(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961792
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】洗濯機用ダンパー及び洗濯機用ダンパーを備える洗濯機
(51)【国際特許分類】
F16F 15/04 20060101AFI20211025BHJP
D06F 37/22 20060101ALI20211025BHJP
D06F 37/24 20060101ALI20211025BHJP
F16F 7/00 20060101ALI20211025BHJP
F16F 7/09 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
F16F15/04 D
D06F37/22
D06F37/24 E
F16F7/00 E
F16F7/09
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-502101(P2020-502101)
(86)(22)【出願日】2018年1月16日
(65)【公表番号】特表2020-526727(P2020-526727A)
(43)【公表日】2020年8月31日
(86)【国際出願番号】CN2018072821
(87)【国際公開番号】WO2019061957
(87)【国際公開日】20190404
【審査請求日】2020年1月16日
(31)【優先権主張番号】201710923285.X
(32)【優先日】2017年9月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519385445
【氏名又は名称】▲無▼▲錫▼小天鵝電器有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUXI LITTLE SWAN ELECTRIC CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲偉▼国
(72)【発明者】
【氏名】史 ▲亞▼成
(72)【発明者】
【氏名】周 薇
【審査官】
杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−230591(JP,A)
【文献】
特開2015−016076(JP,A)
【文献】
特開2008−142524(JP,A)
【文献】
特開平08−010489(JP,A)
【文献】
特開2000−342891(JP,A)
【文献】
米国特許第05946946(US,A)
【文献】
特開2005−245578(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0264744(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0183994(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/04
D06F 37/22
D06F 37/24
F16F 7/00
F16F 7/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機用ダンパーであって、
内部に収納キャビティが画定されているダンパースリーブと、
前記ダンパースリーブに可動に接続されるダンパーロッドと、
前記ダンパーロッド及び/又は前記ダンパースリーブに設けられる弾性部材と、
前記ダンパーロッドに嵌めて設けられ、且つ前記ダンパースリーブに装着される第1ダンピング部材と、
前記ダンパーロッドに装着され、且つ前記収納キャビティに収容される第2ダンピング部材と、
前記ダンパースリーブから離れるように前記ダンパーロッドに設けられる上支持部と、
前記ダンパースリーブに設けられる下支持部と、
前記収納キャビティの開口に設けられ、且つ前記ダンパースリーブと前記下支持部との間に位置する位置制限部材とを備え、
前記第1ダンピング部材及び前記第2ダンピング部材は、前記ダンパーロッドと前記ダンパースリーブとが相対的に運動するときにダンピングを発生し、
前記弾性部材の両端がそれぞれ前記上支持部及び前記下支持部に当接され、
前記ダンパースリーブには、前記ダンパーロッドを入れるための開口が設けられ、前記第1ダンピング部材は、前記開口に隣接して設けられ、且つ前記ダンパーロッドと締まり嵌めし、
前記第1ダンピング部材が前記位置制限部材と前記下支持部との間に位置する、
ことを特徴とする洗濯機用ダンパー。
【請求項2】
前記下支持部は、前記ダンパーロッドに嵌めて設けられ、且つ前記ダンパースリーブに固定して接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の洗濯機用ダンパー。
【請求項3】
前記下支持部は、
