特許第6961817号(P6961817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961817非ステロイド性抗炎症薬誘導体を含む安定な医薬品組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961817
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】非ステロイド性抗炎症薬誘導体を含む安定な医薬品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/621 20060101AFI20211025BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20211025BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20211025BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20211025BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20211025BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20211025BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20211025BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20211025BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20211025BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20211025BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20211025BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20211025BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   A61K31/621
   A61P29/00
   A61K9/08
   A61K47/10
   A61K9/12
   A61K9/14
   A61K9/16
   A61K9/20
   A61K9/48
   A61K47/38
   A61K47/32
   A61K47/36
   A61K9/72
【請求項の数】31
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-523346(P2020-523346)
(86)(22)【出願日】2018年9月29日
(65)【公表番号】特表2021-500384(P2021-500384A)
(43)【公表日】2021年1月7日
(86)【国際出願番号】CN2018108622
(87)【国際公開番号】WO2019080693
(87)【国際公開日】20190502
【審査請求日】2020年5月27日
(31)【優先権主張番号】201711014218.2
(32)【優先日】2017年10月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517330069
【氏名又は名称】浙江越甲▲薬▼▲業▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲ジン▼
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−542797(JP,A)
【文献】 特表2009−543857(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104276962(CN,A)
【文献】 特表平07−504663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ステロイド性抗炎症薬誘導体を含む安定な医薬品組成物であって、少なくとも分離している固形部と液体部を含み、ただし、前記固形部は、治療的有效量の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩を含み、前記液体部は、薬学的に許容される溶媒である医薬品組成物。
【化1】
ただし、
Ar−が、
【化2】
を表示し、
が、H、C1のアルキル基、C2のアルキル基、C3のアルキル基、C4のアルキル基、C5のアルキル基又はC6のアルキル基を表示し、
が、H、C1のアルキル基、C2のアルキル基、C3のアルキル基、C4のアルキル基、C5のアルキル基又はC6のアルキル基を表示し、
nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表示する
【請求項2】
が、メチル基又はエチル基を表示する、請求項1に記載の医薬品組成物。
【請求項3】
が、メチル基又はエチル基を表示する、請求項1又は2に記載の医薬品組成物。
【請求項4】
nが、1又は2を表示する、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項5】
前記一般式1で表れる化合物は、
【化3】
から選べられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項6】
前記一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩は、一般式1で表れる化合物と、無機酸又は有機酸とからなる塩である、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項7】
前記一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩は、一般式1で表れる化合物と、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸又はチオシアン酸とからなる塩である、請求項6に記載の医薬品組成物。
【請求項8】
前記一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩は、
2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩、
サリチル酸−(2−ジエチルアミノエチル)塩酸塩、又は
2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩である、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項9】
前記固形部と前記液体部の質量比は、0.1:100−40:100である、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項10】
前記固形部と前記液体部の質量比は、0.5:100−20:100である、請求項9に記載の医薬品組成物。
【請求項11】
前記固形部と前記液体部の質量比は、1:100−10:100である、請求項10に記載の医薬品組成物。
【請求項12】
前記一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と前記溶媒の質量比は、0.1:100−40:100である、請求項1から11のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項13】
前記一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と前記溶媒の質量比は、0.5:100−20:100である、請求項12に記載の医薬品組成物。
【請求項14】
前記一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と前記溶媒の質量比は、1:100−10:100である、請求項13に記載の医薬品組成物。
【請求項15】
