特許第6961763号(P6961763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961763車両の動的パラメータテスト方法、装置、記憶媒体及び電子デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961763
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】車両の動的パラメータテスト方法、装置、記憶媒体及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/06 20060101AFI20211025BHJP
   B60W 40/12 20120101ALI20211025BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20211025BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20211025BHJP
   G01M 17/02 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B60W50/06
   B60W40/12
   B60W60/00
   G01M17/007 Z
   G01M17/02
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-110584(P2020-110584)
(22)【出願日】2020年6月26日
(65)【公開番号】特開2021-8267(P2021-8267A)
(43)【公開日】2021年1月28日
【審査請求日】2020年6月26日
(31)【優先権主張番号】201910586829.7
(32)【優先日】2019年7月1日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513224353
【氏名又は名称】バイドゥ オンライン ネットワーク テクノロジー (ベイジン) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ファン
(72)【発明者】
【氏名】チュー ファン
(72)【発明者】
【氏名】シュ キーチェン
【審査官】 平井 功
(56)【参考文献】
【文献】 特表2019−500256(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/155159(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00−10/30
B60W 30/00−60/00
G01M 17/00−17/10
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の開発試験段階で車両の様々な運転モードにおける複数の動的パラメータの決定方法であって、
自動運転車両に対する複数の制御パラメータを取得するステップであって、前記複数の制御パラメータは、動力制御パラメータ、方向制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータを含み、前記動力制御パラメータがエンジン回転数、ギアボックスのシフトギア、及び現在のエンジンによる出力トルクを含み、前記方向制御パラメータがハンドル回転角度、ハンドル回転速度、及びハンドル回転加速度を含み、また、前記ブレーキ制御パラメータがブレーキ時間、及びブレーキ力を含むステップと、
前記複数の制御パラメータに基づいて前記車両を複数の所定の環境で走行するように制御し、前記車両の複数の走行データを検出して記録するステップと、
前記複数の走行データに基づいて前記車両の複数の動的パラメータを決定するステップと、
を含む、車両の開発試験段階で車両の様々な運転モードにおける複数の動的パラメータの決定方法。
【請求項2】
前記複数の走行データに基づいて前記車両の複数の動的パラメータを決定した後、さらに、
決定された前記複数の動的パラメータに基づき、前記車両の開発試験段階で前記車両に対して車両キャリブレーションを行うための前記車両の車両動力モデルを構築するステップを含む
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の走行データは、
前記車両の走行速度、前記車両のハンドル回転角度、前記車両の位置情報、前記車両の温度データ、及び前記車両のタイヤデータのうちの複数を含む
請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両の複数の走行データを検出するのは、
前記車両に設置された異なるタイプのセンサーから送信されたデータを受信し、前記複数の走行データを得ることを含む
請求項に記載の方法。
【請求項5】
車両の開発試験段階で車両の様々な運転モードにおける複数の動的パラメータの決定装置であって、
