特許第6961791号(P6961791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961791車両制御システム、車両制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961791
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】車両制御システム、車両制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/14 20200101AFI20211025BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20211025BHJP
   B60W 10/04 20060101ALI20211025BHJP
   B60W 10/20 20060101ALI20211025BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20211025BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B60W50/14
   B60W60/00
   B60W10/00 134
   B60W10/04
   B60W10/20
   G08G1/16 F
   G08G1/16 C
   G08G1/09 V
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-501890(P2020-501890)
(86)(22)【出願日】2018年2月21日
(86)【国際出願番号】JP2018006133
(87)【国際公開番号】WO2019163010
(87)【国際公開日】20190829
【審査請求日】2020年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】堀井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】加納 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】落田 純
(72)【発明者】
【氏名】長岡 伸治
(72)【発明者】
【氏名】金▲崎▼ 弘文
(72)【発明者】
【氏名】カ ロイ
【審査官】 戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/168540(WO,A1)
【文献】 特開2016−122308(JP,A)
【文献】 特開2017−196965(JP,A)
【文献】 特開2017−019424(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/168517(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 50/14
B60W 60/00
B60W 10/04
B60W 10/20
G08G 1/16
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺状況を認識する認識部と、
前記認識部により認識された周辺状況に基づいて、前記車両の操舵および加減速を制御して車両の自動運転制御を行う制御部と、を備え、
前記自動運転制御は、少なくとも、前記車両の運転席に着座した乗員にステアリングホイールの把持が要求される第1モードによる制御と、前記車両の乗員にステアリングの把持が要求されない第2モードによる制御と、を含み、
前記制御部は、
前記第1モードによる制御が実行されている場合において、第1条件が成立した場合には、速やかに前記自動運転制御を終了し、
前記第2モードによる制御が実行されている場合において、前記第1条件が成立した場合には、前記自動運転制御を終了させるための第1制御を実行し、
前記第2モードによる制御が実行されている場合において、第2条件が成立した場合には、前記第2モードによる制御を終了し、前記車両を乗員の操作に依らずに自動で減速させるための第2制御を実行し、
前記第1条件は、(1)前記自動運転制御の作動に関するスイッチが前記車両の乗員によって操作されたこと、または(2)前記車両の乗員によって前記車両の運転に関する操作が所定度合以上で行われたことであり、
前記第1制御は、上記(1)が成立した場合に前記車両の乗員に手動運転を促す報知を出力した後、所定時間の経過後に前記自動運転制御を終了させる制御、または上記(2)が成立した場合に前記自動運転制御を終了させる制御であり、
前記第2条件は、前記自動運転制御の制御状態が所定度合以下に低下したこと、または前記車両の乗員の覚醒度合が所定度合以下に低下したことである、
車両制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1条件が成立したことに応じて前記自動運転制御が終了する場合、および前記第2条件が成立したことに応じて行われる前記第2制御が実行される前後において、前記車両の乗員に運転の交代を促す情報を出力部に出力させる、
請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2制御を実行した結果、前記車両の状態が安定した場合において、前記車両の乗員が所定の操作を行ったことを検知した場合に、前記第2制御を終了させるとともに前記自動運転制御を終了する、
請求項1または2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2モードによる制御が実行されている際に、
前記車両の乗員によって車両の運転に関する操作が所定度合未満で行われた場合、前記車両の運転に関する操作を反映させつつ前記自動運転制御を継続し、
前記車両の乗員によって車両の運転に関する操作が所定度合以上で行われた場合、前記第1条件が成立したと判定し、前記自動運転制御を終了させるための第1制御を実行させる、
請求項1からのうちいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項5】
車両の周辺状況を認識する認識部と、
前記認識部により認識された周辺状況に基づいて、前記車両の操舵および加減速を制御して車両の自動運転制御を行う制御部と、を備え、
前記自動運転制御は、少なくとも、前記車両の運転席に着座した乗員にステアリングホイールの把持が要求される第1モードによる制御と、前記車両の乗員にステアリングの把持が要求されない第2モードによる制御と、を含み、
前記制御部は、
前記第1モードによる制御が実行されている場合において、前記自動運転制御の作動に関するスイッチが前記車両の乗員によって操作された、または前記車両の乗員によって前記車両の運転に関する操作が所定度合以上で行われた場合には、前記自動運転制御を終了させるための制御を実行し、
前記第2モードによる制御が実行されている場合において、前記車両の乗員によって前記車両の運転に関する操作が所定度合以上で行われた場合には、前記第2モードによる制御を終了し、前記第1モードに移行し、
前記第2モードによる制御が実行されている場合において、前記自動運転制御の制御状態が所定度合以下に低下したこと、または前記車両の乗員の覚醒度合が所定度合以下に低下した場合には、前記第2モードによる制御を終了し、前記車両を自動で減速させるための制御を実行する、
車両制御システム。
【請求項6】
車載コンピュータが、
車両の周辺状況を認識し、
前記認識された周辺状況に基づいて、前記車両の操舵および加減速を制御して車両の自動運転制御を行い
前記自動運転制御は、少なくとも、前記車両の運転席に着座した乗員にステアリングホイールの把持が要求される第1モードによる制御と、前記車両の乗員にステアリングの把持が要求されない第2モードによる制御と、を含み、
前記第1モードによる制御が実行されている場合において、第1条件が成立した場合には、速やかに前記自動運転制御を終了し、
前記第2モードによる制御が実行されている場合において、前記第1条件が成立した場合には、前記自動運転制御を終了させるための第1制御を実行し、
前記第2モードによる制御が実行されている場合において、第2条件が成立した場合には、前記第2モードによる制御を終了し、前記車両を乗員の操作に依らずに自動で減速させるための第2制御を実行し、
前記第1条件は、(1)前記自動運転制御の作動に関するスイッチが前記車両の乗員によって操作されたこと、または(2)前記車両の乗員によって前記車両の運転に関する操作が所定度合以上で行われたことであり、
前記第1制御は、上記(1)が成立した場合に前記車両の乗員に手動運転を促す報知を出力した後、所定時間の経過後に前記自動運転制御を終了させる制御、または上記(2)が成立した場合に前記自動運転制御を終了させる制御であり、
前記第2条件は、前記自動運転制御の制御状態が所定度合以下に低下したこと、または前記車両の乗員の覚醒度合が所定度合以下に低下したことである、
