(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
タイヤシーラント層、シーラント層を含有するタイヤ、及びシーラント層−内側ライナーの組み合わせを製造するためのプロセスが、本明細書に開示される。また、シーラント層含有タイヤに関与する関連プロセスも本明細書に開示される。
【0010】
第1の実施形態では、タイヤシーラント層が開示される。タイヤシーラント層は、2〜8mmの厚さを有し、上面及び下面を有するゴム部分と、ゴム部分の下面上のバリア層と、を備える。第1の実施形態によると、バリア層が、ゴム部分に向かって面する内面、及びゴム部分から離れるように面する外面を有する。シーラント層のゴム部分は、(i)ブチルゴム(任意選択的にハロゲン化されたもの)、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−イソプレンゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴム、EPDM、ニトリルゴム、ポリイソブチレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、100部の少なくとも1つのゴムと、(ii)90〜500phrの少なくとも1つの粘着付与剤と、(iii)任意選択的に、55phr以下の総量の1つ以上の増量剤と、(iv)任意選択的に、0.5〜10phrの量の少なくとも1つの吸湿性物質と、(v)硬化パッケージと、の混合物を含む。
【0011】
第2の実施形態では、第1の実施形態のシーラント層を含有するタイヤが開示され、タイヤは、シーラント層が接着される半径方向内向きに面する表面を有する内側ライナーを含む。
【0012】
第3の実施形態では、シーラント層−内側ライナーの組み合わせを製造するためのプロセスが開示される。プロセスは、内側ライナーが半径方向内向きに面する表面及び半径方向外向きに面する表面を含む、タイヤ内側ライナーを提供することと、第1の実施形態によるシーラント層を提供することと、シーラント層を、ゴム部分の下面が半径方向外向きに面するように、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面、又はゴム部分の下面が半径方向外向きに面するように、内側ライナーの半径方向外向きに面する表面のいずれかに接着することと、を含み、それによって、シーラント層−内側ライナーの組み合わせを製造する。
【0013】
第4の実施形態では、使用済みタイヤの1つ以上の構成要素を回収するプロセスが提供される。プロセスは、第1の実施形態によるシーラント層、又は第2の実施形態のプロセスによって製造されたシーラント層−内側ライナーの組み合わせと、半径方向内向きに面する表面及び半径方向外向きに面する表面を含む内側ライナーと、を含有するタイヤを提供することであって、シーラント層が、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面、又は内側ライナーの半径方向外向きに面する表面のいずれかに接着されている、提供することと、シーラント層を内側ライナーから離すように分離することによって、シーラント層をタイヤから除去することと、を含む。
【0014】
第5の実施形態では、パンクしたタイヤを修復するためのプロセスが提供される。プロセスは、第1の実施形態によるシーラント層、又は第2の実施形態のプロセスによって製造されたシーラント層−内側ライナーの組み合わせと、半径方向内向きに面する表面及び半径方向外向きに面する表面を含む内側ライナーと、を含有するタイヤを提供することであって、シーラント層が、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面、又は内側ライナーの半径方向外向きに面する表面のいずれかに接着されており、タイヤが、シーラント層の一部分内に延在する、内側ライナーの少なくとも1つのパンク部を含有する、提供することと、少なくとも1つのパンク部を識別することと、(a)パンク部を取り囲むシーラント層の一部分を除去して、それによってシーラント層内に間隙を形成し、シーラントの新たな部分を間隙に接着すること、又は(b)シーラントの新たな部分をパンク部に付加すること、のいずれかによって少なくとも1つのパンク部を修復することと、を含み、それによって、パンクしたタイヤを修復する。
【0015】
定義
本明細書に記載する用語は、実施形態を説明するためだけのものであり、全体として本発明を限定すると解釈すべきではない。
【0016】
本明細書で使用するとき、「大部分」という用語は、50%超(例えば、50.5%、51%、60%など)を意味し、100%を包含してもよい。
【0017】
本明細書で使用するとき、「天然ゴム」という用語又はNRは、パラゴムノキ属のゴムの木及び非パラゴムノキ属の原料(例えば、グアユールゴムの木及びタンポポ(例えば、TKS))などの原料から採取することができるものなどの、天然由来のゴムを意味する。言い換えれば、「天然ゴム」という用語は、ポリイソプレンを含むと解釈すべきではない。
【0018】
本明細書で使用するとき、「phr」という用語は、ゴム100部当たりの部を意味する。100部のゴムは、100phrとも称され得る。非限定的な例として、例示的なシーラント組成物が、60部のブチルゴム、40部のEPDMゴム、及び100部のポリブテン粘着付与剤の混合物を含むとき、ポリブテン粘着付与剤の量は、100phrとして説明され得る。
【0019】
本発明で使用する場合、「ポリイソプレン」という用語は、合成ポリイソプレンを意味する。言い換えれば、この用語は、イソプレンモノマーから製造されたポリマーを示すために用いられ、また天然由来の天然ゴム(例えば、パラゴムノキ天然ゴム、グアユール起源の天然ゴム、又はタンポポ起源の天然ゴム)を含むと解釈すべきではない。用語ポリイソプレンはまた、「ポリイソプレンゴム」という用語及び略記「IR」と同じ意味で用いられる。
【0020】
本明細書で使用するとき、「半径方向内向き」という用語は、構成要素がタイヤの内側部分に近接して又は面して、位置付けられるか、又は配置されることを示す相対的な用語であり、路面接触トレッドが、一般的に、タイヤの半径方向最外部分であることの理解を伴う。非限定的な例として、タイヤ内のボディプライは、タイヤの路面接触トレッドの半径方向内向きに位置付けられている。
【0021】
本明細書で使用するとき、「半径方向外向き」という用語は、構成要素がタイヤの外側部分に近接して又は面して、位置付けられるか、又は配置されることを示す相対的な用語であり、路面接触トレッドが、一般的に、タイヤの半径方向最外部分であることの理解を伴う。非限定的な例として、タイヤの路面接触トレッドは、タイヤ内のボディプライの半径方向外向きに位置付けられる。
【0022】
本明細書で使用するとき、「内側ライナー」及び「タイヤ内側ライナー」という用語は、互換的に使用される。
【0023】
シーラント層
上述されたように、第1〜第5の実施形態によると、シーラント層は、上面及び下面を有するゴム部分と、バリア層と、を含む。シーラント層の全厚は、2〜8mmである。バリア層は、ゴム部分の下面上に存在し、バリア層は、ゴム部分に向かって面する内面、及びゴム部分から離れるように面する外面を有する。シーラント層がタイヤ内の内側ライナーと共に組み立てられたとき、バリア層は、内側ライナーの半径方向外向きにタイヤの残部を有して、ゴム部分と内側ライナーとの間にあることになる(バリア層の内面は、半径方向内向きに面することになり、バリア層の外面は、半径方向外向きに面することになる)か、又はバリア層は、ゴム部分とタイヤの残部との間にあることになるかのいずれかである(の内面は。シーラント層はまた、ゴム部分の上面と同等であり得る上面と、バリア層の外面と同等であり得る下面とを有するようにも説明され得る。シーラント層がタイヤ内の内側ライナーと共に組み立てられたとき、シーラント層の上面は、半径方向内向きに面し、シーラント層の下面は半径方向外向きに面する。
【0024】
以下により詳細に説明されるように、第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴム部分の上面又はシーラント層の上面は、粘着消失剤コーティングを更に含む。また、以下で更に詳細に論じられるように、第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、バリア層は、その内面、その外面、又はその内面及び外面の両方の上に接着剤を更に含み、特定のかかる実施形態では、バリア層は、その外側接着面上に除去可能な剥離層を更に含む。
【0025】
上述されたように、第1〜第5の実施形態によると、シーラント層の全厚は、2〜8mm(例えば、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、又は8mm)であり、かかる厚さは、ゴム部分及びバリア層の両方を含む。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層は、3〜6mm、3〜5mm、3〜4mm、又は4〜5mmの厚さを有する。本明細書で言及される厚さは、ノギスの使用などによって、シーラント層の上面(半径方向内向きに面することになる)からシーラント層の下面(半径方向外向きに面することになる)までを測定され得る。上記の全厚はまた、シーラント層の上面又はシーラント層のゴム部分の上面が、粘着消失剤コーティングを更に含む、第1〜第5の実施形態のうちのそれらの実施形態についてのシーラント層の厚さを包含することも意図され、これは、以下に更に詳細に説明されるように、かかるコーティングが、一般的に薄くなる(例えば、0.1mm未満、又は更に0.05mm未満)ことによる。同様に、上記の全厚はまた、シーラント層の一部として存在し得る任意の接着剤(例えば、ゴム部分とバリア層との間の接着剤、バリア層の外面上の接着剤)の厚さを包含することも意図される。
【0026】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、その幅にわたるシーラント層の厚さは、10%以下、5%以下、3%以下、又は更に2%以下で変化する。言い換えると、かかるシーラント層の厚さは、その幅にわたって実質的に一定であり、厚さを有するその幅にわたって5つ以上の位置で測定された測定値(上記のサイズのうちの1つによる)は、10%以下、5%以下、3%以下、又は更に2%以下で変化する。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、その幅にわたるシーラント層の厚さは、最も厚い中心部分と共に変化し、特定のかかる実施形態では、中心部分は、上述の範囲又は値のうちの1つに従った厚さを有する。シーラント層の厚さがその幅にわたって変化し、かつ中央部分が上記の範囲又は値のうちの1つに従う厚さを有する、第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、厚さは、シーラント層の外側エッジが最も薄い状態で外向きにテーパー付きになる。特定の実施形態では、シーラント層の中央部分は、シーラント層の全幅の25〜75%(例えば、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%)、他の実施形態では全幅の40〜60%を含み、中央部分の両側により薄いエッジを含む。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、中央部分は、内側部分の両側により薄いエッジを有する内側部分を構成し得るが、中心に置かれなくてもよい(例えば、各エッジ部分の幅は、同一ではない)。
【0027】
第1の実施形態の特定の実施形態では、提供されるシーラント層は、ベルトエッジ間で測定されたときに、タイヤの内側ライナーの半径方向内向きに面する表面の幅から5%以下で変化する幅を有する。かかるシーラント層を利用することは、内側ライナー表面(例えば、ベルトエッジ間で測定されるときの内側ライナーの半径方向内向きに面する表面の幅、又は内側ライナー表面の5%以下の幅)を十分に被覆するために、シーラント層の1つの片(又は周方向旋回量)のみがタイヤの内側ライナーに接着するために使用されればよく、それによって、複数片を必要とするか、又は内側ライナー表面の周囲の複数の周方向旋回量に少なくとも塗布されなければならない、シーラントのより薄い片の使用を回避する点で有利であり得る。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、タイヤのシーラント層は、ベルトエッジ間で測定されたときに、タイヤの内側ライナーの半径方向内向きに面する表面の幅から5%以下で変化する幅を有する。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層は、ベルトエッジ間で測定されたときに、タイヤの内側ライナーの半径方向内向きに面する表面の幅から、4%以下、3%以下、2%以下、又は1%以下で変化する幅を有する。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層は、ベルトエッジ間で測定されたときに、タイヤの内側ライナーの半径方向内向きに面する表面の幅に等しい幅を有する。第1の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層は、それが接着されることになるタイヤの内側ライナーの半径方向内向きに面する表面の幅から5%以下で変化する幅を有するように構成される。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層は、5〜25cm(例えば、5、8、10、12、15、17、20、22、25cm)又は8〜20cmの幅などの乗用タイヤと共に使用するために好適である幅を有する。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層は、幅15〜60cm(例えば、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60cm)又は20〜50cmの幅などのトラック又はバスのタイヤと共に使用するために好適である幅を有する。
【0028】
一般的に、第1〜第5の実施形態によると、シーラント層のゴム部分及びバリア層部分は、同一の幅を有することになる。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴム部分の幅及びバリア層の幅は、それらの相対的幅が互いの+又は−10%以内であり、特定の実施形態では、互いの+又は−5%以内であり得る点で実質的に同様である。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、バリア層は、ゴム部分の下面の表面積の実質的に全てを被覆するものとして説明され得、これは、ゴム部分の下面の表面積の少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は更には100%であることを意味する。
【0029】
シーラント層のゴム部分
上述されたように、第1〜第5の実施形態によると、シーラント層は、上面及び下面を有するゴム部分を含む。ゴム部分の上面は、シーラント層がタイヤ内の内側ライナーと組み立てられたときに、半径方向内向きに面することになる。同様に、ゴム部分の下面は、シーラント層がタイヤ内の内側ライナーと組み立てられたときに、半径方向外向きに面することになる。
【0030】
一般的に、第1〜第5の実施形態によると、ゴム部分は、シーラント層の厚さの大半を含むことになり、特定の実施形態では、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は更には少なくとも95%を含むことになり、これは、バリア層、及びシーラント層の一部として存在し得る任意の粘着消失剤コーティング又は接着剤が、一般的に、ゴム部分よりも非常に薄いことになるためである。
【0031】
シーラント層のゴム部分を含む成分の混合物は、標準的な混合プロセスを使用して調製され得る。様々な混合プロセスが、ゴム部分の成分を組み合わせるために使用され得る。特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む混合物は、ゴム(複数可)、粘着付与剤、任意の増量剤、及び任意の吸湿性物質を含む成分を提供することと、混合して、ゴム部分を形成するために使用される混合物を結果としてもたらすマスターバッチを形成することと、を含むプロセスによって調製される。特定のかかる実施形態では、最終バッチは、マスターバッチに硬化パッケージ成分を添加し、混合することによってマスターバッチから調製され、結果として生じる最終混合物が、ゴム部分を形成するために使用される。
【0032】
特定の実施形態では、2つ以上のマスターバッチ段階、例えば、初期マスターバッチに続いて少なくとも1つの追加のマスターバッチ工程が利用されてもよい。上記のプロセス選択肢はまた、(任意選択的に)シーラント層を含む成分の混合物を調製する際に利用されてもよい。
【0033】
マスターバッチ(複数可)及び最終バッチの調製は、一般的に、ゴム部分の成分(上記に開示された)を、当該技術分野において既知の方法、例えば、これらの成分をバンバリーミキサー又はロール機で混練するなど、共に混合することに関与し得る。本明細書で使用するとき、マスターバッチという用語は、当業者に既知であり、一般的に、加硫剤又は加硫促進剤を添加しない混合段階であると理解されている、非生産用混合段階を言及するように意図される。本明細書で使用するとき、最終バッチという用語もまた、当業者に既知であり、一般的に、混合物中に加硫剤及び加硫促進剤を添加する混合段階であると理解されている、生産用混合段階を言及するように意図される。
【0034】
特定の実施形態では、第1〜第5の実施形態のシーラント層のゴム部分を含む混合物は、約80℃〜約150℃(例えば、80、90、100、110、120、130、140又は150℃)の温度で実施されるマスターバッチ混合段階(複数可)を含むプロセスによって調製される。特定の実施形態において、第1〜第5の実施形態のシーラント層のゴム部分を含む混合物は、シーラント組成物の望ましくない予備硬化を回避するために、加硫温度未満の温度で実施される最終混合段階も含むプロセスによって調製される。したがって、生産用(又は最終)混合段階の温度は、約160℃(例えば、80、90、100、110、120、130、140、150、160℃)を超えるべきではなく、典型的には、約80℃〜約150℃である。特定の実施形態では、第1〜第5の実施形態のシーラント層のゴム部分を含む混合物は、少なくとも2つのマスターバッチ混合段階(上記の温度で実施され得る)を含むプロセスによって調製される。
