(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施例に係る位置特定システム1について図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、実施例に係る位置特定システム1は、複数の部品実装装置10と中央制御装置50を備えている。複数の部品実装装置10は、床90に配置されている。複数の部品実装装置10は、X方向とY方向に間隔をあけて並んで配置されている。複数の部品実装装置10は、中央制御装置50に接続されている。各々の部品実装装置10は、固有の位置情報(A1〜C5)を有している。固有の位置情報(A1〜C5)は、各々の部品実装装置10が配置されている位置を特定する情報である。
【0009】
中央制御装置50は、CPU,ROM,RAMを備えたコンピュータを備えている。中央制御装置50による制御処理については後述する。
図3に示すように、中央制御装置50は、ディスプレイ48(表示装置の一例)を備えている。ディスプレイ48には、複数の位置表示部49が表示されている。複数の位置表示部49は、複数の部品実装装置10に対応している。複数の位置表示部49が表示されている位置は、複数の部品実装装置10が配置されている位置に対応している。例えば、
図3に示すA1の位置表示部49の位置は、
図1に示すA1の部品実装装置10の位置に対応している。
【0010】
部品実装装置10について説明する。以下では、複数の部品実装装置10のうち、代表として1つの部品実装装置10について説明する。部品実装装置10は、回路基板に複数の電子部品を実装する装置である。部品実装装置10は、表面実装装置やチップマウンタとも称される。通常、部品実装装置10は、はんだ印刷装置、他の部品実装装置及び基板検査装置とともに併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0011】
図4に示すように、部品実装装置10は、複数の部品フィーダ12(
図4には代表として1つの部品フィーダ12を示す。)と、フィーダ保持部14と、実装ヘッド16と、実装ヘッド16を移動させる移動機構18と、搬送装置26と、操作パネル28と、個別制御装置30を備えている。
【0012】
各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。各々の部品フィーダ12は、回路基板2に実装するための複数の電子部品4を供給する装置である。各々の部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取付けられ、実装ヘッド16へ電子部品4を供給する。各々の部品フィーダ12は、例えば、巻テープ状に複数の電子部品4を収容するテープ式フィーダである。各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4が並んで配置されているテープを送り出すことによって電子部品4を供給することができる。部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されない。各々の部品フィーダ12は、トレイ上に複数の電子部品4を収容するトレイ式フィーダ、または、容器内に複数の電子部品4をランダムに収容するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
【0013】
移動機構18は、部品フィーダ12と回路基板2との間で実装ヘッド16を移動させる。本実施例の移動機構18は、移動ベース18aをX方向及びY方向に移動させるXYロボットである。移動機構18は、移動ベース18aを案内するガイドレールや、移動ベース18aをガイドレールに沿って移動させる移動機構や、その移動機構を駆動するモーター等によって構成されている。移動機構18は、部品フィーダ12及び回路基板2の上方に配置されている。移動ベース18aに対して実装ヘッド16が取付けられている。実装ヘッド16は、移動機構18によって部品フィーダ12の上方及び回路基板2の上方を移動する。
【0014】
実装ヘッド16は、電子部品4を吸着する吸着ノズル6を備えている。吸着ノズル6は、実装ヘッド16に対して着脱可能である。吸着ノズル6は、Z方向(図面上下方向)に移動可能に実装ヘッド16に取付けられている。吸着ノズル6は、実装ヘッド16に収容されたアクチュエータ(図示省略)によって上下方向に昇降すると共に、電子部品4を吸着可能に構成されている。実装ヘッド16により電子部品4を回路基板2に実装するには、まず、移動機構18により実装ヘッド16を部品吸着位置に移動させる。次に、吸着ノズル6の下面(吸着面)が部品フィーダ12に収容された電子部品4に当接するまで、吸着ノズル6を下方に移動させる。次いで、吸着ノズル6に電子部品4を吸着し、吸着ノズル6を上方に移動させる。次いで、移動機構18により実装ヘッド16を部品実装位置に移動させ、回路基板2に対して位置決めする。次いで、吸着ノズル6を回路基板2に向かって下降させることで、回路基板2に電子部品4を実装する。
