(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記歪みセンサを設けている前記部材は、雄ねじ状、雌ねじ状、ワッシャ状、ソケット状、筒状、プレート状、L字状、T字状の何れかの接合部材の形態を成すことを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の応力監視装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の応力監視システムの実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は本実施形態の応力監視システムを示すブロック図である。応力監視システム1は、応力監視装置2とユーザ端末4とをネットワーク6を介して接続することで構成される。応力監視装置2には、複数のボルト型センサ40(接合部材型のセンサ)が専用回線等を介して通信可能に接続される。
【0025】
ボルト型センサ40は、建造物(建設物、建築物等を含む)、乗物(移動手段)、家電機器、農業機械、建設機械(一般建設機械や特殊建設機械を含む)、工作機械等の二つ以上の部材を接合して構成される構造体に用いる構造部材等に係るボルト状を成す物である。また、ボルト型センサ40は、荷重により生じる応力を検出し得る。即ち、ボルト型センサ40は、構造体の二つ以上の構造部材間に亘って相互に接合されるボルト(接合部材)型のセンサとして機能するものである。
【0026】
ここでの荷重は、単発的な荷重をはじめ、繰返荷重、交番荷重、衝撃荷重等であり、勿論、交通荷重、衝突荷重、地震荷重、風荷重、熱荷重、積雪荷重、水荷重の他、水圧や水流や浮力等による荷重も含む。
【0027】
ここで、
図2は応力監視装置2を示すブロック図である。応力監視装置2は、CPU20を具え、CPU20には、通信部22、解析部24、記憶部26、機械学習部28、学習記憶部30、分布情報作成部32、設計データ格納部36が接続される。
【0028】
通信部22は、ユーザ端末4に紐付け応力情報(後述する)又は仮想応力分布情報(後述する)の送信、ボルト型センサ40から計測情報の受信等の通信処理を行う。解析部24は、構造体毎に複数のボルト型センサ40に作用する応力情報に基づいて荷重条件を特定する解析(逆解析)や、荷重条件等に基づいて構造体全体の解析応力分布情報を作成するための有限要素法による順解析(FEM解析)を行う。
【0029】
解析部24の順解析によって得る解析応力分布情報は、構造体全体にかかる応力分布、構造体の歪みや撓み等による形状変化等の情報を含む。
【0030】
記憶部26は、荷重が構造体に作用したときの構造体の部分又は全体にかかる応力分布の状態を表す情報から成る教師データを記憶する。ここで応力分布は、構造体に対して作用した荷重の位置や方向、向き、大きさ等の荷重条件で定まるものである。そこで、本発明では、解析部24により得られる解析応力分布情報を教師データとして扱い、記憶部26には構造体毎の種々の荷重条件に応じた解析応力分布情報を教師データとして記憶する。
【0031】
機械学習部28は、機械学習を行い、ボルト型センサ40の応力情報から構造体の応力分布を作成するためのニューラルネットワークモデル(機械学習モデル)を生成する。なおニューラルネットワークモデルの学習期に機械学習部28は、記憶部26に蓄積されている教師データから重みパラメータを学習する演算等を行う。なお、機械学習モデルは、ニューラルネットワークモデルに限定されるものではなく、ロジスティクス回帰モデル、ディープラーニングモデル等であってもよい。
【0032】
学習記憶部30は、ボルト型センサ40が用いられている構造体毎に異なるニューラルネットワークモデル、重みパラメータ等、機械学習モデルに係る情報を記憶する。分布情報作成部32は、ボルト型センサ40の応力情報をニューラルネットワークモデルに入力したときの算出結果から構造体全体の応力分布を示す仮想応力分布情報を作成する。
【0033】
なお、応力情報とは、応力値そのものの他、ボルト型センサ40の寸法情報や形状情報、素材情報等と紐付けることで、応力値を算出可能な変形量や歪み量等を含むものである。更に応力情報とは、変形量や歪み量或いは応力値に換算可能な電気抵抗値や電圧値若しくは電流値等も含み得るものである。
【0034】
設計データ格納部36は、構造体の識別子である構造体IDに、構造体を構成する部材の部材情報、構造体情報(例えばCADデータ、設計情報)、構造体に用いられているボルト型センサ40のボルト情報等を関連付けて設計データとして管理するデータベースである。
【0035】
ここで部材情報は、構造体を構成する各部位(例えば、構造体が建造物の場合には、屋根、外壁、床、壁、天井、内部建具等)の材質等から特定される各部位の物性値、部位毎の形状、部位同士の接合(連結)方法等の情報を含み得るものである。
また、ボルト情報は、各ボルト型センサ40に採番されたセンサIDに紐付けされた、ボルトの配設情報、ボルトの素材情報、形状情報及び寸法情報等によって構成される情報である。配設情報とは、ボルト型センサ40の配設位置や配設姿勢等を示す情報である。即ち、配設情報には、各ボルト型センサ40が構造体においてどの位置で、どのような姿勢(例えば、軸方向が水平(又は垂直)向きで南向きの姿勢等)で配設されているかを示す情報が含まれる。
【0036】
ユーザ端末4は、ボルト型センサ40を有する構造体に作用する応力に係る画像を表示する情報処理端末である。ユーザ端末4は、ネットワーク6を介して応力監視装置2から各種情報を受信可能であればよく、その種類が限定されるものではない。
【0037】
即ち、ユーザ端末4は、例えば、スマートフォン、携帯電話(フィーチャーフォン)、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェアラブル端末(ヘッドマウントディスプレイ、メガネ型デバイス等)、タブレット端末、ノート型PC、デスクトップ型PC、その他各種のコンピュータや演算回路を有するモニタ等である。
【0038】
ネットワーク6は、無線ネットワークや有線ネットワークの何れであってもよい。具体的には、無線LAN、広域ネットワーク(Wide Area Network:WAN)、ISDNs(Integrated Service Digital Networks)、LTE(Long Term Evolution)、LTE−Advanced、CDMA(Code Division Multiple Access)、第5世代移動通信システム(5G)、LPWA(LAW Power Wide Area)等である。勿論、ネットワークは、Wi−Fiや公衆交換電話網やブルートゥース、光回線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線、衛星通信網等を利用するものであってもよく、またこれらを組み合わせたものであってもよい。
