(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レーザ切断工程が、前記カットエッジ面(13)の前記アルミニウム低減ゾーン(20)にわたって、アシストガスとして不活性ガスを用いて、0.6kJ/cm以上のレーザ切断線形エネルギーを用いて行われる、請求項1に記載の方法。
前記突合せ溶接工程に先立って、前記第1及び第2のプレコート鋼板(1)のそれぞれについて、それぞれのプレコート鋼板(1)のアルミニウム低減ゾーン(20)に隣接する除去ゾーン(25)内の前記金属合金層(11’)を除去する工程をさらに含み、並びに前記突合せ溶接工程中に、前記プレコート鋼板(1)が、前記金属合金層(11’)が除去されたそれらの縁部で溶接される、請求項12又は請求項13に記載の方法。
突合わせ溶接工程中に、前記第一及び第2のプレコート鋼板(1)が、少なくとも一方の前記プレコート鋼板(1)の前記アルミニウム低減ゾーン(20)が他方の前記プレコート鋼板(1)の前記アルミニウム低減ゾーン(20)に面するように配置する請求項12に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的の1つは、申し分のない機械的特性を有し、特に、溶接継手の硬度及び機械的強度が隣接するシートと少なくとも同等であるアルミニウムプレコート溶接鋼板から、良好な生産性で、プレス加工及びプレス硬化部品を得ることができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のため、本発明は、プレコート鋼板の製造方法に関し、以下の連続する工程:
− 少なくとも一方の主面にプレコーティングを有する鋼基板を含むプレコート鋼帯を提供する工程であって、前記プレコーティングが金属間化合物合金層と前記金属間化合物合金層上に延在する金属合金層とを含み、前記金属合金層がアルミニウムの層、アルミニウム合金の層又はアルミニウム系合金の層である工程、
− 少なくとも1枚のプレコート鋼板を得るために前記プレコート鋼帯をレーザ切断する工程であって、前記プレコート鋼板が前記切断操作から生じたカットエッジ面を含み、前記カットエッジ面が基板部分及びプレコーティング部分を含み、並びに前記プレコート鋼板の厚さは1mm〜5mmの間に含まれている工程、
を含み、
ここで、前記レーザ切断工程が、前記カットエッジ面の全高にわたって、且つ前記カットエッジ面(13)の長さ以下である長さにわたって延在する前記カットエッジ面のアルミニウム低減ゾーンを直接もたらし、前記レーザ切断操作から直接生じた前記カットエッジ面の前記アルミニウム低減ゾーンの前記基板領域上のアルミニウムの表面割合は0.3%〜6%の間に含まれているように行われる。
【0014】
特定の実施形態によれば、本発明による方法は、単独で又は任意の技術的に可能な組み合わせに従って、以下の特徴のうちの1つ又はいくつかをさらに含む:
− 前記レーザ切断工程が、前記カットエッジ面の前記アルミニウム低減ゾーンにわたって、アシストガスとして不活性ガスを用いて、0.6kJ/cm以上のレーザ切断線形エネルギーを用いて行われる。
− レーザ切断線形エネルギーが、0.8kJ/cm以上、より具体的には1.0kJ/cm以上、さらにより具体的には1.2kJ/cm以上である。
− 前記アシストガスの圧力が、2〜18バールの間に含まれる。
− 前記不活性ガスが、窒素、ヘリウム、アルゴン又はそれらのガスの混合物の中から選択される。
− 前記レーザ切断工程が、CO
2レーザを使用して行われる。
− 前記レーザ切断工程が、固体レーザを使用して行われる。
− 前記固体レーザが、Nd:YAG型レーザ、ディスクレーザ、ダイオードレーザ又はファイバレーザである。
− 前記プレコート鋼板の厚さは、1.0mm〜3.0mmの間、より具体的には1.0mm〜2.5mmの間に含まれる。
− 前記プレコーティングの厚さは、19μm〜33μmの間に含まれる。
− 前記アルミニウム低減ゾーンは、前記カットエッジ面の全長にわたって延在する。
− 前記アルミニウム低減ゾーンの長さは、前記カットエッジ面の全長よりも厳密に短い。
【0015】
本発明はまた、溶接ブランクの製造方法にも関し、以下の工程:
− 第1及び第2のプレコート鋼板を製造する工程であって、前記第1及び第2のプレコート鋼板のうちの少なくとも一方が上記の方法を使用して製造される工程、
− 前記第1及び第2のプレコート鋼板を突合せ溶接して、前記プレコート鋼板の間に溶接継手を形成し、それにより溶接ブランクを得る工程であって、前記突合せ溶接工程が、少なくとも一方の前記プレコート鋼板の前記アルミニウム低減ゾーンが他方の前記プレコート鋼板の縁部、好ましくはアルミニウム低減ゾーンに面するように前記第1及び第2のプレコート鋼板を配置する工程を含む工程、
を含む。
【0016】
特定の実施形態によれば、この溶接ブランクの製造方法は、単独で又は任意の技術的に可能な組み合わせに従って、以下の特徴のうちの1つ以上をさらに含む:
− 前記溶接が、レーザ溶接操作である。
