特許第6961824号(P6961824)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961824フローダイバーティングランプ付きアイソレータを備えたフライトビークルエアブリージングエンジン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961824
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】フローダイバーティングランプ付きアイソレータを備えたフライトビークルエアブリージングエンジン
(51)【国際特許分類】
   B64D 33/02 20060101AFI20211025BHJP
   F02K 7/10 20060101ALI20211025BHJP
   F02C 7/04 20060101ALI20211025BHJP
   F02K 7/08 20060101ALI20211025BHJP
   B64D 27/20 20060101ALI20211025BHJP
   B64C 30/00 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B64D33/02
   F02K7/10
   F02C7/04
   F02K7/08
   B64D27/20
   B64C30/00
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-530663(P2020-530663)
(86)(22)【出願日】2018年7月12日
(65)【公表番号】特表2021-505466(P2021-505466A)
(43)【公表日】2021年2月18日
(86)【国際出願番号】US2018041754
(87)【国際公開番号】WO2019112649
(87)【国際公開日】20190613
【審査請求日】2020年6月4日
(31)【優先権主張番号】15/833,526
(32)【優先日】2017年12月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チッキーニ,ニコラス,ピー.
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第08656957(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0182697(US,A1)
【文献】 米国特許第05301901(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0224940(US,A1)
【文献】 特開平09−203348(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0325325(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0060361(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 33/02
F02K 7/10
F02C 7/04
F02K 7/08
B64D 27/20
B64C 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体;及び
前記胴体に機械的に結合された推進システム;
を含むフライトビークルであって:
前記推進システムは:
空気入口;
前記空気入口の下流にあるアイソレータ;及び
前記アイソレータの下流の燃焼器;
を備え、
前記アイソレータは、前記アイソレータのインナー・モールド・ライン上に後退型のウェッジを含み;かつ
動作において、前記ウェッジの前方部分は斜めの衝撃を生じ、
前記ウェッジの表面に近い、境界層及びコア流れを、前記アイソレータを通って軸方向下流に進行するにつれて前記アイソレータの壁に沿って半径方向外方及び円周方向に転向させ、流れの混合を改善させる前記ウェッジの特徴を有
前記ウェッジの特徴は、前記ウェッジの後方部分にある、
フライトビークル。
【請求項2】
請求項1に記載されたフライトビークルであって、
前記ウェッジの前記前方部分は、前記アイソレータの底部中心線にあり、
前記ウェッジの前記後方部分は、前記アイソレータの外方側部に沿っている、
フライトビークル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたフライトビークルであって、
背圧印加によって前記ウェッジの前記前方部分で発生する斜め衝撃は、前記ウェッジの前記前方部分に直径方向に対向する前記アイソレータ上の位置で発生する追加的な斜め衝撃を含む衝撃トレインの一部である、
フライトビークル。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載されたフライトビークルであって、前記ウェッジは前記アイソレータの周囲のバンドであり、前記バンドは、前記アイソレータに沿った軸方向に対して角度が付けられている、フライトビークル。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載されたフライトビークルであって、前記ウェッジの前記前方部分は前記アイソレータの底部にある、フライトビークル。
