特許第6961695号(P6961695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6961695-環状ジアミンを含む水溶性単位用量物品 図000009
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961695
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】環状ジアミンを含む水溶性単位用量物品
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/30 20060101AFI20211025BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20211025BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20211025BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20211025BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20211025BHJP
   C11D 1/22 20060101ALI20211025BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20211025BHJP
   C11D 1/75 20060101ALI20211025BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20211025BHJP
   B65D 65/46 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   C11D3/30
   C11D17/04
   C11D17/08
   C11D1/14
   C11D1/29
   C11D1/22
   C11D1/04
   C11D1/75
   C11D1/72
   B65D65/46
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-526207(P2019-526207)
(86)(22)【出願日】2017年7月31日
(65)【公表番号】特表2019-523339(P2019-523339A)
(43)【公表日】2019年8月22日
(86)【国際出願番号】US2017044652
(87)【国際公開番号】WO2018026702
(87)【国際公開日】20180208
【審査請求日】2019年1月30日
(31)【優先権主張番号】16182696.1
(32)【優先日】2016年8月4日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】17170753.2
(32)【優先日】2017年5月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】キューレールス、ロビー・レニルド・フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】シットコ、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ブートイユ、アリス・ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】サマーヴィル・ロバーツ、ナイジェル・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ブルーカー、アラン・トーマス
【審査官】 井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−529243(JP,A)
【文献】 特表2004−532078(JP,A)
【文献】 特表2011−513507(JP,A)
【文献】 特表2017−514940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00 ー 19/00
B65D 65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性フィルムと、液体洗剤組成物と、を含む、水溶性単位用量物品であって、前記液体洗剤組成物は、前記液体洗剤組成物の0.1重量%〜5重量%の環状ジアミンを含み、前記環状ジアミンは、2−メチルシクロヘキサン−1,3−ジアミン、4−メチルシクロヘキサン−1,3−ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記液体洗剤組成物は、前記液体洗剤組成物の5重量%〜35重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤を含み、前記非石鹸アニオン性界面活性剤は、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、アルコキシル化アルキルサルフェート、又はこれらの混合物を含む、水溶性単位用量物品。
【請求項2】
前記液体洗剤組成物が石鹸を含む、請求項1に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項3】
前記非石鹸アニオン性界面活性剤が、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート及びアルコキシル化アルキルサルフェートを含む、請求項1又は2に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項4】