前記薬学的に許容される溶媒は、滅菌水、脱炭酸水、エタノール、ソルビトール水溶液、生理食塩水から選べられることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項16】
前記固形部の剤形は、粉末、顆粒、丸薬、錠剤、カプセルから選べられることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項17】
前記固形部は、さらに薬学的に許容される結合剤を含むことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項18】
前記薬学的に許容される結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレンセルロース、澱粉、アルファ化澱粉、ポリビニルピロリドンから選べられる、請求項17に記載の医薬品組成物。
【請求項19】
前記薬学的に許容される結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項18に記載の医薬品組成物。
【請求項20】
前記一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と前記薬学的に許容される結合剤が顆粒を形成することを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項21】
前記一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と前記薬学的に許容される結合剤の質量比は、100:0.05−100:10である、請求項20に記載の医薬品組成物。
【請求項22】
前記一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と前記薬学的に許容される結合剤の質量比は、100:1−100:5である、請求項21に記載の医薬品組成物。
【請求項23】
前記一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と前記薬学的に許容される結合剤の質量比は、100:1−100:2である、請求項22に記載の医薬品組成物。
【請求項24】
前記粉末又は顆粒の安息角が、40°未満であることを特徴とする請求項16又は20〜23に記載の医薬品組成物。
【請求項25】
前記粉末又は顆粒の安息角が、35°未満である、請求項24に記載の医薬品組成物。
【請求項26】
前記粉末又は顆粒の安息角が、30°未満である、請求項25に記載の医薬品組成物。
【請求項27】
前記固形部は、気密の薬学的に許容される包装材料に保存されることを特徴とする請求項1から26のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項28】
前記薬学的に許容される包装材料は、低密度ポリエチレンフィルム、低密度ポリエチレンバッグ、高密度ポリエチレンフィルム、低密度ポリエチレンボトル、高密度ポリエチレンボトル、ポリプロピレンボトル、ポリエチレンテレフタレートボトル、ポリエステル/アルミ/ポリエチレンコンパウンドバッグ、ガラスびん、又はそれらの組み合わせから選べられる、請求項27に記載の医薬品組成物。
【請求項29】
前記薬学的に許容される包装材料は、高密度ポリエチレンボトルとポリエステル/アルミ/ポリエチレンコンパウンドバッグの組み合わせである、請求項28に記載の医薬品組成物。
【請求項30】
前記医薬品組成物は、さらに薬用スプレー装置、薬用スポイト、薬用ソフトブラシ又はそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1から29のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【請求項31】
前記医薬品組成物を使用する際に、前記固形部と液体部を混合し、スプレー、ドロップ、又は塗布剤を形成することを特徴とする請求項1から30のいずれか一項に記載の医薬品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学製薬分野、特に非ステロイド性抗炎症薬誘導体を含む安定な医薬品組成物に関わる。
【背景技術】
【0002】
非ステロイド性抗炎症薬は、ステロイド構造を含まない抗炎症薬であり、アスピリン、サリチル酸、アセトアミノフェン、インドメタシン、ナプロキセン、ナブメトン、ジクロフェナク、イブプロフェン、ニメスリド、ロフェコキシブ、セレコキシブなどを含む。非ステロイド性抗炎症薬は解熱、鎮痛、抗炎症、抗リウマチおよび抗凝固作用を有し、変形性関節症、関節リウマチ、さまざまな発熱およびさまざまな痛みの症状を緩和するために臨床的に広く使用されている。非ステロイド性抗炎症薬が、プロスタグランジンの合成を阻害することにより、解熱、鎮痛と抗炎症効果を発揮する。非ステロイド性抗炎症薬の鎮痛効果は主に末梢にあり、その鎮痛メカニズムが、1)プロスタグランジンの合成を阻害する;2)リンパ球の活動と活性化されたTリンパ球の分化を阻害し、求心性神経終末の刺激を減らす;3)侵害受容器に直接作用して、発痛物質の形成と放出を防止することを含む。ほとんどの非ステロイド系抗炎症薬が、抗炎症作用を有し、プロスタグランジンの合成を阻害し、白血球の凝集を阻害し、ブラジキニンの形成を抑制し、血小板の凝集を阻害するなどにより、抗炎症作用を発揮する。非ステロイド性抗炎症薬は、腫瘍の発生、発展および転移に対して抑制効果があり、他の抗腫瘍薬と相乗効果がある。その中で、アスピリンとイブプロフェンは最も典型的な非ステロイド性抗炎症薬である。
【0003】
アスピリン、いわゆるアセチルサリチル酸は、1853年に最初に合成され、1899年に臨床治療に使用された。アスピリンは様々な薬効を有し、それが血管拡張により短期的に頭痛を緩和できるから、鎮痛剤や解熱剤として使用できる。アスピリンは、リウマチ熱の治療に最適な薬であって、アスピリンを服用すると、発熱を緩和し、炎症を軽減し、関節の症状を改善し、血沈を降下させることができる。リウマチ熱の関節痛に加えて、この薬剤は関節リウマチの治療にも使用され、その症状を改善し、さらなる治療のための状態を用意する。さらに、アスピリンは、変形性関節症、強直性脊椎炎、若年性関節炎および他の非リウマチ性炎症による骨格筋痛に使用され、症状を緩和することもできる。アスピリンは、血小板凝集を阻害する作用があるため、血栓症を予防できる;一過性虚血発作、心筋梗塞、心房細動、人工心臓弁または手術後の他の血栓症を予防するために臨床的に使用でき、不安定狭心症の治療にも使用できる。アスピリンは、皮膚粘膜リンパ節症候群(川崎病)の緩和にも使用できる。この研究はまた、アスピリンが結腸癌、直腸癌、および食道癌の予防に役割を果たすことも見出した。したがって、アスピリンの治療的使用は非常に価値がある。イブプロフェン、いわゆるα−メチル−4−(2−メチルプロピル)ベンゼン酢酸は、世界保健機関と米国FDAが共同で推奨する唯一の小児用抗発熱薬であり、一番好ましい小児用抗炎症薬として広く認められる。イブプロフェンは、抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用があり、軽度から中程度の片頭痛発作、片頭痛の予防、慢性発作性片頭痛、運動時頭痛と月経時頭痛、リウマチ熱の関節痛、関節リウマチ、変形性関節症、強直性脊椎炎、および神経炎などの治療に適している。イブプロフェンは、シクロオキシゲナーゼを阻害し、プロスタグランジンの合成を減らし、炎症性メディエーターの放出をブロックすることで、抗炎症および鎮痛効果を生み出しつつ、視床下部体温調節中枢を介して解熱剤として作用する。
【0004】
しかしながら、経口非ステロイド性抗炎症薬は消化管に悪影響を及ぼしやすい。主な症状は、消化不良、胃および十二指腸出血、胃潰瘍および胃炎などである。したがって、研究者らは、非ステロイド性抗炎症薬の服用によって引き起こされる消化管の有害反応を軽減または防止するために、他の投与経路の非ステロイド性抗炎症薬誘導体を研究することを試みてきた。中国の特許CN101484415BおよびCN101489985Bは、それぞれ水溶性アスピリンプロドラッグ(アセチルサリチル酸誘導体)およびイブプロフェンプロドラッグ(イブプロフェン誘導体)を開示し、これらのプロドラッグは治療中に経皮投与により体内に投与され、通常の非ステロイド性抗炎症薬による消化管の有害反応を避けることができる。
