(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複合型二次元バーコード生成装置であって、二次元バーコード符号化用手段(1)、二次元バーコードパターン生成手段(2)、隠し情報符号化用手段(3)、再符号化区域設定手段(5)、パターン合成手段(6)、を備え、
前記二次元バーコード符号化用手段(1)は、二次元バーコード用情報に基づき、二次元バーコード符号化用情報を生成し、
前記二次元バーコードパターン生成手段(2)は、二次元バーコード符号化用情報に基づき、二次元バーコードパターンを生成し、
前記隠し情報符号化用手段(3)は、隠し情報に基づいて、再符号化用情報を生成し、
前記再符号化区域設定手段(5)は、二次元バーコードパターンにおいて、隠し情報を格納するための再符号化区域を設定し、
前記パターン合成手段(6)は、再符号化用情報に基づいて、二次元バーコードパターン(W)における再符号化区域(Q)内のセル分布を調整し、前記隠し情報を二次元バーコードパターンに格納することにより、複合型二次元バーコードを生成し、
前記二次元バーコード符号化用手段(1)は、前記二次元バーコード符号化用情報として、前記二次元バーコード用情報と再符号化区域の設定情報とを組み合わせた組合せ情報を生成し、前記二次元バーコードパターン生成手段(2)は、当該組合せ情報に基づき前記二次元バーコードパターンを生成し、前記二次元バーコードパターンに前記二次元バーコード用情報のほか、再符号化区域の設定情報を含ませたことを特徴とする複合型二次元バーコード生成装置。
マスク処理手段(8)をさらに備え、前記マスク処理手段(8)は、前記パターン合成手段(6)により、前記二次元バーコードパターンに隠し情報を格納したのち、マスク処理を行って、前記複合型二次元バーコードを生成することを特徴とする請求項2記載の複合型二次元バーコード生成装置。
前記隠し情報符号化用手段(3)は、生成した再符号化用情報に誤り訂正用ビットを加え、隠し情報に誤り訂正機能を持たせたことを特徴とする請求項2または3記載の複合型二次元バーコード生成装置。
隠し情報パターン生成手段(4)をさらに備え、前記隠し情報パターン生成手段(4)は、前記再符号化区域の形状、含まれるセル数に対応した隠し情報パターンを生成し、前記隠し情報パターンにおけるセルの分布は、前記再符号化用情報に対応したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の複合型二次元バーコード生成装置。
ステップ7(S8)をさらに有し、ステップ 7(S8)は、複合型二次元バーコードについて、誤りが誤り訂正レベルより小さいか否かを確認し、誤りが誤り訂正レベル以上である場合は、複合型二次元バーコードの誤り訂正レベルを再設定する、または再符号化区域(Q)の位置または大きさを調整することを特徴とする請求項8記載の複合型二次元バーコード生成方法。
前記ステップ5(S6)、ステップ6(S7)の代わりにステップ6aを用い、ステップ6aは、再符号化用情報から順次にビット情報を読取り、再符号化区域の対応セルの値と比較して、値が一致しないセルについて、色を反転させることにより、隠し情報を二次元バーコードに格納した複合型二次元バーコードを生成すること特徴とする請求項9記載の複合型二次元バーコード生成方法。
ステップ4(S5)は、再符号化用情報を生成するに当たり、隠し情報に誤り訂正用ビットを加え、隠し情報に誤り訂正機能を持たせることを特徴とする請求項10記載の複合型二次元バーコード生成方法。
ステップ3(S4)は、生成された二次元バーコードパターン(W)において、複数の前記再符号化区域(Q)を設定することを特徴とする請求項8または11記載の複合型二次元バーコード生成方法。
複合型二次元バーコード読取装置であって、二次元バーコード図形取得手段(11)、二次元バーコード復号手段(12)、再符号化区域確定手段(13)、隠し情報復号手段(14)を有し、
複合型二次元バーコードは、二次元バーコード用情報と隠し情報とを有し、前記隠し情報は、二次元バーコードにおける一部のセルを再符号化することにより複合型二次元バーコードパターンに格納されたものとし、
前記二次元バーコード図形取得手段(11)は、前記複合型二次元バーコードパターンを取得し、
前記二次元バーコード復号手段(12)は、取得した前記複合型二次元バーコードパターンについて復号を行って、二次元バーコード用情報を得、
前記再符号化区域確定手段(13)は、事前の取り決めで前記複合型二次元バーコードパターンにおける再符号化区域の位置を決定し、
前記隠し情報復号手段(14)は、前記再符号化区域について復号を行うことにより、前記隠し情報を得、
前記複合型二次元バーコードは、二次元バーコード用情報に再符号化区域の設定情報が含まれるものとし、
前記再符号化区域確定手段(13)は、二次元バーコード用情報内に含まれる前記設定情報に基づいて、複合型二次元バーコードパターンにおける再符号化区域の位置を確定することを特徴とする複合型二次元バーコード読取装置。
【背景技術】
【0002】
二次元バーコードが広く使用されており、特にスマートフォンを用いてバーコードをスキャンして、ウェブサイトに接続したり、バーコードをスキャンして決済を行うなどのことが普及した。ところで、二次元バーコードの符号化と復号の技術はすでに公開されており、二次元バーコード生成ソフトウェアやウェブサイトを利用すれば、だれでも二次元バーコードを作成可能である。このため、バーコードをスキャンし、ウェブサイトへの接続や決済において、安全性の問題が大きな課題となっている。二次元バーコードの安全性の向上は、二次元バーコードの分野において解決すべき喫緊の課題となっている。
【0003】
特許文献1(中国特許公開番号:CN102184380)において、色からなる情報が加えられる二次元バーコードが開示されている。その技術的思想は、通常の二次元バーコードの上に色層を加え、色層は、異なる色のセルの組み合わせで構成され、隠し情報とした。隠し情報は暗号化もされており、復号化するには秘密キーが必要である。二次元バーコードを読み取るとき、隠し情報が同時に読み取られ、復号した隠し情報で二次元バーコードの正真性を検証する。