前記液体洗剤組成物が、両性界面活性剤を含み、前記両性界面活性剤が、アミンオキシドを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項5】
前記液体洗剤組成物が、非イオン性界面活性剤を含み、前記非イオン性界面活性剤は、脂肪族アルコールアルコキシレート、オキソ合成脂肪族アルコールアルコキシレート、ゲルベアルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコールアルコキシレート、又はこれらの混合物から選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項6】
前記非石鹸アニオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との重量比は1:1〜20:1である、請求項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項7】
前記液体洗剤組成物が、前記液体洗剤組成物の1重量%〜25重量%の前記非イオン性界面活性剤を含む、請求項又はに記載の水溶性単位用量物品。
【請求項8】
前記液体洗剤組成物が、洗濯洗剤組成物である、請求項1〜のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項9】
前記水溶性フィルムが、ポリマー水溶性フィルムである、請求項1〜のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項10】
前記液体洗剤組成物が、TA Rheometer AR2000を25℃で使用して測定したとき、0.5s-1の剪断速度で、少なくとも2Pa・sの粘度を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項11】
請求項1〜1のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品を十分な水に加えて前記液体洗剤組成物を少なくとも300倍に希釈し、洗浄液を作製する工程と、被洗浄物を前記洗浄液に接触させる工程と、を含む、洗浄方法。
【請求項12】
再封止可能な容器と、前記容器内に含まれる請求項1〜1のいずれか一項に記載の少なくとも1つの水溶性単位用量物品と、を含む、パッケージ製品。
【請求項13】
優れた油脂洗浄の利点及び早期破裂した水溶性単位用量物品からの液体漏出の減少、水溶性単位用量物品の水中における溶解の改善、又はこれらの組み合わせを提供するための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品内に含まれる液体洗剤組成物中の環状ジアミンの使用であって、前記環状ジアミンは、2−メチルシクロヘキサン−1,3−ジアミン、4−メチルシクロヘキサン−1,3−ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状ジアミンを含む水溶性単位用量物品及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性単位用量物品は、その利便性と使い易さから消費者に好まれる。消費者はまた、洗剤の投入量を計量する必要がないことにより、計量操作中の偶発的な漏出をなくすという事実を好む。偶発的な計量は、面倒かつ不便であり得る。
【0003】
しかし、水溶性単位用量物品の課題は、使用前の早期破裂の可能性である。特に、洗剤組成物が液体である場合、早期破裂は、保管容器中及び計量操作中の両方で、漏出をもたらし、面倒な状態を引き起こし得る。更に、容器内での漏出は、隣接する単位用量物品に悪影響を及ぼす場合があり、これは、破裂した単位用量物品の使用だけでなく、隣接する単位用量物品の使用も面倒かつ不便になることを意味する。
【0004】
破裂した単位用量物品からの漏出量を減らすために、液体洗剤組成物の粘度を増大させることができる。しかしながら、そのような粘度の増大には、レオロジー変性剤の使用を要する。レオロジー変性剤は、洗浄効果の利点を提供せず、粘度を増大させることのみに作用する。これは、成分を配合するための空間が限られている水溶性単位用量物品において問題となり得る。したがって、レオロジー変性剤の添加は、レオロジー変性剤を配合するための空間を作るために洗浄活性剤の量を小さくすることから、洗浄性能に悪影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、早期破裂した単位用量物品から漏出する液体洗剤の量を最小限に抑えながらも、優れた洗浄性能又は更には改善された洗浄性能を提供する水溶性単位用量物品が、当該技術分野において求められている。また、液体洗剤組成物の水中における溶解への影響を最小限に抑え、好ましくは溶解を更に改善しつつ、早期破裂した単位用量物品から漏出する液体洗剤の量を最小限に抑えることが望まれている。
【0006】
驚くべきことに、液体洗剤組成物を含む水溶性単位用量物品であって、液体洗剤組成物が環状ジアミンを含む、水溶性単位用量物品が、上述の技術上の問題を解決することが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、水溶性フィルムと、液体洗剤組成物と、を含む、水溶性単位用量物品であって、この液体洗剤組成物は、環状ジアミンを含み、好ましくは、洗剤組成物の0.1〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%の環状ジアミンを含み、環状ジアミンは、式(I)の式(I):
【0008】
【化1】
式中、Rのうちの2つは、NH2、(C1〜C4)NH2、及びこれらの混合物からなる群から選択され、残りのRは、独立して、H、1〜10個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル又はアルケニルから選択され、液体洗剤組成物は、非石鹸アニオン性界面活性剤を含み、非石鹸アニオン性界面活性剤は、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、アルコキシル化アルキルサルフェート、又はこれらの混合物を含む、水溶性単位用量物品。
