(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水性分散液が、(B2)前記式によって算出される、15を超えるHLBを有する少なくとも1つの更なる非イオン性乳化剤を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
前記水性分散液が、(E)pH調節剤、塩、抑泡剤、増粘剤、保護コロイド、保存料、殺菌剤、湿潤剤、腐食抑制剤、染料、芳香剤、およびこれらの混合物の群から選択される、補助剤を含んでなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
請求項1〜8、11および12のいずれか一項に記載の組成物が、繊維性基材、好ましくは織物に適用され、続いて前記処理済繊維性基材、好ましくは処理済織物が、乾燥されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
請求項1〜8、11および12のいずれか一項に記載の組成物で、繊維性基材、好ましくは織物を含浸および/または疎水化する方法であって、前記組成物が、繊維性基材、好ましくは織物に適用され、続いて前記処理済繊維性基材、好ましくは処理済織物が、乾燥される、方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、充分な保存安定性を保有する比較的長鎖のアルキルラジカルを有するβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物の水性配合物を提供することであり、アミノ含有有機シリコン化合物の水性配合物と組み合わせることができ、かつ織物繊維およびファブリックの疎水化に使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によって、上記目的が達成される。
【0009】
本発明の対象は、
(A)次の一般式
【0010】
【化1】
【0011】
の少なくとも1つのSi結合ラジカルAを含んでなる、β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物であって、式中;
L
1は、同一であるかまたは異なっており、かつ1〜18個の炭素原子を有する二価のSi−C結合炭化水素基であり、
L
2は、同一であるかまたは異なっており、かつ1〜6個の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、
X
1は、式−O−、−NZ−、−NR
2−、または−S−、好ましくは−NZ−のラジカルであり、
X
2は、式−O−Z、−NH−Z、−NR
2−Z、−S−Z、好ましくは−NH−Zのラジカルであり、
Zは、式−C(=O)−CHR
3−C(=O)−CH
2R
3のラジカルであり、
R
2は、1〜18個の炭素原子を有する一価炭化水素基であり、
R
3は、少なくとも12個の炭素原子、好ましくは少なくとも14個の炭素原子を有する一価の、置換されていてもよい炭化水素基であり、
yは、0、1、2、または3であり、好ましくは0または1であり、より好ましくは0であり、そして、
(Si)−は、Si原子との結合を示し;
(B1)15以下のHLBを有する少なくとも1つの非イオン性乳化剤;ならびに、
(C)水;を含んでなる、水性分散液である。
【0012】
さらに、本発明の水性分散液は、
(B2)15を超えるHLBを有する少なくとも1つの更なる非イオン性乳化剤を必要に応じて含んでもよい。
【0013】
さらに、本発明の水性分散液は、
(B3)少なくとも1つのアニオン性乳化剤を必要に応じて含んでもよい。
【0014】
したがって、乳化剤(B1)と(B2)との組み合わせ、または
(B1)と(B3)との組み合わせ、
または乳化剤(B1)、(B2)、および(B3)の組み合わせが、可能である。
【0015】
更なる乳化剤(B2)または(B3)が存在する場合、各場合において使用される乳化剤(B1)、(B2)、および(B3)の重量に基づき、非イオン性乳化剤(B1)と他の非イオン性乳化剤(B2)またはアニオン性乳化剤(B3)との比は、1:10以上、好ましくは1:8以上、より好ましくは1:6以上、10:1以下、好ましくは5:1以下、より好ましくは4:1以下である。
【0016】
さらに、本発明の水性分散液は、
(B4)カチオン性乳化剤を含んでもよい。
【0017】
したがって、乳化剤(B1)と(B4)との組み合わせ、
または(B1)と(B2)および(B4)との組み合わせ、
または(B1)と(B3)および(B4)との組み合わせ、
または(B1)と(B2)、(B3)、および(B4)との組み合わせが、可能である。
【0018】
本発明の水性分散液は、β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)の、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、そして好ましくは最大70.0重量%、より好ましくは最大50重量%、非常に好ましくは最大40重量%を含んでなる。
【0019】
本発明の水性分散液は、各場合においてβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)の100重量部に基づき、乳化剤(B1)の、好ましくは少なくとも1重量部、より好ましくは少なくとも2重量部、そして好ましくは最大25重量部、より好ましくは最大20重量部、非常に好ましくは最大15重量部を含んでなる。
【0020】
更なる乳化剤(B2)および/または(B3)および/または(B4)が存在する場合において、本発明の水性分散液は、各場合においてβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)の100重量部に基づき、全体で、好ましくは少なくとも1重量部、より好ましくは少なくとも2重量部、そして非常に好ましくは少なくとも4重量部、そして好ましくは最大25重量部、より好ましくは最大20重量部、非常に好ましくは最大15重量部の、乳化剤(B2)および/または(B3)およびまたは(B4)を含んでなる。
【0021】
本発明の水性分散液は、水(C)の、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、特に少なくとも10重量%、そして好ましくは最大94.5重量%、より好ましくは最大85重量%、特に最大80重量%を含んでなる。
【0022】
本発明の水性分散液は、必要に応じて更なる成分を含んでもよい。
【0023】
更なる成分の例として、
(D)非水溶媒または共乳化剤、および、
(E)pH調節剤、塩、抑泡剤、増粘剤、保護コロイド、保存料、殺菌剤、湿潤剤、腐食抑制剤、染料、芳香剤、およびこれらの混合物の群から選択される、補助剤が挙げられる。
【0024】
本発明の水性分散液は、好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.6μm以下、非常に好ましくは0.4μm以下の特定のサイズ(D50)である。
【0025】
本発明の意味における水性分散液は、2つ以上の相からなる物質混合物である。これらの系において、本発明の場合ではβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)である、分散相と称される1つの物質が、別の物質、本発明の場合では水(C)である、分散媒、および、任意に非水溶媒(D)内にて極めて微細に分布して存在する。分散相、すなわちβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)が液体である場合、水性分散液はまた、水性エマルジョンとも呼ばれる。分散相、すなわちβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)が固体である場合、水性分散液はまた、水性懸濁液とも呼ばれる。
【0026】
本発明の水性分散液に使用されるβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)は、オリゴマーまたはポリマーの有機シロキサン、好ましくは有機ポリシロキサンであってよい。これらは、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは少なくとも5個、そして非常に好ましくは少なくとも10個のSi原子、そして好ましくは最大2000個のSi原子、より好ましくは最大1000個のSi原子、そして非常に好ましくは最大700個のSi原子を含有する。
【0027】
β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)として使用するのに好ましいものは、次の一般式の単位からなる有機ポリシロキサンであって、
【0028】
【化2】
【0029】
式中:
Aが、式(I)のラジカルであり、
Rが、一価の、任意にはラジカルごとに1〜18個の炭素原子を有する置換炭化水素基であり、
R
1が、1〜8個の炭素原子を有する水素原子またはアルキルラジカルであり、
aが、0または1であり、
bは、0、1、2、または3であり、かつ、
cが、0または1であるが、
ただし、(a+b+c)の総計は3以下であり、平均で少なくとも1つのラジカルAが分子毎に存在する。
【0030】
β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)として好ましいものは、次の一般式の有機ポリシロキサンであって、
【0031】
【化3】
【0032】
式中:
Aが、式(I)のラジカルであり、
R
4が、同一であるかまたは異なっており、かつラジカルRまたはOR
1であり、
RおよびR
1が、上でそれらに対して記載された定義を有し、
dが、0または1であり、
eが、0、または1〜2000の整数であり、ならびに、
fが、0、または1〜20の整数であるが、
ただし、1分子当たり平均少なくとも1つのラジカルAが存在し、これはそれぞれ、
dが0である場合、fは0ではなく、および、
fが0である場合、dは1であることを意味する。
【0033】
本発明の組成物に使用されるβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)は、蝋状固体または液体であってもよい。後者の場合、これらの粘度は、好ましくは25℃で1〜1000000mPa.s、より好ましくは25℃で100〜50000Pa.sである。
【0034】
使用されるβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)は公知であり、これらの調製法を含めて、米国特許出願公開第2011/0024679号明細書および/または同第2016/0121239号明細書(参照によって組み込まれる)に記載されている。
【0035】
使用されるΒ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)は、好ましくは、次の一般式
【0036】
【化4】
【0037】
の少なくとも1つのラジカルBを有する有機シリコン化合物(1)と、次の一般式
【0038】
【化5】
【0039】
のジケテン(2)との反応によって調製され、
式中:
X
3は、式−O−、−NH−、−NR
2−、または−S−、
好ましくは−NH−のラジカルであり、
X
4が、式−OH、−NH
2、−NR
2H、または−SH、好ましくは−NH
2のラジカルであり、
R
2、R
3、L
1、L
2、y、および(Si)が、上でそれらに対して記載された定義を有する。
【0040】
有機シリコン化合物(1)として使用するのに好ましいものは、次の一般式の単位からなる有機ポリシロキサンであって、
【0041】
【化6】
【0042】
式中:
Bが、式(IV)のラジカルであり、
Rが、一価の、任意にはラジカルごとに1〜18個の炭素原子を有する置換炭化水素基であり、
R
1が、1〜8個の炭素原子を有する水素原子またはアルキルラジカルであり、
gが、0または1であり、
hは、0、1、2、または3であり、かつ、
kは、0または1であるが、
ただし、(g+h+k)の総計は3以下であり、平均で少なくとも1つのラジカルBが分子毎に存在する。
【0043】
有機シリコン化合物(1)の例として好ましいものは、次の一般式の有機ポリシロキサンであって、
【0044】
【化7】
