(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の発泡ポリウレタンエラストマー原料は、発泡ポリウレタンエラストマーを製造するための発泡ポリウレタンエラストマー用組成物であって、ポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)とウレタン化触媒(C)とを含む。
【0018】
好ましくは、発泡ポリウレタンエラストマー原料は、ポリイソシアネート成分(A)、ポリオール成分(B)およびウレタン化触媒(C)の他、例えば、発泡剤(後述)、整泡剤(後述)、添加剤(後述)などを含有する発泡ポリウレタンエラストマー用組成物である。
【0019】
なお、発泡ポリウレタンエラストマー原料は、例えば、ポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)とウレタン化触媒(C)とをともに含む一液型の発泡ポリウレタンエラストマー原料として調製することもでき、また、例えば、ポリイソシアネート成分(A)を含む第1液と、ポリオール成分(B)を含む第2液とを別々に含む二液型の発泡ポリウレタンエラストマー原料として調製することもできる。なお、二液型の発泡ポリウレタンエラストマー原料において、ウレタン化触媒(C)は、第1液および/または第2液に含有されていてもよく、また、それらとは別途用意され、第1液および第2液の配合時に添加されてもよい。また、第1液および第2液とは別途、ウレタン化触媒(C)を含む第3液が用意され、発泡ポリウレタンエラストマー原料が、第1液、第2液および第3液を含む三液型の発泡ポリウレタンエラストマー原料として調製されていてもよい。
【0020】
ポリイソシアネート成分(A)は、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(A1)と、ポリエーテルジオール(A2)との反応生成物であるプレポリマーを含む。
【0021】
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(A1)は、例えば、国際公開第2009/051114号、特開2011−140618号公報などの記載に準拠して調製される。
【0022】
また、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンには、シス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、シス体と記載する。)、および、トランス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、トランス体と記載する。)の幾何異性体が存在する。1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、好ましくは、シス体よりもトランス体を多量に含有する(以下、高トランス体と記載する。)。
【0023】
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの高トランス体は、トランス体を、例えば、50モル%以上、好ましくは、75モル%以上、より好ましくは、80モル%以上、さらに好ましくは、85モル%以上含有し、また、例えば、96モル%以下、好ましくは、93モル%以下含有する。なお、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの高トランス体において、シス体は、トランス体の残部である。
【0024】
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(A1)は、好ましくは、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの高トランス体である。
【0025】
ポリエーテルジオール(A2)は、必須成分として、ポリトリメチレンエーテルグリコールを含有する。
【0026】
ポリトリメチレンエーテルグリコールは、炭素数3のオキシ直鎖状アルキレン基を主鎖として有するポリエーテルジオールである。ポリトリメチレンエーテルグリコールは、ポリ(1,3−プロパンジオール)、または、ポリ(オキシ−1,3−プロピレン)ジオールと称される場合がある。
【0027】
ポリトリメチレンエーテルグリコールとしては、例えば、植物成分由来の1,3−プロパンジオールの重縮合反応により得られるグリコールなどが挙げられる。
【0028】
また、ポリトリメチレンエーテルグリコールとしては、例えば、2価アルコールを開始剤とする、トリメチレンオキサイドの付加重合物が挙げられる。
【0029】
2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、アルカン(C7〜20)ジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。これら2価アルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0030】
なお、2価アルコールにトリメチレンオキサイドを付加重合させる方法としては、特に制限されず、公知の方法が採用される。
【0031】
ポリトリメチレンエーテルグリコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0032】
また、ポリエーテルジオール(A2)は、任意成分として、その他のポリエーテルジオール(ポリトリメチレンエーテルグリコールを除くポリエーテルジオール)を含有することができる。
【0033】
その他のポリエーテルジオールとしては、例えば、炭素数2〜3のポリオキシアルキレングリコール(ポリトリメチレンエーテルグリコールを除く。)、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
【0034】
炭素数2〜3のポリオキシアルキレングリコール(ポリトリメチレンエーテルグリコールを除く。)としては、例えば、上記した2価アルコールを開始剤とする、エチレンオキサイド、および/または、プロピレンオキサイドの付加重合物などが挙げられる。なお、付加重合物の付加形式は、特に制限されず、ブロックまたはランダムのいずれであってもよい。
【0035】
炭素数2〜3のポリオキシアルキレングリコール(ポリトリメチレンエーテルグリコールを除く。)として、具体的には、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの付加共重合体(ランダムおよび/またはブロック共重合体)などが挙げられる。
【0036】
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)は、炭素数4のオキシ直鎖状アルキレン基を主鎖として有するポリエーテルジオールであり、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物(結晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコール)や、テトラヒドロフランなどの重合単位に上記2価アルコールを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。なお、結晶性とは、常温(25℃)において固体であることを示し、非晶性とは、常温(25℃)において液状であることを示す。
