(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の概念には様々な改変及び代替的な形態が考えられるが、本開示の特定の代表的な実施形態を例として上記に図面に示し、また本明細書に詳細に説明するものである。しかしながら、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲に定義される発明の趣旨及び範囲に包含されるすべての改変、等価物、及び代替物を網羅することを意図するものであることを理解されたい。
【0026】
解剖学的参照を表す、前、後、内側、外側、上、下などの用語は、本明細書の全体を通じて、本明細書において述べられる整形外科用インプラント及び手術器具に関して、並びに患者の自然の解剖学的構造に関して使用され得る。これらの用語は、解剖学の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても広く理解された意味を有するものである。本明細書及び特許請求の範囲におけるこれらの解剖学的基準を表す用語の使用は、特に断らない限り、それらの十分に理解されている意味と一貫性を有するものとする。
【0027】
図1を参照すると、整形外科用手術器具システム10は、取り外し可能な膝蓋骨締め具12と、膝蓋骨締め具12に固定されるように構成された膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14と、試行器具14に代わって膝蓋骨締め具12に固定されるように構成された圧縮ソケット16とを含む。以下で更に詳述されるように、器具システム10を利用して、人工膝蓋骨コンポーネント302の埋め込みのために、患者の膝蓋骨300を外科的に準備する(
図18及び21参照)。これを行うために、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、膝蓋大腿関節を試行するための試行器具として、及び患者の膝蓋骨300の平坦な切除された後方面内に係留穴をドリルで開けるためのドリルガイドとして使用され得る。外科医は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具(すなわち、膝蓋骨ドリルガイド兼試行器具)14を使用して、特定患者の膝蓋骨とともに使用するのに適した人工膝蓋骨コンポーネントを寸法決定及び選択してもよい。外科医は、次いで、選択された人工膝蓋骨コンポーネントに対応する圧縮性基部18のうちの1つを用いて、圧縮ソケット16を膝蓋骨締め具12に取り付けて、この人工膝蓋骨コンポーネントを患者の膝蓋骨に固定する。
【0028】
図1に示されるように、器具システム10の膝蓋骨締め具12は、枢動ピン24と一緒に枢動される一対のレバー20、22を含む。レバー20の近位端は上部ハンドル26を含み、レバー20の遠位端は保持ソケット28を有する。レバー22の近位端は下部ハンドル30を含み、レバー22の遠位端はコネクタ32を有する。レバー22は、コネクタ32が下部ハンドル30と一体形成されない設計のモジュールである。コネクタ32の近位端34は、円筒筐体38に形成されたスロット36内に捕捉される。
図2に示されるように、コネクタ32の近位端34は、コネクタ32が、円筒筐体38内で上方及び下方に平行移動するときに、レバー20の遠位端42と実質的に平行な関係で維持されるように、円筒筐体38内で下部ハンドル30の遠位端40に連結される。圧縮バネ44は、円筒筐体38内に位置決めされ、保持ソケット28から離れた方向にコネクタ32を押し進めるように、コネクタ32の近位端34にバネバイアスを行使する。
【0029】
外科医が2つのハンドル26、30を握るか、ないしは別の方法で互いに向かって押し進めると、レバー20、22は、ピン24を中心に枢動し、それによりコネクタ32及び保持ソケット28を互いに向かって移動させる。外科医が2つのハンドル26、30を解放すると、圧縮バネ44のバネバイアスは、コネクタ32を保持ソケット28から押し離し、それによりレバー20、22をピン24を中心に枢動させて、2つのハンドル26、30を互いから離れて移動させる。
【0030】
図2で見ることができるように、レバー22は、内部に形成されたいくつかのラチェット歯部46を有する。ボタン48は、その上部ハンドル26付近のレバー20に固定される。ボタン48は、ロッキングポール50が、ボタン48を円筒筐体38に向かう方向に摺動させることによって、ラチェット歯部46と係合するように移動され、それを反対方向に摺動させることによって、ラチェット歯部46から係脱するように、ロッキングポール50を係合する。ロッキングポール50がラチェット歯部46を係合すると、膝蓋骨締め具12のレバー20、22はロックされ、したがって互いに対して移動することができない。ロッキングポール50がラチェット歯部46から係脱すると、膝蓋骨締め具12のレバー20、22は、互いに対して自由に移動する。
【0031】
例示的な実施形態において、ロック爪50は、レバー20から外方に延在するフランジ52を含む。フランジ52は、例えば、過度の圧力が加えられる場合に発生し得るつまりが生じた場合にロック爪50を手動で開放するために、外科医又は他の使用者が、矢印54で示した方向にフランジ52を引き抜くことができるように寸法決定される。
【0032】
図1で見ることができるように、本明細書に記載される例示的な実施形態において、締め具の保持ソケット28は、そこから外方に延在するいくつかのスパイク60を有するリング58として具現される。器具14が締め具12に固定されるとき、スパイク60は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14のいくつかのスパイクに向かって面する。このような配置において、締め具のスパイク60は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14のスパイクと協働して、膝蓋骨300をそれらの間に捕捉する。
【0033】
膝蓋骨締め具12は、ステンレス鋼、コバルトクロム又はチタンなどの医療等級の金属から構成され得るが、他の金属又は合金も使用され得る。
【0034】
ここで
図3〜4を参照すると、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14が、より詳細に示される。上記で示唆されるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、人工膝蓋骨コンポーネント302を患者の外科的に準備された膝蓋骨300内に埋め込む手術手技中、適合評価に使用される。本質的に、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を使用して、最終的な膝蓋骨コンポーネント302(すなわち、最終的に患者の膝蓋骨300に埋め込まれる膝蓋骨コンポーネント302)の適切な寸法選択を保証する。以下で更に詳述されるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14はまた、膝蓋骨コンポーネント302の係留ペグを受容するように、患者の外科的に準備された膝蓋骨300にドリルで係留穴を開けるために使用されるドリルビットをガイドするためのドリルガイドとして機能する。