【0039】
図3は、ボルト型センサ40を示す図である。本実施の形態において示すボルト型センサ40は、頭部42と軸部44を有する(勿論、頭部は必須ではない。)。頭部42は、軸部44の一端に設けられ、軸部44と比較して大径の外径形状を有する。軸部44は、先端側に形成された雄ねじ溝を有するねじ部44aと、頭部42及びねじ部44a間に位置する無ねじ山領域の円柱部44bとを有する(勿論、円柱部44bは必須ではない。)。
【0040】
頭部42は、頂面に回路基板50を配設し、回路基板50には軸部44表面に形成された歪み計測センサ部60(後述する)が接続される。なお頭部42には、少なくとも頂面の回路基板50を被覆する不図示のカバー等を設けてもよい。
【0041】
軸部44のねじ部44aは、所定のリード角及び/又はリード方向の螺旋溝を形成した第一雄ねじ螺旋構造と、この第一雄ねじ螺旋構造のリード角及び/又はリード方向が相異なるリード角及び/又はリード方向に螺旋溝が設定される第二雄ねじ螺旋構造を重畳的に有している。
【0042】
ここでは、対応した右ねじとして成る雌ねじ状の螺旋条を螺合可能に構成した右ねじとなる第一雄ねじ螺旋構造と、対応した左ねじとして成る雌ねじ状の螺旋条を螺合可能に構成される左ねじと成る第二雄ねじ螺旋構造との二種類の雄ねじ螺旋構造が、ボルト型センサ2の軸方向における同一領域上に重複して形成される。勿論、第一雄ねじ螺旋構造と第二雄ねじ螺旋構造を、互いに右ねじのリード方向が同じ螺旋構造とし、リード角を相異なるように設定してもよい。なお、螺旋溝は、必ずしも重畳形成されたものである必要はないが、接合部材としての緩みを抑制し得る機構を有するものであることが、精密で確度の高い歪み計測、応力計測を行う上では好ましい。
【0043】
本実施形態において、ねじ部44aは、右ねじ及び左ねじの何れの雌ねじ体とも螺合することが可能となる。なお、二種類の雄ねじ螺旋溝が形成されたねじ部44aの詳細については、本願の発明者に係る特許第4663813号公報を参照されたい。
【0044】
円柱部44bは、外周面に歪み計測用パターンとなる通電路が直接形成されることで、歪み計測センサ部60が円柱部44bに直接設けられる。また円柱部44bは、ねじ部44aの谷径或いは有効径以下の外径を有する。
【0045】
円柱部44bの外周面に歪み計測センサ部60を直接形成する方法としては、例えば、外周面に積層印刷、パット印刷、塗装、メッキ、インクジェット印刷等によって電気絶縁層を直接形成し、この上に歪み計測センサ60を直接形成する方法がある。なお、電気絶縁層を形成する手法は上記の各手法に限定されるものではなく、例えば、所定のマスクを配置した状態で、絶縁材料をスパッタリングによって被膜形成したり、シリカ材料を塗布して加熱処理したり、シリコーン系、ポリイミド系やエポキシ系、ウレタン系等の有機絶縁材を塗布するなどの様々な手法を採用できる。
【0046】
また、歪み計測センサ60は、導電性ペーストを利用した積層印刷、パット印刷、塗装、メッキ、インクジェット印刷、スパッタリング等によって電気絶縁層に直接形成される。歪み計測センサ60の両端には、電気接点対が形成されて回路基板50に接続されることで、電気接点対間に電圧を印加できる。
【0047】
これにより電気接点対に電圧を印加した歪み計測センサ部60の抵抗値変化により、円柱部44bに生じる歪みの検出及び円柱部44bの変形の検出を行うことができる。なお、軸部44(円柱部44b)が不導体の材料により成るものであれば、円柱部44bの外周面に直接歪み計測センサ部60を形成してもよい。また、歪み計測センサ部60を覆うように耐摩耗性、耐傷性、耐熱性、水分遮断性、耐溶剤性、ガスバリア性、耐変形性(密着性)等に優れたコーティング層を形成してもよい。
【0048】
図4は、回路基板50の構成を示すブロック図である。回路基板50には、各部を統括的に制御する制御回路52が配され、制御回路52には、計測記憶部53、計測部54、RF(Radio Frequency)部56、電源回路58等が接続される。計測記憶部53は、センサIDや軸部44のヤング率等を格納し、また計測部54による計測結果に基づく計測情報を記憶するようにすることが出来る。
【0049】
計測部54は、歪み計測センサ部60を介して検出された電気抵抗変化による応力情報を計測する計測手段を具える。なお、計測部54は、温度計測手段、磁気計測手段、加速度計測手段、コリオリの法則に基づいて角加速度等を計測可能とするジャイロセンシング手段等をさらに有していてもよい。従って計測部54は、応力情報及びその他計測手段による計測結果を含む計測情報を出力することができる。
RF部56は、計測部54によって出力された計測情報を不図示のアンテナを介して応力監視装置2に送信する。
【0050】
電源回路58は、不図示のバッテリ等を電源とし、その電圧を制御回路52等の各部を駆動するための電圧に変換し、電力を供給する。なお、バッテリは、例えば回路基板50に搭載可能なリチウム電池や小型の全個体電池等であってもよいが、二次電池を用いても好い。なお、バッテリに二次電池を用いる場合には電源回路58に受電手段(不図示)を接続し、受電手段により変換された電力をバッテリに供給するようにしてもよい。
【0051】
受電手段は、振動、温度差、外光(照明光や自然光)、圧力変化(気圧変化)、外力変化(風、浮力変化、降雨)、電磁波等を電力に変換するものである。即ち、受電手段は、例えばコイル、アンテナ、受光部(フォトニック素子系部材、ソーラーパネル等)、マイクロフォンや圧電素子等のように振動や圧力変化等を電気エネルギーに変換可能に構成された振動子等のエネルギー変換素子、ゼーベック効果を利用したゼーベック素子や回路等を有することができる。なお、バッテリを商用電源として外部電源装置(ACアダプター)を介して電源回路58に有線接続するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0052】
なお、制御回路52は、各部を常時動作させる制御を行うことが好ましいが、バッテリに二次電池を用いた場合には消費電力を抑えるために、計測部54による計測、RF部56による送信等の各部の動作タイミングの調整を行う。
