特許第6961701号(P6961701)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961701炭酸カルシウムを含有し、微細構造粒子を有する、複合粉末
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961701
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】炭酸カルシウムを含有し、微細構造粒子を有する、複合粉末
(51)【国際特許分類】
   C01F 11/18 20060101AFI20211025BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20211025BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20211025BHJP
   A61L 27/02 20060101ALI20211025BHJP
   A61L 27/12 20060101ALI20211025BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20211025BHJP
   A61L 27/40 20060101ALI20211025BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20211025BHJP
   A61F 2/28 20060101ALN20211025BHJP
【FI】
   C01F11/18
   A61L27/58
   A61P19/00
   A61L27/02
   A61L27/12
   A61L27/18
   A61L27/40
   C08J3/20CFD
   C08J3/20CFF
   C08J3/20CFG
   !A61F2/28
【請求項の数】21
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2019-535450(P2019-535450)
(86)(22)【出願日】2017年9月7日
(65)【公表番号】特表2019-530633(P2019-530633A)
(43)【公表日】2019年10月24日
(86)【国際出願番号】EP2017072412
(87)【国際公開番号】WO2018046572
(87)【国際公開日】20180315
【審査請求日】2020年3月23日
(31)【優先権主張番号】16001954.3
(32)【優先日】2016年9月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519082784
【氏名又は名称】シェーファー・カーク・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー
【氏名又は名称原語表記】SCHAEFER KALK GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】フカク、マリヤン
【審査官】 神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−508840(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0190441(US,A1)
【文献】 特開平04−238812(JP,A)
【文献】 特開2009−263224(JP,A)
【文献】 特開2003−299723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 11/18
A61L 27/58
A61P 19/00
A61L 27/02
A61L 27/12
A61L 27/18
A61L 27/40
C08J 3/20
A61F 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大粒子が小粒子と合わされる方法を用いることによって得ることができる、微細構造粒子を含有する複合粉末であって、
− 前記大粒子が、0.1μm〜10mmの範囲内の平均粒径を有し、
− 前記大粒子が、少なくとも1つのポリマーを含み、
− 前記小粒子が、前記大粒子の表面上に配置され、かつ/または前記大粒子内に不均質に分布し、
− 前記小粒子が、0.05μm〜50.0μmの範囲内の平均直径を有する沈殿した球状炭酸カルシウム粒子を含み、
前記球状炭酸カルシウム粒子が、
a.まず、水酸化カルシウム懸濁液を充填し、
b.二酸化炭素または二酸化炭素含有気体混合物を、工程aから得られた前記懸濁液に導入し、
c.得られた炭酸カルシウム粒子を分別し、
0.3重量%〜0.7重量%の少なくとも1つのアミノトリスアルキレンホスホン酸を、さらに添加する、方法を用いることによって得ることができ、
前記複合粉末の前記粒子が、10μm〜200μm未満の範囲内の平均粒径d50を有することを特徴とする、複合粉末。
【請求項2】
アミノトリスメチレンホスホン酸、アミノトリスエチレンホスホン酸、アミノトリスプロピレンホスホン酸および/またはアミノトリスブチレンホスホン酸を添加する方法を用いることによって得ることができる炭酸カルシウム粒子を含む、請求項1に記載の複合粉末。
【請求項3】
前記二酸化炭素または前記二酸化炭素含有気体混合物を、反応混合物が9未満のpHを有するまで導入する方法を用いることによって得ることができる炭酸カルシウム粒子を含む、請求項1または2に記載の複合粉末。
【請求項4】
前記二酸化炭素または前記二酸化炭素含有気体混合物を用いる前記水酸化カルシウム懸濁液の変換が、25℃未満の温度で行われる方法を用いることによって得ることができる炭酸カルシウム粒子を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合粉末。
【請求項5】
二酸化炭素または二酸化炭素含有気体混合物を、0.02LのCO/(hg Ca(OH))〜2.0LのCO/(hg Ca(OH))の範囲内の気体流速度で前記水酸化カルシウム懸濁液に導入する方法を用いることによって得ることができる炭酸カルシウム粒子を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合粉末。
【請求項6】
前記球状炭酸カルシウム粒子が、30.0μm未満、特に20.0μm未満の平均直径を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合粉末。
【請求項7】
前記球状炭酸カルシウム粒子が、少なくとも90.0重量%のあらゆる炭酸カルシウム粒子が平均粒径−30%〜平均粒径+30%の範囲内の粒径を有するサイズ分布を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の複合粉末。
【請求項8】
最大粒径と最小粒径から形成された商として定義される、前記球状炭酸カルシウム粒子の形状指数が、0.90超であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合粉末。
【請求項9】
前記大粒子が、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の複合粉末。
【請求項10】
前記大粒子が、少なくとも1つの吸収性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の複合粉末。
【請求項11】
前記吸収性ポリマーが、25℃および0.1%ポリマー濃度のクロロホルム中で測定して、0.3dL/g〜8.0dL/gの範囲内の固有粘度を有することを特徴とする、請求項10に記載の複合粉末。
【請求項12】
前記大粒子が、ポリ−D−、ポリ−L−および/またはポリ−D,L−乳酸を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の複合粉末。
【請求項13】
前記大粒子が、500g/mol〜1000000g/molの範囲内の数平均分子量を有する少なくとも1つの吸収性ポリエステルを含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の複合粉末。
【請求項14】
前記大粒子が、少なくとも1つのポリアミドを含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の複合粉末。
【請求項15】
前記大粒子が、少なくとも1つのポリウレタンを含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の複合粉末。
【請求項16】
前記沈殿した炭酸カルシウム粒子の重量割合が、前記複合粉末の総重量に対して少なくとも0.1重量%であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の複合粉末。
【請求項17】
前記複合粉末が、前記複合粉末の総重量に対して40.0重量%〜80.0重量%のPLLAおよび20.0重量%〜60.0重量%の沈殿した炭酸カルシウム粒子を含むことを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の複合粉末。
【請求項18】
配合のため、構成要素の生成のため、医療技術および/もしくは微細加工技術における適用のため、ならびに/または発泡物品の生成のための、添加剤、特にポリマー添加剤、添加物質または出発材料としての、請求項1〜17のいずれか一項に記載の複合粉末の使用。
【請求項19】
神経外科手術、口腔外科手術、顎外科手術、顔面外科手術、頸部外科手術、鼻外科手術および耳外科手術、ならびに手外科手術、足外科手術、胸部外科手術、肋骨外科手術および肩外科手術の分野における使用のためのインプラントを除く、請求項1〜17のいずれか一項に記載の複合粉末を含む組成物の選択的レーザー焼結によって得ることができる構成要素。
【請求項20】
a.まず、水酸化カルシウム懸濁液を充填し、
b.二酸化炭素または二酸化炭素含有気体混合物を、工程aから得られた前記懸濁液に導入し、
c.得られた炭酸カルシウム粒子を分別し、
0.3重量%〜0.7重量%の少なくとも1つのアミノトリスアルキレンホスホン酸を、さらに添加する、方法を用いることによって得ることができる球状炭酸カルシウム粒子。
【請求項21】
紙、プラスチック、塗料および/またはワニス、エラストマー、ならびに接着剤およびシーラントのための、建設化学における、乾燥モルタルにおける、および医療技術における添加剤、特に吸収性ポリマーにおける添加剤としての、請求項20に記載の球状炭酸カルシウム粒子の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、微細構造粒子を含有する炭酸カルシウム含有複合粉末、その生成のための方法、その使用に関し、また、神経外科手術、口腔外科手術、顎外科手術、顔面外科手術、頸部外科手術、鼻外科手術および耳外科手術、ならびに手外科手術、足外科手術、胸部外科手術、肋骨外科手術および肩外科手術の分野における使用のためのインプラントを除く、選択的レーザー焼結によって得ることができる構成要素に関する。
【0002】
炭酸カルシウム、CaCOは、今日、日々の生活の多くの領域で使用されている炭酸カルシウム塩である。特に、紙、塗料、プラスチック、インク、接着剤および治療薬における添加剤または改変剤として使用される。プラスチックにおいて、炭酸カルシウムは、主に、比較的高価なポリマーを置きかえるための賦形剤として働く。
【0003】
複合物も、既に知られており、材料の個々の構成要素と比較して異なる材料特性を有する、2つまたはそれよりも多い材料の組合せから構成された材料を指す。構成要素の材料特性および形状は、複合物の特性にとって重要である。特に、サイズ効果がしばしば重要である。組合せは、一般に、一体的結合または形態的嵌合または両者の混合によって達成される。
【0004】
さらに、カルシウム塩、特に炭酸カルシウムを含有する微細構造複合粒子も、それ自体で既に知られている。
【0005】
例えば、WO2012/126600A2は、大粒子が小粒子と合わされる方法を用いることによって得ることができる微細構造複合粒子を開示しており、ここで、
− 大粒子は、0.1μm〜10mmの範囲内の平均粒径を有し、
− 小粒子の平均粒径は、大粒子の平均粒径の1/10以下であり、
− 大粒子は、少なくとも1つのポリマーを含み、
− 小粒子は、炭酸カルシウムを含み、
− 小粒子は、大粒子の表面上に配置され、かつ/または大粒子内に不均質に分布し、
小粒子は、0.01μm〜1.0mmの範囲内の平均粒径を有する沈殿した炭酸カルシウム粒子を含む。
【0006】
さらに、WO2012/126600A2は、大粒子が小粒子と合わされる方法を用いることによって得ることができる微細構造複合粒子を開示しており、ここで、
− 大粒子は、0.1μm〜10mmの範囲内の平均粒径を有し、
− 小粒子の平均粒径は、大粒子の平均粒径の1/10以下であり、
− 大粒子は、少なくとも1つのポリマーを含み、
− 小粒子は、少なくとも1つのカルシウム塩を含み、
− 小粒子は、大粒子の表面上に配置され、かつ/または大粒子内に不均質に分布し、
大粒子は、500g/mol〜1000000g/molの範囲内の数平均分子量を有する少なくとも1つの吸収性ポリエステルを含む。
【0007】
WO2012/126600A2に示されている複合粒子は、構成要素の生成のため、医療技術および/もしくは微細加工技術における適用のため、ならびに/または発泡物品の生成のための、添加剤、特にポリマー添加剤、添加物質または出発材料として特に適しているとされている。その文書では、中でも、選択的レーザー焼結法(SLM法)が言及されている。
【0008】
しかし、選択的レーザー焼結により適した材料が望ましい。WO2012/126600A2の複合粒子の1つの欠点は、特にそれらの低い注入性(pourability)であり、この低い注入性は、注入助剤(pouring aid)を使用しても、部分的にしか低減することができない。特にインプラントの生成では、このような注入助剤の添加は、得られたインプラントの特性、特にその生物学的適合性および生分解性に一般に悪影響を及ぼすので、不利である。さらに、低い注入性は、レーザー焼結系における輸送を複雑にする。
【0009】
WO2012/126600A2の材料を使用するレーザー焼結によって構成要素を生成する場合、以下のさらなる問題が起こる。粉砕した複合粒子の焼結を行うことは可能であるが、得られた構成要素の、表面の質および表面性質、ならびに構成要素密度は、完全に満足なものとは限らない。特に、得られた構成要素のより良好な縮み挙動および改善された寸法安定性、ならびにレーザーで処理した領域の外側の、より良好な熱伝導率挙動が望ましい。さらに、構成要素を生成する、より効率的な方法が望ましい。
【0010】
US4 915 884Aは、水処理用顆粒状材料を生成するための方法であって、顆粒を材料の使用が意図される処理のタイプに適合させることができるように、互いに独立に、1<d≦3および0.5mm≦t≦10mmの範囲内で調整することができる、比重dおよびサイズtを有する顆粒の生成を可能にする方法に関する。この方法は、d未満の比重drを有する易酸化性熱可塑性樹脂と、約200μm未満の粒度分布(granulometry)およびda>1.7d−0.7drの要件を満たす比重daを有する粉末の形態のアジュバントとから構成された混合物を形成することを含み、アジュバントの重量割合paは、具体的な要件を満たすことが意図される。混合物を加熱して塑性状態とし、押出して円筒形ストランドを形成し、これをすぐに、それらの直径よりも短いプラスチック片に切断する。プラスチック片を凝固させて球形顆粒を形成し、それらの表面を酸化に付して親水性部位を形成する。
【0011】
任意に、カチオン性高分子電解質を顆粒の表面にグラフトする。
【0012】
使用される熱可塑性樹脂は、例えば、HDPEである。
【0013】
使用されるアジュバントは、例えば、30μmの平均粒径および2.71の比重を有する炭酸カルシウムである。
【0014】
酸化は、例えば、硫酸および重クロム酸カリウムから構成された混合物を用いて達成される。
【0015】
しかし、この公開物から、球状炭酸カルシウム粒子についての如何なる指示を収集することは不可能である。
【0016】
この背景の下で、本発明の一目的は、改善された特性を有する炭酸カルシウムを含有する複合粉末を提供するやり方を示すことである。特に、改善されたレーザー焼結特性を有する材料であって、特に改善された注入性を有し、レーザー焼結の場合には、改善された表面の質および表面性質、ならびに改善された構成要素密度を有する構成要素の生成を可能にし、特に、得られた構成要素のより良好な縮み挙動および改善された寸法安定性、ならびにレーザーで処理した領域の外側の、より良好な熱伝導率挙動を示す、材料が提供されるべきである。さらに、構成要素を生成する、より効率的な方法が望ましい。最後に、特に有利な構成要素を提供することも本発明の一目的である。さらに、特に生成物中の溶媒残留物の存在に関して制限がある領域においていかなる困難も伴わずに使用することができる、溶媒を含まない生成物に対して研究を行う。この状況では、一般に完全に溶媒を含んではならない医療技術適用のための生成物が、特に取り上げられるべきである。最後に、最終生成物の生成中の熱分解、特にポリマー分解を最適に防止するやり方も探求される。