【請求項6】
請求項5に記載されたフライトビークルであって、前記ウェッジは、前記前方部分において最大の圧縮角度を有する、フライトビークル。
【請求項7】
請求項6に記載されたフライトビークルであって、前記圧縮角度は、前記アイソレータの側部に沿って、前記ウェッジの前記底部における最大から前記後方部分における最小までテーパ付けされる、フライトビークル。
【請求項8】
請求項6又は7のいずれか一項に記載されたフライトビークルであって、前記最大の圧縮角度は、5°〜50°である、フライトビークル。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載されたフライトビークルであって、前記ウェッジは、20°〜75°の掃引後退角度を有する、フライトビークル。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載されたフライトビークルであって、前記ウェッジは、前記ウェッジの下流の前記アイソレータの壁と同一平面にあり、前記下流のウェッジ形状に調和する、フライトビークル。
【請求項11】
フライトビークルの推進システムのアイソレータ内の低エネルギー流れを減少させる方法であって:
燃焼器からの背圧要求の間、前記アイソレータの一部である後退ウェッジの前方部分に斜めの衝撃を発生させる発生ステップと;
ウェッジを使用して前記アイソレータを通過する流れを転向させるステップであって、前記ウェッジは、前記流れが前記アイソレータを通って軸方向下流に進行するにつれて、境界層及びコアの流れを、前記アイソレータの壁に沿って半径方向外方及び円周方向へ方向転換し、それにより流れの混合を改善する、転向ステップと;
前記ウェッジが前方に背圧をかけた斜め衝撃を固定するステップと;
を含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載された方法であって、前記ウェッジが追加的な弱い衝撃を生成することをさらに含む方法。
【請求項13】
請求項11乃至12のいずれか一項に記載された方法であって、
前記発生ステップは、前記アイソレータの底部に斜めの衝撃を発生させるステップを含み、
前記転向ステップは、前記流れを、前記アイソレータの前記底部及び側部から前記アイソレータの頂部へ向けるステップも含む、
方法。
【請求項14】
請求項13に記載された方法であって、
前記転向ステップは、境界層流線を、前記ウェッジの前縁に平行に、又は平行に走るが円錐状に外方に移動する方向に向けるステップを含む、
方法。
【請求項15】
請求項11に記載された方法であって、
前記後退ウェッジによって生じる斜め衝撃の衝撃トレインが、後退ウェッジを有しない前記アイソレータに対して、前記アイソレータの頂部の分離領域を減少させる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行機、ミサイル、発射体又は宇宙へのアクセスシステムのようなフライトビークルのためのエンジンの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
デュアルモードラムジェット/スクラムジェットのような超音速及び極超音速エアブリージングエンジンは、アイソレータを含む。アイソレータは、典型的には、空気入口スロートの下流で、入口とエンジン/燃焼器との間に配置された、一定面積又はわずかに単調増加面積セクションである。アイソレータの目的は、入口及び燃焼器内の条件間の変動を分離し、燃焼器に所望の流れプロファイル(flow profile)を提供し、入口の未始動及び/又は燃焼安定性に伴う問題を低減することであり得る。また、アイソレータは、燃焼器が要求するときに、燃焼器の上流側に追加の圧力上昇を提供することができる。
【0003】
アイソレータは、長さに沿ってショックシステムを設定することができる。その結果生じるショックトレイン(shock train)は、燃焼器によって要求される圧力上昇と一致する圧力上昇を生じさせ得る。この圧力上昇は、圧力連通がアイソレータ境界層を通過して入口スロートを越えて上流に進むことを許容してならず、或いはショックトレインが入口スロートの上流に延びることを許容してならないものであり、これらは両方とも入口のスタート未始動をもたらす可能性がある。アイソレータは、入口の始動不能又はエンジンフレームが消滅/失速する原因となる入口又は燃焼器の変動間の動的なクロストークを除去する。アイソレータ内部で強いショック−境界層相互作用が生じる可能性があり、ビークルの本体側で生じる。そこでは、境界層が最も厚く、エネルギープロファイルがより空乏化している。弱い境界層とのこれらの強いショック相互作用は、アイソレータ出口での流れプロファイル(質量フラックス、マッハ数、全圧力など)の低い圧力上昇能力及び/又は大きな歪みを生じ、これは、エンジンによって取り込まれ、燃焼効率を低下させ、エンジン失速/フレームアウトを引き起こす可能性がある。
【0004】
