(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
混合物は、30%vol.と60%vol.間の硫黄を含浸させた活性炭触媒、30%vol.と60%vol.間の鉄を含浸させた活性炭触媒及び5%vol.と40%vol.間のフィラー材料を包含する、請求項1に記載された触媒。
【背景技術】
【0002】
排ガス/煙道ガスを活性炭触媒で処理することが知られている。
【0003】
このような触媒の最初の適用は、Sulfacid(登録商標)法として知られている排ガスからの二硫化硫黄除去である。この方法は、とくに化学及び冶金法で発生する排ガスからSO
2を除去すること、及びそれを工業級硫酸に変質することの二重の目的に合わせるために開発されてきた。それは、とくに硫酸を直接使用可能な用途、例えば二酸化チタンの製造や同様の硫酸を基にした方法に良好に適合する。加えて、活性炭触媒固定層(fixed activated carbon catalyst bed)は、排ガスから(HgやCdなどの)重金属を除去することができる。
【0004】
典型的な排ガス入口パラメータ:
SO
2含有量 1vol.%まで
Hg含有量 150μg/Nm
3 乾燥
O
2含有量 最小7vol.%
温度 50−80℃
塵含有量 <30mg/m
3STP(標準気圧、温度)(乾燥ガスの全データ)
【0005】
典型的なクリーンガス(clean gas)出口パラメータ:
SO
2含有量 ≦50mg/Nm
3 乾燥
Hg含有量 25μg/Nm
3 乾燥
【0006】
生ガスは、反応装置(reactor)内部の活性炭触媒固定層を通って流れる。SO
2は酸素と水の存在下において、湿式触媒(wet catalysis)によって硫酸に変換される。飽水(water-saturated)クリーンガスはスタック(stack)を介して大気に排出される。触媒の孔及び表面で回収された硫酸は、触媒に水を吹き付けることで間欠的に洗い流される。10から50wt.%(重量%)強度のクリーンな工業級硫酸がバッファタンクに回収される。触媒上での二酸化硫黄から硫酸への変換は、以下の反応式に従って起こる。
【0007】
SO
2+1/2 O
2+n H
2O⇒H
2SO
4・(n−1)H
2O+熱
【0008】
最初のSulfacid(登録商標)プラントは1968年に始動した:現在は数百のプラントが世界中で稼働中である。
【0009】
しかしながら、この方法は、煙道ガス中のより高濃度のSO
2に対しては低効率であることが分かった。触媒をより多く使用しても、それだけSO
2除去が向上するものでないことが分かった。
【0010】
このような触媒の第2の適用は、ガスからの重金属除去である。
【0011】
いわゆるKombisorbon(登録商標;コンビソーボン)法(Chemosphere 第37巻、9−12号、2327−2334頁、1998年、エルゼビア・サイエンス株式会社(Elsevier Science Ltd))は、排ガスから重金属、具体的には水銀及びカドミウム、ダイオキシン及びフラン、他の生態毒性のある有機成分を除去するために設計された。
【0012】
典型的な生ガスの条件(conditions):
ガス温度 90℃まで
塵 2−10mg/dscm(乾燥標準立法メートル)
水銀 10mg/dscmまで
ダイオキシン/フラン(TE(毒性等価)) 300ng/dscmまで
【0013】
クリーンガス基準(7%O
2での:新FBIs(USEPA(アメリカ合衆国環境保護庁)2011、連邦官報:40CFR(連邦規制集) パート(Part)60)のための新MACT 排出基準):
水銀 <1μg/dscm
ダイオキシン/フラン(TE(毒性等価)) <0.004ng/dscm
【0014】
Kombisorbon(登録商標)システムは、一般にコンディショナー(conditioner)と固定層吸収体(fixed-bed adsorber)を使用する。コンディショナーは、コアレッサ(収滴具;coalescer)、液滴分離機及び煙道ガスが吸収体に入る前に煙道ガスが最適なパラメーターに到達するように調節するための熱交換器を含んでいる。
【0015】
Kombisorbon(登録商標)法は、Hg
2+として知られているイオン状水銀を活性炭触媒上でHgCl
2として吸収して除去すること、HgSとして知られている炭素硫化水素(carbon mercuric sulfide)上で硫黄を形成することでHg
0として知られている水銀元素を除去すること、及び吸収によりダイオキシンとフランを除去することを可能にしている。
【0016】
典型的な用途は、下水汚泥又は有害廃棄物の焼却プラントである。最初の商業規模のKombisorbon(登録商標)ユニットは、1994年に下水汚泥焼却プラント内に設置された。その時以来、全世界で20以上のユニットが稼働している。
【0017】
しかしながら、触媒は依然として最適化可能であることが分かっている。実際、活性炭触媒が高濃度の汚染物質では効率的に働かないことが分かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、SO
2、重金属及び/又はダイオキシンとフラン除去における、高レベルの汚染物質で有効な触媒を提供することである。
【0019】
この目的は、請求項1に記載された方法で達成される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的を達成するため、本発明は、95%vol.から30%vol.の活性炭触媒と5%vol.から70%vol.までのフィラー材料(filler material)の混合物を包含する触媒を提案する。フィラー材料はプラスチック、アルミナ、セラミック材料又はその混合物(mixture)を包含する。
【0021】
驚いたことには、活性炭触媒がフィラー材料と混合しているという事実により、より高い初期濃度の汚染物質をより完全に除去可能になった。このように触媒はより高レベルでの汚染物質に有効である。
【0022】
触媒組成は、5と70%vol.間のフィラー材料が使用されていれば、より容易に再生されるということも分かっている。
【0023】
活性炭触媒は、好ましくは押出しされ、かつ0.80−130 mmの粒径(grain size)を有する。活性炭触媒は、好ましくは粒状化され、かつ0.30から4.75mmの粒径を有する。従って、活性炭触媒は粒状ではない。
【0024】
一実施形態において、活性炭触媒は、好ましくは、粒状化されかつ押出しされた触媒の混合物である。
【0025】
炭素触媒は、褐炭及び瀝青炭、果実の種、ココナツの殻、亜炭、泥炭、木材、おがくず/のこくず、石油コークス、骨屑及び製紙工場廃棄物(リグニン)、PVC、レーヨン、ビスコース、ポリアクリロニトリル又はフェノールのような合成ポリマーから製造できる。
【0026】
炭素触媒は、
物理的処理:600と900℃間の温度範囲の不活性大気中での熱分解、又は約900℃(850℃と950℃の間)の温度の酸化大気内での処理