これらの化合物の安定した化学的調剤を得ることは、製薬業界が解決しなければならない問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つによると、非ステロイド性抗炎症薬誘導体を含む安定な医薬品組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の医薬品組成物は、少なくとも分離している固形部と液体部を含み、ただし、上記の固形部は、治療的有效量の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩を含み、上記の液体部は、薬学的に許容される溶媒であって、
【化1】
ただし、
Ar−が、
【化2】
を表示し、
が、H、C1のアルキル基、C2のアルキル基、C3のアルキル基、C4のアルキル基、C5のアルキル基又はC6のアルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基を表示し、
が、H、C1のアルキル基、C2のアルキル基、C3のアルキル基、C4のアルキル基、C5のアルキル基又はC6のアルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基を表示し、
nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10、好ましくは1又は2を表示する。
【0007】
一つの好ましい実施の形態において、上記の一般式1で表れる化合物は、
【化3】
から選べられるものである。
【0008】
一つの好ましい実施の形態において、上記の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩は、一般式1で表れる化合物と、無機酸又は有機酸とからなる塩であり、好ましくは一般式1で表れる化合物と、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸又はチオシアン酸とからなる塩である。
【0009】
一つの好ましい実施の形態において、上記の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩は、
2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩、
サリチル酸−(2−ジエチルアミノエチル)塩酸塩、又は
2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩である。
或いは、本発明は、非ステロイド性抗炎症薬誘導体を含む安定な医薬品組成物を提供する。上記の医薬品組成物は、少なくとも分離している固形部と液体部を含み、ただし、上記の固形部は、治療的有效量の一般式2で表れる化合物を含み、上記の液体部は、薬学的に許容される溶媒であって、
【化4】
ただし、
Ar−が、
【化5】
を表示し、
が、H、C1のアルキル基、C2のアルキル基、C3のアルキル基、C4のアルキル基、C5のアルキル基又はC6のアルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基を表示し、
が、H、C1のアルキル基、C2のアルキル基、C3のアルキル基、C4のアルキル基、C5のアルキル基又はC6のアルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基を表示し、
が、陰イオンを表示し、
nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10、好ましくは1又は2を表示する。
一つの好ましい実施の形態において、Xが、一価の陰イオンを表示し、より好ましくはCl、Br、F、I、AcO、シュウ酸イオン、リン酸二水素イオン、クエン酸イオン、チオシアン酸イオンである。
【0010】
一つの好ましい実施の形態において、上記の一般式2で表れる化合物は、
【化6】
であり、
ただし、
が陰イオンを表示し、好ましくは一価の陰イオンであり、より好ましくはCl、Br、F、I、AcO、シュウ酸イオン、リン酸二水素イオン、クエン酸イオン、チオシアン酸イオンである。
一つの好ましい実施の形態において、上記の一般式2で表れる化合物は、
2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩、
サリチル酸−(2−ジエチルアミノエチル)塩酸塩、又は
2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩である。
注意すべきなのは、上記の一般式2で表れる化合物は、上記の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩である。そして、本文に言及された「一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩」と「一般式2で表れる化合物」は、交換可能に使用される。
【0011】
一つの好ましい実施の形態において、上記の固形部と上記の液体部の質量比は、0.1:100−40:100で、さらに好ましくは0.5:100−20:100で、最も好ましくは1:100−10:100である。もう一つの好ましい実施の形態において、上記の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と上記の液体部(上記の薬学的に許容される溶媒)の質量比は、0.1:100−40:100で、さらに好ましくは0.5:100−20:100で、最も好ましくは1:100−10:100である。
【0012】
一つの好ましい実施の形態において、上記の薬学的に許容される溶媒は、滅菌水、脱炭酸水、エタノール、ソルビトール水溶液、生理食塩水から選べられる。
【0013】
一つの好ましい実施の形態において、上記の固形部の剤形は、粉末、顆粒、丸薬、錠剤、カプセルから選べられる。
【0014】
一つの好ましい実施の形態において、上記の固形部は、さらに薬学的に許容される結合剤を含む。
【0015】
一つの好ましい実施の形態において、上記の薬学的に許容される結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレンセルロース、澱粉(より好ましくはアルファ化澱粉)、ポリビニルピロリドンから選べられる。
【0016】
一つの好ましい実施の形態において、上記の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と、上記の薬学的に許容される結合剤が、顆粒を形成する。
【0017】
一つの好ましい実施の形態において、上記の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と上記の薬学的に許容される結合剤の質量比は、100:0.05−100:10で、より好ましくは100:1−100:5で、最も好ましくは100:1−100:2である。
【0018】
一つの好ましい実施の形態において、本発明の上記の粉末又は顆粒の安息角は、40°以下で、好ましくは35°以下で、より好ましくは30°以下である。
【0019】
一つの好ましい実施の形態において、上記の顆粒が、10メッシュのふるいを通過できるが、60メッシュのふるいを通過できない。もう一つの好ましい実施の形態において、上記の粉末が、80メッシュのふるいを通過できる。一つの好ましい実施の形態において、上記の固形部は、気密の薬学的に許容される包装材料に保存される。
【0020】
一つの好ましい実施の形態において、上記の薬学的に許容される包装材料は、低密度ポリエチレンフィルム、低密度ポリエチレンバッグ、高密度ポリエチレンフィルム、低密度ポリエチレンボトル、高密度ポリエチレンボトル、ポリプロピレンボトル、ポリエチレンテレフタレートボトル、ポリエステル/アルミ/ポリエチレンコンパウンドバッグ、ガラスびん、又はそれらの組み合わせから選べられる。
【0021】
一つの好ましい実施の形態において、上記の医薬品組成物は、さらに薬用スプレー装置、薬用スポイト、薬用ソフトブラシ又はそれらの組み合わせを含む。
【0022】