【0009】
本発明の第2の態様は、本発明に係る水溶性単位用量物品を十分な水に加えて液体洗剤組成物を少なくとも300倍に希釈し、洗浄液を作製する工程と、被洗浄物を当該洗浄液に接触させる工程と、を含む、洗浄方法である。
【0010】
本発明の第3の態様は、再封止可能な容器と、当該容器内に含まれる本発明に係る少なくとも1つの水溶性単位用量物品と、を含む、パッケージ製品である。
【0011】
本発明の第4の態様は、優れた油脂洗浄の利点及び早期破裂した単位用量物品からの液体漏出の減少、水溶性単位用量物品の水中における溶解の改善、又はこれらの組み合わせを提供するための、本発明に係る水溶性単位用量物品内に含まれる液体洗剤組成物中の環状ジアミンの使用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】液体洗剤放出試験の基本構成の略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
水溶性単位用量物品
本発明は、水溶性フィルムと、液体洗剤組成物と、を含む、水溶性単位用量物品を開示する。水溶性フィルム及び液体洗剤組成物について、以下により詳細に説明する。
【0014】
水溶性単位用量物品は、単位用量物品が水溶性フィルムによって取り囲まれた少なくとも1つ内部区画を含むような形状の水溶性フィルムを含む。単位用量物品は、内部区画を画定するように互いに封止された、第1の水溶性フィルムと、第2の水溶性フィルムとを含んでよい。水溶性単位用量物品は、保管中に洗剤組成物が区画から漏れ出さないように構成される。しかし、水溶性単位用量物品を水に添加する際、水溶性フィルムが溶解して、内部区画の内容物が洗浄液中に放出される。
【0015】
区画は、洗剤組成物を保持する、単位用量物品内の密閉された内部空間を意味する、と理解すべきである。製造中、第1の水溶性フィルムは、洗剤組成物が添加される開口区画を含むような形状でよい。次に、区画の開口部を閉じる向きで、第1のフィルムを第2の水溶性フィルムで覆う。第1及び第2のフィルムを、次に、封止領域に沿って共に封止する。
【0016】
単位用量物品は、2つ以上の区画、更には少なくとも2つの区画、又は更には少なくとも3つの区画を含んでよい。区画は、重ね合わせる配向で、即ち、一方が他方の上に位置するように配置されてよい。このような配向では、単位用量物品は、上部、中央及び下部の3つのフィルムを含む。あるいは、区画は、平行した配向で、即ち、一方が他方に隣接する配向で位置してよい。区画は、更に「タイヤ及びリム」配置での配向であってよく、即ち、第1の区画が第2の区画に隣接して位置するが、第1の区画が第2の区画を少なくとも部分的に取り囲み、しかし、第2の区画を完全には囲まない。あるいは、1つの区画が別の区画内に完全に囲まれてもよい。
【0017】
単位用量物品が少なくとも2つの区画を含む場合、区画のうちの1つがその他の区画より小さくてもよい。単位用量物品が少なくとも3つの区画を含む場合、区画のうちの2つが第3の区画より小さくてもよく、また好ましくは小さい方の区画が大きい方の区画上に重ね合わせられていてもよい。重ね合わせられた区画は、好ましくは平行して配向される。
【0018】
多区画配向では、本発明による洗剤組成物が区画の少なくとも1つ内に含まれてもよい。例えば、洗剤組成物は1つの区画のみに含まれてもよく、あるいは2つの区画、又は更には3つの区画に含まれてもよい。
【0019】
各区画は、同一の組成物又は異なる組成物を含んでもよい。異なる組成物は全て同一形態であってもよい、又は異なる形態であってもよい。
【0020】
水溶性単位用量物品は少なくとも2つの内部区画を含んでよく、液体洗濯洗剤組成物が本区画の少なくとも1つ内に含まれ、好ましくは、単位用量物品が少なくとも3つの区画を含み、洗剤組成物が本区画の少なくとも1つ内に含まれる。
【0021】
水溶性フィルム
本発明のフィルムは、水溶性又は水分散性である。水溶性フィルムは、好ましくは、ポリビニルアルコール又はそのコポリマーを含む。好ましくは、水溶性フィルムは、少なくとも2種の異なるポリビニルアルコールホモポリマー、少なくとも2種の異なるポリビニルアルコールコポリマー、少なくとも1種のポリビニルアルコールホモポリマーと少なくとも1種のポリビニルアルコールコポリマー、又はこれらの組み合わせの配合物を含む。
【0022】
好ましくは、水溶性フィルムは、単位用量物品への変形前に、50マイクロメートル〜100マイクロメートル、好ましくは70マイクロメートル〜90マイクロメートルの厚さを有する。
【0023】
好ましくは、最大孔径が20μmのガラスフィルタの使用後に、本明細書に記載の方法によって測定したフィルムの水溶性は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%である。
【0024】
予め秤量した3Lのビーカーに、5グラム±0.1グラムのフィルム材料を添加し、2L±5mLの蒸留水を添加する。これを、電磁攪拌器(Lablineモデル番号1250又は等価物)及び5cmの電磁攪拌子により、30℃にて30分間、600rpmで激しく攪拌する。その後、混合物を、上記で定義した孔径(最大20μm)の折り畳んだ定性分析用焼結ガラス濾過器により濾過する。任意の従来の方法によって、回収した濾液から水を乾燥させ、残った材料の重量を求める(これが溶解画分又は分散画分である)。次に、溶解度又は分散性の百分率を計算することができる。
【0025】
好ましいフィルム材料は、好ましくはポリマー材料である。フィルム材料を、当該技術分野において公知の、例えば、ポリマー材料の注型成形、吹込成形、押出成形又は吹込押出成形によって得ることができる。