化学的処理:酸、強塩基(strong base)又は塩類(例えば、硫酸、塩酸(chlorhydric acid)又はリン酸、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム、塩化カルシウム又は塩化亜鉛)で含浸
物理的及び化学的処理両者の組み合わせ
で活性化できる。
【0027】
活性炭触媒は、比表面積(specific surface area)(BET):400から1800m
2/g及び酸又はアルカリpHを有することができる。
【0028】
好ましくは、活性炭触媒とフィラー材料の混合物において、少なくとも5%vol,7%vol,9%vol,11%vol,13%vol,15%vol,17%vol,19%vol,21%vol,23%vol,25%vol,27%vol,29%vol,31%vol.,33%vol.,35%vol.,37%vol.,39%vol.,41%vol.,43%vol.,45%vol.,47%vol.,49%vol.,51%vol.,53%vol.,55%vol.,57%vol.,59%vol.,61%vol.,63%vol.,65%vol.,67%vol.,69%vol.又は少なくとも70%volのフィラーが用いられる。
【0029】
好ましくは、活性炭触媒とフィラー材料の混合物において、多くとも70%vol,68%vol.,66%vol.,64%vol.,62%vol.,60%vol.,58%vol.,56%vol.,54%vol.,52%vol.,50%vol.,48%vol,46%vol,44%vol,42%vol,40%vol,38%vol,36%vol,34%vol,32%vol,30%vol.,28%vol.,26%vol.,24%vol.,22%vol.,20%vol.,18%vol.,16%vol.,14%vol.,12%vol.,10%vol.,8%vol.,7%vol.又は多くとも6%vol.のフィラーが用いられる。
【0030】
一実施形態において、フィラー材料は活性炭触媒とフィラー材料の混合物の10%vol.と30%vol.間である。
【0031】
一実施形態において、フィラー材料は、活性触媒材料(例えば、V,Fe,Zn,Si,Al
2O
3,)を包含し得る。
【0032】
具体的には、フィラーはセラミック材料でできている。好ましくは、それらは50−79%の自由体積を有する:
i.Novalox(登録商標)サドル(鞍形:saddle):12.7−76.2mm
ii.バール(Berl)サドル:4−50mm
iii.円筒状リング(Cylindrical ring):5−200mm
iv.Pall(登録商標)リング(ring):25−100mm
v.移行性格子ライニング(Transitional grid lining)
vi.1つの棒(bar)又は1つの十字形(cross)を備えた円筒状リング:80−200mm
vii.格子ブロック(Grid block):215×145×90mm
【0033】
好ましくは、具体的には、95−98%の自由体積を有する金属でできたフィラーを用い得る:
i.円筒状リング(Cylindrical ring):15−50mm
ii.Pall(登録商標)リング:15−90mm
iii.VSP(登録商標):25−50mm
iv.Top-Pak(登録商標):15mm
v.Novalox(登録商標)−M:15−70mm
vi.Twin-Pak(登録商標):10−15mm
vii.Interpak(登録商標):10−20mm
【0034】
具体的には、プラスチックでできたフィラーを用い得る。好ましくはそれらは87−97%の自由体積を有する:
i.Novalox(登録商標)サドル:12.7−50.8mm
ii.Pall(登録商標)リング:15−90mm
iii.VSP(登録商標):25−90mm
iv.Igel(登録商標):40mm
v.Netball(登録商標):45−90mm
【0035】
これらのフィラーの“自由体積”はある体積がフィラーで満たされ/パックされた(詰まった)ときの、測定された空所(voids)の体積である。フィラー粒子間の空間/空所は、流体変位(fluid displacement)を測定しかつパーセントで表したものである。自由体積は、(少なくとも部分的には)活性炭触媒で満たされる。
【0036】
従って、フィラー材料は、混合された材料のいくつかの特性を改善、強化するために、活性炭触媒に添加された分離した別々の粒子から構成されている。フィラー材料の粒子は、一般的に、4mmを超える平均粒径(粒子の平均最大寸法(
数による)に基づいている)を有する。通常、それらの平均粒径(粒子の平均最大寸法(
数による)に基づいている)は、200mmよりも小さい。
【0037】
一実施形態において、活性炭触媒とフィラー材料の混合物は、活性炭触媒とフィラー材料以外の他の固形成分を含まない。従って、これらの成分の総量が混合物の100%vol.を成している。
混合物は、その構成要素が異なる粒径と異なる密度等を有するので、異種混合物であることは言うまでもない。混合物の構成要素の同一性(identities)は保持される。用語“混合物”は層状構造(layered structure)を含まない。
【0038】
触媒は、好ましくは、SO
2とO
2を含むガス、例えば化学及び冶金法で発生する排ガス、をクリーンにするための方法で使用される。そのSO
2含有量は典型的には300ppmと200,000ppm間である。
【0039】
活性炭触媒とフィラー材料の混合物に接触するガスは、通常10℃と150℃間の温度である。
【0040】
ガスのO
2含有量は、通常2と21%vol間である。
【0041】
如何なる重金属(Hg及びCdなど)もまた本方法の実行中にガスから除去される。
【0042】
本発明は、30%vol.と60%vol.間の、硫黄を含浸させた活性炭触媒と、30%vol.と60%vol.間の、鉄を含浸させた活性炭触媒と、5%vol.と40%vol.間のフィラー材料(filler material)とを包含し、これらの3つの成分全体で100%vol.になる混合物に関連もしている。このような混合物は、とくに重金属及び/又はダイオキシンを含む流体の汚染処理に適している。
【0043】
驚いたことには、硫黄を含浸させた活性炭触媒と鉄を含浸させた活性炭触媒とフィラー材料の混合物を使用すると、触媒が流体から重金属及びダイオキシンを除去するのにより効率的であることが分かった。
【0044】
また、5と40%vol.間のフィラー材料を使用すると、触媒組成(catalyst composition)がより容易に再生されることも分かった。この実証例として、Kombisorbon(登録商標)ユニットは、工業用地において定期的に(1年に2−4回)再生される。
この再生期間の後の乾燥期間は、活性炭触媒だけの場合と比較して活性炭(80%vol.)/フィラー材料(20%vol.)を含む反応層の場合、40%(48時間の代わりに28時間)以上短縮される。
【0045】