統合されたエアブリージング極超音速ビークルは、通常、燃焼器面での高度に歪んだ流れプロファイルに悩まされる。ゆがんだ流れプロファイルは、燃焼効率を実質的に低下させることが知られており、ビークルのレンジ及び加速能力を低下させる効果を有する。また、アイソレータの背圧条件下で、特に斜め衝撃トレインシステム(oblique shock train systems)を有するアイソレータにおいて、強い衝撃波境界層相互作用によって誘起される分離領域が、アイソレータ内の分離ゾーンを燃焼器面へと伝搬させることがある。これらの分離ゾーンは、一般に、ビークルの本体側及び中心線上で生じる。この場所で、境界層が最も厚く形成され、多くの高いマッハ数の入口設計方法で低運動量流れが集まる傾向がある。これにより、燃焼ガスがアイソレータ内に巻き込まれ、アイソレータのバーンスルー(burn-through)を引き起こす可能性が高くなる。歪んだ入口流れプロファイルは、一般に、アイソレータの最大背圧能力も低下させ得る低運動量領域を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
フライト・ビークル・エンジン・アイソレータは、インナー・モールド・ライン(inner-mold-line)後退(swept back)ランプ(ramp)又はウェッジ(wedge)を含み、アイソレータの底部など、ウェッジの前方部分に衝撃を固定(anchor)する。
【0006】
フライト・ビークル・エンジン・アイソレータは、流れの混合を改善するインナー・モールド・ラインの後退ランプ又はウェッジを含む。
【0007】
フライト・ビークル・エンジン・アイソレータは、下流/アイソレータ出口流れの分離を低減又は除去する(これにより、アイソレータ・バーンスルーのリスクを大幅に低減する)インナー・モールド・ラインの後退ランプ又はウェッジを含む。
【0008】
アイソレータの長さに沿って流れの不均一性が生じる前に流れの不均一性を除去し、アイソレータの幾何学的形状に起因する流れの分離の大部分を除去することにより、損失が減少し、アイソレータは、そうでない場合よりも高い背圧に達することができる。
【0009】
アイソレータの特徴が高い背圧でより強い衝撃アンカーを作り出す能力は、エンジンの最大背圧能力も改善する。
【0010】
アイソレータ・インナー・モールド・ライン幾何形状整形は、最大スロットル能力(最大背圧能力)を改善することができる。
【0011】
アイソレータのインナー・モールド・ライン形状整形は、設計外の性能を改善する。
【0012】
本発明の一態様に従ったフライトビークルは、胴体;及び 前記胴体に機械的に結合された推進システム; を含む。前記推進システムは: 空気入口; 前記空気入口の下流にあるアイソレータ;及び 前記アイソレータの下流の燃焼器;を備える。 前記アイソレータは、前記アイソレータのインナー・モールド・ライン上に後退型のウェッジを含み;かつ 動作において、前記ウェッジの前方部分は斜めの衝撃を生じ、 前記ウェッジの表面に近い、境界層及びコア流れを、前記アイソレータを通って軸方向下流に進行するにつれて前記アイソレータの壁に沿って半径方向外方及び円周方向に転向させ、流れの混合を改善させる前記ウェッジの特徴を有する。
【0013】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記ウェッジの特徴は、前記ウェッジの後方部分にある。
【0014】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記ウェッジの前記前方部分は、前記アイソレータの底部中心線にあり、前記ウェッジの前記後方部分は、前記アイソレータの外方側部に沿っている。
【0015】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、背圧印加によって前記ウェッジの前記前方部分で発生する斜め衝撃は、前記ウェッジの前記前方部分に直径方向に対向する前記アイソレータ上の位置で発生する追加的な斜め衝撃を含む衝撃トレインの一部である。
【0016】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記ウェッジは前記アイソレータの周囲のバンドであり、前記バンドは、前記アイソレータに沿った軸方向に対して角度が付けられている。
【0017】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記ウェッジの前記前方部分は前記アイソレータの底部にある。
【0018】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記ウェッジは、前記前方部分において最大の圧縮角度を有する。
【0019】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記圧縮角度は、前記アイソレータの側部に沿って、前記ウェッジの前記底部における最大から前記後方部分における最小までテーパ付けされる。
【0020】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記最大の圧縮角度は、5°〜50°である。
【0021】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記ウェッジは、20°〜75°の掃引後退角度を有する。
【0022】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記ウェッジは、前記ウェッジの下流の前記アイソレータの壁と同一平面にあり、前記下流のウェッジ形状に調和する。
