(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6961870
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】みえる除菌液
(51)【国際特許分類】
C11D 7/04 20060101AFI20211025BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20211025BHJP
C11D 7/50 20060101ALI20211025BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20211025BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20211025BHJP
A01N 31/02 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
C11D7/04
C11D7/26
C11D7/50
A01P1/00
A01P3/00
A01N31/02
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-220041(P2020-220041)
(22)【出願日】2020年12月23日
【審査請求日】2020年12月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521034270
【氏名又は名称】内田 雅巳
(72)【発明者】
【氏名】内田 雅巳
【審査官】
柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−256291(JP,A)
【文献】
特開2000−273497(JP,A)
【文献】
特開昭53−058506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
A01P 1/00
A01P 3/00
A01N 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノールで溶解したPH指示薬のチモールフタレインと、強アルカリ電解水を含有し、PH10.5以上のウイルス・菌や汚れの除去及び除菌液であって、塩基性側では色がつき、除菌力・消毒力が視認でき、着色された色は酸性側に反応し塩基性を失うと無色になる、みえる除菌液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透明な洗浄剤・消毒剤に色をつけ視認でき、塩基性から酸性側に反応すると無色になるPH指示薬を、塩基性物質と混合させ、洗浄や消毒の実施安定性の向上と洗浄力・消毒力が視認でき、最小限の液量で洗浄・消毒をする、
みえる除菌液。
【背景技術】
【0002】
タイヤホイールの表面に泡状に洗浄液を付着させ、洗浄物の表面に付着する汚れを離脱させる洗浄剤において、洗浄剤が、界面活性剤と、アルカリ性から中性に変化すると変色する指示薬を含有し、炭酸ガスと反応してアルカリ化合物が消失する洗浄剤がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3464491号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウイルスや菌の感染拡大が起こるのは、その除去方法や衛生管理を正しくおこなうことができているのか、という問題に直面する。
【0005】
洗浄剤・消毒剤が透明であると、医師たちの着用する防護服や衣服、診察台や受付カウンターなどに消毒をほどこしても、きちんと消毒できているのかがわからないということ。
【0006】
透明な洗浄剤・消毒剤は、表面処理の際に目的の部分に確実に散布や塗布、噴霧し、菌、ウイルスなどを除去、除菌できているかが不確定である。
【0007】
洗浄剤・消毒剤の効果を有効にするためには、除去時間というものを取らなくてはいけなく、適切な一定以上の時間を経過させる必要があり、テーブルなどに透明な消毒液をスプレー等で散布した直後に、布等ですぐに拭き取りすると、菌やウイルス除去時間が短く、まだ生きている病原体が布に付着し残った病原体を広めてしまう。
