負極活物質及び該負極活物質に電気的に接触した集電体を備える
【0100】
任意選択で、本態様の電気化学セルにおいて、セパレータは、第2高機械強度層であり
、該第2高機械強度層を貫通して第2開口パターンで設けた複数の開口を有し、第2開口
パターンは、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高
機械強度層の開口と第2高機械強度層の開口との重なりが20%以下であるように第1開
口パターンに対してオフセット配列を有する第2高機械強度層をさらに備え、第1高機械
強度層及び第2高機械強度層は、第1高機械強度層及び第2高機械強度層に接触して設け
た電解質のイオンを前記第1高機械強度層及び前記第2高機械強度層を通して輸送可能で
あるように位置決めされる。任意選択で、本態様の電気化学セルにおいて、セパレータは
、第2高機械強度層の複数の開口の少なくとも一部に設けた第2イオン伝導・電子絶縁性
材料をさらに含む。任意選択で、第1開口パターンは第2開口パターンに実質的に相補的
である。任意選択で、第1高機械強度層及び前記第2高機械強度層は相互に完全に物理的
に接触しない。任意選択で、第1高機械強度層及び第2高機械強度層のそれぞれ少なくと
も一部は、20nm〜2mmの範囲から選択される距離によって離間される。任意選択で
,第2高機械強度層は、第1高機械強度層と負電極又は正電極との間に設けられる。
【0101】
任意選択で、本態様の電気化学セルにおいて、セパレータは、第3高機械強度層であり
、該第3高機械強度層を貫通して第3開口パターンで設けた複数の開口を有し、第3開口
パターンは、第3高機械強度層から第1高機械強度層又は第2高機械強度層まで垂直に延
びる軸に沿った第3高機械強度層の開口と第1高機械強度層の開口又は第2高機械強度層
の開口との重なりが20%以下であるように第1開口パターン又は第2開口パターンに対
してオフセット配列を有する第3高機械強度層をさらに備え、第1高機械強度層、第2高
機械強度層、及び第3高機械強度層は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、及び第3
高機械強度層に接触して設けた電解質のイオンを第1高機械強度層、第2高機械強度層、
及び第3高機械強度層を通して輸送可能であるように位置決めされる。任意選択で、本態
様の電気化学セルにおいて、セパレータは、第3高機械強度層の複数の開口の少なくとも
一部に設けた第3イオン伝導・電子絶縁性材料をさらに含む。任意選択で、第3パターン
は第1パターン及び第2パターンのうちの1つ又は複数に実質的に相補的である。
【0102】
任意選択で、本態様の電気化学セルにおいて、セパレータは、複数の開口を有する第4
高機械強度層であり、該第4高機械強度層を貫通して第4パターンで設けた複数の開口を
有する第4高機械強度層をさらに備え、第4パターンは、第4高機械強度層から第1高機
械強度層、第2高機械強度層、又は第3高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第4高
機械強度層の開口、第1高機械強度層の開口、第2高機械強度層の開口、及び第3高機械
強度層の開口と第2高機械強度層の開口との重なりが20%以下であるように第1パター
ン、第2パターン、又は第3パターンに対してオフセット配列を有し、第1高機械強度層
、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層は、第1高機械強度層、
第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層に接触して設けた電解質の
イオンを第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度
層を通して輸送可能であるように位置決めされる。任意選択で、セパレータは、第3高機
械強度層の複数の開口の少なくとも一部に設けた第4イオン伝導・電子絶縁性材料をさら
に備える。任意選択で、第4パターンは、前記第1パターン、前記第2パターン、及び前
記第3パターンのうちの1つ又は複数に実質的に相補的である。
【0103】
任意選択で、高機械強度層のうち少なくとも2層における前記複数の開口は、1つ又は
複数の固体電解質で満たされる。任意選択で、高機械強度層のうちの外側の2層、例えば
、正電極に隣接して位置する外側高機械強度層又は負電極に隣接して位置する外側高機械
強度層、又はその両方における複数の開口は、1つ又は複数の固体電解質で満たされる。
任意選択で、高機械強度層の少なくとも1つは電子伝導性である。任意選択で、高機械強
度層の少なくとも1つは、5W・m−1・K−1以上、10W・m−1・K−1以上、2
0W・m−1・K−1以上、50W・m−1・K−1以上、100W・m−1・K−1
上、又は200W・m−1・K−1以上の熱伝導率を有する。任意選択で、高機械強度層
の少なくとも1つ、例えば、正電極に隣接して位置する外側高機械強度層又は負電極に隣
接して位置する外側高機械強度層、又はその両方は、1つ又は複数の正電極又は負電極を
還元又は正電極又は負電極を酸化するのに有用な外部集電極を備える。
【0104】
さまざまな実施形態において、電気化学セルは、二次電池、一次電池、フロー電池、電
気化学キャパシタ、半固体電池、又は燃料電池を含む。任意選択で、電気化学セルは、リ
チウムイオン電池、リチウム金属電池、亜鉛電池、空気リチウム電池、空気亜鉛電池、空
気アルミニウム電池、空気鉄電池、リチウム−水電池、シリコン系電池、アルカリ電池又
は鉛蓄電池を含む。任意選択で、電気化学セルは、シリコンアノード、リチウムアノード
、金属酸化物電極、炭素系酸素カソード、炭素系水カソード、水カソード、及び空気カソ
ードのうちの1つまたは複数を含む二次リチウム電池を備える。
【0105】
別の態様において、電気化学セル用の膜を作製する方法が提供される。本態様の一実施
形態において、本方法は、第1高機械強度層であり、該第1高機械強度層を貫通して第1
パターンで設けた複数の開口を有する第1高機械強度層を設けるステップと、前記第1高
機械強度層の前記複数の開口の全て又は一部に第1イオン伝導・電子絶縁性材料を提供す
るステップと、を含む。
【0106】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、湿式処理、乾式処理、機械加工、熱
堆積、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される方法を用いて前記複数の
開口内に提供される。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、前記第1高機械
強度層を前記第1イオン伝導・電子絶縁性材料に圧入することにより前記複数の開口内に
提供され、それにより第1イオン伝導・電子絶縁性材料を前記第1高機械強度層における
複数の開口の少なくつも一部に提供する。任意選択で、本態様の方法は、圧入後の第1高
機械強度層及び第1イオン伝導・電子絶縁性材料を冷却するステップをさらに含む。いく
つかの実施形態において、そのような冷却するステップは、圧入するステップ中に第1イ
オン伝導・電子絶縁性材料において発生した1つ又は複数の破損を修復する。任意選択で
、第1高機械強度層の第1イオン伝導・電子絶縁性材料への圧入は、第1イオン伝導・電
子絶縁性材料を形成する際に行われる。任意選択で、第1高機械強度層の第1イオン伝導
・電子絶縁性材料への圧入は、500℃以上の温度で行われる。
【0107】
任意選択で、第1の高機械強度層は、メッシュ又は発泡体を含む。任意選択で、メッシ
ュ又は発泡体は、金属、Ni、ステンレス鋼、ガラス、セラミックス、酸化アルミニウム
を含む。任意選択で、第1高機械強度層からの第1イオン伝導・電子絶縁性材料への面内
圧力は、第1イオン伝導・電子絶縁性材料中へのイオンの固体拡散を促進、又は、電極上
への均一なイオン堆積を支援する。任意選択で、第1高機械強度層からの第1イオン伝導
・電子絶縁性材料への面内圧力により、第1イオン伝導・電子絶縁性材料において面内圧
力がない場合と比較して第1イオン伝導・電子絶縁性材料のイオン伝導性が上昇する。こ
のようなイオン伝導性の上昇は、任意選択で、面内圧力が張力を引き起こすポアソン比効
果に起因するものであり、それによりイオン伝導・電子絶縁性材料内におけるイオンの通
過又は固体拡散を促進する。
【0108】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、固体電解質、ゲル状電解質、ポリマ
ー電解質、LISICON、NASICON、PEO、Li10GeP12、LIP
ON、PVDF、LiN、LiP、LiI、LiBr、LiCl、LiF、酸化ペロ
ブスカイト、La0.5、Li0.5TiO、チオ−LISICON、Li3.25
0.250.75、ガラスセラミックス類、Li11、ガラス状物質類
、LiS−SiS−LiPO、窒化リチウム、ポリエチレンオキシド、ドープし
たLiN、LiS−SiS−LiPO、LIPON、Li14Zn(GeO
、Li−β−アルミナ、Li3.6Si0.60.4、LiS−P
PEO−LiClO、LiN(CFSO/(CHCHO)、NaPON
、ZrO、ナフィオン、PEDOT:PSS、SiO、PVC、グラスファイバーマ
ット、アルミナ、シリカガラス、セラミックス類、ガラスセラミックス類、水安定ポリマ
ー類、ガラス質金属イオン伝導体類、非結晶金属イオン伝導体類、ガラスセラミック活性
金属イオン伝導体類、イオン伝導性セラミックス、イオン伝導性固溶体、イオン伝導性ガ
ラス、固体リチウムイオン伝導体、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0109】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、前記セパレータを体積で20%以上
、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、または80%以上、
含む。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は0.01μm〜2000μmの範
囲から選択される平均厚を有する。
【0110】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は1%未満の平均多孔度を有する。好ま
しくは、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は非多孔質である。任意選択で、第1イオン伝
導・電子絶縁性材料は0%〜5%の範囲から選択される平均多孔度を有する。任意選択で
、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、ピンホール、割れ、穴、又はこれらの任意の組み
合わせを実質的に含まない。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は欠陥を実質
的に含まない。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料はドープされる。
【0111】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は10−5S/cm以上のイオン伝導率
を有する。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、前記電気化学セルの動作温
度において、10−7S/cm〜100S/cmの範囲から選択されるイオン伝導率を有
する。
【0112】
任意選択で、1イオン伝導・電子絶縁性材料は、第1高機械強度層の前記複数の開口の
実質的に全てに提供される。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、第1高機
械強度層の複数の開口の全てを満たす。
【0113】
任意選択で、高機械強度層の平均厚は10nm〜2000μmの範囲から選択される。
任意選択で、高機械強度層の平均厚は0.005mm〜0.05mmの範囲から選択され
る。任意選択で、開口の第1パターンは、30%以上の第1高機械強度層の第1多孔度を
提供する。任意選択で、開口の第1パターンは、30%〜70%の範囲から選択される第
1高機械強度層の多孔度を提供する。
【0114】
任意選択で、第1高機械強度層は、電子絶縁性材料、カプトン、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(メチルメタクリレート)、非導電性材料
で被覆した金属、非導電性材料で被覆した合金、ポリマー、ガラス、セラミックス、酸化
アルミニウム、酸化シリコン、酸化チタン、及びこれらの任意の組み合わせを含む。任意
選択で、第1高機械強度層は、ポリアクリル酸(PAA)、架橋ポリエチレン(PEX、
XLPE)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PETE)
、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(
PVDC)、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン(PB)、ポ
リブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリ
カーボネート(PC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスチレン(PS
)、ポリウレタン(PU)、ポリエステル(PE)、アクリロニトリルブタジエンスチレ
ン(ABS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリオキシメチレン(PO
M)、ポリスルホン(PES)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、エチレン酢酸
ビニル(EVA)、スチレン無水マレイン酸(SMA)、PVDF、PEO、LIPON
、LISICON、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド五水和物(CHNOH
・5HO、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、エピクロヒドリン及びエチレンオキ
シドP(ECH−co−EO)及びポリ(ビニルアルコール)のコポリマー、PEO−P
VA−ガラス繊維ポリマー電解質、硫化亜鉛、二酸化ケイ素、PVA及びPSA、PVA
/V6/PSS、PVAN6(PSS+PAA);V6/PVA(PSS+PAA);P
VMPSS+PAA(35%))/(PSS+PAA(35%));(PSS+PAA(
35%))/PVA/(PSS+PAA(35%));又は(PSS+PAA(35%)
)/(PVA(10%)+PSS(20%)対PVA))/(PSS+PAA(35%)
)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、Na
PON、ZrO、ナフィオン、PEDOT:PSS、SiO、グラスファイバーマッ
ト、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポ
リブチレングリコール、そのコポリマー、PEO材料、又はPVA材料、Ni、Cu、A
l、ステンレス鋼、酸化アルミニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択
される1つまたは複数の材料を含む。
【0115】
任意選択で、第1高機械強度層は、導電性材料、金属、合金、金属メッシュ、半導体、
金属発泡体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(メチ
ルメタクリレート)、及びこれらの任意の組み合わせを含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、第1高機械強度層は電子絶縁性材料を含み、膜は電気化
学セルのセパレータを含む。いくつかの実施形態において、第1高機械強度層は電子伝導
性材料を含み、膜は電気化学セルの複数の電子イオン伝導層を含む。任意選択で、膜は、
1つ又は複数の電子イオン伝導層及び1つ又は複数の電子絶縁・イオン伝導層を含む。任
意選択で、そのような膜を電気化学セルの正電極と負電極との間に位置決めしたとき、膜
は正電極と負電極との間に電子的絶縁を提供する。
【0117】
任意選択で、本態様の方法は、第1イオン伝導・電子絶縁性材料が第1高機械強度層の
複数の開口の全て又は一部にある状態で、電子絶縁層を第1高機械強度層に隣接して設け
るステップをさらに含む。
【0118】
任意選択で、本態様の方法は、第1イオン伝導・電子絶縁性材料が第1高機械強度層の
前記複数の開口の全て又は一部にある状態で、1つ又は複数の集電体を第1高機械強度層
に隣接して設けるステップをさらに含む。任意選択で、第1集電体は電気化学セルの正極
活物質と電子的に連通して設けられ、第2集電体は電気化学セルの負極活物質と電子的に
連通して設けらる。
【0119】
別の態様において、電気化学セルであって、
正電極と、負電極と、正電極と負電極との間に位置決めした、イオン伝導・電子絶縁性
のセパレータと、正電極とセパレータとの間に位置決めしたか、又は、負電極とセパレー
タとの間に位置決めした、1つ又は複数の熱・イオン伝導層と、正電極と負電極との間に
位置決めした1つ又は複数の電解質であり、1つ又は複数の電解質は電荷担体を伝導可能
であることを特徴とする、電解質と、を備える電気化学セルを提供する。
【0120】
任意選択で、正電極とセパレータとの間に位置決めした第1熱・イオン伝導層と、負電
極とセパレータとの間に位置決めした第2熱・イオン伝導層と、を備える。
【0121】
任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ、正電極又は負電極と熱連
通して設けられる。任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、電気化学セル内で
の均一な温度分布の提供し、それによって前記電気化学セルの性能およびサイクル寿命(
ライフサイクル)を高める。任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、電気化学
セル内での均一な温度分布の提供を支援し、それによって前記電気化学セルの性能および
サイクル寿命(ライフサイクル)を高める。
【0122】
任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、0.01mm以
下、又は10nm〜0.01mmの範囲から選択される厚さを有する。任意選択で、1つ
又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、多孔質材料、有孔層、メッシュ、又
は発泡体を含む。任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、
50%以上、75%以上、又は90%以上の多孔度を有する。
【0123】
任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、金属、合金、セ
ラミックス、ポリマー、電子絶縁性材料で被覆した金属、又は電子絶縁性材料で被覆した
合金を含む。任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、金属
、合金、熱伝導性ポリマー、熱伝導性セラミックス、熱伝導性繊維を有するポリマー、A
繊維を有するポリマー、Al、Ni、Sn、スチール、ステンレス鋼、銅、Si
、LiN、酸化アルミニウム、酸化リチウム、過酸化リチウム、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリエチレンテレフタレート、PVDF、カプトン、PTFE、PMMA、N
aPON、ZrO、ナフィオン、PEDOT:PSS、SiO、PVC、ガラスファ
イバーマット、LIPON、又はその任意の組み合わせを含む。
【0124】
任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、メッシュを含む
。任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、正電極又は負電
極上のコーティングを含む。
【0125】
任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、セパレータの1
つ又は複数の面上のコーティングを含むか、又はセパレータに隣接して位置決めされる。
任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、セパレータの内部
層を含む。
【0126】
任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学セルについて、セパレータ、負電極、
又は正電極の任意の面は、それぞれ独立して、及び、任意選択で、親水性材料又は疎水性
材料又はアニオン交換性材料又はカチオン交換性材料で被覆される。任意選択で、セパレ
ータ、正電極、又は負電極の任意の層は、それぞれ独立して、親水性材料又は疎水性材料
又はアニオン交換性材料又はカチオン交換性材料を含む。
【0127】
任意選択で、セパレータ、正電極、又は負電極の任意の層は、それぞれ独立して、形状
記憶材料を含む。任意選択で、形状記憶材料は、形状記憶合金、ニチノール、形状記憶ポ
リマー類、又はその任意の組み合わせを含む。任意選択で、形状記憶材料は、電気化学セ
ルの動作又はサイクル充電(cycling)の前に予圧される。
【0128】
別の態様において、電気化学セルであって、正電極と、負電極と、第1イオン伝導電子
絶縁性材料及び前記第1イオン伝導電子絶縁性材料内部に位置決めした機械的強化繊維を
含む固体電解質と、を備え、電解質は電荷担体を伝導可能である、電気化学セルを提供す