− 前記方法は、前記突合せ溶接工程に先立って、前記第1及び第2のプレコート鋼板のそれぞれについて、それぞれのプレコート鋼板のアルミニウム低減ゾーンに隣接する除去ゾーン内の前記金属合金層を除去する工程をさらに含み、且つ前記突合せ溶接工程中に、前記プレコート鋼板が、前記金属合金層が除去されたそれらの縁部で溶接される。
− 前記金属合金層の除去が、レーザビームを使用して行われる。
− 前記除去工程中に、前記金属間化合物合金層が、その高さの少なくとも一部にわたって除去ゾーンに残される。
− 前記レーザ溶接が、充填材ワイヤ又は粉末添加材を使用して行われる。
− 前記充填材ワイヤ又は粉末は、オーステナイト生成合金化元素を含む。
【0017】
本発明はまた、プレス硬化鋼部品の製造方法にも関し、以下の工程を含む:
− 上記の方法を行って溶接ブランクを得る工程。
− 前記溶接ブランクを形成する前記プレコート鋼板の少なくとも一部がオーステナイト組織となるように前記溶接ブランクを加熱する工程。
− プレス内で前記溶接ブランクを熱間成形してプレス成形鋼部品を得る工程。
− 前記プレス内で前記鋼部品を冷却して前記プレス硬化鋼部品を得る工程。
【0018】
プレス硬化鋼部品の製造方法において、前記冷却速度は、前記鋼板の臨界冷却速度以上であってもよい。
【0019】
本発明はまた、レコート鋼板にも関し、以下:
− 鋼基板部分の少なくとも一方の表面にプレコーティング部分を有し、前記プレコーティング部分は金属間化合物合金層部分と前記金属間化合物合金層部分上に延在する金属合金層部分とを含み、前記金属合金層部分がアルミニウムの層、アルミニウム合金の層又はアルミニウム系合金の層であり、前記プレコート鋼板の厚さは1mm〜5mmの間に含まれていることと、
− 少なくとも1つのレーザカットエッジ面は、前記プレコート鋼板の面の間に延在し、基板領域と少なくとも1つのプレコーティング領域とを含むことと
を含み、
ここで、前記プレコート鋼板は、前記レーザカットエッジ面に複数の凝固縞を含み、並びに
前記レーザカットエッジ面が、前記レーザカットエッジ面の全高にわたって、且つ前記レーザカットエッジ面の長さ以下の長さにわたって延在するアルミニウム低減ゾーンを含み、前記アルミニウム低減ゾーンの前記基板領域上のアルミニウムの表面割合は0.3%〜6%の間に含まれている。
【0020】
特定の実施形態によれば、前記プレコート鋼板は、以下の特徴の1つを含む:
【0021】
− 前記アルミニウム低減ゾーンが、前記カットエッジ面の全長にわたって延在する。
− 前記アルミニウム低減ゾーンの長さが、前記カットエッジ面の全長よりも厳密に短い。
【0022】
本発明は、添付の図面を参照しながら、例としてのみ与えられる以下の明細書を読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、プレコート鋼板1の製造方法に関する。
【0025】
この方法は、
図1の断面図に示すように、プレコート鋼帯2を提供する第1の工程を含む。
【0026】
図1に示すように、プレコート鋼帯2は、その表面の少なくとも一方にプレコーティング5を有する金属基板3を含む。プレコーティング5は、基板3上に重ね合わされ、基板3と接触している。
【0027】
金属基板3は、より具体的には鋼基板である。
【0028】
基板3の鋼は、より具体的にはフェライト−パーライト微細組織を有する鋼である。
【0029】
基板3は、有利には、熱処理を意図した鋼、より具体的にはプレス硬化可能な鋼、例えば、22MnB5タイプの鋼などのマンガンボロン鋼で製造される。
【0030】
一実施形態によれば、基板3の鋼は、重量で以下:
0.10%≦C≦0.5%
0.5%≦Mn≦3%
0.1%≦Si≦1%
0.01%≦Cr≦1%
Ti≦0.2%
Al≦0.1%
S≦0.05%
P≦0.1%
B≦0.010%
を含み、残部は鉄及び製造に起因する不純物である。
【0031】
より具体的には、基板3の鋼は、重量で以下:
0.15%≦C≦0.25%
0.8%≦Mn≦1.8%
0.1%≦Si≦0.35%
0.01%≦Cr≦0.5%
Ti≦0.1%
Al≦0.1%
S≦0.05%
P≦0.1%
B≦0.005%
を含み、残部は鉄及び製造に起因する不純物である。
【0032】
代替例によれば、基板3の鋼は、重量で以下:
0.040%≦C≦0.100%
0.80%≦Mn≦2.00%
Si≦0.30%
S≦0.005%
P≦0.030%
0.010%≦Al≦0.070%
0.015%≦Nb≦0.100%
Ti≦0.080%
N≦0.009%
Cu≦0.100%
Ni≦0.100%
Cr≦0.100%
Mo≦0.100%
Ca≦0.006%
を含み、残部は鉄及び製造に起因する不純物である。
【0033】
代替例によれば、基板3の鋼は、重量で以下:
0.24%≦C≦0.38%
0.40%≦Mn≦3%
0.10%≦Si≦0.70%
0.015%≦Al≦0.070%
0%≦Cr≦2%
0.25%≦Ni≦2%
0.015%≦Ti≦0.10%
0%≦Nb≦0.060%
0.0005%≦B≦0.0040%
0.003%≦N≦0.010%