用語重金属は、相対的に高い密度を有しかつ低濃度で有毒又は有害なあらゆるの金属化学元素を意味する。重金属の例としては、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、ヒ素(As)、クロム(Cr)、タリウム(Tl)及び鉛(Pb)が含まれる。有毒な重金属は、特に環境状況においてその潜在的な毒性で知られているあらゆる相対的に濃密度の金属又は半金属である。用語は、主要な社会的関心が向けられている10の化学製品の世界保健機関のリストに全て示されている、カドミウム、水銀、鉛及びヒ素に特に適用されてきた。他の例としては、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、銀(Ag)及びアンチモン(Sb)を含んでいる。
【0046】
驚いたことには、この触媒が、ガス、即ち、都市の固形廃棄物、産業固形廃棄物及び下水汚泥又は産業廃水から出る液体を除去する焼却プラントからの、セメント工業からの、石油精製からの、化学製造からの、金属仕上げからの、プリント回路製造からの、石油及びガス採取からの、及び危険な廃棄物からの排ガスから、重金属を除去するのに使用可能であることが分かった。
【0047】
種々の実施形態によれば、混合物は、少なくとも30%vol.,31%vol.,32%vol.,33%vol.,34%vol.,35%vol.,36%vol.,37%vol.,38%vol.,39%vol.,40%vol.,41%vol.,42%vol.,43%vol.,44%vol.,45%vol.,46%vol.,47%vol.,48%vol.,49%vol.,50%vol.,51%vol.,52%vol.,53%vol.,54%vol.,55%vol.,56%vol.,57%vol.,58%vol.又は59%vol.の、硫黄を含浸させた活性炭触媒を包含する。
【0048】
種々の実施形態によれば、混合物は、多くとも60%vol.,59%vol.,58%vol.,57%vol.,56%vol.,55%vol.,54%vol.,53%vol.,52%vol.,51%vol.,50%vol.,49%vol.,48%vol.,47%vol.,46%vol.,45%vol.,44%vol.,43%vol.,42%vol.,41%vol.,40%vol.,39%vol.,38%vol.,37%vol.,36%vol.,35%vol.,34%vol.,33%vol.,32%vol.,又は31%vol.の、硫黄を含浸させた活性炭触媒を包含する。
【0049】
好適実施形態においては、混合物は、活性炭を100℃でH
2SとO
2を充填したガス流中で10と20分の間の反応時間でH
2Sを酸化して硫黄を含浸させた、40%vol.と50%vol.間の活性炭触媒を包含する。
【0050】
好ましくは、硫黄を含浸させた活性炭触媒は、使用前に5%重量と20%重量間の硫黄を包含する。活性炭触媒は硫黄単体(elemental sulfur)又は酸素によるH
2S酸化のいずれかで硫黄を含浸させることができる。硫黄を含浸させた活性炭触媒は市販されている。
【0051】
種々の実施形態によれば、混合物は、少なくとも30%vol.,31%vol.,32%vol.,33%vol.,34%vol.,35%vol.,36%vol.,37%vol.,38%vol.,39%vol.,40%vol.,41%vol.,42%vol.,43%vol.,44%vol.,45%vol.,46%vol.,47%vol.,48%vol.,49%vol.,50%vol.,51%vol.,52%vol.,53%vol.,54%vol.,55%vol.,56%vol.,57%vol.,58%vol.又は59%vol.の、鉄を含浸させた活性炭触媒を包含する。
【0052】
種々の実施形態によれば、混合物は、多くとも60%vol.,59%vol.,58%vol.,57%vol.,56%vol.,55%vol.,54%vol.,53%vol.,52%vol.,51%vol.,50%vol.,49%vol.,48%vol.,47%vol.,46%vol.,45%vol.,44%vol.,43%vol.,42%vol.,41%vol.,40%vol.,39%vol.,38%vol.,37%vol.,36%vol.,35%vol.,34%vol.,33%vol.,32%vol.,又は31%vol.の鉄を含浸させた活性炭触媒を包含する。
【0053】
好適実施形態においては、混合物は、40%vol.と50%vol.間の、鉄を含浸させた活性炭触媒を包含する。
【0054】
好ましくは、鉄を含浸させた活性炭触媒は、10%重量と30%重量の鉄を包含する。そのような鉄を含浸させた活性炭触媒は、市販されているか、又は基本条件(basic conditions)に僅かばかり合わせたpHを持ち、70℃で24時間の間攪拌した100mMのFeCl
3溶液を用いた熱化学反応と含浸法により、活性炭に鉄をコーティングすることで製造することができる。
【0055】
種々の実施形態によれば、混合物は、少なくとも5%vol.,6%vol.,7%vol.,8%vol.,9%vol.,10%vol.,11%vol.,12%vol.,13%vol.,14%vol.,15%vol.,16%vol.,17%vol.,18%vol.,19%vol.,20%vol.,21%vol.,22%vol.,23%vol.,24%vol.,25%vol.,26%vol.,27%vol.,28%vol.,29%vol.,30%vol.,31%vol.,32%vol.,33%vol.,34%vol.,35%vol.,36%vol.,37%vol.,38%vol.又は39%vol.の、フィラー材料を包含する。
【0056】
種々の実施形態によれば、混合物は、多くとも40%vol.,39%vol.,38%vol.,37%vol.,36%vol.,35%vol.,34%vol.,33%vol.,32%vol.,31%vol.,30%vol.,29%vol.,28%vol.,27%vol.,26%vol.,25%vol.,24%vol.,23%vol.,22%vol.,21%vol.,20%vol.,19%vol.,18%vol.,17%vol.,16%vol.,15%vol.,14%vol.,13%vol.,12%vol.,11%vol.,10%vol.,9%vol.,8%vol.,7%vol.又は6%vol.の、フィラー材料を包含する。
【0057】
好適実施形態においては、フィラー材料は、5から15%vol.の量で存在する。
【0058】
種々の実施形態によれば、フィラー材料は、サドル(鞍形;saddle)形状、リング形状、球形状、円環(torus)形状、プリズム形状又は不規則な形状の中から選択された一形状である。
【0059】
フィラーは、好ましくは、セラミック材料でできた、金属でできたフィラー、プラスチックでできたフィラー、ミネラル(mineral;鉱物)又はその混合物でできたフィラーから選択される。好ましくは、フィラー材料は、プラスチック、アルミナ、金属、セラミック材料又はその混合物を包含する。
種々の実施形態によれば、フィラー材料は、球、サドル、リング又は管の形状である。
【0060】
一実施形態において、硫黄を含浸させた活性炭触媒、鉄を含浸させた活性炭触媒及びフィラー材料の混合物は、活性炭触媒とフィラー材料以外の固形成分を含まない。従って、これら3つの成分全体で混合物の100%vol.を成している。
【0061】
種々の実施形態によれば、触媒は、下水焼却プラント、汚泥焼却プラント又は有害廃棄物焼却プラントからの排ガスを処理するのに使用することができる。
【0062】
好適実施形態においては、ガスは、少なくとも50mg/dscm、好ましくは少なくとも45mg/dscm,さらに好ましくは少なくとも40mg/dscmの重金属を包含する。
【0063】
好適実施形態においては、ガスは、少なくとも1000ng/dscm、好ましくは少なくとも500ng/dscm、さらに好ましくは少なくとも200ng/dscmのダイオキシンを包含する。ここで使用されている用語“ダイオキシン”は、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants)で定義されたPCBsを含むダイオキシン及びダイオキシン様物質を意味する。
【0064】
種々の実施形態によれば、触媒は汚染された液体の処理にも使用可能である。
【0065】
好ましくは、液体は、少なくとも1時間、2時間、3時間又は10時間触媒組成物に接触した状態に置かれる。
【0066】
種々の実施形態によれば、液体は、少なくとも50mg/lの重金属、好ましくは少なくとも45mg/l、さらに好ましくは少なくとも40mg/lの重金属を包含する。
【0067】
好適実施形態においては、液体は、少なくとも20μg/l、好ましくは少なくとも2μg/l、さらに好ましくは少なくとも0.02μg/lのダイオキシンを包含する。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明を例示するため、
図1に示す試験装置は、その下部12に試験ガスが供給されかつその上部14では水が吹き付けられる試験用反応装置10を包含する。
【0070】
これらの試験のため、排ガスをシミュレートするために、排ガスの代わりに試験ガスが使用される。試験ガスは、10−12℃間の温度でかつ対応する弁22を介して、被加圧シリンダ18からSO
2が順に添加されて使用される周囲空気(ambient air)から成っている。第1の測定装置26は、組成(SO
2含有量、O
2含有量)、温度、試験ガスの通水量(flow volume)及び流量を分析する。
【0071】
試験ガスは次にクエンチ(quench;急冷装置)28内において、水の蒸発により臨界温度まで冷却される。試験ガスは、ファン30によりクエンチ28を経て反応装置10中に引き込まれる。クエンチ28の出口のところの、コアレッサ(収滴具;coalescer)、液滴分離機又は霧収集機は、試験ガスがクエンチから出るときにその中に含まれる液滴を全て回収する。
【0072】
試験ガスは、反応装置10を通ってかつ試験用反応装置10の内部に配置された活性炭触媒又は充填材料(filling material)又は活性炭触媒と充填材料の組合せ(combination)32を通って流れる。試験ガスは、反応装置10の底部から頂部まで流れ、それから試験用反応装置10から一度排出されると、第2の測定装置34内で、第1の測定装置26と同じパラメータ、即ち、組成(SO
2含有量、O
2含有量)、温度、通水量及び流量が検査され、次に、大気中に放出される。
【0073】
この方法で必要な水は、貯留容器36から、流れ(flow)を測定する測定装置38、及びポンプ40を経て試験用反応装置10の上部14中に供給され、試験用反応装置10内で、水は活性炭触媒又は充填材料又は活性炭触媒と充填材料の組合せ32を通って、試験ガスに対し逆流する。
【0074】
しかしながら、代替的には、この方法で必要な水は、反応装置を通して、試験ガスと併流、つまりそれと同じ方向に供給することも可能である。併流法か逆流法かの選択は、例えば現場の状況に依る。
【0075】
クエンチ28に必要な水は、水供給部から直接到来し、かつクエンチ内を循環する。
【0076】
SO
2は、活性炭触媒上でSO
3に触媒変換され、かつ水が添加されると、硫酸に変換される。
【0077】
充填材料は活性炭触媒とランダムに混合されかつ、混合物は、ふるい、即ち、触媒とフィラーの混合物の粒径(例えば>2mm)よりも細かい網目を備えた金網ふるい上に置かれる。
【0078】
形成された硫酸は、触媒の体積とSO
2/SO
3濃度に応じて、水をガスに対して逆流となるように間欠的に吹き付けることで活性炭触媒から洗い流される。
【0079】
充填材料があることで、SO
2の触媒反応中及び/又は水の吹き付け中に、液体/ガス相互作用により、変換効率が驚くほど向上する。
充填材料があることで、液体及びガス流が促進され、それらの触媒層全体にわたる再配分も促進されてガスと液体に対する各触媒粒子の適用範囲(coverage)をより一様にすることができ、それによってSO
3からH
2SO
4への高能率な変換が可能になったものと思われる。
実際、活性炭触媒の再生が行われることで、迅速かつ効率的に再生サイクル時間の一層の短縮を実現している。
【0080】
良好な流体の分布
反応装置における少ない圧力低下
少ない温度勾配
が有ることが分かった。
【0081】
これらの主要パラメータは、このシステムの良好な性能を説明し得る。
【0082】
フィラー材料は前述のように選択的に含浸させることができる。
【0083】
以上で説明した試験用反応装置において、水の吹き付けを、混合物のm
3当たり12.5−125l/時の水量を使用して1−4回/時で実行した。水は、この方法の実行中に生成された硫酸溶液と共に、試験用反応装置10の下部12の容器42に回収した。酸含有量は測定装置44によって決定した。次に、硫酸溶液はポンプ46によって汲み出され、かつ通水量(flow volume)は、別の測定装置48を使って確認した。
【0084】
上述のシステムにおいては、硫酸を生成するために、排ガス中の二酸化硫黄は湿式触媒粒子上のSO
3により触媒変換される。本方法は、以下の条件で成功裏に試験された。
・急冷(quenching)による排ガスが反応装置に入る前の水飽和
・煙道ガスの300ppmと6000ppm間のSO
2含有量
・10と12℃間のガス温度
・体積で約20%のO
2含有量
・クエンチングによる排ガスの水飽和とその結果の冷却
【0085】
試験触媒は オランダB.V. アムルスフォールト 私書箱105 NL−3800 ACのキャボット ノリット(CABOT NORIT Nederland B.V. of Postbus 105 NL-3800 AC Amersfoot)及びフランクフルト/マイン フェルドベルグシュトラーセ21 D−60323のジャコビ カーボンズ社(Jacobi Carbons GmbH Feldbergstrasse 21 D-60323 Frankfurt/Main)によりそれぞれNorit(登録商標)_RST-3、JACOBI_EcoSorb(登録商標) VRX-Superの名称で提供された。