【0035】
図3に示されるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、人工大腿骨コンポーネント304の顆表面と関節接合をなすように構成される、湾曲したピーク表面の形態の後方試行軸受表面62を含む。具体的には、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の後方試行軸受表面62は、外側試行関節表面64と、内側試行関節表面66とを含む。試行関節表面64、66は、それぞれ、大腿骨コンポーネント304の外側顆表面306及び内側顆表面308と関節接合をなすように構成される。大腿骨コンポーネント304は、患者の天然大腿顆の構成を模倣するように構成され、したがって、外側顆表面306及び内側顆表面308は、天然大腿骨の顆をまねる様式で構成される(例えば湾曲している)。外側顆表面306及び内側顆表面308は、互いから離れて離間され、それによりそれらの間に滑車溝310を画定する。
【0036】
図4で見ることができるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14はまた、そこから離れて前方に延在する、スパイク70などのいくつかの固定部材を有する平坦な前方表面68を含む。スパイク70は、外科的に準備された患者の天然膝蓋骨の後方表面(図示せず)に挿入されるように構成される。このように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の後方試行軸受表面62は、大腿骨コンポーネント304に向かって面し、それにより後方試行軸受表面62が、膝蓋大腿試行手技中、患者の膝を屈伸させる間に、大腿顆表面306、308と関節接合をなすことを可能にする。
【0037】
膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具の本体は、内部に形成されたいくつかのドリルガイド穴76を有する。ドリルガイド穴76は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具の本体の全厚にわたって延在する。つまり、ドリルガイド穴76の後方端78は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の後方試行軸受表面62に開口し、ドリルガイド穴76の反対側の前方端80は、器具の前方表面66に開口する。ガイド穴76は、患者の外科的に準備された膝蓋骨300に係留穴をドリルで開け、膝蓋骨コンポーネント302の係留ペグを受容するために使用されるドリルビット84(
図20参照)をガイドするために、ドリルガイドとして機能する。このように、ドリルガイド穴76のそれぞれの寸法及び位置は、膝蓋骨コンポーネント302の係留ペグ(図示せず)の寸法及び位置と一致する。
【0038】
図3〜4に示されるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、内部に形成された整列ボア90を有する。ドリルガイド穴76と同様に、整列ボア90は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具の本体の全厚にわたって延在する。つまり、整列ボア90の後方端92は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の後方試行軸受表面62に開口し、整列ボア90の反対側の前方端94は、器具のコネクタのスロット102に開口する。例示的な実施形態において、整列ボア90は、目に見える整列ガイドとして機能し、外科医が膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の尖部を膝蓋骨300の切除前に患者の天然膝蓋骨300の尖部の前の場所と整列させることを可能にする。
【0039】
上記で示唆されるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、取り外し可能な膝蓋骨締め具12に選択的に固定されてもよい。その点において、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、膝蓋骨締め具12のコネクタ32の雄型形状を受容するように構成された雌型コネクタ形状を含む(
図14参照)。具体的には、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の本体は、内部に形成された接続スロット102を有する。
図4で示されるように、接続スロット102は、後方試行軸受表面62と前方表面68との間に位置決めされる。接続スロット102は、膝蓋骨締め具のコネクタ32の接続舌部104を受容するような形状に設定され、かつそれを受容するように寸法決定される。
図14に示されるように、接続舌部104は、コネクタ32の本体の丸い表面から外方に延在する、先端106を含む。
図4で見ることができるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の接続スロット102は、同様の形状を有し、膝蓋骨締め具の接続舌部104の先端106を受容するように寸法決定され、かつそれを受容するような形状に設定される、先端凹部108を含む。
【0040】
図4に示されるように、接続スロット102の上部表面を画定する上部側壁110は、内部に画定されたロック凹部112を有する。本明細書に記載される例示的な実施形態において、ロック凹部112は、概ね楕円形である。ロック凹部112は、膝蓋骨締め具のコネクタ32のロック機構を受容して、膝蓋骨締め具12を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に固定するように寸法決定及び位置決めされる。一実施形態において、このロック機構は、膝蓋骨締め具の接続舌部104の先端106上に位置決めされた板バネバイアスプランジャ114として具現される。膝蓋骨締め具コネクタ32が接続スロットに挿入されると、プランジャ114は、プランジャ114がそのバネバイアスによりロック凹部112内に移動する位置に達するまで、上部側壁110によりそのバネバイアスに対して下方に押される。プランジャ114がロック凹部112に位置決めされるとき、プランジャ114をロック凹部112から下方に押し出すことによって、2つのコンポーネントを引き離すのに十分な力が加えられ、膝蓋骨締め具12が膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14から分離されるまで、膝蓋骨締め具12は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に堅く固定される。
【0041】