【0053】
動作タイミングは、時間による設定、充電量による設定等、適宜設定し得る。また各部を同時に動作させる必要はなく、計測部54と比較してRF部56を少ない頻度で動作させるように制御してもよい。例えば、計測部54を所定の計測間隔(例えば、1時間毎)で動作させ、RF部56を所定の送信間隔(例えば、1日毎)で動作させるように制御してもよい。
【0054】
また、RF部56を、計測部54が所定回数(例えば5回)計測を行う毎に動作するように制御してもよい。このように計測部54の動作とRF部56の動作の間隔を異ならせる場合、制御回路52は、計測部54による計測情報に不図示の計時機能により得た計測時刻を関連付けて計測記憶部53に記憶する。そしてRF部56の動作時に、計測記憶部53からまとめて計測情報を読み出して応力監視装置2に送信する。
【0055】
また、計測部54の加速度計測手段やジャイロセンシング手段を常時動作させ、加速度計測手段やジャイロセンシング手段が所定値以上の大きな変化を捉えた際に、応力情報の計測を行うように動作タイミングを設定してもよい。
【0056】
次に、
図5に示すフローチャートを参照して、本実施形態に係る応力監視システム1による情報送信処理について説明する。ここで構造体は、
図6に示す二本の柱100a、100bと梁110とを有するラーメン構造の構造体を例に説明する。また制御回路52は、各部を常時動作させているものとする。
【0057】
構造体の柱100a、100bは、地面に埋設固定され、アンカーボルト様の二本のボルト型センサ40a、40bにより柱100a、100bを垂直に固定するための柱受け金具(不図示)が固定されている。また、梁110は、柱100a、100b間に配され、二本のボルト型センサ40c、40dによって、柱100a、100bに固定される。
【0058】
即ち、ボルト型センサ40aは、軸方向を鉛直向きに配設されて柱100aの地面への固定に用いられ、ボルト型センサ40bは、軸方向を鉛直向きに配設されて柱100bの地面への固定に用いられ、ボルト型センサ40cは、軸方向を水平向きで柱100aと梁110との固定に用いられ、ボルト型センサ40dは、軸方向を水平向きで柱100bと梁110との固定に用いられる。
【0059】
また、応力監視装置2は常時監視を行っており、構造体に所定の荷重が作用し、ボルト型センサ40a〜40dの各制御回路52は、計測部54による計測情報の取得及びRF部56によるセンサIDと計測情報の応力監視装置2に送信を行う。
【0060】
応力監視装置2のCPU10は、通信部22を介して各ボルト型センサ40a〜40dからセンサIDと計測情報を受信する(ステップS1)。CPU10は、センサIDによって設計データ格納部36を参照し、設計データを読み出す。即ち、受信したセンサIDと同一のセンサIDのボルト情報を含む設計データを設計データ格納部36から読み出す。そしてCPU10は、設計データに、受信した計測情報(応力情報)を紐付けして紐付け応力情報を作成する。
【0061】
図7は、紐付け応力情報を構成するデータの一部を示す図であり、紐付け応力情報には、ボルト型センサ40a〜40dの各センサIDと、計測情報としての応力と、設計データ(配設位置情報、配設姿勢情報、構造体ID等)とが互いに紐付けされることで構成される。なお、図示していないが、設計データに含まれる他の情報(構造体情報、部材情報等)についても紐付け応力情報を構成する情報の一部である。紐付け応力情報は、記憶部26に記憶される。
【0062】
図7に示すように、計測情報に基づく各応力は、センサID(001)のボルト型センサ40aに紐付けられた応力値が577N/mm
2、センサID(002)のボルト型センサ40bに紐付けられた応力値が194N/mm
2、センサID(003)のボルト型センサ40cに紐付けられた応力値が638N/mm
2、センサID(004)のボルト型センサ40dに紐付けられた応力値が671N/mm
2であった。
【0063】
CPU10は、紐付け応力情報の内、設計データ、各ボルト型センサ40a〜40dの応力値を用いて、解析部24による逆解析処理を行う(ステップS2)。この逆解析処理では、構造体に作用する荷重条件(荷重の大きさ、荷重が作用した位置及び方向等)を特定する。即ち、設計データにより決まる構造体において各ボルト型センサ40a〜40dに上記応力値が作用した場合、当該構造体に作用し得る荷重の荷重条件を逆解析で特定する。逆解析処理の手法は、特に限定されるものではなく、周知の逆解析手法から適宜設定される。
【0064】
CPU10は、解析部24による逆解析により特定した荷重条件を記憶部26に記憶する。ここで特定された荷重条件は、
図8に示す荷重の位置が柱100aの上端位置で、荷重の向きが柱100a側から梁110側に向かって略水平向きで、更に荷重の大きさが100kNであったものとする。
【0065】
次に、CPU10は、順解析としてのFEM解析における解析条件を設定する(ステップS3)。具体的には、荷重条件と設計データ(部材情報、構造体情報、ボルト情報)とを解析条件とする。CPU10は、解析部24によるFEM解析を実行し解析応力分布情報を作成する(ステップS4)。即ち、解析部24は、設計データにより再現し得る実際の構造体と略同等のFEM解析モデルに荷重条件に従う荷重を入力し、構造体全体の応力分布の解析結果としての解析応力分布情報を出力する。
【0066】
CPU10は、解析応力分布情報、構造体ID、センサID、計測情報、荷重条件等を対応付けて教師データとして記憶部26に記憶することができる。なお、教師データは、上記構成に限定されるものではなく、例えば解析応力分布情報、建造物ID、計測情報から成る構成や解析応力分布情報、センサID、計測情報、荷重条件から成る構成等、適宜設定し得るものである。
【0067】
また、CPU10は、ボルト型センサ40a〜40dの応力値、設計データをニューラルネットワークモデルに入力し、その出力結果から構造体全体にかかる仮想応力分布情報の作成を行う(ステップS5)。具体的には、CPU10は、ステップS1の後で読み出した設計データを用いる。CPU10は、学習記憶部30に記憶されているニューラルネットワークモデルに計測情報と設計データを入力し、出力結果を得る。
【0068】
このとき得られる出力結果は、ニューラルネットワークモデルに従う計算結果であり、分布情報作成部32は、出力結果から仮想応力分布情報の作成を行う。なおCPU10は、上記ステップS5の仮想応力分布情報の作成処理を、ステップS2〜S4で示す解析応力分布情報の作成処理と並行して行ってもよい。
