【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、請求項1に記載の特徴を備える、地面を耕起するためのプラウ装置と、請求項24に記載の特徴を備える、地面を耕起するための方法とによって解決される。有利な変化形態は、それぞれ従属請求項に定義されている。
【0014】
本発明の主な利点は、地面を通って運動するプラウ器具の摩擦力および剪断力、つまり地面反力を最小化できることにある。これにより、比較的小さな牽引力消費およびこれに関連する著しい燃料削減を保証するプラウ装置が提供される。付加的には、地面をより良好にほぐして通気させることができ、したがって、CO
2交換の目的でより良好に酸素を供給することができるので、改善されたエコロジカルな農業的な土壌処理が可能であるという別の利点が生じる。さらに、有害な耕盤形成を阻止し、播種床準備に至るまでの作業工程の数を減じることができる。本発明は、従来の耕起時にプラウシェアがいわば水平方向で地面を通って掻き起こし、円板コールタおよびモールドボードエッジによってれき条を垂直方向で地面から切り出すという基本的な考察を起点としている。プラウシェアの湾曲部に基づいて、れき溝を形成するれき条は次いで隣接するモールドボードへとガイドされる。モールドボードはれき条を収容し、このれき条を螺旋形にねじって、このれき条を次いで側方に向かって約130°の反転角度で置く。比較的高い摩擦力のために、耕起時の牽引力も比較的に大きい。固定の部材を備える固定のプラウボディを備える従来のプラウのこの欠点を克服するために、本発明は、本来のプラウを実施する、新規の回転可能な機械エレメントを使用するという処置を講じる。基本的に、回転する切断エレメントは牽引力消費に有利に作用する。本発明によれば、相乗的に協働する専ら2つの切断工具が本来のプラウ構造を成すことが達成され、既に回転する切断エレメントであるという事実に基づいて、地面を通してプラウを引っ張る際の牽引力消費は、固定のプラウエレメントに比べて著しく減少する。
【0015】
本発明の第1の態様によれば、地面を耕起するためのプラウ装置が説明される。プラウ装置は、支持体構造、回転可能な切断エレメント(たとえば鋸歯が形成されたディスク)および第2の切断エレメント(たとえば第1の切断エレメントに対して角度付けされた鋸歯が形成された別のディスク)を有している。回転可能な第1の切断エレメントは、周囲に延びる第1の切断エッジを有している。第1の切断エレメントは、支持体構造に配置されていて、耕起方向(つまり処理方向)に沿った地面上での支持体構造の運動時に地面のれき条の側部領域を(特に地面のれき溝壁から)第1の切断エッジの第1の切断領域によって切離し可能であるように、形成されている。第2の切断エレメントは、第2の切断エッジを有しており、第2の切断エレメントは支持体構造に配置されていて、耕起方向に沿った地面上での支持体構造の運動時に、地面のれき条の底部領域が(特にれき条と耕底との間の分離面に沿って)第2の切断エッジの第2の切断領域によって切離し可能であるように、形成されている。第2の切断エレメントは、第2の切断領域が耕起方向で第1の切断領域の前に配置されているように、耕起方向で第1の切断エレメントに対して配置されている。
【0016】
つまり、本発明による新規のプラウは、ディスク形もしくは皿状の2つの切断工具を有している。この場合、一方の切断工具が、一貫した地面かられき条の側部エッジを切断によって切り分けるように形成されているのに対して、第2の切断エレメントは、れき溝底の領域でれき条を耕起深さにおいて一貫した耕地から分離する。好適には、ほぼ鉛直方向の切断平面のために設けられた第1の切断エレメントは、中空ディスクとして形成されていて、かつ円板コールタに類似している。中空ディスクは、回転可能な、ほぼ鉛直方向に配置された切断エレメントとして、周囲に延びる切断エッジを有している。好適には、周囲に延びる切断エッジは湾曲しており(bombiert)、つまりれき溝底の領域において水平方向で予備切断され、れき溝底領域においてすき起こされた表土から乖離されたれき条を垂直方向で切り離し、切り離されたれき条を中空ディスクの凹状の中空領域を通して、かつ中空ディスクによって反転された形式でれき溝に戻るように導出させる。