【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様では、本発明は、一定範囲の電気化学蓄電・変換用途に有用な電子特性、機械特
性、及び化学特性を提供する電気化学システム用のセパレータシステムを提供する。いく
つかの実施形態のセパレータシステムは、例えば、電気化学セルの壊損の防止に有用であ
り且つサイクル寿命及びエネルギー及び電力等の性能を高めるのに有用な、構造的、物理
的、及び静電的特質を提供する。一連の例は、リチウム系電池、アルカリ系電池、亜鉛系
電池、及び鉛系電池等の金属系電池におけるデンドライト形成を管理及び制御するセパレ
ータである。一実施形態では、例えば、本発明のセパレータシステムは、優れたイオン輸
送特性を支援すると同時にデンドライトが引き起こす機械的破損、電子的内部短絡及び/
又は熱暴走を防止するのに有効な障壁を提供する、多層で多孔質の幾何学的形状を有する
。別の一連の例は、複数の多孔質/有孔層と不透過性だがイオン選択性の導電膜とからな
る多層セパレータであり、多孔質層がデンドライト短絡故障及び/又は熱暴走等の内部短
絡故障を防止するのに有効な障壁を提供し、膜層がアノードに隣接した電解質をカソード
に隣接した電解質から分離するのに有効な障壁を提供して、電極及びそれらの表面及びそ
れらの電解質の汚染を防止することで、エネルギー、パワー、及びライフサイクル等のセ
ルの性能を高めることができる。これは、金属空気及びフロー電池及び半固体電池で特に
有用であり、いくつかの例は、リチウム−空気セル、リチウム水セル、及び亜鉛−空気セ
ルである。
【0012】
一実施形態では、本発明は、電気化学システム用のセパレータシステムであって、(i
)第1高機械強度層であり、第1高機械強度層を貫通して第1パターンで設けた複数の開
口を有する第1高機械強度層と、(ii)第2高機械強度層であり、第2高機械強度層を
貫通して第2パターンで設けた複数の開口を有し、第2パターンは、第1高機械強度層か
ら第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強
度層の開口との重なりが20%以下であるように第1パターンに対してオフセット配列を
有する第2高機械強度層とを備え、第1高機械強度層及び第2高機械強度層は、第1高機
械強度層及び第2高機械強度層に接触して設けた電解質のイオンを第1高機械強度層及び
第2高機械強度層を通して輸送可能であるように位置決めされる、セパレータシステムを
提供する。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層及び第2高機械強度層は、相互に
直接物理的に接触していない。この態様の実施形態では、第1高機械強度層から第2高機
械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強度層の開口
との重なりは、10%以下である。一実施形態では、例えば、本発明のセパレータシステ
ムは、第1高機械強度層と第2高機械強度層との間に、任意に第1高機械強度層又は第2
高機械強度層又はこれら両方に接触して設けた1つ又は複数の電解質をさらに備え、第1
高機械強度層及び第2高機械強度層は、イオン伝動性であり、電気化学システムの電解質
の輸送を任意に可能にする。
【0013】
一実施形態では、本発明は、電気化学システム用のセパレータシステムであって、(i
)第1高機械強度層であり、第1高機械強度層を貫通して第1パターンで設けた複数の開
口を有する第1高機械強度層と、(ii)第2高機械強度層であり、第2高機械強度層を
貫通して第2パターンで設けた複数の開口を有し、第2パターンは、第1高機械強度層か
ら第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強
度層の開口との重なりが20%以下であるように第1パターンに対してオフセット配列を
有する第2高機械強度層と、(iii)第3高機械強度層であり、第3高機械強度層を貫
通して第1パターンと同じ空間的開口配置を有する第3パターンで設けた複数の開口を有
する第3高機械強度層とを備え、第1高機械強度層、第2高機械強度層、及び第3高機械
強度層は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、及び第3高機械強度層に接触して設け
た電解質のイオンを第1高機械強度層、第2高機械強度層、及び第3高機械強度層を通し
て輸送可能であるように位置決めされるセパレータシステムを提供する。この態様の一実
施形態では、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高
機械強度層の開口と第2高機械強度層の開口との重なりは、10%以下である。この説明
を通して用いられる場合、「同じ空間的開口配置」は、2つ以上の高機械強度層の開口が
高機械強度層間に垂直に延びる軸に沿って配列されるようにしたこれらの位置を指す。一
実施形態では、例えば、「同じ空間的開口配置」は、2つ以上の高機械強度層の開口が高
機械強度層間に垂直に延びる軸に沿って90%以上重なるようにしたこれらの位置を指す
。
【0014】
一実施形態では、本発明は、電気化学システム用のセパレータシステムであって、(i
)第1高機械強度層であり、第1高機械強度層を貫通して第1パターンで設けた複数の開
口を有する第1高機械強度層と、(ii)第2高機械強度層であり、第2高機械強度層を
貫通して第2パターンで設けた複数の開口を有し、第2パターンは、第1高機械強度層か
ら第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強
度層の開口との重なりが20%以下であるように第1パターンに対してオフセット配列を
有する第2高機械強度層と、(iii)第3高機械強度層であり、第3高機械強度層を貫
通して第1パターンと同じ空間的開口配置を有する第3パターンで設けた複数の開口を有
する第3高機械強度層と、(iv)第4高機械強度層であり、第4高機械強度層を貫通し
て第2パターンと同じ空間的開口配置を有する第4パターンで設けた複数の開口を有する
第4高機械強度層とを備え、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及
び第4高機械強度層に接触して設けた電解質のイオンを第1高機械強度層、第2高機械強
度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層を通して輸送可能であるように位置決め
されるセパレータシステムを提供する。この態様の一実施形態では、第1高機械強度層か
ら第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強
度層の開口との重なりは、10%以下である。
【0015】
一実施形態では、本発明は、電気化学システム用のセパレータシステムであって、(i
)第1高機械強度層であり、第1高機械強度層を貫通して第1パターンで設けた複数の開
口を有する第1高機械強度層と、(ii)第2高機械強度層であり、第2高機械強度層を
貫通して第2パターンで設けた複数の開口を有し、第2パターンは、第1高機械強度層か
ら第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強
度層の開口との重なりが40%以下であるように第1パターンに対してオフセット配列を
有する第2高機械強度層と、(iii)第3高機械強度層であり、第3高機械強度層を貫
通して第3パターンで設けた複数の開口を有し、第3パターンは、第1層又は第2層から
第3層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と、第2高機械強度層の開口
と、第3高機械強度層の開口との重なりが20%以下であるように第1パターン及び第2
パターンに対してオフセット配列を有する第3高機械強度層とを備え、第1高機械強度層
、第2高機械強度層、及び第3高機械強度層は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、
及び第3高機械強度層に接触して設けた電解質のイオンを第1高機械強度層、第2高機械
強度層、及び第3高機械強度層を通して輸送可能であるように位置決めされるセパレータ
システムを提供する。この態様の一実施形態では、第1高機械強度層から第2高機械強度
層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強度層の開口との重
なりは、20%以下であり、第1高機械強度層又は第2高機械強度層から第3高機械強度
層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と、第2高機強度層の開口と、第
3高機械強度層の開口との重なりは、10%以下である。
【0016】
一実施形態では、本発明は、電気化学システム用のセパレータシステムであって、(i
)第1高機械強度層であり、第1高機械強度層を貫通して第1パターンで設けた複数の開
口を有する第1高機械強度層と、(ii)第2高機械強度層であり、第2高機械強度層を
貫通して第2パターンで設けた複数の開口を有し、第2パターンは、第1高機械強度層か
ら第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強
度層の開口との重なりが50%以下であるように第1パターンに対してオフセット配列を
有する第2高機械強度層と、(iii)第3高機械強度層であり、第3高機械強度層を貫
通して第3パターンで設けた複数の開口を有し、第3パターンは、第1高機械強度層又は
第2高機械強度層から第3高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の
開口と、第2高機械強度層の開口と、第3高機械強度層の開口との重なりが30%以下で
あるように第1パターン及び第2パターンに対してオフセット配列を有する第3高機械強
度層と、(iv)第4高機械強度層であり、第4高機械強度層を貫通して第4パターンで
設けた複数の開口を有し、第4パターンは、第1高機械強度層又は第2高機械強度層から
第4高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と、第2高機械強
度層の開口と、第3高機械強度層の開口と、第4高機械強度層の開口との重なりが20%
以下であるように第1パターン、第2パターン、及び第3パターンに対してオフセット配
列を有する第4高機械強度層とを備え、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機
械強度層、及び第4高機械強度層は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械
強度層、及び第4高機械強度層に接触して設けた電解質のイオンを第1高機械強度層、第
2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層を通して輸送可能であるよう
に位置決めされるセパレータシステムを提供する。この態様の一実施形態では、第1高機
械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第
2高機械強度層の開口との重なりは、30%以下であり、第1パターン及び第2パターン
に対するオフセット配列は、第1高機械強度層又は第2高機械強度層から第3高機械強度
層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と、第2高機強度層の開口と、第
3高機械強度層の開口との重なりが、20%以下であるようにし、第1パターン、第2パ
ターン、及び第3パターンに対してオフセット配列は、第1高機械強度層又は第2高機械
強度層から第4高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と、第
2高機強度層の開口と、第3高機械強度層の開口と、第4高機械強度層の開口との重なり
が、10%以下であるようにする。
【0017】
いくつかの実施形態では、例えば、第2高機械強度層を第1高機械強度層と第3高機械
強度層との間に設ける。いくつかの実施形態では、例えば、第1高機械強度層を第2高機
械強度層と第4高機械強度層との間に設けるか、又は第3高機械強度層を第2高機械強度
層と第4高機械強度層との間に設ける。一実施形態では、第1機械強度層及び第2機械強
度層を物理的に接触して設けないか、又は第1機械強度層、第2機械強度層、及び第3機
械強度層を物理的に接触させて設けないか、又は第1機械強度層、第2機械強度層、第3
機械強度層、及び第4機械強度層を物理的に接触して設けない。
【0018】
この態様のいくつかのセパレータは、例えば、電気化学システムにおけるデンドライト
形成を管理する多層構造を提供し、複数のセパレータ層(例えば、第1高機械強度層、第
2高機械強度層、第3高機械強度層、第4高機械強度層等)が、正電極と負電極との間の
デンドライト成長が動力学的及び/又は熱力学的に不利であるようなイオン伝導率を正電
極と負電極との間で確立するマイクロチャネル又はナノチャネル等の相補的な開口パター
ンを有する。この態様のいくつかのセパレータは、例えば、正電極と負電極との間のデン
ドライト成長をもたらす直接的な直線経路を防止する多層の幾何学的形状及び物理特性を
有する障壁を提供し、これは、正電極と負電極との間のイオン輸送用の経路(単数又は複
数)のみがデンドライト成長にとって動力学的及び/又は熱力学的に不利な曲線軌道を必
要とする、多層構造を提供することによって得られる。いかなる理論に縛られずとも、デ
ンドライトに対する高強度層からの力によりデンドライト成長は減速又は停止する。電子
化学セルの各実施形態において、デンドライト成長が減速又は停止することによりセルの
性能は非常に向上する。一実施形態では、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高
機械強度層、及び/又は第4高機械強度層は、平面状であり、例えば相互に対して実質的
に平行な向きで設けられ、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及
び/又は第4高機械強度層の平面は、平行面に設けられる。一実施形態では、第1高機械
強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び/又は第4高機械強度層は、中空円
筒構造であり、例えば実質的に同心状の向きで設けられ、円筒形の第1層及び第2層の曲
面が、同心状の向きで設けられる。本明細書で用いられる場合、同心状の向きから垂直に
延びる軸は、中心軸に対して垂直であり中心軸から半径方向に延びる。
【0019】
本発明のいくつかのセパレータシステムの多層の幾何学的形状は、第1層から第2層ま
で垂直に延びる軸に沿った第1パターンの開口と第2パターンの開口との選択的な重なり
を提供するオフセット配列を提供する。本発明のこの態様は、有用なイオン輸送特性を利
用すると同時に、電気化学セルの正電極と負電極との間のデンドライト形成を防止するの
に有用である。いくつかの実施形態では、用語「オフセット」は、セパレータの1つの高
機械強度層の開口が、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸等の1
つの層から別の層まで延びる軸に沿った別の高機械強度層の開口の位置に対してオフセッ
トしている構成を指す。いくつかの実施形態では、用語「オフセット」は、第1高機械強
度層の開口が第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿って第2高
機械強度層の開口に完全には重畳可能でないように、第1高機械強度層の第1パターンの
開口が第2高機械強度層の第2パターンの開口の位置に対してオフセットするような、高
機械強度層の開口パターンの相対的構成を指す。一実施形態では、例えば、第1高機械強
度層及び第2高機械強度層は、ナノ多孔質及び/又は微多孔質であり、第1高機械強度層
の開口が第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿って第2高機械
強度層の開口に全く重畳可能でないように配列される。一実施形態では、例えば、第1高
機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パターン、第2パター
ン、第3パターン、及び第4パターンの2つ以上の開口の重なりは、10%以下であり、
