特許第6961739号(P6961739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961739配送管理装置、配送システム、及び配送管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961739
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】配送管理装置、配送システム、及び配送管理方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   B65G61/00 524
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-43083(P2020-43083)
(22)【出願日】2020年3月12日
(65)【公開番号】特開2021-143052(P2021-143052A)
(43)【公開日】2021年9月24日
【審査請求日】2020年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田爪 敏明
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−131361(JP,A)
【文献】 特開平02−100913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
B65G 1/00
G06Q 50/00
G06Q 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周にあり互いに異なる方向を向く複数の面と、それぞれ前記複数の面のうちいずれかに取出し口を有し荷物を格納可能な複数の格納部とを含む無人で移動可能な配送機により運搬される複数の荷物と、前記複数の荷物のそれぞれをユーザが受け取る受取場所とを含む配送情報を取得する取得部と、
前記複数の荷物のそれぞれの受取場所に基づいて、前記複数の荷物のそれぞれを格納する格納部の取出し口を有する面を決定する決定部と、
前記複数の荷物のそれぞれを前記決定された面に取出し口を有する格納部へ格納させるための情報を出力する出力部と、
を含む配送管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の配送管理装置であって、
前記決定部は、前記複数の荷物のそれぞれの受取場所と、前記複数の荷物のそれぞれの配送先となるユーザとに基づいて、前記複数の荷物のそれぞれを格納する格納部の取出し口を有する面を決定する、
配送管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の配送管理装置であって、
前記決定部は、前記複数の荷物のうち複数の配送先となるユーザが同一である場合に、前記複数の荷物のうち複数を格納する格納部の取出し口を有する面が同一となるように前記面を決定する、
配送管理装置。
【請求項4】
荷物を格納する格納部の取出し口が設けられ互いに異なる方向を向く複数の面を含む無人で移動可能な配送機により運搬される複数の荷物と、前記複数の荷物のそれぞれをユーザが受け取る受取場所とを含む配送情報を取得する取得部と、
前記複数の荷物のそれぞれの受取場所に基づいて、前記複数の荷物のそれぞれを格納する格納部の取出し口を有する面を決定する決定部と、
前記複数の荷物のそれぞれを前記決定された面に取出し口を有する格納部へ格納させるための情報を出力する出力部と、を含み、
前記決定部は、前記配送機の格納部であって、空いている格納部が最も多い面に取出し口を有する格納部に最も配送される荷物の数が多い受取場所へ配送される荷物を割当て、
前記決定部は、割り当てられていない格納部へ残りの荷物を割り当てる、
配送管理装置。
【請求項5】
荷物を格納する格納部の取出し口が設けられ互いに異なる方向を向く複数の面を含む無人で移動可能な配送機により運搬される複数の荷物と、前記複数の荷物のそれぞれをユーザが受け取る受取場所とを含む配送情報を取得する取得部と、
前記複数の荷物のそれぞれの受取場所に基づいて、前記複数の荷物のそれぞれを格納する格納部の取出し口を有する面を決定する決定部と、
前記複数の荷物のそれぞれを前記決定された面に取出し口を有する格納部へ格納させるための情報を出力する出力部と、を含み、
前記決定部は受取場所ごとの配送される荷物の数を取得し、配送される荷物の数で受取場所をソートし、
前記決定部は、ソートされたk番目(kは1以上受取場所の数以下の整数)の受取場所を空いている格納部が最も多い面に取出し口を有する格納部に割当てることを繰り返す、
配送管理装置。
【請求項6】
外周にあり互いに異なる方向を向く複数の面と、それぞれ前記複数の面のうちいずれかに取出し口を有し荷物を格納可能な複数の格納部とを含む無人で移動可能な配送機と、
前記配送機により運搬される複数の荷物と、前記複数の荷物のそれぞれをユーザが受け取る受取場所とを含む配送情報を取得する取得部と、
前記複数の荷物のそれぞれの受取場所に基づいて、前記複数の荷物のそれぞれを格納する格納部の取出し口を有する面を決定する決定部と、
前記複数の荷物のそれぞれを前記決定された面に取出し口を有する格納部へ格納させるための情報を出力する出力部と、
を含む配送システム。
【請求項7】
請求項6に記載の配送システムであって、
前記複数の荷物の一部であって、所与の受取場所において前記ユーザが受け取る1または複数の荷物の取出し口が設けられる面に基づいて、前記所与の受取場所における前記配送機の待機位置および向きを制御する配送機制御部をさらに含む、
