特許第6961692号(P6961692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961692低コストの、熱的に制御される入口還元剤計量供給ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961692
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】低コストの、熱的に制御される入口還元剤計量供給ユニット
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20211025BHJP
   F01N 3/36 20060101ALI20211025BHJP
   F16K 49/00 20060101ALI20211025BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
   F01N3/36 A
   F16K49/00 A
   B01D53/94 400
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-524190(P2019-524190)
(86)(22)【出願日】2017年11月9日
(65)【公表番号】特表2020-501063(P2020-501063A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】US2017060828
(87)【国際公開番号】WO2018089613
(87)【国際公開日】20180517
【審査請求日】2019年6月28日
(31)【優先権主張番号】15/347,575
(32)【優先日】2016年11月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519103090
【氏名又は名称】コンチネンタル パワートレイン ユー・エス・エイ エル・エル・シー
【氏名又は名称原語表記】Continental Powertrain USA, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ウェイン マクファーランド
(72)【発明者】
【氏名】キース アーロン ショー
(72)【発明者】
【氏名】ランドルフ ダブリュー. カーネル ジュニア
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0305298(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/202259(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102011078504(DE,A1)
【文献】 特開平9−96212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−3/38
F16K 49/00
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量供給ユニットであって、
入口ポートで流体を受け取るように構成され、制御入力端子で受信された電気信号に応答して実質的に管状の出口ポートから流体を排出するようにさらに構成された、電気的に作動する流体インジェクタと、
内部キャビティを有する液体冷却式ハウジングであって、前記内部キャビティは、該内部キャビティ内に前記電気的に作動するインジェクタを収容し、前記キャビティを通流するエンジン冷却剤によって前記キャビティ内の前記流体インジェクタを包囲するようにサイズ決めおよび成形されており、前記エンジン冷却剤は、エンジン冷却剤入口ポートおよびエンジン冷却剤出口ポートを介して前記キャビティを通過し、前記液体冷却式ハウジングは、前記流体インジェクタの前記出口ポートを受け入れるようにサイズ決め、成形および配置された実質的に円形の出口オリフィスを有する、液体冷却式ハウジングと、
キャビティのためのカバーであって、流体を前記インジェクタの前記入口ポートへ搬送するように構成された管を有する、キャビティのためのカバーと、
前記カバーを包囲しかつ該カバーを前記ハウジングに熱的にかつ機械的に接続する第1の溶接部と、
前記ハウジングを前記流体インジェクタの前記実質的に管状の出口ポートに熱的にかつ機械的に接続する第2の溶接部であって、該第2の溶接部は、前記ハウジングの前記出口オリフィスを包囲しかつ前記流体インジェクタの前記管状の出口ポートを包囲している、第2の溶接部と、
を備え、
前記キャビティは、前記流体インジェクタの前記管状の出口ポートを包囲しこれに隣接し、かつエンジン冷却剤が通流する下側部分を有しており、
前記キャビティの前記下側部分は、部分的に前記キャビティ内へ延びる、内方へ延びる実質的に管状のフランジを有しており、前記流体インジェクタの前記出口ポートは、前記内方へ延びる実質的に管状のフランジ内に位置しており、
前記液体冷却式ハウジングは、スリーブ部分を備え、当該スリーブ部分は、前記第2の溶接部から始まり、前記出口ポートと両側の前記エンジン冷却剤と接触する前記出口オリフィスから離れるように、前記出口ポートの主要部分に軸方向に沿って延在している、
計量供給ユニット。
【請求項2】
前記電気的に作動する流体インジェクタは、ディーゼル排気流体インジェクタである、請求項1記載の計量供給ユニット。
【請求項3】
前記電気的に作動する流体インジェクタは、燃料インジェクタである、請求項1記載の計量供給ユニット。
【請求項4】
前記第2の溶接部は、前記ハウジングの前記内方へ延びる管状のフランジの外面および前記流体インジェクタの前記出口ポートの外面上に位置する、請求項1記載の計量供給ユニット。
【請求項5】