【0004】
特許文献2(中国特許公開番号:CN102902997A)において、マルチ符号化の二次元バーコードが開示されている。ここでは、二次元バーコードに格納する情報の一部について暗号化処理をし、この暗号化した情報の複合には秘密キーが必要である。読み取る時には、秘密キーにより暗号化情報を解読できて初めて完全の情報が得られるようにした。
【0005】
特許文献3(中国特許公開番号:CN104392260A)において、 付加情報による二次元バーコードの偽造防止方法が開示されている。その技術的な思想は、標準的な二次元バーコードに隠しドットを加えて、二次元バーコードについて一部のセルの色を変え、二次元バーコードのパターンを変化させ、標準の二次元バーコードパターンと異なる二次元バーコードを生成する。標準の二次元バーコードの図形および隠しドットの位置をサーバーに予め格納し、隠しドットの位置を確認することにより二次元バーコードの正真性を判別する。
【0006】
しかしながら、上記従来の方法は、従来の二次元バーコードについて、別の情報または隠しドットを設け、それらを確認することにより、二次元バーコード用情報の正真性を検証し、偽造防止するようにしているが、別の情報または隠しドットの読み取りが容易であるため、二次元バーコードが複製しやすいという問題は依然として存在する。
【0007】
例えば、特許文献1では、色の隠し情報は、内容が暗号化されているが、符号化の規則が分かれば、読み取ったビットストリームを用いることで、同じ色層を複製することができ、情報自体を復号化する必要はない。また、色層は視認できるために、色層の情報について解析を行うことにより、符号化の規則を解読することが容易である。さらに、色層が追加したことで、二次元バーコードの制作コストが大幅に増加する問題があった。
【0008】
特許文献2では、二次元バーコードの情報について、一部を暗号化したとはいえ、読み取ったビットストリームを用いて、既存の二次元バーコード生成ツールにより、全く同じ二次元バーコードを複製することができる。また、二次元バーコード上にカバー層を設け、カバー層に秘密情報を格納することは、二次元バーコードの作成が複雑化する問題があった。
【0009】
特許文献3では、隠しドットについて位置情報を有するが、ドット自身、情報を持たないため、読み取った情報を用いて、複製二次元バーコードを作成し、元の二次元バーコードの図形とを比較することにより、隠しドットの位置を判別できるため、隠しドットを設置することにより、全く同じ二次元バーコードを作成することができる。そして隠しドットが位置情報のみを有するため、一旦隠しドットが汚損されると、二次元バーコードの真偽を判別することができず、信頼性が低いという問題があった。
【0010】
なお、二次元バーコードは、物流追跡管理、企業のマーケティング活動にも広く使用されているが、従来のように1つの商品やパッケージに用途の異なるバーコードを印刷するようでは、ユーザーに混乱をもたらすだけでなく、紙やインクが無駄に使われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決し、マルチ情報に格納することにより、複製が困難な二次元バーコードの生成、読取方法および装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、複合型二次元バーコード生成装置であって、二次元バーコード符号化用手段(1)、二次元バーコードパターン生成手段(2)、隠し情報符号化用手段(3)、再符号化区域設定手段(5)、パターン合成手段(6)
、を備え、
前記二次元バーコード符号化用手段(1)は、二次元バーコード用情報に基づき、二次元バーコード符号化用情報を生成し、
前記二次元バーコードパターン生成手段(2)は、二次元バーコード符号化用情報に基づき、二次元バーコードパターンを生成し、
前記隠し情報符号化用手段(3)は、隠し情報に基づいて、再符号化用情報を生成し、
前記再符号化区域設定手段(5)は、二次元バーコードパターンにおいて、隠し情報を格納するための再符号化区域を設定し、
前記パターン合成手段(6)は、再符号化用情報に基づいて、二次元バーコードパターン(W)における再符号化区域(Q)内のセル分布を調整し、前記隠し情報を二次元バーコードパターンに格納することにより、前記複合型二次元バーコードを生成するものである。
【0013】
第2の発明は、第1の発明に基づき、出力手段(7)を備え、前記出力手段(7)は、前記複合型二次元バーコードを出力する前に、前記二次元バーコードの誤りが誤り訂正レベル以下または誤り訂正残量があることを確認するものである。
【0014】
第3の発明は、第2の発明に基づき、マスク処理手段(8)をさらに備え、前記マスク処理手段(8)は、前記パターン合成手段(6)により、前記二次元バーコードパターンに隠し情報を格納したのち、マスク処理を行って、前記複合型二次元バーコードを生成するものである。
【0015】
第4の発明は、第3の発明に基づき、前記隠し情報符号化用手段(3)は、生成した再符号化用情報に誤り訂正用ビットを加え、隠し情報に誤り訂正機能を持たせたものである。
【0016】
第5の発明は、第4の発明に基づき、前記再符号化区域設定手段(5)は、複数の再符号化区域を設定するものである。
【0017】
第6の発明は、第5の発明に基づき、前記二次元バーコード符号化用手段(1)は、前記二次元バーコード符号化用情報を生成するに当たり、前記二次元バーコード用情報と再符号化区域の設定情報とを組み合わせた組合せ情報を生成し、当該組み合わせ情報から前記二次元バーコード符号化用情報を生成するものである。
【0018】
第7の発明は、第1ないし6のいずれかの発明に基づき、隠し情報パターン生成手段(4)をさらに備え、前記隠し情報パターン生成手段(4)は、前記再符号化区域の形状、含まれるセル数に対応した隠し情報パターンを生成し、 前記隠し情報パターンにおけるセルの分布は、前記再符号化用情報に対応したものである。
【0019】
第8の発明は、複合型二次元バーコード生成方法であって、以下のステップを有し、