【0035】
ゴム
上述されたように、第1〜第5の実施形態によると、シーラント層のゴム部分は、ブチルゴム(任意選択的にハロゲン化されたもの)、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−イソプレンゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴム、EPDM、ニトリルゴム、ポリイソブチレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、100部の少なくとも1つのゴムを含む成分の混合物を含む。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層の混合物中に使用される任意のポリブタジエンゴムは、好ましくは、少なくとも90%のシス結合含有率、更により好ましくは、少なくとも95%のシス結合含有率を有する。第1〜第5の実施形態のシーラント層のゴム部分を含む成分の混合物中のゴムとして使用するために好適なポリイソブチレンは、100,000グラム/モル超、好ましくは、少なくとも250,000グラム/モルの数平均分子量(Mn)を有するものであり、特定のかかる実施形態では、ポリイソブチレンゴムは、最大5,000,000のMnを有する。一般的に、より低いMn値を有するポリイソブチレンは、低エラストマー性又は低いゴム状弾性を呈し、その代わりに、粘着付与剤として使用するために好適な特性を有する。
【0036】
少なくとも1つのゴムがブチルゴム(任意選択的にハロゲン化されたもの)を含み得ることを記載することにより、少なくとも1つのゴムが、少なくとも1つのブチルゴム、少なくとも1つのハロゲン化ブチルゴム、又はこれらの組み合わせを含み得ることを意味する。ブチルゴムは、イソブチレン及び少量のジエン系モノマー、典型的にはイソプレン又はパラ・メチルスチレンのコポリマーである。よって、ブチルゴムのポリマー鎖は、典型的には高度に飽和した主鎖を有する。ブチルゴムは、典型的にはコポリマー内に約90重量%超のイソブチレンと約10%未満のジエン系モノマー(例えば、イソプレン又はパラ・メチルスチレン)を含有し、これには、コポリマー内に約90〜99.5重量%のイソブチレンと約10〜約0.5重量%のジエン系モノマー、約95〜99.5重量%のイソブチレンと約5〜約0.5重量%のジエン系モノマー、約96〜99重量%のイソブチレンと約4〜約1重量%のジエン系モノマー、約97〜98.5重量%のイソブチレンと約1.5〜約3重量%のジエン系モノマー、及び約98重量%のイソブチレンと約2重量%のジエン系モノマーを含む。典型的には、ジエン系モノマー(例えば、イソプレニル又はパラ・メチルスチレニル)単位は、ブチルゴムのポリマー鎖中にランダムに配置されている。本明細書に開示される第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態による、シーラント層のゴム部分を含む混合物の少なくとも1つのゴムとして使用するための好適なブチルゴムの非限定例としては、ブチルゴム、クロロブチルゴム、ブロモブチルゴム、フルオロブチルゴム、ヨードブチルゴム、これらのコポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのゴムは、ブロモブチルゴムを含む。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、少なくとも1つのゴムは、非ハロゲン化ブチルゴムを含み、特定のかかる実施形態では、ハロゲン化ブチルゴムは、シーラント層を含む混合物のゴムに含まれない。
【0037】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む成分の混合物中の100部の少なくとも1つのゴムは、重量の大半のブチルゴム(任意選択的にハロゲン化されたもの)、EPDM、又はこれらの組み合わせを含む。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む成分の混合物中の100部の少なくとも1つのゴムは、少なくとも60部のブチルゴム(任意選択的にハロゲン化されたもの)、EPDM、又はこれらの組み合わせを含み、代替的に記載されたかかる混合物は、少なくとも60重量%のブチルゴム(任意選択的にハロゲン化されたもの)、EPDM、又はこれらの組み合わせを有するものとして説明され得る。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む成分の混合物中の100部の少なくとも1つのゴムは、少なくとも70部、少なくとも80部、少なくとも85部、少なくとも90部、少なくとも95部、少なくとも98部、又は少なくとも99部のブチルゴム(任意選択的にハロゲン化されたもの)、EPDM、又はこれらの組み合わせを含む。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む成分の混合物中の100部の少なくとも1つのゴム全体が、ブチルゴム(任意選択的にハロゲン化されたもの)、EPDM、又はこれらの組み合わせを含む。上記による第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態(即ち、60部以上のゴムが、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、EPDMゴム、又はこれらの組み合わせを含む)では、90〜500phrの少なくとも1つの粘着付与剤は、ポリブテン(以下に更に説明される)、低分子量ポリイソブチレン(以下に更に説明される)、液体EPDM(以下に更に説明される)、又はこれらの組み合わせから選択される。
【0038】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む成分の混合物中の100部の少なくとも1つのゴムは、20部以下、10部以下、又は5部以下のニトリルゴムを含む。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む成分の混合物中の100部の少なくとも1つのゴムは、0部又は0phrのニトリルゴムを含む(即ち、ゴムはニトリルゴムを含まず、したがって、混合物全体は、ニトリルゴムを含まないとして説明され得る)。シーラント層での多量のニトリルゴムの使用は、そのシーラント特性を阻害し得る。
【0039】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む成分の混合物中の100部の少なくとも1つのゴムは、10部未満、5部未満、1部未満、又は更には0部の任意のブロックコポリマーエラストマーを含む。本明細書で使用するとき、ブロックコポリマーエラストマーという句は、スチレン系ポリマーの少なくとも1つのセグメント、及びエラストマー飽和オレフィンポリマーの少なくとも1つのセグメントを含むポリマーを含む(この非限定的な例としては、Kraton Polymers,LLC of Houston,Texasから入手可能なG1600及びG1700ゴムが挙げられる)。
【0040】
粘着付与剤
上述されたように、第1〜第5の実施形態によると、シーラント層のゴム部分は、90〜500phr(例えば、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、又は500phr)の少なくとも1つの粘着付与剤を含む成分の混合物を含む。第1〜第5の実施形態によると、1つ以上の粘着付与剤が利用されてもよい。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分は、110〜210phr(例えば、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210phr)の少なくとも1つの粘着付与剤、又は120〜190phr(例えば、120、130、140、150、160、170、180、190phr)の少なくとも1つの粘着付与剤を含む成分の混合物を含む。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層は、300〜450phr(例えば、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、又は450phr)の少なくとも1つの粘着付与剤を含む成分の混合物を含む。
【0041】
第1〜第5の実施形態のシーラント層のゴム部分を含む混合物中で利用される特定の粘着付与剤は、様々であり得る。本明細書で使用するとき、粘着付与剤という用語は、炭化水素樹脂(例えば、天然樹脂、合成樹脂、及びこれらの組み合わせ)及び低分子量ポリマー又はオリゴマーを包含する。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、低分子量ポリマー又はオリゴマーが、シーラント層を含む混合物中の粘着付与剤として利用されるとき、かかる成分は、700〜150,000グラム/モルの重量平均分子量、即ち、Mw、1000〜100,000グラム/モルのMw、若しくは1,500〜75,000グラム/モルのMw、及び/又は500〜100,000グラム/モルのMn、700〜90,000グラム/モルのMn、又は900〜50,000グラム/モルのMnを有するように理解され得る。本明細書に言及されるMw及びMn値は、ポリスチレン標準で較正されたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定され得る。
【0042】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層の少なくとも1つの粘着付与剤は、脂肪族モノマー(複数可)、芳香族モノマー(複数可)、又はこれらの組み合わせからなる、少なくとも1つの低分子量ポリマー又はオリゴマーを含む。モノマーの各種類の1つ以上、及びこれらの組み合わせが使用されてもよい。脂肪族モノマーは、直鎖、分枝鎖又は脂環式モノマーであってもよい。例示的な脂肪族モノマーとしては、C4パラフィン、C5パラフィン、C6パラフィン、オレフィン、共役ジエン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。脂肪族モノマーのより具体的な例としては、1,3−ブタジエン、ブテン、イソブチレン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、シクロペンタン、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−2−ブテン、2−メチル−2−ペンテン、イソプレン、シクロヘキサン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。芳香族モノマーは、1つ以上の炭化水素基で任意選択的に置換されてもよい。例示的な芳香族モノマーとしては、スチレン、インデン、C8芳香族、C9芳香族、C10芳香族、及びこれらの組み合わせが挙げられる。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つの粘着付与剤としては、ポリブテン(以下に更に詳細に説明される)、低分子量ポリイソブチレン(以下に更に詳細に説明される)、液体EPDM(以下に更に詳細に説明される)、液体若しくは低分子量ポリイソプレン(以下に更に詳細に説明される)、液体若しくは低分子量スチレン−ブタジエン(以下に更に詳細に説明される)、液体若しくは低分子量ポリブタジエン(以下に更に詳細に説明される)、又はこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つの低分子量ポリマー又はオリゴマーが挙げられる。
【0043】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つの粘着付与剤は、液体EPDMを備える(含む)。第1〜第5の実施形態の粘着付与剤としての使用に好適な液体EPDMは、一般的に、室温(23℃)で液体又は流動性である。粘着付与剤としての使用に好適な液体EPDMは、市販されており、これには、Lion Elastomers製のTrilene(登録商標)液体EPDM(例えば、Trilene(登録商標)67、Trilene(登録商標)77)が挙げられるが、これらに限定されない。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、液体EPDMは、50,000〜150,000センチポアズ、又は90,000〜130,000センチポアズの粘度(100℃で測定されたブルックフィールド粘度)を有する。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、液体EPDMは、20,000〜100,000グラム/モル(例えば、20,000、25,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000)、又は25,000〜75,000グラム/モルのMwを有する。
【0044】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つの粘着付与剤は、液体又は低分子量ポリイソプレンを備える(含む)。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、液体又は低分子量ポリイソプレンは、15,000〜100,000グラム/モル(例えば、15,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000)、又は25,000〜80,000グラム/モルのMwを有する。粘着付与剤としての使用に好適な液体又は低分子量ポリイソプレンは、市販されており、これには、Royal Adhesives&Sealant製のIsolene(登録商標)ポリイソプレン(例えば、Isolene(登録商標)40−S、Isolene(登録商標)400−S)、DPR Industries製のDPR(登録商標)ポリイソプレン(例えば、DPR(登録商標)35、DPR(登録商標)40、及びDPR(登録商標)75)、及びKuraray Co.,Ltd.製(例えば、LIR−30及びLIR−50)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つの粘着付与剤は、液体又は低分子量スチレン−ブタジエンを備える(含む)。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、液体又は低分子量スチレン−ブタジエンは、5,000〜70,000グラム/モル(例えば、5,000、7,500、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000)又は7,500〜50,000グラム/モル)のMwを有する。粘着付与剤としての使用に好適な液体又は低分子量スチレン−ブタジエンは、市販されており、これには、Kuraray Co.,Ltd.製(例えば、L−SBR−820及びL−SBR−841)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つの粘着付与剤は、液体又は低分子量ポリブタジエンを備える(含む)。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、液体又は低分子量ポリブタジエンは、5,000〜70,000グラム/モル(例えば、5,000、7,500、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000)又は7,500〜50,000グラム/モル)のMwを有する。粘着付与剤としての使用に好適な液体又は低分子量ポリブタジエンは、市販されており、これには、Kuraray Co.,Ltd.製(例えば、LBR−307、LBR−305、及びLBR−352)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つの粘着付与剤は、液体又は低分子量ポリブタジエンを備える(含む)。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、液体又は低分子量ポリブタジエンは、5,000〜70,000グラム/モル(例えば、5,000、7,500、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000)又は7,500〜50,000グラム/モル)のMwを有する。粘着付与剤としての使用に好適な液体又は低分子量ポリブタジエンは、市販されており、これには、Kuraray Co.,Ltd.製(例えば、LBR−307、LBR−305、及びLBR−352)が挙げられるが、これらに限定されない。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つの粘着付与剤は、極性基含有化合物で官能化された低分子量ポリブタジエンを備える(含む)。第1〜第4の実施形態のうちの他の実施形態では、少なくとも1つの粘着付与剤は、極性基含有化合物で官能化された別の(即ち、ポリブタジエン以外の)低ポリマー(上述されたような)を備え(含み)、非限定的な例として、上述された低分子量ポリイソプレンは、極性基含有化合物で官能化され得る。好適な極性基含有化合物の非限定例としては、無水物含有化合物(例えば、無水マレイン酸又は無水コハク酸)、カルボン酸含有化合物、リン酸含有化合物(例えば、リン酸化合物を含むホスホン酸又はその誘導体)、及び窒素含有化合物(例えば、置換又は非置換アミノ基、アミド残基、イソシアネート基、イミダゾリル基、インドリル基、ニトリル基、ピリジル基、及びケチミン基を含有する)が挙げられる。上記置換又は非置換アミノ基は、一級アルキルアミン、二級アルキルアミン、又は環状アミン、及び、置換又は非置換イミン由来のアミノ基を含むと理解されたい。様々な上記の極性基官能化低分子量ポリマーが、市販されており、その非限定例としては、Synthomerにより商品名Lithene(登録商標)で販売されているポリブタジエン製品(例えば、Lithene° Ultra AL−15MA、Lithene(登録商標)Ultra N4−5000−10MA、Lithene(登録商標)Ultra N4−5000−10MA、及びLithene(登録商標)Ultra−PM4−7.5MA)及びKurarayによりLIR−403及びLIR−410の名称で販売されているポリイソプレンが挙げられる。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、低分子量ポリマーは、1200〜10,000グラム/モル(例えば、1200、1500、1800、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、又は10,000グラム/モル)、又は1200〜5,000グラム/モル(例えば、1200、1500、1800、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000グラム/モル)のMnを有する無水マレイン酸官能化ポリブタジエンである。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、低分子量ポリマーは、25℃で10〜1000dPa・s(例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900又は1000dPa・s)の粘度を有する無水マレイン酸官能化ポリブタジエンである。無水マレイン酸官能化ポリブタジエンが使用されるとき、無水マレイン酸官能化の量は、何部の無水マレイン酸がポリブタジエンに付加されるかに関して測定され得る。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、低分子量ポリマーは、5〜25部(例えば、5、10、15、20、又は25部)の付加無水マレイン酸、又は10〜20部の付加無水マレイン酸を有する無水マレイン酸官能化ポリブタジエンである。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、無水マレイン酸官能化ポリブタジエン(又は別の極性基官能化低分子量ポリマー)は、5〜100phr(例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100phr)、又はより好ましくは、10〜50phr(例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50phr)の量でシーラント層の混合物中に存在する。極性基含有化合物(例えば、無水マレイン酸官能化ポリブタジエン)で官能化された低分子量ポリマーの使用は、シーラント層を含有するタイヤをパンクさせた釘の金属表面とのより良好な相互作用を提供する。鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、亜鉛、ハフニウム、及び残りの第1及び第2の列遷移金属が挙げられるが、これらに限定されない、様々な金属が釘に一般的に使用されることが知られており、極性基含有化合物で官能化された低分子量ポリマーの使用は、これらの金属のうちの任意の1つ以上を含有する釘とのより良好な相互作用を提供することになると考えられる。
【0048】
第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つの粘着付与剤は、少なくとも1つの極性モノマーと少なくとも1つの非極性モノマーとのコポリマーである低分子ポリマーを備え(含み)、かかるコポリマーは、低分子量極性/非極性コポリマー、又は単に極性/非極性コポリマーと称され得る。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、粘着付与剤は、40,000〜120,000グラム/モル(例えば、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、110,000、又は120,000グラム/モル)の分子量Mw、又は50,000〜100,000(例えば、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、又は100,000グラム/モル)のMwを有する極性/非極性コポリマーを含む。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、非極性モノマーは、ジエンを含む。好適なジエンの非限定的な例としては、ビニル、エチレン、プロピレン、及びオクタデセンが挙げられる。非極性モノマー又はジエンと組み合わせて使用され得る極性モノマーの非限定的な例としては、アセテート(酢酸ビニルなど)、無水物(無水マレイン酸など)、芳香環及び非芳香環の両方を含むN含有部分(ピロリドン、ピリジン、ピリジンN−オキシドなど)、又はケトン(メチルケトンなど)が挙げられるが、これらに限定されない。粘着付与剤での使用に好適であり得る例示的な極性/非極性コポリマーとしては、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、ポリ(ビニルメチルケトン)、ポリ(無水マレイン酸1−オクタデセン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(2−ビニルピリジンN−オキシド)、ポリ(4−ビニルピリジンN−オキシド)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、極性/非極性コポリマーは、5〜100phr(例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100phr)、又はより好ましくは、10〜50phr(例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50phr)の量でシーラント層の混合物中に存在する。
【0049】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つの粘着付与剤は、ポリブテンを備える(含む)。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、最大200phrの少なくとも1つの粘着付与剤は、ポリブテンを含む。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、ポリブテンは、シーラント層を含む混合物中に存在する最大300phrの粘着付与剤の最大200phrの量で存在する。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、粘着付与剤の重量の大半(例えば、少なくとも51重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%、又は更には100重量%)がポリブテンである。粘着付与剤としての使用に好適なポリブテンは、市販されており、これには、INEOS Oligomers製のIndopol(登録商標)ポリブテン(例えば、H−100、H−300、H−1500、H−1900)が挙げられるが、これらに限定されない。粘着付与剤がポリブテンを含む第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、ポリブテンは、500〜10,000グラム/モル又は500〜5,000グラム/モルのMnを有する。
【0050】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つの粘着付与剤は、低分子量ポリイソブチレンを備える(含む)。本明細書で使用するとき、低分子量ポリイソブチレン(LMWポリイソブチレン)という句は、100,000グラム/モル以下のMn、特定の実施形態では、50,000グラム/モル未満のMnを有するポリイソブチレンを指す。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、LMWポリイソブチレンは、少なくとも1つの粘着付与剤中に、粘着付与剤の最大30重量%、粘着付与剤の最大25重量%、粘着付与剤の最大20重量%、粘着付与剤の最大15重量%、又は粘着付与剤の最大10重量%の量で含められ、特定のかかる実施形態では、LMWポリイソブチレンは、任意選択的に上述された量のうちの1つで、ポリブテンと組み合わせて使用される。LMWポリイソブチレンが少なくとも1つの粘着付与剤に含められる第1〜第5の実施形態のこれらの実施形態では、LMWポリイソブチレンのphr量は、粘着付与剤の総phrをLMWポリイソブチレンからなる重量パーセンテージで乗算することによって計算され得(例えば、90phrの総粘着付与剤が存在する場合、LMWポリイソブチレンの例示的な量は、最大27phr、最大約22phr、最大18phr、最大約13phr、又は最大9phrとなり、300phrの総粘着付与剤が存在する場合、LMWポリイソブチレンの例示的な量は、最大90phr、最大75phr、最大60phr、最大45phr、又は最大30phrとなる)、かかる量及び範囲は、本明細書に完全に開示されているとみなされるべきである。粘着付与剤としての使用に好適なLMWポリイソブチレンは、市販されており、これには、BASF製のOppanol(登録商標)Bシリーズポリイソブチレン(例えば、B10、B15)が挙げられるが、これらに限定されない。粘着付与剤がLMWポリイソブチレンを含む第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、LMWポリイソブチレンは、20,000〜100,000グラム/モル、30,000〜90,000グラム/モル、又は30,000〜50,000グラム/モルのMnを有する。
【0051】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む混合物の少なくとも1つの粘着付与剤は、フェノール樹脂、脂肪族樹脂、脂環式樹脂、芳香族樹脂、テルペン樹脂、グアール樹脂、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの樹脂を備える(含む)。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、上記の樹脂のうちの少なくとも1つは、シーラント層を含む混合物中の粘着付与剤としてポリブテンと組み合わせて使用される。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、上記の樹脂のうちの少なくとも1つは、シーラント層を含む混合物中の粘着付与剤としてポリブテン及びLMWポリイソブチレンと組み合わせて使用される。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、上記の樹脂のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの粘着付与剤中に、粘着付与剤の最大20重量%、粘着付与剤の最大15重量%、粘着付与剤の最大10重量%、又は粘着付与剤の最大5重量%の総量で含められ、特定のかかる実施形態では、少なくとも1つの樹脂は、粘着付与剤として、ポリブテンと組み合わせて、又はポリブテン及びLMWポリイソブチレンと組み合わせて使用される。
【0052】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つの粘着付与剤は、(1)フェノールノボラック樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂、(架橋に寄与するエラストマー又はゴム中の不飽和と反応し得る)反応性レゾール樹脂、及び(メチレンドナーと架橋し得る)反応性ノボラック型フェノール−ホルムアルデヒド樹脂などのフェノール性樹脂、(2)任意選択的に、例えば、脂環式、芳香族、水素添加芳香族、若しくはテルペン樹脂のうちの1つ以上と組み合わせて、及び/又は任意選択的に、部分的若しくは完全に水素付加されている、C5及び/又はC9部分ホモポリマー若しくはコポリマー樹脂などの脂肪族樹脂、(3)任意選択的に、脂肪族、芳香族、水素付加芳香族、若しくはテルペン樹脂のうちの1つ以上と組み合わせて、及び/又は任意選択的に、部分的若しくは完全に水素付加されている、シクロ脂肪族樹脂(シクロペンタジエン(cyclopentadiene、「CPD」)ホモポリマー又はコポリマー樹脂、及びジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene、「DCPD」)ホモポリマー若しくはコポリマー樹脂など)、(4)任意選択的に、脂肪族、脂環式、水素付加芳香族、若しくはテルペン樹脂のうちの1つ以上と組み合わせて、及び/又は任意選択的に部分的若しくは完全に水素付加されている、芳香族樹脂(クマロインデン樹脂及びアルキル−フェノール樹脂、並びにビニル芳香族ホモポリマー、あるいはα−メチルスチレン、スチレン、オルト−メチルスチレン、メタ−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、ビニルトルエン、パラ(tert−ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、又はC9部分若しくはC8〜C10部分から結果として生じる任意のビニル芳香族モノマー、のモノマーのうちの1つ以上を含むものなどのコポリマーなど)、(5)任意選択的に脂肪族、脂環式、芳香族、若しくは水素付加芳香族樹脂のうちの1つ以上と組み合わせて、及び/又は任意選択的に、部分的若しくは完全に水素添加されている、テルペン樹脂(α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、リモネン樹脂(例えば、L−リモネン、D−リモネン、L−及びD−異性体のラセミ混合物であるジペンテン)、β−フェランドレン、δ−3−カレン、及びδ−2−カレン)、又は(6)グアユール樹脂、から選択される少なくとも1つの樹脂を含む。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、特定の種類の上記の樹脂のうちの1つを超えるものが、粘着付与剤として利用され、他の実施形態では、上記の樹脂のうちの少なくとも2つの特定の種類のうちの1つを超える各々が、粘着付与剤として利用される。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、粘着付与剤は、フェノール性樹脂を備える(含む)。
【0053】
増量剤
上述されたように、第1〜第5の実施形態によると、シーラント層のゴム部分は、55phr以下の総量の1つ以上の増量剤を任意選択的に含む成分の混合物を含む。第1〜第5の実施形態によると、1つ以上の増量剤が利用され得る(例えば、2つ、3つ、4つ、又はそれを超える数)。シーラント層を含む混合物が任意選択的に1つ以上の増量剤を含み得ることを記載することにより、特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む成分の混合物が1つ以上の増量剤を含み、他の実施形態では、混合物が増量剤を含まないことを意味する。本明細書で使用するとき、増量剤という用語は、シーラント層を含む混合物に容積を提供するために使用される、一般的に不活性な成分を指す。第1〜第5の実施形態による特定の実施形態では、1つ以上の増量剤は、補強増量剤よりも一般的に安価である非補強増量剤である。少なくとも1つの増量剤が存在する第1〜第5の実施形態による特定の実施形態では、補強増量剤の総量は、20phr以下、15phr以下、10phr以下、5phr以下、又は更には0phrである。利用される補強増量剤の量の制限(又は更に補強増量剤の使用を完全に回避すること)は、第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層の粘度を過度に増加させること、及び/又は封止性能に悪影響を及ぼし得るその増加した弾性率を回避するために、好ましい場合がある。第1〜第5の実施形態による他の実施形態では、1つ以上の増量剤は、少なくとも1つの補強増量剤を含んでもよい。本明細書で使用するとき、補強増量剤という用語は、ゴム組成物に付加されたとき、耐摩耗性、引裂強度、又は耐老化性などの1つ以上の特性の改善を提供する成分を指す。非補強増量材という用語はまた、約20m
2/g未満(20m
2/g未満を含む)、特定の実施形態では、約10m
2/g未満(10m
2/g未満を含む)の窒素表面積を有する、粒子材料を指すように理解されることができ、補強増量剤は、上記よりも高い表面積を有することになる。粒子増量剤材料の窒素表面積は、様々な標準的方法(ASTM D6556又はD3037を含む)に従って決定され得る。本明細書に開示される第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、非補強増量剤という用語は、追加的に又は代替的に、約1000nm超(1000nm超を含む)の粒径を有する、粒子材料を指すために使用され、補強増量剤は、上記のものよりも小さい粒径を有することになる。
【0054】
シーラント層のゴム部分を含む混合物が1つ以上の増量剤を含む、第1〜第5の実施形態のうちのそれらの実施形態では、増量剤(複数可)の総量は、様々であり得る。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む混合物は、55phr以下(例えば、1phr、5phr、10phr、15phr、20phr、25phr、30phr、35phr、40phr、45phr、50phr、又は55phr)、又は1〜55phrの総量で1つ以上の増量剤を含む。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む混合物は、35phr以下(例えば、1phr、5phr、10phr、15phr、20phr、25phr、30phr、35phr)の総量で1つ以上の増量剤を含む。増量剤の総量を制限することは(大部分又は全てに非補強増量剤(複数可)が利用されている場合でさえ)、第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層の粘度が過度に増加すること、及び/又は封止性能に悪影響を及ぼし得るその増加した弾性率を回避するために、好ましい場合がある。
【0055】
シーラント層のゴム部分を含む混合物が1つ以上の増量剤を含む第1〜第5の実施形態のうちのそれらの実施形態では、利用される特定の増量剤は、様々であり得る。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層を含む混合物は、カーボンブラック、シリカ、タルク、粘度、黒鉛、アルミナ(Al
2O
3)、酸化アルミニウム三水和物(Al
2O
3H
2O)、水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)、炭酸アルミニウム(Al
2(CO
3)
2)、硝酸アルミニウム、酸化マグネシウムアルミニウム(MgOAl
2O
3)、パイロフィライト(Al
2O
34SiO
2.H
2O)、ベントナイト(Al
2O
3.4SiO
2.2H
2O)、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、雲母、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)、炭酸カルシウム(CaCO
3)、水酸化マグネシウム(MH(OH)
2)、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム(MgCO
3)、酸化チタン、二酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、水酸化ジルコニウム[Zr(OH)
2.nH
2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO
3)
2]、結晶性アルミノケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、でんぷん、石膏(硫酸カルシウム水和物)、フライアッシュ、及びこれらの組み合わせから選択される1つ以上の増量剤を含み、特定のかかる実施形態では、かかる増量剤(複数可)の総量は、55phr以下、35phr以下、15〜45phr、又は2〜30phrである。本明細書に開示される第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態での増量剤としての使用に好適なシリカ充填剤の非限定例としては、沈殿アモルファスシリカ、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ヒュームドシリカ、ケイ酸カルシウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示される第1〜第5の実施形態の特定の実施形態のシーラント層のゴム部分を含む混合物中での使用に好適なその他のシリカ充填材としては、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム(Mg
2SiO
4、MgSiO
3など)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO
4)、ケイ酸カルシウム(Ca
2SiO
4など)、ケイ酸アルミニウム(Al
2SiO
5、Al
4.3SiO
4.5H
2Oなど)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al
2O
3.CaO
2SiO
2、など)などが挙げられるが、これらに限定されない。これらのシリカ充填材のうち、沈殿アモルファス湿式プロセス、含水シリカ充填材が好ましい。シーラント層のゴム部分を含む混合物が1つ以上の増量剤を含む第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、増量剤は、カーボンブラック、粘土、二酸化チタン、炭酸カルシウム、黒鉛、タルク、又はこれらの組み合わせを含み、特定のかかる実施形態では、かかる増量剤(複数可)の総量は、55phr以下、35phr以下、15〜45、又は2〜30phrである。
【0056】
シーラント層が黒色であることが望ましい、第1〜第5の実施形態のうちのそれらの実施形態では、1つ以上の増量剤は、好ましくは、上記の量のうちの1つで、カーボンブラック(非補強、補強、又はこれらの組み合わせ)を含む。中でも有用なカーボンブラックは、ファーネスブラック、チャネルブラック、及びランプブラックである。より具体的には、有用なカーボンブラックの例としては、超耐摩耗性ファーネス(super abrasion furnace、SAF)ブラック、高耐摩耗性ファーネス(high abrasion furnace、HAF)ブラック、良押出性ファーネス(fast extrusion furnace、FEF)ブラック、微細ファーネス(fine furnace、FF)ブラック、準超耐摩耗性ファーネス(intermediate super abrasion furnace、ISAF)ブラック、中補強性ファーネス(semi−reinforcing furnace、SRF)ブラック、中加工性チャネルブラック、難加工性チャネルブラック、及び導電性チャネルブラックが挙げられる。本明細書に開示される第1〜第5の実施形態のうち特定の実施形態での使用に典型的に好適な補強カーボンブラック(複数可)は、全てASTM D−1765−82aに指定される、N−110、N−220、N−339、N−330、N−351、N−550、N−660、及びN−700シリーズである。使用されるカーボンブラックは、ペレット化形状又は非ペレット化綿状塊であり得る。好ましくは、より均一な混合のため、非ペレット化カーボンブラックが好ましい。非補強カーボンブラック(複数可)もまた、1つ以上の増量剤として、利用される上記の量のうちの1つと等しい総量で、使用され得る。非補強カーボンブラックの非限定例には、ASTM呼称N−907、N−908、N−990、及びN−991を有するものなど、サーマルブラック又はN9シリーズカーボンブラック(N−900シリーズとも称される)が挙げられるが、これに限定されない。上述を満たす様々なカーボンブラックが市販されており、これには、Cancarb Limited(Medicine Hat,Alberta,Canada)製のThermax(登録商標)N990カーボンブラックが挙げられるが、これに限定されない。
【0057】
シーラント層のゴム部分が黒色ではないことが望ましい第1〜第5の実施形態の実施形態では、1つ以上の増量剤は、好ましくは、上記の量のうちの1つで、タルク、二酸化チタン、又は炭酸カルシウムを含む。かかる増量剤の使用は、シーラント層を白色にするために十分であり得る。シーラント層のゴム部分が黒色ではないが白色でもないことが望ましい第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、タルク、二酸化チタン、又は炭酸カルシウムのうちの1つ以上(上記の量のうちの1つ以上で)が、赤色、青色、オレンジ色、黄色、緑色、紫色、又はピンク色などの黒色ではなく、白色でもない色を達成するために、1つ以上の顔料と組み合わせて利用され得る。
【0058】
第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、1つ以上の増量剤は、1〜10phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10phr)、好ましくは、3〜8phrのヒュームドシリカを含む。ヒュームドシリカの存在は、有利には、比較的低温での低剪断でシーラント層の低減された低温流(例えば、釘がタイヤから除去されたときに生じ得るなどの、未閉塞の孔又はパンク部を通る)を結果としてもたらし得る、シーラント層の低温流安定性を向上させ得る。シーラント層の低減された低温流は、ヒュームドシリカを含まないことを除いて同一組成を有するシーラント層と比較して、未閉塞の孔又はパンク部から流出する、シーラント層に対する傾向が低減されることによって示される。ヒュームドシリカの存在はまた、有利には、比較的低温でのシーラント組成物の高剪断粘度、及び比較的高温での性能を維持し得る。様々な種類のヒュームドシリカが市販されており、第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態での使用に好適である。非限定的な例としては、商品名Aerosil(登録商標)でEvonik Industriesから入手可能なヒュームドシリカ、並びに商品名Cab−O−Sil(登録商標)でCabotから入手可能なものが挙げられる。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ヒュームドシリカは、疎水性であってもよく、又は親水性であってもよいが、疎水性ヒュームドシリカが好ましい。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ヒュームドシリカは、100〜300m
2/g(例えば、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、又は300m
2/g)、若しくは150〜250m
2/g(例えば、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、又は250m
2/g)のBET表面積を有し、及び/又は3〜9(例えば、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、又は9)若しくは4〜6(例えば、4、4.5、5、5.5、又は6)のpHを有する。
【0059】
吸湿性物質
上述されたように、第1〜第5の実施形態によると、シーラント層のゴム部分は、0.5〜10phrの量の少なくとも1つの吸湿性物質を任意選択的に含む成分の混合物を含む。本明細書で使用するとき、吸湿性という用語は、水をその様々な形態(例えば、空気中の水分)で吸着することができる物質を指す。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む混合物は、少なくとも1つの吸湿性物質を含む。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む混合物は、いかなる任意の吸湿性物質も含まない(即ち、0phrを含有する)。シーラント層のゴム部分を含む混合物が少なくとも1つの吸湿性物質を含む第1〜第5の実施形態のうちのそれらの実施形態では、吸湿性物質(複数可)の量及び素性は、様々であり得る。シーラント層のゴム部分を含む混合物が少なくとも1つの吸湿性物質を含む第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、吸湿性物質(複数可)の総量は、0.5〜20phr(例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、又は20phr)、又は0.5〜10phr(例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10phr)である。シーラント層のゴム部分を含む混合物が少なくとも1つの吸湿性物質を含む第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、吸湿性物質(複数可)の総量は、1〜5phr(例えば、1、2、3、4、又は5phr)である。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む混合物は、酸化カルシウム、無水シリカ、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸カルシウム、ゼオライト、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの吸湿性物質を含み、特定のかかる実施形態では、かかる吸湿性物質(複数可)の総量は、0.5〜10phrである。
【0060】
硬化パッケージ
上述されたように、第1〜第5の実施形態によると、シーラント層のゴム部分は、硬化パッケージを含む成分の混合物を含む。第1〜第5の実施形態によると、硬化パッケージの成分は、様々であり得るが、一般的に、少なくとも、硫黄及び1つ以上の加硫促進剤などの加硫剤を含むことになる。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、硬化パッケージは、少なくとも1つの加硫剤と、少なくとも1つの加硫促進剤と、任意選択的に、少なくとも1つの加硫活性化剤(例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸など)、少なくとも1つの加硫阻害剤、少なくとも1つのスコーチ防止剤、又は少なくとも1つの架橋開始剤のうちの少なくとも1つを含む。加硫促進剤及び加硫活性化剤は、加硫剤の触媒として作用する。
【0061】
第1〜第5の実施形態による、シーラント層のゴム部分を含む混合物に使用するのに好適な種類の加硫剤の例としては、硫黄又は過酸化物系硬化成分が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、特定のこのような実施形態では、硬化成分としては、硫黄系硬化剤又は過酸化物系硬化剤が挙げられる。特定の好適な硫黄加硫剤の例としては、「ゴム製造業者(rubbermaker)」の可溶性硫黄、硫黄供与硬化剤、例えば、アミンジスルフィドなど、重合多硫化物又は硫黄オレフィンアダクト、及び可溶性重合硫黄が挙げられる。好ましくは、硫黄加硫剤は、不溶性硫黄、又は可溶性及び不溶性の高分子硫黄の混合物である。硬化に用いられる好適な加硫剤及びその他の組成物(例えば、加硫阻害剤、スコーチ防止剤)の一般的な開示として、Kirk−Othmer、「Encyclopedia of Chemical Technology」第3版、Wiley Interscience、N.Y.、1982年、第20巻、365〜468ページ、とりわけ、390〜402ページのVulcanization Agents and Auxiliary Materialsを参照でき、参照によって本明細書に組み込まれる。加硫剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。一般的に、第1〜第5の実施形態の特定の実施形態によると、加硫剤は、0.5〜5phrを含む、0.5〜7.5phrを含む、0.1〜10phrの範囲、好ましくは0.5〜3.5phrの量で使用される。
【0062】
本明細書に開示される第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む混合物の硬化パッケージに使用される少なくとも1つの加硫促進剤は、チウラム、チオウレア、ジチオカルバメート、キサンテート、又はチオホスフェートの加硫促進剤の分類のうちの少なくとも1つから選択される。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つの加硫促進剤は、任意選択的に、上記の分類のうちの1つ以上からの1つ以上の加硫促進剤と組み合わせて、チアゾールを含む。チウラムの分類に属する加硫促進剤の非限定的な例としては、TMTM(テトラメチルチウラムモノスルフィド)、TMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、DPTT(ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド)、TETD(テトラエチルチウラムジスルフィド)、TiBTD(テトライソブチルチウラムジスルフィド)、及びTBzTD(テトラベンジルチウラムジスルフィド)が挙げられる。チオウレアの分類に属する加硫促進剤の非限定的な例としては、ETU(エチレンチオ尿素)、DPTU(N,N−ジエチルチオ尿素)、DETU(N,N−ジブチルチオ尿素)、及びDBTU(ジフェニルチオ尿素)が挙げられる。ジチオカルバメートの分類に属する加硫促進剤の非限定的な例としては、ZDMC(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)、ZDEC(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)、ZDBC(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)、ZEDC(N−エチル−ジチオカルバミン酸亜鉛)、CDMC(ジメチルジチオカルバミン酸銅)及びZBEC(ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛)が挙げられる。キサンテートの分類に属する加硫促進剤の非限定的な例としては、ZIX(イソプロピルキサントゲン酸亜鉛)が挙げられる。チオホスフェートの分類に属する加硫促進剤の非限定的な例としては、ZBDP(亜鉛−O,O−ジ−N−ジチオリン酸)が挙げられる。チアゾールの分類に属する加硫促進剤の非限定的な例としては、MBT(2−メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(2,2−ベンゾチアゾールジスルフィド)、ZMBT(亜鉛2−メルカプトベンゾチアゾール)及びCMBT(銅2−メルカプトベンゾチアゾール)が挙げられる。本明細書に開示される第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態での使用に好適な加硫促進剤の追加例としては、スルフェンアミド(例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド(TBBS)など)、グアニジン加硫促進剤(例えば、ジフェニルグアニジン(diphenyl guanidine、DPG)など)、及びカルバメート加硫促進剤(例えば、ジブチルジエトキシカルバミン酸亜鉛(zinc dibutyl dithocarbamate、ZDBC)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(zinc dibenzyl dithiocarbamate、ZBEC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(zinc diethyl dithiocarbamate、ZDEC)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(zinc dimethyl dithiocarbamate、ZDMC)、N−エチル−ジチオカルバミン酸亜鉛(zinc N−ethyl−dithiocarbamate、ZEDC)、ジメチルジチオカルバミン酸銅(CDMC)など)、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されず、かかる加硫促進剤は、単独で、組み合わせて、又は上記の加硫促進剤の分類のうちの1つと組み合わせてのいずれかで使用され得る。一般的に、第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態によると、加硫促進剤の総量(使用されるとき)は、0.5〜15phr(例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15phr)、0.5〜10phr、1〜5phr、又は2〜10phrの範囲である。第1〜第5の実施形態のうち特定の実施形態では、加硫剤(存在するとき)は、0.1〜10phr(例えば、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10phr)の範囲の量で使用され、0.1〜7.5phrを含み、0.1〜5phrを含み、好ましくは0.1〜3.5phrの範囲の量で使用される。
【0063】
加硫活性化剤は、加硫を補助するために使用される添加剤である。一般的に、加硫活性化剤は、無機成分及び有機成分の両方を含む。酸化亜鉛は、最も広く使用されている無機加硫活性化剤である。ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、及びこれらのそれぞれの亜鉛塩を含む様々な有機加硫活性化剤が、一般的に使用されている。シーラント層のゴム部分を含む混合物が、加硫活性化剤を含む硬化パッケージを含む、第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、使用される加硫活性化剤の量は、0.1〜10phr(例えば、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10phr)、好ましくは2〜9(例えば、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、又は9phr)phrの範囲である。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む混合物は、酸化亜鉛、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、上記の酸の各々の亜鉛塩、又はこれらの組み合わせから選択される加硫活性化剤を含む硬化パッケージを含み、特定のかかる実施形態では、加硫活性化剤(複数可)の総量は、上記の量のうちの1つである。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む混合物は、任意の加硫活性化剤を含まない(即ち、0phrの加硫活性化剤を含有する)硬化パッケージを含む。
【0064】
加硫阻害剤は、加硫プロセスを制御するため、そして一般的には、所望の時間及び/又は温度に達するまで加硫を遅らせるか又は阻害するために使用される。一般的な加硫阻害剤としては、Santogard製のPVI(シクロヘキシルチオフタルミド)が挙げられるが、これらに限定されない。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む混合物は、0.1〜3phr、好ましくは0.5〜2phrの量の加硫阻害剤を含む硬化パッケージを含み、特定のかかる実施形態では、加硫阻害剤は、PVIである。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む混合物は、任意の加硫阻害剤を含まない(即ち、0phrの加硫阻害剤を含有する)硬化パッケージを含む。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む混合物は、いかなる加硫阻害剤も含まず、いかなる加硫活性化剤も含まない。
【0065】
第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層を含む混合物は、例えば、硬化パッケージの一部として、少なくとも1つの架橋開始剤を含む。本明細書で使用するとき、架橋開始剤という用語は、少なくとも1つのゴムのポリマー鎖間、特にハロゲン化ブチルゴムのポリマー鎖間の炭素−炭素架橋を強化又は開始する化合物を指す。したがって、架橋開始剤は、炭素−炭素架橋開始剤とも称され得る。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層を含む混合物は、1〜10phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10phr)、好ましくは2〜7phrの少なくとも1つの架橋開始剤を含む。様々な化合物が、架橋開始剤としての使用に好適であり得、これらには、アゾ化合物(例えば、アゾイソブチロニトリル(azoisobutyronitrile、AIBN))、過酸化物(例えば、ジ−tert−ブチルペルオキシド、キノリン化合物、又はニトロン(例えば、TEMPO))が挙げられるが、これらに限定されない。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つの架橋開始剤は、キノリン化合物を含み、好ましくは、ヒドロカルビル置換キノリン基から選択される。キノリン化合物は、キノリン系架橋開始剤とも称され得、ヒドロカルビル置換キノリン(以下に説明される)及びその重合形態を含むように理解されるべきである。好適なヒドロカルビル置換キノリンとしては、1−3ヒドロカルビル基(例えば、C
1〜C
6を有する)が、キノリンの窒素に対してα及びγである炭素に結合したものを含み、特定の実施形態では、ヒドロカルビル置換キノリンは、重合される。特定の実施形態では、キノリン上のヒドロカルビル置換は、C
1〜C
6(例えば、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、又はC
6)、好ましくは、C
1〜C
2のアルキル(直鎖又は分枝鎖)を含む。他の実施形態では、キノリン上のヒドロカルビル置換は、少なくとも1つの芳香族基(例えば、−フェニル)を含む。更に他の実施形態では、ヒドロカルビル置換は、アルキル基と芳香族基との組み合わせである。利用され得る特定のアルキル置換キノリンとしては、(1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン(TMQ)又はその重合形態(ポリ(1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン))が挙げられるが、これらに限定されない。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、重合キノリン(好ましくは、ポリ(1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン)などの重合アルキル置換キノリン)が使用され、これは、500〜2000グラム/モル(例えば、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、又は1500グラム/モル)、好ましくは、1000〜1500グラム/モルの分子量を有する。理論に束縛されるものではないが、架橋開始剤は、ハロゲンをハロゲン化ブチルゴムから1つのポリマー鎖中で切断することによって、炭素−炭素架橋を強化し、その遊離ラジカル炭素によって別のポリマー鎖中の不飽和炭素に結合することができるポリマー種を形成すると考えられる。
【0066】
追加成分
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分を含む成分の混合物は、1つ以上の追加成分を更に含む(即ち、上述された、少なくとも1つのゴム、少なくとも1つの粘着付与剤、1つ以上の増量剤、少なくとも1つの吸湿性物質、及び硬化パッケージ成分に加えて)。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、シーラント層は、少なくとも1つのゴム、少なくとも1つの粘着付与剤、1つ以上の増量剤、少なくとも1つの吸湿性物質、及び硬化パッケージ成分(全て上述されたもの)からなり、他の追加成分を含有しない混合物から作製される。
【0067】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態によるシーラント層のゴム部分を含む混合物中に存在し得る例示的な追加成分としては、油、ワックス、酸化防止剤、及びオゾン劣化防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。シーラント層を含む混合物が1つ以上の油を含む第1〜第5の実施形態のうち特定の実施形態では、かかる油(複数可)の総量は、50〜350phr(例えば、50phr、75phr、100phr、120phr、150phr、170phr、200phr、220phr、250phr、270phr、300phr、320phr、350phr)、又は100〜300phrである。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、シーラント層を含む混合物は、限定された量の油、例えば、100phr未満(例えば、90phr未満、80phr未満、70phr未満、60phr未満、50phr未満、40phr未満、30phr未満、20phr未満、10phr未満、5phr未満)、又は更には0phrを含む。
【0068】
粘着消失剤
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層は、その上面又はゴム部分の上面(シーラント層がタイヤの内側ライナーに接着されたとき、半径方向内向きに面することになるいずれかの上面)上をコーティングする粘着消失剤を更に含む。シーラント層の上面(シーラント層がタイヤの内側ライナーに接着されたとき、半径方向内向きに面する表面)上の粘着消失剤コーティングは、そのタック又は粘着性を低減することによって、土又は虫などの望ましくない物体の粘着を回避するために特に有益であり得る。第1〜第5の実施形態によると、シーラント層の上面(即ち、シーラント層がタイヤの内側ラインに接着されたとき、半径方向内向きに面する表面)上の粘着消失剤コーティングは、シーラント層が内側ライナーの半径方向内向きに面する表面に接着されているそれらの実施形態で特に有用であり得、これは、特定のかかる実施形態では、シーラント層の上面がタイヤ内の半径方向に最も内側の構成要素/表面であることになる。シーラント層が内側ライナーの半径方向外向きに面する表面に接着されている第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層は、その上面上に粘着消失剤コーティングを有していない。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、粘着消失剤コーティングは、ポリマー含有溶液(例えば、ポリマー+水)の乾燥から結果として生じるコーティングとして説明され得、特定のかかる実施形態では、粘着消失剤コーティングのポリマーは、ビニルポリマー(例えば、ポリ(ビニルピロリジノン)即ちPVP、ポリ(ビニルアルコール)即ちPVA)、エチル(ビニルアルコール)即ちEVA、ポリテトラフルオロエチレン即ちPTFE、又はこれらの組み合わせ)、ポリ(カルボン酸)のポリオール(例えば、ポリエチレンテレフタレート即ちPET、ポリカプロラクトン、ポリ(乳酸)即ちPLA、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)即ちPLGA、又はこれらの組み合わせ)との反応によって形成されるポリマー、ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール即ちPEG、若しくはポリプロピレングリコール即ちPPG、又はこれらの組み合わせ)、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリマーラテックス(例えば、水系ポリウレタンを含有する)、又はこれらの組み合わせを含む。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、粘着消失剤コーティングは、乾燥フィルムとしてシーラント層の上面に適用され得るなどの熱可塑性フィルムであり、特定のかかる実施形態では、熱可塑性フィルムは、ポリオレフィン(例えば、低密度ポリエチレン即ちLDPE)、塩化ビニルポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル即ちPVC、ポリ塩化ビニリデン即ちPVDC、又はこれらの組み合わせ)、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ、ポリアセタール、又はこれらの組み合わせ、から選択される少なくとも1つのポリマーを含む。
【0069】
除去可能な裏材/除去可能な剥離ライナー
第1の実施形態の特定の実施形態では、シーラント層は、バリア層の接着剤含有表面上に除去可能な剥離ライナー又は除去可能な裏材を更に含む。本明細書で更に論じられるように、第1の実施形態の特定の実施形態では、接着剤は、バリア層の外面上に存在し、除去可能な剥離ライナー又は除去可能な裏材は、シーラント層がタイヤ内側ライナーに接着される前に、接着剤を保護する役割を果たす。第1の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層は、その下面上に除去可能な剥離ライナー又は除去可能な裏材を更に含む。除去可能な剥離ライナー又は除去可能な裏材は、シーラント層を内側ライナーの半径方向内向きに面する表面に、又は内側ライナーの半径方向外向きに面する表面に、接着する前に除去されるように意図される。第2の実施形態の特定の実施形態では、提供されるシーラント層は、除去可能な剥離ライナー又は除去可能な裏材(第1の実施形態に関して本明細書に説明されたもの)を更に含み得、かかる実施形態では、任意の除去可能な剥離ライナー又は除去可能な裏材は、シーラント層を内側ライナー又はタイヤの他の構成要素に接着する前に、バリア層から除去される(例えば、シーラント層が内側ライナーの半径方向外向きに面する表面に接着され、かつシーラント層の他の表面がタイヤの他の構成要素に接着される、それらの実施形態において)。裏材又はライナーが除去可能であることを記載することにより、裏材が、除去可能な裏材を剥離することなどによって、非破壊的手段によってシーラント層から除去され得ることを伝えるように意図される。除去可能な裏材は、シーラント層の粘着性上面及び/又は下面を有益に被覆することができ、保管、輸送、及び出荷を改善することを可能にする。シーラント層がその下面上(例えば、バリア層の接着外面上)に除去可能な裏材を含む、第1の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層は、保管及び輸送のために巻かれ、かかる実施形態では、タイヤ内側ライナーに接着する前に、シーラント層が広げられ、除去可能な裏材が除去される。
【0070】
第1の実施形態のうちの特定の実施形態では、除去可能な裏材は、シーラント層に接触する側を非粘着性コーティングでコーティングされた紙、プラスチック、又は金属箔を含み、例示的な非粘着性コーティングとしては、ゼラチン、シリコーン、ワックス、及びPTFE若しくはPET(部分的に二軸配向ポリエチレンテレフタレート)などのポリマーが挙げられる。第1の実施形態のうちの特定の実施形態では、除去可能な裏材は、シーラント層の製造に使用され、除去可能な裏材上への成分の混合物の直接的な押し出しを可能にする。
【0071】
シーラント層のバリア層
上述されたように、第1〜第5の実施形態によると、シーラント層は、上面及び下面を有するゴム部分、並びにゴム部分の下面上のバリア層を含み、バリア層は、ゴム部分に向かって面する内面、及びゴム部分から離れるように面する外面を有する。
【0072】
第1〜第5の実施形態によると、バリア層の厚さは、様々であり得るが、バリア層は、一般的に、ゴム部分の厚さ未満である厚さを有することになる。第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、バリア層は、少なくとも0.005mm、少なくとも0.01、又は少なくとも0.05mmの厚さを有する。第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、バリア層は、0.01〜0.3mm(例えば、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3mm)又は0.05〜0.2mm(例えば、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2mm)の厚さを有する。第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、バリア層は、シーラント層の全厚の10%以下、又は更にはシーラント層の全厚の5%以下を含む。
【0073】
第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、バリア層は、ポリマーフィルムとして、金属箔として、又はこれらの組み合わせとして(以下により詳細に説明される)、シーラント層のゴム部分の下面に適用される。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、バリア層は、乾燥してバリア層を形成する湿潤組成物としてゴム部分の下面に適用される。第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、バリア層は、湿潤組成物としてゴム部分の下面に適用され、組成物は、少なくとも1つの溶媒と、エポキシ、ポリウレタン、又はシリコーンなどの少なくとも1つのポリマーと、を含み、特定のかかる実施形態では、湿潤組成物をバリアフィルムに乾燥又は硬化させることは、二成分系の使用によって達成され、他の実施形態では、湿潤組成物の乾燥又は硬化は、熱の適用によって達成される。
【0074】
第1〜第5の実施形態によると、バリア層は、様々な材料で構築され得る。1つ以上の材料が、バリア層内で利用されてもよい。第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、バリア層の材料は、油又は粘着付与剤の移動に対する耐性又は高遅延として説明され得る。非限定的な例として、アルミニウム箔は、油又は粘着付与剤の移動に対して耐性を有するものとして説明され得るが、それに対して通常のオフィス用紙は、そのように説明されない。第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、バリア層は、金属箔を含み、特定のかかる実施形態では、バリア層の金属箔は、上記の範囲のうちの1つに従った厚さを有する。第1〜第5の実施形態によると、金属箔バリア層に使用される金属又は複数の金属は、一般的に展性であることになる。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態での金属箔バリア層に使用され得る例示的な金属としては、アルミニウム、スズ、銅、黄銅、ニッケル、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、バリア層は、ポリマーフィルムを含み、特定のかかる実施形態では、バリア層のポリマーフィルムは、上記の範囲のうちの1つに従った厚さを有する。第1〜第5の実施形態の特定の実施形態でのポリマーフィルムバリア層に使用され得る例示的なポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、ナイロン(例えば、ナイロン6/6)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)又はポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)などのポリエステル、フルオロエラストマー(fluoroelastomer、FKM)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)、超高分子量ポリエチレン(ultrahigh molecular weight polyethylene、UHMW−PE)、ポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone、PEEK)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用するとき、超高分子量ポリエチレンという用語は、3百万超、好ましくは、400万超、又は400万〜600万の重量平均分子量(Mw)を有するポリエチレンを指す。第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、バリア層は、フィルム又は箔に形成された金属及びプラスチックの組み合わせを含み、かかる実施形態では、上記の金属及びポリマーが利用され得、結果として得られるフィルム又は箔は、上記の厚さのうちの1つを有する。第1〜第5の実施形態の更に他の実施形態では、バリア層は、ポリマーフィルムバリア層に関して上述されたポリマーのうちの1つ以上でコーティングされた織物を含み、第1〜第4の実施形態の特定の実施形態では、かかるバリア層は、ポリマーが存在するため、ポリマーフィルムの一種と考えられ得る。
【0075】
第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、バリア層は、その外面上、その内面(即ち、シーラント層のゴム部分に面するか、又はその上の表面)上、又は両面上に接着剤を更に含み、特定のかかる実施形態では、接着剤は、感圧接着剤を含む。第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、接着剤が、バリア層の内面とゴム部分の下面との間に存在し、接着剤は、バリア層をゴム部分に接着することを補助し、特定のかかる実施形態では、接着剤は、感圧接着剤を含む。第2〜第5の実施形態の特定の実施形態では、接着剤が、バリア層の外面と内側ライナーの半径方向内面との間に存在し、接着剤は、バリア層をゴム部分に接着することを補助し、特定のかかる実施形態では、接着剤は、感圧接着剤を含む。第2〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、接着剤は、バリア層の内面とゴム部分の下面との間に存在し、接着剤は、バリア層の外面と内側ライナーの半径方向内面との間に存在し、特定のかかる実施形態では、接着剤は、感圧接着剤を含む。第2〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、接着剤は、バリア層の外面とタイヤの残部との間に存在し、接着剤は、バリア層をタイヤの残部に接着することを補助する。
【0076】
第1〜第5の実施形態のうちのそれらの実施形態では、接着剤は、バリア層をゴム部分に接着するために、バリア層を内側ライナーに接着するために、又はその両方のために使用され、接着剤の種類は、様々であり得る。特定のかかる実施形態では、接着剤は、感圧接着剤を含む。バリア層との使用に好適な接着剤は、以下で更に論じられる。
【0077】
シーラント層の硬化
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層は、硬化される。シーラント層が硬化されることを記載することにより、それが一般的に硬化性(ゴム)材料からなるゴム部分であるため、シーラント層の少なくともゴム部分が硬化されることを意味する。第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、シーラント層のゴム部分(未硬化状態)は、バリア層上に押し出され、ゴム部分及びバリア層が(一緒に)硬化され、シーラント層を形成するかかる方法は、バリア層が、硬化熱に耐えることができる金属箔又は他の物質を含むときに特に有用であり得る。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、シーラント層のゴム部分は、ゴム部分が硬化された後にバリア層と接合される。第1〜第5の実施形態の更に他の実施形態では、バリア層は、ゴム部分の下面上に、そこに適用される湿潤組成物の使用によって形成され、特定のかかる実施形態では、ゴム部分は、湿潤組成物の適用前に硬化される。
【0078】
好ましくは、シーラント層が硬化されるとき、かかる硬化は、シーラント層をタイヤの内側ライナーに接着する前に起こる。しかしながら、他の実施形態では、シーラント層は、タイヤの他の構成要素と共に(例えば、タイヤ型内で)硬化され得る。第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、シーラント層全体(例えば、シーラント層のゴム部分全体)が硬化される。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、シーラント層全体に満たない部分が硬化される(例えば、シーラント層の上面又は半径方向内向きに面する表面が硬化され、残部は、硬化されない)。残部とは、シーラント層のゴム部分の下面又は半径方向外向きの表面、並びに上面と下面との間の部分を意味する。シーラント層全体に満たない部分が硬化される、第1〜第5の実施形態のうちのそれらの実施形態では、かかる硬化は、シーラント層のゴム部分の1つの表面のみを熱若しくは他の硬化処理に曝すこと、又はシーラント層のゴム部分を2つ以上の副層から、副層の少なくとも1つが硬化され、かつ副層の他の少なくとも1つが硬化されていない状態で製造することなどの様々な方法で達成され得る。
【0079】
熱がシーラント層の硬化をもたらすために使用されるとき、使用される時間及び温度は、様々であり得る。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層(又はそのゴム部分)は、約40〜約90℃(例えば、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90℃)、好ましくは、約50〜約70℃の温度まで加熱することによって硬化され、特定のかかる実施形態では、加熱は、約6〜約24時間(例えば、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24時間)の期間で行われる。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、シーラント層(又はそのゴム部分)は、約100〜約150℃(例えば、100、110、120、130、140、150℃)の温度などの、比較的短時間で比較的高温まで加熱することによって硬化され、特定のかかる実施形態では、加熱は、約20分〜約2時間(例えば、20分、30分、40分、50分、1時間、1.25時間、1.5時間、1.75時間、2時間)、又は約30分〜約1時間の期間で行われる。
【0080】
シーラント層及び/又はそのゴム部分の特性
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、(a)シーラント層のゴム部分が、400〜1200%(例えば、500%、600%、700%、800%、900%、1000%、1100%、1200)、好ましくは、600〜1000%(例えば、600%、650%、700%、750%、800%、850%、900%、950%、1000%、1050%、1100%)の破断点伸びを有するか、(b)シーラント層の混合物が、0.01〜5MPa(例えば、0.01、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5MPa)、好ましくは、0.1〜2MPa(例えば、0.1、0.5、1、1.5、2MPa)の破断点引張強度を有するか、又は(c)シーラント層が、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面、若しくは内側ライナーの半径方向外向きに面する表面に、23℃で2〜20N/cm(例えば、2、5、7、10、12、15、17、又は20N/cm)若しくは4〜16N/cm(例えば、4、5、7、10、12、15、又は16N/cm)の剥離強度で接着されるか、のうちの少なくとも1つを満たす。破断点伸び及び引張強度の測定は、同一成分(例えば、少なくとも1つのゴム、少なくとも1つの粘着付与剤、任意選択的に少なくとも1つ以上の増量剤、任意選択的に少なくとも1つの吸湿性物質、及び硬化パッケージ)を含有する混合物の試料に対してなされ、かつ当該シーラント層のゴム部分と同一の一般的な手順(例えば、混合、硬化など)に従ってなされ得る。一般的に、ASTM−D412(1998)方法Bが、25℃での破断点伸び及び引張強度を決定するために使用され得る。より具体的には、ASTM D−412に従って、170℃で15分間硬化された、中央で幅4mm及び厚さ1.9mmの断面寸法を有するダンベル形状の試料が使用され得る。剥離強度は、以下により詳細に説明されるように決定され得る。
【0081】
内側ライナーへのシーラント層の接着
上述されたように、第3の実施形態のプロセスによると、シーラント層は、シーラント層−内側ライナーの組み合わせを製造するためにシーラント層の下面が半径方向外向きに面するように、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面、又はタイヤ内側ライナーの半径方向外向きに面する表面、のいずれかに接着される。また、上述されたように、第2の実施形態によると、シーラント層−内側ライナーの組み合わせが製造され、シーラント層は、シーラント層の下面が半径方向外向きに面するように、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面、又は内側ライナーの半径方向外向きに面する表面、のいずれかに接着される。第1〜第5の実施形態の特定の実施形態では、シーラント層の下面(バリア層の外面に対応する)は、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面に直接接着される。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、シーラント層の下面(バリア層の外面に対応する)は、タイヤの残部に直接接着され、シーラント層の上面(ゴム部分の上面に等しい)は、内側ライナーの半径方向外向きに面する表面に接着される。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では(例えば、バリア層の外面及び/又は内側ライナーの表面が接着剤を更に含むとき)、シーラント層は、それが内側ライナーに直接接触するシーラント層上(例えば、バリア層の外面上、又はゴム部分の上面上)の接着剤であっても、内側ライナーに接着されているものとして依然として説明され得る。
【0082】
シーラント層(例えば、バリア層の外面又はゴム部分の上面)が内側ライナーに接着されることを記載することにより、シーラント層が、内側ライナーに対するシーラント層(又はバリア層の外面)の運動を回避するように、内側ライナーにしっかりと付着されることを意味する。シーラント層が、タイヤの動作中にシーラント層の変位を回避するために十分に接着されることが有利である。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層(又はバリア層の外面)は、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面又は半径方向外向きに面する表面に、23℃で約2〜約20N/cm(例えば、2、5、7、10、12、15、17、又は20N/cm)又は2〜20N/cmの剥離強度を示すように十分な接着力で接着され、特定のかかる実施形態では、剥離強度は、23℃で約4〜16N/cm(例えば、4、5、7、10、12、15、又は16N/cm)又は4〜16N/cmである。剥離強度測定は、ASTM手順D903に従って、及び/又はASTM手順D1876に従って、かつ内側ライナー表面に接着されたシーラント層を含有する試料を利用して行われ得る。試料は、組み立てられたシーラント層−内側ライナーの組み合わせから切断されてもよく、又は特に試験用に調製されてもよい(当該シーラント層−内側ライナーの組み合わせと同一成分、及びその組み立てのための同一プロセスを使用して)。
【0083】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層は、本明細書で論じられるように、1つ以上の接着剤によってタイヤの内層に接着され、特定のかかる実施形態では、接着剤は、感圧接着剤を含む。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、シーラント層は、任意の別個の接着剤を必要とせずにタイヤの内層に接着される。第3の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層の下面を、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面に、又は内側ライナーの半径方向外向きに面する表面に接着することは、シーラント層の下面(バリア層の上面に対応する)、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面、又は内側ライナーの半径方向外向きに面する表面のうちの少なくとも1つへの接着剤の塗布を含む。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、提供されるシーラント層は、その下面(バリア層の上面に対応する)上に接着剤を含む。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、提供されるシーラント層は、その上面に接着剤を含み(これは、シーラント層が内側ライナーの半径方向外向きに面する表面に接着される実施形態で、内側ライナーへの接着を補助し得る、特定のかかる実施形態において、接着剤はまた、シーラント層の下面とタイヤの残りの部分との間に存在することになる。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面は、その下面に接着剤を含む。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、内側ライナーの半径方向外向きに面する表面は、その下面上に接着剤を含む。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層の下面及び内側ライナーの半径方向内向きに面する表面の両方が、接着剤を含む。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層の下面及び内側ライナーの半径方向外向きに面する表面の両方が、接着剤を含む。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、シーラント層の下面は、別個の接着剤が必要とされないように、内側ライナーに接着するために十分な粘着性を有する。第1〜第5の実施形態のうち特定の実施形態では、接着剤が、シーラント層の下面(半径方向外向きに面するようになる)を、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面に接着するか、又はシーラント層の上面(半径方向内向きに面するようになる)を、内側ライナーの半径方向外向きに面する表面に接着するために使用される場合、接着剤は、(1)ゴム(例えば、天然ゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、又はこれらの組み合わせ)、(2)アクリルポリマー(例えば、1つ以上のアクリル酸エステルを1つ以上の他のモノマー又は上述されたうちの1つと共重合することによって作製されたアクリレート)、(3)シリコーンゴム、(4)ポリエーテル接着剤、(5)ポリウレタンポリマー、のうちの少なくとも1つを含み、特定のかかる実施形態では、別個の接着剤は、PSAである。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層を内側ライナーに接着するために使用される接着剤は、水系接着剤である。第1〜第5の実施形態によると、特定の実施形態では、上記の接着剤のうちの1つ以上が、シーラント層の下面(バリア層の上面に対応する)をタイヤの残部(例えば、ボディプライ)に接着する際に利用され得る。
【0084】
第1〜第5の実施形態のうちのそれらの実施形態では、接着剤が利用される場合、シーラント層を内層及び/又はタイヤの残部に接着する際に使用される接着剤(複数可)は、接触面の表面(複数可)全体を被覆してもよく、又は接触面の表面(複数可)全体に満たない表面を覆ってもよい。接触面の表面(複数可)全体に満たない表面が接着剤で覆われていることを説明することにより、接着剤(複数可)が、ドット又はストリップなどの様々な非連続的パターンで塗布され得ることを意味する。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、バリア層の外面、内側ライナーの半径方向内面、内側ライナーの半径方向外面、シーラント層のゴム部分の上面、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上は、連続的な接着剤(表面を連続的に被覆する)を有し得る。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、バリア層の上面、内側ライナーの半径方向内面、内側ライナーの半径方向外面、シーラント層のゴム部分の上面、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上は、非連続的に被覆する接着剤を有し得る。
【0085】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層が接着されるタイヤ内側ライナーは、その半径方向内向きに面する表面上にポリシロキサン含有剥離剤を備える(含む)。(一般的に、シーラント層がタイヤ内側ライナーの半径方向外向きに面する表面に接着されている、第1〜第5の実施形態のうちのそれらの実施形態では、ポリシロキサン含有剥離剤は、内側ライナーの半径方向外向きに面する表面上に存在しないことになる。)かかるポリシロキサン含有剥離剤は、硬化前に内側ライナー表面に適用され、かつ硬化中の内側ライナーの気泡への固着又は共硬化を回避するように設計された、剥離処理からの残留物を表し得る。タイヤ内側ライナーの半径方向内向きに面する表面がポリシロキサン含有剥離剤を含む、第1〜第5の実施形態のうちのそれらの実施形態のうちの特定の実施形態では、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面の、その上に接着面を形成する処理が、シーラント層を接着するために必要である場合があり、特定のかかる実施形態では、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面の処理は、少なくとも1つの共役ジエンモノマー含有ゴム、ポリウレタン、少なくとも1つの溶媒を含むゴム含有液体の適用を含み、他の実施形態では、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面の処理は、少なくとも1つの共役ジエンモノマー含有ゴム及び少なくとも1つの溶媒を含むゴム含有液体の適用を含む。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴム含有液体は、(a)少なくとも1つの共役モノマー含有ゴムが、100部で存在し、かつブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソプレン、塩素化ポリイソプレン、及びこれらの組み合わせから選択されるか、(b)少なくとも1つの共役モノマー含有ゴムが、100部で存在し、かつブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、又はこれらの組み合わせから選択されるか、(c)ポリウレタンが、10〜50phrの量で存在するか(100部の少なくとも1つの共役モノマー含有ゴムに基づいて)、(d)溶媒が、重量の大半で少なくとも1つの炭化水素溶媒を含むか、あるいは(e)溶媒が、重量の大半で、少なくとも1つのハロゲン化芳香族炭化水素溶媒、少なくとも1つのハロゲン化C1〜C6アルカン、少なくとも1つのハロゲン化C2〜C6アルケン、又はこれらの組み合わせを含むか、のうちの少なくとも1つを満たす。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、ゴム含有液体は、(a)ゴム含有液体が、約10〜約45重量%(例えば、10、15、20、25、30、35、40、45重量%)(ゴム含有液体の総重量に基づいて)の共役ジエンモノマー含有ゴムを含むか、(b)ゴム含有液体のゴムが、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−イソプレンゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴム、EPDM、又はニトリルゴムのうちの少なくとも1つを含むか、(c)ゴム含有液体中のゴムの少なくとも80%重量が、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、及びEPDMゴムの組み合わせを含むか、又は(d)ゴム含有液体中に存在する溶媒の重量の大半が、水を含むか、少なくとも1つの炭化水素溶媒を含むか、若しくは1つ以上のハロゲン化溶媒を含む、のうちの少なくとも1つを満たす。ゴム含有液体の組成に関する更なる詳細は、出願第62/357,009号(2016年6月30日出願)又は出願第62/355,568号(2016年6月28日出願)に見出され得、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態によると、一度、接着面を形成するために処理されると、処理されたポリシロキサンを含有する、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面は、シーラント層に接着される(例えば、接着剤を使用することによって、又は他の実施形態では、シーラント層の粘着性に起因していかなる別個の接着剤も必要としない)。
【0086】
第1〜第5の実施形態のうちの更に他の実施形態では、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面の処理は、コーティング組成物の塗布を含み、コーティング組成物は、(a)シリル末端ポリマー、(b)任意選択的に少なくとも1つの可塑剤、(c)少なくとも1つの粘着付与剤(d)少なくとも1つの接着促進剤、(e)任意選択的に少なくとも1つの水分捕捉剤、(f)少なくとも1つの触媒、及び(g)任意選択的に少なくとも1つの酸化防止剤を含み、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面上にポリマー含有コーティングを生成し、それによって、硬化した内側ライナーの処理された表面上にポリマー含有コーティングを形成する。かかるコーティング組成物は、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面が、ポリシロキサン含有剥離剤(を含む)第1〜第5の実施形態のうちの実施形態、及び内側ライナーの半径方向内向きに面する表面が、ポリシロキサン含有剥離剤を実質的に含まない実施形態に有用であり得る。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、コーティング組成物は、(a)シリル末端ポリマーが、約25〜約75重量%(例えば、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、又は75重量%)の量で存在し(内側ライナーの下面を処理するために使用される組成物の総重量に基づいて)、シリル末端ポリエーテル、シリル末端ポリウレタン、シリル末端ポリアクリレート、シリル末端ポリイソブチレン、又はこれらの組み合わせを含むか、(b)可塑剤が、約5〜約40重量%(例えば、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、又は40重量%)の量で存在し(内側ライナーの下面を処理するために使用される組成物の総重量に基づいて)、フタレート、ジベンゾエート、脂肪酸アルキルエステル、エポキシ化植物油、又はこれらの組み合わせを含むか、(c)粘着付与剤が、約5〜約25重量%(例えば、5重量%、7重量%、10重量%、12重量%、15重量%、17重量%、20重量%、22重量%、又は25重量%)の量で存在し(内側ライナーの下面を処理するために使用される組成物の総重量に基づいて)、炭化水素樹脂、低分子量ポリマー若しくはオリゴマー、又はこれらの組み合わせを含むか、(d)少なくとも1つの接着促進剤が、約1〜約10重量%(例えば、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、又は10重量%)の量で存在し(内側ライナーの下面を処理するために使用される組成物の総重量に基づいて)、二官能性シランを含むか、(e)少なくとも1つの水分捕捉剤が、約0.5〜約5重量%(例えば、0.5重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、4重量%、4.5重量%、又は5重量%)の量で存在し(内側ライナーの下面を処理するために使用される組成物の総重量に基づいて)、ビニルアルコキシシランを含み、アルキルトリアルコキシシラン、オキサゾリジン、酸化カルシウム、無水シリカ、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸カルシウム、ゼオライト、又はこれらの組み合わせを含むか、(f)少なくとも1つの触媒が、約0.1〜約5重量%(例えば、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、4重量%、4.5重量%、5重量%)の量で存在し(内側ライナーの下面を処理するために使用される組成物の総重量に基づいて)、アルカリ金属水酸化物、シラノレート、有機アミン、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、及びこれらの組み合わせから、又は硫酸、リン酸、塩酸、有機酸、ルイス酸、金属ハロゲン化物、有機スズ化合物、チタン化合物、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの酸性化合物から選択される少なくとも1つの塩基性化合物を含むか、あるいは(g)少なくとも1つの酸化防止剤(存在する場合)が、約0.1〜約3重量%(例えば、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、又は3重量%)の量で存在し(内側ライナーの下面を処理するために使用される組成物の総重量に基づいて)、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、カテコール、リン酸エステル、又はこれらの組み合わせを含むか、のうちの少なくとも1つを満たす。コーティング組成物の組成に関する更なる詳細は、出願第62/434,591号(2016年12月15日出願)に見出され得、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0087】
第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層が接着されるタイヤ内側ライナーは、その半径方向内向きに面する表面上にポリシロキサン含有剥離剤を実質的に含まない。ポリシロキサン部分を実質的に含まないとは、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面が、1重量%未満、0.5%重量%未満、0.1%重量%未満、又は更に0重量%のポリシロキサン部分を含むことを意味する。内側ライナーの半径方向内向きに面する表面がポリシロキサン含有剥離剤を実質的に含まない、第1〜第5の実施形態の実施形態では、シーラント層は、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面の任意の処理を必要とせずに、内側ライナーに接着され得、特定のかかる実施形態では、シーラント層は、接着剤を使用して内側ライナーの半径方向内向きに面する表面に接着される。タイヤ内側ライナーが、その半径方向内向きに面する表面上にポリシロキサン含有剥離剤を実質的に含まない、第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴム含有液体が、シーラント層を接着する前に、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面を処理するために使用され、内側ライナーの表面上に接着層を形成し、好ましくは、かかるゴム含有液体は、(a)少なくとも1つの共役モノマー含有ゴムが、100部で存在し、かつブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソプレン、塩素化ポリイソプレン、及びこれらの組み合わせから選択されるか、(b)少なくとも1つの共役モノマー含有ゴムが、100部で存在し、かつブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、又はこれらの組み合わせから選択されるか、(c)ポリウレタンが、10〜50phrの量で存在するか(100部の少なくとも1つの共役モノマー含有ゴムに基づいて)、(d)溶媒が、重量の大半で少なくとも1つの炭化水素溶媒を含むか、あるいは(e)溶媒が、重量の大半で、少なくとも1つのハロゲン化芳香族炭化水素溶媒、少なくとも1つのハロゲン化C1〜C6アルカン、少なくとも1つのハロゲン化C2〜C6アルケン、又はこれらの組み合わせを含むか、のうちの少なくとも1つを満たす。
【0088】
第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、提供されるタイヤは、修復を必要とするパンクしたタイヤを含む。かかる実施形態では、シーラント層は、タイヤの修復プロセス中にパンクしたタイヤに付加され得、それによって、パンクしたときにタイヤが任意のシーラントを失ったとしても、シーラント(即ち、シーラント層)を含有するタイヤを結果としてもたらすことが想到される。第2〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層が、製造プロセスの一部としてタイヤ製造業者によって内側ライナーに接着され、それにより、シーラント(即ち、シーラント層)を含有するタイヤが、車両の元の設備の一部として車両上に設置されるか、又は車両上の交換タイヤとして利用されることが想到される。第2〜第5の更に他の実施形態では、シーラント層が、車両上への交換タイヤの設置前に、タイヤ製造業者以外の実体によって(例えば、タイヤ設置者によって)新たな交換タイヤの内側ライナーに接着されることが想到される。
【0089】
内側ライナー
上述されたように、第1〜第5の実施形態によると、シーラント層は、タイヤの内側ライナーに接着される。上述されたように、第1〜第5の実施形態によると、シーラント層は、タイヤの内側ライナーに接着される。より具体的には、シーラント層は、シーラント層の下面(バリア層の外面に対応する)が半径方向外向きに面するように、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面、又はシーラント層の下面(バリア層の外面に対応する)が半径方向外向きに面するように、内側ライナーの半径方向外向きに面する表面、のいずれかに接着される。本明細書で使用するとき、内側ライナーという用語は、従来型の内側ライナー(例えば、ブチル又はハロゲン化ブチルゴムの層を含む)、噴霧内側ライナー(例えば、タイヤの半径方向内面上に噴霧又はコーティングされて、いかなる別個のブチルゴム含有層も有していないガスバリア特性を生じさせる組成物を含む)の両方、及びこれらの組み合わせ(例えば、空気バリアがその上に噴霧されたブチルゴム含有層)を包含するように理解されるべきである。加えて、本明細書で更に論じられるように、第1〜第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層が接着されるタイヤ内側ライナーが、1つ以上のベルト及びトレッドも含有するタイヤ内の構成要素であり得(内側ライナーへのシーラント層の接着時点で)、一般的に、かかる実施形態では、タイヤは、シーラント層が内側ライナーの半径方向内向きに面する表面に接着されたときに既に硬化されていることになる点を理解されたい。第1〜第5の実施形態のうちの他の実施形態では、シーラント層が接着されるタイヤ内側ライナーは、まだ、1つ以上のベルト及びトレッドを既に含むタイヤ内の構成要素ではなくてもよく(内側ライナーへのシーラント層の接着の時点で)、一般的に、かかる実施形態では、タイヤは、構築プロセス(例えば、シーラント層が内側ライナーに接着された後に1つ以上のベルト及びトレッドが付加されることになる)にあり、タイヤは、シーラント層が内側ライナーに接着された後に硬化されることになる。シーラント層が接着されるタイヤ内側ライナーが、まだ、既に1つ以上のベルト及びトレッドを含むタイヤ内の構成要素ではない実施形態は、組み込みシーラント層を含有するとして(例えば、タイヤに組み込まれるとき)参照され得る。
【0090】
タイヤ
上述されたように、第4及び第5の実施形態によると、第1の実施形態のシーラント層、又は第4の実施形態のプロセスによって製造されたシーラント層−内側ライナーの組み合わせを含有するタイヤが開示され、タイヤは、シーラント層が接着される半径方向内向きに面する表面、又はシーラント層が接着される半径方向外向きに面する表面を有する内側ライナーを含む。より具体的には、かかる実施形態では、バリア層の外面は、半径方向外向きに面している。第4及び第5の実施形態の特定の実施形態では、バリア層の外面は、内側ライナーの半径方向内側に面する表面に接着されているものとして説明され得る。第4及び第5の実施形態のうちの他の実施形態では、バリア層の外面は、タイヤの他の構成要素に接着されているものとして説明され得る。
【0091】
また上述されたように、第3の実施形態のプロセスによると、シーラント層は、シーラント層−内側ライナーの組み合わせを製造するために、内側ライナーに接着される。提供される内側ライナーは、様々な製造段階であってもよいが、一般的に、半径方向内向きの表面を含むことになる。(内側ライナーはまた、半径方向外向きに面する表面を含むものとして説明され得る。)第3の実施形態によって製造されたシーラント層−内側ライナーの組み合わせを組み込むタイヤは、その完成版で、1つ以上のベルト及びトレッドを含み(内側ライナー及びシーラント層に加えて)、したがって、第3の実施形態のプロセス全体の一部として、1つ以上のベルト及びトレッドが、一般的に、提供されることになる。第3の実施形態のうちの特定の実施形態では、シーラント層は、1つ以上のベルト及びトレッドも含むタイヤの内側ライナーの半径方向内向きに面する表面に、又は1つ以上のベルト及びトレッドも含むタイヤの内側ライナーの半径方向外向きに面する表面に接着され、かかるタイヤは、好ましくは、その内側ライナーの半径方向内向きに面する表面に接着されたシーラント層を有する前に硬化されている。第3の実施形態の下位実施形態は、シーラントをタイヤに適用するためのプロセスを含み、プロセスは、内側ライナー、1つ以上のベルト、及びトレッドを含むタイヤを提供することであって、内側ライナーが、半径方向内向き表面及び半径方向外向き表面を含む、提供することと、第1の実施形態によるシーラント層を提供することと、シーラント層を、ゴム部分の下面が半径方向外向きに面するように、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面、又はゴム部分の下面が半径方向外向きに面するように、内側ライナーの半径方向外向きに面する表面に接着することと、を含み、それによって、シーラント層を含有するタイヤを製造する。タイヤ内のシーラント又はシーラント層の存在は、リサイクル設備(例えば、シュレッダ)の詰まりを引き起こし得る、その粘着性に起因して、タイヤの構成要素を回収又は再利用する能力を阻害し得る。
【0092】
使用済みタイヤ構成要素を回収するプロセス
第4の実施形態によると、使用済みタイヤの1つ以上の構成要素を回収するためのプロセスが提供される。回収は、使用済みタイヤの1つ以上の構成要素の材料をリサイクルする目的であってもよい。第1の実施形態によるシーラント層を含有するタイヤ(又は第1の実施形態によるシーラント層を含む第2の実施形態のタイヤ)は、内側ライナーからのシーラント層の分離によって、シーラント層がタイヤから除去され得る点で、使用済みタイヤの1つ以上の構成要素を回収するために特に好適であり得る。第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、使用済みタイヤの内側ライナーは、半径方向内向きに面する表面を有し、これは、ポリシロキサン含有剥離剤を備え(含み)、これは、シーラント層の接着前に、その上に接着面を形成するために処理されている(例えば、少なくとも1つの共役ジエンモノマー含有ゴム、ポリウレタン、及び少なくとも1つの溶媒を含むゴム含有液体を用いて)。かかる処理されたポリシロキサン含有剥離剤を含む内側ライナーは、使用済みタイヤから接着されたシーラント層をより容易かつより完全に除去することを可能にし得る。
【0093】
第4の実施形態の特定の実施形態によると、1つ以上の構成要素が回収される使用済みタイヤは、1つ以上のベルト及び路面接触トレッドを含むものとして説明され得る。
【0094】
パンクしたタイヤを修復するためのプロセス
本明細書に開示される第5の実施形態によると、パンクしたタイヤを修復するためのプロセスが提供される。このプロセスは、第1の実施形態によるシーラント層を含有するタイヤ又は第2の実施形態のプロセスによって製造されたシーラント層−内側ライナー(第1の実施形態によるシーラント層を含む)を提供することであって、タイヤが、その内側ライナーの少なくとも1つのパンク部を含有する、提供することと、少なくとも1つのパンク部を識別することと、(a)パンク部を取り囲むシーラント層の一部分を除去して、それによってシーラント層内に間隙を形成し、シーラントの新たな部分を間隙に接着すること、又は(b)シーラントの新たな部分をパンク部に付加すること、のいずれかによってパンク部を修復することと、を含み、それによって、パンクしたタイヤを修復する。
【0095】
第5の実施形態の特定の実施形態では、提供されるシーラントの新たな部分は、第1〜第4の実施形態について本明細書に説明されるシーラント層又はシーラント層−タイヤ内側ライナーの組み合わせを含む。パンク部を修復することが(a)を含む、第5の実施形態のうちのそれらの実施形態では、シーラントの新たな部分は、好ましくは、第1〜第4の実施形態について本明細書に説明されるシーラント層を含む。第5の実施形態のうちの他の実施形態では、提供されるシーラントの新たな部分は、パンク部を封止することができる任意のシーラント材料を含む。特定のかかる実施形態では、パンク部を取り囲むシーラント層の部分は、パンク部(又は複数のパンク部)を取り囲む少なくとも2.5〜5cm(例えば、2.5、3、3.5、4、4.5、5cm)を含み、かかる実施形態では、除去された部分は、正方形、矩形、三角形、円形、又は楕円形の形状であってもよい。特定の実施形態では、除去されるシーラント層の部分は、その部分の全厚を含み得る(例えば、シーラント層部分の半径方向最内表面から、半径方向外向きに面し、かつ内側ライナーに接着される、シーラント層部分の反対側の表面(下面)を貫通する。他の実施形態では、除去されるシーラント層の部分は、その部分の全厚未満を含み得る(例えば、シーラント層部分の半径方向最内面から、シーラント層部分の反対側の表面を貫通しない。間隙を修復するために使用されるシーラント層の部分は、第1の実施形態のプロセスでの使用のために本明細書に説明されたシーラント層の構造及び組成を有するものとして理解され得る。
【0096】
第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、プロセスは、パンク部を取り囲むシーラント層の部分以上が除去されるように変更される。かかる実施形態では、シーラント層全体が除去され、かつ新たなシーラント層が付加されるか、又はパンク部を含むが、シーラント層の全幅(例えば、ベルトエッジ間)も含み、かつパンク部の各側を越えて少なくとも2.5〜5cm(例えば、2.5、3、3.5、4、4.5、5cm)の半径方向長さを有するシーラント層の部分が除去されるかのいずれかであり、特定のかかる実施形態では、除去されたシーラント層の部分は、正方形、矩形、又は台形の形状であってもよい。
【0097】
第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、パンク部に対応するシーラント層の少なくとも一部分の除去は、加熱された刃又は他の加熱されたツールの使用によって容易化される。第5の実施形態のうちの他の実施形態では、パンク部に対応するシーラント層の少なくとも一部分の除去は、レーザ誘導切断の使用によって容易化される。かかる実施形態では、パンク部に対応するシーラント層の少なくとも一部分の除去中、内側ライナーのパンク又は引裂を回避するために注意を払わなければならず、除去される部分の全厚未満を除去することが好ましい場合がある。
【0098】
第5の実施形態のうちの特定の実施形態では、タイヤのシーラント層が黒色ではない場合(例えば、白色又は赤色、青色、橙色、黄色、緑色、紫色、若しくはピンク色などの白色ではない色)、少なくとも1つのパンク部の識別が容易化され得る。
【0099】
上記表1〜4に説明されるものは、本明細書に説明される第1〜第4の実施形態のいずれか1つによる特定のシーラント層の配合に使用するための例示的な成分である。表1からの任意の選択肢は、表2からの任意の選択肢、表3からの任意の選択肢、及び表4からの任意の選択肢と組み合わせて(即ち、表1からの1つ、表2からの1つ、表3からの1つ、表4からの1つ)使用され得ることが想到される。非限定的な例として、シーラント層は、表1〜4の各々から選択肢Aを利用するか、表1からの選択肢C、表2からの選択肢B、表3からの選択肢C、及び表4からの選択肢Cを利用するか、又は表1からの選択肢B、表2からの選択肢A、表3からの選択肢B、及び表4からの選択肢Dを利用して調製され得る。
【0100】
「含む(includes)」又は「含むこと(including)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「含む(comprising)」という用語が請求項で移行句として用いられる際の解釈と同様に包括的であることが意図される。更に、「又は」という用語が用いられる範囲において(例えば、A又はB)、それは「A若しくはB、又は両方」を意味することが意図される。本出願人らが「A又はBの両方ではなく一方のみ」を示すことを意図する場合、「A又はBの両方ではなく一方のみ」という用語が用いられるであろう。したがって、本明細書における「又は」という用語の使用は、排他的ではなく、包含的である。Bryan A.Garner、A Dictionary of Modern Legal Usage 624(2d.Ed.1995)を参照。また、「中(in)」又は「中へ(into)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「上(on)」又は「上へ(onto)」を更に意味することが意図される。更に、「接続する(connect)」という用語が本明細書又は特許請求の範囲において使用される限りにおいて、「と直接接続する(directly connected to)」ことだけではなく、別の構成要素を介して接続することなどのように「と間接的に接続する(indirectly connected to)」ことも意味することが意図される。
【0101】
本出願はその実施形態の記述によって説明され、実施形態は相当に詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲をこのような詳細に制限するか、又はいかなる形でも限定することは、出願人の本意ではない。更なる利点及び改良が、当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、そのより広域な態様における本出願は、説明される特定の詳細及び実施形態に限定されない。このため、出願人の一般的な発明概念の趣旨又は範囲から逸脱することなく、このような詳細からの逸脱がなされ得る。
【0102】
本出願は、実施形態が開示される数値範囲全体で実行できるため、精密な範囲限界が明細書内に言葉通りに言及されていなくても、開示される数値範囲内の任意の範囲を支持する、いくつかの数値範囲限界を開示している。実質的に任意の複数及び/又は単数の用語の本明細書での使用に関して、当業者は、状況及び/又は用途に適切となるように、複数から単数へ、及び/又は単数から複数へ置き換えることができる。様々な単数/複数の置き換えは、簡潔にするため、本明細書では明示的に記述される場合がある。更に、頭に「約」という語が付されている全ての数値限定及び数値範囲は、本明細書で十分に説明されているかのように、その約のない特定の数又は範囲を含むと理解されたい。
<付記>
<項1>
タイヤシーラント層であって、
上面及び下面を有するゴム部分であって、
i.ブチルゴム(任意選択的にハロゲン化されたもの)、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−イソプレンゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴム、EPDM、ニトリルゴム、ポリイソブチレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、100部の少なくとも1つのゴムと、
ii.90〜500phrの少なくとも1つの粘着付与剤と、
iii.任意選択的に、55phr以下の総量の1つ以上の増量剤と、
iv.任意選択的に、0.5〜10phrの量の少なくとも1つの吸湿性物質と、
v.硬化パッケージと、の混合物を含む、ゴム部分と、
前記ゴム部分の前記下面上のバリア層と、を備え、前記バリア層が、前記ゴム部分に向かって面する内面、及び前記ゴム部分から離れるように面する外面を有し、
前記シーラント層が、2〜8mmの厚さを有する、タイヤシーラント層。
<項2>
前記バリア層が、金属箔を含む、<項1>に記載のタイヤシーラント層。
<項3>
前記バリア層が、ポリマー性フィルムを含む、<項1>に記載のタイヤシーラント層。
<項4>
前記バリア層が、0.01〜0.3mm、好ましくは0.05〜0.2mmの厚さを有する、<項1>〜<項3>のいずれか一項に記載のタイヤシーラント層。
<項5>
前記ゴム部の前記上面が、硬化され、かつ前記ゴム部分の全厚の25%以下を含み、前記ゴム部分の残部が、硬化されていない、<項1>〜<項4>のいずれか一項に記載のタイヤシーラント層。
<項6>
前記シーラント層の前記ゴム部分が、硬化されている、<項1>〜<項4>のいずれか一項に記載のタイヤシーラント層。
<項7>
前記100部のゴムのうちの少なくとも60部が、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、EPDM、又はこれらの組み合わせを含み、
少なくとも1つの粘着付与剤の最大200部が、ポリブテンを含む、<項1>〜<項6>のいずれか一項に記載のタイヤシーラント層。
<項8>
前記少なくとも1つの粘着付与剤が、1200〜10000グラム/モルのMnを有する極性官能化ポリブタジエン、好ましくは無水マレイン酸官能化ポリブタジエンを含む、<項1>〜<項7>のいずれか一項に記載のタイヤシーラント層。
<項9>
前記少なくとも1つの粘着付与剤が、
a.700〜150,000グラム/モルのMw及び500〜100,000グラム/モルのMnを有する少なくとも1つの低分子量ポリマー又はオリゴマー、
b.フェノール樹脂、脂肪族樹脂、脂環式樹脂、芳香族樹脂、テルペン樹脂、グアユール樹脂、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの樹脂、又は
c.500〜5000グラム/モルのMnを有するポリブテン、のうちの少なくとも1つを含む、<項1>〜<項7>のいずれか一項に記載のタイヤシーラント層。
<項10>
前記シーラント層の前記混合物が、カーボンブラック、粘土、二酸化チタン、炭酸カルシウム、黒鉛、タルク、又はこれらの組み合わせを含む、10〜45phrの増量剤を含
む、<項1>〜<項9>のいずれか一項に記載のタイヤシーラント層。
<項11>
前記増量剤が、1〜10phrのヒュームドシリカを含む、<項1>〜<項10>のいずれか一項に記載のタイヤシーラント層。
<項12>
前記硬化パッケージが、キノリン系架橋開始剤を含む、<項1>〜<項11>のいずれか一項に記載のタイヤシーラント層。
<項13>
前記シーラント層の前記上面が、外向きに面する粘着消失剤コーティングを更に含む、<項1>〜<項12>のいずれか一項に記載のタイヤシーラント層。
<項14>
前記バリア層が、その内面、その外面、又はその内面及び外面の両方に接着剤を更に含む、<項1>〜<項13>のいずれか一項に記載のタイヤシーラント層。
<項15>
前記バリア層が、その外側接着面上に除去可能な剥離ライナーを更に含む、<項14>に記載のタイヤシーラント層。
<項16>
<項1>〜<項15>のいずれか一項に記載のタイヤシーラント層を含有するタイヤであって、前記タイヤが、前記タイヤシーラント層が接着される半径方向内向きに面する表面、又は前記タイヤシーラント層が接着される半径方向外向きに面する表面、のいずれかを有する内側ライナーを含む、タイヤ。
<項17>
前記シーラント層が、ベルトエッジ間で測定されたときに、前記タイヤの前記内側ライナーの前記半径方向内向きに面する表面の幅から5%以下で変化する幅を有する、<項16>に記載のタイヤ。
<項18>
a.前記シーラント層の前記ゴム部分が、400〜1200%の破断点伸びを有すること、
b.前記シーラント層の前記ゴム部分が、0.01〜5MPaの破断点引張強度を有すること、又は
c.前記シーラント層が、2〜20N/cmの剥離強度を有する、内側ライナーの半径方向内向きに面する表面、又は内側ライナーの半径方向外向きに面する表面に接着されること、のうちの少なくとも1つが満たされている、<項16>又は<項17>に記載のタイヤ。
<項19>
シーラント層−内側ライナーの組み合わせを製造するためのプロセスであって、
a.半径方向内向きに面する表面及び半径方向外向き表面を含むタイヤ内側ライナーを提供することと、
b.<項1>〜<項15>のいずれか一項に記載のシーラント層を提供することと、
c.前記シーラント層を、前記ゴム部分の前記下面が半径方向外向きに面するように、前記内側ライナーの前記半径方向内向きに面する表面、又は前記ゴム部分の前記下面が半径方向外向きに面するように、前記内側ライナーの前記半径方向外向きに面する表面、のいずれかに接着することと、
によって、前記シーラント層を含有するタイヤを製造する、プロセス。
<項20>
(b)における前記シーラント層が、前記バリア層の少なくとも前記外面上の接着剤及び前記外側接着面上の除去可能な剥離ライナーを更に含み、前記剥離ライナーが、(c)の前に除去される、<項19>に記載のプロセス。
<項21>
<項19>又は<項20>に記載のシーラント層−内側ライナーの組み合わせを含むタイヤ。
<項22>
使用済みタイヤの1つ以上の構成要素を回収するプロセスであって、
請求項1〜15のいずれか一項に記載のシーラント層、又は<項19>〜<項21>のいずれか一項に記載のシーラント層−内側ライナーの組み合わせと、半径方向内向きに面する表面を含む内側ライナーと、を含有するタイヤを提供することであって、前記シーラント層が、前記内側ライナーの前記半径方向内向きに面する表面、又は前記内側ライナーの前記半径方向外向きに面する表面、のいずれかに接着されている、提供することと、
前記シーラント層を前記内側ライナーから離すように分離することによって、前記シーラント層を前記タイヤから除去することと、を含む、プロセス。
<項23>
パンクしたタイヤを修復するためのプロセスであって、
<項1>〜<項15>のいずれか一項に記載のシーラント層、又は<項19>〜<項21>のいずれか一項に記載のシーラント層−内側ライナーの組み合わせと、半径方向内向きに面する表面及び半径方向外向きに面する表面を含む内側ライナーと、を含有するタイヤを提供することであって、前記シーラント層が、前記内側ライナーの前記半径方向内向きに面する表面、又は前記内側ライナーの前記半径方向外向きに面する表面、のいずれかに接着されており、前記タイヤが、前記シーラント層の一部分内に延在する、前記内側ライナーの少なくとも1つのパンク部を含有する、提供することと、
前記少なくとも1つのパンク部を識別することと、
前記少なくとも1つのパンク部を、
a.前記パンク部を取り囲む前記シーラント層の前記一部分を除去して、それによって前記シーラント層内に間隙を形成し、シーラントの新たな部分を前記間隙に接着すること、又は
b.シーラントの新たな部分を前記パンク部に付加すること、のいずれかによって修復することと、を含み、
それによって、前記パンクしたタイヤを修復する、プロセス。
<項24>
前記少なくとも1つのパンク部を修復することが、(b)を含み、シーラントの前記新たな部分が、<項1>〜<項15>のいずれか一項に記載のシーラント層を含む、<項23>に記載のプロセス。
<項25>
前記タイヤの前記シーラント層が、黒色ではない、<項19>〜<項24>のいずれか一項に記載のプロセス。