【0017】
これらの目的、および具体的に言及されていないが、先の状況から直接的に誘導することができるさらなる目的は、本発明の請求項1のすべての特色を有する微細構造粒子を含有する複合粉末の提供によって達成される。請求項1に再び言及する従属請求項は、複合粉末の特に好都合な使用変形態様を記載する。使用請求項は、本発明による複合粉末の特に好都合な適用に関する。さらに、神経外科手術、口腔外科手術、顎外科手術、顔面外科手術、頸部外科手術、鼻外科手術および耳外科手術、ならびに手外科手術、足外科手術、胸部外科手術、肋骨外科手術および肩外科手術の分野における使用のためのインプラントを除く、本発明による複合粉末を含有する組成物の選択的レーザー焼結によって得ることができる特に有利な構成要素が保護される。本発明はまた、有利には本発明による複合粒子を生成するために使用することができる球状炭酸カルシウム粒子、およびその使用を提供する。
【0018】
大粒子が小粒子と合わされる方法を用いることによって得ることができる、微細構造粒子を含有する複合粉末であって、
− 大粒子が、0.1μm〜10mmの範囲内の平均粒径を有し、
− 大粒子が、少なくとも1つのポリマーを含み、
− 小粒子が、大粒子の表面上に配置され、かつ/または大粒子内に不均質に分布し、
− 小粒子が、0.05μm〜50.0μmの範囲内、好ましくは2.5μm〜30.0μmの範囲内の平均直径を有する沈殿した球状炭酸カルシウム粒子を含み、
球状炭酸カルシウム粒子が、
a.まず、水酸化カルシウム懸濁液を充填し、
b.二酸化炭素または二酸化炭素含有気体混合物を、工程aから得られた懸濁液に導入し、
c.得られた炭酸カルシウム粒子を分別し、
0.3重量%〜0.7重量%の少なくとも1つのアミノトリスアルキレンホスホン酸を、さらに添加する、方法を用いることによって得ることができる、複合粉末を提供することによって、容易に予測可能ではない方式で、レーザー焼結法における使用に特に際立って適した、改善された特性を有する炭酸カルシウム含有複合粉末を利用可能にすることが可能である。本発明による複合粉末は、改善された注入性を有し、レーザー焼結の場合には、改善された表面の質および表面性質、ならびに改善された構成要素密度を有する構成要素の生成を可能にする。同時に、得られた構成要素は、特に、より良好な縮み挙動および改善された寸法安定性を示す。さらに、レーザーで処理した領域の外側に、より良好な熱伝導率挙動が確立され得る。
【0019】
さらに、本発明による複合粉末は、特にレーザー焼結法によって、構成要素のより効率的な生成を可能にする。本発明による複合粉末を使用して得ることができる溶融物の溶融流れは、明らかに増大する(改善される)。従来の材料と比較して、本発明による複合粉末は、特に、SLM法によってより良好に処理可能であり、SLM法において明らかにより良好な層構造を可能にする。本発明による複合粉末を使用するSLM法によって得ることができる構成要素は、極めて高い質によって区別され、従来の材料を使用するSLM法によって生成された構成要素と比較して、欠陥が明らかに少なく、構成要素密度が、好ましくは95%超、特に97%超と高く、多孔性がより低い。同時に、得られた構成要素の分解生成物の量は、明らかにより少なく、構成要素の細胞適合性は極めて高い。
【0020】
このようにして得ることができる構成要素のその他の特性も優れている。この構成要素は、非常に良好な機械特性および非常に良好なpH安定性を有する。同時に、構成要素の生物学的適合性は、明らかに改善される。SLM法によって処理することができる対応するポリマー粉末が知られていないので一層、高純度ポリマーを使用しても、同等の生成物を得ることはできない。
【0021】
本発明のさらなる利点は、大粒子および小粒子の使用量および特性によって、特に炭酸カルシウム粒子の特性によって、特に炭酸カルシウム粒子の粒径によって、ならびに炭酸カルシウム粒子の量によって、本発明による複合粉末の特性、特に複合粉末の流れ特性を具体的に制御し、調整できることであるとみなすことができる。さらに、複合粉末の分級によって、特に複合粉末の炭酸カルシウム含量および複合粉末の流れ特性を、変化させ、特定の所期の適用に合わせて具体的に調節することが可能である。
【0022】
特に、ポリマーとしてのポリラクチドと組み合わせると、本発明に従って以下の利点が得られる。
【0023】
本発明による複合粉末を使用すると、制御可能な吸収反応速度および調整可能な機械特性を有する分解性インプラントを作製することが可能である。好ましくは複合粉末に存在するポリラクチドは、乳酸に基づく生分解性ポリマーである。生物において、ポリラクチドは、加水分解によって分解される。カルシウム塩、特にリン酸カルシウムおよび炭酸カルシウムは、カルシウムに基づくミネラル材料であり、骨の自然な再生プロセスによって体内で分解される。炭酸カルシウムは、ポリラクチドの分解の場合には、時として骨細胞にとって毒性を有する酸性環境を緩衝する、特に有利な特性を有する。リン酸カルシウム(pH4)と比較して、炭酸カルシウムは、既にpH約7で、すなわち生理的な値7.4近くで緩衝作用を有する。ポリマー、特にポリラクチドの分子鎖長および化学組成によって、完全な分解が生じるまでの時間を調整することが可能である。ポリマーの機械特性についても、類似の調整が可能である。
【0024】
本発明による複合粉末は、追加の製造方法である選択的レーザー溶融(SLM)を用いて処理して、インプラント構造を形成することができる。ここでは、材料および製造方法を互いに、医療要件に合わせて具体的に調節することが可能である。追加の製造自由度および関連する形状自由度を利用できることによって、外科医の要望を満たし、インプラントが至る所に確実に供給されるようにする、内部の開いた細孔構造を有するインプラントを提供できる可能性がもたらされる。さらに、顔および頭蓋領域の大面積の骨欠損の処置に必要とされる場合、追加の製造を用いることによって個々に調節されたインプラントを、迅速に経済的に生成することができる。SLM処理に関する本発明による複合粉末の利点は、特に、ポリマーが、相対的に低温で、好ましくは300℃未満でレーザー放射によって溶融することができ、炭酸カルシウム粒子が、前記温度でも依然として熱安定性があるということである。したがって、本発明による複合粉末の合成を調節することによって、炭酸カルシウム粒子を、レーザー放射が原因となる熱損傷を伴わずに、ポリラクチドマトリックスのインプラントの全体積に均質に埋め込むことができる。インプラントの強度は、まずポリラクチドマトリックスによって、次に炭酸カルシウム粒子の形態によって決定され、好ましくは使用される構成要素の混合比によっても決定される。さらに、インプラントは、材料の選択および成長刺激タンパク質(rhBMP−2)によるその後のコーティングによって、周辺骨組織による骨の活性な構築および足場構造(インプラント)の置きかえを誘導するので、生理活性がある。
【0025】
SLMを用いることによって追加的に製造され、本発明による複合粉末から構成されたインプラントの主な利点は、特に以下のものである。
〇生分解性の骨伝導性材料の使用により、大面積の欠損の場合でも、インプラントを介して骨成長が活性に刺激され、処置される骨欠損における完全な骨再生を伴って、完全な分解が達成される。細孔構造を相互接続することにより、BMPコーティングは、インプラントの全「体積」において活性な効果を有することができる。
〇骨組織の内部発芽:適切な細孔構造の導入によって、インプラントへの新しい骨組織の内部発芽が促進される。追加の製造プロセスを用いることによって、画定された細孔構造を、再生可能な方式で構成要素に導入することが可能になる。
〇提案解決法によって、長期間にわたるインプラントの医学的合併症を最適に防止し、永久的な異物感覚を回避することによって患者の福祉を改善し、特に子どもおよび若年者の場合には、「共に成長する」インプラントを最適に実現するという利点がさらに提供される。
〇最適な緩衝化:炭酸カルシウムの使用により、材料のポリラクチドの酸分解は、既にpHが約7に緩衝されており、このことは、インプラント周辺に生じる酸性環境が回避され、したがって炎症性または細胞傷害性作用が回避され得ることを意味する。さらに、ポリマー、特に乳酸ポリマーの分解プロセスは、最適に抑制される。
〇高強度:SLMプロセスによって、完全な融合複合物が作製され、したがって構成要素が高密度および高強度となり、その結果、生分解性材料および開口細孔構造から構成された、個々に調節されたインプラントを用いて、大面積の欠損を処置することも可能である。
【0026】
さらに、本発明による生成物は、従来の溶媒を使用せずに生成することができ、したがって好ましくは、この「溶媒を含まない」ことによって区別される。このことによって、本発明による生成物は、ここではいかなる困難も伴わずに使用され得るので、特に生成物中の溶媒残留物の存在に関して制限がある領域において使用することが可能になる。この状況では、一般に完全に溶媒を含んではならない医療技術適用が、特に取り上げられるべきである。最後に、本発明による複合粉末を、比較的簡単な方式でさらに処理して、望ましい最終生成物を形成することができる。最終生成物の生成中の熱分解、特にポリマー分解は、最適に防止される。
【0027】
したがって、本発明は、大粒子が小粒子と合わされる方法を用いることによって得ることができる微細構造粒子を含有する複合粉末を提供する。
【0028】
本発明では、材料の顕微鏡的特性は、微細構造と呼ばれる。その微細構造には、分解できる微細構造および粒子構造が含まれる。これらの構造は、液体および気体では存在しない。この場合、個々の原子または分子は、不規則状態で存在している。非晶質固体は、ほとんどの場合、隣接する原子の領域内に構造的な短距離秩序を有するが、長距離秩序を有していない。それに対して、結晶固体は、短距離領域だけでなく長距離領域においても規則正しい格子構造を有している。
【0029】
本発明の状況では、大粒子は、根本的に如何なるさらなる制限を受けない少なくとも1つのポリマーを含む。しかし、ポリマーは、好ましくは熱可塑性ポリマー、好都合にはバイオポリマー、ゴム、特に天然ゴムもしくは合成ゴム、および/またはポリウレタンである。
【0030】
この状況では、「熱可塑性ポリマー」という用語は、ある特定の温度範囲、好ましくは25℃〜350℃の範囲内で(熱可塑的に)変形することができるプラスチックを指す。このプロセスは可逆的であり、すなわち過熱の結果として材料のいわゆる熱分解が開始しない限り、冷却し、すぐに溶融状態に再加熱することによって、しばしば所望に応じて反復することができる。このことによって、熱可塑性ポリマーは、熱硬化性樹脂およびエラストマーとは区別される。
【0031】
「バイオポリマー」という用語は、生体原材料(再生可能な原材料)からなり、かつ/または生分解性(生体および/または生分解性ポリマー)である材料を指す。したがって、前記用語は、生分解性であるか、または生分解性ではない生体バイオポリマー、ならびに生分解性である石油ベースのポリマーを包含する。これは、生分解性ではない従来の石油ベースの材料またはプラスチック、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)およびポリ塩化ビニル(PVC)などに関して区別される。
【0032】
「ゴム」という用語は、室温(25℃)でゴム弾性特性を有する、高分子量の非架橋ポリマー材料を指す。より高い温度または変形力の影響下で、ゴムは、流れの粘度の上昇を示し、したがって適切な条件下で再成形することが可能になる。
【0033】
ゴム弾性挙動は、やや低い温度依存を伴う、相対的に低せん断の弾性率によって特徴付けられる。ゴム弾性挙動は、エントロピーの変化によって引き起こされる。伸張の結果、ゴム弾性材料は、強制的により規則正しい配置になり、それによってエントロピーが低下する。したがって、力を除去すると、ポリマーはそれらの本来の位置に戻り、エントロピーが上昇して戻る。
【0034】
「ポリウレタン」(PU、DIN[ドイツ規格協会]略語:PUR)という用語は、それぞれジオールまたはポリオールとポリイソシアネートの重付加反応から生じる、プラスチックまたは合成樹脂を指す。ポリウレタンの特徴は、ウレタン基である。
【0035】
本発明の状況では、熱可塑性ポリマーを使用することが特に好ましい。これに関連して、特に適切なポリマーには、以下のポリマー:アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−(ジエン)−スチレンコポリマー、アクリロニトリル−メタクリレートコポリマー、アクリロニトリル−メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマー、芳香族ポリエステル、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステルコポリマー、ブタジエン−スチレンコポリマー、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、水素化セルロース、カルボキシメチルセルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−ブチルアクリレートコポリマー、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、エチレン−エチルアクリレートコポリマー、エチレン−メタクリレートコポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−ブテンコポリマー、エチルセルロース、ポリスチレン、ポリフルオロエチレンプロピレン、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンコポリマーメチルセルロース、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド6−3−T、ポリアミド6−テレフタル酸コポリマー、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミドMXD6、ポリアミドPDA−T、ポリアミド、ポリアリールエーテル、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリアクリルアミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリアリレート、ポリブテン−1、ポリブチルアクリレート、ポリベンゾイミダゾール、ポリビスマレイミド、ポリオキサジアゾベンゾイミダゾール、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリエステルカーボネート、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエチレンオキシド、ポリアリールエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリイソブチレン、ポリイソシアヌレート、ポリイミドスルホン、ポリメタクリルイミド、ポリメタクリレート、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルホン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、スチレン−無水マレイン酸−ブタジエンコポリマー、スチレン−メチルメタクリレートコポリマー、スチレン−メチルスチレンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、塩化ビニル−エチレンコポリマー、塩化ビニル−メタクリレートコポリマー、塩化ビニル−無水マレイン酸コポリマー、塩化ビニル−マレイミドコポリマー、塩化ビニル−メチルメタクリレートコポリマー、塩化ビニル−オクチルアクリレートコポリマー、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマーおよび塩化ビニル−塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマーが含まれる。
【0036】