【0045】
式中:
Bが、式(IV)のラジカルであり、
R
4が、同一であるかまたは異なっており、かつラジカルRまたはOR
1であり、
RおよびR
1が、上でそれらに対して記載された定義を有し、
lが、0または1であり、
mが、0、または1〜2000の整数であり、ならびに、
nが、0、または1〜20の整数であるが、
ただし、1分子当たり平均少なくとも1つのラジカルBが存在し、これはそれぞれ、
lが0である場合、nは0ではなく、および、
nが0である場合、lは1であることを意味する。
【0046】
使用される有機シリコン化合物(1)は、好ましくは25℃で1〜1000000mPa.s、より好ましくは25℃で100〜50000Pa.sの粘度を有する。
【0047】
ラジカルRの例として、アルキルラジカル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、1−n−ブチル、2−n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチルラジカル、ヘキシルラジカル、例えば、n−ヘキシルラジカル、ヘプチルラジカル、例えば、n−ヘプチルラジカル、オクチルラジカル、例えば、n−オクチルラジカル、およびイソオクチルラジカル、例えば、2,2,4トリメチルペンチルラジカル、ノニルラジカル、例えば、nノニルラジカル、デシルラジカル、例えば、n−デシルラジカル、ドデシルラジカル、例えば、n−ドデシルラジカル、およびオクタデシルラジカル、例えば、n−オクタデシルラジカル;シクロアルキルラジカル、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびメチルシクロヘキシルラジカル;アルケニルラジカル、例えば、ビニル、5−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−プロペニル、アリル、3ブテニル、および4ペンテニルラジカル;アルキニルラジカル、例えば、エチニル、プロパルギル、および1−プロピニルラジカル;アリールラジカル、例えばフェニル、ナフチル、アントリル、およびフェナントリルラジカル;アルカリルラジカル、例えば、o−、m−、およびp−トリルラジカル、キシリルラジカル、およびエチルフェニルラジカル;ならびにアラルキルラジカル、例えば、ベンジルラジカル、α−およびβ−フェニルエチルラジカルが挙げられる。
【0048】
ラジカルRの好ましい例は、メチルラジカルまたはエチルラジカルである。
【0049】
ラジカルR
1の例としては、水素原子、またはアルキルラジカル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、1nブチル、2−n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチルラジカル、ヘキシルラジカル、例えば、n−ヘキシルラジカル、ヘプチルラジカル、例えば、nヘプチルラジカル、オクチルラジカル、例えば、n−オクチルラジカル、およびイソオクチルラジカル、例えば、2,2,4−トリメチルペンチルラジカルが挙げられる。
【0050】
R
1の好ましい例は、水素原子またはメチルラジカルもしくはエチルラジカルである。
【0051】
炭化水素基Rの例はまた、炭化水素基R
2についても有効である。
【0052】
ラジカルR
3は、少なくとも12個の炭素原子、好ましくは少なくとも14個の炭素原子、および好ましくは少なくとも18個の炭素原子を有する、一価の、任意には置換された炭化水素基である。
【0053】
ラジカルR
3は好ましくは14〜16個の炭素原子を有し、より好ましくはC
14〜C
16のアルキルラジカルである。
【0054】
ラジカルR
3の例は、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、およびオクタデシルラジカルである。
【0055】
L
1の例としては、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,5ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基といった、二価炭化水素基が挙げられる。
【0056】
特に好ましい例は、1,3−プロピレン基および1,3−ブチレン基である。
【0057】
L
2の例としては、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,3ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,5ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基といった、二価炭化水素基が挙げられる。
【0058】
特に好ましい実施形態は、1,2−エチレン基である。
【0059】
ラジカルBの例としては、
−CH
2CH
2CH
2OH、
−CH
2OCH
2CH
2OH、
−CH
2CH
2CH
2OCH
2CH
2OH、
−CH
2CH
2CH
2SH、
−CH
2CH
2CH
2NH
2、
−CH
2CH
2CH
2NHCH
3、
−CH
2CH(CH
3)NH
2、
−CH
2CH
2CH(CH
3)NH
2、
−CH
2CH
2CH
2NHCH
2CH
2NH
2、および
−CH
2CH(CH
3)CH
2NHCH
2CH
2NH
2が挙げられる。
【0060】
ジケテン(2)は、有機シリコン化合物(1)の式(IV)のラジカルB中に水素原子を含有するX
3基とX
4基とのモル総計に対して、0.5〜1.5mol、好ましくは0.7〜1.2molの量で使用するのが好ましい。
【0061】
ジケテン(2)は室温において固体である化合物であるため、化合物(1)との反応は、ジケテン(2)が溶融状態となるように、好ましくは50〜100℃で加熱することにより行われる。別の可能性としては溶媒を用いる手順があるが、この手順は好ましくない。
【0062】
本発明のβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)の調製方法は、好ましくは周囲大気の圧力、すなわちおおよそ1020hPaの圧力下において実施される。しかしながら、このプロセスはまた、より高い圧力またはより低い圧力で実施することもできる。
【0063】
したがって、好ましくは、水性分散液は、以下:
(A)式(I)の少なくとも1つのSi結合ラジカルA、好ましくは式(II)の単位からなる有機ポリシロキサン、特に式(III)の有機ポリシロキサンを含んでなる、本発明のβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物:
(B1)15以下のHLBを有する少なくとも1つの非イオン性乳化剤;
任意に(B2)15以上のHLBを有する少なくとも1つの更なる非イオン性乳化剤;
任意に(B3)少なくとも1つのアニオン性乳化剤;
任意に(B4)カチオン性乳化剤;
(C)水;
任意に(D)非水溶媒または共乳化剤;
任意に(E)pH調節剤、塩、抑泡剤、増粘剤、保護コロイド、保存料、殺菌剤、湿潤剤、腐食抑制剤、染料、芳香剤、およびこれらの混合物の群から選択される、補助剤:を含んでなる。
【0064】
より好ましくは、水性分散液は、以下:
(A)式(I)の少なくとも1つのSi結合ラジカルA、特に式(II)の単位からなる有機ポリシロキサン、より好ましくは式(III)の有機ポリシロキサンを含んでなる、本発明のβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物;
(B1)15以下のHLBを有する少なくとも1つの非イオン性乳化剤;
以下、
(B2)15を超えるHLBを有する非イオン性乳化剤、
(B3)アニオン性乳化剤、
および(B2)と(B3)との混合物からなる、少なくとも1つの更なる乳化剤;
任意に(B4)カチオン性乳化剤;
(C)水;
任意に(D)非水溶媒または共乳化剤;
任意に(E)pH調節剤、塩、抑泡剤、増粘剤、保護コロイド、保存料、殺菌剤、湿潤剤、腐食抑制剤、染料、芳香剤、およびこれらの混合物の群から選択される、補助剤:を含んでなる。
【0065】
本発明の水性分散液に用いられる非イオン性乳化剤(B1)は、HLBが、15以下、好ましくは14以下、より好ましくは13以下、そしてさらに好ましくは6以上、より好ましくは8以上、非常に好ましくは9以上である乳化剤である。
【0066】
HLB(HLBとは親水親油バランスを意味する)は、主に非イオン性界面活性剤の親水性および親油性画分を記載する。非イオン性界面活性剤のHLBは、Hans-Dieter Doerfler, Grenzflaechen- und Kolloidchemie, VCH, Weinheim, 1994, p. 198に従って、次の通りに算出することができる。
【0067】
【数1】
【0068】
式中、M
lは界面活性剤分子の親油性画分のモル質量であり、Mは分子全体のモル質量である。係数20は自由に選択した倍率である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明の水性分散液において使用し、15のHLBを有する非イオン性乳化剤(B1)の(非限定的な)例は、以下の通りである。
1.好ましくは3〜20のEO単位および8〜18個の炭素原子のアルキルラジカルを有する、アルキルポリグリコールエーテル。
2.好ましくは3〜20のEO単位および8〜18の炭素原子のカルボン酸ラジカルを有する、カルボン酸ポリグリコールエステル、特に脂肪酸ポリグリコールエステル。
3.エトキシル化または非エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル。
4.エトキシル化ヒマシ油または水素化バリアント。
5.ポリグリセロールカルボン酸エステル類。
6.R*が、平均8〜24個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和アルキルラジカルであり、ZOが、平均o=1〜10のヘキソースもしくはペントース単位またはこれらの混合物を有するオリゴグリコシドラジカルである、一般式R*−O−ZOのアルキルポリグリコシド。
7.好ましくは、アルキルおよびアリールラジカル中に5〜20のEO単位および8〜18個の炭素原子を有する、アルキルアリールポリグリコールエーテル。
8.ポロキサマー(エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド単位のブロックコポリマー)として知られるような、15未満のHLBを有する、エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマー。
9.さらに、5〜50、好ましくは8〜20の酢酸ビニル単位を含有し、重合度が500〜3000である、ポリビニルアルコール。
10.炭素原子数8〜22のアルキルラジカルを有する、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドとのアルキルアミンの付加物。
11.好ましくは、レシチン、ラノリン、サポニン、セルロースの群から選択される、天然物質およびその誘導体であって、アルキル基である、セルロースアルキルエーテルおよびカルボキシアルキルセルロースは、各場合において最大4個の炭素原子を保有する。
12.極性基、特に元素O、N、C、S、P、Siを含んでなる線状有機(ポリ)シロキサン、特に、最大24個の炭素原子および/または最大40のEOおよび/もしくはPO基を有する、有機(ポリ)シロキサン。
【0070】
非イオン性乳化剤(B1)の好ましい例は、以下の通りである。
1.例としては、Oleth−10、Laureth−3、Laureth−4、Trideceth−5、Trideceth−6、Trideceth−8、Trideceth−10、またはTrideceth−12(INCIの命名法に従う)である、アルキルポリグリコールエーテル。
2.例としては、PEG−7オリベート、PEG−8オレアート、またはPEG−8ラウレート(INCIの命名法に従う)である、カルボン酸ポリグリコールエステル。
3.例としては、ソルビタンラウレート、ソルビタンステアレート、ソルビタンジステアレート、またはポリソルベート85(INCIの命名法に従う)である、エトキシル化または非エトキシル化されたソルビタン脂肪酸エステル。