【0023】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記ウェッジの後方部分における最小圧縮角度はゼロである。
【0024】
本発明の他の特徴に従った、フライトビークルの推進システムのアイソレータ内の低エネルギー流れを減少させる方法は、 燃焼器からの背圧要求の間、前記アイソレータの一部である後退ウェッジの前方部分に斜めの衝撃を発生させる発生ステップと; ウェッジを使用して前記アイソレータを通過する流れを転向させるステップであって、前記ウェッジは、前記流れが前記アイソレータを通って軸方向下流に進行するにつれて、境界層及びコアの流れを、前記アイソレータの壁に沿って半径方向外方及び円周方向へ方向転換し、それにより流れの混合を改善する、転向ステップと;を含む。
【0025】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記ウェッジが追加的な弱い衝撃を生成することをさらに含む。
【0026】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記発生ステップは、前記アイソレータの底部に斜めの衝撃を発生させるステップを含む。
【0027】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記転向ステップは、前記流れを、前記アイソレータの前記底部及び側部から前記アイソレータの頂部へ向けるステップも含む。
【0028】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記転向ステップは、境界層流線を、前記ウェッジの前縁に平行に、又は平行に走るが円錐状に外方に移動する方向に向けるステップを含む。
【0029】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記後退ウェッジによって生じる斜め衝撃の衝撃トレインが、後退ウェッジを有しない前記アイソレータに対して、前記アイソレータの頂部の分離領域を減少させる。
【0030】
本発明の他の特徴に従った、フライトビークルの推進流路のアイソレータ内で低エネルギー流れを減少させる方法は、 前記アイソレータの一部である後退ウェッジの長さに沿って後退斜衝撃を設定するステップ; 粘性及び非粘性流れを、後退ウェッジ幾何形状及び流入流条件に一致する速度ベクトルを用いて外側及び上方に転向させるステップ;及び 前記アイソレータの側壁と前記後退ウェッジとの交点に斜めの衝撃を発生させ、前記側壁に沿って上方に転向する流れをさらに誘発するステップ;を含む。
【0031】
本概要の何れかの段落の実施形態によれば、前記アイソレータを通る流れが、前記側壁に沿って前記アイソレータ内で上方に巻き上げるように流れ、前記アイソレータ内の分離ゾーンを減少させ、前記アイソレータの上部で高エネルギーの流れをより低いエネルギーの流れに混合することをさらに含む。
【0032】
前述の及びこれに関連した目的を達成するために、本発明は、以下に詳細に記載されかつ特許請求の範囲に特に示された特徴を含んでいる。以下の記載及び添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を詳細に示している。しかしながら、これらの実施形態は、本発明の原理が使用され得る種々の方法のうちのいくつかを示しているにすぎない。本発明の他の目的、利点及び新規な特徴は、図面を参照して、本発明の詳細な記載から明らかになるであろう。
【0033】
添付の図面は、必ずしも縮尺どおりではないが、本発明の種々の態様を示す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態にしたがったフライトビークルの概略図である。
図2図1のフライトビークルのエンジンのコンポーネントを示す概略図である。
図3図2の推進流路の一部となり得るアイソレータの側面図である。
図4図3のアイソレータの平面図である。
図5図3のアイソレータを通る流れのいくつかの態様を示す側面断面図である。
図6】従来技術のアイソレータの側面断面図である。
図7図6の従来技術のアイソレータを通る流れの流線を示す斜視断面図である。
図8図3のアイソレータを通る流れの流線を示す斜視断面図である。
図9】いくつかの可能な代替実施形態のアイソレータを示す斜視図である。
図10】追加的な代替実施形態のアイソレータを示す斜め図である。
図11】いくつかの別の実施形態のアイソレータを示す斜視図である。
図12】さらに別の代替実施形態のアイソレータを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