ステップ1(S2)において、二次元バーコード用情報に基づいて、二次元バーコード符号化用情報を生成し、
ステップ2(S3)において、前記二次元バーコード符号化用情報に基づいて、二次元バーコードパターン(W)を生成し、
ステップ3(S4)において、生成された前記二次元バーコードパターン(W)において、再符号化区域(Q)を設定し、
ステップ4(S5)において、隠し情報に基づいて、再符号化用情報を生成し、
ステップ5(S6)において、前記再符号化区域(Q)の形状および含まれるセルに対応した隠し情報パターンを生成し、前記隠し情報パターンにおけるセル分布は前記隠し情報と対応するものとし、
ステップ6(S7)において、前記隠し情報パターンに対応して、前記再符号化区域(Q)における濃い色セルと淡い色セルの分布を、前記隠し情報パターンと同じ分布になるように変化させて、前記隠し情報を前記二次元バーコードに格納したものである。
【0020】
第9の発明は、第8の発明に基づき、ステップ7(S8)をさらに有し、ステップ7(S8)は、複合型二次元バーコードについて、誤りが誤り訂正レベルより小さいか否かを確認し、誤りが誤り訂正レベル以上である場合は、二次元バーコードの誤り訂正レベルを再設定する、または再符号化区域(Q)の位置を調整するものである。
【0021】
第10の発明は、第9の発明に基づき、前記ステップ5(S6)、ステップ6(S7)の代わりにステップ6aを用い、ステップ6aは、再符号化用情報から順次にビット情報を読取り、再符号化区域の対応セルの値と比較して、値が一致しないセルについて、色を反転させることにより、隠し情報を二次元バーコードに格納した複合型二次元バーコードを生成するものである。
【0022】
第11の発明は、第10の発明に基づき、ステップ4(S5)は、再符号化用情報を生成するに当たり、隠し情報に誤り訂正用ビットを加え、隠し情報に誤り訂正機能を持たせるものである。
【0023】
第12の発明は、第11の発明に基づき、ステップ3(S4)は、生成された二次元バーコードパターン(W)において、複数の前記再符号化区域(Q)を設定する。
【0024】
第13の発明は、第7ないし第12のいずれかの発明に基づき、ステップ1(S2)は、前記二次元バーコード符号化用情報を生成するに当たり、前記二次元バーコード用情報と再符号化区域の設定情報とを組み合わせた組合せ情報を生成し、当該組み合わせ情報から前記二次元バーコード符号化用情報を生成するものである。
【0025】
第14の発明は、複合型二次元バーコード読取装置であって、二次元バーコード図形取得手段(11)、二次元バーコード復号手段(12)、再符号化区域確定手段(13)、隠し情報復号手段(14)を有し、
複合型二次元バーコードは、二次元バーコード用情報と隠し情報とを有し、前記隠し情報は、二次元バーコードにおける一部のセルを再符号化することにより格納されたものとし、
前記二次元バーコード図形取得手段(11)は、前記複合型二次元バーコードの図形を取得し、
前記二次元バーコード復号手段(12)は、取得した前記複合型二次元バーコードパターンについて復号を行って、二次元バーコード用情報を得、
前記再符号化区域確定手段(13)は、事前の取り決めで前記複合型二次元バーコードパターンにおける再符号化区域の位置を決定し、
前記隠し情報復号手段(14)は、前記再符号化区域について復号を行うことにより、前記隠し情報を得るものである。
【0026】
第15の発明は、第14の発明に基づき、前記複合型二次元バーコードは、二次元バーコード用情報に再符号化区域の設定情報が含まれるものとし、
前記再符号化区域確定手段(13)は、二次元バーコード用情報内に含まれる前記設定情報に基づいて、複合型二次元バーコードパターンにおける再符号化区域の位置を確定するものである。
【0027】
第16の発明は、複合型二次元バーコード読取方法であって、以下のステップを有し、
複合型二次元バーコードは、二次元バーコード用情報と隠し情報とを有し、前記隠し情報は、二次元バーコードの一部セルを再符号化することによって前記二次元バーコードパターンに格納されるものとし、
ステップ1(S20)において、前記複合型二次元バーコードの図形を取得し、
ステップ2(S30)において、取得した前記複合型二次元バーコードパターンについて復号を行って、二次元バーコード用情報を得、
ステップ3(S40)において、事前の取り決めで前記複合型二次元バーコードパターンにおける再符号化区域の位置を決定し、
ステップ4(S50)において、前記再符号化区域について復号を行うことにより、前記隠し情報を得るものである。
【0028】
第17の発明は、第16の発明に基づき、複合型二次元バーコードは、二次元バーコード用情報に再符号化区域を設定するための設定情報が含まれるものとし、
前記ステップ3(S40)は、復号化して得られた二次元バーコード用情報から設定情報を取得し、前記設定情報により前記複合型二次元バーコードパターンにおける再符号化区域(Q)を設定するものである。
【発明の効果】
【0029】
二次元バーコードパターン(W)には、1つまたは複数の再符号化区域(Q)を設定し、再符号化区域(Q)内のセルについて再符号化することにより、隠し情報を格納した。再符号化区域(Q)の大きさは、二次元バーコードの誤り訂正レベルに応じて設定され、二次元バーコードの復号は隠し情報の格納で影響を受けることがない。このため、二次元バーコードに格納した二次元バーコード用情報を二次元バーコード読み取り装置で読み取ることができ、汎用性が損なわれることはない。二次元バーコードにおける再符号化区域の配置位置を特定し情報を復号することにより、隠し情報を読み取ることができる。外観上、二次元バーコードの形に変化がないため、隠し情報が含まれたことを認識することができない。二次元バーコードの情報を読み込んで複製する場合は、ビットストリームに隠し情報が含まれないため、複合型二次元バーコードを複製することができない。このため、二次元バーコードの安全性が向上する。また、二次元バーコードパターンにはマルチ情報を格納できるため、二次元バーコード用情報として、例えばウェブサイトなどの公開する情報を格納することができる。この場合、スキャンして通常の読取ソフトウェアで復号することにより所定の操作を実行することができる。隠し情報については、再符号化区域の位置を識別し、復号する機能を持つ専用のソフトウェアを使用して初めて識別と復号することができるため、隠し情報を二次元バーコード生成の管理に使用でき、二次元バーコードの安全性がさらに向上する。さらに、1つのバーコードでマルチ目的の使用も可能である。例えば、二次元バーコードにウェブサイト情報を格納し、隠し情報は物流管理情報とすることで、ユーザーにはウェブインターフェースを共通にして、運用コストを削減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態において、好ましい実施形態および実施例を例示的に説明するもので、本発明の範囲を限定するものではないと理解されるべきものである。
