【文献】
真瀬ひろし、池畑隆,回転プラズマとその応用,応用物理,日本,応用物理学会,1985年03月,Vol.54, No.3,224-229
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電界発生源が、前記磁界と実質的に垂直な方向に前記外側電極と前記内側電極との間に規定される前記空間を通って延びる電界を生成するように構成されることによって、前記弱イオン化プラズマ内のイオンが、少なくとも最初は前記電界に沿って移動し、前記磁界によるローレンツ力を受けるように誘導される、請求項1に記載の制御核融合機器。
前記超伝導磁石が、およそ100,000回転毎秒より大きな前記弱イオン化プラズマの平均回転速度を誘導するのに十分な強度の磁界を前記外側電極と前記内側電極との間に規定される前記空間内に生成するように構成される、請求項2又は3に記載の制御核融合機器。
前記外側電極と前記内側電極との間に規定される前記空間の対称軸が前記磁界と実質的に平行となるように、前記外側電極と前記内側電極とが互いに同軸である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
前記電界発生源が、前記外側電極と前記内側電極との間に規定される前記空間内で実質的に半径方向に延びる電界を生成するように前記外側電極と前記内側電極との間の電圧を供給するように構成される電源を含む、請求項2〜5のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
前記外側電極と前記内側電極との間の前記空間内に回転定在波が発生するように、電磁波を前記空間に印加するように構成された高周波供給装置を更に備え、前記回転定在波が、定在電磁波を支持するように構成された前記空間中の前記弱イオン化プラズマを回転させるように構成される、請求項2〜6のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
前記高周波供給装置に印加される前記電磁波に変調を適用して、前記弱イオン化プラズマの回転を促進するように構成された変調器を更に備える、請求項7に記載の制御核融合機器。
前記外側電極と前記内側電極との間の前記空間に対して動作可能に結合された光子源を更に備え、前記光子源が、少なくとも前記作動ガスへの照射によって、前記作動ガスを前記空間内で回転させるのに十分な光子圧力を生成するように構成される、請求項1に記載の制御核融合機器。
前記作動ガスが、水素−1、重水素、三重水素、ヘリウム−3、リチウム−6、リチウム−7、ホウ素−11及び窒素−15から成る群から選択され、前記板が、水素−1、重水素、三重水素、ヘリウム−3、リチウム−6、リチウム−7、ホウ素−11及び窒素−15から成る群から選択される核融合反応物を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
前記作動ガスが第1の作業物質であり、前記1つ以上の板が第2の作業物質を含み、前記制御核融合機器が、核融合が生じる領域において前記第1の作業物質及び前記第2の作業物質の粒子密度が合わせて1023個毎立方センチメートル超に達するように、回転速度を誘導するように構成される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
前記外側電極と前記内側電極との間に規定された前記空間に対して動作可能に結合されたエネルギー利用アセンブリを更に備え、前記エネルギー利用アセンブリが、核融合により生成されたエネルギーを前記空間に隣接する領域から取り出すように構成される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
クーロン障壁を低下させるために前記外側電極と前記内側電極との間に規定された前記空間内に電子が放出されることによって、前記空間内の前記プラズマにおいて2つの近づく粒子間の衝突が促進される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[0077]一般的に本発明は、原子核の融合活性を生成、測定、制御、実行、及び最適化する方法、装置、機器、及びシステムに関する。特に本発明は、とりわけ、エネルギー生成、推進、物質形成、並びに有向エネルギービーム及び粒子の生成のための融合活性に関する。さらに本発明は、本質的に中性子を生成しない非中性子核融合反応から相当数の中性子を生成する中性子核融合反応まで、様々な反応を網羅するような活性に関する。
【0041】
[0078]一般的に、本方法、装置、及びシステムでは、好ましくは磁界又は高エネルギー封じ込め場を必要とすることなく、粒子の高速回転を利用することによって、制御核融合反応を実行する。さらに本発明の実施形態では、量子等の効果を生成又は修正することにより、核融合反応を実行又は強化する。
【0042】
[0079]一般的に制御核融合機器では、粒子の高速回転を利用する。これは、様々な方法で行われるようになっていてもよい。例えば、円筒チャンバに軸方向磁界を生成可能であり、中心放電棒及び同心電極間に電圧を印加することによって、半径方向プラズマ電流を誘導可能である。垂直な電界及び磁界により、当該電界及び磁界の両方に垂直な軸に沿って、この場合は方位角方向にローレンツ力が生じる。電界及び磁界は、さらに垂直以外の角度であってもよく、それにより、程度の差こそあれ、十分に強い方位角方向のローレンツ力を生成するのに十分な強度で垂直成分が存在していてもよい。この方位角方向の力はイオンに作用し、イオンがニュートラルと結合することにより、中心放電棒と外側電極との間の環状空間の粒子が高い回転速度で移動することになる。可動機械部品が一切存在しないことは、回転の速度にほとんど制約がないことを意味するため、100,000RPSを超える回転速度を提供可能である。
【0043】
[0080]
図1には、本発明の核融合機器の一実施形態の模式図を示している。制御核融合機器100は、第1の作業物質101及びこれと関連付けられた第2の作業物質110を有する。また、制御核融合機器100は、回転チャンバ壁105及び空洞108を有する回転チャンバ103と、制御圧力領域104とを有する。回転チャンバ103と、回転源102及びプラズマ生成器106が動作可能に関連付けられている。機器102及び106は、同じであっても異なっていてもよく、組み合わせ及び変形によって動作可能に関連付けられていてもよい。空洞108内には核融合表面109が存在する。
【0044】
[0081]第1の作業物質101は、プラズマ、より好ましくは弱イオン化プラズマに形成可能な任意の物質又は材料の組み合わせである。例えば第1の作業物質としては、水素、重水素、三重水素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン、窒素、酸素、一般的には気体物質、気化した固体等の固体、又は液体が可能である。これは、イオン化可能な補助物質と核融合反応に直接関わることを意図した物質との組み合わせであってもよい。またイオン化可能な補助物質が核融合反応に関わっていてもよい。例えば(補助物質としての)アルゴンガスが気化したホウ素と組み合わされていてもよい。一実施形態においては、第1の物質として水素が可能である。
【0045】
[0082]第2の作業物質110は、第1の作業物質101と同じ物質が可能であり、第1の作業物質と組み合わされていてもよいし、異なっていてもよい。一般的に第2の作業物質及び第1の作業物質は、所定の最適化された核融合反応を与えるように選択するものとする。したがって、例えばこれら物質の組み合わせは、とりわけ、非中性子核融合反応の生成、高い粒子密度の提供、高いエネルギー出力の提供、良好な電子放出の提供、磁気モーメントがともに正又はともに負である物質の使用の提供、並びにこれら及び他の因子の組み合わせ及び変形を目的とするものであってもよい。この物質は、好ましくは非中性子核融合反応を与えるように選択するものとする。第2の作業物質は、固体であるのが好ましい。一実施形態においては、第2の物質として、ホウ素又は窒化ホウ素若しくは六ホウ化ランタン等のホウ素化合物が可能である。
【0046】
[0083]制御核融合機器のいくつかの実施形態において、第1及び第2の物質は、水素−1とホウ素−11、水素−1とリチウム−6、水素−1とリチウム−7、重水素とヘリウム−3、重水素とリチウム−6、ヘリウム−3とリチウム−6、ヘリウム−3とヘリウム−3、水素−1と窒素−15、重水素と重水素、重水素と三重水素、又は三重水素と三重水素であるのが好ましい。例えば、窒化ホウ素又は六ホウ化ランタン等、良好な電子放出体である分子化合物を使用すると都合が良い。また第1又は第2の作業物質は、例えば一方が良好な電子放出体で他方が核融合反応物を含む化合物等、それぞれ核融合反応に有利となり得る異なる物質のマトリクス又は複合材であってもよい。第1及び第2の作業物質の決定に当たってさらに考慮すべきことは、潜在的なコスト増の他、潜在的な危険、自己熱分解、又は健康、安全、若しくはコスト上の懸念事項の増大の可能性がある物質取り扱いの困難さを回避することである。
【0047】
[0084]回転源102又はプラズマ、好ましくは弱イオン化プラズマを回転させる機器は、超伝導磁石、永久磁石、電磁石、高周波源、マイクロ波源、電界源、電極、レーザ、イオン銃、並びにこれら及び他の種類の機器の組み合わせ及び変形を具備していてもよい。
【0048】
[0085]プラズマ生成器106は、高周波源、マイクロ波源、レーザ、電界源、電極、スパークギャップ、及びイオン銃、並びにこれら及び他の種類の機器の組み合わせ及び変形を具備していてもよい。
【0049】
[0086]いくつかの実施形態においては、回転器102及びプラズマ生成器106が組み合わされていてもよい。例えば、およそ0.5〜およそ2テスラ以上の磁界を生成する超伝導磁石、及び電圧差がおよそ2kV(キロボルト)〜3kV以上の電極集合がプラズマの生成及び前記プラズマの回転の両方を行う。別の例としては、磁界中のイオン及び電子の共鳴周波数で電磁波によりプラズマが生成され、同じ電磁波及び磁界により回転も行われる。
【0050】
[0087]回転チャンバ103は、プラズマ、好ましくは弱イオン化プラズマを含む空洞108を構成又は規定している。空洞と、回転器102及びプラズマ生成器106が関連付けられている。このように、これらの機器102、106はプラズマを生成するとともに、例えば少なくともおよそ1,000回転/秒(RPS)、少なくともおよそ5,000RPS、少なくともおよそ50,000RPS、少なくともおよそ100,000RPS、少なくともおよそ300,000RPS以上、及びおよそ100,000〜およそ300,000RPSの高回転にて、チャンバ内でプラズマを回転させる。
【0051】
[0088]回転チャンバ103は、金属、セラミック、プラスチック、複合材、並びにこれら及び他の種類の材料の組み合わせ及び変形で構成されていてもよい。また、回転チャンバは制御圧力領域104を提供可能であり、それ自体が制御圧力領域104に含まれていてもよいし、制御圧力領域104の一部であってもよい。回転チャンバは、制御された環境と、好ましくはとりわけ、プラズマの回転を案内又は包含する表面とを提供する。また回転チャンバは電極を具備していてもよいし、電極であってもよい。
【0052】
[0089]回転チャンバ103は、回転プラズマに対する物理的障壁の他、いくつかの実施形態においては大気及び圧力を包含又は制御する物理的障壁を与える壁105又は構造を有する。回転チャンバ壁105は、その全体又は一部が空洞108を規定可能である。空洞108は、プラズマが回転して核融合反応が生じ得る容積を構成するか、又はそのような領域を規定している。
【0053】
[0090]機器100には、核融合表面109が設けられている。核融合反応が生じる核間距離又は核領域を扱う際には、距離に関する相対用語又は一般用語が完全に当てはまらない場合がある。このため、本明細書において、核融合反応が表面又は領域上、近傍、又は隣接して生じるものとされている場合は、これらの用語をそれぞれの考え得る最も広い意味で使用すべきであり、反応が当該全般領域で生じること、又は当該表面により包囲される、或いは物理的に包含されることを含むものとする。機器100において、核融合反応は、その全体又は一部が核融合表面109に隣接して生じるのが好ましい。核融合表面は、その全体又は一部が回転チャンバ103、制御圧力領域104、空洞108、並びにこれらの組み合わせ及び変形を構成していてもよい。また核融合表面109は、これらの構造の一部又は全部に含まれていてもよい。ただし、核融合表面は、制御圧力領域104内に配置されているものとする。核融合表面は、固体、スクリーン、ナノ粒子、ゲル、マトリクス、一般的には被膜及びメッキ、マイクロ及びナノ構造表面であってもよく、例えば、銅、ステンレス鋼、銀、金属メッキ、セラミック、複合材、プラスチック、金属、半金属、有機物、酸化物、ガラス、ポリマー材料、合金、グラファイト、並びにこれら及び他の材料の組み合わせ及び変形で構成されていてもよい。さらに核融合表面109は、第2の作業物質を含んでいてもよいし、第2の作業物質であってもよい。
【0054】
[0091]
図2には、制御核融合機器200の一実施形態の斜視断面図を示している。制御核融合機器200は、およそ0.5〜2テスラの磁界を与える超伝導磁石201を有する。磁石201ひいては当該磁石が生成する磁界内には、外側電極204及び内側電極202が存在する。内側電極は絶縁体203を有する。外側電極204の内表面208上には、第1のホウ素板205及び第2のホウ素板206が配置されている。内側電極204内及び磁石201内には、作動ガス入口ライン207が配置されている。
【0055】
[0092]外側電極204は、内径が16センチメートル(cm)の管状である。また、外側電極204は銅で構成されている。内側電極202の非絶縁又は露出部209は、軸方向にホウ素板205及び206の真向かいに配置されている。図中に示してはいないが、内側及び外側電極は制御された圧力環境内に含まれている。内側電極及び非絶縁部209の直径は4cmである。したがって内側及び外側電極は、
図4Aに示す電源及び回路と電気的に関連付けられているため、これら2つの電極間には電圧が供給される。本実施形態において、ホウ素板は窒化ホウ素又は六ホウ化ランタンで構成されているのが好ましく、両方ともに優れた電子放出体である。
【0056】
[0093]本実施形態は、構成要素及びそれぞれの位置を修正又は変更して構成可能であることが了解されるものとする。例えば、複数の内側電極を使用するようにしてもよいし、使用する外側電極の構成が異なっていてもよいし、使用するホウ素板がより多くても少なくてもよいし、ホウ素の連続リングを使用するようにしてもよいし、ホウ素の他の構成を使用するようにしてもよいし、作動ガス入口ライン207の場所及び位置を変更するようにしてもよいし、複数の作動ガス入口ライン207を使用するようにしてもよい。
【0057】
[0094]外側電極204の内表面と内側電極の露出外側部209との間の距離は、約6cmである。この領域においては、電流が作動ガスを流れることにより、プラズマ、好ましくは弱イオン化プラズマが生成される。作動ガスの濃度及び種類、作動ガスの圧力、電極間の距離等の因子は、プラズマの生成に用いられる電圧及び電流の決定に際して評価される。さらに、ローレンツ力を付与してプラズマの回転を生成するのに用いられる電圧及び電流は、磁界等の因子に基づく。これにより本実施形態において、電極間の距離は1センチメートル未満、2cm未満、およそ2cm〜およそ50cm、およそ5cm〜およそ20cm、及び1m超であってもよい。この距離を決定するに当たって考慮すべきことは、距離の増加が、プラズマの形成及び核融合を生じさせるのに十分な回転を誘導する十分なローレンツ力の生成に必要な電力に及ぼす悪影響である。距離を短くする場合に考慮すべきことは、核融合を生じさせるのに十分な回転を付与するローレンツ力の能力に悪影響を及ぼし得る境界層効果の生成を回避することである。磁界はおよそ0.5テスラ〜およそ20テスラ、およそ2テスラ〜およそ5テスラであってもよく、十分な回転が付与されるように、プラズマ電流に応じて、より大きくても小さくてもよい。水素ガスは約3torrであるのが好ましいが、およそ0.5torr〜およそ12torr、およそ1torr〜およそ7torr、好ましくは2torr以上であってもよい。さらにプラズマ生成への悪影響又は阻害なく、水素の圧力を可能な限り高くすることがより好ましい。電極の軸方向長さ、より好ましくは内側電極の非絶縁部の軸方向長さは1センチメートル未満であってもよく、核融合の発生を意図した領域において十分な回転を誘導するために電極間の電圧が十分高いことを条件として、実質的に1センチメートル超とすることも可能である。さらに本実施形態には、他の第1の作業物質及び他の第2の作業物質を使用するようにしてもよい。