【0069】
次に、CPU10は、解析応力分布情報と仮想応力分布情報とを対比し(ステップS6)、互いの応力分布の一致度合いが閾値(例えば、七割)以上であるか否かを判定する(ステップS7)。応力分布の一致度合いの判定は、構造体全体の応力分布を比較することにより行ってもよいが、処理負担を減らすために構造体における複数の部分(部材)を指定し、指定した各部分での応力分布の比較により行ってもよい。なお、比較対象となる部分は、構造体において荷重を受け持って構造体の形状維持に重要な箇所、応力により変化(破壊や変形等)し易い箇所、応力が作用し易い箇所等が挙げられる。
【0070】
CPU10は、応力分布の一致度合いが閾値未満の場合(ステップS7、No)、機械学習を実行する(ステップS8)。即ち、記憶部26に記憶されている教師データを与えた上で、機械学習部28は、仮想応力分布情報の応力分布が、解析応力分布情報の応力分布に一致するように、ニューラルネットワークモデルの重みパラメータを学習する。
CPU10は、機械学習部28による処理結果に応じて学習記憶部30に記憶されている重みパラメータを更新する。
【0071】
また、CPU10は、通信部22によってネットワーク6を介し、紐付け応力情報をユーザ端末4に送信し(ステップS9)、情報送信処理を終了する。紐付け応力情報を受信したユーザ端末4は、
図9に示すように、構造体の全体図と、全体図内に示されるボルト型センサ40a〜40dの位置及び姿勢、各ボルト型センサ40a〜40dにおける計測結果としての応力値からなる計測結果画像を表示する。なお計測結果画像に応力値を表示させるが、これに限定されるものではなく歪み量や変形量等の計測情報を表示させてもよい。
【0072】
CPU10は、応力分布の一致度合いが閾値以上の場合(ステップS7、Yes)、通信部22によってネットワーク6を介し、ユーザ端末4に仮想応力分布情報を高尤応力分布情報として送信し(ステップS10)、情報送信処理を終了する。なお、CPU10は、応力分布の一致度合いが閾値以上の時も、機械学習に係る重みパラメータの更新を実行する。これにより更に応力分布の一致度合いが向上し、高尤応力分布情報の中でも、より正確度が高い仮想応力分布情報(最尤応力分布情報)の作成が可能となる。
【0073】
高尤応力分布情報を受信したユーザ端末4は、高尤応力分布情報に基いて作成される応力分布画像を表示する。応力分布画像には、
図10に示すように、荷重により弾性変形した構造体と、該構造体に重畳表示される応力分布とが示される。応力分布は、色彩、色の濃淡等を用いた断続的又は連続的なグラデーションにより示され、グラデーションの色が薄いほど応力が小さく、色が濃いほど応力が大きいことを示すことができる。
従って、
図10に示すように、柱100a、100bが右側に撓んだ構造体と、該構造体の柱100a、100bにおける撓んでいる箇所や、計測情報の応力値が高いボルト型センサ40c、40d(
図8参照)の周辺はグラデーションの色を濃く表示し得、一方で荷重条件の荷重が作用した位置から離れ且つ撓んでいる箇所から離れた柱100a、100bの地面に近い箇所等はグラデーションの色を薄く表示し得、視覚的、直感的に理解し易く応力分布の様子を表示することが可能となる。
【0074】
なお、応力分布画像の表示内容は、上記に限定されるものではなく、構造体中のボルト型センサ40a〜40dの位置や、ボルト型センサ40a〜40d各々の計測情報による応力値や、荷重条件に基づく荷重の位置、荷重の向き、荷重の大きさ等、表示内容は適宜設定し得る。
【0075】
従って、ユーザは、応力分布画像を通して直感的に荷重が作用した構造体の様子、応力分布の様子を確認することができる。またユーザは、監視対象の構造体から離れた場所にいても、当該構造体の様子を確認することができる。
【0076】
以上、説明したように、本発明の応力監視システム1によれば、逆解析により取得した荷重条件によって応力分布情報を作成し、応力分布情報を送信することでユーザ端末4に応力分布画像を表示させるので、ユーザは構造体から離れた場所からでも、応力分布画像から応力分布や建造物(構造体)の変形を確認することができる。またユーザは、応力分布画像から構造体の状態や、応力がどこに集中しているか等を把握でき、降伏の有無、疲労度合、耐久限度等の健全性の見極めを行うことができる。また、構造体を視認できない位置であっても微細な亀裂等の異常が発生し得る箇所を特定することができる。
【0077】
また、ユーザ端末4に送信する仮想応力分布情報は、順解析としてのFEM解析による解析応力分布情報と略同一の応力分布を示すことから、ユーザに対して正確度が高い高尤応力分布、より好ましくは高尤度の応力分布情報の中でも最も尤度の高い最尤応力分布情報を示すことができる。
【0078】
また、仮想応力分布情報の応力分布が、解析応力分布情報の応力分布と異なるものであっても、機械学習を行いニューラルネットワークモデルの重みパラメータを更新し、仮想応力分布情報の応力分布を解析応力分布情報の応力分布に更に高度に一致するように徐々に近づけていくので、結果仮想応力分布情報による応力分布の正確度を向上させていくことができる。
【0079】
ユーザ端末4に仮想応力分布情報を送信するに当っては、例えば、解析応力分布情報と完全に同一で最も尤もらしい最尤応力分布として算出される結果を出力することが好ましい。従って機械学習は最尤応力分布が示される仮想応力分布情報が作成されるようになるまで継続して実行されることが望ましい。
【0080】
また、仮想応力分布情報と解析応力分布情報との一致度合いが閾値未満であっても、紐付け応力情報を送信することができるので、ユーザ端末にはボルト型センサ(接合部材)にかかる応力が表示されるため、ユーザは構造体中の各ボルト型センサに作用する応力の状態を把握し、構造体の応力が集中している箇所の推定等、健全性の見極めを行うことも可能となる。
【0081】
また、応力監視装置は、逆解析、順解析としてのFEM解析、仮想応力分布情報作成処理、その他ディープラーニングによる深層学習(機械学習)に基づく人工知能アルゴリズムにより、構造体に作用する荷重情報を含む荷重条件の算出、自動教師データ作成、ニューラルネットワークモデルの重みパラメータ更新、高尤応力分布又は最尤応力分布の出力等を自動で行う。即ち、人工知能のプログラムが組み込まれた応力監視装置が自律制御によって各種処理を行うので、管理者等の手動による制御が不要となる。また種々の構造体に関する機械学習を行った結果に基づいて機械学習の最適化が可能となれば、構造体毎の高尤応力分布の結果を出力するまでに必要な教師データ数や、機械学習に掛かる時間等を著しく低減することが可能となる。