車両制御方法。
【請求項7】
車載コンピュータに、
車両の周辺状況を認識させ、
前記認識された周辺状況に基づいて、前記車両の操舵および加減速を制御して車両の自動運転制御を行わせ
前記自動運転制御は、少なくとも、前記車両の運転席に着座した乗員にステアリングホイールの把持が要求される第1モードによる制御と、前記車両の乗員にステアリングの把持が要求されない第2モードによる制御と、を含み、
前記第1モードによる制御が実行されている場合において、第1条件が成立した場合には、速やかに前記自動運転制御を終了させ、
前記第2モードによる制御が実行されている場合において、前記第1条件が成立した場合には、前記自動運転制御を終了させるための第1制御を実行させ、
前記第2モードによる制御が実行されている場合において、第2条件が成立した場合には、前記第2モードによる制御を終了し、前記車両を乗員の操作に依らずに自動で減速させるための第2制御を実行させ、
前記第1条件は、(1)前記自動運転制御の作動に関するスイッチが前記車両の乗員によって操作されたこと、または(2)前記車両の乗員によって前記車両の運転に関する操作が所定度合以上で行われたことであり、
前記第1制御は、上記(1)が成立した場合に前記車両の乗員に手動運転を促す報知を出力した後、所定時間の経過後に前記自動運転制御を終了させる制御、または上記(2)が成立した場合に前記自動運転制御を終了させる制御であり、
前記第2条件は、前記自動運転制御の制御状態が所定度合以下に低下したこと、または前記車両の乗員の覚醒度合が所定度合以下に低下したことである、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システム、車両制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地設定部によって目的地が設定されている場合は目的地自動運転のための進路を生成して自動運転を開始し、目的地設定部によって目的地が設定されておらず走行意志検出部によって運転者に走行継続意志があると検出された場合は道なり自動運転のための進路を生成して自動運転を開始し、目的地設定部によって目的地が設定されておらず走行意志検出部によって運転者に走行継続意志がないと検出された場合は自動停車のための進路を生成して自動運転を開始する運転支援装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2011/158347号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置では、車両の乗員の挙動に適した制御が実行されない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、車両の乗員の挙動に適した制御を実行することができる車両制御システム、車両制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1):車両の周辺状況を認識する認識部と、前記認識部により認識された周辺状況に基づいて、前記車両の操舵および加減速を制御して車両の自動運転制御を行う制御部と、を備え、前記自動運転制御は、少なくとも、前記車両の運転席に着座した乗員にステアリングホイールの把持が要求される第1モードによる制御と、前記車両の乗員にステアリングの把持が要求されない第2モードによる制御と、を含み、前記制御部は、前記第1モードによる制御が実行されている場合において、第1条件が成立した場合には、速やかに前記自動運転制御を終了し、前記第2モードによる制御が実行されている場合において、前記第1条件が成立した場合には、前記自動運転制御を終了させるための第1制御を実行し、前記第2モードによる制御が実行されている場合において、第2条件が成立した場合には、前記第2モードによる制御を終了し、前記車両を乗員の操作に依らずに自動で減速させるための第2制御を実行し、前記第1条件は、(1)前記自動運転制御の作動に関するスイッチが前記車両の乗員によって操作されたこと、または(2)前記車両の乗員によって前記車両の運転に関する操作が所定度合以上で行われたことであり、前記第1制御は、上記(1)が成立した場合に前記車両の乗員に手動運転を促す報知を出力した後、所定時間の経過後に前記自動運転制御を終了させる制御、または上記(2)が成立した場合に前記自動運転制御を終了させる制御であり、前記第2条件は、前記自動運転制御の制御状態が所定度合以下に低下したこと、または前記車両の乗員の覚醒度合が所定度合以下に低下したことである車両制御システムである。
【0007】
(2):上記(1)において、前記制御部は、前記第1条件が成立したことに応じて前記自動運転制御が終了する場合、および前記第2条件が成立したことに応じて行われる前記第2制御が実行される前後において、前記車両の乗員に運転の交代を促す情報を出力部に出力させる。
【0008】
(3):上記(1)または(2)において、前記制御部は、前記第2制御を実行した結果、前記車両の状態が安定した場合において、前記車両の乗員が所定の操作を行ったことを検知した場合に、前記第2制御を終了させるとともに前記自動運転制御を終了する。
【0009】
(4):上記(1)から(3)のうちいずれかにおいて、前記制御部は、前記第2モードによる制御が実行されている際に、前記車両の乗員によって車両の運転に関する操作が所定度合未満で行われた場合、前記車両の運転に関する操作を反映させつつ前記自動運転制御を継続し、前記車両の乗員によって車両の運転に関する操作が所定度合以上で行われた場合、前記第1条件が成立したと判定し、前記自動運転制御を終了させるための第1制御を実行させる。
【0010】
(5):車両の周辺状況を認識する認識部と、前記認識部により認識された周辺状況に基づいて、前記車両の操舵および加減速を制御して車両の自動運転制御を行う制御部と、を備え、前記自動運転制御は、少なくとも、前記車両の運転席に着座した乗員にステアリングホイールの把持が要求される第1モードによる制御と、前記車両の乗員にステアリングの把持が要求されない第2モードによる制御と、を含み、前記制御部は、前記第1モードによる制御が実行されている場合において、前記自動運転制御の作動に関するスイッチが前記車両の乗員によって操作された、または前記車両の乗員によって前記車両の運転に関する操作が所定度合以上で行われた場合には、前記自動運転制御を終了させるための制御を実行し、前記第2モードによる制御が実行されている場合において、前記車両の乗員によって前記車両の運転に関する操作が所定度合以上で行われた場合には、前記第2モードによる制御を終了し、前記第1モードに移行し、前記第2モードによる制御が実行されている場合において、前記自動運転制御の制御状態が所定度合以下に低下したこと、または前記車両の乗員の覚醒度合が所定度合以下に低下した場合には、前記第2モードによる制御を終了し、前記車両を自動で減速させるための制御を実行する車両制御システムである。
【0011】
(6):車載コンピュータが、車両の周辺状況を認識し、前記認識された周辺状況に基づいて、前記車両の操舵および加減速を制御して車両の自動運転制御を行い、前記自動運転制御は、少なくとも、前記車両の運転席に着座した乗員にステアリングホイールの把持が要求される第1モードによる制御と、前記車両の乗員にステアリングの把持が要求されない第2モードによる制御と、を含み、前記第1モードによる制御が実行されている場合において、第1条件が成立した場合には、速やかに前記自動運転制御を終了し、前記第2モードによる制御が実行されている場合において、前記第1条件が成立した場合には、前記自動運転制御を終了させるための第1制御を実行し、前記第2モードによる制御が実行されている場合において、第2条件が成立した場合には、前記第2モードによる制御を終了し、前記車両を乗員の操作に依らずに自動で減速させるための第2制御を実行し、前記第1条件は、(1)前記自動運転制御の作動に関するスイッチが前記車両の乗員によって操作されたこと、または(2)前記車両の乗員によって前記車両の運転に関する操作が所定度合以上で行われたことであり、前記第1制御は、上記(1)が成立した場合に前記車両の乗員に手動運転を促す報知を出力した後、所定時間の経過後に前記自動運転制御を終了させる制御、または上記(2)が成立した場合に前記自動運転制御を終了させる制御であり、前記第2条件は、前記自動運転制御の制御状態が所定度合以下に低下したこと、または前記車両の乗員の覚醒度合が所定度合以下に低下したことである車両制御方法である。
【0012】
