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特許6961765電話対応業務支援システム、電話対応業務支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6961765
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】電話対応業務支援システム、電話対応業務支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20211025BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20211025BHJP
【FI】
   G06Q10/10
   G06Q50/10
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-113936(P2020-113936)
(22)【出願日】2020年7月1日
【審査請求日】2020年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 一崇
【審査官】 岸 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−2872(JP,A)
【文献】 特開2012−226449(JP,A)
【文献】 特開2003−76549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話対応業務におけるタスクのタスク名と、該タスクにおいてなされるべき発話内容を示す発話データと、をそれぞれ含む複数のタスクデータを記憶するタスクデータ記憶手段と、
前記電話対応業務に従事するオペレータのためのディスプレイに、前記複数のタスクデータのそれぞれに含まれる前記タスク名を表示するタスク表示手段と、
前記電話対応業務における前記オペレータの音声と、前記複数のタスクデータのそれぞれに含まれる前記発話データと、に基づいて、前記複数のタスクデータのうちどのタスクデータに係るタスクが完了したかを判定する判定手段と、
いずれかのタスクが完了したと判定される場合に、前記ディスプレイにおいて、完了したと判定されたタスクのタスク名を、他のタスク名とは区別するための表示制御を実行する判定結果表示手段と、
を含む電話対応業務支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電話対応業務支援システムにおいて、
前記発話データは、前記タスクにおいてなされるべき発話内容を示すテキストデータであり、
前記判定手段は、前記電話対応業務における前記オペレータの音声をテキストデータに変換する手段を含み、前記オペレータの音声を示す前記テキストデータと、前記タスクにおいてなされるべき発話内容を示すテキストデータと、の類似度に基づいて、前記複数のタスクデータのうちどのタスクデータに係るタスクが完了したかを判定する、
電話対応業務支援システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電話対応業務支援システムにおいて、
前記判定結果表示手段は、完了したと判定されたタスクのタスク名に対応づけて、完了済みの旨を示す画像を表示する、
電話対応業務支援システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の電話対応業務支援システムにおいて、
前記判定結果表示手段は、完了したとされたタスクのタスク名の表示態様を変更する、
電話対応業務支援システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の電話対応業務支援システムにおいて、
前記判定手段は、前記オペレータと会話する顧客の音声にさらに基づいて、前記複数のタスクデータのうちどのタスクデータに係るタスクが完了したかを判定する、
電話対応業務支援システム。
【請求項6】
請求項5に記載の電話対応業務支援システムにおいて、
前記判定手段は、前記顧客の音声が、前記顧客に関連づけて記憶されたデータに対応する場合に、前記複数のタスクデータのうちいずれかのタスクデータに係るタスクが完了したと判定する、
電話対応業務支援システム。
【請求項7】
請求項5に記載の電話対応業務支援システムにおいて、
前記判定手段は、前記顧客の音声を示すデータを機械学習モデルに入力することにより該顧客の音声に関する正否を判定し、該正否に基づいて、前記複数のタスクデータのうちいずれかのタスクデータに係るタスクが完了したと判定する、
電話対応業務支援システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の電話対応業務支援システムにおいて、
前記タスクにおいてなされる発話における、前記オペレータの音声、又は前記オペレータと会話する顧客の音声のうち、少なくとも一方を示すデータを前記タスクに関連づけて記憶する音声記憶手段をさらに含む、
電話対応業務支援システム。
【請求項9】
電話対応業務におけるタスクのタスク名と、該タスクにおいてなされるべき発話内容を示す発話データと、をそれぞれ含む複数のタスクデータを取得するステップと、
前記電話対応業務に従事するオペレータのためのディスプレイに、前記複数のタスクデータのそれぞれに含まれる前記タスク名を表示するステップと、
前記電話対応業務における前記オペレータの音声と、前記複数のタスクデータのそれぞれに含まれる前記発話データと、に基づいて、前記複数のタスクデータのうちどのタスクデータに係るタスクが完了したかを判定するステップと、
いずれかのタスクが完了したと判定される場合に、前記ディスプレイにおいて、完了したと判定されたタスクのタスク名を、他のタスク名とは区別するための表示制御を実行するステップと、
を含む電話対応業務支援方法。
【請求項10】
電話対応業務におけるタスクのタスク名と、該タスクにおいてなされるべき発話内容を示す発話データと、をそれぞれ含む複数のタスクデータを記憶するタスクデータ記憶手段、
前記電話対応業務に従事するオペレータのためのディスプレイに、前記複数のタスクデータのそれぞれに含まれる前記タスク名を表示するタスク表示手段、
前記電話対応業務における前記オペレータの音声と、前記複数のタスクデータのそれぞれに含まれる前記発話データと、に基づいて、前記複数のタスクデータのうちどのタスクデータに係るタスクが完了したかを判定する判定手段、及び
いずれかのタスクが完了したと判定される場合に、前記ディスプレイにおいて、完了したと判定されたタスクのタスク名を、他のタスク名とは区別するための表示制御を実行する判定結果表示手段
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電話対応業務支援システム、電話対応業務支援方法及びプログラムに関し、特に電話対応業務に従事するオペレータを支援するための情報技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コールセンタなどで行われる電話対応業務においては、顧客からのコールを受け付けたオペレータは、事前に定められた事項を顧客に案内したり質問したりするタスクを確実に完了しなければならない。例えば、自社サイトへのログインが出来ない旨の問い合わせを顧客から受けたオペレータは、本人確認のために氏名や生年月日などを顧客に質問し、それらが正しく回答されたことを確認してから、顧客にログイン手順を案内する。
【0003】
この点、下記特許文献1に開示されたシステムでは、顧客に対して複数の質問項目をディスプレイに表示することにより、オペレータの電話対応業務を支援する。このシステムでは、1つの質問項目に対して顧客から回答があれば、ディスプレイに表示される回答項目の一覧から顧客の回答に合致する回答項目をオペレータが手作業で選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−141613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたシステムでは、オペレータが手作業で顧客の回答項目を選択するが、顧客と会話しながらそうした作業を行うのは煩雑である。また、オペレータが回答項目の選択作業を後回しにしてしまうと、オペレータはどの質問項目について質問済みかが分からなくなってしまう虞がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、質問や案内などの複数タスクを電話対応業務のオペレータが漏れなく行えるように支援する電話対応業務支援システム、電話対応業務支援方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る電話対応業務支援システムは、電話対応業務におけるタスクのタスク名と、該タスクにおいてなされるべき発話内容を示す発話データと、をそれぞれ含む複数のタスクデータを記憶するタスクデータ記憶手段と、前記電話対応業務に従事するオペレータのためのディスプレイに、前記複数のタスクデータのそれぞれに含まれる前記タスク名を表示するタスク表示手段と、前記電話対応業務における前記オペレータの音声と、前記複数のタスクデータのそれぞれに含まれる前記発話データと、に基づいて、前記複数のタスクデータのうちどのタスクデータに係るタスクが完了したかを判定する判定手段と、いずれかのタスクが完了したと判定される場合に、前記ディスプレイにおいて、完了したと判定されたタスクのタスク名を、他のタスク名とは区別するための表示制御を実行する判定結果表示手段と、を含む。
【0008】
本発明の一態様において、前記発話データは、前記タスクにおいてなされるべき発話内容を示すテキストデータであり、前記判定手段は、前記電話対応業務における前記オペレータの音声をテキストデータに変換する手段を含み、前記オペレータの音声を示す前記テキストデータと、前記タスクにおいてなされるべき発話内容を示すテキストデータと、の類似度に基づいて、前記複数のタスクデータのうちどのタスクデータに係るタスクが完了したかを判定する。
【0009】
前記判定結果表示手段は、完了したと判定されたタスクのタスク名に対応づけて、完了済みの旨を示す画像を表示してよい。或いは、前記判定結果表示手段は、完了したと判定されたタスクのタスク名の表示態様を変更してよい。
【0010】
本発明の一態様では、前記判定手段は、前記オペレータと会話する顧客の音声にさらに基づいて、前記複数のタスクデータのうちどのタスクデータに係るタスクが完了したかを判定する。
【0011】
前記判定手段は、前記顧客の音声が、前記顧客に関連づけて記憶されたデータに対応する場合に、前記複数のタスクデータのうちいずれかのタスクデータに係るタスクが完了したと判定してよい。
【0012】
或いは、前記判定手段は、前記顧客の音声を示すデータを機械学習モデルに入力することにより該顧客の音声に関する正否を判定し、該正否に基づいて、前記複数のタスクデータのうちいずれかのタスクデータに係るタスクが完了したと判定してよい。
【0013】
本発明の一態様では、前記タスクにおいてなされる発話における、前記オペレータの音声、又は前記オペレータと会話する顧客の音声のうち、少なくとも一方を示すデータを前記タスクに関連づけて記憶する音声記憶手段をさらに含む。
【0014】
本発明に係る電話対応業務支援方法は、電話対応業務におけるタスクのタスク名と、該タスクにおいてなされるべき発話内容を示す発話データと、をそれぞれ含む複数のタスクデータを取得するステップと、前記電話対応業務に従事するオペレータのためのディスプレイに、前記複数のタスクデータのそれぞれに含まれる前記タスク名を表示するステップと、前記電話対応業務における前記オペレータの音声と、前記複数のタスクデータのそれぞれに含まれる前記発話データと、に基づいて、前記複数のタスクデータのうちどのタスクデータに係るタスクが完了したかを判定するステップと、いずれかのタスクが完了したと判定される場合に、前記ディスプレイにおいて、完了したと判定されたタスクのタスク名を、他のタスク名とは区別するための表示制御を完了するステップと、を含む。
【0015】
また、本発明に係るプログラムは、電話対応業務におけるタスクのタスク名と、該タスクにおいてなされるべき発話内容を示す発話データと、をそれぞれ含む複数のタスクデータを記憶するタスクデータ記憶手段、前記電話対応業務に従事するオペレータのためのディスプレイに、前記複数のタスクデータのそれぞれに含まれる前記タスク名を表示するタスク表示手段、前記電話対応業務における前記オペレータの音声と、前記複数のタスクデータのそれぞれに含まれる前記発話データと、に基づいて、前記複数のタスクデータのうちどのタスクデータに係るタスクが完了したかを判定する判定手段、及びいずれかのタスクが完了したと判定される場合に、前記ディスプレイにおいて、完了したと判定されたタスクのタスク名を、他のタスク名とは区別するための表示制御を完了する判定結果表示手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。このプログラムは、半導体メモリなどのコンピュータ可読情報記憶媒体に格納されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るコールセンタの全体構成図である。
図2】オペレータ端末のディスプレイに表示される画面の一例である。
図3】電話対応業務支援システムの機能ブロック図である。
図4】問い合わせDBの記憶内容を模式的に示す図である。
図5】タスクリストDBに記憶される質問タスクリストを模式的に示す図である。
図6】タスクリストDBに記憶される案内タスクリストを模式的に示す図である。
図7】電話対応業務支援システムの動作フロー図である。
図8】電話対応業務支援システムの動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るコールセンタの全体構成図である。コールセンタには、音声通話システム16、電話対応業務支援システム14、オペレータ端末10、オペレータ電話機12が設置されている。コールセンタに多数のオペレータがいる場合には、各オペレータに対して、1台のオペレータ端末10及び1台のオペレータ電話機12が提供される。音声通話システム16は、公衆電話網18に接続されており、顧客が使用する電話機である顧客電話機20との音声通話を中継する。例えば、顧客電話機20から着呼があれば、いずれかのオペレータ電話機12に当該呼を割り当てる。これにより割り当てられたオペレータ電話機12によって当該呼を受けることができる。この場合、音声通信システム16は、顧客電話機20から送信される音声データ及びオペレータ電話機12から送信される音声データを含む発話データを、電話対応業務支援システム14にリアルタイムに送信する。音声通話システム16は、さらに顧客電話機20の発信者電話番号を電話対応業務支援システム14に送信してよい。発信者電話番号は、顧客電話機20を使用する顧客の特定に利用される。ここでは、顧客からの呼を受け付けるコールセンタ業務に本発明を適用する例を説明するが、見込み顧客にオペレータ電話機12から電話を掛けるテレマーケティング業務にも、本発明は同様に適用できる。
【0019】
電話対応業務支援システム14はサーバコンピュータを中心に構成されており、オペレータによる電話対応業務を支援するため、オペレータ端末10に各種情報を表示する。オペレータ端末10は、電話対応業務支援システム14にLANなどのネットワークを介して接続されたパーソナルコンピュータを中心に構成されており、オペレータに各種情報を表示するディスプレイ、必要に応じて情報入力を行うための入力デバイスを含む。オペレータは、オペレータ端末10のディスプレイに表示されるオペレータ画面を見ながらオペレータ電話機12で顧客と会話を進めることで、電話対応業務を行う。
【0020】
図2は、オペレータ端末10のディスプレイに表示されるオペレータ画面の一例である。同図に示すオペレータ画面30の内容は、電話対応業務支援システム14により生成されており、同内容がオペレータ端末10に送信されることにより、オペレータ画面30がオペレータ端末10のディスプレイに表示されている。
【0021】
オペレータ画面30は、問い合わせ欄30a、タスクリスト欄30b、要約欄30c及び会話欄30dを含んでいる。会話欄30dは、オペレータと顧客との間の会話をテキスト表示する欄である。上述のように音声通話システム16から電話対応業務支援システム14に発話データが送信されており、電話対応業務支援システム14ではこの発話データをテキストデータの形式に変換し、会話欄30dに時系列に表示する。音声通話システム16は、顧客電話機20から送信される音声データ及びオペレータ電話機12から送信される音声データを区別して、電話対応業務支援システム14に送信しており、顧客電話機20からの音声を示すテキストは左からの吹き出し内に、オペレータ電話機12からの音声を示すテキストは右からの吹き出し内に表示する。ここでは、顧客の発言101、103,105と、オペレータの発言102,104が交互に表示されている。
【0022】
問い合わせ欄30aは、顧客からの問い合わせ内容を表示する欄である。ここでは、電話対応業務支援システム14が顧客からの問い合わせが発言101であることを検知したことから、この発言101の内容が問い合わせ欄30aにも表示されている。
【0023】
タスクリスト欄30bは、オペレータのなすべきタスクをチェックボックスとともに表示する欄である。後述するように、オペレータのなすべきタスクは、問い合わせ欄30aに表示される問い合わせ内容に対応して、あらかじめデータベースに記憶されている。ここでは、顧客がログインできなかったことに対して、「名前」「生年月日」「登録メールアドレス」の3項目を顧客に質問するというタスクが示されている。図示されていないが、その他にログイン方法を具体的に顧客に案内するタスクも、タスクリスト欄30bにチェックボックスとともに表示されてよい。ここでは、発言102及び発言103により、オペレータが名前を尋ね、顧客がそれに回答していることから、タスク名「名前」の横のチェックボックスC1に、タスク完了済みを示すチェック画像「V」が付加されている。同様に、発言104及び発言105により、オペレータが生年月日を尋ね、顧客がそれに回答するというタスクが完了していることから、タスク名「名前」の横のチェックボックスC2に、タスク完了済みを示すチェック画像「V」が付加されている。一方、タスク名「登録メールアドレス」についての発言はオペレータからも顧客からもまだ無いことから、チェックボックスC3にはチェック画像「V」は付加されていない。
【0024】
なお、チェック画像「V」を付加する代わりに、タスク名の下に線を付加したり、タスク名に重ねて二重線を付加したりする態様でもよい。また、タスク完了済みの場合に、タスク名の表示態様を変更してもよい。例えば、タスク名の表示色を変更したり、タスク名を消去したり、タスク名を点滅させたりしてよい。
【0025】
また、ここではタスクがオペレータから顧客への質問である場合に、オペレータが質問し、顧客が回答した場合に、タスク完了済みとしたが、オペレータが質問すれば、顧客による回答の有無に関わらずタスク完了済みとしてよい。また、オペレータからの質問に対して顧客が正しく回答した場合にのみ、タスク完了済みとしてよい。
【0026】
要約欄30cは、会話欄30dに表示される会話の要約を表示する欄である。この要約欄30cは、問い合わせ欄30aに表示される問い合わせ内容又はその要約、完了済みのタスクに関する発言内容又はその要約を含んでよい。ここでは、問い合わせ内容である発言101の要約、完了済みのタスク名「名前」及び顧客の回答である発言103、完了済みのタスク名「生年月日」及び顧客の回答である発言105の要約が表示されている。
【0027】
図3は、電話対応業務支援システム14の機能ブロック図である。同図に示すように、電話対応業務支援システム14は、テキスト変換部14a、通信部14b、問い合わせ判定部14c、タスクリスト取得部14d、タスク判定部14e、問い合わせDB(データベース)14f、タスクリストDB14g及び要約保管部14hを含む。上述したように電話対応業務支援システム14はサーバコンピュータを中心に構成されており、これらの機能ブロックは、サーバコンピュータにより電話対応業務支援プログラムが完了されることにより実現される。このプログラムは、インターネットなどの通信回線を介してサーバコンピュータにインストールされてもよいし、半導体メモリなどのコンピュータ可読情報記憶媒体からインストールされてもよい。
【0028】
テキスト変換部14aは、音声通話システム16から受信する音声データをテキストデータの形式に変換する。上述したように音声データは、顧客電話機20から送信される音声データと、オペレータ電話機12から送信される音声データと、が含まれ、音声通話システム16はこれらを区別してテキスト変換部14aに供給する。これによりテキスト変換部14aは顧客の音声を示すテキストデータとオペレータの音声を示すテキストデータとを区別して出力する。顧客の音声を示すテキストデータとオペレータの音声を示すテキストデータは、通信部14bを介してオペレータ端末10に送信され、オペレータ端末10ではこれらのテキストデータを会話欄30dに時系列に表示する。なお、通信部14bはLANなどのネットワークを介してオペレータ端末10とデータ通信を行うものである。
【0029】
問い合わせ判定部14cには、顧客の音声を示すテキストデータが入力され、これを問い合わせDB14fに記憶された問い合わせ文と比較することにより、事前に想定された問い合わせであるか否かを判定する。図4は、問い合わせDB14fの記憶内容を模式的に示す図である。同図に示すように、問い合わせDB14fは、問い合わせ内容を識別する問い合わせID(例として「001」)に関連づけて、問い合わせ名(ここでは「ログインできない」)と、実質的に同一内容の複数の問い合わせ文と、をテキスト形式で記憶している。複数の問い合わせ文を記憶しておくのは、表現揺れを吸収するためである。問い合わせ判定部14cは、テキスト変換部14aから入力されるテキストデータと、問い合わせDB14fに記憶されるいずれかの問い合わせ文と、の類似度が所定閾値以上である場合に、その問い合わせ文に関連づけられた問い合わせIDをタスクリスト取得部14dに供給する。この場合、顧客の音声を示すテキストデータは、通信部14bを介してオペレータ端末に送信され、オペレータ端末10は同テキストデータを問い合わせ欄30aに表示する。
【0030】
タスクリスト取得部14dは、問い合わせ判定部14cから供給される問い合わせIDに関連づけられたタスクリストをタスクリストDB14gから取得する。ここでは、タスクリストには質問タスクリストと案内タスクリストが含まれる。
【0031】
図5は、質問タスクリストを模式的に示す図である。同図に示すように質問タスクリストは、問い合わせIDと、複数の質問タスクデータを含む。各質問タスクデータは、問い合わせIDにより識別される問い合わせに対処するために必要とされるタスクのタスクID(例として「A01」〜「A03」)と、それらタスクのタスク名(例として「氏名」「生年月日」「登録メールアドレス」)と、それらタスクにおいてなされるべき発話内容を示す発話データと、を含む。発話データは、必要事項を顧客に質問する際のオペレータの発話例を示しており、実質的に同一内容の複数のテキストデータを含んでいる。表現揺れを吸収するためである。
【0032】
次に図6は、案内タスクリストを模式的に示す図である。同図に示すように案内タスクリストは、問い合わせIDと、複数の案内タスクデータを含む。各案内タスクデータは、問い合わせIDにより識別される問い合わせに対処するために必要とされる案内タスクのタスクID(例として「B01」〜「B02」)と、それらタスクにおいてなされるべき発話内容を示す発話データと、を含む。発話データは、必要事項を顧客に案内する際のオペレータの発話例を示しており、実質的に同一内容の複数のテキストデータを含んでいる。表現揺れを吸収するためである。
【0033】
タスクリスト取得部14dは、こうして質問タスクリスト及び案内タスクリストをタスクリストDB14gから取得すると、通信部14bを介してそれらをオペレータ端末10に送信する。オペレータ端末10では、ディスプレイのタスクリスト欄30bにそれらを表示する。具体的には、オペレータ端末10は、質問タスクリストに含まれるタスク名をチェックボックス付きでタスクリスト欄30bにリスト形式で表示する。さらに、各案内タスクデータに含まれる発話データのうち各1つをチェックボックス付きでタスクリスト欄30bに表示する。これにより、オペレータは、どのような内容を顧客に話さなければならないか、タスクリスト欄30bを見て確認できるようになる。
【0034】
タスク判定部14eは、オペレータ及び顧客の音声を示すテキストデータと、質問タスクリスト又は案内タスクリストに含まれる発話データと、に基づいて、どのタスクが完了したかを判定する。
【0035】
タスク判定部14eには、オペレータの音声を示すテキストデータがテキスト変換部14aから入力されている。また、タスクリスト取得部14dには、問い合わせ判定部14cにより特定された問い合わせIDが入力されており、タスクリスト取得部14dは、該問い合わせIDに関連づけられた質問タスクリスト及び案内タスクリストをタスクリストDB14gから取得する。タスク判定部14eは、オペレータの音声を示すテキストデータが入力されると、該テキストデータが、取得した質問タスクリスト又は案内タスクリストに含まれる発話データのいずれかに類似しないか、を調べる。例えば、いずれかの発話データと、オペレータの音声を示すテキストデータとの類似度が所定閾値以上であれば、両データは類似すると判断する。そして、そのような発話データを検知した場合には、同発話データに対応するタスクを完了済みと判断する。この場合、タスク判定部14eは、完了済みのタスクのタスクIDを、通信部14bを介してオペレータ端末10に送信する。これに応じて、オペレータ端末10では、タスクリスト欄30bの表示内容を変更し、受信したタスクIDにより特定されるタスクが完了済みである旨を表示する。例えば、図2では、完了済みのタスクのタスク名の横に配置された空のチェックボックス内にチェック画像が付加される。
【0036】
なお、オペレータが顧客に対して質問タスクリストに含まれる質問をした場合には、タスク判定部14eには、顧客の音声を示すテキストデータをテキスト変換部14aから取得し、このテキストデータに基づいて顧客が正しく回答したか否かを判定してよい。この場合、顧客がオペレータの質問に対して正しく回答した場合に、タスクが完了済みであると判断するようにしてよい。
【0037】
例えば、オペレータが「氏名」「生年月日」「登録メールアドレス」などのような顧客の登録済み情報を質問する場合には、顧客の音声を示すテキストデータに、図示しない顧客DBに記録された登録済み情報が含まれるか否かを判定してよい。そして、タスク判定部14eは、顧客DBに記録された登録済み情報を顧客の音声を示すテキストデータが含む場合に、顧客が正しく回答したものと判断し、タスク完了済みであるとしてよい。
【0038】
あるいは、タスク判定部14eは機械学習モデルを利用して、オペレータの質問に対して顧客が正しく回答したか否か(正否)を判定してよい。機械学習モデルは例えば質問ごとに用意され、正しい回答を正例、正しくない(つまり適切でない)回答を負例とする訓練データにより、事前に訓練されてよい。タスク判定部14eは、オペレータの質問に対応する機械学習モデルに、顧客の回答を示すテキストデータを入力することにより、その回答が正しいものか否かを判定する。そして、正しいものであると判定した場合に、質問タスクリスト中のタスクが完了済みであると判断してよい。
【0039】
なお、タスク判定部14eは、タスクが完了済みであると判定すると、そのタスクの要約を生成し、通信部14bを介してオペレータ端末10に送信する。オペレータ端末10は、要約欄30cにその要約を追加的に表示する。こうして表示される要約は、HDDやSSDなどのデータ格納手段により構成された要約保管部14hに保存される。要約保管部14hに保存された電話対応業務の要約を確認することにより、オペレータが正しく電話対応業務を行ったかどうかを事後的に検証することができる。
【0040】
図7及び図8は、電話対応業務支援システム14の動作フロー図である。まず、顧客電話機20から着呼があると、顧客やオペレータの音声データと、その音声データが顧客のものであるか又はオペレータのものであるかを示す発話者情報と、が音声通話システム16から業務支援システム14に送信される(S101)。電話対応業務支援システム14は、発話者情報により発話者を識別するとともに、テキスト変換部14aは音声データをテキスト形式に変換する(S103)。そして、発話者情報が顧客を示す場合には、問い合わせ判定部14cは顧客の音声を示すテキストデータを用いて、それが事前に想定された問い合わせであるかを判定する(S104)。顧客の音声を示すテキストデータが、事前に想定された問い合わせを示していなければ(S105)、S101に戻る。一方、顧客の音声を示すテキストデータが、事前に想定された問い合わせを示していれば(S105)、オペレータ端末10は問い合わせ欄30aに問い合わせに係るテキストデータを表示する(S106)。また、問い合わせDB14fに記憶されている問い合わせ名を要約欄30cの先頭行に表示する。なお、要約欄30cには、問い合わせ名の代わりに、顧客の音声を示すテキストデータの要約を表示してもよい。さらに、タスクリスト取得部14dは、その問い合わせに対応するタスクリストをタスクリストDB14から取得し、オペレータ端末10はタスクリスト欄30bにそのタスクリストを表示する(S107)。
【0041】
その後、電話対応業務支援システム14は音声通話システム16から顧客やオペレータの音声データと、発話者情報と、を再び取得する(S108)。そして、発話者情報により発話者を識別するとともに(S109)、テキスト変換部14aにより音声データをテキスト形式に変換する(S110)。
【0042】
次に、タスク判定部14eは、S109で得られたオペレータの音声を示すテキストデータと、S106で取得されたタスクリストに含まれるいずれかの発話データと、が類似するか否かを判定する(S111)。それらが類似すれば、次にタスクリストに含まれる1つのタスクが完了したかを判定する(S112)。例えば、質問タスクリストに含まれるタスクであれば、質問がされた場合、又は質問がされ且つ正しく回答がされた場合に、そのタスクが完了したと判断してよい。タスクが完了していなければS108に戻る。一方、タスクが完了した場合には、完了したタスクのタスクIDをオペレータ端末10に送信する。このタスクIDに応じて、オペレータ端末10はタスクリスト欄30bを更新し、タスクIDにより特定されるタスクが完了済みであることを表示する(S113)。
【0043】
さらに、タスク判定部14eは、完了したタスクの要約を生成し、オペレータ端末10に送信する。これにより、オペレータ端末10は要約欄30cに完了したタスクの要約を追加的に表示する(S114)。以上のS108〜S114の処理は、タスクリストに含まれるすべてのタスクが完了するまで継続される(S115)。
【0044】
以上説明した電話対応業務支援システム14によれば、タスクリスト欄30bに顧客からの問い合わせに応じたタスクリストが表示され、完了済みのタスクについては、他のタスクと表示上区別されるので、質問や案内などの複数タスクを電話対応業務のオペレータが漏れなく行えるようなる。なお、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形例もその範囲に含むものである。
【符号の説明】
【0045】
10 オペレータ端末、12 オペレータ電話機、14 電話対応業務支援システム、14a テキスト変換部、14b 通信部、14c 問い合わせ判定部、14d タスクリスト取得部、14e タスク判定部、14f 問い合わせデータベース、14g タスクリストデータベース、14h 要約保管部、16 音声通話システム、18 公衆電話網、20 顧客電話機、30 オペレータ画面、30a 問い合わせ欄、30b タスクリスト欄、30c 要約欄、30d 会話欄。
【要約】
【課題】質問や案内などの複数タスクを電話対応業務のオペレータが漏れなく行えるように支援すること。
【解決手段】電話対応業務におけるタスクのタスク名と、該タスクにおいてなされるべき発話内容を示す発話データと、をそれぞれ含む複数のタスクデータを記憶するタスクリストDB14gと、前記電話対応業務のオペレータ端末に、前記複数のタスクデータのそれぞれに含まれる前記タスク名を表示するタスクリスト取得部14dと、前記電話対応業務における前記オペレータの音声と、前記複数のタスクデータのそれぞれに含まれる前記発話データと、に基づいて、前記複数のタスクデータのうちどのタスクデータに係るタスクが完了したかを判定するとともに、いずれかのタスクが完了したと判定される場合に、前記ディスプレイにおいて、完了したと判定されたタスクのタスク名を、他のタスク名とは区別するための表示制御を実行するタスク判定部14eと、を含む電話対応業務支援システムが提供される。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8