この場合、中空ディスクは、様々なR部の形の種々の凹設部と隆起部とを有しており、たとえばいわゆるお椀状や、様々なR部に続く内側の平坦な面や、全体的に1つのR部だけを有している。これは、土壌状況に応じて適合させることができる。中空ディスクの幾何学形状および直径は、耕起結果への著しい影響を有している。中空ディスク、つまり湾曲したディスクが、好適には切断エッジに鋸歯を有して形成されていることにより、地面への改善された係合が実現される。好適には、中空ディスクは支持体構造において、調節可能な複数の機械エレメントによって取り付けられており、設定角が変更可能であるようになっている。切断エレメントは、好適には交換可能に支持体構造に取り付けられている。
【0017】
好適には、両方の切断エレメントには、刃板として形成されたモールドボードが耕起方向で後置されており、ディスクエレメントは、れき条により耕起時に自動的に回転可能である。つまり、切断エレメントは別個に能動的に駆動される必要はなく、耕地を通じた新規のプラウの牽引のみによって回転させることができる。これにより、牽引力消費は、プラウ装置に固定的に取り付けられた従来のプラウシェアに比べて著しく減少する。
【0018】
例示的な実施形態では、第1の切断エレメントおよび/または第2の切断エレメントが旋回可能にかつ/または並進的に移動可能に支持体構造に取り付けられており、これにより、設定角を調節することができる。したがって、土壌性質に依存して、かつ所望の処理深さに依存して、設定角を調節することができる。
【0019】
さらに、別の態様によれば、上述のプラウ装置を用いて地面を耕起するための方法が提供される。
【0020】
プラウ装置が地面を耕起している間に、所望の畝立てを達成することが目標である。耕起時に地面からいわゆるれき条が切り出される。れき条は、側部領域を有している。この側部領域に沿って、切断エレメントが切断する。さらに、れき条は底部領域を有している。この底部領域は2つの側部領域を接続し、プラウシェアとしての第2の切断エレメントによって地面から分離される。これに対応して、地面はれき条の底部領域に分離面を有している(いわゆるれき溝底)。したがって、地面からほぼ四角形のれき条が切り出され、この場合、残りの地面において、水平方向の切断平面(=れき溝底)が第2の切断エレメントにより生じ、鉛直方向の切断平面(=れき溝壁)が第1の切断エレメントにより生じる。れき条の挟み状の切出しにより、地面にはれき溝壁が形成される。このれき溝壁から、れき条の側部領域が分離されている。したがって、底部領域は、地面からの分離の時点で、れき条の水平方向の最下面を規定する。
【0021】
耕起方向もしくは処理方向は、プラウ装置が地面上を走行する方向として定義されている。
【0022】
支持体構造は、少なくとも第1の切断エレメントおよび第2の切断エレメントを一緒に取り付けるように、形成されている。支持体構造は、たとえばトラクタのような牽引機に取付け可能であり、これにより対応して切断エレメントを耕起方向に沿って駆動することができる。支持体構造は、同様に、アイロンサポートもしくはプラウビームの部分であってよい。支持体構造は、金属バーおよび/または繊維複合エレメントを有している。さらに、以下に詳細に説明するように、取り付けられたエレメントは調整可能に支持体構造に取り付けることができる。
【0023】
したがって、支持体構造は、切断エレメントのための固定の取付け構造を形成する。換言すれば、切断エレメントは支持体構造に、耕起中に切断エレメント間の相対運動が可能ではないように位置固定されている。したがって、本発明によれば、第2の切断エレメントが、れき条の切断に基づいて地面に向かって押圧されると、これにより同時に第1の切断エレメントが地面に向かって引込み力により押圧される。
【0024】