(7):車載コンピュータに、車両の周辺状況を認識させ、前記認識された周辺状況に基づいて、前記車両の操舵および加減速を制御して車両の自動運転制御を行わせ、前記自動運転制御は、少なくとも、前記車両の運転席に着座した乗員にステアリングホイールの把持が要求される第1モードによる制御と、前記車両の乗員にステアリングの把持が要求されない第2モードによる制御と、を含み、前記第1モードによる制御が実行されている場合において、第1条件が成立した場合には、速やかに前記自動運転制御を終了させ、前記第2モードによる制御が実行されている場合において、前記第1条件が成立した場合には、前記自動運転制御を終了させるための第1制御を実行させ、前記第2モードによる制御が実行されている場合において、第2条件が成立した場合には、前記第2モードによる制御を終了し、前記車両を乗員の操作に依らずに自動で減速させるための第2制御を実行させ、前記第1条件は、(1)前記自動運転制御の作動に関するスイッチが前記車両の乗員によって操作されたこと、または(2)前記車両の乗員によって前記車両の運転に関する操作が所定度合以上で行われたことであり、前記第1制御は、上記(1)が成立した場合に前記車両の乗員に手動運転を促す報知を出力した後、所定時間の経過後に前記自動運転制御を終了させる制御、または上記(2)が成立した場合に前記自動運転制御を終了させる制御であり、前記第2条件は、前記自動運転制御の制御状態が所定度合以下に低下したこと、または前記車両の乗員の覚醒度合が所定度合以下に低下したことであるプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
(1)から(7)によれば、車両の乗員の挙動に適した制御を実行することができる。
【0016】
(2)によれば、乗員に車両の運転に関する情報を適切に通知することができる。
【0018】
(3)によれば、車両の状態が安定した場合に、運転者の操作に基づいてより確実に運転操作を運転者に引き継ぐことができる。
【0019】
(4)によれば、車両の乗員による車両の運転委関する操作の度合に応じて、車両を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る車両制御システムを利用した車両システム1の構成図である。
図2】第1制御部120第2制御部160および切替制御部170の機能構成図である。
図3】切替制御部170の指示により遷移する制御モードを説明するための図である。
図4】自動運転制御ユニット100により実行される処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
図5】自動運転制御ユニット100により実行される処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
図6】遷移判定処理の内容の一例を示す図である。
図7】第2処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】第3処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態の車両システム1Aの機能構成の一例を示す図である。
図10】実施形態の自動運転制御ユニット100(運転支援ユニット300)のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照し、本発明の車両制御システム、車両制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0022】
<第1実施形態>
[全体構成]
図1は、実施形態に係る車両制御システムを利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機を備える場合、電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0023】
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、ファインダ14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、車室内カメラ42と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、運転操作子ユニット80と、自動運転制御ユニット100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0024】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、自車両Mと称する)の任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0025】
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。レーダ装置12は、FM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0026】
ファインダ14は、LIDAR(Light Detection and Ranging)である。ファインダ14は、自車両Mの周辺に光を照射し、散乱光を測定する。ファインダ14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。ファインダ14は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。
【0027】
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御ユニット100に出力する。また、物体認識装置16は、必要に応じて、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14の検出結果をそのまま自動運転制御ユニット100に出力してよい。
【0028】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi−Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。
【0029】
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
【0030】
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
【0031】
車室内カメラ42は、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。車室内カメラ42は、自車両Mの乗員(例えば運転者)を撮像可能な位置に取り付けられる。車室内カメラ42は、例えば、所定の周期的で撮像対象の領域を撮像し、撮像した画像を自動運転制御ユニット100に出力する。車室内カメラ42は、赤外線カメラやステレオカメラであってもよい。
【0032】
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備え、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キーなどを含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。経路決定部53により決定された地図上経路は、MPU60に出力される。また、ナビゲーション装置50は、経路決定部53により決定された地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。なお、ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。また、ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから返信された地図上経路を取得してもよい。
【0033】
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61として機能し、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、経路において分岐箇所や合流箇所などが存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
【0034】
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報などが含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20を用いて他装置にアクセスすることにより、随時、アップデートされてよい。
【0035】
運転操作子ユニット80は、例えば、アクセルペダル82、ブレーキペダル84、ステアリングホイール86、シフトレバー、異形ステア、ジョイスティックその他の操作子を含む。また、運転操作子ユニット80は、操作子センサを含む。操作子センサは、例えば、アクセル開度センサ83、ブレーキセンサ85、ステアリングセンサ87、および把持センサ88を含む。アクセル開度センサ83、ブレーキセンサ85、ステアリングセンサ87、または把持センサ88は、その検出結果を、自動運転制御ユニット100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一方または双方に出力する。
【0036】