4.エトキシル化ヒマシ油または水素化バリアント、例えば(INCI命名法)PEG−25水素化ヒマシ油。
5.例として、ポリグリセロール−2オレアート、ポリグリセロール−10ジステアレート、またはポリグリセロール−2−ステアレートである、ポリグリセロールカルボン酸エステル。
6.例としては、Glucopon225、Glucopon600(商品名に従う)である、アルキルポリグリコシド。
7.例としては、PEG−PPG−PEG block polymer Pluronic(登録商標)L−31、PEG−PPG−PEG block polymer Pluronic(登録商標)L−61、PPG−PEG−PPG block polymer Pluronic(登録商標)17R4、PPG−PEG−PPG Pluronic(登録商標)ブロックポリマー31R1(各場合においてHLB<7)(Sigma−Aldrichから入手可能)である、ポリアルキレンブロックポリマー。
【0071】
本発明の水性分散液において、必要に応じて使用される、15を超えるHLBを有する非イオン性乳化剤(B2)の(非限定的な)例は、以下の通りである。
1.好ましくは15〜200のEO単位および8〜18個の炭素原子のアルキルラジカルを有する、アルキルポリグリコールエーテル。
2.好ましくは15〜200のEO単位および8〜18の炭素原子のカルボン酸ラジカルを有する、カルボン酸ポリグリコールエステル、特に脂肪酸ポリグリコールエステル。
3.エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、好ましくはモノエステル。
4.好ましくは40〜250のEO単位を有する、エトキシル化ヒマシ油または水素化バリアント。
5.好ましくはモノエステルであり、5以上のグリセリル単位を有する、ポリグリセロールカルボン酸エステル。
6.R*が、好ましくは10個以下の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和アルキルラジカルであり、ZOが、平均o=1〜10のヘキソースもしくはペントース単位またはこれらの混合物を有するオリゴグリコシドラジカルである、一般式R*−O−ZOのアルキルポリグリコシド。
7.好ましくは、アルキルおよびアリールラジカル中に15〜200のEO単位および8〜18個の炭素原子を有する、アルキルアリールポリグリコールエーテル。
8.ポロキサマー(エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド単位のブロックコポリマー)として知られるような、15を超えるHLBを有する、エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマー。
【0072】
15を超えるHLBを有する非イオン性乳化剤(B2)の好ましい例は、以下の通りである。
1.例としては、Ceteareth−20、Oleth20、Laureth−20、Laureth−23、Trideceth−16、Trideceth−20、Steareth−20、またはSteareth−21(INCIの命名法に従う)である、アルキルポリグリコールエーテル。
2.例としては、PEG−20ステアレート、PEG−20ラウレート、またはPEG−100ステアレート(INCIの命名法に従う)である、カルボン酸ポリグリコールエステル、特に脂肪酸ポリグリコールエステル。
3.例としては、ポリソルベート20、ポリソルベート60、またはポリソルベート80(INCIの命名法に従う)である、エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル。
4.エトキシル化ヒマシ油または水素化バリアント、例えば(INCI命名法)PEG200ヒマシ油またはPEG−60水素化ヒマシ油。
5.例として、ポリグリセロール−10オレアート、ポリグリセロール−10ラウレート、またはポリグリセロール−10−ステアレートである、ポリグリセロールカルボン酸エステル。
7.ポリアルキレンブロックポリマー、例えば、PEG−PPG−PEG block polymer Pluronic(登録商標)F−108(HLB>24;Mn≒14600)(Sigma−Aldrichから入手可能)。
【0073】
本発明の水性分散液において必要に応じて使用される、アニオン性乳化剤(B3)の(非限定的な)例は、以下の通りである。
1.特に炭素原子8〜18個の鎖長、疎水性ラジカル中に炭素原子8〜18個を有するアルキルおよびアルカリルエーテルスルフェート、ならび1〜30のエチレンオキシド(EO)および/またはプロピレンオキシド(PO)単位を有する、アルキルスルフェート。
2.スルホネート、特に、8〜18個の炭素原子を有するアルキルスルホネート、炭素数8〜18個の炭素原子を有するアルキルアリールスルホネート。
3.アルキル、アリール、アルカリル、またはアラルキルラジカル、特に脂肪酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩における8〜20個の炭素原子を有する、カルボン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、好ましくは8〜20個の炭素原子のカルボン酸ラジカルを有するカルボン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩。
【0074】
任意に存在するアニオン性乳化剤(B3)は、好ましくは、カルボキシレート、スルフェート、およびスルホネートの群から選択される。
【0075】
アニオン性乳化剤(B3)の好ましい例は、アルキル、アリール、アルキルアリール、またはアラルキルラジカル中に8〜20個の炭素原子を有する、カルボン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩である。特に好ましいアニオン性乳化剤(B3)は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、またはその他のオレイン酸のナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアンモニウム塩といった、炭素原子8〜20個のカルボン酸ラジカルを有する、脂肪酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩が好ましい。
【0076】
カルボン酸エステル基、特にスルホスクシネートを含有するアニオン性乳化剤、アミド基、特にサルコシドまたはタウリドを含有するアニオン性乳化剤、またはリン酸エステル基を含有するアニオン性乳化剤は、好ましくは除外される。
【0077】
特に好ましいものとして、次のアニオン性乳化剤は、以下は含まない。
【0082】
および
次の式のエトキシ化リン酸エステル
【0084】
式中、アルキルは、2−エチルヘキシルラジカル、n−デシルラジカル、n−ドデシルラジカル、n−ペンタデシルラジカル、n−ヘキサデシルラジカル、n−ヘプタデシルラジカル、またはn−オクタデシルラジカルといった、炭素原子数6〜20のアルキルラジカルであり、かつMは、金属イオン、特にナトリウムイオンといったアルカリ金属イオンである。
【0085】
本発明の水性分散液において必要に応じて使用される、カチオン性乳化剤(B4)の(非限定的な)例は、以下の通りである。
1.8〜24個の炭素原子を有し、酢酸、硫酸、塩酸、およびリン酸を有する、第1級、第2級、および第3級の脂肪族アミンの塩。
2.特に最大18個の炭素原子を保有するアルキル鎖、特にハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、および酢酸塩を有する、アルキルピリジニウム、アルキルイミダゾリニウム、およびアルキルオキサゾリニウム塩。
3.特に6〜24個の炭素原子を保有するアルキル基、特にハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、および酢酸塩を有する、第4アルキルアンモニウムおよびアルキルベンゼンアンモニウム塩。
【0086】
本発明の水性分散液において必要に応じて使用される非イオン性乳化剤(B2)、またはアニオン性乳化剤(B3)もしくはカチオン性乳化剤(B4)は、前述の乳化剤の1つ、または前述の乳化剤の2つ以上の混合物からなっていてもよい。
【0087】
本発明の水性分散液において、使用される非イオン性乳化剤(B1)、および/または必要に応じて使用される、非イオン性乳化剤(B2)、アニオン性乳化剤(B3)もしくはカチオン性乳化剤(B4)は、純形態で、または水もしくは有機溶媒中の1つ以上の乳化剤の溶液として使用することができる。
【0088】
本発明の水性分散液において使用した更なる成分は、
(D)非水溶媒または共乳化剤であってもよい。
【0089】
本発明の水性分散液は、
(D)好ましくは少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.4重量%、より特に少なくとも0.8重量%、そして好ましくは最大20重量%、より好ましくは最大15重量%、より特に最大10重量%の量で、非水溶媒または共乳化剤を含んでなる。
【0090】
本発明の水性分散液に用いることができる非水溶媒(D)は、例えば、1価もしくは多価アルコール、アルカノールアミン、またはグリコールエーテルの群からなる。
【0091】
溶媒の例としては、エタノール、n−またはイソプロパノール、ブタノール、例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、または2−メチル−2−プロパノール、ペンタノール、例えば、1−ペンタノール、2−ペンタノール、または3−ペンタノール、ヘキサノール、例えば、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、または3−ヘキサノール、ヘプタノール、例えば、1ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、または4−ヘプタノール、オクタノール、例えば、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、または4−オクタノール、グリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、例えば、1,2−ブタンジオール、または1,3ブタンジオール、ヘキサンジオール、例えば、1,2−ヘキサンジオール、または2メチルペンタン−2,4−ジオール、オクタンジオール、例えば、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、または1,2−オクタンジオール、グリセロール、ジグリコール、プロピル−、またはブチルジグリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールb−ブチルエーテル、プロピレングリコールtert−ブチルエーテル、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、1ブトキシエトキシ−2−プロパノール、または3−メチル−3−メトキシブタノール、1アミノブタン、2−アミノブタン、2−アミノ−2−メチルプロパン、1アミノペンタン、2−アミノペンタン、1−アミノヘキサン、1−アミノヘプタン、および1−アミノオクタン;エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、およびヘキシルアセテート;メチル、エチル、およびtertブチルプロピネート;メチル、エチル、プロピル、およびブチルブチレート;2ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、4メチル2ペンタノン、2ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3ヘプタノン、4−ヘプタノン、5メチル−3−ヘプタノン、2−オクタノン、および3−オクタノン、ならびにまた、これらのコサーファクタントの混合物が挙げられる。
【0092】
好ましい非水溶媒または共乳化剤(D)の例は、C5〜C8鎖を有する上記例の1−アルカノール、C4〜C8鎖を有する上記例のアルカンジオール、グリセロール、プロピル、ブチル、およびペンチルアセテート、2−ペンタノン、ならびに上記のエチレン、プロピレン、ジプロプレン、またはジエチレングリコールモノアルキルエーテルである。