0.0001%≦S≦0.005%
0.0001%≦P≦0.025%
を含み、チタン及び窒素の含有量は以下の関係:
Ti/N>3.42
を満たし、炭素、マンガン、クロム及びケイ素の含有量は以下の関係:
【0034】
【数1】
を満たし、鋼は任意選択的に以下の元素の1つ以上:
0.05%≦Mo≦0.65%
0.001%≦W≦0.30%%
0.0005%≦Ca≦0.005%
を含み、残部は鉄及び製造に不可避的に起因する不純物である。
【0035】
基板3は、その所望の厚さに応じて、熱間圧延及び/又は冷間圧延に続くアニーリング又は任意の他の適切な方法により得ることができる。
【0036】
基板3は、有利には、1.0mm〜5mmの間に含まれ、より具体的には1.0mm〜3.0mmの間、より具体的には1.0〜2.5mmの間、さらにより具体的には1.2mm〜2.5mmの間に含まれる厚さを有する。
【0037】
プレコーティング5は、溶融めっきにより、すなわち、溶融金属槽中への基板3の浸漬により得られる。プレコーティング5は、基板3と接触する金属間化合物合金層9とこの金属間化合物合金層9の上に延在する金属合金層11とを含む。
【0038】
金属間化合物合金層9は、基板3と槽の溶融金属との間の反応により形成される。金属間化合物合金層9は、金属合金層11からの少なくとも1種の元素及び基板3からの少なくとも1種の元素を含む、金属間化合物を含む。
【0039】
金属間化合物合金層9の厚さは一般に、数マイクロメートルのオーダーである。特に、その平均厚さは通常、2〜7マイクロメートルの間に含まれる。
【0040】
金属合金層11は、槽内の溶融金属の組成に近い組成を有する。金属合金層11は、溶融めっき中にストリップが溶融金属槽を通過する際に、ストリップによって運び去られた溶融金属によって形成される。
【0041】
金属合金層11は、例えば、19μm〜33μmの間又は10μm〜20μmの間に含まれる厚さを有する。
【0042】
金属合金層11は、アルミニウムの層又はアルミニウム合金の層若しくはアルミニウム系合金の層である。
【0043】
この文脈において、アルミニウム合金とは、50重量%を超えるアルミニウムを含む合金を指す。アルミニウム系合金は、重量でアルミニウムを主成分とする合金である。
【0044】
金属間化合物合金層9は、Fe
x−Al
yタイプの金属間化合物、より具体的にはFe
2Al
5を含む。
【0045】
溶融めっきによって得られるプレコーティング5の特定の組織は、特に、特許EP2007545に開示されている。
【0046】
一実施形態によれば、金属合金層11は、ケイ素をさらに含むアルミニウム合金の層である。
【0047】
一例によれば、金属合金層11は、重量で以下:
8%≦Si≦11%
2%≦Fe≦4%
を含み、残部はアルミニウム及び可能性のある不純物である。
【0048】
有利には、
図1に示されるように、基板3は、その両面に上記のようなプレコーティング5を備えている。
【0049】
プレコート鋼板1の製造方法は、少なくとも1枚のプレコート鋼板1を得るために、レーザ切断によって前記プレコート鋼帯2を切断する工程をさらに含む。
【0050】
図2は、そのようなプレコート鋼板1の概略斜視図である。
【0051】
プレコート鋼板1は、基板部分3’及び少なくとも1つのプレコーティング部分5’を含み、プレコーティング部分5’は、金属間化合物合金層部分9’及び金属合金層部分11’を含む。
【0052】
プレコート鋼板1はさらに、2つの主対向面4’と面4’の間でシート1の外縁の周りに延在する周縁部12とを含む。周縁部12の長さは、シート1の周長に等しい。周縁部12の高さhは、シート1の厚さに等しい。
【0053】
この特許出願の文脈では、要素の高さは、プレコートシート1の厚さの方向(図中のz方向)に沿ったこの要素の寸法である。
【0054】
周縁部12は、面4’に対して実質的に垂直に延在する。この文脈において、「実質的に」とは、周縁部12が、面4’の1つに対して65°〜90°の間に含まれるある角度で延在することを意味する。面4’に対する周縁部12の角度は、シート1の外縁に沿って変化し得る。
【0055】
図2に示す例では、周縁部12は、4つの直線的な側面を含む実質的に長方形の輪郭を有する。ただし、用途に応じて、任意の他の輪郭を使用することもできる。
【0056】
周縁部12は、レーザ切断操作から生じたカットエッジ面13を含む。
【0057】
カットエッジ面13は、プレコート鋼板1の面4’間で一方の面4’から他方の面4’まで延在する。カットエッジ面13は、周縁部12の全高hにわたって延在する。
【0058】
カットエッジ面13は、少なくとも1つの実質的に平面の部分を含む。
【0059】
有利には、プレコート鋼板1は、その輪郭全体に沿ってレーザ切断することにより得られる。この場合、周縁部12は、カットエッジ面13からなる。したがって、カットエッジ面13は、シート1の全周にわたって延在する。代替例によれば、カットエッジ面13は、周縁部12の長さの一部分にわたってのみ延在する。この場合、周縁部12の残りの部分は、鋼帯2の元の側縁部と一致してもよい。