る。任意選択で、繊維は前記固体電解質の強度を高め、製造中のピンホール割れを防ぎ、
サイクル充電による割れを防ぐ。
【0129】
任意選択で、繊維は機械的に靭性である。任意選択で、繊維は、第1イオン伝導電子絶
縁性材料を体積で20%以上含み、又は、前記セパレータの表面積の20%以上を占める
。任意選択で、繊維は、0.01μm〜2000μmの範囲から選択される平均サイズを
有する。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、0.01μm〜2000μm
の範囲から選択される平均厚を有する。任意選択で、繊維はイオン絶縁性である。任意選
択で、繊維はイオン伝導性である。任意選択で、繊維は電子伝導性である。任意選択で、
繊維は電子絶縁性である。
【0130】
本明細書に記載した任意の電気化学セルについて、高機械強度層は、形状記憶合金類、
形状記憶ポリマー類、ニトノール、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択さ
れる形状記憶材料を含む。本明細書に記載した任意の電気化学セルについて、高機械強度
層は、任意選択で、電子伝導性である。本明細書に記載した任意の電気化学セルについて
、高機械強度層は、任意選択で、電子絶縁性である。本明細書に記載した任意の電気化学
セルについて、高機械強度層は、任意選択で、機械的に靭性である。本明細書に記載した
任意の電気化学セルについて、高機械強度層は、任意選択で、形状記憶材料又は形状記憶
合金、形状記憶ポリマー、ニトノール、又はこれらの任意の組み合わせを含む。本明細書
に記載した任意の電気化学セルについて、高機械強度層は、任意選択で、周期的な幾何学
的形状を有するか、又はメッシュを含む。本明細書に記載した任意の電気化学セルについ
て、高機械強度層は、任意選択で、非周期的な幾何学的形状又は任意の断面を有する。本
明細書に記載した任意の電気化学セルについて、高機械強度層を任意選択で用いて、第1
イオン伝導・電子絶縁性材料製造の際に発生するピンホールを防止する。本明細書に記載
した任意の電気化学セルについて、高機械強度層を任意選択で用いて、第1イオン伝導・
電子絶縁性材料内にイオンが拡散することによる割れの発生を防止する。本明細書に記載
した任意の電気化学セルについて、高機械強度層は、任意選択で、一部が電極及び前記第
1イオン伝導・電子絶縁性材料に接着される。任意選択で、第1高機械強度層は、任意選
択で、イオン伝導・電子絶縁性材料及び電極を密着して位置決めする。任意選択で、高機
械強度層は形状記憶挙動を有するか、又は、形状記憶合金、形状記憶ポリマー、又はニト
ノールを含む。任意選択で、第1高機械強度層は予圧される。本明細書に記載した任意の
電気化学セルについて、高機械強度層は、任意選択で、3次元構造を有するか、又は3次
元メッシュを含む。任意選択で、高機械強度層は予圧される。任意選択で、第1高機械強
度層は予圧され、それにより、1つまたは複数のイオン伝導・電子絶縁性材料と電極との
間に物理的接触を提供する。任意選択で、繊維又はメッシュは結合効果を有し、前記第1
イオン伝導・電子絶縁性材料を合わせて結合する。本明細書に記載した任意の電気化学セ
ルについて、繊維又はメッシュは、任意選択で、ポリマー又はPVDFポリマー又はゴム
を含む。
【0131】
任意選択で、本明細書に記載した任意のセパレータ及び/又は膜について、例えば、複
数の開口を含む高機械強度層からなる単層又は多層セパレータは、さまざまな用途に有用
である。一実施形態では、本明細書に記載した任意のセパレータ及び/又は膜を、電気化
学セルのセパレータとして用いる。一実施形態では、本明細書に記載した任意のセパレー
タ及び/又は膜を、液体濾過膜として用いる。一実施形態では、本明細書に記載した任意
のセパレータ及び/又は膜を、気体濾過膜として用いる。一実施形態では、本明細書に記
載した任意のセパレータ及び/又は膜を、電気化学セル内の改変電極(engineered elect
rodes)として用いる。一実施形態では、本明細書に記載した任意のセパレータ及び/又
は膜を、工業用濾過用のフィルターとして用いる。一実施形態では、本明細書に記載した
任意のセパレータ及び/又は膜を、生物濾過膜として用いる。一実施形態では、本明細書
に記載した任意のセパレータ及び/又は膜を、食品業における工業用濾過膜として用いる
。一実施形態では、本明細書に記載した任意のセパレータ及び/又は膜を、製薬業におけ
る工業用濾過膜として用いる。
【0132】
本発明によるセパレータ及び膜は、逆浸透、限外濾過、精密濾過による物質の凝縮及び
分離、半導体業における高度浄化水又は高純度化学物質の製造;脱脂工程又は電着工程か
らの廃棄物の回収;製紙工程、油水分離工程、油性エマルジョン分離工程等、さまざまな
工業プロセスにおける廃液処理;果汁及び野菜汁の濃縮、大豆加工、製糖等、醗酵生産物
の分離と精製;人工腎臓、血液成分及びバクテリア分離用のマイクロフィルター及び医薬
品用のセパレータ又は精製装置等の医療用途;バイオリアクタ等の生物工学装置;及び燃
料電池の電極等に好適に用いられ、及び/又は、任意選択で用いられる。
【0133】
一実施形態において、本発明は、本明細書に記載した任意の電気化学セルであって、該
セルのカソードと電子的及び/又は物理的に接触しない電子伝導層を含む電気化学セルを
提供し、例えば、電子伝導層が該セルのアノードと電子的及び/又は物理的に接触する電
気化学セルを提供する。
【0134】
一実施形態において、本発明は、本明細書に記載した任意の電気化学セルであって、該
セルのアノードと電子的及び/又は物理的に接触しない電子伝導層を含む電気化学セルを
提供し、例えば、電子伝導層が該セルのカソードと電子的及び/又は物理的に接触する電
気化学セルを提供する。
【0135】
一実施形態において、本発明は、本明細書に記載した任意の電気化学セルであって、液
体電極ではない電極と電子的及び/又は物理的に接触する電子伝導層を含む電気化学セル
を提供し、例えば、電子伝導層が空気電極又は酸素電極ではない電極と電子的及び/又は
物理的に接触する電気化学セルを提供する。
【0136】
任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学セルにおいて、電気化学セルは、セパ
レータの電子伝導層等の電子伝導層であって、カソードと電子的及び/又は物理的に接触
するものを含まない。任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学セルにおいて、電
気化学セルは、セパレータの電子伝導層等の電子伝導層であって、正電極と電子的及び/
又は物理的に接触するものを含まない。
【0137】
任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学セルにおいて、電気化学セルは、セパ
レータの電子伝導層等の電子伝導層であって、アノードと電子的及び/又は物理的に接触
するものを含まない。任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学セルにおいて、電
気化学セルは、セパレータの電子伝導層等の電子伝導層であって、負電極と電子的及び/
又は物理的に接触するものを含まない。任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学
セルにおいて、金属層は多孔質金属層又は有孔金属層を含む。
【0138】
任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学セルにおいて、電気化学セルは、セパ
レータの電子伝導層等の電子伝導層であって、液体電極と電子的及び/又は物理的に接触
するものを含まない。任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学セルにおいて、電
気化学セルは、セパレータの電子伝導層等の電子伝導層であって、酸素電極と電子的及び
/又は物理的に接触するものを含まない。
【0139】
理論に束縛されることを望むものではないが、本発明に関する基本原理又は機構の概要
又は理解に関して、本明細書で説明され得る。説明又は仮説の最終的な正確さに関係なく
、本発明の実施形態は有効且つ有用であることが認識される。
【図面の簡単な説明】
【0140】
図1】相補的な開口パターンを有する平行な第1高機械強度層及び第2高機械強度層を備えた電気化学システム用の多層セパレータシステムであり、第2開口パターンが、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パターンの開口と第2パターンの開口との重なりがないように第1パターンに対してオフセット配列を有する多層セパレータシステムの側面斜視図を提供する。
図2】相補的な開口パターンを有する平行な第1高機械強度層及び第2高機械強度層を備えた電気化学システム用の多層セパレータシステムであり、第2開口パターンが、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パターンの開口と第2パターンの開口とに選択範囲の重なり、例えばセパレータシステムにおけるデンドライト成長を最小化又は回避する選択範囲の重なりがあるように第1パターンに対してオフセット配列を有する多層セパレータシステムの側面斜視図を提供する。
図3】電解質含有層により分離されたパターン化した第1高機械強度層及び第2高機械強度層を有する、本発明の多層セパレータシステムの断面図を示す概略図を提供する。
図4】電解質含有層により分離されたパターン化した第1高機械強度層、第2高機械強度層、及び第3高機械強度層を有する本発明の多層セパレータシステムの断面図を示す概略図を提供する。
図5】電解質含有層により分離された第1高機械強度層及び第2高機械強度層の開口及び中実領域の向きを示す、本発明の多層セパレータシステムの断面図を示す概略図を提供する。
図6】電解質含有層により分離されたパターン化した第1高機械強度層、第2高機械強度層、及び第3高機械強度層の開口及び中実領域の向きを示す、本発明の多層セパレータシステムの断面図を示す概略図を提供する。
図7】相補的なパターン開口を有する2つのパターン化した高機械強度層を備えたセパレータシステムを備えた、本発明のリチウム電池の断面図を提供する概略図を提供する。
図8】相補的なパターン開口を有する4つのパターン化した高機械強度層を備えたセパレータシステムを備えた、本発明のリチウム電池の断面図を提供する概略図を提供する。
図9】相補的なパターン開口を有する3つのパターン化した高機械強度層を備えたセパレータシステムを備えた、本発明の電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10A】リチウム金属アノードと、カソードと、相補的な開口パターンを有する3つの高機械強度層、2つの低イオン抵抗層、2つの電解質含有空隙、及びフレームコンポーネントを備えたセパレータシステムとを備えた、本発明の電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10B】保護固体電解質を備えたセパレータを有する電気化学セル(例えば、Li−空気電池、Li−水電池で有用である)であり、固体電解質が所望のイオン(Li等)を通すが水、空気、CO、汚染物、及び電気化学セルの性能を低下させる材料に対して不透過性である、電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10C】保護固体電解質を備えたセパレータを有する電気化学セル(例えば、Li−空気電池、Li−水電池で有用である)であり、固体電解質が所望のイオン(Li等)を通すが水、空気、CO、汚染物、及び電気化学セルの性能を低下させる材料に対して不透過性である、電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10D】保護固体電解質を備えたセパレータを有する電気化学セル(例えば、Li−硫黄電池で有用である)であり、固体電解質が所望のイオン(Li等)を通すが電気化学セルの性能を低下させるカソードとアノードとの間の粒子通過に対して不透過性である、電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10E】セパレータを有する電気化学セルであり、アノードに隣接したセパレータの伝導側が、例えば、デンドライト成長を停止させ、モス状堆積等でのアノード損失を低減し、且つサイクル充電時にカソード物質がアノードへ移ってアノード粒子と集電体との間の電子接触を断ち電気化学セルの性能を低下させるのを防ぐことにより、アノード損失を低減する、電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10F】セパレータを有する電気化学セルであり、有孔セパレータ板及び多孔質層が、電極間の電子絶縁を提供するが流体電解質(水性又は非プロトン性)を介した電極間のイオン接続を提供することによりセパレータとして働く、電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10G】セパレータを有する電気化学セルであり、2つの高機械強度層の形状記憶効果がセパレータと電極との間の非常に良好な機械的接触をもたらす、電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10H】セパレータを有する電気化学セルであり、2つの高機械強度層の超弾性及び/又は形状記憶効果がセパレータと電極との間の非常に良好な機械的接触をもたらす、電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10I】セパレータを有する電気化学セルであり、2つの高機械強度層の超弾性及び/又は形状記憶効果がセパレータと電極との間の非常に良好な機械的接触をもたらす、電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10J】セパレータを有する電気化学セルであり、セパレータの伝導側が、アノード粒子と集電体との間の電子接触を断ち電気化学セルの性能を低下させるサイクル充電時のケイ素の大きな変形等におけるアノード損失を低減する、電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10K】セパレータを有する電気化学セルであり、アノードに隣接したセパレータの伝導側が、アノード粒子と集電体との間の電子接触を断ち電気化学セルの性能を低下させるサイクル充電時のケイ素の大きな変形等におけるアノード損失を低減する、電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10L】電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10M】電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10N】電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10O】電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図10P】電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。
図11A】本発明のいくつかのセパレータシステムの多孔質パターン層の設計の例を提供する。
図11B】本発明のいくつかのセパレータシステムの多孔質パターン層の設計の例を提供する。
図12】本発明のセパレータシステムを含む電気化学セルの断面図の概略図を示す。
図13】本発明の電気化学システムにおいて短絡を起こすために必要なデンドライト成長の軌道を示す概略図を提供する。
図14】パネルA〜Mで、本発明のセパレータシステムのパターン化した高機械強度層で有用な相補的な開口パターンの例を提供する。
図15】(A)125ミクロンの全厚を有する本発明の多層セパレータシステム及び(B)25ミクロンの厚さを有するCelgardセパレータを有する電気化学セルのサイクル数の関数としての、充電容量及び放電容量(mAh/g)のグラフを提供する。
図16】(B、線2及び3)従来のセパレータを有する電気化学セルと比較した、(A、線1、5、及び6)本発明の多層セパレータシステム、Li金属アノード、及びLiCoOカソードを有する電気化学セルのサイクル数の関数としての充電容量及び放電容量(mAh/g)のグラフを提供する。
図17】(線F及びD)2つのCelgard層間に有孔カプトンを設けて作製した参照電極及び(線H及びI)25ミクロンの厚さを有するCelgardセパレータと比較した、(線A、B、及びC)本発明の多層セパレータシステム、Li金属アノード、及びLiCoOカソードを有する電気化学セルのサイクル数の関数としての充電容量及び放電容量(mAh/g)のグラフを提供する。
図18】相補的な開口パターンを有する3つの高機械強度層を備えた多層セパレータを有する本発明の電気化学セルを示す概略図を提供する。
図19図18に示す多層セパレータを通過するLiイオンの軌道を示す概略図を提供する。
図20】本発明の多層セパレータにより分離された2つの左右対称(5/9)インチリチウムチップからの定電流リチウムストリッピングに関するサイクル時間(時)に対するセル電圧(V対Li)のグラフを提供する。
図21】電流[ミリアンペア]対時間[時]及び電圧[v]対時間[時]のグラフを提供する。
図22】本発明の多層セパレータにより分離されたLi−金属、LiFePOカソードで作製したCR2032セルでの時間[秒]の関数としての電流[A](上)及び電圧[v](下)のグラフを提供する。
図23】いくつかの実施形態及び実験のセパレータシステムで有用な有孔層の写真を提供する。
図24】いくつかの実施形態及び実験のセパレータシステムで有用な有孔層の写真を提供する。
図25】いくつかの実施形態のセパレータシステムで有用な有孔層の写真を提供する。
図26】一実施形態のセパレータで有用な有孔層の写真を提供する。
図27】一実施形態のセパレータで有用な有孔層の写真を提供する。
図28】一実施形態のセパレータで有用な有孔層の写真を提供する。
図29】一実施形態のセパレータで有用な有孔層の写真を提供する。
図30】一実施形態のセパレータで有用な有孔層の写真を提供する。
図31】複合膜を含む電気化学セル実施形態の断面図を提供する。
図32】さまざまな複合膜実施形態を示す。
図33A】充電前の電気化学セルの概略断面図を提供する。
図33B】充電後の電気化学セルの概略断面図を提供する。
図33C】複数回の充放電サイクル後の電気化学セルの概略断面図を提供する。
図33D】複数回の充放電サイクル後の電気化学セルの概略断面図を提供する。
図34】イオン・電子伝導層を電極に隣接して位置決めした電気化学セルから得られた実験データを示すグラフを提供する。
図35】イオン・電子伝導層を電極に隣接して位置決めした電気化学セルから得られた実験データを示すグラフを提供する。
図36】イオン・電子伝導層を電極に隣接して位置決めした電気化学セルから得られた実験データを示すグラフを提供する。
図37】イオン・電子伝導層を電極に隣接して位置決めした電気化学セルから得られた実験データを示すグラフを提供する。
図38】イオン・電子伝導層を電極に隣接して位置決めした電気化学セルから得られた実験データを示すグラフを提供する。
図39】イオン・電子伝導層を電極に隣接して位置決めした電気化学セルから得られた実験データを示すグラフを提供する。
図40】イオン・電子伝導層を電極に隣接して位置決めした電気化学セルから得られた実験データを示すグラフを提供する。
図41】イオン・電子伝導層を電極に隣接して位置決めした電気化学セルから得られた実験データを示すグラフを提供する。
図42】イオン・電子伝導層を電極に隣接して位置決めした電気化学セルから得られた実験データを示すグラフを提供する。
図43】イオン・電子伝導層を電極に隣接して位置決めした電気化学セルから得られた実験データを示すグラフを提供する。
図44】1つ又は複数の伝導性層を含む電気化学セルの実施形態の概略断面図を提供する。
図45】1つ又は複数の伝導性層を含む電気化学セルの実施形態の概略断面図を提供する。
図46】1つ又は複数の伝導性層を含む電気化学セルの実施形態の概略断面図を提供する。
図47】1つ又は複数の伝導性層を含む電気化学セルの実施形態の概略断面図を提供する。
図48】1つ又は複数の伝導性層を含む電気化学セルの実施形態の概略断面図を提供する。
図49】1つ又は複数の伝導性層を含む電気化学セルの実施形態の概略断面図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0141】
概して、本明細書で用いる用語及び句は、当業者に既知の標準的な教科書、雑誌文献、
及び文脈を参照して見ることができる、当該技術分野において認知されている意味を有す
る。以下の定義は、本発明に関する特定の用途を明確化するために提供される。
【0142】
図面を参照すると、同様の符号は、同様の符号は同様の要素を示し、2つ以上の図面に
現れる同じ番号は同じ要素を指す。さらに、下記では以下の定義が適用される。
【0143】
用語「電気化学セル」は、化学エネルギーを電気エネルギーに、又は電気エネルギーを
化学エネルギーに変換する装置及び/又は装置コンポーネントを指す。電気化学セルは、
2つ以上の電極(例えば、正電極及び負電極)及び電解質を有し、電極表面で生じる電極
反応は、電荷移動プロセスをもたらす。電気化学セルとして、限定はされないが、一次電
池、二次電池、及び電解システムが挙げられる。特定の実施形態では、電気化学セルとい
う用語は、燃料電池、スーパーキャパシタ、キャパシタ、フロー電池、金属−空気電池、
及び半固体電池を含む。一般的なセル及び/又は電池構成は、当該技術分野で既知であり
、例えば、米国特許第6,489,055号、第4,052,539号、第6,306,
540号、Seel and Dahn J. Electrochem. Soc.