場合によってはいくつかの用途で1%以下である。一実施形態では、例えば、第1高機械
強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パターン、第2パターン、
第3パターン、及び第4パターンの2つ以上の開口の重なりは、0%〜5%の範囲から選
択され、場合によってはいくつかの用途で0%〜1%の範囲から選択される。一実施形態
では、例えば、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1
パターン、第2パターン、第3パターン、及び第4パターンの2つ以上の開口の重なりは
、0に等しく、例えば正確に0に等しい。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層か
ら第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パターン、第2パターン、及び第3
パターンの開口の重なりは、10%以下である。一実施形態では、例えば、第1高機械強
度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パターン、第2パターン、及
び第3パターンの開口の重なりは、0%〜5%の範囲から選択される。一実施形態では、
例えば、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パター
ン、第2パターン、第3パターン、及び第4パターンの開口の重なりは、10%以下であ
る。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる
軸に沿った第1パターン、第2パターン、第3パターン、及び第4パターンの開口の重な
りは、0%〜5%の範囲から選択される。
【0020】
一実施形態では、例えば、第1パターン、第2パターン、第3パターン、及び第4パタ
ーンの2つ以上は、実質的に相補的なパターンを含む。一実施形態では、例えば、実質的
に相補的なパターンは、相互の実質的なネガ画像に対応する。本明細書で用いられる場合
、相補的なパターンは、高機械強度層の1つのパターンの開口と1つ又は複数の他のパタ
ーンの1つ又は複数の他の高機械強度層の開口との相対位置が、電気化学セルの正電極と
負電極との間のデンドライト成長を防止するよう選択される構成を指す。一実施形態では
、例えば、第1パターン及び第2パターンの実質的に相補的なパターンは、例えば、相互
のネガ画像であり、第1パターンの開口の位置が開口を有しない第2層の領域に対応する
。本発明の相補的なパターンの例として、第1層は、チェス盤の黒マスに相当する開口パ
ターンを特徴とし、第2層は、チェス盤の赤マスに相当する開口パターンを特徴とし得る
。本発明の相補的なパターンの例として、第1高機械強度層は、第1ピッチ及び開口間隔
を特徴とする第1周期開口パターンを有し、第2高機械強度層は、同じピッチ及び開口間
隔を特徴とするが第1パターンの開口の位置からオフセット又は平行移動した第2周期開
口パターンを有することで、第1高機械強度層の開口が第1高機械強度層及び第2高機械
強度層から垂直に延びる軸に沿って第2高機械強度層の開口に重畳可能でないようにする
。
【0021】
一実施形態では、3つ以上の高機械強度層を有するセパレータシステムは、同一のパタ
ーン(すなわち、非相補的パターン)を有するいくつかの高機械強度層を含み得るが、こ
れは、相補的なパターンを有する少なくとも1つの層が同一のパターンを有する高機械強
度層間に位置決めされる場合に限る。例えば、セパレータシステムは、パターンAを有す
る1つ又は複数の高機械強度層及びパターンBを有する1つ又は複数の高機械強度層を特
徴とすることができ、A及びBは、ABAの反復配列に従って配置された相補的なパター
ンであり、4つ以上の高機械強度層を含む多層系では、より長い配列、例えばABABA
Bが可能である。
【0022】
別の実施形態では、3つ以上の高機械強度層を有するセパレータシステムは、相補的な
パターンを有する高機械強度層のみを含み得る。例えば、セパレータシステムは、パター
ンAを有する1つ又は複数の高機械強度層、パターンBを有する1つ又は複数の高機械強
度層、及びパターンCを有する1つ又は複数の高機械強度層を特徴とすることができ、A
、B、及びCは、ABCの反復配列に従って配置されて他の2つのパターンとそれぞれが
相補的なパターンであり、4つ以上の高機械強度層を含む多層系ではより長い配列(例え
ば、ABCABC)及び変化をつけた配列(例えば、ABCBA、ABCA)が可能であ
る。
【0023】
別の態様では、本発明は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層の少なくとも1つの片側に設けた1つ又は複数の低イオン抵抗層を
さらに備えたセパレータシステムを提供する。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の
低イオン抵抗層のそれぞれが、例えば電気化学セルの電解質用のリザーバを提供する電解
質含有リザーバである。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層はそれ
ぞれ独立して、20Ωcm
2以下、好ましくはいくつかの実施形態では2Ωcm
2以下、
好ましくはいくつかの実施形態では1Ωcm
2以下のイオン抵抗を有する。一実施形態で
は、例えば、上記1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つは、第1高機械強度層
、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層の少なくとも2つの間に
設けた電解質用の空間を提供する圧力緩衝器である。
【0024】
一実施形態では、例えば、高機械強度層の少なくとも1つ及び1つ又は複数の低イオン
抵抗層の少なくとも1つは、高機械強度層及び1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくと
も1つに堆積させた堆積リザーバである。一実施形態では、例えば、高機械強度層及び1
つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つは、電気化学セルの電極に堆積させた堆積
層、例えば、電気化学セルの電解質に向いた正電極又は負電極の表面に直接堆積させた層
である。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つ、場
合によっては全部が、圧力、熱、又は化学的接着により、第1高機械強度層、第2高機械
強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれかの少なくとも片側に接着さ
れる。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つ、場合
によっては全部が、ポリマー樹脂により、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高
機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれかの少なくとも片側に接着される。一実施形
態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つ、場合によっては全部
が、微多孔質材料、織材、又は不織材を含む。
【0025】
一実施形態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つ、場合によ
っては全部が、セラミック若しくはガラス電解質、ポリマー電解質、又は別の固体電解質
を含む。一実施形態では、例えば、低イオン抵抗層は、ナフィオン又はZrO
2又はNA
SICON又はLISICON若しくはLIPON等のガラス電解質、又はPEO等のポ
リマー電解質を含む。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なく
とも1つ、場合によっては全部が、有孔セラミックセパレータ、多孔質セラミックセパレ
ータ、有孔ガラスセパレータ、多孔質ガラスセパレータ、又は有孔金属、又は有孔合金セ
パレータ、又は有孔ゴム、又はゴムメッシュ、又は金属メッシュ、又は合金メッシュを含
む。
【0026】
一実施形態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つは、リング
又は中央開口を有するフレーム、例えば、電気化学セルに機械的支持構造、電解質リザー
バ構造、及び/又はスペーサ構造を設けるリング又はフレーム構造を含む。一実施形態で
は、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、
第3高機械強度層、及び第4高機械強度層の少なくとも1つと接触した1つ又は複数のフ
レーム層を含む。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層を第1フレーム層と第2フ
レーム層との間に設け、第2高機械強度層を第3フレーム層と第4フレーム層との間に設
けるか、又は第1高機械強度層を第1フレーム層と第2フレーム層との間に設け、第2高
機械強度層を第2フレーム層と第3フレーム層との間に設ける。一実施形態では、例えば
、1つ又は複数の低イオン抵抗層は、電気化学セルの正電極及び/又は負電極等の電気化
学システムの電極の少なくとも1つと物理的に接触した1つ又は複数のフレーム層を含む
。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層は、第1層と第2層との間に
設けたスペーサを備え、スペーサは、第1層と第2層とを10nm〜1000μmの範囲
から選択される、場合によってはいくつかの用途で1μm〜1000μmの範囲から選択
される選択距離だけ分離する。一実施形態では、例えば、この態様のスペーサは、第1高
機械強度層と第2高機械強度層との間の選択距離を定めるリング、多孔質壁コンポーネン
トを有するフレーム構造、材料層、又は別個の材料要素配置を含む。
【0027】
一実施形態では、例えば、低イオン抵抗層のそれぞれ、場合によっては全部が独立して
、ポリマー、セラミック、木材、ガラス、鉱物、金属、合金、織材、不織材、セルロース
、木繊維、海綿体、又はそれらの組み合わせである。一実施形態では、例えば、1つ又は
複数の低イオン抵抗層はそれぞれ独立して、50%以上の、好ましくはいくつかの用途で
70%を超える、好ましくはいくつかの用途で90%を超える多孔度を有する。一実施形
態では、例えば、1つ又は複数の低イオン抵抗層はそれぞれ独立して、50%〜95%の
範囲から選択される多孔度、好ましくはいくつかの用途で70%〜95%の範囲から選択
される多孔度を有する。
【0028】
一実施形態では、例えば、高機械強度層の1つの少なくとも片側は、濡れ性、例えば電
気化学セルの電解質に対する濡れ性を有する。一実施形態では、例えば、セパレータ構成
は、高機械強度層の濡れ性のある面が低イオン抵抗層を間に設けずに別の高機械強度層に
隣接して配置されることを特徴とする。一実施形態では、例えば、セパレータ構成は、高
機械強度層の濡れ性のある面が低イオン抵抗層を間に設けずに電極に隣接して配置される
ことを特徴とする。一実施形態では、例えば、セパレータは、別の低イオン抵抗層又は高
機械強度層に塗布した、又は電気化学システムの正電極又は負電極等の化学セルの電極に
塗布した、1つ又は複数の低イオン抵抗層又は高機械強度層を含む。
【0029】
別の態様では、本発明は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
第4高機械強度層、又は1つ又は複数の低イオン抵抗層の少なくとも1つの片側に設けた
、1つ又は複数の化学障壁層をさらに備えるセパレータを提供する。1つ又は複数の化学
障壁を有するセパレータは、正電極及び負電極を異なる電解質に接触して設けた電気化学
システムで有用であり、したがって化学障壁(単数又は複数)は、電荷担体の輸送を可能
にする電解質の輸送は防止する。かかる構成では、化学障壁は、電極を劣化から保護する
こと及び/又は電気化学セルの正電極及び負電極で異なる電解質の使用を可能にすること
に有用である。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の化学障壁層は独立して、1つ又
は複数の化学障壁層を通して電気化学セルの正電極又は負電極への望ましくない化学成分
の輸送を防止する。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の化学障壁層は、1つ又は複
数の化学障壁層を通して電気化学セルの正電極又は負電極への電解質溶媒の輸送を防止す
る。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の化学障壁層は、電気化学セルの電極の少な
くとも片側に配置した固体電解質又は固体ポリマー電解質を含む。一実施形態では、例え
ば、1つ又は複数の化学障壁層は、LISICON若しくはNASICONからの固体電
解質、又はポリエチレンオキシド(PEO)を含むポリマー電解質を含む。
【0030】
一実施形態では、例えば、セパレータシステムは、負電極及び正電極を有する電気化学
セルのコンポーネントであり、1つ又は複数の化学障壁層は、イオン伝導性保護膜を含み
、保護膜は、正電極と接触した第1電解質と負電極と接触した第2電解質との間の障壁を
提供し、イオン伝導性保護膜は、負電極と第1電解質との間の接触を防止する。一実施形
態では、例えば、負電極はリチウム金属電極であり、イオン伝導性保護膜は、リチウムイ
オン電荷担体を通し、リチウム金属電極と第1電解質との間の接触を防止する。
【0031】
一実施形態では、例えば、イオン伝導性保護膜は、ガラス質又は非晶質活性金属イオン
伝導体、セラミック活性金属イオン伝導体、及びガラスセラミック活性金属イオン伝導体
からなる群から選択される材料を含む。一実施形態では、例えば、1つ又は複数の化学障
壁層は、保護膜の表面と正電極又は負電極との間に配置した固体ポリマー電解質をさらに
含む。一実施形態では、例えば、高機械強度層、1つ又は複数の低イオン抵抗層、及び1
つ又は複数の化学障壁層の少なくとも1つは、高機械強度層、1つ又は複数の低イオン抵
抗層、及び1つ又は複数の化学障壁層の少なくとも1つに堆積させた堆積層である。一実
施形態では、例えば、高機械強度層、1つ又は複数の低イオン抵抗層、及び1つ又は複数
の化学障壁層の少なくとも1つは、電気化学セルの電極に堆積させた堆積層である。一実
施形態では、例えば、セパレータは、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械
強度層、及び第4高機械強度層、1つ又は複数の化学障壁層の少なくとも2つの組み合わ
せを、低イオン抵抗層を一切伴わずに備える。
【0032】
一態様では、セパレータは、第3高機械強度層であり、第3高機械強度層を貫通して第
3パターンで設けた複数の開口を有する第3高機械強度層をさらに備え、第3高機械強度
層は、第1高機械強度層と第2高機械強度層との間に位置決めされ、第3パターンは、第
1高機械強度層又は第2高機械強度層から第3高機機械強度層まで垂直に延びる軸に沿っ
た第1パターン又は第2パターンの開口と第3パターンの開口との重なりが20%以下で
あるように、第1パターン又は第2パターンに対してオフセット配列を有する。一態様で
は、セパレータは、第4高機械強度層であり、第4高機械強度層を貫通して第4パターン
で設けた複数の開口を有する第4高機械強度層をさらに備え、第4高機械強度層は、第1
高機械強度層と第2高機械強度層との間に位置決めされ、第4パターンは、第1高機械強
度層又は第2高機械強度層から上記第4高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1パ
ターン、第2パターン、又は第3パターンの開口と第4パターンの開口との重なりが20
%以下であるように、第1パターン、第2パターン、又は第3パターンに対してオフセッ
ト配列を有する。
【0033】
本発明の多層セパレータシステムの層は、特定の用途に有用な機械特性を提供するよう
構成され、多種多様な機構及び装置構成を介して取り付けられ得る。一実施形態では、例
えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、第4高機械強度層、低
イオン抵抗層、フレーム層、スペーサ、化学障壁層、又はそれらの組み合わせの少なくと