【0058】
[0095]一般的に
図2の実施形態の機器は、およそ0.5テスラ〜およそ2テスラの磁界を与え、機器からすべての大気を除去した後、およそ3torrまで水素を充填することによって動作可能である。電流制限抵抗を通しておよそ1.4kVの電圧を内側電極に印加すると、およそ10〜50Aのプラズマ電流が生成され、磁界及び電流によって生成されたローレンツ力により、およそ1,000RPSの回転が付与される。
図2の種類の実施形態の機器におけるこの初期の回転によって、核融合を生じるのに十分な回転速度を実現する能力が増強されるのが好ましい。初期の回転を確立した後は、外側及び内側電極間のおよそ400V〜1kVのパルスによって、およそ2〜5kAのプラズマ電流を生成し、少なくともおよそ100,000RPSの回転を付与する。プラズマの回転はおよそ10ミリ秒にわたって維持される。このプラズマの回転中に、プロトンとホウ素−11原子核との間の核融合反応によって、アルファ粒子が生成される。プロトンの平均運動エネルギーは約500eV(電子ボルト)と考えられる。各核融合反応により生成された3つのアルファ粒子に付与されている累積エネルギーは約8.68MeVと考えられる。
【0059】
[0096]単一パルス動作の他、
図2の実施形態は、1つ又は2つ以上の順次間隔を空けたパルスで動作するようになっていてもよい。この順次間隔を空けたパルスは、交互であってもよいし、重なっていてもよい。さらには、パルスよりも長い持続時間にわたって、CW(連続波)電圧を印加するようにしてもよい。このように、これらの手法によって観測された10ミリ秒よりも実質的に長い融合活性時間を与えるようにしてもよく、アルファ粒子の生成及び関連するエネルギー生成が生じ得る。
【0060】
[0097]また、エネルギーを有するアルファ粒子と他の物質との間の2次的な核反応が生じて、システムにエネルギーが追加されるようになっていてもよい。例えば、水素−1とホウ素−11との間の1次反応により生成されたアルファ粒子は、制御核融合機器の壁中の炭素と反応して酸素を生成し、付加的なエネルギーを放出するようになっていてもよい。このように、核融合生成物自体が第3の作業物質等の作業物質になる場合がある。
【0061】
[0098]
図2A〜
図2Eには、
図2の実施形態の線A−Aに沿った斜視断面図を示している。後述する通り、これらの図は、例えばアルファ粒子及び関連するエネルギー生成等、核融合反応及び核融合生成物の生成に至る
図2の実施形態の様々な電界、磁界、及び動作パラメータを示している。
【0062】
[0099]
図2Aには、矢印(B)で磁力線を示している。磁石201により生成されたこれらの磁力線は、内側電極202と外側電極204との間の環状空間222を通過するように示されている。この環状空間222には水素ガスが充填されている。この図に示すように、電極202及び204間には電圧が印加されていないため、回転も生じていない。また、電源220及び水冷ライン221a、221bも図示している。
【0063】
[00100]
図2Bにおいては、電界が生成され、これを内側電極202上のプラス記号及び半径方向に内側電極202から外側電極204まで外方に延びる矢印(E)で示している。この図から電気力線(E)が磁力線(B)に垂直であることが分かる。初期の電圧は低レベルで印加することにより、弱いイオン化及び初期の低速回転を生成するのが好ましい。
【0064】
[00101]
図2Cには、低電力CW電圧の印加によって初期に発生する弱イオン化プラズマの生成を示している。このように、電界が一部の水素をイオン化することによって弱イオン化プラズマを生成している(例えば、およそ100,000個のニュートラルごとに1つのイオン)。これらのイオンの存在によって、半径方向外方に延びるギザギザの稲妻のような線(I)で示すように電流を流すことができる。また、弱いプラズマにより安定を維持可能である。
【0065】
[00102]そして
図2Dに進むと、高電力パルスの電極間への印加により、矢印(F)で示す方位角方向のローレンツ力が生じて、弱イオン化プラズマ中のイオンに作用している。
図2C及び
図2Dの両方において、プラズマ電流の流れは半径方向外方に延びるギザギザの稲妻のような線(I)で示している。弱イオン化プラズマのイオンに加わるローレンツ力(F)の方向は、(
図2Dの接線方向矢印で示すように)磁界(B)及び電界(E)の両方に垂直であり、力(F)及び
図2Eに示す円形矢印(R)の方向の回転を誘導する。
【0066】
[00103]したがって弱イオン化プラズマ中のイオンの回転により、ニュートラル(例えば非イオン化水素)が回転する。この回転はイオンとニュートラルとの間の衝突が原因と考えられる。このため、
図2の実施形態により、ごくわずかなイオンによって、核融合反応に十分なエネルギーレベルまで相当数のニュートラル粒子を加速可能である。
【0067】
[00104]例えば水素を使用する場合、イオンのニュートラルに対する比率は、およそ1:1,000〜およそ1:120,000、およそ1:50,000〜およそ1:100,000、およそ1:100,000〜およそ1:180,000、1〜少なくともおよそ1、1〜少なくともおよそ10、1〜少なくともおよそ100、1〜少なくともおよそ1,000、1〜少なくともおよそ10,000、1〜少なくともおよそ50,000、1〜少なくともおよそ80,000、1〜少なくともおよそ100,000、1〜少なくともおよそ180,000であってもよい。
【0068】
[00105]したがって、
図2Eには、本実施形態では外側電極204の内表面208である核融合表面208に沿って核融合反応が生じていることを概念的に示している。現下、
図2の実施形態においては、核融合反応の大部分が核融合表面に隣接して生じているものと考えられる。核融合反応は、ホウ素板205及び206から移動したと考えられるホウ素粒子の周りの星状図形で示している。
【0069】
[00106]
図4Aは、
図2に示したような制御核融合機器の一部である制御装置及び放電回路の一実施形態を示している。システム制御ブロック401は、制御核融合機器と動作可能に相互接続された1つ又は複数の要素のオペレータによる管理及び制御を可能にする。また、システム制御ブロック401はコンピュータを具備していてもよい。或いは、手動スイッチ又は当技術分野において知られているその他任意の種類の制御インターフェースを具備していてもよい。制御及びデータ信号送受信等の通信経路は図中の破線で示す通りである。制御装置は、連続波(CW)放電回路407及びパルス放電回路406を具備する。CW放電回路407は、1.4〜2.0kVの電圧を供給するように構成されたDC電源402で構成されているが、他の電圧も可能である(データ及び制御通信経路は、破線402aで示す)。DC電源402は、ヒューズバンク421及びこれと関連付けられた可変変圧器408を有する。また、DC電源402は、プラズマ負荷403に連続電圧を印加するため、約5オームのインピーダンスを通して、制御核融合機器の電極に対して動作可能に接続されている。
図2を参照して上述した通り、CW電圧はプラズマを予備イオン化して、プラズマの回転を開始するようになっていてもよい。動作時、CW放電回路407は約10〜50アンペアの電流をプラズマに供給する。また、CW放電回路407は、例えばデータ連通したオシロスコープ、0.1オーム1%抵抗器412、5オーム抵抗器411、30アンペアヒューズ410、及び36A3kV分離ダイオード409に接続された高電圧プローブ413a、413bを有する。CW放電回路407及びパルス放電回路406は、クローバーダイオード420がブリッジしている。
【0070】
[00107]パルス放電回路406は、1.5〜4kVに充電されるキャパシタバンク404で構成されている。いくつかの実施形態において、キャパシタバンク404は3.6mFの容量を有するが、他の容量値を使用するようにしてもよい。システム制御ブロックが(例えば制御及びデータ経路405aを介して)ゲート駆動スイッチ405を閉じると、キャパシタバンク404がプラズマにより放電して、約10〜15ミリ秒間にわたって3kA〜50kAの電流が生成される(矢印421で示す)。この電流パルス421は、プラズマの最大およそ100,000RPSの急速回転を誘導し、これが核融合を誘導する。制御装置及び放電回路の他の変形についても可能であり、本発明の範囲及び主旨に含まれる。また、パルス放電回路406は、1.5kV〜4kVの電圧源418、100オーム抵抗器417、16マイクロヘルツ機器416、0.3オーム抵抗器415、及び(経路414aを介して制御及びデータ連通した)10A飽和の電流モニタ414を有する。また、このシステムは、ガス(噴射)入口弁(図示せず)と関連付けられた制御及びデータ通信経路420と、データ及び通信経路419aを有する高速ビデオカメラ419とを有する。
【0071】
[00108]電圧が印加されてイオン化の度合いが高くなると、電流がより容易に流れる結果として、所要電圧が予想通りに降下する。その結果、様々な電圧源の優先順位付け又は使用が行われ、低電圧CW源の使用による初期起動回転の生成が行われ、高電圧の使用による必要なイオン化度及び高速回転(例えば、およそ少なくとも100,000RPS)の構成が行われ、低電圧の使用による長時間の核融合反応のためのイオン化度及び回転速度の維持が行われるようになっていてもよい。システムの全体効率を向上させるため、必要な電圧の種類ごとに最も効率的な電圧源を使用するのが好ましい。したがって、核融合領域において伝導度が上昇するように電力入力の優先順位を付けると、そのような上昇に追従して電圧入力は低下する。これにより所要電力入力も低くなるため、この核融合機器の全体的な利得が高くなる。
【0072】
[00109]
図3には、制御核融合機器300の一実施形態の斜視断面図を示している。制御核融合機器300は超伝導磁石307を有する。磁石307ひいては当該磁石が生成する磁界内には、制御圧力チャンバ306、外側電極304、及び内側電極302が存在する。内側電極は絶縁体303を有する。外側電極304の内表面312上には、第2の作業物質を有する部材305aと、第2の作業物質を有する第2の部材305bとが配置されている。内側電極304及び磁石307内には、作動ガス入口ライン301が配置されている。
【0073】
[00110]外側電極304は内径が16センチメートル(cm)の管状であり、銅で構成されている。外側電極304の壁313は厚さがおよそ2cmである。内側電極302は銅で構成され、拡張された非絶縁外表面311を有する。内側電極302の外表面311と外側電極304の内表面312との間の距離は、両方向矢印310で示しており、およそ3.5cmである。部材305a、305bは、軸方向に内側電極302の外表面311の真向かいに配置されている。
【0074】
[00111]核融合チャンバ308は、少なくとも一部が磁石307の磁界内に位置決めされている。制御圧力チャンバ306と、核融合表面309が関連付けられている。
【0075】
[00112]内側及び外側電極は、例えば
図4B(本明細書の以下により詳しく説明する)に示すような電源及び回路と電気的に関連付けられているため、2つの電極304、302間には電圧が印加される。本実施形態においては、第1の作業物質が作動ガス、特に水素であり、第2の作業物質が窒化ホウ素又は六ホウ化ランタンであるのが好ましい。
【0076】
[00113]電極302の外表面311と内表面312との間の領域においては、第1の作業物質に電流が流れることにより、弱イオン化プラズマが生成されるのが好ましい。動作時には、核融合空洞308中、好ましくは核融合表面309に隣接して核融合反応が生じる。
【0077】
[00114]本実施形態は、構成要素及びそれぞれの位置を修正又は変更して構成可能であることが了解されるものとする。例えば複数の内側電極を使用するようにしてもよいし、外側電極の構成が異なっていてもよいし、使用する第2の作業物質がより多くても少なくてもよいし、連続リングを使用するようにしてもよい。作動ガス入口ライン、核融合チャンバ、核融合表面、及び他の構成要素の場所及び位置を同様に変更するようにしてもよい。
【0078】
[00115]
図4Bは、
図3を参照して説明したシステムと併せて使用可能なシステム制御及び放電回路の別の実施形態を示している。システム制御及び放電回路は、CW放電回路457及びパルス放電回路456を具備する。CW放電回路457は、6〜18オームのインピーダンスを通してプラズマ453に1.44kVを供給するように構成されたDC電源452を具備する。ただし、他の電圧レベル及びインピーダンス値を使用するようにしてもよい。DC電源452は、プラズマに10アンペアのオーダで給電することにより、プラズマを予備イオン化して回転を開始するように構成されている。DC電源452はヒューズバンク471及び変圧器458を有する。また、CW放電回路457は、オシロスコープ(図示せず)と(経路463aを介して)連通した高電圧プローブ463、6〜18オーム抵抗器461、30アンペアヒューズ460、分離ダイオード459(例えば、36A、3kV)を有する。
【0079】
[00116]パルス放電回路456は、容量が5.6mFのキャパシタバンク454を具備するが、他の容量値も可能である。キャパシタバンクは、電圧源468(3kV、5A)によって約3kVまで充電される。システム制御ブロック451がパルス制御スイッチ455を閉じると、3〜30kAの電流パルス(矢印480)がプラズマに印加され、急速回転の誘導により核融合事象が発生する。また、パルス放電回路456は、100オーム抵抗器467、リレー474、10A飽和電流モニタ485、及び経路485aを有する。
【0080】
[00117]
図4Bの実施形態の制御システム及び放電回路は、制御装置451(1つ又は複数の制御装置、PLC、コンピュータ、プロセッサ−メモリ組み合わせ、並びにこれらの変形及び組み合わせが可能)を有する。制御装置451は、破線として示した様々な通信経路を有する通信及びデータネットワークを介して連通している。これにより、経路469aは制御装置451と連通した高速ビデオカメラ469を収容しており、経路452aはDC電源と関連付けられ、経路470はガス噴射弁と関連付けられ、経路472は熱電対と関連付けられ、経路473は他のモニタリング装置(例えば付加的なオシロスコープ)と関連付けられ、経路491aは光ファイバモノクロメータ491と関連付けられ、経路468aは電圧源468と関連付けられ、経路455aはパルス制御器455と関連付けられている。
【0081】
[00118]一般的に、用語「およそ(about)」は、表示値の取得に関連する実験又は器械誤差、好ましくはこれらの大きい方として、±10%の分散又は範囲を含むことを意図している。
【0082】
[00119]本発明の実施形態では、とりわけ、大きな電界、高い電子密度、動重力、クーロン障壁の修正又は変更、反応断面の修正又は変更、空間電荷又は電子遮蔽効果、ニュートラルの使用、イオン−ニュートラル結合、核磁気モーメント相互作用、スピン偏極、磁気双極子−双極子相互作用、高粒子密度物質、遠心力又は動重力と関連付けられた圧縮力、水素の相転移、正帰還の機構、並びにこれら及び他の効果の修正及び変形等、量子効果、静電効果、機械的効果、又は他の効果を利用するようにしてもよい。本明細書における障壁の修正、変更、低減、抑制、又は除去に関するすべての言及には、1つ又は複数の他の特徴(例えば高い電子密度)の存在によって、クーロン障壁自体が(このような特徴とは無関係に)不変であるにも関わらず、クーロン障壁のオフセット又はその効果の抑制を行う手段を含む。
【0083】