所定の患者の生体構造の必要性に適応させるために、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、いくつかの異なる寸法で提供され得る。例えば、本明細書に記載される例示的な実施形態において、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、人工膝蓋骨コンポーネント302の様々な寸法をまねるように、5つの異なる内側/外側の長さで具現され得る(例えば、29mm、32mm、35mm、38mm、及び41mm)。他の実施形態において、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具が、他のタイプの膝蓋骨コンポーネントをまねるように具現されてもよいことも理解されたい。例えば、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具は、大腿骨の顆表面と一致するように設計された「一致する」又は「解剖学的」膝蓋骨コンポーネント(
図18参照)をまねるように具現されてもよい。
【0042】
本明細書に記載される代表的な実施形態において、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、その膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14と大腿骨コンポーネント304との間の平滑な関節接合を可能にする、生体適合性の金属で構成されたモノリシック金属本体として具現される。このような生体適合性の金属例としては、ステンレス鋼、コバルトクロム、又はチタンが挙げられるが、他の金属又は合金が使用されてもよい。膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、モノリシックポリマー試行器具として具現されてもよい。このように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、任意の好適な医療等級ポリマー金属で作製されてもよい。このようなポリマー材料の例としては、ポリエチルエチルケトン(PEEK)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、又はアセタールが挙げられる。このような実施形態において、モノリシックポリマー試行は、ドリルガイド穴76に位置決めされた金属挿入物(例えば、スリーブ)を含み得る。
【0043】
図5〜13を参照すると、取り外し可能な締め具12はまた、いくつかの圧縮性基部18のうちの1つに選択的に連結されるように構成された圧縮ソケット16に固定されてもよい。基部18及びソケット16を使用して、患者の切除された膝蓋骨300上の適所に固結されるとき、膝蓋骨コンポーネント302に締め圧力を加えることができる。各圧縮性基部18は、変形可能な材料から形成され、膝蓋骨コンポーネント302の後方軸受表面312に係合するよう機能する。以下に更に詳細に説明されるように、圧縮性基部18は、ドーム形状の人工膝蓋骨コンポーネント314(
図18参照)に係合するような形状に設定されたドーム型膝蓋骨基部120及び解剖学的人工膝蓋骨コンポーネント316(
図18参照)に係合するような形状に設定された解剖学的基部122を含む。
【0044】
図5に示されるように、圧縮ソケット16は、リングの形態の本体124を含む。圧縮ソケット16の本体124は、ステンレス鋼、コバルトクロム、又はチタン等の生体適合性金属で構成されたモノリシック金属本体として具現され得るが、他の金属又は合金が使用されてもよい。本体124は、ポリエチルエチルケトン(PEEK)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、又はアセタール等の任意の好適な医療等級ポリマー材料で構成されたモノリシックポリマー試行器具として具現されてもよい。圧縮性基部18は、エラストマー材料などの任意の好適な医療等級圧縮可能材料で構成されてもよい。図示的な実施形態において、基部18のそれぞれは、シリコーンから形成される。
【0045】
所定の患者の生体構造の必要性に適応させるために、圧縮性基部18及び/又はソケット16は、いくつかの異なる寸法で提供され得る。例えば、本明細書に記載される例示的な実施形態において、圧縮性基部18及び/又はソケット16は、人工膝蓋骨コンポーネント302の様々な寸法をまねるように、5つの異なる内側/外側の長さで具現され得る(例えば、29mm、32mm、35mm、38mm、及び41mm)。
【0046】
圧縮ソケット16は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14のそれに類似する雌型コネクタ形状を含み、結果として、膝蓋骨締め具12のコネクタ32の雄型形状を受容するように構成される。具体的には、圧縮ソケット16の本体124は、内部に形成された接続スロット126を有する。
図5〜7に示されるように、接続スロット126は、膝蓋骨締め具のコネクタ32の接続舌部104を受容するような形状に設定され、かつそれを受容するように寸法決定される。接続スロット126の上部表面を画定する上部側壁130は、内部に画定されたロック凹部132を有する。本明細書に記載される例示的な実施形態において、ロック凹部132は、概ね楕円形である。ロック凹部112は、膝蓋骨締め具12のプランジャ114を受容するように寸法決定及び位置決めされる。膝蓋骨締め具のコネクタ32が接続スロット126に挿入されると、プランジャ114は、プランジャ114がそのバネバイアスによりロック凹部132内に移動する位置に達するまで、上部側壁130によりそのバネバイアスに対して下方に押される。プランジャ114がロック凹部132に位置決めされるとき、プランジャ114をロック凹部112から下方に押し出すことによって、2つのコンポーネントを引き離すのに十分な力が加えられ、膝蓋骨締め具12が圧縮ソケット16から分離されるまで、膝蓋骨締め具12は、圧縮ソケット16に堅く固定される。
【0047】
図6に示されるように、ソケット本体124は、その前方表面136内に画定される開口部134を有する。開口部134は、ソケット本体124の内壁140から内方に延在する環状フランジ138によって画定される。内壁140は、ソケット本体124の前方壁142と協働し、基部18のいずれかを選択的に受容するように寸法決定された収容部144を画定する。収容部144は、配向スロット又は溝146を含み、前方壁142内に画定される。例示的な実施形態において、溝146は、各基部18の配向タブ150の形状に対応するいくつかの形状設定された壁148によって画定される。非常に詳細に説明されるように、溝146は、タブ150と協働して、各基部18が、その適切な配向でソケット本体124に取り付けられることを保証する。
【0048】
上述の通りに、圧縮性基部18は、ドーム形状の人工膝蓋骨コンポーネント314(
図18参照)に係合するような形状に設定されたドーム型膝蓋骨基部120を含む。例示的な実施形態において、ドーム型膝蓋骨基部120は、後方表面156と反対側の前方表面154を有するリング形状の本体152を含む。
図9に示されるように、配向タブ150は、後方表面156から外方に延在する。本体152は、前方表面154から後方に延在する、円筒形の外壁160を有するプラットフォーム158を含む。本体152はまた、プラットフォーム158の後端164から延在するプラグ162を含む。プラグ162は、基部120をソケット16内に保持するために、ソケット本体124の環状フランジ138と係合するように構成された外部フランジ166を含む。例示的な実施形態において、外部フランジ166は、湾曲した外部表面168を含む。