【0060】
この特許出願の文脈では、要素の長さは、プレコート鋼帯2の所定の面4’の平面におけるこの要素の寸法である。したがって、カットエッジ面13の長さは、特に、レーザ切断中のレーザビームの経路に沿ったカットエッジ面13の寸法に相当する。
【0061】
図2及び
図3に見られるように、カットエッジ面13は、基板領域14及び少なくとも1つのプレコーティング領域15を含む。基板領域14は、カットエッジ面13に位置する基板3’の表面に相当する。基板領域14は、基本的に基板3の材料からなる。プレコーティング領域15は、カットエッジ面13に位置するプレコーティング5’の表面に相当する。プレコーティング領域15は、基本的にプレコーティング5’の材料からなる。
【0062】
プレコート鋼板1の厚さは、プレコート鋼帯2の厚さと同じである。その厚さは、1.0mm〜5mmの間に含まれ、より具体的には1.0mm〜3.0mmの間、より具体的には1.0mm〜2.5mmの間、さらにより具体的には1.2〜2.5mmの間に含まれる。
【0063】
レーザ切断工程中、レーザ切断装置のレーザビームが所定の経路に沿って鋼帯2に照射され、カットエッジ面13が得られる。この所定の経路は、シート1の面4’の平面内に延在する。
【0064】
本発明によれば、
図3及び
図5に示すように、カットエッジ面13は、カットエッジ面13の長さの少なくとも一部分にわたって延在するアルミニウム低減ゾーン20を含む。
【0065】
アルミニウム低減ゾーン20は、レーザ切断操作から直接もたらされる。
【0066】
図3に示すように、アルミニウム低減ゾーン20は、カットエッジ面13の全高にわたって、カットエッジ面13の全長以下である長さにわたって延在する。
【0067】
有利には、アルミニウム低減ゾーン20は、少なくとも3mmに等しい長さにわたって、より具体的には少なくとも10mmにわたって延在する。
【0068】
カットエッジ面13のアルミニウム低減ゾーン20は、好ましくは少なくとも1つの実質的に平面の部分を含む。例えば、
図2に示す例では、プレコート鋼板1は長方形の輪郭を有し、カットエッジ面13のアルミニウム低減ゾーン20は、この長方形の1つ以上の辺上に延在する。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、アルミニウム低減ゾーン20は、カットエッジ面13全体にわたって延在する。この場合、アルミニウム低減ゾーン20はカットエッジ面13と一致し、アルミニウム低減ゾーン20の長さはカットエッジ面13の長さに等しい。
【0070】
別の実施形態によれば、アルミニウム低減ゾーン20は、カットエッジ面13の長さの一部にわたってのみ延在する。例えば、アルミニウム低減ゾーン20は、カットエッジ面13の1つの実質的に平面の部分にわたってのみ延在する。例えば、プレコート鋼板1が長方形の輪郭を有する場合、カットエッジ面13のアルミニウム低減ゾーン20は、この長方形の一部の辺のみにわたって、例えば、この長方形の1つの辺のみにわたって延在してもよい。
【0071】
好ましくは、アルミニウム低減ゾーン20は、別のプレコート鋼板に溶接するように意図されたプレコート鋼板1の縁部を形成する。この場合、アルミニウム低減ゾーン20は、溶接継手に組み込まれることが意図されている。
【0072】
本発明によれば、レーザ切断工程中に、レーザ切断操作から直接生じたアルミニウム低減ゾーン20の基板領域14上のアルミニウムの表面割合が0.3%〜6%の間に含まれるように、レーザ切断が行われる。
【0073】
この文脈において、「直接生じた」とは、特に、レーザ切断装置のレーザビームがプレコート鋼帯2からプレコート鋼板1を切断した直後、特に、プレコート鋼板1のカットエッジ面13に対してさらなる工程が行われる前、例えば、ブラッシング、機械加工、ミリング、サンドブラスティング又はストリッピングなどのカットエッジ面13の可能性のある仕上げ工程の前に、アルミニウムの割合又は比率が測定されることを意味する。
【0074】
プレコート鋼板1のカットエッジ面13のアルミニウム低減ゾーン20の基板領域14上のアルミニウムの表面割合は、以下のように測定することができる:
− 走査型電子顕微鏡を使用して、カットエッジ面13のアルミニウム低減ゾーン20の基板領域14を画像化する。
− 走査型電子顕微鏡から得られたデータを処理して、すべての合金化元素のうち、対象の基板領域14上に存在するアルミニウムのみを示すEDS(エネルギー分散型X線分光法)画像を得る。例えば、画像は、対象の基板領域14上に存在するアルミニウムトレースが、黒色の背景と強く対照的な赤色などの色で表示されるように処理される。切断中のレーザ変位の結果として、アルミニウムは傾斜した液だれ跡のように見える。
【0075】
このようなEDS画像の一例を
図4に示す。この白黒の画像では、他では赤色で表示され得るアルミニウムトレースが、黒色の背景に白色で表示される。
【0076】
このようにして得られたEDS画像は、次に、画像中のアルミニウムの表面割合を測定するために、画像処理によって処理される。