147(3)892−898 (2000)を参照されたい。
【0144】
用語「容量」は、電池等の電気化学セルが保持できる総電荷量を指す電気化学セルの特
徴である。容量は、通常はアンペア時の単位で表す。用語「比容量」は、単位重量あたり
の電池等の電気化学セルの容量出力を指す。比容量は、通常はアンペア時kg−1の単位
で表す。
【0145】
用語「放電率」は、電気化学セルが放電される電流に関する。放電率は、アンペア単位
で表すことができる。代替的に、放電率は、電気化学セルの定格容量に正規化してC/(
Xt)として表すことができ、式中、Cは電気化学セルの容量であり、Xは変数であり、
tは本明細書で用いられる場合は1時間に等しい指定の時間単位である。
【0146】
「電流密度」は、単位電極面積あたりに流れる電流を指す。
【0147】
電極は、イオン及び電子を電解質と交換する導体と外部回路とを指す。「正電極」及び
「カソード」は、本明細書では同義に用いられ、電気化学セルにおいて高い電極電位(す
なわち、負電極よりも高い)を有する電極を指す。「負電極」及び「アノード」は、本明
細書では同義に用いられ、電気化学セルにおいて低い電極電位(すなわち、正電極よりも
低い)を有する電極を指す。カソード還元は、化学種の電子(単数又は複数)の獲得を指
し、アノード酸化は、化学種の電子(単数又は複数)の損失を指す。本電気化学セルの正
電極及び負電極は、アセチレンブラック、カーボンブラック、粉末状黒鉛、コークス、炭
素繊維、グラフェン、及び金属粉末等の導電性希釈剤をさらに備えることができ、且つ/
又はポリマーバインダ等のバインダをさらに備えることができる。いくつかの実施形態で
正電極に有用なバインダは、ポリフッ化ビニル(PVDF)等のフルオロポリマーを含む
。本発明の正電極及び負電極は、電気化学及び電池科学の分野で既知の一定範囲の有用な
構成及びフォームファクタで設けることができ、これには、薄膜電極構成等の薄い電極設
計が含まれる。電極は、本明細書に開示し且つ当該技術分野で既知のように、例えば、米
国特許第4.052,539号、第6.306,540号、及び第6.852,446号
に例えば開示されているように製造される。いくつかの実施形態では、電極は、電極物質
のスラリー、導電性の不活性材料、バインダ、及び液体キャリアを電極集電体に堆積させ
てから、キャリアを蒸発させて緻密体を集電体と電気接触させることにより、通常は作製
される。
【0148】
「電極電位」は、種々の酸化(原子価)状態で化学種が参照電極内に又はこれと接触し
て存在することによる、この電極に対して通常測定される電圧を指す。
【0149】
「電解質」は、固体状態、液体状態(最も一般的)、又はより頻度は低いがガス(例え
ば、プラズマ)であり得るイオン伝導体を指す。
【0150】
「標準電極電位」(E°)は、溶質の濃度が1M、ガス圧が1atm、温度が25℃で
ある場合の電極電位を指す。本明細書で用いられる場合、標準電極電位は、標準水素電極
に対して測定される。
【0151】
「活物質」は、電気化学セルにエネルギーを蓄積及び/又は伝達する電気化学反応に関
与する電極における材料を指す。
【0152】
「カチオン」は、正に帯電したイオンを指し、「アニオン」は、負に帯電したイオンを
指す。
【0153】
「電気接触」、「電気連通」、「電子接触」、及び「電子連通」は、電流が物体から物
体へ効率的に流れるような1つ又は複数の物体の配置を指す。例えば、いくつかの実施形
態では、両者間の電気抵抗が100Ω未満である2つの物体が、相互に電気連通している
と考えられる。電気接触は、外部の装置又は回路との電気連通、例えば電気相互接続を確
立するのに用いる装置又は物体のコンポーネントも指し得る。「電気連通」は、電子移動
の形態等での相互間の電荷移動が可能な2つ以上の材料及び/又は構造の能力を指す。い
くつかの実施形態では、電気連通したコンポーネントは、直接的に電気連通しており、電
子信号又は電荷担体がコンポーネントからコンポーネントへ直接移送される。いくつかの
実施形態では、電気連通したコンポーネントは、間接的に電気連通しており、電子信号又
は電荷担体が、コンポーネントを分離する回路素子等の1つ又は複数の中間構造を介して
コンポーネントからコンポーネントへ間接的に移送される。
【0154】
「熱接触」及び「熱連通」は、同義に用いられ、集電体又は伝熱棒及びヒートシンク又
は熱源等の要素又は材料が熱的に分離又は熱的に絶縁された場合よりも2つの要素間で熱
が効率的に伝達されるような、それらの向き又は位置を指す。要素又は材料は、熱的に分
離又は熱的に絶縁された場合よりも急速に両者間に熱が輸送される場合に、熱連通又は熱
接触していると考えられる。熱連通又は熱接触した2つの要素は、熱平衡又は熱的定常状
態に達することができ、いくつかの実施形態では、常に相互に対して熱平衡又は熱的定常
状態にあると考えられ得る。いくつかの実施形態では、相互に熱連通した要素は、熱伝導
性材料又は中間熱伝導性材料若しくは装置コンポーネントにより相互に分離される。いく
つかの実施形態では、相互に熱連通した要素は、1μm以下の距離だけ分離される。いく
つかの実施形態では、相互に熱連通した要素は、物理的に接触して設けられる。
【0155】
「高機械強度」は、対向する電極同士の物理的接触を防止し、セル内の外的物体、例え
ば製造の際に発生した金属粒子等に起因する短絡を防止し、二次電気化学セルの充放電サ
イクル中に電気化学セルの正電極と負電極との間のデンドライト成長に起因する短絡を防
止するのに十分な機械的強度を有する、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機
械強度層、及び第4高機械強度層等の本発明のセパレータシステムのコンポーネントの特
性を指す。一実施形態では、例えば、高機械強度層は、セル内の外的物体、例えば製造の
際に発生した金属粒子等に起因する貫通、及び、電極間のデンドライト成長に起因する短
絡を防止するのに十分な機械的強度を有する。一実施形態では、例えば、高機械強度層は
、電気化学セル内の外的物体、例えば製造の際に発生した金属粒子等に起因する当該セル
の正電極と負電極との間の短絡、及びデンドライト成長に起因する短絡を防止するのに十
分な機械的強度を有する。一実施形態では、例えば、高機械強度層は、500MPa以上
のヤング率、場合によってはいくつかの用途で1GPa以上のヤング率、場合によっては
いくつかの用途で10GPa以上のヤング率、場合によってはいくつかの用途で100G
Pa以上のヤング率を特徴とする。一実施形態では、例えば、高機械強度層は、5MPa
以上の降伏強度、場合によってはいくつかの用途で50MPa以上の降伏強度、場合によ
ってはいくつかの用途で100MPa以上の降伏強度、場合によってはいくつかの用途で
500MPa以上の降伏強度を特徴とする。一実施形態では、例えば、高機械強度層は、
0.005N以上の引裂強度、場合によってはいくつかの用途で0.05N以上の引裂強
度、0.5N以上の引裂強度、1N以上の引裂強度を特徴とする。一実施形態では、例え
ば、高機械強度層は、10N以上の初期引裂強度、場合によってはいくつかの用途で10
0N以上の初期引裂強度を特徴とする。一実施形態では、例えば、高機械強度層は、50
MPa以上の引張強度、場合によってはいくつかの用途で100MPa以上の引張強度、
場合によってはいくつかの用途で500MPa以上の引張強度、場合によってはいくつか
の用途で1GPa以上の引張強度を特徴とする。一実施形態では、例えば、高機械強度層
は、10Ncm以上の衝撃強度、場合によってはいくつかの用途で50Ncm以上の衝撃
強度、場合によってはいくつか用途で100Ncm以上の衝撃強度、場合によってはいく
つかの用途で500Ncm以上の衝撃強度を特徴とする。
【0156】
「耐薬品性」は、電極又は電解質等のセル活性化物質に対して有意な化学反応又は電気
化学反応を示さない、本発明のセパレータ及び電気化学システムの層等のコンポーネント
の特性を指す。特定の実施形態において、「耐薬品性」は、また、電気化学セル等の電気
化学システムの作動環境において引張保持率及び伸び保持率が少なくとも90%である、
特性を指す。
【0157】
「熱的に安定」は、セルの通常又は運用上の熱的挙動に起因する有意な化学反応又は電
気化学反応を示さない、本発明のセパレータ及び電気化学システムの層等のコンポーネン
トの特性を指す。「熱的に安定」は、また、融点が100℃を超え、好ましくはいくつか
の実施形態で300℃を超え、場合によっては熱膨張率が50ppm/℃未満である、物
質を指す。一実施形態では、「熱的に安定」は、電気化学セルの性能を大幅に低下させる
温度と共にサイズ又は形状の変化を起こさずに充電式電気化学セルで実施できるような、
セパレータシステムのコンポーネントの特性を指す。
【0158】
「多孔度」は、開口、チャネル、空隙等の孔に対応する高機械強度層等の材料又はコン
ポーネントの量を指す。多孔度は、高機械強度層等の材料、構造、又は装置コンポーネン
トが占める総体積に対する、孔、チャネル、空隙等の孔に対応する材料、構造、又は装置
コンポーネントの体積の割合として表すことができる。
【0159】
電気化学蓄電及び変換用途に有用な電子特性、機械特性、及び化学特性を提供する電気
化学システム用のセパレータシステムを提供する。いくつかの実施形態は、例えば、リチ
ウム電池及び亜鉛系電池におけるデンドライト形成を管理及び制御するのに有用な構造的
、物理的、及び静電的特質を提供する。本発明によるセパレータシステムのいくつかは、
優れたイオン輸送特性を支援すると同時にデンドライトが引き起こす機械的破損、電子的
内部短絡及び/又は熱暴走を防止するのに有効な障壁を提供する、多層で多孔質の幾何学
的形状を有する。いくつかの実施形態は、例えば、シリコンアノード系電池又は空気カソ
ード系電池又はレドックス・フロー電池又は半固体電池を含む電気化学セルのサイクル寿
命及び速度能力向上に有用な構造的、物理的、及び静電的特質を提供する。本発明のセパ
レータシステムは、優れたイオン伝導特性を支援すると同時にデンドライトが引き起こす
機械的破損、短絡、又は熱暴走を防止する障壁を提供する、多層で多孔質の幾何学的形状
を含み、電極導電性を高め及び電界均一性を向上する。いくつかの実施形態は、例えば、
リチウム空気電気又は燃料電池又はフロー電池又は半固体電池等、固体電解質系システム
中の電気化学セルのサイクル寿命及び速度能力を高めるのに有用な、構造的、物理的、及
び静電的特質を提供する。本発明のセパレータシステムは、複合固体電解質/支持メッシ
ュシステム及び固体電解質/支持繊維システムを含み、支持メッシュ又は繊維の靭性及び
長寿命によって固体電解質に硬度及び安全性を提供するものであり、これは、従来の固体
電解質に見られる製造上のピンホール及び動作上の割れの発生なしに薄い固体電解質を製
造及び動作させるのに有用である。
【0160】
ここに紹介したセパレータ及び膜は、逆浸透、限外濾過、精密濾過による物質の凝縮及
び分離、半導体業における高度浄化水又は高純度化学物質の製造;脱脂工程又は電着工程
からの廃棄物の回収;製紙工程、油水分離工程、油性エマルジョン分離工程等、さまざま
な工業プロセスにおける廃液処理;果汁及び野菜汁の濃縮、大豆加工、製糖等、醗酵生産
物の分離と精製;人工腎臓、血液成分及びバクテリア分離用のマイクロフィルター及び医
薬品用のセパレータ又は精製装置等の医療用途;バイオリアクタ等の生物工学装置;及び
燃料電池の電極等に好適に用いられ、及び/又は、任意選択で用いられる。
【0161】
図1は、相補的な開口パターンを有する平行な第1高機械強度層及び第2高機械強度層
を備えた電気化学システム用の多層セパレータシステム100(1)であり、第2開口パ
ターンが、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パタ
ーンの開口と第2パターンの開口との重なりがないように第1パターンに対してオフセッ
ト配列を有する多層セパレータシステム100(1)の側面斜視図を提供する。図1に示
すように、多層セパレータシステム100(1)は、複数の開口、例えば104(1)及
び104(4)を備えた第1パターンを有する第1高機械強度層102(1)と、第2の
複数の開口、例えば104(2)及び104(3)を備えた第2パターンを有する第2高
機械強度層102(2)とを備える。第1層及び第2層は、高さH、長さL、及び幅又は
厚さW等の平面状の幾何学的形状及び横寸法を特徴とする。図1に示すように、開口10
4は、第1高機械強度層102(1)又は第2高機械強度層102(2)の厚さを貫通す
る。各開口104も、高さh、長さl、及び幅又は厚さ(図示せず)等の横寸法を特徴と
する。
【0162】
第2高機械強度層102(2)への第1高機械強度層102(1)のパターンの重畳を
、第2高機械強度層102(2)上に複数のオフセット破線区域106(1)として概略
的に表し、第1高機械強度層102(1)への第2高機械強度層102(2)の重畳を、
第1高機械強度層102(1)上に複数のオフセット破線区域106(2)として概略的
に表す。図1に示す実施形態では、第1パターン及び第2パターンはチェッカー盤に似て
おり、例えば、第1パターンが黒マスに相当し、第2パターンがチェッカー盤の赤マスに
相当する。しかしながら、当業者には明らかとなるように、第1パターン及び第2パター
ンが相互に対してオフセット配列を有し、例えば、第1高機械強度層102(1)から第
2高機械強度層102(2)まで垂直に延びる軸に沿った開口104の重なりが50%、
40%、30%、20%、10%、5%、2%、又は0%以下である限り、ハニカムパタ
ーン、最密円パターン、煉瓦パターン、三角形パターン等の他のパターンも可能である。
図1に示す実施形態では、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に
沿った第1パターンの開口と第2パターンの開口との重なりがない。図1に示す矢印10
8(1)及び108(2)は、第1高機械強度層102(1)から第2高機械強度層10
2(2)まで垂直に延びる軸に沿って重ならない開口の領域を示すために設けられる。第
1高機械強度層の第1開口パターン及び第2高機械強度層の第2開口パターンのオフセッ
ト配列は、例えば、成長するデンドライトを機械的に遮ること及び/又は熱力学的及び/
又は動力学的に不利な曲線軌道を伴う経路を必要とすることにより、第1高機械強度層及
び第2高機械強度層の組み合わせを通したデンドライト成長を防止する。例えば、デンド
ライトは、点110(1)で第1高機械強度層102(1)により物理的に遮られるので
、矢印Aで示すように第2高機械強度層102(2)の開口104(3)を通過すること
しかできない。同様に、デンドライトは、点110(2)で第2高機械強度層102(2
)により物理的に遮られるので、矢印Bで示すように第1高機械強度層102(1)の開
口104(4)を通過することしかできない。
【0163】
図2は、相補的な開口パターンを有する平行な第1高機械強度層及び第2高機械強度層
を備えた電気化学システム用の多層セパレータシステム100(2)であり、第2開口パ
ターンが、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パタ
ーンの開口と第2パターンの開口とに選択範囲の重なりがあるように第1パターンに対し
てオフセット配列を有する多層セパレータシステム100(2)の側面斜視図を提供する
図2に示すように、多層セパレータシステム100(2)は、複数の開口、例えば10
4(5)及び104(9)を備えた第1パターンを有する第1高機械強度層102(3)
と、第2の複数の開口、例えば104(6)、104(7)、及び104(8)を備えた
第2パターンを有する第2高機械強度層102(4)とを備える。第1高機械強度層及び
第2高機械強度層102は、高さH、長さL、及び幅又は厚さW等の横寸法を特徴とする
図2に示すように、開口104は、第1高機械強度層102(3)及び第2高機械強度
層102(4)の厚さを貫通する。各開口104も、高さh、長さl、及び幅又は厚さ(
図示せず)等の横寸法を特徴とする。
【0164】
第2高機械強度層102(4)への第1高機械強度層102(3)のパターンの重畳を
、第2高機械強度層102(4)上に複数のオフセット破線区域106(3)として概略
的に表し、第1高機械強度層102(3)への第2高機械強度層102(4)の重畳を、
第1高機械強度層102(3)上に複数のオフセット破線区域106(4)として概略的
に表す。図2に示す実施形態では、第1パターン及び第2パターンは、第1高機械強度層
102(3)から第2高機械強度層102(4)まで垂直に延びる軸に沿った開口104
の選択された重なりがあるように相互に対してオフセット配列を有する。一実施形態では
、例えば、選択された重なりは、50%、40%、30%、20%、10%、5%、又は
2%以下である。図2に示す実施形態では、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで
垂直に延びる軸に沿った第1パターンの開口と第2パターンの開口との重なりは、0より
も大きい。図2に示す矢印は、開口の重複領域112と、第1高機械強度層102(3)
から第2高機械強度層102(4)まで垂直に延びる軸に沿って重ならない開口の領域と
を示すために設けられる。第1高機械強度層の開口パターン及び第2高機械強度層の開口
パターンのオフセット配列は、例えば、デンドライト成長を遮ること及び/又は熱力学的
及び/又は動力学的に不利な曲線軌道を伴う経路を必要とすることにより、第1高機械強
度層及び第2高機械強度層の組み合わせを通したデンドライト成長を防止する。
【0165】
本発明は、以下の非限定的な実施例によりさらに理解することができる。
【実施例1】
【0166】
電池用、充電式リチウム電池用等の電気化学システム及び化学システム用の、特にLi
−金属電池におけるデンドライト短絡を防止するための新規セパレータ
図3は、電解質含有層(層M)により分離された相補的な開口パターンを有する第1高
機械強度層及び第2高機械強度層(層R及び層F)を有する、本発明の多層セパレータシ
ステムの断面図を示す概略図を提供する。図4は、電解質含有層(層M)により分離され
た第1高機械強度層、第2高機械強度層、及び第3高機械強度層(層R及びF)を有する
本発明の多層セパレータシステムの断面図を示す概略図を提供する。図3及び図4におい
て、層(R)及び層(F)は、例えば電気化学セル等の電気化学システムに組み込んだ場
合に、組み合わせて設けるとセパレータシステムにおけるデンドライト成長を防止する開
口パターンを有する高機械強度層である。図3及び図4において、電解質含有層(単数又
は複数)Mは、層F及びR間に設けられ、いくつかの実施形態では、電解質含有層(単数
又は複数)Mは、層F及びRよりも厚いことが好ましい。電気化学システムにおいて、例
えば、層(単数又は複数)Mは電解質のリザーバとして働く。電気化学システムにおいて
、例えば、層(単数又は複数)Mはセパレータとして働くことにより、正電極と負電極と
の間の電気的且つ/又は物理的接触を防止しつつ正電極と負電極との間のイオン輸送を可
能にして、電気化学セルが効率的な充放電特性を得ることができるようにする。一実施形