【0093】
非水溶媒または共乳化剤(D)として特に好ましいものは、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール、プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、1,2−オクタンジオール、グリセロール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルである。
【0094】
ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール(例えば、PEG600、PEG1000、またはPEG6000)もしくはポリプロピレングリコール(例えば、PPG2000)、またはその他のポロキサミン(エチレンジアミンのコアを介して架橋された、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの単位のコポリマー)、例えばTetronic701またはTetronic90R4(Sigma−Aldrichから入手可能)を、共乳化剤として使用することがさらに可能である。
【0095】
本発明の水性分散液において使用することができる更なる成分としては、
(E)pH調節剤、塩、抑泡剤、増粘剤、および/または保護コロイド、保存料、殺菌剤、湿潤剤、腐食抑制剤、染料、芳香剤、ならびにこれらの混合物の群から選択される、補助剤が挙げられる。
【0096】
本明細書にて用いることができるpH調節剤は、技術的または環境的理由、および/または消費者保護の理由で使用が禁止されていない限り、全ての既知の酸およびアルカリである。
【0097】
鉱酸の例は、塩酸、過塩素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、フッ化水素酸、リン酸、二リン酸、およびポリリン酸である。好適なカルボン酸の例は、ギ酸、酢酸およびプロピオン酸、ブタン酸、クエン酸、トリクロロ−、ジクロロ−、およびクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シアノ酢酸、フェニル酢酸、安息香酸、m−およびp−ニトロ安息香酸、シュウ酸、マロン酸、ならびに乳酸である。
【0099】
アルカリの例は、水酸化アルカリ(土類)金属といった塩、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム;炭酸アルカリ(土類)金属、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム;またはアンモニウム塩、例えば、水酸化アンモニウム、もしくはその水溶液;および有機アミン、例えば、トリエタノールアミン(TEA)、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、もしくはその水溶液である。
【0100】
特に好ましいのは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはトリエタノールアミンである。
【0101】
本発明に関連して、pHは、米国薬局方USP33に従って電極を用いて20℃で測定される。
【0102】
本発明の分散液のpHは、好ましくは3〜11、より好ましくは5〜9である。
【0103】
塩(電解質)の例は、特に、無機塩の群からのものである。ここでは、多種多様な塩を使用することができる。好ましいカチオンは、アルカリ金属およびアルカリ土類金属である。好ましいアニオン、ハロゲン化物および硫酸塩である。製造の観点から、本発明の水性分散液における酢酸ナトリウムまたは塩化ナトリウムの使用が好ましい。
【0104】
抑泡剤の例は、石鹸、パラフィン、またはシリコン油である。
【0105】
保存剤の例は、メチルイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、ベンジルイソチアゾリノン、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、アルカリ金属安息香酸塩、アルカリ金属ソルビン酸塩、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ベンジルアルコール、および2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールである。
【0106】
本発明の水性分散液において、必要に応じて使用される補助剤(E)は、各場合において本発明の水性分散液の100重量部に基づき、好ましくは少なくとも0.01重量部、より特に少なくとも0.04重量部、そして好ましくは最大20重量部、より好ましくは最大15重量部、より特に最大10重量部の量で使用される。
【0107】
本発明の更なる対象は、
(A)β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物を、
(B1)15以下のHLBを有する少なくとも1つの非イオン性乳化剤と、
任意に(B2)15を超えるHLBを有する少なくとも1つの更なる非イオン性乳化剤と、
任意に(B3)少なくとも1つのアニオン性乳化剤と、
任意に(B4)カチオン性乳化剤と、
任意に(D)非水溶媒または共乳化剤、
任意に(E)補助剤との混合することによって、および
(C)水と互いに混合することによって、本発明の水性分散液を製造する方法である。
【0108】
安定分散が形成される。この結果、β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)が微細に分散した形態となる。
【0109】
本発明の分散液を製造するために使用される成分の混合の性質は、あまり重要ではなく、種々の順序で実施することができる。
【0110】
しかしながら、成分(A)、(B1)、(C)、任意に(B2)、任意に(B3)、任意に(B4)、任意に(D)、および任意に(E)に依存して、好ましい手順がもたらされる場合があり、手順は各個々のケースにおいて試験されるべきである。
【0111】
好ましい方法の一つは、β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)、非イオン性乳化剤(B1)、任意に非イオン性乳化剤(B2)、任意にアニオン性乳化剤(B3)、任意にカチオン性乳化剤(B4)、任意に非水溶媒または共乳化剤(D)、および水(C)を含んでなる予備分散体を介して、水性ポリシロキサン分散体を製造する方法である。ここで、各場合において、β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)と、乳化剤(B1)ならびに任意に(B2)、(B3)、および(B4)との総計に基づき、10重量%未満の水、好ましくは7.5重量%未満の水、(C)が使用される。
【0112】
予備分散液は、2以上の部分、好ましく2を超える部分において、β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)を、非イオン性乳化剤(B1)、任意に非イオン性乳化剤(B2)、任意にアニオン性乳化剤(B3)、任意にカチオン性乳化剤(B4)、任意に非水溶媒または共乳化剤(D)、および上記で示された水(C)の部分からなる混合物中へ組み込むことによって生成される。
【0113】
本発明の水性分散液は、そして、製造した予備分散体に、残量の水(C)、および任意に補助剤(E)も添加することにより得られる。
【0114】
使用されるβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)、および/または使用される非イオン性乳化剤(B1)および/もしくは任意の非イオン性乳化剤(B2)および/もしくは任意のアニオン性乳化剤(B3)および/もしくは任意のカチオン性乳化剤(B4)が、20℃で蝋状または固体の物質である場合、予備分散体は、好ましくは比較的高温で製造される。したがって、予備分散体を得るための乳化操作は、好ましくは少なくとも20℃、より好ましくは少なくとも30℃、非常に好ましくは少なくとも40℃、そして好ましくは最大90℃、より好ましくは最大80℃、非常に好ましくは最大70℃の温度で行う。
【0115】
この場合、さらに、使用されるβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)、および/または使用される非イオン性乳化剤(B1)および/もしくは任意の非イオン性乳化剤(B2)および/もしくは任意のアニオン性乳化剤(B3)および/もしくは任意のカチオン性乳化剤(B4)が、計量を可能にするために、混合される前に溶融温度よりも高い対応温度まで加熱されることが必要である。
【0116】
使用されるβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)は、乳化剤−水混合物中へ、好ましくは高い剪断力に付随して配合される。高い剪断力は、例えば、ロータ−ステータ攪拌装置または溶解ディスクによって達成され得る。これらは、有機ポリシロキサンの分散液またはエマルジョンの製造において公知の技術である。これらの種類の均質化装置および技術は、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, CD-ROM edition 2003, Wiley-VCH Verlagに、「Emulsions」という項目見出しで記載されている。
【0117】
ロータ−ステータ攪拌装置は、固定ステータ内の回転子で構成される。ロータ歯の間のスロットを通して、乳化されるべき生成物は剪断ゾーンに入り、その剪断ゾーンは再びステータスロットを通って出る。ロータ−ステータ間の狭い半径方向ギャップおよび回転ロータの高い周速は、非常に大きな剪断勾配を生成する(例えば、IKA Dispersers Brochure, 2013-05を参照のこと)。
【0118】
溶解槽ディスク攪拌機は、歯付き攪拌ディスクを垂直攪拌軸に取り付け、このディスクを製品に浸漬して分散させる。ディスクの回転運動は剪断力を発生させ、剪断力は同様に周速に依存する(例えば、Roempp Chemie Lexikon online, 2014, Dissolvers Sectionを参照のこと)。
【0119】
さらに、混合および均質化ツールとしては、例えば、撹拌機、コンパウンダー、超音波ホモジナイザー、または様々な構造のいずれかの高圧ホモジナイザーなど、当業者に知られている他の全ての分散装置を使用することができる。
【0120】
さらに、本発明の方法は、好ましくは周囲雰囲気の圧力下で実施されるが、より高い圧力またはより低い圧力下で実施されてもよい。
【0121】
本発明のβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)を含んでなる本発明の分散体は、バッチ式、半バッチ式、または連続的に製造することができる。
【0122】
従来技術に対する本発明の水性分散液の1つの利点とは、その高い保存安定性である。貯蔵安定分散とは、50℃で、好ましくは乾燥キャビネット中で30日間貯蔵した後に、目に見える2相の分離がない分散体である。
【0123】
本発明の更なる対象は、繊維性基材、好ましくは織物を仕上げる方法、より好ましくは繊維性基材、好ましくは織物を、本発明の水性分散液を含んでなる組成物で含浸および/または疎水化する方法である。
【0124】
好ましい実行方法としては、繊維性基材、好ましくは織物を仕上げる方法、より好ましくは繊維性基材、好ましくは織物を、以下:
(A)式(I)の少なくとも1つのSi結合ラジカルA、特に式(II)の単位からなる有機ポリシロキサン、好ましくは式(III)の有機ポリシロキサンを含んでなる、本発明のβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物;
(B1)15以下のHLBを有する少なくとも1つの非イオン性乳化剤;
(C)水;
任意に(B2)15を超えるHLBを有する少なくとも1つの更なる非イオン性乳化剤;
任意に(B3)少なくとも1つのアニオン性乳化剤;
任意に(B4)カチオン性乳化剤;
任意に(D)非水溶媒または共乳化剤;