フライト・ビークル・エンジンは、流れの混合を改善するために後退ウェッジ(swept-back wedge)を有するアイソレータを含む。ウェッジは、エッジ(edge)又は急速湾曲部分(rapidly-curved portions)などの前方衝撃固定位置(forward shock-anchoring locations)を含み、アイソレータが十分な背圧を有する状況において、斜め衝撃(oblique shocks)を固定する。後退ウェッジはまた、その長さに沿って掃引斜め衝撃(swept oblique shocks)を発生させ得る。境界層流れ流線は、掃引−ウェッジ前縁へと平行に走り、或いは平行に走るが、外側及び上方に移動する掃引−ウェッジ前縁に向けて円錐状外方に移動する。この流れは、同様に渦(vortices)を生成し、伝播することができ、これは、この流れのエネルギーを増加させ、高エネルギー非粘性流れ(high energy non-viscous flow)を折り畳む(folds-in)ことができる。境界層の外側の非粘性流は、後退ランプ衝撃を通して処理され、後退ウェッジ幾何形状及び流入流条件に一致する速度ベクトルを有し、外側及び上方にも分流される。側壁交差部における及びその近傍のウェッジの外側後部は、衝撃を誘起し、壁の近傍の流れを壁に向けて転流させ、且つ/或いは、流れの混合を改善することができる。この改善は、例えば、この領域に向けられた集合流れを、アイソレータの側面に沿って上方に、及びアイソレータの頂部に向けて、転流させることによる。そこでは、低エネルギー流れ及び/又は流れの分離領域が配置され得る。
【0036】
図1は、胴体(fuselage)14に機械的に結合された推進システム12によって動力を供給される航空機10を概略的に示す。航空機10は、ミサイル、発射体、無人航空機(無人空間ビークル又はUAV)、有人航空機、又は宇宙へのアクセスビークルであり得る。航空機は、種々のサイズのいずれか、及び種々の動作条件のいずれかを有することができる。以下の説明では、航空機10は、マッハ数が4〜6、又はより広くマッハ数が2〜25の、高超音速から極超音速の航空機に関して説明されている。しかし、航空機10は、より低い超音速(マッハ数が1より大きい)で、又は亜音速でさえ作動することができる。
【0037】
推進システム12は、推進システム12の一部が胴体14の一部と一体的に形成されていることを含め、種々の方法で胴体14に連結されることができる。胴体14は、種々の好適な形状のいずれかを有することができ、航空機10の1つ以上の動作を実行するための追加のコンポーネントを含むことができる。そのような追加的コンポーネントは、いくつかの非限定的な例として、制御システム(例えば、操縦用)、揚力発生及び/又は制御表面(例えば、位置に固定されているか、全体的に又は部分的に移動可能な翼、フィン、又はキャナード)、通信システム、冷却システム、センサ、又は他のデータ収集システム、及び/又は種々のペイロードのいずれかを含み得る。
【0038】
図2を参照すると、推進システム12は、空気入口20と、アイソレータ又はディフューザ22と、燃焼器又はエンジン燃焼器24とを含む。空気入口20は、自由空気流から空気を取り込み、空気を圧縮し、おそらく流れが圧縮されるにつれて1つ以上の衝撃が生じる。次いで、圧縮空気は空気入口20を出てアイソレータ22へと入る。空気入口20とアイソレータ22との間の境界には、スロート26、最小面積位置がある。アイソレータ22は、衝撃を安定に保つように機能し、入口とエンジンとの間の動的な流れの変動を隔離し、要求された圧力上昇を提供し、及び/又は、空気がアイソレータ22から燃焼器又はエンジン24へ通過する下流端で所望の流れパターンを提供する。燃焼器24では、燃料が空気の流れに加えられ、混合されて、燃焼が起こり、燃焼された流れがノズル27を通過し、推進システム12から推力を発生させ、この推力は航空機10に動力供給するために使用される。燃焼生成物は、燃焼器24の下流端部からノズル27を通して排出される。したがって、推進システム12は、入口20、アイソレータ22、エンジン燃焼器24、及びノズル27を通る流路又は推進流路を画定する。
【0039】
燃焼器24は、燃料−空気混合物又は燃料−酸化剤混合物を燃焼させて推力を発生させるための種々の適切な装置のいずれであってもよい。例えば、燃焼器24(及び/又はエンジン12)は、ラムジェット、スクラムジェット、デュアルモードラムジェット/スクラムジェット、又はおそらくターボジェットであってもよい。図2では、燃焼器24はタービン28を有するものとして示されているが、多くの実施形態では、燃焼器24はタービン(又は他の可動部品)を有していない。
【0040】
入口20は、例えば、円形、楕円形、又は長方形である種々の好適な形状のいずれかを有することができる。アイソレータ22は、入口20の正方形、長方形、台形又は楕円形の形状(いくつかの例を挙げる)と円形又は他の形状の燃焼器24との間の遷移を行う一般的な形状を有することができる。入口20及び燃焼器24は、互いに整列していてもよく、又は互いに異なる角度配向でオフセットされていてもよい。
【0041】
図3図5は、アイソレータ22の実施形態のさらなる詳細を示す。アイソレータ22はS形状を有し、アイソレータ22の入口はアイソレータ22の出口からオフセットしている。アイソレータ22は、(上流から下流へ)入口領域42と、後退ウェッジ44と、アイソレータ形状変化及び上昇方向領域48と、混合亜音速領域50とを有する。領域50は、中程度から高程度の背圧動作中の亜音速流の1つであってもよく、超音速であってもよい。図示されたアイソレータ22は、その入口からその出口まで上方掃引されるが、アイソレータ22は、オフセットがまったくない形状の他の様々な形状のいずれを有してもよいことが理解されるであろう。以下の説明では、アイソレータ22の頂部、アイソレータ22の底部、及びアイソレータ22の側部に言及する。しかしながら、これらの言及はある程度任意的であり、例示された実施形態にのみ対応し得る。
【0042】