第1の切断エレメントは回転可能であるか、もしくは公転可能であるように支持体構造に取り付けられている。対応して、第1の切断エレメントは、第1の回転軸線を形成する。この第1の回転軸線を中心として、第1の切断エレメントが回転する。第1の切断エレメントは、特に切断皿として形成されており、円形の円周線を有している。この円周線に沿って周囲に延びる第1の切断エッジが形成されている。第1の切断エッジにより、れき条の側部領域が地面のれき溝壁から分離され、同時に側方に導出される。周囲に延びる第1の切断エッジは、第1の切断領域を有している。この第1の切断領域は、第1の切断エッジの、耕起方向で二番目に地面と接触し、この地面を切断する円周区分である。第1の切断エレメントは、約500mm〜約800mmの直径を有していてよい。さらに第1の切断エレメントは、歯列を有していてよく(改善された侵入深さ)、中心で支承され、かつ移動可能であってよい。
【0025】
第1の切断エレメントは、プラウ装置が地面に沿って運動すると、回転する。この場合、摩擦力が第1の切断エレメントを運動させる。第1の切断エレメントは、耕起中に特に第1の切断エレメントの、第1の回転軸線の下側に位置する下側の半部のみが地面内に侵入し、これにより地面との摩擦力が回転を引き起こすように、寸法設計されている。
【0026】
さらに第1の切断エレメントの回転は、分離されたれき条を上昇させると同時に側方に導出する。分離されたれき条は、特に第1の切断エレメントの第1の切断面に摩擦接触している。第1の切断面は、第1の切断エレメントの、第1の切断エッジ内に形成されている面である。さらに、第1の切断面は、分離されたれき条に向けられている面である。第1の切断面は、均質に、切欠きまたは隆起部なしに形成されていてよい。さらに、第1の切断面(つまり第1の切断エレメントの外周面)は、円錐形もしくは円錐台形を形成することができる。別の実施形態では、回転するユニット(切断エレメント)の第1の切断面は湾曲したディスクとして構成されていてよい。
【0027】
回転する第1の切断エレメントによるれき条の上昇に基づいて、耕起方向で切断エレメントの背後に配置されている後続のエレメントへと、れき条を省エネルギで搬送することができる。たとえば、耕起方向で切断エレメントの背後に、下記で説明するモールドボードが配置されていてよい。
【0028】
第2の切断エレメントは、たとえば回転可能であるか、もしくは公転可能であるように、回転するディスクまたは並進的に延びる切断エッジを備える切断カッタとして支持体構造に取り付けられている。第2の切断エッジにより、れき条の底部領域は地面のれき溝底から分離され、下側を切断され、場合によっては同時に上昇する。周囲に延びる第2の切断エッジは、第2の切断領域を有している。第2の切断領域は、第2の切断エッジの、耕起方向で最初に地面と接触し、この地面を切断する円周区分である。
【0029】
例示的な実施形態によれば、第1の切断領域は第1の切断平面内に形成されており、第2の切断領域は第2の切断平面内に形成されている。第1の切断平面と第2の切断平面とは、互いに対して特に30°〜135°、特に45°〜110°の角度を形成している。
【0030】
第1の切断エッジが第1の切断平面に延びているのに対して、第2の切断エッジは第2の切断平面に延びている。第1の切断エレメントと第2の切断エレメントとは、第1の切断平面と第2の切断平面とが平行に形成されておらず、特に互いに対して90°よりも大きいか小さい角度(開放角)を有しているように、互いに対して支持体構造に取り付けられている。換言すると、別の例示的な実施形態では、第1の切断エレメントは、第1の切断エレメントの回転軸線と、第2の切断エッジの延在方向(もしくは第2の切断エレメントが回転するディスクとして形成されている場合に第2の切断領域における接線)との間で、約0°〜約±30°の角度が存在しているように、配置されていてよい。特に、プラウ装置が規定通りに地面上に載置されている場合、第1の切断平面の垂線は、水平方向に対して平行である(方向)成分を有している。切断エレメントの回転軸線は、特に第1の切断平面の垂線に対して平行である。さらに、第2の切断平面の垂線は、プラウ装置が規定通りに地面上に載置されている場合、鉛直方向に対して平行である別の(方向)成分を有している。これらの垂線の間の角度は、45°〜130°の間で例示的に選択することができ、これにより、地面における所望の畝立てを達成することができる。