さらに、以下のゴムの使用も、特に有利である。自然に存在するポリイソプレン、特にcis−1,4−ポリイソプレン(天然ゴム;NR)およびtrans−1,4−ポリイソプレン(グッタペルカ)、特に天然ゴム;ニトリルゴム(ブタジエンおよびアクリロニトリルのコポリマー);ポリ(アクリロニトリル−コ−1,3−ブタジエン;NBR;いわゆるBuna−Nゴム);ブタジエンゴム(ポリブタジエン;BR);アクリル系ゴム(ポリアクリル系ゴム;ACM、ABR);フッ素ゴム(FPM);スチレン−ブタジエンゴム(スチレンおよびブタジエンのコポリマー;SBR);スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム(スチレン、イソプレンおよびブタジエンのコポリマー;SIBR);ポリブタジエン;合成イソプレンゴム(ポリイソプレン;IR);エチレン−プロピレンゴム(エチレンおよびプロピレンのコポリマー;EPM);エチレン−プロピレン−ジエンゴム(エチレン、プロピレンおよびジエン構成要素のターポリマー;EPDM);ブチルゴム(イソブチレンおよびイソプレンのコポリマー;IIR);エチレン−酢酸ビニルゴム(エチレンおよび酢酸ビニルのコポリマー;EVM);エチレン−メチルアクリレートゴム(エチレンおよびメチルアクリレートのコポリマー;AEM);エポキシゴム、例えばポリクロロメチルオキシラン(エピクロロヒドリンポリマー;CO)、エチレンオキシド(オキシラン)−クロロメチルオキシラン(エピクロロヒドリンポリマー;ECO)、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテルターポリマー(GECO)、エピクロロヒドリン−アリルグリシジルエーテルコポリマー(GCO)およびプロピレンオキシド−アリルグリシジルエーテルコポリマー(GPO);ポリノルボルネンゴム(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(2−ノルボルネン)のポリマー;PNR);ポリアルケニレン(シクロオレフィンのポリマー);シリコーンゴム(Q)、例えばポリマー鎖上にメチル置換基だけを有するシリコーンゴム(MQ;例えば、ジメチルポリシロキサン)、ポリマー鎖上にメチルビニルおよびビニル置換基を有するシリコーンゴム(VMQ)、ポリマー鎖上にフェニルおよびメチル置換基を有するシリコーンゴム(PMQ)、ポリマー鎖上にフルオロおよびメチル基を有するシリコーンゴム(FMQ)、ポリマー鎖上にフルオロ、メチルおよびビニル置換基を有するシリコーンゴム(FVMQ);ポリウレタンゴム;チオコールゴム;ハロブチルゴム、例えばブロモブチルゴム(BIIR)およびクロロブチルゴム(CIIR);クロロポリエチレン(CM);クロロスルホニルポリエチレン(CSM);水素化ニトリルゴム(HNBR);ならびにポリホスファゼン。
【0037】
特に好ましいニトリルゴムには、アクリロニトリル、ブタジエンおよびカルボン酸、例えばメタクリル酸のランダムターポリマーが含まれる。この状況では、ニトリルゴムは、好ましくは、ポリマーの総重量に対して以下の主な構成要素を含む。15.0重量%〜42.0重量%のアクリロニトリルポリマー、1.0重量%〜10.0重量%のカルボン酸、および主にブタジエンである残部(例えば、38.0重量%〜75.0重量%)。典型的に、その組成は、20.0重量%〜40.0重量%のアクリロニトリルポリマー、3.0重量%〜8.0重量%のカルボン酸、および40.0重量%〜65.0重量%または67.0重量%のブタジエンである。特に好ましいニトリルゴムには、アクリロニトリル、ブタジエンおよびカルボン酸のターポリマーが含まれ、このターポリマーにおいて、アクリロニトリル含量は35.0重量%未満であり、カルボン酸含量は10.0重量%未満であり、残りの残部はブタジエン含量に相当する。さらにより好ましいニトリルゴムは、以下の量を含むことができる。20.0重量%〜30.0重量%のアクリロニトリルポリマー、4.0重量%〜6.0重量%のカルボン酸、および主にブタジエンである残部。
【0038】
本発明の状況では、窒素性ポリマー、特にポリアミドの使用が、特に好ましい。特に、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド6−3−T、ポリアミド6−テレフタル酸コポリマー、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミドMXD6および/またはポリアミドPDA−Tが好ましく、特にポリアミド12が好ましい。
【0039】
さらに本発明の目的では、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、特に平均モル質量1000kg/mol超、好ましくは2000kg/mol超、特に好ましくは3000kg/mol超、特に5000kg/mol超を有するポリエチレンも、特に有利である。これに関連して、平均分子量は、好都合には10000kg/mol以下である。特に適切な超高分子量ポリエチレンの密度は、0.94〜0.99g/cmの範囲内である。特に適切な超高分子量ポリエチレンの結晶化度は、50%〜90%の範囲内である。特に適切な超高分子量ポリエチレンの引張強度は、30N/mm〜50N/mmの範囲内である。特に適切な超高分子量ポリエチレンの引張弾性率は、800N/mm〜2700N/mmの範囲内である。特に適切な超高分子量ポリエチレンの溶融範囲は、135℃〜155℃の範囲内である。
【0040】
さらに、吸収性ポリマーの使用も、特に好都合である。「吸収性」という用語(ラテン語:resorbere=「吸収する」)は、生物系、特にヒト生物への物質の取込みを意味すると理解される。ここでは、特に吸収性インプラントを生成するために使用され得る材料が対象となる。
【0041】
本発明によれば、特に好ましい吸収性ポリマーは、乳酸、ヒドロキシ酪酸および/またはグリコール酸、好ましくは乳酸および/またはグリコール酸、特に乳酸の繰り返し単位を含む。これに関連して、ポリ乳酸が特に好ましい。
【0042】
「ポリ乳酸」(ポリラクチド)は、ここでは、乳酸単位から構築されるポリマーを意味すると理解される。このようなポリ乳酸は、通常は乳酸の縮合によって生成されるが、適切な条件下でのラクチドの開環重合でも得られる。
【0043】
本発明によれば、特に適した吸収性ポリマーには、ポリ(グリコリド−コ−L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)およびポリ(ジオキサノン)が含まれ、本発明によれば、乳酸ポリマー、特にポリ−D−、ポリ−L−またはポリ−D,L−乳酸、特にポリ−L−乳酸(PLLA)およびポリ−D,L−乳酸が特に非常に好ましく、特にポリ−L−乳酸(PLLA)の使用が、特に非常に有利である。
【0044】
本発明によれば、ポリ−L−乳酸(PLLA)は、好ましくは、以下の構造を有する。
【0045】
【化1】
【0046】
式中、nは、好ましくは10より大きい整数である。
【0047】
ポリ−D,L−乳酸は、好ましくは、以下の構造を有する。
【0048】
【化2】
【0049】
式中、nは、好ましくは10より大きい整数である。
【0050】
本発明の目的に適した乳酸ポリマーは、例えば、Evonik Nutrition&Care GmbHから、Resomer(登録商標)GL903、Resomer(登録商標)L206S、Resomer(登録商標)L207S、Resomer(登録商標)R208G、Resomer(登録商標)L209S、Resomer(登録商標)L210、Resomer(登録商標)L210S、Resomer(登録商標)LC703S、Resomer(登録商標)LG824S、Resomer(登録商標)LG855S、Resomer(登録商標)LG857S、Resomer(登録商標)LR704S、Resomer(登録商標)LR706S、Resomer(登録商標)LR708、Resomer(登録商標)LR927S、Resomer(登録商標)RG509SおよびResomer(登録商標)X206Sの商標名で商業的に利用可能である。
【0051】
本発明の目的のために特に有利な、好ましくは吸収性ポリエステル、好ましくは乳酸ポリマー、特に好ましくはポリ−D−、ポリ−L−またはポリ−D,L−乳酸、特にポリ−L−乳酸である吸収性ポリマーは、好ましくは、狭い分布のポリスチレン標準物質に対するゲル浸透クロマトグラフィーによって、または末端基滴定によって決定される、500g/mol超、好ましくは1000g/mol超、特に好ましくは5000g/mol超、好都合には10000g/mol超、特に25000g/mol超の数平均分子量(Mn)を有する。他方では、好ましい吸収性ポリマーの数平均は、1000000g/mol未満、好都合には500000g/mol未満、好都合には100000g/mol未満、特に50000g/mol以下である。本発明の状況では、500g/mol〜50000g/molの範囲内の数平均分子量が特に非常に有効であることが見出されている。
【0052】
好ましくは狭い分布のポリスチレン標準物質に対するゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される、好ましくは吸収性ポリエステル、好都合には乳酸ポリマー、特に好ましくはポリ−D−、ポリ−L−またはポリ−D,L−乳酸、特にポリ−L−乳酸である、好ましい吸収性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは750g/mol〜5000000g/molの範囲内、好ましくは750g/mol〜1000000g/molの範囲内、特に好ましくは750g/mol〜500000g/molの範囲内、特に750g/mol〜250000g/molの範囲内であり、前記ポリマーの多分散度は、好都合には1.5〜5の範囲内である。
【0053】
25℃および0.1%ポリマー濃度のクロロホルム中で測定される、好ましくは乳酸ポリマー、特に好ましくはポリ−D−、ポリ−L−またはポリ−D,L−乳酸、特にポリ−L−乳酸である、特に適切な吸収性ポリマーの固有粘度は、0.3dL/g〜8.0dL/gの範囲内、好ましくは0.5dL/g〜7.0dL/gの範囲内、特に好ましくは0.8dL/g〜2.0dL/gの範囲内、特に0.8dL/g〜1.2dL/gの範囲内である。
【0054】
さらに、30℃のヘキサフルオロ−2−プロパノールおよび0.1%ポリマー濃度中で測定される、好ましくは乳酸ポリマー、特に好ましくはポリ−D−、ポリ−L−またはポリ−D,L−乳酸、特にポリ−L−乳酸である、特に適切な吸収性ポリマーの固有粘度は、1.0dL/g〜2.6dL/gの範囲内、特に1.3dL/g〜2.3dL/gの範囲内である。
【0055】
さらに、本発明の状況では、20℃超、好都合には25℃超、好ましくは30℃超、特に好ましくは35℃超、特に40℃超のガラス転移温度を有するポリマー、好都合には熱可塑性ポリマー、好ましくは乳酸ポリマー、特に好ましくはポリ−D−、ポリ−L−またはポリ−D,L−乳酸、特にポリ−L−乳酸が、極めて有利である。本発明の特に非常に好ましい態様の状況では、ポリマーのガラス転移温度は、35℃〜70℃の範囲内、好都合には55℃〜65℃の範囲内、特に60℃〜65℃の範囲内である。
【0056】
さらに、50℃超、好都合には少なくとも60℃、好ましくは150℃超、特に好ましくは130℃〜210℃の範囲内、特に175℃〜195℃の範囲内の溶融温度を有するポリマー、好都合には熱可塑性ポリマー、好ましくは乳酸ポリマー、特に好ましくはポリ−D−、ポリ−L−またはポリ−D,L−乳酸、特にポリ−L−乳酸が、特に適している。
【0057】
これに関連して、ポリマーのガラス温度および溶融温度は、好ましくは、示差走査熱量測定(省略してDSC)を用いることによって確認される。以下の手順は、この状況において特に非常に有効であることが見出されている。
【0058】
DSC測定は、Mettler−Toledo DSC30Sにより窒素中で実施される。較正は、好ましくはインジウムを使用して行われる。測定は、好ましくは酸素を含まない乾燥窒素(流速:好ましくは40ml/分)中で行われる。試料重量は、好ましくは15mg〜20mgで選択される。試料を、まず0℃から、好ましくは調査しながらポリマーの溶融温度を超える温度に加熱し、次に0℃に冷却し、再び0℃から、10℃/分の加熱速度で記載の温度に加熱する。
【0059】
特に非常に好ましい熱可塑性ポリマーは、ポリアミド、UHMWPEおよび吸収性ポリマー、特に吸収性ポリエステル、例えばポリ酪酸、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸ポリマー(PLA)および乳酸コポリマーであり、本発明によれば、乳酸ポリマーおよび乳酸コポリマー、特にポリ−L−ラクチド、ポリ−D,L−ラクチド、ならびにD,L−PLAおよびPGAのコポリマーが、特に非常に有効であることが見出されている。
【0060】
本発明の目的のためには、特に以下のポリマーが、特に非常に適している。
1)好ましくは0.5dL/g〜2.5dL/gの範囲内、好都合には0.8dL/g〜2.0dL/gの範囲内、特に0.8dL/g〜1.2dL/gの範囲内の固有粘度(各場合、25℃のクロロホルム中0.1%で測定した場合)を有し、好ましくは60℃〜65℃の範囲内のガラス転移温度を有し、さらに好ましくは180℃〜185℃の範囲内の溶融温度を有し、さらに好ましくは、エステル末端化されているポリ−L−ラクチド(PLLA)、
2)好ましくは1.0dL/g〜3.0dL/gの範囲内、好都合には1.5dL/g〜2.5dL/gの範囲内、特に1.8〜2.2dL/gの範囲内の固有粘度(各場合、25℃のクロロホルム中0.1%で測定した場合)を有し、好ましくは55℃〜60℃の範囲内のガラス転移温度を有するポリ(D,L−ラクチド)。
最良の結果は、好ましくは0.5dL/g〜2.5dL/gの範囲内、好都合には0.8dL/g〜2.0dL/gの範囲内、特に0.8dL/g〜1.2dL/gの範囲内の固有粘度(各場合、25℃のクロロホルム中0.1%で測定した場合)、好ましくは60℃〜65℃の範囲内のガラス転移温度を有し、さらに好ましくは180℃〜185℃の範囲内の溶融温度を有し、さらに好ましくはエステル末端化されているポリ−L−ラクチドを使用して達成される。
【0061】
本発明の状況では、本発明による複合粉末の生成に使用可能な小粒子(第2の材料)は、沈殿した球状炭酸カルシウム粒子を含む。したがって、先行技術から公知の他の形状とは対照的に、炭酸カルシウム粒子は、例えば、針状、菱面体もしくは犬牙状粒子(沈殿した炭酸カルシウム;PCC)または不規則な形状の粒子(粉砕炭酸カルシウム;GCC)からではなく、沈殿した球状粒子から構築され、これは、好ましくは、主に個々の粒子として存在する。しかし、完全な球状からの相対的に小さい偏差が許容され、ただし、粒子の特性、特にそれらの分散性は根本的に変化しない。例えば、粒子の表面は、偶発的な欠陥またはさらなる沈着を有する場合がある。
【0062】
本発明によれば、「沈殿した球状炭酸カルシウム粒子」という用語は、例えば、炭酸カルシウムを粉砕することによって得ることができる球状粒子の破片も包含する。しかし球状破片の割合は、各場合において沈殿した球状炭酸カルシウムの総量に対して、好ましくは95%未満、好ましくは75%未満、特に好ましくは50%未満、特に25%未満である。
【0063】
球状炭酸カルシウム粒子の平均直径は、0.05μm〜50.0μmの範囲内、特に2.5μm〜30.0μmの範囲内である。これに関連して、平均直径は、好都合には2.5μm超、好都合には3.0μm超、好ましくは4.0μm超、好都合には5.0μm超、好都合には6.0μm超、好ましくは7.0μm超、特に好ましくは8.0μm超、さらにより好ましくは9.0μm超、特に非常に好ましくは10.0μm超、さらにより好ましくは11.0μm超、特に12.0μm超、特に13.0μm超である。さらに、平均粒径は、好都合には30.0μm未満、好都合には20.0μm未満、好ましくは18.0μm未満、特に好ましくは16.0μm未満、特に14.0μm未満である。
【0064】
本発明の状況では、炭酸カルシウム粒子の平均直径は、好都合には、走査型電子顕微鏡写真(SEM画像)の評価によって確認され、好ましくは、少なくとも0.01μmのサイズの粒子だけが考慮され、数平均は、好ましくは少なくとも20個、特に好ましくは少なくとも40個の粒子で形成される。さらに、沈降分析法が特に有効であることも見出されており、この状況では、Sedigraph 5100(Micromeritics GmbH)の使用が特に有利である。
【0065】
炭酸カルシウム粒子のサイズ分布は、好都合には比較的狭く、好ましくは少なくとも90.0重量%のあらゆる炭酸カルシウム粒子が平均粒径−30%〜平均粒径+30%の範囲内の粒径を有するような分布である。
【0066】
最大粒径と最小粒径から形成された商としてここで定義される、炭酸カルシウム粒子の形状指数は、好都合には、あらゆる粒子の少なくとも90%、好都合には少なくとも95%について0.90超、特に好ましくは0.95超である。この状況では、好ましくは0.1μm〜50.0μmの範囲内、特に0.1μm〜30.0μmの範囲内の粒径を有する粒子だけが考慮される。
【0067】
炭酸カルシウム粒子は、好都合には含水量が比較的低いことによって区別される。炭酸カルシウム粒子は、それらの総重量に対して、好都合には5.0重量%以下、好ましくは2.5重量%以下、好ましくは1.0重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下、さらにより好ましくは0.4重量%未満、好都合には0.3重量%未満、好都合には0.2重量%未満、特に>0.1重量%〜<0.2重量%の範囲内の含水量(200℃における残留水分)を有する。
【0068】