自動運転車両に対する複数の制御パラメータを取得するための取得モジュールであって、前記複数の制御パラメータは、動力制御パラメータ、方向制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータを含み、前記動力制御パラメータがエンジン回転数、ギアボックスのシフトギア、及び現在のエンジンによる出力トルクを含み、前記方向制御パラメータがハンドル回転角度、ハンドル回転速度、及びハンドル回転加速度を含み、また、前記ブレーキ制御パラメータがブレーキ時間、及びブレーキ力を含む取得モジュールと、
前記複数の制御パラメータに基づいて前記車両を複数の所定の環境で走行するように制御し、前記車両の複数の走行データを検出して記録するための検出モジュールと、
前記複数の走行データに基づいて前記車両の複数の動的パラメータを決定するための処理モジュールと、を含む
車両の開発試験段階で車両の様々な運転モードにおける複数の動的パラメータの決定装置。
【請求項6】
決定された前記複数の動的パラメータに基づき、前記車両の開発試験段階で前記車両に対して車両キャリブレーションを行うための前記車両の車両動力モデルを構築するためのキャリブレーションモジュールをさらに含む
請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の走行データは、
前記車両の走行速度、前記車両のハンドル回転角度、前記車両の位置情報、前記車両の温度データ、及び前記車両のタイヤデータのうちの複数を含む
請求項又は請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記検出モジュールは、
前記車両に設置された異なるタイプのセンサーから送信されたデータを受信し、前記複数の走行データを得るためのものである
請求項に記載の装置。
【請求項9】
車両であって、請求項5〜8のいずれか1項に記載の装置を含む
車両。
【請求項10】
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されるときに、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法を実現する
コンピュータプログラム。
【請求項11】
コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体であって、当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されるときに、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法を実現する
コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
電子デバイスであって、
プロセッサ、及び
前記プロセッサの実行可能な命令を記憶するためのメモリを含み、
前記プロセッサは、前記実行可能な命令を実行することにより、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されている
電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車テスト技術分野に関し、特に、車両の動的パラメータテスト方法、装置、記憶媒体及び電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の開発試験段階では、車両に対して車両全体のキャリブレーションを行う必要があり、そのうち、車両が良好な動力学性能を持つために、車両の動力学モデルを正確にキャリブレーションすることは、特に重要になる。
【0003】
車両の動力学モデルを正確にキャリブレーションする前提は、車両の様々な運転モードにおける動的パラメータを取得する必要があることである。このうち、従来の技術では、車両の動的パラメータに対する測定は、ほとんど手動測定を採用し、つまり車両を人為的に運転し、そして走行データを記録し、最後に走行データに基づいて動的パラメータを計算する。例えば、車両の動力学モデルをキャリブレーションするとき、異なる速度での車両の摩擦係数を手動で測定する必要があり、摩擦係数のテスト中に、関連記録機器が手動で加速する過程における走行データを記録でき、後続でエンジニアが分析計算を行い、動的パラメータを得るように、運転者は、車両を低速からゆっくりと高速に、ひいては極限速度まで運転することが必要である。
【0004】
しかしながら、キャリブレーション中に必要なテストデータに極限条件での車両の動的パラメータがさらに含まれているため、手動測定には非常に専門的な人を必要とし、コストが高く、危険が非常に発生しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、自動運転車両の自動運転特性を利用して動的パラメータの自動測定を実現し、車両のキャリブレーションコストを低減し、テストの安全性を向上させるように、車両の動的パラメータテスト方法、装置、記憶媒体及び電子デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本発明は、車両の動的パラメータテスト方法を提供し、
自動運転車両に対する制御パラメータを取得するステップと、
前記制御パラメータに基づいて前記車両を所定の環境で走行するように制御し、前記車両の走行データを検出して記録するステップと、
前記走行データに基づいて前記車両の動的パラメータを決定するステップと、を含む。
【0007】
一つの可能な設計では、前記走行データに基づいて前記車両の動的パラメータを決定した後、さらに、
前記動的パラメータに基づいて前記車両の車両動力モデルに対してキャリブレーションを行うステップを含む。
【0008】
一つの可能な設計では、前記制御パラメータは、
動力制御パラメータ、方向制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータのうちの少なくとも1つを含む。
【0009】
一つの可能な設計では、自動運転車両に対する制御パラメータを取得するのは、
予め設定された動力制御パラメータ、方向制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータから少なくとも2つのパラメータのパラメータ値を前記車両の前記制御パラメータとして選択することを含む。
【0010】
一つの可能な設計では、前記走行データは、
前記車両の走行速度、前記車両のハンドル回転角度、前記車両の位置情報、前記車両の温度データ、前記車両のタイヤデータのうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
一つの可能な設計では、前記車両の走行データを検出するのは、
前記車両に設置された異なるタイプのセンサーから送信されたデータを受信し、前記走行データを得ることを含む。
【0012】
第2の態様では、本発明は、車両の動的パラメータテスト装置をさらに提供し、
自動運転車両に対する制御パラメータを取得するための取得モジュールと、
前記制御パラメータに基づいて前記車両を所定の環境で走行するように制御し、前記車両の走行データを検出して記録するための検出モジュールと、
前記走行データに基づいて前記車両の動的パラメータを決定するための処理モジュールと、を含む。
【0013】
一つの可能な設計では、前記装置は、
前記動的パラメータに基づいて前記車両の車両動力モデルに対してキャリブレーションを行うためのキャリブレーションモジュールをさらに含む。
【0014】
一つの可能な設計では、前記制御パラメータは、
動力制御パラメータ、方向制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータのうちの少なくとも1つを含む。
【0015】
一つの可能な設計では、前記取得モジュールは、具体的には、
予め設定された動力制御パラメータ、方向制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータから少なくとも2つのパラメータのパラメータ値を前記車両の前記制御パラメータとして選択するためのものである。
【0016】
一つの可能な設計では、前記走行データは、
前記車両の走行速度、前記車両のハンドル回転角度、前記車両の位置情報、前記車両の温度データ、前記車両のタイヤデータのうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
一つの可能な設計では、前記検出モジュールは、具体的には、
前記車両に設置された異なるタイプのセンサーから送信されたデータを受信し、前記走行データを得るためのものである。
【0018】
第3の態様では、本発明は、車両をさらに提供し、第2の態様のいずれか1つの可能な車両の動的パラメータテスト装置を含む。
【0019】
第4の態様では、本発明は、コンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、当該プログラムがプロセッサによって実行されるときに、第1の態様のいずれか1つの可能な車両の動的パラメータテスト方法を実現する。
【0020】
第5の態様では、本発明は、電子デバイスをさらに提供し、
プロセッサ、及び
前記プロセッサの実行可能な命令を記憶するためのメモリを含み、
前記プロセッサは、前記実行可能な命令を実行することにより、第1の態様のいずれか1つの可能な車両の動的パラメータテスト方法を実行するように構成されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明による車両の動的パラメータテスト方法、装置、記憶媒体及び電子デバイスは、自動運転車両に対する制御パラメータを取得し、そして、制御パラメータに基づいて車両を所定の環境で自動走行するように制御し、車両の走行データを検出して記録し、最後に、走行データに基づいて車両の動的パラメータを決定することにより、自動運転車両の自動運転特性を利用して動的パラメータの自動測定を実現し、車両のキャリブレーションコストを低減し、テストの安全性を大幅に向上させる。さらに、テスト過程中の手動運転による人的エラーを効果的に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するため、以下に実施例又は従来技術の記述には使用する必要がある図面を簡単に説明するが、当然ながら、以下に記載する図面は本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労力なしにこれらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
図1】一例示的な実施例による車両の動的パラメータテスト方法の適用シナリオ図である。
図2】一例示的な実施例による車両の動的パラメータテスト方法のフローチャートである。
図3】他の例示的な実施例による車両の動的パラメータテスト方法のフローチャートである。
図4】一例示的な実施例による車両の動的パラメータテスト装置の構造模式図である。
図5】他の例示的な実施例による車両の動的パラメータテスト装置の構造模式図である。
図6】一例示的な実施例による電子デバイスの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明瞭にするために、以下、本発明の実施例に係る図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明瞭で、且つ完全に説明し、当然ながら、記載される実施例は本発明の実施例の一部にすぎず、すべての実施例ではない。当業者が本発明における実施例に基づいて創造的な労働なしに取得されたその他のすべての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0024】
本発明の明細書と特許請求の範囲及び上記図面中の用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」など(あれば)は、類似の対象を区別するためのものであり、特定の手順又は順番を説明するためのものである必要はない。本明細書で説明する本発明の実施例を、ここで図示又は説明するもの以外の順序で実施することができるように、このように使用するデータは適切な場合に交換可能であることが理解されるべきである。なお、用語「含む」及び「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的包含をカバーすることを意図し、例えば一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品、又はデバイスは、必ずしも明確に列記されていたステップ又はユニットに限定される必要がなく、明確に列記されていなかった又はこれらのプロセス、方法、製品、又はデバイスに固有したそのほかのステップ又はユニットを含んでもよい。
【0025】
図1は一例示的な実施例による車両の動的パラメータテスト方法の適用シナリオ図である。図1に示すように、本実施例による車両の動的パラメータテスト方法は、自動運転機能を持つ車両に適用され、当該車両に対してデータ収集及び/又は書き込まれたデータのキャリブレーションを行うために、外部デバイスを接続することによって監視と入力してもよい。
【0026】
車両の動力学モデルを正確にキャリブレーションする前提は、車両の様々な運転モードにおける動的パラメータを取得する必要があることである。従来の技術では、車両の動的パラメータに対する測定は、ほとんど手動測定を採用し、つまり車両を人為的に運転し、そして走行データを記録し、最後に走行データに基づいて動的パラメータを計算する。手動テストの過程において、常に車両を極限状態まで運転させ、そして、様々な状態での動的パラメータを取得する必要があり、そのテスト過程は専門的な運転者に極めて依存しているだけでなく、テストの過程において大きなリスク、例えばロールオーバー、衝突、横滑りがある。
【0027】
上記の存在している様々な問題に対して、本発明は、車両の動的パラメータテスト方法、装置、記憶媒体及び電子デバイスを提供し、自動運転車両に対する制御パラメータを取得し、そして、制御パラメータに基づいて車両を所定の環境で走行するように制御し、車両の走行データを検出して記録し、最後に、走行データに基づいて車両の動的パラメータを決定することにより、自動運転車両の自動運転特性を利用して動的パラメータの自動測定を実現し、車両のキャリブレーションコストを低減し、テストの安全性を大幅に向上させる。さらに、テスト過程中の手動運転による人的エラーを効果的に回避することができる。
【0028】
以下、いくつかの具体的な実施形態により該車両の動的パラメータテスト方法を詳細に説明する。
【0029】
図2は一例示的な実施例による車両の動的パラメータテスト方法のフローチャートである。図2に示すように、本実施例による車両の動的パラメータテスト方法は、以下のステップを含む。
ステップ101、自動運転車両に対する制御パラメータを取得する。
【0030】
具体的には、テストの環境では、自動運転車両に対する制御パラメータを取得することによって、自動運転車両を自動制御する可能になる。
【0031】
なお、本実施例では、上記制御パラメータは、動力制御パラメータ、方向制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータのうちの少なくとも1つを含んでよい。具体的には、動力制御パラメータについては、エンジン回転数、ギアボックスのシフトギア、現在のエンジンによる出力トルクなどが含まれてもよく、方向制御パラメータについては、ハンドル回転角度、ハンドル回転速度、及びハンドル回転加速度などが含まれてもよく、また、ブレーキ制御パラメータについては、ブレーキ時間、ブレーキ力などが含まれてもよい。
【0032】
例えば、車両が車両の横滑りに関する動的パラメータを取得する際に、自動運転車両を徐々に加速するよう制御することができ、センサーは、車両の横滑りが発生しようとするのを取得した際に、車両の現在の走行データを記録し、横滑りの発生を感知する技術は従来技術における一般的な技術であり、本実施例ではこれ以上説明しない。
【0033】
また、自動運転車両の動的パラメータのテストに対して、より広い調整可能性を有するために、上記の制御パラメータを任意に組み合わせることで、各種のテスト条件を横断して、より確実且つ統合的なテスト結果を出力することができるようにする。具体的には、自動運転車両に対する制御パラメータを取得するのは、予め設定された動力制御パラメータ、方向制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータから少なくとも2つのパラメータのパラメータ値を車両の制御パラメータとして選択することを含んでもよく、例えば、動力制御パラメータを固定し、方向制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータを任意に組み合わせてテストしてもよいし、又は、方向制御パラメータを固定し、動力制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータを任意に組み合わせてテストしてもよいし、ブレーキ制御パラメータを固定し、動力制御パラメータ及び方向制御パラメータを任意に組み合わせてテストしてもよく、それにより、各種のテスト条件を横断する。
【0034】
ステップ102、制御パラメータに基づいて車両を所定の環境で走行するように制御し、車両の走行データを検出して記録する。
【0035】
具体的には、制御パラメータに基づいて車両を所定の環境で走行するように制御し、車両の走行データを検出して記録する。
【0036】
車両の走行データの検出には、車両に設置されたセンサーによって行われてもよい。具体的には、車両の走行データを検出するのは、車両に設置された異なるタイプのセンサーから送信されたデータを受信し、走行データを得ることを含む。
【0037】
例えば、車両の横滑りに対する検出には、エレクトロニックスタビリティプログラム(Electronic Stability Program、ESPと略称)による検出方法で実現されてもよく、ESPシステムは、制御ユニット及びステアリングセンサー(ハンドルのステアリング角度を監視する)、車輪センサー(各車輪の回転速度を監視する)、横滑りセンサー(車体が垂直軸線を回って回転する状態を監視する)、横方向加速度センサー(自動車が曲がる際の遠心力を監視する)などからなり、制御ユニットは、これらのセンサーの信号によって車両の走行状態を判断する。
【0038】
また、車両の走行データの記録には、自動運転車両自身の記憶装置によって記憶されてもよいし、外部デバイスによって記憶して表示されてもよいが、本実施例では、その具体的な記録過程が限定されない。
【0039】
走行データについては、車両の走行速度、車両のハンドル回転角度、車両の位置情報、車両の温度データ、車両のタイヤデータのうちの少なくとも1つが含まれる。なお、本実施例では、走行データに含まれる具体的なデータが限定されず、具体的なテスト項目に応じて適切な調整を行うことができる。
【0040】
S103、走行データに基づいて車両の動的パラメータを決定する。
【0041】
制御パラメータに基づいて車両を所定の環境で走行するように制御し、車両の走行データを検出して記録した後、走行データに基づいて車両の動的パラメータを決定する可能になる。走行データに基づいて車両の動的パラメータを決定するのは、手動テスト後のデータ処理の部分と一致してもよく、従来の車両テスト過程における一般的な技術であり、本実施例では、走行データの処理方法とステップが具体的に限定されない。
【0042】
本実施例では、自動運転車両に対する制御パラメータを取得し、そして、制御パラメータに基づいて車両を所定の環境で自動走行するように制御し、車両の走行データを検出して記録し、最後に、走行データに基づいて車両の動的パラメータを決定することにより、自動運転車両の自動運転特性を利用して動的パラメータの自動測定を実現し、車両のキャリブレーションコストを低減し、テストの安全性を大幅に向上させる。さらに、テスト過程中の手動運転による人的エラーを効果的に回避することができる。
【0043】
図3は他の例示的な実施例による車両の動的パラメータテスト方法のフローチャートである。図3に示すように、本実施例による車両の動的パラメータテスト方法は、以下のステップを含む。
ステップ201、自動運転車両に対する制御パラメータを取得する。
【0044】
具体的には、テストの環境では、自動運転車両に対する制御パラメータを取得することで、自動運転車両を自動制御することができる。
【0045】
なお、本実施例では、上記制御パラメータは、動力制御パラメータ、方向制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータのうちの少なくとも1つを含んでよい。具体的には、動力制御パラメータについては、エンジン回転数、ギアボックスのシフトギア、現在のエンジンによる出力トルクなどが含まれてもよく、方向制御パラメータについては、ハンドル回転角度、ハンドル回転速度、及びハンドル回転加速度などが含まれてもよく、また、ブレーキ制御パラメータについては、ブレーキ時間、ブレーキ力などが含まれてもよい。
【0046】
例えば、車両の横滑りに関する動的パラメータを取得する際に、自動運転車両を徐々に加速するよう制御することができ、センサーは、車両の横滑りが発生しようとするのを取得した際に、車両の現在の走行データを記録し、横滑りの発生を感知する技術は従来技術における一般的な技術であり、本実施例ではこれ以上説明しない。
【0047】
また、自動運転車両の動的パラメータのテストに対して、より広い調整可能性を有するために、上記の制御パラメータを任意に組み合わせることで、各種のテスト条件を横断して、より確実且つ統合的なテスト結果を出力することができる。具体的には、自動運転車両に対する制御パラメータを取得するのは、予め設定された動力制御パラメータ、方向制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータから少なくとも2つのパラメータのパラメータ値を車両の制御パラメータとして選択することを含んでもよく、例えば、動力制御パラメータを固定し、方向制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータを任意に組み合わせてテストしてもよいし、又は、方向制御パラメータを固定し、動力制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータを任意に組み合わせてテストしてもよいし、ブレーキ制御パラメータを固定し、動力制御パラメータ及び方向制御パラメータを任意に組み合わせてテストしてもよく、それにより、各種のテスト条件を横断する。
【0048】
ステップ202、制御パラメータに基づいて車両を所定の環境で走行するように制御し、車両の走行データを検出して記録する。
【0049】
具体的には、制御パラメータに基づいて車両を所定の環境で走行するように制御し、車両の走行データを検出して記録する。
【0050】
車両の走行データの検出には、車両に設置されたセンサーによって行われてよい。具体的には、車両の走行データを検出するのは、車両に設置された異なるタイプのセンサーから送信されたデータを受信し、走行データを得ることを含む。
【0051】
例えば、車両の横滑りに対する検出は、エレクトロニックスタビリティプログラム(Electronic Stability Program、ESPと略称)による検出方法で実現されてもよく、ESPシステムは、制御ユニット及びステアリングセンサー(ハンドルのステアリング角度を監視する)、車輪センサー(各車輪の回転速度を監視する)、横滑りセンサー(車体が垂直軸線を回って回転する状態を監視する)、横方向加速度センサー(自動車が曲がる際の遠心力を監視する)などからなり、制御ユニットは、これらのセンサーの信号によって車両の走行状態を判断する。
【0052】
また、車両の走行データの記録については、自動運転車両自身の記憶装置によって記憶されてもよく、又は、外部デバイスによって記憶して表示されてもよいが、本実施例では、その具体的な記録過程が限定されない。
【0053】
走行データについては、車両の走行速度、車両のハンドル回転角度、車両の位置情報、車両の温度データ、及び車両のタイヤデータのうちの少なくとも1つが含まれる。なお、本実施例では、走行データに含まれる具体的なデータが限定されず、具体的なテスト項目に応じて適切な調整を行ってもよい。
【0054】
S203、走行データに基づいて車両の動的パラメータを決定する。
【0055】
制御パラメータに基づいて車両を所定の環境で走行するように制御し、車両の走行データを検出して記録した後、走行データに基づいて車両の動的パラメータを決定してよい。走行データに基づいて車両の動的パラメータを決定するのは、手動テスト後のデータ処理の部分と一致してもよく、従来の車両テスト過程における一般的な技術であり、本実施例では、走行データの処理方法とステップが具体的に限定されない。
【0056】
S204、動的パラメータに基づいて車両の車両動力モデルに対してキャリブレーションを行う。
【0057】
具体的には、走行データに基づいて車両の動的パラメータを決定した後、さらに、決定された動的パラメータに基づいて車両の車両動力モデルに対してキャリブレーションを行うことを含む。
【0058】
具体的には、大きさが十分である空場内で、多種類の環境(例えば、摩擦勾配特性の面で)も十分に提供することによって、自動運転を利用し、低速から高速まで徐々に探索し、安全が保証される前提で、様々な状態での高い精度の測定結果を得て、各動的パラメータを決定し、それにより、車両動力モデルを構築することができる。
【0059】
図4は一例示的な実施例による車両の動的パラメータテスト装置の構造模式図である。図4に示すように、本実施例による車両の動的パラメータテスト装置は、
自動運転車両に対する制御パラメータを取得するための取得モジュール301と、
前記制御パラメータに基づいて前記車両を所定の環境で走行するように制御し、前記車両の走行データを検出して記録するための検出モジュール302と、
前記走行データに基づいて前記車両の動的パラメータを決定するための処理モジュール303と、を含む。
【0060】
本実施例では、自動運転車両に対する制御パラメータを取得し、そして、制御パラメータに基づいて車両を所定の環境で自動走行するように制御し、車両の走行データを検出して記録し、最後に、走行データに基づいて車両の動的パラメータを決定することにより、自動運転車両の自動運転特性を利用して動的パラメータの自動測定を実現し、車両のキャリブレーションコストを低減し、テストの安全性を大幅に向上させる。さらに、テスト過程中の手動運転による人的エラーを効果的に回避することができる。