[00120]なお、本発明の主題である新規且つ革新的な核融合方法、機器、及びシステムの根拠となる理論を提供すること又はそのような理論に対処することは求められていない。それでもやはり、これら理論の提供によって、この重要な分野における技術はさらに発展する。本明細書に提示の理論は、別段の明示的な定めのない限り、特許請求の範囲に係る発明が与える保護の範囲を何ら限定、減縮、又は制限するものではない。また、これらの理論は、本発明を利用する必要がなくてもよいし、そのように実行しなくてもよい。さらには、本発明によって、その核融合方法、機器、及びシステムを説明するための新たな未知の理論がもたらされる場合があることが了解され、このように後で展開される理論は、特許請求の範囲に係る発明が与える保護の範囲を減縮又は限定するようには作用しないものとする。
【0084】
クーロン障壁の修正又は変更
[00121]融合には、2つの原子核が接触する必要がある。ただし、原子核は非常に小さく(10
−15mのオーダ)、正に帯電しているため、静電的に反発し合う。
図5A〜
図5Cには、2粒子系のポテンシャルエネルギー曲線の例示的な使用による本発明の一実施形態の影響の説明の例を示している。
図5Aには、第1の原子核502が第2の原子核に近づいている2粒子系のポテンシャルエネルギー曲線501を示している。水平軸506上において、xは2つの原子核間の距離である。この系のエネルギーはy軸505に示している。系のポテンシャル501は、第1の原子核が第2の原子核から遠くに配置されている場合はゼロに近く、第1の原子核が第2の原子核に近づくと高くなる。系のポテンシャル501は(正の)クーロン反発ポテンシャル及び(負の)強い核引力ポテンシャルの合計である。2つの原子核が距離x
n(x
nは2つの融合原子核の半径の合計に略等しい)だけ離れて非常に近くなると、系のポテンシャル501は強い核力の影響で負になる。したがって、用語「クーロン障壁(Coulomb barrier)」は、
図5Aに示すポテンシャル曲線の通過又は乗り越えによって2つの原子核が接触することの困難さを記述するためのものである。
【0085】
[00122]
図5Aでは、以下により表される2原子核系の運動エネルギー「ε」を表示している。
【数3】
ここで、v=v
1−v
2において、v
1及びv
2は2つの原子核の速度であり、m
rは系の換算質量であって、以下により表される。
【数4】
ここで、m
1及びm
2は2つの原子核の質量である。古典力学では、原子核が互いに近づいている場合、これらの原子核が接触するには、εをクーロン障壁の高さよりも大きくする必要があるとされている。ただし量子力学では、ポテンシャル障壁を通る「トンネリング」x
Tによって、εがこの閾値を下回る場合の核融合反応が可能である。ただし、障壁の大きさは依然としてトンネリングx
Tの障害となっているため、クーロン障壁がより大きな(例えば、高く、広く、又はその両方)反応は一般的に、小さな障壁の場合よりも生じ難い。したがって古典力学では、領域503のエネルギーがクーロン障壁を乗り越えることはない。
【0086】
[00123]本発明の実施形態では、負のポテンシャル(引力)を有する効果の生成、修正、又は利用によって、クーロン障壁を低下又は低減させるようになっていてもよい。このような負のポテンシャルを
図5Bに示す。この図には負のポテンシャル507を示しており、負のポテンシャル507及び系の初期ポテンシャル501の相加効果の結果として、新たな系のポテンシャル504が生成されている。この結果としての新たな系のポテンシャル507では、距離x
1でポテンシャルが負になり始めており、クーロン障壁が実質的に低下するとともに、トンネリングの距離x
Tが短くなって、引力が優位になる距離x
nに近づいている。
【0087】
[00124]したがって、例えば本発明の実施形態では、遠心効果、空間電荷又は電子遮蔽効果等の効果の使用、ニュートラルの使用、イオン−ニュートラル結合、核磁気モーメント相互作用、スピン偏極、又は双極子−双極子相互作用効果、並びにこれら及び他の効果の組み合わせ及び変形によって、クーロン障壁を低下又は低減させるようになっていてもよい。
図5Cは、系の初期ポテンシャル503に遠心ポテンシャル508、電子遮蔽ポテンシャル509、及び核磁気モーメント相互作用ポテンシャル510を組み合わせた結果として得られた系のポテンシャル504を示している。これらは、それぞれ単独及び組み合わせによって、クーロン障壁を低減(低く、薄く、及び両方)しており、原子核のポテンシャル障壁のトンネリング又は乗り越えを容易化することによって、核融合反応が生じる可能性を高めている。
【0088】
遠心ポテンシャル
[00125]物質が閉鎖空間で回転する場合は、回転物質により生成される力(遠心力)に対する反力(向心力)を隔壁が与える。これらの反力によって、回転物質は隔壁に隣接する領域の他の物質に押し付けられる。この圧迫によって負の遠心ポテンシャルが生じる。遠心ポテンシャルは、隔壁に向かう引力を効果的に生成し、この力は物質が隔壁に近づくと強くなる。本発明の実施形態では、閉鎖空間内で粒子の急速回転を誘導し、閉鎖構造の外壁に向かって粒子を加速させることにより、強い遠心ポテンシャルを生成するようにしてもよい。本発明の一実施形態においては、プラズマの回転によって10
9gの遠心加速度が生成されるが、この値は系のパラメータを変化させることによって(例えば、機器の曲率半径又は反応物の方位角方向の速度を変化させることによって)高くすることも低くすることもできる。この遠心加速度は重力に似ているが、有効な力は、重力の場合の半径方向内方とは対照的に、半径方向外方を向いている。したがって局在的な核融合反応部位、すなわち2つの原子核間においては、数億或いは数十億psiの圧力に相当する力が存在する可能性がある。遠心加速度を使用する利点として、物質が点に向かってではなく面に隣接して押し付けられることが挙げられる。これにより反応物が密に接触して核融合が生じ得るより大きな領域が得られるため、核融合の可能性及び速度が高くなるものと考えられる。このように、核融合反応により生成されたエネルギーを抽出して使用するための容易且つ簡単に利用可能な手段がさらに提供される。遠心ポテンシャル506の効果については、
図5Cに示している。
【0089】
電子遮蔽
[00126]弱イオン化プラズマを使用する利点は、反応物が主に中性原子を含むことである。原子核間に介在する電子は、正に帯電した原子核間のクーロン反発力を遮蔽する。この現象は、クーロン反発に影響してクーロン障壁を低減させる場合がある。また、高効率の電子放出体である反応物を使用することによって、正に帯電した反応物間に電子雲、負の空間電荷が導入され、これにより遮蔽効果がさらに増強される。本発明の一実施形態において、第2の作業物質は、あらゆる既知の化合物の中で電子放出率が最も高いものの1つである六ホウ化ランタンを含むように選択される。六ホウ化ランタン作業物質によって放出された電子はホウ素の近傍に留まって、クーロン障壁を低減させるとともに核融合反応速度を向上させる電子遮蔽効果を与えるものと考えられる。別の実施形態において、第2の作業物質は、同じく高効率の電子放出体であり、同様の効果を有する窒化ホウ素を含む。電子遮蔽ポテンシャル507の効果については、
図5Cに示している。さらに別の実施形態においては、不均一な電界を生成する形状又は表面プロファイルの物質が系に存在していてもよい。これにより、一例として、核融合のための局在的な電子遮蔽を生成するには、樹枝状プロファイルの六ホウ化ランタン表面が望ましい場合がある。
【0090】
核磁気モーメント相互作用
[00127]多くの原子核は、それぞれの微小な磁界と関連付けられた角運動量の形態の固有の「スピン」を有する。磁力線は原子核の一端が磁気的なN極、他端が磁気的なS極であるかのように形成されるため、原子核を「磁気双極子」と称するとともに、双極子の強度及び方位は「核磁気モーメント」で記述される。
【0091】
[00128]核磁気モーメントは量子トンネリングにおいて役割を果たす。具体的に、2つの原子核の磁気モーメントが平行である場合、2つの原子核間には引力が生成される。その結果、磁気モーメントが平行な2つの原子核間の総ポテンシャル障壁は低下し、トンネリング事象が起き易くなる。2つの原子核の磁気モーメントが逆平行である場合は、上記の逆が真となって、ポテンシャル障壁が高くなり、トンネリングは起き難くなる。
【0092】
[00129]特定の種類の原子核の磁気モーメントが正である場合、この原子核の磁気モーメントは、印加磁界の方向と一致する傾向にある。これに対して、モーメントが負である場合、原子核は印加磁界と逆平行に揃う傾向にある。潜在的な核融合反応物として関心のあるほとんどの原子核等、ほとんどの原子核は正の磁気モーメントを有する(p、D、T、
6Li、
7Li、及び
11Bはすべて正のモーメントを有し、
3He及び
15Nは負のモーメントを有する)。制御核融合機器の一実施形態においては、磁界が存在する機器内のすべての点で磁気モーメントを略同じ方向に揃える磁界が与えられるようになっていてもよい。これにより、第1及び第2の作業物質の核磁気モーメントがともに正又はともに負である場合に、原子核間の総ポテンシャルエネルギー障壁は低下する。これによりトンネリングの速度が増大し、核融合反応が起こり易くなるものと考えられる。核磁気モーメント相互作用ポテンシャル508の効果については、
図5Cに示している。この効果は、スピン偏極又は磁気双極子−双極子相互作用と称する場合もある。また、原子核の総角運動量の決定には、磁力線周りの原子核の旋回も寄与する。このため、原子核のサイクロトロン運動によって核磁気モーメントの偏極と同じ方向の付加的な角運動量が生成されている場合には、クーロン障壁がさらに低減される。
【0093】
反応断面の修正又は変更
[00130]一対の原子核間の核融合反応の確率は、反応断面「σ」によって表される。断面は通常、静止した原子核ターゲットに原子核のビームを衝突させることにより、εの関数として実験で測定される。この断面は通常、以下のように規定される。
【数5】
ここで、Bはターゲット原子核当たり単位時間当たりの反応数であり、Iは単位ターゲット面積当たり単位時間当たりの入射粒子数である。断面がこのように規定及び測定される場合、各核融合反応は、所与の系の特定のεにおいて一定の比断面を有することになる。
【0094】
[00131]特定の反応炉における単位体積当たりの核融合反応速度は通常、以下により表される。
【数6】
ここで、第1の原子核及び第2の原子核が同じ種類の原子核である(例えば、重水素が重水素と核融合する)場合はδ
12=1、それ以外の場合はδ
12=0であり、〈σv〉は系の「平均反応度」であって、以下のように規定される。
【数7】
ここで、f(v)は
【数8】
となるように正規化された相対速度の分布関数である。第2の原子核が静止している場合は、〈σv〉=σvである。ただし、先の規定は第2の原子核が移動する状況を説明したものであり、相互作用する各原子核対は異なる相対速度vを有していてもよい。
【0095】
[00132]そして、核融合エネルギーの放出速度は以下により与えられる。
【数9】
ここで、Wは単位体積当たりに放出される総核融合エネルギーであり、Eは単一の反応で放出されるエネルギーである(p−
11B核融合の場合はE=8.68MeV)。
【0096】
[00133]量子トンネリング事象によって2つの原子核が接触する確率はトンネリング障壁透明度Tにより記述されるが、Tの値が大きくなると、トンネリングの可能性も高くなる。トンネリングは核融合発生の1次機構であるため、断面がTに比例する(σ∝T)。Tは以下のように近似される。
【数10】
ここで、eはオイラー数、ε
Gはクーロン障壁の修正エネルギーである。2つの原子核が距離x≧x
Tだけ離れている場合、ε
Gは以下により記述される。
【数11】
ここで、q
1は第1の原子核の電荷、φ(x)はxの関数として表されたポテンシャル、x
Tは、φ(x
T)=εとなるclassical turning pointである。
【0097】
[00134]これらの関係の結果として、φの値が大きくなると(例えば、より大きなクーロン障壁)ε
Gも大きくなり、任意特定の系に関して、Tが小さく、σが小さく、Rが小さくなるとともに、E>0の場合は、
【数12】
も小さくなる傾向にある。したがって、φが大きな系では核融合事象が少なく、核融合エネルギーの放出速度が低くなり、φが小さな系では核融合事象が多く、核融合エネルギーの放出速度が高くなる傾向にある。上述の通り、クーロン障壁を低減させることはφを小さくすることと同等であり、本発明の実施形態ではこれらの技術を採用して、断面を全体的に大きくすることにより、核融合反応速度を高くするようにしてもよい。
【0098】
高粒子密度
[00135]本発明の一実施形態では、電磁力を利用するため、荷電粒子が存在している必要がある。ただし、強イオン化プラズマを生成する代わりに弱イオン化プラズマを生成した後、イオンに依拠することにより、イオン−ニュートラル結合の原理を通してニュートラルを駆動する。この手法ではプラズマが不安定になることはないため、粒子密度(n
1及びn
2)を強イオン化プラズマの場合よりもはるかに高くすることができる。本発明の一実施形態において、粒子密度は機器の容積全体において、少なくとも10
17/cm
3である。さらに遠心ポテンシャルが誘導する圧迫により、核融合事象の集中が予想される領域において粒子の密度が高くなり、核融合反応が集中する機器の領域においては密度がおよそ10
18/cm
3となる。
【0099】
[00136]また本発明の一実施形態では、粒子密度が10
23/cm
3のオーダの固形のホウ素化合物を使用する。このため本発明では、核融合反応が集中すると考えられる領域において、当技術分野で既知の他の方法よりもはるかに高い物理的コンテナ中の粒子密度が実現される(例えば、トカマク反応炉はおよそ10
14/cm
3を超える持続的な粒子密度を実現していないものと考えられる)。
【0100】
[00137]本発明の利点は、電子制動放射に起因する放射損失を効果的に抑えられることである。トカマク等の従来の核融合反応炉では高温の高イオン化プラズマを採用する。制動放射及びサイクロトロン放射に至る電子−イオン相互作用は、大きなエネルギー損失源であり、このような系がローソン基準を満足できていない理由の1つである。ただし、本発明の実施形態に採用される高密度軽イオン化低温プラズマでは、電子移動度が抑えられるため、放射損失も大幅に低くなる。
【0101】
高圧下における水素の相転移
[00138]高圧圧縮下の水素原子は、圧縮力及びそれぞれの回転状態に応じて、液体又は固体金属になり得る。液体又は固体状態のいずれにおいても、密度は気体状態よりもはるかに高い。これに対応して、総反応速度は、2つの反応物の粒子密度の積に従って高くなる。
【0102】
[00139]また金属水素は、高導電性或いはゼロ抵抗の超伝導体になる。これにより系全体の伝導度が高くなって、抵抗損失及び必要な入力エネルギーが抑えられる。したがって、このような系の全体効率は高く、高いQファクタ及び対応するエネルギー利得を容易に実現可能である。
【0103】
[00140]このように現下、例えば水素ニュートラル等のニュートラルのより高い回転速度が実現されると、これらのニュートラルは液体、固体、又は超伝導体になるか、又はそのように振る舞うものと理論化されている。この形態の作業物質は核融合反応に寄与するため、現下、壁寄りの核融合反応チャンバ又は領域の外側到達範囲に主として配置されているものと考えられている。この形態の作業物質が存在することにより、系の全体効率が大きく向上する可能性がある。
【0104】
正帰還
[00141]本発明では、動作時に粒子が生成される場合がある。場合により、これらの粒子は機器の機能に利益をもたらす場合がある。イオン化粒子を利用する実施形態においては、イオン化放射線の生成によって、作業物質又はプラズマのイオン化又は回転運動の増大、変更、維持、又は改善により付加的な核融合がさらに増強される場合がある。これにより、一例として、第1の作業物質が水素であり、第2の作業物質がホウ素である弱イオン化プラズマ及び回転機構を用いる装置では、アルファ粒子が生成される場合がある。これらの粒子は付加的な水素をイオン化するとともに、回転エネルギーを付与する場合がある。したがって、この付加的なイオンを生成する核融合生成物の相乗効果は、外部源からの付加的なエネルギーを必要とすることなく、回転エネルギーを増大させる効果を有する場合がある。さらにこの特徴が暴走反応に至ることのないように、系の温度及び水素の供給が常にモニタリングされ、これに応じて水素の供給を調整することにより、ニュートラルの存在数を変更して反応速度を制御することができる。