【0031】
第1の切断平面と第2の切断平面とが互いに対して特に約90°の角度を有している場合、第2の切断エレメントは、下側を切断されたれき条を第1の切断エレメントの方向に押圧する。これは、耕起方向での運動中に、第1の切断エレメントと第2の切断エレメントとの間でれき条を有利に処理できることにつながる。両方の回転する機械エレメント、つまり第1の切断エレメントと第2の切断エレメントとの協働により、好適な耕起結果もしくは「破砕」(地塊細粒化)が提供される。特に、第1の切断エレメントの、引きずりラインに不都合に作用する強力なの牽引摩擦が、第2の切断エレメントの反作用によって十分に補償される。牽引機は、したがって大きな逆位相制御なしに軌道に留まる。
【0032】
第1の切断エレメント(たとえば湾曲したディスク)は、れき条を第1の切断平面(地表を起点として約15cm〜35cmの処理深さ)で切り離し、れき条を任意のモールドボードエレメント(つまりガイド金属薄板)上にガイドする。モールドボードエレメントもしくはガイド金属薄板は、回転可能な搬送皿として形成されていてもよい。
【0033】
第2の切断平面(地表を起点として約15cm〜30cmの処理深さ)において、れき条は、第2の切断エレメントによって水平方向に(つまりれき溝底から)切断される。
【0034】
両方の切断平面(上:回転する鉛直方向の第1の切断エレメント;下:水平方向の第2の切断エレメント)の間隔は、回転する切断エレメントの移動可能性により、適合することができる。
【0035】
たとえば主構成部材である切断エレメント、ガイド金属薄板およびモールドボードから成るプラウボディは、たとえば地面を通って牽引される傾斜した曲げられた平面に相当する。刃板および垂直方向のモールドボードエッジによって分離されたれき条は、ガイド金属薄板に沿ってモールドボード上に移動し、その傾斜し曲げられた平面において高く、かつ側方に移動する。このプロセスは、れき条の上側の半部の圧縮ならびに下側の半部の回転を含む。結果として、れき条において土壌の細分化をもたらす圧縮、引張および回転応力が生じる。
【0036】
本発明により耕起方向で第1の切断エレメントの前に第2の切断エレメントを配置することにより、プラウ装置に必要な牽引力を高くする摩擦力を減少させることができる。れき条は、れき条が第1の切断エレメントによって切断される場合、既に第2の切断エレメントによってれき溝底から下側で切断されて分離されているので、れき条は、第1の切断エレメントによって既に上昇されかつ反転される。第2の切断領域は、耕起方向でたとえば1cm〜50cm、特に15cm〜25cm、第1の切断領域の前に位置している。(特に水平方向の)第2の切断ディスク(もしくは切断エレメント)が、最初に地面に接触し、(特に鉛直方向の)第1の切断ディスク(もしくは切断エレメント)に対していわば先行している。
【0037】
本発明によれば、従来の固定されたプラウボディ構成部材を大幅に新規の回転可能な機械エレメントによって置き換えるという目標が達成される。本発明による回転する切断エレメントは、有利には、切断作業および上昇作業に作用し、したがって、プラウの容易な牽引性に作用する。
【0038】
水平方向のれき条切断のために、上述の例示的な実施形態では、ディスク形の、れき溝壁に沿って転動する第2の切断エレメントが使用される。これはれき溝壁もしくは耕起すべきれき条を水平方向で「下側を切断」し、これにより剥離(Schieferung)/れき溝底清掃(Furchenraeumung)を著しく容易にする。
【0039】
さらに上記した例示的な実施形態では、回転可能な鉛直方向に配置された第1の切断エレメント(湾曲したディスク)が使用され、上記の回転可能な水平方向に配置された第2の切断エレメントと組み合わせられる。
【0040】
鉛直方向に配置された湾曲した第1の切断エレメントは、次いで前置された第2の切断エレメントによって既に水平方向で予め切断されたれき条を鉛直方向で切り離し、中空ディスクの回転運動によってれき条を同時に反転させる。
【0041】
このコンセプトにより、容易に牽引可能な燃料節約式のプラウが提供され、このプラウは同時にほぼ播種床が完成した一定の畝立てを生じさせる。