【0032】
まず、本発明の技術的思想について説明する。
二次元バーコードは、例えばQRコード
(登録商標)のように、誤り訂正機能を備え、誤り訂正レベルの範囲内であれば、二次元バーコードパターンの一部が欠損しても、その影響を受けずに二次元バーコードを復号ができる。本発明は、二次元バーコードの誤り訂正機能を利用し、二次元バーコード内において再符号化区域を設定し、区域内のセルを予め設定した規則で再符号化し、すなわち、濃い色と淡い色のセルを再分布させることにより、二次元バーコードに隠し情報を格納でき、1つの二次元バーコードには二次元バーコード用情報と隠し情報の両方を含ませることができる。再符号化区域の数に応じて、隠し情報を複数にすることもできる。再符号化区域の大きさや位置は、二次元バーコードの誤り訂正レベルに応じて設定し、二次元バーコード全体の誤りが誤り訂正レベル以下にすることにより、セルの再符号化からの影響を受けることなく二次元バーコード用情報を復号できる。
【0033】
二次元バーコードを復号する際に、再符号化区域内の隠し情報は復号されず、すなわち、二次元バーコードの復号装置に対しては、隠し情報は隠れた情報であり、情報の中身としてはいかなるものでも可能である。例えば二次元バーコード用情報の正真性を検証するための検証情報であってもよく、商品の管理情報や物流追跡情報であってもよい。
【0034】
隠し情報の読み取りは、二次元バーコードの位置決めパターンを用いて、再符号化区域を特定し、再符号化区域について復号することにより、隠し情報を得ることができる。
【0035】
隠し情報の格納は二次元バーコードについて一部のセル分布を調整して実現したため、再符号化区域内のセルのサイズ、形状に変化がなく、外見上、二次元バーコードの形に変化が生じないため、外観だけではマルチ情報が格納された二次元バーコードであることを判別することができない。二次元バーコードの復号時には、隠し情報が復号されないため、復号して得た情報を使っても、同様の二次元バーコードを複製することができない。すなわち、隠し情報を格納することにより、二次元バーコードはマルチ情報を有したほか、隠し情報が実質的に電子透かしの役割も果たし、二次元バーコードが容易に複製できる問題が解決し、二次元バーコードの安全性が向上した。二次元バーコードとしては、QRコード
(登録商標)に限定されず、セルで構成され、誤り訂正機能を備えたいかなる形のコードも本発明を適用することができる。
【0036】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明にかかる複合型二次元バーコード生成装置のブロック図である。
図1に示すように、本発明の複合型二次元バーコード生成装置は、二次元バーコード符号化用手段1、二次元バーコードパターン生成手段2、隠し情報符号化用手段3、隠し情報パターン生成手段4、再符号化区域設定手段5、パターン合成手段6、出力手段7を含む。
【0037】
二次元バーコード符号化用手段1と二次元バーコードパターン生成手段2とが接続され、隠し情報符号化用手段3と隠し情報パターン生成手段4とが接続され、二次元バーコードパターン生成手段2、隠し情報パターン生成手段4、再符号化区域設定手段5がパターン合成手段6と接続され、パターン合成手段6と出力手段7とが接続される。
【0038】
二次元バーコード符号化用手段1は、入力される二次元バーコード用情報を二進法のビットストリーム(ビット列)に変換し、ビットストリームには誤り訂正用ビットが追加され、二次元バーコード符号化用情報を生成する。二次元バーコードの誤り訂正レベルは、手動または格納された隠し情報の情報量に応じて自動的に設定する。生成した二次元バーコード符号化用情報は、二次元バーコードパターン生成手段2に入力される。
【0039】
二次元バーコードパターン生成手段2は、二次元バーコード符号化用情報に基づき、二次元バーコードの仕様にしたがって二次元バーコードパターンを生成する。二次元バーコードの仕様は、手動または二次元バーコード符号化用情報の情報量によって自動的に設定される。二次元バーコードパターンはパターン合成手段6へ入力される。
【0040】
隠し情報符号化用手段3は、隠し情報を二進法のビットストリームに変換し、再符号化用情報を生成する。再符号化用情報は隠し情報パターン生成手段4に出力される。本実施形態では、ビットストリームには誤り訂正用ビットが追加されており、隠し情報に対し、誤り訂正機能を持たせている。誤り訂正レベルは二次元バーコードの誤り訂正レベルと同じである。誤り訂正は必須のものでなく、必要に応じて選択して使用することが可能である。隠し情報の誤り訂正レベルについては、二次元バーコードのそれと異なるものを選択してもよい。
【0041】
再符号化区域設定手段5は、二次元バーコードパターン内において隠し情報を格納するための再符号化区域を設定するための、再符号化区域の形状、区域内のセル数、および基準位置に関連した設定情報を生成する。設定情報はパターン合成手段6に出力される。
【0042】
図2は、再符号化区域の設定の説明図である。
図2に示すように、二次元バーコードWの右下隅を座標原点Oとし、再符号化区域Qの基準点oは座標原点Oに位置している。再符号化区域Qは、7*7セルを含む正方形の区域である。二次元バーコードWにある3つの位置検出パターンdとX軸およびY座標軸上のセル数とによって、二次元バーコードWにおける再符号化区域Q及びその区域内のセルの位置が確定される。