態では、例えば、層Mは、導電性の微多孔膜等の低イオン抵抗層である。一実施形態では
、例えば、層Mは、ポリエチレン(PE)膜又はポリプロピレン(PP)膜又は両方の組
み合わせである。
【0167】
いくつかの実施形態では、高機械強度層F及びRは、電気化学セルの電気的短絡、熱暴
走、及び/又は機械的破損の防止等、セルにおけるデンドライト成長を防止するよう機能
する。例として、高機械強度層F及びRは、正電極と負電極との間のデンドライト成長を
防止することにより、リチウム金属電池の短絡及び容量損失を防止するよう構成され得る
。いくつかの実施形態では、高機械強度層F及びRは、相補的な障壁を提供し、障壁のそ
れぞれが、成長するデンドライトと接触した場合の障壁の貫通又は機械的破損を防止する
のに十分な機械的強度を有する。
【0168】
いくつかの実施形態では、高機械強度層F及びRに、層の全厚を貫通する相補的な開口
パターンを設ける。図5は、電解質含有層M等の1つ又は複数の低イオン抵抗層により分
離された第1高機械強度層及び第2高機械強度層の開口(点描領域として概略的に示す)
及び中実領域(塗りつぶし領域として概略的に示す)を示す、本発明の多層セパレータシ
ステムの断面図を示す概略図を提供する。図6は、電解質含有層M等の1つ又は複数の低
イオン抵抗層により分離された第1高機械強度層、第2高機械強度層、及び第3高機械強
度層の開口及び中実領域を示す、本発明の多層セパレータシステムの断面図を示す概略図
を提供する。例として、高機械強度層(単数又は複数)Fは、事前選択された第1開口パ
ターン及び中実領域を特徴とし、高機械強度層(単数又は複数)Rは、高機械強度層Fの
ものとは異なる事前選択された第2開口パターン及び中実領域を特徴とし得る。一実施形
態では、例えば、2つのパターンは相補的であり、高機械強度層F及びRのそれぞれが、
高機械強度層の両側からのイオン及び電解質の輸送を可能にする開口(例えば、貫通孔、
ナノ孔、微小孔、チャネル等)を有するが、多層セパレータシステムの幾何学的形状にお
ける高機械強度層F及びRの配列は、例えば上記高機械強度層(単数又は複数)Rから高
機械強度層(単数又は複数)Fまで垂直に延びる軸に沿って、高機械強度層Fの開口を高
機械強度層Rの中実領域と一致させ、高機械強度層Fの中実領域を高機械強度層Rの孔と
一致させる。一実施形態では、例えば、高機械強度層F及びRの開口は、層F及びRを組
み合わせて、例えば平行又は同心状の向きで設けた場合に両方の層F及びRの孔を直線が
通ることができないように、相互に対してオフセットさせる。この空間配置は、例えば、
白マス及び黒マスを有するチェス盤等の周期的パターンを考えることにより可視化するこ
とができ、白マスは開口に相当し、黒マスは高機械強度層の中実領域に相当する。一例で
は、高機械強度層Fを通常のチェス盤の形式とすることができ、高機械強度層Rが逆のも
の、白ブロック(開口に相当)が黒マス(層Fの中実部分)にあり黒ブロック(中実領域
に相当)が白マス(層Fの孔)の代わりにある誤ったチェス盤の形式である。このオフセ
ット配列から、多層の幾何学的形状で設けた場合に全部の孔が隣接層の中実領域により遮
られる少なくとも2つの高機械強度層が得られる。
【0169】
高機械強度層F及びR間に低イオン抵抗層M(通常のセパレータ)を配置することで、
セパレータシステムを貫通する望ましくないデンドライト成長を防止するセパレータシス
テムが得られる。しかしながら、セルの抵抗に対するセパレータシステムの効果を最小化
するために、いくつかの実施形態では、成長するデンドライトを遮るのに十分な機械的強
度を提供するのに必要な厚さを少なくとも維持しつつ、高機械強度層F及びRの厚さを最
小化することが望ましい。
【0170】
一実施形態では、例えば、高機械強度層F及びRは非常に薄く(例えば、厚さ100μ
m以下、場合によってはいくつかの実施形態では厚さ20μm以下)、したがって場合に
よっては層Mの前側及び/又は後面の1つ又は複数のコーティングの形態であり得る。高
機械強度層F及びRの孔の体積分率及び表面分率は、所与の用途で選択され、いくつかの
用途では、表面−体積の少なくとも1/4、任意に半分が開口を含み、残りが不透過性の
中実領域を含むことが好ましい。一実施形態では、高機械強度層F及びRは、電気化学セ
ルの他のコンポーネントと反応せず耐薬品性であり熱的に安定な材料を含む。一実施形態
では、高機械強度層F及びRは電子絶縁体を含む。
【0171】
リチウム−金属電池に有用な特定の実施形態では、高機械強度層F及びRは、イオン及
び電解質が開口を通過するのを許すが電気化学セルの正電極と負電極との間の電流の直接
通過は防止する相補的な開口パターンを有する、ポリエチレン膜又はポリイミド膜又はポ
リエステル膜又はポリプロピレン膜又はテフロン又はそれらの材料の混合物を含む。一実
施形態では、例えば、低イオン抵抗層Mは、多孔質ポリエチレン膜又は多孔質ポリプロピ
レン膜又はそれらの混合物である。一実施形態では、低イオン抵抗層Mは、10nm〜2
00μmの範囲、80μm〜120μmの範囲、又は、5μm〜25μmの範囲から選択
される厚さを有し、高機械強度層F及びRはそれぞれ独立して、5μm〜200μmの範
囲、10μm〜30μmの範囲、又は、5μm〜30μmの範囲から選択される厚さを有
する。一実施形態では、高機械強度層F及びRは、相補的な周期的開口パターン及び中実
領域を有し、開口及び/又は中実領域を特徴付ける単位セルの1つ又は複数の横寸法は、
例えば、1マイクロメートル〜1ミリメートル、好ましくはいくつかの用途で10マイク
ロメートル〜30マイクロメートルの範囲で選択される。開口の単位セルの横寸法のサイ
ズがより小さく、層Rの平均開口サイズの10倍ほどの大きさしかないことが、いくつか
の実施形態では好ましいが、作製に関して大きな開口に実用上の利点があり得ることが認
められるので、開口の物理的寸法の選択には妥協があり得る。
【0172】
当業者には明らかとなるように、セパレータシステムのコンポーネントの組成、物理的
寸法(例えば、厚さ)、及び機械的特性(例えば、多孔度)は、電気化学又は化学セルの
タイプ及び/又は用途に応じて変わり得る。一実施形態では、例えば、鉛蓄電池用のセパ
レータシステムは、リチウム−金属電池用のセパレータシステムよりも大きな孔サイズを
有する、より厚い高機械強度層を用い得る。
【0173】
図3及び図5に示す上記R−M−F及びF−M−R−M−Fシステムに加えて、他のセ
パレータの幾何学的形状もいくつかの用途で有用である。例として、本発明は、デンドラ
イト成長を防止するよう選択された開口パターンを有する3つ、4つ、5つ、6つ、7つ
、8つ等の高機械強度層を備えた多層システムを含む。図4及び図6に示すF−M−R−
M−Fシステムに相当するもの等の3つ以上の高機械強度層を有する多層システムは、い
くつかの用途で好ましいが、それは、これらが正電極から負電極へのデンドライト成長を
効率的に防止するよう構成され得るにもかかわらず、セルに対する付加抵抗が有用な充放
電性能を提供するのに十分なほど低く維持されたままであり得るからである。
【0174】
例として、本発明の高エネルギー充電式リチウム電池は、(1)リチウム金属若しくは
リチウム合金、又はリチウム金属及び/又はリチウム合金又は亜鉛金属又は酸化亜鉛又は
亜鉛合金又はケイ素及び別の材料の混合物を含むアノードと、(2)カソードと、(3)
アノードとカソードとの間に配置した本発明のセパレータシステムと、(4)セパレータ
を介してアノード及びカソードとイオン連通する、場合によっては物理的に接触する1つ
又は複数の電解質とを備える。一実施形態では、例えば、電解質は、固体、ゲル、又は液
体(例えば、流体)である。いくつかの実施形態では、電極は、固体材料又は半固体電池
若しくはフロー電池若しくはフローセルで用いられるもの等の半固体粒子(例えば、液体
中の小さな固体粒子)である。セパレータシステムの断面幾何学的形状は、矩形、円形、
正方形等を含む範囲の形状であり得る。
【0175】
図7は、相補的なパターン開口を有する2つの高機械強度層を備えたセパレータシステ
ムを備えた、本発明のリチウム電池の断面図を提供する概略図を提供する。電気化学セル
は、電解質リザーバを含む多層セパレータシステムにより分離されたアノード(例えば、
リチウム金属)及びカソードを備える。多層セパレータは、電解質含有セパレータ及び/
又はスペーサ等の低イオン抵抗層により分離された相補的な開口パターンを有する2つの
高機械強度層を備える。さらに、非常に多孔質な媒体が、高機械強度層とアノード及びカ
ソードコンポーネントとの間に設けられる。図7に示すように、高機械強度層は、交互の
開口及び中実領域を含むパターンを有する(例えば、図7において、塗りつぶし領域が高
機械強度層の中実領域に相当し、点描領域が高機械強度層を貫通する開口に相当する)。
図示の実施形態では、高機械強度層は、カソードとアノードとの間のデンドライト成長を
防止することが可能な相補的な開口パターンを有し、図7に示すように、第1高機械強度
層の開放領域(例えば、開口)は、層から垂直に延びる軸に沿った第2高機械強度層の中
実領域に対応する。
【0176】
図8図10は、本発明のさらに他の装置構成及び装置コンポーネントを示すリチウム
電池の他の実施形態の例を提供する。図8は、相補的なパターン開口を有する4つの高機
械強度層を備えたセパレータシステムを備えた、本発明のリチウム電池の断面図を提供す
る概略図を提供する。図8に示す装置では、高機械強度層Rをアノードに直接物理的に接
触して設け、高機械強度層Fをカソードに直接物理的に接触して設ける。図8に示す実施
形態では、2つの層Rは同じ開口パターンを有し、2つの層Fは同じ開口パターンを有す
る。層R及びFのパターンは共に、カソードからアノードまで垂直に延びる軸に沿ったア
ノードとカソードとの間の直接的な直線経路をなくすことによりデンドライト成長関連短
絡を防止する、相補的なパターンを含む。図8に示す実施形態では、高機械強度層Rを、
イオンを層Rに通過させてアノード表面と相互作用させるようにアノードと物理的に接触
して設け、高機械強度層Fを、イオンを層Fに通過させてカソード表面と相互作用させる
ようにカソードと物理的に接触して設ける。
【0177】
図9は、相補的なパターン開口を有する3つの高機械強度層を備えたセパレータシステ
ムを備えた、本発明の電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。図9に示す装
置では、非常に多孔質な層(例えば、多孔度≧80%)を高機械強度層Fとアノードとの
間に設け、非常に多孔質な層(例えば多孔度≧80%)を、高機械強度層Fとカソードと
の間に設ける。図9に示す装置では、高機械強度層Rは、高機械強度層Fの開口パターン
と相補的な開口パターンを有し、多孔質層(例えば、多孔度≧50%)を、高機械強度層
Rと高機械強度層Fとの間に設ける。一実施形態では、例えば、2つの高機械強度層Fは
同じ開口パターンを特徴とする。図9に示す実施形態では、2つの層Fは同じ開口パター
ンを有する。層R及び2つの層Fにおけるパターンは共に、カソードからアノードまで垂
直に延びる軸に沿ったアノードとカソードとの間の直接的な直線経路をなくすことにより
デンドライト成長関連短絡を防止する、相補的なパターンを含む。図9に示す実施形態で
は、非常に多孔質な層(例えば、多孔度≧80%)を、イオンをこの多孔質層に通過させ
てアノード表面と相互作用させるようにアノード表面と物理的に接触させて設け、非常に
多孔質な層(例えば、多孔度≧80%)を、イオンをこの多孔質層に通過させてカソード
表面と相互作用させるようにカソード表面と物理的に接触させて設ける。
【0178】
図10Aは、リチウム金属アノードと、カソードと、相補的な開口パターンを有する3
つの高機械強度層、2つの低イオン抵抗層、2つの電解質含有空隙、及びフレームコンポ
ーネントを備えたセパレータシステムとを備えた、本発明の電気化学セルの断面図を提供
する概略図を提供する。いくつかの実施形態では、例えば、フレーム層(単数又は複数)
は、多層構成体全体のコンポーネントを物理的に一体化し、取り付け、且つ/又は機械的
に支持する手段を提供する。図10に示すリチウム電池では、電解質含有空隙をアノード
と開口パターンを有する第1高機械強度層との間に設け、電解質含有空隙をカソードと開
口パターンを有する第2高機械強度層との間に設ける。いくつかの実施形態では、例えば
、電極と高機械強度層との間の電解質含有空隙の組み込みは、セルの有用な充放電特性を
利用するために電極表面積を減らすことを回避するのに有用である。図10Aに示す装置
では、高機械強度層Rは、高機械強度層Fの開口パターンと相補的な開口パターンを有し
、低イオン抵抗層(例えば、多孔度≧50%)を、高機械強度層Rと高機械強度層Fとの
間に設ける。
【0179】
図10Bは、保護固体電解質を備えたセパレータを有する電気化学セル(例えば、Li
−空気電池、Li−水電池で有用である)であり、固体電解質が所望のイオン(Li+等
)を通すが水、空気、CO、汚染物、及び電気化学セルの性能を低下させる材料に対し
て不透過性である、電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。電気化学セルは
、リチウムアノード等のアノードと、炭素−水カソード又は炭素−空気カソード等のカソ
ードと、相補的な開口パターンを有する2つの高機械強度層、3つの低イオン抵抗層、及
びLISICON層等の固体電解質層を備えたセパレータシステムとを備える。図10B
に示す装置では、高機械強度層は、有孔カプトン層等の電子絶縁性でもある任意に耐薬品
性で熱的に安定な有孔層である。カプトンを含む相補的な高機械強度層の使用が、いくつ
かの実施形態ではデンドライト成長の防止に有用である。図10Bに示すように、非常に
多孔質な層(例えば、≧80%)等の第1低イオン抵抗層をアノードと第1高機械強度層
との間に設け、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第2低イオン抵抗層を第1高
機械強度層と第2高機械強度層との間に設け、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等
の第3低イオン抵抗層を第2高機械強度層とカソードとの間に設ける。図10Bに示すよ
うに、LISICON層等の固体電解質層を第3低イオン抵抗層とカソードとの間に設け
て、イオンをカソード表面に輸送可能であるようにする。一実施形態では、例えば、固体
電解質層は、カソードの表面と物理的に接触して設けられる。いくつかの実施形態では、
固体電解質層(例えば、LISICON層)の組み込みは、カソードの保護、例えば、カ
ソード表面及び固体電解質以外の電解質コンポーネント等の電気化学セルのコンポーネン
トとの望ましくない化学反応からの保護に有用である。いくつかの実施形態では、固体電
解質層(例えば、LISICON層)は、第1電解質を有する電気化学セルの第1側を第
1電解質とは異なる第2電解質を有する電気化学セルの第2側から分離する化学障壁層を
提供する。したがって、この態様の実施形態は、選択されたアノード組成及びカソード組
成にそれぞれ特に合わせた2つの別個の電解質を統合する手段を提供し得る。
【0180】
図10Cは、保護固体電解質を備えたセパレータを有する電気化学セル(例えば、Li
−空気電池、Li−水電池で有用である)であり、固体電解質が所望のイオン(Li+等
)を通すが水、空気、CO2、汚染物、及び電気化学セルの性能を低下させる材料に対し
て不透過性である、電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。電気化学セルは
、リチウムアノードと、炭素−水カソード又は炭素−空気カソード等のカソードと、相補
的な開口パターンを有する2つの高機械強度層、3つの低イオン抵抗層、及びLISIC
ON層等の固体電解質層を備えたセパレータシステムとを備える。図10Cにおける電気
化学セルの全体的な幾何学的形状は、図10Bに示すものと同様であり、非常に多孔質な
層(例えば、≧80%)等の第1低イオン抵抗層をアノードと第1高機械強度層との間に
設け、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第2低イオン抵抗層を第1高機械強度
層と第2高機械強度層との間に設け、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第3低
イオン抵抗層を第2高機械強度層とカソードとの間に設け、LISICON層等の固体電
解質層を第3低イオン抵抗層とカソードとの間に設けて、イオンをカソード表面に輸送可
能であるようにする。しかしながら、図10の電気化学セルでは、高機械強度層は、いく
つかの実施形態においてデンドライト成長の防止及びモス状堆積等でのアノード損失の低
減に有用である相補的な開口パターンを有する有孔金属層である。図10Bに関連した説
明と同様に、固体電解質層(例えば、LISICON層)の組み込みは、カソードの保護
、例えば、カソード表面及び固体電解質以外の電解質コンポーネント等の電気化学セルの
コンポーネントとの望ましくない化学反応からの保護に有用である。いくつかの実施形態
では、固体電解質層(例えば、LISICON層)は、第1電解質を有する電気化学セル
の第1側を第1電解質とは異なる第2電解質を有する電気化学セルの第2側から分離する
化学障壁層を提供し、したがって、選択されたアノード組成及びカソード組成にそれぞれ
特に合わせた2つの別個の電解質を統合する手段を提供し得る。
【0181】
図10Dは、保護固体電解質を備えたセパレータを有する電気化学セル(例えば、Li
−硫黄電池で有用である)であり、固体電解質が所望のイオン(Li+等)を通すが電気
化学セルの性能を低下させるカソードとアノードとの間の粒子通過に対して不透過性であ
る、電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。電気化学セルは、リチウムアノ
ード等のアノードと、硫黄系カソード等のカソードと、相補的な開口パターンを有する2
つの高機械強度層、3つの低イオン抵抗層、及びLISICON層等の固体電解質層を備
えたセパレータシステムとを備える。図10Dにおける電気化学セルの全体的な幾何学的
形状は、図10B及び図10Cに示すものと同様であり、非常に多孔質な層(例えば、≧
80%)等の第1低イオン抵抗層をアノードと第1高機械強度層との間に設け、非常に多
孔質な層(例えば、≧80%)等の第2低イオン抵抗層を第1高機械強度層と第2高機械
強度層との間に設け、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第3低イオン抵抗層を
第2高機械強度層とカソードとの間に設け、LISICON層等の固体電解質層を第3低
イオン抵抗層とカソードとの間に設けて、イオンをカソード表面に輸送可能であるように
する。しかしながら、図10Dの電気化学セルでは、高機械強度層は相補的な開口パター
ンを有する有孔金属層であり、カソードは任意に硫黄系カソードである。本セパレータへ
の高機械強度層の組み込みは、いくつかの実施形態においてデンドライト成長の防止、モ