配送システム。
【請求項8】
請求項7に記載の配送システムであって、
前記配送機制御部は、所与の受取場所において前記ユーザが受け取る1または複数の荷物の取出し口が設けられる面が、前記受取場所における周囲の物体に隣接しないように、前記配送機の待機位置および向きを制御する、
配送システム。
【請求項9】
外周にあり互いに異なる方向を向く複数の面と、それぞれ前記複数の面のうちいずれかに取出し口を有し荷物を格納可能な複数の格納部とを含む無人で移動可能な配送機により運搬される複数の荷物と、前記複数の荷物のそれぞれをユーザが受け取る受取場所とを含む配送情報を取得するステップと、
前記複数の荷物のそれぞれの受取場所に基づいて、前記複数の荷物のそれぞれを格納する格納部の取出し口を有する面を決定するステップと、
前記複数の荷物のそれぞれを前記決定された面に取出し口を有する格納部へ格納させるための情報を出力するステップと、
を含む配送管理方法。
【請求項10】
荷物を格納する格納部の取出し口が設けられ互いに異なる方向を向く複数の面を含む無人で移動可能な配送機と、
前記配送機により運搬される複数の荷物と、前記複数の荷物のそれぞれをユーザが受け取る受取場所とを含む配送情報を取得する取得部と、
前記複数の荷物のそれぞれの受取場所に基づいて、前記複数の荷物のそれぞれを格納する格納部の取出し口を有する面を決定する決定部と、
前記複数の荷物のそれぞれを前記決定された面に取出し口を有する格納部へ格納させるための情報を出力する出力部と、を含み、
前記決定部は、前記配送機の格納部であって、空いている格納部が最も多い面に取出し口を有する格納部に最も配送される荷物の数が多い受取場所へ配送される荷物を割当て、
前記決定部は、割り当てられていない格納部へ残りの荷物を割り当てる、
配送システム。
【請求項11】
荷物を格納する格納部の取出し口が設けられ互いに異なる方向を向く複数の面を含む無人で移動可能な配送機により運搬される複数の荷物と、前記複数の荷物のそれぞれをユーザが受け取る受取場所とを含む配送情報を取得するステップと、
前記複数の荷物のそれぞれの受取場所に基づいて、前記複数の荷物のそれぞれを格納する格納部の取出し口を有する面を決定するステップと、
前記複数の荷物のそれぞれを前記決定された面に取出し口を有する格納部へ格納させるための情報を出力するステップと、を含み、
前記決定するステップでは、前記配送機の格納部であって、空いている格納部が最も多い面に取出し口を有する格納部に最も配送される荷物の数が多い受取場所へ配送される荷物を割当て、割り当てられていない格納部へ残りの荷物を割り当てる、
配送管理方法。
【請求項12】
荷物を格納する格納部の取出し口が設けられ互いに異なる方向を向く複数の面を含む無人で移動可能な配送機と、
前記配送機により運搬される複数の荷物と、前記複数の荷物のそれぞれをユーザが受け取る受取場所とを含む配送情報を取得する取得部と、
前記複数の荷物のそれぞれの受取場所に基づいて、前記複数の荷物のそれぞれを格納する格納部の取出し口を有する面を決定する決定部と、
前記複数の荷物のそれぞれを前記決定された面に取出し口を有する格納部へ格納させるための情報を出力する出力部と、を含み、
前記決定部は受取場所ごとの配送される荷物の数を取得し、配送される荷物の数で受取場所をソートし、
前記決定部は、ソートされたk番目(kは1以上受取場所の数以下の整数)の受取場所を空いている格納部が最も多い面に取出し口を有する格納部に割当てることを繰り返す、
配送システム。
【請求項13】
荷物を格納する格納部の取出し口が設けられ互いに異なる方向を向く複数の面を含む無人で移動可能な配送機により運搬される複数の荷物と、前記複数の荷物のそれぞれをユーザが受け取る受取場所とを含む配送情報を取得するステップと、
前記複数の荷物のそれぞれの受取場所に基づいて、前記複数の荷物のそれぞれを格納する格納部の取出し口を有する面を決定するステップと、
前記複数の荷物のそれぞれを前記決定された面に取出し口を有する格納部へ格納させるための情報を出力するステップと、を含み、
前記決定するステップでは、受取場所ごとの配送される荷物の数を取得し、配送される荷物の数で受取場所をソートし、
前記決定するステップでは、ソートされたk番目(kは1以上受取場所の数以下の整数)の受取場所を空いている格納部が最も多い面に取出し口を有する格納部に割当てることを繰り返す、
配送管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送管理装置、配送システム、及び配送管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無人で移動可能な配送機(以下ではUGV(Unmanned Ground Vehicle)とも記載する)により、配送拠点から住居などの配送先へ荷物の配送を行うことが可能になっている。UGVが配送先に到着すると、荷物の受取人がUGVに格納される荷物を受け取る。
【0003】
特許文献1には、無人配送機の側面の扉に格納されている荷物を受け取る際に、ユーザが認証キーを入力し、記録されている配送命令と入力されたユーザ認証キーとが適合すると判断された場合に、無人配送機はユーザあての荷物が収容されている扉を開くことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−58656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者は、荷物を格納する複数の格納部を有し、無人で移動可能な配送機、特に、複数の面に格納部の取出し口が設けられる配送機を用いた配送のサービス向上を検討している。