一つの好ましい実施の形態において、上記の医薬品組成物を使用する際に、上記の固形部と液体部を混合し、スプレー、ドロップ、又は塗布剤を形成する。
【0023】
本発明のもう一つは、上記の顆粒を調製する方法を提供し、この調製方法は、以下のステップを含む:
(1)結合剤溶液を調製する;
(2)一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と結合剤の乾燥粉末と、特定の比率で混合し、さらにステップ(1)で調製された結合剤溶液を添加し、均一まで混合し、軟質材を製造する;
(3)軟質材を乾燥する;
(4)整粒し、10メッシュのふるいを通過できるが、60メッシュのふるいを通過できない顆粒を選択する。
【0024】
一つの好ましい実施の形態において、上記のステップ(1)で調製された結合剤溶液の濃度は、0.1w/w%−3.0w/w%である。
【0025】
一つの好ましい実施の形態において、上記のステップ(2)における一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と結合剤の乾燥粉末の質量比は、100:0.1−100:5である。
【0026】
一つの好ましい実施の形態において、上記のステップ(2)で添加される結合剤溶液と一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩の質量比は、1:100−10:100である。
【0027】
一つの好ましい実施の形態において、上記のステップ(3)の乾燥温度は、55−65℃である。
【0028】
一つの好ましい実施の形態において、上記のステップ(3)の乾燥時間は、4−6時間である。
【0029】
本発明の有益な効果は、本発明の上記の非ステロイド性抗炎症薬誘導体は、溶媒に安定に存在できない(溶液の状態は不安定)。そして、医薬品の固形部と溶媒とを別に保存し、より好適に、医薬品の固形部を、適当な薬用包装材料に貯蔵することで、医薬品の安定性を著しくに向上できる。上記の医薬品組成物の固形部は、顆粒である場合、顆粒の安息角は、30°以下であると、流動性が良く、ブロッキングがなく、溶媒に素早く溶解できるから、患者にとって使用時の溶解操作を便利にする。上記の医薬品組成物の固形部は、溶媒に溶解された後に、経皮投与の方式で投与され、経口の医薬品によってが引き起こされる可能性のある胃腸の有害反応(出血など)と全身曝露を避けた。また、固形部と液体部を混合し、患者が使用するのに便利な各種な外部医薬品剤形を形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
具体的に、本発明が、非ステロイド性抗炎症薬誘導体を含む安定な医薬品組成物を提供し、上記の医薬品組成物は、少なくとも分離している固形部と液体部を含み、ただし、上記の固形部は、治療的有效量の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩を含み、上記の液体部は、薬学的に許容される溶媒であって、
【化7】
ただし、
Ar−が、
【化8】
を表示し、
は、H又はC−Cのアルキル基を表示し、好ましくはC−Cのアルキル基、より好ましくはC−Cのアルキル基、さらに好ましくはC−Cのアルキル基、最も好ましくはメチル基又はエチル基を表示し、
は、H又はC−Cのアルキル基を表示し、好ましくはC−Cのアルキル基、より好ましくはC−Cのアルキル基、さらに好ましくはC−Cのアルキル基、最も好ましくはメチル基又はエチル基を表示し、
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表示し、好ましくはn≦6の自然数、より好ましくはn≦4の自然数、最も好ましくはn≦3の自然数を表示する。
【0031】
本明細書には、用語「少なくとも……を含む」とは、上記の医薬品組成物には、任意なその他の組分を含んでも良く、この含有量で存在する組分は、人体に許容可能であり、かつ本発明の医薬組成物中の活性成分の活性に悪影響を及ぼさない限り、これらの組分は、任意な含有量で存在しても良い。
【0032】
本明細書には、「薬学的に許容される塩」は、好ましくは一般式1で表れる化合物の比較的に無毒性の無機酸または有機酸付加塩であり、上記の薬学的に許容される塩の例として、一般式1で表れる化合物と、無機酸又は有機酸とからなる塩を挙げられる;上記の無機酸は、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、二硫酸、リン酸又は硝酸を含むが、それらに限定されない;上記の有機酸は、ギ酸、酢酸、アセト酢酸、ピルビン酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、安息香酸、サリチル酸、2-(4-ヒドロキシベンゾイル)-安息香酸、ショウノウ酸、ケイ皮酸、シクロペンタンプロピオン酸、グルカル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ナイアシン、パモ酸、ペクチン酸、過硫酸、3−フェニルプロピオン酸、ピクリン酸、ピバリン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、イタコン酸、スルファミン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、カンファースルホン酸、クエン酸、酒石酸、ステアリン酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、アジピン酸、アルギン酸、マレイン酸、フマル酸、D−グルコン酸、マンデル酸、アスコルビン酸、グルコヘプトン酸、リン酸グリセロール、アスパラギン酸、スルホサリチル酸、ヘミ硫酸またはチオシアン酸を含むが、それらに限定されない;好ましくは一般式1で表れる化合物と塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸又はチオシアン酸とからなる塩酸である。
【0033】
用語「C−Cのアルキル基」とは、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐の飽和単価炭化水素基を指す。C−Cのアルキル基の例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、2−メチルブチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、ネオペンチル、1,1−ジメチルプロピル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−エチルブチル、1−エチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル又は1,2−ジメチルブチルであり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル又はtert−ブチルであり、より好ましくはメチル又はエチルである。
【0034】
中国特許CN101484415BおよびCN101489985Bに開示された内容によれば、本発明の上記の医薬品組成物は、非ステロイド性抗炎症薬(たとえばアスピリン、イブプロフェン)の適応症の治療に使用されてもよく、当該適応症は、痛み、発熱、炎症、リウマチ、関節炎、血栓症、癌、脳卒中、認知症、糖尿病、糖尿病性合併症、心血管疾患、脳血管疾患などを含むが、それらに限定されない。
【0035】
本発明の上記の非ステロイド性抗炎症薬誘導体の調製方法について、中国特許CN101484415B、CN101489985B、米国特許3,365,483又はその他の参考文献を参照しても良い。このようなプロドラッグ誘導体の利点は、経皮投与により体内に入り、通常の非ステロイド性抗炎症薬による消化管の有害反応を避けることである。そして、このような医薬品には、好ましくは、溶液剤形で経皮により体内に入る方式を採用する。しかしながら、発明者らが、上記の非ステロイド性抗炎症薬誘導体が、溶媒には安定に存在できない(溶液の状態は不安定)ことを見出した。そして、医薬品の固形部と溶媒とを別に保存し、より好ましに、医薬品の固形部を、気密の薬用包装材料に貯蔵することで、医薬品の安定性を著しくに向上できる。
【0036】