アイソレータ22の底部の後退ウェッジ44は、アイソレータ22の壁の傾斜部分であり、所望の位置で衝撃を発生し固定するために流れを圧縮し、アイソレータ22を通る流れの一部を回転させて、流れの混合を促進し、アイソレータ22全体を通じて分離領域を減少させるように構成されている。より弱い衝撃が、ウェッジ44の全長にわたってウェッジ44に平行に設定され、さらなるアンカーを提供する。図示された実施形態では、ウェッジ44は、アイソレータ22の壁の周囲に延びるバンドであり、バンドは、アイソレータ22の対称面の上部では軸方向前方(上流入口に近い)に、アイソレータ22の側部では軸方向後方(上流入口から離れる))に向かうように角度付けされている。ウェッジ44の底部52(図5)は、燃焼器24によって中等度から高圧上昇が要求されるとき、アイソレータ22内の強い斜めの衝撃に対する衝撃発生器及びアンカーポイント54として作用する。アイソレータ22の頂部には、斜め衝撃波が56に位置している。
【0043】
アイソレータ22の底部におけるウェッジ44の角度は、所望の圧縮量を達成するように選択することができる。この圧縮は、需要に合わせて衝撃トレイン(shock train)60をセットアップする。ウェッジ44の圧縮表面は、境界層と、アイソレータの底面に近い高エネルギーコア流とを、外側に上方に流れさせる。その流れは、分離領域62のサイズを減少させる。その減少は、流れがアイソレータ22の壁から分離し、その中を再循環する前方最斜め衝撃によって生じる。バンド44は、その周囲に沿って変化するウェッジ角度を有し、そのウェッジ角度は、中心(アイソレータ22の底部)で最も急勾配であり、この角度は、バンドの最も幅の広い部分64へ向け側壁に向かって外側に移動するにつれてゼロに近づく。底部(前方)部分52は、強い斜め衝撃を設定し、ウェッジ44の残りの部分は、境界層及び(境界層に近い)あるコア流れを、外側にアイソレータ側壁に向けて転向し、流れ混合を改善する。後退ウェッジ44は、ウェッジ44の下流のアイソレータ22の壁と同一平面になっていて、下流のウェッジ形状に調和し、吸収されている。変形例として、ウェッジ44の下流側にステップのような不連続部があってもよい。そのような不連続性は、速度ベクトルを再配向するために所望の衝撃方向を設定し、所望に応じて流れを方向転換又は方向付けるために使用され得る。
【0044】
バンド44は、底部52から側部に向けテーパを付けることができ、ウェッジの圧縮角(圧縮量)が最大値からゼロ(又はゼロ以外の最小値)に減少できる。(最大)ウェッジ圧縮角度は、10°〜30°、又はより広く5°〜50°であってもよく、いくつかの(限定的ではない)値を与える。バンドの使用に代わるものとして、アイソレータの周囲の別個の位置に、異なる軸方向ステーションで、複数個のウェッジを設けることができる。さらに別の代替例として、アイソレータの頂部に沿ったバンドは、膨張面としてのみ作用し、アイソレータ22の周囲の幾何学的形状に調和、吸収され得る。さらに別の選択肢として、バンド44は、アイソレータ22の底部52の全面にわたって一定の圧縮ウェッジ角度44を有することができる。
【0045】
次に図6を参照すると、分離領域62(図5)と対照的に、従来技術のアイソレータ74(図6)においては非常に大きな分離領域72となっており、後退ウェッジ44(図3)及びアイソレータ22の他の特徴(図3)を欠いている。分岐型(bifurcated)アイソレータ流れ(低運動量及び高運動量の流れの分裂)が、背圧条件下で生じる可能性がある。これは、大きなSダクトの高さ、大きなアイソレータアスペクト比、大きな形状変化要求、アイソレータの短すぎ、歪んだ流入(速度ベクトル及び/又は質量フラックスにおける)、大きな又は不均一な境界層の厚さの流入、流入マッハ数及び衝撃トレイン構造などのいずれかによるものである。分離領域72のようなダクトの上半分における低エネルギー流は、アイソレータ22のエンジン性能低下又は燃焼ガスの燃焼戻しをもたらす可能性がある。従って、性能を向上させるために、混合を誘発し、分離領域72の伝播をアイソレータ22の長さに沿って早期に停止させるために、流れの分流によって分離領域を減少させることが有利である。
【0046】
アイソレータ22の底部の特徴は、望ましい流れの混合を改善するのに役立つ。ウェッジ44は、掃引圧縮ランプ(swept compression ramp)を生成する離散的又は連続的であるが急速な幾何学的変化を伴う、劇的に増加する幾何学的傾斜を有する。このウェッジ44は、右掃引角度と衝撃ウェッジ角度とともに、軸線方向に正しく配置されると、アイソレータ22の内側モールドライン(inner-mold-line)の周囲の高エネルギー流のアップウォッシュ(upwash)の流れを大幅に増加させる。また、掃引特性は、掃引衝撃により課される大きな圧力勾配のために、壁に向かってより高いエネルギー流れを回転させる。この流れは引き続いて上方に偏向され、再びアップウォッシュ(upwash)が増加する。ダクト整形は、正しい位置に配置されると、流れに対しても「むち打ち」効果(whip effect)を生じ、アップウォッシュをさらに改善する。この整形は、後退ウェッジを側壁形状の交点に合わせることによって達成され、かつ後退圧縮ウェッジの下流端で接線角度に従うこと、又は後退ウェッジ44のすぐ下流でアイソレータ22の瞬間的な上方角度をさらに増加させることの何れかにより、劇的なダクトの高さの増加によって達成される。アイソレータの長さに沿った断面積分布は、単調に増加してもよく、あるいは、これらの拡散レートは、他の特定の目標を達成するために、長さに沿って調整されてもよい。このアップウォッシュの全ては、アイソレータ22を下流(下流方向)に並進移動させ、結果として、異なる流れの流線の衝突、及びアイソレータ22の上部又は側部に存在する低エネルギー流又は分離流れとの混合となる。