【0049】
図8に示されるように、圧縮性基部120の前方表面154は、リム170と、リム170から内方に延在する凹上に湾曲した表面172とを有する。湾曲した表面172は、ドーム形状の人工膝蓋骨コンポーネント314(
図18参照)の後方表面320を受容するような形状に設定される。例示的な実施形態において、リム170は、円形の外縁部を有するが、他の実施形態においては、これが楕円形又は卵形であってもよいことを理解されたい。
【0050】
リム170は、リム170の外側セクションを画定する三日月形の表面174を含む。
図10に示されるように、三日月形の表面174は、内側−外側方向に延在する仮想線178に沿って画定された最大幅176を有する。幅176は、リム170の外側幅である。リム170の内側幅180はまた、仮想線178に沿って画定される。例示的な実施形態において、外側幅176は、内側幅180よりも大きい。このようにして、ドーム型膝蓋骨基部120は、内側に移動され、すなわち、凹状に湾曲した表面172が基部120の内側に向かって移動される。
【0051】
図9に示されるように、三日月形表面174は、実質的に平坦であり、かつ仮想平面182を画定している。リム170の内側セクション184は、表面174に対して角度をなして延在し、別の仮想平面186を画定する。例示的な実施形態において、非ゼロ角度αが、平面182、186の間に画定される。その結果として、基部120の内側厚は、外側厚よりも小さい。
【0052】
上述の通りに、圧縮性基部18は、解剖学的人工膝蓋骨コンポーネント316(
図18参照)に係合するような形状に設定された解剖学的基部122を含む。例示的な実施形態において、
図11〜12に示されるように、解剖学的基部122はリング形状の本体188を含む。リング形状の本体188は、基部122をソケット16内に保持するために、ソケット本体124の環状フランジ138と係合するように構成された外部フランジ192を有するプラグ190を含む。例示的な実施形態において、外部フランジ192は、湾曲した外部表面194を含む。
【0053】
プラグ190は、後方表面196と、表面196から外方に延在する基部122の配向タブ150とを含む。本体188はまた、プラグ190から後方に延在するプラットフォーム198を含む。プラットフォーム198は、解剖学的人工膝蓋骨コンポーネント316と係合するような形状に設定された解剖学的基部122の前方表面200を含む。
【0054】
例示的な実施形態において、プラットフォーム198は、鞍形であり、接続本体202と、接続本体202から前方に延在する外側ウェッジ204と、内側ウェッジ206とを含む。ウェッジ204、206は、解剖学的基部122の前方表面200を画定するように協働する。
図13に示されるように、ウェッジ204、206は接続され、例示的には楕円形である後方縁部208を画定する。一方、接続本体198は、例示的には、円形の外壁210を含む。
【0055】
例示的な実施形態において、外側ウェッジ204の構成は、内側ウェッジ206の構成とは異なる。
図11〜13に示されるように、外側ウェッジ204は、解剖学的基部122の前方表面200の一部を画定する凸状に湾曲した前方表面212を含む。一方、内側ウェッジ206は、基部122の前方表面200の別の一部を画定する凹状に湾曲した表面214を含む。表面212、214の形状は、以下に非常に詳細に説明されるように、解剖学的人工膝蓋骨コンポーネント316の後方表面320の形状に対応する。
【0056】
図12に戻ると、外側ウェッジ204は、後方先端216まで延在し、最大厚218が、先端216とウェッジ204、206の後方縁部208との間に画定される。同様に、内側ウェッジ206は、後方先端220まで延在し、最大厚222が、先端220とウェッジ204、206の後方縁部208との間に画定される。
図12に示されるように、厚み218は、厚み222よりも大きい。
【0057】
図16及び17に示されるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14はまた、整列ハンドル230に固定されてもよい。整列ハンドル230の使用は、膝蓋大腿関節の試行中に、大腿骨コンポーネント304の滑車溝310内で関節接合するときに、外科医が膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の回転整列を評価することを可能にする。整列ハンドル230は、その一端に形成されたコネクタ234を有する、比較的平坦な細長いフランジ232を含む。整列ハンドルのコネクタ234は、膝蓋骨締め具12と同一の様式で膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14のコネクタと噛合するように、膝蓋骨締め具のコネクタ32と同一である。このように、整列ハンドルのコネクタ234は、コネクタ234の本体の丸い表面から外方に延在する先端238を含む、接続舌部236を有する。接続舌部236及びその先端238は、膝蓋骨締め具のコネクタ32の類似構造に類似する様式で、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の接続スロット102に受容される。
【0058】
同様に、整列ハンドルのコネクタ234は、整列ハンドル230を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に固定するロック機構を含む。一実施形態において、このロック機構は、整列ハンドルのコネクタ234の先端238上に位置決めされたバイアスプランジャとして具現される。特定の実施形態において、バイアスされたプランジャは、バネバイアスされたプランジャ240として具現されてもよい。プランジャ240は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の接続スロット102のロック凹部112に捕捉され、膝蓋骨締め具12の取り付けに関して上述されるのと同一の様式で、整列ハンドル230を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に堅く固定し得る。プランジャ240をロック凹部112から下方に押し出すことによって、2つのコンポーネントを引き離すのに十分な力が加えられ、整列ハンドル230が膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14から分離されるまで、整列ハンドル230は、プランジャ240によって膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に固定されたままである。
【0059】
ここで