【0026】
パウチ材料として使用するのに好適な好ましいポリマー、コポリマー、又はそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタン及びカラゴムなどの天然ゴムから選択される。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、パウチ材料中のポリマー、例えば、PVAポリマーの濃度は、少なくとも60%である。ポリマーは、任意の重量平均分子量を有してもよく、好ましくは、約1000〜1,000,000、より好ましくは、約10,000〜300,000、更により好ましくは、約20,000〜150,000である。
【0027】
好ましくは、水溶性単位用量物品は、ポリビニルアルコールを含む。
【0028】
また、ポリマーの混合物をパウチ材料として使用してもよい。これは、その用途及び必要とされるニーズに応じて、区画又はパウチの機械的特性及び/又は溶解特性を制御するのに有益であり得る。好適な混合物には、例えば、1つのポリマーの水溶性が別のポリマーよりも高く、及び/又は1つのポリマーの機械的強度が別のポリマーよりも高い、混合物が挙げられる。また、異なる重量平均分子量のポリマーの混合物、例えば、約10,000〜40,000、好ましくは20,000前後の重量平均分子量のPVA又はそのコポリマーと、約100,000〜300,000、好ましくは150,000前後の重量平均分子量のPVA又はそのコポリマーとの混合物も好適である。また、ポリマーブレンド組成物、例えば、加水分解により分解可能な水溶性のポリマーブレンド(ポリラクチド及びポリビニルアルコールを混合することにより得られ、典型的には約1〜35重量%のポリラクチドと、約65〜99重量%のポリビニルアルコールとを含む、ポリラクチドとポリビニルアルコールとのポリマーブレンドなど)を含むポリマーブレンド組成物も、本明細書において好適である。
【0029】
本明細書において使用するのに好ましいものは、約60%〜約98%加水分解され、好ましくは約80%〜約90%加水分解され、材料の溶解特性が向上したPVAポリマーである。
【0030】
好ましいフィルムは、冷水、すなわち、加熱されていない蒸留水中で良好な溶解を呈するものである。好ましくは、このようなフィルムは、24℃、更により好ましくは10℃の温度で、良好な溶解を呈する。良好な溶解とは、上述の最大孔径が20μmのガラスフィルタの使用後に、本明細書に記載の方法により測定したフィルムの呈する水溶性が、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%であることを意味する。
【0031】
好ましいフィルムは、Monosolにより供給されるものである。
【0032】
PVA樹脂は、本明細書に記載されるフィルム内の全PVA樹脂含有量の、約30〜約85重量%の第1のPVAポリマー、又は約45〜約55重量%の第1のPVAポリマーを含むことができる。例えば、PVA樹脂は、各PVAポリマーを約50重量%含有することができ、第1のPVAポリマーの粘度は約13cPであり、第2のPVAポリマーの粘度は約23cPである(20℃で脱塩水中の4%ポリマー溶液として測定)。
【0033】
好ましくはこのフィルムは、少なくとも2つの異なるポリビニルアルコールホモポリマー及び/又はコポリマーの配合物を含む。
【0034】
最も好ましくは、この水溶性フィルムは、少なくとも2つの異なるポリビニルアルコールホモポリマーの配合物を含み、特に平均分子量が異なる少なくとも2つの異なるポリビニルアルコールホモポリマーの配合物を含み、特に、2つの異なるポリビニルアルコールホモポリマーの配合物の、第1のPVOHホモポリマーと第2のPVOHホモポリマーについて、平均粘度の差の絶対値|μ−μ|が、脱塩水中の4%ポリマー溶液として測定したとき、5cP〜約15cPの範囲であり、かつ、両方のホモポリマーが、85%〜95%、好ましくは85%〜90%の平均加水分解度を有する、2つの異なるポリビニルアルコールホモポリマーの配合物を含む。第1のホモポリマーは好ましくは、平均粘度が10〜20cP、好ましくは10〜15cPであり、第2のホモポリマーは好ましくは、平均粘度が20〜30cP、好ましくは20〜25cPである。最も好ましくは、この2つのホモポリマーは、40/60〜60/40の重量%の比率で配合される。
【0035】
あるいは、この水溶性フィルムは、ポリビニルアルコールとアニオン変性モノマー単位とを含む少なくとも1種のコポリマーを含有するポリマーブレンドを含む。特に、このポリマーブレンドは、ポリビニルアルコールホモポリマーと、ポリビニルアルコール及びアニオン変性モノマー単位を含むコポリマーとを、90/10〜50/50の重量%比率で含み得る。あるいは、このポリマーブレンドは、ポリビニルアルコール及びアニオン変性モノマー単位を含む2つの異なるコポリマーを、90/10〜10/90の重量%比率で含み得る。
【0036】