【0008】
一般的な、指・手肌用の洗浄剤・消毒剤は無色透明なものであり、見ただけではその液体が水なのか消毒液なのかわかりづらく、どの程度の洗浄力、除菌力があるのかもわからない、除菌消毒液と書いてあるラベルを見て判断しているに過ぎず不安がある。
【0009】
食事の前に利用する、おしぼりやウェットティッシュなどが、実際は濡れているだけで包装の中で菌が発生していても気づく手段がなく、除菌効果があるのか安易に確認できないこと。
【0010】
危機意識の低い幼児や子供がきちんと洗浄・消毒できているかを、指導や見守る必要があるが幼稚園、保育園のように人数が多くなると目が届かずきちんと除菌できているか不安がのこる。
【0011】
消毒するのに使われるヨウ素液は焦げ茶色で、指や手首に洗浄剤・消毒剤がきちんと掛けられているか確認することが出来るが、その色を落とすのに大量に水を使うことになり、水が豊かである場所では有効だが、水が不足の地域、環境では有効とは言えない。
【0012】
普段の手洗いは、水が豊富な地域では蛇口をひねれば大量の水で洗うことができるが、水不足の地域では大量の水で手洗いができないこと。
【課題を解決するための手段】
【0013】
透明な塩基性物質の洗浄剤・消毒剤に色をつけ、溶剤の洗浄力・消毒力を視認させ、対象物に対し洗浄や消毒の実施の安定性を向上させ、アルカリ性の効力を失うと色を消失し、最小限の液量で洗浄・消毒をする、
みえる除菌液。
【0014】
洗浄・消毒の対象物にきちんと洗浄液・消毒液が散布、塗布、噴霧されているか、その問題解決が透明な洗浄液・消毒液に色をつけ可視化し、色が消えることよりも、色が見えることを優先した、
みえる除菌液の提供。
【発明の効果】
【0015】
着色された、透明な洗浄剤・消毒剤は洗浄力・消毒力を視認でき、散布や噴霧、塗布された表面に色がつき目視でき、洗浄・消毒の実施安定性を向上させ、着色された色は塩基性を失うと無色になり、必要最低限の液量で菌やウイルス、汚れの除去や衛生管理を実施する、
みえる除菌液。
【発明を実施するための形態】
【0016】
無水エタノールで溶解したPH指示薬と、塩基性物質を含有する洗浄剤・消毒剤で、塩基性側では色がつき、洗浄力・消毒力を視認でき、着色された色は酸性側に反応し塩基性を失うと無色になり、最小限の液量で洗浄・消毒をする、
みえる除菌液。
【0017】
公知で洗剤とは界面活性剤を主成分とし汚れや菌を除去する、洗浄剤とは中和作用で汚れや菌を除去し、洗剤より洗浄力が高いとされ、
みえる除菌液はアルカリ性から酸性に向う中和作用を主として利用する。
【0018】
みえる除菌液の成分は、アルカリ性に反応して色がつくPH指示薬を無水エタノールで溶し、塩基性物質と混ぜ合わせ着色する。
【0019】
前記PH指示薬が、フェノールフタレイン、チモールフタレイン、O−クレゾールフタレイン、チトリルまたはその誘導体からなる群から選ばれる1種以上からなる、
みえる除菌液。
【0020】
前記塩基性物質が、アルカリ性の機能水から選ばれる、アルカリイオン水、強アルカリ性電解水、電解次亜水、次亜塩素酸ナトリウムや、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、水に溶解すると水酸化物イオンを生じアルカリ性となる水溶液、アンモニヤおよびリン酸ナトリウム、アルカノールアミンまたはその誘導体からなる群から選ばれる1種以上からなる、
みえる除菌液。
【0021】
菌やウイルス、汚れの除去を主として目的とする、
みえる除菌液の配合には、チモールフタレイン溶液とPH10.5以上のアルカリ性の機能水およびPH10.5以上の水酸化物が好ましいく、着色された溶剤は紫外線や常温での影響をほとんど受けず、透明な容器で洗浄力・消毒力の効果が視認でき、除菌力に優れ、一般生菌は30秒〜1分で除菌ができ、人に無害で環境にもやさしく、未開封なら1年〜2年間は保存可能となる、
みえる除菌液の提供。
【0022】
消毒剤としてあらゆる菌・ウイルスに対して、殺菌、除菌、消毒、を行うという観点では、日本薬局方が定める76.9〜81.4v/v%が必要であるため、エタノールとPH10.5以上のアルカリ性の機能水およびPH10.5以上の水酸化物の1種類以上を、無水エタノールにチモールフタレインを0.1w/v%〜10w/v%で溶解した溶液と混合し、エタノール濃度を76.9〜81.4vol%含有する、