図18を参照すると、埋め込み可能な人工膝関節の一対の人工膝蓋骨コンポーネント302が示される。コンポーネント302は、ドーム形状の膝蓋骨コンポーネント314及び解剖学的膝蓋骨コンポーネント316を含む。膝蓋骨コンポーネント314、316の双方は、大腿骨コンポーネント304の顆表面と関節接合をなすように構成された後方軸受表面320を含む。具体的には、膝蓋骨コンポーネント314,316の後方軸受表面320は、外側関節表面322及び内側関節表面324を含む。関節表面322、324は、それぞれ、大腿骨コンポーネント304の外側顆表面306及び内側顆表面308と関節接合をなすように構成される。コンポーネント314、316のそれぞれは、それらの各前方表面から離れて延在する、ペグ(図示せず)などのいくつかの固定具を有している。ペグは、外科的に準備された患者の天然の膝蓋の後方表面(図示せず)に埋め込まれるように構成される。上述の通りに、器具14を使用して、ペグを受容するように寸法決定及び位置決めされた穴を患者の膝蓋骨300内にドリルで開けることができる。
【0060】
図18に示されるように、ドーム形状の人工膝蓋骨コンポーネント314の後方表面320は、概ね凸状の形状であり、コンポーネント314の最後点328を画定する湾曲したピーク表面326を含む。例示的な実施形態において、この点328は、中央化される。そのようにして、外側関節表面322は、内側関節表面324よりも大きい。解剖学的人工膝蓋骨コンポーネント316の後方表面320はまた、コンポーネント316の最後点332を画定する湾曲したピーク表面330を含む。例示的な実施形態において、点322はまた、外側関節表面322が内側関節表面324よりも大きいように中央化される。加えて、
図18に示されるように、解剖学的人工膝蓋骨コンポーネント316の外側関節表面322及び内側関節表面324は、凸状セクション336を含む。
【0061】
膝蓋骨コンポーネント314、316のそれぞれは、膝蓋骨コンポーネント314、316と大腿骨コンポーネント304との間の平滑な関節接合を可能にする材料で構成された一体式のポリマー製本体として具現される。こうした高分子材料の1つに、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などのポリエチレンがある。
【0062】
ここで
図19〜21を参照すると、
図1〜17に関して本明細書に記載した様々な器具が、
図18の人工膝蓋骨コンポーネント302のうちの1つを埋め込むために、患者の膝蓋骨300を外科的に準備するために使用される手術手技が示される。この手術手技は手術前計画から始まり、特に、CTスキャン又は他の種類の手術前画像を得て、膝蓋骨コンポーネント302の設置場所及び配向を計画してもよい。手術前計画が完成すると、膝へのアクセスを可能にするために、患者の軟組織が切開されて、後退させられる。患者の関節の完全な暴露は、典型的に、膝蓋骨300に加えて、患者の大腿骨350及び脛骨352を暴露するように達成される。
【0063】
膝蓋骨コンポーネント302のうちの1つの埋め込みに加えて、手術手技はまた、患者の天然遠位大腿骨350を人工大腿骨コンポーネント304と置換し、患者の天然近位脛骨352を脛骨トレー356及び脛骨軸受358と置換する。しかしながら、大腿骨コンポーネント304、脛骨トレー356、及び脛骨軸受358の手術による埋め込みは、本明細書において詳述されていない。更に、膝蓋骨300は、
図19において大腿骨350及び脛骨352に対してその解剖学的位置に示されるが、膝蓋骨300は、説明を明確にするために、残りの図面において、その解剖学的位置から分離して示される。
【0064】
患者の膝蓋骨の後方表面を準備するために、外科医は、次いで患者の天然の膝蓋骨300を切除し得る。具体的には、外科医は、切除ガイド(図示せず)及び骨のこぎり(これも図示せず)を使用して、その上に膝蓋骨コンポーネント302が後次に埋め込まれる、概ね平坦な外科的に切除された膝蓋骨表面370を生成することができる。多数の異なる器具及び方法を使用して、患者の天然膝蓋骨300を切除することができるが、これを行うための例示的な器具及び方法は、発明の名称「Patella Orthopaedic Surgical Method」である、同一所有者の同時係属米国特許第8,986,306号に記載されている。
【0065】
次いで、外科医は、適切に寸法決定された膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を選択し得る。適切な寸法の膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14が決定されると、外科医は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を外科的に切除された膝蓋骨表面370に固定する。これを行うために、外科医は、選択された膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の整列ボア90をドリルで開けられた整列穴(図示せず)と整列させることによって、最終埋め込みに望ましい場所及び配向で膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14(すなわち、膝蓋骨コンポーネント302)を位置決めする。このように位置決めされたら、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14のスパイク70が、外科的に切除された膝蓋骨表面370に向かって下方に面し、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14は、外科的に切除された膝蓋骨表面370に押し込まれ得る。
【0066】
当然のことながら、外科医は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を、手による指圧のみを加えることにより、外科的に切除された膝蓋骨表面370の骨組織に押し入れ得る。しかしながら、ある場合において、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を外科的に切除された膝蓋骨表面370に完全に着座させるために、追加の力を利用することが必要な場合がある。このような場合において、外科医は、取り外し可能な締め具12を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に設置し、締め具12を使用して、器具のスパイク60を外科的に切除された膝蓋骨表面370の骨組織に押し入れる締め力を加え、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を完全に着座させてもよい。
【0067】
膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14が外科的に切除された膝蓋骨表面370の上に設置されると、外科医は、膝蓋大腿関節の試行を行って寸法決定及び位置決めを評価し得る。これを行うために、外科医は最初に、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に整列ハンドル230を設置する。整列ハンドル230の使用は、膝蓋大腿関節の試行中に、大腿骨コンポーネント304の滑車溝内で関節接合するときに、外科医が膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の回転整列を評価することを可能にする。整列ハンドル230を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に固定するために、外科医は、ハンドルのコネクタ234を、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の接続スロット102に挿入する。これを行うために、ハンドルのプランジャ240は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の接続スロット102のロック凹部112に捕捉され、整列ハンドル140を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に堅く固定する。
【0068】
整列ハンドル230が設置されると、外科医は、その後方試行軸受表面62が、大腿骨コンポーネント304の大腿顆表面306、308の滑車溝310内で関節接合するように位置決めされるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を位置決めすることができる。次いで外科医は、膝蓋大腿関節の試行関節接合を行うように、患者の脚を操作し得る。これを行う際に、外科医は、それが大腿骨コンポーネント304の滑車溝310において関節接合するときに、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の回転整列の視覚的表示器として、整列ハンドル230を使用してもよい。具体的には、
図19に示されるように、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の内側縁部(すなわち、接続スロット102が内部に形成される縁部)が適切に整列される場合、整列ハンドル230は、大腿骨及び脛骨の長軸に対して概ね垂直な方向に外方向に延在する。つまり、概ね内側/外側方向に外方向に延在する。
【0069】
上記に基づいて、外科医は、整列ハンドル230の位置を監視することによって、膝蓋大腿関節の試行関節接合を通して、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の回転位置及び整列を評価し得る。試行手技中の任意の時点で、整列ハンドル230が大腿骨及び脛骨の長軸に対して所望の角度を維持しない場合(すなわち、概ね内側/外側方向に延在しない場合)、外科医は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の位置決めに関して正しい手技を行い、その回転位置決めを改善し得る。
【0070】
外科医が膝蓋大腿関節の試行関節接合を完了させ、かつ膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の位置に対して任意の必要な調整を行った時点で、外科医は、外科的に切除された膝蓋骨表面370にいくつかの係留穴380をドリルで開けてもよい。係留穴380は、選択された膝蓋骨コンポーネント302の係留ペグを受容するように寸法決定及び位置決めされる。これを行うために、外科医は最初に、締め具のコネクタ32を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の接続スロット102に進めることによって、取り外し可能な締め具12を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に固定する。これを行うために、ハンドルのプランジャ114は、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14の接続スロット102のロック凹部112に捕捉され、膝蓋骨締め具12を膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14に堅く固定する。
【0071】
次いで外科医は、締め具のハンドル26、30を互いに向かって握り、それにより膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14及び保持ソケット28を互いに向かって移動させて、膝蓋骨300をそれらの間で締める。膝蓋骨300が締め具12によって固定されると、外科医はこの時点で係留穴380をドリルで開けてもよい。これを行うために、外科医は、手術用ドリルのビット84の回転先端を、それが器具の前方表面68を通じてガイド穴76を出て、外科的に切除された膝蓋骨表面370の骨組織に入るように、ドリルガイド穴76のうちの1つの後方試行軸受表面62に形成された開口内に、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具14を通じて前進させる。次いで外科医は、類似の方法で残りの係留穴180をドリルで開けることができる。
【0072】
上述したように、ドリルガイド穴76のそれぞれの寸法及び位置は、膝蓋骨コンポーネント302の係留ペグの寸法及び位置と一致する。このように、外科医がドリルの手術用ビット84をガイド穴76のそれぞれを通じて前進させると、外科的に切除された膝蓋骨表面370は、膝蓋骨コンポーネント302のうちの1つを埋め込むために準備される。
【0073】
ここで
図21を参照すると、係留穴380が、外科的に切除された膝蓋骨表面370内にドリルで開けられると、外科医は、適切に寸法決定された膝蓋骨コンポーネント314又は適切に寸法決定された膝蓋骨コンポーネント316を埋め込むために選択することができる。外科医がドーム形状の膝蓋骨コンポーネント314を選択する場合、外科医は、骨セメントを膝蓋骨コンポーネント314の前方表面に施してもよい。次いで膝蓋骨コンポーネント314が、コンポーネントの係留ペグがそれらの各係留穴380と整列するように、外科的に切除された膝蓋骨表面370の上に位置決めされる。その後、膝蓋骨コンポーネント314が、係留ペグが係留穴380内に受容され、前方表面が外科的に切除された膝蓋骨表面370と接触して位置決めされるように前進され得る。
【0074】
次いで外科医は、選択されたコンポーネント302に対応する圧縮性基部18を選択することができる。コンポーネント314が選択される場合、外科医は、ドーム型膝蓋骨基部120を選択し、この基部120をソケット本体124に取り付ける。このために、外科医は、基部120の配向タブ150を、ソケット本体124の配向溝146と整列させる。次いで外科医は、プラグ162が、ソケット本体124内に画定された収容部144に進められるように基部120を本体124に進めてもよい。プラグ162は、外部フランジ166がソケット本体124の環状フランジ138と係合する前に、これが収容部に入るとわずかに変形することができ、これによって、ドーム型膝蓋骨ベース120をソケット本体124に固定する。
【0075】