PVOHコポリマーに使用できるアニオン性モノマー単位の一般的な種類は、モノカルボン酸ビニルモノマー、そのエステル及び無水物、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、そのエステル及び無水物、ビニルスルホン酸モノマー、並びに前述のいずれかのアルカリ金属塩に対応するビニル重合単位を含む。好適なアニオン性モノマーの例としては、ビニルアニオン性モノマーに対応するビニル重合単位が挙げられ、このビニルアニオン性モノマーには、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メチルアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルアクリレート、上記のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又は他のアルカリ金属塩)、上記のエステル(例えば、メチル、エチル、又は他のC〜C又はCアルキルエステル)、及びこれらの組み合わせ(例えば、複数のタイプのアニオン性モノマー、又は同じアニオン性モノマーの同等物)が挙げられる。一態様において、このアニオン性モノマーは、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(例えば、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メチルアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、そのアルカリ金属塩(例えばナトリウム塩)、及びこれらの組み合わせのうちの1つ又は2つ以上であり得る。一態様において、このアニオン性モノマーは、マレイン酸モノメチル、そのアルカリ金属塩(例えばナトリウム塩)、及びこれらの組み合わせのうちの1つ又は2つ以上であり得る。
【0037】
PVOHコポリマーにおける1種又は2種以上のアニオン性モノマー単位の組み込みのレベルは、特に限定されない。いくつかの態様において、1種又は2種以上のアニオン性モノマー単位は、PVOHコポリマー中に、個別に又は合計で、約2モル%〜約10モル%の範囲の量で存在する(例えば、種々の実施形態において、少なくとも2.0、2.5、3.0、3.5若しくは4.0モル%、かつ/又は最大約3.0、4.0、4.5、5.0、6.0、8.0若しくは10モル%)。
【0038】
当然のことながら、異なるフィルム材料及び/又は異なる厚さのフィルムを、本発明の区画の作製に用いてよい。異なるフィルムを選択する利点は、得られる区画が異なる溶解性又は放出特性を呈し得ることである。
【0039】
また、本明細書のフィルム材料は、1つ又は2つ以上の添加剤含有成分を含んでもよい。例えば、可塑剤、例えばグリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール、及びこれらの混合物を加えることが有益であり得る。他の添加剤としては、水及び機能性洗剤添加剤を挙げることができ、それは、洗浄水に送達される界面活性剤、例えば有機ポリマー分散剤などをはじめとするものでよい。
【0040】
フィルムは、不透明でも、透明でも、半透明でもよい。フィルムは、プリントされた領域を含んでもよい。プリントされた領域は、フィルム表面の10%〜80%、又は区画の内部空間と接触しているフィルム表面の10%〜80%、又はフィルム表面の%10〜80%及び区画表面の10%〜80%に及んでいてよい。
【0041】
印刷領域は、フィルムの連続した部分に及んでいてもよく、又は連続した部分の一部、即ち印刷の狭い方の領域に及んでいてもよく、その合計が、フィルム表面若しくは区画の内部空間と接触するフィルム表面、又はその両方の10%〜80%に相当する。
【0042】
印刷領域は、インク、顔料、染料、青味剤、又はこれらの混合物を含んでよい。印刷領域は、不透明でも、半透明でも、透明でもよい。
【0043】
印刷領域は単色を含んでもよい、又は複数色、更には3色を含んでもよい。印刷領域は、白色、黒色、青色、赤色、又はこれらの混色を含んでもよい。印刷は、フィルム表面上に層として存在してよい、又はフィルム内に少なくとも部分的に浸透していてもよい。フィルムは、第1の面及び第2の面を含む。印刷領域は、フィルムのいずれかの片面上に存在してよい、又はフィルムの両面上に存在してよい。あるいは、印刷領域は、フィルム本体内に少なくとも部分的に含まれてよい。
【0044】
プリント領域はインクを含んでもよく、インクは顔料を含む。フィルム上にプリントするためのインクは、好ましくは所望の水中分散等級のものである。インクは、白色、赤色、及び黒色をはじめとする任意の色でよい。インクは、重量当たり10%〜80%、又は20%〜60%、又は25%〜45%の水を含む水系インクでよい。インクは、重量当たり20%〜90%、又は40%〜80%、又は50%〜75%の固形分を含んでもよい。
【0045】
インクの粘度は、剪断速度1000s−1、20℃で測定し、1〜600cPs、又は50〜350cPs、又は100〜300cPs、又は150〜250cPsであってよい。この測定結果は、TA Instruments AR−550レオメータでコーンプレート形状により得ることができる。
【0046】
印刷領域は、フレキソ印刷又はインクジェット印刷などの標準的な技術を使用して得ることができる。好ましくは、印刷領域はフレキソ印刷を介して得られ、この場合、フィルムが印刷された後、開口区画の形状に成形される。次に、この区画に洗剤組成物が充填され、また区画上方に第2のフィルムが配置され、かつ第1のフィルムへと封止される。印刷領域は、フィルムの片面上にあっても、両面上にあってもよい。
【0047】
あるいは、フィルムの全部又は少なくとも一部が着色されるように、インク又は顔料をフィルムの製造中に追加してよい。
【0048】
フィルムは、嫌悪剤、例えば苦味剤を含んでもよい。好適な苦味剤としては、ナリンギン、サッカロースオクタアセテート、塩酸キニーネ、デナトニウムベンゾエート、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の好適な濃度の嫌悪剤をフィルムに使用してよい。好適な濃度としては、1〜5000ppm、又は更には100〜2500ppm、又は更には250〜2000ppmが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
液体洗剤組成物