一端が前記ダンパースリーブに当接され、内部に前記ダンパーロッドを挿通可能なチャンネルが画定されており、前記第1ダンピング部材が前記チャンネル内に設けられ、且つ前記位置制限部材が前記第1ダンピング部材に当接される取り付けカラムを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の洗濯機用ダンパー。
【請求項4】
前記下支持部は、
前記取り付けカラムから、前記第1ダンピング部材から離れた一側へ延びているとともに、前記ダンパースリーブに係合される取り付け部を更に備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の洗濯機用ダンパー。
【請求項5】
前記ダンパースリーブと前記下支持部との接続部位には、前記ダンパースリーブの周方向に外へ突出しているボスが設けられ、前記ボスには、前記取り付け部と嵌合する係合溝が設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の洗濯機用ダンパー。
【請求項6】
前記取り付け部には、前記係合溝に係合される係合爪が設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の洗濯機用ダンパー。
【請求項7】
前記第2ダンピング部材は、前記ダンパーロッドの一端に固定され、前記第2ダンピング部材の外壁面と前記収納キャビティの内壁面との間には、隙間を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の洗濯機用ダンパー。
【請求項8】
前記ダンパーロッドの一端に設けられて、前記第2ダンピング部材を固定する取り付けナットを更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の洗濯機用ダンパー。
【請求項9】
洗濯機であって、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の洗濯機用ダンパーを備えることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電器製造の技術分野に関し、具体的には、洗濯機用ダンパー及び該ダンパーを有する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパルセータ型洗濯機では、サスペンション機構を吊り棒の形態とし、吊り棒は、制振ダンピングの役割を果たす反面、以下の欠点が存在する。
(1)洗濯機を用いて洗濯するに際して、衣類の偏心が大きく、振動が大きいと、外箱に衝突しやすい。
(2)洗濯機を用いて低速で脱水するとき、吊り棒は、好適な支持作用を果たすことができず、槽が大幅に揺れて、外箱に衝突しやすい。
(3)吊り棒が大きなスペースを占めるため、洗濯機の容量を減少させる。
【0003】
上記欠点の存在のため、従来の吊り棒洗濯機は、衣類を洗濯するとき、槽が外箱に衝突して槽の振動を外箱に伝達することが発生しやすく、振動による騒音が大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、関連技術の上記技術課題の1つを少なくともある程度まで解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明は、構造がシンプルであり、振動吸収効果が良好であり、また、小さなスペースを占める洗濯機用ダンパーを提供する。
【0006】
本発明は、該ダンパーを備える洗濯機を更に提供する。
【0007】
本発明の第1形態の実施例による洗濯機用ダンパーは、内部に収納キャビティが画定されているダンパースリーブと、ダンパースリーブに可動に接続されるダンパーロッドと、ダンパーロッド及び/又はダンパースリーブに設けられる弾性部材と、ダンパーロッドに嵌めて設けられ、且つダンパースリーブに装着される第1ダンピング部材と、ダンパーロッドに装着され、且つ収納キャビティに収納される第2ダンピング部材と、を備え、第1ダンピング部材及び第2ダンピング部材は、ダンパーロッドとダンパースリーブとが相対的に運動するときにダンピングを発生する。
【0008】
本発明の実施例によるダンパーは、ダンパーロッドがダンパースリーブと相対運動するときにダンパーロッドに当接できる第1ダンピング部材を設けることで、ダンパーロッドがダンパースリーブと相対運動するときにダンピングを発生し、ダンパーロッドに収納キャビティ内に位置する第2ダンピング部材を設けることで、ダンパーロッドが揺れると、第2ダンピング部材が収納キャビティの内側壁面と摩擦してダンピングを発生し、それにより、振動を効果的に緩和し、洗濯機に適用すると、洗濯機の揺れを減少させることができ、また、該ダンパーが小さなスペースを占め、洗濯機の容量を解放できる。
【0009】
本発明の一実施例によれば、ダンパーは、ダンパースリーブから離れるようにダンパーロッドに設けられる上支持部と、ダンパースリーブに設けられる下支持部と、を更に備え、弾性部材の両端がそれぞれ上支持部及び下支持部に当接される。
【0010】
本発明の一実施例によれば、下支持部は、ダンパーロッドに嵌めて設けられ、且つダンパースリーブに固定して接続される。