【0042】
例示的な実施形態によれば、第1の切断エレメントおよび/または第2の切断エレメントは旋回可能に、たとえばジョイントによって支持体構造に取り付けられているので、回転軸線と第2の切断エッジの延在方向との間の角度を調節し、所望の位置に位置固定することができる。
【0043】
好適には、第1の切断エレメントが中空皿状に、内側面の曲率を伴って形成されており、耕起時に、耕起されていない地面から側方で第1の切断工具によって分離されたれき条を中空皿の凹部内に導入し、内側面の湾曲部によってねじり、中空皿から出た後に反転したれき条としてれき溝底の地面上に再び置くことができるようになっている。中空皿の対応する寸法設計時に、れき条が部分的にではなく完全に180°だけ反転されることを達成することができる。それどころか、これは、プラウシェアまたは付加的なモールドボードまたはガイド金属薄板を必要とすることなしにも可能である。
【0044】
別の実施例に対応して、第2の切断エレメントは、その設定角αに関して、角度調節装置を備えている。この角度調節装置により、耕起方向で正の設定角αが調節可能である。これは、皿状の、ディスクとして形成され、ほぼ水平方向に配置された、れき溝底の領域において耕起されていない地面を分離する切断エレメントが、耕起方向で正の角度αだけ角度付け可能であり、この場合、第2の切断エレメントの自己調整に関連して、れき溝底が耕起されていない地面から切断される地面における深さが耕起中にほぼ自動的に維持される。好適には、第2のディスク形の切断エレメントの設定角に関する角度調節装置は、機械的または液圧式または電気的に調節可能である。設定角は、プラウ速度、土壌性質、土壌の湿分含有量および別の要因に依存する。
【0045】
好適には、付加的にばねが設けられている。このばねは、れき溝底に沿った第2の切断エレメントの運動時に必要となる引込み力を確保し、第2の切断エレメントが、れき条の重量下でほぼ水平方向に向けられているような大きさおよびばね力を有している。この場合、ばねは、以下のように寸法設定されている。すなわち、設定された深さに対応してれき条の規定された重量は、第2の切断エレメントがほぼ水平方向の方向に押圧されるように働き、しかし、れき条の重量が減少した場合には、設定角が拡大して、場合によってはこれにより、本発明によるプラウにさらに牽引力が加えられた場合に、れき溝底の領域でほぼ水平方向に切断する第2の切断装置が耕起すべき地面から出るようになっている。第2の切断エレメントによるれき溝底の領域における水平方向の切込みの切断は、下側の切断とも呼ばれる。切断エレメントの周方向に延びる切断エッジは、れき溝底に沿って転がり、れき条をれき溝底領域で耕起されていない地面から分離する。調節された設定角とばね力との組み合わせは、機械的または液圧式の調節の趣旨において、深さ−引き込み制御装置として組み合わせられてよく、これにより、重要な2つの機能を満たす。すなわち、一方では、耕起されていない地面からのれき条の水平方向の分離が行われる。他方では、引込み力が形成されかつ制御され、プラウがガイドされる。その都度支配する状況によって変更可能な牽引方向での切断皿の角度付けにより、同時にプラウの引込み力を調整することができる。本発明によるプラウの重要な利点は、新規の装置によって力を節減し、エコロジカルにかつ土壌物理的にもしくはプラント生産的に有利に農地もしくは草地を処理することである。
【0046】
本発明の別の変化形態によれば、第2の切断エレメントは、一種のドラム支承部である、管内に配置された内側に位置する支承部を備えている。ドラムもしくは管内での第2の切断エレメントの支承部の配置は、支承部への汚れ侵入を阻止し、これにより第2の切断エレメントの確実な機能形式を確保し、特に耕起すべき地面によるプラウ装置の牽引時の抵抗を減少させる。
【0047】
好適には、第2の切断エレメントがスポークホイールとして形成されている、および/または第2の切断エレメントがスポーク領域においてアンダカット部を備える先細りした切断エッジを有している。スポークホイールとしての第2の切断エレメントの構成は、中実材料から成るホイールに比べて、一方では新規のプラウを、少ない材料で廉価に製造できるという利点を有している。さらに、スポークの間の空間がある箇所において土の張付きまたは付着が生じ得ないという利点が生じる。