水溶性単位用量物品は、液体洗剤組成物を含む。「液体洗剤組成物」という用語は、例えば家庭用洗濯機内で衣類を洗浄するなどの、ある物品又は表面を濡らし、処理することが可能な液体を含む、任意の洗剤組成物を意味し、限定するものではないが、液体、ゲル、ペースト、分散液などが挙げられる。液体組成物は、固体又は気体を適宜分割された形態で含み得るものであるが、液体組成物としては、錠剤又は顆粒等の、全体として非流動性の形態は除外する。
【0050】
液体洗剤組成物は、好ましくは、洗濯洗剤組成物、自動食器洗い組成物、硬質表面洗浄剤、及びこれらの混合物から選択される。
【0051】
液体洗剤組成物は、完全に製剤化された消費者製品として使用してもよく、又は1つ以上の更なる成分に添加して、完全に製剤化された消費者製品を作製してもよい。
【0052】
液体洗剤組成物は、布地を洗浄液に加える前に、布地、好ましくは布地の染みに加える「前処理」組成物であってもよい。
【0053】
液体洗剤組成物は、布地手洗い操作に使用されてもよいし、自動洗濯機での布地洗濯操作に使用されてもよい。
【0054】
液体洗剤組成物は、式(I):
【0055】
【化2】
の環状ジアミンを含み、式中、Rのうちの2つは、NH2、(C1〜C4)NH2、及びこれらの混合物からなる群から選択され、残りのRは、独立して、H、1〜10個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル又はアルケニルから選択される。
【0056】
用語「環状ジアミン」は、本明細書において、単一の洗浄アミン及びこれらの混合物を包含する。当該アミンは、それが使用される洗浄媒体のpHに依存してプロトン化に供され得る。
【0057】
式(I)のアミンは、2つの一級アミン官能基を有する環状アミンである。一級アミンは、環における任意の位置に存在し得るが、油脂洗浄の観点で、一級アミンが1,3位に存在するときにより良好な性能を得ることができることが判明している。また、置換基のうちの1つが−CH3であり、残りがHであるアミンが油脂洗浄の観点で有利であることも判明している。
【0058】
好ましくは、式Iの「残りのR」は、H、CH3、及びこれらの混合物から選択される。
【0059】
式Iに関して、NH2、(C1〜C4)NH2、及びこれらの混合物からなる群から選択される2つのRは、好ましくは、式IのR1及びR3の位置にある。
【0060】
環状ジアミンは、
【0061】
【化3】


及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0062】
環状ジアミンは、1,3−ビス(メチルアミン)−シクロヘキサン、2−メチルシクロヘキサン−1,3−ジアミン、4−メチルシクロヘキサン−1,3−ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0063】
液体洗剤組成物は、液体洗剤組成物の0.1重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜2重量%の環状ジアミンを含み得る。
【0064】
液体洗剤組成物は、非石鹸アニオン性界面活性剤を含む。液体洗剤組成物は、界面活性剤を含み得、好ましくは、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、両性界面活性剤から選択される。好ましくは、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される。
【0065】
アニオン性界面活性剤は、石鹸を含み得る。非石鹸アニオン性界面活性剤は、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、アルコキシル化アルキルサルフェート、又はこれらの混合物を含む。好ましくは、非石鹸アニオン性界面活性剤が直鎖状アルキルベンゼンスルホネート及びアルコキシル化アルキルサルフェートを含む場合、直鎖状アルキルベンゼンスルホネートとアルコキシル化アルキルサルフェートとの重量比は、2:1〜1:8、好ましくは1:1〜1:5、最も好ましくは1:1.25〜1:4である。
【0066】
液体洗濯洗剤組成物は、液体洗剤組成物の5重量%〜45重量%、好ましくは10重量%〜40重量%、より好ましくは15重量%〜35重量%、最も好ましくは20重量%〜30重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤を含み得る。
【0067】
液体洗濯洗剤組成物は、液体洗濯洗剤組成物の5重量%〜35重量%、好ましくは5重量%〜20重量%、より好ましくは5重量%〜15重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤を含み得る。
【0068】
両性界面活性剤は、アミンオキシドを含み得、より好ましくは、アミンオキシドは、C12〜14ジメチルアミンオキシド又はC12〜14アミドプロピルジメチルアミンオキシドから選択され、好ましくはC12〜14ジメチルアミンオキシド、最も好ましくは直鎖状C12〜14ジメチルアミンオキシドから選択される。両性界面活性剤、好ましくはアミンオキシド界面活性剤を含む場合、液体洗濯洗剤組成物は、液体洗剤組成物の0.01重量%〜20重量%、好ましくは0.2重量%〜15重量%、より好ましくは0.5重量%〜10重量%、最も好ましくは1重量%〜5重量%の両性界面活性剤、好ましくはアミンオキシド界面活性剤を含む。
【0069】
液体洗剤組成物は、非イオン性界面活性剤を含み得、好ましくは、非イオン性界面活性剤は、脂肪族アルコールアルコキシレート、オキソ合成脂肪族アルコールアルコキシレート、ゲルベアルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコールアルコキシレート、又はこれらの混合物から選択される。好ましくは、非石鹸アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との重量比は、1:1〜20:1、好ましくは1.3:1〜15:1、より好ましくは1.5:1〜10:1である。