【0082】
なお、上述した実施形態において、教師データ蓄積のため、計測情報を取得する毎に解析応力分布情報の作成を行ったが、上述した最尤応力分布に相当する仮想応力分布情報(最尤応力分布情報)を作成したときは、その構造体については解析応力分布情報の作成等を実行せず、仮想応力分布情報をユーザ端末に送信するようにしてもよい。即ち、最尤応力分布情報の作成が略確実となったとき、教師データの蓄積が十分であるとみなし、解析部24による処理及び解析応力分布情報と仮想応力分布情報との対比処理を実行せず、仮想応力分布情報をユーザ端末に送信するようにしてもよい。このようにすれば、応力監視装置2の処理負担を軽減することができる。
【0083】
また、ニューラルネットワークモデルによって作成される仮想応力分布情報が高尤応力分布情報であることが略確実なときは、その構造体についての解析応力分布情報と仮想応力分布情報との対比処理を省略し、仮想応力分布情報を高尤応力分布情報としてユーザ端末に送信してもよい。これによっても応力監視装置2の処理負担を軽減することができる。但し、教師データの蓄積のため、解析応力分布情報即ち教師データの作成処理及び機械学習部による機械学習処理の実行は継続する。
【0084】
このように解析部24による処理や対比処理等の一部処理を省略すれば、計測情報の取得から仮想応力分布情報の送信までに必要な処理時間が大幅に短縮され、結果ユーザ端末に最新の応力分布画像を即座に表示させることができ、構造体に荷重が作用したときに即座に安全性の確認等を行うことができて利便性が向上する。
【0085】
また、上述した実施形態において、RF部56がアンテナを介してセンサIDと計測情報を応力監視装置2に送信するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、制御回路52と応力監視装置2とを通信可能に有線接続しセンサIDと計測情報を送信するようにしてもよい。また応力監視装置2に中継装置を接続し、中継装置がRF部56からのセンサIDと応力値を中継し、応力監視装置2に送信してもよい。
【0086】
また、構造体の二以上の部材を互いに接合する接合部材として雄ねじ状のボルト型センサを用いた場合を例に説明したが、接合部材の形状は、雄ねじ状に限定されるものではなく、雌ねじ状、ワッシャ状、ソケット状、筒状、プレート状、L字状、T字状等の、二つ以上の部材の接合に用いるための接合部材であれば、何れの形態を成していてもよい。
【0087】
また、構造体に配設したボルト型センサの歪みから応力を計測する場合を例に説明したが、勿論これに限定されるものではなく、構造体を構成する構造部材自体に歪み計測センサを形成し、部材の歪みに基づく応力を直接計測してもよい。
【0088】
また、歪み計測センサを設ける構造部材は、二つ以上の構造部材間に亘って相互に接合される箇所に配設されるものであることが好ましい。
図9、
図10を参照すると、被接合部材としての柱100a、100bと梁110との間に跨って配設されるボルト型センサ40c、40dには、応力が集中することがわかる。これは構造体の内、係合し合う構造部材同士を固定する接合部材には、応力が大きく作用し得るためである。従って、構造体の応力監視において、構造部材同士を接合するための構造部材(接合部材)の応力を計測することが好ましいといえる。
【0089】
また、上述した実施形態においては、単に荷重が作用した場合を例に説明したが、計測部54に温度計測手段を設け、温度計測手段により計測したボルト型センサの温度から歪み量の温度補正を行ったり、熱荷重の特定を行ったりすることも可能である。そのため、周囲の温度上昇や温度低下、構造体の内部と外部との温度差による熱荷重を考慮した解析条件を設定し得る。
【0090】
また、計測部54は、加速度計測手段又はジャイロセンシング手段によって地震による構造体の振動情報を計測するようにしてもよい。このようにすれば構造体がどの方角から揺れが伝わったかを特定可能となり、また地震等による地盤沈下で構造体全体が傾いた場合にその傾きが僅かであっても確実に傾きを検知することができる。
【0091】
また、上述した実施形態において、応力監視装置が作成した仮想応力分布情報又は紐付け応力情報を単にユーザ端末に送信する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、応力監視装置は、ユーザ端末からの要求を受付けたときに、仮想応力分布情報又は紐付け応力情報を出力してもよい。
また、応力監視装置から出力される仮想応力分布情報又は紐付け応力情報をユーザ端末側で受取り可能であれば、応力監視装置が仮想応力分布情報又は紐付け応力情報の作成、記憶を行い、ユーザ端末がネットワークを介して応力監視装置にアクセスして所定の構造体の最新の仮想応力分布情報又は紐付け応力情報をダウンロード(ストリーミングであってもよい。)する構成としてもよい。
【0092】
また、紐付け応力情報や仮想応力分布情報(高尤応力分布情報、最尤応力分布情報)は、ユーザ端末に応力分布画像又は計測結果画像を表示させるための情報としてもよく、特にそのデータ形式を限定するものではない。即ち、紐付け応力情報及び仮想応力分布情報は、画像データとして生成されたものであってもよい。
【0093】
なお、応力監視装置が出力する紐付け応力情報及び仮想応力分布情報等の情報は、テキストデータ、表データ、グラフ情報の他、静止画像情報、動画像情報等、何れを含んだものであってもよい。また、応力分布の時間による変化等の理解を容易にするためには、視覚情報とすること、特に動画像情報とすることが好ましい。動画像の作成は、例えば、静止画像としての応力分布画像を複数枚(例えば、動画として1分間に相当する枚数)作成した後、当該複数枚の応力分布画像をユーザ端末に表示させる等、適宜設定し得る。
また、計測情報の取得から仮想応力分布情報の送信までの処理時間を大幅に短縮できれば、実時間の構造体に作用している応力分布の変化を動画像で表示させることが容易となる。具体的には、ストリーミング配信によって応力分布画像をユーザ端末に表示させてもよく、このようにすれば、実時間の経過と共に変化し得る応力分布をユーザ端末に表示させることもできる。
【0094】