【0048】
本発明に係るプラウの長寿命を確保することができるように、さらに有利には、第2の切断エレメントが複合材料から成っていることが規定されている。この場合、特に第2の切断エレメントの、れき溝底に面した下側の面と、刃とが鋼から成っており、れき条に面した上面は、耐摩耗性の付着を減じるプラスチックを有している。これにより、第2の切断工具は、軽く、ひいては最終的にプラウのための牽引力消費を減じることができる。特に、付着を減じるプラスチックが使用される場合、れき条の部分が第2の切断エレメントにおいてもはや付着しないか、ほとんど付着したまま残ることができないという利点が生じる。
【0049】
別の実施例によれば、第2の切断エレメントは、2部分から形成されていて、回転する切断リングを有している。この切断リングは、軸受を介して不動の内側ホイールに支持されている。これは、ホイールの形の支持体が本発明に係るプラウの支持体に固く結合されており、外縁の形の刃のみが、皿状に形成された第2の切断エレメントの固定された部分を中心として回転することを意味する。さらに有利には、刃が能動的に駆動されている。特に、第2の切断エレメントが湾曲したディスクである場合、耕起時に切断エレメントに作用する力は、能動的な駆動装置なしに回転する刃が地面を通るプラウに牽引力を加えることのみによってディスクを回転させるほど大きい。
【0050】
たとえば上述のジョイントのような装置は、切断エレメント角度(皿−ディスク角度)を調節するために役立ち、切断エレメント傾斜角(地面のれき溝壁に対する鉛直傾斜)および(耕起方向、つまり引きずり走行方向に対する)切断エレメント−方向角度の調節を可能にする。第1の切断エッジとれき溝壁との間の切断エレメントの切断ラインは、上述のように移動可能なステーによって高さ調節することができる。対応して、第1の切断エレメントと第2の切断エレメントとの間の鉛直方向の間隔も可変に調節可能である。換言すると、別の例示的な実施形態では、第1の切断エレメントと第2の切断エレメントとが、第1の切断エレメントの第1の切断エッジの切断領域が、第2の切断エレメントの第2の切断エッジから鉛直方向で離間しているように、互いに対して配置されている。
【0051】
別の例示的な実施形態によれば、第2の切断エレメントは、回転可能な切断エレメントであり、第2の切断エッジは、第2の切断エレメントの周囲に延びる切断エッジである。第2の切断エレメントは、駆動装置によって駆動されるかもしくは回転されてよい。代替的には、第2の切断エレメントは切断カッタであってよい。
【0052】
別の例示的な実施形態によれば、第1の切断エレメントおよび/または第2の切断エレメントは、円錐形状または円錐台形状を有している。たとえば、第1の切断エレメントおよび/または第2の切断エレメントは、その回転軸線に接して取付け領域を有している。この取付け領域は、取付け平面に形成されている。周囲に延びる第1の切断エッジは、第1の切断平面内もしくは第2の切断平面内に延びている。取付け平面は、第1の切断平面もしくは第2の切断平面から対応する回転軸線に沿って離間している。周囲に延びる第1の切断エッジと取付け領域との間に、第1の切断エレメントの切断面が形成されていて、周囲に延びる第2の切断エッジと取付け領域との間に、第2の切断エレメントの切断面が形成されている。
【0053】
別の例示的な実施形態によれば、第1の切断エレメントの第1の切断エッジもしくは第2の切断エレメントの第2の切断エッジは湾曲して(bombiert)歯を形成されて(かつたとえば凹状のディスクとして)構成されている。湾曲した構成とは、第1の切断エッジもしくは第2の切断エッジに凹設部または隆起部(歯列)が形成されていることを意味している。したがって、れき条の分離時の第1の切断エレメントもしくは第2の切断エレメントの改善された切断作用を達成することができる。特に第1の切断エレメントの球状の構成により、第1の切断エレメントに沿ってガイドされるれき条が反転されるので、モールドボードもしくはガイド金属薄板の取り付けは不要であってよい。