【0037】
また、フルフラールなどの植物由原料をもとに製造されたテトラヒドロフランを出発原料とした植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールも使用することができる。
【0038】
これらその他のポリエーテルジオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0039】
その他のポリエーテルジオールとして、好ましくは、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)が挙げられる。
【0040】
また、その他のポリエーテルジオールとして、耐変色性の観点から、より好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられ、さらに好ましくは、非晶性のポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。
【0041】
また、その他のポリエーテルジオールとして、耐屈曲性の観点から、より好ましくは、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)が挙げられ、さらに好ましくは、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)が挙げられる。
【0042】
このようなポリエーテルジオール(A)において、ポリトリメチレンエーテルグリコールの割合は、耐屈曲性の観点から、ポリエーテルジオール(A)の総量100質量部に対して、例えば、33質量部以上、好ましくは、40質量部以上、より好ましくは、50質量部以上、さらに好ましくは、80質量部以上であり、通常、100質量部以下である。
【0043】
また、その他のポリエーテルジオールの割合は、耐屈曲性の観点から、ポリエーテルジオール(A)の総量100質量部に対して、通常、0質量部以上であり、例えば、67質量部以下、好ましくは、60質量部以下、より好ましくは、50質量部以下、さらに好ましくは、20質量部以下である。
【0044】
また、耐屈曲性の向上を図るとともに、耐変色性の向上を図り、さらに、適切な硬度(後述)を得る観点から、とりわけ好ましくは、ポリエーテルジオール(A2)は、ポリトリメチレンエーテルグリコールを単独で含有し、その他のポリエーテルジオールを含有しない。すなわち、ポリエーテルジオール(A2)は、好ましくは、ポリトリメチレンエーテルグリコールからなる。
【0045】
ポリエーテルジオール(A2)の数平均分子量は、例えば、400以上、好ましくは、800以上であり、例えば、10000以下、好ましくは、5000以下である。
【0046】
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析(ポリエチレングリコール換算)により測定できる(以下同様)。
【0047】
ポリエーテルジオール(A2)の平均水酸基価は、例えば、12mgKOH/g以上、好ましくは、25mgKOH/g以上であり、例えば、270mgKOH/g以下、好ましくは、135mgKOH/g以下である。
【0048】
平均水酸基価は、JIS K1557−1:2007に従って測定できる(以下同様)。
【0049】
プレポリマーがポリエーテルジオール(A2)に由来する領域を含むことにより、ポリエーテルジオール(A2)の主鎖(直鎖)に由来して、発泡ポリウレタンエラストマーのソフトセグメントの結晶性の向上を図ることができ、工業製品として要求される発泡ポリウレタンエラストマーの各種機械物性を満足させることができる。
【0050】
プレポリマーを調製するには、ポリイソシアネート(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(A1)、および、必要により、後述する他のポリイソシアネート(例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)と、ポリエーテルジオール(A2)とを、イソシアネートインデックス(ポリエーテルジオール(A2)の水酸基濃度に対する、ポリイソシアネートのイソシアネート基濃度(NCO濃度)の比に100を乗じた値、NCO濃度/水酸基濃度×100)が、例えば、100より大きくなる割合、好ましくは、105以上、例えば、600以下、好ましくは、450以下となるように混合して、それらを、所定のイソシアネート基含有率になるまで反応させる。
【0051】
反応温度は、例えば、50℃以上であり、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下である。
【0052】
また、反応時間は、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、15時間以下、好ましくは、10時間以下である。
【0053】
また、この反応において、必要に応じて、触媒(例えば、後述するウレタン化触媒(C)など)を添加することもできる。
【0054】
触媒の配合割合は、ポリイソシアネートおよびポリエーテルジオール(A2)の総量に対して、質量基準で、例えば、1ppm以上であり、例えば、500ppm以下、好ましくは、100ppm以下、さらに好ましくは、20ppm以下である。
【0055】
なお、上記反応の後、必要により、公知の蒸留方法などを用いて残存モノマー(具体的には、未反応のポリイソシアネート)を取り除く。
【0056】
これにより、分子末端にイソシアネート基を有する上記したプレポリマーを得ることができる。
【0057】
プレポリマー中のイソシアネート基の含有割合(イソシアネート基含有率)は、JIS K7301(1995)に記載のイソシアネート基含有率試験に準拠して、ジ−n−ブチルアミンによる滴定法により求められ、例えば、3質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、例えば、12質量%以下、好ましくは、8質量%以下である。
【0058】
ポリイソシアネート成分(A)中のプレポリマーの割合は、例えば、70質量%以上、好ましくは、80質量%以上であり、例えば、100質量%以下、好ましくは、95質量%以下である。
【0059】
また、ポリイソシアネート成分(A)は、好ましくは、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(上記したプレポリマーを合成した後に残存する残存モノマー)を含む。
【0060】
なお、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、その誘導体(例えば、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、ビウレット変性体、ウレア変性体、オキサジアジントリオン変性体、カルボジイミド変性体、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体など)として含まれてもよい。