【0015】
搬送装置26は、回路基板2の部品実装装置10への搬入、部品実装位置への搬送及び位置決め、部品実装装置10からの搬出を行う装置である。本実施例の搬送装置26は、例えば、一対のベルトコンベアと、ベルトコンベアに取付けられると共に回路基板2を下方から支持する支持装置32と、ベルトコンベアを駆動する駆動装置により構成することができる。回路基板2は、図面X方向に搬送される。
【0016】
支持装置32は、クランプテーブル38と、複数のクランプピン34を備えている。クランプテーブル38と複数のクランプピン34は、回路基板2の下方に配置されている。クランプテーブル38は、上下に昇降可能に構成されている。複数のクランプピン34は、クランプテーブル38に固定されており、上方に突出している。この支持装置32では、ベルトコンベアによって回路基板2が所定の作業位置まで搬送されると、回路基板2の下方に配置されているクランプテーブル38が上昇する。クランプテーブル38が上昇することによって、クランプテーブル38に固定されている複数のクランプピン34が回路基板2を上方に持ち上げる。操作パネル28は、作業者の指示を受け付ける入力装置である。
【0017】
個別制御装置30は、CPU,ROM,RAMを備えたコンピュータを備えている。図示はしていないが、個別制御装置30には、部品フィーダ12と、実装ヘッド16と、移動機構18と、操作パネル28と、が通信可能に接続されている。個別制御装置30は、これら各部(12,16,18,28,32等)を制御することで、電子部品4の回路基板2への実装の制御を行う。個別制御装置30による制御処理については後述する。
【0018】
次に、上記の位置特定システム1の動作について説明する。上記の位置特定システム1では、各々の部品実装装置10が、回路基板2に複数の電子部品4を実装する。また、各々の部品実装装置10では、
図5に示すように、位置比較処理が実行される。位置比較処理のステップS11では、部品実装装置10の個別制御装置30が、回路基板2に電子部品4を実装したか否かを監視する。回路基板2に電子部品4を実装した場合は、ステップS11で個別制御装置30がYESと判断してステップS12に進む。一方、電子部品4を実装していない場合は、NOと判断して待機する。
【0019】
続いてステップS12では、個別制御装置30が、回路基板2に電子部品4を実装した位置が、回路基板2に電子部品4を実装する予定であった位置と一致するか否かを判断する。両者が一致する場合は、ステップS12で個別制御装置30がYESと判断してステップS11に戻る。一方、両者が相違する場合(すなわち、一致割れが発生している場合)は、個別制御装置30がNOと判断してステップS13に進む。両者が一致するか否かを判断する方法は特に限定されない。例えば、実装ヘッド16を移動させる移動機構18におけるモーターの回転数に基づいて両者が一致するか否かを判断することができる。例えば、電子部品4を実装する際の設計上のモーターの回転数と、実際上のモーターの回転数とを比較することによって、両者が一致するか否か(一致割れが発生しているか否か)を判断することができる。
【0020】
続いてステップS13では、個別制御装置30が、位置相違情報を中央制御装置50へ送信する。位置相違情報は、回路基板2に電子部品4を実装した位置が、回路基板2に電子部品4を実装する予定であった位置と相違している(すなわち、一致割れが発生している)ことを示す情報である。個別制御装置30は、ステップS13の処理が終了するとステップS11に戻る。
【0021】
また、上記の位置特定システム1では、
図6に示すように、カウント処理が実行される。カウント処理のステップS21では、中央制御装置50が、上記のステップS13で個別制御装置30が送信した位置相違情報を受信したか否かを監視する。位置相違情報を受信した場合は、ステップS21で中央制御装置50がYESと判断してステップS22に進む。一方、位置相違情報を受信していない場合は、中央制御装置50がNOと判断して待機する。
【0022】
続いて、ステップS22では、中央制御装置50が、一致割れが発生している部品実装装置10に関する位置相違回数をカウントする。位置相違回数は、回路基板2に電子部品4を実装した位置が、回路基板2に電子部品4を実装する予定であった位置と相違している(すなわち、一致割れが発生している)回数を示している。位置相違回数は、部品実装装置10の位置情報に紐づいている。例えば、A1の部品実装装置10で一致割れが発生している場合は、A1の部品実装装置10について位置相違回数をカウントする。中央制御装置50は、ステップS22の処理が終了するとステップS21に戻る。中央制御装置50は、複数の部品実装装置10のそれぞれについてカウント処理を実行する。
【0023】
その後、中央制御装置50は、
図3に示すように、ディスプレイ48の位置表示部49に位置相違回数を表示する。中央制御装置50は、複数の部品実装装置10に関する複数の位置相違回数を、それらに対応する複数の位置表示部49に表示する。例えば、A1の部品実装装置10に関する位置相違回数をA1の位置表示部49に表示する。