【0006】
配送機が特定の受取場所で荷物の受け渡しを行う場合、その受取場所に十分なスペースがあるとは限らない。スペースが限定されると、例えば荷物の取出し口があるすべての面に容易にアクセスをさせることが難しいなど、荷物の受取に関する問題が生じやすくなる。
【0007】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであって、その目的は、無人で移動可能な配送機からユーザが荷物を受け取る際に生じる問題を軽減する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る配送管理装置は、荷物を格納する格納部の取出し口が設けられ互いに異なる方向を向く複数の面を含む無人で移動可能な配送機により運搬される複数の荷物と、前記複数の荷物のそれぞれをユーザが受け取る受取場所とを含む配送情報を取得する取得部と、前記複数の荷物のそれぞれの受取場所に基づいて、前記複数の荷物のそれぞれを格納する格納部の取出し口を有する面を決定する決定部と、
前記複数の荷物のそれぞれを前記決定された面に取出し口を有する格納部へ格納させるための情報を出力する出力部と、を含む。
【0009】
本発明の一形態では、前記決定部は、前記複数の荷物のそれぞれの受取場所と、前記複数の荷物のそれぞれの配送先となるユーザとに基づいて、前記複数の荷物のそれぞれを格納する格納部の取出し口を有する面を決定してもよい。
【0010】
本発明の一形態では、前記決定部は、前記複数の荷物のうち複数の配送先となるユーザが同一である場合に、前記複数の荷物のうち複数を格納する格納部の取出し口を有する面が同一となるように前記面を決定してもよい。
【0011】
本発明の一形態では、前記決定部は、前記配送機の格納部であって、空いている格納部が最も多い面に取出し口を有する格納部に最も配送される荷物の数が多い受取場所へ配送される荷物を割当て、前記決定部は、割り当てられていない格納部へ残りの荷物を割り当ててよい。
【0012】
本発明の一形態では、前記決定部は受取場所ごとの配送される荷物の数を取得し、配送される荷物の数で受取場所をソートし、前記決定部は、ソートされたk番目(kは1以上受取場所の数以下の整数)の受取場所を空いている格納部が最も多い面に取出し口を有する格納部に割当てることを繰り返してよい。
【0013】
本発明に係る配送システムは、荷物を格納する格納部の取出し口が設けられ互いに異なる方向を向く複数の面を含む無人で移動可能な配送機と、前記配送機により運搬される複数の荷物と、前記複数の荷物のそれぞれをユーザが受け取る受取場所とを含む配送情報を取得する取得部と、前記複数の荷物のそれぞれの受取場所に基づいて、前記複数の荷物のそれぞれを格納する格納部の取出し口を有する面を決定する決定部と、前記複数の荷物のそれぞれを前記決定された面に取出し口を有する格納部へ格納させるための情報を出力する出力部と、を含む。
【0014】
本発明の一形態では、前記複数の荷物の一部であって、所与の受取場所において前記ユーザが受け取る1または複数の荷物の取出し口が設けられる面に基づいて、前記所与の受取場所における前記配送機の待機位置および向きを制御する配送機制御部をさらに含んでよい。
【0015】
本発明の一形態では、前記配送機制御部は、所与の受取場所において前記ユーザが受け取る1または複数の荷物の取出し口が設けられる面が、前記受取場所における周囲の物体に隣接しないように、前記配送機の待機位置および向きを制御してよい。
【0016】
本発明に係る配送管理方法は、荷物を格納する格納部の取出し口が設けられ互いに異なる方向を向く複数の面を含む無人で移動可能な配送機により運搬される複数の荷物と、前記複数の荷物のそれぞれをユーザが受け取る受取場所とを含む配送情報を取得するステップと、前記複数の荷物のそれぞれの受取場所に基づいて、前記複数の荷物のそれぞれを格納する格納部の取出し口を有する面を決定するステップと、前記複数の荷物のそれぞれを前記決定された面に取出し口を有する格納部へ格納させるための情報を出力するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザが無人で移動可能な配送機から荷物を受け取る際に生じる問題を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態にかかる荷物配送システムの構成の一例を示す図である。
図2】配送機の一例を示す斜視図である。
図3】配送拠点、受取場所および配送機の関係の一例を示す図である。
図4】配送先の受取場所に待機する配送機を説明する図である。
図5】荷物配送システムが実現する機能を示すブロック図である。
図6】荷物配送システムの処理の一例を示すフロー図である。
図7】格納決定部の処理の一例を示すフロー図である。
図8】荷物を格納部へ割り当てる処理を説明する図である。
図9】荷物を格納部へ割り当てる処理を説明する図である。
図10】受取場所における配送機の処理の一例を示すフロー図である。
図11】受取場所における配送機の処理の一例を示すフロー図である。
図12】受取場所における配送機の転回を説明する図である。