【0077】
この目的のため、対象の基板領域14のEDS画像におけるアルミニウムに対応するピクセル数N、すなわち、例えば、赤色のピクセル数は、画像処理を使用して測定される。
【0078】
アルミニウムに対応するピクセル数Nは、以下のように測定することができる。EDS画像の各ピクセルについて、このピクセルを赤色、すなわち、アルミニウムピクセルとして見なされるかどうかを決定するために、赤色のRGBパラメータの値に閾値が設定される。特に、閾値Tは、
【0079】
【数2】
に設定され、それにより、あるピクセルの赤色のRGBパラメータの値が閾値Tより大きい場合、このピクセルがこの分析の目的のために赤色のピクセルであると見なされる。例えば、この画像処理は、例えば、Gimp画像解析ソフトウェアなどの、それ自体が既知の従来の画像処理解析ソフトウェアを介して実行してもよい。
【0080】
次に、アルミニウム低減ゾーン20の基板領域14におけるアルミニウムの表面割合は、このように測定されたアルミニウムピクセル、すなわち、例えば、赤色のピクセル数Nを、対象の基板領域14の画像における総ピクセル数で割ることによって得られる。
【0081】
レーザ切断は、アシストガスとして不活性ガスを使用して行われる。不活性ガスは、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム又はそれらのガスの混合物、例えば、窒素/アルゴン、窒素/ヘリウム、アルゴン/ヘリウム又は窒素/ヘリウム/アルゴン混合物から選択される。
【0082】
レーザは、有利には連続レーザである。
【0083】
アルミニウム低減ゾーン20を得るために、レーザ切断工程は、アルミニウム低減ゾーン20にわたって、0.6kJ/cm以上の線形エネルギーで行われてもよい。
【0084】
レーザ切断線形エネルギーは、単位長さあたりのレーザ切断中にレーザビームによって送られるエネルギーの量に相当する。レーザ切断線形エネルギーは、レーザビームの出力を切断速度で割ることにより計算できる。
【0085】
本願発明者らは、上記のレーザ切断パラメータを使用してカットエッジ面13のゾーン20が形成される場合、カットエッジ面13のこのゾーン20の基板領域14上のアルミニウムの表面割合は、0.3%〜6%の間に含まれることを見出した。
【0086】
有利には、アルミニウム低減ゾーン20を得るために、レーザ切断線形エネルギーは、0.8kJ/cm以上、より具体的には1.0kJ/cm以上、さらにより具体的には1.2kJ/cm以上である。特に、本発明の発明者らは、アルミニウム低減ゾーン20におけるアルミニウムの表面割合の低減に関してさらに良好な結果が、レーザ切断線形エネルギーの増加とともに得られることを観察した。
【0087】
好ましくは、アシストガス圧力は、2バール〜18バールの間、より好ましくは6バール〜18バールの間、さらにより好ましくは10バール〜18バールの間に含まれる。
【0088】
例えば、アルミニウム低減ゾーン20を得るために、レーザ切断は、アルミニウム低減ゾーン20にわたって、0.8kJ/cm以上のレーザ切断線形エネルギー及び2バール〜18バールに含まれるアシストガス圧力を使用して行われる。
【0089】
別の例によれば、アルミニウム低減ゾーン20を得るために、レーザ切断は、アルミニウム低減ゾーン20にわたって、1.0kJ/cm以上のレーザ切断線形エネルギー及び2バール〜18バールの間に含まれるアシストガス圧力を使用して行われる。
【0090】
さらなる例によれば、アルミニウム低減ゾーン20を得るために、レーザ切断は、アルミニウム低減ゾーン20にわたって、1.0kJ/cm以上のレーザ切断線形エネルギー及び10バール〜18バールの間に含まれるガス圧力を使用して行われる。
【0091】
一実施形態によれば、レーザ切断工程は、CO
2レーザを使用して行われる。
【0092】
CO
2レーザは、有利には連続レーザである。
【0093】
例えば、CO
2レーザは、2kW〜7kWの間、好ましくは4kW〜6kWの間に含まれる出力を有する。
【0094】
例えば、アルミニウム低減ゾーン20を得るために、レーザ切断は、アルミニウム低減ゾーン20にわたって、0.6kJ/cmのレーザ切断線形エネルギーに相当する、4m/分の切断速度で4kWのレーザ出力を用いて、アシストガスとして窒素を用いた連続CO
2レーザを使用して行われる。このアシストガスの圧力は、例えば14バールに等しい。
【0095】
別の例によれば、アルミニウム低減ゾーン20を得るために、レーザ切断は、アルミニウム低減ゾーン20にわたって、1.2kJ/cmのレーザ切断線形エネルギーに相当する、2m/分の切断速度で4kWのレーザ出力を用いて、アシストガスとして窒素を用いた連続CO
2レーザを使用して行われる。このアシストガスの圧力は、例えば14バールに等しい。
【0096】
別の実施形態によれば、レーザ切断工程は、固体レーザを使用して行われる。固体レーザは、例えば、Nd:YAG(ネオジムドープドイットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ、ファイバレーザ、ダイオードレーザ又はディスクレーザである。