これらの触媒は、約3mmの粒径の押出しされた木材/炭素をベースにした活性炭触媒である。以下の一般的な特性は、製造者によって保証されている:ヨウ素吸着力(iodine number)900−1200mg/g;内表面(BET)1000−1300m
2/g;容積密度(bulk density)360−420kg/m
3;灰含有量、重量で6−7%;pHアルカリ性;水分(moisture)(パック状態(packed))重量で5%
【0086】
活性炭触媒が、
a.ヨウ素、臭素又はその化合物、
b.撥水剤(water repellent)
c.プラチナ、パラジウム、ロジウム等のような触媒活性金属、又は
d.プラチナ、パラジウム、ロジウム等のような金属をベースとする、有機/触媒活性金属錯体(metal complexes)
を一切含まないことに留意しなければならない。
【0087】
活性炭触媒は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソブチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリトリクロルフルオロエチレン(polytrichlorfluorethylen)のような、疎水性の高分子化合物によって疎水化されていない。
【0088】
試験では、Testoと言う名称のドイツの会社の煙道ガス分析器が使用された。装置(複数)は製造者によって較正されていた。加えて、これらの煙道ガス分析器の分析データは並行して行われた湿式化学測定により確認された。全ての測定結果はずれの許容公差内に収まった。
【0089】
触媒面上におけるH
2SO
4によるSO
2変換の進行は、以下の式全体による:
SO
2+1/2O
2+nH
2O(触媒的に)→H
2SO
4+(n−1)H
2O
【0090】
特定の理論に拘りたいとの思いをなしにすれば、それは、
・O
2とSO
2は触媒の活性中心に向かって移動して、そこでSO
3に変換される。
・SO
3は触媒の活性中心から出て、触媒のコアの周りの水性被覆材(aqueous covering)によりH
2SO
4を形成する。
・SO
2は上記反応式により、酸素及び水と反応して硫酸を生成する。
【0091】
活性炭触媒と混合した充填材料により、液体及びガスと触媒活性部位との最適な相互作用が可能になった。
【0092】
触媒を洗い流すのに、軟化又は脱灰した(demineralized)水が使用される。
【0093】
一度、十分なSO
2がSO
3に変換されかつ硫酸を生成し始めると、硫酸生成に関して触媒の孔内で生じる特定レベルのSO
2飽和が反応装置内で生じる。
【0094】
その条件は、採用されたアプローチ(供給されるSO
2/SO
3の量及びそれに伴う水噴霧量(spraying rate))に応じて、約20から100動作時間後に成立する。
製造される酸の重量パーセントは、期間、即ちガスと触媒の接触時間とは無関係である。SO
2のH
2SO
4への変換はSO
2からSO
3への変換効率と使用する水又は水溶液の量に依存する。この理由から、この方法では硫酸(H
2SO4)の異なる重量パーセントの溶液(solution)が製造できる。
【0095】
試験1:(比較試験) 試験は以下の条件で行った:
【表1】
【0096】
反応装置は、不活性グラスファイバで補強したプラスチック材料でできており、約2m
3の体積を有し、かつNorit(登録商標)_RST-3タイプの1.2m
3の活性炭触媒で満たされた。
【0097】
試験システムは、第1段階でガスシリンダからSO
2を添加した状態で約50時間運転し、かつこの例では2,000と3,000ppm間のSO
2が添加された。
全体として、反応装置は、約88kgのSO
2(触媒層の約73kgのSO
2/m
3)が充填された。
この試験によれば、15l/時の水の添加は2部分/時(触媒層のm
3当たり10.2l/時)に分割された。
排ガスのSO
2含有量は、
図1に示すように反応装置の入口と出口で測定された。測定は30秒毎に行われかつ
図2のグラフで示されている。
この場合に示す最初の測定は、触媒の飽和の後、即ち反応装置の始動から50時間後に行われた。SO
2の出口濃度は、66%のSO
2除去効率で600ppmと900ppm間で繰り返し変動した。試験は約9時間にわたって連続して行われた。
【0098】
試験2:試験は以下の条件で行った:
【表2】
【0099】
反応装置は、不活性グラスファイバで補強したプラスチック材料でできており、約2m
3の体積を有し、かつJACOBI_ EcoSorb(登録商標)VRX-Superタイプの1.2m
3の活性炭触媒で満たされた。
【0100】
試験1とは対照的に、反応装置は、動作すると直ちに、ガスシリンダからのSO
2の添加で充填され、かつこの事例では2,000と3,000ppm間のSO
2が添加された。
この試験によれば、15l/時の水の添加は、2部分/時(触媒層のm
3当たり10.2l/時)に分割された。
排ガスのSO
2含有量は、
図1に示すように反応装置の入口と出口で測定された。測定は30秒毎に行われ、かつ
図3のグラフに示されている。この場合に示す最初の測定は反応装置の始動直後に行われた。SO
2の出口濃度は、64%のSO
2除去効率で600ppmと900ppm間で繰り返し変動した。試験は約6時間にわたって連続して行われた。
【0101】
試験3:試験は以下の条件で行った:
【表3】
【0102】
反応装置は、不活性グラスファイバで補強したプラスチック材料でできており、約2m
3の体積を有し、かつ0.27m
3のセラミック充填材料(Vereinigte F▲u▼llk▲o▼rper-Fabrikenから供給されるNovalox(登録商標)サドル形Acidur−特殊−せっ器(Acidur-Special-Stoneware))と混合することでCPPEで変更したNorit(登録商標)_RST-3タイプの1.2m
3の活性炭触媒で満たされた。
【0103】
試験2と同様に、反応装置は動作時直ちにガスシリンダからのSO
2の添加で充填された、また、この事例においては2,000と3,000ppm間のSO
2が添加された。
この試験によれば、15l/時の水の添加は2部分/時(触媒層のm
3当たり10.2l/時間)に分割された。
排ガスのSO
2含有量は、
図1に示すように反応装置の入口と出口で測定された。測定は30秒毎に行われかつ、
図4のグラフに示されている。この場合に示す最初の測定は反応装置の始動直後に行われた。SO
2の出口濃度は、96%のSO
2除去効率で、15ppmと95ppm間で繰り返し変動した。試験は約7時間にわたって連続して行われた。
【0104】
試験4:試験は以下の条件で行った:
【表4】
【0105】