【0105】
[00142]電流及び電圧の振動をモニタリングする診断法は、その場のものであり、且つマイクロ又はナノスケールであってもよいが、これを制御核融合機器に導入するようにしてもよいし、Wi−Fiチャンネルを通してデータ制御センターと無線通信するようになっていてもよい。この構成により、核融合反応領域内の状態を直接モニタリング及び管理することができる。これにより核融合システムの設計が効率化される。また当技術分野において既知の温度、分光法、レーザ診断法、温度モニタリング、粒子検出器、ビデオ等の別の診断及びモニタリングシステム及び技術を利用することにより、核融合反応炉及び発電システムの制御及びモニタリングシステムを確立するようにしてもよい。
【0106】
(実施例)
[00143]以下の実施例は、本発明の制御核融合方法、機器、及びシステムの種々実施形態を説明するためのものである。これらの実施例は説明を目的としており、本発明の範囲として見なされるべきではなく、そうでなければ本発明の範囲を制限するもではない。
【0107】
実施例1
[00144]全体的に
図3の実施形態に示したような制御核融合機器を動作させて、高エネルギーのアルファ粒子及びヘリウムを生成する制御核融合反応を与えた。この機器の第1の作業物質は水素である。この機器の第2の作業物質は、外側電極の内壁上のプレート等の窒化ホウ素ターゲット及び棒により反応チャンバに挿入されたディスク等の六ホウ化ランタンターゲットとして機器に導入されたホウ素である。制御核融合機器の内部構成要素に磁石が与える磁界は0.5テスラである。制御圧力チャンバはパージしている。パージ後、制御圧力チャンバ及び核融合空洞には、常温でおよそ3torrまで水素ガスを充填させる。電流制限抵抗を通しておよそ1.4kVの電圧を内側電極に印加することにより、およそ25Aのプラズマ電流が生成される。これにより、磁界及び電流が生成するローレンツ力によって、およそ800〜2,000RPSと考えられる初期回転又は予備回転が付与される。電極及び装置は、生成される電界が実質的に装置の所望の部分にあって、望ましくない表面へのアーク放電が最小限に抑えられるように設計されている。初期回転の確立後、外側及び内側電極間のおよそ400V〜1kVのパルスによって、最大およそ43kAのプラズマ電流が生成され、これにより、イオンのニュートラルに対する比率がおよそ1:100,000と考えられる弱イオン化プラズマが生成される。またこれにより、少なくともおよそ100,000RPSの回転が弱イオン化プラズマ(イオン及びニュートラル)に付与される。弱イオン化プラズマの回転は、およそ10ミリ秒間にわたって維持される。
【0108】
[00145]この弱イオン化プラズマの回転中には、プロトンとホウ素−11原子核との間の核融合反応によって、アルファ粒子が生成される。またこの反応中に、回転の開始前に存在していなかったヘリウムが現れた。これらプロトンの平均運動エネルギーは約500eV(電子ボルト)と考えられる。各核融合反応により生成された3つのアルファ粒子に付与された累積エネルギーは約8.68MeVと考えられる。
【0109】
[00146]核融合チャンバにヘリウムが存在することは、機器の実施形態のチャンバ内部の高速ビデオカメラで捉えた静止画像により、その一部が明らかとなった。ホウ素ターゲットをチャンバに配置して、水素ガスをチャンバに導入した。静止画像は、高エネルギー粒子により励起されたヘリウムの強発光スペクトルの波長である587.5ナノメートルを中心とする光学フィルタを適用することによって取得した。捉えた画像を
図6に示す。この画像は、チャンバ中の内側電極等の放電棒において高電圧パルスを開始することによりチャンバ中で水素−ホウ素相互作用を促進した後、t=10.74msで捉えたものである。
【0110】
[00147]
図6に示すように、チャンバ中のヘリウムの存在によって、水素ガスによりイオン及びニュートラルのプラズマが生成され、プラズマ中の粒子と円筒チャンバ中のホウ素ターゲットとが式H+
11B→3
4He
+++8.7MeVに従って核融合するのに十分な加速度レベルの電界及び磁界によりチャンバ内で回転することが立証される。このように、
図6は水素−ホウ素相互作用の結果として生成されたヘリウムニュートラルを示している。
【0111】
[00148]また、高エネルギーアルファ粒子の生成は、例えば
図7の写真に示す機器構成要素の内表面上のマイクロエッチングの存在により明らかとなった。さらに高エネルギーアルファ粒子の生成は、核融合チャンバ802の近傍に配置された箔検出器801に対して観測された影響及びその最終的な破壊により明らかとなった。箔検出器801は2枚のアルミニウム箔で構成され、第1の箔の厚さが1.2μmであり、第2の箔の厚さが0.8μmである。単一の粒子によるこれら箔の貫通又は著しい変形に要するエネルギーは、少なくともおよそ2MeVである。
図8A〜
図8Fは、8.25ミリ秒の時間にわたる箔検出器801の一連の写真であって、検出可能な影響が生じる前の検出器(
図8A)、核融合反応中の様々な影響(
図8B〜
図8D)、破壊(
図8E)、及びフレームから完全に消え去った状態(
図8F)を示している。アルミニウム箔の破壊片の方向は、下方及び回転する水素の方向であって、中心生成領域における水素原子の回転と一致している。
【0112】
実施例1(a)
[00149]実施例1の方法及び機器を十分な磁界及び電圧で動作させることにより、少なくともおよそ250MMBtu/時の熱エネルギーを与える。この熱エネルギーは、熱交換器、蒸気タービン、及び発電機等、電力及び発電技術分野の当業者に既知の装置により変換され、少なくともおよそ25MWの電力が与えられる。
【0113】
実施例1(b)
[00150]実施例1のような機器10台を併せて動作させることにより、合計で少なくともおよそ2,500MMBtu/時の熱エネルギーを与える。この熱エネルギーは、熱交換器、蒸気タービン、及び発電機等、電力及び発電技術分野の当業者に既知の装置により変換され、少なくともおよそ250MWの電力が与えられる。これらの機器をより少なく又はより多く組み合わせてより大きな熱エネルギーを与えることにより、1台がオフラインになった場合のバックアップユニットを提供するようにしてもよく、このアセンブリは当業者に既知の熱変換機器と関連付け可能である。
【0114】
実施例1(c)
[00151]実施例1の方法及び機器を十分な磁界及び電圧で動作させることにより、少なくともおよそ10,000MMBtu/時の熱エネルギーを与える。この熱エネルギーは、熱交換器、蒸気タービン、及び発電機等、電力及び発電技術分野の当業者に既知の装置により変換され、少なくともおよそ1,000MWの電力が与えられる。
【0115】
実施例1(d)
[00152]実施例1の方法及び機器を十分な磁界及び電圧で動作させることにより、少なくともおよそ5MMBtu/時の熱エネルギーを与える。この熱エネルギーは、熱交換器、蒸気タービン、及び発電機等、電力及び発電技術分野の当業者に既知の装置により変換され、少なくともおよそ500kWの電力が与えられる。実施例1の機器のうちの1つ又は複数を組み合わせてより大きな熱エネルギーを与えることにより、1台がオフラインになった場合のバックアップユニットを提供するようにしてもよく、このアセンブリは当業者に既知の熱変換機器と関連付け可能である。
【0116】
実施例1(e)
[00153]実施例1の方法及び機器を十分な磁界及び電圧で動作させることにより、少なくともおよそ0.1MMBtu/時の熱エネルギーを与える。この熱エネルギーは、熱交換器、蒸気タービン、及び発電機等、電力及び発電技術分野の当業者に既知の装置により変換され、少なくともおよそ10kWの電力が与えられる。実施例1の機器のうちの1つ又は複数を組み合わせてより大きな熱エネルギーを与えることにより、1台がオフラインになった場合のバックアップユニットを提供するようにしてもよく、このアセンブリは当業者に既知の熱変換機器と関連付け可能である。
【0117】
実施例2
[00154]実施例1に従って、機器の動作を400回以上繰り返した。各回にヘリウム及び高エネルギーアルファ粒子の生成の証拠が観測された。
【0118】
実施例3
[00155]全体的に
図3に示した実施形態のような制御核融合機器の一実施形態では、希土類磁石を有する。
【0119】
実施例3(a)
[00156]全体的に
図3に示した実施形態のような制御核融合機器の一実施形態では、電磁石を有する。
【0120】
実施例4
[00157]制御核融合機器の一実施形態を
図9A及び
図9Bに示すが、
図9Aは軸方向断面図、
図9Bは側方断面図である。本実施形態では、外側電極901及び同心内側電極903を有し、これら2つの電極901、903間の環状空間には、局在的な軸方向磁界904が生成されている。磁界は、回転を誘発する領域905の両側に軸方向に隣接して配置された導電コイル902によって生成されており、各対のコイル902は、それぞれが生成する磁界が同じ軸方向(例えば矢印B)を向くように動作する。これにより、本実施形態において、コイル対が生成する磁界は2つの電極間の関心領域の中心軸と平行に延びており、プラズマの回転を誘導している。本実施形態には、大規模な発電ユニット等の大規模な用途での利点が考えられる。
【0121】
実施例4(a)
[00158]実施例4の方法及び機器を十分な磁界及び電圧で動作させることにより、少なくともおよそ250MMBtu/時の熱エネルギーを与える。この熱エネルギーは、熱交換器、蒸気タービン、及び発電機等、電力及び発電技術分野の当業者に既知の装置により変換され、少なくともおよそ25MWの電力が与えられる。
【0122】
実施例4(b)
[00159]実施例4のような機器10台を併せて動作させることにより、合計で少なくともおよそ2,500MMBtu/時の熱エネルギーを与える。この熱エネルギーは、熱交換器、蒸気タービン、及び発電機等、電力及び発電技術分野の当業者に既知の装置により変換され、少なくともおよそ250MWの電力が与えられる。これらの機器をより少なく又はより多く組み合わせてより大きな熱エネルギーを与えることにより、1台がオフラインになった場合のバックアップユニットを提供するようにしてもよく、このアセンブリは当業者に既知の熱変換機器と関連付け可能である。
【0123】
実施例4(c)
[00160]実施例4の方法及び機器を十分な磁界及び電圧で動作させることにより、少なくともおよそ10,000MMBtu/時の熱エネルギーを与える。この熱エネルギーは、熱交換器、蒸気タービン、及び発電機等、電力及び発電技術分野の当業者に既知の装置により変換され、少なくともおよそ1,000MWの電力が与えられる。
【0124】
実施例4(d)
[00161]実施例4の方法及び機器を十分な磁界及び電圧で動作させることにより、少なくともおよそ5MMBtu/時の熱エネルギーを与える。この熱エネルギーは、熱交換器、蒸気タービン、及び発電機等、電力及び発電技術分野の当業者に既知の装置により変換され、少なくともおよそ500kWの電力が与えられる。実施例4の機器のうちの1つ又は複数を組み合わせてより大きな熱エネルギーを与えることにより、1台がオフラインになった場合のバックアップユニットを提供するようにしてもよく、このアセンブリは当業者に既知の熱変換機器と関連付け可能である。
【0125】
実施例4(e)
[00162]実施例4の方法及び機器を十分な磁界及び電圧で動作させることにより、少なくともおよそ0.1MMBtu/時の熱エネルギーを与える。この熱エネルギーは、熱交換器、蒸気タービン、及び発電機等、電力及び発電技術分野の当業者に既知の装置により変換され、少なくともおよそ10kWの電力が与えられる。実施例4の機器のうちの1つ又は複数を組み合わせてより大きな熱エネルギーを与えることにより、1台がオフラインになった場合のバックアップユニットを提供するようにしてもよく、このアセンブリは当業者に既知の熱変換機器と関連付け可能である。
【0126】
実施例5
[00163]
図10に示すように、制御核融合機器の一実施形態においては、電極(例えば1001)を用いることにより物質が方位角方向に加速されることによって、物質が回転している環状空間1003に局在的な電界(例えば1002)が生成される。電界は振動によって(磁気浮上式の鉄道車両が軌道中の磁界の振動によって駆動されるのと同等に)物質を意図する方向に加速させる。内側電極(環状空間1003の内表面)は支持部1005に搭載され、外側電極(環状空間1003の外表面)は支持部1004上にある。回転物質中にはいくつかのイオンが存在する。電界の結果としてニュートラル原子が直接的な力を受けることはないが、これはイオン−ニュートラル結合の原理によって、ニュートラルの駆動には比較的少数のイオンがあれば十分であるためである。このシステムでは軸方向の静磁界は不要である。
【0127】
実施例6
[00164]全体的に
図3の実施形態に示したような制御核融合機器は、動作によって、高エネルギーアルファ粒子及びヘリウムを生成する制御核融合反応を与える。この機器の第1の作業物質は水素である。この機器の第2の作業物質はリチウムである。制御核融合機器の内部構成要素に磁石が与える磁界は0.5テスラである。制御圧力チャンバはパージしている。パージ後、制御圧力チャンバ及び核融合空洞には、常温でおよそ3torrまで水素ガスを充填させる。電流制限抵抗を通しておよそ1.4kVの電圧を内側電極に印加することにより、およそ25Aのプラズマ電流が生成される。これにより、磁界及び電流が生成するローレンツ力によって、およそ800〜2,000RPSと考えられる初期又は予備回転が付与される。初期回転の確立後、外側及び内側電極間のおよそ400V〜1kVのパルスによって、最大およそ43kAのプラズマ電流が生成され、これにより、イオンのニュートラルに対する比率がおよそ1:100,000と考えられる弱イオン化プラズマが生成される。またこれにより、少なくともおよそ100,000RPSの回転が弱イオン化プラズマ(イオン及びニュートラル)に付与される。弱イオン化プラズマの回転はおよそ10ミリ秒間にわたって維持され、核融合反応が生じる。
【0128】
実施例7
[00165]
図11に示すように、制御核融合機器の一実施形態において、第2の作業物質は複数の固形物質から成る。1つの物質である元素としてのホウ素1101は、第2の物質である酸化バリウム1102との複合構造で配置されている。元素としてのホウ素は、水素−1とホウ素−11との反応(第1の作業物質は水素)に必要なホウ素源を与えるように選択されている。第2の作業物質は、クーロン障壁を低下させるとともに核融合の速度を増大させる強い電子遮蔽効果を生成するため、高効率の電子放出体であるのが望ましい。元素としてのホウ素は低効率の電子放出体であるが、酸化バリウムは高効率の電子放出体である。このように、複合材には各物質の利点又はより大きな利点を組み合わせる相乗効果がある。核融合反応物及び高効率の電子放出体の両方を含むように第2の作業物質を構成することによって、強い電子遮蔽効果が生成される。さらに、
図11に示す層状構造の他、例えばマイクロ構造、ナノ粒子、マトリクス、及び混合物を含む、この相乗効果を得るための異なる物質の他の構成が使用され得る。
【0129】
実施例8
[00166]制御核融合機器の一実施形態においては、動重力を利用して核磁気モーメントポテンシャルを増幅するイオンサイクロトロン共鳴器が制御核融合機器と関連付けられている。イオンサイクロトロン共鳴器は、2.45ギガヘルツ(GHz)の周波数で電磁放射を行うマイクロ波源を具備する。制御核融合機器に存在する磁界は、マイクロ波源が導入された点において、電子のサイクロトロン周波数がマイクロ波源の周波数と整合するように調節される。これにより、制御核融合機器中の電子が励起され、それぞれの磁力線周りの旋回半径が大きくなる。
【0130】
[00167]2.45GHzのマイクロ波信号に第2の周波数を重ねることによって、振幅変調、位相変調、又はその両方が生成される。これにより、励起電子が第2の周波数で多かれ少なかれ励起される。第2の周波数は、回転が誘導されている制御核融合機器の領域の第1の作業物質中に存在する水素−1イオンのイオンサイクロトロン周波数と整合するように選択されている。サイクロトロン周波数は以下により与えられる。