【0061】
ポリイソシアネート成分(A)中の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(モノマー)の割合は、例えば、0質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、例えば、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下である。
【0062】
ポリイソシアネート成分(A)中の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン割合が上記範囲であると、発泡ポリウレタンエラストマー中のハードセグメントの割合(ハードセグメント濃度)を調整することができ、発泡ポリウレタンエラストマーの硬度および圧縮永久歪みを調整することができる。
【0063】
また、ポリイソシアネート成分(A)は、必要により、他のポリイソシアネートを含んでもよい。
【0064】
他のポリイソシアネートとしては、例えば、脂環族ポリイソシアネートを含む脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、それらの上記した誘導体、および、それら他のポリイソシアネートとポリエーテルジオール(A2)とのプレポリマー(例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとポリエーテルジオール(A2)とのプレポリマー)などが挙げられる。
【0065】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
【0066】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートもしくはこれらの混合物(H
12MDI)、2,5−または2,6−ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン(NBDI)などの脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0067】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネートおよび2,6−トリレンジイソシアネート、ならびに、これらトリレンジイソシアネートの異性体混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ならびに、これらジフェニルメタンジイソシアネートの任意の異性体混合物(MDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
【0068】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(XDI)、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TMXDI)などの芳香脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
【0069】
ポリイソシアネート成分(A)中の他のポリイソシアネートの割合は、例えば、0質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは、25質量%以下である。
【0070】
ポリイソシアネート成分(A)中のプレポリマーは、好ましくは、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(A1)とポリエーテルジオール(A2)とのプレポリマーのみを含む。
【0071】
また、ポリイソシアネート成分(A)は、より好ましくは、他のポリイソシアネートを含まず、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(A1)およびポリエーテルジオール(A2)のプレポリマーと、未反応の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとを含み、さらに好ましくは、ポリイソシアネート成分(A)は、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(A1)およびポリエーテルジオール(A2)のプレポリマーと、未反応の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとからなる。
【0072】
ポリオール成分(B)は、必須成分として、炭素数2〜6の低分子量ポリオール(B1)を含んでいる。
【0073】
ポリオール(B)が、炭素数2〜6の低分子量ポリオール(B1)を含むことにより、発泡ポリウレタンエラストマーのハードセグメントの凝集性を制御して、発泡ポリウレタンエラストマーの耐屈曲性を向上させるとともに、圧縮永久歪みを抑制することができる。
【0074】
炭素数2〜6の低分子量ポリオール(B1)は、水酸基を2つ以上有する分子量60以上、400未満、好ましくは、300以下の化合物であって、例えば、炭素数2〜6のアルカンポリオールが挙げられる。
【0075】
炭素数2〜6のアルカンポリオールは、炭素数2以上6以下のアルキレン基(直鎖状アルキレン基または分岐鎖状アルキレン基)と、2つ以上の水酸基とを有する化合物である。
【0076】
炭素数2〜6のアルカンポリオールとしては、例えば、エチレングリコール(別名:エタンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの直鎖状のアルカンジオール、例えば、プロピレングリコール(別名:1,2−プロパンジオール)、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(別名:2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどの分岐のアルカンジオール、例えば、グリセリン(別名:1,2,3−プロパントリオール)、トリメチロールプロパン(別名:1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン)などのアルカントリオール、例えば、ペンタエリスリトール(別名:テトラメチロールメタン)などのアルカンテトラオール、例えば、キシリトール(別名:1,2,3,4,5−ペンタヒドロキシペンタン)などのアルカンペンタオール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトールなどのアルカンヘキサオールなどが挙げられる。
【0077】
これら炭素数2〜6のアルカンポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0078】
また、炭素数2〜6の低分子量ポリオール(B1)としては、上記アルカンポリオールの他、さらに、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのエーテルジオールなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0079】