も一部、場合によっては全部が、圧力、加熱、接着剤塗布、化学接着材、プラズマ処理、
又はそれらの任意の組み合わせにより相互に少なくとも部分的に取り付けられる。一実施
形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、第4高機
械強度層、低イオン抵抗層、フレーム層、スペーサ、化学障壁層、又はそれらの組み合わ
せの少なくとも一部、場合によっては全部が、接着剤、エポキシ、セメント、PTFE、
固体電解質、ゲル電解質、ポリマー電解質、シリコーン接着剤、アクリル接着剤、シアノ
アクリレート、スタイキャスト1266、デルタボンド151、PVDF、PVA、LI
PON、LISICON、PE−PP−PVDF、テトラメチルアンモニウムヒドロキシ
ド五水和物(CH
3)
4NOH・5H
2O、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、エピ
クロヒドリン及びエチレンオキシドP(ECH−co−EO)及びポリ(ビニルアルコー
ル)のコポリマー、ガラス繊維ポリマー電解質、硫化亜鉛、二酸化シリコン、カプトンテ
ープ、ポリエチレンオキシド又はポリプロピレノキシド、又はコポリマー、PVDF−c
o−HFP Bi
2O
3、フッ素非含有バインダ又は芳香族バインダ、ポリアクリル酸リ
チウム、又はそれらの組み合わせにより相互に少なくとも部分的に取り付けられる。
【0034】
一実施形態では、本発明は、1つ又は複数の固体電解質層をさらに備えたセパレータシ
ステムを提供し、上記1つ又は複数の固体電解質層は、例えば水分子、CO
2、O
2、又
は空気が上記セパレータシステムを通して輸送されるのを防止し、LISICON又はN
ASICONを含む。
【0035】
一態様では、本発明のセパレータは、電気化学セルの電解質等の1つ又は複数の電解質
をさらに備え、これは、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、第4
高機械強度層、低イオン抵抗層、フレーム層、スペーサ、化学障壁層、又はそれらの任意
の組み合わせの少なくとも一部と任意に物理的に接触する。一実施形態では、例えば、セ
パレータシステムは、正電極及び負電極を有する電気化学セルのコンポーネントであり、
セパレータは、正電極と負電極との間に設けた電解質をさらに備え、電解質は、第1高機
械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれかと接
触する。一実施形態では、例えば、セパレータシステムは、正電極及び負電極を有する電
気化学セルのコンポーネントであり、セパレータは、正電極と負電極との間に設けた第1
電解質及び第2電解質をさらに備え、第1電解質は、第2電解質とは異なる組成を有し、
第1電解質は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機
械強度層のいずれかと接触し、第2電解質は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第
3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれかと接触し、その場合に、不透過性のイ
オン伝導層が間にあることにより、又は親水性若しくは疎水性の挙動又は密度等の異なる
化学的性質及び物理的性質により、第1電解質と第2電解質とは相互に混ざり合わない。
【0036】
第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層等の
セパレータシステムのコンポーネントの物理特性、化学特性、及び電子特性の選択は、高
い電気抵抗、高いイオン伝導率、及び有用な機械的特質の組み合わせ等、電気化学セルに
おける用途に有用な正味のセパレータ特性を提供するよう選択される。
【0037】
一実施形態では、例えば、第1開口パターンは、30%以上の、好ましくはいくつかの
用途で40%を超える第1高機械強度層の第1多孔度を提供し、且つ/又は第2開口パタ
ーンは、30%以上の、好ましくはいくつかの用途で40%を超える第2高機械強度層の
第2多孔度を提供する。一実施形態では、例えば、第1開口パターンは、30%以上の、
好ましくはいくつかの用途で40%を超える第1高機械強度層の第1多孔度を提供し、又
は第2開口パターンは、30%以上の、好ましくはいくつかの用途で40%を超える第2
高機械強度層の第2多孔度を提供し、又は第3開口パターンは、30%以上の、好ましく
はいくつかの用途で40%を超える第3高機械強度層の第3多孔度を提供し、又は第4開
口パターンは、30%以上の、好ましくはいくつかの用途で40%を超える第4高機械強
度層の第4多孔度を提供する。一実施形態では、例えば、第1開口パターンは、30%〜
70%、好ましくはいくつかの用途で40%〜70%の範囲から選択される第1高機械強
度層の多孔度を提供し、第2開口パターンは、30%〜70%、好ましくはいくつかの用
途で40%〜70%の範囲から選択される第2高機械強度層の多孔度を提供する。一実施
形態では、例えば、第1開口パターンは、30%〜70%、好ましくはいくつかの用途で
40%〜70%の範囲から選択される第1高機械強度層の多孔度を提供し、又は第2開口
パターンは、30%〜70%、好ましくはいくつかの用途で40%〜70%の範囲から選
択される第2高機械強度層の多孔度を提供し、又は第3開口パターンは、30%〜70%
、好ましくはいくつかの用途で40%〜70%の範囲から選択される第3高機械強度層の
多孔度を提供し、又は第4開口パターンは、30%〜70%、好ましくはいくつかの用途
で40%〜70%の範囲から選択される第4高機械強度層の多孔度を提供する。
【0038】
高機械強度層の開口の一定範囲の幾何学的形状、形状、向き、及びパターンが、本発明
のセパレータで有用である。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強
度層、第3高機械強度層、又は第4高機械強度層のいずれかの開口は独立して、円形、平
行四辺形、矩形、正方形、三角形、楕円形、四角形、五角形、六角形、及びそれらの任意
の組み合わせからなる群から選択される断面形状を有する。一実施形態では、例えば、高
機械強度層の開口は、20μm以上、場合によっていくつかの実施形態では50μm以上
、場合によってはいくつかの実施形態で200μm以上、場合によってはいくつかの実施
形態で500μm以上の少なくとも1つの横寸法(例えば、長さ、幅、直径等)を有する
。一実施形態では、例えば、高機械強度層の開口は、1μm〜1mm、場合によってはい
くつかの用途で200μm〜1mmの少なくとも1つの横寸法を有する。一実施形態では
、例えば、高機械強度層の開口は、200μm以下、場合によってはいくつかの用途で1
0μm以下、場合によってはいくつかの用途で1μm以下の少なくとも1つの横寸法を有
する。一実施形態では、例えば、第1パターン、第2パターン、第3パターン、又は第4
パターンのいずれかは独立して、対称開口パターン又は非対称開口パターンである。一実
施形態では、例えば、第1パターン、第2パターン、第3パターン、又は第4パターンの
いずれかは独立して、無作為ではない開口パターンを含む。
【0039】
一実施形態では、例えば、第1開口パターン、第2開口パターン、第3開口パターン、
又は第4開口パターンのいずれかは独立して、レーザ切断、リソグラフィ、エッチング、
鋳造、穿孔、成形、打ち抜き、パターニング、塗布、及びそれらの任意の組み合わせから
なる群から選択されるプロセスにより形成される。
【0040】
一実施形態では、第1高機械強度層、及び/又は第2高機械強度層、及び/又は第3高
機械強度層、及び/又は第4高機械強度層は、非導電性であり、例えば、これらの層の1
つ又は複数は、電気化学セル等の電気化学システムの正電極と負電極との間の直接電気接
触を防止するために電子絶縁性材料を含む。電子絶縁性の高機械強度層は、カプトン、ポ
リエステル、Al
2O
3、ポリエチレン、ポリプロピレン、繊維状セルロース、及び/又
はPE及びPPコーティング等の電子絶縁体で塗布した金属層等の、一定範囲の電子絶縁
性材料を含み得る。一実施形態では、第1高機械強度層、及び/又は第2高機械強度層、
及び/又は第3高機械強度層、及び/又は第4高機械強度層の少なくとも1つは、例えば
導電性であり、これらの層の1つ又は複数は、電子絶縁性材料を含み、これらの層の1つ
又は複数は、導電性材料を含む。第1高機械強度層、及び/又は第2高機械強度層、及び
/又は第3高機械強度層、及び/又は第4高機械強度層は、形状記憶ポリマー等の形状記
憶特性を特徴とする材料、又は超弾性の特性を特徴とする材料を含む。
【0041】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層及び第2高機械強度層は、相互に完全に物
理的に接触せず、例えば、電解質にイオン輸送をさせるために第1高機械強度層と第2高
機械強度層との間に少なくともある程度の空間がある構成で設けられ、例えば、第1高機
械強度層及び第2高機械強度層がいくつかの点で物理的に取り付けられるがいくつかの他
の点では間に空間を有するように相互に接触した粗面を有することにより設けられる。一
実施形態では、第1高機械強度層及び第2高機械強度層は、物理的に接触しないか、又は
物理的に完全に接触しない。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層及び第2高機械
強度層の少なくとも一部は、20nm〜2mmの範囲から選択される距離だけ分離される
。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層又は第2高機械強度層の少なくとも一部は
、20nm〜2mmの範囲から選択される距離だけ第3高機械強度層又は第4高機械強度
層から分離される。
【0042】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
第4高機械強度層、1つ又は複数の低イオン抵抗層、及び1つ又は複数の化学障壁層のい
ずれか、場合によっては全部が独立して、10nm〜1mmの範囲で選択される、場合に
よってはいくつかの用途で1μm〜500μmの範囲で選択される、場合によってはいく
つかの用途で10nm〜50μmの範囲で選択される平均厚を有する。一実施形態では、
例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、第4高機械強度層、
1つ又は複数の低イオン抵抗層、及び1つ又は複数の化学障壁層のいずれか、場合によっ
ては全部が独立して、5μm〜1mmの範囲で選択される、場合によってはいくつかの用
途で25μm〜5mmの範囲で選択される、場合によってはいくつかの用途で100μm
〜2mmの範囲で選択される、場合によってはいくつかの用途で500μm〜1mmの範
囲で選択される平均厚を有する。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機
械強度層、第3高機械強度層、第4高機械強度層、1つ又は複数の低イオン抵抗層、及び
1つ又は複数の化学障壁層のいずれか、場合によっては全部が独立して、10nm〜2μ
mの範囲で選択される、又は2μm〜50μmの範囲で選択される平均厚を有する。
【0043】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、500MPa〜50
0GPaの範囲で選択されるヤング率を有する。一実施形態では、例えば、第1高機械強
度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれか、場合に
よっては全部が独立して、5MPa〜1000GPaの範囲で選択される降伏強度を有す
る。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層
、及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、0.005N〜1
0Nの範囲で選択される引裂強度、好ましくはいくつかの用途で0.01Nを超える引裂
強度を有する。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高
機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、10N
〜500Nの範囲で選択される初期引裂強度、好ましくはいくつかの用途で50Nを超え
る初期引裂強度を有する。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度
層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立し
て、50MPa〜2GPaの範囲で選択される引張強度を有する。一実施形態では、例え
ば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層の
いずれか、場合によっては全部が独立して、10Ncm〜1000Ncmの範囲で選択さ
れる衝撃強度を有する。
【0044】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、平行構成で設けた平
面層を含む。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機
械強度層、及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、同心状構
成で設けた中空円筒層を含む。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械
強度層、第3高機械強度層、第4高機械強度層、1つ又は複数の低イオン抵抗層、及び1
つ又は複数の化学障壁層のいずれか、場合によっては全部が、耐薬品性材料を含む。一実
施形態では、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、第4高機械強度
層、1つ又は複数の低イオン抵抗層、及び1つ又は複数の化学障壁層は独立して、それに
接触して設けた電解質と化学的に適合性があり、且つ/又は独立して、それに接触して設
けた電極と化学的に適合性がある。
【0045】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、100℃以上の融点
を有する材料を含む。一実施形態では、例えば、高機械強度層の少なくとも2つは、少な
くとも30℃の差を有する異なる溶融温度を有し、場合によっては、高機械強度層の溶融
温度の差は、層の1つを溶融させることにより電気化学セルの2つの電極間のイオン経路
が閉じる遮断機構を提供するか、又は代替的に、高機械強度層の溶融温度の差は、層の1
つを溶融させることにより電気化学セルの2つの電極間のイオン経路が閉じる遮断機構を
提供しない。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機
械強度層、及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、50pp
m/℃以下の熱膨張率を有する材料を含む。
【0046】
本発明のセパレータシステムの第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度
層、及び第4高機械強度層は、電気化学セルのタイプ等の特定の用途向けに選択された一
定範囲の材料を含み得る。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度
層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層は独立して、耐薬品性材料を含む。一実施
形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4
高機械強度層は独立して、熱的に安定な材料を含む。一実施形態では、例えば、第1高機
械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれか、場
合によっては全部が独立して、ポリマー、金属、合金、セラミック、木材、ガラス、半導
体、織材、及び不織材からなる群から選択される1つ又は複数の材料を含む。一実施形態
では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機
械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、50以上の誘電率を有する材料を
含む。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度
層、及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、導電材料を含む
。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、ゲル電解質、固体電
解質、及びポリマー電解質からなる群から選択される1つ又は複数の材料を含む。一実施
形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4
高機械強度層のいずれか、場合によっては全部が独立して、ポリアクリル酸(PAA)、
架橋ポリエチレン(PEX、XLPE)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタ
レート(PET、PETE)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリ塩化ビニル(PV
C)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)
、ポリブチレン(PB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)
、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリテトラフルオロエチレン(PT
FE)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリエステル(PE)、アクリ
ロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)
、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスルホン(PES)、スチレン−アクリロニトリ
ル(SAN)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、スチレン無水マレイン酸(SMA)、P
VDF、PEO、LIPON、LISICON、ナフィオン、ZrO
2、NASICON
、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド五水和物(CH
3)
4NOH・5H
2O、ポリ
(エチレンオキシド)(PEO)、エピクロヒドリン及びエチレンオキシドP(ECH−
co−EO)及びポリ(ビニルアルコール)のコポリマー、PEO−PVA−ガラス繊維
ポリマー電解質、硫化亜鉛、二酸化ケイ素、PVA及びPSA、PVA/V6/PSS、
PVAN6(PSS+PAA)、V6/PVA(PSS+PAA)、PVMPSS+PA
A(35%))/(PSS+PAA(35%))、(PSS+PAA(35%))/PV
A/(PSS+PAA(35%))、又は(PSS+PAA(35%))/(PVA(1
0%)+PSS(20%)対PVA))/(PSS+PAA(35%))ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、アクリルポリエチレン
グリコール、アクリルポリプロピレングリコール、アルキルポリブチレングリコール、そ
のコポリマー、PEO材料、又はPVA材料、及びそれらの組み合わせから選択される1
つ又は複数の材料を含む。
【0047】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層のいずれかの表面は、電解質に対する濡れ性を有する。一実施形態
では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機
械強度層のいずれかの表面に、電解質に対して濡れ性のあるコーティングを塗布する。一
実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び
第4高機械強度層のいずれかの表面の少なくとも一部に、任意に表面の10%未満を覆う
接着剤コーティングを塗布する。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機
械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれかの表面の少なくとも一部
に、5μm未満の厚さを有する接着剤コーティングを塗布する。一実施形態では、例えば
、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層のい
ずれかの少なくとも1つの表面は、1nm〜100nmの範囲から選択されるrms(二
乗平均)を特徴とする表面粗さ等の表面粗さを有し、第1高機械強度層、第2高機械強度
層、第3高機械強度層、又は第4高機械強度層の少なくとも一部の間に電解質用の空間を
提供する。一実施形態では、例えば、セパレータシステムは、正電極及び負電極を有する
電気化学セルにおけるコンポーネントであり、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第
3高機械強度層、及び第4高機械強度層のいずれかの少なくとも1つの表面は、1nm〜
1000nmの範囲から選択されるrmsを特徴とする表面粗さ等の表面粗さを有し、第
1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、又は第4高機械強度層と電気化
学セルの正電極又は負電極との間に電解質用の空間を提供する。一実施形態では、例えば
、表面粗さは、高機械強度層の2つの少なくとも一部間に、又は高機械強度層の少なくと
も一部と正電極又は負電極との間に、5nm〜5マイクロメートルの範囲から選択される
距離を提供する。
【0048】
一態様では、本発明は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、第
4高機械強度層、低イオン抵抗層、フレーム層、スペーサ、化学障壁層の少なくともいく
つか、又はそれらの任意の組み合わせが、高い表面エネルギー、好ましくはいくつかの用
途で10mJ/m
2以上の表面エネルギーを有するセパレータシステムを提供する。一実
施形態では、例えば、これらのコンポーネントのいずれかの表面エネルギーは、電解質に
対する層の濡れ性を向上させる。一実施形態では、例えば、これらのコンポーネントのい
ずれかの表面エネルギーは、相互又は電気化学セルの電極に対する層の取り付けに役立つ
。
【0049】
一態様では、セパレータは、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層
、及び第4高機械強度層のいずれかに設けた1つ又は複数のコーティングをさらに備える
。一実施形態では、例えば、1つ又は複数のコーティングは独立して、1つ又は複数の非
導電性コーティングを含む。一実施形態では、例えば、1つ又は複数のコーティングは独
立して、1つ又は複数の疎水性コーティング及び/又は親水性コーティングを含む。一実
施形態では、例えば、1つ又は複数のコーティングは独立して、ポリエチレングリコール
を含む。一実施形態では、例えば、1つ又は複数のコーティングは、電気化学セルの正電
極から負電極への物質輸送を防止する。一実施形態では、例えば、1つ又は複数のコーテ
ィングは独立して、10nm〜2μmの範囲から選択される厚さを有する。一実施形態で
は、例えば、セパレータは、硫黄系カソードを有する電気化学セル用であり、1つ又は複
数のコーティングは、疎水性のポリスルフィドを弾いて電気化学セルの性能及びサイクル
寿命を向上させる。一実施形態では、疎水性又は親水性コーティングを、硫黄系カソード
Li電池に設ける。最新の硫黄系カソードLi電池の問題は、電気化学反応が電解質にお
いて分解し、したがって電解質を通して硫黄電極からLi電極への材料(媒介ポリスルフ
ィド)の通過に起因した著しい容量損失があり得ることである。この問題を防止するため
に、特定の実施形態のセパレータには、疎水性のポリスルフィドを弾くことで材料通過及
び容量損失を妨げるポリエチレングリコール材料(親水性)を塗布する。本発明の実施形
態におけるコーティングの使用は、いわば、例えばリチウム−空気及びリチウム水電気化
学セルにおけるセパレータの疎水性コーティングにより、Liアノードを水分から保護す
るのにも有用である。
【0050】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
及び第4高機械強度層のいずれかは独立して、Al、Ni、Cu、及びステンレス鋼から
なる群から任意に選択される金属層である。一実施形態では、例えば、コーティングは、
PTFE、PE、PP、PVC、又はポリイミドを任意に含む非導電性コーティングであ
る。
【0051】
本発明は、一定範囲の電気化学システムで有用なセパレータシステムを含む。一実施形
態では、例えば、本発明は、一次電気化学セル又は二次電気化学セル用のセパレータシス
テムを提供する。一実施形態では、例えば、本発明は、リチウム電池、アルカリ電池、亜
鉛電池、又は鉛蓄電池用のセパレータシステムを提供する。一実施形態では、例えば、本
発明は、リチウム金属−空気電池、リチウムイオン電池、リチウム空気電池、Fe−空気
電池、Al−空気電池、又は亜鉛−空気電池用のセパレータシステムを提供する。一実施
形態では、例えば、本発明は、燃料電池、フロー電池システム、半固体電池、3D電池、
ナノ電池、マイクロ電池、又は電気化学キャパシタ用のセパレータシステムを提供する。
【0052】
別の態様では、本発明は、(i)負電極と、(ii)正電極と、(iii)正電極と負
電極との間に設けた第1電解質と、(iv)電解質と接触して負電極と正電極との間に設
けた本発明のセパレータシステムとを備えた電気化学セルであって、セパレータシステム
は、電解質のイオンを正電極と負電極との間で輸送可能であるよう位置決めされる電気化
学セルを提供する。一態様では、セパレータシステムは、正電極と負電極との間の電気接
触を防止する。当業者には理解されるように、本明細書に記載のセパレータシステムのい
ずれを電気化学セル等の本発明の電気化学システムに用いてもよい。
【0053】
一実施形態では、例えば、セパレータシステムは、正電極及び負電極と物理的に接触し
て設けられる。一実施形態では、例えば、セパレータシステムは、正電極と負電極との間
に1×10
−3S/cm以上の、場合によってはいくつかの用途で好ましくは1×10
−
2S/cmを超えるイオン伝導率を提供する。一実施形態では、例えば、セパレータシス
テムは、正電極から負電極まで0.5Ωcm
2〜25Ωcm
2の範囲で選択される、好ま
しくはいくつかの用途で5Ωcm
2未満の正味イオン抵抗を提供する。
【0054】
一実施形態では、電気化学セルは、正電極と負電極との間に設けた化学障壁層をさらに
備え、電気化学セルは、正電極と負電極との間に設けた第2電解質をさらに備え、化学障
壁層は、第1電解質と第2電解質との混合を防止する。
【0055】
一実施形態では、例えば、高機械強度層のオフセット配列は、正電極と負電極との間に
直接的な直線経路を提供しない。一実施形態では、例えば、オフセット配列は、製造欠陥
、外的物体、又は、正電極又は負電極上のデンドライト形成による正電極と負電極との間
の電気接触を介した短絡を防止する。この態様の実施形態は、例えば、デンドライト形成
から生じる正電極から負電極への電気的短絡又は熱暴走問題を最小化又は防止するのに有
益である。この態様の実施形態は、例えば、サイクル充電強化及び/又は高い放電率性能
が可能な電気化学セルを提供するのに有用である。
【0056】
一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、
第4高機械強度層、低イオン抵抗層、フレーム層、スペーサ、化学障壁層の少なくとも1
つ、又はそれらの任意の組み合わせは、圧力、加熱、接着剤塗布、化学接着材、プラズマ
処理により、又は1つの層若しくは電極への別の層の堆積又は塗布、若しくはそれらの任
意の組み合わせにより、正電極又は負電極に少なくとも部分的に取り付けられる。一実施
形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、第4高機
械強度層、低イオン抵抗層、フレーム層、スペーサ、化学障壁層の少なくとも1つ、又は
それらの任意の組み合わせは、接着剤、エポキシ、セメント、テフロンコーティング、固
体電解質、ゲル電解質、又はポリマー電解質により、正電極又は負電極に少なくとも部分
的に取り付けられる。一実施形態では、例えば、第1高機械強度層、第2高機械強度層、
第3高機械強度層、第4高機械強度層、低イオン抵抗層、フレーム層、スペーサ、化学障
壁層の少なくとも1つ、又はそれらの任意の組み合わせは、正電極又は負電極の表面に堆
積させたコーティングを含む。
【0057】
一実施形態では、例えば、本発明は、少なくとも300サイクル、好ましくはいくつか
の用途で少なくとも500サイクルのサイクル容量を有する本セパレータシステムを組み
込んだ電気化学セルを提供する。一実施形態では、例えば、本発明は、C/5以上の放電
率で100mAh g
−1以上の比容量を有する本セパレータシステムを組み込んだ電気
化学セルを提供する。
【0058】
本発明の電気化学セル及びセパレータシステムは、液体電解質、固体電解質、ゲル電解
質、非プロトン性電解質、水性電解質、及び非水電解質を含む、一定範囲の電解質と適合
性がある。一実施形態では、例えば、電解質は、固体電荷保持媒体又はゲル電極を含む。
一実施形態では、例えば、電解質は高分子媒体を含む。一実施形態では、例えば、電解質
は、ポリエチレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ
素含有コポリマー、ポリアクリロニトリル、及びそれらの任意の組み合わせを含む。
【0059】
一実施形態では、例えば、電解質は、1つ又は複数の非水溶媒中に少なくとも部分的に
溶解したアルカリ金属塩を含む。一実施形態では、例えば、電解質は、溶媒及び支持塩を
含み、溶媒は、有機カーボネート、エーテル、エステル、ホルメート、ラクトン、スルホ
ン、スルホラン、1,3−ジオキソラン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネー
ト、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ブチレ
ンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、フルオロプロ
ピレンカーボネート、y−ブチロラクトン、メチルジフルオロアセタート、エチルジフル
オロアセタート、ジメトキシエタン、ジグライム(bis(2−メトキシエチル)エーテ
ル)、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、2MeTHF、1,2−DME、又はより大
きなグライム類、スルホラン、ギ酸メチル、酢酸メチル、及びそれらの組み合わせからな
る群から選択され、支持塩は、LiPF
6、LiBF
4、LiAsF
6、LiClO
4、
LiSO
3CF
3、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(SO
2C
2F
5)
2、それらの
任意の組み合わせからなる群から選択される。一実施形態では、例えば、電解質は、PV
dF、PVdF−HFPコポリマー、PAN、及びPEO、及びそれらの混合物から選択
されるゴルフィング剤、EC、PC、DEC、DMC、EMC、THE、2MeTHF、
1,2−DME、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される可塑剤、並びにLi
PF
6、LiBF
4、LiAsF
6、LiClO
4、LiSO
3CF
3、LiN(CF
3
SO
2)
2、及びLiN(SO
2C
2F
5)
2からなる群から選択されるLi塩を含む。
【0060】
一態様では、本発明は、正電極を含む第1側に第1電解質と、負電極を含む第2側に第
2電解質とを有する電気化学セルを提供し、第1電解質は、第2電解質とは異なる組成を
有し、電気化学セルは、正電極と負電極との間に位置決めしたイオン伝導性保護膜を含む
1つ又は複数の化学障壁層をさらに備える。この態様の一実施形態では、第1電解質は水
性電解質であり、第2電解質は非プロトン性電解質である。この態様の一実施形態では、
第1電解質及び第2電解質の少なくとも一方は固体電解質である。
【0061】
本発明の電気化学セル及びセパレータシステムは、一定範囲の組成、フォームファクタ
、及び装置の幾何学的形状を有する電極と適合性がある。一実施形態では、例えば、負電
極、正電極、又は両方が、マイクロサイズ材料又はナノサイズ材料を含む。本明細書で用
いられる場合、ナノサイズは、1nm〜1000nmの範囲で選択される少なくとも1つ
の物理的寸法(例えば、長さ、高さ、幅、直径等)を有する粒子又は薄膜等の構造を指す
。本明細書で用いられる場合、マイクロサイズは、1μm〜1000μmの範囲で選択さ
れる少なくとも1つの物理的寸法(例えば、長さ、高さ、幅、直径等)を有する粒子又は
薄膜等の構造を指す。一実施形態では、例えば、負電極又は正電極は、活正電極粒子及び
伝導性粒子の混合物等の粉体の形態である。一実施形態では、例えば、負電極又は正電極
は薄膜の形態である。一実施形態では、例えば、本発明は、正電極又は負電極の少なくと
も一方が溶媒和リチウム又は溶媒和リチウム合金等の溶媒和金属の形態である、電気化学
セルを提供する。一実施形態では、例えば、本発明は、正電極又は負電極の少なくとも一
方が溶融金属の形態である電気化学セルを提供する。
【0062】
一実施形態では、例えば、本発明は、負電極が、リチウム、亜鉛、アルミニウム、ケイ
素、スズ、アンチモン、鉛、ゲルマニウム、マグネシウム、カドミウム、ビスマス、イン
ジウム、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル、鉄、ニッケル、マンガン、銅、
ナトリウム遷移金属リン酸塩、ナトリウム混合金属リン酸塩、Li
4/3Ti5/3O
4
、黒鉛、スズの合金、コバルト、炭素、LiVO
2、Li
4Ti
5O
12、Li4/3T
i5/3O
4 TiO
2、WO
2、及びMoO
2からなる群から選択される材料を含む、
電気化学セルを提供する。一実施形態では、例えば、本発明は、正電極が、黒鉛、LiC
oO_2NiO_8O
2、LiNiO
2、LiFePO
4、LiMnPO
4、LiCoP
O
4、LiMn
2O
4、LiCoO
2、LiNiO_5Mnl.5O
4、LiVPO
4F
、酸化銀、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガン、AgO、Ag
2O
3、Zn、Z
nO AgO、Ag
2O、Ag
2O
3、HgO、Hg
2O、CuO、CdO、NiOOH
、Pb
2O
4、PbO
2、LiFePO
4、Li
3V
2(PO
4)
3、V
6O
13、V
2
O
5、Fe
3O
4、Fe
2O
3、MnO
2、LiCoO
2、LiNiO
2、LiMn
2O
4、LiVO
2、Li
4Ti
5O
12、TiO
2、WO
2、及びMoO
2からなる群から
選択される材料を含む、電気化学セルを提供する。一実施形態では、例えば、本発明は、
正電極が、(i)LixCoO
2、Li
xNiO
2、LixMn
2O
4、及びLiFeP
O
4からなる群から選択されるリチウム化金属酸化物系カソードと、(ii)Ag
xV
2
O
5、Cu
xV
2O
5、V
2O
5、V
6O
13、MnO
2、CuO、Ag
2CrO
4、及
びMoO
3からなる群から選択され、xが0〜2の範囲である非リチウム化金属酸化物系
カソードと、(iii)FeS
2、TiS
2、FeS、及びCuSからなる群から選択さ
れるリチウム化金属酸化物系カソードと、(iv)硫黄元素、ポリスルフィド類、及びそ
れらの組み合わせからなる群から選択される活性硫黄カソードと、(v)水等の水性の電
気化学的に活性な成分、又は過酸化物、過酸化水素、O
2、SO
2、及びNO
2等の気体
状、液体状、及び固体状の酸化剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される水溶
性酸化剤を含む、PEO/炭素/金属酸化物型カソード構造であり、水溶性固体酸化剤は
、NaNO
2、KNO
2、Na
2SO
3、及びK
2SO
3からなる群から選択され、カソ
ード構造の導電性コンポーネントは、ニッケル等の多孔質触媒担体であり、上記カソード
構造の電気化学的に活性な材料は空気を含む、PEO/炭素/金属酸化物型カソード構造
と、からなる群から選択される材料を含む電気化学セルを提供する。
【0063】
本発明の電気化学セルは、一次電気化学セル及び二次電気化学セルを含む。一実施形態
では、例えば、本発明は、リチウム電池、アルカリ電池、亜鉛電池、鉛蓄電池、リチウム
金属−空気電池、リチウムイオン電池、リチウム空気電池、Fe−空気電池、Al−空気
電池、又は亜鉛−空気電池を含む電気化学セルを提供する。一実施形態では、例えば、本
発明は、燃料電池、フロー電池システム、半固体電池、3D電池、ナノ電池、マイクロ電
池、又は電気化学キャパシタを含む電気化学セルを提供する。一実施形態では、例えば、
本発明は、薄膜電池を含む電気化学セルを提供する。一実施形態では、例えば、本発明は
、アルカリ金属イオン電池である電気化学セルを提供する。
【0064】
一実施形態では、例えば、本発明は、1つ又は複数のリチウムイオン電気化学セル等の
1つ又は複数の電気化学セルを備えた電池パックを提供する。当業者には理解されるよう
に、本発明のセパレータシステム及び電気化学セルのいずれを本発明のアルカリ金属フロ
ー電池、スーパーキャパシタ、又は燃料電池に用いてもよい。
【0065】
一態様では、本発明は、アルカリ金属燃料電池であって、(i)固体アルカリ金属及び
溶媒中に溶解したアルカリ金属を燃料として含む再生可能なアノードと、(ii)固定の
電子伝導性コンポーネント、アルカリ金属のイオン用の電解質を含むイオン伝導性コンポ
ーネント、及び電池の動作環境から得られる流体酸化剤を含むカソード構造と、(iii
)アノード及びカソード構造間に設けた本発明のセパレータシステムとを備えた、アルカ
リ金属燃料電池を提供する。当業者には理解されるように、本明細書に記載のセパレータ
システムのいずれを本発明のアルカリ金属フロー電池、スーパーキャパシタ、又は燃料電
池に用いてもよい。
【0066】
一態様では、本発明は、電気化学セルを作製する方法であって、(i)負電極を設ける
ステップと、(ii)正電極を設けるステップと、(iii)正電極と負電極との間に電
解質を設けるステップと、(iv)正電極と負電極との間に位置決めしたセパレータシス
テムを設けるステップであり、セパレータシステムは、(i) 第1高機械強度層であり、
第1高機械強度層を貫通して第1パターンで設けた複数の開口を有する第1高機械強度層
と、(ii)第2高機械強度層であり、第2高機械強度層を貫通して第2パターンで設け
た複数の開口を有し、第2パターンは、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直
に延びる軸に沿った第1高機械強度層の開口と第2高機械強度層の開口との重なりが20
%以下であるように第1パターンに対してオフセット配列を有する第2高機械強度層とを
備え、第1高機械強度層及び第2高機械強度層は、第1高機械強度層及び第2高機械強度
層に接触して設けた電解質のイオンを第1高機械強度層及び第2高機械強度層を通して輸
送可能であるように位置決めされる、セパレータシステムを設けるステップとを含む方法
を提供する。一実施形態では、セパレータシステムは、電解質と少なくとも部分的に物理
的に接触する。一実施形態では、本方法は、正電極と負電極との間にイオン伝導性化学障
壁を設けるステップをさらに含み、イオン伝導性化学障壁は、正電極と接触した第1電解
質を負電極と接触した第2電解質から分離し、第1電解質は第2電解質とは異なる組成を
有し、イオン伝導性化学障壁は、第1電解質と第2電解質との混合を防止する。当業者に
は概して理解されるように、本セパレータシステムと、本明細書に記載のコンポーネント
、材料、及び特性の特定の実施形態及び組み合わせの全てを含む本発明のシステムとのい
ずれを、本電気化学セルを作製する方法で用いてもよい。
【0067】
一態様では、本発明は、電流を発生させる方法であって、(i)電気化学セルを設ける
ステップであり、電気化学セルは、(1)第1高機械強度層であり、第1高機械強度層を
貫通して第1パターンで設けた複数の開口を有する第1高機械強度層と、(2)第2高機
械強度層であり、第2高機械強度層を貫通して第2パターンで設けた複数の開口を有し、
第2パターンは、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第
1高機械強度層の開口と第2高機械強度層の開口との重なりが20%以下であるように第
1パターンに対してオフセット配列を有する第2高機械強度層とを備え、第1高機械強度
層及び第2高機械強度層は、第1高機械強度層及び第2高機械強度層に接触して設けた電
解質のイオンを第1高機械強度層及び第2高機械強度層を通して輸送可能であるように位
置決めされる、電気化学セルを設けるステップと、(ii)電気化学セルを放電させるス
テップとを含む方法を提供する。一実施形態では、この態様の方法は、電気化学セルを充
電するステップをさらに含む。一実施形態では、この態様の方法は、電気化学セルを複数
の充電及び放電サイクルでサイクル充電するステップをさらに含む。当業者には概して理
解されるように、本セパレータシステムと、本明細書に記載のコンポーネント、材料、及
び特性の特定の実施形態及び組み合わせの全てを含む本発明のシステムとのいずれを、本
電流を発生させる方法で用いてもよい。
【0068】
別の態様では、電気化学セルであって、正電極と、負電極と、正電極と負電極との間に
位置決めした、イオン伝導・電子絶縁性のセパレータと、正電極とセパレータとの間に位
置決めされ、正電極と電気的に接続するか、又は、負電極とセパレータとの間に位置決め
され、負電極と電気的に接続する、第1電子・イオン伝導層と、正電極と負電極との間に
位置決めした1つ又は複数の電解質であり、1つ又は複数の電解質は電荷担体を伝導可能
であることを特徴とする、電解質と、を備える電気化学セルを提供する。
【0069】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、金属、合金、炭素系物質、半導体、電子伝導
性ポリマー、電子伝導性セラミックス、又はこれらの任意の組み合わせを含む。任意選択
で、第1電子・イオン伝導層は、金属又は合金メッシュ、金属又は合金有孔層、金属又は
合金コーティング、炭素コーティング、多孔質層、有孔層、メッシュ、発泡体、導電物質
の少なくとも部分的なコーティング、又はこれらの任意の組み合わせを含む。任意選択で
、第1電子・イオン伝導層は、Au、Al、Cu、Ti、Zn、Ag、ステンレス鋼、L
i、Sn、Si、Ni、スチール、タングステン、錫、鉛、コンスタンタン、水銀、ゲル
マニウム又は任意のそれらの合金類、グラファイト、カーボンブラック、グラフェン、カ
ーボンナノチューブ、コークス、Li合金類、Fe合金類、酸化インジウム錫(ITO)
、ランタンドープチタン酸ストロンチウム(SLT)、イットリウムドープチタン酸スト
ロンチウム(SYT)、ポリ(フルオレン)類、ポリフェニレン類、ポリピレン類、ポリ
アズレン類、ポリナフタレン類、ポリ(アセチレン)類、ポリ(p−フェニレンビニレン
)、ポリ(ピロール)類、ポリカルバゾール類、ポリインドール類、ポリアゼピン類、ポ
リアニリン類、ポリ(チオフェン)類、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、
ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリフルオレン系導電性高分子類、PAN、ポリ(
9,9−ジオクチルフルオレン−co−フルオレノン)、ポリ(9,9−ジオクチルフル
オレン−co−フルオレノン−co−メチルベンゾイックエステル)、ポリチオフェン、
ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルフォネ
ート)(PEDOT:PSS)、[(フェロセニル)アミドプロピル]ピロール、ピロー
ル、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフラン、SiO
2、ナピオン、
PVC又はそれらのドープした組成物又はそれらの混合物、又は、これらの任意の組み合
わせを含む。
【0070】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、30%以上、40%以上、50%以上、60%
以上、70%以上、80%以上、90%以上、30%〜90%の範囲、40%〜80%の
範囲、50%〜70%の範囲、又は50%〜90%の範囲、から選択される多孔度を有す
る、多孔質又は有孔材料を含む。
【0071】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、耐薬品性物質、耐熱性物質、機械的抵抗性物
質、又はこれらの任意の組み合わせを含む。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、セ
パレータ、正電極又は負電極の少なくとも1つの外面に堆積した薄膜構造を含む。任意選
択で、第1電子・イオン伝導層は、セパレータ、正電極又は負電極の少なくとも1つの外
面に塗布したコーティングを含む。
【0072】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、1S/cm以上、10S/cm以上、100
S/cm以上の電子伝導度を有する。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、10Ω・
cm
2以下、5Ω・cm
2以下、3Ω・cm
2以下、1Ω・cm
2以下、0.3Ω・cm
2〜3Ω・cm
2の範囲、0.03Ω・cm
2〜3Ω・cm
2の範囲、0.1Ω・cm
2
〜10Ω・cm
2の範囲、0.3Ω・cm
2〜5Ω・cm
2の範囲、又は0.3Ω・cm
2〜3Ω・cm
2の範囲、から選択される、イオン抵抗を有する。
【0073】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、100μm以下、50μm以下、25μm以
下、10μm以下、1μm以下、100nm以下、10nm〜100nmの範囲、10n
m〜10μmの範囲、又は50nm〜5μmの範囲、から選択される厚さを有する。
【0074】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、セパレータと物理的に接触して設けられる。
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、セパレータの外面の少なくとも10%と物理的
に接触する。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、正電極又は負電極と物理的に接触
する。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、正電極又は負電極の外面の少なくとも1
0%と物理的に接触する。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、正電極材料又は負電
極材料により少なくとも一部が被覆される。
【0075】
いくつかの実施形態において、第1電子・イオン伝導層は、負電極又は正電極の少なく
とも一部における電子伝導率を向上する。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、正電
極と正電極集電体との間に電子伝達のための付加的な経路を、負電極と負電極集電体との
間に電子伝達のための付加的な経路を、正電極に隣接するか又は正電極の内部に一様電場
を、又は負電極に隣接するか又は負電極の内部に一様電場を、又はこれらの提供された利
点の任意の組み合わせを、提供する。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、正電極又
は負電極と、電子を受け渡しするための予備経路を提供する。任意選択で、第1電子・イ
オン伝導層は、正電極又は負電極に隣接して又はその内部に均一な電界を提供することに
より、正電極又は負電極内においてイオンを均一に堆積させる。例示的な実施形態におい
て、第1電子・イオン伝導層は、正電極又は負電極上における又は各電極からのデンドラ
イト成長を防止する。
【0076】
特定の実施形態において、本態様の電気化学セルは、第2電子・イオン伝導層をさらに
備える。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は正電極と電気的に接触して位置決めされ
、第2電子・イオン伝導層は負電極と電気的に接触して位置決めされる。
【0077】
任意選択で、セパレータは、ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン
テレフタレート、カプトン、ポリエステル、ナフィオン、ZrO
2、ポリイミド、ポリテ
トロフルオロエチレン、ガラスセパレータ、不織布セパレータ、織布セパレータ、又はこ
れらの任意の組み合わせからなる微多孔層を含む。任意選択で、セパレータは、ポリマー
電解質、固体電解質、ゲル状電解質、ナフィオン、ZrO
2、PVDF、PEO、PMM
A、LISICON、NASICON、LIPON、NaPON、PE、PP、PET、
カプトン、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、セパレータは高機械強度層を含む。任意選択で、セパレ
ータは、第1高機械強度層であり、該第1高機械強度層を貫通して第1開口パターンで設
けた複数の開口を有する第1高機械強度層を含む。任意選択で、セパレータは、第1高機
械強度層の複数の開口の少なくとも一部に設けた第1イオン伝導・電子絶縁性材料をさら
に備える。
【0079】
いくつかの実施形態において、例えば、セパレータは、第1高機械強度層であり、該第
1高機械強度層を貫通して第1開口パターンで設けた複数の開口を有する第1高機械強度
層、及び、第2高機械強度層であり、該第2高機械強度層を貫通して第2開口パターンで
設けた複数の開口を有する第2高機械強度層を備え、第2開口パターンは、第1高機械強
度層から前記第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った前記第1高機械強度層の前記
開口と前記第2高機械強度層の前記開口との重なりが20%以下であるように前記第1開
口パターンに対してオフセット配列を有し、第1高機械強度層及び第2高機械強度層は、
第1高機械強度層及び第2高機械強度層に接触して設けた電解質のイオンを第1高機械強
度層及び第2高機械強度層を通して輸送可能であるように位置決めされる。
【0080】
任意選択で、セパレータは、第1電子・イオン伝導層の少なくとも1つの外面、正電極
の少なくとも1つの面、又は負電極の少なくとも1つの面に塗布したコーティングを備え
る。任意選択で、セパレータは、第1電子・イオン伝導層の少なくとも1つの外面、正電
極の少なくとも1つの面、又は負電極の少なくとも1つの面に堆積した薄膜を備える。任
意選択で、第1電子・イオン伝導層は、セパレータのコンポーネントである。任意選択で
、第1電子・イオン伝導層はセパレータ上のコーティングである。任意選択で、セパレー
タは500μm以下又は10nm〜200μmの範囲から選択される全厚を有する。
【0081】
任意選択で、正電極又は負電極はインターカレーションホスト材料を備える。任意選択
で、正電極又は負電極は、電気化学セルの充電中又は放電中に形状が変化する材料を含む
。任意選択で、正電極は、金属酸化物、硫黄、SO
2、リチウム塩化チオニル、MnO
2
、CF
x、CuO、V
6O
13、V
2O
5、FeS
2、CuCl
2、I
2、HgO、カド
ミウム、臭素、水素系電極、酸素系電極、臭素、FeS、V
2O
5、Ag、Ni、Pb、
PbO
2、炭素、LiCoO
2、LiFePO
4、LiMn
2O
4、炭素系酸素カソード
、炭素系水カソード、アルカリ金属、アルカリ金属合金、一つ又は複数のCa、Mg、S
n、Ag、Zn、Bi、Al、Cd、Ga、Inを有する二価又は三価のアルカリ金属合
金、酸化亜鉛、Na、酸化鉛、リチウム、酸化リチウム、過酸化リチウム、チタン酸化リ
チウム、酸素活物質カソード、水活物質カソード、Na
2/3[Fe
1/2Mn
1/2]
O
2、ヘキサシアノ鉄酸銅、ポリピロール、活性炭、グラフェン、グラファイト、ナノカ
ーボン、アンチモン、錫アンチモン合金、5%バナジウムドープしたリン酸鉄リチウム、
フルオロリン酸鉄リチウム、マンガンスピネル、リチウムニッケルマンガンコバルト、プ
ルプリン、リチウムプルプリン、酸化リチウムバナジウム、チタン酸リチウム、酸化コバ
ルト、リン酸鉄、二酸化チタン、ケイ素、アンチモン化銅、水溶性気体酸化剤、水溶性液
体酸化剤、水溶性固体酸化剤、又はこれらの任意の組み合わせを含む。任意選択で、負電
極は、Si、Li、Zn、ZnO、炭素、Na、Mg、Sn、Cd、Pb、PbO
2、L
TO、酸化バナジウム、アルカリ金属、アルカリ金属合金、一つ又は複数のCa、Mg、
Sn、Ag、Zn、Bi、Al、Cd、Ga、Inを有する二価又は三価のアルカリ金属
合金、酸化亜鉛、Na、酸化鉛、リチウム、酸化リチウム、過酸化リチウム、チタン酸化
リチウム、酸素活物質カソード、水活物質カソード、Na
2/3[Fe
1/2Mn
1/2
]O
2、ヘキサシアノ鉄酸銅、ポリピロール、活性炭、グラフェン、グラファイト、ナノ
カーボン、アンチモン、錫アンチモン合金、5%バナジウムドープしたリン酸鉄リチウム
、フルオロリン酸鉄リチウム、マンガンスピネル、リチウムニッケルマンガンコバルト、
プルプリン、リチウムプルプリン、酸化リチウムバナジウム、チタン酸リチウム、酸化コ
バルト、リン酸鉄、二酸化チタン、ケイ素、SO
2、リチウム塩化チオニル、MnO
2、
CF
x、CuO、V
6O
13、V
2O
5、FeS
2、CuCl
2、I
2、HgO、カドミ
ウム、臭素、水素系電極、酸素系電極、臭素、アンチモン化銅、又はこれらの任意の組み
合わせを含む。
【0082】
任意選択で、正電極は正極活物質を含み、第1電子・イオン伝導層は正極活物質と電気
的に接触して設けられる。任意選択で、正電極は正極活物質と電気的に接触した集電体を
さらに備える。任意選択で、負電極は負極活物質を含み、第1電子・イオン伝導層は負極
活物質と電気的に接触して設けられる。任意選択で、前記負電極は前記正極活物質と電気
的に接触した集電体をさらに備える。
【0083】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、例えば、還元及び/又は酸化用の外部集電極
を備える。任意選択で、前記第1電子・イオン伝導層は、前記正電極及び前記負電極の一
方を還元する。任意選択で、前記外部集電極は、金属−空気電池における酸素発生におい
て起こるように、前記正電極及び前記負電極の一方を酸化する。
【0084】
さまざまな実施形態において、電気化学セルは、二次電池、一次電池、フロー電池、燃
料電池又は半固体電池又は電気化学キャパシタ又は鉛蓄電池を含む。任意選択で、電気化
学セルは、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、亜鉛電池、空気リチウム電池、空気
亜鉛電池、空気アルミニウム電池、空気鉄電池、リチウム−水電池、シリコン系電池、ナ
トリウム電池、マグネシウム電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウムイオン電池、ア
ルカリ電池又は鉛蓄電池又はリードック・フロー電池又は燃料電池又は電気化学キャパシ
タを含む。任意選択で、電気化学セルは、シリコン系アノード、リチウムアノード、金属
酸化物電極、硫黄系カソード、炭素系酸素カソード、及び炭素系水カソードのうちの1つ
又は複数を含むリチウム電池を備える。
【0085】
別の態様において、電気化学セルであって、正電極と、負電極と、正電極と負電極との
間に位置決めしたイオン伝導・電子絶縁性のセパレータと、正電極とセパレータとの間に
位置決めした第1電解質と、負電極とセパレータとの間に位置決めした第2電解質と、を
備える電気化学セルにおいて、セパレータは、第1高機械強度層であり、該第1高機械強
度層を貫通して第1開口パターンで設けた複数の開口を有する第1高機械強度層と、第1
高機械強度層の前記複数の開口の少なくとも一部に設けた第1イオン伝導・電子絶縁性材
料と、を備え、第1及び第2電解質は電荷担体を伝導可能である、電気化学セルを提供す
る。
【0086】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、固体電解質、ゲル状電解質、ポリマ
ー電解質、ナフィオン(Nafion)、ZrO
2、LISICON、NASICON、
PEO、Li
10GeP
2S
12、LIPON、PVDF、Li
3N、Li
3P、LiI
、LiBr、LiCl、LiF、リチウムイミド、KOH、NaOH、酸化物ペロブスカ
イト、La
0.5、Li
0.5TiO
3、チオ(Thio−)LISICON、Li
3.
25Ge
0.25P
0.75S
4、ガラスセラミックス類、Li
7P
3S
11、ガラス状
物質類、Li
2S−SiS
2−Li
3PO
4、窒化リチウム、ポリエチレンオキシド、ド
ープしたLi
3N、Li
2S−SiS
2−Li
3PO
4、LIPON、Li
14Zn(G
eO
4)
4、Li−β−アルミナ、Li
3.6Si
0.6P
0.4O
4、Li
2S−P
2
S
5、PEO−LiClO
4、LiN(CF
3SO
2)
2/(CH
2CH
2O)
8、Na
PON、SiO
2、アルミナ、シリカガラス、セラミックス類、ガラスセラミックス類、
水安定ポリマー類、ガラス質金属イオン伝導体類、非結晶金属イオン伝導体類、セラミッ
ク活性金属イオン伝導体類、イオン伝導性セラミックス、イオン伝導性固溶体、イオン伝
導性ガラス、固体リチウムイオン伝導体、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0087】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、前記セパレータを体積で10%以上
、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%
以上含む。任意選択で、、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、セパレータの表面積の1
0%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上
、80%以上を占める。
【0088】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は0.01μm〜2000μmの範囲か
ら選択される平均厚を有する。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は0.00
5mm〜0.05mmの範囲から選択される平均厚を有する。
【0089】
いくつかの実施形態において、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は1%未満の平均多孔
度を有し、又は非多孔質である。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は0%〜
5%の範囲から選択される平均多孔度を有する。好ましくは、第1イオン伝導・電子絶縁
性材料は、ピンホール、割れ、穴、又はこれらの任意の組み合わせを実質的に含まない。
好ましくは、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は欠陥を実質的に含まない。任意選択で、
第1イオン伝導・電子絶縁性材料はドープされる。
【0090】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は10
−5S/cm以上、10
−4S/
cm以上、10
−4S/cm以上、10
−3S/cm以上、10
−2S/cm以上、10
−1S/cm以上、10S/cm以上、10
−7S/cm〜100S/cmの範囲、10
−5S/cm〜10S/cmの範囲、10
−3S/cm〜1S/cmの範囲、から選択さ
れるイオン伝導率を有する。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、電気化学
セルの動作温度において、10
−7S/cm〜100S/cmの範囲から選択される、イ
オン伝導率を有する。
【0091】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、湿式処理、乾式処理、機械加工、熱
堆積、塗布、及びこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される方法を用いて複数
の開口内に提供される。
【0092】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、第1高機械強度層を第1イオン伝導
・電子絶縁性材料内に圧入することにより複数の開口内に提供され、それにより第1イオ
ン伝導・電子絶縁性材料は第1高機械強度層の複数の開口内に提供される。任意選択で、
第1高機械強度層の第1イオン伝導・電子絶縁性材料内への圧入は、第1イオン伝導・電
子絶縁性材料を生成する際に行う。任意選択で、第1高機械強度層の前記第1イオン伝導
・電子絶縁性材料内への圧入は、400℃以上又は500℃以上の温度において行う。
【0093】
任意選択で、第1高機械強度層は、メッシュ又は発泡体を含む。任意選択で、メッシュ
又は発泡体は、金属、Ni、ステンレス鋼、錫、Al、Cu、合金、ガラス、ポリマー、
カプトン、PE、PP、PET、PTFE、PVDF、SiO
2、セラミックス、酸化ア
ルミニウム、炭素、グラファイト、ナノカーボン、又はこれらの任意の組み合わせを含む
。
【0094】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、第1高機械強度層の複数の開口の実
質的に全てに提供される。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、第1高機械
強度層の複数の開口の全てを満たす。
【0095】
任意選択で、第1高機械強度層は電子絶縁性材料を含む。任意選択で、第1高機械強度
層は、カプトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(
メチルメタクリレート)、非導電性材料で被覆した合金、ポリマー、ガラス、酸化アルミ
ニウム、酸化シリコン、酸化チタン、及びこれらの任意の組み合わせを含む。任意選択で
、第1高機械強度層は、ポリアクリル酸(PAA)、架橋ポリエチレン(PEX、XLP
E)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PETE)、ポリ
フェニルエーテル(PPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVD
C)、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン(PB)、ポリブチ
レンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリカーボ
ネート(PC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスチレン(PS)、ポ
リウレタン(PU)、ポリエステル(PE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(A
BS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリオキシメチレン(POM)、
ポリスルホン(PES)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、エチレン酢酸ビニル
(EVA)、スチレン無水マレイン酸(SMA)、PVDF、PEO、LIPON、LI
SICON、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド五水和物(CH
3)
4NOH・5H
2O、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、エピクロヒドリン及びエチレンオキシドP
(ECH−co−EO)及びポリ(ビニルアルコール)のコポリマー、PEO−PVA−
ガラス繊維ポリマー電解質、硫化亜鉛、二酸化ケイ素、PVA及びPSA、PVA/V6
/PSS、PVAN6(PSS+PAA);V6/PVA(PSS+PAA);PVMP
SS+PAA(35%))/(PSS+PAA(35%));(PSS+PAA(35%
))/PVA/(PSS+PAA(35%));又は(PSS+PAA(35%))/(