【数13】
ここで、qは粒子又はイオンの電荷の絶対値、Bは磁界強度、mは粒子又はイオンの質量である。qは電子及び水素−1イオンに等しいが、mは水素−1イオンの方が桁違いに大きいため、所与のB値において、水素−1のサイクロトロン周波数は電子のサイクロトロン周波数よりも桁違いに低い。本実施形態において、回転が誘導されている制御核融合機器の領域における水素−1イオンのサイクロトロン周波数は、約7.6メガヘルツ(MHz)と考えられる。この第2の周波数が電子によって水素−1に伝えられることにより水素−1が励起され、それぞれの磁力線周りの旋回半径が大きくなる。その結果水素−1の総角運動量も大きくなる。水素−1イオン及び原子の旋回方向が一致する傾向にあるため、核磁気モーメントポテンシャルは増幅される。
【0131】
実施例9
[00168]
図12には、制御核融合機器1200の一実施形態の斜視断面図を示している。本実施形態は
図2に示した実施形態に類似しているが、内側電極1202、外側電極1203、制御圧力チャンバ1205、及び磁石1206が円筒ではなく輪環体の形状である点が明らかに異なる。輪環体は開いた構成も可能であるし、閉じた構成も可能である。作動ガス入口ライン1201は、磁石1206及び制御圧力チャンバ1205を挿通して、内側電極1202と外側電極1203との間の環状空間に至っている。核融合チャンバ1207は磁石1206の磁界内に位置決めされている。核融合表面1208は制御圧力チャンバ1205と関連付けられている。
【0132】
実施例10
[00169]制御核融合機器の一実施形態においては、当該制御核融合機器を用いて物質を形成する。この形成は変成転換によって実現されるため、水素−1及びリチウム−6の核融合反応によりヘリウム−3及びヘリウム−4が生成される。ヘリウム−3は、中性子検出、医療用画像、及び低温学に用いられる極めて有益な同位体である。本実施形態においては、水素が第1の作業物質であり、フッ化リチウム(リチウムにリチウム−6を混入、すなわち天然存在度よりも高い割合のリチウム−6を含有)が第2の作業物質である。制御核融合機器の動作後、当該制御核融合機器からガスが除去される。このガスはヘリウム−3を含み、後で分離することによって、使用に適した高純度のヘリウム−3を得ることができる。
【0133】
実施例11
[00170]制御核融合機器の一実施形態において、当該制御核融合機器は
図2に示した実施形態に類似している。相違点は以下に説明するように、改良によってホウ素板による電子の放出を向上させることにより、電子遮蔽効果を強化していることである。外側電極1301の一部及びホウ素板1302の拡大図を
図13に示す。本実施形態においては、ホウ素板1302と正反対の外側電極1301の部分に加熱コイル1303を追加している。ホウ素板1302は、加熱時に優れた電子放出体となる六ホウ化ランタンで構成されている。
【0134】
[00171]加熱コイル1303は、制御核融合機器における回転の誘発前及び誘発中に直ちに稼働させることにより、熱が外側電極1301を通ってホウ素板1302に伝えられる。このホウ素板1302の加熱によって電子の放出が誘導され、加熱コイル1303を使用しなかった場合よりも結果的に電子雲の密度が高くなる。これにより電子遮蔽効果が高まって、クーロン障壁が低くなるとともに核融合の速度が高くなる。
【0135】
実施例12
[00172]制御核融合機器の一実施形態において、当該制御核融合機器は
図2に示した実施形態に類似している。相違点は以下に説明するように、改良によって電子遮蔽効果を向上させていることである。外側電極1401の内表面208の詳細図を
図14に示す。外側電極1401には、高効率の電子放出体であるカーボンナノチューブ1402が付着している。
【0136】
[00173]機器の動作中は、熱エネルギー、電磁放射、高エネルギー粒子、又は電界の存在によって、カーボンナノチューブ1402による電子の放出が誘導される。外側電極1401の内表面208が核融合表面であることから、電子放出は、核融合の集中が予想される領域に局在する。このことは電子遮蔽効果の生成又は向上にとって理想的であり、クーロン障壁が低くなるとともに核融合の速度が高くなる。
【0137】
実施例13
[00174]制御核融合機器の一実施形態において、当該制御核融合機器は
図3に示した実施形態に類似している。本実施形態において、第1の作業物質は(
図3の好適な実施形態における水素ガスの代わりに)ヘリウム−3ガスであり、第2の作業物質は一般的に「重水」と称する液体である酸化重水素で構成されている。ホウ素板305a、305bは不要であり、重水は外側電極304の内表面312に沿って配置されている。
【0138】
[00175]機器の動作中は、回転によって、外側電極304の内表面312全体に重水がリングを形成する。第1の作業物質中のヘリウム−3と第2の作業物質中の重水素との間の核融合反応によってエネルギーが放出されるが、このエネルギーを後で捕捉して、発電、加熱、又は他の有用な目的に使用可能である。
【0139】
実施例14
[00176]制御核融合機器の一実施形態において、クーロンポテンシャルを低減させるとともに核融合反応の断面を大きくする方法には、制御核融合システムの作動範囲に存在する電子を生成して制御する手段等、負の電位の導入、改良、増強、又は制御を含む。この方法及び効果を利用した制御核融合機器を
図16の模式図に示す。この機器において、制御核融合機器1600は、第1の作業物質1602及びこれと関連付けられた第2の作業物質1604を有する。また、制御核融合機器1600は、壁1606及び空洞1605を有するチャンバ1601を有する。チャンバ1601と、電子放出物質1603が関連付けられている。また、この機器と、物質1603からの電子放出を誘導するエネルギー源1607が関連付けられている。電子放出物質1603としては、窒化ホウ素、六ホウ化ランタン等の高効率の電子放出体が挙げられる。また、放出物質1603は、化合物、マトリクス、被膜、バルク材料、又は他の構成であってもよい。エネルギー源1607としては、光子、イオン、加速粒子、電界、磁界、熱、放射線、抵抗加熱等が挙げられるが、これらに限定されない。これにより、一例としては、加速粒子源が制御核融合機器1600と関連付けられ、粒子の一部又は全部が電子放出体1603へと向かっていてもよい。さらに、別の例としては、光子源が制御核融合機器1600と関連付けられ、粒子の一部又は全部が電子放出体1603へと向かっていてもよい。
【0140】
実施例15
[00177]制御核融合機器の一実施形態においては、イオンが不要であってもよい。これにより、本実施形態において、制御核融合機器はイオンを含まないのが好ましいが、いくつかのイオンの存在によってその利点が依然として得られるようになっていてもよい。そこで、回転源として光子圧力を利用した制御核融合機器を
図15に示す。制御核融合機器1500は、第1の作業物質1503及びこれと関連付けられた第2の作業物質1502を有する。また、制御核融合機器1500は、回転チャンバ壁1505及び空洞1506を有する回転チャンバ1501を有する。回転チャンバ1501と、光子源1504が関連付けられている。
【0141】
[00178]本実施例においては、光子源1504からの光子が第1の作業物質1503に衝突する。光子の物質との相互作用によって、作業物質1503に力が付与される。この力は実質的に、所定の方向を向くことができる。この「光子圧力」を用いることにより、第1の作業物質1503を実質的に方位角方向に加速させて、制御核融合に望ましい種類の回転を誘導可能である。光子源1504としては、単一の光子源、多数の光子源、又は単一の光子源からの多方向エネルギーが可能である。例えば、光子源のアレイを設け、所定の作業物質経路の接線方向に光子が向かうように機器1501の半径に沿って光子源を配置することにより、回転を誘導することができる。
【0142】
[00179]光子圧力により誘導された回転によって、機器壁1505及び第1の作業物質1503と第2の作業物質1502(これらは同じ物質でも可能である)との間に膨張圧が生成されることになる。この圧力によって、核融合事象の生成の誘導又は補助が可能である。
【0143】
[00180]また、システム中の光子によって、作業物質1502の空間電荷放出又は核融合機器1500と関連付けられた電子放出体の提供が可能である。
【0144】
[00181]さらに、イオンの存在に対する依拠又は実質的な依拠なく回転を誘導して制御核融合を実行可能な他の実施形態も考えられる。
【0145】
実施例16
[00182]制御核融合機器の一実施形態においては、クーロンポテンシャルによって、障壁を通る量子トンネリングが可能であってもよい。このトンネリングの確率は通常、原子核の相対エネルギーの関数として理解されており、エネルギーが高いほどトンネリングの確率も高くなる。ただし、ある「形状」のクーロンポテンシャルによって、共鳴と称する状態により相対的に低いエネルギーでトンネリングの向上が可能であってもよい。
図17は共鳴状態を示している。1701は入射原子核の波動関数、1702は系のクーロンポテンシャル、1703は減衰波動関数又は1701のエバネッセント波、1704はクーロン障壁を超えて存在する波動関数の部分である。
【0146】
[00183]クーロン障壁1702の形状及び1701のエネルギーによって波動関数の減衰部分である1703の形状が変化するため、1704の形状は、クーロン障壁及び系のエネルギーの両方の影響を受ける。特定のクーロン障壁及び核ポテンシャルの場合のあるエネルギーにおいて、波動関数はその「形状」によってクーロン障壁1702の最適な透過が可能となる共鳴状態となっていてもよい。この状態は、所与のトンネリング確率を実現するのに必要となるエネルギーよりも少ないエネルギーで生じるようになっていてもよい。
【0147】
[00184]
図18に示すように、この共鳴状態によって反応の断面が修正される。1801は、共鳴状態でない場合のエネルギーの関数としての反応の断面である。1802は共鳴ピークであって、質量中心基準枠でのあるエネルギーにおいて反応の断面が大きくなることが分かる。これにより、例えば、上述の方法及び機器を用いて、クーロンポテンシャルの他、反応系のエネルギーを制御することにより、トンネリングの共鳴状態を実現、制御、修正、又は誘導することができる。
【0148】
実施例17
[00185]制御核融合機器の一実施形態においては、様々な形状及び向きを利用するようにしてもよい。一例として、
図19は本明細書に記載の原理上で動作するマイクロ反応炉1900を示している。本実施形態において、回転源は電磁石であり、共鳴に基づいて動作する。この機器は、反応チャンバ1901、チャンバ壁1902、第1の作業物質1903、第2の作業物質1904、及び空洞1905を具備する。この空洞及びチャンバの形状が本実施形態において重要であり、ここでは一例として、特性寸法L 1906により表わしている。
【0149】
[00186]電磁放射はそれに関連した波長を有する。電磁放射源1907を設定することにより、波長及び特性寸法1906が特定の関係となるように選択可能である。この選択基準の結果としては、空洞1904に存在する共鳴波が可能である。具体的にこの波は、作業物質の一部又は追加として存在する荷電粒子との相互作用に際して、1つ又は複数の作業物質が実質的に方位角方向に加速されるように、方位角方向に回転するようになっていてもよい。
【0150】
[00187]本実施形態によれば、実に様々な反応炉寸法が可能であり、特性長がセンチメートルの規模の当技術分野における想定よりも小さな反応炉が挙げられるが、これに限定されない。
【0151】
[00188]いくつかの実施形態において、電磁放射源はマイクロ波発生器であってもよい。いくつかの実施形態においては、複数の放射源が存在していてもよい。いくつかの実施形態においては、所与の空洞内で複数の共鳴周波数が確立されていてもよい。さらには、共鳴周波数の動作中の調整又は調節によって最適な核融合状態を誘導する実施形態が想定される。
【0152】
実施例18
[00189]制御核融合機器の一実施形態において、当該制御核融合機器は
図3に示した実施形態に類似している。このため、
図20に示すように、内側電極2004を囲む絶縁体2003を貫通した光ファイバ2002にレーザ2001が追加及び接続されている。光ファイバ2002は、プレート2006a近傍の点2005で終端している。ファイバ2002の端部は、出射する光がプレート2006aに向かうように配向している。また、プレート2006aは光電子放出化合物を含む。
【0153】
[00190]レーザ2001がオンになると、プレート2006aに入射する光によって電子が放出され、レーザ2001を使用しなかった場合よりも結果的に電子雲の密度が高くなる。これにより電子遮蔽効果が高まって、クーロン障壁が低くなるとともに核融合の速度が高くなる。
【0154】
[00191]この機器は、燃焼材を含む第2のプレート2006b、ガス噴射入口2010、外側電極2007、圧力制御容器2008、及び磁石2009を有する。また、第2のファイバ及びビーム発生器を用いて、レーザビームをプレート2006bに向かわせることも可能である。
【0155】
実施例19
[00192]制御核融合機器の一実施形態において、当該制御核融合機器は
図3に示した実施形態に類似している。このため、
図21に示すように、ホウ素板305a及び305bを排除し、それらを、制御核融合機器を軸方向に貫通して内側電極2103と外側電極2104との間の環状空間に至る2つのワイヤ2101及び2102で置き換えるのが好ましく、内側電極が非絶縁状態2107となっている制御核融合機器の軸方向部分において、ホウ素被膜2105及び2106がワイヤ2101及び2102を覆っている。ホウ素被膜2105及び2106が外側電極2104の内表面2108から半径方向内方にある距離で配置されているため、核融合反応は、
図3に示した実施形態よりも半径方向内方の領域に集中する傾向となる。このことは、境界層の成長によって粒子速度が低下し得る外側電極2104の内表面2108に沿う場合よりも、ホウ素被膜2105及び2106の近傍において粒子のエネルギーが大きくなり得るため、好都合と考えられる。粒子エネルギーが高くなると、それに応じてトンネリングの速度も高くなり、核融合の速度も上昇する傾向にある。本実施形態では、制御圧力ハウジング2112及び磁石2113を有する。
【0156】
実施例20
[00193]
図22には、制御核融合機器及びエネルギー利用アセンブリを模式的に示している。この構成2200は、DC−AC電源2205、ガス入力ライン2204、電源ケーブル2206、及び絶縁カバー2203を有する放電棒2202を有する核融合機器2200である。放電棒2202は絶縁カバー2203を超えて、核融合機器内及びガス回転領域2220へと延びている。ガス回転領域2220内には、ホウ素ターゲット2217、2219及び制御アーム2210と機械的に関連付けられたホウ素ターゲット2218が存在する。核融合機器は、外側電極2201及び磁石2216を有する。本実施形態において、エネルギー利用アセンブリ2260は、核融合機器の圧力制御構造の内側且つ外側電極2201のすぐ外側に配置されるとともに、ガス回転領域2220に直接隣接している。また、核融合機器は、カメラ2209、真空ポンプ2207、及び弁2208を有する。また、本実施形態においては、サンプリング及び分析アセンブリも設けられている。このアセンブリは、弁2211、分析チャンバ2212、ポンプ2213、弁2214、及びRGA(残留ガス分析器)2215を有する。分析チャンバの圧力は10
−5torrであってもよい。
【0157】
[00194]本実施形態において、エネルギー利用アセンブリとしては、水、高圧水、液体ナトリウム、蒸気、又は当技術分野において既知の他の熱交換媒体等の作動流体を利用する熱交換器が可能である。熱交換器は、例えばジャケット、コイル、対向機構等、外側電極の内表面上、外側電極の壁内、又は外側電極の外表面に沿って位置決めされたチャンネルであってもよい。また、作動流体は荷電流体であってもよいし、電荷が付随していてもよく、機器内に存在する磁界及び電界を利用することによって、作動流体に駆動力を与えることにより、熱交換効率を容易に向上させる。