また、上述した実施形態においてボルト型センサを用いる構造体は、特に限定されるものではなく、種々の物(乗物、建造物等)や機器(家電機器等)、機械(農業機械、建設機械、工作機械等)も含まれ得る。例えば、乗物としては有人移動若しくは無人移動を含め、陸用として、多輪乗物と無輪乗物を含む。四輪以上の多輪乗物には、トラック、バス、消防車、はしご車、ポンプ車、トレーラー、タンクローリー、ミキサー車、クレーン車、路面清掃車、バキュームカー、牽引車、除雪車、電車、モノレール、新幹線、路面電車、機関車、ケーブルカー、装甲車、戦車等を含み、四輪乗物には、自動車、パトカー、救急車、キャンピングカー等を含み、三輪乗物には三輪車、自動三輪車を含み、二輪乗物には、オートバイ、スクーター、自転車、電動アシスト自転車、車椅子、ベビーカー、人力車等を含み、一輪乗物には、一輪車を含む。無輪乗物は、リニアモーターカー、ホバークラフト、エレベータ、エスカレーター、リフト、ゴンドラ、ロープウェイ、観覧車、メリーゴーランド、ブランコ、シーソー等を含む。その他の車輪付乗物には、ホイール・ローダ、タイヤ・ローラ、ロード・ローラ、グレーダ、アスファルト・フィニッシャ、モータ・スイーパ、ダンプカー、ホイール・クレーン、フォークリフト、ストラドル・キャリヤ、ターレット式構内運搬車、農耕トラクタ、農業用薬剤散布車、刈取脱穀作業車、田植機、コンバイン、ショベルカー、バックホー、ローディングショベル、スノーモービル、ローラースケート、ローラーシューズ、スケートボード、キックボード、スキー、スノーボード、スケートシューズ等を含む。空用乗物又は移動体は、有人飛行若しくは無人飛行を問わず、気球、飛行船等の軽飛行機、飛行機、回転翼飛行機、グライダー、ヘリコプター、ドローン、ロケット、垂直離着陸機等の重飛行機を含む。海用乗物は、船ボート、ヨット、船舶客船、客船、貨客船、貨物船、タンカー、漁船、軍艦、潜水艦等を含む。また、乗物に用いられる部品としては、モノコック、ボディシェル、ボンネット、ドア、テールゲート、フロントフェンダー、ラジエーターグリル、バンパー、メーター、ヒーター、ウインドシールドグラス、ドアウインドグラス、エンジン、ラジエーター、マフラー、ブレーキペダル、アクセルペダル、クラッチペダル、シート、エグゾーストパイプ、テールランプ、ヘッドランプ、ホイール、タイヤ、線路、プロペラ、タンク、シリンダ、ピストン、アクチュエータ、ダンパ、リニアガイド、ベアリング、シャーシ、シャフト等を含む。
【0095】
建造物としては、建物と土木建造物(工作物)を含む。建物は住居、商業施設、公共施設、文化施設、教育施設、医療施設、娯楽施設、交通施設、工業施設、宗教施設、軍事施設、プラント施設を含む。建物は更に、戸建住宅、連棟住宅(テラスハウス)、集合住宅、共同住宅、シェアハウス、オフィスビル、教会、修道院、寺院、神社、城、宮殿、御所、庭園、公園、病院、診療所、駅、駅舎、空港、官公庁宿舎、官公庁舎、警察署、消防署、交番、競技場、球場、運動場、プール、学校、体育館、劇場、映画館、演舞場、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、ホテル、旅館、工場、倉庫、物流倉庫、ロジスティクスセンター、下宿、寄宿舎、児童福祉施設、助産所、身体障害者更生支援施設、精神障害者社会復帰施設、保護施設、婦人保護施設、知的障害者援護施設、老人福祉施設、有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、デイサービスセンター、母子保健施設、映画館、博物館、美術館、図書館、公衆便所、スポーツ練習場、ボウリング場、スキー場、百貨店、スーパーマーケット、雑貨屋、展示場、キャバレー、カフェ、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合室、料理店、飲食店、店舗、自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレビスタジオ等を含む。
【0096】
土木建造物(工作物)は、橋梁、金属構造物、鉄道、道路、港湾、海岸、河川、発電施設や発電設備、ダム、トンネル、土地改良建造物、防災建造物、農業土木建造物を含む。橋梁は、桁橋、斜張橋、トラス橋、アーチ橋、ラーメン橋、吊橋を含み、金属構造物は、塔状構造物、貯蔵用構造物、水門・閘門、水圧鉄管、合成構造物、上水道、下水道、ガスや石油等の配送用途の物を含む各種のパイプラインを含み、鉄道は、線路、軌道構造、路盤、鉄道停車場、信号・保安・通信設備、高速鉄道、特殊鉄道、索道、市街鉄道を含み、道路は、路床・路盤、舗装、アスファルト系舗装、コンクリート系舗装、砂利道、防じん処理道等を含み、港湾は、泊地、防波堤、護岸、突堤、埠頭、岸壁、桟橋、上屋、荷役・陸上設備、船車連絡設備、漁港、航路標識等を含み、海岸は海岸構造物を含み、河川は堤防・護岸、砂防、河川構造物、運河を含み、発電施設や設備は取水設備、貯水池、調整池、原子力発電所、火力発電所、水力発電所、潮力発電、地熱発電、波力発電、風力発電を含み、ダムは重力ダム、フィルタイプダム、アーチダムを含み、トンネルはトンネル構造物を含み、土地改良構造物は、土地造成、干拓、浚渫、かんがい、排水、開墾、客土を含む。
【0097】
また、建造物で用いられる部材は、自然石、人造石、砕石を含む石類、木材、プレカット材、無垢材、機械等級製材、目視等級製材、無等級製材、甲種構造材、乙種構造材、集成材、エンジニアリングウッド、構造用集成材、合板、木質製品、樹脂製品、金属製品、鋼材、鋼板、鉄骨、有機系材料、塗装材料、防水材料、セメントペースト、のろ、モルタル、コンクリート、タイル、磁器質タイル、せっ器質タイル、陶器質タイル、畳、軽量気泡コンクリート、コンパネ、耐水合板、石膏ボード、耐火ボード、珪酸カルシウム板、断熱材、グラスウール、ロックウール、硬質ウレタンフォーム、スタイロフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム、セルロースファイバー、プレストレストコンクリート、プレキャストコンクリート、水中コンクリート、ポリマーコンクリート、レジンコンクリート、マスコンクリート、膨張コンクリート、低収縮コンクリート、無収縮コンクリートを含む。
【0098】
建造物の部位は、構造材、締結部材、仕上げ材、下地材、内装材、外装材、面材、保温材、基礎、土台、壁、柱(通柱、管柱、隅柱、添え柱、大黒柱)、梁(小屋梁、火打梁、丸太梁、登り梁)、屋根、天井、床、階段、束、小屋束、窓、窓ガラス、窓枠、ドア、ドア枠、扉、棚、巾木、框(上り框)、化粧柱、床の間、床框、床板、床柱、欄間、鴨居、付鴨居、胴差、火打梁、筋交い、貫、間柱、束、軒、軒天井、野縁、ひさし、とい、フローリング、カーペット、クッションフロア、クロス、壁紙、障子、障子紙、サイディング、エキスパンションジョイント、瓦、セメント瓦、スレート瓦、コロニアル、波板鋼板、手摺を含む。
