(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961687
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】タンピングユニット及び軌道の枕木を突き固める方法
(51)【国際特許分類】
E01B 27/16 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
E01B27/16
【請求項の数】5
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2019-518080(P2019-518080)
(86)(22)【出願日】2017年9月7日
(65)【公表番号】特表2019-529755(P2019-529755A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2017001056
(87)【国際公開番号】WO2018065080
(87)【国際公開日】20180412
【審査請求日】2020年9月3日
(31)【優先権主張番号】A457/2016
(32)【優先日】2016年10月4日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ シュプリンガー
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−125188(JP,A)
【文献】
実開昭60−190801(JP,U)
【文献】
特表平03−500070(JP,A)
【文献】
特開昭51−091513(JP,A)
【文献】
特開平08−060603(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/134817(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道(3)の枕木(2)を突き固めるタンピングユニット(1)であって、
駆動部(10)により高さ調節可能にユニットフレーム(12)に支持されたツールキャリア(6)と、
各旋回軸(4)を中心として相互に調整可能であり且つ発振駆動部(8)を介して発振させられることが可能な対向する2つのタンピングツール(5)の複数の対と
を備え、
前記駆動部(10)に対して前記タンピングツール(5)を垂直に作用するように振動させる振動駆動部(11)が割り当てられていることを特徴とする、タンピングユニット(1)。
【請求項2】
前記駆動部(10)及び前記割り当てられた振動駆動部(11)は、液圧シリンダとして形成されており、前記液圧シリンダにおいて圧力チャンバは、脈動する流体流によって加圧されていることを特徴とする、請求項1に記載のタンピングユニット(1)。
【請求項3】
前記液圧シリンダに、制御部(16)によって制御されるサーボ弁又は比例弁(17)が配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のタンピングユニット(1)。
【請求項4】
前記タンピングツール(5)をバラスト道床(9)への沈下時に垂直に作用するように振動させることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のタンピングユニット(1)を用いた軌道(3)の枕木(2)を突き固める方法。
【請求項5】
前記沈下時に前記垂直に作用する振動を自動的にオンにし、所定のタンピング深さへの到達時もしくは前記タンピングツール(5)の調整開始時に自動的にオフにすることを特徴とする、請求項4に記載の軌道(3)の枕木(2)を突き固める方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動部により高さ調節可能にユニットフレームに支持されたツールキャリアと、各旋回軸を中心として相互に調整可能であり、且つ発振駆動部を介して発振させられることが可能な対向する2つのタンピングツールの複数の対とを備える、軌道の枕木を突き固めるタンピングユニットに関する。また、本発明は、このタンピングユニットによる軌道の枕木を突き固める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軌道の枕木を突き固めるタンピングユニットは、例えばオーストリア特許第500972号明細書又はオーストリア特許第513973号明細書などによって既に公知である。タンピングピックに作用する振動は、機械的に偏心軸によって、又はリニアモータにおける液圧的な衝撃によって発生する。
【0003】
軌道タンピング機のタンピングユニット内に配備可能なタンピングツールは、個々の枕木の間のバラストの中に沈められ、枕木の下のバラストの突き固めのために相互に対になって設けられる。このとき、特に、完全に固まっていることが多い新しくされていないバラスト道床の突き固めにあたっては、タンピングツールに大きな力が伝達される。バラスト道床への侵入時には、非常に高い侵入抵抗を克服しなければならないことが多く、場合によってはタンピングツールが損傷してしまう。
【0004】
圧縮のための最適なタンピング周波数は周知のように25〜40Hzであるが、より高い周波数では、バラストへのタンピングピックの侵入をより容易に行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、冒頭に述べた種類のタンピングユニット及び方法のために、技術水準に対する改善を提示するという課題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、請求項1に記載のタンピングユニット及び請求項4に記載の方法によって解決される。本発明の有利な発展形態は従属請求項から明らかになる。
【0007】
本発明は、ツールキャリアの降下のために、駆動部に対してタンピングツールを垂直に作用するように振動させる振動駆動部が割り当てられているようになっている。ここで、本質的な利点は、バラストへのタンピングツールのより容易な侵入が行われるということである。垂直な振動によって、発生する沈下衝撃がより小さくなる。これにより、タンピングツールの摩耗が減少し、サービス間隔が延長され、タンピングユニットの軸受に対する要求は軽減される。垂直な振動の最適な周波数は、約35Hzである。
【0008】
有利なことには、駆動部及び割り当てられた振動駆動部は、共通の液圧シリンダとして形成されており、この液圧シリンダでは圧力チャンバが脈動する流体流によって加圧されている。これにより、既存のタンピングユニットを適応させる可能性がもたらされる。具体的には、既存の液圧シリンダは、沈下の過程で、ツールキャリアの降下もしくは上昇のために脈動しながら制御される。
【0009】
このとき、液圧シリンダには、制御部によって制御されるサーボ弁又は比例弁が配置されていると好都合である。そのような弁は脈動型の制御に適しており、液圧シリンダへの直接的な取り付けによって、液圧配管の減衰効果が排除される。
【0010】
垂直に作用する振動が沈下時に自動的にオンになり、所定のタンピング深さへの到達時もしくはタンピングツールの調整開始時に自動的にオフになると、やはり有利である。これによって、タンピングユニットの効率向上がもたらされる。ここで、タンピングツールの調整動作は、実証済みの手法で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、添付の図面に関連して、本発明を例示的に説明する。以下のものが概略図で示される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に簡略化して図示されている、軌道3の枕木2を突き固めるタンピングユニット1は、旋回軸4を中心として旋回可能なそれぞれ2つのタンピングツール5の複数の対を備えており、これらのタンピングツールは、ツールキャリア6に支持されているとともに、各々は調整駆動部7と接合されている。各調整駆動部7は、偏心体として構成された発振駆動部8と接合されている。これにより、水平の振動発振が起き、調整駆動部7及び各タンピングツール5を介して圧縮対象のバラスト9に伝達される。ツールキャリア6は、振動駆動部11が割り当てて配置された駆動部10により高さ調節可能にユニットフレーム12に支持されている。駆動部10には、サーボ弁17が、制御部16と共に割り当てられている。
【0013】
図2には、レール13と枕木2とを含む軌道3が、バラスト道床14と共に図示されている。振動駆動部11によって垂直に振動させられた(矢印15)タンピングツール5は、沈下の過程において、駆動部10を用いて上昇位置(破線)から下降位置(実線)へと移動される。垂直に振動させられたタンピングツールの振幅はミリメートル範囲(点線)で運動する。
【0014】
有利には、駆動部10及び振動駆動部11は、共通の液圧シリンダ内で一体化されている。ここで、液圧シリンダは、沈下の過程で脈動する流体流によって加圧され、これによってツールキャリア6の下降運動に振動運動が重畳される。
【0015】
以下では、方法及び機能原理を説明する。バラスト道床14内にタンピングツール5を容易に侵入させるために、駆動部10に割り当てられた振動駆動部11をオンにし、さらにタンピングツール5を垂直に振動させる。垂直の振動が自動的にオンになるのは、タンピングツール5の沈下の局面においてのみである。垂直の振動が自動的にオフになるのは、所定のタンピング深さへの到達時もしくは調整開始時である。