【0158】
[00195]さらに、本実施形態並びに本明細書に記載のその他の実施例及び図面の実施形態は一般的に、好ましくは制御装置及びコンピュータのシステムによって全部又は一部を動作可能であり、遠隔アクセスも可能な制御回路を有していてもよい。これにより、例えば制御システムは、分散制御ネットワーク、制御ネットワーク、又は大型のプラント及び設備を制御する当業者に既知の他の種類の制御システム、及び個々の装置、並びにこれらの組み合わせ及び変形であってもよい。さらに、より好適な実施形態において、この制御システムは、例えばSAP等の企業データシステムと統合されていてもよいし、或いは関連付けられていてもよい。制御システムは、核融合反応、熱エネルギー収集又は利用プロセス、及び電気エネルギー等の有用なエネルギー形態への変換に関するありとあらゆるパラメータを制御するようにしてもよい。制御システムは、熱生成と熱除去との間の事前に選択された所定のバランスを維持するのが好ましい。これにより、例えばこの事前に選択された所定のバランスを維持するため、制御システムは、例えば各パルス間の時間の延長又は短縮、プラズマ生成のために印加される電圧の変更、超伝導磁石と併せた調整可能な磁石による磁界の変更、及び反応物の密度の変更等、電気パルスの変調を行うようにしてもよい。
【0159】
[00196]また本実施形態は、内側電極と関連付けられた類似種類の熱交換装置を有していてもよい。さらに、これら様々な熱交換及び捕捉システムは、放電によってプラズマを生成する実施形態の他、制御核融合機器の他の実施形態と併せて利用可能であることが了解されるものとする。
【0160】
実施例21
[00197]
図23には、制御核融合機器及びエネルギー利用アセンブリを模式的に示している。この構成2300は、DC−AC電源2305、ガス入力ライン2304、電源ケーブル2306、及び絶縁カバー2303を有する放電棒2302を有する核融合機器2300である。放電棒2302は絶縁カバー2303を超えて、核融合機器内及びガス回転領域2320へと延びている。ガス回転領域2320内には、ホウ素ターゲット2317、2319及び制御アーム2310と機械的に関連付けられたホウ素ターゲット2318が存在する。核融合機器は、外側電極2301及び磁石2316を有する。本実施形態において、直接エネルギー変換アセンブリ2350等のエネルギー利用アセンブリは、核融合機器の圧力制御構造の内側且つ外側電極2301のすぐ外側に配置されるとともに、ガス回転領域2320から(下流側に)離れている。また、核融合機器は、カメラ2309、真空ポンプ2307、及び弁2308を有する。また本実施形態においては、サンプリング及び分析アセンブリも設けられている。このアセンブリは、弁2311、分析チャンバ2312、ポンプ2313、弁2314、及びRGA(残留ガス分析器)2315を有する。分析チャンバの圧力は10
−5torrであってもよい。
【0161】
[00198]本実施形態において、直接エネルギー変換アセンブリは、板状、棒状、円筒状、円筒の部分要素等の形状の金属等の電子駆動材料と、核融合反応により生成された高エネルギー荷電粒子の考え得る経路に隣接して位置決めされた導電性コイルとを具備していてもよいため、荷電粒子の捕集によって、電流の直接的な誘導が可能である。さらに、図示はしていないものの、このような機器は核融合反応領域又はチャンバの軸端に配置されていてもよい。例えば、アルファ粒子を生成する核融合反応を利用した実施形態において、アルファ粒子は、直接エネルギー変換アセンブリにおける物質のイオン化によってエネルギーを失い、電流を導く自由電子を生成する。他の実施形態において、荷電粒子は、電界、磁界、又は両方の組み合わせによってビームへと案内され、これにより直流が生成されるようになっていてもよい。
【0162】
[00199]制御核融合機器の別の実施形態において、直接エネルギー変換アセンブリは半導体PN接合のアレイを具備する。PN接合によって、電界が勾配した領域を生成する空乏層が生成される。核融合反応、電磁放射、又は両方において生成されるアルファ粒子等の荷電粒子は、半導体材料と相互作用して、電界勾配の近傍に電子−ホール対を生成する。電子及びイオンが空乏層の縁部に向かって加速されると、電流が生成される。
【0163】
[00200]制御核融合機器の別の実施形態において、直接エネルギー変換アセンブリは、高エネルギー荷電粒子を利用して電流を生成するアセンブリを具備する。例えば、上述の水素−ホウ素反応により生成されたアルファ粒子の場合は、核融合反応領域から、容易にイオン化可能な物質により分離された第1のプレート及び第2のプレートを有する領域へと案内されるようになっていてもよい。このように、案内されたアルファ粒子がこの容易にイオン化可能な物質を通過すると、電子及び陽イオンが生成される。そして電子が第1のプレートに移動し、陽イオンが第2のプレートに移動することによって、両プレートが電気的に接続された場合に電流を流す電位が生成される。例えば、第1のプレートはマグネシウム等の仕事関数が低い材料で構成され、第2のプレートは金等の仕事関数が高い材料で構成されていてもよく、容易にイオン化可能な物質はアルゴンガスであってもよい。さらに、イオン化可能な物質はゲル状であって、直接エネルギー変換領域に当該イオン化可能な物質を含むことが簡素化されるようになっていてもよい。また、第1のプレート、第2のプレート、及び容易にイオン化可能な物質は、アルファ衝突に耐えるとともに層間に電位を生成可能な固体の多層半導体構造として組み合わされていてもよい。別の実施形態において、制御核融合機器の軸は、イオン化可能な物質として機能するゲル又は液体を有するコンテナへとアルファ粒子が出射して下方に向かう開口を備えた垂直位置又は本質的な垂直位置に存在していてもよい。このように、容易にイオン化可能な物質の封じ込めは、制御核融合機器の低圧封じ込め領域に対して当該容易にイオン化可能な物質を隣接又は保持しつつ、アルファ粒子の透過が可能な膜等の部材を必要とすることなく実現可能である。
【0164】
実施例22
[00201]
図24Aは、放射源2401、第1の作業物質2404、放射ターゲット2403、第2の作業物質2402、及び空洞2405を備えた制御核融合機器2400を示している。放射線2401は、放射ターゲット2403に衝突して第1の作業物質2404を生成する。放射線は、レーザ、イオンビーム、パルス放射源等であってもよい。放射ターゲットは、金属箔、ポリマー等であってもよい。第1の作業物質は、プロトン、イオン等の望ましい反応物及び物質であってもよい。また、第1の作業物質は、第2の作業物質2402の方向に移動するようになっている。第1の作業物質のエネルギーは、1eV超、100eV超、1keV超、100keV超、1MeV超、又は10MeV超であってもよい。
【0165】
[00202]
図24Bは、第3の作業物質を追加した
図24Aの制御核融合機器を示している。制御核融合機器2400は、放射源2401、第1の作業物質2404、放射ターゲット2403、第2の作業物質2402、空洞2405、及び第3の作業物質2406を有する。放射線2401は、放射ターゲット2403に衝突して第1の作業物質2404を生成する。放射線は、レーザ、イオンビーム、パルス放射源等であってもよい。放射ターゲットは、金属箔、ポリマー等であってもよい。第1の作業物質は、プロトン、イオン等の望ましい反応物及び物質であってもよい。また、第1の作業物質は、第3の作業物質2406の方向に移動するようになっている。第1の作業物質の運動は、第2の作業物質2402の方向に移動するようになっている第3の作業物質と結合する。第1の作業物質のエネルギーは、1eV超、100eV超、1keV超、100keV超、1MeV超、又は10MeV超であってもよい。
【0166】
実施例23
[00203]制御核融合機器の一実施形態において、当該制御核融合機器は全体的に
図3に示したようなものである。このため、ワイヤ上に位置決めされた複数のホウ素構造体が内側電極と外側電極との間のホウ素化合物のホウ素シェルを構成していてもよい。
【0167】
実施例24
[00204]制御核融合機器の本実施形態は、相対的にコンパクト且つ小型とすることができる。これにより、サイズが問題となる多くの用途にこれらの機器を採用することができる。また、これら小さな機器をいくつか併用して、所要量の電力を供給することも可能である。これらの機器は、例えばおよそ小型冷蔵庫、ゴルフクラブのバッグ、スーツケース、数フィート×数フィート、例えば大型のコーヒー缶のサイズである1平方フィート以下のサイズ等、本質的に小型且つコンパクトにすることができる。
【0168】
[00205]そこで、
図25には、卓上制御核融合機器2500の一実施形態の斜視図を示している。機器2500はテーブル2501(2フィート×2フィート)に備え付けられている。また、機器2500はその軸端に2つの磁石ホルダー2503、2502を有する。各磁石ホルダーは磁石2509、2508を保持している。磁石ホルダー2503、2502間には回転ガスを封じ込めるアセンブリが存在し、このアセンブリはハウジング2510の軸端に取り付けられた2つの外側カバーフランジ2512、2511を有する。ハウジング2510及びフランジ2512、2511は、ガスが回転する空洞2506を形成している。ハウジング2510の内表面2507は核融合プロセスが主に生じる表面である。また、ハウジング2510は外側電極として機能する。内側電極2504は放電ヘッド2505を有する。また、このアセンブリは取り付け具2524及び2517により保持されている。各取り付け具は、それぞれ底部アーム2524a、2517a及び上部キャップ2524b、2517bを有する。ガス入口ライン2515が開口2515aを有し、ガス出口2516が出口開口(図示せず)を有する。ハウジング2510の周りを水が循環できるように、冷却水循環ライン、入口2514、出口2513が設けられている。
【0170】
実施例24a
[00207]実施例24の機器は、核融合物質の供給によって非中性子核融合を可能としており、電気自動車に給電するためのものである。
【0171】
実施例24b
[00208]
図25の実施形態は
図24の機器よりも大きく、物質供給によって中性子核融合及び中性子の生成を可能としている。この機器は医療機器で使用することにより、制御して的を絞った中性子ビームによる疾患の治療が可能である。
【0172】
実施例24c
[00209]
図25の実施形態は、小型で外径がおよそ6インチ未満であり、物質供給によって中性子核融合及び中性子の生成を可能としている。この機器は、石油及びガス探索用(例えば石油探鉱用)縦穴検層及び測定具(LWD、MWD、及びLMWDと称する場合が多い)に組み込まれている。機器により生成された中性子を分析目的で使用することにより、掘削孔に関連する形成の性質を評価する。この機器で中性子を生成するのに必要な電力はわずか(いくつかの実施形態においてはゼロ)であるため、特に、例えば10,000フィート超の非常に深い(すなわち長い)掘削孔の測定又は検層においては、縦穴に電気を伝送する際の大幅な電力損失を克服する必要がないため、非常に有益である。
【0173】
実施例25
[00210]本実施例の実施形態においては、マイクロ波源を使用することにより、ガス(弱イオン化ガス)の回転の始動を補助する。このように、マイクロ波源であれば、電流を用いてガスの初期の回転を得る場合よりも必要な電力が少なくて済むので、マイクロ波発生器を使用することによって、より良好(例えば、より効率的)なエネルギーバランスが可能となる。
【0174】
[00211]そこで、
図26には、卓上制御核融合機器2600の一実施形態の斜視図を示している。機器2600はテーブル2601(1フィート×2フィート)に備え付けられている。また、機器2600はその軸端に2つの磁石ホルダー2603、2602を有する。各磁石ホルダーは磁石2609、2608を保持している。磁石ホルダー2603、2602間には、回転ガスを封じ込めるアセンブリが存在し、このアセンブリは2つの外側カバーフランジ2612、2611を有する。フランジ2612はハウジング2610の軸端に取り付けられている。ハウジング2610の他端にはフランジ状のマイクロ波供給アセンブリ2650が取り付けられており、このアセンブリ2650にフランジ2611が取り付けられている。また、アセンブリ2650にはマイクロ波源2651が取り付けられている。ハウジング2510、アセンブリ2652、及びフランジ2612、2611は、ガスが回転する空洞を形成している。ハウジング2610の内表面は核融合プロセスが主に生じる表面である。また、ハウジング2610は外側電極として機能する。内側電極2604は放電ヘッドを有する。また、このアセンブリは取り付け具2624及び2617により保持されている。各取り付け具は、それぞれ底部アーム2624a、2617a及び上部キャップ2624b、2617bを有する。ガス入口ライン2615が開口2615aを有し、ガス出口2616が出口開口(図示せず)を有する。ハウジング2610の周りを水が循環できるように、冷却水循環ライン、入口2614、出口2613が設けられている。
【0175】
実施例26
[00212]全体的に
図3に示したような機器を用いて、核融合相互作用を実行した。
図27は、ガスを回転させるために機器に印加した電流及び電圧を示している。これにより、線2702は電極の経時的(ms)な電圧を示している。また、線2701は、経時的なパルス電流(アンペア)を示している。これら2つの線は、CW電圧とパルス中の電流との関係を示している。
図27のグラフ上の点(A)は
図27Aに対応し、
図27のグラフ上の点(B)は
図27Bに対応し、
図27のグラフ上の点(C)は
図27Cに対応し、
図27のグラフ上の点(D)は
図27Dに対応し、
図27のグラフ上の点(E)は
図27Eに対応し、
図27のグラフ上の点(F)は
図27Fに対応している。
【0176】
[00213]
図27A〜
図27Fは、核融合機器の回転ガス空洞内で撮った写真を模式的に示している。
図27Aは反応が起こっておらず、弱イオン化ガスが印加電圧によって回転し、パルスの印加が始まったばかりの状態を示している。
図27Bは核融合生成物の形成が始まった状態を示しており、点C及び点Dを通ってパルスが大きくなるにつれ、核融合反応生成物も増えている。例えば電流の低下等によってパルスが停止しても(点E及び点F)、核融合反応及び核融合生成物の生成は続いている。
【0177】
実施例27
[00214]全体的に
図3に示したような機器を用いて、核融合相互作用を実行した。
図28は、時間10.7msにおいて、587.5nm(±2.5nm FWHW)を中心とするフィルタを用いて観測したHe lニュートラルの放出2801を図解表示したものであり、ガスを回転させるために機器に印加した電流及び電圧を示している。
【0178】
実施例28
[00215]全体的に
図3に示したような機器を用いて、核融合相互作用を実行した。
図29は、時間10.7msにおいて、587.5nm(±2.5nm FWHW)を中心とするフィルタを用いて観測したHe lニュートラルの放出を図解表示したものである。核融合生成物及び弱イオン化ガス2901は、2.52×10
6m/sで計算したものであり、核融合生成物及び弱イオン化ガス2902は、1.63×10
6m/sで計算したものであり、核融合生成物及び弱イオン化ガス2903は、1.15×10
6m/sで計算したものであり、核融合生成物及び弱イオン化ガス2904は、9.95×10
5m/sで計算したものである。
【0179】
実施例29
[00216]
図30及び
図31は、ホウ素ターゲットを用いた場合及びホウ素ターゲットを用いていない場合のHe放出の強度を示している。
【0180】
[00217]エネルギー蓄積及び生成機器の有効性及び有用性は、比エネルギー及び比出力の観点で論じることが多い。同時に高い比エネルギー及び高い比出力を併せ持つことが非常に望ましい。また、所定の比エネルギー及び比出力を有するのが望ましい場合がある。
【0181】
[00218]比エネルギーは通常J/kg又はJ/L(容積測定)で測定される。一方、比出力は通常W/kg又はW/Lで測定される。これらの値は、所与のサイズの系の総エネルギー生成量及びエネルギー生成率を示す。
【0182】