【0099】
建造物の各部材が実現する構造は、石積、レンガ造、木造、木質構造、土蔵構造、鉄骨造(S造)、軽量鉄骨造(LGS)、重量鉄骨造、無筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、コンクリート充填鋼管構造、コンクリートブロック造(CB造)、補強コンクリートブロック造、鋼・コンクリート合成構造、プレストレストコンクリート構造(PC)、膜構造、壁構造、架構構造、組積造、空気膜構造(一重膜)、空気膜構造(二重膜)、空気膜構造(エアービーム)、純ラーメン構造、有壁ラーメン、筋違付きラーメン、ブレース構造、コア構造、チューブ構造、トラス構造、ボールト構造、シェル構造、ケーブル(吊り)構造、ピン構造、スペースフレーム、アーチ、ドームシェル、耐震構造、免震構造、制振構造、剛構造、柔構造、断震構造を含む。
【0100】
家電機器は、テレビ、プロジェクター等の映像機器(表示装置)、ビデオテープレコーダー、DVDレコーダー、Blue-rayDiscレコーダー、HDDレコーダー、DVDプレイヤー、Blue-rayDiscプレイヤー等の映像機器(記録・再生装置)、ビデオカメラ、デジタルカメラ等の映像機器(撮影装置)、ワイヤーレコーダー、テープレコーダー、ミニディスクレコーダー、ラジカセ、ICレコーダー等の音響機器(録音・再生装置)、アナログプレーヤー、CDプレイヤー、アンプ、ラジオ等の音響機器(再生装置)、スピーカー、ヘッドホン等の音響機器(再現装置)、白物家電、情報家電等を含む。
【0101】
農業機械は、トラクター等の汎用的な農業機械、プラウ(すき)、ハロー、ローラー、ロータリー耕耘機、代かき機、鎮圧機、均平機、うね立機、みぞ切り機等の耕耘・整地に用いる農業機械、抜根機、心土破砕機、みぞ掘り機、モールドレイナ(暗渠せん孔機)、穴掘機、バックホー等の耕土・造成・改良に用いる農業機械、マニュアスプレッダー(たい肥散布機)、スラリースプレッダー、ライムソーワー(石灰散布機)、プランタ(点播機)、施肥播種機等の施肥に用いる機械、田植機、野菜移植機、トランスプランタ(移植機)、散播機等の播種・移植に用いる農業機械、噴霧機、動力噴霧機、ミスト機、散粉機、動力散粉機、散粒機、動力散粒機、煙霧機、航空散布機・ヘリコプター(航空防除)、土壌消毒機、刈払機、管理機、スピードスプレーヤー、凍霜害防除機、中耕除草機、シンナ(間引機)、動力ポンプ、スプリンクラー(潅水装置)等の防除・管理に用いる農業機械、バインダー、コンバイン、野菜収穫機、モーアー、ヘイベーラー、ロールベーラー、ウィンドローワ、脱穀機、ビーンカッター(豆類収穫機)、とうもろこし収穫機、コーンシェラ、ばれいしょ収穫機、ビート収穫機、甘藷堀取り機、甘藷つる切り機、さとうきび収穫機、らっかせい収穫機、亜麻収穫機、たまねぎ堀取り機、栗用脱穀機、らっかせい脱穀機、摘採機、条桑刈取機、特用作物堀取り機、振動収穫機、ホップ摘花機等の収穫に用いる農業機械、乾燥機、籾すり機、選別機、精米機、牧草乾燥機、鶏糞乾燥機、特用作物乾燥機、精穀機、ディスクモアー、モアーコンディショナー、テッダー、レーキ、フォレージハーベスター、ヘーベーラ、ヘープレス、ロードワゴン、ヘーローダ、ベールローダー、飼料さい断機、フォレージブローワ、サイレージアンローダー、飼料粉砕機、フィードチョッパー、ルートカッター、飼料配合機、飼料成形機等の収穫物の乾燥と調製に用いる農業機械、自動給餌機、搾乳機械、牛乳冷却機、給水機、温水機、尿散布機、畜舎清掃機、固液分離機、糞尿処理装置、保温機、エッグリフター、洗卵選別機、畜舎消毒機等の家畜の管理に用いる農業機械、稚蚕共同飼育濕温調整装置、動力ざ桑機、稚蚕用自動飼育装置、壮蚕用自動飼育装置、条ばらい機、収けん機、まゆ毛羽取り機等の育蚕に用いる農業機械、マルチャ、磔耕栽培装置、ハウス暖房機、蔬菜洗浄機、深層施肥機、動力剪定機、ツリータワー、果樹園用ロータリーカッター、選果機、樹園地内運搬用機、管理機等の蔬菜果樹園芸(畑作)に用いる農業機械、蒸し機、粗じゅう機、じゅうねん機、中じゅう機、精じゅう機等の製茶に用いる農業機械、剪枝機、ラミー剥皮機、い草選別機、チューリップ選別機、らっかせい脱皮機等の花卉特用作物に用いる農業機械、刈払機、チェーンソー、集材機等の林業に用いる農業機械、トレーラー、穀物用搬送機、フロントローダー等の運搬搬送に用いる農業機械等を含む。
【0102】
一般建設機械は、ブルドーザ、リッパドーザ(リッパ付ブルドーザ)、スクレイプドーザ、被けん引式スクレイパー、モータスクレイパー等のブルドーザ・スクレイパー、油圧ショベル(ユンボ、バックホー、パワーショベル)、ドラグライン、クラムシェル、泥上掘削機、トラクタショベル、ホイールローダー、トレンチャ、バケットホイールエクスカベーター等の掘削機・積み込み機、トラック、ダンプトラック、クレーン装置付トラック、トレーラー、機関車、ズリ鋼車、シャトルカー、不整地運搬車(特装運搬車)、ショベルローダー、フォークローダー、総輪駆動車、ベルトコンベア、バケットホイールエクスカベーター等の運搬機械、クローラークレーン、トラッククレーン、ホイールクレーン(オールテレーンクレーン、ラフテレーンクレーン)、タワークレーン、ジブクレーン、鉄道クレーン、浮きクレーン、パイプレイヤ、建設用リフト、エレベータ、門型クレーン、フォークリフト、ストラドルキャリア、コンテナキャリア、トップリフタ、クランプリフト、高所作業車(リフト車)、コンクリート床仕上げロボット、玉掛け外しロボット、アンローダー等のクレーン・荷役機械、杭打ち機、ディーゼルハンマ、油圧ハンマ、バイブロハンマ、ウォータージェット(ウォータージェットカッタ)、アースオーガ、アースオーガ中掘り機、モンケン、油圧式鋼管圧入引き抜き機、サンドパイル打ち機、粉体噴射攪拌機、オールケーシング掘削機、穴掘建柱車、アースドリル、リバースサーキュレーションドリル、地下連続壁施工機、泥排水処理設備(アルカリ水中和装置、汚泥吸排車(バキュームカー)含む)、グラウトポンプ、グラウトミキサ(モルタルプラント含む)、ニューマチックケーソン施工機器、深層混合処理機、高圧噴射攪拌用地盤改良機、薬液注入施工機器、深礎工用機械(ロータリー吹き付け機、水中切断機等)、杭抜き機等の基礎工事用機械、ボーリングマシン、ダウンザホールハンマ、さく岩機(ハンドハンマ、レッグハンマ、ドリフタ、ピックハンマ、ベビーハンマ、リベッティングハンマ、チッピングハンマ、コーキングハンマ、スケーリングハンマ、サンドランマ、コンクリートブレーカ、大型ブレーカ等)、ドリルジャンボ、クローラドリル、トンネル掘削機・切削機、グラブホッパ、グラブリフタ、トンネル施工機器、シールド工事用機器等のせん孔機械・トンネル工事用機械、モータグレーダ、スタビライザ、ミキシングプラント、超軟弱地盤用混合機等のモータグレーダ・路盤用機械、ロードローラー(マカダムローラ、タンデムローラ)、タイヤローラ、タンピングローラ、振動ローラ、タンパ、ランマ、振動コンパクタ等の締固め機械、コンクリートプラント、トラックミキサ(アジテータトラック)、コンクリートポンプ車、コンクリートポンプ、コンクリートプレーサ、スクリュークリート、アジテータカー、コンクリート圧砕機等のコンクリート機械、アスファルトプラント、リサイクルプラント、アスファルトフィニッシャ、アスファルトケットル、ディストリビュータ、チップスプレッダ、アスファルトクッカ、コンクリートスプレッダ、コンクリートフィニッシャ、コンクリートレベラ(コンクリート縦仕上げ機)、コンクリート簡易仕上げ機、コンクリート横取り機、振動目地切り機、コンクリートカッタ、インナーバイブレータ、アスファルトエンジンスプレーヤ、アスファルトカーバ、ジョイントシーラ、プレーサスプレッタ、スリップフォームベーパ、キュアリングマシン等の舗装機械、路面ヒータ、ジョイントクリーナ、路面清掃車、ラインマーカ、溶解槽、区画線消去機、路面切削機、路上表層再生機、ガードレール清掃車、路面安全溝切削機(グルービング機)、散水車、ガードレール支柱打ち込み機、区画線施工機、床版上面増厚機、マイクロサーフェースマシン、排水性舗装機能回復機等の道路維持用機械、空気圧縮機(コンプレッサ)、送風機(ファン)等の空気圧縮機・送風機、小型うず巻きポンプ、小型多段遠心ポンプ(タービンポンプ)、深井戸用水中モータポンプ、真空ポンプ、工事用水中モータポンプ(潜水ポンプ)、水中サンドポンプ(攪拌装置付工事用水中ポンプ)、スラリーポンプ等のポンプ、変圧器(トランス)、高圧気中開閉器、キュービクル式高圧受変電設備、発動発電機等の電気機器、ウインチ、ホイスト、チェーンブロック等のウインチ、トラックスケール、計量器、コア採取器(コアボーリングマシン)、CBR試験器、平板載荷試験装置、グラウト流量・圧力測定装置、ガス検知器、騒音計、振動計測機器、沈下・傾斜測定機器、粉塵計、濁度計、自動測量装置、光波測定器等の試験測定機器、架設桁、ベント、門型クレーン、ホイスト、チェーンブロック、ギヤードトロリー、ウインチ、ジャッキ、油圧ポンプ、重量台車、送り出し装置、鉄塔、キャリア、サドル、バックステイ調整装置、ケーブル定着装置、ターンバックル、ロープハンガ、アンリーラー、送り出し装置、横取り装置、降下装置、トラベラクレーン、桁吊り装置、桁吊り門構え移動装置、ターンテーブル、移動支保、地覆高欄作業車等の鋼橋・PC橋 架設用仮設備機器、コンクリートミキサ、骨材計量器、コンクリートバケット、コンクリートバイブレータ、コンクリート破砕器、ジョークラッシャ、インパクトクラッシャ、溶接機、溶接棒乾燥機、油圧ジャッキ、モンケン、軌条、ターンテーブル、モルタルコンクリート吹付機、コンクリート吹付機、急結剤供給装置、種子吹付機、ベントナイトミキサ、水槽、刈払機、芝刈機、チェーンソー、フロート、工事用信号機、工事用高圧洗浄機、薬剤散布機、集草機、ジェットヒータ、パッカー車、自走式破砕機、自走式土質改良機、自走式木材破砕機等のその他陸上用一般建設機械を含む。
【0103】
また、本発明は、特殊建設機械への適用も可能であり、特殊建設機械としては、主作業船、付属作業船、作業船用付属設備、港湾工事用付属機器等の港湾・河川・海岸工事用機械、コンクリート生産設備、コンクリート運搬設備、コンクリート冷却設備、骨材生産設備、セメント輸送・貯蔵設備、給水設備、公害対策設備、その他ダム施工機械等のダム工事用機械、雪上車、除雪装置、除雪用アタッチメント、散布車等の除雪機械、推進工事用機械等の下水道工事用機械、地雷除去機械等を含む。
【0104】
工作機械は、汎用又はNCのタレット旋盤等の旋盤、フライス、エンドミル等を用いるフライス盤、バイト等を用いる形削り盤、バイト等を用いる平削り盤、ドリル、リーマー、タップ等を用いるボール盤、バイト等を用いる中ぐり盤、ワイヤーカット放電加工機、形彫放電加工機等の放電加工機、ブローチ等を用いるブローチ盤、ボブ盤(ボブ)、歯車形削り盤(ラックカッタ、ピニオンカッタ)等の歯切り盤、砥石等を用いる研削盤、コンターマシン、帯鋸盤、マシニングセンタ、ウォータージェット加工機、レーザー加工機、電子ビーム加工機、ホーニング加工機、電解加工機、バリ取り・面取り機、電解バリ取り機、裁断機、転造機、ナットフォーマやパーツフォーマ等のフォーミング装置等を含む。また、これらの工作機械に含まれる、ドリル、エンドミル、バイト、チップ、タップ、鋸歯状ツール類、ダイス、金型等の各種加工工具、工具ホルダも含む。
【0105】
その他、構造体としては、躯体の構造材、建築物の構造材、外装材、内装材、風力発電のプロペラ、ソーラーパネル、シリンダ、ピストン、アクチュエータ、ダンパ、リニアガイド、ベアリング、エンジンブロック、シャーシ、シャフト、ロッド、L字金具、カーテン、ロールカーテン、ベランダ/バルコニ/出窓等の手摺/格子/サッシ、廊下や通路や階段やベッドサイドやトイレ内壁等の手摺、椅子、机、書棚、食器棚、ベッド、浴槽、便座、便器等を含む。
【0106】
また、上記実施形態においては、応力を監視する場合を例に説明したが、対象に係る計測情報を取得する情報取得部と、上記計測情報に逆解析を行って原因ファクタ及びそのレベルを推定する逆解析部と、上記逆解析部で推定した原因ファクタ及びそのレベルを用いて順解析を行い、順解析の結果により上記対象の上記ファクタ及びそのレベルに係る状態を取得する順解析部と、上記計測情報を用いて上記対象の仮想状態を算出する算出部と、上記算出部によって上記仮想状態を算出するための機械学習モデルを生成し、該機械学習モデルのパラメータを管理する学習部と、上記順解析部によって取得した状態と上記仮想状態とを対比し、一致度合いを判定する判定部と、を具え、上記学習部が、上記判定部による一致度合いが向上するように、上記対象の状態を教師データとして機械学習を行って上記パラメータの更新を行うものであれば、必ずしも応力を監視するものでなくてもよい。例えば温度分布、熱伝導、振動の伝播の状態等を監視することもできる。
また監視乃至解析対象は、上述した構造体以外に、人体、表情、感情、健康状態、気象、地形(断層等)、天体、画像、音声等としてもよい。