みえる除菌液の提供。
【0023】
日本薬局方により、消毒剤と表記できない、エタノール76.9v/v%以下を、洗浄剤として、PH10.5以上のアルカリ性の機能水およびPH10.5以上の水酸化物の1種類以上の溶液と無水エタノールにチモールフタレインを0.1w/v%〜10w/v%で溶かした溶液を1w/v%〜20w/v%混合し、着色した、
みえる除菌液を提供。
【0024】
ウイルス除去・除菌剤として、あらゆる菌・ウイルスに対して、殺菌、除菌・消毒、を行うという観点では、日本薬局方が定めるエタノール濃度が76.9〜81.4v/v%必要であるが、エタノール63v/v%の濃度があれば、一部の菌・ウイルスを除き十分な殺菌効果が期待できることから、洗浄剤として、エタノールとPH10.5以上のアルカリ性の機能水およびPH10.5以上の水酸化物の1種類以上を混ぜ、無水エタノールにチモールフタレインを0.1w/v%〜10w/v%で溶した溶液を混合し、エタノール濃度を63%以上〜76.9%含有する、
みえる除菌液を提供。
【0025】
物に対しての除菌、汚れ落としは対象物や用途によりエタノール濃度の調整必要で、エタノール63v/v%未満の濃度で、十分な除菌、汚れ落とし期待できることから、洗浄剤として、エタノールとPH10.5以上のアルカリ性の機能水およびPH10.5以上の水酸化物の1種類以上と、無水エタノールにチモールフタレインを0.1w/v%〜10w/v%で溶した溶液を混合し、エタノール濃度を63%未満で含有する、
みえる除菌液を提供。
【0026】
みえる除菌液はアルカリ性から酸性に向う中和作用を主として利用していることから、無水エタノールに0.1w/v%〜10w/v%で溶解したPH指示薬は、中性〜塩基性の透明な消毒剤や洗浄剤に、PH10.5以上のアルカリ性の機能水およびPH10.5以上の水酸化物の1種類以上を混合させると色がつき、可視化剤及び着色添加剤として提供できる。
【0027】
これにより市販及び製造されている中性〜塩基性の透明な消毒剤や洗浄剤を、みえる洗浄剤・消毒剤にでき、量産や普及が安易にできることが期待でき、感染防止が期待できる。
【実施例】
【0028】
いちばん安易に普及でき、実施できる例として、無水エタノールにPH指示薬を0.1w/v%〜10w/v%で溶解した溶剤を、可視化剤とし、市販、購入済み及び製造済みのPH10.5以上のアルカリ性の透明な洗浄剤や消毒剤に混合させ、着色し、洗浄や消毒の洗浄力・消毒力を視認でき、透明なスプレーボトルやミストボトル等の容器に入れ、散布、噴霧等で洗浄・消毒を実施すると、色の消失時間が1〜4分程度で、洗浄・消毒に必要な時間で色が消失し、洗浄や消毒の実施安定性の向上ができる。
【0029】
市販、購入済み及び製造済みの、PH7の中性〜PH10.5未満のアルカリ性の透明な洗浄剤や消毒剤に着色するには、このままでは塩基性が弱いのでPH12以上の強塩基性物質と無水エタノールにPH指示薬を0.1w/v%〜10w/v%で混合した溶剤を、着色添加剤とし、混合させ、安易に運べる容器に入れ、着色添加剤として混合し、洗浄や消毒を実施する。
【0030】
前記のPH指示薬とは、フェノールフタレイン、チモールフタレイン、O−クレゾールフタレイン、チトリルまたはその誘導体からなる群から選ばれる1種以上からなるものとし、用途により選択し、混合する。
【0031】
前記の、PH10.5以上のアルカリ性の透明な洗浄剤や消毒剤とは、アルカリ性の機能水から選ばれる、アルカリイオン水、強アルカリ性電解水、電解次亜水、次亜塩素酸ナトリウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、水に溶解すると水酸化物イオンを生じアルカリ性となる水溶液、アンモニヤおよびリン酸ナトリウム、アルカノールアミンまたはその誘導体からなる群から選ばれる1種以上からなるものとし、用途により選択し、混合する。
【0032】
無水エタノールで溶したPH指示薬と、塩基性物質を含有する洗浄剤・消毒剤で、塩基性側では色がつき、洗浄力・消毒力を視認でき、着色された色は酸性側に反応し塩基性を失うと無色になり、必要最小限の水で洗浄・消毒するものを以下は、
みえる除菌液とし実施例をあげる。