任意に(E)pH調節剤、塩、抑泡剤、増粘剤、保護コロイド、保存料、殺菌剤、湿潤剤、腐食抑制剤、染料、芳香剤、およびこれらの混合物の群から選択される、補助剤:を含んでなる水性分散液を含んでなる組成物で含浸および/または疎水化する方法がある。
【0125】
より好ましい実行方法としては、繊維性基材、好ましくは織物を仕上げる方法、より好ましくは繊維性基材、好ましくは織物を、以下:
(A)式(I)の少なくとも1つのSi結合ラジカルA、特に式(II)の単位からなる有機ポリシロキサン、より好ましくは式(III)の有機ポリシロキサンを含んでなる、本発明のβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物;
(B1)15以下のHLBを有する少なくとも1つの非イオン性乳化剤;
以下、
(B2)15を超えるHLBを有する非イオン性乳化剤、
(B3)アニオン性乳化剤、
および(B2)と(B3)との混合物からなる、少なくとも1つの更なる乳化剤;
任意に(B4)カチオン性乳化剤;
(C)水;
任意に(D)非水溶媒または共乳化剤;
任意に(E)pH調節剤、塩、抑泡剤、増粘剤、保護コロイド、保存料、殺菌剤、湿潤剤、腐食抑制剤、染料、芳香剤、およびこれらの混合物の群から選択される、補助剤:を含んでなる水性分散液を含んでなる組成物で疎水化する方法がある。
【0126】
本発明の水性分散液は、取り扱いに安全であり、繊維へウォッシュファースト撥水性およびソフト仕上げを与えることができる製品であるという利点を有する。
【0127】
本発明の水性分散液は、種々の織物の非常に効果的な撥水性仕上げおよび簡単で安全な処理およびを可能にし、長期間環境汚染物質を含むことなく製造することができ、かつ撥水性仕上げが非常に効果的に洗浄に耐えるという利点を有する。
【0128】
本発明の水性分散液の更なる利点は、アミノ官能性有機シリコン化合物(F)またはその水性分散液(F’)と混合しても、得られる混合物がいかなる不安定性も示さないことである。
【0129】
水性分散液(F’)は、好ましくは水性エマルジョンである。
【0130】
さらに、本発明の水性分散液は、アミノ官能性有機シリコン化合物(F)またはその水性分散液(F’)と組み合わせて、繊維性基材、特に織物を、好ましくはそれらにウォッシュファースト撥水性および柔軟仕上げを付与するために仕上げに使用することができる。
【0131】
アミノ官能性有機シリコン化合物(F)は、好ましくは、次の一般式の少なくとも1つのラジカルQを有する有機シリコン化合物であって、
【0133】
式中、
X
5は、式−NH−または−NR
2−、好ましくは−NH−のラジカルであり、
X
6は、式−NH
2または−NR
2H、好ましくは−NH
2のラジカルであり、
zは、0、1、2、または3であり、好ましくは0または1であり、より好ましくは1であり、ならびに、
R
2、L
1、L
2、および(Si)は、上でそれらに対して記載された定義を有する。
【0134】
1種のアミノ官能性有機シリコン化合物(F)または2種以上のアミノ官能性有機シリコン化合物(F)を用いることができる。
【0135】
アミノ官能性有機シリコン化合物(F)として使用するのに好ましいものは、次の一般式の単位からなる有機ポリシロキサンであって、
【0137】
式中、
Qが、式(VIII)のラジカルであり、
RおよびR
1が、上でそれらに対して記載された定義を有し、
pは、0または1であり、
qは、0、1、2、または3であり、かつ、
rは、0または1であるが、
ただし、p+q+rの総計は3以下であり、平均で少なくとも1つのラジカルQが分子毎に存在する。
【0138】
アミノ官能性有機シリコン化合物(F)として使用するのに好ましいものは、次の一般式の有機ポリシロキサンであって、
【0140】
式中、
Qが、式(VIII)のラジカルであり、
RおよびR
4が、上でそれらに対して記載された定義を有し、
uが、0または1であり、
vが、0、または1〜2000の整数であり、および、
wが、0、または1〜20の整数であり、
zが、0、1、2、または3であり、好ましくは0または1であり、より好ましくは1であるが、
ただし、1分子当たり少なくとも1つのラジカルQが存在し、これはそれぞれ、
uが0である場合、wは0ではなく、および、
wが0である場合、uは1であることを意味する。
【0141】
アミノ官能性有機シリコン化合物(F)は、米国特許出願公開第2005/0215806号明細書、同第2002/0049296号明細書、または同第2015/0112092号明細書に記載される方法によって、好ましくは調整される。
【0142】
ラジカルQの例としては、
−CH
2CH
2CH
2NH
2、
−CH
2CH
2CH
2NHCH
3、
−CH
2CH(CH
3)NH
2、
−CH
2CH
2CH(CH
3)NH
2、
−CH
2CH
2CH
2NHCH
2CH
2NH
2、および
−CH
2CH(CH
3)CH
2NHCH
2CH
2NH
2が挙げられる。
【0143】
使用されるアミノ官能性有機シリコン化合物(F)は、蝋状固体または液体であってもよい。後者の場合、これらの粘度は、好ましくは25℃で1〜1000000mPa.s、より好ましくは25℃で100〜50000Pa.sである。
【0144】
使用されるアミノ官能性有機シリコン化合物(F)は、さらに、水性分散液(F’)の形態で、本発明のβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)を含んでなる本発明の水性分散液と組み合わせることができる。
【0145】
水性分散液(F’)は、アミノ官能性有機シリコン化合物(F)、更なる1つ以上の乳化剤(B’)、水(C’)、およびまた、任意に非水溶媒または共乳化剤(D’)、およびまた、任意にアジュバント(E’)を含んでなる。
【0146】
水性分散液(F’)において、乳化剤(B’)は、各場合において水性分散液(F’)の100重量部に基づき、好ましくは1〜60重量部、より好ましくは2〜30重量部の量で用いられる。
【0147】
使用できる乳化剤(B’)は、前述の非イオン性乳化剤(B1)および/または(B2)、アニオン性乳化剤(B3)、カチオン性乳化剤(B4)、ならびにまた、保護コロイドもしくは粒子である。
【0148】
水性分散液(F’)において、あらゆる非イオン性溶媒または共乳化剤(D’)は、各場合において水性分散液(F’)の100重量部に基づき、好ましくは少なくとも0.1重量部、より好ましくは少なくとも0.4重量部、より特に少なくとも0.8重量部、そして好ましくは最大20重量部、より好ましくは最大15重量部、より特に最大10重量部の量で使用される。
【0149】
必要に応じて使用される非水溶媒または共乳化剤(D’)としては、上記非水溶媒または共乳化剤(D)を用いることができる。
【0150】
水性分散液(F’)において、あらゆる補助剤(E’)は、各場合において水性分散液(F’)の100重量部に基づき、好ましくは少なくとも0.01重量部、より好ましくは少なくとも0.04重量部、そして好ましくは最大20重量部、より好ましくは最大15重量部、より特に最大10重量部の量で使用される。
【0151】
必要に応じて使用される補助剤(E’)としては、前述の補助剤(E)を使用することができる。
【0152】
水性分散液(F’)は、本発明のβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)を含んでなる本発明の分散液について、上述したような混合および均質化ツールを用いて製造することができる。
【0153】
β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)およびアミノ官能性有機シリコン化合物(F)は、1:99〜99:1の重量比、好ましくは20:80〜80:20の重量比、より好ましくは40:60〜70:30の重量比で使用される。
【0154】
さらに、本発明の水性分散液は、アミノ官能性有機シリコン化合物(F)またはその水性分散液(F’)と組み合わせて、かつ有機金属化合物(G)と組み合わせて、好ましくはそれらにウォッシュファースト撥水性および柔軟仕上げを付与するため、繊維性基材、特に織物を処理するために使用することができる。
【0155】
使用される有機金属化合物(G)は、アミン、アルコキシド、カルボン酸塩、ホスホン酸塩であるか、またはPb、Zn、Zr、Sb、Fe、Cd、Sn、Ti、Ba、Ca、Mn、V、Al、およびCoの群から選択される金属のキレートであってよい。
【0156】
Zn、Zr、Ti、およびAlの有機金属化合物を用いることが好ましい。ZrおよびTiの有機金属化合物が特に好ましい。
【0157】
カルボン酸塩の例は、ナフテン酸塩、オクタン酸塩、ヘキサン酸塩、ラウリン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩、および乳酸塩である。
【0158】
有機金属化合物(G)の例は、亜鉛オクトエート、スズオクトエート、およびジルコニウムオクトエート;Alトリ−sec−ブトキシド、Alジ−sec−ブトキシドモノアセチルアセトネート、Alモノ−sec−ブトキシドジアセチルアセトネート、Alジ−sec−ブトキシドモノエチルアセテート、Alモノ−sec−ブトキシドジエチルアセテート、Alジ−sec−ブトキシドモノアセテート、およびAlモノ−sec−ブトキシドジアセテートといった、アルミニウムアルコキシド;アルキルチタンネート;アルキルジルコネート;亜鉛ナフタネート、スズナフタネート、ジルコニウムフェライトナフタネート、およびコバルトナフタネート;亜鉛ホルメートおよびジルコニウムホルメート;スズアセテート、亜鉛アセテート、およびジルコニウムアセテート;ジブチルスズジカプリレート、ジブチルスズジラウリン、ジブチルスズジアセテート、およびジブチルスズマレアート;ジオクチルスズジホルメート、ジオクチルスズジベンゾエート、およびジオクチルスズジクロトネート;アルカノールアミンチタネートおよびアルカノールアミンジルコネート;チタニウムホスフェート;アセチルアセトネートチタン;エチルシトレートジルコネート;ならびにトリアルコキシバナデート、例えば、トリメトキシバナデート、tri−n−ブトキシバナデート、およびトリヘプトキシバナデートである。チタンおよびジルコニウムのアルコキシドおよびカルボン酸塩を用いるのが好ましい。
【0159】
ブチルチタネート、ジルコニウムオクトエート、およびジルコニウムアセテートが特に好ましい。
【0160】
1種の有機金属化合物(G)または2種以上の有機金属化合物(G)を用いることができる。
【0161】
有機金属化合物(G)を使用する場合はまた、有機金属化合物(G)の金属含有量に基づき、かつβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)およびアミノ官能化有機シリコン化合物(F)の100重量部に基づき、0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜8重量部の量で使用することができる。
【0162】
本発明のβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)を含んでなる本発明の分散体は、アミノ官能性有機シリコン化合物(F)またはその水性分散液(F’)と、およびまた有機金属化合物(G)と、特に上述したような多種多様な混合および均質化ツールのいずれかを用いて、混合することができる。
【0163】
本発明の対象はしたがって、以下:
本発明のβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)を含んでなる本発明の水性分散液、
(F)アミノ官能性有機シリコン化合物またはその水性分散液、特に式(X)の有機ポリシロキサンまたはその水性分散液、
および、任意に、
(G)有機金属化合物を含んでなる組成物である。
【0164】
したがって、本発明の対象は、本発明の組成物を用いて繊維性基材、好ましくは織物を仕上げる方法である。
【0165】
本発明の組成物は、好ましくは繊維性基材、特に織物に塗布され、乾燥させられる。
【0166】
本発明の組成物によって織物を含浸および/または疎水化する好ましい方法では、本発明の組成物が繊維性基材、好ましくは織物に適用され、続いて処理済繊維性基材、好ましくは処理済織物が乾燥される。
【0167】