PVA(10%)+PSS(20%)対PVA))/(PSS+PAA(35%))ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、PEDOT:PSS、SiO
2、窒化
リチウム、NaPON、PVC、グラスファイバーマット、ポリブチレングリコール、ア
ルキルポリエチレングリコール、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリブチ
レングリコール、そのコポリマー、PEO材料、又はPVA材料、及びそれらの任意の組
み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の材料を含む。
【0096】
任意選択で、第1開口パターンは、30%以上、50%以上、70%以上、30%〜9
0%の範囲、30%〜70%の範囲、又は40%〜60%の範囲、から選択される、前記
高機械強度層の第1多孔度を提供する。任意選択で、第1高機械強度層は0.01μm〜
2000μmの範囲から選択される平均厚を有する。任意選択で、第1高機械強度層は0
.005mm〜0.05mmの範囲から選択される平均厚を有する。
【0097】
任意選択で、本態様の電気化学セルは、正電極と前記セパレータとの間に位置決めされ
正電極と電気的に接触するか、又は、負電極と前記セパレータとの間に位置決めされ負電
極と電気的に接触する、第1電子・イオン伝導層をさらに備える。任意選択で、本態様の
電気化学セルは、負電極と前記セパレータとの間に位置決めされ負電極と電気的に接触す
るか、又は、正電極と前記セパレータとの間に位置決めされ正電極と電気的に接触する第
2電子・イオン伝導層をさらに備える。
【0098】
任意選択で、第1電子・イオン伝導層は前記セパレータのコンポーネントである。任意
選択で、第1電子・イオン伝導層は、セパレータと物理的に接触、及び/又は電子的に接
触して設けられる。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、前記セパレータ上のコーテ
ィングを含む。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、正電極又は負電極と物理的に接
触、及び/又は電子的に接触して設けられる。任意選択で、電子・イオン伝導層は、外部
集電極を備える。任意選択で、第1電子・イオン伝導層は、前記正電極又は前記負電極上
のコーティングを含む。任意選択で、電子・イオン伝導層は、前記正電極及び前記負電極
の一方を還元する。任意選択で、外部集電極は前記正電極及び前記負電極の一方を酸化す
る。
【0099】
任意選択で、正電極又は負電極はインターカレーションホスト材料を備える。任意選択
で、正電極又は負電極は、電気化学セルの充電中又は放電中に形状が変化する材料を含む
。任意選択で、正電極は正極活物質及び該正極活物質に電気的に接触した集電体を備える
。任意選択で、負電極は負極活物質及び該負極活物質に電気的に接触した集電体を備える
。
【0100】
任意選択で、本態様の電気化学セルにおいて、セパレータは、第2高機械強度層であり
、該第2高機械強度層を貫通して第2開口パターンで設けた複数の開口を有し、第2開口
パターンは、第1高機械強度層から第2高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第1高
機械強度層の開口と第2高機械強度層の開口との重なりが20%以下であるように第1開
口パターンに対してオフセット配列を有する第2高機械強度層をさらに備え、第1高機械
強度層及び第2高機械強度層は、第1高機械強度層及び第2高機械強度層に接触して設け
た電解質のイオンを前記第1高機械強度層及び前記第2高機械強度層を通して輸送可能で
あるように位置決めされる。任意選択で、本態様の電気化学セルにおいて、セパレータは
、第2高機械強度層の複数の開口の少なくとも一部に設けた第2イオン伝導・電子絶縁性
材料をさらに含む。任意選択で、第1開口パターンは第2開口パターンに実質的に相補的
である。任意選択で、第1高機械強度層及び前記第2高機械強度層は相互に完全に物理的
に接触しない。任意選択で、第1高機械強度層及び第2高機械強度層のそれぞれ少なくと
も一部は、20nm〜2mmの範囲から選択される距離によって離間される。任意選択で
,第2高機械強度層は、第1高機械強度層と負電極又は正電極との間に設けられる。
【0101】
任意選択で、本態様の電気化学セルにおいて、セパレータは、第3高機械強度層であり
、該第3高機械強度層を貫通して第3開口パターンで設けた複数の開口を有し、第3開口
パターンは、第3高機械強度層から第1高機械強度層又は第2高機械強度層まで垂直に延
びる軸に沿った第3高機械強度層の開口と第1高機械強度層の開口又は第2高機械強度層
の開口との重なりが20%以下であるように第1開口パターン又は第2開口パターンに対
してオフセット配列を有する第3高機械強度層をさらに備え、第1高機械強度層、第2高
機械強度層、及び第3高機械強度層は、第1高機械強度層、第2高機械強度層、及び第3
高機械強度層に接触して設けた電解質のイオンを第1高機械強度層、第2高機械強度層、
及び第3高機械強度層を通して輸送可能であるように位置決めされる。任意選択で、本態
様の電気化学セルにおいて、セパレータは、第3高機械強度層の複数の開口の少なくとも
一部に設けた第3イオン伝導・電子絶縁性材料をさらに含む。任意選択で、第3パターン
は第1パターン及び第2パターンのうちの1つ又は複数に実質的に相補的である。
【0102】
任意選択で、本態様の電気化学セルにおいて、セパレータは、複数の開口を有する第4
高機械強度層であり、該第4高機械強度層を貫通して第4パターンで設けた複数の開口を
有する第4高機械強度層をさらに備え、第4パターンは、第4高機械強度層から第1高機
械強度層、第2高機械強度層、又は第3高機械強度層まで垂直に延びる軸に沿った第4高
機械強度層の開口、第1高機械強度層の開口、第2高機械強度層の開口、及び第3高機械
強度層の開口と第2高機械強度層の開口との重なりが20%以下であるように第1パター
ン、第2パターン、又は第3パターンに対してオフセット配列を有し、第1高機械強度層
、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層は、第1高機械強度層、
第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度層に接触して設けた電解質の
イオンを第1高機械強度層、第2高機械強度層、第3高機械強度層、及び第4高機械強度
層を通して輸送可能であるように位置決めされる。任意選択で、セパレータは、第3高機
械強度層の複数の開口の少なくとも一部に設けた第4イオン伝導・電子絶縁性材料をさら
に備える。任意選択で、第4パターンは、前記第1パターン、前記第2パターン、及び前
記第3パターンのうちの1つ又は複数に実質的に相補的である。
【0103】
任意選択で、高機械強度層のうち少なくとも2層における前記複数の開口は、1つ又は
複数の固体電解質で満たされる。任意選択で、高機械強度層のうちの外側の2層、例えば
、正電極に隣接して位置する外側高機械強度層又は負電極に隣接して位置する外側高機械
強度層、又はその両方における複数の開口は、1つ又は複数の固体電解質で満たされる。
任意選択で、高機械強度層の少なくとも1つは電子伝導性である。任意選択で、高機械強
度層の少なくとも1つは、5W・m
−1・K
−1以上、10W・m
−1・K
−1以上、2
0W・m
−1・K
−1以上、50W・m
−1・K
−1以上、100W・m
−1・K
−1以
上、又は200W・m
−1・K
−1以上の熱伝導率を有する。任意選択で、高機械強度層
の少なくとも1つ、例えば、正電極に隣接して位置する外側高機械強度層又は負電極に隣
接して位置する外側高機械強度層、又はその両方は、1つ又は複数の正電極又は負電極を
還元又は正電極又は負電極を酸化するのに有用な外部集電極を備える。
【0104】
さまざまな実施形態において、電気化学セルは、二次電池、一次電池、フロー電池、電
気化学キャパシタ、半固体電池、又は燃料電池を含む。任意選択で、電気化学セルは、リ
チウムイオン電池、リチウム金属電池、亜鉛電池、空気リチウム電池、空気亜鉛電池、空
気アルミニウム電池、空気鉄電池、リチウム−水電池、シリコン系電池、アルカリ電池又
は鉛蓄電池を含む。任意選択で、電気化学セルは、シリコンアノード、リチウムアノード
、金属酸化物電極、炭素系酸素カソード、炭素系水カソード、水カソード、及び空気カソ
ードのうちの1つまたは複数を含む二次リチウム電池を備える。
【0105】
別の態様において、電気化学セル用の膜を作製する方法が提供される。本態様の一実施
形態において、本方法は、第1高機械強度層であり、該第1高機械強度層を貫通して第1
パターンで設けた複数の開口を有する第1高機械強度層を設けるステップと、前記第1高
機械強度層の前記複数の開口の全て又は一部に第1イオン伝導・電子絶縁性材料を提供す
るステップと、を含む。
【0106】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、湿式処理、乾式処理、機械加工、熱
堆積、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される方法を用いて前記複数の
開口内に提供される。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、前記第1高機械
強度層を前記第1イオン伝導・電子絶縁性材料に圧入することにより前記複数の開口内に
提供され、それにより第1イオン伝導・電子絶縁性材料を前記第1高機械強度層における
複数の開口の少なくつも一部に提供する。任意選択で、本態様の方法は、圧入後の第1高
機械強度層及び第1イオン伝導・電子絶縁性材料を冷却するステップをさらに含む。いく
つかの実施形態において、そのような冷却するステップは、圧入するステップ中に第1イ
オン伝導・電子絶縁性材料において発生した1つ又は複数の破損を修復する。任意選択で
、第1高機械強度層の第1イオン伝導・電子絶縁性材料への圧入は、第1イオン伝導・電
子絶縁性材料を形成する際に行われる。任意選択で、第1高機械強度層の第1イオン伝導
・電子絶縁性材料への圧入は、500℃以上の温度で行われる。
【0107】
任意選択で、第1の高機械強度層は、メッシュ又は発泡体を含む。任意選択で、メッシ
ュ又は発泡体は、金属、Ni、ステンレス鋼、ガラス、セラミックス、酸化アルミニウム
を含む。任意選択で、第1高機械強度層からの第1イオン伝導・電子絶縁性材料への面内
圧力は、第1イオン伝導・電子絶縁性材料中へのイオンの固体拡散を促進、又は、電極上
への均一なイオン堆積を支援する。任意選択で、第1高機械強度層からの第1イオン伝導
・電子絶縁性材料への面内圧力により、第1イオン伝導・電子絶縁性材料において面内圧
力がない場合と比較して第1イオン伝導・電子絶縁性材料のイオン伝導性が上昇する。こ
のようなイオン伝導性の上昇は、任意選択で、面内圧力が張力を引き起こすポアソン比効
果に起因するものであり、それによりイオン伝導・電子絶縁性材料内におけるイオンの通
過又は固体拡散を促進する。
【0108】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、固体電解質、ゲル状電解質、ポリマ
ー電解質、LISICON、NASICON、PEO、Li
10GeP
2S
12、LIP
ON、PVDF、Li
3N、Li
3P、LiI、LiBr、LiCl、LiF、酸化ペロ
ブスカイト、La
0.5、Li
0.5TiO
3、チオ−LISICON、Li
3.25G
e
0.25P
0.75S
4、ガラスセラミックス類、Li
7P
3S
11、ガラス状物質類
、Li
2S−SiS
2−Li
3PO
4、窒化リチウム、ポリエチレンオキシド、ドープし
たLi
3N、Li
2S−SiS
2−Li
3PO
4、LIPON、Li
14Zn(GeO
4
)
4、Li−β−アルミナ、Li
3.6Si
0.6P
0.4O
4、Li
2S−P
2S
5、
PEO−LiClO
4、LiN(CF
3SO
2)
2/(CH
2CH
2O)
8、NaPON
、ZrO
2、ナフィオン、PEDOT:PSS、SiO
2、PVC、グラスファイバーマ
ット、アルミナ、シリカガラス、セラミックス類、ガラスセラミックス類、水安定ポリマ
ー類、ガラス質金属イオン伝導体類、非結晶金属イオン伝導体類、ガラスセラミック活性
金属イオン伝導体類、イオン伝導性セラミックス、イオン伝導性固溶体、イオン伝導性ガ
ラス、固体リチウムイオン伝導体、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0109】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、前記セパレータを体積で20%以上
、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、または80%以上、
含む。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は0.01μm〜2000μmの範
囲から選択される平均厚を有する。
【0110】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は1%未満の平均多孔度を有する。好ま
しくは、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は非多孔質である。任意選択で、第1イオン伝
導・電子絶縁性材料は0%〜5%の範囲から選択される平均多孔度を有する。任意選択で
、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、ピンホール、割れ、穴、又はこれらの任意の組み
合わせを実質的に含まない。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は欠陥を実質
的に含まない。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料はドープされる。
【0111】
任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は10
−5S/cm以上のイオン伝導率
を有する。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、前記電気化学セルの動作温
度において、10
−7S/cm〜100S/cmの範囲から選択されるイオン伝導率を有
する。
【0112】
任意選択で、1イオン伝導・電子絶縁性材料は、第1高機械強度層の前記複数の開口の
実質的に全てに提供される。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、第1高機
械強度層の複数の開口の全てを満たす。
【0113】
任意選択で、高機械強度層の平均厚は10nm〜2000μmの範囲から選択される。
任意選択で、高機械強度層の平均厚は0.005mm〜0.05mmの範囲から選択され
る。任意選択で、開口の第1パターンは、30%以上の第1高機械強度層の第1多孔度を
提供する。任意選択で、開口の第1パターンは、30%〜70%の範囲から選択される第
1高機械強度層の多孔度を提供する。
【0114】
任意選択で、第1高機械強度層は、電子絶縁性材料、カプトン、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(メチルメタクリレート)、非導電性材料
で被覆した金属、非導電性材料で被覆した合金、ポリマー、ガラス、セラミックス、酸化
アルミニウム、酸化シリコン、酸化チタン、及びこれらの任意の組み合わせを含む。任意
選択で、第1高機械強度層は、ポリアクリル酸(PAA)、架橋ポリエチレン(PEX、
XLPE)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PETE)
、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(
PVDC)、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン(PB)、ポ
リブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリ
カーボネート(PC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスチレン(PS
)、ポリウレタン(PU)、ポリエステル(PE)、アクリロニトリルブタジエンスチレ