【0047】
ウェッジ44は、その長さに沿って掃引斜め衝撃を設定することができる。このことは、後退ウェッジ幾何形状及び流入流れ条件に一致する速度ベクトルを用いて、粘性及び非粘性流れを外側及び上方に転向させることができる。さらに、アイソレータの側壁と後退ウェッジとの交点に斜めの衝撃が発生し、さらに、側壁に沿って上方に向かう流れを誘発し得る。アイソレータ22を通る流れは、内側の位置から外側に押し出され、側壁に沿ってアイソレータ22内で上方に巻き上げられ(wrapped)、それによって、アイソレータ22内の分離ゾーンを減少させ、アイソレータ22の上部におけるより低いエネルギーの流れに高エネルギーの流れを混合することができる。
【0048】
カスタマイズされたアイソレータ幾何形状のために、流れ分離の大部分の混合及び除去を改良することにより、損失が減少し、アイソレータがより高い背圧に到達することが可能になる。高い背圧でより強い衝撃固定を作り出す特徴の能力は、最大背圧能力も改善する。
【0049】
斜め衝撃トレインに起因する頂部から底部への低/高運動量の流れの不均衡(disparities)を伴う分岐流(bifurcated flows)は、一般に、特に、アイソレータの長さが小さく、Sダクトの高さが高く、分離が避けられないような高度に拘束されたシステム内において、低運動量領域で分離された流れ領域を有する。周囲の高エネルギー流れのアップウォッシュを作る上述の幾何学的特徴は、この分離を除去し、エンジンからアイソレータ内に燃焼生成物を取り込み、続いてアイソレータを通して燃焼させる可能性を緩和する。
【0050】
斜めの衝撃が、ここで言及されている。斜めの衝撃に代わるものとして、正常な(normal)衝撃がいくつかの場所で生じることもあることが理解されるであろう。
【0051】
カスタマイズされたアイソレータ・インナー・モールド・ライン形状整形は、広範囲の飛行条件とスロットル(背圧需要)設定に亘って一貫した衝撃トレイン位置を維持することにより、設計外の性能と一貫性を改善する衝撃固定を促進する。また、典型的なアイソレータにおける低運動量及び分離領域は、動作条件、スロットル設定、及び時間(過渡条件)に基づいて位置及びサイズを変化させ、これらはすべて、燃焼器入口で歪みパターンを変化させ、能動的燃料噴射スキームが組み込まれない場合には、燃焼効率を低下させる可能性がある。低エネルギー流れ領域を混合することによってこれらの変動を除去することは、飛行エンベロープ及びスロットル設定に亘る一貫性を改善し、エンジンを単純化するか、燃焼効率を改善するかのいずれかであり、いずれも所定のスロットル設定における比推力(specific impulse)(燃費)及び/又は推力を増加させる。
【0052】
図7及び図8は、従来技術のアイソレータ74(図7)及び本発明のアイソレータ22(図8)における流れのための流線を示す。従来技術のアイソレータでは、流線82は、後方加圧斜め衝撃トレインの初期衝撃を通って処理された後は、あまり動かない。低エネルギー流れは、第1の(上流)斜め衝撃が流れを頂部から分離した後、アイソレータ74の頂部に向かって留まる。高エネルギー流れは、斜め衝撃によって押し下げられ、アイソレータ74の底部に向かって留まる。
【0053】
アイソレータ22(図8)では、高エネルギーの流れの流線は、最初の背圧が斜め衝撃を与えた後、アイソレータ壁近傍で、ウェッジ44に固定された斜め衝撃によって上方に偏向される。ウェッジ44はまた、底部表面に沿った高エネルギー流れを、アイソレータ22の側壁に向かって中心線から押し出す。ウェッジ44の下流では、流線84で示される流れは、側壁に沿ってアイソレータ22の頂部に向かって上方に移動する。転向された高エネルギー流れは、分離領域のサイズを小さくし(又は除去し)、アイソレータ22の頂部側でのこの流れの収縮を小さくし、底部側での高エネルギー流れが頂部側の流れとともにより自由に拡散することを可能にする。また、混合を改良するために、分離収縮の消失とともに、流れのマッハ数をより急速に減少させることができる。転向された流れはまた、アイソレータ22の頂部における低エネルギー流れと混合して、より均一な流れを作り出す。
【0054】
図9図12は、アイソレータ22(図3)の特徴とは異なる特定の特徴を有するいくつかの代替の実施形態を示す。図9図12の各々において、従来技術のアイソレータ74が、種々の代替の発明の実施形態と共に示されている。
【0055】
図9は、流れ方向を100として、幾つかの一般的な構成のバリエーションを示す。従来技術のアイソレータ74は、アイソレータ22と同様に示されている。アイソレータ102は円筒形の入口104を有する。アイソレータ106は、入口と出口の軸間のオフセット距離が小さい、最小の曲げS形状を有する。アイソレータ110は、逆Vウェッジ112後退ウェッジを有し、ウェッジの前方部分が側部にあり、ウェッジの後方部分が頂部及び底部にある。この構成は、底部側の中心線の低エネルギー領域を形成する入口構成、又は斜め衝撃トレインの前方脚部がアイソレータの底部側に位置する構成に対する、アイソレータ出口歪みを改善する可能性がある。反転されたVウェッジ112は、流れを側部からこの領域に向ける。