反応装置は、不活性グラスファイバで補強したプラスチック材料でできており、約2m
3の体積を有し、かつ0.27m
3のセラミック充填材料(Vereinigte F▲u▼llk▲o▼rper-Fabrikenから供給されるNovalox(登録商標)サドル形Acidur−特殊−せっ器(Acidur-Special-Stoneware))と混合することでCPPEで変更したJACOBI_EcoSorb(登録商標)VRX-Superタイプの1.2m
3の活性炭触媒で満たされた。
【0106】
試験2と同様に、反応装置は動作時直ちにガスシリンダからのSO
2の添加で充填された、また、この事例においては2,000と3,000ppm間のSO
2が添加された。
この試験によれば、15l/時の水の添加は2部分/時(触媒層のm
3当たり10.2l/時)に分割された。排ガスのSO
2含有量は、
図1に示すように反応装置の入口と出口で測定された。
測定は30秒毎に行われ、かつ
図5のグラフに示されている。この場合に示す最初の測定は反応装置の始動直後に行われた。SO
2の出口濃度は、97%のSO
2除去効率で15ppmと92ppm間で繰り返し変動した。試験は約7時間にわたって連続して行われた。
【0107】
試験5:試験は以下の条件で行った:
【表5】
【0108】
反応装置は、不活性グラスファイバで補強したプラスチック材料でできており、約2m
3の体積を有し、かつ0.27m
3のセラミック充填材料(Vereinigte F▲u▼llk▲o▼rper-Fabrikenから供給されるNovalox(登録商標)サドル形Acidur−特殊−せっ器(Acidur-Special-Stoneware))と混合することでCPPEで変更したNorit(登録商標)_RST-3タイプの1.2m
3の活性炭触媒で満たされた。
【0109】
試験2と同様に、反応装置は動作時直ちにガスシリンダからのSO
2の添加で充填された、また、この事例においては2,000と3,000ppm間のSO
2が添加された。
この試験によれば、71l/時の水の添加は2部分/時(触媒層のm
3当たり48.3l/時)に分割された。排ガスのSO
2含有量は、
図1に示すように反応装置の入口と出口で測定された。
測定は30秒毎に行われ、かつ
図6のグラフに示されている。この場合に示す最初の測定は反応装置の始動直後に行われた。SO
2の出口濃度は、98%のSO
2除去効率で9ppmと43ppm間で繰り返し変動した。試験は約4時間にわたって連続して行われた。
【0110】
試験6:試験は以下の条件で行った:
【表6】
【0111】
反応装置は、不活性グラスファイバで補強したプラスチック材料でできており、約2m
3の体積を有し、かつ0.27m
3のプラスチック充填材料(Vereinigte F▲u▼llk▲o▼rper-Fabrikenから供給されるPall(登録商標)−V−リング(ring))と混合することでCPPEで変更したNorit(登録商標)_RST-3タイプの1.2m
3の活性炭触媒で満たされた。
【0112】
試験2と同様に、反応装置は動作時直ちにガスシリンダからのSO
2の添加で充填された、また、この事例においては2,000と3,000ppm間のSO
2が添加された。
この試験によれば、15l/時の水の添加は2部分/時(触媒層のm
3当たり10.2l/時)に分割された。排ガスのSO
2含有量は、
図1に示すように反応装置の入口と出口で測定された。
測定は時間毎に行われ、かつ
図5のグラフに示されている。この場合に示す最初の測定は反応装置の始動直後に行われた。SO
2の濃度は、95%のSO
2除去効率で90ppmと160ppm間で繰り返し変動した。試験は約30時間にわたって連続して行われた。
【0113】
試験7:試験は以下の条件で行った:
【表7】
【0114】
反応装置は、不活性グラスファイバで補強したプラスチック材料でできており、約2m
3の体積を有し、かつ1.2m
3のNorit(登録商標)_RST-3タイプの活性炭触媒で満たされた。
【0115】
この試験中にクエンチが遮断されかつ乾燥活性炭触媒が使用された。
【0116】
試験2と同様に、反応装置は動作時直ちにガスシリンダからのSO
2の添加で充填された、また、この事例においては、SO
2−充填段階(loading phase)中に水を添加することなく、18,000と22,000ppm間のSO
2が添加された。排ガスのSO
2含有量は、
図1に示すように反応装置の入口と出口で測定された。
測定は分毎に行われた。SO
2の入口濃度は、99%以上のSO
2除去効率で18000ppmと22000ppm間で繰り返し変動した。試験は、出口のSO
2が100ppmより高くなるまで約106分行った。
SO
2−充填効率は活性炭触媒の立方メートル当たりSO
223kgであった。このSO
2−充填工程(loading step)の後、活性炭触媒を50l/時の水を添加して連続して2時間洗浄した。次の工程において、80℃に加熱された周囲空気を触媒層を通して引き出しかつ活性炭触媒を74時間後に乾燥した。
【0117】
試験8:試験は以下の条件で行った:
【表8】
【0118】
反応装置は、不活性グラスファイバで補強したプラスチック材料でできており、約2m
3の体積を有し、0.27m
3のセラミック充填材料(Vereinigte F▲u▼llk▲o▼rper-Fabrikenから供給されるNovalox(登録商標)サドル形Acidur−特殊−せっ器(Acidur-Special-Stoneware))と混合することでCPPEで変更したNorit(登録商標)_RST-3タイプの1.2m
3の活性炭触媒で満たされた。
【0119】
この試験中にクエンチが遮断されかつ乾燥活性炭触媒が使用された。
【0120】
試験2と同様に、反応装置は動作時直ちにガスシリンダからのSO
2の添加で充填された、また、この事例においては、SO
2−充填段階(loading phase)中に水を添加することなく、18,000と22,000ppm間のSO
2が添加された。排ガスのSO
2含有量は、
図1に示すように反応装置の入口と出口で測定された。
測定は分毎に行われた。SO
2の入口濃度は、99%以上のSO
2除去効率で18000ppmと22000ppm間で繰り返し変動した。試験は、出口のSO
2が100ppmより高くなるまで約117分行った。
SO
2−充填効率は活性炭触媒の立方メートル当たりSO
226kgであった。このSO
2−充填工程(loading step)の後、活性炭触媒を50l/時の水を添加して連続して2時間洗浄した。次の工程において、80℃に加熱された周囲空気を触媒層を通して引き出しかつ活性炭触媒を63時間後に乾燥した。
【0121】
以上の全ての試験は1.2m
3の触媒(活性炭)で行った。フィラー(どのような形状であれ)を添加して実行した試験においては;0.27m
3のフィラーが最初の1.2m
3の触媒に添加された。
【0122】
フィラーのVol%=0.27/(0.27+1.2)×100=18.36%vol.