【0054】
別の例示的な実施形態によれば、プラウ装置は、モールドボードを有している。このモールドボードは、耕起方向に沿って第1の切断エレメントの第1の切断領域の背後で支持体構造に配置されている。モールドボードは、搬送面を有している。この搬送面に沿って、れき条が地面からの分離後に搬送可能である。モールドボードは、ガイド金属薄板と同一であってよく、このガイド金属薄板に統合されて形成されていてよい。搬送面は、この搬送面に沿ったれき条の移動時に、れき条が反転可能であるように曲げられているか、もしくは螺旋形に形成されている。
【0055】
第1の切断エレメントの回転に基づいて、分離されたれき条は、僅かに上昇し、かつモールドボードの搬送面上に置かれる。耕起方向に沿ったプラウ装置の運動時に、れき条は、モールドボードに沿ってかつ対応して耕起方向とは反対方向に移動する。モールドボードは、曲げられた螺旋状の捩れを有している。捩れ軸線は、たとえば耕起方向に対して平行である成分を有している。したがって、分離されたれき条が反転されるという機能が得られる。換言すると、モールドボードはれき条を収容し、このれき条をまずその曲げられた形状に基づいて上昇させ、かつれき条を次いで側方に置くことができる。このプロセスを「反転」と呼ぶ。反転角度は約130°である。モールドボードは、ガイド金属薄板と統合されて一体的に形成されていてよい。
【0056】
別の例示的な実施形態によれば、モールドボードは、第1の切断エレメントを収容するための収容領域を有している。第1の切断エレメントは、第1の切断エッジの第1の切断領域が耕起方向でモールドボードから突出しているように、モールドボード内に収容されている。たとえば、第1の切断エレメントは、第1の切断エレメントの1つの領域がモールドボードとオーバラップし、特に第1の切断エレメントの回転軸線の方向で見てオーバラップしているように、モールドボードに対して配置されていてよい。この場合、第1の切断領域のみがモールドボードから耕起方向で突出している。
【0057】
さらにモールドボードの収容領域は、凹設部を有していてよい。この凹設部は、第1の切断エレメントの寸法もしくはプロフィールに適合されている。特に、モールドボードの収容領域は切欠きを有していてよい。この切欠きは、円弧状の延在形状を有している。この延在形状は、第1の切断エレメントの周囲に延びる第1の切断エッジの円周延在形状に対応して形成されている。
【0058】
別の例示的な実施形態によれば、支持体構造は、第1の切断エレメントおよび/または第2の切断エレメントが耕起方向に沿って、モールドボードに対して調節可能であるように、形成されている。たとえば、第1の切断エレメントおよび第2の切断エレメントは、支持体構造の長孔内に係合することができるピン結合部によって、支持体構造に移動可能に取り付けることができる。耕起方向に沿った第1の切断エレメント、第2の切断エレメントおよび支持体構造との間隔の調節により、プラウ装置は様々な土壌種類の特別な条件に合わせて調節することができ、効率を最適化することができる。
【0059】
別の例示的な実施形態によれば、支持体構造は、第1の切断エレメントが回転軸線の方向成分に沿ってモールドボードに対して調節可能であるように、形成されている。したがって、たとえば第1の切断エレメントとモールドボードとの間の間隔を後調節することができ、もしくは所望の土壌条件に合わせて調節することができる。
【0060】
別の例示的な実施形態によれば、支持体構造は、第1の切断エレメントの第1の切断エッジの第1の切断領域と、第2の切断エレメントの第2の切断エッジとの間の間隔が調節可能であるように、形成されている。
【0061】
したがって、プラウ装置は容易に牽引することができる予備プラウ効果を可能にする。これにより、摩擦係数は従来の固定されたプラウボディに比べて著しく減少する。
【0062】