繊維性基材の例は、天然または合成で製造された繊維、紡績糸、スケイン、ケーブル、シート状の織物構造体、例えば不織布、マット、織物、結び織物、またはニット織物のような、ならびに皮革および模造皮革である。好ましい繊維性基材は、織物である。
【0168】
本発明の組成物の適用のために、織物は、個々の繊維、繊維束、ファイバーフィル繊維、紡績糸、カーペット、ファブリックウェブ、または衣類もしくは衣類の一部の形態で存在してもよい。
【0169】
織物は、木綿、羊毛、酢酸ビニルのコポリマー、レーヨン、麻、天然絹糸、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、アラミド、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリラクチド、ポリ塩化ビニル、グラスファイバー、セラミック繊維、セルロース、またはこれらの混合物からなっていてもよい。
【0170】
繊維性基材、より特に織物への適用は、繊維性基材、より特に織物の処理に好適かつ公知であるあらゆる所望の様式、例えば、浸漬、延反、キャスティング、噴霧、ローリング、パディング、印刷、またはフォーム塗布によって行うことができる。
【0171】
用途において、本発明の組成物は、例えば、メラミン樹脂またはメチロール樹脂、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、蛍光増白剤、湿潤助剤、消泡剤、または全フッ素置換炭化水素といった更なる疎水化助剤および撥油性助剤を含んでなる結合剤などの、一般的な織物補助剤と組み合わせることができる。
【0172】
処理済繊維性基材、特に織物は、好ましくは10〜250℃、より好ましくは25〜200℃、非常に好ましくは80〜180℃の温度で乾燥させる。
【0173】
乾燥の過程において、本発明の組成物は架橋され、処理された繊維基質、特に織物は含浸および/または疎水化を受け、撥水性となる。
【0174】
以下の例では、特に明記しない限り、部および比率の全データを重量で示している。
【0175】
特に断らない限り、以下の実施例は、周囲大気の圧力、すなわちおおよそ1000hPaかつ室温、すなわちおおよそ20℃で、または更なる加熱もしくは冷却を行わずに室温で反応物を集めた際に生じる温度で実施される。
【0176】
HLBデータに関しては、各製造業者から報告されたHLB値を用いている。例えば、ポリエーテルのような乳化剤は、通常、分子量の分布を有するオリゴマー/ポリマーであるため、この分布は製造者ごとに異なる可能性がある。したがって、製造者ごとに対応するHLBについて異なる図が存在する可能性があり、これはまた、特定の化学名について理論的に決定されるHLBとは異なることがある。
【0177】
動力学粘度は、2°の開き角を有するコーンプレートシステム(CP50−2コーン)を使用して、DIN EN ISO3219:1994およびDIN53019に従ってAnton Paar MCR302レオメーターで測定した。装置は、Physikalisch−Technische Bundesanstalt製の標準油10000を用いて較正された。測定温度は25.00℃±0.05℃、測定時間は3分である。粘度指数(mPasで報告)は、独立して行われた三つの個々の測定値の算術平均を表す。動的粘度測定の不確定度は1.5%である。剪断速度勾配は粘度の関数に応じて選択され、各粘度指数について別々に同定されている。
【0178】
動粘性率は、DIN51562Part1またはISO/DIS3105(その校正を含む)に準拠した一定(例えば、WindausまたはVWRから)のUbbelohde粘度計管を使用し、Schott製のViscoSystem(登録商標)AVS350粘度測定システムによって測定される。測定は25.0℃(±0.1℃)で行う。粘度指数(mm
2/秒で報告)は、独立して行われた三つの個別測定の算術平均を表し、動粘性率測定の不確実性は1.05%である。測定範囲に応じて、方向定数を有する異なる粘度計管を以下の通りに使用する。
【0180】
測定範囲、対応するキャピラリー番号、および定数は、VWRラボラトリカタログ、2011−2013、645.8頁に記載されている。
【0181】
アミン価は、定量下における物質1gに相当するKOHのmmol数を示す。アミン価はDIN16945、第1989−03版に従って決定される。
【0182】
1H NMRスペクトルを、CDCl3中溶液として、Bruker Avance500NMR分光計(5mm選択
1H NMR試料ヘッド)に500.13MHzの測定周波数で記録する。
【0183】
評価は、当業者に周知の方法で行われ、次の文献に記載されている: “Ueber die
1H-,
13C- und
29Si-NMR chemischen Verschiebungen einiger linearer, verzweigter und cyclischer Methyl-Siloxan-Verbindungen”, G. Engelhardt, H. Jancke; J. Organometal.Chem. 28 (1971), 293-300; “Chapter 8 - NMR spectroscopy of organosilicon compounds”, Elizabeth A. Williams, The Chemistry of Organic Silicon Compounds, 1989 John Wiley and Sons Ltd, 511-533。
【0184】
粒子サイズは、Malvern製のZetasizer Nano−S粒子サイズ測定器、ソフトウェアバージョン6.01において、動的光散乱法(三重測定法)によって決定される。この目的のために、分散液をろ過脱気水で0.5重量%まで希釈する。報告される値は常にD(50)値を参照する。D(50)は体積平均粒径として理解されるべきであり、測定された全粒子の50%が、同定されたD(50)の指数よりも小さい体積平均粒径を有する。測定は、以下の特定の設定で25℃にて行われる:1.330における水の屈折率(分散剤RI);0.8872における粘度(cP);1.39における分散相(材料RI)の屈折率;0.010における材料吸収;50秒における測定時間(使用期間);0.65mmにおける測定位置。分散例で報告される光子計数率は、試料の特定の希釈度に由来するため異なる。ここで重要なのは、測定プログラムが「得られた品質:良好」という所見を伴う結果を出すことだけである。
【0185】
処理済織物の疎水性は、AATCC試験法第22−2005番に従って噴霧試験により試験される。この試験では、織物を脱イオン水でスポットする。この方法の説明において、スポットされた織物表面を評価画像と比較することにより、濡れていない領域の割合をおおよそ示すことができる。スプレー値100とは完全には濡れていない織物を示す。
【実施例】
【0186】
実施例1:β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1:
C14/C16アルキルラジカルR
3を生じるパルミチン酸/ステアリン酸(約30/70)の混合物から調製した工業用アルキルケテンダイマー(TRIGON Chemie GmbH製)50.7gを、50℃で融解する。動粘性率508mm
2/秒(25.0℃;キャピラリー番号III)かつアミン数0.18mmol/gである、(3−アミノプロピル)ジメチルシロキシ単位およびジメチルシロキシ単位からなるポリシロキサン500.0gを、反応混合物の温度が75℃を超えない速度で、70分間かけて計量する。工業用アルキルケテンダイマー生成物のジケテン含有量は85%であり、アルキルケテンダイマー:ポリシロキサン化学量論は1.0:1.0である。計量終了後、温度を100℃まで上げ、この温度で1時間撹拌を続ける。室温まで冷却すると、遊離アミンがもはや(
1H NMR分光法によって)検出されないβ−ケトカルボニル官能性有機ポリシロキサンA1が得られる。
【0187】
実施例2:β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A2:
例1に記載のアルキルケテンダイマー83.3gを、動粘性率977mm2/秒(25.0℃;キャピラリー番号IIIc)およびアミン価0.58mmol/gである、(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)メチルシロキシ単位およびジメチルシロキシ単位からなる、混合したヒドロキシ/メトキシ末端コポリマー250gと、実施例1と同様に反応させる。これにより、遊離アミンがもはや(1H NMR分光法によって)検出されないβ−ケトカルボニル官能性有機ポリシロキサンA2が得られる。
【0188】
実施例3:β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A3:
例1に記載のアルキルケテンダイマー133gを、動粘性率25mm2/秒(25.0℃;キャピラリー番号II)およびアミン価2.4mmol/gである、(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)メトキシイルオキシ単位およびジメチルシロキシ単位からなる、混合したヒドロキシ/メトキシ末端コポリマー200gと、例1と同様に反応させる。これにより、遊離アミンがもはや(
1H NMR分光法によって)検出されないβ−ケトカルボニル官能性有機ポリシロキサンA3が得られる。
【0189】
実施例4:β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A4:
例1に記載のアルキルケテンダイマー114gを、動粘性率119mm
2/秒(25.0℃;キャピラリー番号IIc)およびアミン価0.76mmol/gである、(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)ジメチルシロキシ単位およびジメチルシロキシ単位からなる、ポリシロキサン263gと、例1と同様に反応させる。これにより、遊離アミンがもはや(
1H NMR分光法によって)検出されないβ−ケトカルボニル官能性有機ポリシロキサンA4が得られる。
【0190】
実施例5:β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A5:
例1に記載のアルキルケテンダイマー19gを、動粘性率259mm2/秒(25.0℃;キャピラリー番号III)およびアミン価0.093mmol/gである、(3−アミノプロピル)メチルシロキシ、トリメチルシロキシ、およびジメチルシロキシ単位からなる、ポリシロキサン358gと、例1に記載のものと同様の様式で反応させる。これにより、遊離アミンがもはや(
1H NMR分光法によって)検出されないβ−ケトカルボニル官能性有機ポリシロキサンA5が得られる。
【0191】
(比較)例6:
(非発明)長鎖アルキル基(すなわち、R
3=H)CA6を有しないβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物:
トリメチルジオキシノン(アセトン中92.5%溶液)(Acrosから入手可能)8.53g、動粘性率508mm2/秒(25.0℃;キャピラリー番号III)かつアミン価0.18mmol/gである(3−アミノプロピル)ジメチルシロキシ単位とジメチルシロキシ単位とからなるポリシロキサン233.92g、水1.50g、およびトルエン20.0gを、混合する。混合物を内部温度110〜115℃まで急速に加熱し、この温度で2時間保持する。室温まで冷却した後、10mbarの減圧下において50℃で蒸留して、トルエン、水、およびアセトンを除去する。これにより、1250mPas(25℃、剪断速度51/秒)の動力学粘度であり、遊離アミンはもはや(アミン価測定によって)検出されない、茶色がかったβ−ケトカルボニル官能性有機ポリシロキサンCA6が得られる。
【0192】
実施例7:β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A7:
65%のC18カルボン酸から調製されC14/C16アルキルラジカルR