一つの好ましい実施の形態において、上記の固形部と上記の液体部の質量比は、0.1:100−40:100で、さらに好ましくは0.5:100−20:100で、最も好ましくは1:100−10:100である。
【0037】
一つの好ましい実施の形態において、医薬品組成物の固形部は、上記の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩の粉末、顆粒、丸薬、錠剤、又はカプセルを含有するものである。
一つの好ましい実施の形態において、医薬品組成物の固形部は、上記の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と薬学的に許容される結合剤からなる顆粒である。
【0038】
用語「薬学的に許容される結合剤」とは、粘性のない、または粘性の低い材料を凝集させて顆粒にするまたは圧縮成形することを可能にする粘性の固体粉末または粘性の液体で、かつ本発明の医薬組成物中の有効成分とする非ステロイド性抗炎症薬誘導体(一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩)と相容性がある(即、これとブレンドしても、一般的な情况に大幅に医薬品の効能を低下させない)ものを指す。
【0039】
一つの好ましい実施の形態において、上記の薬学的に許容される結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレンセルロース、澱粉(より好ましくはアルファ化澱粉)、ポリビニルピロリドンから選べられる。上記の医薬品組成物の固形部は、上記の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と薬学的に許容される結合剤で形成される顆粒である場合、顆粒が、薬学的に許容される溶媒(たとえば滅菌水)と混合し、溶解し、塗布・乾燥後、フィルム化し、脱落しにくいから、患者の皮膚への医薬品の付着と吸収を促進する。
【0040】
発明者らが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレンセルロース、澱粉、ポリビニルピロリドンにような一般的な結合剤を、それぞれに本発明の上記の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と混合し、湿式造粒で顆粒を形成し、その後、顆粒を、薬学的に許容される溶媒(たとえば滅菌水)とそれぞれに混合し、溶解する。結果としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、上記の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩とからなる顆粒の溶解性は最も優れて、透明な溶液を形成することができ、かつ塗布・乾燥後に透明なフィルムを形成し、脱落しにくいから、患者の皮膚への医薬品の付着と吸収を促進する。したがって、最も好ましい実施の形態において、上記の薬学的に許容される結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0041】
一つの好ましい実施の形態において、上記の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と上記の薬学的に許容される結合剤の質量比は、100:0.05−100:10で、より好ましくは100:1−100:5で、最も好ましくは100:1−100:2である。
【0042】
粉体や顆粒が積み重なる際に、形成される「安息角」は、その流動性を反映している。用語「安息角」とは、一般に、粉末または顆粒の蓄積層の自由勾配と水平面によって形成される最大角度を指す。安息角が小さいほど、粉末または顆粒間の摩擦が小さくなり、流動性がよく、溶解・使用もしやすくなる。安息角を測定する方法は、当業者がよく知られるものである。本明細書の実施例では、「注入法」で安息角を測定し、つまり、粒子状物質は漏斗から流れ出て平面に落ち、円錐を形成し、円錐の底角は安息角である。
【0043】
一つの好ましい実施の形態において、上記の粉末又は顆粒の安息角は、40°以下で、より好ましくは35°以下で、さらに好ましくは30°以下である。
【0044】
一つの好ましい実施の形態において、本発明の上記の医薬品組成物の固形部は、気密の薬学的に許容される包装材料に保存される。
【0045】
用語「薬学的に許容される包装材料」とは、容器の密封材料と内容物との間に重大な相互作用がなく、製品の活性および安定性に変化がなく、または毒性のリスクが生じないと共に、通常の保管/使用条件下では、包装材料の成分と製品との間に影響があっても、製品の品質または包装に許容できない変化が生じることがない包装材料を指す。
【0046】
上記の薬学的に許容される包装材料は、低密度ポリエチレンフィルム、低密度ポリエチレンバッグ、高密度ポリエチレンフィルム、低密度ポリエチレンボトル、高密度ポリエチレンボトル、ポリプロピレンボトル、ポリエチレンテレフタレートボトル、ポリエステル/アルミ/ポリエチレンコンパウンドフィルム、ポリエステル/アルミ/ポリエチレンコンパウンドバッグ、ガラスびん、又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0047】
一つの好ましい実施の形態において、上記の薬学的に許容される包装材料は、高密度ポリエチレンボトルとポリエステル/アルミ/ポリエチレンコンパウンドバッグの組み合わせである。
【0048】
一つの好ましい実施の形態において、本発明の上記の医薬品組成物の液体部としては、薬学的に許容される溶媒を採用する。
【0049】
上記の薬学的に許容される溶媒は、滅菌水、脱炭酸水、エタノール、ソルビトール水溶液、生理食塩水などを含むが、それらに限定されない。
【0050】
一つの好ましい実施の形態において、上記の医薬品組成物は、さらに薬用スプレー装置、薬用スポイト、薬用ソフトブラシ又はそれらの組み合わせを含む。
【0051】
一つの好ましい実施の形態において、上記の医薬品組成物を使用する際に、上記の固形部と液体部を混合し、スプレー、ドロップ、又は塗布剤を形成する。
【0052】
一つの好ましい実施の形態において、上記の医薬品組成物の固形部(顆粒)が、高密度ポリエチレンボトルで包装され、ポリエステル/アルミ/ポリエチレン医薬品包装用コンパウンドバッグに設置される;液体部は、溶媒として(薬用ガラスびん又は薬用ポリエチレンプラスチックボトルに保存される)滅菌水を採用し、薬用スプレー装置(たとえば薬用スプレーポンプ)と一緒にプラスチックトレーに設置され、白いカートンに箱詰められる。注意すべきなのは、患者の使用を容易にするために、あらかじめ顆粒と溶媒とは、特定の比で包装されても良く、たとえば5gの顆粒と50mLの滅菌水を包装しても良い。患者が使用する際に、全ての5gの顆粒を滅菌水50mLに溶解し、10%の水溶液を調製し、さらに薬用スプレーポンプでスプレーを形成して使用する(所定の時間、たとえば1−2週間内に使用する)。
【0053】
本発明のもう一つは、上記の顆粒を調製する方法を提供し、上記の方法は、以下のステップを含む:
(1)結合剤溶液を調製する;
(2)一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩とステップ(1)で調製された結合剤溶液と混合する。
【0054】
発明者らが、直接に本発明の上記の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩に結合剤(たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース)溶液を添加すると、理想的な顆粒を得ることが困難であり、得られた顆粒は固まっていなく、脆く、ブロッキングしやすいことを見出した。そして、発明者らが、造粒方法を改良し、まず、本発明の上記の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と結合剤(たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース)の乾燥粉末と混合し、その後、結合剤(たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース)溶液を添加し、混合し、理想的な顆粒を得られる。