【0043】
隠し情報パターン生成手段4は、再符号化用情報に従って、濃い色セルおよび淡い色セルからなる隠し情報パターンを生成する。本実施例では、隠し情報パターンの形状とセル数は、再符号化区域のそれと同じであり、その大きさは、再符号化区域と異なるものとすることができる。隠し情報パターンはパターン合成手段6に入力される。
【0044】
パターン合成手段6は、設定情報に従って、二次元バーコードWにおいて再符号化区域を設定するとともに、隠し情報パターンと同じように、再符号化区域Q内のセルの分布を調整することにより、隠し情報を再符号化区域Q内に格納する。隠し情報を含む二次元バーコードを複合型二次元バーコートとして出力手段に入力される。
【0045】
図3は、再符号化区域に隠し情報を格納した二次元バーコードのパターンである。
図2と比較すると、
図3の再符号化区域Q1内のセル分布は変更されたのみで、その他は変化がない。
【0046】
出力手段7は、複合型二次元バーコードの出力に用いられる。出力する前に、二次元バーコードが復号できること、または誤り訂正残量を有することを確実にするため、二次元バーコードについて復号できること、または誤り訂正残量があることを確認する。確認する方法としては、二次元バーコード読取装置を用いて複合型二次元バーコードを実際に復号できるか否かで確認することができる。復号できない場合は、二次元バーコード全体の誤りが誤り訂正レベルより大きいことになるため、誤り訂正レベルを上げたり、再符号化区域の大きさや位置を調整したりして、二次元バーコード全体の誤りを誤り訂正レベルより小さくする。出力手段7は復号の確認できた複合型二次元バーコードを
出力し、保存、印刷などに供する。
【0047】
以下、
図1の複合型二次元バーコード生成装置を用いて、複合型二次元バーコードの生成方法について説明する。
図4は、複合型二次元バーコードを生成するためのフローチャートである。
ステップS1において、初期設定を行う。初期設定においては、二次元バーコードの誤り訂正レベル、二次元バーコードの仕様を設定
する。
【0048】
ステップS2において、二次元バーコード符号化用手段1は二次元バーコード用情報と誤り訂正レベルとにより、二次元バーコード符号化用情報を生成する。
ステップS3において、二次元バーコードパターン生成手段2は、二次元バーコード符号化用情報と二次元バーコード仕様に基づいて二次元バーコードパターンを生成する。
【0049】
ステップS4において、再符号化区域設定手段5は設定情報を生成する。設定情報は再符号化区域Qの形状、含まれるセルの数、再符号化区域の位置座標基準oの情報を含む。再符号化区域Qは、
図2に示すように二次元バーコードのデータ領域に設定することが好ましい。QRコード
(登録商標)の場合は、位置決めパターンdを避け、コード内の任意の位置に設定することができる。
【0050】
ステップS5において、隠し情報符号化用手段3が隠し情報を二進法のビットストリーム(ビット列)に変換し、設定された誤り訂正レベルに従ってビットストリームに誤り訂正用のビットを加えて再符号化用情報を生成する。
ステップS6において、隠し情報パターン生成手段4は、再符号化用情報に基づき、再符号化区域Qと同じ形状で、濃い色と淡い色のセルで構成される隠し情報パターンを生成する。
【0051】
ステップS7において、パターン合成手段6は再符号化区域Qについて、濃い色セルと淡い色セルの分布を隠し情報パターンと同じように調整して隠し情報を二次元バーコードに格納する。
【0052】
ステップS8において、出力手段7は、隠し情報が格納した二次元バーコード全体の誤りが誤り訂正レベルより小さいかを確認する。そして誤りが誤り訂正レベルより小さい場合は、ステップS8において、複合型二次元バーコードを出力し、保存、発送、または印刷を行う。誤りが誤り訂正レベルよりも大きい場合には、ステップS1に戻り、二次元バーコードの誤り訂正レベルを再設定する。設定情報を調整できる場合は、複合型二次元バーコード全体の誤りが誤り訂正レベル以下になるように再符号化区域Qの位置や形状を調整する。
【0053】
以下に、本発明の複合型二次元バーコードの読取装置について説明する。
図5は、本発明の複合型二次元バーコードの読取装置のブロック図である。
図5に示すように、本発明の複合型二次元バーコード読取装置は、二次元バーコード図形取得手段11、二次元バーコード復号手段12、再符号化区域確定手段13、隠し情報復号手段14を備える。
【0054】
二次元バーコード図形取得手段11が二次元バーコード復号手段12、再符号化区域確定手段13と接続される。再符号化区域確定手段13と、隠し情報復号手段14が接続される。
二次元バーコード図形取得手段11は、複合型二次元バーコード画像を得るためのもので、光学的および非光学である電子的方法が用いられる。得られた複合型二次元バーコード画像が二次元バーコード復号手段12、再符号化区域確定手段13に入力される。
【0055】
二次元バーコード復号手段12は、複合型二次元バーコード全体を対象として復号を行って、二次元バーコード用情報を取得する。復号するとき、再符号化区域Q内のセルを含む、誤りを引き起こした全てのセル情報は誤り訂正によって自動的に補正されるので、情報の欠損または誤りはない。
【0056】
再符号化区域確定手段13
図2に示すように二次元バーコードWの3つの位置決めパターンdに基づき座標原点Oを確定し、座標原点Oを基準として、設定時と同じ設定情報を用いて再符号化区域Qを確定する。ここで、再符号化区域Qを決定するための設定情報は予め決められている。
隠し情報復号手段14は、再符号化区域Q内のセルについて復号を行うことにより隠し情報を得る。
【0057】
以下、
図5の読取装置を用いて、複合型二次元バーコードの読取方法を説明する。
図6は、複合型二次元バーコードの読み取りフローチャートである。
ステップS20において、二次元バーコード図形取得手段11は、複合型二次元バーコード画像を取得し、取得した複合型二次元バーコード画像は二次元バーコード復号手段12および再符号化区域確定手段13に入力される。