図13】受取場所における配送機の転回を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。同じ符号を付された構成に対しては、重複する説明を省略する。本実施形態では、配送先として複数のユーザが居住する集合住宅などに荷物を配送する荷物配送システムについて説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態にかかる荷物配送システムの構成の一例を示す図である。図1に示すように、荷物配送システムは、1または複数の配送機1と、中央サーバ2と、配送拠点6に設置される拠点管理サーバ3と、を含む。配送拠点6は配送機1へユーザあての荷物を格納するための拠点である。
【0021】
配送機1は、運転手が乗車せず無人の自動制御により地上を走行し、荷物を配送する機器である、配送機1はUnmanned Ground Vehicle(UGV)と呼ばれる。図1には、1つの配送機1が記載されているが、複数の配送機1が存在してよい。配送機1は、無線通信を介して中央サーバ2と通信接続されている。無線通信は、LTE(Long Term Evolution)などの通信規格に基づくものであってよい。
【0022】
中央サーバ2は、配送機1、拠点管理サーバ3と通信し、それらを管理する。
【0023】
図2は、配送機1の一例を示す斜視図である。図1および図2に示されるように、配送機1は、プロセッサ11、記憶部12、通信部13、入出力部14、センサ部15、複数の格納部16、図示しない駆動部を含む。
【0024】
プロセッサ11は、記憶部12に記憶されたプログラムやデータに従って処理を実行する。またプロセッサ11は通信部13、入出力部14、センサ部15、格納部16を制御する。
【0025】
記憶部12は、RAMなどの揮発性メモリと、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリとを含む。記憶部12はさらにハードディスクなどの記憶装置を含んでもよい。記憶部12は、上記プログラムを格納する。また、記憶部12は、プロセッサ11、通信部13、入出力部14から入力される情報や演算結果を格納する。上記プログラムは、インターネット等を介して提供されてもよいし、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよい。
【0026】
通信部13は、無線通信用の通信インタフェースを実現する集積回路等を含む。通信部13は、プロセッサ11の制御に基づいて、他の装置から受信した情報をプロセッサ11や記憶部12に入力し、他の装置に情報を送信する。
【0027】
入出力部14は、表示出力デバイスや、入力デバイス、およびそれらとのインタフェースにより構成される。入出力部14は、具体的にはディスプレイ付きタッチパネル(以下では「入力パネル」と記載する)であり、認証情報(例えばPINコードおよびパスコード)を入力するために用いられる。入出力部14は、ディスプレイおよび物理ボタンであってもよいし、他の種類の表示出力デバイスおよび入力デバイスであってもよい。入出力部14は、プロセッサ11の制御に基づいて、表示出力デバイスに画像を表示させ、入力デバイスからユーザが入力するデータを取得する。センサ部15は、周辺の障害物の大きさおよび位置を認識するライダーとカメラとを含む。
【0028】
複数の格納部16は、荷物を格納する領域である。配送機1は、その外周に、格納部16の取出し口(図2の例では扉)が配置され互いに異なる方向(図2の例では互いに反対)を向く側面19a,19bと、それらの側面19a,19bと異なる方向を向き入出力部14が配置される面である端部18bと、端部18bに対向する面である端部18aと、を有する。以下では説明の都合により、側面19aをL面、側面19bをR面と記載することがある。図2の例では格納部16の取出し口が配置される面の数は2であるが、3以上であってもよい。
【0029】
配送機1の側面19a,19bのそれぞれには複数の格納部16が設けられる。格納部16のそれぞれには取出し口(図2の例では扉)が設けられており、その取出し口には鍵が設けられている。格納部16は、電気的に取出し口の鍵の施錠、解錠を制御する回路も含み、内部に荷物の有無を検知するセンサが配置される。配送機1の上面にはライダーが設けられ、端部18aには図示しないカメラが設けられている。
【0030】
中央サーバ2は、プロセッサ21、記憶部22、通信部23、入出力部24を含み拠点管理サーバ3はプロセッサ31、記憶部32、通信部33、入出力部34を含む。中央サーバ2は1台の物理サーバであってもよいし、いわゆるクラウドのように、複数の物理サーバにより構成されてもよい。拠点管理サーバ3も1台の物理サーバであってもよいし、複数の物理サーバであってもよい。
【0031】
プロセッサ21,31は、それぞれ記憶部22,32に記憶されたプログラムやデータに従って処理を実行する。またプロセッサ21,31はそれぞれ通信部23,33、入出力部24,34を制御する。
【0032】
記憶部22,32は、RAMなどの揮発性メモリと、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリと、ハードディスクなどの記憶装置とを含む。記憶部22,32は、上記プログラムを格納する。また、記憶部22,32は、それぞれプロセッサ21,31、通信部23,33、入出力部24,34から入力される情報や演算結果を格納する。上記プログラムは、インターネット等を介して提供されてもよいし、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよい。
【0033】