【0055】
具体的に、本発明は、上記の顆粒を調製するもう一つの方法を提供し、上記の方法は、以下のステップを含む:
(1)結合剤溶液を調製する;
(2)一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と結合剤の乾燥粉末と、特定の比率で混合し、さらにステップ(1)で調製された結合剤溶液を添加し、均一まで混合し、軟質材を製造する;
(3)軟質材を乾燥する;
(4)整粒し、10メッシュのふるいを通過できるが、60メッシュのふるいを通過できない顆粒を選択する。
【0056】
一つの好ましい実施の形態において、上記のステップ(1)で調製された結合剤溶液の濃度は、0.1w/w%−3.0w/w%である。
【0057】
一つの好ましい実施の形態において、上記のステップ(2)における一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と結合剤の乾燥粉末の質量比は、100:0.1−100:5である。
【0058】
一つの好ましい実施の形態において、上記のステップ(2)で添加される結合剤溶液と一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩の質量比は、1:100−10:100である。
【0059】
一つの好ましい実施の形態において、上記のステップ(3)の乾燥温度は、55−65℃である。
【0060】
一つの好ましい実施の形態において、上記のステップ(3)の乾燥時間は、4−6時間である。
【0061】
本明細書には、用語「以下のステップを含む」とは、挙げられたステップ以外に、上記の方法は、さらに、上記の方法の完成に寄与・促進できる任意の他のステップを含んでも良い。たとえば、上記のステップ(2)の前、後続の造粒ステップを容易にするために、一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩を篩過しても良い。
【0062】
一つの好ましい実施の形態において、上記の方法は、以下のステップを含む:
(1)本発明の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩を、80メッシュの篩で篩過する;
(2)特定の濃度(好ましくは1−3w/w%、より好ましくは1.5w/w%)のヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液を調製し、室温下で一晩放置して用意する;
(3)ステップ(1)で前処理された本発明の一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの乾燥粉末と混合し(好ましくは質量比100:1.5)、さらにステップ(2)で調製された(化合物と結合剤の乾燥粉末の質量比は、好ましくは100:1−100:5で、より好ましくは100:1−100:2で、さらに好ましくは100:1.5−100:1.7である)ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液を添加し、均一まで混合し、軟質材を製造し、押すことで、14メッシュのふるいに通過させる。
(4)軟質材を乾燥する(好ましくは、乾燥温度は60℃である;好ましくは、乾燥時間は、12時間未満で、より好ましくは4−6時間である);
(5)整粒し、(好ましくは10メッシュのふるいを通過できるが、60メッシュのふるいを通過できない)顆粒を選択する。
【0063】
本発明のもう一つは、上記の錠剤を調製する方法を提供し、上記の方法は、以下のステップを含む:
(1)結合剤溶液を調製する;
(2)一般式1で表れる化合物の薬学的に許容される塩と流動化剤(たとえばタルクパウダー)と、特定の比率で混合し、さらにステップ(1)で調製された結合剤溶液を添加し、均一まで混合し、軟質材を製造する;
(3)軟質材を乾燥する;
(4)打錠する。
【0064】
注意すべきなのは、本発明で記載された技術的解決策は、任意に組み合わせることができる。
以下、具体的な実施例を参照して、本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の単なる例示であることが理解されるべく。以下の実施例に具体的な条件が示されない実験方法は、一般的に、通常の条件またはメーカーの推奨条件に従う。特に明記しない限り、すべてのパーセンテージ、比率、比、または部は重量によるものである。
本発明における重量−体積百分率の単位は、当業者に公知されたものであり、例えば、それは、100mlの溶液中の溶質の重量(グラム)を指す。
【0065】
別途に定義しない限り、本明細書で使用される全ての専門的および科学的用語は当業者に公知された意味と一致する。さらに、記載された内容と類似または同等の任意の方法および材料を本発明に適用することができる。本明細書に記載される好ましい実施の形態および材料は、例示のみのためである。
【実施例】
【0066】
実施例1.2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩の調製
トルエンを溶剤として、N,N−ジメチルホルムアミドを触媒として、反応温度50℃で、アスピリンと塩化チオニルとを、当量比1:1.1で2時間反応させ、当該反応により、o−アセチルサリチル酸クロリドを生成した;次に、ジエチルアミノエタノールとアシル化製品o−アセチルサリチル酸クロリドとを当量比1:1で、反応温度25℃で4時間反応させ、当該反応により、2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチルを生成した;メチルtert−ブチルエーテルで水相を抽出し、水相を氷浴し、炭酸水素ナトリウムの添加でpH値を7−8まで調整した後に、抽出剤として酢酸イソプロピルを使用し、水相を抽出し、酢酸イソプロピル相を得た;塩形成過程において酢酸イソプロピルを溶剤とし、注入された塩化水素ガス量を厳密に制御することで、反応液のpHを3.5前後にした。反応を終了し、2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)エチル塩酸塩の粗製品原料を得た。
【0067】
加熱還流で、2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)エチル塩酸塩の粗製品原料に、連続に無水アセトニトリルを添加し、2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)エチル塩酸塩を完全に溶解するまで攪拌・混合した。ただし、2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)エチル塩酸塩の粗製品原料と無水アセトニトリルとの最終質量体積比は、1:4であった。25℃までゆっくり冷却し、白色結晶体を析出し、吸引ろ過した後に、固体真空回転乾燥を行った。
【0068】
合成された2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩の結晶体の物理的および化学的特性を表1に示す。
【表1】
【0069】
合成で得られた2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩の結晶体を、核磁気共鳴で表徴し、器械としてBruker AV−500超伝導核磁気共鳴装置を使用し、測定温度300.0Kで、溶剤としてCDClを使用し、得られた特徴データは、以下に示された;結果として、製品の構造は、2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩と一致することを証明した。
【0070】
13C NMR(400 MHz,CDCl3):δ8.49,20.92,47.17,49.74,58.80,122.03,123.73,126.05,131.15,134.45,150.73,163.52,169.45。
1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ1.42(t,6H,J= 7.5 Hz),2.35(s,3H),3.23(m,4H),3.42(m,2H),4.85(t,2H,J = 5.5 Hz),7.14(d,1H,J = 8.0 Hz),7.34(dd,1H,J = 8.0 Hz),7.61(dd,1H,J = 7.5 Hz),8.00(d,1H,J = 8.0 Hz),12.54(s,1H)。