【0070】
液体洗濯洗剤組成物は、液体洗濯洗剤組成物の1重量%〜25重量%、好ましくは1.5重量%〜20重量%、最も好ましくは2重量%〜15重量%の非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0071】
液体洗剤組成物は、液体洗剤組成物の1重量%〜25重量%、好ましくは1.5重量%〜20重量%、より好ましくは1重量%〜25重量%、好ましくは1.5重量%〜20重量%、最も好ましくは2重量%〜15重量%の石鹸を含み得る。
【0072】
液体洗濯洗剤組成物は、洗浄ポリマー又はケアポリマーを含んでよく、好ましくは、洗浄ポリマー又はケアポリマーは、エトキシル化ポリエチレンイミン、アルコキシル化ポリアルキルフェノール、両親媒性グラフトコポリマー、ポリエステルテレフタレート、ヒドロキシエチルセルロール、カルボキシメチルセルロース、又はこれらの混合物から選択され得る。
【0073】
液体洗剤組成物は、色相染料、ポリマー、ビルダー、移染防止剤、分散剤、酵素、酵素安定剤、触媒材料、漂白剤、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、再付着防止剤、泡抑制剤、審美的染料、乳白剤、香料、香料送達系、構造化剤、ヒドロトロープ、加工助剤、顔料、及びこれらの混合物から選択される、補助成分を含んでもよい。
【0074】
好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、非ニュートン性である。理論に束縛されることを望むものではないが、非ニュートン液体は、ニュートン液体とは異なる特性を有し、より具体的には、非ニュートン液体の粘度は、剪断速度に依存せず、ニュートン液体は、適用される剪断速度に関わらず一定の粘度を有する。
【0075】
液体洗剤組成物は、TA Rheometer AR2000を25℃で使用して測定したとき、0.5s−1の剪断速度で、少なくとも2Pa・sの粘度を有し得、好ましくは、液体洗剤組成物は、TA Rheometer AR2000を25℃で使用して測定したとき、0.5s−1の剪断速度で、2Pa・s〜35Pa・s、好ましくは2.5Pa・s〜30Pa・as、より好ましくは3Pa・s〜25Pa・s、更により好ましくは5Pa・s〜20Pa・s、最も好ましくは10Pa・s〜16Pa・sの粘度を有する。
【0076】
液体洗剤組成物は、非水性溶媒を含み得る。非水性溶媒は、分子量300及び600のポリエチレングリコール(PEG)ポリマー、ジプロピレングリコール(DPG)、nブトキシプロポキシプロパノール(nBPP)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、グリセロール、エタノール、及びこれらの混合物を含む群から選択され得、好ましくは、非水性溶媒は、ジプロピレングリコール(DPG)、nブトキシプロポキシプロパノール(nBPP)、1,2−プロパンジオール、グリセロール、及びこれらの混合物を含む群から選択され得る。
【0077】
洗浄方法
本発明の更なる態様は、本発明に係る水溶性単位用量物品を十分な水に加えて液体洗剤組成物を少なくとも300倍に希釈し、洗浄液を作製する工程と、被洗浄物を当該洗浄液に接触させる工程と、を含む、洗浄方法である。
【0078】
パッケージ製品
本発明の更なる態様は、再封止可能な容器と、当該容器内に含まれる本発明に係る少なくとも1つの水溶性単位用量物品と、を含む、パッケージ製品である。
【0079】
当業者であれば、適切な保管容器を認識するであろう。好ましくは、保管容器は可撓性であり、好ましくは再密封可能であり、袋物であり、堅く、好ましくは再封止可能であり、タブ型容器又はこれらの混合であり、好ましくは、本保管容器は小児用安全蓋を備える。当業者であれば、好適な小児用安全蓋を認識するであろう。
【0080】
パッケージは、任意の好適な材料から作製することができる。容器は、金属材料、アルミニウム、プラスチック材料、ボール紙材料、ラミネート、セルロースパルプ材料、又はこれらの混合物から作製することができる。パッケージは、プラスチック材料、好ましくはポリオレフィン材料から作製することができる。パッケージは、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、PVC若しくはこれらの混合物、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリアミドなどのより耐久性のあるエンジニアリングプラスチックから作製することができる。容器の作製に使用される材料は、着色剤、防腐剤、可塑剤、紫外線安定剤、酸素、香料及び水分バリアリサイクル材料などの他の成分を含み得る。
【0081】
使用
本発明の更なる態様は、優れた油脂洗浄の利点及び早期破裂した単位用量物品からの液体漏出の減少、水溶性単位用量物品の水中における溶解の改善又はこれらの組み合わせを提供するための、本発明に係る水溶性単位用量物品内に含まれる液体洗剤組成物中の環状ジアミンの使用である。
【0082】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるものとして理解されるべきではない。むしろ、特に指示がない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【実施例】
【0083】
標準的な混合技術を使用して、以下の洗剤組成物を調製した。
【0084】
【表1】
Baxxodur ECX210:4−メチルシクロヘキサン−1,3−ジアミン及び2−メチルシクロヘキサン−1,3−ジアミンの環状ジアミン混合物、BASFから入手可能。
【0085】