ス状堆積等でのアノード損失の低減、及びアノードへのカソード物質の移行の停止に有用
である。図10Bに関連した説明と同様に、固体電解質層(例えば、LISICON層)
の組み込みは、カソードの保護、例えば、カソード表面及び固体電解質以外の電解質コン
ポーネント等の電気化学セルのコンポーネントとの望ましくない化学反応からの保護に有
用である。いくつかの実施形態では、固体電解質層(例えば、LISICON層)は、第
1電解質を有する電気化学セルの第1側を第1電解質とは異なる第2電解質を有する電気
化学セルの第2側から分離する化学障壁層を提供し、したがって、選択されたアノード組
成及びカソード組成にそれぞれ特に合わせた2つの別個の電解質を統合する手段を提供し
得る。
【0182】
図10Eは、セパレータを有する電気化学セルであり、アノードに隣接したセパレータ
の伝導側が、例えば、デンドライト成長を停止させ、モス状堆積等でのアノード損失を低
減し、且つサイクル充電時にカソード物質がアノードへ移ってアノード粒子と集電体との
間の電子接触を断ち電気化学セルの性能を低下させるのを防ぐことにより、アノード損失
を低減する、電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。例えば、カソードに隣
接した導電側がカソードの導電性を高めることで、より長いライフサイクル、より大きな
パワー及びより厚いカソード、及びより高エネルギーのカソード、したがってよりよい電
気化学セルを得ることができる。電気化学セルは、リチウムアノード等のアノードと、L
iFePO、LiCoOカソード等のカソードと、相補的な開口パターンを有する2
つの高機械強度層、3つの低イオン抵抗層、及びカーボンブラック層等の機械抵抗性、耐
薬品性、及び耐熱性のイオン伝導層を備えたセパレータシステムとを備える。図10E
おける電気化学セルの全体的な幾何学的形状は、図10B図10C、及び図10Dに示
すものと同様であり、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第1低イオン抵抗層を
アノードと第1高機械強度層との間に設け、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の
第2低イオン抵抗層を第1高機械強度層と第2高機械強度層との間に設け、非常に多孔質
な層(例えば、≧80%)等の第3低イオン抵抗層を第2高機械強度層とカソードとの間
に設ける。しかしながら、図10Eの電気化学セルでは、第1高機械強度層は有孔金属層
を含み、第2高機械強度層は有孔カプトン層等の有孔電子絶縁層を含む。この実施形態で
は、有孔金属層及び有孔カプトン層は、デンドライト成長を防止するための相補的な開口
パターンを有する。さらに、機械抵抗性、耐薬品性、及び耐熱性のイオン伝導性カーボン
ブラック層は、カソードに隣接して、場合によってはカソードと電気的に接触且つ/又は
物理的に接触して設けられる。
【0183】
図10Fは、セパレータを有する電気化学セルであり、有孔セパレータ板及び多孔質層
が、電極間の電子絶縁を提供するが流体電解質(水性又は非プロトン性)を介した電極間
のイオン接続を提供することによりセパレータとして働く、電気化学セルの断面図を提供
する概略図を提供する。電気化学セルは、ケイ素、Li、Zn、ZnO、黒鉛、又はLT
Oアノード等のアノードと、LiFePO4、LiCoO2、硫黄、又はAgカソード等
のカソードと、相補的な開口パターンを有する2つの高機械強度層及び3つの低イオン抵
抗層を備えたセパレータシステムとを備える。図10Fに示すように、非常に多孔質な層
(例えば、≧80%)等の第1低イオン抵抗層をアノードと第1高機械強度層との間に設
け、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第2低イオン抵抗層を第1高機械強度層
と第2高機械強度層との間に設け、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第3低イ
オン抵抗層を第2高機械強度層とカソードとの間に設ける。図10Fの電気化学セルでは
、第1高機械強度層及び第2高機械強度層は独立して、PE又はPPコーティング等の1
つ又は複数の絶縁コーティングを有する有孔金属層等の機械抵抗性、耐薬品性、及び耐熱
性の電子絶縁層を含む。
【0184】
図10Gは、セパレータを有する電気化学セルであり、2つの高機械強度層の形状記憶
効果がセパレータと電極との間の非常に良好な機械的接触をもたらす、電気化学セルの断
面図を提供する概略図を提供する。電気化学セルは、ケイ素、Li、Zn、ZnO、黒鉛
、又はLTOアノード等のアノードと、LiFePO4、LiCoO2、硫黄、又はAg
カソード等のカソードと、相補的な開口パターンを有する2つの高機械強度層及び3つの
低イオン抵抗層を備えたセパレータシステムとを備える。図10Gにおける電気化学セル
の全体的な幾何学的形状は、図10Fに示すものと同様であり、非常に多孔質な層(例え
ば、≧80%)等の第1低イオン抵抗層をアノードと第1高機械強度層との間に設け、非
常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第2低イオン抵抗層を第1高機械強度層と第2
高機械強度層との間に設け、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第3低イオン抵
抗層を第2高機械強度層とカソードとの間に設ける。しかしながら、図10Gの電気化学
セルでは、第1高機械強度層及び第2高機械強度層は独立して、任意にPE又はPPを塗
布した有孔ニチノール層等の形状記憶効果を示す機械抵抗性、耐薬品性、及び耐熱性の電
子絶縁層を含む。
【0185】
図10Hは、セパレータを有する電気化学セルであり、2つの高機械強度層の超弾性及
び/又は形状記憶効果がセパレータと電極との間の非常に良好な機械的接触をもたらす、
電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。この実施形態の一実施形態では、例
えば、高度な電気接触が固体電解質とカソードとの間に設けられる。電気化学セルは、ケ
イ素、Li、Zn、ZnO、黒鉛、又はLTOアノード等のアノードと、LiFePO
、LiCoO、硫黄、Ag、炭素−空気、炭素−水カソード等のカソードと、相補的な
開口パターンを有する2つの高機械強度層、3つの低イオン抵抗層、及びLISICON
又はPEO(ポリエチレンオキシド)層等の固体電解質層を備えたセパレータシステムと
を備える。図10Hにおける電気化学セルの全体的な幾何学的形状は、図10B図10
C、及び図10Dに示すものと同様であり、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の
第1低イオン抵抗層をアノードと第1高機械強度層との間に設け、非常に多孔質な層(例
えば、≧80%)等の第2低イオン抵抗層を第1高機械強度層と第2高機械強度層との間
に設け、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第3低イオン抵抗層を第2高機械強
度層とカソードとの間に設け、LISICON又はPEO層等の固体電解質層を第3低イ
オン抵抗層とカソードとの間に設けて、イオンをカソード表面に輸送可能であるようにす
る。しかしながら、図10Hの電気化学セルでは、高機械強度層は、任意にPE又はPP
を塗布され得る有孔ニチノール層等の超弾性又は形状記憶効果を有する機械抵抗性、耐薬
品性、及び耐熱性の電子絶縁層である。図10Bに関連した説明と同様に、固体電解質層
(例えば、LISICON又はPEO層)の組み込みは、カソードの保護、例えば、カソ
ード表面及び固体電解質以外の電解質コンポーネント等の電気化学セルのコンポーネント
との望ましくない化学反応からの保護に有用である。いくつかの実施形態では、固体電解
質層(例えば、LISICON層)は、第1電解質を有する電気化学セルの第1側を第1
電解質とは異なる第2電解質を有する電気化学セルの第2側から分離する化学障壁層を提
供し、したがって、この態様の実施形態は、選択されたアノード組成及びカソード組成に
それぞれ特に合わせた2つの別個の電解質を統合する手段を提供し得る。
【0186】
図10Iは、セパレータを有する電気化学セルであり、2つの高機械強度層の超弾性及
び/又は形状記憶効果がセパレータと電極との間の非常に良好な機械的接触をもたらす、
電気化学セルの断面図を提供する概略図を提供する。この態様の一実施形態では、例えば
、高度な電気接触が固体電解質とカソードとの間に設けられる。電気化学セルは、ケイ素
、Li、Zn、ZnO、黒鉛、又はLTOアノード等のアノードと、LiFePO、L
iCoO、硫黄、Ag、炭素−空気、炭素−水カソード等のカソードと、相補的な開口
パターンを有する2つの高機械強度層、3つの低イオン抵抗層、及びLISICON又は
PEO層等の固体電解質層を備えたセパレータシステムとを備える。図10Iにおける電
気化学セルの全体的な幾何学的形状は、図10B図10C、及び図10Dに示すものと
同様であり、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第1低イオン抵抗層をアノード
と第1高機械強度層との間に設け、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第2低イ
オン抵抗層を第1高機械強度層と第2高機械強度層との間に設け、非常に多孔質な層(例
えば、≧80%)等の第3低イオン抵抗層を第2高機械強度層とカソードとの間に設け、
LISICON層等の固体電解質層を第3低イオン抵抗層とカソードとの間に設けて、イ
オンをカソード表面に輸送可能であるようにする。しかしながら、図10Iの電気化学セ
ルでは、高機械強度層は、有孔形状記憶ポリマー層等の超弾性及び/又は形状記憶効果を
示す機械抵抗性、耐薬品性、及び耐熱性の電子絶縁層である。図10Bに関連した説明と
同様に、固体電解質層(例えば、LISICON又はPEO層)の組み込みは、カソード
の保護、例えば、カソード表面及び固体電解質以外の電解質コンポーネント等の電気化学
セルのコンポーネントとの望ましくない化学反応からの保護に有用である。いくつかの実
施形態では、固体電解質層(例えば、LISICON又はPEO層)は、第1電解質を有
する電気化学セルの第1側を第1電解質とは異なる第2電解質を有する電気化学セルの第
2側から分離する化学障壁層を提供し、したがって、選択されたアノード組成及びカソー
ド組成にそれぞれ特に合わせた2つの別個の電解質を統合する手段を提供し得る。
【0187】
図10Jは、セパレータを有する電気化学セルであり、セパレータの伝導側が、アノー
ド粒子と集電体との間の電子接触を断ち電気化学セルの性能を低下させるサイクル充電時
のケイ素の大きな変形等におけるアノード損失を低減する、電気化学セルの断面図を提供
する概略図を提供する。電気化学セルは、ケイ素アノード等のアノードと、LiFePO
又はLiCoOカソード等のカソードと、相補的な開口パターンを有する2つの高機
械強度層及び3つの低イオン抵抗層を備えたセパレータシステムとを備える。図10J
おける電気化学セルの全体的な幾何学的形状は、図10Fに示すものと同様であり、非常
に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第1低イオン抵抗層をアノードと第1高機械強度
層との間に設け、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第2低イオン抵抗層を第1
高機械強度層と第2高機械強度層との間に設け、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)
等の第3低イオン抵抗層を第2高機械強度層とカソードとの間に設ける。しかしながら、
図10Jの電気化学セルでは、第1高機械強度層は、有孔金属層等のアノードに近接して
位置決めした機械抵抗性、耐薬品性、及び耐熱性のイオン伝導・導電層を含み、第2高機
械強度層は、有孔カプトン層等のカソードに近接して位置決めした機械抵抗性、耐薬品性
、及び非導電性の有孔層を含む。
【0188】
図10Kは、セパレータを有する電気化学セルであり、アノードに隣接したセパレータ
の伝導側が、アノード粒子と集電体との間の電子接触を断ち電気化学セルの性能を低下さ
せるサイクル充電時のケイ素の大きな変形等におけるアノード損失を低減する、電気化学
セルの断面図を提供する概略図を提供する。この態様の一実施形態では、カソードに隣接
した導電側がカソードの導電性を高めることで、より長いライフサイクル、より大きなパ
ワー及びより厚いカソード、及びより高エネルギーのカソード、したがってよりよい電気
化学セルを得ることができる。電気化学セルは、ケイ素アノード等のアノードと、LiF
ePO又はLiCoOカソード等のカソードと、相補的な開口パターンを有する3つ
の高機械強度層及び3つの低イオン抵抗層を備えたセパレータシステムとを備える。図1
0Kに示すように、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第1低イオン抵抗層をア
ノードと第1高機械強度層との間に設け、非常に多孔質な層(例えば、≧80%)等の第
2低イオン抵抗層を第1高機械強度層と第2高機械強度層との間に設け、非常に多孔質な
層(例えば、≧80%)等の第3低イオン抵抗層を第2高機械強度層と第3高機械強度層
との間に設ける。図10Kの電気化学セルでは、アノード及びカソードに近接して位置決
めした第1高機械強度層及び第3高機械強度層はそれぞれ、有孔金属層等の機械抵抗性、
耐薬品性、及び耐熱性の層を含み、上記第1高機械強度層と第2高機械強度層との間に設
けた第2高機械強度層は、有孔カプトン層等の機械抵抗性、耐薬品性、及び耐熱性の電子
絶縁・イオン伝導層を含む。
【0189】
図10Lは、カソードに隣接して位置決めしたイオン伝導性且つ電子伝導性の機械抵抗
性、耐薬品性、及び耐熱性の層を有する電気化学セルの実施形態の断面図を提供する概略
図を提供する。本実施形態の電気化学セルは、ケイ素アノード等のアノードと、LiFe
PO又はLiCoO等のカソードと、多孔度80%の多孔質PE層等の超多孔質層の
対、カーボンブラック等の電子伝導性且つイオン伝導性の機械抵抗性、耐薬品性、及び/
又は耐熱性の層、例えばPE、PP、又は有孔カプトン等のイオン伝導性だが電子絶縁性
の機械抵抗性、及び耐薬品性、及び/又は耐熱性の層を含む一連の層とを備える。正電極
に隣接して位置決めした、イオン伝導性且つ電子伝導性の機械抵抗性、耐薬品性、及び/
又は耐熱性の層を用いることにより、充放電中に膨張及び縮小するカソード物質の使用が
可能になり、この層が集電用の二次導電経路を提供し、それによりカソード集電体へ電子
が送られうる。
【0190】
図10Mは、電気化学セルの実施形態の断面図を提供する概略図を提供する。本実施形
態の電気化学セルは、ケイ素、Li、亜鉛、酸化亜鉛、LTO、黒鉛、Na、Mg、Sn
、Cd、Pb、またはPbOアノード等のアノードと、LiFePO、LiCoO
、FeS、V、LVO、炭素−空気、炭素−水、銀、酸化銀、Ni、Pb、PbO
、又は炭素等のカソードと、PE、PP、カプトン、又は繊維状セルロース等の、イオ
ン伝導性だが電子絶縁性の機械抵抗性、耐薬品性、及び/又は耐熱性セパレータ層と、カ
ソード表面、アノード表面、及び/、又はセパレータの外面に任意選択で設けた一対の電
子伝導性薄膜コーティング、例えば、5nmのカーボンブラック層等と、を備える。電極
の一方又は両方に隣接して電子伝導性薄膜コーティングを用いることにより、この層が集
電用の二次導電経路を提供し、それによりカソード集電体又はアノード集電体へ電子が送
られうる。例えば、ケイ素等においてはサイクル充電の際の大きな変形により電極活粒子
と集電体との間の電子接触が断たれ、電気化学セルの性能が低下しうるが、電極外部に伝
導層を設けることにより、そのような容量損失が減少する。同時に、伝導性コーティング
(ナノメータ厚さのカーボンブラック等)は、イオン伝導性であり、Liイオン等のイオ
ンを通過させる。
【0191】
図10Nは、電気化学セルの実施形態の断面図を提供する概略図を提供する。本実施形
態の電気化学セルは、リチウム等のアノードと、多孔度80%の多孔質PE等の1つ又は
複数の多孔質層と、有孔金属等の、機械抵抗性、耐薬品性、及び/又は耐熱性の電子・イ
オン伝導層と、有孔カプトン層等の、機械抵抗性、耐薬品性、及び/又は耐熱性のイオン
伝導・電子絶縁層と、カーボンブラック等の、機械的抵抗性、耐薬品性、及び/又は耐熱
性の電子・イオン伝導層と、LiFePO又はLiCoO等のカソードとを備える。
アノードに近接した伝導性材料は、例えば、デンドライト成長を抑制し、モス状堆積等の
アノード損失を減少させ、アノード粒子と集電体との間の電子的接続を断つことにより電
気化学セルの性能を低下させるサイクル充電の際のアノードへのカソード物質の移行を停
止することにより、アノード損失を減少する。カソードに近接する伝導性物質がカソード
の電子伝導性を高めることで、より長いサイクル寿命、より大きなパワー、より厚いカソ
ード、及びより高いエネルギーのカソード、したがってよりよい電気化学セルを得ること
ができる。
【0192】
図10Oは、電気化学セルの実施形態の断面図を提供する概略図を提供する。本実施形
態の電気化学セルは、ケイ素等のアノードと、多孔度80%の多孔質PE等の1つ又は複
数の多孔質層と、アノード又はカソードに近接して位置決めし、任意選択で、多孔質層に
より離間して設けた、有孔金属等の少なくとも機械的抵抗性、耐薬品性、及び/又は耐熱
性の電子・イオン伝導層と、有孔カプトン層等の機械的抵抗性、耐薬品性、及び/又は耐
熱性のイオン伝導・電子絶縁層と、LiFePOまたはLiCoO等のカソードとを
備える。例えば、ケイ素等においてはサイクル充電の際の大きな変形によりアノード粒子
と集電体との間の電子接触が断たれ、電気化学セルの性能が低下しうるが、アノードに近
接して伝導性物質を設けることにより、そのようなアノード損失を減少する。カソードに
近接した伝導側がカソードの電子伝導性を高めることで、より長いサイクル寿命、より大
きなパワー、より厚いカソード、及びより高いエネルギーのカソード、したがってよりよ
い電気化学セルを得ることができる。
【0193】
図10Pは、電気化学セルの実施形態の断面図を提供する概略図を提供する。本実施形
態の電気化学セルは、電気化学セルは、ケイ素等のアノードと、多孔度80%の多孔質P
E等の1つ又は複数の多孔質層と、カーボンブラック等の少なくとも2つの機械的抵抗性
、耐薬品性、及び/又は耐熱性の電子・イオン伝導層と、有孔カプトン層等の機械的抵抗
性、耐薬品性、及び/又は耐熱性のイオン伝導・電子絶縁層と、LiFePO又はLi
CoO等のカソードと、を備える。例えば、ケイ素等においてはサイクル充電の際の大
きな変形によりアノード粒子と集電体との間の電子接触が断たれ、電気化学セルの性能が
低下しうるが、アノードに近接して伝導性物質を設けることにより、そのようなアノード
損失を減少する。カソードに近接した伝導側がカソードの電子伝導性を高めることで、よ