炭素数2〜6の低分子量ポリオール(B1)として、好ましくは、炭素数2〜6のアルカンポリオールが挙げられ、より好ましくは、直鎖状のアルカンジオールが挙げられ、さらに好ましくは、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールが挙げられ、とりわけ好ましくは、1,4−ブタンジオールが挙げられる。
【0080】
また、ポリオール成分(B)は、低分子量ポリオール(B1)を単独で含有していてもよく、また、低分子量ポリオール(B1)の他に、マクロポリオール(B2)を含有していてもよい。
【0081】
耐屈曲性の向上を図り、圧縮永久歪みの低減を図る観点から、好ましくは、ポリオール成分(B)は、低分子量ポリオール(B1)とマクロポリオール(B2)とを含み、より好ましくは、低分子量ポリオール(B1)とマクロポリオール(B2)とからなる。
【0082】
マクロポリオール(B2)は、水酸基を2つ以上有し、数平均分子量が400以上、好ましくは、500以上であり、10000以下の化合物である。
【0083】
マクロポリオール(B2)としては、特に制限されず、公知のマクロポリオールが挙げられ、より具体的には、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールなどが挙げられる。
【0084】
これらマクロポリオール(B2)は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0085】
マクロポリオール(B2)として、好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0086】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエーテルジオール(A2)として上記したポリエーテルジオールなどが挙げられ、具体的には、例えば、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの付加共重合体(ランダムおよび/またはブロック共重合体)、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0087】
ポリエーテルポリオールとして、好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。
【0088】
マクロポリオール(B2)の数平均分子量は、上記したように、400以上、好ましくは、500以上、より好ましくは、800以上であり、また、10000以下、好ましくは、5000以下、より好ましくは、2000以下である。
【0089】
マクロポリオール(B2)の平均水酸基価は、例えば、12mgKOH/g以上、好ましくは、25mgKOH/g以上であり、例えば、270mgKOH/g以下、好ましくは、120mgKOH/g以下、より好ましくは、60mgKOH/g以下である。
【0090】
また、ポリオール(B)が低分子量ポリオール(B1)とマクロポリオール(B2)とを含有する場合、それらの割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0091】
具体的には、ポリオール成分(B)中において、低分子量ポリオール(B1)の割合は、例えば、20質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、例えば、100質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。
【0092】
また、ポリオール成分(B)中のマクロポリオール(B2)の割合は、例えば、0質量%以上、好ましくは、50質量%以上であり、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下である。
【0093】
また、低分子量ポリオール(B1)の配合部数は、ポリイソシアネート成分(A)100質量部に対して、例えば、1.0質量部以上、好ましくは、2.0質量部以上であり、例えば、10.0質量部以下、好ましくは、5.0質量部以下、さらに好ましくは、4.0質量部以下である。
【0094】
ポリオール成分(B)は、必要により、上記した炭素数2〜6の低分子量ポリオール(B1)およびマクロポリオール(B2)に加えて、他の低分子量ポリオールや低分子量アミンなどの他の低分子量活性水素基含有化合物を含んでもよい。
【0095】
他の低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有し、数平均分子量が400未満の化合物であって、上記した炭素数2〜6の低分子量ポリオール(B1)およびマクロポリオール(B2)以外のポリオールが挙げられ、例えば、ヘプタンジオール、オクタンジオールなどの炭素数7以上の低分子量ポリオールなどが挙げられる。他の低分子量アミンとしては、数平均分子量が400未満の化合物であって、例えば、モノエタノールアミンなどの第一級アミン、ジエタノールアミンなどの第二級アミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミンなどの第三級アミンなどが挙げられる。
【0096】
ポリオール成分(B)において、他の低分子量ポリオールおよび低分子量アミンの割合は、例えば、0質量%以上であり、例えば、40質量%以下、好ましくは、20質量%以下であり、とりわけ好ましくは、0質量%である。
【0097】
ウレタン化触媒(C)としては、例えば、金属触媒、含窒素有機触媒などが挙げられる。
【0098】
金属触媒としては、例えば、ネオデカン酸ビスマス(III)、オクチル酸ビスマス(III)などのビスマスを含有する金属触媒、例えば、オクチル酸亜鉛、亜鉛ジアセチルアセトネート、Zn−K−KAT XK−633(KING社製)、Zn−K−KATXK−614(KING社製)などの亜鉛を含有する金属触媒、例えば、無機スズ化合物(例えば、酢酸スズ、オクチル酸スズなど)、有機スズ化合物(例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズクロライド、ジメチルスズジネオデカノエート、ジメチルスズジチオグリコレートなど)などのスズを含有する金属触媒、例えば、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛を含有する金属触媒、例えば、ナフテン酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトネートなどのニッケルを含有する金属触媒、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネートなどのジルコニウムを含有する金属触媒、例えば、オクチル酸カリウム、オクチル酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属を含有する金属触媒、例えば、オクチル酸コバルト、コバルトアセチルアセトネートなどのコバルトを含有する金属触媒、オクチル酸マンガン、マンガンアセチルアセトネートなどのマンガンを含有する金属触媒、アルミニウムアセチルアセトネートなどのアルミニウムを含有する金属触媒などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0099】