【0058】
ステップS30において、二次元バーコード復号手段12は、複合型二次元バーコード全体について復号を行い、二次元バーコード用情報を得る。復号するとき、再符号化区域Q内のセルを含む、誤りを引き起こす全てセルの情報は誤り訂正によって自動的に補正され、情報の欠損または誤りはない。
【0059】
ステップS40において、再符号化区域確定手段13は、複合型二次元バーコードにおいて、再符号化区域Qを確定する。
ステップS50において、隠し情報復号手段14は、再符号化区域Qにおけるセル分布から隠し情報を復号して得る。
【0060】
以上のように、複合型二次元バーコードの生成、読取装置およびその生成について説明した。隠し情報は二次元バーコード内の一部セルの分布を調整することによって格納されるため、外観上、二次元バーコードの形状に変化が現れない。従来の二次元バーコード復号装置を用いては、二次元バーコード用情報しか取得できないため、復号した情報を用いて、二次元バーコードを作成しようとしても、二次元バーコードにある隠し情報を得ることができず、つまり、隠し情報は同時にデジタル透かしの役割を果たしたので、二次元バーコードが容易に複製されるという問題が解決し、二次元バーコードの安全性が向上した。
【0061】
また、1つの二次元バーコードにマルチ情報を格納することができるため、隠し情報を用いて、偽造防止を行うことができるほか、「1つのバーコードをマルチ目的での使用」を行うことができ、1つの商品やパッケージに多数のバーコードを印刷あるいは貼り付けによるバーコードの混乱問題が解決し、紙やインクなどのコストを節約することができる。
以下、
実施例について説明する。
【0062】
実施例1
上記の説明では、隠し情報パターンの形状は、再符号化区域Qと同じであり、隠し情報パターンと再符号化区域Qとで、それぞれのセルが対応し、この対応する関係を以て、再符号化区域Q内のセル分布を隠し情報パターンと同じように変える。
実施例1においては、再符号化用情報のビットストリームを用いて、隠し情報を直接に二次元バーコードWの再符号化区域に格納する。
【0063】
図7は、隠し情報のビットストリームに従って、隠し情報を二次元バーコードに格納するフローチャートである。
ステップS71において、再符号化区域Qにおけるセルの総数Tを決定する。
ステップS72において、カウンタをインクリメントしてS=S+1を演算する。初期では、S=0。
ステップS73において、ビットストリームから順次にビットの値を読み取る。
【0064】
ステップS74において、ビットストリームのビット値と、再符号化区域Qにおける対応するセルの値とを比較する。ここで濃いセルの値を1とし、淡い色セルの値を0とする。
【0065】
ステップS75において、比較の結果、一致した場合は、ステップS77に進み、一致しなかった場合には、ステップS76に進み、セルの色を反転させ、濃い色セルを淡い色セルに、淡い色セルを濃い色セルに調整する。
【0066】
ステップS77において、カウンタのカウント値SがT以上であるかを確認し、T以上でない場合は、ステップS72に戻り、カウント値SがT以上になるまで上記のステップを繰り返す。ビットストリームについて各ビットの比較が完了したら、処理を終了する。
【0067】
実施例では、再符号化区域Qの形状に応じて隠し情報パターンを設定することなく、隠し情報を二次元バーコードに格納するができるため、隠し情報パターン生成手段4を省き構造をより単純化することができる。
【0068】
実施例2
以上の説明では、再符号化区域Qの設定は、生成時の設定と読取時の設定が個別に行うため、設定した2つの領域が同じであって初めて、隠し情報を正しく読み取りできる。すなわち、その位置、形状およびセルの数は事前に決めておく必要があり、生成時にはそれを自由に変更することができない。
実施例2は、再符号化区域Qの設定を変更できるものである。
【0069】
複合型二次元バーコード生成装置においては、再符号化区域設定手段5と二次元バーコード符号化用手段1が接続され(
図1では点線)、再符号化区域設定手段5は再符号化区域Qを設定するとき、再符号化区域Qの形状、位置およびセル数を含む設定情報を二次元バーコード符号化用手段1に入力し、二次元バーコード符号化用手段1は、それを二次元バーコード用情報とを組み合わせて、二次元バーコード符号化用情報を生成する。設定情報の首尾に特殊文字を付して標記とする。
【0070】
二次元バーコード読取装置では、二次元バーコード復号手段12と再符号化区域確定手段13が接続され (
図5では点線)、二次元バーコード復号手段12は復号により得た設定情報を再符号化区域確定手段13に出力する。再符号化区域確定手段13は、設定情報にしたがって、再符号化区域Qを設定する。このため、複合型二次元バーコード読取装置としては事前に約束することなく、再符号化区域Qを正しく設定することができる。
【0071】
二次元バーコード復号手段12は、復号するとき、特殊文字を検出することによって設定情報を判別し、それを表示しない処理を行う。
実施例では、再符号化区域Qの形状や位置を任意に設定できるので、それぞれの二次元バーコードに異なる再符号化区域の位置や形状を設定することができ、これにより、再符号化区域Q位置を見つけることが困難になり、クラッキングためのアルゴリズムの構築がより困難になり、二次元バーコードの安全性がさらに向上する。
【0072】
実施例3
図8は、複合型二次元バーコード生成装置の
実施例である。
図1とは、マスク処理手段8を追加した点で相違である。パターン合成手段6は、マスク処理手段8を介して出力手段7に接続される。
【0073】
二次元バーコードパターン生成手段2は、二次元バーコードの生成において、マスク処理を行わなくてもよい。パターン合成手段6は、隠し情報が二次元バーコードWに格納された後、マスク処理手段8においてマスク処理が行われる。このため、再符号化区域もマスク処理が施され、濃い色セルと淡色セルの分布が均等になり、隠し情報の抗汚損能力が向上するとともに、隠し情報を格納した痕跡が消え、安全性がさらに向上する。