3を生じる、工業用アルキルケテンダイマー(商品名Wilmar AKD1865としてWILMAR International Ltdより入手可能;ヨウ素45.5;融点:51.2℃)62.9gを、動粘性率5900mm2/秒(25.0℃;キャピラリー番号IV)かつアミン数価0.451mmol/gである、(3−アミノプロピル)メチルシロキシ、トリメチルシロキシ、およびジメチルシロキシ単位からなるポリシロキサン290gと、例1と同様に反応させる。これにより、遊離アミンがもはや(
1H NMR分光法によって)検出されないβ−ケトカルボニル官能性有機ポリシロキサンA7が得られる。
【0193】
実施例8:β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A8:
例7に記載のアルキルケテンダイマー121.7gを、動粘性率7710mm2/秒(25.0℃;キャピラリー番号IV)およびアミン価0.872mmol/gである、(3−アミノプロピル)メチルシロキシ、トリメチルシロキシ、およびジメチルシロキシ単位からなる、ポリシロキサン250gと、例1と同様に反応させる。これにより、遊離アミンがもはや(
1H NMR分光法によって)検出されないβ−ケトカルボニル官能性有機ポリシロキサンA8が得られる。
【0194】
実施例9:β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A9:
例7に記載のアルキルケテンダイマー64.5gを、動粘性率1350mm2/秒(25.0℃;キャピラリー番号IIIc)およびアミン価0.462mmol/gである、(3−アミノプロピル)メチルシロキシ、トリメチルシロキシ、およびジメチルシロキシ単位からなる、ポリシロキサン250gと、例1と同様に反応させる。これにより、遊離アミンがもはや(
1H NMR分光法によって)検出されないβ−ケトカルボニル官能性有機ポリシロキサンA9が得られる。
【0195】
実施例10:β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A10:
例1に記載のアルキルケテンダイマー26.4gを、動粘性率272mm2/秒(25.0℃;キャピラリー番号III)およびアミン価0.185mmol/gである、(3−アミノプロピル)メチルシロキシ、トリメチルシロキシ、およびジメチルシロキシ単位からなる、ポリシロキサン250gと、例1と同様に反応させる。これにより、遊離アミンがもはや(
1H NMR分光法によって)検出されないβ−ケトカルボニル官能性有機ポリシロキサンA10が得られる。
【0196】
実施例11:(発明)β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を含んでなる分散体E1:
商標名Lutensol TO5(BASF製)(HLB:10.5)として市販されているイソトリデシルペンタエトキシレート4.28g、商標名Lutensol TO8(BASF製)(HLB:13.5)として市販されているイソトリデシルデカエトキシレートの80%水溶液4.74g、および完全に脱塩した水7.48gを、金属ビーカーに入れ、乾燥キャビネット内で60℃まで加熱する。現在は液体である混合物を、Ultra−Turrax T50乳化剤(Janke&Kunkel/IKA製)を用いて均質化する。この時間内に、70gのβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を、乾燥キャビネット中において60℃で溶融し、6000〜8000rpmの高剪断で3回に分けて添加することで、比較的強固な硬質相形態で予備分散体を得る。希釈を、113.5gの完全に脱塩した水で行い、ほとんど剪断することなく部分的に60℃まで加熱して、所望の分散体を得る。その結果、平均粒径D(50)が203nm、光子計数率が253kcps(キロカウント/秒)である乳白色の分散液が得られる。室温で6か月、または50℃で30日間貯蔵した後であっても、分散体は均一かつ安定である。
【0197】
実施例12:(発明)β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を含んでなる分散体E2:
商標名Lutensol TO5(BASF製)(HLB:10.5)として市販されているイソトリデシルペンタエトキシレート1.26g、商標名Lutensol TO108(BASF製)(HLB:13.5)として市販されているイソトリデシルデカエトキシレートの80%水溶液8.52g、および完全に脱塩した水6.72gを、金属ビーカーに入れ、乾燥キャビネット内で60℃まで加熱する。現在は液体である混合物を、Ultra−Turrax T50乳化剤(Janke&Kunkel/IKA製)を用いて均質化する。この時間内に、70gのβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を、乾燥キャビネット中において60℃で溶融し、6000〜8000rpmの高剪断で3回に分けて添加することで、比較的強固な硬質相形態で予備分散体を得る。希釈を、113.5gの完全に脱塩した水で行い、ほとんど剪断することなく部分的に60℃まで加熱して、所望の分散体を得る。その結果、平均粒径D(50)が167nm、光子計数率が264kcps(キロカウント/秒)である乳白色の分散液が得られる。室温で6か月、または50℃で30日間貯蔵した後であっても、分散体は均一かつ安定である。
【0198】
実施例13:(発明)β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を含んでなる分散体E3:
商標名Sympatens−ALM/040(Kolb製)(HLB:9.4)として市販されているポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル4.34g、商標名Sympatens−ALM/230(Kolb製)(HLB:16.7)として市販されているポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル3.66g、および完全に脱塩した水6.80gを、金属ビーカーに入れ、乾燥キャビネット内で60℃まで加熱する。現在は液体である混合物を、Ultra−Turrax T50乳化剤(Janke&Kunkel/IKA製)を用いて均質化する。この時間内に、70gのβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を、乾燥キャビネット中において60℃で溶融し、6000〜8000rpmの高剪断で3回に分けて添加することで、比較的強固な硬質相形態で予備分散体を得る。希釈を、115.2gの完全に脱塩した水で行い、ほとんど剪断することなく部分的に60℃まで加熱して、所望の分散体を得る。その結果、平均粒径D(50)が180nm、光子計数率が199kcps(キロカウント/秒)である乳白色の分散液が得られる。室温で6か月、または50℃で30日間貯蔵した後であっても、分散体は均一かつ安定である。
【0199】
(比較)例14:(非発明)β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を含んでなる分散体CE4:
商標名Imbentin T/160(Kolb製)(HLB:15.6)として市販されているイソトリデシルヘキサデカエトキシレート9.60g、および完全脱塩水3.60gを、金属ビーカーに入れ、乾燥キャビネット内で60℃まで加熱する。現在は液体である混合物を、Ultra−Turrax T50乳化剤(Janke&Kunkel/IKA製)を用いて均質化する。この時間内に、70gのβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を、乾燥キャビネット中において60℃で溶融し、6000〜8000rpmの高剪断で3回に分けて添加することで、比較的強固な硬質相形態で予備分散体を得る。希釈を、116.4gの完全に脱塩した水で行い、ほとんど剪断することなく部分的に60℃まで加熱して、所望の分散体を得る。結果は乳白色の分散体である。分散体は安定していない。室温で24時間保存すると2相が形成された。
【0200】
(比較)例14は、もっぱらHLBが15を超える非イオン性乳化剤(B2)を用いた場合、安定分散を得ることができないことを示している。
【0201】
対照的に、例11〜13(分散体E1〜E3)は、HLBが15以下である非イオン性乳化剤(B1)を少なくとも1つ用いた場合、保存に安定した分散体が得られることを示している。
【0202】
また、HLBが15を超える非イオン性乳化剤(B2)と、HLBが15以下である非イオン性乳化剤(B1)とを併用した場合(例13に示す通り)、安定分散が得られる。
【0203】
(比較)例15:(非発明)β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を含んでなる分散体CE5:
商標名Disponil LDBS55(BASF製)として市販されているナトリウム(C
10−C
13)−n−アルキルベンゼンスルホネートの55%水溶液5.40g、商標名Imbentin T/160(Kolb製)(HLB:15.6)として市販されているイソトリデシルヘキサデカエトキシレート9.00g、および完全に脱塩した水0.90gを、金属ビーカーに入れ、乾燥キャビネット内で60℃まで加熱する。液体混合物を、Ultra−Turrax T50乳化剤(Janke&Kunkel/IKA製)を用いて均質化する。この時間内に、70gのβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を、乾燥キャビネット中において60℃で溶融し、6000〜8000rpmの高剪断で3回に分けて添加する。得られた予備分散体を、完全に脱塩した水113.2gで希釈し、ほとんど剪断することなく60℃まで分けて加熱する。結果は乳白色の分散体である。分散体は安定していない。室温でちょうど1時間保存すると2相が形成された。
【0204】
(比較)例15は、HLBが15を超える非イオン性乳化剤(B2)をアニオン性乳化剤(B3)と組み合わせて用いた場合、安定分散を得ることができないことを示している。
【0205】
実施例16:(発明)β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を含んでなる分散体E6:
商標名Disponil FES77(BASF製)として市販されているナトリウムラウリルエーテルスルフェートの33%水溶液18.2gと、商標名Sympatens−ALM/040(Kolb製)(HLB:9.4)として市販されているポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル2.0gとを、金属ビーカーに入れ、乾燥キャビネット内で60℃まで加熱する。現在は液体である混合物を、Ultra−Turrax T50乳化剤(Janke&Kunkel/IKA製)を用いて均質化する。この時間内に、70gのβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を、乾燥キャビネット中において60℃で溶融し、6000〜8000rpmの高剪断で3回に分けて添加することで、比較的強固な硬質相形態で予備分散体を得る。希釈を、109.8gの完全に脱塩した水で行い、ほとんど剪断することなく部分的に60℃まで加熱して、所望の分散体を得る。その結果、平均粒径D(50)が194nm、光子計数率が355kcps(キロカウント/秒)である乳白色の分散液が得られる。室温で6か月、または50℃で30日間貯蔵した後であっても、分散体は均一かつ安定である。
【0206】
実施例17:(発明)β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を含んでなる分散体E7:
市販されているラウリル酸(Merck Schuchardt製)6.0g、商標名Sympatens−ALM/040(Kolb製)(HLB:9.4)として市販されている水酸化カリウム(強度50%)の水溶液3.9gおよびポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル2.0g、ならびに完全に脱塩した水6.7gを、金属ビーカーに入れ、乾燥キャビネット内で60℃まで加熱する。現在は液体である混合物を、Ultra−Turrax T50乳化剤(Janke&Kunkel/IKA製)を用いて均質化する。この時間内に、70gのβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を、乾燥キャビネット中において60℃で溶融し、6000〜8000rpmの高剪断で3回に分けて添加することで、比較的強固な硬質相形態で予備分散体を得る。希釈を、110.8gの完全に脱塩した水で行い、ほとんど剪断することなく部分的に60℃まで加熱して、所望の分散体を得る。その結果、平均粒径D(50)が171nm、光子計数率が364kcps(キロカウント/秒)である乳白色の分散液が得られる。分散体を乾燥機によって注意して脱気する。室温で6か月、または50℃で30日間貯蔵した後であっても、分散体は均一かつ安定である。
【0207】
実施例18〜25:(発明)β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A2〜A5およびまたA7〜A10を含んでなる分散体E8〜E15:
分散体E8〜E15は、例17(ラウリン酸6.0g、水酸化カリウム水溶液(強度50%)3.9g、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル(HLB=9.4)2.0g、完全脱塩水6.7g)、β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A2〜A5およびA7〜A10それぞれ70g、ならびにまた60℃まで加熱された水110.8gと、同一のタイプおよび量である乳化剤−水混合物を用いて製造する。
【0208】
β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A2の場合、結果として、平均粒径D(50)が177nmであり、光子計数率が207kcpsである乳白色分散体E8が得られる。
【0209】
β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A3の場合、結果として、平均粒径D(50)が105nmであり、光子計数率が393kcpsである乳白色分散体E9が得られる。
【0210】
β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A4の場合、結果として、平均粒径D(50)が153nmであり、光子計数率が271kcpsである乳白色分散体E10が得られる。
【0211】
β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A5の場合、結果として、平均粒径D(50)が170nmであり、光子計数率が221kcpsである乳白色分散体E11が得られる。
【0212】
β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A7の場合、結果として、平均粒径D(50)が248nmであり、光子計数率が311kcpsである乳白色分散体E12が得られる。
【0213】
β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A8の場合、結果として、平均粒径D(50)が361nmであり、光子計数率が254kcpsである乳白色分散体E13が得られる。
【0214】
β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A9の場合、結果として、平均粒径D(50)が182nmであり、光子計数率が243kcpsである乳白色分散体E14が得られる。
【0215】
β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A10の場合、結果として、平均粒径D(50)が380nmであり、光子計数率が237kcpsである乳白色分散体E15が得られる。
【0216】
HLBが15以下のアニオン性乳化剤(B3)非イオン性乳化剤(B1)を用いた分散体E8〜E15の全ては、いずれも室温で6ヶ月間または50℃で30日間保存した後も均質かつ安定である。
【0217】
(比較)例26:
(非発明)β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を含んでなる分散体CE16:
BASFから商標名Disponil SUS IC10として市販されているジイソデシルスルホ−コハク酸ナトリウムの66%水溶液16.0gを、金属ビーカーに入れ、乾燥キャビネット内で60℃まで加熱する。この時間内に、70gのβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を、乾燥キャビネット中において60℃で溶融し、6000〜8000rpmの高剪断で3回に分けてゆっくりと添加する。これによりローション状の予備分散液が得られる。113.5gの完全に脱塩した水によって分割して希釈を行い、ほとんど剪断することなく60℃まで加熱して、所望の分散体を得る。得られた分散体は、平均粒径869nmの乳白色である。2時間に渡って2つの相が形成される。分散体は保存に安定していない。
【0218】
(比較)例27:
(非発明)β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を含んでなる分散体CE17:
BASFから商標名Disponil SUS IC10として市販されているジイソデシルスルホ−コハク酸ナトリウムの66%水溶液12.2g、および水4.2gを、金属ビーカーに入れ、混合し、乾燥キャビネット内で60℃まで加熱する。この時間内に、70gのβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を、乾燥キャビネット中において60℃で溶融し、6000〜8000rpmの高剪断で3回に分けてゆっくりと添加する。これによりクリーム状の予備分散液が得られる。113.6gの完全に脱塩した水によって分割して希釈を行い、ほとんど剪断することなく60℃まで加熱して、所望の分散体を得る。得られる分散体は乳白色であるが、1時間に渡って2つの相を形成する。したがって、分散体は保存に安定していない。
【0219】
(比較)例28:
(非発明)β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を含んでなる分散体CE18:
70gのβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物A1を、BASFから商標名Disponil SUS IC875として市販されているナトリウムジ−2−エチルヘキシルスルホサクシネートの75%水溶液10.74gを含んでなる充填された乳化剤、および水9.4g中に、例17に記載のものと同様の方法で、乳化する。
【0220】
予備分散液を109.9gの水で希釈すると乳白色の分散液が得られるが、この分散体は1時間以内に2相を形成する。したがって、分散体は保存に安定していない。
【0221】
(比較)例29:
(非発明)β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物CA6を含んでなる(非発明)分散体CE19:
70gのβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物CA6(非発明基R
3=Hを有するβ−ケトカルボニル官能基)を、BASFから商標名Disponil SUS IC875として市販されているナトリウムジ−2−エチルヘキシルスルホサクシネートの75%水溶液10.74gを含んでなる充填された乳化剤、および水9.4g中に、例18に記載のものと同様の方法で、乳化する。
【0222】
分散体を製造することは不可能ではなかった。
【0223】
(比較)例26、27、28、および29は、もっぱらアニオン性乳化剤、特にスルホサクシネートを用いたβ−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物(A)の乳化は、いかなる保存安定分散をももたらさないことを示している。また、非発明的β−ケトカルボニル官能性有機シリコン化合物CA6(β−ケトカルボニル官能基R
3=H)を用いた場合に形成される分散体でもない。さらに、(比較)例26および27に示すように、乳化剤の量および予備分散液を形成するための水の量を変えても、保存安定分散体は得られない。
【0224】
一方で、例17〜25に示すように、HLBが15以下の非イオン性乳化剤(B1)に、アニオン性乳化剤(B3)、特にカルボキシレートを組み合わせることにより、保存に安定な分散体を得ることができる。
【0225】
実施例30:本発明の分散体とアミン油エマルジョン(F’)の組み合わせ:
アミノ官能性有機シリコン化合物(F)を含んでなるエマルジョンFE20:
商標名Lutensol TO108(BASF製)(HLB=13.7)として市販されているポリオキシエチレン(10)イソトリデシルエーテルの80%水溶液9.7g、および完全脱塩水2.9gを、金属ビーカーへ入れる。液体混合物を、Ultra−Turrax T50分散体(Janke&Kunkel/IKA製)を用いて均質化する。動粘性率3552mm
2/秒(25.0℃;キャピラリー番号IV)でありアミン価0.14mmol/gである、(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)メチルシロキシ単位およびジメチルシロキシ単位からなる混合したヒドロキシ/メトキシ末端コポリマー70gを、6000〜8000rpmの高剪断で3回に分けて添加することで、比較的強固な硬質相形態で予備分散体を得る。希釈を、ほとんど剪断することなく部分的に、118.0gの完全に脱塩した水で行い、得られた分散液を0.3gの80%酢酸水溶液で安定化させる。平均粒径141nmの乳白色の分散体が得られる。分散体を乾燥機によって注意して脱気する。
【0226】
本発明の分散体E7〜E15は、アミノ官能性有機シリコン化合物(F)を含んでなるエマルジョンFE20と、表1に示す割合で混合される。
【0227】
全ての場合において、均一かつ保存安定性がある乳白色の配合物が得られる。
【0228】
【表2】
【0229】
実施例31:繊維性基材を仕上げるための本発明の水性分散液の使用:
表1に示す配合物を、5gの酢酸ジルコニウム(IV)水溶液(ZrO
2含有量:22重量%)と混合する。得られた織物の仕上げ用混合物を、水で1リットルのリキュールにまで希釈し、次に以下の通りにシート状の織物構造物へ適用する。
【0230】
基本重量185g/m2である、漂白された未処理ポリエステル木綿ポプリン(PET65%、CO35%)のDIN A4サイズ片が使用される。
【0231】
ファブリックを各ケースの中において水性液中へ浸漬し、次いで、50%の湿式ピックアップに向けて2本ロールパッドマングルで圧搾し、引き伸ばし、そして150℃で5分間、Mathis実験室テンターフレーム中において乾燥させる。その後、この物質を23℃かつ湿度60%のコンディショニングチャンバ内で72時間コンディショニングして、疎水化の測定の目的のため充分にコンディショニングする。
【0232】
噴霧試験が行われた後、織物は、コンディショニングチャンバ内の洗浄ライン上で一晩乾燥される。
【0233】
洗濯堅牢度特性を調べるために、MIELE Softtronic W1935家庭用洗濯機で、エクスプレス20洗浄プログラムを用いて40℃にて20分間、仕上げ済み織物の全てを約2kgのバラストファブリックと共に一度洗浄し、紡糸する。洗濯界面活性剤として、5gのHenkel「Spee Feinwaschmittel」液体洗濯用洗剤を添加する。
【0234】
その後、材料を乾燥させ、コンディショニングチャンバ内において23℃かつ湿度60%で、少なくとも12時間コンディショニングする。
【0235】
洗浄の結果生じる折り皺を除去するために、試験試料は、セッティングIIにおいてPhilips Azur4043鉄を用いてアイロンがけする。次に、記事見本を、噴霧試験法によって再び疎水性について試験する。
【0236】
表2は仕上げ済み織物の結果を概説する。
【0237】
【表3】
【0238】
表2に示す配合物で仕上げられた織物の全ては、良好な噴霧試験結果(100)、さらには非常に良好な洗濯堅牢特性を示す。
【0239】
さらに、実施例の指示に従って仕上げられた織物の全ては、心地が良く柔軟な手触りを示す。