説明したプラウ装置を用いると、プラウ装置の容易な牽引性により牽引力/燃料削減が可能になる。さらにプラウ装置は、汎用的に使用可能であり、ほぼすべての土壌状況において機能する。さらに、切断皿の回転運動によってれき条は連続的に砕かれる。これにより、土塊の所望の破砕(土塊細分化)が達成される。土塊細分化効果により、後処理工程を減じることができる(播種床準備に至るまでの作業工程の削減)。特に土壌が有利に混合される。さらに、肥料散布機および円板コールタのような従来の標準構成部材もしくは標準付加処理器具はもはや必要ない。回転する第1の切断エレメントおよび/または第2の切断エレメントにより、より少ない摩耗が生じ、ひいてはより少ない交換部分コストが生じる。
【0063】
別の例示的な実施形態によれば、プラウ装置は、周囲に延びる別の第1の切断エッジを備える回転可能な別の第1の切断エレメントを有している。別の第1の切断エレメントは、支持体構造において、耕起方向に対して垂直方向で離間して第1の切断エレメントの隣に配置されていて、以下のように形成されている。すなわち、耕起方向に沿った地面上での支持体構造の運動時に、別のれき条の別の側部領域が、地面から別の第1の切断エッジの別の第1の切断領域によって切離し可能であり、別の第1の切断エレメントは回転可能であるので、別のれき条は別の第1の切断エレメントによって上昇可能であるようになっている。
【0064】
上述の実施形態により、複数の第1の切断エレメントが耕起方向で相並んで、つまり耕起方向に対して垂直(水平方向平面)な方向に沿って離間して相並んで配置されていてよいことが明らかである。したがって、耕起方向で相並んで配置された複数のれき条を第1の切断エレメントによって地面から切断し、上昇させ、場合によっては反転することができる。好適な実施形態では、対応して別の第2の切断エレメントを、対応する別の第1の切断エレメントに前置することができる。
【0065】
例示的な実施形態では、第1の切断エレメントおよび第2の切断エレメントが交換可能に(たとえばねじ結合部を用いて)支持体構造に配置されている。たとえば、第2の切断エレメントは、水平方向の切断ディスクとして(たとえばプラウシェアの)支持体構造に後装備することができる。
【0066】
本発明の第2の観点によれば、地面を耕起するための方法が提供される。方法は以下の方法ステップを有している。支持体構造を地面上で実施すべき耕起方向に沿って運動させ、これに地面のれき条の側部領域の切離しが続く。このためには、第1の切断エレメントの第1の切断エッジの第1の切断領域が設けられている。第1の切断エレメントは支持体構造に配置されている。特に、地面のれき条の底部領域の切離しは、第2の切断エレメントの第2の切断エッジの第2の切断領域によって行われる。この第2の切断エレメントも支持体構造に配置されている。耕起方向で、第2の切断エレメントの第2の切断領域が、第1の切断エレメントの第1の切断領域に先行している。
【0067】
好適には、第2の切断エレメントの、耕起方向で規定された設定角αを機械的または液圧式または電気的に調節する。これにより、牽引力条件および耕起結果を様々な土壌品質および使用条件を考慮しながら変更することができる。
【0068】
なお、簡単な理解のために「水平方向」および「鉛直方向」ならびに「上」および「下」という概念は、プラウ装置の配置および構成に関し、その際にプラウ装置は規定通りに地面上に置かれ、耕起運転において処理方向に沿って運動可能であるように観察される。
【0069】
なお、ここで説明された実施形態は、専ら本発明の可能な実施形態における制限された選択肢を示すものである。したがって、個別の実施形態の特徴を適切な形式で互いに組み合わせることが可能であるので、当業者にとって、本明細書において明示された実施形態により、様々な多数の実施形態は明らかに開示されたものとして見なすことができる。特に、本発明の幾つかの実施形態は装置クレームにより記載され、本発明の別の実施形態は方法クレームにより記載される。しかし当業者にとって本出願の教示において、別に明示されて記載されない限り、本発明の対象の1つのタイプに属している特徴の組み合わせに対して付加的に、本発明の対象の互いに異なるタイプに属している特徴の任意の組み合わせも可能であることは自明である。
【0070】
以下に本発明をさらに説明し、良好に理解するために複数の実施例を添付の図面を参照しながら詳しく説明する。