【0074】
実施例4
図10は、再符号化区域における
実施例である。
図2、3、9では、再符号化区域は正方形区域である。これに対して
図10の
実施例では、二次元バーコードW2における再符号化区域Q2は7*14セルが含まれる矩形区域である。基準位置oは、座標原点Oと重なっている。
【0075】
実施例5
図11は、再符号化区域の
実施例である。二次元バーコードW3における再符号化区域Q3は
図11と同じで、7*14セルが含まれる矩形区域であるが、再符号化区域Q3の基準位置oが座標(12、4)に位置する点で
図11と相違する。
【0076】
実施例6
図12は、再符号化区域の
実施例である。
図12の
実施例では、二次元バーコードW4には2つの再符号化区域Q4、Q5が設置されている。再符号化区域Q4、Q5はそれぞれ7*7セルが含まれる矩形区域で、再符号化区域Q4の基準位置o1は座標(6、6)に位置し、再符号化区域Q5の基準位置o2は座標(21、3)に位置する。
【0077】
実施例7
図13は、再符号化区域の
実施例である。
図13の
実施例では、二次元バーコードWに複数の再符号化要素(Qa…Qn)が設定されている。
図10では、10個示されたが、より多く例えば、49個を設定することができる。再符号化要素は1*1セルで構成され、各再符号化要素(Qa…Qn)の組み合わせで、再符号化区域が構成される。すなわち、再符号化区域を一定の規則に従って複数の再符号化要素に分散させ、隠し情報は、分散して各再符号化要素に格納する。読み出すとき、各再符号化要素の座標位置に従って、再符号化要素を確定し、所定の規則に従って各再符号化要素の配列または再符号化区域に復元した後、復号を行う。再符号化要素は二次元バーコードの異なる位置に分散されるため、格納した隠し情報の読取が行いにくくなる。例えば、再符号化要素の分散規則を暗号化しておくことにより、再符号化用情報の生成アルゴリズムについてクラッキングすることがより困難になり、二次元バーコードの安全性がさらに向上する。
【0078】
以上、本発明の生成、読取り装置および読取方法について説明した。生成された複合型二次元バーコードは、容易に複製できないだけでなく、格納された複数の情報を用いることにより、偽造防止機能を一層高めることができ、また1つのバーコードを多数の用途に利用することができる。
【0079】
以下、具体例を用いて、複合型二次元バーコードの使用について説明する。
図3の複合型二次元バーコードのライセンス登録管理分野での利用である。二次元バーコードにウェブサイト情報であるhttp://www.big-code.cnを格納するとする。二次元バーコード誤り訂正レベルを最高の「H」選択し、7*7セルの矩形区域(再符号化区域Q)内のセルについて再符号化することによって、数字123456を格納する。符号化方法は、二次元マトリクスによる符号化方法を用い、誤り訂正アルゴリズムを加えて、安定して読取ができるようにする。数字123456は二次元バーコードの登録IDであり、二次元バーコードの管理に用いられる。ユーザーが汎用の読取ソフトウェアを用いては、二次元バーコード用情報を読み取り、対応するサイトのコンテンツに接続する。専用の読み取りソフトウェアでは、位置の特定により、7*7セルからなる再符号化区域のみから情報を読み取りできる。ネットワークへのアクセスまたは読取装置内での認証を行うことにより、登録IDを認証する。あるいは、二次元バーコード用情報と7*7セルからなる再符号化区域内の情報を用いて、インターネットへのアクセス、または読取装置内での認証を行うことにより、登録IDを認証する。あるいは、専用の読取装置を用いて、二次元バーコード用情報と7*7セルからなる再符号化区域内の情報を読取り、7*7セルからなる再符号化区域内の情報について認証を通過したとき、読取装置が二次元バーコード用情報にあるアドレス情報を用いてネットに接続する。通過しなかった場合は、エラーメッセージを表示することにより、バーコードをスキャンしてのネット接続の安全性が保たれる。
【0080】
図9は、複合型二次元バーコードを用いた安全支払の例である。
図9の複合型二次元バーコードでは、二次元バーコード用情報はユーザーアカウント情報である1320 3234 4894 3928 23。ユーザーアカウント情報は暗号化することにより動的に変化するものとし、二次元バーコードのパターンは変わるものとした。二次元バーコード誤り訂正レベルは
図3と同じように最高の「H」を選択し、二次元バーコードパターン右下隅の7*7セルの矩形区域を再符号化区域Q1として設定する。再符号化区域Q1の設定に当たり、矩形区域についてテストを行い、いかなる遮蔽も読み取りに影響を与えないことを確認する。すなわち、再符号化区域についてセルを再符号化しても、二次元バーコード全体の誤りが二次元バーコードの誤り訂正レベル以下であることを確認する。再符号化区域Q1における7*7セルについて、再符号化して、数字123123を格納する。二次元マトリクスによる符号化に類似する方法を用い、誤り訂正アルゴリズムを加えて、安定した読取ができるようにする。ここで、数字123123は、アカウント情報の秘密キーに相当する。読み取りソフトウェアは、再符号化区域の位置を特定し、二次元バーコード用情報と7*7セルの再符号化区域からの情報(秘密キー)を用いて、ネットへのアクセスによる認証を行う。認証できた場合は、支払い段階に進み、そうでなければ、支払いを拒否する。これにより、支払安全性が高くなる。
【0081】
複合型二次元バーコードを使用した広告監視の例である。
図2の二次元バーコードを用いて説明する。
図2の二次元バーコードにウェブサイトであるhttp://www.big-code.cnを格納する。二次元バーコードの誤り訂正レベルを最高の「H」選択し、二次元バーコード右下隅の7*7セルからなる正方形区域を再符号化区域Qとし、正方形区域内の7*7セルについて再符号化することにより、数字456456を格納する。二次元マトリクスによる符号化に類似する方法を用い、誤り訂正アルゴリズムを加えて、情報を安定した読取ができるようにする。数字456456は、二次元バーコードの識別標識であり、例えばメディアの名称で、どの二次元バーコードをスキャンしたかの識別に用いる。ユーザーの読み取りソフト(再符号化区域内の情報を読取る機能を有する)が二次元バーコードおよび再符号化区域からの情報を読み取り、二次元バーコード用情報でウェブサイトのコンテンツに接続するとともに、再符号化区域の情報(456456)がネットワークを介してバックグラウンドデータベースに入力され、モニタリング、分析、統計などの用途に用いられる。