【0097】
固体レーザは、例えば、2kW〜15kWの間、好ましくは4kW〜12kWの間、より好ましくは4kW〜10kWの間、さらにより好ましくは4〜8kWの間に含まれる出力を有する。
【0098】
例として、アルミニウム低減ゾーン20を得るために、レーザ切断は、アルミニウム低減ゾーン20にわたって、アシストガスとして窒素を用いた6kWの出力を有するファイバレーザを使用して行われる。この例では、切断速度は、例えば、5m/分に等しく、0.72kJ/cmに等しいレーザ切断線形エネルギーに相当する。
【0099】
任意選択的に、プレコート鋼板1の製造方法は、例えば、レーザ切断を行った直後に、カットエッジ面13の少なくともアルミニウム低減ゾーン20をブラッシングする工程を含む。前述のように、ブラッシングだけではカットエッジ面13上のレーザ切断から生じたアルミニウムトレースを十分に除去することはできないが、カットエッジ面13上のアルミニウムの割合をさらに低減するために、ブラッシングを本発明によるレーザ切断工程に加えて使用することができる。
【0100】
アルミニウム低減ゾーン20がカットエッジ面13の全長にわたって延在する場合、同じレーザ切断パラメータ、特に、同じ線形エネルギー及び同じアシストガス圧力を、カットエッジ面13の全長にわたって、すなわち、切断工程全体にわたって使用することができる。
【0101】
アルミニウム低減ゾーン20がカットエッジ面13の長さの一部のみにわたって延在する場合、異なるレーザ切断パラメータ、特に、異なる切断速度に起因する異なる線形エネルギーを、アルミニウム低減ゾーン20を得るため、及びカットエッジ面13の残りの部分を得るために使用することができる。特に、レーザ切断速度は、カットエッジ面13の長さにわたって変更することができ、第1の切断速度は、アルミニウム低減ゾーン20を得るために使用され、第1の切断速度とは異なる第2の切断速度は、カットエッジ面13の残りの部分を得るために使用される。
【0102】
例えば、同じレーザビームについて、すなわち、特に同じレーザタイプ及び出力について、カットエッジ面13のアルミニウム低減ゾーン20の外側では、このゾーン20を形成する場合よりも速い切断速度を使用することができる。この場合、レーザ切断線形エネルギーは、アルミニウム低減ゾーン20の外側でより小さくなり、その結果、カットエッジ面13のこの領域における基板領域14上のアルミニウムの表面割合は、アルミニウム低減ゾーン20よりも高くなる。
【0103】
このような切断工程中のレーザ切断パラメータの調整は、レーザ切断装置によって自動的に行われてもよい。また、操作者が手動で行ってもよい。
【0104】
例えば、アルミニウム低減ゾーン20は、プレコート鋼板1の溶接エッジ、すなわち、プレコート鋼板1を別の鋼板に溶接するように意図されている周縁部12のゾーンに相当する。この場合、アルミニウム低減ゾーン20は、溶接継手に組み込まれることが意図されている。
【0105】
アルミニウム低減ゾーン20がプレコート鋼板1の溶接エッジに相当する実施形態は、レーザ切断操作から得られたプレコート鋼板1がカットエッジ面13の前記アルミニウム低減ゾーン20上で別の鋼板に溶接されることのみが意図されている場合、特に有利である。実際、そのような場合、アルミニウム低減ゾーン20がカットエッジ面13の全長にわたって延在する場合と同様に、溶接継手の硬度に関して同じ利点が得られる。しかしながら、同じレーザ出力の場合、溶接継手の一部となることが意図されておらず、その結果、アルミニウムの表面割合の制御が、溶接継手の一部となることが意図されているアルミニウム低減ゾーン20ほど重要ではない領域では、より速いレーザ切断速度を使用することができるため、生産性をさらに高めることができる。
【0106】
本発明はまた、上述の方法を使用して得ることができるプレコート鋼板1にも関する。このプレコート鋼板1については、
図2を参照して上述した。
【0107】
レーザ切断の使用により、カットエッジ面13の特定の形状が得られる。実際、レーザ切断は、カットエッジ面13において基板3の材料とプレコーティング5の材料との融合をもたらし、その後、再凝固して凝固リップルとも呼ばれる凝固縞を形成し、その間隔は、特に、レーザ切断速度、アシストガスの性質及び圧力に依存する。したがって、プレコート鋼板1は、アルミニウム低減ゾーン20を含むカットエッジ面13に、複数の凝固縞又はリップルを含む。
【0108】
さらに、プレコート鋼板1は、カットエッジ面13に熱影響部を含む。この熱影響部は、レーザ切断中、カットエッジ面13の加熱から生じる。熱影響部は、熱影響部の存在を検出するための従来の手段によって、例えば、マイクロ硬度測定若しくはナノ硬度測定によって、又は適合したエッチング後の金属組織観察によって観察され得る。
【0109】
さらに、プレコート鋼板1は、0.3%〜6%の間に含まれるアルミニウム低減ゾーン20の基板領域14上のアルミニウムの表面割合を有する。