【0033】
みえる除菌液を、携帯用のボトル容器に入れ、安易に持ち運べるようにし、気になるときに物や手、肌や指に洗浄・消毒を実施する。
【0034】
上記の場合、消色に要する時間は対象物が酸性に近いほどより早く消失し、人の肌は弱酸性なため手や肌に直接噴霧または、直接手に取り擦り込ことで、一瞬で色が消失してしまい、色の消失時間を利用した除去時間が取れないことから、下記に有効とされる実施例をあげる。
【0035】
市販のペーパータオルやティッシュパーパーなどに、スプレーボトルやプッシュボトル等で、
みえる除菌液を散布、噴霧、塗布等により染色して洗浄・消毒を実施すると、色の消失時間が15〜30秒程度で、洗浄・消毒に必要な時間で色が消失し、洗浄や消毒の実施安定性の向上ができる。
【0036】
おしぼりやウェットティッシュ、ウェットシートなどに、
みえる除菌液を散布や媒染等で染色し、密封包装して、安易に持ち運びできる形態にして洗浄・消毒を実施すると、色の消失時間が30〜40秒程度で、洗洗浄・消毒に必要な時間で色が消失し、洗浄や消毒の実施安定性の向上ができる。
【0037】
消毒綿や不織布などに、
みえる除菌液を散布や媒染等で染色し、密封包装して、安易に持ち運びできる形態にして洗浄・消毒を実施すると、色の消失時間が30〜40秒程度で、洗洗浄・消毒に必要な時間で色が消失し、洗浄や消毒の実施安定性の向上ができる。
【0038】
みえる除菌液を、面積に小さい対象物に対して実施する例として、塗装をするときに使用するペインターボトルや車のガラスを撥水させるときに使用するスポンジヘッド容器等に入れ、安易に持ち運びできる形態にして、気になるところに安定した塗布幅でピンポイントに洗浄・消毒を実施すると、色の消失時間が30〜40秒程度で、洗洗浄・消毒に必要な時間で色が消失し、洗浄や消毒の実施安定性の向上ができる。
【0039】
みえる除菌液を、面積に広い対象物に対して実施する例として、農薬散布で使用する噴霧器入れ、防護服や壁、床、車両、に洗浄・消毒を実施すると、色の消失時間が1分〜2分程度で、洗洗浄・消毒に必要な時間で色が消失し、洗浄や消毒の実施安定性の向上ができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
みえる除菌液の利用は、洗浄・消毒をしたい、多くの場所や物、人に有効で、例えば、車の内装、病院内の壁や物、防護服や仮設テントの消毒、診察台等、多くはプラスチック用品、便器、便座、浴室、キッチン、電子レンジ、冷蔵庫、厨房、ガラス、床、おもちゃ、パソコンや電話機などの洗浄・消毒に利用できる。
【0041】
みえる除菌液の利用は、テーブルや、ベッド、防護服、ドアノブ、トイレ便座、浴槽などの洗浄・消毒に有効なのはスプレー容器やミストスプレー容器などに入れ対象物に噴射し、色の消失後は中和された水や、アルコールが残るので気になる場合は拭き取るか、または乾燥するまで放置することで洗浄・消毒に利用できる。
【0042】
ヨウ素系や着色系の洗浄剤・消毒剤は実施後に色を洗い流すために大量の水を使用するが、
みえる除菌液で着色された色は酸性側に反応し無色になり中性になり水や、アルコールが残るが、拭き取るだけで、再度洗い流す必要がなく水不足な地域・環境で有効的な洗浄・消毒に利用できる。
【0043】
洗浄剤・消毒剤の可視化により小さな子供や言語、教育の障壁を超えて、最小限の技術で洗浄・消毒を実施することが期待できる。
【要約】
【課題】ウイルスや菌の感染が拡大すると、ウイルスの除去や除菌を正しくできていたのか、という問題に直面する。洗浄剤や消毒剤が透明であると、洗浄・消毒をしても見えづらく正しく実施できているかわからないということ。洗浄液・消毒液の効果を有効にするためには、適切な一定以上の除去時間を経過させる必要があるが、散布後にすぐ拭き取ってしまい除去時間が取れていないこと。透明な液体が除菌効果のあるものか安易に確認できないこと、水不足の地域では大量の水で洗浄・消毒ができないこと。
【解決手段】洗浄剤や消毒剤に視認できるように着色し、塩基性から酸性側に反応すると無色になるPH指示薬を、塩基性物質に含有させ、洗浄力・消毒力が視認でき、目視により対象物に洗浄・消毒を実施し、色の消失時間でウイルスや菌の除去時間をつくり、必要最小限の液剤で洗浄や消毒の実施安定性の向上を提供。