通信部23,33は、有線通信用の通信インタフェースを実現する集積回路等を含む。通信部23,33は、それぞれプロセッサ21,31の制御に基づいて、他の装置から受信した情報をプロセッサ21,31や記憶部22,32に入力し、他の装置に情報を送信する。なお、通信部23は、通信ネットワークおよび通信ネットワークに含まれる無線通信機器を介して配送機1および拠点管理サーバ3と通信してよいし、通信部33は、通信ネットワークおよび通信ネットワークに含まれる無線通信機器を介して中央サーバ2および配送機1と通信してよい。
【0034】
入出力部24,34は、表示をコントロールするビデオコントローラや、入力デバイスからのデータを取得するコントローラなどにより構成される。入力デバイスとしては、タッチパネル、キーボード、マウスなどがある。入出力部24,34は、プロセッサ21,1の制御に基づいて、表示出力デバイスに表示データを出力し、入力デバイスをユーザが操作することにより入力されるデータを取得する。
【0035】
ユーザから商品が注文され、その商品を含む荷物がユーザへ配送される際の概要について説明する。はじめに商品を所有する倉庫から配送拠点6へその商品を含む荷物が輸送され、配送拠点6において、拠点管理サーバ3が中央サーバ2から配送情報を取得し、拠点管理サーバ3の指示に基づいて、例えば配送拠点の従業員が配送機1にユーザ向けの荷物を格納する。配送機1は1つの集合住宅(配送先に相当)に居住する複数のユーザ向けの複数の荷物を格納してよい。
【0036】
図3は、配送拠点6、受取場所7および配送機1の関係の一例を示す図である。図3には受取場所7a,7bが示されており、以下で特に区別しない場合は受取場所7と記載する。荷物が格納された配送機1は中央サーバ2または拠点管理サーバ3の指示に基づいて配送先へ移動する。配送機1が配送先の受取場所7(例えば集合住宅のエントランス)に到着すると、中央サーバ2はユーザへ、荷物の受取の際のユーザの認証に用いる認証情報とともに到着を知らせる通知を送信する。受取場所7は、配送機1がユーザの到着を待機する領域であり、配送先には1つ以上の受取場所が設けられ、例えばある配送先について1の受取場所が配送機1で埋まっている場合には、配送機1はその配送先の他の受取場所7において待機してよい。
【0037】
ユーザが配送機1に向けて移動し到着すると、ユーザは配送機1の入出力部14に対して認証情報を入力する。認証情報によりユーザが認証されると配送機1はそのユーザ向けの荷物を格納する格納部16の取出し口を解錠し、ユーザはその格納部16から荷物を受け取る。
【0038】
図4は配送先の受取場所7に待機する配送機1を説明する図である。図4に示されるように、受取場所7における待機の際に、配送機1の側面19a,19bのうち一方を壁面などの物体に隣接させることが望ましい。格納部16の取出し口の前にユーザが荷物を受け取るための十分なスペースを確保しつつ、通行人の往来を妨げないようにするためである。この場合、この受取場所7において受け取られる荷物を格納する格納部16の取出し口をできるかぎり複数の側面19a,19bのうち1つにまとめた方が、利便性が高い。以下では、荷物を格納する格納部16を割り当てる手法の詳細、および荷物の受け取る際の配送機1の動作について説明する。
【0039】
図5は、荷物配送システムが実現する機能を示すブロック図である。荷物配送システムは、機能的に、配送情報取得部51と、格納決定部52と、割当出力部53と、配送機制御部54と、を含む。配送機制御部54は、配送機1に含まれるプロセッサ11が記憶部12に格納されるプログラムを実行し、通信部13、入出力部14、センサ部15を制御することにより実現される。配送情報取得部51と、格納決定部52と、割当出力部53との処理は、拠点管理サーバ3に含まれるプロセッサ31が記憶部32に格納されるプログラムを実行し、通信部33および入出力部34を制御することにより実現されてよい。また配送情報取得部51と、格納決定部52と、割当出力部53との処理のうち一部またが全部は、中央サーバ2に含まれるプロセッサ21が記憶部22に格納されるプログラムを実行し、通信部23を制御することにより実現されてもよい。配送機制御部54のうち一部の処理は、中央サーバ2に含まれるプロセッサ21が記憶部22に格納されるプログラムを実行し、通信部23を制御することにより実現されてもよいし、複数のサーバに含まれるプロセッサ21が記憶部22に格納されるプログラムを実行し、通信部23を制御することにより実現されてもよい。
【0040】
配送情報取得部51は、配送機1により運搬される複数の荷物と、その複数の荷物のそれぞれを受け取るユーザと、その複数の荷物のそれぞれをユーザが受け取る受取場所を示す情報とを含む配送情報を取得する。
【0041】
格納決定部52は、複数の荷物のそれぞれの受取場所に基づいて、その複数の荷物のそれぞれを格納する格納部16の取出し口を有する面を決定する。格納決定部52は、面を決定する際に、その荷物を格納する格納部16も決定してよい。以下では、格納決定部52は、面とともに格納部16を決定するものとして説明する。本実施形態では、格納決定部52は、複数の荷物のそれぞれの受取場所と、その複数の荷物のそれぞれの配送先となるユーザとに基づいて、複数の荷物のそれぞれを格納する格納部16の取出し口を有する面を決定する。より具体的には、格納決定部52は、複数の荷物のうち複数について配送先となるユーザが同一である場合に、複数の荷物のうちその複数を格納する格納部16の取出し口を有する面が同一となるようにその面を決定する。
【0042】