り長いサイクル寿命、より大きなパワー、より厚いカソード、及びより高いエネルギーの
カソード、したがってよりよい電気化学セルを得ることができる。
【0194】
図11A及び図11Bは、図2図10Aにおける層F等の本発明のいくつかのセパレ
ータシステムの多孔質パターン層の設計の例を提供する。図11A及び図11Bに示す実
施形態では、例えば、交互の多孔質領域(点描領域として概略的に示す)及び中実領域(
塗りつぶし領域として概略的に示す)がある。これらの実施形態では、層(単数又は複数
)Rは、層Fの設計の逆の開口パターンを提供し得る。図11A及び図11Bでは、パタ
ーンは、交互の矩形多孔質領域及び中実領域を特徴とする。任意選択で、層F又は層Rの
いくつかは、固体電解質又はゲル状電解質によって満たした開口を有する。
【実施例2】
【0195】
高性能の安価な充電式リチウム電池:セパレータ及び電極の設計
これまで知られていた最高エネルギー電池は、安価で非常に高いエネルギー/パワー密
度を有する亜鉛及びリチウム等の金属を用いたものである。一方、これらの電池の充電は
重大な安全上の危険をもたらす。安全上の問題を緩和する要件は、デンドライト形成、事
故、及び熱暴走に抵抗できる非常に頑丈だが導電性の高いセパレータである。
【0196】
セパレータ及び電極の組み立てに工学的方法を用いて、本実施例のセパレータシステム
は、さまざまな電池ケミストリーで安全性、耐久性、パワー及びエネルギー性能の著しい
改善をもたらす。本発明の一手法は、電池産業で用いられる最も効率的なケミストリーに
工学的知識及び方法を適用することである。本実施例に示すように、本発明は、超安全で
高容量のセパレータを作製するための製造し易い方法を提供する。市販のリチウム金属、
LiFePO、及び本セパレータシステムからできているコインセル試験で、従来のC
elgardセパレータに匹敵するセパレータ導電性、固体の機械的強度、及び−40℃
〜200℃の作業温度範囲を実証する。本実施例のセパレータシステムは、Li−イオン
系スーパーキャパシタ、Li−イオン系フロー電池、Li−硫黄、Li−空気、Li−水
、亜鉛電池、マンガン電池、シリコンアノード電池、又は亜鉛−空気電池の主要部分であ
り得る。
【0197】
本発明の特定の態様の目標は、リチウム金属、亜鉛電池、シリコンアノード電池、空気
カソード電池及びフロー電池等の既存の再充電不可能な高エネルギーケミストリーの再充
電性、安全性、及び高サイクル寿命を改善し、特に実用規模の電池におけるエネルギー蓄
積の課題に対する経済的解決を与える高エネルギー充電式金属−空気電池用の高度電気化
学システムを提供することである。
【0198】
最新のリチウム電池の多くは、内部短絡を招き得ると共に火災及び爆発を招き得るデン
ドライト形成を主に理由として、充電可能ではない。同時に、潜在的に高エネルギーアノ
ードとしてのケイ素は、好ましい方向に慎重に成長させた非常に高価なナノシリコン(拡
張不可能)を用いなければ、非常に大きな形状変化を起こして集電体との電気接触を失う
。多くの異なる電解質及び添加剤が試験され、産業レベルのシステムで有用ではなかった
。近年では、さまざまな固体電解質が安全性の向上のために導入されているが、これらは
液体電解質−セパレータシステムと比較して桁違いに低い導電性しか有さず、非常に少な
いサイクル後に疲労、割れ、及び電極−電解質接点の損失に起因して性能を落とす。
【0199】
新規の拡張可能なプロセスを用いて、本発明の態様は、デンドライト成長に抵抗する機
械的に剛性の材料(例えば、1GPaを超える弾性率及び−200℃〜400℃の温度範
囲)を有する非常に多孔質なセパレータシステム(例えば、室温で液体電解質に対して1
−2S/cm以上の伝導率)を提供する。本セパレータシステムの実施形態は、さまざ
まなケミストリーで高エネルギー且つ低コストの実用規模の電池を可能にする新たな装置
構造を提供する。本セパレータシステムの実施形態は、事故のない輸送機関用電池も提供
する。実験結果は、例えば、本セパレータシステムを組み込んだ電池が容量損失なし又は
最小限の容量損失で5,000サイクルよりも多くを達成し得ることを示す。さらに、セ
パレータシステムのいくつかは、現在のリチウム電池製造ですでに用いられている鋳込み
及びロールツーロール加工法に容易に組み入れることが可能である。
【0200】
本発明の特定の実施形態の重要な特徴は、高い導電率及び高い安全性を同時に提供する
多層セパレータシステムである。図12は、本発明のセパレータシステムを含む電気化学
セルの断面図の概略図を示す。図12に示すように、電気化学セルは、セパレータシステ
ム(5)により相互に分離されたアノード(3)及びカソード(4)を備える。この実施
形態では、セパレータシステム(5)は、頑丈な材料を含み開口パターンを有する有孔層
(1及び1’)と、フレーム及び/又は非常に多孔質な層(2)とを含む複数の層を備え
る。セパレータ材料の有孔層の高い弾性率は、デンドライトが障壁を直接貫通するのを防
止する。図14は、本発明のセパレータシステムの有孔層で有用な開口パターンの例を提
供する。図14に示すように、セパレータシステムの有孔層は円形又は矩形の開口を有し
得る。図14は、デンドライト成長、短絡、及び機械的破損を防止するのに有用な有孔層
の相補的なパターンも示す。例えば、パネルA及びBは、特定のセパレータシステムのオ
フセット配列で設けた場合に重ならない相補的な開口パターンを提供する。パネルCは、
パネルA及びBのパターンの重畳を概略的に示し、これはオフセット配列が開口の重なり
をもたらさないことを示す。同様に、パネルF及びGは、特定のセパレータシステムのオ
フセット配列で設けた場合に重ならない相補的な開口パターンを提供する。同様に、パネ
ルH及びIは、特定のセパレータシステムのオフセット配列で設けた場合に重ならない相
補的な開口パターンを提供する。同様に、パネルJ及びKは、特定のセパレータシステム
のオフセット配列で設けた場合に重ならない相補的な開口パターンを提供する。同様に、
パネルL及びMは、特定のセパレータシステムのオフセット配列で設けた場合に重ならな
い相補的な矩形開口パターンを提供する。
【0201】
有孔層における多数の開口は、セパレータの高伝導率を確実にし、連続した層における
孔のオフセット配列は、電極間の直接経路がないことを確実にする。高機械強度層からデ
ンドライトへの力が、デンドライト成長を減速又は停止させる。電気化学セルにおいて、
これがセルの性能を大幅に向上させる。図13は、本発明の電気化学セルにおいて短絡を
起こすために必要なデンドライト成長の軌道を示す概略図を提供する。この図では、デン
ドライトをアノードからカソードまで延びる曲線として示す。図13に示すように、デン
ドライトは、有孔層を通過して短絡を引き起こすには複数回曲がらなければならない。厳
密に機械的な視点から、リチウムの弾性率(5GPa)は、短い長さ(0.1mm未満)
でのデンドライトの連続した湾曲を可能にするには高すぎ、直線ビームを曲げるのに必要
なエネルギーは、
【数1】

であり、式中、Eは弾性率、Iは慣性モーメント、及びR(x)は各点における曲率、最
後にLは要素の長さである。化学工学的観点から、デンドライトは、動力学的フラストレ
ーションが大きすぎるのでこのような複雑な成長経路を克服できない。さらに、高機械強
度層の固形成分の抵抗圧によりデンドライト成長を減速し、さらには停止することもでき
る。相補的な開口パターンを有する有孔層を含む層状セパレータシステムは、デンドライ
ト成長を効果的に防止し、したがって短絡を防止する。かかる複合セパレータシステムに
必要な材料及び作製法は、本電池作製インフラストラクチャと適合性があり、現在の電池
製造への低コストでの組み入れを可能にする。本発明は、非常に遅い充電(例えば、C/
10)及び非常に速い放電(例えば、4C)の送電網の負荷平準化に適した、費用効果的
で安全な高エネルギーリチウム電池を提供する。本発明は、液体電解質の伝導率、固体電
解質の安全性、高サイクル寿命、及び低コストを特徴とする工業的に優しい電池が得られ
る層状セパレータを作製するプロセスも提供する。任意選択で、いくつかの実施形態にお
いて、ニトノールまたは形状記憶ポリマー等の形状記憶材料で層を形成することによりこ
れを達成する。セパレータの形状記憶層に面内張力等の予圧を与えることにより、層をセ
ル内に入れたときに電極上に面外圧力を引き起こす。これは、18650円筒型電池又は
巻回電池等大型の電池(バッテリーセル)において特に有用でありうる。
【0202】
本発明の電気化学システムは、プレストレス電極等の改変電極の使用とも適合性がある
。リチウム金属は、面外方向に圧縮されると、その表面を均すことによって著しく良好な
性能を示す(モスが少なくデンドライトが少ない)。また、ケイ素アノードの面外圧縮は
、集電体とのはるかによい接触及びはるかに長いライフサイクルをもたらす。本発明のこ
の態様は、電極と固体電解質との間の良好な接触を維持し且つサイクル寿命及び性能を向
上させることにより、固体電池にも役立ち得る。任意選択で、いくつかの実施形態におい
て、いくつかの実施形態において、ニトノール又は形状記憶ポリマー等の形状記憶材料で
形成した層によりこれを達成する。セパレータの形状記憶層に面内張力等の予圧を与える
ことにより、層をセル内に入れたときに電極上に面外圧力を引き起こす。これは、186
50円筒型電池又は巻回電池等大型の電池(バッテリーセル)において特に有用でありう
る。
【0203】
本発明の有益な特質をさらに実証するために、複合層セパレータシステムを組み込んだ
100個を超えるコインセルを作製して評価した。試験したセパレータのいくつかは、0
.025mmのCelgardと比較して、目下0.125mmの厚さであり、C/2で
75%の容量を保つ。先端が鈍角の釘及び大電流サイクル充電、300サイクルで55m
A/cmを含む安全性試験で、セパレータシステムが堅牢であり電池が内部短絡を起こ
さないことが示される。さらに、完全に破壊された5層Celgardセパレータ(0.
125mm厚)とは対照的に、数百サイクル後に測定可能な劣化も容量損失もない。本発
明は、任意選択で、0.075mmの全厚を有するセパレータシステムを含む。本発明は
、任意選択で、400Wh/kgのエネルギー及び5000サイクルの円筒形18650
リチウム金属電池の10kWhパックに有用なセパレータシステムの0.025mm厚ロ
ールを含む。
【0204】
送電網レベルのエネルギー貯蔵は、現在は揚水によって占められており、現在の蓄電の
99%を超えるが、これはごく少数の限られた現場及び用途でしか可能でなく、社会の蓄
電需要の高まりに適していない。他の解決手段は大きな欠点を有する。圧縮空気技術は、
20%未満という非常に低い繰り返し効率しかない。電気化学キャパシタ及びフライホイ
ールは、非常に低いエネルギー/コスト比を有する。高パワー及び高エネルギーの組み合
わせとして用いられるフロー電池は、非常に複雑且つ高価である。現在の電池は、コスト
/エネルギー比及びコスト/パワー比(約$1/Wh)も高い。最新の高エネルギーリチ
ウム−金属、金属−空気、及びナノシリコンケミストリーは、前述のような重大な安全上
/コスト上の問題を有する。
【0205】
いくつかの実施形態では、本発明のセパレータ−電極設計は、現在は安全と考えられず
且つ/又は短いサイクル寿命を有する一定範囲の充電式高エネルギーケミストリーを可能
にする。工業的な製造法(例えば、CNC、成形、鋳造)を用いて、本発明は、電気化学
を工学と組み合わせて最新の電池技術に関する安全性の問題に対処する。高エネルギー電
極と組み合わせた本セパレータシステムは、送電網貯蔵用及び同じく電気自動車用に工業
規模で安全且つ高サイクル寿命の高エネルギー電池を提供する。
【0206】
本システム及び方法は、拡張可能且つ工業的に優しい。セパレータ性能の向上を、本シ
ステム及び方法に従ったいくつかの手法で達成することができる。より小さな孔(0.0
10mm〜0.100mm)を作製し、より薄い層(0.005mm)を用いることによ
る伝導率の改善は、高性能システムを利用するのに有用な手法である。さらに、必要なオ
フセット配列の維持、及び境界及び他の選択区域での加熱による層の取り付けを用いて、
安全性向上を提供するセパレータシステムを利用することができる。
【0207】
図15は、(A)125ミクロンの全厚を有する本発明の多層セパレータシステム及び
(B)25ミクロンの厚さを有するCelgardセパレータを有する電気化学セルのサ
イクル数の関数としての、充電容量及び放電容量(mAh/g)のグラフを提供する。評
価したCR2032コインセルは、Li箔の0.5mm厚アノードと、LiFePO4(
0.0142g)カソードと、EC:DEC:DMC(1:1:1)中の1M LiPF
6とでできている。電圧限界は3v(放電)及び4v(充電)である。化成、C/5での
3サイクル、及びC/2サイクル充電、は、容量の急低下と区別可能である。上の線は、
高機械強度層としての2つの有孔カプトン層と低抵抗層としての3つの有孔Celgar
d2325層とでできたセパレータを示す。下の線は、高機械強度層としての2つの有孔
カプトン層と低抵抗層としての3つのCelgard2325層とでできたセパレータを
示す。セルは室温で試験する。40サイクル〜50サイクル後に測定可能な容量低下は観
察されなかった。図15に示す実験結果は、本セパレータが低抵抗を提供し、したがって
一定範囲の電気化学システムと適合性があることを示す。
【0208】
図16は、(B)従来のセパレータを有する電気化学セルと比較した、(A)本発明の
多層セパレータシステム、Li金属アノード、及びLiCoOカソードを有する電気化
学セルのサイクル数の関数としての充電容量及び放電容量(mAh/g)のグラフを提供
する。電気化学セルはコインセルであり、C/2の放電率で評価した。評価したCR20
32コインセルは、Li箔の0.5mm厚アノードと、LiCoOの0.1mm厚カソ
ードと、EC:DEC:DMC(1:1:1)中の1M LiPF6とでできている。電
圧限界は、3v(放電)及び4.2v(充電)である。化成、C/24での5サイクル、
及びC/2サイクル充電は、容量の急低下と区別可能である。赤線(文字Bで示す)1、
5、6は、高機械強度層としての2つの有孔カプトン層(直径2mmの孔)と低抵抗層と
しての3つのCelgard2325層とでできたセルを示す。青線(文字Aで示す)2
、3は、2つのCelgard層間に有孔カプトンを設けてできた参照電極を示す。セル
は室温で試験する。セルをC/2でサイクル充電させ、次にC/24で数サイクルにわた
りサイクル充電させ、次に再度C/2でサイクル充電させた。実験結果は、容量損失がセ
ルにおける化学反応に起因したものではなく、評価した電気化学セルの有孔カプトン層の
抵抗に起因したものである可能性が高かったことを示す。図16は、実験条件によっては
セルにおいて良好な容量に達するためには、その他の材料の使用、表面処理、又は均一な
孔分布、したがってより小さな孔が必要であることを示す。
【0209】
図17は、(ii)75ミクロンの厚さを有する3つの従来のセパレータを有する電気
化学セル及び(iii)25ミクロンの厚さを有するCelgardセパレータと比較し
た、(i)本発明の多層セパレータシステム、Li金属アノード、及びLiFePO
ソードを有する電気化学セルのサイクル数の関数としての充電容量及び放電容量(mAh
/g)のグラフを提供する。電気化学セルはコインセルであり、C/2の放電率で評価し
た。評価したCR2032コインセルは、Li箔の0.5mm厚アノードと、LiFeP
O4の0.1mm厚カソードと、EC:DEC:DMC(1:1:1)中の1M LiP
F6とからできている。電圧限界は、3v(放電)及び4v(充電)である。化成、C/
24での5サイクル、及びC/2サイクル充電は、容量の急低下と区別可能である。線I
、Hは、単一Celgard層でできたセルを示す。線A、B、Cは、高機械強度層とし
ての2つの有孔カプトン層と低抵抗層としての3つのCelgard2325層とででき
たセパレータを示す。線F及びDは、2つのCelgard層間に有孔カプトン層を設け
てできた参照電極を示す。セルは室温で試験した。この試験は、セルで高容量に達するた
めに薄いセパレータを有することの重要性を実証する。
【0210】
図18は、相補的な開口パターンを有する3つの高機械強度層を備えた多層セパレータ
と、アノードと、カソードとを有する本発明の電気化学セルを示す概略図を提供する。図
19は、図18に示す多層セパレータを通過するLiイオンの軌道を示す概略図を提供
する。Liイオンは、図19に示す多層セパレータを効率的に通過可能であるが、デン
ドライトは同じ軌道をなすことができず、したがって本発明の特定の実施形態では防止さ
れる。さらに、高機械強度層からの力が、デンドライト成長を減速又は停止させる。
【0211】
図20は、2つの対称的な(5/9)インチリチウムチップからの定電流リチウムスト
リッピングに関するサイクル時間(時)に対するセル電圧(V対Li)のグラフを提供す
る。高強度層としての2つのカプトン層とそれらに隣接した低抵抗層としての3つのCe
lgard層とでできた新規セパレータ(0.125mm厚)の層をCR2032セル内
に設ける。Celgard2325を用いる。各セルは、電極としての0.75mmLi
箔と、電解質としてのNovolteからのEC:DEC:DMC(1:1:1)中の1
M LiPF6とでできている。カプトン孔はそれぞれ直径1mmである。セルは、アル
ゴン充填ドライボックス(HO<0.1ppm)内にて室温で試験する。この図は、多
層セパレータがデンドライト短絡を防いで非常に大きな電流でも壊損を防止することがで
きることを示す。
【0212】
図22は、図15の実験に関する電流[アンペア]対時間[秒](上図)及び電圧[v
]対時間[秒](下図)のグラフを示す。これは、上部の赤線を示す。
【0213】
図23図30は、いくつかの実施形態のセパレータシステムで有用な有孔層の写真を
提供する。図23は、例えば、異なるセパレータ材料(5−Celgardセパレータ:
A)と、大電流で数日間のサイクル充電後の新たなセパレータB)〜D):A)5−Ce
lgardセパレータ(左上〜右下:Li+Celgard、Li+Celgard、ス
テンレス鋼集電体)、リチウムデンドライトが突き刺さって破壊された通常のセパレータ
(Celgard)の写真を提供する。図示のように、B)2つの有孔カプトン間のCe
lguard層;C)リチウム電極と接触しているCelgard;D)有孔カプトンに
おいて、セパレータはもはや認識されない。リチウムデンドライトは新たなセパレータを
貫通できなかった。ここで示すように、新たなセパレータのカプトン層は無傷であるが、
カプトン層の右側のCelgardは破壊される。図25図30は、例えば、本発明の
セパレータシステムで用いるためにレーザ切断で準備した1ミリカプトン膜の写真である
【0214】
図23は、直径1/2インチの所内作製セルの参照セパレータとしての5つのCelg
ard層(0.125mm厚)と比較した、高強度層としての2つのカプトン層とそれら
に隣接した低抵抗層としての3つのCelgard層とでできた新規セパレータ(0.1
25mm厚)の層を示す。Celgard2325を用いる。セルは、電極としての0.