【0061】
図4に示す実施例に基づき、図5は他の例示的な実施例による車両の動的パラメータテスト装置の構造模式図である。図5に示すように、本実施例による車両の動的パラメータテスト装置はさらに、
前記動的パラメータに基づいて前記車両の車両動力モデルに対してキャリブレーションを行うためのキャリブレーションモジュール304を含む。
【0062】
一つの可能な設計では、前記制御パラメータは、動力制御パラメータ、方向制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータのうちの少なくとも1つを含む。
【0063】
一つの可能な設計では、前記取得モジュール301は、具体的には、
予め設定された動力制御パラメータ、方向制御パラメータ及びブレーキ制御パラメータから少なくとも2つのパラメータのパラメータ値を前記車両の前記制御パラメータとして選択するためのものである。
【0064】
一つの可能な設計では、前記走行データは、
前記車両の走行速度、前記車両のハンドル回転角度、前記車両の位置情報、前記車両の温度データ、及び前記車両のタイヤデータのうちの少なくとも1つを含む。
【0065】
一つの可能な設計では、前記検出モジュール302は、具体的には、
前記車両に設置された異なるタイプのセンサーから送信されたデータを受信し、前記走行データを得るためのものである。
【0066】
上記処理モジュール303は、上記方法を実施する1つ又は複数の集積回路、例えば、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASICと略称)、又は、1つ又は複数のマイクロプロセッサ(digital singnal processor、DSPと略称)、又は、1つ又は複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGAと略称)などとして構成されてよい。さらに、上記のあるモジュールは、処理素子がプログラムコードをスケジューリングするように実現される場合、当該処理素子が、汎用プロセッサ、例えば、中央処理ユニット(Central Processing Unit、CPUと略称)又はプログラムコードを呼び出すことができるその他のプロセッサであってもよい。さらに、これらのモジュールは、一緒に集積されて、システムオンチップ(system−on−a−chip、SOCと略称)の形で実現してもよい。
【0067】
また、本発明の各実施例において、各機能ユニットは1つの処理ユニットに集積されるか、各ユニットが単独で物理的存在するか、2つ又は2つ以上のユニットが1つのユニットに集積されることもできる。上記の集積されたユニットはハードウェアの形で実現されてもよいし、ハードウェアとソフトウェアを加える機能ユニットの形で実現されてもよい。
【0068】
なお、図4図5に示す実施例では、車両の動的パラメータテスト装置は、図2図3に示す実施例における方法を実行するためのものであってもよく、その具体的な実現方法と技術的効果が類似しているため、これ以上説明しない。
【0069】
他の態様では、本発明は車両を提供し、図4図5に示す実施例における車両の動的パラメータテスト装置を含む。
【0070】
本発明は、コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、当該プログラムがプロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサは前述いずれか1つの方法の実施例の技術的解決手段を実現し、その実現原理と技術的効果が類似しているため、これ以上説明しない。
【0071】
図6は一例示的な実施例による電子デバイスの構造模式図である。図6に示すように、本実施例による電子デバイス40は、
プロセッサ401と、
前記プロセッサの実行可能な命令を記憶するためのメモリ402とを含み、
前記プロセッサ401は、前記実行可能な命令を実行することにより、前述方法の実施例におけるいずれか1つの実施形態による車両の動的パラメータテスト方法を実現するように構成されている。
【0072】
前記プロセッサ401は、前記実行可能な命令を実行することにより、前述いずれか1つの方法の実施例に記載の技術的解決手段を実行し、その実現原理と技術的効果が類似しているため、これ以上説明しない。
【0073】
最後に説明すべきなのは、以上の各実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためのものだけであり、これを制限するものではなく、前述の各実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として前述の各実施例に記載の技術的解決手段を修正するか、又はそのうちの一部又はすべての技術的特徴に対して等価置換を行うことができ、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本発明の各実施例の技術的解決手段の主旨から逸脱しないと理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6