【0110】
本発明はまた、溶接ブランクの製造方法にも関し、以下の工程:
− 第1及び第2のプレコート鋼板1を製造する工程であって、第1及び第2のプレコート鋼板1のうちの少なくとも1つ、好ましくは第1及び第2のプレコート鋼板1が上述の方法を使用して製造される工程と、
− 第1及び第2のプレコート鋼板1を突合せ溶接して、前記鋼板1の間に溶接継手を形成し、溶接ブランクを得る工程と、
− 突合せ溶接工程が、少なくとも1つのプレコートシート1のアルミニウム低減ゾーン20が他のシート1の縁部、好ましくはアルミニウム低減ゾーン20に面するように第1及び第2のプレコート鋼板1を配置する工程、
を含む。
【0111】
前記第1及び第2のプレコート鋼板1の間の溶接継手は、それらの対向する縁部、特にその2つのアルミニウム低減ゾーン20の間の溶融により得られる。
【0113】
溶接は、ガス溶接であってもよく、すなわち、例えば、ワイヤ又は粉末の形態で充填材材料を加えなくてもよい。
【0114】
代替例によれば、溶接は、適切な充填材材料、例えば、充填材ワイヤ又は粉末を使用して行われる。特に、充填材ワイヤ又は粉末は、オーステナイト生成元素を含み、フェライト生成及び/又はプレコーティング5’からのアルミニウムの金属間化合物生成効果のバランスをとる。
【0115】
有利には、
図5に示すように、突合せ溶接に先立って、各プレコート鋼板1について、金属合金層11’は、対象のプレコート鋼板1のアルミニウム低減ゾーン20に隣接する除去ゾーン25上のプレコート鋼板1の少なくとも1つの面4’で除去され、突合せ溶接工程中、プレコート鋼板1は、金属合金層11’が除去されたそれぞれの縁部で溶接される。
【0116】
金属合金層11’の除去は、先行出願WO2007/118939に開示されているように、レーザアブレーションによって有利に行われる。
【0117】
各鋼板1の除去ゾーン25の幅は、例えば、0.2〜2.2mmの間に含まれる。
【0118】
好ましくは、除去工程は、金属間化合物合金層9’を残して金属合金層11’のみを除去するように行われる。したがって、金属間化合物合金層9’は、その高さの少なくとも一部にわたって除去ゾーンに残される。この場合、残存する金属間化合物合金層9’は、溶接継手に直接隣接した溶接ブランクの領域を、後続の熱間成形工程中の酸化及び脱炭から、並びに使用中の腐食から保護する。
【0119】
任意選択的に、溶接ブランクの製造方法は、溶接工程に先立って、第1及び第2のプレコート鋼板1のうちの少なくとも一方、好ましくは第1及び第2のプレコート鋼板1の両方の溶接されるプレコート鋼板1の縁部をブラッシングする工程を含む。
【0120】
この方法が溶接に先立って金属合金層11’の除去を含む場合、ブラッシングはこの除去工程の後に行われることが好ましい。この場合、ブラッシングは、除去操作中に、溶接されるシート1の縁部に飛散した可能性のあるアルミニウムトレースを除去する。このような飛散は、除去がレーザアブレーションによって行われる場合に特に発生し得る。このような飛散物は、縁部への付着性が比較的低く、したがって、ブラッシングによって比較的容易に除去することができる。したがって、ブラッシングにより、溶接継手中のアルミニウム含有量をさらに低減することができる。
【0121】
本発明はまた、プレス硬化鋼部品の製造方法にも関し、以下の工程:
− 上記の方法を使用して溶接ブランクを製造する工程と、
− 溶接ブランクを形成する鋼板1の少なくとも一部がオーステナイト組織となるように溶接ブランクを加熱する工程と、
− プレスで溶接ブランクを熱間成形してプレス成形鋼部品を得る工程と、
− プレスで鋼部品を冷却してプレス硬化鋼部品を得る工程、
を含む。
【0122】
より具体的には、溶接ブランクは、鋼板1の上部オーステナイト変態温度Ac3よりも高い温度まで加熱される。
【0123】
冷却工程中、冷却速度は、有利には、鋼板のマルテンサイト又はベイナイト臨界冷却速度以上である。
【実施例】
【0124】
本発明の発明者らは、以下の実験を行った。
【0125】
プレコート鋼板1は、アシストガスとして窒素を用いたCO
2レーザを使用して、異なるレーザ切断線形エネルギーを使用して、レーザ切断によってプレコート鋼帯2から切り出した。プレコート鋼板1は、長方形の形状を有していた。
【0126】
各レーザ切断線形エネルギーについて、本願発明者らは、カットエッジ面13の基板領域14上のアルミニウムの表面割合を測定した。
【0127】
測定は、走査型電子顕微鏡で撮影された対象のエッジ面の画像に基づいて行い、以下のパラメータ:
− 倍率:×60
− 分析長:3mm
− 電子ビームエネルギー:15〜25keVの間
を使用した。
【0128】
実験は、4kWの出力を有するCO
2レーザを使用して行われた。窒素圧は、2〜18バールの間であった。
【0129】
プレコート鋼帯2は、既に述べたような組成及びプレコーティングを有するストリップであった。
【0130】
より具体的には、鋼帯2は、重量で以下:
C:0.22%
Mn:1.16%
Al:0.03%
Si:0.26%