75mmLi箔と、電解質としてのNovolteからのEC:DEC:DMC(1:1
:1)中の1M LiPF6とでできている。カプトン孔はそれぞれ直径2mmである。
セルを室温で試験し、アルゴン充填ドライボックス(H2O<0.5ppm)内にて45
分充放電サイクルにおいて55mAでサイクル充電させ、(A)参照セパレータは、5−
Celgard参照セパレータを示し、セルは短絡し、(B−D)は新たなセパレータを
示し、セルは短絡しない。(B)新たなセパレータ:2つの有孔カプトン層間のCelg
ardは無傷であり、(C)新たなセパレータ:リチウム電極と接触したCelgard
は重大な損傷を示し、(D)新たなセパレータ:有孔カプトンは無傷であり、その構造的
完全性を維持し、いかなる短絡も防止する。この図は、多層セパレータがデンドライト短
絡を防いで非常に大きな電流でも壊損を防止することができることを示す。図24(縮小
)は図23(拡大)と同じである。上及び下のグラフは、各設計の2つの隣接する層を示
す。図25図30は、カプトンでできた高強度層設計のいくつかの例を示す。孔はレー
ザ切断で形成する。層のそれぞれのサイズは1/2インチである。孔の直径は、1mm又
は2mmのいずれか一方である。
【実施例3】
【0215】
多層セパレータシステムを有するリチウム電池
本実施例は、本発明の多層セパレータシステムを備えたリチウム電池の例の説明を提供
する。
【0216】
実施例A:本実施例では、それぞれ25マイクロメートル厚の2つのカプトン膜層をセ
パレータシステムに用いる。各層には、それぞれ直径1mmであり壁間の距離を1mmと
したデカルト(垂直−水平)周期孔を穿孔する。25マイクロメートルのCelgard
層を、2つのカプトン層間に配置する。25マイクロメートルのCelgard層を、各
カプトン層と隣接電極との間に配置する。電極はLiCoO及びリチウム金属膜である
。電解質は、EC−DMC−PC−DMEの組み合わせ中のLiPFである。
【0217】
実施例B:本実施例では、それぞれ25マイクロメートル厚の2つのカプトン膜層をセ
パレータシステムに用いる。各層には、それぞれ直径1mmであり壁間の距離を1mmと
したデカルト(垂直−水平)周期孔を穿孔してセパレータシステムに用いる。25マイク
ロメートルのCelgard層を、2つのカプトン層間に配置する。25マイクロメート
ルのCelgard層を、各カプトン層と隣接電極との間に配置する。電極はLiFeP
及びリチウム金属膜である。電解質は、EC−DMC−PC−DMEの組み合わせ中
のLiPFである。
【0218】
実施例C:本実施例では、それぞれ25マイクロメートル厚の2つのカプトン膜層をセ
パレータシステムに用いる。各層には、それぞれ直径1mmであり壁間の距離を1mmと
したデカルト(垂直−水平)周期孔を穿孔し、セパレータシステムに用いる。25マイク
ロメートル厚でそれぞれ1/8インチの3つの孔を有する有孔Celgard層を、2つ
のカプトン層間に配置する。25マイクロメートル厚でそれぞれ1/8インチの3つの孔
を有する有孔Celgard層を、各カプトン層と隣接電極との間に配置する。電極はL
iFePO及びリチウム金属膜である。電解質は、EC−DMC−PC−DMEの組み
合わせ中のLiPFである。
【0219】
実施例D:本実施例では、それぞれ25マイクロメートル厚で直径3/4インチの2つ
のPP膜層をセパレータシステムに用いる。各層には、それぞれ直径1mmであり壁間の
距離を1mmとしたデカルト(垂直−水平)周期孔を穿孔する。25マイクロメートル厚
のCelgardリングを、2つのPP層間に配置する。25マイクロメートル厚で外径
3/4インチ及び内径1/2インチのCelgardリングを、各PP層と隣接電極との
間に配置する。電極はLiFePO及びリチウム金属膜である。電解質は、EC−DM
C−PC−DMEの組み合わせ中のLiPFである。
【0220】
実施例E:本実施例では、それぞれ5マイクロメートル厚で直径3/4インチの2つの
硬質ポリエステル膜層をセパレータシステムに用いる。各層には、それぞれ直径1mmで
あり壁間の距離を1mmとしたデカルト(垂直−水平)周期孔を穿孔する。5マイクロメ
ートル厚のPE/PP/PE微多孔質リングを、2つのカプトン層間に配置する。5マイ
クロメートル厚で外径3/4インチ及び内径1/2インチのPE/PP/PE微多孔質リ
ングを、各カプトン層と隣接電極との間に配置する。電極はLiFePO及びリチウム
金属膜である。電解質は、EC−DMC−PC−DMEの組み合わせ中のLiPFであ
る。
【0221】
実施例F:本実施例では、それぞれ5マイクロメートル厚の2つのステンレス鋼層を用
いる。鋼層には、非常に薄い電子絶縁層を塗布する(ここでは、1マイクロメートル厚の
テフロン、カプトン、PVDF、PEO、PP又はPEコーティングも用いることができ
る)。各層には、それぞれ直径0.5mmであり壁間の距離を0.5mmとしたデカルト
(垂直−水平)周期孔を穿孔する。5マイクロメートルのPE/PP/PE微多孔質層を
、2つのステンレス鋼層間に配置する。5マイクロメートルのPE/PP/PE微多孔質
を、各ステンレス鋼層と隣接電極との間に配置する。電極は、LiFePO及びリチウ
ム金属膜である。電解質は、EC−DMC−PC−DMEの組み合わせ中のLiPF
ある。
【0222】
実施例G:本実施例では、それぞれ5マイクロメートル厚で直径3/4インチの2つの
カプトン膜層をセパレータシステムに用いる。各層には、それぞれ直径1mmであり壁間
の距離を1mmとしたデカルト(垂直−水平)周期孔を穿孔する。5マイクロメートル厚
のCelgardリングを、2つのカプトン層間に配置する。5マイクロメートル厚で外
径3/4インチ及び内径1/2インチのCelgardリングを、リチウム金属膜アノー
ドに隣接したカプトン層とLi電極との間に配置する。25マイクロメートル厚で直径3
/4インチのLISICON層を、第2カプトンと空気炭素電極との間に配置する。LI
SICONのLi側の電解質は、EC−DMC−PC−DMEの組み合わせ中のLiCl
である。LISICONの空気カソード側の電解質は、水性電解質である。
【0223】
実施例H:本実施例では、それぞれ5マイクロメートル厚で直径3/4インチの2つの
PE膜層をセパレータシステムに用いる。各層には、それぞれ直径0.1mmであり壁間
の距離を0.1mmとしたデカルト(垂直−水平)周期孔を穿孔する。25マイクロメー
トル厚で直径3/4インチのLISICON層を、第2PEと空気炭素カソードとの間に
配置する。LISICONのLi側の電解質は、EC−DMC−PC−DMEの組み合わ
せ中のLiPFである。LISICONの空気カソード側の電解質は、水性電解質であ
る。
【0224】
実施例I:本実施例では、それぞれ5マイクロメートル厚の2つのステンレス鋼層を用
いる。鋼層には、内面(近くの電極に面しない側)に非常に薄い電子絶縁層(ここでは、
1マイクロメートル厚のテフロン)を塗布する。各層には、それぞれ直径0.1mmであ
り壁間の距離を0.1mmとしたデカルト(垂直−水平)周期孔を穿孔する。5マイクロ
メートルのCelgard層を、2つのステンレス鋼層間に配置する。5マイクロメート
ルのCelgard層を、各ステンレス鋼層と隣接電極との間に配置する。電極は、部分
的にリチウム化したSi及び部分的にリチウム化した硫黄である。このセパレータを備え
た電池は、より長いサイクル寿命及びより高い充放電(パワー)率を示すと予想される。
【0225】
実施例J:本実施例では、それぞれ5マイクロメートル厚の2つのステンレス鋼層を用
いる。鋼層には、内面(近くの電極に面しない側)に1マイクロメートル厚テフロンの非
常に薄い電子絶縁層と、外面(近くの電極に面する側)に1マイクロメートル厚のポリエ
チレングリコールとを塗布する。各層には、それぞれ直径0.1mmであり壁間の距離を
0.1mmとしたデカルト(垂直−水平)周期孔を穿孔する。5マイクロメートルのセル
ロースセパレータ層を、2つのステンレス鋼層間に配置する。5マイクロメートルのセル
ロースセパレータ層を、各ステンレス鋼層と隣接電極との間に配置する。電極は、Li金
属及び硫黄である。ポリエチレングリコールコーティングが電池のサイクル寿命を延ばす
と予想される。
【0226】
実施例K:本実施例では、それぞれ5マイクロメートル厚で直径3/4インチの2つの
ポリイミド膜層を、セパレータシステムに用いる。各層には、それぞれ直径0.1mmで
あり壁間の距離を0.1mmとしたデカルト(垂直−水平)周期孔を穿孔する。5マイク
ロメートル厚のPE/PP/PE微多孔質リングを、2つのポリイミド層間に配置する。
5マイクロメートル厚で外径3/4インチ及び内径1/2インチのPE/PP/PE微多
孔質リングを、各ポリイミド層と隣接電極との間に配置する。電極は、亜鉛アノード及び
炭素系空気カソードである。電解質は、6M NaOH水溶液である。
【0227】
実施例L:本実施例では、それぞれ5マイクロメートル厚で直径3/4インチの2つの
PP膜層を、セパレータシステムに用いる。各層には、それぞれ直径0.1mmとしたデ
カルト(垂直−水平)周期孔を穿孔する。電極は、亜鉛アノード及び炭素系空気カソード
である。電解質は、6M KOH水溶液である。
【0228】
実施例M:本実施例では、それぞれ5マイクロメートル厚で直径3/4インチの2つの
酸化アルミニウム膜層を、セパレータシステムに用いる。各層には、それぞれ直径0.1
mmで壁間の距離を0.1mmとして、それぞれ多孔度が40%であり重ね合わせると孔
パターンの重なりが5%未満となる任意の孔パターンを穿孔する。5マイクロメートル厚
の微多孔ポリエステルリングを、2つの酸化アルミニウム層間に配置する。5マイクロメ
ートル厚で外径3/4インチ及び内径1/2インチの微多孔ポリエステルリングを、各酸
化アルミニウム層と隣接電極との間に配置する。電極は、亜鉛アノード及び炭素系空気カ
ソードである。電解質は、6M KOH水溶液である。
【0229】
実施例N:本実施例では、それぞれ25マイクロメートル厚で直径3/4インチの2つ
の硬質ポリエステル膜層を、セパレータシステムに用いる。各層には、それぞれ直径1m
mで壁間の距離を1mmとして、それぞれ多孔度が40%であり重ね合わせると孔パター
ンの重なりが5%未満となる任意の孔パターンを穿孔する。25マイクロメートル厚の微
多孔ポリエステルリングを、2つの硬質ポリエステル層間に配置する。25マイクロメー
トル厚で外径3/4インチ及び内径1/2インチの微多孔ポリエステルリングを、各硬質
ポリエステル層と隣接電極との間に配置する。電極は、LiFePO及びシリコン膜で
ある。電解質は、イオン液体である。
【0230】
実施例O:本実施例では、ポリエチレングリコールを塗布したそれぞれ5マイクロメー
トル厚で直径3/4インチの2つのカプトン膜層を、セパレータシステムに用いる。各層
には、それぞれ直径0.01mmで壁間の距離を0.01mmとしたデカルト(垂直−水
平)周期孔を穿孔する。5マイクロメートル厚のCelgardリングを、2つのカプト
ン層間に配置する。5マイクロメートル厚で外径3/4インチ及び内径1/2インチのC
elgardリングを、各カプトン層と隣接電極との間に配置する。電極は、硫黄及びリ
チウム金属膜である。電解質は、ポリマー電解質である。
【0231】
実施例P:本実施例では、それぞれ5マイクロメートル厚で直径3/4インチの2つの
PP膜層を、セパレータシステムに用いる。各層には、それぞれ直径0.001mmで壁
間の距離を0.001mmとしたデカルト(垂直−水平)周期孔を穿孔する。5マイクロ
メートル厚の微多孔ポリエステルリングを、2つのPP層間に配置する。5マイクロメー
トル厚で外径3/4インチ及び内径1/2インチの微多孔ポリエステルリングを、各PP
層と隣接電極との間に配置する。電極は、NMC及び炭素膜である。電解質は、PEOで
ある。
【0232】
実施例Q:層を、各側の外側部分等のいくつかの区域でPEO及びPVDFにより相互
に取り付けた場合の、上記実施例のいずれかと同じである。
【0233】
実施例Rは、LISICONが5マイクロメートルであり、リチウム−空気セルの空気
カソード側で硬質層に堆積させた場合の、実施例Gに相当する。
【0234】
別の実施例では、多孔質パターン層は、以下の物理的寸法、組成、及び機械的特性を有
する。
・厚さ:125ミクロン、75ミクロン、50ミクロン、又は25ミクロン
・引張強度:150MPa等方的(Celgard:15MPa TD(横方向);15
0MPa MD(縦方向))
・多孔度:45%
・弾性率:2GPa
・降伏強度:50MPa
・密度:〜約1.3g/cm
・MIT耐折強度:10000サイクル
・エルメンドルフ引裂強度:0.1N
・グレーブス引裂強度:15N
・衝撃強度:50N.cm
・150℃で30分の収縮:0.2(Celgard:5%〜10%)
・絶縁耐力ASTM D−149−91:250V/m
・誘電率:3.5
・熱膨張率:20ppm/℃
【0235】
これらの特性を有する多孔質パターン層を有する多層セパレータを備えた電気化学セル
が、有用な性能特性を示す。ハーフセル[コインセル]:例えば、LiFePO|LP
71|LiをC/5で200サイクル後に試験した場合、容量はC/2mAh/g〜12
0mAh/gで約140mAh/gであった。外圧を用いた力−変位試験は、セルが短絡
しないが機能を停止したことを示した。C/2で300サイクル後のセパレータシステム
の解析は、劣化が皆無かそれに近いことを示し、セパレータシステムを別のセルで用いる
ことができた。
【0236】
表1及び表2は、本発明の特定の実施形態の高機械強度層及びセパレータシステムの物
理的寸法及び特性の要約を提供する。
【0237】
【表1】
【0238】
【表2】
【0239】
表2に示すセパレータの抵抗率を、1M LiPF EC:EMC(容量で30:7
0)中で試験した。電気化学評価のために、Al−Al電極を有する1/2インチコイン
セル電気化学セルを用いてセパレータを特性化した。セパレータは、それぞれ25μm厚
のcelgard/有孔カプトン/celgard/有孔カプトン/celgardとし
て作製される。
【実施例4】
【0240】
被覆金属メッシュ等の熱伝導層を備えたセパレータ
いくつかの態様では、本発明のセパレータシステムは、PPを塗布したAl、酸化アル
ミニウムを塗布したAl又はAlのような熱伝導セラミックスといった、外部絶縁
コーティングを有する金属メッシュ等の被覆金属層である1つ又は複数の多孔質パターン
層を備える。この態様の実施形態は、電池の寿命を大幅に延ばすのに有益である。一実施
形態では、例えば、金属メッシュ(Al、ニッケル、銅、ステンレス鋼)は、非常に広い
温度範囲にわたって非常に高い機械的強度を有し、金属セパレータは、セルの温度を均一
化してセルの安全性及び寿命を大幅に向上させる熱伝導性材料である。一実施形態では、
セパレータの微多孔質層は、PTFE(又はPP、PEO、Al、PET又はPV
DF)を塗布したアルミニウムメッシュ層(例えば、Alメッシュ、40%開口:それぞ
れ5マイクロメートルの3層又はそれぞれ1/3ミルの2層)であり、一実施形態では、
Al層にPTFEを、例えば各側を2マイクロメートル厚で塗布する。別の実施形態では
、アノードに隣接したAl層のみを被覆する。別の実施形態では、Al層を被覆し、側面
を電極に接触して設ける。
【実施例5】
【0241】
薄膜を作製する新規の方法:メッシュ又は繊維支持セラミック製造、及び、その膜とし
ての用途、例えば、Li−空気電池等の電気化学セル内の固体電解質としての用途、又は
、生物業、食品業、又は濾過におけるフィルターとしての用途
背景:Li−空気電池及びLi−硫黄電池は、現在の電池よりも桁違いに高いエネルギ
ー濃度を有する。これらの電池を作製するための一手法は、LISICON等の半透性膜
を用いることにより、イオン移送を可能とする一方でその他の物質の通過を防ぎカソード
物質又はその不純物による汚染からアノードを防護する。厚膜の固体電解膜は、より高い
イオン抵抗性を示しエネルギー・電力損失を生じるだけでなく、割れが発生して数サイク
ルのうちに電極との接続を失う。特に、固体力学においては、臨界厚さが存在し、それよ
りも薄ければプラスチック変形及び割れを防止することができることは周知である。した
がって、高エネルギー効率、高パワー密度、急速充電、及び高サイクル寿命を有するため
には、保護膜は可能な限り薄くすべきである。今日、50マイクロメートル厚以下のLI
SICON膜等のセラミックス類の作製は大きな課題であり、たいていの場合、薄セラミ
ックスを作製する工程でピンホールが形成されてしまい、したがって、セラミックスはそ
の半透膜としての機能を失う。この例は、固体電解質、特にセラミックス系固体電解質の
薄膜(50マイクロメートル未満)及び超薄膜(5マイクロメートル未満)作製における
新規な手法を示唆する。用途は広大で多くの産業に及ぶ。例えば、電気化学セルの固体電
解質としてのセラミックス膜及び製薬業又は生物工学業又は食品加工におけるフィルター
としてのセラミック膜等である。
【0242】
いくつかの実施形態において、膜は、複合固体電解質/メッシュ系又は複合固体電解質
/繊維系であり、メッシュ又は繊維の靭性により、膜製造中及びその動作中においてセラ
ミックスに割れ及びピンホールがを発生するのを防止する。
【0243】
メッシュは、任意選択で、周期的な形式であり、メッシュ支持セラミックシステム全体
のごく一部を占めるに過ぎない。メッシュ体積は、例えば、セラミック部分の堆積の5〜
15%にしかならない。さらに、メッシュは、任意選択で、セラミック部分の完全に内側
にあるか、又は、任意選択で、セラミックスの片面又は両面に露出される。
【0244】
メッシュ又は繊維材料は、好ましくは、良好な延性及び強度を有し、例えば、ステンレ
ス鋼、アルミニウム、銅、又はその合金等の金属又は合金からできている。メッシュは、
任意選択で、PE、PP、カプトン、PVdF、PVC、又はPMMA等のポリマーから
できている。メッシュは、任意選択で、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素又は酸化チタン
等のガラス状物質からできている。
【0245】
固体電解質は、任意選択で、LISICON又はNASICON又はPEO等の任意の
固体電解質である。固体電解質は、任意選択で、電池又は電気化学キャパシタ又は燃料電
池又はフロー電池等の電気化学セルにおいて用いられる。
【0246】
メッシュ又は繊維支持固体電解質のシステムは有用である。なぜなら、セラミック薄膜
の製造が困難であるために固体電解質薄膜の作製が難しいからである。例えば、セラミッ
ク薄膜の製造が困難であることの理由の一つとして、Li−空気電池等のリチウム電池用
のLISICON薄膜におけるピンホール形成等、製造工程における割れの発生があるが
、メッシュ又は繊維支持システムによれば、セラミックス、例えば、LISICON等の
固体電解質内部の応力を緩和し、それによって、セラミックス製造中のピンホール等の割
れ及び穴を防ぐ。いくつかの実施形態において、これは、サイクル充電による応力の緩和
にも効果があり、これによりサイクル寿命が向上する。
【0247】
メッシュ又は繊維支持膜のシステムは有用である。なぜなら、セラミック薄膜の製造が
困難であるために薄膜の作製が難しいからである。例えば、セラミック薄膜の製造が困難
であることの理由の一つとして、生物業又は食品業又は液体濾過等におけるフィルター用
途のための薄膜におけるピンホール形成等、製造工程における割れの発生があるが、メッ
シュ又は繊維支持システムによれば、セラミックス内部の応力を緩和し、それによって、
セラミックス製造中のピンホール等の割れ及び穴を防ぐ。
【0248】
その他の用途として、燃料電池膜又は電気化学キャパシタ又はフロー電池又は半固体電
池又はカソード・レドックス・フロー電池、又は溶媒和電極電池が挙げられる。
【0249】
本例において説明した方法によれば、メッシュ/繊維が機械的に強靭な、機械的に強い