【0011】
本発明の一実施例によれば、ダンパースリーブには、ダンパーロッドを入れるための開口が設けられ、第1ダンピング部材は、開口に隣接して設けられ、且つダンパーロッドと締まり嵌めする。
【0012】
本発明の一実施例によれば、ダンパーは、収納キャビティの開口に設けられ、且つダンパースリーブと下支持部との間に位置する位置制限部材を更に備え、第1ダンピング部材が位置制限部材と下支持部との間に位置する。
【0013】
本発明の一実施例によれば、下支持部は、一端がダンパースリーブに当接され、内部にダンパーロッドを挿通可能なチャンネルが画定されており、第1ダンピング部材がチャンネル内に設けられ、且つ位置制限部材が第1ダンピング部材に当接される取り付けカラムを備える。
【0014】
本発明の一実施例によれば、下支持部は、取り付けカラムから、第1ダンピング部材から離れた一側へ延びているとともに、ダンパースリーブに係合される取り付け部を更に備える。
【0015】
本発明の一実施例によれば、ダンパースリーブと下支持部との接続部位には、ダンパースリーブの周方向に外へ突出しているボスが設けられ、ボスには、取り付け部と嵌合する係合溝が設けられている。
【0016】
本発明の一実施例によれば、取り付け部には、係合溝に係合される係合爪が設けられている。
【0017】
本発明の一実施例によれば、第2ダンピング部材は、ダンパーロッドの一端に固定され、第2ダンピング部材の外壁面と収納キャビティの内壁面との間には、隙間を有する。
【0018】
本発明の一実施例によれば、ダンパーは、ダンパーロッドの一端に設けられて、第2ダンピング部材を固定する取り付けナットを更に備える。
【0019】
本発明の第2形態の実施例による洗濯機は、上記実施例に記載の洗濯機用ダンパーを備える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面を参照しながら実施例を説明することによって明らかで容易に理解できるようになる。
【
図1】本発明の一実施例による洗濯機用ダンパーの構造模式図である。
【
図4】本発明の他の実施例による洗濯機用ダンパーの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施例を詳細に説明する。前記実施例の例は、図に示され、一貫して同様又は類似の参照番号は、同一又は類似の要素および同一又は類似の機能を有する要素を示す。以下、図面を参照して記述される実施例は、例示的なものであって、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を制限するものとして理解してはいけない。
【0022】
なお、本発明の説明において、「上」、「下」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」「内」、「外」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本発明を便利に又は簡単に説明するためのものであり、指定された装置又は部材が特定の方位にあり、特定の方位において構造され操作されると指示又は暗示するものではないので、本願を限定するものと理解してはいけない。また、本発明の説明において、特に説明しない限り、「複数」の意味は2つ以上である。
【0023】
ただし、本発明の説明において、明確な規定と限定がない限り、用語「取り付け」、「互いに接続」、「接続」の意味は広く理解されるべきである。たとえば、固定接続や、着脱可能な接続や、あるいは一体的な接続でも可能であり、機械的接続、電気的接続でも可能であり、直接的に接続することや、中間媒体を介して間接的に接続することも可能である。2つの部材の内部が貫通することも可能である。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本発明中の具体的な意味を理解することができる。
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例による洗濯機用ダンパー100について説明する。
【0025】
図1〜
図5に示すように、本発明の実施例による洗濯機用ダンパー100は、ダンパースリーブ10、ダンパーロッド20、弾性部材30、第1ダンピング部材40及び第2ダンピング部材80を備える。
【0026】
具体的には、ダンパースリーブ10内に収納キャビティ11が画定され、ダンパーロッド20がダンパースリーブ10に可動に接続され、弾性部材30がダンパーロッド20及び/又はダンパースリーブ10に設けられ、第1ダンピング部材40がダンパーロッド20に嵌めて設けられ、且つダンパースリーブ10に装着され、第2ダンピング部材80がダンパーロッド20に装着され、収納キャビティ11内に収容され、第1ダンピング部材40及び第2ダンピング部材80は、ダンパーロッド20とダンパースリーブ10とが相対的に運動するときにダンピングを発生する。
【0027】