割当出力部53は、複数の荷物のそれぞれを、決定された面に取出し口を有する格納部16へ格納させるための情報を出力する。この情報は、ディスプレイや紙に出力され配送拠点6のスタッフによりその情報が視認されてもよいし、荷物を格納するロボットに向けて出力されてもよい。また、割当出力部53は、配送機1の配送機制御部54へ向けて、複数の荷物のそれぞれについて、配送先となるユーザの情報および格納部16の情報を送信する。
【0043】
配送機制御部54は、配送機1の動作を制御する。より具体的には、配送機1の配送拠点6から受取場所7への移動、受取場所7における待機、ユーザによる荷物の受け取りを制御する。配送機制御部54は、予め、荷物を格納する格納部16および荷物の受取場所7、荷物の配送先となるユーザに関する情報を割当出力部53より受信する。受取場所7における待機について、配送機制御部54は、複数の荷物の一部であって、ある受取場所7においてユーザが受け取る1または複数の荷物の取出し口が設けられる面に基づいて、その受取場所7における配送機1の待機位置および向きを制御する。より具体的には、配送機制御部54は、ある受取場所7においてユーザが受け取る1または複数の荷物の取出し口が設けられる面が、受取場所7における周囲の物体に隣接しないように、配送機1の待機位置および向きを制御する。
【0044】
配送機制御部54は、配送機1のライダー、GPSにより取得されたデータに基づいて配送機1の配送拠点6から配送先への移動、および配送先から配送拠点6への移動を制御する。配送機制御部54は、配送機1に取り付けられたカメラにより取得されたデータに基づいて移動を制御してもよい。配送機制御部54の機能の一部は、サーバコンピュータにより実現されてもよい。
【0045】
配送機制御部54は、配送機1の格納部16に格納される荷物のユーザへの受け渡しを制御する。より具体的には、配送機制御部54は、ユーザにより入力される認証情報を入出力部14から受け付ける。そして、配送機1が認証情報に基づいてユーザを認証すると、認証されたユーザ向けの荷物を格納する格納部16の鍵(厳密には格納部16の取出し口の鍵)を解錠する。配送機制御部54は、また格納部16に設けられたセンサの出力に基づいて格納部16内の荷物がなくなったか否か(ユーザが荷物を受け取ったか否か)を検出する。配送機制御部54はユーザが荷物を受け取ったことを検出すると、ユーザに荷物を配送したことを示す配送完了情報を中央サーバ2へ送信する。なお中央サーバ2は配送完了情報に基づいてユーザへ配送完了通知を送信する。
【0046】
図6は、荷物配送システムの処理の一例を示すフロー図である。はじめに配送情報取得部51は、ある配送機1が配送する複数の荷物、それぞれの荷物を受け取るユーザ、およびそれぞれの荷物の受取場所を含む配送情報を取得する(ステップS201)。配送情報が取得されると、格納決定部52は、受取場所7ごとに荷物の数を集計する(ステップS202)。格納決定部52は、荷物が多い順で受取場所7をソートする(ステップS203)。
【0047】
格納決定部52は、ソートされた複数の受取場所7のうち1番目の受取場所を選択する(ステップS204)。格納決定部52は、選択された受取場所へ配送する荷物を格納部16に割り当てる(ステップS205)。この際に選択された受取場所へ配送する荷物を格納する格納部16の取出し口がある面も決定される。この処理の詳細は後述する。選択された受取場所へ配送する荷物が割り当てられると、格納決定部52はソートされた複数の受取場所7からすべての受取場所7が選択されたか判定する(ステップS206)。まだ選択されていない受取場所が存在する場合には(ステップS206のN)、格納決定部52はソートされた複数の受取場所のうちから次の受取場所7を選択し(ステップS207)、ステップS205以降の処理を繰り返す。一方、すべての受取場所がすでに選択されている場合には(ステップS206)、割当出力部53は格納部16のそれぞれに割り当てられた荷物の情報を出力する(ステップS208)。ここで出力される荷物の情報は、配送拠点6のスタッフに荷物のそれぞれを格納する格納部16を示す印刷または表示のための情報であってもよいし、荷物を格納するロボットに荷物を格納させる指示の情報であってもよい。
【0048】
次にステップS205の処理の詳細について説明する。図7は、格納決定部52の処理の一例を示すフロー図であり、ある受取場所7についてのステップS205の処理を示す図である。
【0049】
受取場所が選択されると、格納決定部52は選択された受取場所に配送する荷物について、ユーザごとに荷物の数を集計する(ステップS221)。ここで格納決定部52はユーザごとに集計する代わりに、ユーザグループごとに集計してもよい。ユーザグループのそれぞれは、例えば配送先の同じ部屋に住む1または複数のユーザを含んでよい。ユーザグループで集計する場合は、図7に示される各ステップにおいてユーザの代わりにユーザグループを用いた処理が実行される。
【0050】
集計がされると、格納決定部52は荷物の数が多い順でユーザをソートする(ステップS222)。そして格納決定部52は空き格納部16の取出し口の数Vが最も多い面を選択し(ステップS223)、1番目のユーザを選択する(ステップS224)。数Vは、その面に取出し口を有する格納部16の数と同値である。
【0051】
格納決定部52は、選択された面についての数Vが選択されたユーザの未割当の荷物の数s以上であるか判定する(ステップS226)。数Vが数sより小さい場合には(ステップS226のN)、格納決定部52は選択されたユーザのV個の荷物を選択された面の格納部16に割り当て(ステップS228)、現時点で空いている格納部16の取出し口が最も多い面を新たに選択し(ステップS229)、ステップS226から繰り返す。
【0052】