【0071】
実施例2.2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩水溶液の安定性
実施例1で調製された2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩5gを、滅菌水50mLに溶解し、2−8℃で置き、それぞれに0日目、0.5か月目、1か月目、2か月目と3か月目にサンプリングし、主薬の含有量、特定の不純物(サリチル酸−(2−ジエチルアミノエチル)塩酸塩、アセチルサリチル酸、サリチル酸)および関連物質を個別に検出し、ただし、主薬の含有量と特定の不純物は、高速液体クロマトグラフィー(外部標準法)で検測され、関連物質は、高速液体クロマトグラフィー(補正係数なしの主成分自己対比法)で検測された。高速液体クロマトグラフィーの条件は、
【0072】
カラム:Inertsil ODS−3(250×4.6mm,5μm)又は類似するカラム
流速:1.0ml/min
カラム温度:33℃
波長:276nm、303nm
ローディング量:10μl
移動相:水(15mlトリエチルアミン+3.5ml 10%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、1000mlまで水を添加する):メタノール:氷酢酸(63:27:10)。
【0073】
安定性研究の結果としては、2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩の水溶液を、2−8℃下で3か月放置した場合、主薬の含有量が、約86%まで低下し、不純物であるサリチル酸−(2−ジエチルアミノエチル)塩酸塩が、13%超えまであがた。このような結果は、化学薬品の安定性に関する一般的な要望を満たしていない。具体的なデータを表2に示す。
【表2】
【0074】
実施例3.2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩顆粒の調製
(1)実施例1で調製された2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩を80メッシュのふるいで篩過した;
(2)1.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液を調製する:1.5gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを、100gのお湯に溶解し、均一まで攪拌し、室温下に一晩放置して用意した;
(3)ステップ(1)で前処理された2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩100gと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの乾燥粉末1.5gと混合し、さらにステップ(2)で調製されたヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液9−10gを添加し、均一まで混合し、軟質材を製造した。押すことで、14メッシュのふるいに通過させた。
(4)60℃で、軟質材を4−6時間乾燥した;
(5)整粒し、10メッシュのふるいを通過できるが、60メッシュのふるいを通過できない顆粒を選択した。
【0075】
得られた2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩の顆粒は、ほとんど白色であり、その安息角は28°で、その水溶液の25±0.5℃でのpH値は4.3−4.4である。
【0076】
実施例4.2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩のスプレー用顆粒の調製及びその安定性研究
実施例3で調製された2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩の顆粒5gを取り、高密度ポリエチレンボトルで包装し、密封した後に、ポリエステル/アルミ/ポリエチレン医薬品包装用コンパウンドバッグに置いた。(薬用ガラスびん又は薬用ポリエチレンプラスチックボトルに保存される)溶媒である滅菌水50mLと、包装された顆粒と、薬用スプレーポンプと一緒にプラスチックトレーに設置され、白いカートンに箱詰められた。患者が使用する際に、2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩の顆粒を滅菌水に溶解し、さらに薬用スプレーポンプでスプレーを形成して使用した。
【0077】
以上のように調製された2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩のスプレー用顆粒(高密度ポリエチレンボトルで包装し、密封した後に、ポリエステル/アルミ/ポリエチレン医薬品包装用コンパウンドバッグに置いたもの)を、25℃±2℃の温度と60%±10%の相対湿度で置き、それぞれに0か月目、3か月目、6か月目、9か月目、12か月目にサンプリングし、その性状、乾燥減量、水分、特定の不純物(サリチル酸−(2−ジエチルアミノエチル)塩酸塩、アセチルサリチル酸、サリチル酸)、関連物質、主薬含有量を検測した。ただし、性状には目測法を採用し、水分には、容量滴定による検測(《中国薬局方》フィッシャー法の容量滴定法)を採用し、特定の不純物と主薬の含有量には高速液体クロマトグラフィー(外部標準法)を採用し、関連物質には、高速液体クロマトグラフィー(補正係数なしの主成分自己対比法)を採用した。高速液体クロマトグラフィーの条件は、実施例2と同じである。
安定性研究の結果としては、当該スプレー用顆粒は、25℃±2℃下で12か月にわたって置いた場合、その安定性が非常に優れ、各物理的および化学的なパラメーターは、ほぼ変わらなかった。具体的なデータを表3に示す。
【表3】
【0078】
実施例5.2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩の合成
ジクロロメタンを溶剤として、N,N−ジメチルホルムアミドを触媒として、反応温度を15−30℃に制御し、イブプロフェンと塩化チオニルを当量比1:1.2で2−4時間反応させ、当該反応により、イブプロフェン酸クロリドを生成した。ジクロロメタンを添加し、2.0当量のジエチルアミノエタノールを添加し、冰水浴で、イブプロフェン酸クロリドをゆっくり滴下し、当該滴下過程には、温度が少し上がり、滴下が完了したら、続いて2時間攪拌し、0.5%の希塩酸の水溶液を添加し、反応を終了し、層を分離し、有機相を順番に、飽和炭酸水素ナトリウムと水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤を除去し、イブプロフェンアミンの粗製品を得た。塩化水素ガスを含む酢酸イソプロピル溶液を添加した後に、多量の白色固体を析出し、吸引ろ過で、2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩を得た。アセトンで重結晶し、2−(ジエチルアミノ)−エチル−2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩の結晶体(粉末)を得、粉末の安息角は、40°である。
【0079】
合成で得られた2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩の結晶体を、核磁気共鳴で表徴し、器械としてBruker AV−500超伝導核磁気共鳴装置を使用し、測定温度300.0Kで、溶剤としてCDClを使用し、得られた特徴データは、以下に示された;結果として、製品の構造は、2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩と一致することを証明した。
【0080】
13C NMR(500 MHz,CDCl3):δ8.42,8.51,17.92,22.18,30.00,44.78,44.83, 46.91, 46.97, 49.40, 58.49, 127.04,129.41,136.89,140.87,173.66。