[00219]比エネルギーの代表的な値は、スーパーキャパシタの場合の10
−8J/kgから圧縮水素の場合の10
8J/kg(10
6J/L)まで変化する。比出力の代表的な値は1W/kgから10
4W/kgまで変化する。ただし、本発明に至るまでは、一定レベルを超える比エネルギー及び出力(又はその組み合わせ)は許容できないものであった。さらに、例えばロケットエンジンは、比較的高い比出力を有し得るが、サイズの縮小又は拡大は容易ではない。したがって、ここでは制御核融合機器が下表に応じた比出力及び比エネルギーを有し得ることが想定される。
【0184】
実施例30
[00221]本実施形態において、機器における弱イオン化プラズマの回転は、波動及び粒子捕獲によって得られる。一般的に、機器においては内壁の近傍、好ましくは内壁に直接隣接して円形の電磁波が誘導される。イオン化粒子はこの円形波に結合し、機器の周りを移動することによって中性粒子を運ぶ。このように、機器における弱イオン化プラズマの高速回転は、磁界を必要とすることなく実現可能である。したがって、陽イオン、陰イオン、及び中性分子(ニュートラル)から成る3成分プラズマ系における非線形波動及び粒子捕獲及びイオン−ニュートラル結合の基本原理として理論化されているものを用いることにより、粒子の核融合相互作用に必要な条件が得られる。その結果としての集団現象は、各部分を合わせたものよりもはるかに豊富且つ多様である。通常、不安定なイオンは安定に保たれ、また逆帯電した粒子は波動ポテンシャルトラフにおいて分離した状態に保たれ、空間電荷の制約なく、非常に高い全体密度が得られる。ニュートラルとイオンとの間の衝突によって、電磁界による高密度媒体の制御が可能となる。これらの現象は、気体及び液体の両方に当てはまる。
【0185】
[00222]波動は粒子の集団運動の現れであり、エネルギー及び運動量を有する。粒子として波束を励起し、好ましい方向に向かわせることができる。陰イオン及び陽イオンとの波動の併用については、特にイオン及び中性分子が様々な濃度で共存する形態において、十分に研究されていない。
【0186】
[00223]位相速度が厳密に揃った進行電波は、陽イオン、陰イオン、及びニュートラルを高い速度まで加速することができる。1.5秒間すなわち9×10
6周期にわたって、100V 6MHzの電波を用いることにより、ニュートラルは9000メートル毎秒を超えて加速する。陰イオン及び陽イオンの速度はそれぞれ、ある領域において負の大きな値を有しているように見えるが、これらの領域はこれらイオンの最も低い密度に対応していることに留意することが重要である。同様に、陰イオン、陽イオン、及びニュートラルの正の速度が最も高い領域は、粒子密度が最も高い領域に相関している。これにより、陰イオン、陽イオン、及びニュートラルの正味の運動量はそれぞれ前進方向である。これらのシミュレーションから、従来の理論に基づいて、ニュートラルはイオンと結合された場合に電波によって加速可能であり、陰イオン及び陽イオンは、ニュートラルと結合された場合に分離した状態に保たれ、ポテンシャル井戸及びトラフを用いることにより、陰イオン及び陽イオンの一群を交互に加速可能であることが立証される。
【0187】
[00224]上記実施例は、可能性空間の実例となるように意図したものである。また、比エネルギー及び比出力を計算する境界は、系の種類に応じて変更可能であることが了解されるものとする。
【0188】
[00225]エネルギー利用アセンブリ及び直接エネルギー変換アセンブリの種々実施形態は、個別又は一体として、様々な制御核融合機器に対する使用又は様々な制御核融合機器に関連した使用が可能である。これにより、例えば、機器の全体的なエネルギー変換効率を向上させるとともに、機器の構成要素を熱損傷から保護するため、直接エネルギー変換アセンブリにエネルギー利用アセンブリが付随していてもよい。同様にエネルギー利用アセンブリは、それぞれの表面に直接エネルギー変換アセンブリを有しているのが好ましい。このように、制御核融合機器における伝熱又は高エネルギー粒子捕獲の使用可能なすべての表面及び領域が利用されるようになっているのが好ましい。
【0189】
[00226]本明細書に記載の機器、方法、及びシステムの種々実施形態は、物質の形成等、様々な運用、他のエネルギー生成に使用するようにしてもよい。また、これらの実施形態は、例えば将来的に開発可能なシステム及び運用並びに本明細書の教示内容に基づいて一部を改良可能な既存のシステム及び運用に使用するようにしてもよい。さらに、本明細書に記載の種々実施形態は、全部又は一部を種々異なる組み合わせで互いに併用するようにしてもよい。これにより、例えば、本明細書の種々実施形態に示した構成を互いに併用するようにしてもよく、本発明が与える保護の範囲は、特定の実施形態、実施例、又は特定の図面の実施形態に記載の特定の実施形態、構成、又は配置に制限されることがないものとする。
【0190】
[00227]本発明は、その主旨又は本質的な特性から逸脱することなく、本明細書の具体的な開示以外の形態にて実施可能である。上記実施形態は、あらゆる点で一例に過ぎず、何ら限定的なものではないと考えるべきである。
本明細書は以下の実施形態を開示する。
(実施形態1)
物質の制御核融合反応のためのシステムであって、
a.内表面及び外表面を備える第1のハウジングであり、前記内表面が空洞を規定した、第1のハウジングと、
b.前記空洞内に配置された内側ハウジングであり、前記内側ハウジングが内表面を有し、前記内表面が回転空洞を規定した、内側ハウジングと、
c.前記回転空洞内に配置された弱イオン化プラズマを形成する第1の物質と、
d.前記回転空洞と関連付けられた第2の物質と、
e.イオン化装置であり、前記イオン化装置が前記第1の物質と動作可能に関連付けられることによって、前記第1の物質の成分をイオン化することによりプラズマを生成可能なイオン化装置と、
f.前記イオン化装置、前記第1のハウジング、及び前記回転チャンバと動作可能に関連付けられることにより、前記回転チャンバにおいて前記プラズマを高速で回転可能な回転誘導アセンブリと、
g.前記プラズマの高速回転中に前記第1の物質及び前記第2の物質の前記核融合反応を提供するように構成された前記回転チャンバと、
を具備した、システム。
(実施形態2)
前記核融合反応が、非中性子性である、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態3)
前記核融合反応が、中性子性である、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態4)
前記第1の物質が、水素を含む、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態5)
前記第1の物質が、水素を含む、実施形態2に記載のシステム。
(実施形態6)
前記第1の物質が、水素を含む、実施形態3に記載のシステム。
(実施形態7)
前記第1の物質が、水素、重水素、三重水素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン、窒素、及び酸素から成る群から選択される物質を含む、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態8)
前記第1の物質が、水素、重水素、三重水素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン、窒素、及び酸素から成る群から選択される物質を含む、実施形態2に記載のシステム。
(実施形態9)
前記第1の物質が、水素、重水素、三重水素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン、窒素、及び酸素から成る群から選択される物質を含む、実施形態3に記載のシステム。
(実施形態10)
前記第1の物質が、気化した固体を含む、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態11)
前記第1の物質が、気化した固体を含む、実施形態2に記載のシステム。
(実施形態12)
前記第1の物質が、気化した固体を含む、実施形態3に記載のシステム。
(実施形態13)
前記第1の物質が、水素、ヘリウム、アルゴン、及び気化した固体から成る群から選択される物質を含む、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態14)
前記第2の物質が、ホウ素を含む、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態15)
前記第2の物質が、ホウ素を含む、実施形態2に記載のシステム。
(実施形態16)
前記第2の物質が、ホウ素を含む、実施形態7に記載のシステム。
(実施形態17)
前記第2の物質が、ホウ素を含む、実施形態8に記載のシステム。
(実施形態18)
前記第2の物質が、ホウ素を含む、実施形態9に記載のシステム。
(実施形態19)
前記第2の物質が、ホウ素−11を含む、実施形態14に記載のシステム。
(実施形態20)
前記第2の物質が、リチウムを含む、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態21)
前記第2の物質が、リチウム−6を含む、実施形態20に記載のシステム。
(実施形態22)
前記第1の物質が、水素−1を含む、実施形態4に記載のシステム。
(実施形態23)
前記第2の物質が、窒化ホウ素及び六ホウ化ランタンから成る群から選択される物質を含む、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態24)
前記第2の物質が、窒化ホウ素及び六ホウ化ランタンから成る群から選択される物質を含む、実施形態2に記載のシステム。
(実施形態25)
前記第2の物質が、窒化ホウ素及び六ホウ化ランタンから成る群から選択される物質を含む、実施形態4に記載のシステム。
(実施形態26)
前記第1の物質及び前記第2の物質が、窒化ホウ素、六ホウ化ランタン、水素、重水素、三重水素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン、窒素、酸素、気化した固体、水素−1、ホウ素−11、リチウム−6、リチウム−7、ヘリウム−3、リチウム−6、及び窒素−15から成る群から選択される物質を含む、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態27)
前記第1の物質が、良好な電子放出体を含む、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態28)
前記第1の物質が、良好な電子放出体を含む、実施形態2に記載のシステム。
(実施形態29)
前記第1の物質が、良好な電子放出体を含む、実施形態3に記載のシステム。
(実施形態30)
前記回転誘導アセンブリが、磁石を備えた、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態31)
前記回転誘導アセンブリが、磁石を備えた、実施形態2に記載のシステム。
(実施形態32)
前記回転誘導アセンブリが、磁石を備えた、実施形態3に記載のシステム。
(実施形態33)
前記回転誘導アセンブリが、磁石を備えた、実施形態5に記載のシステム。
(実施形態34)
前記回転誘導アセンブリが、磁石を備えた、実施形態7に記載のシステム。
(実施形態35)
前記回転誘導アセンブリが、磁石を備えた、実施形態10に記載のシステム。
(実施形態36)
前記回転誘導アセンブリが、磁石を備えた、実施形態14に記載のシステム。
(実施形態37)
前記回転誘導アセンブリが、磁石を備えた、実施形態20に記載のシステム。
(実施形態38)
前記回転誘導アセンブリが、磁石を備えた、実施形態24に記載のシステム。
(実施形態39)
前記回転誘導アセンブリが、磁石を備えた、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態40)
前記磁石が、超伝導磁石を含む、実施形態30に記載のシステム。
(実施形態41)
前記磁石が、永久磁石を含む、実施形態30に記載のシステム。
(実施形態42)
前記磁石が、少なくともおよそ0.5テスラの磁界を生成する能力を有する、実施形態30に記載のシステム。
(実施形態43)
前記磁石が、少なくともおよそ1テスラの磁界を生成する能力を有する、実施形態30に記載のシステム。
(実施形態44)
前記磁石が、少なくともおよそ2テスラの磁界を生成する能力を有する、実施形態30に記載のシステム。
(実施形態45)
前記回転誘導アセンブリが、超伝導磁石、永久磁石、電磁石、高周波源、マイクロ波源、レーザ、及びイオン銃から成る群から選択される機器を備えた、実施形態1〜9のいずれか一項に記載のシステム。
(実施形態46)
核融合反応を誘導及び制御する機器であって、
回転器に対して動作可能に結合された回転チャンバと、
前記回転チャンバと関連付けられ、第1の作業物質を前記回転チャンバに導入するように構成された第1の反応物取り扱い機構であり、前記第1の作業物質が第1の核融合反応物を含む、第1の反応物取り扱い機構と、
前記回転チャンバと関連付けられ、第2の作業物質を前記回転チャンバ内で位置決めするように構成された第2の反応物取り扱い機構であり、前記第2の作業物質が第2の核融合反応物を含む、第2の反応物取り扱い機構と、
前記回転チャンバに対して動作可能に結合され、少なくとも前記第1の作業物質のイオン化を誘導して弱イオン化プラズマを生成するように構成されたプラズマ生成器と、
を備え、
前記回転器が、前記第1の核融合反応物と前記第2の核融合反応物との間で核融合反応が生じるように、前記回転チャンバ内において少なくとも前記第1の作業物質を含む前記弱イオン化プラズマの急速回転を誘導するように構成された、機器。
(実施形態47)
前記回転器が、
前記回転チャンバを通って延びる磁界を生成するように構成された磁界発生器と、
前記磁界と実質的に垂直な方向に前記回転チャンバを通って延びる電界に沿って少なくとも最初は移動するとともに、前記磁界によるローレンツ力を受けるように前記弱イオン化プラズマ中のイオンが誘導されるように、前記電界を生成するように構成された電界発生器と、
を備えた、実施形態46に記載の機器。
(実施形態48)
前記磁界発生器が、少なくとも1つの電磁石を備えた、実施形態47に記載の機器。
(実施形態49)
前記少なくとも1つの電磁石が、超伝導性である、実施形態48に記載の機器。
(実施形態50)
前記磁界発生器が、少なくとも1つの永久磁石を備えた、実施形態47に記載の機器。
(実施形態51)
前記少なくとも1つの永久磁石が、希土類磁石である、実施形態50に記載の機器。
(実施形態52)
前記磁界発生器が、0.5〜2テスラの磁界強度を前記回転チャンバ中に生成するように構成された、実施形態47に記載の機器。
(実施形態53)
前記磁界発生器が、およそ50,000〜100,000回転毎秒の前記弱イオン化プラズマの平均回転速度を誘導するのに十分な強度の磁界を前記回転チャンバ中に生成するように構成された、実施形態47に記載の機器。
(実施形態54)
前記磁界発生器が、およそ100,000回転毎秒より大きな前記弱イオン化プラズマの平均回転速度を誘導するのに十分な強度の磁界を前記回転チャンバ中に生成するように構成された、実施形態47に記載の機器。
(実施形態55)
前記回転チャンバが、略円筒状であり、前記回転チャンバの対称軸が前記磁界と実質的に平行となるように配向するように構成された、実施形態47に記載の機器。
(実施形態56)
前記電界発生器が、
前記回転チャンバの前記対称軸に実質的に沿って位置決めされた中心電極と、
実質的に円筒形状を有し、前記中心電極と同軸に位置決めされた外側電極と、
前記中心電極と前記外側電極との間に電圧を供給して、前記回転チャンバ内で実質的に半径方向に延びる電界を生成するように構成された電源と、
を備えた、実施形態55に記載の機器。
(実施形態57)
前記電源が、実質的に連続波(CW)の電圧を与えるように構成された電力機器を具備した、実施形態56に記載の機器。
(実施形態58)
前記電源が、1つ又は複数の電圧パルスを与えるように構成された電力機器を具備した、実施形態56に記載の機器。
(実施形態59)
前記電源が、少なくとも1つのエネルギー蓄積キャパシタを具備した、実施形態56に記載の機器。