アクセル開度センサ83は、アクセルペダル82の開度を検出する。ブレーキセンサ85は、ブレーキペダル84の操作度(または操作量)を検出する。ブレーキセンサ85は、例えば、ブレーキペダルの変化量、またはブレーキ装置210のマスターシリンダの液圧に基づいて、ブレーキペダルの踏込量を検出する。ステアリングセンサ87は、ステアリングホイール86の操作度(または操作量)を検出する。ステアリングセンサ87は、例えば、ステアリングシャフトに設けられ、ステアリングシャフトの回転角に基づいてステアリングホイール86の操作度を検出する。また、ステアリングセンサ87は、操舵トルクを検出し、検出した操舵トルクに基づいて、ステアリングホイール86の操作度を検出してもよい。
【0037】
把持センサ88は、ステアリングホイール86が自車両Mの乗員に把持されている状態であるか否かを検出する。把持センサ88は、例えば、ステアリングホイール86の周方向に沿うように設けられた静電容量センサである。把持センサ88は、検出対象の領域に乗員の手が触れたことを、静電容量の変化として検出する。
【0038】
自動運転制御ユニット100は、例えば、第1制御部120と、第2制御部160と、切替制御部170と、乗員認識部180とを備える。第1制御部120と第2制御部160と切替制御部170とは、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。自動運転制御ユニット100の詳細については後述する。
【0039】
走行駆動力出力装置200は、自車両Mが走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECUとを備える。ECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子ユニット80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0040】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子ユニット80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子ユニット80に含まれるブレーキペダル84の操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、第2制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0041】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子ユニット80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0042】
図2は、第1制御部120、第2制御部160および切替制御部170の機能構成図である。なお、図2では、乗員認識部180を省略している。第1制御部120は、切替制御部170の指示に応じた車両の制御モードで自車両Mを制御する(詳細は図3参照)。
【0043】
第1制御部120は、例えば、認識部130と、行動計画生成部140とを備える。第1制御部120は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニング等による交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示などがある)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現される。これによって、自動運転(運転支援)の信頼性が担保される。
【0044】
認識部130は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14から物体認識装置16を介して入力される情報に基づいて、自車両Mの周辺にある物体の位置、および速度、加速度、自車両Mと物体との距離、自車両Mに対する物体の相対速度等の状態を認識する。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、表現された領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。また、認識部130は、カメラ10の撮像画像に基づいて、自車両Mがこれから通過するカーブの形状を認識する。認識部130は、カーブの形状をカメラ10の撮像画像から実平面に変換し、例えば、二次元の点列情報、或いはこれと同等なモデルを用いて表現した情報を、カーブの形状を示す情報として行動計画生成部140に出力する。
【0045】
また、認識部130は、例えば、自車両Mが走行している車線(走行車線)を認識する。例えば、認識部130は、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。なお、認識部130は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレールなどを含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。また、認識部130は、一時停止線、障害物、赤信号、料金所、標識、看板、その他の道路事象を認識する。
【0046】
認識部130は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。認識部130は、例えば、自車両Mの基準点の車線中央からの乖離、および自車両Mの進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識してもよい。また、これに代えて、認識部130は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自車両Mの基準点の位置などを、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。
【0047】
また、認識部130は、上記の認識処理において、認識精度を導出し、認識精度情報として行動計画生成部140に出力してもよい。例えば、認識部130は、一定期間において、道路区画線を認識できた頻度に基づいて、認識精度情報を生成する。
【0048】
行動計画生成部140は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に、自車両Mの周辺状況に対応できるように、自動運転において順次実行されるイベントを決定する。イベントには、例えば、一定速度で同じ走行車線を走行する定速走行イベント、前走車両に追従する追従走行イベント、前走車両を追い越す追い越しイベント、障害物との接近を回避するための制動および/または操舵を行う回避イベント、カーブを走行するカーブ走行イベント、交差点や横断歩道、踏切などの所定のポイントを通過する通過イベント、車線変更イベント、合流イベント、分岐イベント、自動停止イベント、自動運転を終了して手動運転に切り替えるためのテイクオーバーイベントなどがある。
【0049】
行動計画生成部140は、起動したイベントに応じて、自車両Mが将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、道なり距離で所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの自車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。
【0050】
行動計画生成部140は、例えば、推奨車線に基づいて目標軌道が生成する。推奨車線は、目的地までの経路に沿って走行するのに都合が良いように設定される。行動計画生成部140は、推奨車線の切り替わり地点の所定距離(イベントの種類に応じて決定されてよい)手前に差し掛かると、通過イベント、車線変更イベント、分岐イベント、合流イベントなどを起動する。各イベントの実行中に、障害物を回避する必要が生じた場合には、回避軌道が生成される。
【0051】
第2制御部160は、行動計画生成部140によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。
【0052】
第2制御部160は、例えば、取得部162と、速度制御部164と、操舵制御部166とを備える。取得部162は、行動計画生成部140により生成された目標軌道(軌道点)の情報を取得し、メモリ(不図示)に記憶させる。速度制御部164は、メモリに記憶された目標軌道に付随する速度要素に基づいて、走行駆動力出力装置200またはブレーキ装置210を制御する。操舵制御部166は、メモリに記憶された目標軌道の曲がり具合に応じて、ステアリング装置220を制御する。速度制御部164および操舵制御部166の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部166は、自車両Mの前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
【0053】
切替制御部170は、カメラ10や、レーダ装置12、ファインダ14、物体認識装置16、車両センサ40、MPU60、操作センサ(アクセル開度センサ83、ブレーキセンサ85、ステアリングセンサ87、把持センサ88)、自動運転制御ユニット100の状態や、センサの検知結果に基づいて、図3に示すように自車両M(例えば、車両の制御モード)を制御する。
【0054】
乗員認識部180は、車室内カメラ42により撮像された画像を解析し、解析結果に基づいて乗員(例えば運転者)の状態を監視する。乗員認識部180は、画像の解析結果に基づいて、乗員が寝ている状態であるか否かを判定したり、乗員が自車両Mの周辺を監視している状態であるか否かを判定したりする。例えば、乗員の頭が自車両Mの床方向に向いている状態が所定時間継続している場合や、乗員の瞼が所定時間以上継続して閉じている状態である場合、乗員は寝ている状態であると判定される。
【0055】
また、乗員認識部180は、画像の解析結果に基づいて、車両の乗員が視線を向けている領域を判定し、判定結果に基づいて乗員が自車両Mの周辺を監視しているか否かを判定する。例えば、乗員認識部180は、テンプレートマッチング等の手法を用いて画像から乗員の頭部と目の位置関係、目における基準点と動点の組み合わせを検出する。そして、乗員認識部180は、頭部に対する目の位置、および、基準点に対する動点の位置に基づいて、画像平面から実平面への変換処理などを行って視線の向きを導出する。例えば、基準点が目頭である場合、動点は虹彩である。また、基準点が角膜反射領域である場合、動点は瞳孔である。なお、角膜反射領域とは、車室内カメラ42等が赤外光を乗員に向けて照射した際の角膜における赤外光の反射領域である。なお、車室内カメラに含まれる処理部が、撮像された画像を解析し、解析結果に基づいて、乗員が自車両Mの周辺を監視しているか否かを判定してもよい。
【0056】
また、乗員認識部180は、把持センサ88の検出結果に基づいて、運転者がステアリングホイール86を把持している状態であるか否かを判定したり、運転者のステアリングホイール86の把持の程度を判定したりする。例えば、乗員認識部180は、把持センサ88により検出された静電容量の変化量が所定量以上である場合に、乗員がステアリングホイール86を把持していると判定する。また、乗員認識部180は、把持センサ88により検出された静電容量の変化量が所定量未満である場合に、ステアリングホイール86を把持していないと判定する。なお、乗員認識部180は、把持センサ88の検出結果に代えて、ステアリングセンサ87により検出された操舵トルクの検出結果に基づいて、運転者がステアリングホイール86を把持している状態であるか否かを判定したり、運転者のステアリングホイール86の把持の程度を判定したりしてもよい。
【0057】
[制御モードの概要]
図3は、切替制御部170の指示により遷移する制御モードを説明するための図である。制御モードは、例えば、手動運転モード、第1自動運転モード(第1運転モード)、第2自動運転モード(第2運転モード)、および代替制御モード(第2制御)を含む。手動運転モードは、自車両Mの運転者が手動で(アクセルペダル82、ブレーキペダル84、またはステアリングホイール86を操作して)自車両Mを制御するモードである。自動運転が実行されるモードにおいて、第1自動運転モード、第2自動運転モードの順で、自車両Mの運転者に求められるタスクが高い。自車両Mの運転者に求められるタスクとは、例えば、ステアリングホイール86の把持や、自車両Mの周辺の監視等である。
【0058】
第1自動運転モード(ハンズオン自動運転モード)は、車両の乗員が自車両Mの周辺を監視し、且つ、ステアリングホイール86を把持した状態で自動運転が実行されるモードである。第1自動運転モードは、例えば、高速道路のランプなどのカーブ路や、料金所付近など道路の形状が単純な直線とは異なる区間で実行される自動運転のモードである。
【0059】
第2自動運転モード(ハンズオフ自動運転モード)は、自車両Mの乗員がステアリングホイール86を把持していない状態で自動運転が実行されるモードである。第2自動運転モードは、第1自動運転モードよりも自車両Mの乗員に対して要求するタスクが低い、または自車両Mの制御に関して自動制御の度合が高い自動運転のモードである。第2自動運転モードは、例えば、高速道路の本線など道路の形状が単純な直線または直線に近い区間で実行される自動運転のモードである。
【0060】
代替制御モードは、後述する第2自動運転モードの実行が不許可状態となった場合に実行されるモードであって、第1自動運転モードおよび第2自動運転モードよりも自車両Mの機能を限定的に制御するモードである(詳細は後述)。
【0061】
[制御モードの遷移]
(1)手動運転モードである場合において、第1自動運転モードの準備が完了した状態で、第1自動運転モードの開始要求がされた場合、制御モードは第1自動運転モードに遷移する。第1自動運転モードの準備が完了した状態とは、例えば、HMI30に含まれるメインスイッチが操作され、且つ物体認識の処理の開始された状態である。
【0062】
(2)第1自動運転モードの準備が完了していない状態である場合、または第1自動運転モードである場合において自車両Mの運転者によって第1自動運転モードの終了要求(手動運転モードへの遷移要求)があった場合、制御モードは手動運転モードに遷移する。すなわち、第1自動運転モードにおいて自動運転(運転支援)を終了する場合、他の制御を介在させずに速やかに自動運転は終了する。終了要求とは、例えば、HMI30に含まれる所定のボタンが自車両Mの乗員に操作されたことを示す情報(終了意思を示す情報)である。
【0063】
切替制御部170は、第1自動運転モードの準備が完了していない状態である情報を取得した場合、または終了要求を取得した場合、「車両において第1状態により、運転支援が終了する」と判定し、制御モードを手動運転モードに遷移する。第1自動運転モードの準備が完了していない状態である情報が出力された状態、または終了要求が出力された状態が、「第1状態」の一例である。上記(2)の処理は、「車両において第1状態により、運転支援が終了する場合に、制御部に運転支援を終了させるための第1制御を実行させる」処理の一例である。
【0064】
また、上記(2)において、切替制御部170は、車両の乗員に運転交代を促す情報、または車両の運転に関して注意喚起を示す情報をHMI30に出力させてもよい。また、第1自動運転モードが実行されている場合において、切替制御部170は、車両の乗員が自車両Mの周辺を監視していない場合、周辺を監視することを要求する報知をHMIに出力させてもよい。
【0065】
[第1自動運転モード]
第1自動運転モードは、例えば、第1ノーマルモードを含む。第1ノーマルモードは、車両の乗員が自車両Mの周辺を監視し、且つ、自車両Mの運転者がステアリングホイール86を把持した状態で、第1制御部120が自車両Mを自動運転させるモードである。
【0066】
(3)第1自動運転モードの第1ノーマルモードにおいて、自車両Mの運転者によってステアリングホイール(ST)86が所定時間継続して把持されていない場合、切替制御部170は、ハンズオンワーニング(ステアリングホイール86の把持を要求する報知)をHMI30に出力させる。
【0067】
(4)ハンズオンワーニングが行われている場合において、自車両Mの運転者によってステアリングホイール86が把持された状態になった場合、ハンズオンワーニングの出力が停止され、制御モードは第1ノーマルモードに遷移する。
【0068】
なお、第1自動運転モードにおいて、切替制御部170は、車両の運転者によって車両の運転に関する操作(アクセルペダル82、ブレーキペダル84、またはステアリングホイール86のうち少なくとも一つ以上の操作)が所定度合以上で行われた場合、運転者の終了要求が出力された(運転支援の終了条件が成立した)と判定してもよい。
【0069】
また、第1ノーマルモードにおいて、第1制御部120は、車両の乗員によって車両の運転に関する操作が所定度合未満で行われた場合、自車両Mの運転に関する操作を反映させつつ自動運転を継続してもよい。例えば、第1制御部120は、アクセルペダル82が操作された場合、車両を加速させたり、ブレーキペダル84が操作された場合、車両を減速させたりする。例えば、第1制御部120は、自車両Mを車線変更させるためにステアリングホイール86が操作された場合、ステアリングホイール86が操作された方向に存在する車線に車両を車線変更させる。
【0070】
(5)第1ノーマルモードにおいて、自動運転制御ユニット100が第2自動運転モードの準備が完了したことを運転者に通知し、その後、運転者によって行われていたステアリングホイール86に対する操作量が閾値未満となった場合、制御モードは第2自動運転モードに遷移する。第2自動運転モードの準備が完了とは、例えば、第2自動運転モードで走行するための処理が実行可能な状態に自車両Mの各部が制御された状態である。(6)第2自動運転モードにおいて、ステアリングホイール86に対する運転者の操作量が閾値以上になった場合、制御モードは第1自動運転モードに遷移する。
【0071】
[第2自動運転モード]
第2自動運転モードは、例えば、ハンズオフモードと、Traffic Jam Pilot(以下、TJPと称する)モードとを含む。ハンズオフモードは、自車両Mの運転者が自車両Mの周辺を監視している状態で実行される自動運転のモードである。
【0072】
ハンズオフモードは、例えば、第2ノーマルモードを含む。第2ノーマルモードは、自車両Mの運転者がステアリングホイール86を把持していない状態であり、且つ自車両Mの周辺を監視している状態で実行される自動運転のモードである。
【0073】
TJPモードは、自車両Mの運転者によるステアリングホイール86の把持が必要でない状態であり、自車両Mの運転者が自車両Mの周辺を監視していない状態であっても実行される自動運転のモードである。TJPモードは、例えば、所定速度(例えば、60[km/h])以下で自車両Mの前方を走行する同一車線内の周辺車両(前走車両)に追従する制御態様である。TJPモードは、例えば、自車両Mの速度が所定速度以下であり、且つ前走車両との車間距離が所定距離以内であるときに発動してもよく、HMI30が乗員の操作を受け付けることにより発動してもよい。例えば、TJPモードを実行しているか、或いは、TJPモードに遷移可能な状態であるかを示す情報がHMI30の表示部に表示される。TJPモードは、第2ノーマルモードよりも自車両Mの乗員に対して要求するタスクが低い、または自車両Mの制御に関して自動制御の度合が高い自動運転のモードである。なお、TJP許可状態の場合に、運転者が仮に操舵トルクの入力が少ない状態でステアリングホイール86を把持していても、制御モードはTJPモードに遷移し、更に遷移後に、上記の把持が継続されている場合であっても、TJPモードは継続する。
【0074】
(7)第2自動運転モードの第2ノーマルモードにおいて、第2ノーマルモードの準備が整っていなく(例えば、第2自動運転モードの準備が完了していなく、または第2自動運転モードを実行できない区間であり)、且つ自車両Mの運転者にステアリングホイール86が所定時間継続して把持されていない場合、切替制御部170は、ハンズオン要求をHMI30に出力させる。ハンズオン要求は、ステアリングホイール86の把持を自車両Mの運転者に要求するものである。(8)ハンズオン要求が出力されている場合において第2ノーマルモードの準備が整い、ステアリングホイール86が把持されていない場合、制御モードは第2ノーマルモードに遷移する。
【0075】
(9)第2ノーマルモードにおいて、所定時間継続してアイズオフが検出されている場合、切替制御部170は、アイズオンワーニング(自車両Mの運転者に自車両Mの周辺の監視を要求する報知)をHMI30に出力させる。アイズオフとは、自車両Mの運転者が自車両Mの周辺を監視していない状態である。アイズオンとは、自車両Mの運転者が自車両Mの周辺を監視している状態である。監視しているとは、例えば、自車両Mの進行方向、およびその周辺に視線を向けていることである。(10)アイズオンワーニングが出力されている場合において、自車両Mの運転者が自車両Mの周辺の監視を行っている状態になった場合、制御モードは第2ノーマルモードに遷移する。
【0076】
(11)第2ノーマルモードにおいて、自車両MがTJP許可状態である場合、制御モードはTJPモードに遷移する。TJP許可状態とは、例えば、TJPモードにおいて自車両Mを制御することができる状態である。(12)TJPモードにおいて、自車両MがTJP非許可状態である場合、制御モードは第2ノーマルモードに遷移する。TJP非許可状態とは、TJPモードにおいて自車両Mを制御することができない状態である。
【0077】
第2自動運転モードは、上述したように第1自動運転モードに遷移する場合に加え、更に代替制御モードに遷移する。(13)第2自動運転モードにおいて、第2自動運転モードの実行が不許可状態になった場合(切替制御部170が運転支援の終了意思とは異なる要因によって運転支援を終了させることが必要であると判定した場合)、制御モードが代替制御モードに遷移する。すなわち、切替制御部170は、第2自動運転モードの実行が不許可状態になった場合、「車両において第2状態により、運転支援が終了する」と判定し、制御モードを代替制御モードに遷移させる。第2自動運転モードの実行が不許可状態になった状態が、「第2状態」の一例である。
【0078】
第2自動運転モードの実行が不許可状態とは、例えば、自車両Mの運転者の覚醒度が所定度合以下に低下した状態や、車両システム1が所定の状態である。自車両Mの運転者の覚醒度が所定度合以下に低下した状態とは、例えば、自車両Mの運転者が所定の挙動を行っていない状態(例えば自車両Mの周辺の監視を行っていない状態や、視線を進行方向、およびその周辺に向けていない状態等)、乗員が寝ている状態、寝そうな状態等である。また、所定の状態(運転支援の制御状態が低下した状態)とは、例えば、自動運転に関連する機器や機能部から所定の信号や出力値が出力された場合である。所定の信号とは、自動運転が行われる際に出力される信号とは異なる信号(例えば不具合または異常を示す信号)である。
【0079】
例えば、第2自動運転の実行が不許可状態になった場合、切替制御部170によって制御モードの移行要求が第1制御部120に出力され、リスク抑制制御が第1制御部120によって実行される。リスク抑制制御とは、リスクを低減しつつ、自車両Mを減速させて自車両Mを所定の位置(例えば停車スペースや路肩等)に停車させる制御である。
【0080】
(14)代替制御モードのリスク抑制制御の結果、自車両Mの状態が安定(減速や停車)した場合において、自車両Mの乗員が所定の操作を行ったことが検知された場合に、リスク抑制制御は終了し、自動運転は終了する。例えば、自車両Mが停車した後に、テイクオーバーが成立した場合(乗員が所定の操作を行った場合)、制御モードは手動運転モードに遷移する。テイクオーバーとは、運転者が手動運転の実行が可能な状態になったことである。例えば、切替制御部170は、自車両Mの運転手が、アクセルペダル82、ブレーキペダル84、またはステアリングホイール86のうち、少なくとも一つ以上を所定度合以上操作した場合に、テイクオーバーが成立したと判定する。所定度合以上操作したとは、例えば、ステアリングホイール86を所定の操作量以上回転させたことである。また、リスク抑制制御の前後において、切替制御部170は、車両の乗員に運転交代を促す情報、または車両の運転に関して注意喚起を示す情報をHMI30に出力させる。
【0081】
(15)第2自動運転モードにおいて、運転者の終了要求(終了意思を示す情報)が出力されると、切替制御部170は、テイクオーバーワーニング(自車両Mの運転者に手動運転を促す報知)をHMI30に出力させる。すなわち、切替制御部170は、終了要求を取得した場合、「第1状態により、運転支援が終了する」と判定し、テイクオーバーワーニングモードを出力する。終了要求が出力された状態が、「第1状態」の一例である。例えば、運転者がHMI30に含まれる所定のボタンに対して所定の操作を実行することにより、運転者の終了要求が出力される。
【0082】
また、切替制御部170は、車両の運転者によって車両の運転に関する操作(アクセルペダル82、ブレーキペダル84、またはステアリングホイール86のうち少なくとも一つ以上の操作)が所定度合以上で行われた場合、運転者の終了要求が出力された(運転支援の終了条件が成立した)と判定してもよい。
【0083】
なお、第2自動運転モードにおいて、車両の乗員によって車両の運転に関する操作が所定度合未満で行われた場合、自車両Mの運転に関する操作を反映させつつ自動運転を継続してもよい。例えば、第1制御部120は、アクセルペダル82が操作された場合、車両を加速させたり、ブレーキペダル84が操作された場合、車両を減速させたりする。例えば、第1制御部120は、ステアリングホイール86が所定の操作量以上操作された場合、ステアリングホイール86が操作された方向に存在する車線に車線変更する。
【0084】
(16)テイクオーバーワーニングが、所定時間継続して出力されている、またはテイクオーバーが成立すると、制御モードは手動運転モードに遷移する。
【0085】
上述したように、切替制御部170が、制御モードを自車両Mの乗員の挙動に応じて設定することにより、自車両Mの乗員の挙動に適した制御を実行することができる。
【0086】
なお、上述した実施形態において、切替制御部170は、第1自動運転モードにおいて、第1自動運転モードの実行が不許可状態になった場合(切替制御部170が運転支援の終了意思とは異なる要因によって運転支援を終了させることが必要であると判定した場合)、制御モードを代替制御モード(第2制御)に設定してもよい。第1自動運転モードの実行が不許可状態とは、例えば、自車両Mの運転者の覚醒度が所定度合以下に低下した状態や、車両システム1が所定の状態である。
【0087】
自車両Mの運転者の覚醒度が所定度合以下に低下した状態とは、例えば、自車両Mの運転者に要求する挙動(例えば、ステアリング86を把持している挙動や、自車両Mの周辺を監視している挙動、視線を進行方向、およびその周辺に向けている挙動等)が行われていない状態や、ステアリングホイール86の把持度合が所定度合以下に低下している状態である。所定の状態(運転支援の制御状態が所定度合以下に低下した状態)とは、例えば、第1自動運転モードの自動運転に関連する機器や機能部から所定の信号や所定の出力値が出力された場合である。所定の信号とは、第1自動運転モードの自動運転が行われる際に出力される信号とは異なる信号(例えば不具合または異常を示す信号)である。
【0088】
[フローチャート(その1)]
図4は、自動運転制御ユニット100により実行される処理の流れを示すフローチャート(その1)である。本フローチャートの処理は、第2自動運転モードが実行される際または実行された後の処理の一例である。
【0089】
まず、切替制御部170は、制御モードが第1自動運転モードから第2自動運転モード(第2ノーマルモード)に移行したか否かを判定する(ステップS100)。第2自動運転モードに移行した場合、切替制御部170は、制御モードが第2ノーマルモードからTJPモードに移行させるタイミングであるか否かを判定する(ステップS102)。
【0090】
TJPモードに移行させるタイミングである場合、切替制御部170は、制御モードを第2ノーマルモードからTJPモードに移行させる(ステップS104)。TJPモードに移行すると、切替制御部170は、TJPモードの条件を満たすか否かを判定する(ステップS106)。TJPモードの条件を満たしている間はTJPモードが維持される。
【0091】
TJPモードに移行させるタイミングでない場合、またはステップS106でTJPモードの条件を満たさなくなった場合、切替制御部170は、第1制御部120に第2ノーマルモードで自動運転を実行させる(ステップS108)。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
【0092】
[フローチャート(その2)]
図5は、自動運転制御ユニット100により実行される処理の流れを示すフローチャート(その2)である。本処理は、例えば、図4のフローチャートの1ルーチンの処理と並列に実行されてよい。
【0093】
まず、切替制御部170は、制御モードが第1自動運転モードから第2自動運転モードの第2ノーマルモードであるか否かを判定する(ステップS200)。制御モードが第2ノーマルモードである場合、切替制御部170は、乗員がアイズオン状態であるか否かを判定する(ステップS201)。アイズオン状態である場合、ステップS202からステップS212の第1処理が実行される。アイズオン状態でない場合、ステップS220からステップS224の第2処理が実行される。また、ステップS200で制御モードが第2ノーマルモードである場合、後述する図8に示すステップS226からステップS228の第3処理が他の処理に並列して実行される。以下、各処理について説明する。
【0094】
[第1処理]
制御モードが第2ノーマルモードであり、且つ乗員がアイズオン状態である場合、切替制御部170は、遷移判定処理を実行する(ステップS202)。図6は、遷移判定処理の内容の一例を示す図である。切替制御部170は、第2ノーマルモードを実行する準備ができているか否かの判定結果、およびステアリングホイール86が把持されているか否かの判定結果に基づいて、第1制御部120に実行させる制御モードを決定する。
【0095】
第2ノーマルモードを実行する準備が完了していなく、且つステアリングホイール86が把持されていない場合、切替制御部170は、ハンズオン要求をHMI30に出力させる。第2ノーマルモードを実行する準備が完了していて、且つステアリングホイール86が把持されていない場合、制御モードは第2ノーマルモードが維持される。
【0096】
第2ノーマルモードを実行する準備が完了している、または完了していなく、且つステアリングホイール86が把持されている場合、制御モードは第1自動運転モードに遷移する。
【0097】
図5の説明に戻る。切替制御部170は、第2ノーマルモードを維持するか否かを判定し(ステップS204)、ステップS204の処理において第2ノーマルモードを維持すると判定した場合、第2ノーマルモードを維持し、ステップS202の処理に戻る。
【0098】
切替制御部170は、第1自動運転モードに移行するか否かを判定し(ステップS206)、ステップS206の処理において第1自動運転モードに移行すると判定した場合、制御モードを第1自動運転モードに設定する(ステップS208)。切替制御部170は、ステップS206の処理において第1自動運転モードに移行しないと判定した場合、ハンズオン要求をHMI30に出力させる(ステップS210)。
【0099】
切替制御部170は、ハンズオン要求の出力が所定時間継続しているか否かを判定する(ステップS212)。所定時間継続していない場合、ステップS202の処理に戻る。
【0100】
所定時間継続した場合、切替制御部170は、制御モードを代替制御モードに設定する(ステップS214)。次に、切替制御部170は、テイクオーバーが成立したか否かを判定する(ステップS216)。テイクオーバーが成立していない場合、ステップS214の処理に戻る。テイクオーバーが成立した場合、切替制御部170は、制御モードを手動運転モードに設定する(ステップS218)。
【0101】
[第2処理]
図7は、第2処理の流れの一例を示すフローチャートである。制御モードが第2ノーマルモードであり、且つ乗員がアイズオン状態でない場合(アイズオフ状態である場合)、切替制御部170は、アイズオフ状態が継続しているか否かを判定する(ステップS220)。アイズオフ状態が継続していない場合、ステップS200の処理に進む。アイズオフ状態が継続している場合、切替制御部170は、アイズオンワーニングをHMI30に出力させる(ステップS222)。次に、切替制御部170は、アイズオン状態であるか否かを判定する(ステップS224)。アイズオン状態であると判定された場合、ステップS200の処理に進む。アイズオン状態でないと判定された場合、ステップS214の処理に進む。
【0102】
[第3処理]
図8は、第3処理の流れの一例を示すフローチャートである。制御モードが第2ノーマルモードである場合、切替制御部170は、終了要求があるかを判定する(ステップS226)。終了要求があると判定した場合、切替制御部170は、テイクオーバーワーニングをHMI30に出力させ(ステップS228)、ステップS218の処理に進む。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。上述した処理により、自車両Mの乗員の挙動に適した制御が実行される。
【0103】
なお、上述した例で、ステップS201で乗員がアイズオン状態であるか否かの判定処理が実行されるものとして説明したが、この判定処理は省略されてもよい。この場合、ステップS200で第2ノーマルモードであると判定された場合、第1処理〜第3処理が並列して実行される。
【0104】
以上説明した第1実施形態によれば、自動運転制御ユニット100が、認識部130により認識された周辺状況に基づいて、自車両Mの操舵または加減速のうち一方または双方を制御して自車両Mの自動運転(運転支援)を行い、自動運転が実行されている場合において、自車両Mにおいて前第1状態により、運転支援が終了する場合に、運転支援を終了させるための第1制御を実行させ、自車両Mにおいて第2状態により、運転支援が終了する場合に、リスクを低減しつつ自車両Mを減速させるための第2制御を実行させた後に第2制御を終了させることにより、車両の乗員の挙動に適した制御を実行することができる。
【0105】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、自車両Mは自動運転(運転支援)を実行するものとして説明した。第2実施形態では、自車両Mは、第1実施形態の自動運転とは異なる自車両Mの運転支援を実行する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0106】
図9は、第2実施形態の車両システム1Aの機能構成の一例を示す図である。車両システム1Aは、例えば、自動運転制御ユニット100に代えて、運転支援ユニット300を備える。また、車両システム1Aにおいて、MPU60は省略される。
【0107】
運転支援ユニット300は、例えば、認識部310と、追従走行支援制御部320と、車線維持支援制御部330と、車線変更支援制御部340と、切替制御部350と、乗員認識部360とを備える。認識部310、切替制御部350、および乗員認識部360は、それぞれ認識部130、切替制御部170、および乗員認識部180と同等の機能のため説明を省略する。
【0108】
後述する追従走行支援制御部320により実行される追従走行支援制御、車線維持支援制御部330により実行される車線維持支援制御、または車線変更支援制御部340により実行される車線変更支援制御のうち、一つの制御またはこれらを組み合わせた制御は「運転支援を行う」ことの一例である。上記の追従走行支援制御、車線維持支援制御、または車線変更支援制御のうち、一以上の制御(例えばステアリングホイール86の把持を要求することが設定された制御)を第1運転モードとし、他の制御(例えばステアリングホイール86の把持を要求しない制御や、ステアリングホイール86の把持を要求する制御であって第1運転モードとは異なる他の制御)を第1運転モードよりも自車両Mの乗員に対して要求するタスクが低い、または自車両Mの制御に関して自動制御の度合が高い第2運転モードとしてもよい。
【0109】
また、追従走行支援制御内、車線維持支援制御内、または車線変更支援制御内において、第1運転モードと、第1運転モードよりも自車両Mの乗員に対して要求するタスクが低い、または自車両Mの制御に関して自動制御の度合が高い第2運転モードが設定されてもよい。例えば、車線変更支援制御の第1運転モードでは、ステアリングホイール86を把持(またはアイズオン)が要求され、車線変更支援制御の第2運転モードでは、ステアリングホイール86を把持(またはアイズオン)が要求されない。
【0110】
追従走行支援制御部320は、例えば、認識部310により認識された自車両Mの進行方向の先において走行する周辺車両に追従する制御を行う。追従走行支援制御部320は、例えば、乗員によって不図示の追従走行開始スイッチへの操作がなされたことをトリガとして追従走行支援制御を開始する。追従走行支援制御部320は、例えば、認識部310により認識された周辺車両のうち、自車両Mの前方の所定距離(例えば100[m]程度)以内に存在する周辺車両(前走車両と称する)に自車両Mが追従するように、走行駆動力出力装置200およびブレーキ装置210を制御し、自車両Mの速度制御を行う。「追従する」とは、例えば、自車両Mと前走車両との相対距離(車間距離)を一定に維持して走行することをいう。なお、追従走行支援制御部320は、認識部310により前走車両が認識されていない場合、単に設定車速で自車両Mを走行させてよい。
【0111】
車線維持支援制御部330は、認識部310により認識された、自車両Mが走行する車線(道路区画線)の位置に基づいて、自車両Mが走行する車線を維持するように、ステアリング装置220を制御する。車線維持支援制御部330は、例えば、乗員による不図示の車線維持開始スイッチへの操作がなされたことをトリガとして車線維持支援制御を開始する。例えば、車線維持支援制御部330は、走行車線中央を自車両Mが走行するように自車両Mの操舵を制御する。車線維持支援制御部330は、例えば、ステアリング装置220を制御して、走行車線中央からの自車両Mの基準点の乖離が大きくなるほど走行車線中央の位置に復帰する方向に対して大きい操舵力を出力する。また、車線維持支援制御部340は、更に、自車両Mが車線を区画する道路区画線に接近した場合、ステアリング装置220を制御して、自車両Mが走行車線中央側へと復帰するように操舵を制御して路外逸脱抑制制御を行ってもよい。
【0112】
車線変更支援制御部340は、乗員が積極的にステアリングホイール86を操作しなくても走行駆動力出力装置200およびブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを制御して、車線変更が可能であると判定された隣接車線に対して自車両Mを車線変更させる。車線変更支援制御部340は、例えば、乗員による不図示の車線変更開始スイッチへの操作がなされたことをトリガとして車線変更支援制御を開始する。例えば、車線変更開始スイッチへの操作がなされた場合、車線変更支援制御部340による制御が優先される。
【0113】
車線変更支援制御部340は、自車両Mの速度と車線変更に必要な秒数に基づいて、自車両Mの車線変更に必要な距離を導出する。車線変更に必要な秒数は、車線変更を行う際の横移動の距離がほぼ一定であると仮定し、適切な横方向速度で車線変更を行ったと仮定した場合に、横方向の目標距離を走行し終えるまでの距離に基づいて設定される。車線変更支援制御部340は、導出した車線変更に必要な距離に基づいて、車線変更先の車線上の走行車線中央上に車線変更の終了地点を設定する。車線変更支援制御部340は、例えば、車線変更の終了地点を目標位置として車線変更支援制御を行う。
【0114】
以上説明した第2実施形態によれば、運転支援ユニット300は、運転支援を行い、運転支援が実行されている場合において、自車両Mにおいて第1状態により、運転支援が終了する場合に、運転支援を終了させるための第1制御を実行させ、自車両Mにおいて第2状態により、運転支援が終了する場合に、リスクを低減しつつ自車両Mを減速させるための第2制御を実行させた後に第2制御を終了させることにより、車両の乗員の挙動に適した制御を実行することができる。
【0115】
なお、各実施形態の一部または全部の機能構成が組み合わされて実施されてもよい。例えば、上述した図3の例において、第1自動運転モードに代えて、所定の運転支援モード(例えば車線維持支援制御部330の処理)が実行されてもよい。第1自動運転モードは、ハンズオン自動運転に限らず、第2自動運転モードよりも運転支援の度合が低いモードであればよい(第2自動運転モードは、ハンズオフ自動運転に限らず、第1自動運転モードよりも運転支援の度合が高いモードであればよい)。
【0116】
以上説明した各実施形態によれば、車両制御システムは、車両の周辺状況を認識する認識部130と、認識部130により認識された周辺状況に基づいて、車両の操舵または加減速のうち一方または双方を制御して車両の運転支援を行う第1制御部120(または運転支援ユニット300)と、第1制御部120により運転支援が実行されている場合において、車両において第1状態により、運転支援が終了する場合に、第1制御部に運転支援を終了させるための第1制御を実行させ、車両において第2状態により、運転支援が終了する場合に、第1制御部120にリスクを低減しつつ車両を減速させるための第2制御を実行させた後に第2制御を終了させる切替制御部170(または切替制御部350)を備えることにより、車両の乗員の挙動に適した制御を実行することができる。
【0117】
[ハードウェア構成]
上述した実施形態の車両システム1の自動運転制御ユニット100(または車両システム1Aの運転支援ユニット300)は、例えば、図10に示すようなハードウェアの構成により実現される。図10は、実施形態の自動運転制御ユニット100(運転支援ユニット300)のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0118】
制御部は、通信コントローラ100−1、CPU100−2、RAM100−3、ROM100−4、フラッシュメモリやHDDなどの二次記憶装置100−5、およびドライブ装置100−6が、内部バスあるいは専用通信線によって相互に接続された構成となっている。ドライブ装置100−6には、光ディスクなどの可搬型記憶媒体が装着される。二次記憶装置100−5に格納されたプログラム100−5aがDMAコントローラ(不図示)などによってRAM100−3に展開され、CPU100−2によって実行されることで、制御部が実現される。また、CPU100−2が参照するプログラムは、ドライブ装置100−6に装着された可搬型記憶媒体に格納されていてもよいし、ネットワークNWを介して他の装置からダウンロードされてもよい。
【0119】
上記実施形態は、以下のように表現することができる。
記憶装置と、
前記記憶装置に格納されたプログラムを実行するハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサは、前記プログラムを実行することにより、
車両の周辺状況を認識し、
前記認識された周辺状況に基づいて、前記車両の操舵または加減速のうち一方または双方を制御して車両の運転支援を行い、
前記運転支援が実行されている場合において、前記車両において第1状態により、前記運転支援が終了する場合に、前記運転支援を終了させるための第1制御を実行し、前記車両において第2状態により、前記運転支援が終了する場合に、リスクを低減しつつ前記車両を減速させるための第2制御を実行させた後に前記第2制御を終了する、
車両制御システム。
【0120】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0121】
1、1A‥車両システム、100‥自動運転制御ユニット、120‥第1制御部、130‥認識部、140‥行動計画生成部、160‥第2制御部、162‥取得部、164‥速度制御部、166‥操舵制御部、170‥切替制御部、180‥乗員認識部、300‥運転支援ユニット、310‥認識部、320‥追従走行支援制御部、330‥車線維持制御部、340‥車線維持支援制御部、360‥乗員認識部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10