1H NMR(500 MHz,CDCl3):δ 0.90(t,6H,J= 7.0 Hz),1.26(m,6H), 1.50(m, 3H), 1.86(d,J= 7.0 Hz , 1H),2.44 (m, 2H), 2.85 (d,J= 7.0 Hz , 1H), 2.95 (m, 3H), 3.25(m,2H),4.10(m,2H),4.45(m, 2H),6.88(d,1H,J = 7.5 Hz),7.17(d,1H,J = 8.0 Hz),7.55(d,1H,J = 7.5 Hz),7.88(d,1H,J = 8.0 Hz),12.31(s,1H)。
【0081】
実施例6.2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩水溶液の安定性
実施例5で調製された2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩10gを、滅菌水50mLに溶解し、25℃±2℃で放置し、それぞれに0日目、第1週、第2週、第3週と第4週にサンプリングし、それぞれに主薬の含有量、特定の不純物(イブプロフェン)を検測し、ただし、主薬の含有量と特定の不純物の検測には、高速液体クロマトグラフィー(面積正規化)を採用した。高速液体クロマトグラフィーの条件は、
カラム:Inertsil ODS−3(250×4.6mm,5μm)又は類似するカラム
流量:1.0ml/min
カラム温度:33℃
波長:264nm
サンプル量:10μl
移動相:(3.065g酢酸ナトリウム+150ml酢酸+375ml水):アセトニトリル(35:65)。
【0082】
安定性研究の結果として、2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩の水溶液を25℃±2℃で4週間放置した場合、主薬の含有量が、約89%まで低下し、不純物イブプロフェンが、10%を超えた。このような結果は、化学薬品の安定性に関する一般的な要望を満たしていない。具体的なデータを表4に示す。
【表4】
【0083】
実施例7.2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩顆粒の調製
(1)実施例5で調製された2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩を80メッシュのふるいで篩過した;
(2)0.5%のカルボマー結合剤を調製する:1.0gカルボマーを、200ml水に溶解し、放置し、使用に備えた;
(3)流動床で顆粒を調製する:ステップ(1)で前処理された2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩200gを、流動床(FLZB−3、創志機電テクノロジー開発有限会社)に投入し、ステップ(2)で調製された結合剤を吹き入り、顆粒を得、ただし、材料温度:23−28℃、入口空気温度:60℃、シリンダー温度:27℃、吹き入り流速:0.8−2.0r/minである。
【0084】
得られた2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩の顆粒は、ほとんど白色であり、安息角は、29°である。
【0085】
実施例8.2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩のスプレー用顆粒の調製及びその安定性研究
実施例7で調製された2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩の顆粒10gを、ポリエステル/アルミ/ポリエチレン医薬品包装用コンパウンドバッグに密封した。(薬用ガラスびん又は薬用ポリエチレンプラスチックボトルに保存される)溶媒である滅菌水50mLと、包装された顆粒と、薬用スプレーポンプと一緒にプラスチックトレーに設置され、白いカートンに箱詰められた。患者が使用する際に、2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩の顆粒を滅菌水に溶解し、さらに薬用スプレーポンプでスプレーを形成して使用した。
【0086】
以上のように調製された2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩の顆粒(ポリエステル/アルミ/ポリエチレン医薬品包装用コンパウンドバッグに密封されたもの)を、25℃±2℃温度と60%±10%相対湿度で置き、それぞれに0か月目、3か月目、6か月目、9か月目、12か月目にサンプリングし、その性状、乾燥減量、水分、特定の不純物(イブプロフェン)、主薬の含有量を検測した。ただし、性状には目測法を採用し、水分には、容量滴定による検測(《中国薬局方》フィッシャー法の容量滴定法)を採用し、特定の不純物と主薬の含有量の検測には、高速液体クロマトグラフィー(面積正規化)を採用した。高速液体クロマトグラフィーの条件は、実施例6と同じである。
【0087】
安定性研究の結果としては、当該顆粒は、25℃±2℃下で12か月にわたって置いた場合、その安定性が非常に優れ、各物理的および化学的なパラメーターは、ほぼ変わらなかった。具体的なデータを表5に示す。
【表5】
【0088】
実施例9.サリチル酸−(2−ジエチルアミノエチル)塩酸塩の合成及びその錠剤の調製
1、化合物の合成
実施例1で調製された2−アセトキシ安息香酸2−(ジエチルアミノ)−エチル塩酸塩(31.5g)を、アセトニトリル(30mL)に溶解し、濃塩酸(10mL)を添加し、室温で48時間を攪拌し、濃縮し、蒸発乾燥し、50mLの水を添加し、溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加し、攪拌し、酢酸イソプロピルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、HClガスを注入し、白色固体を析出し、エタノールで重結晶し、サリチル酸−(2−ジエチルアミノエチル)塩酸塩を得た(17.7g、収率:65%)。
【0089】
HNMR (CDCl3)δ(ppm):11.31(br,1H),10.47 (s,1H),7.87(dd,J = 8.0,1.5 Hz,1H),7.52-7.49(m,1H),7.03(d,J = 8.0 Hz,1H),6.95-6.92(m,1H),4.69(t,J = 5.0 Hz,2H),3.52(q,J = 4.5 Hz,2H),3.24-3.17(m,4H),1.30-1.25(m,6H)。
【0090】
2、錠剤の調製
(1)サリチル酸−(2−ジエチルアミノエチル)塩酸塩を、80メッシュのふるいで篩過した;
(2)1.0%のエチルセルロース溶液を調製する:1.0gエチルセルロースを、100gのエタノールに溶解し、均一まで攪拌し、室温下に一晩放置して用意した;
(3)ステップ(1)で前処理されたサリチル酸−(2−ジエチルアミノエチル)塩酸塩100gと、タルクパウダー5.0gと混合し、さらにステップ(2)で調製されたエチルセルロース溶液6−8gを添加し、均一まで混合し、軟質材を製造し、押すことで、3メッシュのふるいに通過させた;
(4)60℃で、軟質材を8時間乾燥した;
(5)打錠し、錠剤を得た。
【0091】
以上のように調製されたサリチル酸−(2−ジエチルアミノエチル)塩酸塩の錠剤を、高密度ポリエチレンボトルに密封し、滅菌水50mLを溶媒として(薬用ガラスびん又は薬用ポリエチレンプラスチックボトルに保存されるもの)、薬用ソフトブラシと一緒にプラスチックトレーに設置され、白いカートンに箱詰められた。長期にわたる安定性研究(25℃±2℃、12か月)により、当該錠剤の安定性は優れ、製薬業界の要望を完全に満たした。
【0092】
患者が使用する際に、サリチル酸−(2−ジエチルアミノエチル)塩酸塩の錠剤を、滅菌水に溶解し、薬用ソフトブラシで塗布剤を形成し、使用した。
【0093】
以上に記載されたのは本発明の好ましい実施例だけであり、本発明の本質的な技術的内容の範囲を限定することを意図するものではない;本発明の本質的な技術的内容は、請求の範囲内で広く定義される;請求の範囲で定義されたものとまったく同じであるもの、または均等な変更である場合、他の人が完成した技術または方法は、請求の範囲に含まれると見なされる。