(実施形態60)
前記回転チャンバが、定在電磁波を支持するようにさらに構成され、
前記回転器が、
前記回転チャンバ内に回転定在波が発生するように、電磁波を前記回転チャンバに印加するように構成された高周波供給装置を備え、
前記回転定在波が、前記回転チャンバ中の前記弱イオン化プラズマを回転させるように構成された、実施形態46に記載の機器。
(実施形態61)
前記回転器が、前記高周波供給装置に印加される前記電磁波に変調を適用して、前記弱イオン化プラズマの回転を促進するように構成された変調器をさらに具備した、実施形態60に記載の機器。
(実施形態62)
前記変調器が、およそ1kHz〜200kHzの振幅変調を適用するように構成された、実施形態60に記載の機器。
(実施形態63)
前記変調器が、およそ1kHz〜200kHzの位相変調を適用するように構成された、実施形態60に記載の機器。
(実施形態64)
前記変調器が、調節可能な変調周波数を適用するように構成された、実施形態60に記載の機器。
(実施形態65)
前記回転器が、前記回転チャンバに対して動作可能に結合された光子源を備え、前記光子源が、少なくとも前記第1の作業物質への照射によって、前記第1の作業物質を前記回転チャンバ内で回転させるのに十分な光子圧力を生成するように構成された、実施形態46に記載の機器。
(実施形態66)
前記光子源が、レーザを備えた、実施形態65に記載の機器。
(実施形態67)
前記光子源を前記第1の作業物質へと案内する少なくとも1つの光ファイバをさらに備えた、実施形態65に記載の機器。
(実施形態68)
前記プラズマ生成器が、
前記第1の作業物質と動作可能に関連付けられた第1の電極と、
前記第1の作業物質と動作可能に関連付けられた第2の電極と、
前記第1の作業物質の一部をイオン化させるのに十分な電圧を前記第1の電極と前記第2の電極との間に印加するように構成された電源と、
を備えた、実施形態46に記載の機器。
(実施形態69)
前記プラズマ生成器が、
磁界を前記回転チャンバ内に印加するように構成された磁界発生器と、
前記第1の作業物質と動作可能に関連付けられ、電磁信号を前記回転チャンバに導入するように構成された高周波供給装置と、
を備え、
前記電磁信号の周波数が、前記電磁界から前記第1の作業物質への共鳴エネルギー移動によって前記第1の作業物質の少なくとも一部がイオン化されるように、前記磁界の存在下での前記第1の作業物質のシンクロトロン周波数に対応するように選択される、実施形態46に記載の機器。
(実施形態70)
前記高周波供給装置が、導波管である、実施形態69に記載の機器。
(実施形態71)
前記第1の反応物取り扱い機構が、前記第1の作業物質を前記回転チャンバに注入するように構成された入口弁アセンブリを備えた、実施形態46に記載の機器。
(実施形態72)
前記第2の反応物取り扱い機構が、前記第2の作業物質を前記回転チャンバに注入するように構成された入口弁アセンブリを備えた、実施形態46に記載の機器。
(実施形態73)
前記第2の反応物取り扱い機構が、前記第2の作業物質を前記回転チャンバ内に位置決めするように構成された搭載アセンブリを備えた、実施形態46に記載の機器。
(実施形態74)
前記搭載アセンブリが、前記回転チャンバ内で実質的に固定されたアセンブリをさらに備えた、実施形態73に記載の機器。
(実施形態75)
前記搭載アセンブリが、前記第2の作業物質の前記回転チャンバへの挿入及び前記回転チャンバからの取り出しを行うように構成された可動棒をさらに備えた、実施形態73に記載の機器。
(実施形態76)
前記第1の核融合反応物が、水素−1である、実施形態46に記載の機器。
(実施形態77)
前記第1の作業物質が、水素である、実施形態46に記載の機器。
(実施形態78)
前記第1の作業物質が、希ガスを含む、実施形態46に記載の機器。
(実施形態79)
前記希ガスが、前記第1の核融合反応物の担体である、実施形態78に記載の機器。
(実施形態80)
前記第2の核融合反応物が、ホウ素−11である、実施形態46に記載の機器。
(実施形態81)
前記第2の作業物質が、窒化ホウ素及び六ホウ化ランタンの一方である、実施形態80に記載の機器。
(実施形態82)
前記第1の核融合反応物が、水素−1、重水素、三重水素、ヘリウム−3、リチウム−6、リチウム−7、ホウ素−11、及び窒素−15から成る群から選択される、実施形態46に記載の機器。
(実施形態83)
前記第2の核融合反応物が、水素−1、重水素、三重水素、ヘリウム−3、リチウム−6、リチウム−7、ホウ素−11、及び窒素−15から成る群から選択される、実施形態46に記載の機器。
(実施形態84)
前記第1の核融合反応物及び前記第2の核融合反応物が、同じ種類の原子核を含む、実施形態46に記載の機器。
(実施形態85)
前記第1の核融合反応物及び前記第2の核融合反応物が、異なる種類の原子核を含む、実施形態46に記載の機器。
(実施形態86)
前記第1の核融合反応物及び前記第2の核融合反応物の少なくとも一方が、高効率の電子放出体である物質を含む、実施形態46に記載の機器。
(実施形態87)
前記回転チャンバが、銅を含む構造を備えた、実施形態46に記載の機器。
(実施形態88)
前記回転チャンバが、銅、ステンレス鋼、銀、金属メッキ、セラミック、複合材、プラスチック、金属、半金属、有機物、酸化物、ガラス、ポリマー材料、合金、及びグラファイトから成る群から選択される1つ又は複数の材料で作製された構造を備えた、実施形態46に記載の機器。
(実施形態89)
前記回転チャンバ及び前記回転器が、イオンのニュートラルに対する比率が1〜およそ100超である弱イオン化プラズマと関連して動作するように構成された、実施形態46に記載の機器。
(実施形態90)
前記回転チャンバ及び前記回転器が、イオンのニュートラルに対する比率が1〜およそ1000超である弱イオン化プラズマと関連して動作するように構成された、実施形態46に記載の機器。
(実施形態91)
前記回転チャンバ及び前記回転器が、イオンのニュートラルに対する比率が1〜およそ10000超である弱イオン化プラズマと関連して動作するように構成された、実施形態46に記載の機器。
(実施形態92)
前記回転器が、前記回転チャンバの領域における前記弱イオン化プラズマの粒子密度が少なくとも1017個毎立方センチメートルに達するように、回転速度を誘導するように構成された、実施形態46に記載の機器。
(実施形態93)
前記回転器が、前記回転チャンバの領域における前記弱イオン化プラズマの粒子密度が少なくとも1018個毎立方センチメートルに達するように、回転速度を誘導するように構成された、実施形態46に記載の機器。
(実施形態94)
前記回転器が、核融合が生じる領域において前記第1の作業物質及び前記第2の作業物質の粒子密度が合わせて1022個毎立方センチメートル超に達するように、回転速度を誘導するように構成された、実施形態46に記載の機器。
(実施形態95)
前記回転器が、核融合が生じる領域において前記第1の作業物質及び前記第2の作業物質の粒子密度が合わせて1023個毎立方センチメートル超に達するように、回転速度を誘導するように構成された、実施形態46に記載の機器。
(実施形態96)
前記回転チャンバに対して動作可能に結合されたエネルギー利用アセンブリをさらに備え、前記エネルギー利用アセンブリが、核融合により生成されたエネルギーを前記回転チャンバに隣接する領域から取り出すように構成された、実施形態46に記載の機器。
(実施形態97)
前記エネルギー利用アセンブリが、前記回転チャンバに対して熱的に結合された熱交換器を備えた、実施形態96に記載の機器。
(実施形態98)
前記熱交換器が、前記回転チャンバを少なくとも部分的に囲むシュラウドとして構成された、実施形態97に記載の機器。
(実施形態99)
前記熱交換器が、前記回転チャンバと熱的に接触し、熱エネルギーを運ぶ作動流体を搬送するコイルを具備するように構成された、実施形態97に記載の機器。
(実施形態100)
前記作動流体が、水、高圧水、蒸気、及び液体ナトリウムから成る群から選択される、実施形態99に記載の熱交換器。
(実施形態101)
前記回転チャンバの近傍に位置決めされ、前記核融合反応において生成された粒子を減速及び捕集するように構成された物質を前記エネルギー利用アセンブリが備えた、実施形態96に記載の機器。
(実施形態102)
前記回転チャンバの近傍に位置決めされ、粒子を減速及び捕集するように構成された前記物質が、前記回転チャンバの近傍に位置決めされた前記物質から熱を除去するように構成された熱交換器にさらに結合された、実施形態101に記載の機器。
(実施形態103)
前記核融合反応において生成された荷電粒子からエネルギーを抽出し、前記エネルギーを電流に変換するように構成された直接エネルギー変換アセンブリをさらに備えた、実施形態46に記載の機器。
(実施形態104)
前記核融合反応において生成された荷電粒子がPN接合に衝突して電子−ホール対を生成することにより電流を誘導するように、前記回転チャンバに隣接して位置決めされた半導体PN接合のアレイをさらに備えた、実施形態103に記載の直接エネルギー変換アセンブリ。
(実施形態105)
仕事関数が低い第1の電極と仕事関数が高い第2の電極との間に配設された作業物質をさらに備え、荷電粒子が前記作業物質に衝突して電子−ホール対を生成することにより前記第1の電極及び前記第2の電極から電流を誘導するように、前記作業物質が、前記回転チャンバに隣接して配置された、実施形態103に記載の直接エネルギー変換アセンブリ。
(実施形態106)
前記作業物質が、希ガスである、実施形態105に記載の直接エネルギー変換アセンブリ。
(実施形態107)
前記作業物質が、ゲルである、実施形態105に記載の直接エネルギー変換アセンブリ。
(実施形態108)
前記作業物質が、液体である、実施形態105に記載の直接エネルギー変換アセンブリ。
(実施形態109)
前記液体作業物質が、配管システムを通して循環可能である、実施形態108に記載の直接エネルギー変換アセンブリ。
(実施形態110)
仕事関数が低い前記第1の電極が、マグネシウムで作製された、実施形態105に記載の直接エネルギー変換アセンブリ。
(実施形態111)
仕事関数が高い前記第2の電極が、金で作製された、実施形態105に記載の直接エネルギー変換アセンブリ。
(実施形態112)
回転チャンバにおいて、第1の作業物質中の第1の反応物と第2の作業物質中の第2の反応物との間で制御核融合を実現する方法であって、
前記第1の作業物質を軽くイオン化して、複数のイオンを生成するステップと、
イオン−ニュートラル結合によって、前記回転チャンバ内で前記第1の作業物質の急速回転を誘導するステップと、
前記第1の反応物及び前記第2の反応物の核融合を誘導するのに前記第1の作業物質の速度が十分に高い前記回転チャンバの領域に前記第1の反応物及び前記第2の反応物の両方を取り込むステップと、
を含む、制御核融合を実現する方法。
(実施形態113)
前記第1の作業物質の急速回転を誘導する前記ステップが、
軸の周りに生じることを意図された前記急速回転の前記軸に沿って、前記回転チャンバを通って延びる磁界を規定するステップと、
前記軸の周りに生じることを意図された前記急速回転の前記軸から半径方向外方に延びる電界を規定するステップであって、前記第1の作業物質の回転が実現されるように、前記複数のイオンが、前記電界により加速されるとともに、前記磁界によるローレンツ力を受けるステップと、
をさらに含む、実施形態112に記載の制御核融合を実現する方法。
(実施形態114)
前記第1の作業物質の急速回転を誘導する前記ステップが、前記磁界と実質的に垂直な方向に、前記軽くイオン化された第1の作業物質を通して電流パルスを印加するステップをさらに含む、実施形態113に記載の制御核融合を実現する方法。
(実施形態115)
空間電荷効果の作用によって前記核融合反応の断面が大きくなるように、高効率の電子放出体である前記第1の作業物質及び前記第2の作業物質の少なくとも一方を用意するステップをさらに含む、実施形態112に記載の制御核融合を実現する方法。
(実施形態116)
水素−1、重水素、三重水素、ヘリウム−3、リチウム−6、リチウム−7、ホウ素−11、及び窒素−15から成る群から選択される第1の反応物を含む第1の作業物質を用意するステップをさらに含む、実施形態112に記載の制御核融合を実現する方法。
(実施形態117)
水素−1、重水素、三重水素、ヘリウム−3、リチウム−6、リチウム−7、ホウ素−11、及び窒素−15から成る群から選択される第2の反応物を含む第2の作業物質を用意するステップをさらに含む、実施形態112に記載の制御核融合を実現する方法。
(実施形態118)
物質の制御核融合反応のためのシステムであって、
a.内表面及び外表面を備える第1のハウジングであり、前記内表面が空洞を規定した、第1のハウジングと、
b.前記空洞内に配置された内側ハウジングであり、前記内側ハウジングが内表面を備え、前記内表面が回転空洞を規定した、内側ハウジングと、
c.前記回転空洞内に配置された弱イオン化プラズマを形成する第1の物質と、
d.前記回転空洞と関連付けられた第2の物質と、
e.イオン化装置であり、前記イオン化装置が前記第1の物質と動作可能に関連付けられることによって、前記第1の物質の成分をイオン化することによりプラズマを生成可能なイオン化装置と、
f.回転誘導アセンブリであり、前記回転誘導アセンブリが、前記イオン化装置、前記第1のハウジング、及び前記回転チャンバと動作可能に関連付けられることにより、前記回転チャンバにおいて前記プラズマを高速で回転可能であるとともに、前記第2の物質を解離可能な回転誘導アセンブリと、
g.前記プラズマの高速回転中に前記第1の物質及び前記第2の物質の前記核融合反応を提供するように構成された前記回転チャンバと、
を具備した、システム。
(実施形態119)
前記第2の作業物質が、六ホウ化ランタンであることにより、ランタン及びホウ素に解離する、実施形態118に記載のシステム。
(実施形態120)
前記核融合反応による第3の物質と、前記第3の物質との核融合反応のための第4の物質とを備えた、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態121)
前記第3の物質が、アルファ粒子、ヘリウム−3、及び中性子から成る群から選択される物質を含む、実施形態120に記載のシステム。
(実施形態122)
前記第4の物質が、炭素、窒素、酸素、クロム、及びネオンから成る群から選択される物質を含む、実施形態120に記載のシステム。
(実施形態123)
前記第3の物質が、アルファ粒子、ヘリウム−3、及び中性子から成る群から選択される物質を含み、前記第4の物質が、炭素、窒素、酸素、クロム、及びネオンから成る群から選択される物質を含む、実施形態120に記載のシステム。
(実施形態124)
前記第1の物質及び前記第2の物質が、窒化ホウ素、六ホウ化ランタン、水素、重水素、三重水素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン、窒素、酸素、気化した固体、水素−1、ホウ素−11、リチウム−6、リチウム−7、ヘリウム−3、リチウム−6、及び窒素−15から成る群から選択される物質を含み、前記システムが、前記核融合反応による第3の物質を備え、前記第3の物質との反応のための第4の物質を備え、前記第4の物質が、炭素、窒素、酸素、クロム、及びネオンから成る群から選択される物質を含む、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態125)
前記核融合反応が、本質的に非中性子性である、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態126)
前記核融合反応が、本質的に中性子性である、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態127)
前記第3の物質が、アルファ粒子、ヘリウム−3、及びガンマ線から成る群から選択される物質を含む、実施形態120に記載のシステム。
(実施形態128)
前記第3の物質が、アルファ粒子、ヘリウム−3、及びガンマ線から成る群から選択される物質を含み、前記第4の物質が、炭素、窒素、酸素、クロム、及びネオンから成る群から選択される物質を含む、実施形態120に記載のシステム。