一方、数Vが数s以上である場合には(ステップS226のY)、格納決定部52は選択された面の格納部16へ選択されたユーザの未割当の荷物を割り当て(ステップS227)、ステップS230へ遷移する。ステップS230では、格納決定部52はすべてのユーザが選択されているか判定する(ステップS230)。選択されていないユーザが存在する場合には(ステップS230のN)、格納決定部52は次のユーザを選択し(ステップS231)、ステップS226以降の処理を繰り返す。一方、すべてのユーザがすでに選択されている場合には(ステップS230のY)、この受取場所に関するステップS205の処理を終了する。
【0053】
図7に示される処理により、ある受取場所の荷物は、極力、同じ面に取出し口を有する複数の格納部16に割り当てられる。また、同じユーザ向けの荷物は、同じ面に取出し口を有する格納部16に割り当てられる可能性がさらに高くなる。
【0054】
なお、図7に示される処理では、あるユーザの荷物を、極力、同じ面に取出し口を有する格納部16へ割り当てる処理を行っているがこの処理を行わなくてもよい。その場合には、ステップS222,S224,S230,S231の処理は行われなくてよい。またステップS226,S227の処理では、ユーザの未割当の荷物の数sの代わりに、その受取場所に配送される荷物の数が用いられてよいし、ステップS228において格納決定部52は、受取場所のV個の荷物を選択された面の格納部16に割り当てる。
【0055】
図8は、荷物を格納部16に割り当てる処理を説明する図である。図8においては、説明を容易にするため、L面,R面に取出し口を有する格納部16はそれぞれ5つであるとする。また荷物は角が丸い長方形で表されており、長方形の中の上段の文字は受取場所、下段の文字はユーザを示している。図8の例では、格納部16の数と同数(10個)の荷物の割り当てが行われ、受取場所A,B,C,Dに配送される荷物の数はそれぞれ4,3,2,1である。
【0056】
図8の例では、荷物の数が最も多い受取場所Aあての荷物を空き格納部16の数が最も多い面に割り当てる処理がはじめに行われる。最も数の多い受取場所の荷物を同一の面に取出し口を有する格納部16に割り当てられる可能性を高めるには、その受取場所の荷物を格納部16へ割り当てる処理をはじめに行うことが望ましい。また荷物の少ない受取場所では特に工夫しなくても同一の面に割り当てられる可能性が高い。またユーザについても同様の工夫をすることにより、同一の面に取出し口を有する格納部16に割り当てがされる可能性が高まっている。
【0057】
図9は、荷物を格納部16に割り当てる処理を説明する図である。図9の例は、受取場所Cについて複数の面に取出し口を有する格納部16への割り当てが生じてしまう例である。図9の例では、図8の例では、格納部16の数と同数(10個)の荷物の割り当てが行われ、受取場所A,B,C,Dに配送される荷物の数はそれぞれ3,3,3,1である。この場合、受取場所A,Bについては同一の面の格納部16へ割り当てが行われるが、受取場所Cの荷物は複数の面に取出し口を有する格納部16になってしまう。しかしながら、割当の際に、荷物の数の多いユーザを先に割り当てることにより、同一のユーザの荷物が同一の面の取出し口を有する格納部16に格納されやすくなっている。同じユーザの荷物が同じ面に割り当てられると、ユーザの荷物の受け取りがスムーズになり、しかも取出し口の前にスペースを確保するために受取の途中で配送機1を展開させる必要もない。
【0058】
なお、図7に示される処理は一例であり、処理フローは異なるものであってもよい。例えば、格納決定部52はユーザの荷物または受取場所の荷物が複数の面に割り当てられるか否かを検知し、その場合にはいくつか前に処理された受取場所の荷物の割り当てをキャンセルし、受取場所の順序を変えて他の割り当てを試してもよい。
【0059】
以下では受取場所における配送機1の動作について説明する。図10および11は、配送機1の処理の一例を示すフロー図である。図10および11に示される処理は、配送機1の格納部16に複数の荷物が格納され、記憶部12に、格納部16のそれぞれに格納される荷物の宛先となるユーザが記憶される状態から実行されるものとする。
【0060】
はじめに、配送機制御部54は、配送機1が次の配送先の受取場所へ向けて移動するよう制御する(ステップS102)。
【0061】
そして、配送機1が配送先の受取場所に到着すると、配送機制御部54は、センサ部15に含まれるライダーおよび/またはカメラを用いて、配送機1の周囲(例えば半径1.5m)に構造物があるか否か判定する(ステップS103)。周囲に構造物が存在する場合には(ステップS103のY)、配送機制御部54は、その構造部に対して、配送機1の側面19a,19bのうち一方が隣接するように移動する(ステップS104)。より具体的には、ステップS104において配送機制御部54は、入出力部14が構造物に隣接せず、かつ、側面19a,19bのうち一方が隣接するように移動する。一方、配送機1の周囲に構造物がない場合には(ステップS103のN)、ステップS104をスキップする。そして配送機1が待機を始め、その旨を中央サーバ2へ送信する。中央サーバ2はユーザへ配送機1の到着を示す通知を送信する。
【0062】
図4は、配送機1が受取場所において側面19bが構造物である壁に隣接するように移動している例を示している。ステップS103,S104の動作により、配送機1が待機する際に通行人がスムーズに通行することが可能になる。
【0063】