Cr:0.17%
B:0.003%
Ti:0.035%
S:0.001%
N:0.005%
を含み、残部は鉄及び精錬に起因する可能性のある不純物である。
【0131】
この鋼は、商品名Usibor1500で知られている。
【0132】
プレコーティング5は、溶融金属槽で鋼帯2を溶融めっきすることによって得られた。
【0133】
プレコーティング5の金属合金層は、重量で以下:
Si:9%
Fe:3%
を含み、残部はアルミニウム及び精錬に起因する可能性のある不純物からなる。
【0134】
金属合金層の平均合計厚さは20μmであった。
【0135】
金属間化合物合金層には、Fe
x−Al
yタイプの金属間化合物が含まれ、主にFe
2Al
3、Fe
2Al
5及びFe
xAl
ySi
zの平均厚さは5μmである。
【0136】
ストリップの厚さは1.5mmであった。
【0137】
図6は、この一連の実験におけるレーザ切断線形エネルギーの関数として、プレコート鋼板1の対象のエッジ面13の基板領域14上のアルミニウムの表面割合(Al比率)のグラフである。
【0138】
図6に見られるように、0.6kJ/cmよりも厳密に小さいレーザ切断線形エネルギーでは、レーザ切断から生じた対象のエッジ面13の基板領域14上のアルミニウムの表面割合は、厳密に6%より高い。
【0139】
これに対して、0.6kJ/cm以上のレーザ切断線形エネルギーでは、カットエッジ面13のアルミニウム表面割合は約6%以下になる。それはさらに0.3kJ/cm以上である。
【0140】
1.20kJ/cmに等しい線形切断エネルギーでは、カットエッジ面13の基板領域14上のアルミニウムの表面割合は、0.3%〜4.5%の間にさえ含まれる。
【0141】
したがって、本願発明者らは、予想外の方法で、0.6kJ/cm以上の切断線形エネルギーでプレコート鋼帯2をレーザ切断すると、レーザ切断操作によってカットエッジ面13に沈着するアルミニウムの量が特に少なくなることを見出した。
【0142】
本願発明者らはさらに、他の種類の不活性ガス、特にアルゴンを使用した場合、類似の結果が得られることを観察した。
【0143】
本願発明者らはさらに、本発明による2枚のプレコート鋼板1をガスレーザ溶接によって、すなわち、充填材材料を使用せずに突合せ溶接して溶接ブランクを得、このようにして得られた溶接ブランクを熱間成形し、プレス硬化してプレス硬化鋼部品を製造する実験を行った。
【0144】
このようにして得られた鋼部品の溶接継手に対して行われた硬度測定は、この溶接継手が、本発明によらないプレコート鋼板を使用した場合に得られる硬度よりも高い硬度を有し、例えば、より小さなレーザ切断線形エネルギーによるレーザ切断によって得られた硬度であることを示す。
【0145】
したがって、本発明による方法は、溶接部に相対的な硬度低下が生じないため、有利である。
【0146】
実際、他のプレコート鋼板に溶接されるエッジ面のアルミニウムの割合を6%以下にすることができるという事実により、このようなプレコート鋼板から得られるプレス硬化鋼部品は、エッジ面のアルミニウムの表面割合が6%より高いプレコート鋼板と比較して、機械的特性が改善される。
【0147】
さらに、エッジ面の基板領域14上で0.3%未満のアルミニウムの表面割合を得ることは、経済的な観点からはコストがかかりすぎる。
【0148】
溶接に先立って、プレコート鋼板1のコーティングが、前述のように溶接される縁部に沿って少なくとも部分的に除去されている場合、又はオーステナイト生成元素を含む充填材ワイヤ又は粉末が使用される場合、溶接継手の特に申し分のない機械的特性を得ることができる。このような機械的特性は、部品が侵入防止部品、構造部品又は自動車の安全に寄与する部品を形成することを目的としている場合、特に重要である。
【0149】
さらに、このような部品は、溶接操作に先立ってカットエッジ面に存在するアルミニウムのトレースを除去するための追加の操作が必要ないため、高い生産性で得ることができる。
【0150】
本発明による方法は、レーザ切断線形エネルギーを所定の範囲内に制御するだけで、レーザ切断により、カットエッジ面の基板領域14上に存在するアルミニウムの量を大幅に低減させることを可能にするため、生産性の向上に関してさらに特に有利である。
【0151】
特にヘリウムと比較して、これらのガスは比較的安価であるため、アシストガスとして純粋な又はアルゴン/窒素混合物の形態のいずれかの窒素、アルゴンを使用することは特に興味深い。窒素及び/又はアルゴンとヘリウムとの混合物も、純粋なヘリウムよりも安価であるため、興味深い。
【0152】
レーザ切断中の線形エネルギーを所定の範囲内に制御することにより、カットエッジ面13の基板領域14上のアルミニウムの量が減少するという事実は、全く予想外である。さらに、実際に通常実施される線形エネルギーよりも大きい線形エネルギーをレーザ切断に使用しながら、全体的な生産性を改善することができることは予想外である。実際、同じレーザ出力の場合、線形エネルギーの増加は、切断速度を相対的に低下させることによってのみ得ることができる。