金属触媒としては、好ましくは、ビスマスを含有する金属触媒と、亜鉛を含有する金属触媒とを併用する。
【0100】
含窒素有機触媒としては、例えば、芳香環を含有する含窒素有機触媒(以下、含窒素芳香族系触媒と称する。)、芳香環を含有しない含窒素有機触媒(以下、含窒素脂肪族系触媒と称する。)などが挙げられる。
【0101】
含窒素芳香族系触媒としては、例えば、イミダゾール触媒が挙げられ、具体的には、例えば、イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0102】
含窒素脂肪族触媒としては、例えば、脂肪族アミン触媒が挙げられ、具体的には、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチルモルホリンなどの3級アミン化合物、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウム、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、1,8―ジアザビシクロ(5,4,0)―7−ウンデセンなどの4級アンモニウム塩化合物などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0103】
ウレタン化触媒(C)の割合(金属触媒および含窒素有機触媒の総量)は、ポリイソシアネート成分(A)100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、8質量部以下である。
【0104】
また、ウレタン化触媒(C)の総量100質量部に対して、金属触媒の割合が、例えば、80質量部以上、好ましくは、85質量部以上であり、例えば、100質量部以下、好ましくは、97質量部以下である。また、含窒素有機触媒の割合が、例えば、0質量部以上、好ましくは、3質量部以上であり、例えば、20質量部以下、好ましくは、15質量部以下である。すなわち、ウレタン化触媒(C)は、含窒素有機触媒を含んでいてもよく、また、含窒素有機触媒を含んでいなくともよい。
【0105】
そして、発泡ポリウレタンエラストマー原料においては、ポリエーテルジオール(A2)にポリトリメチレンエーテルグリコールが含有されているため、ウレタン化触媒(C)は、含窒素芳香族系触媒(好ましくは、イミダゾール触媒)を含むことができる。
【0106】
より具体的には、ポリエーテルジオール(A2)にポリトリメチレンエーテルグリコールが含有されておらず、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコールのみが含有されている場合、ウレタン化触媒(C)が含窒素芳香族系触媒を含有すると、発泡ポリウレタンエラストマーは、耐屈曲性に優れる一方、熱環境下において変色するなど、耐変色性に劣る。
【0107】
一方、このような場合(ポリエーテルジオール(A2)にポリトリメチレンエーテルグリコールが含有されておらず、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコールのみが含有されている場合)において、ウレタン化触媒(C)から含窒素芳香族系触媒を除外すると、耐変色性の向上を図ることができる。しかし、このような場合には、発泡ポリウレタンエラストマーの耐屈曲性が低下するという不具合がある。
【0108】
すなわち、ポリエーテルジオール(A2)にポリトリメチレンエーテルグリコールが含有されていない場合には、耐変色性と耐屈曲性とがトレードオフの関係(耐変色性を向上させると耐屈曲性が低下し、耐屈曲性を向上させると耐変色性が低下するという関係)にある。
【0109】
これらに対して、本発明の発泡ポリウレタンエラストマー原料では、ポリエーテルジオール(A2)にポリトリメチレンエーテルグリコールが含有されているため、ウレタン化触媒(C)が含窒素芳香族系触媒を含有する場合にも、発泡ポリウレタンエラストマーは、耐屈曲性に優れ、かつ、耐変色性に優れる。
【0110】
さらに、この発泡ポリウレタンエラストマー原料では、耐変色性の向上の観点から、好ましくは、ウレタン化触媒(C)は、含窒素芳香族系触媒(好ましくは、イミダゾール触媒)を含有しない。
【0111】
すなわち、この発泡ポリウレタンエラストマー原料では、ポリエーテルジオール(A2)にポリトリメチレンエーテルグリコールが含有されているため、ウレタン化触媒(C)が含窒素芳香族系触媒を含有しなくとも、十分な耐屈曲性を得ることができ、さらに、含窒素芳香族系触媒による変色を抑制できる。
【0112】
このように、ウレタン化触媒(C)が含窒素芳香族系触媒を含有しない場合、とりわけ良好に、耐屈曲性および耐変色性の両立を図ることができる。
【0113】
ウレタン化触媒(C)が含窒素芳香族系触媒を含有しない場合、発泡成型性の観点から、好ましくは、ウレタン化触媒(C)は、金属触媒を含有する。
【0114】
金属触媒の割合は、反応速度および耐変色性の観点から、発泡ポリウレタンエラストマー原料の総量100質量部に対して、例えば、0.10質量部以上、好ましくは、0.30質量部以上、より好ましくは、0.50質量部以上であり、例えば、10.0質量部以下、好ましくは、5.00質量部以下である。
【0115】
また、金属触媒の割合は、ポリイソシアネート成分(A)100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、1質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
【0116】
金属触媒として、ビスマスを含有する金属触媒と、亜鉛を含有する金属触媒とを併用する場合、それらの総量100質量部に対して、ビスマスを含有する金属触媒が、例えば、例えば、33質量部以上、好ましくは、43質量部以上であり、例えば、75質量部以下、好ましくは、70質量部以下である。また、亜鉛を含有する金属触媒が、例えば、例えば、25質量部以上、好ましくは、30質量部以上であり、例えば、67質量部以下、好ましくは、57質量部以下である。
【0117】
このような場合、ウレタン化触媒(C)は、含窒素脂肪族系触媒を含んでいてもよく、また、含窒素脂肪族系触媒を含んでいなくともよい。
【0118】
発泡安定性の向上を図る観点から、好ましくは、ウレタン化触媒(C)は、含窒素脂肪族系触媒(好ましくは、脂肪族アミン触媒)を含有する。
【0119】
含窒素脂肪族系触媒の割合は、発泡ポリウレタンエラストマー原料の総量100質量部に対して、例えば、0質量部以上、好ましくは、0.01質量部以上、より好ましくは、0.05質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
【0120】