待機が始まると、配送機制御部54は、次に荷物を受け取るユーザを検知する(ステップS107)。検知は、ユーザが所有する端末の加速度センサやGPSセンサ等の出力に基づいて中央サーバ2がユーザの接近を判定し、その配送機制御部54がその判定結果を受け取ることにより検知してもよい。また配送機制御部54は、顔認識技術により、カメラにより撮影された画像から荷物の宛先となるユーザの顔が認識されるか否かに基づいてユーザの接近を検知してもよい。また中央サーバ2側で顔を認識してもよい。
【0064】
ユーザの接近が検知されると、配送機制御部54は、配送機1の外周を構成し格納部16が設けられる面のうち、推定されたユーザあての荷物を格納する格納部16の取出し口が設けられた面を特定する(ステップS108)。具体的には、配送機1は、記憶部12に格納された格納部16のそれぞれに格納される荷物の宛先となるユーザの情報に基づいて、推定されたユーザあての荷物を格納する格納部16を選択し、側面19a,19bのうち、選択された格納部16の取出し口が存在する面を推定された面として特定する。
【0065】
配送機制御部54は、ライダーによる周囲の検知結果に基づいて、特定された面が構造物(例えば壁)に隣接しているか判定する(ステップS109)。特定された面が構造物に隣接する場合には(ステップS109のY)、配送機制御部54は特定された面が構造物に隣接しないように配送機1の方向を変更する(ステップS110)。より具体的には配送機制御部54は、駆動部を制御することにより、特定された面と異なる面(例えば対向する面)が構造物に隣接するように配送機1の方向を変更する。ここで、配送機制御部54は、特定された面および入出力部14のどちらとも異なる面(例えば特定された側面に対向する側面)が構造物に隣接するように配送機1の方向を変更してよい。一方、特定された面が構造物に隣接しない場合には(ステップS109のN)、ステップS110の処理はスキップされる。
【0066】
図12,13は、配送先における配送機1の転回を説明する図である。図12には、転回前の配送機1が記載されている。ユーザaが次に荷物を受け取ると推定されると、配送機制御部54は、ユーザaあての荷物pが格納される側面19bを特定する。そして、特定された側面19bが壁に隣接しているので、配送機制御部54は配送機1が180度転回し、側面19bに対向する側面19aが壁に隣接する(図12参照)ように駆動部を制御する。
【0067】
ステップS109,110の処理が実行され、かつ、ユーザが配送機1のそばに到着する(厳密には人が配送機1の入出力部14の前に立つことが配送機1の人感センサにより検出される)と、配送機制御部54はユーザに認証情報(例えばPINコード)の入力を促す画面を入出力部14に出力させる(ステップS113)。その表示に従いユーザが認証情報を入力すると、配送機制御部54はユーザから入力される認証情報に基づいて、そのユーザの認証結果を取得する(ステップS114)。この処理は、中央サーバ2から予め送付された認証情報を検証する情報(例えば格納部16とPINコードとを紐づけた情報)に基づいて配送機制御部54がユーザを認証することにより行われてもよい。またその代わりに、配送機制御部54はユーザから入力される認証情報または認証情報を加工した情報(例えばハッシュ値)を中央サーバ2へ送信し、中央サーバ2からユーザの認証結果を受信してもよい。
【0068】
ユーザが認証されると、配送機制御部54は、認証されたユーザの荷物を格納する格納部16を特定する(ステップS115)。そして、配送機制御部54は、その特定された格納部16の取出し口の鍵を解錠する(ステップS116)。図8は、配送機制御部54により推定されたユーザが荷物の受け取りをする場合を示しており、この場合にはユーザaはスムーズに荷物pを取り出すことができる。
【0069】
なお、推定されたユーザと異なるユーザが認証された場合には、格納部16の受け取りに支障が出ることを防ぐために、ステップS116の後に、配送機制御部54がステップS109,S110の処理を行ってもよい。
【0070】
格納部16の取出し口が解錠されると、配送機制御部54はユーザによる荷物の受け取りを検出するまで待機する(ステップS117)。荷物の受け取りを検出すると、配送機制御部54は、この待機場所において格納部16に格納される荷物を受け取る他のユーザが存在するか判定する(ステップS118)。他のユーザが存在する場合には(ステップS118のY)、ステップS105以降の処理を繰り返す。一方、他のユーザが存在しない場合には(ステップS118のN)、配送機制御部54は、現在の配送先から、次の配送先または配送拠点へ向けて移動する(ステップS119)。
【0071】
この処理等からわかるように、ある受取場所において、荷物が格納される複数の格納部16の取出し口が複数の面に分散している場合、ユーザの受け取りの前に転回動作が行われる。荷物を格納部16に格納する際にその取出し口の面を極力同じにすることで、転回の回数を最小限にすることができ、よりユーザがスムーズに荷物を取り出すことができ、荷物の受け取りにかかる時間を短縮することが可能になる。
【符号の説明】
【0072】
1 配送機、2 中央サーバ、3 拠点管理サーバ、6 配送拠点、7,7a,7b 受取場所、11,21,31 プロセッサ、12,22,32 記憶部、13,23,33 通信部、14,24,34 入出力部、15 センサ部、16 格納部、18a,18b 端部、19a,19b 側面、51 配送情報取得部、52 格納決定部、53 割当出力部、54 配送機制御部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13