【0082】
図10は、複合型二次元バーコードを用いた広告監視の実施例である。
図10の二次元バーコードにウェブサイトであるhttp://www.big-code.cnを格納する。二次元バーコード誤り訂正レベルを最高の「H」選択する。二次元バーコード右下隅にある7*14セルからなる矩形区域を再符号化区域Q2として設定する。7*14セルからなる矩形区域内に数字1234567890を格納する。二次元マトリクスによる符号化に類似する方法を用い、誤り訂正アルゴリズムを加えて、情報を安定した読取りができるようにする。数字1234567890は、物流用コードとする。印刷するとき、二次元バーコード用情報が変更なく、7*14セルからなる区域内の情報は物流用コードで変わる。ユーザーの通常の読み取りソフトウェアは二次元バーコード用情報を読み取り、ウェブサイトのコンテンツに接続するのに対して、専用の読み取りソフトウェアは、位置の特定により7*14セルからなる区域内の情報(物流コード 1234567890)を読み取って、読み取った情報がバックグラウンドデータベースに入力され、物流監視、統計、分析などを行う。
【0083】
図11は、複合型二次元バーコードを物流とマーケティングに適用した実施例である。
図11の二次元バーコードW3に「北京ロケット技術株式会社、共通社会信用コード81210108MA003JQGOW,201435」を格納する。二次元バーコード誤り訂正レベルを「M」選択する。二次元バーコード用情報の最後にある「201435」は7*14セルからなる再符号化区域の位置制御情報であり、パターンでの位置を表す。位置制御情報は、暗号化することができる。読取端末がそれを復号化することにより、位置計算アルゴリズムにより、7*14セルからなる再符号化区域の位置を算出する。
図11においては、再符号化区域Q3基準点oの座標(12,4)は、X軸におけるセル数が12、Y軸におけるセル数が4の位置に位置し、読取端末は7*14セルからなる区域について情報を復号する。情報としては、パスワード、秘密キー等を可能とし、ネットへのアクセスまたは端末で所定の演算(例えばダイジェスト計算)を行うことにより、二次元バーコード内の情報の正真性を確認する。この実施例では、位置の動的変化とパターンによる暗号化方式を使用しているため、再符号化区域の情報生成アルゴリズムをクラッキングすることがより困難になり、安全性がさらに強化される。
【0084】
図12は、再符号化区域を設置することによって安全性を向上させた実施例である。
図12では、二次元バーコードに「北京ロケット技術株式会社、共通社会信用コード81210108MA003JQGOW、201435」を格納する。二次元バーコード誤り訂正レベルを「M」選択する。二次元バーコード用情報の最後の「201435」にある「201」は、7*7セル
からなる再符号化区域1の位置制御情報であり、「435」は、7*7セル
からなる再符号化区域2の位置制御情報である。7*7セル
からなる再符号化区域1と7*7セル
からなる再符号化区域2の位置は図示の通りである。2つの再符号化区域について、異なる符号化規則または同じ符号化規則を用いることができる。読取端末は、7*7セル
からなる再符号化区域1と7*7セル
からなる再符号化区域2の2つの区域について情報を復号し、2つの情報はパスワード、秘密キーなどとすることができる。2つの情報はネットワークを介してまたは端末自身で所定の演算(ダイジェスト計算)を行うことによって二次元バーコード内の情報の正真性を確認することができる。この実施例では、複数の再符号化区域を設定するため、再符号化区域の情報生成アルゴリズムをクラッキングすることがより困難になり、安全性が強化される。
【0085】
上記の実施例では、1つまたは複数の再符号化区域を設定して、再符号化区域にキー、物流管理情報などの隠し情報を格納した。再符号化区域としては、最小の再符号化要素(セル)を単位とし、二次元バーコードパターンに分散することができる。それによって引き起こされた誤り全体が誤り訂正レベル以下であればよい。
【0086】
図13は、符号化する際の情報の最小単位で再符号化区域を設定する実施例である。
図13は、二次元バーコードW5に「北京ロケット技術株式会社、共通社会信用コード81210108MA003JQGOW、201435」を格納する。二次元バーコード誤り訂正レベルを「M」選択する。二次元バーコードに1*1セルからなる再符号化要素(Qa…Qn)を複数設定する。図示では、10個示されたが、より多く例えば、49個を設定することができる。二次元バーコード符号化用情報の最後の「201435」は、これらの再符号化要素の位置の分布に関連する情報または規則である。例えば座標に応じての、または特定のアルゴリズムに従った分布規則である。分布規則に関連する「201435」の情報と読取端末内にある別の情報、例えば「23812945」との組み合わせあるいは演算することにより、各再符号化要素の分布に関する情報を得ることができる。読取端末は、分配規則情報に従って、これらの1*1セルの再符号化要素を特定し、例えば49個の再符号化要素を分配規則に従って7*7セルからなる再符号化区域を復元し、この7*7セルの再符号化区域について復号する。復号の情報は、パスワード、秘密キーなどとすることができ、ネットワークへのアクセスあるいは復号端末で演算(ダイジェスト計算)を行うことにより、二次元バーコード内の情報の正真性を確認する。本実施例では、複数の再符号化要素を用いることにより、再符号化区域の位置を暗号化することができ、再符号化用の情報、すなわち隠し情報の生成アルゴリズムをクラッキングすることがより困難になり、二次元バーコードの安全性がさらに向上した。