50×50mmの設置面積、20.79mmの空洞深さ、及び34mLの空洞容積を伴う単一区画の水溶性単位用量物品を熱/真空成形により調製し、上記の組成物を充填した。Monosol社から市販されているM8630水溶性フィルムを使用した。
【0086】
参照洗剤組成物を含む参照単位用量物品は、本発明の範囲外であった。実施例Aの洗剤組成物を含む単位用量物品実施例Aは、本発明の範囲内であった。
【0087】
早期破裂放出試験法:
本試験方法は、最大100kN(キロニュートン)のロードセルを備えたInstron万能材料試験機(Instron Industrial Products(825 University Ave.,Norwood,MA 02062−2643))を使用して、ピンホールを含む単位用量物品から加圧時に流出する液体洗剤組成物の感度を決定する手法について記載する。本方法は、一定圧力(100N)で一定時間(3秒)、単位用量物品に圧力を加え、単位用量物品の重量を加圧前と加圧後に計測することによって、単位用量物品から流出した液体洗剤組成物の総量を重量的に決定するものである。
【0088】
試験は、フィルム/単位用量が加工後に一定状態になる時間を設けるために、単位用量物品の製造後2週間ですぐに実施する。本方法は、40〜50%の相対湿度(relative humidity、RH)及び22〜24℃の室内環境で実施する。単位用量物品は、試験に先立って、1時間、試験室環境に平衡化させる。試験直前に、直径1mmの針を用いて、単位用量物品の封止領域の下の側面にピンホールを手で施す。
【0089】
図1は、液体洗剤放出試験の基本構成の略図を示す。ピンホールを含む単位用量物品から放出された液体洗剤の量を測定するために、参照単位用量物品及び試験単位用量物品510を、機器の2つの圧縮プレート520、530の間に置く。単位用量物品のピンホール511の側壁は、単位用量物品から液体洗剤が自由に排出されるように、プレートで覆われないようにする。単位用量物品510は、封止フランジ領域540を包含する平面が、圧縮プレートによって加えられる力の方向(x方向)に対して水平かつ垂直に位置するように配置される。単一区画単位用量物品及び横並びの多区画単位用量物品について、空洞から洗剤の投入が可能である変形されるフィルムを下側の圧縮プレートと接触させ、封止されているフィルムを上側の圧縮プレートに接触させる。横並びの多区画単位用量物品では、液体洗剤を含む全ての個別の区画に、上述のように、封止領域の真下に穴を設ける。重ね合わせの単位用量物品では、最大容積部分を下側の圧縮プレートに接触させ、穴を1つ設ける。加圧するには、プレート520とプレート530との間の距離を狭める速度を150mm/分に設定し、100Nの圧力が単位用量物品に達したら、3秒間維持し、その後、圧力を解放する。単位用量物品の重量を加圧前と加圧後に計測する。その差分重量(グラム単位)が、単位用量物品から漏出した洗剤組成物の量に相当する。テストレッグ毎に3回繰り返し、洗剤組成物の平均損失値を報告する。
【0090】
単位用量物品の溶解試験方法:
単位用量物品の溶解試験方法は、経時的に導電率を測定することにより、水中における単位用量物品の溶解時間を定めることを目的とする。製造後、単位用量物品を23℃、50%RHで2週間保管して、洗剤組成物/フィルムを平衡化させる。
【0091】
5Lのガラスビーカー(直径17cm)を3Lの脱塩水(19〜21℃、導電率<5μS.cm)で満たす。4枚羽根のインペラ(直径10cm、モデル IKA R1345)を機械的攪拌器(種類:IKA Eurostar Power Control)に接続し、攪拌速度を70rpmに設定し、インペラの羽根の上部がビーカーの1000mLの目盛りに位置するように高さを調整する。導電率プローブ(種類:Mettler Toledo Seven Excellence)及び温度プローブは、プローブの底部がビーカーの2000mLの目盛りに位置するように高さを調整する。
【0092】
単位用量物品は、単位用量物品を、水溶液中の固定された再現可能な位置、すなわち、攪拌時に単位用量物品の中心点を外側の水カラムの高さの1/3に保持するのに十分な大きさの金属製ホルダー内に置く。ホルダーのメッシュサイズは、水の流れに実質的に影響を与えないように選択され、したがって、溶解実験に影響がないようにする。単位用量物品は、単位用量物品の封止面が垂直位置になるようにし、そのため水の流れに対して実質的に直交するように配置される。同様の大きさの単位用量物品を試験する場合、データのばらつきを最小限に抑えるために、異なる試験レッグに対して同じホルダーを再使用する。
【0093】
水溶液の導電率及び温度を全試験時間15分中5秒毎に測定し、測定は、単位用量物品を水溶液に浸漬し、ほぼ瞬時にその固定位置に置いたら、すぐに開始する。個別的導電率測定値を、以下の式に従って、完了値(%)に正規化する。
【0094】
【数1】
導電率(T)は、時点tで測定された導電率であり、最小導電率は、1回目、すなわち、水溶性パウチを浸漬したときの導電率測定点であり、最大導電率は、15分後に測定された導電率である。
【0095】
結果として、フィルム毎の個別的完了値(%)を全て累積し、3回の繰り返しの平均を報告する。累積した完了値(%)が高いほど、水溶性単位用量物品は速く溶解する。
【0096】
結果:
表2のデータから、本発明に係る環状ジアミン(実施例A)の単一変数添加が、圧力を加えたときに、本発明に係る環状ジアミンを含まない参照液体と比較して、ピンホールを設けた水溶性単位用量物品から漏出する液体の減少につながることは明らかである。
【0097】
【表2】
【0098】
以下の表3は、本発明に係る環状ジアミンを含む液体組成物では、ピンホールを設けた単位用量物品からの漏出が上記のように引き延ばされたにもかかわらず、溶解プロファイルの遅延を生じないことを示している。実際に、本発明に係る単位用量物品(実施例A)では、より迅速な単位用量物品の溶解が観察された。
【0099】
【表3】
図1