つまり、本発明の実施例による洗濯機用ダンパー100は、洗濯機の台座と水受け(図示せず)との間に適用でき、ダンパー100は、ほぼ垂直方向に延びており、下端が洗濯機の台座に接続され、上端が洗濯機の水受け又はその他の支持構造に接続されることで、支持・振動吸収作用を果たす。ダンパー100は、主に、ダンパースリーブ10、ダンパーロッド20、弾性部材30、第1ダンピング部材40及び第2ダンピング部材80を備え、ダンパースリーブ10内に収納キャビティ11、及び収納キャビティ11と連通する排気孔12が設けられ、ダンパーロッド20の下端が収納キャビティ11内に可動に差し込まれ、ダンパーロッド20の上端とダンパースリーブ10の上端との間に弾性部材30が設けられ、弾性部材30がダンパーロッド20において収納キャビティ11内に運動するときに押し出され、振動吸収と緩衝作用を果たすことができる。
【0028】
第1ダンピング部材40は、ダンパースリーブ10に装着され、且つダンパーロッド20に嵌めて設けられ、少なくとも一部がダンパーロッド20に当接され、ダンパーロッド20がダンパースリーブ10に対して上下に運動するときに、ダンパーロッド20と摩擦してダンピングを発生することで、ダンパースリーブ10に対するダンパーロッド20の揺れを制御することができる。第2ダンピング部材80が収納キャビティ11内に収容されるように、第2ダンピング部材80がダンパーロッド20の下端に差し込み、ダンパーロッド20の下端が収納キャビティ11内に差し込むことができ、ダンパーロッド20が左右に揺れると、第2ダンピング部材80と収納キャビティ11の内側壁面とが相対的に運動し、ダンピングを発生して揺れを減少させる。ダンパーロッド20が上下左右に揺れると、第1ダンピング部材40と第2ダンピング部材80が同時に作用してダンピングを発生して揺れを減少させ、それにより、洗濯機の内箱の運動を更に制御し、洗濯機の揺れを減少させ、内箱が外箱に衝突する確率を低下させる。
【0029】
それにより、本発明の実施例によるダンパー100は、ダンパーロッド20がダンパースリーブ10と相対運動するときにダンパーロッド20に当接できる第1ダンピング部材40を設けることで、ダンパーロッド20がダンパースリーブ10と相対的に運動するときにダンピングを発生し、ダンパーロッド20に収納キャビティ11内に位置する第2ダンピング部材80を設けることで、ダンパーロッド20が揺れると、第2ダンピング部材80が収納キャビティ11の内側壁面と摩擦してダンピングを発生し、それにより、振動を効果的に緩和し、即ち、洗濯機の揺れを減少させることができ、また該ダンパーが小さなスペースを占め、洗濯機の容量を解放する。
【0030】
本発明の一実施例によれば、ダンパースリーブ10は、ほぼ柱状に形成され、ダンパーロッド20の一端がダンパースリーブ10の軸方向に沿って収納キャビティ11内に可動に差し込まれる。
【0031】
具体的には、
図2及び
図5に示すように、ダンパースリーブ10は、ほぼ垂直方向に延びている柱状構造に形成され、収納キャビティ11は、ダンパースリーブ10内に設けられ、且つ同様に垂直方向に凹んで形成され、ダンパーロッド20の下端を挿入するように、収納キャビティ11の上端が開放し、ダンパーロッド20の下端が収納キャビティ11内に差し込まれ、且つ垂直方向に運動可能である。ダンパーロッド20が下へ運動するときに、ダンパーロッド20が徐々に収納キャビティ11を充填し、収納キャビティ11内の空気を排気孔12から排出できるとともに、第1ダンピング部材40はダンパーロッド20と摩擦してダンピングを発生することができ、それにより、振動を減少させる効果を果たす。該構造のダンパー100は長さが短く、洗濯機が洗濯するとき、内箱の運動を効果的に制限し、揺れを減少させることができ、また、小さな洗濯機の下部スペースを占め、洗濯機の容量を解放できる。
【0032】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、洗濯機用ダンパー100は、上支持部50及び下支持部60を更に備える。上支持部50は、ダンパースリーブ10から離れるようにダンパーロッド20に設けられ、下支持部60は、ダンパースリーブ10に設けられ、弾性部材30の両端がそれぞれ上支持部50及び下支持部60に当接される。
【0033】
具体的には、
図2及び
図3に示すように、ダンパーロッド20の上端に隣接する位置に上支持部50が設けられ、ダンパースリーブ10の上端に下支持部60が設けられ、ダンパーロッド20の下端が下支持部60を通り抜けて収納キャビティ11内に挿入され、弾性部材30は、ダンパーロッド20に嵌めて設けられ、上端が上支持部50に当接され、下端が下支持部60に当接されるバネ構造であってもよい。ダンパーロッド20が力を受けて下へ運動するときに、上支持部50がダンパーロッド20とともに下へ運動し、バネの下端が下支持部60によって固定され、従って、上支持部50が下へバネを押し出し、バネの弾性作用力はダンパーロッド20に対して振動吸収と緩衝の作用を果たす。ダンパーロッド20に印加する下向きの力が消えるとき、バネは自体の弾性作用力の作用下で上へ上支持部50を推進することで、ダンパーロッド20を初期状態に戻す。それにより、該ダンパー100は上支持部50及び下支持部60によってバネを取り付けて固定し、バネの弾性とダンピング部材のダンピング作用により、内箱の運動を制御し、構造がより合理的になり、緩衝と振動吸収効果が高くなり、また、ダンパー100の長さを効果的に制御し、更に洗濯機の容量を解放することができる。