マトリックスをもたらし、その結果、システム全体の挙動が強靭になる。これは、マルテ
ンサイト/オーステナイトシステム、すなわち、TRIP及びマルエージング鋼、近年で
は金属ガラス、及び補強コンクリート等の全体挙動においてもわかってきているが、形成
プロセス、特に、通常製造中にピンホール及び割れが発生することの多い薄膜又はセラミ
ック薄膜の形成プロセスにおいて適用されたことはない。
【0250】
図31は、電気化学セルにおける支持膜の用途の例を示す。図31において、アノード
3101(リチウム等)は、アノード有機電極3102(PC−ECにおけるLiClO
等)及びセパレータ(Celgard等)に隣接して位置決めされ、及び膜3103(
LISICON固体電解質を含むもの等)はアノード電解質3102を多孔質カソード(
硫黄又は空気カソード等)及びカソード電解質(水溶性電解質等)3104から分離する
。集電体3105及び3106は、アノード3101及び多孔質カソード/カソード電解
質3102と接触して位置決めされる。
【0251】
図32は、図31に示すようなセパレータ/膜3103等の薄膜を構築するために考え
られうるいくつかの構成を示す。ここで、セラミックス3207は、メッシュ及び/又は
繊維3208に支持される。
【実施例6】
【0252】
活性膜:伝導率支援膜、およびその膜の電池等の電気化学セルにおける活性セパレータと
しての利用
従来の膜、特に電気化学セルにおけるセパレータは、受動素子に過ぎなかった。一般に
、電気化学セルにおけるセパレータは、2つの対向する電極を電子的に分離する非電子伝
導性素子である。本例は、電池等の電気化学セルにおけるセパレータとしての活性膜につ
いて説明する。
【0253】
例えば、多層膜は2つ又はそれ以上の層を含み、各層のうち、膜のいずれかの端部にあ
る少なくとも一層は電子伝導性であり、中間層のうち少なくとも1層は電子的に非伝導性
であり、膜の2つの外面の間には電気連通がないようにしている。
【0254】
任意選択で、いくつかの層が互いの上に堆積又は塗布される。そのような膜は、任意選
択で、電気化学セルのセパレータとして有用である。任意選択で、いくつかの層は、別の
層又はいずれかの電極状に堆積又は塗布される。任意選択で、外側の伝導層は、隣接する
電極の外側粒子のための新規の電子経路となり、それによって隣接する電極材料の電子伝
導性を高める。
【0255】
任意選択で、本例のセパレータを電気化学セルにおいて用い、電極材料が充電−放電に
より変形するようにして、電極材料と対応する集電体との間の電子伝導性の少なくとも一
部が損失するようにする。
【0256】
上記のセパレータに有用な電気化学セルとしてリチウム電池が挙げられるが、これに限
定されない。リチウム電池は、セパレータを任意選択で備え、ケイ素アノードを任意選択
で備える。任意選択で、カソードは酸化リチウム又は硫黄又は炭素又は空気である。上記
のセパレータに有用な電気化学セルとして、さらに、アルカリ電池及び金属空気電池が挙
げられる。
【0257】
任意選択で、上記のような多層膜において、伝導層はそれぞれ多孔質又は有孔層であり
、またはステンレス鋼又はアルミニウム又は銅又はNi又は錫等の金属からできたメッシ
ュである。任意選択で、金属層は、電極と、膜の電子的に非伝導性の層との間にある。任
意選択で、非伝導層は、金属層の一方の面上にあるコーティングであり、例えば、PTF
E又はPVDF又はPEO又はPMMA又はPE又はPP又はPET又はAl等の
ポリマーである。
【0258】
有用な膜として、膜の全厚が500マイクロメートル未満のものが挙げられる。有用な
膜として、膜の全厚が100マイクロメートル未満または50マイクロメートル未満のも
のが挙げられる。任意選択で、膜の全厚は、25マイクロメートル未満、又は5マイクロ
メートル未満である。
【0259】
任意選択で、本例で説明したセパレータ又は膜のイオン抵抗は、10Ω・cm未満、
又は1Ω・cm未満である。任意選択で、本例で説明したセパレータ又は膜の多孔度は
、少なくとも30%又は少なくとも70%である。任意選択で、本例で説明したセパレー
タ又は膜の外側伝導層は、例えば、外側伝導層を持たないセパレータ又は膜に比べて場合
に、対応する電極の少なくとも近くにおいて電界を変化させる。場合によっては、セパレ
ータの伝導層による電界変更の結果、充電及び放電中にリチウムがより均一に堆積され、
これによって電気化学セルの性能、サイクル寿命、効率を高める。
【0260】
任意選択で、本例の膜は、金、銀、又はリチウム、又は亜鉛、又は銅、又は合金等の金
属の電着等、電気溶着において有用である。任意選択で、本例の膜は、再充電可能なリチ
ウム金属電池等の電気化学セルのセパレータとして有用である。
【0261】
図33A図33Dは、電池等の電気化学セルにおけるセパレータとしての膜の利用例
を示す。図33A図33Dにおいて、集電体を素子3301A及び3301Bとし、活
性電極粒子(例えば、ケイ素)を素子3302とし、カーボンブラック等の活性電極粒子
間の伝導性材料を素子3303とし、従来のセパレータを素子3304とし、本例のセパ
レータを素子3305としし、電子的接続が失われたことによる非活性(失われた)電極
材料を素子3306とし、反対側の電極を素子3307とし、電解質を素子3308とす
る。
【0262】
図33Aは、充電前の電池の概略図を示し、全ての電極粒子3302は電子的に接続さ
れている。図33Bは、充電後の電池の概略図を示し、電極粒子3302は大幅に形状が
変化している。図33Cは、数回の放電周期を経た後の、従来のセパレータ3304を有
する電池の概略図であり、電極粒子の一部が集電体との電子接続を失い、よって不活性電
極粒子3306となったことがわかる。図33Dは、数回の放電周期を経た後の、従来の
セパレータ3304に代えて電子伝導性セパレータ3305を備えた電池の概略図であり
、電極粒子の一部が集電体との従来の電子接続は失ったが電子伝導性セパレータ3305
にが一部の電極粒子3303用に新規の経路を提供することがわかる。矢印は、それぞれ
、これら粒子から集電体への電子伝導性のセパレータ3305に沿った電子の移動を示す
【0263】
本例において説明した新規の電池は、従来の平行板電池に限定されない。そのような電
池の一例を、米国特許出願公開2012/0077095号に記載の本発明者による三次
元電池構造を用いて作製した。MTIからの3層のLiCoOカソード、2cm×2c
m×0.2mmを互いの上に重ねて、穿孔して周期的な1mmの孔を作製した。厚さが0
.025mmのPEポリマーのリングを、電解質ホルダとして、各層の間に入れ、各層は
、2cm×2cm×1cmのアルミニウムチューブ内に入れた。直径約0.75mmの銅
線を各孔に通し、上下からガイドにより固定した。電解質(PC、EC、DMC、および
LiClO/LiPFの混合物)を電解質として添加した。セルを固定しガルバノス
タット内に取り付けた後、セルを10μAから始まる速度で数日間にわたり充電した。リ
チウム金属が銅線に堆積して、アノードとなった。数回の充放電サイクルの後、セルが形
成され、性能が安定し、すぐに使用可能な状態となった。そのような従来のセルを、高電
流(例えば1mA)でサイクル充電した後、銅線上へのリチウムデンドライト形成及びそ
のようなデンドライトがLiCoO板に接触するまで成長することによってセルは短絡
するだろう。先に述べたように、シフター層のセパレータデザインを使用することにより
、短絡が防止されて、電池のサイクル寿命が向上する。
【0264】
デンドライト短絡を防止する際のセパレータ効率は、リチウムコイン電池を左右対称に
して、高電流でサイクル充電することにより、さらに明らかに分かる。実験結果(室温、
Merkからの電解質LP71)によれば、リチウム箔の0.75mm厚さのディスクは
、10mAという高速度でサイクル充電時間を5時間としても、短絡の気配なく、500
サイクル超サイクル充電できることがわかる。
【実施例7】
【0265】
電極に隣接して位置決めした電子・イオン伝導層を有する電気化学セルについての実験
結果
実験A:0.100厚のリチウムコバルト酸化物カソード及び0.35mm厚のLi金
属アノードから電気化学セルを構築した。セルに用いた電解質は、Merck LP 7
1(EC−DC−DMC 1:1:1中の1M LiPF)であった。0.025mm
厚のPE/PP/PE多層膜(Celgard 2325)をセパレータとして用いた。
Niメッシュ(117.6)を含む伝導層をLiアノードとセパレータとの間に置いた。
セルは、1/2インチ角で、自社製であった。電極、セパレータ、及び伝導層を切断して
、直径1/2インチのディスクとした。
【0266】
セルは、グローブボックス内で組み立てた。1/2インチ角のセルはテフロンから作製
した。リチウムアノードは、DMC及びヘキサンで洗滌した後のリチウム箔から作製した
。LiCoO2箔をカソードとして用いた。セルは、ワイヤヘッド/ステンレス鋼ディス
ク/Li/Niメッシュ層/celgardセパレータ/LiCoO/アルミニウム箔
の順に並んだ層により構築した。電解質を用いてセルを過飽和した。
【0267】
図34図35、及び図36に、各セルの、電圧対時間及び電流対時間のサイクル充電
データを示す。セルの試験は室温で行い、電圧の範囲は3v〜4.2vに設定した。
【0268】
実験B:電気化学セルを、0.100mm厚のリチウムコバルト酸化物カソード及び厚
さ0.35mm厚のLi金属アノードから構築した。セルに用いた電解質はMerck
LP 71 (EC−DC−DMC 1:1:1中の1 M LiPF)であった。0
.025厚のPE/PP/PE多層膜(Celgard 2325)をセパレータとして
用いた。Cuメッシュ(117.6)を含む伝導層をLiアノードとセパレータとの間に
置いた。セルは、1/2インチ角で、自社製であった。電極、セパレータ、及び伝導層を
切断して、直径1/2インチのディスクとした。
【0269】
図37図38及び図39に、各セルの、電圧対時間及び電流対時間のサイクル充電デ
ータを示す。セルの試験は室温で行い、電圧の範囲は3v〜4.2vに設定した。
【0270】
実験C:0.025mm厚のPE/PP/PE多層セパレータ(Celgard 23
25)を有してサイズ2035のコイン電池を作製した。使用した電解質はMerck
LP 50 (EC−EMC 1:1中の1 M LiPF)であった。LiFePO
カソードを用い、黒鉛アノードを用いた。Niメッシュ(117.6)を黒鉛アノード
とセパレータとの間に置いた。
【0271】
図40及び図41に、各セルの、電圧対時間(上)及び電流対時間(下)のサイクル充
電データを示す。セルの試験は室温で行い、電圧の範囲は2.5v〜4.2vに設定した
【0272】
実験D:0.025mm厚のPE/PP/PE多層セパレータ(Celgard232
5)を有してサイズ2035のコイン電池を2つ作製した。使用した電解質はMerck
LP 50 (EC−EMC 1:1中の1 M LiPF)であった。LiFeP
カソードを用い、Liアノードを用いた。Niメッシュ(333)をLiFePO
アノードとセパレータとの間に置いた。
【0273】
図42及び図43に、各セルの、電圧対時間及び電流対時間のサイクル充電データを示
す。セルの試験は室温で行い、電圧の範囲は2.5v〜4.2vに設定した。
参考文献
【0274】
米国特許第8,202,649号明細書、米国特許第8,288,034号明細書。米
国特許出願公開第2012/0119155号明細書、米国特許出願公開第2012/0
219842号明細書、米国特許出願第2012/0183868号明細書。
【0275】
[参照による援用及び変形形態に関する記載]
本願を通した引用文献、例えば発行又は付与された特許又は等価物を含む特許文献、特
許出願公開、及び非特許文献又は他の資料は、各引用文献が本願の開示と少なくとも部分
的に矛盾しない程度に参照により個別に援用されるように、それらの全体を参照により本
明細書に援用する(例えば、部分的に矛盾する引用文献は、その引用文献の部分的に矛盾
する部分以外を参照により引用する)。
【0276】
本明細書で用いた用語及び表現は、限定用語ではなく説明用語として用いるものであり
、かかる用語及び表現の使用には、図示及び説明した特徴の等価物又はその一部を除外す
る意図はなく、さまざまな変更形態が特許請求される発明の範囲内で可能であることが認
識される。したがって、本発明は好適な実施形態、例示的な実施形態、及び任意の特徴に
より具体的に開示されているが、本明細書に開示した概念の変更及び変形が当業者に用い
られ得ること、及びかかる変更形態及び変形形態が添付の特許請求の範囲により定義され
る本発明の範囲内にあると考えられることを理解すべきである。本明細書に記載した具体
的な実施形態は、本発明の有用な実施形態の例であり、本明細書に記載の装置、装置コン
ポーネント、方法ステップの多数の変形形態を用いて本発明を実行できることが、当業者
には明らかとなるであろう。当業者には自明のように、本方法に有用な方法及び装置は、
多数の任意の組成及び加工要素及びステップを含むことができる。
【0277】
本明細書で述べた全ての特許及び広報は、本発明が属する当業者のレベルを示す。本明
細書で挙げた引用文献は、場合によってはその出願日の時点での最高水準を示すためにそ
れらの全体を参照により本明細書に援用され、この情報を、必要であれば本明細書中で用
いて、従来技術である具体的な実施形態を除外する(例えば、放棄する)ことができるこ
とが意図される。例えば、化合物を特許請求する場合、本明細書に開示した引用文献(特
に、引用特許文献)に開示されている特定の化合物を含む当該技術分野で既知の化合物は
、特許請求の範囲に含まれることが意図されないことを理解すべきである。
【0278】
置換基群が本明細書に開示されている場合、置換基を用いて形成することができるこれ
らの群及び全てのサブグループ及びクラスの全構成員が別個に開示されることを理解され
たい。マーカッシュ群又は他の分類が本明細書で用いられている場合、群の全構成員及び
その群で可能な全ての組み合わせ及びサブコンビネーションが本開示に個別に含まれるこ
とが意図される。本明細書で用いられる場合、「及び/又は」は、「及び/又は」により
分離される一覧中の事項の1つ、全て、又は任意の組み合わせがその一覧に含まれること
を意味し、例えば、「1、2、及び/又は3」は、「『1』又は『2』又は『3』又は『
1及び2』又は『1及び3』又は『2及び3』又は『1、2、及び3』」に相当する。
【0279】
別段の記載の無い限り、説明又は例示した構成要素の全ての配合又は組み合わせを用い
て本発明を実施することができる。当業者が同じ材料を異なる名称で呼び得ることが知ら
れているように、具体的な材料名は例示のためのものである。当業者であれば、具体的に
例示したもの以外の方法、装置要素、出発材料、及び合成法を、過度の実験に頼らずに本
発明の実施に用いることができる。かかる方法、装置要素、出発材料、及び合成法の全て
の従来技術で既知の機能的等価物が、本発明に含まれることが意図される。例えば温度範
囲、時間範囲、又は組成範囲といった範囲が本明細書で与えられている場合は常に、その
所与の範囲に含まれる全ての中間範囲及び部分範囲並びに個々の値が、本開示に含まれる
ことが意図される。
【0280】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形は文脈で別段の明示がな
い限り複数への言及を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「セル
」に言及している場合、当業者に既知の複数のかかるセル又はその等価物を含む。同様に
、用語「1つの、」「1つ又は複数の、」及び「少なくとも1つの」は、本明細書におい
て交換可能に用いることができる。用語「備える、」「含む、」及び「有する」を交換可
能に用いることができることにも留意されたい。「請求項XX〜YYのいずれか」(ここ
で、XX及びYYは請求項の番号を指す)という表現は、代替形態の複数の従属請求項を
提供することを意図し、いくつかの実施形態では、「請求項XX〜YYのいずれか1項に
記載の」と交換可能である。
【0281】
別段の定義のない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明
が属する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載の
ものと同様又は同等の任意の方法及び材料を、本発明の実施又は試験で用いることができ
、好適な方法及び材料がここでは記載されている。本明細書中のいかなる記載も、先行発
明を理由として本発明がかかる開示に先行するものではないことを認めたと解釈するもの
ではない。
【0282】
例えば整数範囲、温度範囲、時間範囲、組成範囲、又は濃度範囲といった範囲が本明細
書で与えられている場合は常に、その所与の範囲に含まれる全ての中間範囲及び部分範囲
並びに個々の値が、本開示に含まれることが意図される。本明細書で用いられる場合、範
囲は、その範囲の端点値として与えられる値を具体的に含む。本明細書で用いられる場合
、範囲は、その範囲の全ての整数値を具体的に含む。例えば、1〜100の範囲は、1及
び100の端点値を具体的に含む。本明細書の記載に含まれる範囲又は部分範囲における
任意の部分範囲又は個々の値が、本明細書の特許請求の範囲から除外され得ることを理解
されたい。
【0283】
本明細書で用いられる場合、「備える」は、「含む、」「含有する、」又は「特徴とす
る」と同義であり、包括的又は非限定的であり、付加的で記載のない要素又は方法ステッ
プを除外しない。本明細書で用いられる場合、「からなる」は、クレーム構成要件で指定
されないいかなる要素、ステップ、又は成分も除外する。本明細書で用いられる場合、「
から本質的になる」は、請求項の基本的且つ新規の特徴に実質的に影響しない材料又はス
テップを除外しない。本明細書における、特に組成物の成分の説明又は装置の要素の説明
における用語「備える」の記載は、記載の構成要素又は要素から本質的になる、また記載
の構成要素又は要素からなる組成物及び方法を包含すると理解される。本明細書に例示的
に記載した発明は、本明細書に具体的に開示されていない要素や制限がなくても適切に実
施することができる。
【0284】
使用した用語及び表現は、限定用語ではなく説明用語として用いるものであり、かかる
用語及び表現の使用には、図示及び説明した特徴の等価物又はその一部を除外する意図は
なく、さまざまな変更形態が特許請求の発明の範囲内で可能であることが認識される。し
たがって、本発明は好適な実施形態及び任意の特徴により具体的に開示されているが、本
明細書に開示した概念の変更及び変形が当業者に用いられ得ること、及びかかる変更形態
及び変形形態が添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内にあると考えられ
ることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
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図10N
図10O
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図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
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図22
図23
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図31
図32
図33A
図33B
図33C
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図34
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