前記流体インジェクタの前記入口ポートと、前記実質的に円形の出口オリフィスと、前記カバーの管と、前記第1の溶接部および前記第2の溶接部とは、実質的に幾何学的軸線に中心合わせされており、前記流体インジェクタの前記入口ポートで受け取られた流体は、前記計量供給ユニットを通って実質的に直線的に移動する、請求項1記載の計量供給ユニット。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の計量供給ユニットを用いて、排ガス流の近くに出口ポートを有するディーゼル排気流体インジェクタの温度を制御する方法であって、
電気的に作動するディーゼル排気流体インジェクタをキャビティ内に包囲し、該キャビティは、伝熱流体入口ポートおよび伝熱流体出口ポートを有し、前記伝熱流体入口ポートおよび前記伝熱流体出口ポートによって伝熱流体が前記キャビティを通過することができ、前記ディーゼル排気流体インジェクタは、ディーゼル排気流体入口ポートを有し、かつ制御入力端子で受信した電気信号に応答して、やはり前記キャビティ内に位置しかつ排ガス流の近くに位置する実質的に管状の出口ポートから、ディーゼル排気流体を排出するように構成されており、
前記キャビティ内および前記キャビティ外へ、並びに前記管状の出口ポートの周囲に伝熱流体を流すことを含み、
前記キャビティは、前記流体インジェクタの前記管状の出口ポートを包囲しこれに隣接し、かつエンジン冷却剤が通流する下側部分を有しており、
前記キャビティの前記下側部分は、部分的に前記キャビティ内へ延びる、内方へ延びる実質的に管状のフランジを有しており、前記流体インジェクタの前記出口ポートは、前記内方へ延びる実質的に管状のフランジ内に位置する、
ディーゼル排気流体インジェクタの温度を制御する方法。
【請求項7】
前記キャビティが配置されているハウジングに前記流体インジェクタを取り付ける溶接部を通って前記流体インジェクタから熱を伝導することをさらに含む、請求項記載の方法。
【請求項8】
前記伝熱流体は、エンジン冷却剤である、請求項記載の方法。
【請求項9】
前記キャビティ内および前記キャビティ外へ、並びに前記管状の出口ポートの周囲に伝熱流体を流すステップは、前記伝熱流体から前記管状の出口ポート内へ熱を伝達させることをさらに含む、請求項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
ディーゼルエンジン排気汚染物質は、エンジンの排気流内へ処理流体を噴射することによって還元することができる。このようなシステムは、典型的に、選択的触媒還元、つまり「SCR」システムの一部としての還元剤計量供給ユニット、つまり「RDU」を利用する。しかしながら、選択的触媒還元システムが有効に機能するために、ディーゼル排気流体(DEF)を噴射する計量供給装置または計量供給ユニットは、好ましくは、排ガスおよび排気システムが加水分解および加熱分解を補助する高温であるときに作動する。RDUがエンジンから離れるほど、排ガスおよび排気システムが作動温度まで上昇するのにかかる時間が長くなり、これは、選択的触媒還元システムが適切に機能するのにかかる時間を長くする。別の言い方をすれば、還元剤計量供給ユニットがエンジンに近いほど、還元剤計量供給ユニットはより有効になる。
【0002】
RDUをエンジンの近くに配置することにより、装置が極めて高温になる。したがって、RDUの内部温度を制限するために、従来のSCRシステムは、冷却される液体、典型的にはエンジン冷却剤によってディーゼル排気流体インジェクタを包囲している。
【0003】
液体冷却式ディーゼル排気流体インジェクタは既知であるが、液体冷却式ディーゼル排気流体インジェクタは、RDUの入口部分、すなわち、エンジンの排気流にすぐ隣接しかつしばしばエンジンの排気流内へ挿入された部分に、放熱を提供しない。還元剤計量供給ユニットの周囲に完全に冷却剤ジャケットを延長させることは、従来技術に対する改良である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】熱的に制御される入口還元剤計量供給ユニットの断面図である。
図2】ディーゼル排気流体からの熱が冷却剤内へ伝導される熱伝導経路の部分を示す、図1に示した断面図の切り取られた部分である。
図3A図1に示した還元剤計量供給ユニットの分解図である。
図3B】還元剤計量供給ユニットの斜視図である。
図4A】冷却剤ハウジングへのディーゼル排気流体インジェクタ部分の溶接およびハウジングへの入口キャップの溶接を示している。
図4B】冷却剤ハウジングへのディーゼル排気流体インジェクタ部分の溶接およびハウジングへの入口キャップの溶接を示している。
【0005】
詳細な説明
図1は、熱的に制御される入口還元剤計量供給ユニット100の断面図である。計量供給ユニット100は、電気的に作動する流体インジェクタ102、好ましくは、ディーゼル排気流体インジェクタを備えており、その大部分が、冷却剤ハウジング104内のキャビティ106内に配置されている。カバー106がハウジングフランジ108に溶接されており、フランジは、ハウジング104の上部109に配置されている。第1の溶接部150が、ハウジング104の下側フランジ112および管状の出口ポートの周囲に形成されており、キャビティ106をシールしている。
【0006】
ハウジング104およびその内部キャビティ106は、インジェクタ102と直接的および間接的な機械的および熱的接触を行うようにサイズ決め、成形および配置された金属面118を含むキャビティ106の金属面上およびその周囲を、エンジン冷却剤122が流れることを可能にしている。
【0007】
エンジン冷却剤122は、ハウジング104のエンジン冷却剤入口ポート116へ流入し、そこから、キャビティ106へ流入し、そこで冷却剤122はキャビティ106の側壁118から熱を吸収する。加熱された冷却剤、すなわち、インジェクタから冷却剤122へ伝達された熱によって加熱された冷却剤は、キャビティ106から冷却剤出口ポート120を通って流出する。このように、エンジン冷却剤は、連続的に入口ポート116へ流入し、キャビティ106を通流し、出口ポート120から流出する。重要なことは、エンジン冷却剤122は、インジェクタ102の出口ポート126を受け入れかつインジェクタ102と直接的な機械的接触を行うようにサイズ決め、成形および配置されたハウジング104の出口オリフィス124上およびその周囲をも流れるということである。インジェクタ102の出口ポート126は、ハウジング104の下側フランジ112を通って延びており、そこでこれらは連続的な溶接部150によって接合されている。
【0008】
図2は、ハウジングとインジェクタとの間の境界面の一部の拡大図である。熱伝導経路200は、インジェクタ102の外面204と直接接触した、ハウジング104の金属側壁202を含む。インジェクタ102によって吸収されたディーゼル排気流体(DEF)206からの熱は、下方へ、参照符号250によって示す矢印の方向に、インジェクタ102から、ハウジング104を通流し出口ポート126から出ていくエンジン冷却剤へ伝導される。
【0009】
図3Aは、計量供給ユニット100の分解図である。図3Aは、インジェクタ102と、冷却剤ハウジング104およびカバー106との軸方向の整列を示している。キャップ、インジェクタおよびハウジングは、軸線303と一致した中心線を有する。
【0010】
カバー106は、入口管302を有している。入口管302は、図1に示したように、ディーゼル排気流体(DEF)をインジェクタ102のDEF入口ポート304へ搬送するようにサイズ決めおよび成形されている。ハウジング104内にない、ひいてはキャビティ内にないコネクタ306を通じてインジェクタ102に提供される電気信号は、制御信号がインジェクタ102へ送信されることを可能にする。これらの信号は、図示されずかつ本明細書に開示された発明に関係しない制御装置によってインジェクタに提供される電気信号に応答して、インジェクタを開閉させる。
【0011】
インジェクタ102は、入口ポート304のすぐ下方にありかつ入口ポート304と整列したDEF出口ポート306を有している。コネクタ306を除いて、インジェクタ102の全体が冷却剤ハウジング104内のキャビティ106に挿入される。ハウジングのDEF出口オリフィスは、中心が合わされ、軸方向に配置され、DEF入口ポートおよび出口ポートならびにインジェクタ102の出口ポートと整列している。ハウジングのDEF出口オリフィスは、キャビティのカバー106とも整列している。図3Bは、組み立てられた計量供給ユニット100の斜視図である。
【0012】
ここで図1を参照すると、計量供給ユニット100は、計量供給ユニット100の底部に配置されかつインジェクタ102の出口ポート126とハウジング104の出口オリフィス124との接続部を包囲した第1の溶接部150を用いて組み立てられている。第2の溶接部160は、ハウジング104の上部109上のフランジ108でカバー106を包囲している。溶接部150,160は、カバー106およびインジェクタ102をハウジング104に熱的にかつ機械的に接合する。スポット溶接部ではなく連続的である、溶接部150および160は、熱伝導経路を提供し、これによって、排気流からハウジングの下端部によって吸収された熱エネルギを、キャビティを通流するエンジン冷却剤へ直接に伝導させることができる。
【0013】
図1に最も分かりやすく示されているように、ハウジング104は、ハウジングの円形の出口オリフィス124から内方へ延びる実質的に管状のスリーブ部分170を有している。スリーブ部分170は、スリーブ部分170と、インジェクタ102の出口ポート126の外面との間に隙間ばめを提供するようにサイズ決めおよび成形されている。スリーブ部分170は、優れた熱伝導体をも提供し、ディーゼル排気流体温度がエンジン冷却剤温度によって決定されることを可能にする。
【0014】
当業者は、図3Aから、インジェクタを通流するディーゼル排気流体が、軸線303と平行にほぼ直線的に、少なくともカバーの管部分とハウジングの出口オリフィスとの間を移動することも認識すべきである。このようにして、計量供給ユニット100は、さもなければインジェクタを通る排気流体を方向転換または迂回させることによって生じるであろう機械的損失を、最小限にしている。
【0015】
ディーゼル排気流体インジェクタの温度を制御する方法は、本質的に、電気的に作動する排気流体インジェクタをハウジングのキャビティ内の冷却剤浴内に包囲し、キャビティには、エンジン冷却剤が通流することができる入口ポートおよび出口ポートが設けられており、キャビティはこれらの入口ポートおよび出口ポートに接続されていることによって特徴づけることができる。ハウジング、ひいてはキャビティに冷却剤を通流させるまたはポンピングすることによって、エンジン温度が高いときにディーゼル排気流体の温度を制御することができる。同様に、ディーゼル排気流体は、必要であれば、その温度がディーゼル排気流体の温度を超えている場合があるエンジン冷却剤によって温めるまたは加熱することができる。このように、ディーゼル排気流体インジェクタの温度を制御する方法は、必然的に、伝熱流体を、キャビティ内およびキャビティ外へ、並びにディーゼル排気流体をエンジン排気流内へ送るまたは搬送する構造物の周囲に、流れさせるまたは送ることを含む。好ましい実施の形態では、このような伝熱流体は、エンジン冷却剤である。エンジン冷却剤は、典型的に、水、エチレングリコールおよび均等物の混合物から成る。
【0016】
上記の説明は、例示のみを目的とする。本発明の実際の範囲は、以下の請求項に示されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B