【0123】
フィラーのプラスの効果(positive effect)は、5%volのフィラーと50%のフィラーとの間で測定可能であり、残りは活性炭触媒である。
【0124】
驚くべき効果は、
図10に示すように、同じ量の触媒でより多くのSO
2が変換されるので、触媒単体よりも触媒をフィラーと混合した方がSO
2除去がより効率的であることである。
【0125】
加えて、乾式法の条件において、活性炭触媒のSO
2−充填能力(loading capacity)はより高く、また
図8及び
図9に示すように、活性炭触媒をフィラーと混合する場合に、再生サイクルはより短縮される。
【0126】
実行した試験において、サドル形状を有するセラミックフィラー材料が最も効率的であるように思えることが分かった。本発明の文脈において、サドル形状とは:馬の鞍形状に形成されていること、上部を丸い形状にするためその両側が下に折り曲がった形状、それぞれ背斜褶曲(anticlinal fold)の形状を有する対象物を意味する。
【0127】
試験9−ガスからの重金属とダイオキシン除去−プラントレベル
【0128】
ジャコビカーボンズ(Jacobi Carbons)から供給された、硫黄を含浸させた45%の活性炭触媒と、ウオッチ−ウオータ(Watch-Water)から供給された、鉄を含浸させた45%の活性炭触媒と、10%のプラスチックフィラー材料とから成る、特定の混合物で満たしたKombisorbon(登録商標)法の反応装置の出口で、2日間かけて放出物サンプリング(emission sampling)を実行した。
【0129】
カドミウム除去率は99.9%であり、水銀除去率は99.9%を超え、ダイオキシン除去率は99.9%を超えた。初期のレベルは、カドミウムで5mg/dscm、水銀で1mg/dscm、及びダイオキシンで350ng/dscmであった。
【0130】
活性炭触媒混合物とフィラー材料があるため、より良好なガス流配(gas flow distribution)及び、その後の、より高度に濃縮された入口ガスのより高い汚染物質除去率での浄化が可能になった。
【0131】
フィラーがあるため、入口煙道ガスからの水蒸気で活性炭触媒を効率的に洗浄して、SOx(硫黄酸化物)とNOx(窒素酸化物)の反応により硫酸塩を除去することが可能になった。
【0132】
フィラーがあるため、再生(regeneration)後の水流による、より迅速な乾燥工程が可能になった。
【0133】
試験9−b 比較例−ガスからの重金属とダイオキシン除去−プラントレベル
【0134】
ジャコビカーボンズから供給された、硫黄を含浸させた100%の活性炭触媒で満たしたKombisorbon(登録商標)法の反応装置の出口で、2日間かけて放出物サンプリングを実行した。
【0135】
カドミウム除去率は99%であり、水銀除去率は99%を超え、ダイオキシン除去率は99%を超えた。初期のレベルは、カドミウムで5mg/dscm、水銀で1mg/dscm、及びダイオキシンで350ng/dscmであった。
【0136】
試験10−液体からの除去−実験室レベル−単一パス(single pass)
【0137】
ジャコビカーボンズから供給された、硫黄を含浸させた30%の活性炭触媒と、ウオッチ−ウオータから供給された、鉄を含浸させた30%の活性炭触媒と、40%のプラスチックフィラー材料とから成る、500cm
3の混合物が、この試験中使用された。
【0138】
リン酸溶液中の重金属のレベルは著しく低下した。カドミウム及び水銀で20%の除去率であり、ヒ素で35%の除去率であった。
【0139】
試験11−液体からの重金属除去−実験室レベル−単一パス
【0140】
硫黄を含浸させた45%の活性炭触媒と、ウオッチ−ウオータから供給された、鉄を含浸させた45%の活性炭触媒と、10%のプラスチックフィラー材料とから成る、500cm
3の混合物が、この試験中使用された。
【0141】
リン酸溶液中の重金属のレベルは、著しく低下した。カドミウム及び水銀で75%の除去率であり、ヒ素で65%の除去率であった。初期濃度は、カドミウムで39ppm、水銀で0.1ppm、ヒ素で23ppmであった。
【0142】
フィラー材料があるため、活性炭触媒層内のリン酸媒体に由来するシリカによる目詰まりを減少させることが可能になった。
【0143】
フィラー材料があるため、活性炭触媒を効率的に洗浄してより容易にシリカを除去することが可能になった。
【0144】
試験11−b−比較例−液体からの重金属除去−実験室レベル−単一パス
【0145】
ジャコビカーボンズから供給された、硫黄を含浸させた100%の活性炭触媒の500cm
3が、この試験中使用された。
【0146】
リン酸溶液中(As:23ppm、Hg:0.1ppm、及びCd:39ppm)の重金属のレベルは、水銀で20%の除去率、ヒ素で35%の除去率に低下した。
【0147】
試験11−c−比較例−液体からの重金属除去−実験室レベル−単一パス
【0148】
ウオッチ−ウオータから供給された、鉄を含浸させた100%の活性炭触媒500cm
3が、この試験中使用された。
【0149】
リン酸溶液中(As:23ppm、Hg:0.1ppm、及びCd:39ppm)の重金属のレベルは、カドミウムと水銀で50%の除去率、ヒ素で15%の除去率に低下した。
【0150】
上記試験で使用された活性炭触媒は、(Br,Cu,Fe,S,OH...のようなもの)を含浸させた大きな触媒比表面積((BET)、少なくとも700m
2/g)を持っていた。
【0151】
活性炭触媒は、異なる形状(円筒、球、“鞍体”(“Sattelk▲o▼rper”),…)でかつ異なる材料(プラスチック、アルミナ、セラミック、...)から成る様々なタイプのフィラー材料と様々な比率(1/5;1/3;1/10;...)で混合された。ジャコビ(Jacobi)、キャボットカーボン(Cabot Carbon)、ケムバイロン(Chemviron)、デソテック(Desotec)、カーボテック(Carbotech)及びエーテック(ATEC)等の企業用の、異なる活性炭触媒のサプライヤーがテストされた。