【0034】
好ましくは、下支持部60は、ダンパーロッド20に嵌めて設けられ、且つダンパースリーブ10に固定して接続される。更に、ダンパースリーブ10には、ダンパーロッド20を入れるための開口が設けられ、第1ダンピング部材40は、開口に隣接して設けられ、且つダンパーロッド20と締まり嵌めする。
【0035】
上支持部50及び下支持部60は、それぞれダンパーロッド20に嵌めて設けられ、即ち、それぞれ環状構造に形成され、環状構造の上支持部50によりバネの上端の固定を容易にし、環状構造の下支持部60によりバネの下端の固定を容易にするだけではなく、第1ダンピング部材40とダンパースリーブ10との嵌合を容易にし、構造がより合理的になり、組み立てやすい。
【0036】
ダンパーロッド20がダンパースリーブ10と相対的に運動するときにダンパーロッド20と摩擦してダンピングを発生する効果を満たす限り、第1ダンピング部材40の固定位置は、ダンパー100の具体的な構造に応じて調整できる。ダンパーロッド20の収納キャビティ11内に挿入する部分に第2ダンピング部材80が取り付けられので、第2ダンピング部材80を取り付けやすくするために、収納キャビティ11の開口を大きくする必要があり、従って、第1ダンピング部材40を取り付けやすくするために、本発明の一実施例によれば、ダンパー100は、収納キャビティ11の開口に設けられ、且つダンパースリーブ10と下支持部60との間に位置する位置制限部材17を更に備え、第1ダンピング部材40が位置制限部材17と下支持部60との間に位置する。
【0037】
つまり、本実施例では、第1ダンピング部材40は、ダンパースリーブ10の上端開口に設けられ、且つダンパースリーブ10の上端と下支持部60との間に位置し、ダンパースリーブ10の開口には位置制限部材17が設けられ、位置制限部材17が下支持部60と嵌合して第1ダンピング部材40を制限し、即ち、第1ダンピング部材40が下支持部60と位置制限部材170の嵌合によってダンパースリーブ10に取り付けられ、且つ第1ダンピング部材40が中空柱状に形成され、ダンパーロッド20の下端が第1ダンピング部材40と位置制限部材17を通り抜けて収納キャビティ11内に挿入される。ダンパーロッド20が上下運動するときに、第1ダンピング部材40が下支持部60と位置制限部材との間に制限されることで、ダンパーロッド20が第1ダンピング部材40と摩擦してダンピングを発生する。それにより、該構造の第1ダンピング部材40は組み立てやすく、第2ダンピング部材80の正常な組み立てに影響を与えず、ダンパーロッド20との接触面が大きく、振動吸収効果を確保できる。
【0038】
図3に示すように、本発明のいくつかの具体的な実施形態では、下支持部60は、取り付けカラム61と制限部62を備える。
【0039】
具体的には、取り付けカラム61の一端がダンパースリーブ10に当接され、取り付けカラム61内にはダンパーロッド20を挿通可能なチャンネル611が画定されており、第1ダンピング部材40がチャンネル611内に設けられ、且つ位置制限部材17が第1ダンピング部材40に当接される。
【0040】
つまり、下支持部60はダンパーロッド20に嵌めて設けられ、且つ主に取り付けカラム61と制限部62の2つの部分からなり、そのうち、取り付けカラム61は、上下方向に延びている中空柱状に形成され、下端が位置制限部材17の上端に当接されることで、第1ダンピング部材40がチャンネル611内に取り付けられると、第1ダンピング部材40の下端が位置制限部材17の上端に当接でき、それにより、第1ダンピング部材40の下向きの運動を制限する。
【0041】
制限部62は、取り付けカラム61の上端に設けられ、取り付けカラム61の周方向に沿って内へ延びている環状止めシートに形成でき、制限部62は第1ダンピング部材40の上端を止めることができ、それにより、チャンネル611内の第1ダンピング部材40の運動を制限し、ダンパー100の一体構造安定性を確保する。
【0042】
好ましくは、本発明の実施例による下支持部60は、それぞれ取り付けカラム61の軸方向に延びており、且つ取り付けカラム61の周方向に間隔を空けて取り付けカラム61の外表面に設けられ、バネの一端が当接される複数の止めリブ63を更に備える。
【0043】
具体的には、
図1及び
図4に示すように、取り付けカラム61の外表面には、上下方向に延びている複数の止めリブ63が設けられ、止めリブ63は、取り付けカラム61の外表面に沿って外へ突出しており、且つ上から下へ突出長さが長くなり、寸法がバネの寸法に対応するように長くなると、停止する。それにより、下支持部60に複数の止めリブ63を設けることで、バネと嵌合しやすい。