【0056】
図10は、従来技術のアイソレータ74と共に、アイソレータ22(図3)に示される構成と比較して、ウェッジ構成に若干の変化を有するアイソレータを示す。流れ方向が120で示されている。アイソレータ122は、そのウェッジ124上で75°の掃引角度の増加を有し、一方、アイソレータ126は、そのウェッジ128上で45°の掃引角度の減少を有する。これらの角度は、流れ方向、すなわちアイソレータ122の長さに沿った軸方向に対して相対的である。掃引角度選択は、伝搬入口衝撃トレイン、この流入の速度ベクトル及び/又は運動量分布、せん断応力、アイソレータが取り扱うために必要とされる垂直衝撃(normal shock)のパーセント、Sダクトの高さ、要求されるアイソレータの形状変化、アイソレータの長さなどの強力な関数である。掃引バック角度(sweep back angle)は、所望の性能、例えば、45°〜65°又は20°〜75°で選択することができるが、他の値も可能である。アイソレータ132は、ウェッジ角度が増大した(アイソレータ132の軸に向かう表面の角度が増大した)ウェッジ134を有する。アイソレータ136は、ウェッジ角度が減少したウェッジ138を有する。ウェッジ角度又は複数のウェッジ角度は、多数のファクタ(掃引角度に関して上にリストしたものなど)に基づいて、又は種々の効果のいずれかを達成するために、選択することができる。
【0057】
図11は、流れ方向が150で示される、ウェッジの配置、及び/又はウェッジ及び/又は壁の幾何学的形状におけるいくつかの可能なバリエーションを示す。アイソレータ74は、他の図に示されているのと同じ従来技術のアイソレータである。アイソレータ142は、アイソレータ142の入口に向かってシフトされているウェッジ144を有し、一方、アイソレータ146は、後方シフトされたウェッジ148を有する。軸方向位置決めは、ウェッジ角度に関する前述のファクタの関数として選択され得る。ウェッジは、入口から1〜2個の水力学的直径、又は入口から0〜4個の水力学的直径に配置することができる。アイソレータ152は、その円周の少なくとも一部にわたって丸みを帯びた前方表面155を有するウェッジ154を有する。これは、他のウェッジが持つ鋭いエッジとは対照的である。フィレット(fillet)が、衝撃を発生させ、衝撃を固定し、意図したように流れを転流させる際に、鋭利なエッジと同程度に有効であり得ることが理解されよう。
【0058】
図11はまた、側壁圧縮を伴うアイソレータ156を示し、後退ウェッジランプ160の下流にある狭い直径領域158を伴う。このタイプの実施形態は、中央に向かう流れの偏向を改善することができ、また、上方に向かう流れの偏向を改善するようにカスタマイズ(tailor)することもできる。
【0059】
図12は、従来技術のアイソレータ74、及び側壁のみの掃引ウェッジ174を有するアイソレータ172を示す。両方の側壁は、アイソレータの底側に向かって前方最前の位置を有する後退ウェッジと、上方及び後方に進行する後退部とを含む。この実施形態は、底面側壁流れを直接上面に向けることを介して、同様の流れ物理学を介して、同じ利点を提供することができる。衝撃アンカーは、他のいくつかの実施形態のようには強くないことがあるが、流れ混合は改善され得る。
【0060】
図12はまた、アイソレータ182の周囲の一部のみにウェッジ184を有するアイソレータ182を示す。図示された実施形態では、ウェッジ184は、アイソレータ182の底部及び側部のみに沿っているが、アイソレータ182の頂部には延びていない。
【0061】
さらなる変形が可能である。例えば、図示された実施形態のアイソレータの全ては、後退ウェッジの前の前方部分に一定の面積と一定の断面を有する。これは必要ではなく、また要求されておらず、他の実施形態は異なる構成を有してもよい。
【0062】
本発明を或る実施例及び実施形態に関して図示し説明してきたが、この明細書と添付された図面とを読んで理解すると当業者に等価な変更や修正ができるものと認識することができる。特に、上述のエレメント(コンポーネント、アセンブリ、デバイス、組成物等)によって実施される種々の機能に関して、そのようなエレメントを記述するために使用される用語(「手段」への言及を含む)は、別段の指示がない限り、本発明の本明細書に示された例示的な実施形態においてその機能を実行する開示された構造と構造的に等価ではないとしても、記載されたエレメントの特定の機能(すなわち、機能的に同等である)を実行する任意のエレメントに対応することを意図している。さらに、本発明の特定の特徴は、例示されたいくつかの実施形態のうちの1つ又は複数のみに関して上述したが、このような特徴は、任意の与えられた又は特定の用途に対して所望かつ有利であり得るように、他の実施形態の1つ又は複数の他の特徴と組み合わせることができる。
図1
図2
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図5
図6
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図10
図11
図12