ン(ABS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリオキシメチレン(PO
M)、ポリスルホン(PES)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、エチレン酢酸
ビニル(EVA)、スチレン無水マレイン酸(SMA)、PVDF、PEO、LIPON
、LISICON、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド五水和物(CH
3)
4NOH
・5H
2O、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、エピクロヒドリン及びエチレンオキ
シドP(ECH−co−EO)及びポリ(ビニルアルコール)のコポリマー、PEO−P
VA−ガラス繊維ポリマー電解質、硫化亜鉛、二酸化ケイ素、PVA及びPSA、PVA
/V6/PSS、PVAN6(PSS+PAA);V6/PVA(PSS+PAA);P
VMPSS+PAA(35%))/(PSS+PAA(35%));(PSS+PAA(
35%))/PVA/(PSS+PAA(35%));又は(PSS+PAA(35%)
)/(PVA(10%)+PSS(20%)対PVA))/(PSS+PAA(35%)
)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、Na
PON、ZrO
2、ナフィオン、PEDOT:PSS、SiO
2、グラスファイバーマッ
ト、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポ
リブチレングリコール、そのコポリマー、PEO材料、又はPVA材料、Ni、Cu、A
l、ステンレス鋼、酸化アルミニウム及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択
される1つまたは複数の材料を含む。
【0115】
任意選択で、第1高機械強度層は、導電性材料、金属、合金、金属メッシュ、半導体、
金属発泡体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(メチ
ルメタクリレート)、及びこれらの任意の組み合わせを含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、第1高機械強度層は電子絶縁性材料を含み、膜は電気化
学セルのセパレータを含む。いくつかの実施形態において、第1高機械強度層は電子伝導
性材料を含み、膜は電気化学セルの複数の電子イオン伝導層を含む。任意選択で、膜は、
1つ又は複数の電子イオン伝導層及び1つ又は複数の電子絶縁・イオン伝導層を含む。任
意選択で、そのような膜を電気化学セルの正電極と負電極との間に位置決めしたとき、膜
は正電極と負電極との間に電子的絶縁を提供する。
【0117】
任意選択で、本態様の方法は、第1イオン伝導・電子絶縁性材料が第1高機械強度層の
複数の開口の全て又は一部にある状態で、電子絶縁層を第1高機械強度層に隣接して設け
るステップをさらに含む。
【0118】
任意選択で、本態様の方法は、第1イオン伝導・電子絶縁性材料が第1高機械強度層の
前記複数の開口の全て又は一部にある状態で、1つ又は複数の集電体を第1高機械強度層
に隣接して設けるステップをさらに含む。任意選択で、第1集電体は電気化学セルの正極
活物質と電子的に連通して設けられ、第2集電体は電気化学セルの負極活物質と電子的に
連通して設けらる。
【0119】
別の態様において、電気化学セルであって、
正電極と、負電極と、正電極と負電極との間に位置決めした、イオン伝導・電子絶縁性
のセパレータと、正電極とセパレータとの間に位置決めしたか、又は、負電極とセパレー
タとの間に位置決めした、1つ又は複数の熱・イオン伝導層と、正電極と負電極との間に
位置決めした1つ又は複数の電解質であり、1つ又は複数の電解質は電荷担体を伝導可能
であることを特徴とする、電解質と、を備える電気化学セルを提供する。
【0120】
任意選択で、正電極とセパレータとの間に位置決めした第1熱・イオン伝導層と、負電
極とセパレータとの間に位置決めした第2熱・イオン伝導層と、を備える。
【0121】
任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ、正電極又は負電極と熱連
通して設けられる。任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、電気化学セル内で
の均一な温度分布の提供し、それによって前記電気化学セルの性能およびサイクル寿命(
ライフサイクル)を高める。任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、電気化学
セル内での均一な温度分布の提供を支援し、それによって前記電気化学セルの性能および
サイクル寿命(ライフサイクル)を高める。
【0122】
任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、0.01mm以
下、又は10nm〜0.01mmの範囲から選択される厚さを有する。任意選択で、1つ
又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、多孔質材料、有孔層、メッシュ、又
は発泡体を含む。任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、
50%以上、75%以上、又は90%以上の多孔度を有する。
【0123】
任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、金属、合金、セ
ラミックス、ポリマー、電子絶縁性材料で被覆した金属、又は電子絶縁性材料で被覆した
合金を含む。任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、金属
、合金、熱伝導性ポリマー、熱伝導性セラミックス、熱伝導性繊維を有するポリマー、A
l
2O
3繊維を有するポリマー、Al、Ni、Sn、スチール、ステンレス鋼、銅、Si
、Li
3N、酸化アルミニウム、酸化リチウム、過酸化リチウム、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリエチレンテレフタレート、PVDF、カプトン、PTFE、PMMA、N
aPON、ZrO
2、ナフィオン、PEDOT:PSS、SiO
2、PVC、ガラスファ
イバーマット、LIPON、又はその任意の組み合わせを含む。
【0124】
任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、メッシュを含む
。任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、正電極又は負電
極上のコーティングを含む。
【0125】
任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、セパレータの1
つ又は複数の面上のコーティングを含むか、又はセパレータに隣接して位置決めされる。
任意選択で、1つ又は複数の熱・イオン伝導層は、それぞれ独立して、セパレータの内部
層を含む。
【0126】
任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学セルについて、セパレータ、負電極、
又は正電極の任意の面は、それぞれ独立して、及び、任意選択で、親水性材料又は疎水性
材料又はアニオン交換性材料又はカチオン交換性材料で被覆される。任意選択で、セパレ
ータ、正電極、又は負電極の任意の層は、それぞれ独立して、親水性材料又は疎水性材料
又はアニオン交換性材料又はカチオン交換性材料を含む。
【0127】
任意選択で、セパレータ、正電極、又は負電極の任意の層は、それぞれ独立して、形状
記憶材料を含む。任意選択で、形状記憶材料は、形状記憶合金、ニチノール、形状記憶ポ
リマー類、又はその任意の組み合わせを含む。任意選択で、形状記憶材料は、電気化学セ
ルの動作又はサイクル充電(cycling)の前に予圧される。
【0128】
別の態様において、電気化学セルであって、正電極と、負電極と、第1イオン伝導電子
絶縁性材料及び前記第1イオン伝導電子絶縁性材料内部に位置決めした機械的強化繊維を
含む固体電解質と、を備え、電解質は電荷担体を伝導可能である、電気化学セルを提供す
る。任意選択で、繊維は前記固体電解質の強度を高め、製造中のピンホール割れを防ぎ、
サイクル充電による割れを防ぐ。
【0129】
任意選択で、繊維は機械的に靭性である。任意選択で、繊維は、第1イオン伝導電子絶
縁性材料を体積で20%以上含み、又は、前記セパレータの表面積の20%以上を占める
。任意選択で、繊維は、0.01μm〜2000μmの範囲から選択される平均サイズを
有する。任意選択で、第1イオン伝導・電子絶縁性材料は、0.01μm〜2000μm
の範囲から選択される平均厚を有する。任意選択で、繊維はイオン絶縁性である。任意選
択で、繊維はイオン伝導性である。任意選択で、繊維は電子伝導性である。任意選択で、
繊維は電子絶縁性である。
【0130】
本明細書に記載した任意の電気化学セルについて、高機械強度層は、形状記憶合金類、
形状記憶ポリマー類、ニトノール、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択さ
れる形状記憶材料を含む。本明細書に記載した任意の電気化学セルについて、高機械強度
層は、任意選択で、電子伝導性である。本明細書に記載した任意の電気化学セルについて
、高機械強度層は、任意選択で、電子絶縁性である。本明細書に記載した任意の電気化学
セルについて、高機械強度層は、任意選択で、機械的に靭性である。本明細書に記載した
任意の電気化学セルについて、高機械強度層は、任意選択で、形状記憶材料又は形状記憶
合金、形状記憶ポリマー、ニトノール、又はこれらの任意の組み合わせを含む。本明細書
に記載した任意の電気化学セルについて、高機械強度層は、任意選択で、周期的な幾何学
的形状を有するか、又はメッシュを含む。本明細書に記載した任意の電気化学セルについ
て、高機械強度層は、任意選択で、非周期的な幾何学的形状又は任意の断面を有する。本
明細書に記載した任意の電気化学セルについて、高機械強度層を任意選択で用いて、第1
イオン伝導・電子絶縁性材料製造の際に発生するピンホールを防止する。本明細書に記載
した任意の電気化学セルについて、高機械強度層を任意選択で用いて、第1イオン伝導・
電子絶縁性材料内にイオンが拡散することによる割れの発生を防止する。本明細書に記載
した任意の電気化学セルについて、高機械強度層は、任意選択で、一部が電極及び前記第
1イオン伝導・電子絶縁性材料に接着される。任意選択で、第1高機械強度層は、任意選
択で、イオン伝導・電子絶縁性材料及び電極を密着して位置決めする。任意選択で、高機
械強度層は形状記憶挙動を有するか、又は、形状記憶合金、形状記憶ポリマー、又はニト
ノールを含む。任意選択で、第1高機械強度層は予圧される。本明細書に記載した任意の
電気化学セルについて、高機械強度層は、任意選択で、3次元構造を有するか、又は3次
元メッシュを含む。任意選択で、高機械強度層は予圧される。任意選択で、第1高機械強
度層は予圧され、それにより、1つまたは複数のイオン伝導・電子絶縁性材料と電極との
間に物理的接触を提供する。任意選択で、繊維又はメッシュは結合効果を有し、前記第1
イオン伝導・電子絶縁性材料を合わせて結合する。本明細書に記載した任意の電気化学セ
ルについて、繊維又はメッシュは、任意選択で、ポリマー又はPVDFポリマー又はゴム
を含む。
【0131】
任意選択で、本明細書に記載した任意のセパレータ及び/又は膜について、例えば、複
数の開口を含む高機械強度層からなる単層又は多層セパレータは、さまざまな用途に有用
である。一実施形態では、本明細書に記載した任意のセパレータ及び/又は膜を、電気化
学セルのセパレータとして用いる。一実施形態では、本明細書に記載した任意のセパレー
タ及び/又は膜を、液体濾過膜として用いる。一実施形態では、本明細書に記載した任意
のセパレータ及び/又は膜を、気体濾過膜として用いる。一実施形態では、本明細書に記
載した任意のセパレータ及び/又は膜を、電気化学セル内の改変電極(engineered elect
rodes)として用いる。一実施形態では、本明細書に記載した任意のセパレータ及び/又
は膜を、工業用濾過用のフィルターとして用いる。一実施形態では、本明細書に記載した
任意のセパレータ及び/又は膜を、生物濾過膜として用いる。一実施形態では、本明細書
に記載した任意のセパレータ及び/又は膜を、食品業における工業用濾過膜として用いる
。一実施形態では、本明細書に記載した任意のセパレータ及び/又は膜を、製薬業におけ
る工業用濾過膜として用いる。
【0132】
本発明によるセパレータ及び膜は、逆浸透、限外濾過、精密濾過による物質の凝縮及び
分離、半導体業における高度浄化水又は高純度化学物質の製造;脱脂工程又は電着工程か
らの廃棄物の回収;製紙工程、油水分離工程、油性エマルジョン分離工程等、さまざまな
工業プロセスにおける廃液処理;果汁及び野菜汁の濃縮、大豆加工、製糖等、醗酵生産物
の分離と精製;人工腎臓、血液成分及びバクテリア分離用のマイクロフィルター及び医薬
品用のセパレータ又は精製装置等の医療用途;バイオリアクタ等の生物工学装置;及び燃
料電池の電極等に好適に用いられ、及び/又は、任意選択で用いられる。
【0133】
一実施形態において、本発明は、本明細書に記載した任意の電気化学セルであって、該
セルのカソードと電子的及び/又は物理的に接触しない電子伝導層を含む電気化学セルを
提供し、例えば、電子伝導層が該セルのアノードと電子的及び/又は物理的に接触する電
気化学セルを提供する。
【0134】
一実施形態において、本発明は、本明細書に記載した任意の電気化学セルであって、該
セルのアノードと電子的及び/又は物理的に接触しない電子伝導層を含む電気化学セルを
提供し、例えば、電子伝導層が該セルのカソードと電子的及び/又は物理的に接触する電
気化学セルを提供する。
【0135】
一実施形態において、本発明は、本明細書に記載した任意の電気化学セルであって、液
体電極ではない電極と電子的及び/又は物理的に接触する電子伝導層を含む電気化学セル
を提供し、例えば、電子伝導層が空気電極又は酸素電極ではない電極と電子的及び/又は
物理的に接触する電気化学セルを提供する。
【0136】
任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学セルにおいて、電気化学セルは、セパ
レータの電子伝導層等の電子伝導層であって、カソードと電子的及び/又は物理的に接触
するものを含まない。任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学セルにおいて、電
気化学セルは、セパレータの電子伝導層等の電子伝導層であって、正電極と電子的及び/
又は物理的に接触するものを含まない。
【0137】
任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学セルにおいて、電気化学セルは、セパ
レータの電子伝導層等の電子伝導層であって、アノードと電子的及び/又は物理的に接触
するものを含まない。任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学セルにおいて、電
気化学セルは、セパレータの電子伝導層等の電子伝導層であって、負電極と電子的及び/
又は物理的に接触するものを含まない。任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学
セルにおいて、金属層は多孔質金属層又は有孔金属層を含む。
【0138】
任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学セルにおいて、電気化学セルは、セパ
レータの電子伝導層等の電子伝導層であって、液体電極と電子的及び/又は物理的に接触
するものを含まない。任意選択で、本明細書に記載した任意の電気化学セルにおいて、電
気化学セルは、セパレータの電子伝導層等の電子伝導層であって、酸素電極と電子的及び
/又は物理的に接触するものを含まない。
【0139】
理論に束縛されることを望むものではないが、本発明に関する基本原理又は機構の概要
又は理解に関して、本明細書で説明され得る。説明又は仮説の最終的な正確さに関係なく
、本発明の実施形態は有効且つ有用であることが認識される。