【0152】
試験12−
図10:層設計(Bed Design)の効果
【0153】
これらの試験において、異なるタイプの混合及び層設計を試験しかつ
図1に示す反応装置内において互いに比較した。
【0154】
条件は以下の通りであった:試験12a
ガス流:200−300m
3/時
ガス温度:10℃からスタート
ガス流入口:2000−3000ppm
活性炭触媒:粒径2−4mmで1.2m
3の押出活性炭触媒
フィラー材料:38.1mm幅で0.27m
3のセラミックサドル充填材料
混合法:ランダム混合(
図10において“CCPE混合”と呼ばれる):
図10の左側に示す除去効率で示すように、90−100%SO
2で最も効率的
【0156】
条件は以下の通りであった:
ガス流:200−300m
3/時
ガス温度:10℃からスタート
ガス流入口:2000−3000ppm
単一の活性炭触媒層:
図10−左から2番目に示す55−65%のSO
2除去効率
【0158】
条件は以下の通りであった:
ガス流:200−300m
3/時
ガス温度:10℃からスタート
ガス流入口:2000−3000ppm
活性炭触媒:粒径2−4mmで1.2m
3の押出活性炭触媒
フィラー材料:38.1mm幅で0.27m
3のセラミックサドル充填材料
多層設計:充填材料の0.27m
3の層で分けられた(それぞれ0.5m
3と0.7m
3)二つの活性炭触媒層(beds):
図10−左から3番目に示す50−65%のSO
2除去効率で低効率。
【0160】
条件は以下の通りであった:
ガス流:200−300m
3/時
ガス温度:10℃からスタート
ガス流入口:2000−3000ppm
活性炭触媒:粒径2−4mmで1.2m
3の押出活性炭触媒
フィラー材料:38.1mm幅で0.27m
3のセラミックサドル充填材料
多層設計:活性炭触媒/フィラー材料層(layers)(それぞれ0.3m
3と0.054m
3)は
図10−右側に示す70−80%のSO
2除去効率でより低効率。
【0161】
試験13−
図11 フィラー材料/活性炭体積比の効果
【0162】
条件は以下の通りであった:
ガス流:200−300m
3/時
ガス温度:10℃からスタート
ガス流入口:2000−3000ppm
活性炭触媒:粒径2−4mmの押出活性炭
フィラー材料:38.1mm幅のセラミックサドル充填材料
混合法:体積における異なる比率でのランダム混合(フィラー材料/押出活性炭触媒):
1/20:5vol%のフィラー材料と95vol%の活性炭触媒
1/10:9vol%のフィラー材料と91vol%の活性炭触媒
1/5:17vol%のフィラー材料と83vol%の活性炭触媒
1/4:20vol%のフィラー材料と80vol%の活性炭触媒
1/3:25vol%のフィラー材料と75vol%の活性炭触媒
この試験は、
図11に示すように20vol%のフィラー材料と80vol%の活性炭触媒(比率 1/4)で動作するとき、99%のSO
2除去で最大の効率を示している。
【0163】
比較試験14−
図12:フィラー材料/活性炭体積比の効果
【0164】
条件は以下の通りであった:
ガス流:200−300 m
3/時
ガス温度:10℃からスタート
ガス流入口:2000−3000ppm
活性炭触媒:粒径2−4mmの押出活性炭
フィラー材料:50mm幅のプラスチック ポールリング(pall ring)充填材料
混合法:体積における異なる比率でのランダムな混合(フィラー材料/押出活性炭触媒):
1/20:5vol%のフィラー材料と95vol%の活性炭触媒
1/10:9vol%のフィラー材料と91vol%の活性炭触媒
1/5:17vol%のフィラー材料と83vol%の活性炭触媒
1/4:20vol%のフィラー材料と80vol%の活性炭触媒
1/3:25vol%のフィラー材料と75vol%の活性炭触媒
図12に示すように20vol%のフィラー材料と80vol%の活性炭(比率 1/4)で動作するとき、82%のSO
2除去効率で最大の効率。
【0165】
試験15−
図13:フィラーサイズの効果
【0166】
条件は以下の通りであった:
ガス流:200−300m
3/時
ガス温度:10℃からスタート
ガス流入口:2000−3000ppm
活性炭触媒:粒径2−4mmの押出活性炭触媒
フィラー材料:12.7(正規化サイズ 1)から76.2mm(正規化サイズ 6)の異なったサイズのサドル充填材料
混合法:20vol%のフィラー材料と80vol%の活性炭触媒(比率 1/4)のランダム混合
図13に示すように、サドル充填材料が38,1mm(正規化サイズ 3)と63.5mm(正規化サイズ 5)間で動作するとき、88−99%のSO
2除去でより高い効率。
【0167】
試験16−
図14:フィラー粒径の効果
【0168】
条件は以下の通りであった:
ガス流:200−300m
3/時
ガス温度:10℃からスタート
ガス流入口:2000−3000ppm
活性炭触媒:ビーズ(bead)、押出又は粒状化した活性炭触媒
フィラー材料:38,1mm幅のセラミックサドル充填材料
混合法:20vol%のフィラー材料と80vol%の活性炭触媒(比率 1/4)のランダム混合
図14に示すように、押出活性炭触媒で動作するとき、99%のSO
2除去のより高い効率。
【0169】
本発明は、特定の好ましい形態を参照してかなり詳細に説明したが、他の形態も可能である。したがって、添付する請求項の趣旨及び範囲は、ここに含まれる好ましい形態の説明に限定されるべきではない。
【0170】
この明細書(添付の請求項、要約及び図面を含む)に開示されている全ての特徴は、明示的に別段の定めをした場合を除き、同一、同等又は類似した有効な代替的な特徴により置き換えてもよい。従って、明示的に別段の定めをした場合を除き、開示された各特徴は、一連の同等又は類似した特徴全体の一例に過ぎない。