【0044】
本発明の一実施例によれば、下支持部60は、取り付けカラム61から、第1ダンピング部材40から離れた一側へ延びているとともに、ダンパースリーブ10に係合される取り付け部64を更に備える。つまり、取り付けカラム61の下端には、ダンパースリーブ10の上端に係合される取り付け部64が更に設けられる。それにより、下支持部60とダンパースリーブ10が係合して接続されることで、部材の組み立て・交換を容易にする。
【0045】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、ダンパースリーブ10と下支持部60との接続部位には、ダンパースリーブ10の周方向に外へ突出しているボス13が設けられ、ボス13には、取り付け部64と嵌合する係合溝14が設けられ、取り付け部64には、係合溝14内に係合される係合爪が設けられている。それにより、該嵌合は、構造がシンプルで実現可能であり、製造と組み立てが容易であり、コストが低い。
【0046】
本発明のいくつかの具体的な実施形態では、下支持部60は一体成形部材である。つまり、下支持部60の取り付けカラム61、制限部62、止めリブ63及び取り付け部64はいずれも一体成形できる。それにより、一体成形の構造は、変形や損傷がしにくいように、一体構造の安定性を確保し、ダンパー100の剛性を高めることができ、また、成形しやすく、コストが低い。
【0047】
本発明の一実施例によれば、第2ダンピング部材80は、ダンパーロッド20の一端に固定され、第2ダンピング部材80の外壁面と収納キャビティ11の内側壁面との間には、隙間を有する。好ましくは、ダンパー100は、ダンパーロッド20の一端に設けられて、第2ダンピング部材80を固定する取り付けナット21を更に備える。
【0048】
つまり、第2ダンピング部材80は、ほぼ柱状に形成され、取り付けナット21を介してダンパーロッド20の下端に取り付けられる。それにより、該構造の第2ダンピング部材80は、構造がシンプルであり、且つ組み立てやすい。
【0049】
洗濯機の異なる構造を配慮すると、ダンパー100の構造は、必要に応じて合理的に調整することができる。本発明のいくつかの具体的な実施例では、
図1及び
図2に示すように、ダンパーロッド20から離れたダンパースリーブ10の一端には取り付け穴15が設けられ、ダンパースリーブ10はヒンジを介して取り付け穴15を通り抜けて洗濯機の台座に取り付けられる。
【0050】
本発明の他のいくつかの具体的な実施例では、ダンパーロッド20から離れたダンパースリーブ10の一端には取り付けねじ16が設けられ、ダンパースリーブ10は取り付けねじ16を介して洗濯機の台座に取り付けられる。それにより、本発明の実施例によるダンパー100は、様々な構造の洗濯機に適用でき、使用範囲が広い。
【0051】
本発明の実施例による洗濯機は、パルセータ洗濯機であってもよく、ドラム洗濯機であってもよい上記実施例に記載の洗濯機用ダンパー100を備える。本発明の上記実施例に記載の洗濯機用ダンパー100が上記技術効果を有するため、本発明の実施例による洗濯機も対応する技術的効果を有し、つまり、内箱の揺れを効果的に減少させることができ、また、ダンパー100が小さな洗濯機の下部スペースを占め、洗濯機の容量を解放できる。
【0052】
本発明の実施例による洗濯機のその他の構成及び操作は、当業者にとっては理解可能であり、実施が容易であり、従って詳細な説明が省略される。
【0053】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」などの用語を参考した説明とは、当該実施例又は例に合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料、又は特徴が、本発明の少なくとも一つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する例示的な説明は必ずしも同一の実施例又は例を示すことではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料、又は特徴は、いずれか一つ又は複数の実施例又は例において適切な形態で結合することができる。
【0054】
本発明の実施例を示して開示したが、当業者であれば、本発明の原理や主旨から逸脱することなく、これらの実施例に対する様々な変化、補正、置換や変形が可能であることを理解でき、本発明の範囲は特許請求の範囲及びその等価物で限定される。
【符号の説明】
【0055】
ダンパー100
ダンパースリーブ10
収納キャビティ11
排気孔12
ボス13
係合溝14
取り付け穴15
取り付けねじ16
位置制限部材17
ダンパーロッド20
取り付けナット21
弾性部材30
第1ダンピング部材40
上支持部50
下支持部60
取り付けカラム61
チャンネル611
制限部62
止めリブ63
取り付け部64
第2ダンピング部材80