また、含窒素脂肪族系触媒の割合は、ポリイソシアネート成分(A)100質量部に対して、例えば、0質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
【0121】
次いで、本発明の発泡ポリウレタンエラストマーについて説明する。
【0122】
発泡ポリウレタンエラストマーは、上記した発泡ポリウレタンエラストマー原料の発泡体であって、見かけ密度(JIS K7222:2005)が、例えば、0.1kg/cm
3以上であり、例えば、0.5g/cm
3以下、好ましくは、0.3g/cm
3以下である発泡体であり、軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォームとは区別される。なお、発泡ポリウレタンエラストマー原料を発泡させるための方法は、特に限定されないが、好ましくは、後述する発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法が用いられる。
【0123】
発泡ポリウレタンエラストマーは、ポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)との反応物であるポリウレタン樹脂中に気泡が分散した構造を有する。発泡ポリウレタンエラストマーの気泡構造は、気泡が独立した(連続していない)独立気泡構造、または、気泡が部分的に連続した半独立気泡構造である。
【0124】
ポリウレタン樹脂は、
図1に示すように、一分子中に、ソフトセグメントSと、ハードセグメントHとを有する。
【0125】
ソフトセグメントSは、ポリエーテルジオール(A2)(および、必要により、マクロポリオール(B2))から構成される領域(ドメイン)である。
【0126】
ハードセグメントHは、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含むポリイソシアネートと、炭素数2〜6の低分子量ポリオール(B1)(および、必要により、他の低分子量活性水素基含有化合物)と、ポリイソシアネート成分(A)および水の反応生成物であるウレアとから構成される領域(ドメイン)である。
【0127】
ポリウレタン樹脂の各種の機械物性は、ハードセグメントHの凝集性と、ソフトセグメントSの結晶性とによって実現される。
【0128】
本発明の発泡ポリウレタンエラストマーにおいて、ソフトセグメントSは、ポリエーテルジオール(A2)に由来する領域、すなわち、ポリトリメチレンエーテルグリコールに由来する領域を含む。そのため、本発明の発泡ポリウレタンエラストマーでは、ポリエーテルジオール(A2)の主鎖(直鎖)に由来して、ソフトセグメントSの結晶性の向上が適度に図られている。これにより、発泡ポリウレタンエラストマーは、工業製品としての要求を満足させることができる各種機械物性を有する。
【0129】
また、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(A1)とポリエーテルジオール(A2)とをプレポリマーとしているため、ソフトセグメントSの均一な結晶性を確保することができる。
【0130】
また、ハードセグメントHは、炭素数2〜6の低分子量ポリオール(B1)に由来して、炭素数が2以上6以下の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を有する。そのため、本発明の発泡ポリウレタンエラストマーでは、ハードセグメントHの凝集性が制御されている。
【0131】
これにより、発泡ポリウレタンエラストマーは、圧縮永久歪みの抑制と、耐屈曲性の向上との両立が図られている。
【0132】
ここで、圧縮永久歪みの低減と、耐屈曲性の向上とは、通常、トレードオフの関係(圧縮永久歪みを低減すると、耐屈曲性が低下し、耐屈曲性を向上させると、圧縮永久歪みが増大するという関係)にある。
【0133】
この点、本発明の発泡ポリウレタンエラストマーでは、圧縮永久歪みの低減と耐屈曲性の向上との両立が図られており、例えば、圧縮永久歪み(JIS K6262)20%以下、かつ、耐屈曲性(JIS K6260:2010)70×10
3回以上、好ましくは、圧縮永久歪み15%以下、かつ、耐屈曲性110×10
3回以上、より好ましくは、圧縮永久歪み10%以下、かつ、耐屈曲性150×10
3回以上を実現できる。
【0134】
なお、発泡ポリウレタンエラストマーの圧縮永久歪みは、例えば、1%以上である。また、発泡ポリウレタンエラストマーの耐屈曲性は、例えば、5000×10
3回以下である。
【0135】
このような発泡ポリウレタンエラストマーのアスカーC硬度(JIS K7312−7:1996)は、例えば、30以上、好ましくは、35以上、より好ましくは、40以上であり、例えば、60以下、好ましくは、50以下である。
【0136】
発泡ポリウレタンエラストマーは、例えば、シューズのインナーソール、アウターソール、ミッドソール(インナーソールとアウターソールとの間の部分)などのシューズのソール部材、例えば、シューズのショックアブソーバー、自動車のショックアブソーバー、ヘルメットのショックアブソーバー、グリップテープのショックアブソーバーなどのショックアブソーバー、例えば、自動車の内装材、例えば、シューズ、ヘルメット、グリップテープ、バット(打球反発材)、サッカーボールのクッション材などのスポーツ用品、例えば、ヘッドフォンの部材、例えば、土木建材のパッキン部材、例えば、梱包材、枕、マットレス、シートクッション、シーリング材、防音フローリング材などの緩衝材料、例えば、ブラジャー、ブラジャー用パッド、ブラジャー用カップ、肩パッドなどの衣料用品、例えば、二輪車、モビリティ部材、例えば、ロボット用緩衝材料、例えば、介護用品、電気・電子製品の緩衝材からなる群から選択される工業製品の材料として用いられる。発泡ポリウレタンエラストマーは、好ましくは、シューズのミッドソール、ショックアブソーバー、自動車の内装材、および、スポーツ用品からなる群から選択される工業製品の材料として用いられる。
【0137】
とりわけ、上記の発泡ポリウレタンエラストマーは、ミッドソールの材料として、好適に用いられる。
【0138】
また、本発明は、上記の発泡ポリウレタンエラストマーを含むミッドソールを含んでいる。すなわち、本発明のミッドソールは、上記の発泡ポリウレタンエラストマーを用いて得られる成形品である。
【0139】
このようなミッドソールは、上記の発泡ポリウレタンエラストマーを用いて得られるため、耐屈曲性に優れ、圧縮永久歪みが抑制される。
【0140】
次いで、本発明の一実施形態としての発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法について説明する。
【0141】
発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法は、上記した発泡ポリウレタンエラストマーを製造するための発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法であって、準備工程と、発泡工程とを含む。
【0142】
準備工程では、上記した発泡ポリウレタンエラストマー原料の各成分を、上記の割合で準備する。
【0143】