【0024】
また、位置特定システム1では、
図7に示すように、振動判断処理が実行される。複数の部品実装装置10のそれぞれに関する振動判断処理が実行される。振動判断処理のステップS31では、中央制御装置50が、部品実装装置10に関する位置相違回数が所定の閾値(例えば4回)以上であるか否かを判断する。位置相違回数が所定の閾値以上である場合は、ステップS31で中央制御装置50がYESと判断してステップS32に進む。一方、位置相違回数が所定の閾値未満である場合は、中央制御装置50がNOと判断してステップS34に進む。
【0025】
続いて、ステップS32では、中央制御装置50が、位置相違回数が所定の閾値以上である部品実装装置10が配置されている位置に対応する位置表示部49を赤色表示にする(第1表示の一例)。
図3に示す例では、中央制御装置50は、A2、A5、B2、B3の位置表示部49を赤色表示にする。
【0026】
また、中央制御装置50は、位置相違回数が所定の閾値以上である部品実装装置10が配置されている位置に対応する床90が振動していると判断する(ステップS33)。中央制御装置50は、部品実装装置10の位置情報と位置相違回数に基づいて、振動している床90の位置(特定位置の一例)を特定することができる。
【0027】
一方、上記のステップS31でNOと判断した後のステップS34では、中央制御装置50が、位置相違回数が所定の閾値未満である部品実装装置10が配置されている位置に対応する位置表示部49を青色表示にする(第2表示の一例)。
図3に示す例では、中央制御装置50は、A2、A5、B2、B3以外の位置表示部49を青色表示にする。
【0028】
また、中央制御装置50は、位置相違回数が所定の閾値未満である部品実装装置10が配置されている位置に対応する床90が振動していないと判断する(ステップS35)。
【0029】
以上、実施例に係る位置特定システム1について説明した。上記の説明から明らかなように、位置特定システム1は、床90に配置されている複数の部品実装装置10と中央制御装置50を備えている。複数の部品実装装置10のそれぞれは、回路基板2に複数の電子部品4を実装可能に構成されている。中央制御装置50は、複数の部品実装装置10のそれぞれについて部品実装装置10が回路基板2に電子部品4を実装した位置が回路基板2に電子部品4を実装する予定であった位置と相違している場合は位置相違回数をカウントし、複数の部品実装装置10のそれぞれが配置されている位置を特定する位置情報(A1〜C5)とカウントした位置相違回数とに基づいて床90における特定位置(例えば、A2、A5、B2、B3の位置)を特定する。特定位置では、床90が振動する不具合が発生している可能性がある。
【0030】
この構成によれば、部品実装装置10が回路基板2に電子部品4を実装した位置が回路基板2に電子部品4を実装する予定であった位置と相違している(すなわち、一致割れが発生している)場合は位置相違回数をカウントするので、一致割れが発生していることを確実に特定することができる。また、複数の部品実装装置10のそれぞれが配置されている位置を特定する位置情報(A1〜C5)とカウントした位置相違回数とに基づいて床90における特定位置を特定するので、一致割れが発生している部品実装装置10が配置されている位置を特定することができる。このように、複数の部品実装装置10が床90に配置されている場合に、一致割れの情報に基づいて特定位置を特定するので、簡易な構成で不具合が発生している位置を特定することができる。これによって、例えば床90の一部が振動する不具合によって一致割れが発生している場合には、振動している位置を特定することができる。
【0031】
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上述の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
他の実施例では、中央制御装置50は、隣り合っている複数の部品実装装置10のそれぞれに関する位置相違回数が所定の閾値(例えば4回)以上である場合は、隣り合っている複数の部品実装装置10が配置されている位置に対応する床90が振動していると判断してもよい。
図1及び
図3に示す例では、中央制御装置50は、隣り合っているA2、B2、B3の部品実装装置10が配置されている部分が振動していると判断する。一方、中央制御装置50は、部品実装装置10に関する位置相違回数が所定の閾値(例えば4回)以上である場合であっても、隣り合っている複数の部品実装装置10のそれぞれに関する位置相違回数が所定の閾値(例えば4回)以上でない場合は、その部品実装装置10が配置されている位置に対応する床90が振動していないと判断する。
図1及び
図3に示す例では、中央制御装置50は、A5の部品実装装置10が配置されている部分は振動していないと判断する。
【0033】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。