次いで取り外し可能な締め具12は、締め具のコネクタ32をソケットの接続スロット126に挿入することによって、圧縮ソケット16及び基部120に固定されてもよい。次いで圧縮ソケット16は、患者の切除された膝蓋骨300上の適所に固結されるとき、膝蓋骨コンポーネント302に締め圧力を加えるために使用され得る。つまり、圧縮ソケット16及び締め具12を使用して、骨セメントが重合するときに、膝蓋骨コンポーネント302上の締め圧力を維持することができる。これを行うために、圧縮ソケット16の基部120は、膝蓋骨コンポーネント314の後方軸受表面320の上に位置決めされる。次いで外科医は、締め具のハンドル26、30を互いに向かって握り、それにより圧縮ソケット16及び保持ソケット28を互いに向かって移動させる。このような移動中、圧縮ソケット16の基部120を前進させて、膝蓋骨コンポーネント314の後方軸受表面320と接触させる。膝蓋骨コンポーネント314は、圧縮性基部120の凹状表面172内に着座され、かつそれによって固定されて、重合が完了し、かつ膝蓋骨コンポーネント314がそこに固定されるまで、膝蓋骨コンポーネント314が切除された膝蓋骨300に堅く締められるようにする。外科医は、重合プロセス中、膝蓋骨締め具のボタン48を前方に摺動させて、その現在の位置に締め具12をロックしてもよい。
【0076】
上述したように、締め具12のボタン48は、ボタン48を反対方向に摺動させることによって、ロック爪50がラチェット歯部46から係脱されるように、ロック爪50に係合する。ロック爪50がラチェット歯部46から係脱すると、膝蓋骨締め具12のレバー20、22は、互いに対して自由に移動し、器具14を膝蓋骨300から解放する。つまりが生じた場合、外科医は、フランジ52を矢印54で示した方向に引っ張り、ロック爪50を手動的に解放し、膝蓋骨締め具12のレバー20、22を互いに対して自由に移動させるようにできる。
【0077】
解剖学的人工膝蓋骨コンポーネント316が選択される場合、外科医は、解剖学的膝蓋骨基部122を選択し、この基部122をソケット本体124に取り付けることができる。このために、外科医は、基部122の配向タブ150を、ソケット本体124の配向溝146と整列させる。次いで外科医は、プラグ190が、ソケット本体124内に画定された収容部144に進められるように基部122を本体124に進める。プラグ190は、外部フランジ192がソケット本体124の環状フランジ138と係合する前に、これが収容部に入るとわずかに変形することができ、これによって、解剖学的膝蓋骨基部122をソケット本体124に固定する。
【0078】
次いで取り外し可能な締め具12は、締め具のコネクタ32をソケットの接続スロット126に挿入することによって、圧縮ソケット16及び基部120に固定されてもよい。次いで圧縮ソケット16は、患者の切除された膝蓋骨300上の適所に固結されるとき、膝蓋骨コンポーネント316に締め圧力を加えるために使用され得る。つまり、圧縮ソケット16及び締め具12を使用して、骨セメントが重合するときに、膝蓋骨コンポーネント302上の締め圧力を維持することができる。これを行うために、圧縮ソケット16の基部120は、膝蓋骨コンポーネント314の後方軸受表面320の上に位置決めされる。例示的な実施形態において、外側ウェッジ204は、コンポーネント316の外側関節表面322の凹状セクション334と整列され、一方内側ウェッジ206は、コンポーネント316の内側関節表面324の凸状セクション336と整列される。
【0079】
次いで外科医は、締め具のハンドル26、30を互いに向かって握り、それにより圧縮ソケット16及び保持ソケット28を互いに向かって移動させる。このような移動中、外側ウェッジ204がコンポーネント316の外側関節表面322の凹状セクション内に受容されるように、同時にコンポーネント316の内側関節表面324の凸状セクション334が、基部122の内側ウェッジ206内に受容されるように、圧縮ソケット16の基部122は、膝蓋骨コンポーネント316の後方軸受表面320と接触して進められる。このようにして、膝蓋骨コンポーネント316は、圧縮性基部122のウェッジ204、206によって安定化されて、重合が完了し、かつ膝蓋骨コンポーネント314がそこに固定されるまで、膝蓋骨コンポーネント316が切除された膝蓋骨300に堅く締められるようにする。外科医は、重合プロセス中、膝蓋骨締め具のボタン48を前方に摺動させて、その現在の位置に締め具12をロックしてもよい。
【0080】
図面及び上記の説明において本開示を詳細に図示及び説明してきたが、このような図示及び説明は、その性質上、あくまで例示的なものであって限定的なものとは見なすべきではなく、あくまで代表的な実施形態を示しかつ説明してきたのにすぎず、本開示の趣旨の範囲内に含まれるすべての変更及び改変は保護されることが望ましいことが理解される。
【0081】
本開示は、本明細書において述べた方法、装置、及びシステムの様々な特徴に基づく複数の利点を有するものである。本開示の方法、装置、及びシステムの代替的実施形態は、本明細書に述べた特徴のすべてを含むわけではないが、こうした特徴の利点の少なくとも一部から利益を享受するものである点に留意されたい。当業者であれば、本発明の1つ又は2つ以上の特徴を取り入れた、特許請求の範囲において定義される本開示の趣旨及び範囲に包含される方法、装置、及びシステムの独自の実施を容易に考案することが可能である。
【0082】
〔実施の態様〕
(1) 整形外科用手術器具システムであって、
第2のレバーに枢動可能に連結された第1のレバーを備える締め具であって、(i)前記第1のレバーの近位端が、上部ハンドルを含み、前記第1のレバーの遠位端が、そこに固定された保持ソケットを含み、(ii)前記第2のレバーの近位端が、下部ハンドルを含み、前記第2のレバーの遠位端が、コネクタを含む、締め具と、
前記締め具の前記コネクタに選択的に固定されるように構成されたコネクタを有する、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具であって、(i)人工大腿骨コンポーネントの顆表面と関節接合をなすように構成された後方試行軸受表面と、(ii)前記後方試行軸受表面の反対側にある前方表面であって、そこから外方に延在するいくつかのスパイクを有する、前方表面と、(iii)前記後方試行軸受表面から前記前方表面に延在するいくつかのドリルガイド穴と、を備える、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具と、
前記膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具の代わりに、前記締め具の前記コネクタに選択的に固定されるように構成されたコネクタを有する圧縮ソケットであって、前方表面内に画定された収容部を有する、圧縮ソケットと、
前記圧縮ソケットの前記収容部内に選択的に受容されるように構成されたいくつかの圧縮性基部であって、それぞれが、他のすべての圧縮性基部とは異なる形状を有する前方表面を含む、圧縮性基部と、を備える、整形外科用手術器具システム。
(2) 前記いくつかの圧縮性基部が、第1の圧縮性基部を含み、前記第1の圧縮性基部の前記前方表面が、円形のリムと、前記円形のリムから内方に延在する凹状に湾曲した表面とを含む、実施態様1に記載の整形外科用手術器具システム。
(3) 前記円形のリムが、内側幅と、前記内側幅よりも大きい外側幅とを有する、実施態様2に記載の整形外科用手術器具システム。
(4) 前記第1の圧縮性基部が、内側厚と、前記内側厚よりも大きい外側厚とを有する、実施態様2に記載の整形外科用手術器具システム。
(5) 前記円形のリムが、第1の仮想平面を画定する外側セクションと、第2の仮想平面を画定する内側セクションとを含み、
非ゼロ角度が、前記第1の仮想平面と前記第2の仮想平面との間に画定される、実施態様4に記載の整形外科用手術器具システム。
【0083】
(6) 前記いくつかの圧縮性基部が、本体と、前記本体から前方に延在する内側ウェッジと、前記本体から前方に延在する外側ウェッジとを含む第2の圧縮性基部を含み、前記内側ウェッジ及び前記外側ウェッジが協働して、前記第2の圧縮性基部の前記前方表面を画定する、実施態様2に記載の整形外科用手術器具システム。
(7) 前記内側ウェッジが、前記外側ウェッジに接続され、楕円形状を画定する、実施態様6に記載の整形外科用手術器具システム。
(8) 前記内側ウェッジが、前記第2の圧縮性基部の前記前方表面の一部を画定する凹状に湾曲した前方表面を含む、実施態様6に記載の整形外科用手術器具システム。
(9) 前記外側ウェッジが、前記第2の圧縮性基部の前記前方表面の第2の部分を画定する凸状に湾曲した前方表面を含む、実施態様8に記載の整形外科用手術器具システム。
(10) 前記内側ウェッジが、最大厚を有し、
前記外側ウェッジが、前記内側ウェッジの前記最大厚よりも大きい最大厚を有する、実施態様6に記載の整形外科用手術器具システム。
【0084】
(11) 前記圧縮ソケットが、各圧縮性基部に選択的に係合し、かつ各圧縮性基部を前記収容部内に保持するように構成された環状フランジを含む、実施態様1に記載の整形外科用手術器具システム。
(12) 各圧縮性基部が、前記圧縮性基部を前記圧縮ソケットの前記収容部内に方向付けるための後方に延在するタブを含む、実施態様1に記載の整形外科用手術器具システム。
(13) 前記圧縮ソケットが、前記収容部と、内部に形成された接続スロットとを有するリングを備え、
前記締め具の前記コネクタが、前記圧縮ソケットを前記締め具に固定するように、前記圧縮ソケットの前記接続スロットに受容されるように構成された接続舌部を含む、実施態様1に記載の整形外科用手術器具システム。
(14) 整形外科用手術器具システムであって、
第2のレバーに枢動可能に連結された第1のレバーを備える締め具であって、(i)前記第1のレバーの近位端が、上部ハンドルを含み、前記第1のレバーの遠位端が、そこに固定された保持ソケットを含み、(ii)前記第2のレバーの近位端が、下部ハンドルを含み、前記第2のレバーの遠位端が、コネクタを含む、締め具と、
前記締め具の前記コネクタに選択的に固定されるように構成されたコネクタを有する、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具であって、(i)人工大腿骨コンポーネントの顆表面と関節接合をなすように構成された後方試行軸受表面と、(ii)前記後方試行軸受表面の反対側にある前方表面と、(iii)前記後方試行軸受表面から前記前方表面に延在するいくつかのドリルガイド穴と、を備える、膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具と、
前記膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具の代わりに、前記締め具の前記コネクタに選択的に固定されるように構成されたコネクタを有する圧縮ソケットであって、前方表面内に画定された収容部を有する、圧縮ソケットと、
前記圧縮ソケットの前記収容部内に選択的に受容されるように構成された、いくつかの圧縮性基部から選択された、圧縮性基部と、を備え、
前記第2のレバーが、複数の歯を含み、
前記第1のレバーが爪を含み、前記爪が、前記第1のレバーに枢動可能に連結される一端を有し、かつ前記第2のレバーの前記歯に係合するよう枢動可能である、整形外科用手術器具システム。
(15) 圧縮性基部が本体を含み、前記本体が、そこから前方に延在する内側ウェッジ及び外側ウェッジを有する、実施態様14に記載の整形外科用手術器具システム。
【0085】
(16) 前記内側ウェッジ及び前記外側ウェッジが協働して、前記圧縮性基部の前方表面を画定する、実施態様15に記載の整形外科用手術器具システム。
(17) 前記爪が、前記爪の手動による解放のために、前記爪の別の端から延在する爪解放部を含む、実施態様14に記載の整形外科用手術器具システム。
(18) 患者の膝蓋骨に整形外科手術手技を行う方法であって、
前記患者の前記膝蓋骨を切除し、概ね平坦な切除された膝蓋骨表面を生成することと、
膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具を前記切除された膝蓋骨表面上に位置決めすることであって、前記膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具が、(i)人工大腿骨コンポーネントの顆表面と関節接合をなすように構成された後方試行軸受表面と、(ii)前記後方試行軸受表面内に形成され、かつ前記膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具を通して延在するいくつかのドリルガイド穴と、を有する、位置決めすることと、
前記切除された膝蓋骨表面上に位置決めされた前記膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具により膝蓋大腿関節を試行することと、
前記膝蓋大腿関節を試行することに続いて、ドリルを、前記膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具の前記後方試行軸受表面内に形成された前記いくつかのドリルガイド穴を通して、前記切除された膝蓋骨表面内に進め、これにより、いくつかの係留穴を前記患者の前記膝蓋骨内にドリルで開けることと、
膝蓋骨コンポーネントを、ドーム型膝蓋骨コンポーネント及び解剖学的膝蓋骨コンポーネントからなる群から選択することと、
圧縮性基部を、互いに異なる形状の前方表面を有するいくつかの圧縮性基部から選択することであって、前記選択された圧縮性基部の前方表面が、前記選択された膝蓋骨コンポーネントに対応するような形状に設定される、選択することと、
前記選択された圧縮性基部を圧縮ソケットに固定することと、
前記圧縮ソケットを取り外し可能な締め具に固定することと、
前記選択された圧縮ソケットを前記選択された膝蓋骨コンポーネントと接触するように位置決めすることと、
前記膝蓋骨コンポーネントを前記患者の前記膝蓋骨に締めるように、前記取り外し可能な締め具を操作することと、を含む、方法。
(19) 前記膝蓋大腿関節を試行するのに引き続いてではあるが、前記患者の前記膝蓋骨内に前記いくつかの係留穴をドリルで開けるために、前記膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具の前記後方試行軸受表面内に形成された前記いくつかのドリルガイド穴を通して前記ドリルを進めるのに先立って、前記取り外し可能な締め具を前記膝蓋骨ドリルガイド及び試行器具に固定することを更に含む、実施態様18に記載の方法。