本発明の状況では、カルシウム塩粒子、特に炭酸カルシウム粒子の含水量は、好ましくは、熱重量分析を用いることによって、あるいは赤外急速乾燥機、例えばSartorius製のMA35もしくはMA45、またはMettler製のハロゲン水分分析器HB43を用いることによって確認され、測定は、好ましくは窒素中で(好ましくは、20ml/分の窒素流量)、好都合には40℃またはそれよりも低温から250℃またはそれよりも高温の温度範囲にわたって行われる。さらに測定は、好ましくは10℃/分の加熱速度で行われる。
【0069】
炭酸カルシウム粒子の比表面積は、好ましくは3.0m/g未満、好ましくは2.0m/g未満、特に1.5m/g未満である。さらに、比表面積は、好都合には0.25m/g超、好ましくは0.5m/g超、特に0.75m/g超である。
【0070】
本発明の特に好ましい変形態様の状況では、炭酸カルシウム粒子、特に沈殿した炭酸カルシウム粒子は、好ましくは球状であり、実質的に非晶質である。ここで「非晶質」という用語は、含まれる原子が、規則正しい構造の代わりに少なくとも部分的に不規則なパターンを形成し、したがって短距離秩序だけを有するが、長距離秩序を有していない炭酸カルシウム形態を指す。結晶形における原子が短距離秩序および長距離秩序の両方を有する、例えば方解石、バテライトおよびアラゴナイトなどの炭酸カルシウムの結晶形は、それらとは区別され得る。
【0071】
しかし、本発明のこの好ましい変形態様の状況では、結晶性構成物の存在は分類上除外されない。しかし好ましくは、結晶性炭酸カルシウムの割合は、50重量%未満、特に好ましくは30重量%未満、特に非常に好ましくは15重量%未満、特に10重量%未満である。本発明の特に好ましい変形態様の状況では、結晶性炭酸カルシウムの割合は、各場合において炭酸カルシウムの総重量に対して8.0重量%未満、好ましくは6.0重量%未満、好都合には4.0重量%未満、特に好ましくは2.0重量%未満、特に非常に好ましくは1.0重量%未満、特に0.5重量%未満である。
【0072】
非晶質および結晶性画分の確認のために、リートベルト精密化法を伴う、内部標準、好ましくは石英を用いるX線回折が、特に非常に有効であることが見出されている。
【0073】
本発明のこの好ましい態様の状況では、好ましくは非晶質である炭酸カルシウム粒子は、好都合には、好ましくは球状の炭酸カルシウム粒子の表面上に好ましくは配置されている、少なくとも1つの物質、特に少なくとも1つの表面活性物質によって安定化される。本発明の状況では、「表面活性物質」は、好都合には、界面(水/炭酸カルシウム粒子)においてそれらの溶液から強力に構築され、それによって好ましくは25℃で測定される表面張力を低減する有機化合物を指す。さらなる詳細については、技術文献、特にRoempp−Lexikon Chemie[Roempp’s Chemistry Lexicon]/editors Juergen Falbe;Manfred Regitz.revised by Eckard Amelingmeier;Stuttgart,New York;Thieme;volume 2:Cm−G;10th edition(1997);keyword:“surface−active substances”を参照されたい。
【0074】
好ましくは、物質、特に表面活性物質は、100g/mol超、好ましくは125g/mol超、特に150g/mol超のモル質量を有し、式R−Xを満たす。
【0075】
これに関連して、ラジカルRは、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個、好ましくは少なくとも4個、特に好ましくは少なくとも6個、特に少なくとも8個の炭素原子を含むラジカルを表し、好ましくは、脂肪族または脂環式ラジカルを表し、これは任意にさらなるラジカルXを含んでいてもよく、任意に1つ以上のエーテル連結を有していてもよい。
【0076】
ラジカルXは、少なくとも1つの酸素原子および少なくとも1つの炭素原子、硫黄原子、リン原子および/または窒素原子、好ましくは少なくとも1つのリン原子および/または少なくとも1つの炭素原子を含む基を表す。以下の基が、特に好ましい。
【0077】
カルボン酸基〜COOH、
カルボキシレート基〜COO
スルホン酸基〜SOH、
スルホネート基〜SO
硫酸水素基〜OSOH、
スルフェート基〜OSO
ホスホン酸基〜PO
ホスホネート基〜PO、〜PO2−
アミノ基〜NR、および
アンモニウム基〜N
特にカルボン酸基、カルボキシレート基、ホスホン酸基およびホスホネート基。
【0078】
この状況では、ラジカルR、RおよびRは、互いに独立に、水素、または1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す。また、ラジカルR、RおよびRの1つは、ラジカルRであり得る。
【0079】
前述のアニオンのための好ましい対イオンは、金属カチオン、特にアルカリ金属カチオン、好ましくはNaおよびKであり、またアンモニウムイオンである。
【0080】
前述のカチオンのための好ましい対イオンは、ヒドロキシルイオン、炭酸水素イオン、炭酸イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオンおよびハロゲン化物イオンであり、特に塩化物イオンおよび臭化物イオンである。
【0081】
nは、好ましくは1〜20の範囲内、好ましくは1〜10の範囲内、特に1〜5の範囲内の整数を表す。
【0082】
本発明の目的に特に適した物質は、アルキルカルボン酸、アルキルカルボキシレート、アルキルスルホン酸、アルキルスルホネート、アルキルスルフェート、好ましくは1〜4個のエチレングリコールエーテル単位を有するアルキルエーテルスルフェート、好ましくは2〜20個のエチレングリコールエーテル単位を有する脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、任意に置換されていてもよいアルキルホスホン酸、任意に置換されていてもよいアルキルホスホネート、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、N−メチルグルカミド、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーを包含し、また、それらの対応する塩形態およびブロックコポリマーを包含する。
【0083】
特に非常に有利な物質の第1の群は、任意に置換されていてもよいアルキルホスホン酸、特にアミノトリス(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチレン−(1,1−ジホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、および特に前述の酸の任意に置換されていてもよいアルキルホスホネートである。これらの化合物は、金属イオンおよびスケール抑制剤のための多官能性捕捉剤として知られている。
【0084】
さらに、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、好ましくはホモポリマー、ならびにそれらの対応する塩形態、特に1000g/mol〜10000g/molの範囲内の重量平均分子量を有するものも、特に有効であることが見出されている。
【0085】
さらに、特にポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシドのブロックコポリマー、好ましくは二重親水性ブロックコポリマーの使用が、特に好都合である。
【0086】
好ましくは表面活性がある物質の割合は、原則として自由に選択され、特定の適用に合わせて具体的に調整され得る。しかしその割合は、粒子の炭酸カルシウム含量に対して、好ましくは0.1重量%〜5.0重量%の範囲内、特に0.3重量%〜1.0重量%の範囲内である。
【0087】
好ましくは球状の、好ましくは非晶質の炭酸カルシウム粒子は、それ自体公知の方式で、例えばカルシウムカチオンを含む溶液中のジアルキルカーボネートまたはアルキレンカーボネートの加水分解によって生成することができる。
【0088】
安定化されていない球状炭酸カルシウム粒子の生成は、例えば、特許出願WO2008/122358に詳説されており、その開示は、特にこのような安定化されていない球状炭酸カルシウム粒子の生成の特に好都合な変形態様に関して、参照によってここに明確に組み込まれる。
【0089】
ジアルキルカーボネートまたはアルキレンカーボネートの加水分解は、好都合には、水酸化物が存在する状態で行われる。
【0090】
Ca2+イオンを含み、本発明の目的にとって好ましい物質は、ハロゲン化カルシウム、好ましくはCaCl、CaBr、特にCaClであり、また、水酸化カルシウムである。本発明の第1の特に好ましい態様の状況では、CaClが使用される。本発明のさらに特に好ましい一態様では、Ca(OH)が使用される。
【0091】
本発明の第1の特に好ましい態様の状況では、ジアルキルカーボネートが使用される。特に適切なジアルキルカーボネートは、3〜20個、好ましくは3〜9個の炭素原子を含み、特にジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジ−sec−ブチルカーボネートおよびジ−tert−ブチルカーボネートを含み、この状況では、ジメチルカーボネートが特に非常に好ましい。
【0092】
本発明のさらに特に好ましい一態様では、アルキレンカーボネートが反応する。特に好都合なアルキレンカーボネートは、3〜20個、好ましくは3〜9個、特に好ましくは3〜6個の炭素原子を含み、3〜8個、好ましくは4〜6個、特に5個の原子から構成され、好ましくは2個の酸素原子およびそれ以外は炭素原子から構成される、環を含む化合物を特に含む。この状況では、プロピレンカーボネート(4−メチル−1,3−ジオキソラン)が特に非常に有効であることが見出されている。
【0093】
アルカリ金属水酸化物、特にNaOH、および水酸化カルシウムは、水酸化物として特に適していることが見出されている。本発明の第1の特に好ましい態様の状況では、NaOHが使用される。本発明のさらに特に好ましい態様の状況では、Ca(OH)が使用される。
【0094】
さらに、反応混合物におけるCa2+、好ましくは塩化カルシウムと、OH、好ましくはアルカリ金属水酸化物のモル比は、好ましくは0.5:1超、特に好ましくは>0.5:1〜1:1の範囲内、特に0.6:1〜0.9:1の範囲内である。
【0095】
反応混合物におけるCa2+、好ましくは塩化カルシウムと、ジアルキルカーボネートおよび/またはアルキレンカーボネートのモル比は、好都合には0.9:1.5〜1.1:1の範囲内、特に好ましくは0.95:1〜1:0.95の範囲内である。本発明の特に非常に好都合な変形態様の状況では、ジアルキルカーボネートおよび/またはアルキレンカーボネートおよびCa2+、特に塩化カルシウムは、等モルで使用される。
【0096】
本発明の第1の特に非常に好ましい変形態様の状況では、Ca(OH)は、OH供給源として使用されない。これに関連して、反応のための構成要素は、好都合には以下の濃度で使用される。
【0097】
a)Ca2+:>10mmol/L〜50mmol/L、好ましくは15mmol/L〜45mmol/L、特に17mmol/L〜35mmol/L、
b)ジアルキルカーボネートおよび/またはアルキレンカーボネート:>10mmol/L〜50mmol/L、好ましくは15mmol/L〜45mmol/L、特に17mmol/L〜35mmol/L、
c)OH:20mmol/L〜100mmol/L、好ましくは20mmol/L〜50mmol/L、特に好ましくは25mmol/L〜45mmol/L、特に28mmol/L〜35mmol/L。
【0098】
これに関連して、それぞれの特定濃度は、反応混合物における記載の構成要素の濃度に対する濃度である。
【0099】
本発明のさらに特に非常に好ましい変形態様の状況では、Ca(OH)、好ましくは石灰乳、特に飽和石灰乳が、OH供給源として使用される。これに関連して、反応のための構成要素は、好都合には以下の濃度で使用される。
【0100】
a)Ca(OH):>5mmol/L〜25mmol/L、好ましくは7.5mmol/L〜22.5mmol/L、特に8.5mmol/L〜15.5mmol/L、
b)ジアルキルカーボネートおよび/またはアルキレンカーボネート:>5mmol/L〜25mmol/L、好ましくは7.5mmol/L〜22.5mmol/L、特に8.5mmol/L〜15.5mmol/L。
【0101】
これに関連して、それぞれの特定濃度は、反応混合物における記載の構成要素の濃度に対する濃度である。
【0102】
構成要素は、好ましくは15℃〜30℃の範囲内の温度で反応する。
【0103】
炭酸カルシウム粒子の具体的サイズは、それ自体公知の方式で、過飽和によって制御することができる。
【0104】
炭酸カルシウム粒子は、前述の条件下で反応混合物から沈殿する。
【0105】
好ましくは非晶質の炭酸カルシウム粒子は、好都合には、好ましくは表面活性がある物質を反応混合物に添加することによって安定化される。
【0106】
これに関連して、物質の前記添加は、炭酸カルシウム粒子を形成するための反応が開始された後に初めて、すなわち反応物を添加した後に初めて行われるべきであり、反応物を混合してから好ましくは1分以上後、好ましくは2分以上後、好都合には3分以上後、特に好ましくは4分以上後、特に5分以上後に行われるべきである。さらに、添加のタイミングは、好ましくは表面活性がある物質が、沈殿が終了する直前に、好ましくは非晶質である炭酸カルシウムが結晶形に変換し始める、可能な限り直前に添加されるように選択されるべきである。というのは、「安定化された球状非晶質炭酸カルシウム粒子」の収量および純度は、このようにして最大化され得るからである。好ましくは表面活性がある物質の添加が、より早期に行われる場合、一般に、望ましい安定化された球状非晶質炭酸カルシウム粒子を含むだけでなく、超微細な非晶質炭酸カルシウム粒子を二次生成物として含む二峰性生成物が得られる。好ましくは表面活性がある物質の添加がより後期に行われる場合、結晶形への望ましい「安定化された炭酸カルシウム粒子」の変換は、既に開始されていることになる。
【0107】
この理由から、好ましくは表面活性がある物質は、11.5またはそれ未満、好ましくは11.3またはそれ未満、特に11.0またはそれ未満のpHで添加される。各場合において反応温度、好ましくは25℃で測定して、11.5〜10.0の範囲内、好ましくは11.3〜10.5の範囲内、特に11.0〜10.8の範囲内のpHで添加されることが、特に好都合である。
【0108】
得られた安定化された、好ましくは球状の非晶質炭酸カルシウム粒子は、それ自体公知の方式で、例えば遠心分離によって脱水および乾燥させることができる。アセトンを用いる洗浄および/または真空乾燥オーブン内での乾燥は、もはや全く不要である。
【0109】
乾燥を用いることによって、「安定化された炭酸カルシウム粒子」から「構造的含水量が少ない炭酸カルシウム粒子」を得ることができる。
【0110】
本発明の目的では、得られた炭酸カルシウム粒子は、好ましくは、望ましい残留含水量を有するように乾燥させられる。この目的を達成するために、炭酸カルシウム粒子を、好ましくは、まず150℃までの温度で予備乾燥させ、次に炭酸カルシウム粒子を、好ましくは150℃超〜250℃の範囲内、好ましくは170℃〜230℃の範囲内、特に好ましくは180℃〜220℃の範囲内、特に190℃〜210℃の範囲内の温度で乾燥させる手順が、特に有効であることが見出されている。乾燥は、好ましくは、乾燥オーブン内で空気循環を用いて行われる。前記手順では、炭酸カルシウム粒子は、好都合には少なくとも3時間、特に好ましくは少なくとも6時間、特に少なくとも20時間乾燥させられる。
【0111】
本発明のさらに特に好ましい態様の状況では、結晶性炭酸カルシウム、特に方解石の炭酸カルシウムの割合は、10重量%超、好ましくは25重量%超、好都合には50重量%超、特に好ましくは70重量%超、特に非常に好ましくは80重量%超、特に90重量%超である。さらに、非方解石の炭酸カルシウム形態の割合は、好ましくは50重量%未満、特に好ましくは30重量%未満、特に非常に好ましくは15重量%未満、特に10重量%未満である。さらに、炭酸カルシウム粒子は、可能な限り相純粋である。他のカルシウム塩のピークの割合は、好ましくは5%未満、好ましくは2%未満、特に0.5%未満である。最良の場合、他のカルシウム塩無機物のピークは、X線回折を用いて検出することができない。
【0112】
材料の非晶質および結晶性画分、ならびに相純度を確認するために、リートベルト精密化法を伴う、内部標準、好ましくは酸化アルミニウムを用いるX線回折が、特に非常に有効であることが見出されている。相純度は、好ましくは、測定された粉末ディフラクトグラムとシミュレーションされた粉末ディフラクトグラムを比較することによってチェックされる。
【0113】
炭酸カルシウム粒子の塩基性度は、比較的低い。EN ISO787−9に従って測定されるそれらの粒子のpHは、好ましくは11.5未満、好ましくは11.0未満、特に10.5未満である。
【0114】
球状炭酸カルシウム粒子は、水酸化カルシウム(Ca(OH))水性懸濁液の炭酸化によって生成することができる。この目的を達成するために、COまたはCO含有気体混合物が、好都合には水酸化カルシウム懸濁液に導入される。
【0115】
以下を含む手順が、特に有効であることが見出されている。
a.まず、水酸化カルシウム水性懸濁液を充填し、
b.二酸化炭素または二酸化炭素含有気体混合物を、工程aから得られた懸濁液に導入し、
c.得られた炭酸カルシウム粒子を分別し、
0.3重量%〜0.7重量%、好ましくは0.4重量%〜0.6重量%、特に0.45重量%〜0.55重量%の少なくとも1つのアミノトリスアルキレンホスホン酸を、さらに添加する。
【0116】
水酸化カルシウム懸濁液の濃度は、いかなる特定の制限も受けない。しかし、1gのCaO/L〜100gのCaO/Lの範囲内、好ましくは10gのCaO/L〜90gのCaO/Lの範囲内、特に50gのCaO/L〜80gのCaO/Lの範囲内の濃度が、特に好都合である。
【0117】
添加されるアミノトリスアルキレンホスホン酸は、好ましくは、アミノトリスメチレンホスホン酸、アミノトリスエチレンホスホン酸、アミノトリスプロピレンホスホン酸および/またはアミノトリスブチレンホスホン酸、特にアミノトリスメチレンホスホン酸である。
【0118】
導入されるCOの量によって、反応物の変換を制御することが可能である。しかし、二酸化炭素または二酸化炭素含有気体混合物は、反応混合物が、好ましくは9未満、好ましくは8未満、特に7.5未満のpHを有するまで導入される。
【0119】
さらに、二酸化炭素または二酸化炭素含有気体混合物は、好都合には、0.02LのCO/(hg Ca(OH))〜2.0LのCO/(hg Ca(OH))の範囲内、好ましくは0.04LのCO/(hg Ca(OH))〜1.0LのCO/(hg Ca(OH))の範囲内、特に好ましくは0.08LのCO/(hg Ca(OH))〜0.4LのCO/(hg Ca(OH))の範囲内、特に0.12LのCO/(hg Ca(OH))〜0.2LのCO/(hg Ca(OH))の範囲内の気体流速度で水酸化カルシウム懸濁液に導入される。
【0120】
その他に、二酸化炭素または二酸化炭素含有気体混合物を用いる水酸化カルシウム懸濁液の変換は、好ましくは25℃未満、好ましくは20℃未満、特に15℃未満の温度で行われる。他方では、反応温度は、好ましくは0℃超、好ましくは5℃超、特に7℃超である。
【0121】
少なくとも1つのアミノトリスアルキレンホスホン酸の添加は、好都合には反応過程中に、好ましくは反応混合物の伝導性の急激な低下後に行われる。好都合には、少なくとも1つのアミノトリスアルキレンホスホン酸は、反応混合物の伝導率が0.5mS/cm/分を超えて低下したら添加される。これに関連して、反応混合物の伝導性の低下は、好ましくは30秒間以内に少なくとも0.25mS/cm、特に60秒間以内に少なくとも0.5mS/cmである。本発明の特に好ましい態様の状況では、少なくとも1つのアミノトリスアルキレンホスホン酸の添加は、塩基性炭酸カルシウム(BCC;2CaCOCa(OH)nHO)の沈殿の最後に行われる。
【0122】
炭酸カルシウム粒子は、前述の条件下で反応混合物から沈殿し、それを、それ自体公知の方式で分別し、乾燥させることができる。
【0123】
本発明の好ましい一態様の状況では、本発明による複合粉末は、炭酸カルシウムに加えて、他のカルシウム塩、好ましくはリン酸カルシウム、特にCa(PO、CaHPO、Ca(HPOおよび/またはCa(PO(OH)も含有する。これに関連して、炭酸カルシウムとリン酸カルシウムの重量比は、好ましくは99:1〜1:99の範囲内、特に50:50〜99:1の範囲内である。
【0124】
本発明の好ましい一態様の状況では、小粒子は、阻害性炭酸カルシウム粒子を含む。この状況では、「阻害性炭酸カルシウム粒子」は、ポリマーにおける添加剤として、添加剤を含まない同じポリマーと比較して、ポリマーの酸触媒分解を緩徐し、最良の場合には完全に抑制する炭酸カルシウム粒子を指す。
【0125】
好都合には、小粒子は、組成物の総重量に対して少なくとも0.1重量%の少なくとも1つの弱酸を含む組成物で炭酸カルシウム粒子がコーティングされる方法を用いることによって得ることができる。
【0126】
本発明の特に好ましい態様の状況では、阻害性炭酸カルシウムは、各場合において組成物の総重量に対して少なくとも0.1重量%の少なくとも1つのカルシウム錯化剤および/または弱酸のアルカリ金属塩もしくはカルシウム塩である少なくとも1つの共役塩基の混合物を、少なくとも0.1重量%の少なくとも1つの弱酸と一緒に含む組成物で炭酸カルシウム粒子がコーティングされる方法を用いることによって得ることができる。
【0127】
この態様の状況では、カルシウム錯化剤および共役塩基のアニオンは、同じであってよいが、このことは必ずしも必要であるとは限らない。
【0128】
リン酸ナトリウム、すなわちリン酸のナトリウム塩、特にオルトリン酸、メタリン酸およびポリリン酸のナトリウム塩は、カルシウム錯化剤として特に非常に有利であることが見出されている。好ましいリン酸ナトリウムは、オルトリン酸ナトリウム、例えば第一リン酸二水素ナトリウムNaHPO、第二リン酸水素二ナトリウムNaHPOおよび第三リン酸三ナトリウムNaPO;イソポリリン酸ナトリウム、例えば二リン酸四ナトリウム(ピロリン酸ナトリウム)Na、三リン酸五ナトリウム(トリポリリン酸ナトリウム)Na10;ならびに高分子量リン酸ナトリウム、例えばメタリン酸ナトリウムおよびポリリン酸ナトリウム、例えば融合または焼成リン酸塩、Graham塩(近似の組成物Na、時としてヘキサメタリン酸ナトリウムと呼ばれる)、Kurrol塩およびMaddrell塩を包含する。本発明によれば、ヘキサメタリン酸ナトリウムを使用することが、特に非常に好ましい。この場合、リン酸塩は骨形成をさらに促進するので、特にインプラントのための複合粉末において、前述のリン酸塩の使用が特に有利である。
【0129】
さらに適切なカルシウム錯化剤には、一般的な(gemeinsame joint)多座キレート配位子、特にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トリエチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、o−フェナントロリン、シュウ酸およびそれらの混合物が含まれる。
【0130】
本発明の目的に特に適した弱酸は、25℃で測定して1.0超、好ましくは1.5超、特に2.0超のpKを有する。同時に、25℃で測定される適切な弱酸のpKは、好ましくは20.0未満、好ましくは10.0未満、特に好ましくは5.0未満、好都合には4.0未満、特に3.0未満である。本発明に従って特に非常に適切な弱酸は、リン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、クエン酸、ホウ酸、亜硫酸、酢酸およびそれらの混合物を包含する。リン酸は、特に非常に好ましくは弱酸として使用される。
【0131】
本発明に従って好ましい共役塩基には、特に前述の弱酸のナトリウム塩またはカルシウム塩が含まれ、ヘキサメタリン酸ナトリウムが、特に非常に好ましい。
【0132】
阻害性炭酸カルシウム粒子は、それ自体公知の方式で、少なくとも1つの弱酸を含む組成物で炭酸カルシウム粒子をコーティングすることによって生成することができる。
【0133】
特に好ましくは、阻害性炭酸カルシウム粒子は、それ自体公知の方式で、少なくとも1つのカルシウム錯化剤および/または弱酸のアルカリ金属塩もしくはカルシウム塩である少なくとも1つの共役塩基を、少なくとも1つの弱酸と一緒に含む組成物で、炭酸カルシウム粒子をコーティングすることによって生成される。少なくとも1つの弱酸と一緒に少なくとも1つのカルシウム錯化剤および/または弱酸のアルカリ金属塩もしくはカルシウム塩である少なくとも1つの共役塩基で同時にコーティングすることによって、特に好ましい炭酸カルシウム粒子が得られる。
【0134】
好都合には、コーティングされる炭酸カルシウム粒子の水性懸濁液が最初に充填され、この懸濁液は、懸濁液の総重量に対して、好都合には1.0重量%〜80.0重量%の範囲内、好ましくは5.0重量%〜50.0重量%の範囲内、特に10.0重量%〜25.0重量%の範囲内の炭酸カルシウム粒子含量を有する。
【0135】
炭酸カルシウム粒子は、好都合には、純粋形態または水溶液中の1つまたは複数の記載される物質を添加することによってコーティングされ、1つまたは複数の記載される構成要素の水溶液は、可能な限り均質な炭酸カルシウム粒子のコーティングを達成するために、本発明に従って特に非常に有利であることが見出されている。
【0136】
さらに本発明の状況では、弱酸の前に、カルシウム錯化剤および/または弱酸のアルカリ金属塩もしくはカルシウム塩である共役塩基を添加することが特に好都合である。
【0137】
カルシウム錯化剤または共役塩基は、好ましくは、各場合において100重量部のコーティングされる炭酸カルシウム粒子に対して0.1重量部〜25.0重量部の範囲内、好ましくは0.5重量部〜10.0重量部の範囲内、特に1.0重量部〜5.0重量部の範囲内の量で使用される。これに関連して、カルシウム錯化剤または共役塩基の量は、好都合には、カルシウム錯化剤 共役塩基によって、炭酸カルシウム粒子の表面の完全なコーティングが達成されるように選択される。
【0138】
弱酸は、好ましくは、各場合において100重量部のコーティングされる炭酸カルシウム粒子に対して0.1重量部〜30.0重量部の範囲内、好ましくは0.5重量部〜15.0重量部の範囲内、特に好ましくは1.0重量部〜10.0重量部の範囲内、特に4.0重量部〜8.0重量部の範囲内の量で使用される。
【0139】
このようにして得ることができる阻害性炭酸カルシウム粒子は、中程度の酸性環境において安定であり、この可能性は、弱酸が原因となって、好ましくは炭酸カルシウム粒子および弱酸の表面上で吸収されるかまたは反応したカルシウム錯化剤または共役塩基が原因となって緩衝効果に起因し、特に炭酸カルシウム粒子の表面上にカルシウム錯化剤および/または共役塩基を適用すると、炭酸カルシウム粒子の表面の溶解度が低減され、したがって炭酸カルシウム粒子が安定化されるが、本発明の教示はこの理論に縛られるものではない。
【0140】
複合粉末は、本発明によれば、大粒が小粒子と合わされる方法を用いることによって得ることができ、ここで、
− 大粒子は、0.1μm〜10mmの範囲内、好ましくは5μm〜10mmの範囲内、特に好ましくは10μm〜10mmの範囲内、好都合には20μm〜10mmの範囲内、有利には30μm〜2.0mmの範囲内、特に60.0μm〜500.0μmの範囲内の平均粒径を有し、
− 小粒子の平均粒径は、大粒子の平均粒径の、好ましくは1/5以下、好ましくは1/10以下、特に好ましくは1/20以下、特に1/1000以下である。
【0141】
これに関連して、小粒子は、大粒子の表面上に配置され、かつ/または大粒子内に不均質に分布している。しかし、特に吸収性ポリマーおよびUHMWPEに関する本発明の特に好ましい態様の状況では、小粒子が大粒子の表面上に少なくとも部分的に配置され、好ましくは大粒子を完全に覆うとは限らない場合に、優れた結果が達成される。特に非常に好ましくは、小粒子は、大粒子の表面上に配置され、好ましくは大粒子を完全に覆うとは限らない。
【0142】
ここで、大粒子内の小粒子またはその破片の「不均質な」分布とは、大粒子内の小粒子またはその破片の分布が、均質(均一)でないことを意味する。好ましくは、複合粉末の粒子内に、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、特に少なくとも5つの小粒子またはその破片を含む少なくとも1つの第1の領域が存在し、その複合粉末の粒子内に、第1の領域と同じ体積および同じ形状を有するが、異なる数の小粒子を含む、少なくとも1つの他の領域が存在する。
【0143】
本発明の好ましい一態様の状況では、粒子内部の沈殿した炭酸カルシウムに対するポリマー、特にポリアミドの重量比は、粒子外部の沈殿した炭酸カルシウムに対するポリマー、特にポリアミドの重量比よりも大きい。好都合には、粒子内部のポリマー、特にポリアミドと、沈殿した炭酸カルシウムの重量比は、50:50超、好ましくは60:40超、好都合には70:30超、特に好ましくは80:20超、さらにより好ましくは90:10超、特に非常に好ましくは95:5超、特に99:1超である。さらに、粒子外部、好ましくは粒子の優先的外部の沈殿した炭酸カルシウムと、ポリマー、特にポリアミドの重量比は、50:50超、好ましくは60:40超、好都合には70:30超、特に好ましくは80:20超、さらにより好ましくは90:10超、特に非常に好ましくは95:5超、特に99:1超である。
【0144】
本発明のさらに好ましい態様の状況では、小粒子は、大粒子の表面上に配置され、好ましくは大粒子を完全に覆うとは限らない。好都合には、大粒子の表面の少なくとも0.1%、好ましくは少なくとも5.0%、特に50.0%は、球状炭酸カルシウム粒子でコーティングされない。好ましくは、この効果は、個々の炭酸カルシウム粒子の間の間隙によって増強され、これらの間隙は、大粒子の流体物質、特にポリマー溶融物のために存在し、対応するマイクロチャネルを形成する。この構造は、複合粉末中に存在するポリマー、好ましくは熱可塑性ポリマー、特に好ましくは吸収性ポリマー、特に乳酸ポリマーが、確実に均一に、急速に溶融するので、レーザー焼結法において複合粉末を使用するのに特に有利である。
【0145】
本発明の特に好ましい態様の状況では、本発明による複合粉末は、具体的な粒径分布によって特徴付けられる。第一に、複合粉末の粒子は、好ましくは10μm〜200μm未満の範囲内、好ましくは20μm〜200μm未満の範囲内、特に好ましくは20μm〜150μm未満の範囲内、好都合には20μm〜100μm未満の範囲内、特に35μm〜70μm未満の範囲内の平均粒径d50を有する。
【0146】
さらに、複合粉末の微粒子の割合は、好ましくは50.0体積%未満、好ましくは45.0体積%未満、特に好ましくは40.0体積%未満、さらにより好ましくは20.0体積%未満、好都合には15.0体積%未満、好都合には10.0体積%未満、特に5.0体積%未満である。これに関連して微粒子の割合とは、本発明によれば、二峰性または多峰性粒径分布の場合には、累積分布曲線の総量に対する最小粒子の集団の割合を指す。単峰性(単分散系)粒径分布の場合、微粒子の割合は、本発明によれば、0.0体積%と定義される。この状況では、合わされていない出発材料を含めた生成物中に存在するあらゆる粒子、特に本発明の状況における小粒子、ならびに本発明の状況における大粒子および/または小粒子の破片が考慮される。
【0147】
40μm超〜200μm未満の範囲内の平均粒径d50を有する複合粉末では、微粒子の割合は、好ましくは20μm未満の粒径を有する生成物における粒子の割合が、好ましくは50.0体積%未満、好ましくは45.0体積%未満、特に好ましくは40.0体積%未満、さらにより好ましくは20.0体積%未満、好都合には15.0体積%未満、好都合には10.0体積%未満、特に5.0体積%未満となるような割合であり、この状況の「粒子」は、特に本発明の状況における複合粉末の粒子、本発明の状況における小粒子、ならびに本発明の状況における大粒子および/または小粒子の破片を包含し、ただし、それらの粒子は記載の粒径を有する。
【0148】
10μm〜40μmの範囲内の平均粒径d50を有する複合粉末では、微粒子の割合は、好ましくは5μm未満の粒径を有する生成物における粒子の割合が、好ましくは50.0体積%未満、好ましくは45.0体積%未満、特に好ましくは40.0体積%未満、さらにより好ましくは20.0体積%未満、好都合には15.0体積%未満、好都合には10.0体積%未満、特に5.0体積%未満となるような割合であり、この状況の「粒子」は、特に本発明の状況における複合粉末の粒子、本発明の状況における小粒子、ならびに本発明の状況における大粒子および/または小粒子の破片を包含し、ただし、それらの粒子は記載の粒径を有する。
【0149】
さらに、微粒子の割合の密度は、好ましくは2.6g/cm未満、好ましくは2.5g/cm未満、特に好ましくは2.4g/cm未満、特に1.2g/cm超〜2.4g/cm未満の範囲内であり、この値は、好ましくは、ふるいを用いることによって微粒子の割合を分別し、分別された画分の密度を測定することによって決定される。
【0150】
好ましくは、複合粉末の粒子は、350μm未満、好ましくは300μm未満、好ましくは250μm未満、特に好ましくは200μm未満、特に150μm未満の粒径d90を有する。さらに、粒径d90は、好ましくは50μm超、好ましくは75μm超、特に100μm超である。
【0151】
好都合には、d20/d50の比は、100%未満、好ましくは75%未満、好ましくは65%未満、特に好ましくは60%未満、特に55%未満である。さらに、d20/d50の比は、好都合には10%超、好ましくは20%超、好ましくは30%超、特に好ましくは40%超、特に50%超である。
【0152】
本発明の状況では、前述の変数d20、d50およびd90は、以下に定義される通りである。
20は、粒子の20%が、特定された値未満の粒径を有し、粒子の80%が、特定された値以上の粒径を有する粒径分布の粒径を指す。
50は、粒径分布の平均粒径を指す。粒子の50%は、特定された値未満の粒径を有し、粒子の50%は、特定された値以上の粒径を有する。
90は、粒子の90%が、特定された値未満の粒径を有し、粒子の10%が、特定された値以上の粒径を有する粒径分布の粒径を指す。
【0153】
この態様の粒径分布は、それ自体公知の方式で、複合粉末の分級によって、すなわち分散固体混合物を画分に分離することによって達成することができる。好ましくは、分級は、粒径または粒子密度に従って行われる。乾燥ふるい、湿式ふるいおよび空気ジェットふるい、特に空気ジェットふるい、ならびに特に空気分級を用いることによるフロー分級が、特に有利である。
【0154】
本発明の特に好ましい態様の状況では、複合粉末は、800μm超、好ましくは500μm超、特に250μm超の粗い画分を最大限除去するための第1の工程で分級される。この状況では、好ましくは250μm〜800μmの範囲内、好ましくは250μm〜500μmの範囲内、特に250μmのサイズを有する粗いふるい上で乾燥ふるいにかけることが、特に有効であることが見出されていおり、ここでサイズとは、開口のサイズを意味する。
【0155】
さらなる工程において、複合粉末は、好ましくは、<20μmの微細な画分を最大限除去するために分級される。この状況では、空気ジェットふるいおよび空気分級が、特に好都合であることが見出されている。
【0156】
本発明によれば、複合粉末の粒子、大粒子および小粒子の平均直径、粒径d20、d50、d90、ならびに前述の縦サイズは、好都合には、顕微鏡写真に基づいて、場合により電子顕微鏡写真に基づいて確認される。また、大粒子および小粒子、ならびに複合粉末の粒子の平均直径、ならびに粒径d20、d50、d90を確認するには、沈降分析が特に有利であり、ここでは、Sedigraph 5100(Micromeritics GmbH)を使用することが特に好都合である。また、複合粉末の粒子では、レーザー回折による粒径分析が特に有効であることが見出されており、この状況では、Sympatec GmbH製のHELOS/Fレーザー回折センサーを使用することが特に有利である。これは、好ましくはRODOS乾燥分散機を含む。
【0157】
その他に、これらのデータおよび本発明の説明のあらゆる他のデータは、別段の指定がない限り、23℃の温度に基づいて得られたものである。
【0158】
本発明による複合粉末は、比較的緻密である。好ましくは、0.5g/cm未満、特に0.25g/cm未満の密度を有する複合粉末の粒子内の小領域の割合は、各場合において複合粉末の総体積に対して、10.0%未満、好ましくは5.0%未満、特に1.0%未満である。
【0159】
複合粉末の総重量に対する球状炭酸カルシウム粒子の重量割合は、好ましくは少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも1.0重量%、特に好ましくは少なくとも5.0重量%であり、好都合には5.0重量%〜80.0重量%の範囲内、特に好ましくは10.0重量%〜60.0重量%の範囲内、好都合には20.0重量%〜50.0重量%の範囲内である。球状炭酸カルシウム粒子の総量に対して15.0重量%超の20μm未満のサイズの粒子および/または250μm超のサイズの粒子を含有する、球状炭酸カルシウム粒子では、球状炭酸カルシウム粒子の総量は、35.0重量%〜45.0重量%の範囲内であることが特に非常に有効であることが見出されている。球状炭酸カルシウム粒子の総量に対して15.0重量%以下の20μm未満のサイズの粒子および/または250μm超のサイズの粒子を含有する、球状炭酸カルシウム粒子では、球状の炭酸カルシウム粒子の総量は、20.0重量%〜30.0重量%の範囲内であることが特に非常に有効であることが見出されている。
【0160】
複合粉末の総重量に対するポリマー、好ましくは熱可塑性ポリマーの重量割合は、好ましくは少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも1.0重量%、特に好ましくは少なくとも5.0重量%であり、好都合には20.0重量%〜95.0重量%の範囲内、好ましくは40.0重量%〜90.0重量%の範囲内、好都合には50.0重量%〜80.0重量%の範囲内である。
【0161】
球状炭酸カルシウム粒子の総量に対して20.0重量%超の20μm未満のサイズの粒子および/または250μm超のサイズの粒子を含有する、球状炭酸カルシウム粒子を含有する複合粉末では、ポリマーの総量は、55.0重量%〜65.0重量%の範囲内であることが特に非常に有効であることが見出されている。球状炭酸カルシウム粒子の総量に対して20.0重量%以下の20μm未満のサイズの粒子および/または250μm超のサイズの粒子を含有する、球状炭酸カルシウム粒子を含有する複合粉末では、ポリマーの総量は、70.0重量%〜80.0重量%の範囲内であることが特に非常に有効であることが見出されている。
【0162】
複合粉末は、中でも、第1の材料と第2の材料の非常に良好な組合せによって区別される。第1の材料と第2の材料の強固な組合せは、好ましくはOrganikum,17th edition,VEB Deutscher Verlag der Wissenschaften,Berlin,1988,section 2.5.2.1“Ausschuetteln von Loesungen bzw. Suspensionen”[shake extraction of solutions or suspensions],pages 56−57に記載されている手順に従って、好ましくは複合粉末を機械応力に付すことによって、特に複合粉末を、ポリマーのための非溶媒および球状炭酸カルシウムと共に25℃で振とう抽出することによって、検証することができる。振とう時間は、好ましくは少なくとも1分、好ましくは少なくとも5分、特に10分であり、好ましくは、複合粉末の粒子の形状、サイズおよび/または組成を実質的に変化させない。特に好ましくは、振とう試験後に、複合粉末の粒子の少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、好都合には少なくとも95重量%、特に少なくとも99重量%について、それらの組成、それらのサイズ、好ましくはそれらの形状に関して変化がない。この状況において特に適切な非溶媒は、特にポリアミド含有複合粉末については、水である。
【0163】
さらに、本発明による複合粉末の粒子は、通常、比較的等方性の粒子形状を有しており、この形状は、SLM法において複合粉末を使用するのに特に有利である。普通は、複合粉末の粒子の事実上球状の粒子形状によって、一般に、負の影響、例えば反りまたは縮みが回避され、または少なくとも低減される。結果的に、通常、複合粉末の非常に有利な溶融および凝固挙動を観測することもできる。
【0164】
それとは対照的に、例えば低温粉砕によって得られる従来の粉末粒子は、鋭い端部および尖った角を伴う不規則な(非晶質)粒子形状を有する。しかしこのような粉末は、それらの粒子形状が不利であり、さらに粒径分布が比較的広く、<20μmの粒子の微細な画分が比較的多いので、SLM法には不利である。
【0165】
炭酸カルシウム粒子を用いることによって、特に沈殿した炭酸カルシウム粒子を用いることによって、ポリマー、特に熱可塑性ポリマーの特性に具体的に影響を及ぼし、制御することが可能である。例えば、炭酸カルシウム粒子、特に沈殿した炭酸カルシウム粒子は、ポリマー、特に熱可塑性ポリマーを非常に良好に緩衝し、そのpHを安定化することを可能にする。さらに、ポリマー、特に熱可塑性ポリマーの生体適合性は、炭酸カルシウム粒子、特に沈殿した炭酸カルシウム粒子によって明らかに改善される。さらに、阻害性炭酸カルシウム粒子を使用する場合、ポリマー、特に熱可塑性ポリマーの熱分解の明確な抑制が観測される。
【0166】
本発明による複合粉末は、それ自体公知の方式で、例えば一工程法を用いることによって、特に表面沈殿またはコーティングによって、好ましくは粉砕材料によるコーティングによって、生成することができる。さらに本発明の状況では、好ましくは懸濁形態の小粒子をさらに含有するポリマー溶液からポリマー粒子を沈殿させる手順も、特に適している。
【0167】
しかし、ポリマー粒子および球状炭酸カルシウム粒子を、互いに接触させ、機械力の作用によって互いに合わせる手順が、特に有効であることが見出されている。好都合には、この手順は、適切なミキサー内で、またはミル、特にインパクトミル、ピンミルもしくはウルトラローター(ultrarotor)ミル内で行われる。これに関連して、回転子の速度は、好ましくは1m/秒を超え、好ましくは10m/秒を超え、特に好ましくは25m/秒を超え、特に50m/秒〜100m/秒の範囲内である。
【0168】
複合粉末を生成する温度は、根本的に自由に選択することができる。しかし、−200℃超、好ましくは−100℃超、好ましくは−50℃超、特に好ましくは−20℃超、特に0℃超の温度が、特に有利である。他方では、温度は、有利には120℃未満、好ましくは100℃未満、好ましくは70℃未満、特に好ましくは50℃未満、特に40℃未満である。0℃超〜50℃未満の範囲内、特に5℃超〜40℃未満の範囲内の温度が、特に非常に有効であることが見出されている。
【0169】
本発明の特に好ましい態様の状況では、ミキサーまたはミル、特にインパクトミル、ピンミルもしくはウルトラローターミルは、放出されるエネルギーを消散させるために、本発明による複合粉末の生成中に冷却される。好ましくは、冷却は、25℃未満、好ましくは25℃未満〜−60℃の範囲内、特に好ましくは20℃未満〜−40℃の範囲内、好都合には20℃未満〜−20℃の範囲内、特に15℃未満〜0℃の範囲内の温度を有する冷却剤を用いて達成される。さらに冷却は、好ましくは、混合または粉砕操作、好ましくは粉砕操作の最後に、混合または粉砕空間、好ましくは粉砕空間内の温度が、120℃未満、好ましくは100℃未満、好ましくは70℃未満、特に好ましくは50℃未満、特に40℃未満になるように設定される。
【0170】
本発明の特に好ましい態様によれば、この手順によって、特にポリアミドの場合には、ポリマー粒子の内部に浸透し、可能な限り完全にポリマーによって覆われる、球状炭酸カルシウム粒子が得られ、その結果、それらの粒子は外側からは識別できない。このような粒子は、球状炭酸カルシウム粒子を伴わないポリマーと同様に処理し、使用することができ、本発明による複合粉末の改善された特性を有することができる。
【0171】
本発明の第1の特に好ましい変形態様の状況では、複合粉末は、特許出願JP62083029Aに記載されている手順に従って生成される。この手順では、第1の材料(いわゆる母粒子(mother particle))は、より小さい粒子(いわゆる子粒子(baby particle))からなる第2の材料で、表面をコーティングされる。この目的では、高速回転子、固定子および好ましくは内部ブレードを含む球状容器を含む表面改変デバイス(「ハイブリダイザー」)を使用することが好ましい。この状況では、好ましくは回転子外径118mmを有するNARAハイブリダイゼーション系、特にNARA Machinery Co.,Ltd.製の名称NHS−0またはNHS−1のハイブリダイゼーション系の使用が、特に有効であることが見出されている。
【0172】
母粒子および子粒子は、混合され、好ましくは細かく分布させられ、ハイブリダイザーに導入される。その混合物は、好ましくは母粒子に子粒子を均一な方式で埋め込むために、さらに細かく分布させられ、好ましくは機械力、特に衝撃力、圧縮力、摩擦力およびせん断力、ならびに粒子の相互作用に繰り返し曝露される。
【0173】
好ましい回転子速度は、円周速度に基づいて50m/秒〜100m/秒の範囲内である。
【0174】
この方法に関する、特に好都合な態様に特に関するさらなる詳細については、その開示が特に好都合な方法の変形態様を含む、参照によって本願に明確に組み込まれるJP62083029Aを参照されたい。
【0175】
本発明のさらに特に好ましい変形態様の状況では、複合粉末は、特許出願DE42 44 254A1に記載されている手順に従って生成される。したがって、熱可塑性材料の表面上に物質を付着させることによって複合粉末を生成するための方法は、熱可塑性材料が100μm〜10mmの平均粒径を有し、物質が、より小さい粒径を有し、熱可塑性材料よりも良好な耐熱性を有する場合、特にその方法が、以下の工程を含む場合に、特に好都合である。
〇まず、より小さい粒径を有し、熱可塑性材料よりも良好な耐熱性を有する物質を、好ましくは熱可塑性材料の軟化点以上の温度に加熱すると同時に、好ましくは撹拌装置および加熱器を有するデバイス内で撹拌する工程、
〇熱可塑性材料をデバイスに添加する工程、
〇より良好な耐熱性を有する物質を、熱可塑性材料の表面上に付着させる工程。
【0176】
この方法に関する、特に好都合な態様に特に関するさらなる詳細については、その開示が特に好都合な方法の変形態様を含む、参照によって本願に明確に組み込まれるDE42 44 254A1を参照されたい。
【0177】
本発明のまたさらに特に好ましい変形態様の状況では、複合粉末は、特許出願EP0 922 488A1および/または米国特許6,403,219B1に記載されている手順に従って生成される。したがって、衝撃を与えることにより、コアとして作用する固体粒子の表面上に微粒子を付着させるか、または接着させ、その後、コア表面上に1つ以上の結晶を成長させることによって複合粉末を生成するための方法が、特に有利である。
【0178】
この方法に関する、特に好都合な態様に特に関するさらなる詳細については、その開示が特に好都合な方法の変形態様を含む、参照によって本願に明確に組み込まれる特許出願EP0 922 488A1および/または米国特許6,403,219B1を参照されたい。
【0179】
本発明のさらに特に好ましい態様の状況では、複合粉末は、特許出願EP0 523 372A1に記載されている手順に従って、固定化操作を受ける。この手順は、特許出願JP62083029Aに記載されている方法に従って得られた複合粉末にとって特に好都合である。これに関連して、複合粉末の粒子は、好ましくは熱プラズマスプレーを用いることによって固定され、好ましくは少なくとも30kWの出力を有する減圧プラズマスプレーデバイス、特にEP0 523 372A1に記載されている機器を使用することが好ましい。
【0180】
この方法に関する、特に好都合な態様に特に関するさらなる詳細については、その開示が特に好都合な方法の変形態様を含む、参照によって本願に明確に組み込まれる特許出願EP0 523 372A1を参照されたい。
【0181】
本発明による複合粉末は、特にレーザー焼結法における使用が示唆される優れた特性プロファイルによって区別される。レーザー焼結の場合には、その優れた注入可能性(pourability)およびその優れた流動性によって、優れた表面の質および表面性質、ならびに改善された構成要素密度を有する構成要素の生成が可能になる。同時に、本発明による複合粉末は、非常に良好な縮み挙動および優れた寸法安定性を示す。さらに、レーザーで処理した領域の外側に、より良好な熱伝導率挙動が確立され得る。
【0182】
さらに、本発明による複合粉末は、比較的高い等方性を有し、それによって、複合粉末の極めて均一な溶融が可能になる。この挙動は、質が高く、構成要素密度が高く、多孔性が低く、欠陥数が少ない構成要素の生成のためのSLM法において利用され得る。
【0183】
さらに、複合粉末における球状炭酸カルシウム粒子の存在は、特に、ある特定の条件下で酸基を含有し、または酸を放出することができるポリマーにおいて後に適用するのに優れたpH安定化(緩衝化)を可能にする。これらのポリマーには、例えば、ポリ塩化ビニルおよびポリ乳酸が含まれる。
【0184】
したがって、最終生成物の価格を抑えるために、さらに、如何なる他のより高価な材料を、本発明による複合粉末で置きかえることができる。
【0185】
本発明によれば、複合粉末の特性、特にその流動性は、複合粉末の水分によって制御し、必要に応じて具体的に調整することもできる。一方では、複合粉末の流動性は、根本的に水分の増大と共に増大し、それによって複合粉末の加工性が容易になる。他方では、複合粉末の水分がより多いと、特に複合粉末の熱処理の場合、特に不純物が存在し、かつ/または非常に微細な粒子が存在する状態で、ポリマーの熱分解または加水分解が生じ、プロセスの外乱が生じるおそれがある。
【0186】
この背景の下で、本発明による複合粉末の水分は、好ましくは2.5重量%未満、好ましくは1.5重量%未満、特に好ましくは1.0重量%未満、さらにより好ましくは0.9重量%未満、好都合には0.8重量%未満、好都合には0.6重量%未満、特に非常に好ましくは0.5重量%未満、特に0.25重量%未満である。他方では、本発明による複合粉末の水分は、好ましくは0.000重量%超、好ましくは0.010重量%超、特に0.025重量%超である。
【0187】
この状況では、阻害性炭酸カルシウムの使用によって、組成物の熱加工性を再び改善することが可能になる。処理ウィンドウ(温度ウィンドウ)は、明らかに従来の炭酸カルシウムによるものを超えており、ポリマーの熱分解または加水分解は再び、著しく抑制される。
【0188】
複合粉末の望ましい水分は、本来的に公知の、処理前の複合粉末の予備乾燥によって達成することができ、生成プロセスにおける乾燥は、根本的に得策である。安定なプロセス管理のために、この状況では、0.01重量%〜0.1重量%の範囲内の水分含量まで乾燥させることが特に非常に好都合であることが見出されている。さらに、マイクロ波真空乾燥機の使用は、特に非常に有効であることが見出されている。
【0189】
複合粉末のさらなる処理は、本発明による解決法によれば、もはや2つの構成要素(球状炭酸カルシウム粒子およびポリマー)ではなく、1つの構成要素(複合粉末)だけを処理すべきであるので、比較的容易に行うことができる。ポリマーと球状炭酸カルシウム粒子との強固な組合せにより、分散の問題は顕著ではない。
【0190】
さらに、特定の個々の構成要素の割合およびサイズの選択によって、複合粉末の、微細構造、溶融挙動および流れ挙動を具体的に制御することが可能である。複合粉末のこれらの特性は、次に、得られた構成要素の最終構造、特にそれらの生物学的適合性、それらの生分解性およびそれらの機械特性を具体的に制御するために利用され得る。
【0191】
一般に、複合粉末を処理する場合、さらなる処理助剤、特に具体的な溶媒を添加する必要はない。このことにより、特に薬学部門および食品部門における複合粉末の適用可能領域が拡大する。
【0192】
複合粉末は、それ自体で直接的に使用することができる。しかし、その優れた特性プロファイルにより、複合粉末は、配合のため、構成要素の生成のため、医療技術および/もしくは微細加工技術における適用のため、ならびに/または発泡物品の生成のための、添加剤、特に好ましくはポリマー添加剤、添加物質または出発材料として特に適している。特に好ましい医療技術適用には、好ましくは吸収性インプラントが含まれる。特に好都合な適用領域は、射出成型されたスクリュー、圧縮されたプレート、特に溶融圧縮されたプレート、発泡インプラント、および選択的製造方法のための注入可能な粉末を包含し、最後の場合には、複合粉末の粒子の全体粒径は、好ましくは3mm未満であり、好ましくは5.0μm超である。
【0193】
ポリマー添加剤として、複合粉末は、好ましくは、マトリックスポリマーとしての少なくとも1つのポリマー、特に1つの熱可塑性ポリマーに添加される。ここでは、複合粉末の構成要素として使用することもできるポリマーが特に好ましい。したがって、繰り返しを避けるため、特にポリマーの好ましい形態に関して、前述の注釈を参照されたい。特に非常に好ましいマトリックスポリマーには、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、シリコーン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、特にUHMWPE、およびポリ乳酸(PLA)が含まれる。
【0194】
本発明の状況では、マトリックスポリマーおよび複合粉末のポリマーは、好ましくは適用温度で互いに混和性であり、特に好ましくは化学的に同一である。
【0195】
特に好ましい組成物は、40.0重量%〜99.9重量%の少なくとも1つのマトリックスポリマーおよび0.1重量%〜50.0重量%の少なくとも1つの本発明による複合粉末を含有する。
【0196】
組成物は、それ自体公知の方式で、構成要素を混合することによって生成することができる。
【0197】
次に組成物は、通例の方式でさらに処理することができ、特に造粒し、粉砕し、押出し、射出成型し、発泡させ、または3D印刷法で使用することができる。
【0198】
さらに複合粉末は、直接的に、すなわち追加のポリマーを添加せずにさらに処理し、かつ/または使用することができる。
【0199】
これに関連して、複合粉末の利点は、特に複合粉末を造粒し、粉砕し、押出し、射出成型し、溶融圧縮し、発泡させ、かつ/または3D印刷する場合に著しい。
【0200】
本発明の状況では、ポリマー発泡体は、好ましくは、複合粉末および場合により少なくとも1つのマトリックスポリマーを含む組成物中に気相を発生させるかまたは導入することによって生成される。この場合、目的は、均一で均質な発泡構造を達成するために、組成物中の気体を可能な限り均一に分布させることである。気体は、種々のやり方で導入することができる。
【0201】
好ましくは、気相は、発泡剤の添加によって発生させる。発泡剤とは、化学反応の結果として(化学的発泡剤)または相転移の結果として(物理的発泡剤)気体を放出する物質を指す。発泡押出成形の場合、または発泡射出成型の場合には、化学的発泡剤を組成物のマスターバッチの型に混ぜ入れるか、または物理的発泡剤を加圧下で組成物の溶融物に直接的に注入する。この注入は、直接気体注入と呼ばれ、特に熱可塑性ポリマーを処理する場合に使用される。
【0202】
さらに、本発明による複合粉末は、骨折のための従来の金属インプラントを置きかえることができるインプラントの生成に、特に適している。インプラントは、骨折が治癒するまで骨を固定するように働く。金属インプラントは、普通は体内に残存し、またはさらなる操作によって除去しなければならないが、本発明による複合粉末から得ることができるインプラントは、一時的な補助として作用する。本発明によるインプラントは、好都合には、身体自体が分解することができるポリマーを含み、好ましくは、骨形成のためのカルシウムおよび有益なリン物質を供給する物質を含む。患者にとっての利点は、インプラントを除去するためのさらなる操作がなく、急速に骨が再生されることから、明らかである。
【0203】
本発明の特に好ましい変形態様によれば、本発明による複合粉末は、選択的レーザー焼結を用いることによって、構成要素、特にインプラントの生成のために使用される。好都合には、本発明による複合粉末の密に充填された粒子の粉末床は、レーザー走査装置ユニット、直接偏向電子ビームまたは赤外加熱器と形状を表す(geometry-representing)マスクを用いると、局所的に(ポリマーだけ)、部分的または完全に容易に溶融する。粒子は、熱伝達の結果として冷却されると凝固し、したがって合わさって固体層を形成する。部分的に溶融していない粉末粒子は、構成要素における支持材料として残存し、好ましくは、構成プロセスが終了した後に除去される。粒子による新たなコーティングを用いることによって、第1の層と同様に、さらなる層が硬化し、第1の層と合わさることが可能である。
【0204】
レーザー焼結法に特に適したレーザーのタイプは、本発明による複合粉末のポリマーを焼結させ、融合させ、または架橋させるあらゆるレーザー、特にCO2レーザー(10μm) ND−YAGレーザー(1060nm)、He−Neレーザー(633nm)または色素レーザー(350〜1000nm)である。CO2レーザーを使用することが好ましい。
【0205】
照射の場合、充填床のエネルギー密度は、好ましくは0.1J/mm〜10J/mmである。
【0206】
レーザービームの有効直径は、適用に応じて、好ましくは0.01nm〜0.5nm、好ましくは0.1nm〜0.5nmである。
【0207】
パルスレーザーを使用することが好ましく、高パルス周波数、特に1kHz〜100kHzが特に適していることが見出されている。
【0208】
好ましい手順は、以下の通り説明され得る。レーザービームを、本発明に従って使用される材料から構成された充填床の最上層に照射すると同時に、材料をある特定の層厚さ以内に焼結する。前記層厚さは、0.01mm〜1mm、好ましくは0.05mm〜0.5mmであり得る。望ましい構成要素の第1の層は、このようにして作製される。その後、使用空間は、一緒に焼結された層の厚さよりも小さい量だけ小さくなる。使用空間は、追加のポリマー材料で、本来のレベルまで充填される。レーザーによる新たな照射を用いることによって、構成要素の第2の層を焼結し、その前の層と合わせる。この操作を反復することによって、構成要素が完成するまでさらなる層を作製する。
【0209】
レーザー走査の場合の曝露速度は、好ましくは1mm/秒〜1000mm/秒である。典型的に、約100mm/秒の速度が使用される。
【0210】
本発明の場合、ポリマーを部分的または完全に溶融するには、60℃〜250℃の範囲内、好ましくは100℃〜230℃の範囲内、特に150℃〜200℃の範囲内の温度まで加熱することが特に有効であることが見出されている。
【0211】
本発明はまた、本発明による複合粉末を含む組成物の選択的レーザー焼結によって得ることができる構成要素を提供し、神経外科手術、口腔外科手術、顎外科手術、顔面外科手術、頸部外科手術、鼻外科手術および耳外科手術、ならびに手外科手術、足外科手術、胸部外科手術、肋骨外科手術および肩外科手術の分野における使用のためのインプラントは、構成要素から除外される。
【0212】
組成物中の本発明による複合粉末の重量割合は、好ましくは少なくとも50.0重量%、好ましくは少なくとも75.0重量%、特に好ましくは少なくとも90.0重量%、特に少なくとも99.0重量%である。本発明の特に非常に好ましい態様の状況では、組成物は、本発明による複合粉末だけを含有する。
【0213】
本発明による構成要素は、好都合には以下の特性によって区別される。
− 優れた表面の質、
− 優れた表面性質、
− 好ましくは95%超、特に97%超の優れた構成要素密度、
− 優れた縮み挙動、
− 優れた寸法安定性、
− 非常に少ない欠陥、
− 相対的に非常に低い多孔性、
− 非常に低含量の分解生成物、
− 好ましくは60MPa超、特に好ましくは65MPa超、特に70MPa超の優れた3点曲げ強度、
− 好ましくは3420N/mm、特に好ましくは3750N/mm超、好都合には4000N/mm超、特に4500N/mm超の優れた弾性率、
− 優れたpH安定性、
− 優れた生物学的適合性、
− 優れた生体適合性、
− 優れた骨伝導能、
− 優れた吸収性、
− 優れた生分解性。
【0214】
本発明による複合粉末のさらなる熱可塑処理によって、通常、複合粉末中に存在するポリマーの部分的または完全な溶融の結果として、複合粉末の少なくとも部分的な融合がもたらされる。しかし、特に炭酸カルシウム粒子は、好ましくはさらなる処理条件下で部分的または完全に溶融しないので、前記さらなる熱可塑処理は、好ましくは、ここで融合したポリマーの表面上または内部において、小粒子またはその破片の均質な分布をもたらさない。したがって、得られた構成要素は、好ましくは、さらに処理された複合粒子のサイズが評価のためのサイズスケールとして使用される場合、ここで融合した大粒子の表面上または内部における小粒子またはその破片の分布に関して、同等の不均質性を有する。
【0215】
本発明はまた、有利には本発明による複合粒子を生成するために使用することができる球状炭酸カルシウム粒子、およびその使用を提供する。
【0216】
したがって、本発明はまた、
a.まず、水酸化カルシウム懸濁液を充填し、
b.二酸化炭素または二酸化炭素含有気体混合物を、工程aから得られた懸濁液に導入し、
c.得られた炭酸カルシウム粒子を分別し、
0.3重量%〜0.7重量%の少なくとも1つのアミノトリスアルキレンホスホン酸を、さらに添加する、方法を用いることによって得ることができる球状炭酸カルシウム粒子に関する。
【0217】
前記球状炭酸カルシウム粒子の好ましい態様およびそれらの生成のための好ましい方法に関して、前述の注釈は、変更すべきところは変更して適用される。
【0218】
球状炭酸カルシウム粒子の好ましい適用領域は、紙、プラスチック、塗料および/またはワニス、エラストマー、ならびに接着剤およびシーラントのための、建設化学における、乾燥モルタルにおける、および医療技術における添加剤、特に吸収性ポリマーにおける添加剤としてのそれらの使用を包含する。
【0219】
これに関連して、特に組成物の機械特性および酸に対する安定性の改善に関して、本出願で言及される利点および効果は、特に各場合において組成物の総重量に対して
a)少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%、特に少なくとも0.5重量%〜50.0重量%の少なくとも1つの球状炭酸カルシウムと、
b)少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%、特に少なくとも0.5重量%〜50.0重量%の少なくとも1つのポリマー、好ましくは少なくとも1つの熱可塑性ポリマー、特に好ましくは少なくとも1つの吸収性ポリマー、特に少なくとも1つの、ポリ−D−、ポリ−L−および/またはポリ−D−L−乳酸と
を含む組成物について、変更すべきところは変更して観測され得る。ポリマーの好ましい選択に関して、前述の注釈は、変更すべきところは変更して適用される。
【図面の簡単な説明】
【0220】
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
【0221】
本発明は、複数の例および比較例を用いることによって以下にさらに例示されるが、その結果として本発明の概念が制限されるものではない。
【0222】
使用した材料:
− 顆粒1(ポリ(L−ラクチド)、固有粘度:0.8〜1.2dL/g(クロロホルム中0.1%、25℃)、Tg:60〜65℃;Tm:180〜185℃)、
− 顆粒2(ポリ(L−ラクチド)、固有粘度:1.5〜2.0dL/g(クロロホルム中0.1%、25℃))、Tg:60〜65℃、
− 顆粒3(ポリ(D,L−ラクチド)、固有粘度:1.8〜2.2dL/g(クロロホルム中0.1%、25℃))、Tg:55〜60℃;融点なしの非晶質ポリマー。
ポリラクチド顆粒1〜3の平均粒径は、各場合、1〜6mmの範囲内であった。
【0223】
本発明の状況の例において、以下の変数を、以下の通り確認した。
− CaCO含量:CaCO含量は、熱重量分析をPerkin Elmer製のSTA6000と共に、窒素中40℃〜1000℃の範囲内で20℃/分の加熱速度において用いることによって確認した。これに関連して、重量喪失を、約550℃〜1000℃で決定し、それから、CaCO含量のパーセンテージを因数2.274(CaCO:COモル質量比)によって計算した。
− β−リン酸三カルシウム含量(β−TCP含量):β−TCP含量は、熱重量分析をPerkin Elmer製のSTA6000と共に、窒素中40℃〜1000℃の範囲内で20℃/分の加熱速度において用いることによって確認した。1000℃で残留している重量割合は、β−TCP含量のパーセンテージに相当する。
− T:ピーク温度Tは、熱重量分析をPerkin Elmer製のSTA6000と共に、窒素中40℃〜1000℃の範囲内で20℃/分の加熱速度において用いることによって確認した。質量喪失曲線の第1の誘導のピーク温度は、ポリマー分解の最大質量喪失を伴う温度に相当する。
− d20、d50、d90:炭酸カルシウムを含有する複合粉末の粒径分布は、レーザー回折(Sympatec製のRODOS分散系を伴うHELOS測定範囲R5)を使用して決定した。炭酸カルシウム粉末では、粒径分布は、Micromeretics製のMasterTech 51と共にSedigraph 5100を使用して決定した。使用した分散溶液は、0.1%ポリリン酸ナトリウム溶液(NPP)であった。
− <20μmの画分:d50の決定。<20μmの画分の評価。
− 水分:炭酸カルシウムを含有する複合粉末の含水量は、Mettler Toledo製のKarl Fischer coulometer C30を使用して150℃で決定した。炭酸カルシウム粉末の含水量を、Mettler製のハロゲン水分分析器HB43を使用して130℃で決定した(秤量した量:粉末6.4〜8.6g;測定時間:8分)。
− 固有粘度:固有粘度(dL/g)は、25℃および0.1%ポリマー濃度のクロロホルム中、Ubbelohde粘度計、キャピラリー0cを使用して決定した。
− 流動性:試料の流動性は、Erichsen製の起電性膜アプリケーターを使用して評価した。この目的を達成するために、200μmまたは500μmのドクターブレードを使用した。フィルムタイプ255(Leneta)に対する適用速度は12.5mm/秒であった。評価を以下の通り行った。1=非常に良好、2=良好、3=満足、4=適切、5=不適切。
【0224】
射出成型された試験片に関する機械特性の決定:3点曲げ強度および弾性率は、テクスチャー分析器TA.XTplus(Stable Micro Systems、Godalming(UK))を用いることによって決定した。使用したロードセルの能力は、50kgであった。Exponent6.1.9.0ソフトウェアを使用した。測定の詳細は、以下の表1に提示されている。
【0225】
【表1】
【0226】
試験片を、押出機HAAKE MiniLab IIを使用して生成し、HAAKE MiniJet IIを使用して射出成型した。試験片の生成に関する処理条件を、以下の表2にまとめる。
【0227】
【表2】
【0228】
細胞傷害試験
細胞傷害試験(FDA/GelRed)を、以下の通り行った。使用した参照または負の対照は、組織培養ポリスチレン(TCPS)であった。試料1つ当たり4つの複製物および対照としての4つのTCPS(4×)を、各場合において使用した。
実験手順:
1.滅菌していない(unsterile)試料を、24ウェルのマイクロタイタープレートに入れた。前記プレート中、試料およびTCPS血小板を、70%エタノール(未変性)で30分間滅菌し、次に1×PBS(リン酸緩衝食塩水溶液)で2×30分ですすぎ、その後、無菌α−媒体で平衡化した。その後、試料に、MC3T3−E1細胞を接種密度25000個の細胞/cm(50000個の細胞/ml)で接種した。
一部の媒体の交換(1:2)を2日目に実施した。
【0229】
2.細胞培養の1日後および4日後に、細胞傷害性を決定した。
【0230】
3.生存率染色を、標準プロトコールに従って、FDAおよびGelRedから構成された染料の組合せを用いることによって、1日目および4日目に実施した。
【0231】
4.顕微鏡写真を、Observer Z1m/LSM700で作製した。
対物:EC Plan−Neofluar 10×
AxioCam HRcカメラで撮影した画像:
緑色蛍光の励起:LED Colibri 470、フィルタセットFS10(AF488)
赤色蛍光の励起:LED Colibri 530、フィルタセットFS14(AF546)
レーザー走査モードで撮影した画像:
追跡1:レーザー:488nm、DBS 560nm、PMT1:488〜560nm
追跡2:レーザー:555nm、DBS 565nm、PMT2:565〜800nm
5.評価は、以下の細胞傷害性尺度に従って行った。
受入れ:材料は細胞傷害性ではない(最大5%の死滅細胞)
わずかな阻害:材料はわずかに毒性がある(5%〜20%の死滅細胞)
明確な阻害:材料は中程度の毒性がある(20%〜50%の死滅細胞)
毒性:材料は細胞傷害性が高い(>50%〜100%の死滅細胞)
6.細胞カウントは、撮影または走査した画像断面に基づいて行う。
【0232】
結果は表3に概説されている。
電子顕微鏡(SEM)
走査型電子顕微鏡写真は、高電圧電子顕微鏡(Zeiss、DSM962)を15kVで使用して得た。試料に、金/パラジウム層をスプレーした。
【0233】
例1(特許請求される本発明による複合粉末のための反応物)
10℃の出発温度で、20%COおよび80%Nを含有するCO気体混合物を、75g/LのCaOの濃度を有する水酸化カルシウム懸濁液4Lに導入した。気体流速度は300L/時であった。反応混合物を350rpmで撹拌し、反応熱を反応中に消散させた。伝導性が急激に低下すると(0.5mS/cm/分を超えて低下し、30秒以内に0.25mS/cmを超えて伝導性が低下する)、CaO(理論参照値として)に基づいて0.7%アミノトリス(メチレンホスホン酸)を懸濁液に添加した。球状炭酸カルシウム粒子を得るための反応は、反応混合物が、定量的に炭酸化されて球状炭酸カルシウム粒子を生じ、次に反応混合物がpH7〜9を有する場合に完了した。本発明の場合では、反応は、およそ2時間後に完了し、反応混合物は、反応の終了時にpH7を有していた。
【0234】
得られた球状炭酸カルシウム粒子を分別し、従来の手段によって乾燥させた。それらの粒子は、平均粒径12μmを有していた。典型的なSEM画像は、図1に提示されている。
【0235】
例2(特許請求される本発明による複合粉末のための反応物)
まず、脱塩水500mLを、1000mLのビーカーに充填した。例1による球状炭酸カルシウム粒子125gを、撹拌しながら添加し、得られた混合物を、5分間撹拌した。10%メタリン酸ナトリウム(NaPO溶液37.5gをゆっくり添加し、得られた混合物を、10分間撹拌した。10%リン酸75.0gをゆっくり添加し、得られた混合物を20時間撹拌した。沈殿物を分別し、乾燥キャビネット内で130℃において一晩乾燥させた。得られた球状炭酸カルシウム粒子も同様に、平均粒径12μmを有していた。
【0236】
球状炭酸カルシウム粒子のSEM画像は、図2に提示されている。薄いリン酸層を、球状炭酸カルシウム粒子の表面上で識別することができる。
【0237】
例3(特許請求される本発明による複合粉末)
球状炭酸カルシウム粒子およびポリラクチド(PLLA)から構成された複合粉末を、JP62083029Aに記載されている方法に従って、機器NHS−1を使用して生成した。冷却は、12℃の冷水を使用して行った。ポリラクチド顆粒1および例1から得られた球状炭酸カルシウム粒子を、それぞれ母粒子および子粒子(賦形剤)として使用した。
【0238】
ポリラクチド顆粒39.5gを、CaCO粉末26.3gと共に混合し、6400rpmで充填した。凝集物の回転子速度を、6400rpm(80m/秒)に調整し、計量した材料を10分間処理した。NHS−1の粉砕空間の最高到達温度は、35℃であった。同量の材料および同じ機械設定を用いて合計7回反復した。合計449gの複合粉末を得た。得られた複合粉末を、250μmのふるいによって手作業で乾燥ふるいにかけた。ふるい残留物(>250μmの画分)は0.4%であった。
【0239】
得られた複合粉末のSEM画像は、図3aに提示されている。
【0240】
例4〜7(特許請求される本発明による複合粉末)
さらなる複合物粉末を、例3と同様に生成したが、冷却は例5では約20℃で行った。ポリラクチド顆粒30gを、各場合においてCaCO粉末20gと混合した。NHS−1の粉砕空間の最高到達温度は、例4では33℃、例5では58℃、例6では35℃および例7では35℃であった。>250μmの粗い画分を可能な限り除去するために、生成物をふるいにかけた(250μmのふるいを介する手作業による乾燥ふるい)。さらに例4、6および7では、<20μmの画分を、フロー分級(空気分級を用いることによって)またはふるい(空気ジェットふるい機を用いることによって)によって可能な限り除去した。使用した材料、ふるい/空気分級を伴うもしくは伴わない生成手順、ならびに得られた複合粉末の特性は、以下の表3に概説されている。
【0241】
図3a、図3bおよび図3cは、例3から得られたSEM画像、ならびに例3から得られた様々なドクターブレード適用(12.5mm/秒)の画像を示す(図3b:200μmのドクターブレード、図3c:500μmのドクターブレード)。
【0242】
得られた複合粉末のSEM画像は、図3aに提示されている。低温粉砕粉末に典型的な尖った不規則な粒子形状とは対照的に、得られた複合粉末の粒子は、SLM法にとって非常に有利な、丸い粒子形状または高い球形度を有している。PLLA表面は、球状炭酸カルシウム粒子およびその破片によってまばらに占められている。試料は、微細な画分が多い、広い粒径分布を有している。
【0243】
粉末は、限られた範囲内で流動性がある(図3bおよび3c)。大量の粉末を、ドクターブレードによって推し進める。おそらく微粒子の割合が相対的に高いことによって引き起こされた流れ挙動の制限が原因となり、両方のドクターブレードにより、ごく非常に薄い層が形成される。
【0244】
図4a、図4bおよび図4cは、例4から得られたSEM画像、ならびに例4から得られた様々なドクターブレード適用(12.5mm/秒)の画像を示している(図4b:200μmのドクターブレード、図4c:500μmのドクターブレード)。
【0245】
得られた複合粉末のSEM画像は、図4aに提示されている。低温粉砕粉末に典型的な尖った不規則な粒子形状とは対照的に、得られた複合粉末の粒子は、SLM法にとって非常に有利な、丸い粒子形状または高い球形度を有している。PLLA表面は、球状炭酸カルシウム粒子およびその破片によってまばらに占められている。試料は、微細な画分が少ない、明らかにより狭い粒径分布を有している。
【0246】
粉末は、流動性が極めて高く、ブレードでコーティング可能である(図4bおよび4c)。薄層(200μm)も、ブレードでコーティングすることができ、ドクターブレードによる縞(溝)がほとんどない。500μmにおけるブレードでコーティングされた粉末層は、均質であり、高密度に充填され、平坦であり、ドクターブレードによる縞がない。
【0247】
図5a、図5bおよび図5cは、例5から得られたSEM画像、ならびに例5から得られた様々なドクターブレード適用(12.5mm/秒)の画像を示している(図5b:200μmのドクターブレード、図5c:500μmのドクターブレード)。粉末は、限られた範囲内で流動性がある。大量の粉末を、ドクターブレードによって推し進める。おそらく微粒子の割合が相対的に高いことによって引き起こされた流れ挙動の制限が原因となり、両方のドクターブレードにより、非常に薄い層しか形成されない。
【0248】
図6a、図6bおよび図6cは、例6から得られたSEM画像、ならびに例6から得られた様々なドクターブレード適用(12.5mm/秒)の画像を示している(図6b:200μmのドクターブレード、図6c:500μmのドクターブレード)。粉末は、流動性が高く、ブレードでコーティング可能である。薄層(200μm)も、ブレードでコーティングすることができる。おそらく過度に粗い粉末粒子により、ドクターブレードによる個々の縞が識別可能である。500μmのブレードでコーティングされた粉末層は、あまり高密度には充填されていないが、ドクターブレードによる縞はない。
【0249】
図7a、図7bおよび図7cは、例7から得られたSEM画像、ならびに例7から得られた様々なドクターブレード適用(12.5mm/秒)の画像を示している(図7b:200μmのドクターブレード、図7c:500μmのドクターブレード)。粉末は、流動性があり、ブレードでコーティング可能である。薄層(200μm)も、ブレードでコーティングすることができる。粉末は不均質であり、ドクターブレードによるより多くの縞がある。おそらく過度に粗い粉末粒子によって、流れ挙動がいくらか制限される。500μmのブレードでコーティングされた粉末層は、均質であり、ドクターブレードによる縞がない。
【0250】
比較1(比較例)
例1から得られた球状炭酸カルシウム粒子および非晶質ポリラクチド(PDLLA)から構成された微細構造複合粒子を、JP62083029Aに記載されている方法に従って、機器NHS−1を使用して生成した。冷却は、12℃の冷水を使用して行った。ポリラクチド顆粒3および例1から得られた球状炭酸カルシウム粒子を、それぞれ母粒子および子粒子として使用した。
【0251】
ポリラクチド顆粒39.5gを、CaCO粉末10.5gと混合し、8000rpmで充填した。凝集物の回転子速度を、8000rpm(100m/秒)に調整し、計量した材料を1.5分間処理した。NHS−1の粉砕空間の最高到達温度は、71℃であった。同量の材料および同じ機械設定を用いて合計49回反復した。合計2376gの構造化複合粒子を得た。得られた構造化複合粒子を、粒径分布の測定のために800μmのふるいによって手作業で乾燥ふるいにかけた。ふるい残留物(>800μmの画分)は47%であった。
【0252】
得られた微細構造複合粒子の特性は、以下の表3に概説されている。
【0253】
図8a、図8bおよび図8cは、比較1から得られたSEM画像、ならびに比較1から得られた様々なドクターブレード適用(12.5mm/秒)の画像を示している(図8b:200μmのドクターブレード、図8c:500μmのドクターブレード)。粉末は流動性が低く、200μmまたは500μmの薄い層厚を形成するためのブレードではコーティングすることができない。過度に粗い不規則な粒子は、ブレードコーティング中に詰まってしまう。ドクターブレードによる顕著な縞が非常に頻繁に見られる不均質な層が生じる。
【0254】
SEM分析は、構造化複合粉末の表面が、球状炭酸カルシウム粒子およびその破片によってまばらに占められていることを示している。例3〜7と比較すると、粒子は、より不規則な粒子形状を有している。
【0255】
例8(特許請求される本発明による複合粉末)
β−リン酸三カルシウム粒子およびポリラクチド(PDLLA)から構成された複合粉末を、JP62083029Aに記載されている方法に従って、機器NHS−1を使用して生成した。冷却は、12℃の冷水を使用して行った。ポリラクチド顆粒3およびβ−リン酸三カルシウム(β−TCP、d20=30μm、d50=141μm、d90=544μm)を、それぞれ母粒子および子粒子として使用した。使用したβ−TCPのSEM画像は、図9aおよび図9bに示されている。
【0256】
ポリラクチド顆粒30.0gを、β−TCP粉末20.0gと混合し、6400rpmで充填した。凝集物の回転子速度を、6400rpm(80m/秒)に調整し、計量した材料を10分間処理した。同量の材料および同じ機械設定を用いて合計5回反復した。合計249gの複合粉末を得た。生成物を、>250μmの粗い画分を可能な限り除去するためにふるいにかけた(250μmのふるいを介する手作業による乾燥ふるい)。その後、<20μmの微細な画分を、空気ジェットふるい機を用いることによって20μmのふるいを介して分別した。
【0257】
例9(特許請求される本発明による複合粉末)
菱面体炭酸カルシウム粒子およびポリラクチド(PDLLA)から構成された複合粉末を、JP62083029Aに記載されている方法に従って、機器NHS−1を使用して生成した。冷却は、12℃の冷水を使用して行った。ポリラクチド顆粒3および菱面体炭酸カルシウム粒子(d20=11μm、d50=16μm、d90=32μm)を、それぞれ母粒子および子粒子として使用した。
【0258】
ポリラクチド顆粒30.0gを、菱面体炭酸カルシウム粒子20.0gと混合し、6400rpmで充填した。凝集物の回転子速度を、6400rpm(80m/秒)に調整し、計量した材料を10分間処理した。同量の材料および同じ機械設定を用いて合計5回反復した。合計232gの複合粉末を得た。生成物を、>250μmの粗い画分を可能な限り除去するためにふるいにかけた(250μmのふるいを介する手作業による乾燥ふるい)。その後、<20μmの微細な画分を、空気ジェットふるい機を用いることによって20μmのふるいを介して分別した。
【0259】
例10(特許請求される本発明による複合粉末)
粉砕炭酸カルシウム粒子およびポリラクチド(PDLLA)から構成された複合粉末を、JP62083029Aに記載されている方法に従って、機器NHS−1を使用して生成した。冷却は、12℃の冷水を使用して行った。ポリラクチド顆粒3および粉砕炭酸カルシウム(GCC、d20=15μm、d50=46μm、d90=146μm)を、それぞれ母粒子および子粒子として使用した。
【0260】
ポリラクチド顆粒30.0gを、GCC20.0gと混合し、6400rpmで充填した。凝集物の回転子速度を、6400rpm(80m/秒)に調整し、計量した材料を10分間処理した。同量の材料および同じ機械設定を用いて合計5回反復した。合計247gの複合粉末を得た。生成物を、>250μmの粗い画分を可能な限り除去するためにふるいにかけた(250μmのふるいを介する手作業による乾燥ふるい)。その後、<20μmの微細な画分を、空気ジェットふるい機を用いることによって20μmのふるいを介して分別した。
【0261】
【表3-1】
【0262】
【表3-2】
【0263】
【表3-3】
【0264】
比較2、例11(特許請求される本発明による複合粉末)、例12(特許請求される本発明による複合粉末)、例13(特許請求される本発明による複合粉末)、例14(特許請求される本発明による複合粉末)および例15
PLAペレットを、純粋なペレットとして、Brabender Plasti−Corderを使用して4種の異なる賦形剤(25重量%)と共に混合し、溶融させた。チャンバ温度は、回転速度50rpmで190℃であった。ペレットおよび賦形剤粉末を5分間混合し、その後、混合物約16gを、液圧プレス機内で圧力0.96〜1.2MPaにおいて5分間圧縮した。
【0265】
すべての例において、使用したポリマーはPLAであった(NatureWorks Ingeo(商標)Biopolymer 3251D)。比較2では、炭酸カルシウム粒子は添加しなかった。例11では、例1による炭酸カルシウム粒子を添加した。例12では、例2による炭酸カルシウム粒子を添加した。例13では、リン酸を添加せずに例2と同様にして生成した炭酸カルシウム粒子を添加した。例14では、メタリン酸ナトリウム(NaPOを添加せずに例2と同様にして生成した炭酸カルシウム粒子を添加した。例15では、従来の手段によって得られたステアリン酸でコーティングされた炭酸カルシウム粒子を添加した。
【0266】
比較2および例11〜15のPLA複合物の特徴付け
a)機械特性
PLAおよび複合物の機械特性を、Zwick/Roell製の一般的試験機UTM1445を使用して試験した。ここで、引張強度、弾性率および材料の伸びを決定した。測定長さ50mmにおいて、試験速度は10mm/分であった。
b)熱特性
試料の熱安定性を、熱重量分析を用いることによって決定した。熱重量測定を、Perkin Elmer製のSTA6000を使用して、窒素中40℃〜1000℃の範囲内で、加熱速度20℃/分で行った。
c)試料の光学評価(**1〜3のグレード)
1=純粋な透明ポリマー;熱分解による識別可能な変色はない
2=白色ポリマー化合物;賦形剤の添加による白色への変色;熱分解による識別可能な変色はない
3=化合物の熱分解による褐変
CaCO粒子をPLAマトリックスに添加すると、例15を除いてすべての賦形剤について純粋な透明PLAから白色複合物への変色があった。ステアリン酸でコーティングされた炭酸カルシウム粒子の試料の場合、ポリマー分解を示す淡褐色への変色があった。その他のすべての試料は、分解の徴候を全く示さない。
【0267】
観測された特性は、表4に概説されている。
【0268】
【表4】
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b