次いで、発泡工程では、上記した発泡ポリウレタンエラストマー原料を発泡させる。
【0144】
詳しくは、発泡工程では、まず、ポリオール成分(B)とウレタン化触媒(C)と発泡剤とを配合して、混合し、レジンプレミックスを調製する。
【0145】
レジンプレミックスの調製に用いられるウレタン化触媒(C)は、一部であってもよく、また、全部であってもよい。好ましくは、ウレタン化触媒(C)の一部が、レジンプレミックスの調製に用いられる。
【0146】
レジンプレミックスの調製に用いられるウレタン化触媒(C)として、好ましくは、含窒素脂肪族系触媒が挙げられ、より好ましくは、脂肪族アミン触媒が挙げられる。
【0147】
発泡剤としては、発泡ポリウレタン材料の製造に通常使用される公知の発泡剤を用いることができる。発泡剤としては、例えば、水、例えば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、塩化メチレン、トリクロロトリフルオロエタン、ジブロモテトラフルオロエタン、四塩化炭素などのハロゲン置換脂肪族炭化水素が挙げられる。
【0148】
これらの発泡剤は、単独使用または2種以上を併用することができる。
【0149】
発泡剤として、好ましくは、水の単独使用が挙げられる。
【0150】
また、レジンプレミックスには、必要により、整泡剤、添加剤などを添加することができる。
【0151】
整泡剤としては、発泡ポリウレタン材料の製造に通常使用される公知の整泡剤を用いることができる。整泡剤としては、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンAF−5000、サーフロンS−651、例えば、モメンティブ社製のL−568、L−580、L−590、L−598、L−600、L−620、L−635、L−638、L−650、L−680、L−682、SC−155、Y−10366、L−5309、L−5614、L−5617、L−5627、L−5639、L−5624、L−5690、L−5693、L−5698、例えば、信越シリコーン社製のF−607、F−606、F−242T、F−114、F−348、例えば、エアプロダクツアンドケミカルズ社製のDC5598、DC5933、DC5609、DC5986、DC5950、DC2525、DC2585、DC6070、DC3043、例えば、東レダウコーニングシリコーン社製のSZ−1919、SH−192、SH190、SZ−580、SRX280A、SZ−584、SF2904、SZ−5740M、SZ−1142、SZ−1959などが挙げられる。
【0152】
添加剤としては、例えば、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール化合物、有機リン化合物、チオエーテル系化合物、ヒドロキシルアミン系化合物など)、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾトリアゾール化合物、フォルムアミジン系化合物など)、耐光安定剤(例えば、ヒンダードアミン化合物など)などが挙げられる。
【0153】
次いで、発泡工程では、レジンプレミックスにポリイソシアネート成分(A)を配合し、混合して、発泡混合物を調製する。このとき、発泡混合物には、発泡ポリウレタンエラストマー原料がすべて配合される。
【0154】
発泡混合物には、好ましくは、ウレタン化触媒(C)を配合する。
【0155】
ウレタン化触媒(C)としては、上記レジンプレミックスの調製に用いられたウレタン化触媒(C)の残部が挙げられ、具体的には、金属触媒が挙げられる。
【0156】
次いで、発泡工程では、発泡混合物を所定の型内に注ぎ、発泡混合物(発泡ポリウレタンエラストマー原料)を発泡させる。好ましくは、発泡工程では、上記したウレタン化触媒(C)の存在下で、発泡ポリウレタンエラストマー原料を発泡させる。より好ましくは、発泡工程では、含窒素脂肪族系触媒、ビスマスを含有する金属触媒、および、亜鉛を含有する金属触媒の存在下で、発泡ポリウレタンエラストマー原料を発泡させる。ビスマスを含有する金属触媒、および、亜鉛を含有する金属触媒の存在下で、発泡ポリウレタンエラストマー原料を発泡させることにより、発泡ポリウレタンエラストマー原料を所定の型内で発泡させた後、得られた発泡ポリウレタンエラストマーを短時間で円滑に脱型することができる。
【0157】
このような発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法によれば、耐屈曲性に優れ、圧縮永久歪みが抑制され、さらに、耐変色性にも優れる上記の発泡ポリウレタンエラストマーを効率よく得ることができる。
【0158】
また、上記の発泡ポリウレタンエラストマー原料によれば、耐屈曲性に優れ、圧縮永久歪みが抑制され、さらに、耐変色性にも優れる発泡ポリウレタンエラストマーを得ることができる。
【0159】
そして、上記発泡ポリウレタンエラストマー原料の発泡体である発泡ポリウレタンエラストマーは、耐屈曲性に優れ、圧縮永久歪みが抑制され、さらに、耐変色性にも優れる。
【実施例】
【0160】
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
<原料>
A.ポリイソシアネート成分(イソシアネート基末端プレポリマー)
A−1.ポリイソシアネート
(1)1,4−H
6XDI
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、国際公開第2009/51114号の製造例3に従って合成した。純度(ガスクロマトグラフィー測定による。)99.9%、トランス/シス比(モル基準)=86/14
(2)1,3−H
6XDI
1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、商品名:タケネート600、三井化学社製
A−2.ポリエーテルジオール
(1)PT(C4)MEG
PTG−1000(ポリテトラメチレンエーテルグリコール、商品名:PTG−1000、数平均分子量:1000、平均水酸基価:111.9mgKOH/g、保土ヶ谷化学工業社製)164質量部と、PTG−3000(ポリテトラメチレンエーテルグリコール、商品名:PTG−3000SN、数平均分子量:3000、平均水酸基価:37.4mgKOH/g、保土ヶ谷化学工業社製)836質量部とを混合した。得られた混合物を、ポリエーテルジオール(1)とした。
【0161】
(2)PT(C3)MEG
ポリトリメチレンエーテルグリコール(商品名:Velvetol H2700、数平均分子量2700、平均水酸基価41.6mgKOH/g、Whylchem社製)を用意した。これを、ポリエーテルジオール(2)とした。
【0162】
(3)PEG
ポリオキシエチレングリコール(商品名:PEG#4000、数平均分子量3000、平均水酸基価37.4mgKOH/g、日油化学社製)を用意した。これを、ポリエーテルジオール(3)とした。
【0163】
(4)PPG
ポリオキシプロピレングリコール(商品名:PPG DL−4000、数平均分子量4000、平均水酸基価28.1、三井化学SKCポリウレタン社製)を用意した。これを、ポリエーテルジオール(4)とした。
【0164】
(5)PTG−L
非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名:PTG−L−3500、数平均分子量3500、平均水酸基価32.1、保土ヶ谷化学工業社製)を用意した。これを、ポリエーテルジオール(5)とした。
【0165】
B.ポリオール成分
B−1.炭素数2〜6の低分子量ポリオール
(1)1,4−BD
1,4−ブタンジオール、三菱化学社製
(2)1,3−PD
1,3−プロパンジオール、商品名:SUSTERRAプロパンジオール、デュポン社製
B−2.マクロポリオール
(1)PTG−1000
ポリテトラメチレンエーテルグリコール、商品名:PTG−1000、数平均分子量:1000、平均水酸基価:111.9mgKOH/g、保土ヶ谷化学工業社製
(2)PTG−3000
ポリテトラメチレンエーテルグリコール、商品名:PTG−3000SN、数平均分子量:3000、平均水酸基価:
37.4mgKOH/g、保土ヶ谷化学工業社製
C.ウレタン化触媒
C−1.含窒素脂肪族系触媒
(1)DABCO TMR
脂肪族アミン触媒、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム・オクチル酸塩、Evonik社製
(2)DABCO33LV
脂肪族アミン触媒、トリエチレンジアミン、Evonik社製
(3)NIAX CATALYST A−1
脂肪族アミン触媒、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70%ジプロピレングリコール溶液、タナック社製
C−2.含窒素芳香族系触媒
(1)TOYOCAT DM−70
イミダゾール触媒、1,2−ジメチルイミダゾールの65〜75%エチレングリコール溶液、東ソー社製
C−3.金属触媒
(1)Zn−K−KAT XK−633
亜鉛系金属触媒、KING社製
(2)BiCAT8108
ビスマス系金属触媒、ビスマスネオデカネート(ネオデカン酸ビスマス(III))、シェファードケミカル製
(3)プキャット25
ビスマス系金属触媒、ビスマスオクトエート(オクチル酸ビスマス(III))、日本化学産業社製
(4)DBTDL
スズ系金属触媒、ジラウリン酸ジブチルスズ(IV)(ジブチルスズジラウレート)、日東化成社製
D.発泡剤
(1)イオン交換水
E.整泡剤
(1)サーフロンAF−5000(AGCセイミケミカル社製)
F.添加剤
(1)Irganox245
酸化防止剤、ヒンダードフェノール化合物、商品名:イルガノックス245、BASFジャパン社製
(2)LA−72
耐光安定剤、ヒンダードアミン化合物、商品名:アデカスタブLA−72、ADEKA社製
<各実施例、参考例および比較例>
1.ポリイソシアネート成分(A)の調製
各表に示す質量部数で、ポリイソシアネートおよびポリエーテルジオールを、撹拌機、温度計、還流管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、80℃にて1時間撹拌した。
【0166】
その後、予めジイソノニルアジペート(ジェイ・プラス社製)により4質量%に希釈したオクチル酸スズ(商品名:スタノクト、エーピーアイコーポレーション社製)を、ポリイソシアネートおよびポリエーテルジオールの総量に対して、10ppm(ポリイソシアネートおよびポリエーテルジオールの総量10000質量部に対して、0.10質量部)添加し、80℃の温調下、窒素気流下で撹拌混合した。
【0167】
これにより、イソシアネート基末端のプレポリマーを含むポリイソシアネート成分(A)を調製した。
【0168】
得られたポリイソシアネート成分(A)のイソシアネート基濃度を、80℃に温調して測定した。なお、イソシアネート基含有量は、JIS K7301に記載のイソシアネート基含有率試験に準拠して、ジ−n−ブチルアミンによる滴定法により求めた
。
【0169】
2.発泡ポリウレタンエラストマーの製造
各表に示した質量部数のポリオール成分(B)と、発泡剤(イオン交換水)と、整泡剤と、含窒素脂肪族系触媒(脂肪族アミン触媒)と、必要により含窒素芳香族系触媒(イミダゾール触媒)と、耐光安定剤と、酸化防止剤とを、均一に撹拌混合して、50℃のオーブン中に1時間静置し、レジンプレミックスを調製した。
【0170】
その後、得られたレジンプレミックス全量と、80℃に温調したポリイソシアネート成分(A)100質量部と、各表に示した質量部数の金属触媒(23℃)とを配合し、それらをハンドミキサー(回転数5000rpm)によって10秒間撹拌して、発泡混合物を調製した。
【0171】
次いで、得られた発泡混合物を、調製直後に手早く、あらかじめオーブンで80℃に温調した金型(SUS製、210×300×10mm)に移液し、金型の蓋を閉め、万力で固定した。
【0172】
その後、金型を、80℃のオーブン中におい
て静置し、発泡混合物を金型内で発泡させた。
【0173】
その後、発泡ポリウレタンエラストマーを金型から取り出し(脱型し)、60℃のオーブン中で1晩硬化させた。これにより、各実施例
、参考例および比較例の発泡ポリウレタンエラストマーを得た。得られた発泡ポリウレタンエラストマーを後述の評価方法で評価した。
<評価方法>
(1)密度
各実施例
、参考例および比較例の発泡ポリウレタンエラストマーから測定試料を切り出し、JIS K7222:2005に従って、測定試料の見かけ密度を測定した。結果を各表に示す。
【0174】
(2)アスカーC硬度
JIS K7312−7:1996に従って、各実施例
、参考例および比較例の発泡ポリウレタンエラストマーのアスカーC硬度を測定した。結果を各表に示す。
【0175】
(3)圧縮永久歪み
各実施例
、参考例および比較例の発泡ポリウレタンエラストマーから直径29mmで厚み10mmの円板状の測定試料を切り出し、JIS K6262に従って、50℃×6時間、50%圧縮の条件で、測定試料の圧縮永久歪みを測定した。結果を各表に示す。
(4)耐屈曲性(耐屈曲き裂性)
各実施例
、参考例および比較例の発泡ポリウレタンエラストマーから、140mm×25mm×10mmの測定試料を切り出し、JIS K6260:2010に準拠して、測定試料の耐屈曲性を測定した。結果を各表に示す。
【0176】
(5)耐変色性
各実施例
、参考例および比較例の発泡ポリウレタンエラストマーの耐変色性を、以下の方法で評価した。
【0177】
すなわち、各実施例
、参考例および比較例の発泡ポリウレタンエラストマーから、40mm×40mm×10mmの測定試料を切り出し、色差計(全自動色差計カラーエースMODEL TC−1、東京電色社製)を用いてΔbを測定した。
【0178】
この後、各測定試料をアルミホイルで包み、測定試料中の成分が揮発しないようにした。そしてオーブンにて80℃、5日間加熱試験を行った。試験後アルミホイルを取り除き、再度色差計でΔbを測定した。加熱試験後のΔbと加熱試験前のΔbの差をとり、耐変色試験のΔbとした。結果を各表に示す。
【0179】
【表1】
【0180】
【表2】
【0181】
【表3】
【0182】
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれる。