特許第6961702号(P6961702)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961702逆浸透法によって塩含有水を製造するための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961702
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】逆浸透法によって塩含有水を製造するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20211025BHJP
   B01D 61/08 20060101ALI20211025BHJP
   B01D 63/10 20060101ALI20211025BHJP
   B01D 61/10 20060101ALI20211025BHJP
   B01D 61/12 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   C02F1/44 A
   B01D61/08
   B01D63/10
   B01D61/10
   B01D61/12
   C02F1/44 D
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-536259(P2019-536259)
(86)(22)【出願日】2017年1月13日
(65)【公表番号】特表2020-514028(P2020-514028A)
(43)【公表日】2020年5月21日
(86)【国際出願番号】EP2017050708
(87)【国際公開番号】WO2018130303
(87)【国際公開日】20180719
【審査請求日】2019年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】519237339
【氏名又は名称】ビーダブリューティー アクア アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァイガー, マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン, ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】フィンク, マルク
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−505757(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0307965(US,A1)
【文献】 米国特許第04476015(US,A)
【文献】 特開2001−149933(JP,A)
【文献】 韓国登録実用新案第20−0433506(KR,Y1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0319033(US,A1)
【文献】 特開2009−052677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
B01D 61/00−71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透圧法によって塩含有水を処理するための装置であって、塩含有水が、浸透流と濃縮流に分離され、
− 前記装置が、塩含有水のための入口を含み、
− 前記装置が、浸透流のための出口を含み、
− 前記装置が、濃縮流のための出口を含み、
− 前記装置が、逆浸透装置を含み、
− 前記装置が、混合装置を含み、それによって逆浸透装置から出る浸透流が塩含有水及び/又は濃縮流と混合されることができ、
さらに、
− 入口及び出口が、位置固定される態様で設置されることができるベースユニットに一体化され、
− 逆浸透装置が、ベースユニットに脱着自在に接続される交換可能ユニットとして与えられ、
− 混合装置が、壁によって画定される通路、及び通路内で軸方向に変位可能及び/又は回転移動可能な態様で装着される弁体を含み、弁体が、ベースユニットの構成部分であり、通路が、通路を画定する壁とともに、交換可能ユニットの構成部分であり、
− 混合装置が、ベースユニットと交換可能ユニットの間の境界表面に形成されている
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
位置固定される態様で設置されることができるベースユニットが、交換可能ユニットのための受器を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
受器が、交換可能ユニットがねじ込まれることができる受器であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
以下の特徴の少なくとも一つによって特徴づけられる請求項1〜3のいずれかに記載の装置:
− 交換可能ユニットが、逆浸透装置の一部として圧力容器を含む、
− 圧力容器が、円筒形であり、かつ下部及び上部を有する、
− 圧力容器の下部が閉じられている、
− 塩含有水のための入口開口、浸透流のための出口開口、及び濃縮流のための出口開口が、圧力容器の上部に一体化されている、
− 入口開口が塩含有水のための入口に結合されている、
− 浸透流のための出口開口が浸透流のための出口に結合されている、
− 濃縮流のための出口開口が濃縮流のための出口に結合されている。
【請求項5】
逆浸透装置が逆浸透膜を有し、逆浸透膜が、浸透流の収集及び除去のための役割をする有孔管のまわりに巻かれ、逆浸透膜が、二つの端側、即ち第一端側と第二端側を有する円筒形巻きの形で与えられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
以下の特徴の少なくとも一つによって特徴づけられる請求項5に記載の装置:
− 巻かれた逆浸透膜の第一端側にアダプターが装着され、そのアダプターを介して逆浸透膜が、浸透流収集管とともに圧力容器の上部に結合されている、
− アダプターによって、逆浸透膜の第二端側が、水のための入口開口に結合されている、
− アダプターによって、浸透流収集管が、浸透流のための出口開口に結合されている、
− アダプターによって、巻かれた逆浸透膜の第一端側が、濃縮流のための出口開口に結合されている。
【請求項7】
以下の特徴の少なくとも一つによって特徴づけられる請求項1〜6のいずれかに記載の装置:
− 混合装置が塩含有水を処理するための装置に一体化されている、
− 混合装置がベースユニットの構成部分である
【請求項8】
以下の特徴の少なくとも一つによって特徴づけられる請求項1〜7のいずれかに記載の装置:
− 混合装置が弁の形である、
− 混合装置が、壁によって画定される通路を含む、
− 通路の壁が少なくとも一つの開口を有し、それを通して液体、特に塩含有水が通路中に入ることができる、
− 混合装置が弁体を含み、弁体が、通路内で回転移動可能及び/又は軸方向に変位可能な態様で装着されている、
− 弁体が封止領域を有し、封止領域が、弁体の位置に依存した態様で、少なくとも一つの開口を通る液体の通過流を完全に又は部分的にブロックすることができる。
【請求項9】
以下の特徴の少なくとも一つによって特徴づけられる請求項8に記載の装置:
− 弁体がベースユニットの構成部分である、
− 通路が、通路を画定する壁とともに交換可能ユニットの構成部分である、
− 通路が、浸透流収集管に結合される入口、及び浸透流のための出口に結合される出口を有する、
− 弁体が、中空円筒形を有し、かつ弁体の一端に入口を持ちかつ弁体の他端に出口を持つ中央通路を有する、
− 中央通路の出口が、濃縮流のための、ベースユニットに一体化された出口に結合されている、
− 中央通路の入口が、濃縮流のための出口開口に結合され、特に前記出口開口中に挿入されている。
【請求項10】
以下の特徴の少なくとも一つによって特徴づけられる請求項8又は9に記載の装置:
− 通路内の弁体の位置が、通路内の弁体の軸方向の変位をもたらす位置決め要素によって設定されることができる、
− 位置決め要素が、ねじ山のまわりに回転自在に着座され、回転されると軸方向の変位を受ける、
− 位置決め要素が、軸方向の位置決め要素の変位が弁体の軸方向の変位をもたらすように弁体に結合されている、
− 位置決め要素が、キャップの形である。
【請求項11】
以下の特徴の少なくとも一つによって特徴づけられる請求項8又は9に記載の装置:
− 通路内の弁体の位置が、通路内の弁体の回転をもたらす位置決め要素によって設定されることができる、
− 位置決め要素が、弁体に回転自在に結合した態様で接続されている。
【請求項12】
逆浸透装置から出る、浸透流及び/又は濃縮流の通過流量を制御及び/又は調整するための調整装置を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
逆浸透法によって塩含有水を処理するための方法であって、処理が、請求項1に記載の装置によって実現されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透法によって塩含有水を処理するための装置及び方法であって、塩含有水が浸透流と濃縮流に分離される装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業の多くの領域において、そして多数の商業領域において、脱塩水が要求され、例えば蒸気を生成するための電力プラントにおいて、蒸気でベーキング空間を満たすためのベーキングオーブンにおいて、蒸発冷却のためのエアコンディショニングシステムにおいて、そして洗浄物の水あかの付着を避けるための市販の食器洗い機において要求されている。
【0003】
技術的に、脱塩水は、通常、逆浸透法によって製造される。逆浸透法は、塩含有未処理水流(供給流として言及されることが多い)が圧力下で半透膜に沿って案内される膜分離法である。圧力は、通常、ポンプ、いわゆる供給ポンプによって発生される。水の一部は、膜を貫通するが、水に溶解されている塩の大部分は、膜によって保持される。逆浸透法によって脱塩された水は、浸透水として言及される。塩含有残留水は、濃縮水として言及される。
【0004】
逆浸透法は、一般に5μS/cm〜50μS/cmの範囲の電気伝導性を有する浸透水を生成する。使用される膜タイプによって、及び方法が実施されるパラメーター(圧力、温度)に依存して、塩を多かれ少なかれ含まない浸透水が得られる。
【0005】
逆浸透法を実施するための従来の装置は、供給ポンプだけでなく、バックフラッシュプロセスを自動的に実施するためのコントローラーも頻繁に要求する。ファウリング及びスケーリングプロセスを防止するために、技術的に複雑な手段、例えば錯体形成化学物質の追加又は他の予備処理工程が実施されることが必要であることが多い。これらの理由のため、私的な家庭での逆浸透装置の使用は、これまで一般的というより例外的なものであった。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、塩含有水、特に水道水を処理するための普遍的に使用可能な解決策を提供するという目的に基づく。この解決策は、工業及び商業的セクターと私的な家庭の両方でも使用されることができるべきであり、逆浸透原理に基づくべきである。その意図は、この解決策により処理水の90%より多くの塩含有量の減少を達成することである。
【0007】
好ましい実施形態では、解決策はさらに、処理される水の品質の変動を可能にするべきである。
【0008】
前記目的は、請求項1に記載の特徴を有する装置、及び請求項13に記載の特徴を有する方法によって達成される。本発明による装置の好ましい実施形態は、従属請求項2〜12で特定される。全ての請求項の文章は、参考として本明細書の内容に組み込まれる。
【0009】
水の浸透流と濃縮流への分離によって塩含有水を処理するための全ての一般的な装置のように、本発明による装置は、以下の特徴を有する:
− 前記装置が、処理される塩含有水のための入口を含み、
− 前記装置が、浸透流のための出口を含み、
− 前記装置が、濃縮流のための出口を含み、
− 前記装置が、逆浸透装置を含む。
【0010】
本発明による装置は、特に水道水を処理するために役立つ。
【0011】
本発明による装置は、特に以下のことを特徴とする:
− 入口及び出口が、位置固定される態様で設置されることができるベースユニットに一体化され、
− 逆浸透装置が、ベースユニットに脱着自在に接続される交換可能ユニットとして与えられる。
【0012】
かかる装置は、工業及び商業セクターだけでなく、特に私的な家庭でも使用されることができ、例えばコーヒーのための水の処理に、又は熱風スチーマーのために水を与えるために使用されることができる。この目的のためのそれらの個々の好適性は、交換可能な逆浸透装置と関連したそれらの単純な構成に由来する。本発明に従って使用される逆浸透装置の膜もまた、ファウリング及びスケーリングプロセスを受けることは言うまでもない。しかしながら、複雑なメンテナンス機構は要求されない。もし交換可能ユニットとして与えられる逆浸透装置の膜がファウリング及びスケーリングプロセスによって過剰に汚れるなら、逆浸透装置は単に置き換えられるだけである。交換プロセスは、本発明による装置のモジュール性のため極めて簡単である。本発明による装置の初期行動開始に先立って、ベースユニットが設置され、例えば飲料水ラインに固定設置される。ベースユニットは、そのとき逆浸透装置の後の段階での交換によってもはや影響されない。交換は、専門家以外であっても何ら問題なく対応して実施されることができる。
【0013】
ベースユニットの簡単な設置を可能にするために、ベースユニットは、ホルダーを持つことが好ましく、かかるホルダーのための少なくとも一つ、好ましくは二つ以上の孔(bore)、又は一つの台(seat)を持つことが好ましい。
【0014】
逆浸透装置の簡単な置き替えを可能にするために、好ましい実施形態では、位置的に固定された方法で設置されることができるベースユニットは、交換可能ユニットのための受器、好ましくは交換可能ユニットをねじ込むことができる受器を有する。好ましくは、受器は、内ねじを有し、交換可能ユニットは、整合する外ねじを有する。
【0015】
ベースユニット及び交換可能ユニットの脱着可能な接続に対する他の技術的可能性もありうることは言うまでもなく、例えばスナップ接続が可能である。
【0016】
交換可能ユニットは、逆浸透装置の一部として圧力容器を含む。後者は、円筒形を有することが特に好ましく、上部及び下部を有することが好ましい。好ましい実施形態では、圧力容器の下部は閉じられているが、塩含有水のための入口開口、浸透水のための出口開口、及び濃縮水のための出口開口は、上部に一体化される。好ましくは、上部及びベースユニットは、逆浸透装置がベースユニットに接続されるとき、入口開口が塩含有水のための入口に結合され、出口開口が浸透水及び濃縮水のための出口に結合されるように形成される。従って、そのとき、処理される塩含有水は、入口を介してベースユニットに入り、入口開口を介して逆浸透装置中に供給される。逆浸透装置で形成された浸透水及び濃縮水は、それぞれの出口開口を介して逆浸透装置から出て、ベースユニットを通過した後、浸透水及び濃縮水のための出口を介して前記ベースユニットを出る。
【0017】
使用される逆浸透装置は、巻かれた構造を有するものであることが好ましい。それは、逆浸透膜を有することが好ましく、逆浸透膜は、浸透水の収集及び除去のために役立つ有孔管(要するに浸透水収集管)のまわりに巻かれることが好ましい。かかる逆浸透装置では、好ましい実施形態において、両側を接着結合又は溶接されている膜ポケットが、その開放端で浸透水収集管に接続され、管のまわりに巻かれる。膜ポケット内と膜ポケットの巻かれた層の間との両方のスペーサー物は、浸透水側及び濃縮水側での水の供給及び除去を可能にする。
【0018】
特に好ましくは、膜は、二つの端側を有する円筒形の巻きの形で与えられる。前記端はまた、第一及び第二端側として以下で言及される。前記巻きは、第一端側が上部の方向に面し、第二端側が下部の方向に面するように圧力容器内に配置されることが好ましい。
【0019】
好ましい実施形態では、アダプターが、巻かれた逆浸透膜の第一端側に装着され、そのアダプターを介して逆浸透膜が浸透水収集管とともに圧力容器の上部に接続される。アダプターは、単一部分からなる形態又は多数部分からなる形態であることができる。
【0020】
巻かれた逆浸透膜の第一端側が圧力容器の上部において塩含有水のための入口開口にアダプターを介して結合されることが好ましい。従って、逆浸透装置中に入る塩含有水を第一端側に流すことが可能である。そこから、前記水は、巻きを通って軸方向に第二端側の方向に流れる。これは、冒頭で述べた浸透水と濃縮水の分離を生じる。透過水は浸透水収集管中に入り、浸透水収集管を介して除去されるが、濃縮水は、円筒形巻きの第二端側から出る。
【0021】
巻かれた逆浸透膜の第二端側は、アダプターを介して濃縮水のための出口開口に結合されることがさらに好ましい。この目的のため、アダプターは、好適な出口通路を与え、それを介して第二端側から出る濃縮水が出口開口に供給される。結果として、第二端から出る濃縮水は、前記出口開口を介して逆浸透装置から濃縮水のための、ベースユニットに一体化された出口の方向に出ることができる。例えば、濃縮水は、この目的のため、円筒形巻きのケースと圧力容器の内壁の間のライン又は間隙を介してアダプター中の対応する流入口に供給されることができ、その流入口は、濃縮水のための出口開口中に開いている。
【0022】
代替的に特に好ましい実施形態では、圧力容器の上部における塩含有水のための入口開口は、アダプターを介して巻かれた逆浸透膜の第二端側に結合されることも可能である。塩含有水は、この目的のため、円筒形巻きのケースと圧力容器の内壁の間のライン又は間隙を介して第二端側に供給されることができる。従って、逆浸透装置に入る塩含有水が第二端側に流れることも可能である。そこから、前記水は、巻きを通って軸方向に第一端側の方向に流れる。これは、冒頭で述べた浸透水と濃縮水の分離をもたらす。浸透水は、浸透水収集管に入り、浸透水収集管を介して除去されるが、濃縮水は、円筒形巻きの第一端側から出る。
【0023】
この代替実施形態では、巻かれた逆浸透膜の第一端側は、アダプターを介して濃縮水のための出口開口に結合されることがさらに好ましい。この目的のため、アダプターは、好適な出口通路を与え、それを介して第一端側から出る濃縮水が出口開口に供給される。結果として、第一端側から出る濃縮水は、前記出口開口を介して逆浸透装置から濃縮物のための、ベースユニットに一体化された出口の方向に出ることができる。
【0024】
浸透水収集管は、アダプターを介して圧力容器の上部において浸透水のための出口開口に結合されることがさらに好ましい。この目的のため、アダプターは、好適な出口通路を与え、それは、浸透水収集管を出口開口に接続する。結果として、浸透水収集管中に入る浸透水は、前記出口開口を介して逆浸透装置から浸透水のための、ベースユニットに一体化された出口の方向に出ることができる。
【0025】
好ましい実施形態では、装置、特に位置的に固定された態様で設置されることができるベースユニットは、混合装置を含み、それによって逆浸透装置から出る浸透水が塩含有水と、特に水道水と混合されることができ、特に好ましくは調整可能な混合比率で混合されることができる。
【0026】
好ましい実施形態では、混合装置は、本発明による装置に一体化されている。
【0027】
混合装置は、例えばベース部内のライン中で弁制御された通路を含むことができ、そのラインは、塩含有水のための入口及び浸透水出口を接続する。
【0028】
一般的に、混合装置は、弁の形態である。
【0029】
好ましくは、混合装置は、壁によって画定される通路を含む。通路の壁は、次に少なくとも一つの開口を有することが好ましく、それを通って液体が通路中に入ることができる。
【0030】
特に好ましくは、壁は、複数の、特に二つから五つの開口を有する。これらは、それぞれ同じ横断面を持つことができる。しかしながら、一部の実施形態では、開口の横断面は、互いに異なることも可能である。壁中の開口は、軸方向に配向された線に沿って、好ましくは規則的な間隔で配置されることがさらに好ましい。
【0031】
開口は、例えば孔(bore)又は細長い穴(slot)であることができる。
【0032】
液体は、特に塩含有水であり、それは、上述の入口を介して本発明による装置中に流れた水が同様に上述の入口開口を介して逆浸透装置中に供給される前に、この水から分枝される。
【0033】
通路は、好ましくは少なくとも局所的に、特に好ましくはその全長さにわたって、回転対称、特に円筒形であることが好ましい。
【0034】
混合装置は、通路内で軸方向に変位可能及び/又は回転移動可能な態様で装着される弁体を含むことがさらに好ましい。
【0035】
好ましくは、弁体は、封止領域を有し、それは、弁体の位置に依存した態様で少なくとも一つの開口を通る液体の通過流を完全に又は部分的にブロックする。この目的のため、封止領域は、例えば二つのO型封止リングを含むことができ、それらは、互いに離隔され、それぞれ液密態様で通路の壁に対して圧迫する。もし弁体が、少なくとも一つの開口が二つのO型封止リングの間の通路中に開くように通路に位置されるなら、そのとき少なくとも一つの開口を通る液体の通過流はブロックされる。もし弁体を軸方向に変位する結果として、一つ以上の穴が二つのO型封止リングの上又は下の通路部分に位置されるなら、そのとき通過流は、制限された範囲で自由であるか、又は完全に自由である。
【0036】
特に好ましい実施形態では、混合装置は、ベース部分に一体化されないが、ベースユニットと交換可能ユニットの間の境界表面に形成される。この実施形態では、弁体は、ベースユニットの構成部分であることが好ましい。通路は、通路を画定する壁とともに、交換可能ユニットの構成部分であることが好ましい。逆浸透装置の各置き換えにより、弁体は、通路中に挿入される。
【0037】
通路は、浸透水収集管に結合される入口、及び浸透水のための出口に結合される出口を有することが好ましい。換言すれば、浸透水は、通路を通って流れることが好ましい。さらにより好ましくは、浸透水は、少なくとも一つの開口を通って通路中に入る塩含有水と通路中で混合される。
【0038】
さらに好ましい実施形態では、弁体は、中空円筒形を持つことができる。これらの実施形態では、前記弁体は、弁体の一端に入口を、弁体の他端に出口を有する中央通路を持つ。中央通路の出口は、濃縮水のための、ベースユニットに一体化された出口に結合されることが好ましい。あるいは、中央通路の出口は、濃縮水のための、ベースユニットに一体化された出口であることもできる。中央通路の入口は、濃縮水のための出口開口に結合されることが好ましく、特に前記出口開口中に挿入されることが好ましい。換言すれば、濃縮水は、これらの実施形態では弁体を通って流れることが好ましい。
【0039】
通路内の弁体の位置は、通路内の弁体の軸方向の変位をもたらす位置決め要素によって設定されることができることが好ましい。
【0040】
一つの好ましい実施形態では、位置決め要素は、ねじ山の上に回転自在に着座され、回転すると軸方向の変位を受ける。特に好ましくは、位置決め要素は、この場合において、軸方向の位置決め要素の変位が弁体の軸方向の変位をもたらすように弁体に結合される。
【0041】
特に好ましくは、位置決め要素は、回転可能なキャップの形である。
【0042】
代替実施形態では、通路内の弁体の位置は、通路内の弁体の回転をもたらす位置決め要素によって設定されることができる。特に好ましくは、位置決め要素は、弁体に回転結合態様で接続される。
【0043】
代替実施形態では、本発明による装置、特に位置固定された態様で設置されることができるベースユニットは、混合装置を含み、それによって逆浸透装置から出る浸透水は、濃縮水と混合されることができ、特に好ましくは調整可能な混合比率で混合されることができる。
【0044】
この混合装置は、特にベースユニット内のラインにおいて弁制御された通路を含むことができ、そのラインは、濃縮水出口及び浸透水入口を接続する。
【0045】
さらに好ましい実施形態では、本発明による装置、特に位置固定された態様で設置されることができるベースユニットは、逆浸透装置から出る、浸透水及び/又は濃縮水の通過流量を制御及び/又は調整するための調整装置を含む。特に好ましくは、濃縮水の通過流量は、逆浸透装置から出る浸透水の通過流を制御及び/又は調整する目的のために変動される。もし濃縮水の通過流量が減少されるなら、そのとき、これは、一般に浸透水のための出口を通って流れる浸透水の量の増加に自動的に導く。調整装置は、特に手動で作動可能な又は自動的に活動可能な弁であることができる。
【0046】
本発明による装置を使用することによって実現される逆浸透法によって塩含有水を処理するための各方法は、本発明によって包含される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、本発明による装置の好ましい実施形態の概略横断面を示す。
図2図2は、本発明による装置の別の好ましい実施形態の概略横断面を示す。
図3A図3Aは、本発明による装置のさらに別の好ましい実施形態の概略横断面を示す。
図3B-3E】図3B−3Eは、図3AのZ部分の拡大詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明のさらなる特徴及び利点は、本発明による装置の多数の好ましい実施形態の以下の記載から明らかであるだろう。
【0049】
図1では、本発明による装置100の好ましい実施形態の概略横断面図がある。これは、位置固定された態様で設置されたベースユニット101、及び交換可能ユニット102としての逆浸透装置を含む。逆浸透装置は、プラスチックから構成される圧力ハウジング103を有し、それは、下部103aと上部103bを有する。圧力ハウジング103では、円筒形巻き104の形で逆浸透膜が配置され、それは、第一端側104aと第二端側104bを有する。浸透水収集管105は、巻きの中心に位置される。
【0050】
巻き104は、アダプター106を介して上部103bに結合される。アダプター106は、逆浸透装置102中に入る水、及び逆浸透装置102から出る浸透水及び濃縮水のための入口及び出口、特に入口開口107、出口開口108、及び出口開口109を与える。さらに、アダプターは、入口通路107a及び出口通路108a及び109aを与え、その通路108aは、出口開口108を浸透水収集管105に接続し、一方逆浸透装置で形成された濃縮水は、出口通路109を介して出口開口109に供給される。
【0051】
交換可能ユニット102は、ねじ込みによってベースユニット101に接続される。この目的のため、ベースユニット101は、内ねじ110を有し、交換可能ユニット102は、外ねじ111を有する。出口開口108及び109の領域では、封止112及び114は、ベースユニット101と交換可能ユニット102の間に位置される。ねじ110又は111の領域にはさらなる封止113がある。
【0052】
ベースユニット101は、交換可能ユニット102で処理される塩含有水のための入口115、交換可能ユニット102で形成される浸透水のための出口116、及び交換可能ユニット102で形成される濃縮水のための出口117を含む。もし示されるように、交換可能ユニット102がベースユニット101にねじ込まれるなら、そのとき入口115は、入口開口107に結合され、出口116は、出口開口108に結合され、出口117は、出口開口109に結合される。
【0053】
ベースユニット101はまた、混合装置118及び/又は123、及びもし適切なら調整装置119を含むことができる。混合装置118によって、逆浸透装置102から出る浸透水は、入口115を介してベースユニット101中に入る塩含有水と混合されることができる。混合装置123によって、逆浸透装置102から出る浸透水は、濃縮水と混合されることができる。調整装置119によって、逆浸透装置102から出る濃縮水の通過流量、及び従って間接的に逆浸透装置102中の浸透水の形成が調整されることができる。
【0054】
装置100の内側の、処理される水、又は形成された浸透水及び濃縮水の流れ方向は、矢印によって示される。操作中、塩含有水は、入口115を介してベースユニット101中に入る。そこから、水は、入口開口107を介して逆浸透装置102中に供給される。その中で、前記水は、入口通路107aを介して、そして円筒形巻き104のケース121と圧力容器の内壁122の間の間隙を介して第二端側104bに流れ、次いで巻きを通って軸方向に第一端側104aの方向に流れ、そこで浸透水及び濃縮水の形成が起こる。浸透水が浸透水収集管105を介して除かれると、濃縮水は、円筒形巻き104の第一端側104aから出る。浸透水収集管105からの浸透水は、上方に通路108aを通って出口開口108を介してベースユニット101中に入ることができる。ここで、前記浸透水は、環状キャビティ120中に移動する。環状キャビティ120は、ベースユニット101及び交換可能ユニット102によって包囲される。そこから、前記浸透水は、出口116に供給される。円筒形巻き104の第一端側104aから出る濃縮水は、出口通路109aを介して出口開口109に流れ、それは、ベースユニット101中に開口する。そこで、それは、出口117に供給される。出口117から出る濃縮水の量は、調整装置119(それは一般に弁である)によって調整されることができる。
【0055】
図2では、本発明による装置200の好ましい実施形態の概略横断面図がある。これは、位置固定された態様で設置されたベースユニット201、及び交換可能ユニット202としての逆浸透装置を含む。逆浸透装置は、プラスチックから構成される圧力ハウジング203を有し、それは、下部203aと上部203bを有する。圧力ハウジング203では、円筒形巻き204の形で逆浸透膜が配置され、それは、第一端側204aと第二端側204bを有する。浸透水収集管205は、巻きの中心に位置される。
【0056】
巻き204は、アダプター206を介して上部203bに結合される。アダプター206は、逆浸透装置202中に入る水、及び逆浸透装置202から出る浸透水及び濃縮水のための入口及び出口、特に入口開口207、出口開口208、及び出口開口209を与える。さらに、アダプターは、出口通路208a及び209aを与え、その通路208aは、出口開口208を浸透水収集管205に接続し、一方逆浸透装置で形成された濃縮水は、出口通路209aを介して出口開口209に供給される。
【0057】
交換可能ユニット202は、ねじ込みによってベースユニット201に接続される。この目的のため、ベースユニット201は、内ねじ210を有し、交換可能ユニット202は、外ねじ211を有する。出口開口208及び209の領域では、封止212及び214は、ベースユニット201と交換可能ユニット202の間に位置される。ねじ210又は211の領域にはさらなる封止213がある。
【0058】
ベースユニット201は、交換可能ユニット202で処理される塩含有水のための入口215、交換可能ユニット202で形成される浸透水のための出口216、及び交換可能ユニット202で形成される濃縮水のための出口217を含む。もし示されるように、交換可能ユニット202がベースユニット201にねじ込まれるなら、そのとき入口215は、入口開口207に結合され、出口216は、出口開口208に結合され、出口217は、出口開口209に結合される。
【0059】
ベースユニット201はまた、混合装置218及び/又は224、及びもし適切なら調整装置219を含むことができる。混合装置218によって、逆浸透装置202から出る浸透水は、入口215を介してベースユニット201中に入る塩含有水と混合されることができる。混合装置224によって、逆浸透装置202から出る浸透水は、濃縮水と混合されることができる。調整装置219によって、逆浸透装置202から出る濃縮水の通過流量、及び従って間接的に逆浸透装置202中の浸透水の形成が調整されることができる。
【0060】
装置200の内側の、処理される水、又は形成された浸透水及び濃縮水の流れ方向は、矢印によって示される。操作中、塩含有水は、入口215を介してベースユニット201中に入り、その中で、次いで環状キャビティ220中に入る。環状キャビティ220は、ベースユニット201及び交換可能ユニット202によって包囲される。そこから、水は、入口開口207を介して逆浸透装置202中に供給される。その中で、前記水は、第一端側204aに流れ、次いで巻きを通って軸方向に第二端側204bの方向に流れ、そこで浸透水及び濃縮水の形成が起こる。浸透水が浸透水収集管205を介して除かれると、濃縮水は、円筒形巻き204の第二端側204bから出る。浸透水収集管205からの浸透水は、上方に通路208aを通って出口開口208を介してベースユニット201中に入ることができる。そこで、前記浸透水は、出口216に供給される。円筒形巻き204の第二端側204bから出る濃縮水は、円筒状巻き204のケース221と圧力容器の内壁222の間の間隙を介してアダプター206中の通路209aに入り、その通路は、出口開口209を介してベースユニット201中に開口する。そこで、それは、出口217に供給される。出口217から出る濃縮水の量は、調整装置219によって調整されることができる。
【0061】
図3Aには、本発明による装置300の好ましい実施形態の概略横断面図がある。図面は、主に混合装置318を含む本発明による装置の一例として役立ち、混合装置318によって浸透水は、塩含有水と混合されることができ、ベースユニット301と交換可能ユニット302として形成された逆浸透装置の間の境界表面で形成される。結果として、交換可能ユニット302のうち、アダプター306を含む上部だけが示されている。
【0062】
示されたベースユニット301は、交換可能ユニット302で処理される塩含有水のための入口315、交換可能ユニット302で形成される浸透水のための出口316、及び交換可能ユニット302で形成される濃縮水のための出口317を含む。
【0063】
混合装置318は、通路308aを含み、それは、壁306aによって画定される。通路308aは、通路を画定する壁306aとともに、交換可能ユニット302の構成部分である。
【0064】
交換可能ユニット302で形成された浸透水は、通路308aを通って流れる。この目的のため、通路は、浸透水収集管305に結合される入口、及び浸透水のための出口316に結合される出口を有する。入口及び出口はともに、示された断面では見ることはできないが、混合装置318の機能の理解のために必要ではない。
【0065】
対照的に、開口323a、323b、及び323cは、混合装置318の機能のために必須である。前記開口によって、入口315を介してベースユニット301中に入る塩含有水は、通路308中に供給され、浸透水と混合されることができる。入口315から続く塩含有水の流路は、開口323a、323b及び323cまで示された断面では連続して見ることができないが、これもまた、混合装置の機能の理解のために必要でない。
【0066】
開口323b及び323cは、同一横断面を有する孔である。開口323aは、断面積が開口323b及び323cの断面積より多数倍大きい細長い穴である。三つの開口は、軸方向に配向された線に沿って配置される。
【0067】
壁306aによって画定される通路308aは、実質的にその全長さにわたって円筒形を持つことが好ましい。弁体324は、通路308a内に配置される。前記弁体は、通路308a内で軸方向に変位可能な態様で装着される。
【0068】
弁体324は、ベースユニットの構成部分である。
【0069】
弁体324は、封止領域327を有し、封止領域327は、O型封止リング325及び326によって画定され、かつ弁体の位置に依存した態様で開口323a、323b及び323cを通る塩含有水の通過流を完全に又は部分的にブロックすることができる。O型封止リング325及び326は、それぞれ液密態様で通路308aの壁306aに対して圧迫する。示された位置決めの場合には、全ての三つの開口323a、323b及び323cは、封止領域327内で通路中に開口する。それゆえ、開口323a、323b及び323cを通る塩含有水の通過流は、ブロックされる。
【0070】
しかしながら、もし通路308a中の弁体324が、開口323a、323b及び323cの一つ以上が二つのO型封止リンング325及び326の下の通路部分において通路中に開口するように上方向に軸方向に変位されるなら、そのとき通過流は、制限された範囲で自由であるか、又は完全に自由である。
【0071】
示された弁体324は、中空円筒形を有する。それは、弁体324の一端で入口329を、弁体324の他端で出口を有する中央通路328を持つ。中央通路328の出口は、濃縮水のための上述の出口317である。中央通路328の入口329は、濃縮水のための出口開口309中に挿入される。濃縮物は、流入路330を介して通路328中に供給される。濃縮物は、次いで弁体324を通って除かれる。
【0072】
通路308a内の弁体324の位置は、位置決め要素331によって設定されることができ、それは、ねじ山332に回転自在に着座される。位置決め要素331の回転は、必ず通路内の弁体324の軸方向の変位に導く。なぜなら位置決め要素331及び弁体324は、互いに固定接続されるからである。本ケースでは、位置決め要素331は、回転可能なキャップの形であり、それは、ベースユニット301の上側のための保護を与える。
【0073】
図3Aからの詳細Zは、図3Bで拡大して示される。ここで、弁体324は、ブロック位置である。
【0074】
図3Cは、弁体324が部分的通過に切り替えられる場合の詳細Zを示す。塩含有水は、孔323cを通って通路308a中に入り、そこで浸透水と混合することができる。混合比率は、特に孔323cの横断面積によって決定される。孔323b及び細長い穴323aは、ブロックされる。
【0075】
図3Dは、弁体324が部分的通過に切り替えられる別の場合の詳細Zを示す。これらの別の場合では、塩含有水は、孔323b及び323cを通って通路308a中に入ることができる。細長い穴323aは、ブロックされる。
【0076】
図3Eは、弁体324が完全な通過に切り替えられる場合の詳細Zを示す。これらの場合では、塩含有水は、孔323b及び323cを通って及び細長い穴323aを通って通路308a中に入ることができる。もし孔323b及び323c及び細長い穴323aが十分に大きい横断面積を有するなら、入口315に入る塩含有水は、逆浸透装置302を過ぎて完全に案内されることが可能である(バイパス切り替え)。これは、例えばもし逆浸透装置302の膜が不純物で詰まり、それがブロックするなら必要であるかもしれない。
図1
図2
図3A
図3B-3E】